JP2017149570A - 媒体検知装置及び媒体処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】非接触により媒体の搬送状態を検知でき、且つ小型に構成し得るようにする。
【解決手段】紙幣出金機1の鑑別部14は、方向性結合器45の端子45Bから供給される高周波信号S2をアンテナ34から電波として放射させ、搬送空間14Sを挟んで対向する金属板36との間に電磁結合を形成させた。鑑別部14は、搬送空間14Sを紙幣BLが搬送されるときに、方向性結合器45の端子45Cから出力される高周波信号S3の電力を表す検波電圧S7を取得して検波電圧変動平均RDAを算出し、これを閾値RTHと比較することで、該紙幣BLの搬送状態を判別できる。すなわち鑑別部14では、搬送空間14Sの一方にのみ媒体検知基板33を配置し、その反対側に金属板36のみを配置した構成により、装置構成を小型化しながら、紙幣BLが単送又は重送の何れであるかを精度良く判断できる。
【選択図】図4

Description

本発明は媒体検知装置及び媒体処理装置に関し、例えば顧客の操作に応じて媒体としての紙幣を出金する取引を行う紙幣出金機に適用して好適なものである。
従来、金融機関等で使用される紙幣出金機(CD:Cash Dispenser)においては、金融機関の顧客等である利用者からの要求に応じて、紙幣を出金するものが広く普及している。紙幣出金機としては、例えば全体を制御する制御部と、紙幣を収納する紙幣収納庫と、紙幣を搬送する搬送部と、紙幣を鑑別する鑑別部と、出金不可能と鑑別された紙幣を収納するリジェクト収納庫と、出金可能と鑑別された紙幣を集積する集積部と、集積された紙幣を利用者に引き渡す出金口とを有するものが提案されている。
このうち鑑別部では、搬送される紙幣の搬送状態として、該紙幣が1枚ずつに分離して搬送される単送であるか、或いは2枚以上の紙幣が重なって搬送される重送であるかを検知し、得られた結果を制御部に通知する。これを基に制御部は、単送の紙幣を出金可能とし、重送の紙幣を出金不可能とすることにより、要求された金額と正確に合致する枚数の紙幣を出金することができる。
このような鑑別部として、例えば超音波を利用して紙幣の搬送状態を検知するものが提案されている。この鑑別部では、搬送部による紙幣の搬送路を挟んで互いに対向する箇所に超音波の送信器及び受信器をそれぞれ配置し、搬送される紙幣を通過した超音波の受信結果を基に、該紙幣が単送又は重送の何れであるかを検知できる(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−207885号公報(図1)
しかしながら、上述した鑑別部では、紙幣の搬送路を挟んで互いに対向する位置に超音波の送信器及び受信器をそれぞれ配置する必要があるため、紙幣出金機内で多くの容積を必要としてしまい、大型化に繋がってしまう、という問題があった。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、非接触により媒体の搬送状態を検知でき、且つ小型に構成し得る媒体検知装置及び媒体処理装置を提案しようとするものである。
かかる課題を解決するため本発明の媒体検知装置においては、紙葉状の媒体が搬送される搬送路と、搬送路を形成し、媒体の紙面に沿って案内する搬送ガイドと、搬送ガイドの一部であり、搬送される媒体の一面側と対向し、該媒体に対して所定の電磁波を放射するアンテナが設けられる基板設置ガイドと、搬送ガイドの一部であり、搬送される媒体の他面側と対向し、アンテナから放射される電磁波により該アンテナとの間で電磁結合を形成する導電体ガイドと、基板設置ガイド及び導電体ガイドの間を通過する媒体の搬送状態を判別する判別部とを設けるようにした。
本発明は、搬送路を挟んで位置するアンテナ及び導電体の間に電磁結合を形成した状態で、該搬送路内に媒体を搬送することにより、該電磁結合の状態を変化させることができる。特に本発明では、媒体の搬送状態、すなわち単送又は重送の違い等に応じて、電磁結合の状態を変化させる度合が相違し、検出される電磁結合の状態の変化の度合も相違するため、判別部によりこの変化の度合を検出することで、媒体の搬送状態を精度良く判別できる。そのうえ本発明は、搬送路を挟んでアンテナの反対側に例えば金属板のような導電体により搬送ガイドの一部を構成したため、構造を簡素化できると共に、装置構成を小型化できる。
また本発明の媒体検知装置においては、紙葉状の媒体を搬送路に沿って搬送方向へ搬送する搬送部と、所定の搬送周波数を有する高周波信号を生成する高周波信号生成部と、高周波信号生成部から高周波信号の入力を受け、該高周波信号の一部を第1の端子から第1の出力信号として出力すると共に、該高周波信号における他の一部を第2の端子から第2の出力信号として出力する信号入出力部と、搬送周波数に対応する特性を有し、第1の出力信号に基づく電磁波を搬送路に向けて放射するアンテナと、導電性を有し、搬送路を挟んでアンテナと対向する位置に配置され、該アンテナから放射される電磁波により該アンテナとの間で電磁結合を形成する導電体と、第2の出力信号における電力の大きさを表す検波信号を生成する検波部と、アンテナ及び導電体の間を媒体が通過したときの検波信号を基に、媒体の搬送状態を判別する判別部とを設けるようにした。
さらに本発明の媒体処理装置においては、紙葉状の媒体を収納する媒体収納庫と、媒体収納庫から繰り出された媒体を搬送する搬送部と、搬送部により搬送される媒体の搬送状態を鑑別する鑑別部と、搬送状態を基に引渡可能と鑑別された媒体を集積する集積部と、鑑別部により引渡不可能と鑑別された媒体を収納するリジェクト収納庫と、集積部により集積された媒体を利用者に引き渡す引渡部とを設け、鑑別部には、媒体を搬送路に沿って搬送方向へ搬送する鑑別搬送部と、所定の搬送周波数を有する高周波信号を生成する高周波信号生成部と、高周波信号生成部から高周波信号の入力を受け、該高周波信号の一部を第1の端子から第1の出力信号として出力すると共に、該高周波信号における他の一部を第2の端子から第2の出力信号として出力する信号入出力部と、搬送周波数に対応する特性を有し、第1の出力信号に基づく電磁波を搬送路に向けて放射するアンテナと、導電性を有し、搬送路を挟んでアンテナと対向する位置に配置され、該アンテナから放射される電磁波により該アンテナとの間で電磁結合を形成する導電体と、第2の出力信号における電力の大きさを表す検波信号を生成する検波部と、アンテナ及び導電体の間を媒体が通過したときの検波信号を基に、媒体の搬送状態を判別する判別部とを設けるようにした。
本発明は、搬送路を挟んで位置するアンテナ及び導電体の間に電磁結合を形成した状態で、該搬送路内に媒体を搬送することにより該電磁結合の状態を変化させ、これに応じて第2の信号出力における電力を変化させることができる。特に本発明では、媒体の搬送状態、すなわち単送又は重送の違い等に応じて、電磁結合の状態を変化させる度合が相違し、第2の信号出力における電力の変化の度合も相違する。このため本発明は、第2の信号における電力の大きさを表す検波信号を基に、所定の閾値に対する比較処理等を行うことにより、媒体の搬送状態を精度良く判別できる。そのうえ本発明は、搬送路を挟んでアンテナの反対側に例えば金属板のような導電体を配置すれば良いため、装置構成を小型化できる。
本発明によれば、非接触により媒体の搬送状態を検知でき、且つ小型に構成し得る媒体検知装置及び媒体処理装置を実現できる。
紙幣出金機の全体構成を示す略線図である。 鑑別部の構成を示す略線図である。 鑑別部の構成を示す略線図である。 第1の実施の形態による媒体検知回路の構成を示す略線的ブロック図である。 方向性結合器の構成を示す略線図である。 検波器における高周波信号電力と検波電圧との関係を示す略線図である。 媒体搬送時における検波電圧の時間変化を示す略線図である。 媒体搬送時における検波電圧変動の時間変化を示す略線図である。 単送及び重送の場合における搬送周波数と検波電圧との関係を示す略線図である。 第1の実施の形態による搬送状態検知処理手順を示すフローチャートである。 第2の実施の形態による鑑別部の構成を示す略線図である。 第2の実施の形態による電波系検知回路の構成を示す略線的ブロック図である。 第2の実施の形態によるMPUの構成を示す略線図である。 検波電圧変動平均の頻度分布を示す略線図である。 媒体搬送時における受光電圧の時間変化を示す略線図である。 受光電圧平均の頻度分布を示す略線図である。 第2の実施の形態による搬送状態検知処理手順を示すフローチャートである。 第3の実施の形態による鑑別部の構成を示す略線図である。 第3の実施の形態による左検知領域及び右検知領域の位置並びに紙幣におけるセキュリティスレッドの位置を示す略線図である。 第3の実施の形態による搬送状態検知処理手順を示すフローチャートである。 他の実施の形態による媒体検知回路の構成を示す略線的ブロック図である。
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.紙幣出金機の構成]
図1に模式的な側面図を示すように、媒体処理装置としての紙幣出金機1は、例えば金融機関や各種商業施設等に設置され、利用者(すなわち金融機関や商業施設の顧客等)の操作に応じて、媒体としての紙幣を出金するようになっている。この紙幣出金機1は、大きく分けて下側の収納ユニット2及び上側の束搬送ユニット3により構成されており、さらに全体を制御する制御部4が組み込まれている。
制御部4は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、出金処理等の処理を行う。また制御部4は、内部にRAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
以下では、紙幣出金機1のうち顧客が対峙する側を前側とし、その反対を後側とし、当該前側に対峙した顧客から見て左及び右をそれぞれ左側及び右側とし、さらに上側及び下側を定義して説明する。
収納ユニット2は、直方体状の収納筐体10内に、紙幣に関する種々の処理を行う複数の部分が組み込まれている。この収納筐体10内には、4個の紙幣カセット11、搬送部13、鑑別部14、切替部15及び集積部16、及びリジェクト収納庫17が設けられている。
媒体収納庫としての各紙幣カセット11は、前後方向に長い直方体状に構成されており、それぞれ予め定められた金種の紙幣を内部に収納する。また紙幣カセット11は、その後側に、紙幣を1枚ずつ繰り出して搬送部13に引き渡す繰出口を有している。搬送部13は、図示しないローラやベルト、或いはこれらを駆動するモータ等により、紙幣を搬送する経路である搬送路を構成している。
媒体検知装置としての鑑別部14は、搬送される紙幣に対し、鑑別処理として、1枚ずつに分離された単送の状態であり出金可能であるか、或いは2枚以上の紙幣が重なった重送の状態であり出金不可能であるかを鑑別し、このとき得られた鑑別結果を制御部4へ供給する。制御部4は、鑑別部14から供給される鑑別結果を基に、各紙幣の搬送先を決定する。切替部15は、制御部4の制御に基づき、紙幣に当接して進行方向を変化させるブレード(図中三角形で示す)の傾斜角度を変更することにより、紙幣の搬送経路を切り替える。
集積部16は、切替部15の後側に配置されており、該切替部15から搬送されてくる紙幣、すなわち鑑別部14による鑑別結果を基に制御部4により出金可能と判断された紙幣を、集積空間16S内へ放出してステージ16T上に束状に集積させていく。このため以下では、このように積み重ねられた紙幣を紙幣束Wとも呼ぶ。
リジェクト収納庫17は、切替部15の前側に配置されており、該切替部15から搬送されてくる紙幣、すなわち制御部4により出金不可能と判断された紙幣(以下これをリジェクト紙幣とも呼ぶ)や、上方に位置する束搬送ユニット3から上面の取込孔17Hを介して落下してくる紙幣束Wを取り込んで収納する。
束搬送ユニット3は、全体として、上下方向に短く前後方向に長い、扁平な直方体状に形成されており、その前後方向の長さが収納ユニット2よりも長くなっている。束搬送ユニット3は、直方体状の束搬送筐体20内に組み込まれた種々の部材により、紙幣束Wを搬送するときに当該紙幣束Wが通過する経路である束搬送路3Yを形成している。また束搬送筐体20の前端、すなわち束搬送路3Yの前端には、紙幣束Wを利用者に引き渡す引渡部としての出金口26が形成されている。
