以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図5は、本実施の形態による貨幣入出金機を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による貨幣入出金機の外観を示す斜視図であり、図2は、図1に示す貨幣入出金機における紙幣入出金装置の内部構成を概略的に示す概略構成図であり、図3は、図1に示す貨幣入出金機における硬貨入出金装置を右側方から見たときの内部構成を概略的に示す概略構成図である。また、図4は、図1に示す貨幣入出金機における制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、図5(a)〜図5(g)は、図1に示す貨幣入出金機の紙幣入出金装置において各帯封紙幣収納部に収納されている帯封紙幣の集積順序を入れ替える動作を順に示す説明図である。
図1に示すように、本実施の形態による貨幣入出金機1は、紙幣入出金装置10および硬貨入出金装置110が左右に並ぶよう配置されることにより構成されている。ここで、本実施の形態による貨幣入出金機1における紙幣入出金装置10は、バラ紙幣の入金処理や出金処理を行うことができるとともに、機体内で所定枚数(例えば、100枚)のバラ紙幣から帯封紙幣を作成したりこの作成された帯封紙幣の出金処理を行ったりすることができるようになっている。また、本実施の形態による貨幣入出金機1における硬貨入出金装置110は、バラ硬貨の入金処理や出金処理を行うことができるとともに、機体内で所定枚数(例えば、50枚)のバラ硬貨に紙やフィルム等の包装媒体を巻くことにより包装硬貨を作成したりこの作成された包装硬貨の出金処理を行ったりすることができるようになっている。このような貨幣入出金機1は、例えば、銀行等の金融機関(より詳細には、金融機関の事務所スペース)に設置され、金融機関の行員等により利用されるようになっている。
本実施の形態による貨幣入出金機1における紙幣入出金装置10の構成について図1および図2を用いて説明する。図1および図2に示すように、紙幣入出金装置10は略直方体形状の筐体12を有しており、この筐体12の前面には、筐体12の外部から内部にバラ紙幣を入金するための投入部14、筐体12の内部から外部にバラ紙幣を出金するためのバラ紙幣投出部24、筐体12の内部から外部に帯封紙幣を出金するための帯封紙幣投出部48がそれぞれ設けられている。なお、図2における筐体12の左側の側面が紙幣入出金装置10の前面側(すなわち、図1に示すように紙幣入出金装置10を手前側から見たときの正面側)となっており、図2における右方向が筐体12の奥行き方向となっている。
図1に示すように、投入部14の前面は筐体12の外部に開口しており、操作者はこの開口を介して投入部14の内部にアクセスする(具体的には、投入部14の内部に手を入れる)ことができるようになっている。このことにより、操作者は投入部14の内部にバラ紙幣の束を投入することができるようになる。
一方、バラ紙幣投出部24および帯封紙幣投出部48にはそれぞれシャッター24a、48aが設けられており、これらのシャッター24a、48aは、バラ紙幣投出部24の前面に面する開口(すなわち、バラ紙幣の出金口)や帯封紙幣投出部48の前面に面する開口(すなわち、帯封紙幣の出金口)をそれぞれ開閉するようになっている。そして、シャッター24a、48aによりバラ紙幣投出部24や帯封紙幣投出部48の開口が開かれると、操作者はバラ紙幣投出部24や帯封紙幣投出部48の内部にそれぞれアクセスする(具体的には、バラ紙幣投出部24や帯封紙幣投出部48の内部に手を入れる)ことができるようになり、当該操作者はバラ紙幣投出部24や帯封紙幣投出部48に集積されているバラ紙幣や帯封紙幣を筐体12の内部から外部に取り出すことができるようになる。これらのシャッター24a、48aはシャッター駆動部24b、48b(図4参照)によりそれぞれ駆動されるようになっている。
なお、本実施の形態による紙幣入出金装置10では、バラ紙幣投出部24は、バラ紙幣の出金処理が行われる際にバラ紙幣を筐体12の外部に排出するための出金部として機能するとともに、入金処理時に後述する識別部20により識別することができなかったバラ紙幣や、識別部20により正常なバラ紙幣ではないと識別されたバラ紙幣を筐体12の外部に排出するための入金リジェクト部として機能するようになっている。
また、図2に示すように、筐体12の前面におけるバラ紙幣投出部24の下方には、紙幣入出金装置10においてバラ紙幣の出金処理が行われる際にバラ紙幣投出部24により筐体12の外部に出金すべきではないと判断されたバラ紙幣が集積される出金リジェクト部26が設けられている。出金リジェクト部26の前面は筐体12の外部に開口しておらず、操作者は筐体12から紙幣入出金装置10の本体部分を手前側に引き出さない限りこの出金リジェクト部26にアクセスすることができないようになっている。
図2に示すように、投入部14には、当該投入部14に投入されたバラ紙幣を1枚ずつ筐体12の内部に繰り出すための繰出部16が設けられている。また、紙幣入出金装置10の筐体12の内部には、当該筐体12内でバラ紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部18が設けられており、繰出部16により投入部14から繰り出されたバラ紙幣は搬送部18により筐体12内で搬送されるようになっている。また、搬送部18には識別部20が設けられており、搬送部18により搬送されるバラ紙幣は識別部20によりその金種、真偽、表裏、正損、新旧、搬送状態等が識別されるようになっている。また、搬送部18には表裏反転部22が設けられており、識別部20により識別されたバラ紙幣は表裏反転部22によりその表裏が揃うように反転させられるようになっている。
また、図2に示すように、搬送部18には入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32および複数(図2に示す例では3つ)の金種別バラ紙幣収納部34がそれぞれ接続されており、搬送部18からこれらの入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32および各金種別バラ紙幣収納部34にバラ紙幣が送られるようになっている。ここで、入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32および各金種別バラ紙幣収納部34にはそれぞれ図2における上下方向に移動可能となっているステージ30a、32a、34aが設けられており、これらのステージ30a、32a、34a上でバラ紙幣が積層状態で集積されるようになっている。
また、入金一時保留部30の上端部の近傍には紙幣繰出繰入部30bが設けられており、入金一時保留部30に保留されているバラ紙幣は紙幣繰出繰入部30bにより1枚ずつ搬送部18に繰り出されるようになっている。また、紙幣繰出繰入部30bにより搬送部18から入金一時保留部30にバラ紙幣が1枚ずつ繰り入れられるようになっている。
また、混合バラ紙幣収納部32の上端部の近傍には紙幣繰入部32bが設けられており、搬送部18からこの紙幣繰入部32bにより混合バラ紙幣収納部32にバラ紙幣が1枚ずつ繰り入れられるようになっている。ここで、混合バラ紙幣収納部32には、各金種別バラ紙幣収納部34に割り当てられていない金種のバラ紙幣(例えば、二千円紙幣)や損券、ならびにオーバーフロー紙幣等が混合状態で収納されるようになっている。なお、本実施の形態では、混合バラ紙幣収納部32に収納されているバラ紙幣を搬送部18に繰り出すことができないようになっている。
