JP2017147398A - キャパシタ - Google Patents
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Abstract
【課題】耐湿性に優れ、かつ、静電容量の向上を図ることができるキャパシタ及びその製造方法を提供すること。【解決手段】キャパシタ1は、固体電解質を含む複数の固体電解質層31と複数の内部電極40とが交互に積層されてなる基体2と、基体2に設けられた複数の外部電極50と、を備えている。複数の内部電極40は、固体電解質層31を介して対向するように配置された第1内部電極41及び第2内部電極42を含んでいる。複数の外部電極50は、第1内部電極41と電気的に接続された第1外部電極51と、第2内部電極42と電気的に接続された第2外部電極52と、を含んでいる。第1外部電極51及び第2外部電極52は、固体電解質と金属とを含んでおり、かつ、固体電解質層31に接するように配置された複合層512、522と、複合層512、522を被覆するように配置された金属層511、521と、を有する。【選択図】図2
Description
本発明は、キャパシタに関する。
従来、電解質材料を用いた、電荷を蓄えたり放出したりするキャパシタが知られている。例えば、特許文献1には、イオン伝導性を有する固体電解質を含む複数の固体電解質層と複数の内部電極とが交互に積層されてなる基体と、基体の側面に設けられた一対の外部電極とを備えたキャパシタが開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に開示されたキャパシタは、基体と外部電極との界面、具合的には固体電解質層(固体電解質)と外部電極(金属)との界面に生じる微小なクラックを介して、外部から基体内部に水分が侵入することがある。固体電解質層は耐湿性が低いため、水分の侵入によって特性劣化(静電容量の低下)を招くおそれがある。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、耐湿性に優れ、かつ、静電容量の向上を図ることができるキャパシタ及びその製造方法を提供する。
本発明の一の態様であるキャパシタは、固体電解質を含む複数の固体電解質層と複数の内部電極とが交互に積層されてなる基体と、基体に設けられた複数の外部電極と、を備えたキャパシタであって、複数の内部電極は、固体電解質層を介して対向するように配置された第1内部電極及び第2内部電極を含んでおり、複数の外部電極は、第1内部電極と電気的に接続された第1外部電極と、第2内部電極と電気的に接続されると共に基体を介して第1外部電極と対向するように配置された第2外部電極と、を含んでおり、第1外部電極及び第2外部電極の少なくとも一方は、固体電解質と金属とを含んでおり、かつ、固体電解質層に接するように配置された複合層と、複合層を被覆するように配置された金属層と、を有する。
上記キャパシタは、外部電極(第1外部電極及び第2外部電極の少なくとも一方)に、固体電解質と金属とを含む複合材料により構成され、基体の固体電解質層に接するように配置された複合層が設けられている。そのため、基体の固体電解質層と外部電極の複合層との間は、固体電解質と金属との界面が入り組んだ構造となる。
これにより、水分が外部から固体電解質と金属との界面を伝って基体内部(具体的には、電荷を蓄えたり放出したりするキャパシタ機能を発揮する部分)に侵入することを抑制できる。よって、耐湿性を向上させることができると共に、水分の侵入による静電容量の低下を抑制できる。
また、外部電極は、内側(基体側)に複合層を設け、外側に複合層を被覆するように金属層を設けている。そのため、外部からの水分の侵入を抑制しやすい構成となっており、耐湿性をより一層高めることができる。また、外部電極に設けた複合層は、静電容量として寄与するため、静電容量の向上を図ることができる。
上記キャパシタにおいて、基体は、複数の固体電解質層と複数の内部電極とが積層される積層方向の両端面である第1端面及び第2端面と、第1端面と第2端面との間に形成された側面と、を有し、基体の第1端面及び第2端面は、固体電解質層により形成され、第1外部電極は、側面の一部と第1端面の一部とを一体的に被覆しており、第2外部電極は、側面の一部と第2端面の一部とを一体的に被覆しており、第1外部電極に被覆される第1端面の一部は、第1端面の面積のうち50%以上の面積であり、第2外部電極に被覆される第2端面の一部は、第2端面の面積のうち50%以上の面積であってもよい。この場合には、基体の第1端面及び第2端面の一部が第1外部電極及び第2外部電極によって被覆されていることにより、耐湿性向上効果及び静電容量向上効果をさらに高めることができる。