束搬送筐体20内における上側部分には、無端ベルトでなる上搬送ベルト21が設けられている。束搬送筐体20内における上搬送ベルト21の下側部分には、上下方向に薄い板状の挟持搬送ガイド22及び無端ベルトでなる下搬送ベルト24が設けられている。挟持搬送ガイド22は、図示しない移動機構によって前後方向へ移動することにより、集積孔16H又は取込孔17Hの何れか一方を開放して束搬送路3Yと連通させる。
集積部16のステージ16Tは、挟持搬送ガイド22が前方へ移動された状態において上方へ移動されることにより、その上面の高さを挟持搬送ガイド22とほぼ同等に揃え、束搬送路3Yの一部を形成する。ラッセル部25は、挟持搬送ガイド22、下搬送ベルト24及びステージ16Tの上面に沿って、紙幣束Wを押すことにより前後方向へ移動させる。
[1−2.出金動作及び取込動作]
次に、紙幣出金機1における出金動作及び取込動作について説明する。紙幣出金機1は、出金動作を行う場合、図示しない操作部を介して顧客から出金の指示及び出金額を受け付ける。これに応じて各紙幣カセット11は、この出金額に応じた金種及び枚数の紙幣を後面から1枚ずつ繰り出し、搬送部13に引き渡す。搬送部13は、各紙幣を上方へ搬送し、鑑別部14により鑑別させ、得られた鑑別結果を制御部4に供給させる。
制御部4における鑑別結果を基に出金可能、すなわち利用者への引渡が可能と判断された紙幣は、切替部15により集積部16へ搬送され、ステージ16T上に集積される。また制御部4における鑑別結果を基に出金不可能、すなわち利用者への引渡が不可能と判断されたリジェクト紙幣は、切替部15によりリジェクト収納庫17へ搬送され、収納される。
続いて紙幣出金機1は、出金額に相当する金種及び枚数の紙幣、すなわち紙幣束Wをステージ16T上に集積すると、当該ステージ16Tを上昇させ、当該紙幣束Wを束搬送路3Y内へ持ち上げる。続いて紙幣出金機1は、上搬送ベルト21及び下搬送ベルト24を前方へ走行させると共にラッセル部25を前方へ移動させることにより、紙幣束Wを束搬送路3Yに沿って前方へ進行させ、出金口26まで搬送する。紙幣出金機1は、この段階で出金動作を終了し、利用者に紙幣束Wを受け取らせる。
ここで、所定の待機時間以内に出金口26から紙幣束Wが取り出されなかった場合、紙幣出金機1は、利用者が紙幣束Wを取り忘れたと判断し、取込動作を開始する。具体的に紙幣出金機1は、上搬送ベルト21及び下搬送ベルト24を後方へ走行させることにより紙幣束Wを束搬送路3Y内に取り込み、さらにラッセル部25を後方へ走行させることにより、当該紙幣束Wを当該束搬送路3Yに沿って後方へ進行させていく。やがて紙幣出金機1は、紙幣束Wが取込孔17Hの上方に到達すると、この紙幣束Wを束搬送路3Yから落下させ、リジェクト収納庫17内に収納させる。
[1−3.鑑別部の構成]
[1−3−1.各部の配置]
次に、鑑別部14の構成について説明する。図2に模式的な平面図若しくは断面図を示すように、鑑別部14は、収納筐体10(図1)のうち後面部分を構成する収納筐体後面部10Bの前側(すなわち内側)に取り付けられた搬送ガイド31を中心に構成されている。
搬送ガイド31は、搬送部13(図1)において紙幣を上下方向に案内する案内部31Aと、該案内部31Aを支持する支持部31Bとにより構成されている。この搬送ガイド31は、例えば導電性を有する樹脂材料が成型されてなる成型部材として製造されている。すなわち案内部31A及び支持部31Bは、一体の部品として形成されている。
案内部31Aは、前後方向に薄い板状に形成されており、その前面及び後面が収納筐体後面部10Bの前面に対してほぼ平行な平面状となっている。支持部31Bは、左右方向に薄い板状に形成されており、案内部31Aにおける左右の両端に接続されている。この支持部31Bは、後端を収納筐体後面部10Bの前面に当接させた状態で、該収納筐体後面部10Bに固定されている。また支持部31Bは、案内部31Aを収納筐体後面部10Bからやや離れた箇所に支持している。すなわち搬送ガイド31は、上下方向から見た断面形状が、英大文字の「H」に類似している。
案内部31Aから前方へ所定距離だけ離れた箇所には、基板設置ガイド32が設けられている。基板設置ガイド32は、例えば非導電性の樹脂材料(例えばプラスチック)が前後方向に薄い平板状に成型された成型部材として製造されている。この基板設置ガイド32は、左右の両端を該搬送ガイド31の支持部31Bと当接させており、該支持部31Bにより支持されている。
基板設置ガイド32の前側には、媒体検知基板33が当接した状態で取り付けられている。媒体検知基板33は、いわゆるプリント配線基板となっており、前後方向に薄い平板状に形成されている。因みに媒体検知基板33は、上下方向の長さが搬送ガイド31や基板設置ガイド32よりも十分に短くなっている。
この媒体検知基板33は、例えばガラス繊維にエポキシ樹脂を浸透させて製造されたガラスエポキシ基板の表面に、銅などの導電性を有する金属材料により薄膜状の配線パターンが形成されている。その上で媒体検知基板33には、形成されている配線パターンに合わせて、種々の電子部品が実装されることにより、紙幣を検知する媒体検知回路40が構成されている(詳しくは後述する)。
さらにこの媒体検知基板33の後側表面には、図3に部分的な拡大図を示すように、配線パターンによって平面状のアンテナ34が形成されている。すなわちアンテナ34は、銅箔によって極めて薄い平板状に構成されており、基板設置ガイド32の前面と当接する位置に、平面状の部分を後方向に向けた姿勢で配置されている。このアンテナは、例えば前後方向から見て長方形状に形成されており、対応する周波数に応じて各辺の長さ等が適切に設定されている。
媒体検知基板33(図2)の前側には、基板背面カバー35が設けられている。基板背面カバー35は、所定の樹脂材料によって媒体検知基板33の前側を覆う形状に構成されており、該媒体検知基板33の前側を保護している。因みに基板背面カバー35における上下方向の長さは、媒体検知基板33と同程度となっている。
一方、搬送ガイド31の案内部31A及び基板設置ガイド32の間における中央よりも後寄り、すなわち該案内部31A側には、該案内部31Aと同様に紙幣を上下方向に案内する金属板36が設けられている。導電体ガイドとしての金属板36は、導電性を有する金属製の前後方向に薄い板状部材、例えば鋼板でなり、左右方向の長さが基板設置ガイド32とほぼ同等となっている。因みに金属板36は、上下方向の長さがアンテナ34よりも長く設定されており、且つ上下方向に関して該アンテナ34と対向する位置を含む範囲に設置されている。
また以下では、基板設置ガイド32及び金属板36により前後から挟まれ、且つ搬送ガイド31における左右の各支持部31Bにより左右から挟まれた空間を、鑑別部14における搬送空間14Sと呼ぶ。
また収納筐体後面部10Bの前側には、2個の搬送ベアリング37が設けられている。各搬送ベアリング37は、中心軸を左右方向に沿わせた扁平な円柱状でなり、左右の支持部31Bの間における中心からやや離れた2箇所に配置されている。また搬送ベアリング37は、搬送ガイド31の案内部31A及び金属板36に適宜設けられた通過孔を前後方向に貫通するように配置されており、収納筐体後面部10Bの前面近傍から搬送空間14Sにおける前後方向の中央付近に到達している。この搬送ベアリング37は、自在に回転するようになっている。
さらに搬送空間14Sにおける各搬送ベアリング37の前側には、搬送ベルト38がそれぞれ設けられている。搬送ベルト38は、媒体検知基板33の上方及び下方にそれぞれ設けられたプーリ(図示せず)の周囲を周回する無端ベルトであり、基板設置ガイド32の後側及び基板背面カバー35の前側を上下方向に沿って張架されている。因みに搬送ベルト38の媒体検知基板33等よりも下側の部分は、搬送部13(図1)の一部として構成されている。
この搬送ベルト38は、図示しないモータからプーリに駆動力が伝達されることにより、基板設置ガイド32の後側、すなわち搬送空間14Sの内部における搬送ベアリング37の前側を上方向に向けて走行すると共に、基板背面カバー35の前側を下方向に向けて走行する。因みに搬送ベルト38における搬送空間14S内を走行する部分は、図示しないプーリがやや後寄りに配置された上で張力が作用することにより、搬送ベアリング37の前端付近に押し付けられている。
かかる構成により鑑別部14は、搬送ベルト38を走行させ、下側の搬送部13(図1)から紙幣BLが上方向へ向けて搬送されてくると、搬送空間14Sにおいてこの紙幣BLを該搬送ベルト38及び搬送ベアリング37の間に挟持しながら、引き続き上方へ向けて搬送する。このとき鑑別部14は、搬送空間14Sにおいて、基板設置ガイド32の前側に設置されたアンテナ34及び金属板36の間で紙幣BLを通過させることになる。説明の都合上、以下では、搬送ベルト38及び搬送ベアリング37をまとめて搬送部又は鑑別搬送部とも呼ぶ。
[1−3−2.媒体検知回路の構成]
次に、媒体検知基板33上に形成された媒体検知回路40の構成について説明する。図4にブロック図として示すように、媒体検知回路40は、CPU(Central Processing Unit)41を中心に構成されており、該CPU41にメモリ42、通信用インタフェース43及びPLL(Phase Locked Loop)44を接続している。
メモリ42は、揮発性のRAM(Random Access Memory)や不揮発性のROM(Read Only Memory)及びフラッシュメモリ等を有しており、各種プログラムや種々の値を記憶している。CPU41は、メモリ42から媒体判定プログラムを読み出して実行することにより、後述する媒体判定処理を行うようになっている。
通信用インタフェース43は、CPU41に接続されており、上述した制御部4(図1)との間で種々の情報を授受する。PLL44は、CPU41と接続されており、該CPU41の制御に基づき、例えば5〜6[GHz]のような高周波数の帯域から選択された搬送周波数の高周波信号S1を生成し、これを方向性結合器45へ供給する。
方向性結合器45は、図5に拡大図を示すように、高周波信号の入出力用端子である端子45A、45B、45C及び45Dを有している。また方向性結合器45(図4)は、端子45A、45B、45C及び45Dに、それぞれPLL44、アンテナ34、終端用抵抗46及び低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)47が接続されている。
この方向性結合器45は、PLL44から端子45Aを介して高周波信号S1が入力された場合、該高周波信号S1における9割程度の電力を持つ高周波信号S2を第1の端子としての端子45Bからアンテナ34へ供給し、残りの1割程度の電力を持つ高周波信号S3を第2の端子としての端子45Dから低雑音増幅器47へ供給する。なお方向性結合器45は、端子45Cに接続された終端用抵抗46には、有効な信号を殆ど出力しない。因みに終端用抵抗46のインピーダンスは、高周波信号を取り扱う場合に一般的に使用される50[Ω]となっている。
このときアンテナ34は、方向性結合器45の端子45Bから供給される第1の出力信号としての高周波信号S2を電磁波として放射することにより、基板設置ガイド32及び搬送空間14Sを挟んで対向する位置にあり、導電性の高い部材である金属板36(図2及び図3)との間に電磁結合を形成する。
一方、低雑音増幅器47は、方向性結合器45(図4)の端子45Dから供給される第2の出力信号としての高周波信号S3を所定の増幅率で増幅することにより高周波信号S4を生成し、これを帯域通過フィルタ(BPF:Band Pass Filter)48へ供給する。帯域通過フィルタ48は、高周波信号S4のうちマイクロ波帯と呼ばれる周波数帯域、例えば0.3〜30[GHz]の中で、所望の周波数帯である高周波信号のみを通過させることにより、所望外の帯域の雑音成分を低減させた、すなわち信号対雑音電力比(SNR:Signal to Noise Ratio)の高い高周波信号S5を生成し、これを検波器49へ供給する。
