JP2017150583A - 給水・給湯用の樹脂管 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性が向上された給水・給湯用の樹脂管を提供する。【解決手段】本発明の給水・給湯用の樹脂管10は、可撓性のある樹脂からなる外管層11と、外管層の内周側に配置され、外管層を構成する樹脂よりも高い応力緩和率を有するとともに可撓性のある樹脂からなる、内管層12と、を備えている。【選択図】図1

Description

この発明は、給水・給湯用の樹脂管に関するものである。
近年、建築物の給水・給湯用の管としては、施工現場において所望の方向に曲げながら配管できるという利点から、可撓性のある樹脂管が多く使用されている(例えば、特許文献1)。
特開2001-65008号公報
しかしながら、上述したような従来の給水・給湯用の樹脂管においては、急な角度で(ひいては小さな曲率半径で)曲げられた状態で配管された場合に、長期間の使用後に、その曲げられた部分で管の内周面にクラックが生じ易くなり、クラックが生じた場合には、当該クラックが進展し管の周壁を貫通して、漏水の発生に至るおそれがあった。このクラック発生のメカニズムについて、図3を参照しながら詳しく説明する。
図3は、従来の可撓性のある給水・給湯用の樹脂管(以下、単に「管」ともいう。)100を、急な角度で曲げて配管された状態で示している。図3に示すように、管100の中心軸線Oに沿う断面で観たときに、配管された管100における、曲げられた部分では、管100の中心軸線Oに対して曲率中心C側の周壁部分に、圧縮方向の応力負荷が掛かるとともに、中心軸線Oに対して曲率中心Cとは反対側の周壁部分に、引張方向の応力負荷が掛かる。一方、一般的に、管100を構成する樹脂には、樹脂の酸化による劣化を抑制するために、酸化防止剤が添加されている。また、一般的に、水道水には、消毒のために塩素が含まれているが、塩素には、管100を構成する樹脂内の酸化防止剤を徐々に減少させる作用がある。そして、管100が常に管100内の水に含まれる塩素に晒されること等に起因して、時間の経過とともに、管100は、内周側から徐々に酸化防止剤を失い、酸化して劣化していく。管100の内周側の劣化がある程度進行すると、引張方向の応力負荷が常に掛かっている、中心軸線Oに対して曲率中心Cとは反対側の内周面部分に、略円周方向に沿うクラック101が発生し易いこととなる。
クラックの発生をなるべく抑制するためには、施工現場で、管100を急な角度で曲げた状態で配管しないことが理想的ではあるが、例えば、管100を壁又は躯体に貫通させた後に給湯器の下に接続する場合、管100は、急な角度で曲げた状態で配管される頻度が高い。また、管100を急な角度で曲げた状態で配管しないようユーザーに要求することは、建物内の水廻り器具を配置する位置や管の配設レイアウト等の自由度を制限することとなり、現実的には難しい。
このように、従来の給水・給湯用の樹脂管に対しては、耐久性の向上が求められていた。
この発明は、上述した課題を解決するためのものであり、耐久性が向上された給水・給湯用の樹脂管を提供することを目的とするものである。
本発明の給水・給湯用の樹脂管は、可撓性のある樹脂からなる外管層と、前記外管層の内周側に配置され、前記外管層を構成する樹脂よりも高い応力緩和率を有するとともに可撓性のある樹脂からなる、内管層と、を備えたことを特徴とする。
本発明の給水・給湯用の樹脂管によれば、耐久性を向上できる。
本発明の樹脂管において、前記内管層を構成する樹脂の応力緩和率は26.3%以上であると、好適である。
これによれば、耐久性をさらに向上できる。
本発明の樹脂管において、前記外管層の厚みは、前記内管層の厚みの4〜9倍であると、好適である。
これによれば、耐久性をさらに向上できる。
本発明の樹脂管において、前記内管層を構成する樹脂は、前記外管層を構成する樹脂よりも、結晶化度が低いと、好適である。
これによれば、内管層を構成する樹脂の応力緩和率を効果的に高められる。