また、基体の第1端面を形成する固体電解質層を介して第1外部電極の一部と第2内部電極とが対向するように配置されていると共に、基体の第2端面を形成する固体電解質層を介して第2外部電極の一部と第1内部電極とが対向するように配置されていてもよい。この場合には、基体の第1端面及び第2端面を形成する固体電解質層の領域でもキャパシタ機能を発揮し、静電容量が発現するため、静電容量の向上を図ることができる。
また、基体は、複数の固体電解質層と複数の内部電極とが積層される積層方向の両端面である第1端面及び第2端面と、第1端面と第2端面との間に形成された側面と、を有し、基体の第1端面及び第2端面は、共に100μm以上の厚みを有する固体電解質層により形成されていてもよい。この場合には、基体の第1端面及び第2端面を形成する固体電解質層によって基体内部(具体的にはキャパシタ機能を発揮する部分)への水分の侵入を抑制できる。これにより、耐湿性を向上させることができ、水分の侵入による静電容量の低下を抑制できる。
また、固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有する金属酸化物を含んでおり、複合層に含まれる金属及び金属層は、ニッケルを含んでいてもよい。この場合には、製造工程における焼成時に、固体電解質(例えばリチウムイオン伝導性酸化物)と金属(ニッケル)との反応を抑制できる。これにより、キャパシタの一部又は全部を同時焼成により作製することが容易となる。
また、外部電極(第1外部電極、第2外部電極)の複合層における金属の含有量は、20体積%以上であることが好ましく、30体積%以上であることがより好ましい。この場合には、耐湿性向上効果及び静電容量向上効果を十分に得ることができる。一方、複合層における金属の含有量が50体積%を超える場合には、固体電解質よりも比重が大きい金属の含有量が多くなることによるキャパシタの重量増加のおそれ、それに伴う静電容量の低下(単位重量当たりの静電容量)を招くおそれがある。したがって、複合層における金属の含有量は、50体積%以下であることが好ましい。
本発明の他の態様であるキャパシタの製造方法は、上記キャパシタの製造方法であって、固体電解質層となる固体電解質シートと内部電極となる内部電極ペースト層とが交互に積層された、基体となる積層体を準備する工程と、積層体に固体電解質と金属とを含む複合ペーストを塗布して複合層となる複合ペースト層を形成し、複合ペースト層の表面に金属ペーストを塗布して金属層となる金属ペースト層を形成する工程と、複合ペースト層及び金属ペースト層を形成した積層体を焼成する工程と、を有する。
上記キャパシタの製造方法によれば、上述したキャパシタ、すなわち耐湿性に優れ、かつ、静電容量の向上を図ることができるキャパシタを容易に製造することができる。
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(実施形態1)
図1、図2に示すように、本実施形態のキャパシタ1は、固体電解質を含む複数の固体電解質層31と複数の内部電極40とが交互に積層されてなる基体2と、基体2に設けられた複数の外部電極50と、を備えている。
(実施形態1)
図1、図2に示すように、本実施形態のキャパシタ1は、固体電解質を含む複数の固体電解質層31と複数の内部電極40とが交互に積層されてなる基体2と、基体2に設けられた複数の外部電極50と、を備えている。
複数の内部電極40は、固体電解質層31を介して対向するように配置された第1内部電極41及び第2内部電極42を含んでいる。複数の外部電極50は、第1内部電極41と電気的に接続された第1外部電極51と、第2内部電極42と電気的に接続されると共に基体2を介して第1外部電極51と対向するように配置された第2外部電極52と、を含んでいる。
第1外部電極51及び第2外部電極52は、固体電解質と金属とを含んでおり、かつ、固体電解質層31に接するように配置された複合層512、522と、複合層512、522を被覆するように配置された金属層511、521と、を有する。以下、このキャパシタ1について詳細に説明する。
なお、本実施形態では、図1のX方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向として説明をする。なお、これらの方向は、キャパシタ1の各部の相対的な位置関係の説明を容易とするために規定した方向にすぎず、実際にキャパシタ1がどのような方向に向けて配置されるかは任意である。
図1、図2に示すように、キャパシタ1は、積層セラミックチップコンデンサである。キャパシタ1は、平板形状(直方体形状)の基体2を備えている。基体2は、上下方向Zの両端面である上端面201及び下端面202と、上端面201と下端面202との間に形成された左側面203及び右側面204を含む4つの側面とを有する。