また、各金種別バラ紙幣収納部34の上端部の近傍にはそれぞれ紙幣繰出繰入部34bが設けられており、各金種別バラ紙幣収納部34に収納されているバラ紙幣は紙幣繰出繰入部34bにより1枚ずつ搬送部18に繰り出されるようになっている。バラ紙幣の出金処理が行われる際に、各金種別バラ紙幣収納部34から搬送部18に繰り出されたバラ紙幣が当該搬送部18により識別部20に送られ、識別部20により識別された後にバラ紙幣投出部24に送られることによって、操作者はバラ紙幣投出部24から出金紙幣を取り出すことができるようになる。また、各紙幣繰出繰入部34bにより搬送部18から各金種別バラ紙幣収納部34にバラ紙幣が1枚ずつ繰り入れられるようになっている。ここで、各金種別バラ紙幣収納部34には、それぞれ予め設定された特定の金種のバラ紙幣(例えば、千円紙幣、五千円紙幣および一万円紙幣からなる3つの金種のバラ紙幣)が金種毎に収納されるようになっている。
図1および図2に示すように、筐体12の下部には下部扉12aが設けられており、この下部扉12aを開くことにより操作者は入金一時保留部30の内部にアクセスすることができるようになっている。また、入金一時保留部30、混合バラ紙幣収納部32および各金種別バラ紙幣収納部34は、筐体12の内部から手前側に(すなわち、図2における左方向に)引き出し可能となっている引出ユニット13に収容されている。そして、操作者が下部扉12aを開いて引出ユニット13を筐体12の内部から手前側に引き出すことにより、当該操作者は混合バラ紙幣収納部32や各金種別バラ紙幣収納部34を引出ユニット13から取り外したり引出ユニット13に装着したりすることができるようになる。また、本実施の形態による紙幣入出金装置10では、引出ユニット13を筐体12の内部にロックするためのロック機構50(図4参照)が引出ユニット13に設けられている。
また、図2に示すように、搬送部18には複数(図2に示す例では2つ)の整理一時保留部40が接続されており、当該搬送部18から各整理一時保留部40にバラ紙幣が送られるとこれらの整理一時保留部40にバラ紙幣が積層状態で集積されるようになっている。また、本実施の形態による紙幣入出金装置10では、所定枚数(例えば、100枚)のバラ紙幣からなる紙幣束に帯封紙を巻くことにより帯封紙幣を作成する帯封部42が各整理一時保留部40の隣に設けられている。
また、図2に示すように、筐体12の内部において帯封部42の近傍にはアーム機構44が設けられており、当該アーム機構44は各整理一時保留部40、帯封部42および後述する帯封紙幣揚送部46の間で移動可能となっている。このようなアーム機構44は、各整理一時保留部40に集積された所定枚数のバラ紙幣からなる紙幣束を帯封部42に搬送するようになっている。また、帯封部42において帯封処理が行われる際に、所定枚数のバラ紙幣からなる紙幣束を保持しているアーム機構44はこの帯封部42に移動し、当該帯封部42においてアーム機構44の上下一対のアーム部により挟持された状態にある紙幣束の外周面に帯封紙が巻かれるようになっている。また、帯封部42において帯封処理が行われた後、アーム機構44は帯封部42から帯封紙幣揚送部46に移動して、この帯封紙幣揚送部46のステージ46a(後述)上に帯封紙幣を受け渡すことができるようになっている。このような動作を繰り返すことにより、複数の帯封紙幣を帯封紙幣揚送部46のステージ46a上に集積させることができる。
帯封紙幣揚送部46には、図2における上下方向に移動可能となっているステージ46aが設けられており、帯封部42により作成された帯封紙幣がアーム機構44からステージ46a上に受け渡されると、当該ステージ46a上に帯封紙幣が集積されるようになる。そして、アーム機構44からステージ46a上に1または複数の帯封紙幣が受け渡された後、ステージ46aが図2における上方向に移動することにより帯封紙幣投出部48と同じ高さレベルに到達し、シャッター48aが開くと、操作者は帯封紙幣投出部48の内部にアクセスしてステージ46a上に集積されている帯封紙幣を筐体12の外部に取り出すことができるようになる。また、ステージ46aが更に上昇すると、当該ステージ46a上に集積されている帯封紙幣を後述する帯封紙幣搬送部60に受け渡したり、帯封紙幣搬送部60から帯封紙幣をステージ46a上に集積させたりすることができるようになる。
図2に示すように、筐体12の内部における上部領域には、複数(図2に示す例では4つ)の帯封紙幣収納部70、72、74、76が設けられており、これらの帯封紙幣収納部70、72、74、76には、帯封部42により作成された帯封紙幣が積層状態で収納されるようになっている。具体的には、各帯封紙幣収納部70、72、74、76には、それぞれ予め設定された特定の金種の帯封紙幣が収納されるようになっている。なお、予め設定された特定の金種の帯封紙幣が収納される帯封紙幣収納部70、72、74、76が4つ設けられる代わりに、複数の帯封紙幣収納部70、72、74、76のうち少なくとも1つの帯封紙幣収納部(例えば、帯封紙幣収納部70)に金種が異なる帯封紙幣が混合状態で収納されるようになっていてもよい。
各帯封紙幣収納部70、72、74、76の内部にはそれぞれ図2における上下方向に移動可能となっているステージ70a、72a、74a、76aが設けられており、帯封紙幣収納部70、72、74、76の上端部(天井部分)に設けられた出入口(図示せず)からこれらの各帯封紙幣収納部70、72、74、76に送られた帯封紙幣はステージ70a、72a、74a、76a上に積層状態で集積されるようになっている。また、各帯封紙幣収納部70、72、74、76から帯封紙幣を出す場合には、ステージ70a、72a、74a、76aが上昇することにより各帯封紙幣収納部70、72、74、76の上端部(天井部分)に設けられた出入口から帯封紙幣が上方に出されるようになる。
また、これらの各帯封紙幣収納部70、72、74、76の上方には帯封紙幣の搬送を行う帯封紙幣搬送部60が設けられている。帯封紙幣搬送部60は、複数の突起60aが等間隔で設けられた循環ベルト60bを有しており、この循環ベルト60bは図2における時計回りの方向および反時計回りの方向の両方向に循環移動することができるようになっている。そして、帯封紙幣搬送部60により帯封紙幣が搬送される際に、当該帯封紙幣は循環ベルト60bの下面に沿って突起60aにより引っ掛けられた状態で図2における左右いずれかの方向に移動するようになる。また、図2に示すように、帯封紙幣搬送部60による帯封紙幣の搬送路における帯封紙幣揚送部46の上端と帯封紙幣収納部70、72、74、76との間には帯封紙幣識別部62が設けられており、帯封紙幣搬送部60により搬送される帯封紙幣は当該帯封紙幣識別部62によりその金種等が識別されるようになっている。より詳細には、帯封紙幣識別部62は、例えば帯封紙幣搬送部60により搬送される帯封紙幣の最上面または最下面の画像を撮像するイメージセンサ等の撮像部材を含んでおり、この撮像部材により撮像された帯封紙幣の最上面または最下面の画像に基づいて当該帯封紙幣の金種等を識別するようになっている。また、帯封紙幣識別部62は、帯封紙幣の傷み具合(汚れや折れの有無)や、結束状態の良否(帯封紙のずれや破れの有無)を識別することもできるようになっている。
ここで、帯封部42により作成された帯封紙幣を各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納させる際には、アーム機構44から帯封紙幣が帯封紙幣揚送部46のステージ46a上に受け渡された後に当該ステージ46aが上昇して帯封紙幣搬送部60の近傍の位置まで到達するようになる。また、循環ベルト60bは図2における反時計回りの方向に循環移動する。このことにより、ステージ46a上の帯封紙幣のうち最上位にある帯封紙幣が突起60aにより引っ掛けられて循環ベルト60bの下面に沿って図2における右方向に搬送され、帯封紙幣識別部62によりその金種が識別された後、当該帯封紙幣識別部62による判別結果に基づいて対応する各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されるようになる。一方、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣を帯封紙幣投出部48により筐体12の外部に出金する際には、循環ベルト60bは図2における時計回りの方向に循環移動し、各帯封紙幣収納部70、72、74、76から上方に押し出された最上位の帯封紙幣が突起60aにより引っ掛けられて循環ベルト60bの下面に沿って図2における左方向に搬送されるようになる。また、ステージ46aが上昇して帯封紙幣搬送部60の近傍の位置まで到達するようになる。そして、帯封紙幣搬送部60により搬送される帯封紙幣の金種が帯封紙幣識別部62により識別された後、当該帯封紙幣はステージ46a上に集積される。複数の帯封紙幣を出金する際には、帯封紙幣の送り込みに合わせてステージ46aが所定量(具体的には、帯封紙幣の厚み寸法相当)ずつ下降する。ステージ46a上に所定の数の帯封紙幣が集積されると当該ステージ46aが帯封紙幣投出部48と同じ高さレベルまで下降し、シャッター48aが開くようになる。