本発明の樹脂管において、前記内管層を構成する樹脂のみが酸化防止剤を含有しており、又は、前記内管層を構成する樹脂と前記外管層を構成する樹脂とがそれぞれ酸化防止剤を含有しており、前記内管層を構成する樹脂における酸化防止剤の配合部数は、前記外管層を構成する樹脂における酸化防止剤の配合部数よりも多いと、好適である。
これによれば、耐久性をさらに向上できる。
本発明の樹脂管において、前記内管層を構成する樹脂は、その主剤となる樹脂よりも高い応力緩和率を有する樹脂を含有していると、好適である。
これによれば、耐久性をさらに向上できる。
本発明の樹脂管において、前記外管層はポリブテンを含有する樹脂からなり、前記内管層は、ポリブテンと立体規則性を有するポリプロピレンとを含有する樹脂からなると、好適である。
これによれば、耐久性をさらに向上できる。
この発明によれば、耐久性が向上された給水・給湯用の樹脂管を提供することができる。
図1(a)は、本発明の給水・給湯用の樹脂管の一実施形態を、一部断面で示す斜視図であり、図1(b)は、曲げて配管された状態における図1(a)の樹脂管を示す、樹脂管の中心軸線に沿う断面図である。 樹脂管の相対残留応力試験の結果を示すグラフである。 曲げて配管された状態における従来の樹脂管を示す、樹脂管の中心軸線に沿う断面図である。
以下に、図面を参照しつつ、この発明に係る樹脂管の実施形態を、それぞれ例示説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る給水・給湯用の樹脂管10を示している。図1(a)は、本実施形態の管10を示す斜視図であり、管10の一部を、管10の中心軸線Oに沿った断面で示している。図1(b)は、曲げて配管された状態における図1(a)の管10を示す、管10の中心軸線Oに沿う断面図である。本実施形態の管10は、可撓性のある樹脂管であり、建築物に配設される給水又は給湯用の配管に好適に用いられるものである。
ここで、「可撓性のある」とは、一例として弾性率が200~900MPaであり、5%程度の材料歪があっても破断することがない材料からなることを指す。
本実施形態の管10は、可撓性のある樹脂からなる管状の外管層11と、外管層11の内周側に同軸状に配置され、外管層11を構成する樹脂よりも高い応力緩和率を有するとともに可撓性のある樹脂からなる、管状の内管層12と、を備えた樹脂管(多層管)である。
内管層12、外管層11を構成する樹脂は、それぞれ、例えばポリブテン又は架橋ポリエチレン等の1種以上の樹脂成分に加えて、酸化防止剤等の1種以上の添加剤を含有していてもよい。
ここで、ある樹脂の「応力緩和率」とは、その樹脂の、外力に対するなじみ易さを意味しており、より具体的には、その樹脂が一定量の変位を保持する間に、その樹脂に作用する応力が所定時間後にどれだけ低下するかを表す割合を指す。さらに具体的に、本明細書では、ある樹脂の応力緩和率とは、その樹脂のダンベル型のサンプル片に引張試験機によってある一定量だけ引張り方向に変位させる(すなわち引き伸ばす)場合に、変位の保持の開始時にサンプル片に作用する応力(相対残留応力)を1としたときの、変位の保持の開始から10分経過した時点でサンプル片に作用する応力の相対指数(相対残留応力)をXとすると、
(1−X)×100(%) ・・・(1)
で表されるものとする。
ここで、図2及び表1を参照しながら、樹脂の応力緩和率と、その樹脂からなる単層管の性能との関係について、それぞれ異なる組成からなる樹脂A〜Gについて行った試験の内容及び結果に基づいて、説明する。樹脂A〜Gのいずれも、ポリブテン系樹脂であった。
まず、樹脂A〜Gの応力緩和率を調べるために、応力測定試験を実施した。図2は、樹脂A〜Gについて行った応力測定試験の結果を示している。応力測定試験では、引張試験機によって、樹脂A〜Gのダンベル型の各サンプル片を、ある一定長さに変位を与えて当該一定長さに保持し続け、その間、各サンプル片に作用する応力(相対残留応力)を、変位の保持の開始から10分間にわたって測定した。樹脂A〜Gの各サンプル片の寸法は、同一とした。図2では、各時点で各サンプル片に作用した応力(相対残留応力)を、変位の保持の開始時に各サンプル片に作用した応力(相対残留応力)をそれぞれ1としたときの相対指数により、表している。