検波器49は、入力される高周波信号S5における電力の大きさに応じた電圧の検波信号S6を生成し、これをAD(Analog/Digital)変換器50へ供給する。ここで検波器49は、図6に示すように、入力される高周波信号S5の電力[dBm]と比例した電圧[V]の検波信号S6を生成するようになっている。換言すれば、検波器49は、入力される高周波信号S5の変動幅が所定の値dP[dB]である場合に、出力する検波信号S6の変動幅が所定の値dV[V]であるとすると、比率dV/dP[V/dB]の値が一定となる。
AD変換器50(図4)は、検波器49から供給される検波信号S6の電圧値をアナログからディジタルに変換することにより、ディジタル化された検波電圧S7を生成し、これをメモリ42へ供給する。これに応じてメモリ42は、供給された検波電圧S7を記憶する。
このように媒体検知回路40は、PLL44により生成した高周波信号S1の一部として方向性結合器45の端子45Dから得られる高周波信号S3を基に、その電力の大きさを表す検波信号S6を生成し、その電圧をAD変換器50によってディジタル化した検波電圧S7をメモリ42に記憶させるようになっている。
[1−4.搬送状態検知の基本原理及び処理手順]
次に、鑑別部14による鑑別処理について説明する。この鑑別部14は、上述したように、鑑別処理として、搬送される紙幣が1枚ずつに分離された単送の状態で搬送されているか、或いは2枚以上の紙幣が重なった重送の状態で搬送されているかを鑑別する。
すなわち鑑別部14は、この鑑別処理として、媒体検知回路40(図4)により、搬送空間14S(図2)を搬送される紙幣BL(すなわち媒体)が、1枚ずつに分離されて搬送される単送であるか、或いは2枚以上重なった状態で搬送される重送であるかを検知するようになっている。以下では、搬送空間14Sを搬送される紙幣が単送又は重送の何れであるかを搬送状態と呼び、鑑別部14によってこの搬送状態を検知する処理を、搬送状態検知処理と呼ぶ。
[1−4−1.搬送状態検知の基本原理]
ここでは、まず鑑別部14による搬送状態検知の基本原理を説明する。媒体検知回路40は、上述したように、方向性結合器45の端子45Bから供給される高周波信号S2をアンテナ34(図3)から電波として放射することにより、金属板36との間に電磁結合を形成している。媒体検知回路40では、搬送ベルト38等によりアンテナ34の近傍に紙幣BLが搬送されていない場合、端子45Bから出力する高周波信号S2及び端子45Dから出力する高周波信号S3がほぼ一定となる。このため媒体検知回路40では、検波器49により生成される検波信号S6及びその電圧値をディジタル化した検波電圧S7の値がほぼ一定となる。
ところで紙幣BLは、誘電体としての性質を有している。このため媒体検知回路40では、搬送ベルト38等によりアンテナ34の近傍に紙幣BLが搬送されて来た場合、該アンテナ34及び金属板36の間における電磁結合に変化が生じる。
これを詳細に見ると、このとき方向性結合器45(図4)では、PLL44から高周波信号S1が供給される端子45Aからアンテナ34側を並列共振回路と見なした場合の、電磁結合による共振の強さを表すQ値特性が変化し、これに伴って端子45Dから出力される高周波信号S3の電力が変動する。そうすると媒体検知回路40では、該高周波信号S3における電力の大きさを表す検波電圧S7の値が変化することになる。
また紙幣BLは、重送の場合、単送の場合と比較して、見かけ上の厚さが増えるため、見かけ上の誘電率が相違する。このため媒体検知回路40では、重送の場合、単送の場合と比較して、アンテナ34及び金属板36の間における電磁結合に生じる変化の度合が異なる。
例えば鑑別部14では、単送の紙幣BLを搬送ベルト38等により搬送してアンテナ34の近傍を通過させた場合、検波電圧S7の値である単送検波電圧RV1は、図7に実線で示すように変動する。すなわち単送検波電圧RV1は、紙幣BLがアンテナ34の遠方に位置する期間T1において一定の電圧(以下これを非搬送時検波電圧RVNと呼ぶ)であるものの、紙幣BLがアンテナ34の近傍を通過する期間T2において一時的に低下し、通過後の期間T3において元の非搬送時検波電圧RVNに戻る。
また鑑別部14では、重送の紙幣BLを搬送ベルト38等により搬送してアンテナ34の近傍を通過させた場合、検波電圧S7の値である重送検波電圧RV2は、例えば図7に破線で示すように変動する。すなわち重送検波電圧RV2は、紙幣BLがアンテナ34の遠方に位置する期間T1において、単送の場合と同様に一定の非搬送時検波電圧RVNであるものの、紙幣BLがアンテナ34の近傍を通過する期間T2において単送の場合よりも大きい変動幅で低下し、通過後の期間T3において元の非搬送時検波電圧RVNに戻る。
ここで単送検波電圧RV1及び重送検波電圧RV2を、それぞれ非搬送時検波電圧RVNに対する変動値として表した単送検波電圧変動RD1及び重送検波電圧変動RD2は、図8にそれぞれ実線及び破線で示すような曲線となる。この単送検波電圧変動RD1及び重送検波電圧変動RD2を表す波形は、図7において単送検波電圧RV1及び重送検波電圧RV2を表す波形をそれぞれ上下反転させて下方へ平行移動させた形状となっている。
さらに、期間T2における単送検波電圧変動RD1及び重送検波電圧変動RD2それぞれの平均値を算出して単送検波電圧変動平均RDA1及び重送検波電圧変動平均RDA2とすると、それぞれ図8に直線として表すことができる。
ここで、単送検波電圧変動平均RDA1及び重送検波電圧変動平均RDA2の中間値を閾値RTHとして設定する。また、媒体検知回路40において、紙幣BLの搬送時に得られた検波電圧S7を基に、非搬送時検波電圧RVNを基準とした変動値(以下これを検波電圧変動RDと呼ぶ)を算出し、さらにその平均値である検波電圧変動平均RDAを算出する。そうすると紙幣BLが単送であった場合には、検波電圧変動平均RDAが閾値RTH未満となり、該紙幣BLが重送であった場合には、該検波電圧変動平均RDAが閾値RTH以上となる。
そこで媒体検知回路40は、予め算出した閾値RTHをメモリ42に記憶させておき、紙幣BLの搬送時に得られた検波電圧S7の検波電圧変動RDを基に検波電圧変動平均RDAを算出し、これを閾値RTHと比較することにより、該紙幣BLの搬送状態(単送又は重送)を判断するようになっている。
因みに媒体検知回路40では、紙幣BLがアンテナ34の近傍を搬送されている場合における検波電圧S7の値が、PLL44から供給される高周波信号S1の周波数に応じて変化する。例えば図9に示すように、紙幣BLが単送である場合において、高周波信号S1の周波数に対する検波電圧S7の変化を表す特性曲線U1は、所定の周波数f1において極小値を取るような、下に凸の放物線に近似した曲線を描く。一方、紙幣BLが重送である場合において、高周波信号S1の周波数に対する検波電圧S7の変化を表す特性曲線U2は、周波数f1と異なる周波数f2において極小値を取るような、下に凸の放物線に近似した曲線を描く。
そこで媒体検知回路40では、PLL44における搬送周波数を、例えば図9における周波数f3のように、重送の場合に単送の場合よりも検波電圧S7の値が大きくなるような周波数に選定している。このため媒体検知回路40では、図8に示したように、単送の場合よりも重送の場合の方が、期間T2における検波電圧S7の非搬送時検波電圧RVNからの変動幅が大きくなっている。
また一般に紙幣BLは、金種に応じて大きさや厚さが相違する場合がある。この場合、単送検波電圧変動平均RDA1及び重送検波電圧変動平均RDA2は、紙幣BLの金種に応じて、それぞれ異なる値となる。そこで媒体検知回路40では、予め紙幣BLの金種ごとに単送検波電圧変動平均RDA1及び重送検波電圧変動平均RDA2をそれぞれ算出した上で、金種ごとに閾値RTHを算出してメモリ42に記憶させている。すなわち媒体検知回路40では、紙幣BLの金種ごとに、媒体の搬送状態を判別する際に用いる判別基準若しくは判別条件を切り替え得るようになっている。
[1−4−2.搬送状態検知処理]
次に、鑑別部14において媒体検知回路40により紙幣BLの搬送状態を検知する搬送状態検知処理について、図10のフローチャートを参照しながら説明する。
鑑別部14は、制御部4(図1)から搬送部13により紙幣BLを搬送していること及び該紙幣BLの金種を通知されて取得すると、このことを媒体検知回路40の通信用インタフェース43を介してCPU41へ通知する。これに応じてCPU41は、紙幣BLが搬送される間、すなわちアンテナ34の近傍を通過する前後を含めた期間であり、図7及び図8における期間T1〜T3を含む全期間に渡り、検波電圧S7を順次生成してメモリ42に記憶させていく。
またCPU41は、紙幣BLがアンテナ34の近傍を通過し、図7及び図8における期間T2を終了すると、メモリ42から搬送状態検知プログラムを読み出して実行することにより、搬送状態検知処理手順RT1(図10)を開始してステップSP1へ移る。ステップSP1においてCPU41は、メモリ42に記憶されている検波電圧S7のうち、紙幣BLが鑑別部14内を搬送された期間、すなわち図7及び図8における期間T2に相当する部分を読み出して取得し、次のステップSP2へ移る。
ステップSP2においてCPU41は、まず非搬送時検波電圧RVNに対する検波電圧S7の差分の絶対値を算出することにより、該非搬送時検波電圧RVNを基準とした該検波電圧S7の変動値である検波電圧変動RDを算出する。続いてCPU41は、検波電圧変動RDのうち「0」以上となる期間、すなわち図8における期間T2に相当する範囲に着目し、この範囲における平均値を算出することにより検波電圧変動平均RDAを生成して、次のステップSP3へ移る。
ステップSP3においてCPU41は、搬送された紙幣BLの金種に応じた閾値RTHをメモリ42から読み出し、次のステップSP4へ移る。ステップSP4においてCPU41は、検波電圧変動平均RDAが閾値RTH未満であるか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、CPU41は次のステップSP5へ移り、搬送された紙幣BLが単送であると判断する。さらにCPU41は、紙幣BLの搬送状態が単送であることを制御部4(図1)へ通知した後、次のステップSP7へ移って搬送状態検知処理手順RT1を終了する。これに応じて制御部4は、この紙幣BLを出金可能であると判断し、搬送先を集積部16(図1)に決定して搬送させる。
一方、ステップSP4において否定結果が得られると、このことは検波電圧変動平均RDAが閾値RTH以上であったことを表している。このときCPU41は、次のステップSP6へ移り、搬送された紙幣BLが重送であると判断する。さらにCPU41は、紙幣BLの搬送状態が重送であることを制御部4(図1)へ通知した後、次のステップSP7へ移って搬送状態検知処理手順RT1を終了する。これに応じて制御部4は、この紙幣BLを出金不可能であると判断し、搬送先をリジェクト収納庫17(図1)に決定して搬送させる。
[1−5.効果等]
以上の構成において、第1の実施の形態による紙幣出金機1の鑑別部14は、方向性結合器45(図3及び図4)の端子45Bから供給される高周波信号S2をアンテナ34から電波として放射させることにより、搬送空間14S(図2)を挟んで対向する金属板36との間に電磁結合を形成させる。
鑑別部14では、搬送空間14Sを紙幣BLが搬送されるときに、電磁結合の状態が変化し、方向性結合器45の端子45Cから得られる高周波信号S3の電力が変動する。また鑑別部14では、紙幣BLの搬送状態(単送又は重送)に応じて、高周波信号S3における電力の変動度合が相違する(図7)。
そこで鑑別部14は、高周波信号S3の電力を表す検波電圧S7を基に、非搬送時検波電圧RVNからの変動値の平均である検波電圧変動平均RDAを算出し、これを閾値RTHと比較することにより、該紙幣BLの搬送状態を判断するようにした(図8)。鑑別部14は、この検波電圧変動平均RDAを適切な閾値RTHと比較することにより、両者の大小関係を明確に判定でき、該紙幣BLの搬送状態を精度良く判断することができる。
すなわち本実施の形態による鑑別部14では、搬送空間14Sの一方である前側にのみ、媒体検知回路40を形成する媒体検知基板33や必要な配線部材等を設ければ良く、その反対側、すなわち搬送空間14Sの後側には、1枚の金属板36のみを配置すれば良い(図2)。従って鑑別部14は、特許文献1のように搬送空間14Sの両側にそれぞれ発信器や受信器等を設置する場合と比較して、装置構成を小型化することができる。