また、4つの帯封紙幣収納部70、72、74、76のうち最も左側に位置する帯封紙幣収納部70の隣に回収部80が設けられており、帯封紙幣搬送部60から回収部80に帯封紙幣を送ることができるようになっている。帯封紙幣搬送部60から回収部80に送られた帯封紙幣は当該回収部80に集積されるようになる。回収部80には、帯封紙幣識別部62による識別結果に基づいて正常な帯封紙幣ではないと判断された帯封紙幣(例えば、金種間違いや帯封紙による結束不良)が送られるようになっている。このような回収部80は、操作者は筐体12から紙幣入出金装置10の本体部分を手前側に引き出すことによりアクセスすることができるようになっている。
次に、本実施の形態による貨幣入出金機1における硬貨入出金装置110の構成について図1および図3を用いて説明する。図1および図3に示すように、本実施の形態による硬貨入出金装置110は、略直方体形状の筐体112と、筐体112の上面に設けられた硬貨投入口121に投入されたバラ硬貨を筐体112の内部で金種毎に収納繰出部(図示せず)に収納したり後述する包装部160に送ったりするバラ硬貨処理部130とを備えている。また、筐体112の内部には、筐体112の内部に投入されたバラ硬貨を紙やフィルム等の包装媒体により包装することによって包装硬貨を作成する包装部160、包装部160により作成された包装媒体を収納する包装硬貨収納ユニット200および包装部160により作成された包装媒体を筐体112の内部で搬送する包装硬貨搬送ユニット210がそれぞれ設けられている。このような硬貨入出金装置110の各構成部材の詳細について以下に説明する。なお、バラ硬貨処理部130の構成の詳細については説明を省略する。
図3に示すように、包装部160は、硬貨投入口121により筐体112の内部に投入されたバラ硬貨やバラ硬貨処理部130における図示しないバラ硬貨収納部から送られたバラ硬貨が集積されるとともに集積されたバラ硬貨を1枚ずつ繰り出す集積部として回転円盤162を有している。また、包装部160は、回転円盤162から繰り出されたバラ硬貨を搬送するコンベア(図示せず)と、コンベアにより搬送されたバラ硬貨が積層状態で集積されるとともに集積された所定の枚数(例えば、50枚)のバラ硬貨を紙やフィルム等の包装媒体により包装する包装機構168とを有している。ここで、包装機構168は上方から見て仮想の正三角形の各頂点に位置する3本の包装ローラ168aを有しており、各包装ローラ168aの間の包装領域において所定枚数(例えば、50枚)重積した重積硬貨が包装媒体により包装されることにより包装硬貨が作成されるようになっている。図3に示すように、包装機構168により作成された包装硬貨はこの包装機構168から下方に排出されるようになっている。また、包装機構168の下方には包装硬貨用シュート165および横搬送部167が設けられており、包装機構168により作成された包装硬貨が当該包装機構168から下方に排出されると、この排出された包装硬貨は包装硬貨用シュート165を通って横搬送部167に送られ、この横搬送部167により包装硬貨搬送ユニット210に向かって搬送されるようになる。また、横搬送部167と包装硬貨搬送ユニット210との間には、横搬送部167から包装硬貨搬送ユニット210への包装硬貨の放出と放出規制とを切り換える切換部材169が設けられている。
図3に示すように、包装硬貨搬送ユニット210は、筐体112の内部における上部および下部にそれぞれ設けられた2つのプーリ212と、これらの2つのプーリ212に掛け渡された無端状の循環ベルト214と、2つのプーリ212のうち一方のプーリ212を回転駆動させることにより循環ベルト214を図3における時計回りの方向および反時計回りの方向に循環移動させる駆動モータ(図示せず)とを有している。また、図3に示すように、循環ベルト214には、包装硬貨搬送ユニット210により搬送されるべき包装硬貨が引っ掛けられる突起216が等間隔で複数設けられている。ここで、各突起216は、当該突起216と包装硬貨とが接する面が循環ベルト214の延びる方向(すなわち、図3における上下方向)に対して所定の角度(例えば、60°)をなして傾斜する方向に当該循環ベルト214から突出して形成されている。このように各突起216が循環ベルト214の延びる方向に対して傾斜していることにより、突起216に引っ掛けられた包装硬貨はその自重により突起216上で循環ベルト214側に寄せられるようになる。そして、循環ベルト214が図3における反時計回りの方向に循環移動すると、包装硬貨は突起216に引っ掛けられた状態で(すなわち、突起216上で循環ベルト214側に寄せられた状態で)循環ベルト214の移動に合わせて図3における反時計回りの方向に沿って搬送されるようになる。また、本実施の形態では、循環ベルト214は、所定量だけ移動すると所定時間だけ停止し、その後再び所定量だけ移動するような動作が繰り返し行われる間欠移動を行うよう、駆動モータにより駆動させられるようになっている。
また、図3に示すように、筐体112の内部において包装硬貨搬送ユニット210の近傍には、包装硬貨の収納を行う包装硬貨収納ユニット200が設けられている。ここで、包装硬貨収納ユニット200は、同一金種の複数の包装硬貨を一列に収納する複数(図3に示す例では6つ)の収納トレイ240を有しており、各収納トレイ240には包装硬貨が金種別に収納されるようになっている。より詳細には、各収納トレイ240は水平方向に対して傾斜しており、収納トレイ240に収納されている包装硬貨は、包装硬貨搬送ユニット210に近い側である収納トレイ240の最前部に向かって転がるようになっている。また、各収納トレイ240は鉛直方向に沿って並ぶよう配置されている。また、各収納トレイ240に収納される包装硬貨の金種は収納トレイ240毎に予め設定されている。
また、各収納トレイ240は、図3に示す位置から包装硬貨搬送ユニット210に向かって(すなわち、図3における左方向に)移動可能となっており、各収納トレイ240が包装硬貨搬送ユニット210における循環ベルト214の近傍の位置まで進出したときに、各収納トレイ240に収納されている包装硬貨が循環ベルト214の突起216に1つずつ受け渡されるようになる。また、各収納トレイ240の前端部分(すなわち、図3における左端部分)と、包装硬貨搬送ユニット210との間には、各収納トレイ240に対応して複数のストッパ部分204aが設けられたストッパ機構204が上下方向に移動可能に配置されている。このストッパ機構204が下降位置にあるときには、包装硬貨搬送ユニット210に向かって進出した収納トレイ240の最前部の包装硬貨にストッパ部分204aが接触してこの最前部の包装硬貨が循環ベルト214の突起216に受け渡されないようになる。この場合には、循環ベルト214により搬送される包装硬貨が突起216から収納トレイ240の最前部に受け渡され、この収納トレイ240に収納されるようになる。一方、ストッパ機構204が上昇位置にあるときには、包装硬貨搬送ユニット210に向かって進出した収納トレイ240の最前部の包装硬貨にストッパ部分204aが接触せず、この最前部の包装硬貨が循環ベルト214の突起216に受け渡されるようになる。