そして、樹脂A〜Gの応力緩和率は、上記応力測定試験において、変位の保持の開始時に樹脂A〜Gの各サンプル片に作用した応力(相対残留応力)をそれぞれ1としたときの、変位の保持の開始から10分経過した時点で各サンプル片に作用した応力の相対指数(相対残留応力)をそれぞれXとして、上記式(1)によって求めた。その結果を、表1に示す。
表1から判るように、樹脂A〜Gは、20.9〜41.0%の範囲で応力緩和率に違いがあった。
また、別途用意した樹脂A〜Gからなる単層管を用いて、促進試験を実施した。促進試験では、樹脂A〜Gからなる単層管へ水温90℃、塩素濃度180ppmの水を連続通水させ、単層管が破断するまでの時間を測定した。樹脂A〜Gの各単層管の外径及び厚みは、同一とした。その結果を、表1に示す。表1では、測定結果を相対的な指数で表している。なお、表1において、「≒1」とは、約1を意味しており、「>1」とは、1より大きいことを意味している。
表1から判るように、26.3%以下の比較的低い応力緩和率を有する樹脂A〜Dは、破断に至るまでの時間が互いにほぼ同じであり、そのうち樹脂Dが最も長かった。一方、29.0%以上の比較的高い応力緩和率を有する樹脂E、G、Fは、破断に至るまでの時間が、樹脂A〜Dよりも大幅に長かった。また、樹脂E、G、Fどうしを比較すると、より高い応力緩和率を有する樹脂ほど、破断に至るまでの時間が長かった。
このように、応力緩和率の高い樹脂ほど、引張り方向の歪みによる応力を低減させる作用が高いことから、引張り方向の歪みと塩素とに起因するクラックの発生及び進展を抑制する作用が高いといえる。
さらに、樹脂A〜Gからなる単層管をそれぞれ作成し、クリープ試験を実施した。クリープ試験では、各管に、径方向外側向きの圧力を掛け、これにより円周応力σを作用させて、所定時間内で破断するか否かを確認した。クリープ試験は、次の3つの条件(条件1〜3)のそれぞれの下で、樹脂A〜Gの各単層管について、実施した。その結果を表1に示す。いずれの条件下においても、樹脂A〜Gの各単層管の外径及び厚みは、互いに同一とした。
条件1では、管内を水で満たし、管に作用する円周応力σが15.5MPaとなるように圧力をかけ、管内を温度20℃に保ち、管壁が破断するタイミングを確認した。表1の「クリープ試験(条件1)の結果」の行において、「○」は、試験開始から1時間以上経過した後に破断したことを表しており、「×」は、試験開始後すぐに破断したことを表している。
条件2では、管内を水で満たし、管に作用する円周応力σが6.9MPaとなるように圧力をかけ、管内を温度95℃に保ち、管壁が破断するタイミングを確認した。表1の「クリープ試験(条件2)の結果」の行において、「○」は、試験開始から1時間以上経過した後に破断したことを表しており、「×」は、試験開始後すぐに破断したことを表している。
条件3では、管内を水で満たし、管に作用する円周応力σが6.0MPaとなるように圧力をかけ、管内を温度95℃に保ち、管壁が破断するタイミングを確認した。表1の「クリープ試験(条件3)の結果」の行において、「○」は、試験開始から1000時間以上経過した後に破断したことを表しており、「△」は、試験開始から500時間以上1000時間未満経過したときに破断したことを表しており、「×」は、試験開始から0時間以上500時間未満経過したときに破断したことを表している。
表1から判るように、26.3%以下の比較的低い応力緩和率を有する樹脂A〜Dの管は、いずれの条件1〜3においても、良好な結果が得られた。一方、29.0%という比較的高い応力緩和率を有する樹脂Eでは、条件1と3で良好な結果が得られたが、条件2では良好な結果が得られなかった。また、樹脂Eよりもさらに高い応力緩和率を有する樹脂G、Fは、条件1〜3で良好な結果が得られなかった。