また鑑別部14は、電波を放射するアンテナ34と金属板36との電磁結合を利用して搬送状態を検知するため、紙幣BLを搬送するために必要な搬送ベルト38及び搬送ベアリング37以外の部品、すなわち搬送状態を検知するための部品を、該紙幣BLに当接させずに済む。これを換言すれば、鑑別部14は、紙幣BLに対し非接触で搬送状態を検知することができる。このため鑑別部14では、例えば紙幣BLを両面から挟持するようにローラを配置しておき、該ローラの変位量を基に紙幣BLの厚さを検知する厚みセンサのように、該紙幣BLに部品を接触させて搬送状態を検知する方式を採用した場合と比較して、該紙幣BLの詰まり等を発生する頻度を格段に低減できる。
さらに鑑別部14では、PLL44(図4)により生成する高周波信号S1の周波数を適切に選定することにより、単送検波電圧変動平均RDA1及び重送検波電圧変動平均RDA2(図8)を明確に区別し得るようにした(図9)。このため鑑別部14では、この単送検波電圧変動平均RDA1及び重送検波電圧変動平均RDA2の間に位置する中間値等を閾値RTHに設定することにより、紙幣BLの搬送時に得られた検波電圧変動平均RDAを該閾値RTHと比較するだけで、該紙幣BLの搬送状態を精度良く判別することができる。
また鑑別部14では、紙幣BLの金種ごとに閾値RTHを予め算出してメモリ42に記憶させておき、制御部4(図1)から通知される紙幣BLの金種に応じた閾値RTHを該メモリ42から読み出すようにした。このため鑑別部14は、金種に拘わらず同一の閾値RTHを使用する場合と比較して、搬送状態の判別精度を高めることができる。
以上の構成によれば、第1の実施の形態による紙幣出金機1の鑑別部14は、方向性結合器45の端子45Bから供給される高周波信号S2をアンテナ34から電波として放射させ、搬送空間14Sを挟んで対向する金属板36との間に電磁結合を形成させた。鑑別部14は、紙幣BLが搬送空間14S内を搬送されるときに、方向性結合器45の端子45Cから出力される高周波信号S3に含まれるノイズを帯域通過フィルタ48により低減させて信号対雑音電力比SNRを高めた高周波信号S5の電力を表す検波電圧S7を取得して検波電圧変動平均RDAを算出し、これを閾値RTHと比較することで、該紙幣BLの搬送状態を判別できる。すなわち鑑別部14では、搬送空間14Sの一方にのみ媒体検知基板33を配置し、その反対側に金属板36のみを配置した構成により、装置構成を小型化しながら、紙幣BLが単送又は重送の何れであるかを精度良く検知できる。
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による紙幣出金機101(図1)は、第1の実施の形態による紙幣出金機1と比較して、鑑別部14に変わる鑑別部114を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[2−1.鑑別部の構成]
鑑別部114は、図11に模式的な構成を表すように、搬送空間14S及び媒体検知基板33(図2)に代わる搬送空間114S及び媒体検知基板133を有する点、並びに発光センサ基板139を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
媒体検知基板133には、第1の実施の形態における媒体検知回路40に相当する電波系検知回路140及びMPU(Micro Processing Unit)141、並びに第1の実施の形態と同様のアンテナ34に加えて、光学系検知回路142及び受光センサ143が設けられている。
電波系検知回路140は、図4と対応する図12に示すように、第1の実施の形態における媒体検知回路40からCPU41、メモリ42、通信用インタフェース43及びAD変換器50を省略した構成となっている。一方、媒体検知回路40から省略されたCPU41、メモリ42、通信用インタフェース43及びAD変換器50は、図13に示すように、MPU141に組み込まれている。またMPU141には、クロック信号を生成する水晶発振器151、該クロック信号を基に計時するタイマ152が設けられている。
MPU141(図13)及び電波系検知回路140(図12)は、第1の実施の形態における媒体検知回路40と同様に動作する。すなわちPLL44は、CPU41の制御に基づいて高周波信号S1を生成し、方向性結合器45の端子45A(図5)に供給する。方向性結合器45は、端子45Bから高周波信号S2をアンテナ34へ供給することにより、該高周波信号S2に基づいた電波を放射させ、金属板36との間に電磁結合を形成させる。
また方向性結合器45は、端子45Cから高周波信号S3を低雑音増幅器47へ供給して高周波信号S4とし、さらにこれを帯域通過フィルタ48へ供給して高周波信号S5を生成させて、検波器49へ供給させる。検波器49は、高周波信号S5における電力の大きさに応じた電圧の検波信号S6を生成し、これをMPU141へ供給する。MPU141は、AD変換器50により検波信号S6の電圧値をディジタル化して検波電圧S7を生成し、これをメモリ42に記憶させる。
光学系検知回路142(図11)は、MPU141及び受光センサ143に加えて、発光センサ基板139に設けられた発光センサ144と接続されており、該MPU141の制御に基づき、発光センサ144及び受光センサ143を制御するようになっている。
発光センサ基板139は、金属板36と同様、搬送空間114Sを挟んで媒体検知基板133の反対側、すなわち後側に配置されている。発光部としての発光センサ144は、図示しない発光素子が組み込まれており、光学系検知回路142から供給される電気信号に基づいてこの発光素子を発光させ、所定の検知光を前方の搬送空間114Sへ向けて出射させる。この検知光は、例えば3[THz]以上の電磁波であり、光としての性質を有するもの、すなわち赤外光等となっている。
受光部としての受光センサ143は、搬送空間114Sを挟んで発光センサ144と対向する箇所に設けられ、図示しない受光素子が組み込まれている。この受光センサ143は、発光センサ144から出射される検知光を受光素子により受光し、該検知光の受光量に応じた電圧の受光信号S11を生成して光学系検知回路142へ供給する。これに応じて光学系検知回路142は、この受光信号S11をMPU141へ供給する。MPU141は、検波信号S6の場合と同様、AD変換器50により受光信号S11の電圧値をディジタル化して受光電圧S12を生成し、これをメモリ42に記憶させる。
なお説明の都合上、以下では、アンテナ34から放射される電波と関連した各部品や各種信号等、すなわち該アンテナ34や電波系検知回路140並びに検波電圧S7等の一群を「電波系」と呼ぶ。また以下では、発光センサ144の発光素子から出射される検知光と関連した各部品や各種信号等、すなわち該発光センサ144や光学系検知回路142並びに受光電圧S12等の一群を「光学系」と呼ぶ。
[2−2.搬送状態検知の基本原理及び処理手順]
次に、鑑別部114により紙幣BLの搬送状態を検知する搬送状態検知処理について、電波系及び光学系に分けて説明する。
[2−2−1.電波系による搬送状態検知の基本原理]
MPU141のCPU41は、電波系による搬送状態検知処理として、第1の実施の形態と同様、メモリ42に記憶させている検波電圧S7を基に、紙幣BLの搬送状態を判別するようになっている。すなわち鑑別部114では、搬送空間114Sを紙幣BLが搬送される場合、アンテナ34及び金属板36の間における電磁結合に変化が生じ、これに伴って検波電圧S7の値が変動する(図7)。また検波電圧S7は、紙幣BLの搬送状態(単送又は重送)に応じて変動の度合が相違し、単送検波電圧RV1又は重送検波電圧RV2のような波形を描く。
この単送検波電圧RV1及び重送検波電圧RV2の非搬送時検波電圧RVNに対する変動値は、図8の単送検波電圧変動RD1及び重送検波電圧変動RD2のようになる。また、それぞれの期間T2における平均値は、単送検波電圧変動平均RDA1及び重送検波電圧変動平均RDA2となる。
ところで各紙幣BLは、それぞれ異なる流通過程を経ているため、損傷の程度等が相違し、同一の金種であっても誘電率にある程度のばらつきを有する。また鑑別部114では、紙幣BLを搬送する度に、該紙幣BLの左右方向に関する位置や進行方向に対する傾斜角度が必ずしも同一とはならず、僅かずつ相違する可能性がある。すなわち鑑別部114では、紙幣BLを搬送する度に、単送検波電圧変動平均RDA1及び重送検波電圧変動平均RDA2の値が何れもばらつくことになる。そこで、単送検波電圧変動平均RDA1及び重送検波電圧変動平均RDA2それぞれについて、検波電圧変動平均RDAの値を横軸として頻度(すなわち確率密度)を縦軸としたところ、図14に示すような2群の特性曲線(すなわち確率密度分布曲線)が得られた。
この図14では、単送検波電圧変動平均RDA1及び重送検波電圧変動平均RDA2が横軸方向に十分離れている。そこで鑑別部114では、単送検波電圧変動平均RDA1の分布範囲よりもやや大きい値及び重送検波電圧変動平均RDA2の分布範囲よりもやや小さい値を、それぞれ閾値RTH1及びRTH2と設定する。これにより鑑別部114では、検波電圧変動平均RDAが第1閾値としての閾値RTH1よりも小さい場合には、明らかに単送と判別でき、また検波電圧変動平均RDAが第2閾値としての閾値RTH2よりも大きい場合には、明らかに重送と判別できる。ただし鑑別部114では、検波電圧変動平均RDAの値が閾値RTH1及びRTH2の間であった場合、この検波電圧変動平均RDAの値のみから紙幣BLの搬送状態を判別することは容易ではない。
因みに鑑別部114では、第1の実施の形態と同様、紙幣BLの金種ごとに閾値RTH1及びRTH2を予め算出しておき、これをMPU141のメモリ42(図13)に記憶させている。
[2−2−2.光学系による搬送状態検知の基本原理]
MPU141のCPU41は、光学系による搬送状態検知処理として、メモリ42に記憶させている受光電圧S12を基に、紙幣BLの搬送状態を判別するようになっている。
鑑別部114では、上述したように、搬送空間114Sの後側に配置した発光センサ144から検知光を出射させ、該搬送空間114Sの前側に配置した受光センサ143によりこれを受光し、その光量に応じた受光信号S11を生成している。このため鑑別部114では、紙幣BLが搬送空間114Sを搬送される場合、該紙幣BLにより検知光の一部が遮断されて残りの一部のみが通過するため、受光センサ143による受光量が低減する。すなわちこのとき鑑別部114では、受光信号S11の信号レベルが低下し、受光電圧S12の値も小さくなる。
また鑑別部114では、搬送される紙幣BLが重送であった場合、単送の場合と比較して、検知光を遮断する度合が高まるため、受光センサ143による受光量がさらに低減する。すなわちこのとき鑑別部114では、受光信号S11の信号レベルがさらに低下し、受光電圧S12の値もさらに小さくなる。このため、単送及び重送の場合それぞれにおける、紙幣BLを搬送させたときの受光電圧S12の値を表す単送受光電圧OV1及び重送受光電圧OV2は、図7と対応する図15に示すように変化する。
この単送受光電圧OV1及び重送受光電圧OV2について、単送検波電圧変動RD1及び重送検波電圧変動RD2(図8)の場合と同様に、期間T2における平均値をそれぞれ算出すると、単送受光電圧平均OVA1及び重送受光電圧平均OVA2が得られる。
ところで紙幣BLは、構成素材である紙の性質上、光の透過率、すなわち検知光を遮断する割合が必ずしも一定では無く、ある程度のばらつきを有している。また紙幣BLでは、流通に伴って損傷の程度が高まる場合や汚れが付着する場合もあるため、光の透過率が変化することも考えられる。すなわち鑑別部114では、電波系に関する単送検波電圧変動平均RDA1及び重送検波電圧変動平均RDA2の場合と同様、紙幣BLを搬送する度に、単送受光電圧平均OVA1及び重送受光電圧平均OVA2の値が何れもばらつくことになる。そこで、この単送受光電圧平均OVA1及び重送受光電圧平均OVA2それぞれについて、受光電圧平均OVAの値を横軸として頻度(すなわち確率密度)を縦軸としたところ、図14と対応する図16に示すような2群の特性曲線(すなわち確率密度分布曲線)が得られた。