また、筐体112の前面において包装硬貨搬送ユニット210の前部域には、包装硬貨出金部230、包装硬貨一括収納箱232および包装硬貨投出部236がそれぞれ設けられている。また、包装硬貨出金部230、包装硬貨一括収納箱232および包装硬貨投出部236の各々に対応して、包装硬貨搬送ユニット210の循環ベルト214により搬送される包装硬貨を選択的に包装硬貨出金部230、包装硬貨一括収納箱232および包装硬貨投出部236にそれぞれ分岐させる分岐部材218、219、220が鉛直方向における上から順に設けられている。また、分岐部材220により包装硬貨搬送ユニット210から分岐させられた包装硬貨を包装硬貨投出部236に送る包装硬貨投出用シュート238が設けられている。ここで、図1に示すように、操作者は筐体112の前面から包装硬貨出金部230にアクセス可能となっており、分岐部材218により包装硬貨搬送ユニット210から分岐させられて包装硬貨出金部230に送られた包装硬貨を操作者は筐体112の外部に取り出すことができるようになっている。また、分岐部材219により包装硬貨搬送ユニット210から分岐させられて包装硬貨一括収納箱232に送られた包装硬貨は当該包装硬貨一括収納箱232に収納されるようになっている。なお、操作者は包装硬貨一括収納箱232を筐体112の外部に取り出すことによりこの包装硬貨一括収納箱232から包装硬貨を回収することができるようになる。また、図1に示すように、操作者は筐体112の前面から包装硬貨投出部236にアクセス可能となっており、分岐部材220により包装硬貨搬送ユニット210の循環ベルト214から分岐させられて包装硬貨投出用シュート238により包装硬貨投出部236に送られた包装硬貨を操作者は筐体112の外部に取り出すことができるようになっている(具体的には、包装硬貨投出部236の下方に箱状の容器を置いて、投出される包装硬貨をこの容器で受け入れるようになっている)。また、循環ベルト214を図3における時計回りの方向に循環移動させた場合には、横搬送部167により包装硬貨搬送ユニット210に送られた包装硬貨をすぐに包装硬貨投出用シュート238経由で包装硬貨投出部236に送ることができるようになる。
また、図1に示すように、筐体112の前面側における右側部分には開閉可能な前扉114が設けられており、当該前扉114を開くことにより筐体112内の包装硬貨収納ユニット200にアクセスすることができるようになっている。より詳細には、前扉114には上述した包装硬貨出金部230、包装硬貨一括収納箱232、包装硬貨投出部236および包装硬貨搬送ユニット210が取り付けられており、前扉114を開いたときにはこれらの包装硬貨出金部230、包装硬貨一括収納箱232、包装硬貨投出部236および包装硬貨搬送ユニット210も前扉114と一体的に移動するようになっている。このことにより、操作者は前扉114を開くと包装硬貨収納ユニット200にアクセスして収納トレイ240を取り出すことにより収納トレイ240に包装硬貨を収納したり収納トレイ240から包装硬貨を取り出したりすることができるようになっている。
また、本実施の形態の貨幣入出金機1には、当該貨幣入出金機1の各構成部材の制御を行う制御部300が設けられている。より詳細には、図4に示すように、制御部300には、紙幣入出金装置10の投入部14、繰出部16、搬送部18、識別部20、表裏反転部22、入金一時保留部30(具体的には、入金一時保留部30に設けられたステージ30aの駆動機構(図示せず)や紙幣繰出繰入部30b)、混合バラ紙幣収納部32(具体的には、混合バラ紙幣収納部32に設けられたステージ32aの駆動機構(図示せず)や紙幣繰入部32b)、各金種別バラ紙幣収納部34(具体的には、各金種別バラ紙幣収納部34に設けられたステージ34aの駆動機構(図示せず)や紙幣繰出繰入部34b)、帯封部42、アーム機構44、帯封紙幣揚送部46、帯封紙幣搬送部60、帯封紙幣識別部62、各帯封紙幣収納部70、72、74、76(具体的には、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に設けられたステージ70a、72a、74a、76aの駆動機構(図示せず))、引出ユニット13に設けられたロック機構50、各シャッター24a、48aを開閉させるシャッター駆動部24b、48b等がそれぞれ接続されている。そして、識別部20によるバラ紙幣の識別結果に係る情報や帯封紙幣識別部62による帯封紙幣の金種等の識別結果に係る情報等が制御部300に送られるとともに、制御部300は紙幣入出金装置10の各構成部材に指令信号を送ることによりこれらの構成部材の動作を制御するようになっている。
また、図4に示すように、制御部300には、硬貨入出金装置110のバラ硬貨処理部130、包装部160、包装硬貨収納ユニット200、包装硬貨搬送ユニット210、各分岐部材218、219、220等がそれぞれ接続されている。ここで、制御部300は、硬貨入出金装置110の各構成部材に指令の信号を送ることによりこれらの構成部材の動作を制御するようになっている。
また、図4に示すように、制御部300には、操作表示部302、印字部304、記憶部306および通信インターフェース部308がそれぞれ接続されている。図1に示すように、操作表示部302は、例えば硬貨入出金装置110の筐体112の上部に設けられたタッチパネル等からなり、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110における紙幣や硬貨の処理状況や、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を表示するようになっている。また、操作者はこの操作表示部302により制御部300に様々な指令を入力することができるようになっている。また、図1に示すように、印字部304は、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110における紙幣や硬貨の処理状況や、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報をレシート等に印刷するプリンタ等から構成されている。また、記憶部306は、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110における紙幣や硬貨の処理履歴や、紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を記憶するようになっている。また、制御部300は通信インターフェース部308を介して上位端末等の外部装置310に対して様々な信号の送受信を行うことができるようになっている。
次に、本実施の形態による貨幣入出金機1の動作について説明する。なお、以下に示すような貨幣入出金機1の動作は、制御部300が紙幣入出金装置10や硬貨入出金装置110の各構成部材を制御することにより行われるようになっている。
本実施の形態の貨幣入出金機1の紙幣入出金装置10では、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣の金種毎の束数や合計金額を確認するために精査処理が行われるようになっている。具体的には、このような精査処理では、各帯封紙幣収納部70、72、74、76から繰り出され、帯封紙幣識別部62により識別された帯封紙幣の金種毎の束数や合計金額(実績値)と、記憶部306に記憶されている、各帯封紙幣収納部70、72、74、76の在高情報(具体的には、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣の金種毎の束数や合計金額)とが比較されるようになっている。なお、各帯封紙幣収納部70、72、74、76の在高情報は、初期の装填量に、その後の処理に伴って増減された量を加減した結果(理論値)である。比較の結果、両者が一致しない場合には警告メッセージとともに両者の差が例えば操作表示部302に表示されるようになっている。例えば、「千円の帯封紙幣が1束足りません」というメッセージが操作表示部302に表示される。