基体2は、複数の固体電解質層31、複数の内部電極40(第1内部電極41、第2内部電極42)を積層して構成されている。基体2は、複数のキャパシタ部21を備えている。各キャパシタ部21は、1つの固体電解質層31、1つの第1内部電極41及び1つの第2内部電極42を有する。
キャパシタ部21において、固体電解質層31の厚み方向(上下方向Z)の一方側主面である第1主面311には、第1主面311のうち基体2の右側面204側の一部を除いて、第1内部電極41が設けられている。第1内部電極41は、固体電解質層31の第1主面311に接するように配置されている。第1内部電極41は、基体2の左側面203に露出するように設けられている。
キャパシタ部21において、固体電解質層31の厚み方向(上下方向Z)の他方側主面である第2主面312には、第2主面312のうち基体2の左側面203側の一部を除いて、第2内部電極42が設けられている。第2内部電極42は、固体電解質層31の第2主面312に接するように配置されている。第2内部電極42は、基体2の右側面204に露出するように設けられている。
キャパシタ部21において、第1内部電極41と第2内部電極とは、固体電解質層31を介して、上下方向Zに対向するように配置されている。すなわち、第1内部電極41と第2内部電極42との間には、固体電解質層31が配置されている。
複数のキャパシタ部21は、上下方向Zにおいて積層されている。なお、本実施形態では、隣接するキャパシタ部21同士は、1つの第1内部電極41又は第2内部電極42を共有している。すなわち、隣接するキャパシタ部21の一部同士が重なり合った状態で、複数のキャパシタ部21が積層されている。
基体2の上端部及び下端部、すなわち複数のキャパシタ部21が積層された部分の積層方向の両側には、それぞれ1つのカバー層32が配置されている。2つのカバー層32は、それぞれ基体2の上端面201と下端面202とを形成している。
基体2において、固体電解質層31及びカバー層32は、固体電解質により構成されている。固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有する金属酸化物であるLi7La3Zr2O12(以下、適宜、LLZという)である。カバー層32は、固体電解質層31と同様に、LLZにより構成されている。第1内部電極41及び第2内部電極42は、ニッケルにより構成されている。
基体2には、第1外部電極51及び第2外部電極52が設けられている。第1外部電極51及び第2外部電極52は、それぞれ基体2の左側面203及び右側面204において、基体2を介して左右方向Xに対向するように配置されている。
第1外部電極51は、固体電解質層31に接するように配置された複合層512と、複合層512を被覆するように配置された金属層511と、を有する。複合層512は、基体2の左側面203全体を被覆している。金属層511は、複合層512上において、その複合層512全体を被覆している。第1外部電極51は、基体2の左側面203に露出している複数の第1内部電極41と電気的に接続されている。
第2外部電極52は、固体電解質層31に接するように配置された複合層522と、複合層522を被覆するように配置された金属層521と、を有する。複合層522は、基体2の右側面204全体を被覆している。金属層521は、複合層522上において、その複合層522全体を被覆している。第2外部電極52は、基体2の右側面204に露出している複数の第2内部電極42と電気的に接続されている。
第1外部電極51の金属層511及び第2外部電極52の金属層521は、ニッケルにより構成されている。第1外部電極51の複合層512及び第2外部電極52の複合層522は、固体電解質と金属とを含む複合材料により構成されている。本実施形態では、LLZとニッケルとの複合材料により構成されている。複合層512、522における金属(ニッケル)の含有量は、20体積%以上50体積%以下である。
次に、本実施形態のキャパシタ1の製造方法について説明する。
本実施形態のキャパシタ1の製造方法は、固体電解質層31となる固体電解質シートと内部電極40(第1内部電極41、第2内部電極42)となる内部電極ペースト層とが交互に積層された、基体2となる積層体を準備する工程と、積層体に固体電解質と金属とを含む複合ペーストを塗布して複合層512、522となる複合ペースト層を形成し、複合ペースト層の表面に金属ペーストを塗布して金属層511、521となる金属ペースト層を形成する工程と、複合ペースト層及び金属ペースト層を形成した積層体を焼成する工程と、を有する。以下、このキャパシタ1の製造方法について詳細に説明する。