因みに図16では、図14の場合と異なり、非搬送時検波電圧RVNに相当する非搬送時受光電圧OVNを基準とした変動値では無く、受光電圧平均OVAの値そのものについての頻度を集計している。このため図16では、単送受光電圧平均OVA1の方が重送受光電圧平均OVA2よりも大きな値となり、図の右側に分布している。
この図16では、図14の場合と同様、単送受光電圧平均OVA1及び重送受光電圧平均OVA2が横軸方向に十分離れている。そこで鑑別部114では、重送受光電圧平均OVA2の分布範囲よりもやや大きい値及び単送受光電圧平均OVA1の分布範囲よりもやや小さい値を、それぞれ閾値OTH1及びOTH2と設定する。これにより鑑別部114では、受光電圧平均OVAが閾値OTH2よりも大きい場合には、明らかに単送と判別でき、また受光電圧平均OVAが閾値OTH1よりも小さい場合には、明らかに重送と判別できる。
因みに鑑別部114では、第1の実施の形態や電波系の場合と同様、紙幣BLの金種ごとに閾値OTH1及びOTH2を予め算出しておき、これをMPU141のメモリ42(図13)に記憶させている。
[2−2−3.搬送状態検知処理]
鑑別部114では、上述した電波系による搬送状態検知処理及び光学系による搬送状態検知処理を組み合わせることにより、紙幣BLの搬送状態(単送又は重送)を総合的に検知するようになっている。以下では、鑑別部114による搬送状態検知処理について、図10と対応する図17のフローチャートを参照しながら説明する。
鑑別部114は、第1の実施の形態と同様、制御部4(図1)から搬送部13により紙幣BLを搬送していること及び該紙幣BLの金種を通知されると、このことをMPU141のCPU41へ通知する。これに応じてCPU41は、紙幣BLが搬送される間、すなわち図7、図8及び図15における期間T1〜T3を含む全期間に渡り、検波電圧S7及び受光電圧S12を順次生成してメモリ42に記憶させていく。
またCPU41は、紙幣BLがアンテナ34の近傍を通過し、図7、図8及び図15における期間T2を終了すると、メモリ42から搬送状態検知プログラムを読み出して実行することにより、搬送状態検知処理手順RT2(図17)を開始してステップSP11へ移る。
ステップSP11においてCPU41は、メモリ42に記憶されている検波電圧S7及び受光電圧S12のうち、紙幣BLが鑑別部14内を搬送された期間に相当する部分を読み出して取得し、次のステップSP12へ移る。ステップSP12においてCPU41は、ステップSP2(図10)と同様、まず検波電圧S7及び非搬送時検波電圧RVNの差分の絶対値を算出することにより、該非搬送時検波電圧RVNを基準とした該検波電圧S7の変動値である検波電圧変動RDを算出する。続いてCPU41は、検波電圧変動RDのうち期間T2(図8)に相当する範囲の平均値である検波電圧変動平均RDAを算出する。さらにCPU41は、受光電圧S12のうち期間T2(図15)に相当する範囲の平均値である受光電圧平均OVAを算出して、次のステップSP13へ移る。
ステップSP13においてCPU41は、搬送された紙幣BLの金種に応じた閾値RTH1、RTH2及びOTH2をメモリ42から読み出し、次のステップSP14へ移る。ステップSP14においてCPU41は、まず検波電圧変動平均RDAが閾値RTH1未満であるか否かを判定する。
ここで肯定結果が得られると、このことは該検波電圧変動平均RDAが単送検波電圧変動平均RDA1(図14)と同等の値であることが判明したため、光学系の搬送状態検知処理を利用するまでも無いことを表している。このときCPU41は、次のステップSP15へ移り、搬送された紙幣BLが単送であると判断し、このことを制御部4(図1)へ通知した後、次のステップSP21へ移って搬送状態検知処理手順RT2を終了する。これに応じて制御部4は、この紙幣BLを出金可能であると判断し、搬送先を集積部16(図1)に決定して搬送させる。
一方、ステップSP14において否定結果が得られると、このことは少なくとも検波電圧変動平均RDAが単送検波電圧変動平均RDA1(図14)と同等の値では無いことを表している。このときCPU41は、次のステップSP16へ移り、検波電圧変動平均RDAが閾値RTH2よりも大きいか否かを判定する。
ここで肯定結果が得られると、このことは該検波電圧変動平均RDAが重送検波電圧変動平均RDA2(図14)と同等の値であることが判明したため、やはり光学系の搬送状態検知処理を利用するまでも無いことを表している。このときCPU41は、次のステップSP17へ移り、搬送された紙幣BLが重送であると判断し、このことを制御部4(図1)へ通知した後、次のステップSP21へ移って搬送状態検知処理手順RT2を終了する。これに応じて制御部4は、この紙幣BLを出金不可能であると判断し、搬送先をリジェクト収納庫17(図1)に決定して搬送させる。
さらに、ステップSP16において否定結果が得られると、このことは検波電圧変動平均RDAが単送検波電圧変動平均RDA1及び重送検波電圧変動平均RDA2の何れからも比較的外れた値であり、電波系の検知処理のみでは搬送状態を判断しかねることを表している。このときCPU41は、次のステップSP18へ移る。
ステップSP18においてCPU41は、受光電圧平均OVAが閾値OTH2よりも大きいか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは該受光電圧平均OVAが単送受光電圧平均OVA1(図16)と同等の値であることを表している。このときCPU41は、次のステップSP19へ移り、ステップSP15の場合と同様、搬送された紙幣BLが単送であると判断し、このことを制御部4(図1)へ通知した後、次のステップSP21へ移って搬送状態検知処理手順RT2を終了する。
一方、ステップSP18において否定結果が得られると、このことは該受光電圧平均OVAが単送受光電圧平均OVA1(図16)とは異なる値であることを表している。このときCPU41は、次のステップSP20へ移り、ステップSP17の場合と同様、搬送された紙幣BLが重送であると判断し、このことを制御部4(図1)へ通知した後、次のステップSP21へ移って搬送状態検知処理手順RT2を終了する。
[2−3.効果等]
以上の構成において、第2の実施の形態による紙幣出金機101の鑑別部114は、第1の実施の形態と同様の構成でなる電波系の各部品に加えて、光学系の各部品、すなわち光学系検知回路142、検知光を出射する発光センサ144及び該検知光を受光する受光センサ143を設けた。このうち発光センサ144及び受光センサ143は、搬送空間114Sを挟んで互いに対向する位置に配置した。
鑑別部114では、搬送空間114Sを紙幣BLが搬送されるときに、検知光の一部を遮るため、受光センサ143により生成する受光信号S11の信号レベルが変化する。また鑑別部114では、紙幣BLの搬送状態(単送又は重送)に応じて、受光信号S11に基づく受光電圧S12の変動度合が相違する(図15)。
また鑑別部114では、紙幣BLが搬送される期間T2(図15)における受光電圧S12の平均値である受光電圧平均OVAについて、単送の場合及び重送の場合それぞれについての度数分布を表す特性曲線が十分に分離する(図16)。このため、鑑別部114では、適切な閾値OTH1又はOTH2を設定し、これを受光電圧平均OVAと比較することにより、搬送された紙幣BLが単送又は重送の何れであるかを精度良く検知することができる。
さらに鑑別部114は、まず電波系の検波電圧S7に基づいた搬送状態検知処理を行い、適切に判別できなかった場合にのみ、光学系の受光電圧S12に基づいた搬送状態検知処理を行うようにした(図17)。これにより鑑別部114は、第1の実施の形態と比較して、搬送状態の検知精度を格段に高めることができる。
またこのとき鑑別部114は、電波系の検波電圧S7に基づいた搬送状態検知処理と、光学系の受光電圧S12に基づいた搬送状態検知処理とを順次行うため、それぞれの搬送状態検知処理において複雑な演算処理を行う必要が無く、CPU41等に対し過大な処理負荷をかけずに済む。
さらに鑑別部114では、単送検波電圧変動平均RDA1及び重送検波電圧変動平均RDA2それぞれについて、検波電圧変動平均RDAの値ごとの頻度を表す特性曲線を生成し、これを基に閾値RTH1及びRTH2を設定した(図14)。このため鑑別部114は、紙幣BLの搬送時に得られた検波電圧変動平均RDAを閾値RTH1及びRTH2と比較することにより、単送であるか、重送であるか、或いはそのどちらとも決定し得ないかを容易に判別することができる。
その他の点においても、鑑別部114は、特に電波系の搬送状態検知処理において、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第2の実施の形態による紙幣出金機101の鑑別部114は、電波系の各部品に加えて、光学系の各部品として光学系検知回路142、発光センサ144及び受光センサ143を設け、搬送空間114Sを挟んで互いに対向する位置に該発光センサ144及び該受光センサ143を配置した。鑑別部114は、まず電波系の検波電圧S7に基づいた搬送状態検知処理を行い、適切に判別できなかった場合にのみ、光学系の受光電圧S12に基づいた搬送状態検知処理を行うため、何れか一方のみを用いる場合と比較して、搬送状態の検知精度を格段に高めることができる。
[3.第3の実施の形態]
第3の実施の形態による紙幣出金機201(図1)は、第1の実施の形態による紙幣出金機1と比較して、鑑別部14に変わる鑑別部214を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
[3−1.鑑別部の構成及び検知信号の生成原理]
鑑別部214は、基本的に、第2の実施の形態における電波系の各部品及び光学系の各部品を、それぞれ2組ずつ組み込んだような構成となっている。具体的に鑑別部214は、図11と対応する図18に模式的な構成を表すように、搬送空間114S、媒体検知基板133及び発光センサ基板139に代えて、搬送空間214S、媒体検知基板233及び発光センサ基板239を有している。
媒体検知基板233は、第2の実施の形態による媒体検知基板133(図11)と比較して、MPU141に代わるMPU241を有する他、電波系に関して、電波系検知回路140と同様に構成された2個の電波系検知回路240L及び240R、並びにアンテナ34と同様に構成された2個のアンテナ234L及び234Rを有している。これを換言すれば、媒体検知基板233は、電波系の検波電圧S7を生成するための各部品を2組有していることになる。
また媒体検知基板233は、光学系に関して、光学系検知回路142と同様に構成された2個の光学系検知回路242L及び242R、並びに受光センサ143と同様に構成された2個の受光センサ243L及び243Rを有している。発光センサ基板239は、発光センサ144と同様に構成された発光センサ244L及び244Rを有している。これを換言すれば、媒体検知基板233は、光学系の受光電圧S12を生成するための各部品を2組有していることになる。
さらに鑑別部214は、図19に模式的な正面図を示すように、幅方向としての左右方向、すなわち搬送空間214Sにおいて紙幣BLを搬送する方向である上方向と交差する方向に関し、中央付近を境界として、左側部分及び右側部分をそれぞれ左検知領域214L及び右検知領域214Rとしている。このうち左検知領域214Lには、少なくともアンテナ234L、受光センサ243L及び発光センサ244Lが配置されている。また右検知領域214Rには、少なくともアンテナ234R、受光センサ243R及び発光センサ244Rが配置されている。因みに金属板36は、図2にも示したように、左検知領域214L及び右検知領域214Rにまたがる広い範囲に渡って設けられている。