また、本実施の形態では、紙幣入出金装置10において各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣について精査処理を行う際に、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣の集積順序を入れ替えるような並べ替え処理を伴う精査処理(以下、第1精査処理モードともいう)、およびこのような並び替え処理を伴わない精査処理(以下、第2精査処理モードともいう)のうちいずれかの精査処理を選択して行うことができるようになっている。このような第1精査処理モードおよび第2精査処理モードの詳細について以下に説明する。
まず、第1精査処理モードについて図5(a)〜(g)を用いて説明する。図5に示す例では、各帯封紙幣収納部70、72、74、76にそれぞれ5束の帯封紙幣が金種毎に収納されている場合に、並び替え処理を伴う精査処理を行ったときの各金種の帯封紙幣の動きが示されている。なお、図5(a)において、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている5束の帯封紙幣についてその金種がa、b、c、dでそれぞれ示されており、また、上から何番目に収納されているかについて金種およびハイフン「−」の後の数字で示されている。具体的には、例えば、図5(a)に表示されるa、b、c、dは、それぞれ千円、二千円、五千円、一万円の金種に対応している。
貨幣入出金機1が待機状態となっているときに、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣について第1精査処理モードによる精査処理を行う旨の指令が操作者によって操作表示部302により制御部300に入力されると、まず、最も左側に位置する帯封紙幣収納部70から金種「a」の帯封紙幣が1束ずつ帯封紙幣搬送部60に繰り出され、この繰り出された帯封紙幣は帯封紙幣搬送部60により図2における左方向に搬送される。また、帯封紙幣搬送部60により搬送される帯封紙幣は帯封紙幣識別部62によりその金種等が識別される。そして、帯封紙幣識別部62により識別された帯封紙幣は帯封紙幣搬送部60により帯封紙幣揚送部46に送られ、この帯封紙幣揚送部46のステージ46a上に積層状態で集積されるようになる(図5(b)参照)。ここで、帯封紙幣収納部70に収納されている複数の帯封紙幣のうち最上層に位置する帯封紙幣(すなわち、図5(a)において「a−1」で示す帯封紙幣)は、帯封紙幣収納部70から帯封紙幣搬送部60に最初に繰り出され、当該帯封紙幣搬送部60から帯封紙幣揚送部46に最初に送られるため、ステージ46a上に最初に集積されるようになる。逆に、帯封紙幣収納部70に収納されている複数の帯封紙幣のうち最下層に位置する帯封紙幣(すなわち、図5(a)において「a−5」で示す帯封紙幣)は、帯封紙幣収納部70から帯封紙幣搬送部60に最後に繰り出され、当該帯封紙幣搬送部60から帯封紙幣揚送部46に最後に送られるため、ステージ46a上に最後に集積されるようになる。このようにして、最も左側に位置する帯封紙幣収納部70から、帯封紙幣揚送部46に金種「a」の複数の帯封紙幣が全て送られると、金種「a」の帯封紙幣の集積順序が入れ替えられるようになる。また、図5(b)に示すような動作により、最も左側に位置する帯封紙幣収納部70が空状態となる。
次に、左側から2番目に位置する帯封紙幣収納部72から金種「b」の帯封紙幣が1束ずつ帯封紙幣搬送部60に繰り出され、この繰り出された帯封紙幣は帯封紙幣搬送部60により図2における左方向に搬送される。その後、帯封紙幣は帯封紙幣搬送部60により最も左側に位置する帯封紙幣収納部70に送られ、この帯封紙幣収納部70のステージ70a上に積層状態で集積されるようになる(図5(c)参照)。ここで、左側から2番目に位置する帯封紙幣収納部72から、最も左側に位置する帯封紙幣収納部70に金種「b」の複数の帯封紙幣が全て送られると、金種「b」の帯封紙幣の集積順序が入れ替えられるようになる。また、図5(c)に示すような動作により、左側から2番目に位置する帯封紙幣収納部72が空状態となる。
次に、帯封紙幣揚送部46から金種「a」の帯封紙幣が1束ずつ帯封紙幣搬送部60に繰り出され、この繰り出された帯封紙幣は帯封紙幣搬送部60により図2における右方向に搬送される。その後、帯封紙幣は帯封紙幣搬送部60により左側から2番目に位置する帯封紙幣収納部72に送られ、この帯封紙幣収納部72のステージ72a上に積層状態で集積されるようになる(図5(d)参照)。ここで、帯封紙幣揚送部46から、左側から2番目に位置する帯封紙幣収納部72に金種「a」の複数の帯封紙幣が全て送られると、金種「a」の帯封紙幣の集積順序が入れ替えられるようになる。また、図5(d)に示すような動作により、帯封紙幣揚送部46が空状態となる。
次に、最も左側に位置する帯封紙幣収納部70から金種「b」の帯封紙幣が1束ずつ帯封紙幣搬送部60に繰り出され、この繰り出された帯封紙幣は帯封紙幣搬送部60により図2における左方向に搬送される。また、帯封紙幣搬送部60により搬送される帯封紙幣は帯封紙幣識別部62によりその金種等が識別される。そして、帯封紙幣識別部62により識別された帯封紙幣は帯封紙幣搬送部60により帯封紙幣揚送部46に送られ、この帯封紙幣揚送部46のステージ46a上に積層状態で集積されるようになる(図5(e)参照)。ここで、最も左側に位置する帯封紙幣収納部70から、帯封紙幣揚送部46に金種「b」の複数の帯封紙幣が全て送られると、金種「b」の帯封紙幣の集積順序が入れ替えられるようになる。また、図5(e)に示すような動作により、最も左側に位置する帯封紙幣収納部70が空状態となる。
次に、左側から2番目に位置する帯封紙幣収納部72から金種「a」の帯封紙幣が1束ずつ帯封紙幣搬送部60に繰り出され、この繰り出された帯封紙幣は帯封紙幣搬送部60により図2における左方向に搬送される。その後、帯封紙幣は帯封紙幣搬送部60により最も左側に位置する帯封紙幣収納部70に送られ、この帯封紙幣収納部70のステージ70a上に積層状態で集積されるようになる(図5(f)参照)。ここで、左側から2番目に位置する帯封紙幣収納部72から、最も左側に位置する帯封紙幣収納部70に金種「a」の複数の帯封紙幣が全て送られると、金種「a」の帯封紙幣の集積順序が入れ替えられるようになる。また、図5(f)に示すような動作により、左側から2番目に位置する帯封紙幣収納部72が空状態となる。
最後に、帯封紙幣揚送部46から金種「b」の帯封紙幣が1束ずつ帯封紙幣搬送部60に繰り出され、この繰り出された帯封紙幣は帯封紙幣搬送部60により図2における右方向に搬送される。その後、帯封紙幣は帯封紙幣搬送部60により左側から2番目に位置する帯封紙幣収納部72に送られ、この帯封紙幣収納部72のステージ72a上に積層状態で集積されるようになる(図5(g)参照)。ここで、帯封紙幣揚送部46から、左側から2番目に位置する帯封紙幣収納部72に金種「b」の複数の帯封紙幣が全て送られると、金種「b」の帯封紙幣の集積順序が入れ替えられるようになる。また、図5(g)に示すような動作により、帯封紙幣揚送部46が空状態となる。
各帯封紙幣収納部70、72に収納されていた金種「a」および金種「b」の帯封紙幣について上述した処理が行われると、図5(g)に示すように各金種の帯封紙幣は元の帯封紙幣収納部70、72に戻されるようになる。また、最初に各帯封紙幣収納部70、72に収納されていた金種「a」および金種「b」の帯封紙幣はそれぞれ3回集積順序が入れ替えられるようになるため、図5(b)〜(g)に示すような処理が行われて元の帯封紙幣収納部70、72に戻されたときに集積順序が上下逆に入れ替わった状態となる。
図5(a)において、帯封紙幣収納部70の最下位にある帯封紙幣「a−5」は、帯封紙幣収納部70内に最も長く滞留している可能性が高い(すなわち、最も古い)帯封紙幣である。このような帯封紙幣「a−5」は、上述した第1精査処理モードによる精査処理の結果、図5(g)に示されるように帯封紙幣収納部70の最上位に位置するようになり、よって次の払出処理で払い出される可能性が高くなる。