本実施形態のキャパシタ1の製造方法は、固体電解質層31となる固体電解質シートと内部電極40(第1内部電極41、第2内部電極42)となる内部電極ペースト層とが交互に積層された、基体2となる積層体を準備する工程と、積層体に固体電解質と金属とを含む複合ペーストを塗布して複合層512、522となる複合ペースト層を形成し、複合ペースト層の表面に金属ペーストを塗布して金属層511、521となる金属ペースト層を形成する工程と、複合ペースト層及び金属ペースト層を形成した積層体を焼成する工程と、を有する。以下、このキャパシタ1の製造方法について詳細に説明する。
キャパシタ1を製造するに当たっては、固体電解質層31及びカバー層32となるLLZグリーンシート(固体電解質シート)を作製した。また、第1内部電極41、第2内部電極42、第1外部電極51の金属層511及び第2外部電極52の金属層521となるNiペースト(金属ペースト)を作製した。また、第1外部電極51の複合層512及び第2外部電極52の複合層522となるLLZ/Niペースト(複合ペースト)を作製した。
LLZグリーンシートの作製においては、まず、炭酸リチウム、水酸化ランタン及び酸化ジルコニウムをLLZの組成となるように所定量秤量し、所定量のエチルアルコールと共に、ナイロンポット及びジルコニア球石を用いて混合・粉砕し、乾燥させて混合粉末を得た。そして、アルミナ坩堝に入れた混合粉末を、大気雰囲気下、最高温度1000℃、10時間保持の条件で仮焼し、LLZ仮焼粉末を得た。
このLLZ仮焼粉末を、メチルエチルケトン/トルエン混合溶剤と共に、ナイロンポット及びジルコニア球石を用いて混合・粉砕し、乾燥させてLLZ粉末を得た。このLLZ粉末を、分散剤、可塑剤、バインダ、有機溶剤等と共に混合し、LLZスラリーを得た。そして、LLZスラリーを用いてドクターブレード法により、LLZグリーンシートを得た。LLZグリーンシートは、所定の形状となるように切断した。これにより、LLZグリーンシートを作製した。
Niペーストの作製においては、Ni粉末を、可塑剤、バインダ、有機溶剤等と共に混合することにより、Niペーストを作製した。
LLZ/Niペーストの作製においては、上述したLLZ仮焼粉末とNi粉末とを所定の比率となるように秤量し、所定量のメチルエチルケトン/トルエン混合溶剤と共に、ナイロンポット及びジルコニア球石を用いて混合・粉砕し、乾燥させて複合粉末を得た。この複合粉末を、可塑剤、バインダ、有機溶剤等と共に混合することにより、LLZ/Niペーストを作製した。
LLZ/Niペーストの作製においては、上述したLLZ仮焼粉末とNi粉末とを所定の比率となるように秤量し、所定量のメチルエチルケトン/トルエン混合溶剤と共に、ナイロンポット及びジルコニア球石を用いて混合・粉砕し、乾燥させて複合粉末を得た。この複合粉末を、可塑剤、バインダ、有機溶剤等と共に混合することにより、LLZ/Niペーストを作製した。
次いで、固体電解質層31となるLLZグリーンシートを所定の形状に切断した後、LLZグリーンシート上に、内部電極40(第1内部電極41、第2内部電極42)となるNiペーストを所定のパターンでスクリーン印刷し、内部電極ペースト層を形成した。
次いで、内部電極ペースト層を形成したLLZグリーンシート及びカバー層32となる内部電極ペースト層を形成していないLLZグリーンシートを所定の順序で所定の枚数積層し、LLZグリーンシートと内部電極ペースト層とが交互に積層された、基体2となる積層体を作製した。そして、積層体を、WIP(Warm Isostatic Press)により高圧プレスした。その後、未焼成の積層体を平板形状(直方体形状)となるように切断した。
次いで、積層体の側面に、第1外部電極51の複合層512及び第2外部電極52の複合層522となる上述のLLZ/Niペーストを塗布し、複合ペースト層を形成した。さらに、複合ペースト上に、第1外部電極51の金属層511及び第2外部電極52の金属層521となる上述のNiペーストを塗布し、金属ペースト層を形成した。そして、積層体を脱脂した後、0.13体積%の水素を含む窒素雰囲気下、最高温度1200℃、2時間保持の条件で焼成した。以上により、図1、図2に示すキャパシタ1を得た。
次に、本実施形態のキャパシタ1及びその製造方法の作用効果について説明する。
本実施形態のキャパシタ1は、外部電極50(第1外部電極51、第2外部電極52)に、固体電解質と金属とを含む複合材料により構成され、基体2の固体電解質層31に接するように配置された複合層512、522が設けられている。そのため、基体2の固体電解質層31と第1外部電極51の複合層512及び第2外部電極52の複合層522との間は、固体電解質と金属との界面が入り組んだ構造となる。