左検知領域214Lに配置されたアンテナ234L、受光センサ243L及び発光センサ244Lは、それぞれ第2の実施の形態における媒体検知基板133(図11)と同様に、電波系検知回路240L、光学系検知回路242L及びMPU241と適宜接続されている。このため、MPU241、電波系検知回路240L、アンテナ234L、金属板36、光学系検知回路242L、受光センサ243L及び発光センサ244L(以下これらをまとめて左検知部230Lとも呼ぶ)は、搬送される紙幣BLのうち左側部分を基に、検波電圧S7及び受光電圧S12等を生成することができる。以下では、左検知部230Lにより生成される各種信号やデータ(例えば検波電圧S7及び受光電圧S12等)を、まとめて左検知信号群とも呼ぶ。
これと同様に、右検知領域214Rに配置されたアンテナ234R、受光センサ243R及び発光センサ244Rは、それぞれ第2の実施の形態における媒体検知基板133と同様に、電波系検知回路240R、光学系検知回路242R及びMPU241と適宜接続されている。このため、MPU241、電波系検知回路240R、アンテナ234R、金属板36、光学系検知回路242R、受光センサ243R及び発光センサ244R(以下これらをまとめて右検知部230Rとも呼ぶ)は、搬送される紙幣BLのうち右側部分を基に、検波電圧S7及び受光電圧S12等を生成することができる。以下では、右検知部230Rにより生成される各種信号やデータを、まとめて右検知信号群とも呼ぶ。
因みに鑑別部214では、MPU241に設けられたCPU41の制御により、電波系検知回路240L及び240Rの間で、それぞれのPLL44により高周波信号S1を交互に生成するようになっている。これにより鑑別部214では、電波系検知回路240L及び240Rの間で互いの電磁波が相手に悪影響を及ぼすことを、未然に回避できる。
ところで第3の実施の形態では、搬送空間214Sを上方向へ搬送される紙幣BLに、セキュリティスレッドSTが設けられていることを想定している。セキュリティスレッドSTは、紙幣の長辺方向(すなわち搬送空間214S内における左右方向)に関して、中央からやや外れた左右の何れか一方にのみ設けられている。このセキュリティスレッドSTは、例えば薄い金属や所定の樹脂製フィルム等、紙幣BLにおける他の部分を構成する材料(例えば紙)とは異なる材料の部材が埋め込まれた構成となっている。
このため鑑別部214では、例えばアンテナ234Lの近傍を紙幣BLのセキュリティスレッドSTが通過した場合、左検知部230Lにより生成される検波電圧S7及び受光電圧S12は、該アンテナ234Lの近傍を紙幣BLにおける他の部分が通過した場合と相違することになる。すなわち、例えば紙幣BLが単送の場合であっても、検波電圧変動RDが単送検波電圧変動RD1(図8)から外れた波形を描くように変化し、また検波電圧変動平均RDAの値も単送検波電圧変動平均RDA1(図8)と異なる値になる。
このようにセキュリティスレッドSTは、左検知部230L及び右検知部230Rにおいて、紙幣BLにおける他の部分とは異なる反応を引き起こすことになる。そこで以下では、セキュリティスレッドSTを異反応部とも呼ぶ。
しかしながら上述したように、セキュリティスレッドSTは紙幣BLに対し1箇所のみ設けられており、搬送空間214S内では左右のいずれかにのみ存在する。そこで鑑別部214では、左検知部230L及び右検知部230Rのうち、紙幣BLのセキュリティスレッドSTが存在しない方から得られた検知信号群を用いるものとした。これにより鑑別部214では、セキュリティスレッドSTの影響を受けること無く、第2の実施の形態による鑑別部114と同様に、紙幣BLの搬送状態を高精度に判別することが可能となる。
このため鑑別部214では、MPU241のCPU41(図13)により、搬送状態検知処理に先立ち、搬送空間214Sを搬送される紙幣BLにおいてセキュリティスレッドSTが左検知領域214L及び右検知領域214Rの何れに存在するかを判別するセキュリティスレッド位置判別処理を行うものとした。
具体的にCPU41は、このセキュリティスレッド位置判別処理において、左検知部230L及び右検知部230Rからそれぞれ得られる受光電圧S12の標準偏差を算出し、それぞれ左受光電圧標準偏差OVVL及び右受光電圧標準偏差OVVRとする。受光電圧S12は、セキュリティスレッドSTがある場合、該セキュリティスレッドSTがない場合と比較して、非搬送時受光電圧OVN(図15)からの変動幅が大きくなり、標準偏差がより大きな値となる。
そこでMPU241は、左受光電圧標準偏差OVVL及び右受光電圧標準偏差OVVRを比較し、その値が大きい方と対応する検知領域(すなわち左検知領域214L又は右検知領域214R)にセキュリティスレッドSTがあるものと判断する。そのうえでMPU241は、セキュリティスレッドSTが無いと判断した方の検知領域から得られた検知信号群(左検知信号群又は右検知信号群)を用いて、搬送状態検知処理を行う。
なお説明の都合上、以下では左検知領域214L及び右検知領域214Rのうち、紙幣BLのセキュリティスレッドST(すなわち異反応部)が存在する方を異反応検知領域とも呼ぶ。
[3−2.搬送状態検知処理手順]
次に、鑑別部214における紙幣BLの搬送状態検知処理について、図10及び図17と対応する図20のフローチャートを参照しながら説明する。
鑑別部214は、第1及び第2の実施の形態と同様、制御部4(図1)から搬送部13により紙幣BLを搬送していることおよび該紙幣BLの金種を通知されると、このことをMPU241のCPU41(図13)へ通知する。これに応じてCPU41は、紙幣BLが搬送される間、すなわち図7、図8及び図15における期間T1〜T3を含む全期間に渡り、左検知部230L及び右検知部230Rそれぞれにより検波電圧S7及び受光電圧S12を順次生成してメモリ42に記憶させていく。
またCPU41は、紙幣BLがアンテナ234L及び234Rの近傍を通過し、図7、図8及び図15における期間T2を終了すると、メモリ42から搬送状態検知プログラムを読み出して実行することにより、搬送状態検知処理手順RT3(図20)を開始してステップSP31へ移る。
ステップSP31においてCPU41は、まずセキュリティスレッド位置判別処理を開始する。具体的にCPU41は、メモリ42に記憶されている左検知信号群及び右検知信号群それぞれの受光電圧S12のうち、紙幣BLが鑑別部14内を搬送された期間(すなわち図15の期間T2)に相当する部分をそれぞれ読み出して取得し、次のステップSP32へ移る。ステップSP32においてCPU41は、左検知信号群及び右検知信号群それぞれの受光電圧S12を基に、左受光電圧標準偏差OVVL及び右受光電圧標準偏差OVVRをそれぞれ算出し、次のステップSP33へ移る。
ステップSP33においてCPU41は、左受光電圧標準偏差OVVLが右受光電圧標準偏差OVVRよりも小さいか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは紙幣BLの右側にセキュリティスレッドSTが存在すると判断し得ることを表している。このときCPU41は、次のステップSP34へ移り、以降の搬送状態検知処理において左検知部230Lから得られた左検知信号群を採用することを決定し、次のステップSP36へ移る。
一方、ステップSP33において否定結果が得られると、このことは紙幣BLの左側にセキュリティスレッドSTが存在すると判断し得ることを表している。このときCPU41は、次のステップSP35へ移り、以降の搬送状態検知処理において右検知部230Rから得られた右検知信号群を採用することを決定し、次のステップSP36へ移る。
続いてCPU41は、ステップSP36〜ステップSP45において、採用した検知信号群を用いて、第2の実施の形態における搬送状態検知処理手順RT2(図17)のステップSP11〜ステップSP20と同様の処理を行う。ただしCPU41は、ステップSP31において受光電圧S12を既に読み出しているため、ステップSP36において検波電圧S7のみをメモリ42から読み出して取得する。その後CPU41は、ステップSP46へ移り、搬送状態検知処理手順RT3を終了する。
[3−3.効果等]
以上の構成において、第3の実施の形態による紙幣出金機201の鑑別部214は、第2の実施の形態による鑑別部114(図11)における電波系及び光学系の各部品を2系統ずつ設けた。また鑑別部214は、アンテナ234L及び234Rや受光センサ243L及び243R等を左検知領域214L及び右検知領域214Rに振り分けて配置し、左検知部230L及び右検知部230Rを構成した(図19)。
そのうえで鑑別部214におけるMPU241(図18)のCPU41(図13)は、まずセキュリティスレッド位置判別処理を行うことにより紙幣BLのセキュリティスレッドSTが左右の何れに位置するかを判断し、次に該セキュリティスレッドSTが位置しない方の検知信号群を用いて搬送状態検知処理を行うようにした(図20)。
このため鑑別部214は、紙幣BLにセキュリティスレッドSTが設けられていたとしても(図19)、該セキュリティスレッドSTの影響が及んでいない方の検波電圧S7や受光電圧S12を基に搬送状態検知処理を行い得るため、該紙幣BLの搬送状態(単送又は重送)を極めて高い精度で検知できる。
また鑑別部214は、セキュリティスレッド位置判別処理において、左右それぞれの受光電圧S12に基づいた標準偏差である左受光電圧標準偏差OVVL及び右受光電圧標準偏差OVVRの比較結果を基に、セキュリティスレッドSTの位置を判別するようにした(ステップSP33〜SP35)。
このため鑑別部214は、例えば紙幣BLが全体的に汚れており検知光の透過率が低下していた場合や、搬送方向である上方向に対して紙幣BLの短辺が傾いているためにセキュリティスレッドSTが検知光を短い期間のみ遮った場合であっても、該セキュリティスレッドSTが左右の何れに位置するかを極めて精度良く判別できる。
さらに鑑別部214は、その他の点においても、第2の実施の形態による鑑別部114と同様の作用効果を奏し得る。
以上の構成によれば、第3の実施の形態による紙幣出金機201の鑑別部214は、電波系及び光学系の部材をそれぞれ2系統設けると共に、アンテナ234L及び234R等を左検知領域214L及び右検知領域214Rに振り分けて配置し、左検知部230L及び右検知部230Rを構成した。鑑別部214のCPU41は、セキュリティスレッド位置判別処理を行うことにより紙幣BLのセキュリティスレッドSTが左右の何れに位置するかを判断し、該セキュリティスレッドSTが位置しない方から得られた検知信号群を用いて搬送状態検知処理を行う。このため鑑別部214は、セキュリティスレッドSTによる影響を受けること無く、紙幣BLの搬送状態(単送又は重送)を極めて高い精度で検知することができる。
[4.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、PLL44、アンテナ34及び低雑音増幅器47の間に方向性結合器45を接続する場合について述べた(図4)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図4と対応する図21に示す媒体検知回路340のように、PLL44、アンテナ34及び低雑音増幅器47の間に、信号分配器345のような種々の信号入出力機器を接続しても良い。この信号入出力機器としては、PLL44から入力される信号の一部をアンテナ34へ出力し、また残りの一部を低雑音増幅器47へ出力すると共に、アンテナ34及び金属板36(図2)の間に形成される電磁結合が変化した場合に、その変化の度合に応じて低雑音増幅器47へ出力される信号の電力を変化させることができれば良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