その後、各帯封紙幣収納部74、76に収納されている金種「c」および金種「d」の帯封紙幣についても、各帯封紙幣収納部70、72に収納されている金種「a」および金種「b」の帯封紙幣と同様の処理が行われるようになる。すなわち、各帯封紙幣収納部74、76および帯封紙幣揚送部46の間で、最初に各帯封紙幣収納部74、76に収納されていた金種「c」および金種「d」の帯封紙幣はそれぞれ3回集積順序が入れ替えられるようになる。このようにして、全ての帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣について第1精査処理モードによる精査処理が行われると、各帯封紙幣収納部70、72、74、76における帯封紙幣の集積順序が上下逆に入れ替わった状態となる。
このように、第1精査処理モードでは、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣について、ある帯封紙幣収納部から帯封紙幣を全て繰り出して偶数(具体的には、2つ)の他の帯封紙幣収納部または保留部(具体的には、帯封紙幣揚送部46)を経由して元の帯封紙幣収納部に戻すような並べ替え処理が行われるようになる。
その後、帯封紙幣識別部62により識別された帯封紙幣の金種毎の束数と、記憶部306に記憶されている各帯封紙幣収納部70、72、74、76の在高(具体的には、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣の金種毎の束数)とが制御部300において比較される。そして、両者が一致しない場合には警告メッセージとともに両者の差が例えば操作表示部302に表示される。
次に、帯封紙幣の集積順序を入れ替えるような並べ替え処理を伴わないような第2精査処理モードによる精査処理の内容について説明する。各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣について第2精査処理モードによる精査処理を行う旨の指令が操作表示部302により制御部300に入力されると、まず、最も左側に位置する帯封紙幣収納部70から金種「a」の帯封紙幣が1束ずつ帯封紙幣搬送部60に繰り出され、この繰り出された帯封紙幣は帯封紙幣搬送部60により図2における左方向に搬送される。また、帯封紙幣搬送部60により搬送される帯封紙幣は帯封紙幣識別部62によりその金種等が識別される。そして、帯封紙幣識別部62により識別された帯封紙幣は帯封紙幣搬送部60により帯封紙幣揚送部46に送られ、この帯封紙幣揚送部46のステージ46a上に積層状態で集積されるようになる。そして、帯封紙幣収納部70から金種「a」の帯封紙幣が全て帯封紙幣揚送部46に送られると、この帯封紙幣揚送部46から帯封紙幣が1束ずつ帯封紙幣搬送部60に繰り出され、この帯封紙幣搬送部60により最も左側に位置する帯封紙幣収納部70に戻されるようになる。このような動作により、帯封紙幣識別部62により識別された帯封紙幣を元の帯封紙幣収納部70に戻すことができるようになるが、帯封紙幣識別部62により識別される前と後とで帯封紙幣収納部70における帯封紙幣の集積順序は入れ替えられない。そして、帯封紙幣揚送部46から最も左側に位置する帯封紙幣収納部70に金種「a」の帯封紙幣が全て戻されると、残りの帯封紙幣収納部72、74、76に収納されている帯封紙幣についても同様の処理が行われるようになる。
また、本実施の形態では、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣について上記の精査処理を行わない場合でも上述した第1精査処理モードと同様の方法により各帯封紙幣収納部70、72、74、76および帯封紙幣揚送部46の間で帯封紙幣を移し替えることによって集積順序を逆にすることができるようになっている。具体的には、操作者が操作表示部302により並べ替え処理の開始の指示を入力したり上位端末等の外部装置310から通信インターフェース部308を介して並べ替え処理の開始の指示信号が送信されたりすることにより制御部300が並べ替え処理の開始の指示を受け付けたときに、制御部300が各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣について上述した第1精査処理モードと同様の方法により集積順序の並び替え処理を行うようになっている。
また、本実施の形態では、例えば営業時間外の所定の時刻となったとき、あるいは貨幣入出金機1において営業時間終了後に締め処理が行われたときに、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣について上記の第1精査処理モードによる精査処理が行われるようになっていてもよい。また、操作者が筐体12から紙幣入出金装置10の本体部分を手前側に引き出して各帯封紙幣収納部70、72、74、76にアクセス可能となった後、この本体部分が筐体12の内部に戻されたときに、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣について上記の第1精査処理モードによる精査処理が行われるようになっていてもよい。各帯封紙幣収納部70、72、74、76がアクセス可能となるとこれらの帯封紙幣収納部70、72、74、76から帯封紙幣が不正に抜き取られる可能性があるため、本体部分が筐体12の内部に戻された後に精査処理を行うことにより各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣の在高を確認することによって不正行為をすぐに検知することができるようになる。
また、制御部300は、少なくとも1つの帯封紙幣が各帯封紙幣収納部70、72、74、76に滞留している時間が所定の時間に達した場合に、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣について集積順序の並び替え処理が自動で行われるようになっていてもよい。この場合、複数の帯封紙幣収納部70、72、74、76のうち一部の帯封紙幣収納部70、72、74、76において帯封紙幣が滞留している時間が所定の時間に達した場合には、この帯封紙幣が収納されている帯封紙幣収納部70、72、74、76についてのみ収納されている帯封紙幣の集積順序の並び替え処理が自動で行われるようになっていてもよい。ただし、1つの帯封紙幣収納部だけでは上述したような帯封紙幣の集積順序の並び替え処理を行うことができないため、1つの帯封紙幣収納部のみにおいて帯封紙幣が滞留している時間が所定の時間に達した場合でも、2つの帯封紙幣収納部および帯封紙幣揚送部46を用いて図5(b)〜図5(g)に示すような方法と同様の方法により帯封紙幣の集積順序の並び替え処理が行われるようになる。
また、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣の滞留時間が全て所定の時間に達していない場合(すなわち、帯封紙幣の並び替えを行う必要がない場合)には、精査処理の処理モードが第2精査処理モードに自動で切り替えられるようになっていてもよい。第2精査処理モードによる精査処理は第1精査処理モードによる精査処理よりも短時間で行うことができるため、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣の滞留時間が短く、帯封紙幣の集積順序の並び替えを行う必要がない場合には、精査処理の処理モードを第2精査処理モードとすることにより精査処理にかかる時間を短くすることができる。詳しく説明すると、図5に示されるように、第1精査処理モードによる精査処理で2個の帯封紙幣収納部70について帯封紙幣の集積順序の並び替えを実行するには6ステップの帯封紙幣群の移動が必要になる。一方、第2精査処理モードによる精査処理では帯封紙幣群の移動が4ステップで済むことから、後者のほうが処理時間が短くなる。