このように、応力緩和率の低い樹脂ほど、円周応力σに対する膨張変形を抑制する作用(「クリープ性能」ともいう。)が高く、ひいては、円周応力σに起因する破断の発生を抑制する作用が高いといえる。
Figure 2017150583
また、本発明の管10の実施例1〜3を作成し、評価した。実施例1〜3の管は、図1に示すような、樹脂Aからなる外管層11と、樹脂Gからなる内管層12とからなる、二層管構造からなるものとした。そして、各実施例の管について、表1について説明したのと同様の促進試験及びクリープ試験をそれぞれ実施した。その結果を表2に示す。
また、表2では、参考のために、本発明の管10の比較例1、2として、それぞれ表1の樹脂A、樹脂Gからなる単層管の試験結果も併せて示した。
なお、各実施例、比較例の管の外径及び厚みは互いに同一とした。表2に示すように、実施例1〜3の管は、内管層12の厚みと外管層11の厚みとの比率のみが、互いに異なる。
なお、実施例1及び2の管の促進試験では、試験開始から少なくとも1.1(比較例1の促進試験の試験結果を1としたときの相対指数)の時間が経過しても、管の破断に至らないことを確認した。
Figure 2017150583
表2から判るように、実施例1〜3の管は、比較例1、2の管とは異なり、促進試験及びクリープ試験の両方で、良好な結果が得られた。
このように、本実施形態の管10は、内管層12を構成する樹脂の応力緩和率が、外管層11を構成する樹脂の応力緩和率よりも高いことから、図1(b)に示すように、管10の中心軸線Oに沿う断面で観たときに、応力緩和率の比較的高い内管層12によって、管10の中心軸線に対して曲率中心Cとは反対側の周壁部分の内周側に作用する引張り方向の応力負荷を効果的に低減させることができ、ひいては、引張り方向の歪みと塩素とに起因するクラックの発生及び進展を効果的に抑制できる。しかし、応力緩和率の比較的高い内管層12は、上述したように、クリープ性能が比較的低いことから、内管層12だけでは、給水・給湯用の管として一般的に要求されるクリープ性能を担保できず、円周応力σに起因する破断の発生及び進展を十分効果的に抑制できないおそれがある。そこで、応力緩和率の比較的低い外管層11を設けることによって、クリープ性能を補強し、円周応力σに起因する破断の発生を効果的に抑制できる。
このように、本実施形態の管10は、同じ外径及び周壁の厚みを持つ単層管に比べて、曲げた状態で配管された際におけるクラックの発生及び進展を効果的に抑制でき、ひいては、管の耐久性を向上できる。
なお、内管層12による、管10に作用する引張り方向の応力負荷を低減させる作用と、外管層11によるクリープ性能とを、より好適に両立させ、管10の耐久性を向上させる観点からは、表2から判るように、内管層12の厚みが、外管層11の厚みより薄いのが好ましく、外管層11の厚みは、内管層12の厚みの4〜9倍であるのがより好ましい。
また、内管層12による、管10に作用する引張り方向の応力負荷を低減させる作用を向上させる観点からは、内管層12を構成する樹脂の応力緩和率が26.3%以上であると、好適である。また、外管層11によるクリープ性能を向上させる観点からは、外管層11を構成する樹脂の応力緩和率が26.3%未満であると、好適である。
なお、一般的に、樹脂の結晶化度が低いほど、その樹脂の応力緩和率が高い傾向にある。このため、内管層12を構成する樹脂は、外管層11を構成する樹脂よりも、結晶化度が低いと、好適である。これにより、内管層12を構成する樹脂の応力緩和率を、外管層11を構成する樹脂の応力緩和率よりも、効果的に高めることができ、ひいては、管10の耐久性をさらに向上できる。
ここで、樹脂の結晶化度を測定する方法としては、例えば、示差走査熱量分析装置(DSC)を用いるものがある。この場合、まず、DSCを用いて、測定対象の樹脂からなるサンプル片を、その樹脂が完全に融解されるまで昇温し、その間、サンプル片の熱量を測定する。そして、測定結果として得られたDSC曲線における融点の吸熱ピークの面積から、融解熱量Qsを求め、求めた融解熱量Qsを用いて、測定対象の樹脂の結晶化度を求める。より具体的には、例えば、予め、測定対象の樹脂と同じ組成でかつ結晶化度が100%である樹脂についての融解熱量Qoを同様に求めておき、測定対象の樹脂の結晶化度を、(Qs/Qo)×100(%)の式により、求めることができる。