また上述した第1の実施の形態においては、搬送空間14Sにおけるアンテナ34と対向する位置に金属板36を配置することにより、該アンテナ34及び該金属板36の間に電磁結合を形成させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば金属板36の代わりに、高周波信号S2の搬送周波数に対応する特性を有する第2のアンテナ等、種々の導電体を配置しても良い。この導電体としては、アンテナ34から放射される電磁波により該アンテナ34との間に電磁結合を形成できるものであれば良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、基板背面カバー35(図1)を樹脂材料により構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば該基板背面カバー35を金属材料により構成しても良い。この場合、外部から媒体検知基板33に到達しようとする電磁波を遮蔽することができるので、アンテナ34及び金属板36の間に形成する電磁結合にこの電磁波が悪影響を及ぼすことを回避できる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、単送の場合よりも重送の場合の方が、検波電圧RVの値が大きくなる周波数f3(図9)の高周波信号S1をPLL44から方向性結合器45へ供給させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば単送の場合よりも重送の場合の方が、検波電圧RVの値が小さくなる周波数f4(図9)の高周波信号S1をPLL44から方向性結合器45へ供給させても良い。要は、単送の場合及び重送の場合で、検波電圧RVの値に有意な差異が生じ、適切な閾値RTHを設定することにより単送又は重送を明確に区別できるような周波数であれば良い。また搬送周波数としては、紙幣BLの搬送時に検波電圧RV(図7)が非搬送時検波電圧RVNよりも上昇するものであっても良い。さらに周波数の範囲としては、例えば一般に電波と定義される3[THz]以下の電磁波であって、アンテナ34及び金属板36の間で電磁結合を構成し得る範囲であれば良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、検波電圧変動平均RDAを閾値RTHと比較した結果に応じて紙幣BLの搬送状態を判断する場合について述べた(図8)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば検波電圧変動RDのモデル波形を作成しておき、このモデル波形に対する相関値の大きさを基に搬送状態を判断する等、期間T2における検波電圧S7の値(図7)を利用した種々の演算処理により搬送状態を判断しても良い。第2及び第3の実施の形態における電波系の搬送状態検知処理についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、予め紙幣BLの金種ごとに最適な閾値RTHを算出してメモリ42に記憶させておき、搬送空間14Sを搬送された紙幣BLの金種に応じた閾値RTHを該メモリ42から読み出して搬送状態検知処理を行う場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば金種ごとの閾値RTHにおける差異が比較的小さい場合等に、全金種で共通の閾値RTHを用いて搬送状態検知処理を行うようにしても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、制御部4からの通知を基に紙幣BLの金種を取得する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば鑑別部14に画像センサ等のセンサを設け、このセンサによって得られた検知結果を基に金種を判別し、判別された金種に応じた閾値RTHをメモリ42から読み出しても良い。要は、鑑別部14以外から通知される種々の情報、或いは鑑別部14自らが行った判別の結果等、種々の手段により紙幣BLの金種を知得しても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、2枚以上の紙幣BLが重ねて搬送される状態を重送と定義し、搬送空間14Sを搬送される媒体が単送又は重送の何れであるかを判断する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば搬送空間14Sを搬送される紙幣BLの枚数が1枚、2枚又は3枚以上といった3通りのうち何れであるかを判断しても良い。この場合、1枚及び2枚を区別するための閾値と、2枚及び3枚を区別するための閾値をそれぞれ設ければ良い。さらには、紙幣BLの枚数が4通り以上のうち何れであるかを判断しても良い。第2及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第2の実施の形態においては、電波系の搬送状態検知処理を先に行い、搬送状態を判断できなかった場合に、光学系の搬送状態検知処理を後から行う場合について述べた(図17)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば光学系の搬送状態検知処理を先に行い、受光電圧平均OVAが閾値OTH1及びOTH2の間であった場合等(図16)、搬送状態を判断できなかった場合に、電波系の搬送状態検知処理を後から行っても良い。この場合、電波系の搬送状態検知処理では閾値RTH1のみを用いることにより、搬送状態の判断が困難である場合も重送と見なし、紙幣BLをリジェクト収納庫17(図1)へ搬送させることにより、明らかに単送であると判断できた紙幣BLのみを出金することができる。要は、検波信号S6に基づく検波電圧S7及び受光信号S11に基づく受光電圧S12のうち、何れか一方を基に搬送状態の判別を試み、判別できなかった場合に他方を基に搬送状態を判別すれば良い。第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第2の実施の形態においては、電波系の検波電圧S7に基づいた搬送状態検知処理及び光学系の受光電圧S12に基づいた搬送状態検知処理を順次行う場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば検波電圧S7及び受光電圧S12の重み付け平均値を算出し、この重み付け平均値を所定の閾値と比較することにより搬送状態を判断する等、検波電圧S7及び受光電圧S12を組み合わせて種々の演算処理を行った上で搬送状態を判断しても良い。第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第2の実施の形態においては、検波電圧変動平均RDAの頻度分布(すなわち確率密度)を算出した上で2個の閾値RTH1及びRTH2を設定する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば第1の実施の形態と同様、単送検波電圧変動平均RDA1及び重送検波電圧変動平均RDA2(図8)の値を基に2個の閾値RTH1及びRTH2を設定しても良い。受光電圧平均OVA(図15及び図16)についても同様であり、また第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第2の実施の形態においては、搬送状態検知処理(図17)において、予めステップSP12及び13において光学系の受光電圧平均OVAの算出や閾値OTH2の読出を行ってから、ステップSP14以降の判断処理を行う場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばステップSP16において否定結果が得られてから、光学系の受光電圧平均OVAの算出や閾値OTH2の読出を行うようにしても良い。これにより、電波系の値を用いた判断処理のみにより搬送状態を検知し得る場合における、光学系に関する不要な演算処理の実行を省略できる。第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第2の実施の形態においては、MPU141のCPU41(図13)により搬送状態検知処理手順RT2(図17)を実行する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばCPU41がメモリ42から搬送状態検知プログラムを読み出して実行することにより、MPU141内に機能ブロックとして搬送状態検知処理部153(図13)を構成した上で、該搬送状態検知処理部153により搬送状態検知処理手順RT2を実行しても良い。或いは、MPU141内にハードウェアによる該搬送状態検知処理部153を設けても良い。第1及び第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第2の実施の形態においては、搬送空間114Sを挟んで媒体検知基板133と反対側に発光センサ基板139を配置し、該発光センサ基板139に発光センサ144を設ける場合について述べた(図11)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば搬送空間114Sを挟んで媒体検知基板133と反対側にミラーやプリズム等の光学素子を配置し、該媒体検知基板133に発光センサ144を設けても良い。この場合、発光センサ144から後方へ向けて検知光を出射させ、搬送空間114Sの後側においてミラー又はプリズムによりその進行方向を前方に変換させてから、受光センサ143に受光させれば良い。これにより、搬送空間114Sの後側に必要な空間を縮小でき、鑑別部114や紙幣出金機101の小型化に寄与することができる。第3の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第3の実施の形態においては、電波系検知回路240L及び240Rの間で、それぞれのPLL44により高周波信号S1を交互に生成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば電波系検知回路240L及び240RそれぞれのPLL44により高周波信号S1を同時に生成しても良い。この場合、アンテナ34の特性や配置等を適切に定めることにより、互いに影響を及ぼさないことが望ましい。
さらに上述した第3の実施の形態においては、電波系検知回路240L及び240RそれぞれにPLL44(図12)を設ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば電波系検知回路240L及び240RからPLL44を省略し、媒体検知基板233(図18)に1個のPLL44を設け、このPLL44から電波系検知回路240L及び240Rに対し時分割により高周波信号S1を交互に供給しても良い。また、PLL44において、周波数が異なる複数種類の高周波信号を切り替えながら生成し、これらを電波系検知回路240L及び240Rに交互に供給しても良い。
さらに上述した第3の実施の形態においては、セキュリティスレッド位置判別処理において、光学系の受光電圧S12における標準偏差を用いてセキュリティスレッドSTの位置を判別する場合について述べた(図20、ステップSP31〜SP35)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば電波系の検波電圧S7における標準偏差を用いてセキュリティスレッドSTの位置を判別しても良い。またセキュリティスレッド位置判別処理においては、標準偏差に限らず、検波電圧S7を基に算出される種々の値を用いて、セキュリティスレッドSTの位置を判別しても良い。
さらに上述した第3の実施の形態においては、セキュリティスレッド位置判別処理によりセキュリティスレッドSTが位置しないと判断された方の検知領域から得られた検知信号群のみを用いて搬送状態の検知処理を行う場合について述べた(図20)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばセキュリティスレッド位置判別処理の結果に応じて左検知信号群及び右検知信号群それぞれに対する重み付け係数を決定し、左右それぞれの検波電圧S7等にこの重み付け係数を乗じて加算した値、すなわち重み付け平均値を用いる等、双方の検知領域から得られた検波電圧S7等を組み合わせることにより、搬送状態の検知処理を行っても良い。
さらに上述した第3の実施の形態においては、鑑別部214の左検知部230L及び右検知部230Rそれぞれに、電波系の各部品及び光学系の各部品を設ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば左検知部230L及び右検知部230Rそれぞれに、電波系の各部品のみを設けても良い。この場合、鑑別部214では、上述した場合と同様、検波電圧S7を用いてセキュリティスレッド位置判別処理を行えば良く、またこのセキュリティスレッド位置判別処理の終了後に、第1の実施の形態と同様の搬送状態検知処理(図10)を行えば良い。