また、本実施の形態では、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣について並び替え処理が行われる際に、帯封紙幣識別部62による識別結果に基づいて正常な帯封紙幣ではないと判断された帯封紙幣(例えば、金種間違いや帯封紙による結束不良)は帯封紙幣搬送部60により回収部80に送られ、この回収部80に集積されるようになっている。そして、操作者は筐体12から紙幣入出金装置10の本体部分を手前側に引き出すことにより回収部80にアクセスしてこの回収部80から帯封紙幣を取り出すことができるようになる。なお、帯封紙幣識別部62による識別結果に基づいて正常な帯封紙幣ではないと判断された帯封紙幣が帯封紙幣搬送部60により回収部80に送られる代わりに帯封紙幣投出部48により筐体12の外部に投出されるようになっていてもよい。また、帯封紙幣識別部62による識別結果に基づいて正常な帯封紙幣ではないと判断された帯封紙幣が回収部80に送られたり帯封紙幣投出部48により筐体12の外部に投出されたりすると、この帯封紙幣の情報が操作表示部302に表示されるとともに、記憶部306に記憶されている各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣の在高情報から差し引かれるようになっている。
以上のような構成からなる本実施の形態の貨幣入出金機1によれば、帯封紙幣を集積状態で保留するとともに保留されている帯封紙幣を集積された順とは逆の順に1つずつ放出可能な保留部として帯封紙幣揚送部46が設けられており、制御部300は、ある帯封紙幣収納部(例えば、帯封紙幣収納部70)から帯封紙幣を全て繰り出して偶数の個数の他の帯封紙幣収納部(例えば、帯封紙幣収納部72)または帯封紙幣揚送部46を経由して元の帯封紙幣収納部に戻すような並べ替え処理を行うよう各構成部材を制御するようになっている。このことにより、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に割り当てられる帯封紙幣の金種を変更することなく、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣の集積順序を入れ替えることができる。このように、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣の集積順序を入れ替えると、帯封紙幣が各帯封紙幣収納部70、72、74、76に長期間滞留してしまうことを防止することができる。この場合には、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣について経年変化による紙幣自体や結束状態の劣化を抑制することができ、また、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣からバラ紙幣を抜き取って各帯封紙幣収納部70、72、74、76に戻すような不正行為を早期に発見することができるようになる。
なお、本実施の形態の貨幣入出金機1では、帯封紙幣を集積状態で保留するとともに保留されている帯封紙幣を集積された順とは逆の順に1つずつ放出可能な保留部は、帯封紙幣揚送部46に限定されることはない。変形例に係る貨幣入出金機1において、帯封紙幣揚送部46とは別に、帯封紙幣を集積状態で保留するとともに保留されている帯封紙幣を集積された順とは逆の順に1つずつ放出可能な保留部を設けてもよい。
また、本実施の形態の貨幣入出金機1においては、上述したように、制御部300は、並べ替え処理を行う際に、複数の帯封紙幣収納部70、72、74、76のうち第1の帯数紙幣収納部(例えば、最も左側に位置する帯封紙幣収納部70)から帯封紙幣を全て繰り出して保留部としての帯封紙幣揚送部46に送り(図5(b)参照)、その後、第1の帯封紙幣収納部が空状態となると第2の帯封紙幣収納部(例えば、左から2番目に位置する帯封紙幣収納部72)から帯封紙幣を全て繰り出して第1の帯封紙幣収納部に送り(図5(c)参照)、その後、第2の帯封紙幣収納部が空状態となると保留部としての帯封紙幣揚送部46から帯封紙幣を全て繰り出して第2の帯封紙幣収納部に送り(図5(d)参照)、その後、保留部としての帯封紙幣揚送部46が空状態となると第1の帯封紙幣収納部から帯封紙幣を全て繰り出して保留部としての帯封紙幣揚送部46に送り(図5(e)参照)、その後、第1の帯封紙幣収納部が空状態となると第2の帯封紙幣収納部から帯封紙幣を全て繰り出して第1の帯封紙幣収納部に送り(図5(f)参照)、その後、第2の帯封紙幣収納部が空状態となると保留部としての帯封紙幣揚送部46から帯封紙幣を全て繰り出して第2の帯封紙幣収納部に送る(図5(g)参照)よう各構成部材を制御するようになっている。
なお、本実施の形態において、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣について並び替え処理が行われる際に、元の帯封紙幣収納部に戻るまでに経由する他の帯封紙幣収納部または保留部(具体的には、帯封紙幣揚送部46)の数は2つに限定されることはない。各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣について並び替え処理が行われる際に、元の帯封紙幣収納部に戻るまでに4つ以上の偶数の個数の他の帯封紙幣収納部または帯封紙幣揚送部46等の保留部を経由するようになっていてもよい。また、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣について並び替え処理が行われる際に、元の帯封紙幣収納部に戻るまでに、帯封紙幣揚送部46等の保留部を経由せずに、偶数の個数の他の帯封紙幣収納部のみを経由するようになっていてもよい。
また、本実施の形態の貨幣入出金機1においては、上述したように、帯封紙幣の識別を行う帯封紙幣識別部62が設けられており、並べ替え処理が行われる際に、帯封紙幣識別部62により帯封紙幣の識別が行われるようになっている。また、帯封紙幣を回収するための回収部80が設けられており、帯封紙幣識別部62による識別結果に基づいて正常な帯封紙幣ではないと判断された帯封紙幣が回収部80により回収されるようになっている。なお、他の態様として、帯封紙幣を筐体12の外部に投出するための帯封紙幣投出部48が設けられており、帯封紙幣識別部62による識別結果に基づいて正常な帯封紙幣ではないと判断された帯封紙幣が帯封紙幣投出部48により筐体12の外部に投出されるようになっていてもよい。
また、本実施の形態の貨幣入出金機1においては、上述したように、各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣の金種別の束数を記憶する記憶部306が設けられており、制御部300は、各帯封紙幣収納部70、72、74、76から繰り出され帯封紙幣識別部62により識別された帯封紙幣の金種別の束数と記憶部306に記憶されている帯封紙幣の金種別の束数とを比較する精査処理を行う際に並べ替え処理も行うようになっていてもよい。具体的には、上述した第1精査処理モードによる精査処理が行われるようになっている。この場合に、精査処理における、各帯封紙幣収納部70、72、74、76から繰り出され帯封紙幣識別部62により識別された帯封紙幣の金種別の束数と記憶部306に記憶されている帯封紙幣の金種別の束数とが異なる場合に両者の差が操作表示部302に表示されることによって操作者に報知されるようになっている。なお、両者の差を操作者に報知するための報知部は操作表示部302に限定されることはない。両者の差を操作者に報知するための報知部として、例えば音声により操作者に報知する音声部等の、操作表示部302以外のものが用いられるようになっていてもよい。