本実施形態のキャパシタ1は、外部電極50(第1外部電極51、第2外部電極52)に、固体電解質と金属とを含む複合材料により構成され、基体2の固体電解質層31に接するように配置された複合層512、522が設けられている。そのため、基体2の固体電解質層31と第1外部電極51の複合層512及び第2外部電極52の複合層522との間は、固体電解質と金属との界面が入り組んだ構造となる。
これにより、水分が外部から固体電解質と金属との界面を伝って基体2内部(具体的には、電荷を蓄えたり放出したりするキャパシタ機能を発揮する部分)に侵入することを抑制できる。よって、耐湿性を向上させることができると共に、水分の侵入による静電容量の低下を抑制できる。
さらに、第1外部電極51及び第2外部電極52は、内側(基体2側)に複合層512、522を設け、外側に複合層512、522を被覆するように金属層511、521を設けている。そのため、外部からの水分の侵入を抑制しやすい構成となっており、耐湿性をより一層高めることができる。また、第1外部電極51及び第2外部電極52に設けた複合層512、522は、静電容量として寄与するため、静電容量の向上を図ることができる。
また、本実施形態のキャパシタ1において、基体2の下端面(第1端面)202及び上端面(第2端面)201は、共に100μm以上の厚みを有するカバー層(固体電解質層)32により形成されている。そのため、カバー層32によって基体2内部(具体的にはキャパシタ機能を発揮する部分)への水分の侵入を抑制できる。これにより、耐湿性を向上させることができ、水分の侵入による静電容量の低下を抑制できる。
また、固体電解質層31、カバー層32及び複合層512、522に含まれる固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有する金属酸化物(本実施形態ではLLZ)を含んでいる。また、複合層512、522に含まれる金属及び金属層511、521は、ニッケルを含んでいる。そのため、製造工程における焼成時に、固体電解質(LLZ)と金属(ニッケル)との反応を抑制できる。これにより、キャパシタ1の一部又は全部を同時焼成により作製することが容易となる。
(実施形態2)
本実施形態は、図3に示すように、キャパシタ1の第1外部電極51及び第2外部電極52の構成を変更した例である。なお、上述した実施形態1と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
本実施形態は、図3に示すように、キャパシタ1の第1外部電極51及び第2外部電極52の構成を変更した例である。なお、上述した実施形態1と同様の構成及び作用効果については説明を省略する。
第1外部電極51は、基体2の側面の一部に当たる左側面203全体と下端面(第1端面)202の一部とを一体的に被覆している。第1外部電極51に被覆される下端面202の一部は、下端面202の面積のうち50%以上の面積である。これにより、基体2の下端面202を形成するカバー層(固体電解質層)32を介して、第1外部電極51の一部と第2内部電極42とが上下方向Xにおいて対向するように配置される。
第2外部電極52は、基体2の側面の一部に当たる右側面204全体と上端面(第2端面)201の一部とを一体的に被覆している。第2外部電極52に被覆される上端面201の一部は、上端面201の面積のうち50%以上の面積である。これにより、基体2の上端面201を形成するカバー層(固体電解質層)32を介して、第2外部電極52の一部と第1内部電極41とが上下方向Xにおいて対向するように配置される。
本実施形態では、基体2の下端面202の一部が第1外部電極51によって被覆され、基体2の上端面201の一部が第2外部電極52によって被覆されている。そのため、キャパシタ1の耐湿性向上効果及び静電容量向上効果をさらに高めることができる。
また、カバー層32を介して第1外部電極51の一部と第2内部電極42とが上下方向Xに対向するように配置され、カバー層32を介して第2外部電極52の一部と第1内部電極41とが上下方向Xに対向するように配置されている。そのため、基体2の上端面201及び下端面202を形成するカバー層32の領域でもキャパシタ機能を発揮し、静電容量が発現するため、静電容量の向上を図ることができる。
(実施例)
以下、本発明のキャパシタの実施例を比較例と対比しながら説明し、本発明の効果を実証する。以下に示す実施例は、本発明の一実施態様を示すものであり、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
以下、本発明のキャパシタの実施例を比較例と対比しながら説明し、本発明の効果を実証する。以下に示す実施例は、本発明の一実施態様を示すものであり、本発明は何らこれらに限定されるものではない。