例えば、測定対象の樹脂が、成形後3〜10日経過した状態(「Form I」という。)にあるポリブテン系樹脂である場合は、DSCを用いて、その測定対象の樹脂からなるサンプル片を、Form Iから、完全に融解された状態(「溶融体」という。)へ移行させるべく、30℃から205℃へ昇温し、その間、サンプル片の熱量を測定する。そして、測定結果として得られたDSC曲線における融点の吸熱ピークの面積から、融解熱量Qsを求める。ポリブテン系樹脂の場合、Form Iにおける結晶化度が100%であるとき、融解熱量Qoは125J/gとなる。よって、測定対象の樹脂の結晶化度は、(Qs/125)×100(%)の式により、求めることができる。
なお、一般的に、樹脂の結晶化度が低いほど、樹脂の耐薬品性(塩素による耐劣化性等)が低下する傾向にある。そこで、上述のように、内管層12を構成する樹脂の結晶化度を、外管層11を構成する樹脂の結晶化度よりも低くする場合は、内管層12を構成する樹脂と外管層11を構成する樹脂に、それぞれ酸化防止剤を含有させ、内管層12を構成する樹脂における酸化防止剤の配合部数(当該樹脂における樹脂成分全量を100質量部としたときの質量部(数)。以下「PHR」とする。)を、外管層11を構成する樹脂における酸化防止剤の配合部数(PHR)よりも多くすると、好適である。あるいは、外管層11を構成する樹脂には酸化防止剤を含有させずに、内管層12を構成する樹脂のみに酸化防止剤を含有させてもよい。
内管層12を構成する樹脂の応力緩和率を高める観点からは、内管層12を構成する樹脂を、その主剤となる樹脂よりも高い応力緩和率を有する樹脂を含有するものとしても、好適である。これにより、内管層12を構成する樹脂の全体としての応力緩和率を、高めることができる。
ここで、樹脂の「主剤」とは、樹脂に含有される各樹脂成分のうち、当該樹脂における樹脂成分全量に対する含有率(質量%)が最も高いものを指している。また、主剤となる樹脂よりも高い応力緩和率を有する樹脂を「含有する」とは、主剤となる樹脂と、この主剤となる樹脂よりも高い応力緩和率を有する樹脂とが、共重合されている場合も含む。
内管層12、外管層11をそれぞれ構成する樹脂の主剤としては、ポリオレフィンが好適であり、より具体的には、ポリブテン又は架橋ポリエチレンが好適である。内管層12を構成する樹脂の主剤と、外管層11を構成する樹脂の主剤とは、互いに異なっていてもよいが、互いに同一であると好適である。
内管層12を構成する樹脂の応力緩和率を高める観点からは、内管層12、外管層11を構成する樹脂が共にポリブテンを含有する樹脂(特には、ポリブテンを主剤とする樹脂)である場合、内管層12を構成する樹脂のみに、ポリプロピレン、ポリエチレン、又は架橋ポリエチレンなどのポリオレフィンを含有させても、好適である。ポリオレフィンは、ポリブテンよりも高い応力緩和率を有する。これにより、内管層12を構成する樹脂の応力緩和率を効果的に高めることができる。あるいは、内管層12、外管層11を構成する、ポリブテンを含有する樹脂(特には、ポリブテンを主剤とする樹脂)の両方に、ポリオレフィンを含有させ、内管層12を構成する樹脂におけるポリオレフィンの、該樹脂における樹脂成分全量に対する含有率(質量%)を、外管層11を構成する樹脂におけるポリオレフィンの、該樹脂における樹脂成分全量に対する含有率(質量%)よりも高めるようにしても、同様の効果が得られる。
なお、これらの場合、内管層12や外管層11の樹脂に含有させるポリオレフィンとして、立体規則性を有するポリプロピレンを用いると、好適である。これにより、仮に、立体規則性を有しないポリプロピレンを用いる場合に比べて、ポリブテンを含有する樹脂にポリプロピレンをさらに含有させることによる樹脂の強度の低下を抑制できる。また、同様の観点から、内管層12や外管層11の樹脂に含有させるポリオレフィンとして、立体規則性が80%以上のポリプロピレンを用いると、さらに好適である。