また、本実施の形態の貨幣入出金機1においては、上述したように、制御部300が並べ替え処理を行うタイミングは、並べ替え処理の開始の指示を受け付けたとき、所定の時刻となったとき、貨幣入出金機1において締め処理が行われたとき、および操作者が各帯封紙幣収納部70、72、74、76にアクセス可能となったときのうち少なくともいずれか1つのときとなっていてもよい。また、制御部300は、少なくとも1つの帯封紙幣が帯封紙幣収納部70、72、74、76に滞留している時間が所定の時間に達した場合に並べ替え処理を行うようになっていてもよい(具体的には、その日の締め処理時に並び替え処理が行われることが好ましい)。
なお、本実施の形態による貨幣入出金機1やこのような貨幣入出金機1の紙幣入出金装置10における帯封紙幣の処理方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、本実施の形態による貨幣入出金機1の紙幣入出金装置10において、帯封紙幣が積層状態で収納される各帯封紙幣収納部70、72、74、76として、その上端部(天井部分)に帯封紙幣の出入口が設けられるような上入れ上出しタイプのものではなく、その下端部(底部分)に帯封紙幣の出入口が設けられるような下入れ下出しタイプのものが用いられてもよい。
また、本発明に係る紙幣入出金装置10は、硬貨入出金装置110と組み合わせられることにより貨幣入出金機1を構成するようなものに限定されることはない。本発明に係る紙葉類処理装置として、紙幣入出金装置10が単体で用いられてもよい。この場合には、制御部300や操作表示部302、記憶部306は紙幣入出金装置10に設けられるようになる。
また、上述した貨幣入出金機1の紙幣入出金装置10および上位端末等の外部装置310を組み合わせることにより本発明に係る紙葉類処理システムが構成されるようになっていてもよい。この場合には、上位端末等の外部装置310は、紙幣入出金装置10の管理を行う管理装置として機能するようになる。また、上記の説明では、貨幣入出金機1に設けられた制御部300が各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣についての並び替え処理を行うような態様について述べたが、本発明に係る紙葉類処理システムでは、管理装置としての外部装置310に、紙幣入出金装置10の各帯封紙幣収納部70、72、74、76に収納されている帯封紙幣についての並び替え処理を行う制御部が設けられていてもよい。
また、本発明に係る紙葉類処理装置は、複数の帯封紙幣収納部に収納されている帯封紙幣の集積順序を逆にするような並び替え処理が行われる紙幣入出金装置に限定されることはない。本発明に係る紙葉類処理装置として、紙幣以外の小切手や商品券等の紙葉類が帯封されることにより作成される束紙葉類が種類毎に集積状態で収納される束紙葉類収納部が複数設けられており、各束紙葉類収納部における束紙葉類の集積順序を逆にするような並び替え処理が行われるものが用いられてもよい。具体的には、本発明に係る紙葉類処理装置において、束紙葉類を集積状態で保留するとともに保留されている束紙葉類を集積された順とは逆の順に1つずつ放出可能な保留部が設けられており、ある束紙葉類収納部から束紙葉類を全て繰り出して偶数の個数の他の束紙葉類収納部または保留部を経由して元の束紙葉類収納部に戻すような並べ替え処理が行われるようになっている。また、記憶部には、各束紙葉類収納部に収納されている束紙葉類の種類別の束数が記憶されるようになり、制御部は、各束紙葉類収納部から繰り出され識別部により識別された束紙葉類の種類別の束数と記憶部に記憶されている束紙葉類の種類別の束数とを比較する精査処理を行う際に並べ替え処理も行うことができるようになる。また、この場合には、精査処理における、各束紙葉類収納部から繰り出され識別部により識別された束紙葉類の種類別の束数と記憶部に記憶されている束紙葉類の種類別の束数とが異なる場合に両者の差が操作表示部等の報知部により操作者に報知されるようになる。
また、硬貨入出金装置110における包装硬貨収納ユニット200の各収納トレイ240についても、包装硬貨の収納順序を逆にするような並び替え処理が行われるようになっていてもよい。各収納トレイ240に収納されている包装硬貨の並び替え処理を行うにあたり、まず、複数の収納トレイ240のうち第1の収納トレイ240(例えば、図3において最も上側に位置する収納トレイ240)から第1の金種の包装硬貨を全て繰り出して包装硬貨搬送ユニット210に送る。この際に、循環ベルト214を図3における反時計回りの方向に循環移動させ、第1の収納トレイ240から繰り出された第1の金種の包装硬貨を包装硬貨搬送ユニット210の循環ベルト214に設けられた各突起216に1つずつ引っ掛けさせるようにする。その後、第1の収納トレイ240が空状態となると複数の収納トレイ240のうち第2の収納トレイ240(例えば、図3において上から2番目に位置する収納トレイ240)から第2の金種の包装硬貨を全て繰り出して包装硬貨搬送ユニット210により第1の収納トレイ240に送る。この際に、包装硬貨搬送ユニット210の循環ベルト214における第1の金種の包装硬貨が引っ掛けられていない突起216を使うようにする。また、第2の収納トレイ240から第1の収納トレイ240に第2の金種の包装硬貨が全て送られると、第2の金種の包装硬貨の収納順序が入れ替えられるようになる。
その後、第2の収納トレイ240が空状態となると、循環ベルト214を図3における時計回りの方向に循環移動させ、包装硬貨搬送ユニット210の循環ベルト214に保留されている第1の金種の包装硬貨を第2の収納トレイ240に送る。その後、包装硬貨搬送ユニット210が空状態となると、第1の収納トレイ240から第2の金種の包装硬貨を全て繰り出して包装硬貨搬送ユニット210に送る。この際に、循環ベルト214を図3における反時計回りの方向に循環移動させ、第1の収納トレイ240から繰り出された第2の金種の包装硬貨を包装硬貨搬送ユニット210の循環ベルト214に設けられた各突起216に1つずつ引っ掛けさせるようにする。その後、第1の収納トレイ240が空状態となると第2の収納トレイ240から第1の金種の包装硬貨を全て繰り出して包装硬貨搬送ユニット210により第1の収納トレイ240に送る。この際に、包装硬貨搬送ユニット210の循環ベルト214における第2の金種の包装硬貨が引っ掛けられていない突起216を使うようにする。また、第2の収納トレイ240から第1の収納トレイ240に第1の金種の包装硬貨が全て送られると、第1の金種の包装硬貨の収納順序が入れ替えられるようになる。最後に、第2の収納トレイ240が空状態となると、循環ベルト214を図3における時計回りの方向に循環移動させ、包装硬貨搬送ユニット210の循環ベルト214に保留されている第2の金種の包装硬貨を第2の収納トレイ240に送る。このことにより、第1の収納トレイ240および第2の収納トレイ240に収納されている包装硬貨の収納順序が入れ替えられた状態となる。
各収納トレイ240に収納されていた第1の金種および第2の金種の包装硬貨について上述した処理が行われると、各金種の包装硬貨は元の収納トレイ240に戻されるようになる。また、最初に各収納トレイ240に収納されていた第1の金種および第2の金種の包装硬貨はそれぞれ3回収納順序が入れ替えられるようになるため、上述した並び替え処理が行われて元の収納トレイ240に戻されたときに収納順序が入れ替えられた状態となる。
その後、各収納トレイ240に収納されている他の金種の包装硬貨についても、上述した第1の金種および第2の金種の包装硬貨と同様の処理が行われるようになる。このようにして、全ての収納トレイ240に収納されている包装硬貨について並び替え処理が行われると、各収納トレイ240における包装硬貨の集積順序が入れ替えられた状態となる。
このように、硬貨入出金装置110でも、包装硬貨収納ユニット200の各収納トレイ240に収納されている包装硬貨について、ある収納トレイ240から包装硬貨を全て繰り出して偶数(具体的には、2つ)の他の収納トレイ240または保留部(具体的には、包装硬貨搬送ユニット210)を経由して元の収納トレイ240に戻すような並べ替え処理を行うことができるようになっている。