ここでは、表1に示すように、構造の異なる複数のキャパシタ(実施例1〜4、比較例1〜3)を作製し、これらについて性能評価を行った。以下、実施例及び比較例のキャパシタの構造、作製方法及び評価方法について説明する。
<キャパシタの構造>
実施例1のキャパシタは、基本的な構成が上述した実施形態1のキャパシタ1(図2参照)と同様である。基体2の固体電解質層31は9層、上下のカバー層32の厚さは共に200μmである。基体2の上端面201及び下端面202における第1外部電極51及び第2外部電極52の被覆率は0%である。
実施例1のキャパシタは、基本的な構成が上述した実施形態1のキャパシタ1(図2参照)と同様である。基体2の固体電解質層31は9層、上下のカバー層32の厚さは共に200μmである。基体2の上端面201及び下端面202における第1外部電極51及び第2外部電極52の被覆率は0%である。
実施例2〜4のキャパシタは、基本的な構成が上述した実施形態2のキャパシタ1(図3参照)と同様である。基体2の固体電解質層31は9層、上下のカバー層32の厚さは共に200μmである。ただし、基体2の上端面201及び下端面202における第1外部電極51及び第2外部電極52の被覆率が異なる。被覆率は、実施例2が24%、実施例3が50%、実施例4が73%である。
比較例1のキャパシタ91Aは、図4(A)に示すように、基本的な構成が上述した実施形態1のキャパシタ1(図2参照)と同様である。基体2の固体電解質層31は9層、上下のカバー層32の厚さは共に200μmである。ただし、第1外部電極51及び第2外部電極52は、Niからなる金属層511、512のみで構成されている。
比較例2のキャパシタ91Bは、図4(B)に示すように、基本的な構成が上述した実施形態2のキャパシタ1(図3参照)と同様である。基体2の固体電解質層31は9層、上下のカバー層32の厚さは共に200μmである。ただし、第1外部電極51及び第2外部電極52は、ニッケル(Ni)からなる金属層511、512のみで構成されている。基体2の上端面201及び下端面202における第1外部電極51及び第2外部電極52の被覆率は73%である。
比較例3のキャパシタ91Cは、図4(C)に示すように、基本的な構成が上述した実施形態2のキャパシタ1(図3参照)と同様である。基体2の固体電解質層31は9層、上下のカバー層32の厚さは共に200μmである。ただし、基体2のカバー層32は、チタン酸バリウム(BaTiO3:BT)により構成されており、第1外部電極51の複合層512及び第2外部電極52の複合層522は、チタン酸バリウム(BT)とニッケル(Ni)との複合材料により構成されている。基体2の上端面201及び下端面202における第1外部電極51及び第2外部電極52の被覆率は73%である。
<キャパシタの作製方法>
実施例1〜4及び比較例1、2のキャパシタは、基本的に上述した実施形態1のキャパシタの製造方法と同様の方法で作製した。なお、基体の各カバー層は、LLZグリーンシートを10枚積層して作製した。キャパシタの大きさは、4mm×4mm×厚さ0.6mmとした。
実施例1〜4及び比較例1、2のキャパシタは、基本的に上述した実施形態1のキャパシタの製造方法と同様の方法で作製した。なお、基体の各カバー層は、LLZグリーンシートを10枚積層して作製した。キャパシタの大きさは、4mm×4mm×厚さ0.6mmとした。
比較例3のキャパシタは、基本的に上述した実施形態1のキャパシタの製造方法と同様の方法で作製した。なお、カバー層となるLLZグリーンシートの代わりにBTグリーンシートを用い、複合層となるLLZ/Niペーストの代わりにBT/Niペーストを用いた。基体の各カバー層は、BTグリーンシートを10枚積層して作製した。キャパシタの大きさは、4mm×4mm×厚さ0.6mmとした。
ここで、BTグリーンシートの作製においては、まず、強誘電体粉末としてBaTiO3を主成分とした市販のBT粉末を準備した。このBT粉末を、分散剤、可塑剤、バインダ、有機溶剤等と共に混合し、BTスラリーを得た。そして、BTスラリーを用いてドクターブレード法により、BTグリーンシートを得る。BTグリーンシートは、所定の形状となるように切断した。これにより、BTグリーンシートを作製した。
また、BT/Niペーストの作製においては、上述したBT粉末とNi粉末とを所定の比率となるように秤量し、混合した複合粉末を、可塑剤、バインダ、有機溶剤等と共に混合することにより、BT/Niペーストを作製した。
<性能評価方法>
実施例及び比較例のキャパシタの性能評価として、定電流法(JIS規格:C5160−1)によって静電容量を測定した(n=3)。具体的には、25℃で湿度を一定(40%又は80%)にした恒温槽内で、充電電圧1Vとして1時間充電し、放電電流1μAで放電し、静電容量を測定した。