あるいは、内管層12を構成する樹脂の応力緩和率を高める観点からは、内管層12を構成する樹脂のみに、その主剤となる樹脂よりも低分子量の樹脂を含有させても、好適である。
主剤となる樹脂よりも低分子量の樹脂を含有させた場合、低分子量樹脂が結晶部分を膨潤させ、結晶部分の密度が下がることによって結晶部分が変形しやすくなる。これにより、内管層12を構成する樹脂の応力緩和率を効果的に高めることができる。
あるいは、内管層12、外管層11を構成する樹脂の両方に、それぞれの主剤となる樹脂よりも低分子量の樹脂を含有させ、内管層12を構成する樹脂における低分子量樹脂の、該樹脂における樹脂成分全量に対する含有率(質量%)を、外管層11を構成する樹脂における低分子量樹脂の、該樹脂における樹脂成分全量に対する含有率(質量%)よりも高めるようにしても、同様の効果が得られる。
上記の例に限られず、任意の方法により、内管層12を構成する樹脂の応力緩和率が、外管層11を構成する樹脂の応力緩和率よりも高くなるようにしてよい。
なお、図1に示す例では、管10が、内管層12と外管層11との2層からなるが、管10は、内管層12及び外管層11に加えて、他の層を1層以上備えていても良い。その場合、他の層は、内管層12と外管層11との間に配置されてもよいし、外管層11よりも外周側に配置されてもよい。また、その場合、管10を構成する各層のうちの2層以上が、同じ組成の樹脂からなるものでもよい。
管10の内管層12及び外管層11は、例えば共押出成形により同時に成形されてもよいし、あるいは、互いに別々のタイミングで成形されてもよい。
また、内管層12及び外管層11は、図1に示すように互いに直接接触していてもよいし、他の層(例えば接着剤層)を介して互いに一体にされてもよいし、あるいは、互いに別体にされてもよい。
管10の呼び径は、例えば10〜25等である。なお、管10の呼び径とは、例えば、内管10がポリブテン系樹脂製である場合は、JISK6778及びJISK6792に定められる呼び径であり、管10が架橋ポリエチレン系樹脂製である場合は、JISK6769に定められる呼び径である。管10の呼び径から、管10の外径が一義的に求まる。
本発明による給水・給湯用の樹脂管は、例えば建築物の給水・給湯用の配管に用いることができる。
10、100:樹脂管、 11:外管層、 12:内管層、 101:クラック、 C:曲率中心、 O:中心軸線

Claims (7)

  1. 給水・給湯用の樹脂管であって、
    可撓性のある樹脂からなる外管層と、
    前記外管層の内周側に配置され、前記外管層を構成する樹脂よりも高い応力緩和率を有するとともに可撓性のある樹脂からなる、内管層と、
    を備えたことを特徴とする、樹脂管。
  2. 前記内管層を構成する樹脂の応力緩和率は26.3%以上である、請求項1に記載の樹脂管。
  3. 前記外管層の厚みは、前記内管層の厚みの4〜9倍である、請求項1又は2に記載の樹脂管。
  4. 前記内管層を構成する樹脂は、前記外管層を構成する樹脂よりも、結晶化度が低い、請求項1又は2に記載の樹脂管。
  5. 前記内管層を構成する樹脂のみが酸化防止剤を含有しており、又は、
    前記内管層を構成する樹脂と前記外管層を構成する樹脂とがそれぞれ酸化防止剤を含有しており、前記内管層を構成する樹脂における酸化防止剤の配合部数は、前記外管層を構成する樹脂における酸化防止剤の配合部数よりも多い、請求項4に記載の樹脂管。
  6. 前記内管層を構成する樹脂は、その主剤となる樹脂よりも高い応力緩和率を有する樹脂を含有している、請求項1又は2に記載の樹脂管。
  7. 前記外管層はポリブテンを含有する樹脂からなり、
    前記内管層は、ポリブテンと立体規則性を有するポリプロピレンとを含有する樹脂からなる、請求項1又は2に記載の樹脂管。
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