さらに上述した第3の実施の形態においては、鑑別部214の搬送空間214Sを左右方向に2分割して左検知領域214L及び右検知領域214Rとし、各検知領域に電波系及び光学系の各部品を配置する場合について述べた(図19)。しかしながら本発明はこれに限らず、搬送空間214Sを左右方向に3以上の検知領域に分割し、各検知領域に電波系及び光学系の各部品を配置しても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、利用者の操作に応じて媒体としての紙幣BLを出金する紙幣出金機1において、該紙幣の搬送状態を検知する鑑別部14に本発明を適用する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば証券や金券等、種々の紙葉状の媒体を取り扱う種々の装置において、搬送される媒体の搬送状態を検知する鑑別部に本発明を適用しても良い。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した第1の実施の形態においては、搬送部としての搬送ベルト38及び搬送ベアリング37と、高周波信号生成部としてのPLL44と、信号入出力部としての方向性結合器45と、アンテナとしてのアンテナ34と、導電体としての金属板36と、検波部としての検波器49と、判別部としてのCPU41とによって媒体検知装置としての鑑別部14を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる搬送部と、高周波信号生成部と、信号入出力部と、アンテナと、導電体と、検波部と、判別部とによって媒体検知装置を構成しても良い。
本発明は、例えば利用者に指示された金額の紙幣を出金する紙幣出金機で利用できる。
1、101、201……紙幣出金機、4……制御部、10……収納筐体、10B……収納筐体後面部、11……紙幣カセット、13……搬送部、14、114、214……鑑別部、14S、114S、214S……搬送空間、16……集積部、17……リジェクト収納庫、26……出金口、31……搬送ガイド、33、133、233……媒体検知基板、34、234L、234R……アンテナ、35……基板背面カバー、36……金属板、37……搬送ベアリング、38……搬送ベルト、40……媒体検知回路、41……CPU、42……メモリ、45……方向性結合器、45A、45B、45C、45D……端子、47……低雑音増幅器、48……帯域通過フィルタ、49……検波器、50……AD変換器、139、239……発光センサ基板、140……電波系検知回路、141、241……MPU、142……光学系検知回路、143、243L、243R……受光センサ、144、244L、244R……発光センサ、214L……左検知領域、214R……右検知領域、230L……左検知部、230R……右検知部、240L、240R……電波系検知回路、242L、242R……光学系検知回路、BL……紙幣、ST……セキュリティスレッド、RV……検波電圧、RV1……単送検波電圧、RV2……重送検波電圧、RVN……非搬送時検波電圧、RD……検波電圧変動、RD1……単送検波電圧変動、RD2……重送検波電圧変動、RDA……検波電圧変動平均、RDA1……単送検波電圧変動平均、RDA2……重送検波電圧変動平均、OV1……単送受光電圧、OV2……重送受光電圧、OVN……非搬送時受光電圧、OVA……受光電圧平均、OVA1……単送受光電圧平均、OVA2……重送受光電圧平均、OVVL……左受光電圧標準偏差、OVVR……右受光電圧標準偏差、RTH、RTH1、RTH2、OTH1、OTH2……閾値、S1、S2、S3、S4、S5……高周波信号、S6……検波信号、S7……検波電圧、S11……受光信号、S12……受光電圧、W……紙幣束、f1、f2、f3、f4……周波数。

Claims (18)

  1. 紙葉状の媒体が搬送される搬送路と、
    前記搬送路を形成し、前記媒体の紙面に沿って案内する搬送ガイドと、
    前記搬送ガイドの一部であり、搬送される前記媒体の一面側と対向し、該媒体に対して所定の電磁波を放射するアンテナが設けられる基板設置ガイドと、
    前記搬送ガイドの一部であり、搬送される前記媒体の他面側と対向し、前記アンテナから放射される電磁波により該アンテナとの間で電磁結合を形成する導電体ガイドと、
    前記基板設置ガイド及び前記導電体ガイドの間を通過する前記媒体の搬送状態を判別する判別部と
    を具えることを特徴とする媒体検知装置。
  2. 紙葉状の媒体を搬送路に沿って搬送方向へ搬送する搬送部と、
    所定の搬送周波数を有する高周波信号を生成する高周波信号生成部と、
    前記高周波信号生成部から前記高周波信号の入力を受け、該高周波信号の一部を第1の端子から第1の出力信号として出力すると共に、該高周波信号における他の一部を第2の端子から第2の出力信号として出力する信号入出力部と、
    前記搬送周波数に対応する特性を有し、前記第1の出力信号に基づく電磁波を前記搬送路に向けて放射するアンテナと、
    導電性を有し、前記搬送路を挟んで前記アンテナと対向する位置に配置され、該アンテナから放射される前記電磁波により該アンテナとの間で電磁結合を形成する導電体と、
    前記第2の出力信号における電力の大きさを表す検波信号を生成する検波部と、
    前記アンテナ及び前記導電体の間を前記媒体が通過したときの前記検波信号を基に、前記媒体の搬送状態を判別する判別部と
    を具えることを特徴とする媒体検知装置。
  3. 前記媒体検知装置は、互いに接続された前記信号入出力部、前記アンテナ及び前記検波部を複数組有することにより、複数の前記検波信号を生成し、
    複数の前記アンテナは、前記搬送方向と交差する幅方向に関して前記搬送路を複数に分割してなる複数の検知領域にそれぞれ配置され、
    前記判別部は、複数の前記検波信号のうち少なくとも1つを基に、前記媒体の搬送状態を判別する
    ことを特徴とする請求項2に記載の媒体検知装置。
  4. 前記高周波信号生成部は、複数の前記信号入出力部に対し、周波数が異なる複数種類の前記高周波信号を切り替えてそれぞれ供給する
    ことを特徴とする請求項3に記載の媒体検知装置。
  5. 前記判別部は、複数の前記検波信号の重み付け平均値を基に、前記媒体の搬送状態を判別する
    ことを特徴とする請求項3に記載の媒体検知装置。
  6. 前記搬送路に向けて検知光を発光する発光部と、
    前記搬送路を挟んで前記発光部と対向する位置に配置され、前記検知光を受光し、受光した光量の大きさに応じた受光信号を生成する受光部と
    をさらに具え、
    前記判別部は、
    前記アンテナ及び前記導電体の間を前記媒体が通過したときの前記検波信号、並びに前記発光部及び前記受光部の間を該媒体が通過したときの前記受光信号を基に、前記媒体の搬送状態を判別する
    ことを特徴とする請求項2に記載の媒体検知装置。
  7. 前記判別部は、前記検波信号及び前記受光信号のうち何れか一方の信号を基に前記媒体における搬送状態の判別を試み、該媒体の搬送状態を判別できなかった場合に、他方の信号を基に前記媒体の搬送状態を判別する
    ことを特徴とする請求項6に記載の媒体検知装置。
  8. 前記判別部は、前記アンテナ及び前記導電体の間を前記媒体が通過する期間における前記検波信号又は前記受光信号の平均値が所定の第1閾値及び第2閾値の間であった場合に、該媒体の搬送状態を判別できなかったものとする
    ことを特徴とする請求項7に記載の媒体検知装置。
  9. 前記判別部は、前記検波信号を基に得られる値及び前記受光信号を基に得られる値の重み付け平均値を基に、前記媒体の搬送状態を判別する
    ことを特徴とする請求項6に記載の媒体検知装置。
  10. 前記媒体検知装置は、互いに接続された前記信号入出力部、前記アンテナ及び前記検波部と、互いに対応する前記発光部及び前記受光部とを、それぞれ複数組有することにより、複数の前記検波信号及び複数の前記受光信号をそれぞれ生成し、
    複数の前記アンテナは、前記搬送路を前記幅方向に関して複数に分割してなる複数の検知領域にそれぞれ配置され、
    複数の前記発光部及び前記受光部は、複数の前記検知領域にそれぞれ配置され、
    前記判別部は、前記検波信号及び前記受光信号のうち少なくとも一方を基に、前記媒体
    に含まれ前記電磁波及び前記検知光のうち少なくとも一方に対する反応が周囲と異なる異反応部が位置する前記検知領域である異反応検知領域を判別し、該異反応検知領域又は他の前記検知領域から得られた、前記検波信号及び前記受光信号のうち少なくとも一方を基に、前記媒体の搬送状態を判別する
    ことを特徴とする請求項6に記載の媒体検知装置。
  11. 前記判別部は、前記検波信号及び前記受光信号のうち少なくとも一方における標準偏差を基に、前記異反応検知領域を判別する
    ことを特徴とする請求項10に記載の媒体検知装置。
  12. 前記判別部は、前記異反応検知領域から得られた前記検波信号及び前記受光信号のうち少なくとも一方の値と、前記異反応検知領域以外の前記検知領域から得られた前記検波信号及び前記受光信号のうち少なくとも一方の値との、重み付け平均値を基に、前記媒体の搬送状態を判別する
    ことを特徴とする請求項10に記載の媒体検知装置。
  13. 前記判別部は、前記アンテナ及び前記導電体の間を前記媒体が通過する期間における前記検波信号の平均値と所定の閾値との比較結果を基に、前記媒体の搬送状態を判別する
    ことを特徴とする請求項2に記載の媒体検知装置。
  14. 前記搬送部は、複数種類の前記媒体を搬送し、
    前記判別部は、前記媒体の種類を知得し、知得した該媒体の種類に応じて、該媒体の搬送状態を判別する場合に用いる判別基準を切り替える
    ことを特徴とする請求項2に記載の媒体検知装置。
  15. 前記判別部は、前記搬送部による前記媒体の搬送状態として、1枚の前記媒体が搬送される単送か、又は2枚以上の前記媒体が重ねられて搬送される重送かを判別する
    ことを特徴とする請求項2に記載の媒体検知装置。
  16. 前記高周波信号生成部は、前記搬送周波数が異なる複数種類の前記高周波信号を切り替えて前記信号入出力部に供給する
    ことを特徴とする請求項2に記載の媒体検知装置。
  17. 前記導電体は、前記搬送周波数に対応する特性を有する第2のアンテナである
    ことを特徴とする請求項2記載の媒体検知装置。
  18. 紙葉状の媒体を収納する媒体収納庫と、
    前記媒体収納庫から繰り出された前記媒体を搬送する搬送部と、
    前記搬送部により搬送される前記媒体の搬送状態を鑑別する鑑別部と、
    前記搬送状態を基に引渡可能と鑑別された前記媒体を集積する集積部と、
    前記鑑別部により引渡不可能と鑑別された前記媒体を収納するリジェクト収納庫と、
    前記集積部により集積された前記媒体を利用者に引き渡す引渡部と
    を具え、
    前記鑑別部は、
    前記媒体を搬送路に沿って搬送方向へ搬送する鑑別搬送部と、
    所定の搬送周波数を有する高周波信号を生成する高周波信号生成部と、
    前記高周波信号生成部から前記高周波信号の入力を受け、該高周波信号の一部を第1の端子から第1の出力信号として出力すると共に、該高周波信号における他の一部を第2の端子から第2の出力信号として出力する信号入出力部と、
    前記搬送周波数に対応する特性を有し、前記第1の出力信号に基づく電磁波を前記搬送路に向けて放射するアンテナと、
    導電性を有し、前記搬送路を挟んで前記アンテナと対向する位置に配置され、該アンテナから放射される前記電磁波により該アンテナとの間で電磁結合を形成する導電体と、
    前記第2の出力信号における電力の大きさを表す検波信号を生成する検波部と、
    前記アンテナ及び前記導電体の間を前記媒体が通過したときの前記検波信号を基に、前記媒体の搬送状態を判別する判別部と
    を具えることを特徴とする媒体処理装置。
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