実施例及び比較例のキャパシタの性能評価として、定電流法(JIS規格:C5160−1)によって静電容量を測定した(n=3)。具体的には、25℃で湿度を一定(40%又は80%)にした恒温槽内で、充電電圧1Vとして1時間充電し、放電電流1μAで放電し、静電容量を測定した。
耐湿性の評価は、湿度40%での静電容量値に対する湿度80%での静電容量値の低下率を求め、低下率が5%未満を◎(合格)、5%以上10%未満を○(合格)、10%以上を×(不合格)とした。
静電容量の評価は、比較例1の湿度40%での静電容量値に対する、湿度40%での静電容量値の増加率(表1中の容量増加率)を求め、この静電容量値の増加率によって静電容量向上効果を評価した。
実施例及び比較例のキャパシタの評価結果を表1に示す。
実施例1のキャパシタは、外部電極(第1外部電極、第2外部電極)を複合層と金属層とで構成したことにより、耐湿性が良好であり(○で合格)、静電容量の増加率も25%で静電容量向上効果が認められた。
実施例1のキャパシタは、外部電極(第1外部電極、第2外部電極)を複合層と金属層とで構成したことにより、耐湿性が良好であり(○で合格)、静電容量の増加率も25%で静電容量向上効果が認められた。
実施例2〜4のキャパシタは、さらに、基体の上端面及び下端面を外部電極(第1外部電極、第2外部電極)が被覆していることにより、また被覆率が高くなることにより、耐湿性がさらに高くなり(○又は◎で合格)、静電容量の増加率も73%以上とさらに高い静電容量向上効果が認められた。
一方、比較例1、2のキャパシタは、外部電極(第1外部電極、第2外部電極)に複合層を設けていないため、耐湿性が不十分となった(×で不合格)。また、比較例2のキャパシタの静電容量の増加率も14%と小さいものとなった。
また、比較例3のキャパシタは、外部電極(第1外部電極、第2外部電極)の複合層を強誘電体であるBTとニッケル(Ni)との複合材料により構成されているため、耐湿性が良好であったものの(◎で合格)、静電容量の増加率が1%とほとんど静電容量向上効果が認められなかった。
(その他の実施形態)
なお、本発明は、上述の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
なお、本発明は、上述の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
(1)固体電解質層に含まれる固体電解質としては、上述の実施形態1、2、実施例のように、Li7La3Zr2O12(LLZ)を用いることができるが、Li3xLa2/3−xTiO3(但し、Xは0.04以上0.16以下)(LLT)を用いることもできる。
また、固体電解質層に含まれる固体電解質としては、上記以外にも、例えば、Li1+xAlxGe2−x(PO4)3、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3(LATP)、LixZryNbz(PO4)3(LZNP)、Li1.2Zr1.9Ca0.1(PO4)3(LZCP)、Li7−xLa3Zr2−xNbxO12(LLZN)、Li7−xLa3Zr2−xTaxO12(LLZT)、Li6BaLa2Ta2O12(LBLT)、Li3BO3、Li3PO4−xNx(LiPON)、LiS−P2S5(LPS)、Li10GeP2S12(LGPS)等のリチウムイオン伝導体を採用することができる(一般式中のX、Y及びZは任意の数)。
(2)固体電解質層は、上述の実施形態1、2、実施例のように、リチウムイオン伝導性を有する固体電解質のみで構成されていてもよいし、固体電解質層に固体電解質以外の材料が所定量(例えば50体積%未満の範囲)含まれていてもよい。すなわち、固体電解質層は、固体電解質が主成分として含まれ、さらに固体電解質以外の材料が含まれていてもよい。
固体電解質層に含まれる固体電解質以外の材料としては、例えば、チタン酸バリウム(BT)等の電気絶縁性(すなわち電子伝導性及びイオン伝導性に関する電気絶縁性)を有する材料を採用することができる。電気絶縁性を有する材料としては、例えば、チタン酸ストロンチウム、アルミナ、ジルコニア、シリカ等の金属酸化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS、アクリル、エポキシ、ポリイミド等の樹脂等が挙げられる。
固体電解質層に含まれる固体電解質以外の材料には、固体電解質を構成する元素の酸化物も採用することができる。固体電解質を構成する元素の酸化物材料としては、例えば、AlPO4、TiO2、LaTiO3等が挙げられる。
(3)外部電極(第1外部電極、第2外部電極)の金属層、内部電極(第1内部電極、第2内部電極)の材料としては、Au、Pt、Pd、Ag、Ni、Cu等、周知の各種の金属(導電材料)を採用することができる。また、外部電極の金属層と内部電極とは、同じ金属で構成されていてもよいし、別々の金属で構成されていてもよい。
(4)外部電極(第1外部電極、第2外部電極)の複合層の材料としては、上述した固体電解質層に含まれる固体電解質と金属とを含む複合材料を採用することができる。複合材料中の金属としては、例えば、Au、Pt、Pd、Ag、Ni、Cu等、周知の各種の金属(導電材料)を採用することができる。
(5)上述の実施形態1、2では、第1外部電極及び第2外部電極の両方が、複合層と金属層とにより構成されているが、例えば、第1外部電極及び第2外部電極の一方が、複合層と金属層とにより構成されていてもよい。
1…キャパシタ
2…基体
31…固体電解質層
40…内部電極
41…第1内部電極
42…第2内部電極
50…外部電極
51…第1外部電極
511…金属層
512…複合層
52…第2外部電極
521…金属層
522…複合層
2…基体
31…固体電解質層
40…内部電極
41…第1内部電極
42…第2内部電極
50…外部電極
51…第1外部電極
511…金属層
512…複合層
52…第2外部電極
521…金属層
522…複合層
Claims (6)
- 固体電解質を含む複数の固体電解質層と複数の内部電極とが交互に積層されてなる基体と、該基体に設けられた複数の外部電極と、を備えたキャパシタであって、
前記複数の内部電極は、前記固体電解質層を介して対向するように配置された第1内部電極及び第2内部電極を含んでおり、
前記複数の外部電極は、前記第1内部電極と電気的に接続された第1外部電極と、前記第2内部電極と電気的に接続されると共に前記基体を介して前記第1外部電極と対向するように配置された第2外部電極と、を含んでおり、
前記第1外部電極及び前記第2外部電極の少なくとも一方は、前記固体電解質と金属とを含んでおり、かつ、前記固体電解質層に接するように配置された複合層と、該複合層を被覆するように配置された金属層と、を有する、キャパシタ。 - 前記基体は、前記複数の固体電解質層と前記複数の内部電極とが積層される積層方向の両端面である第1端面及び第2端面と、前記第1端面と前記第2端面との間に形成された側面と、を有し、
前記基体の第1端面及び第2端面は、前記固体電解質層により形成され、
前記第1外部電極は、前記側面の一部と前記第1端面の一部とを一体的に被覆しており、
前記第2外部電極は、前記側面の一部と前記第2端面の一部とを一体的に被覆しており、
前記第1外部電極に被覆される前記第1端面の一部は、該第1端面の面積のうち50%以上の面積であり、
前記第2外部電極に被覆される前記第2端面の一部は、該第2端面の面積のうち50%以上の面積である、請求項1に記載のキャパシタ。 - 前記基体の前記第1端面を形成する前記固体電解質層を介して前記第1外部電極の一部と前記第2内部電極とが対向するように配置されていると共に、前記基体の前記第2端面を形成する前記固体電解質層を介して前記第2外部電極の一部と前記第1内部電極とが対向するように配置されている、請求項2に記載のキャパシタ。
- 前記基体は、前記複数の固体電解質層と前記複数の内部電極とが積層される積層方向の両端面である第1端面及び第2端面と、前記第1端面と前記第2端面との間に形成された側面と、を有し、
前記基体の前記第1端面及び前記第2端面は、共に100μm以上の厚みを有する前記固体電解質層により形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のキャパシタ。 - 前記固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有する金属酸化物を含んでおり、前記複合層に含まれる金属及び前記金属層は、ニッケルを含んでいる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のキャパシタ。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のキャパシタの製造方法であって、
前記固体電解質層となる固体電解質シートと前記内部電極となる内部電極ペースト層とが交互に積層された、前記基体となる積層体を準備する工程と、
前記積層体に前記固体電解質と金属とを含む複合ペーストを塗布して前記複合層となる複合ペースト層を形成し、該複合ペースト層の表面に金属ペーストを塗布して前記金属層となる金属ペースト層を形成する工程と、
前記複合ペースト層及び前記金属ペースト層を形成した前記積層体を焼成する工程と、を有する、キャパシタの製造方法。
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