本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
<第1の実施の形態>
本発明の第1の実施の形態を図1〜図7を参照しつつ説明する。
図1は、本実施の形態に係る自動分析装置の全体構成を概略的に示す図である。
図1において、自動分析装置100は、分析対象である血液や尿などの生体試料(以下、試料と称する)を収容した1つ以上の試料容器を搭載した検体ラックを投入する検体ラック投入部1と、分析処理の終了した検体ラックを回収する検体ラック回収部10と、検体ラック投入部1と検体ラック回収部10との間で検体ラックを搬送する検体ラック搬送ライン3と、検体ラック搬送ライン3の下流側端部から上流側端部に検体ラックを搬送する再検査用搬送ライン4と、検体ラック投入部1から検体ラック搬送ライン3に送出される検体ラックの個体識別子(例えば、バーコードやRFID)から個体識別情報を読み取るID読取部2と、検体ラック搬送ラインに沿って配置され、少なくとも、試料を反応容器に分注する試料分注機構、試薬を反応容器に分注する試薬分注機構、及び反応容器に収容された試料と試薬の混合液を測定する測定機構を含む複数の分析要素によって分析処理を行う1つ以上(本実施の形態では4つ)の分析ユニット5,6,7,8と、再検査用搬送ライン4または検体ラック回収部10に搬送される前の検体ラックを待機させる検体ラック待機部9と、検体ラック投入部1、分析ユニット5〜8、及び検体ラック待機部9をそれぞれ制御する制御用コンピュータ12,13,14,15,16,17と、自動分析装置100全体の動作を制御する制御部11とから概略構成されている。
制御部11には、動作指令や設定値などを入力するための操作部18と、分析処理やメンテナンス処理などに係る種々の設定画面を表示するための表示部19とが設けられており、操作部18と表示部19により自動分析装置100の操作を行うためのGUI(Graphical User Interface)が構成されている。
分析ユニット5〜8は、搬送ライン3から検体ラックを引き込むための検体ラック引込線51,61,71,81をそれぞれ有しており、分析対象となる試料を収容した検体を搭載した検体ラックを引き込んで分析処理を実施する。
なお、本実施の形態では分析ユニット5〜8が全て生化学分析ユニットである場合を例示して説明しているが、これに限られず、分析ユニット5〜8としては種々の組合せが可能である。分析ユニット5〜8としては、例えば、生化学分析ユニットのほかに、電解質分析ユニットなどを用いてもよい。
ここで、自動分析装置のメンテナンス処理について説明する。
図2は自動分析装置の起動からメンテナンス処理の実行までの基本的な流れを示すフローチャートであり、図3は自動メンテナンス設定画面の一例を示す図である。なお、以降の説明では、分析ユニット5〜8のうちの異なる2つをそれぞれ第1分析ユニット及び第2分析ユニットと称して説明する。
図3に示す自動メンテナンス設定画面300は、制御部11の表示部19に表示され、操作部18によって自動メンテナンスに係る設定を定義・登録するものであり、メンテナンスグループ名設定部305、メンテナンス実行条件設定部302、メンテナンス項目設定部301、登録ボタン303、取消ボタン304などから構成されている。
図3においては、メンテナンスグループ名として「Gr.1」を登録する場合を例示している。メンテナンス実行条件設定部302には、メンテナンス処理が実行される条件として、30時間の連続通電が設定されている。メンテナンス項目設定部301には、メンテナンスグループに加入されるメンテナンス項目と、実行順序と、対象となる分析ユニットとが設定されており、第1及び第2分析ユニットの反応槽水交換、第1及び第2分析ユニットのセルブランク測定、第1分析ユニットの光度計チェックの実行順序でメンテナンス項目が設定されている。各設定部301,302,305に入力された情報は登録ボタン303が選択されることにより制御部11の図示しない記憶部に登録される。また、取消ボタン304が選択されることにより、各設定部301,302,305の入力内容は取り消される。同様の操作により、他のメンテナンス項目を含む他のメンテナンスグループを複数登録することが可能である。
例えば、図3では、第1分析ユニットのみメンテナンス実行条件を満たした場合には反応槽水交換、セルブランク測定及び光度計チェックの順でメンテナンス処理を実施し、また、第2分析ユニットのみメンテナンス実行条件を満たした場合には反応槽水交換、セルブランク測定の順にメンテナンス処理を実行する。また、第1ユニットと第2分析ユニットが同時にメンテンナンス実行条件を満たした場合には各分析ユニット個別に定義されたメンテナンス処理を同時に実行する。なお、メンテナンス処理の実行中は、複数の分析ユニットを有する自動分析装置の場合、他の分析ユニットでの分析を継続する。また、メンテナンス処理を実行中の分析ユニットにおいて分析予定の試料容器を搭載した検体ラックはメンテナンス処理の完了まで装置内で待機し、メンテナンス処理の完了後に分析処理を再開する。
図2に示すように、自動分析装置100の停止状態(スタンバイ状態)において、制御部11は、まず、操作部18及び表示部19によって自動メンテナンス設定画面300で設定されたメンテナンスグループ(メンテナンスグループ名305、メンテナンス項目301)及びメンテナンス実行条件302を登録し(ステップS201)、自動分析装置100を停止状態(スタンバイ状態)からサンプル測定が可能な状態(オペレーション状態)に移行して、試料の分析処理などのオペレーションを開始する(ステップS202)。続いて、ステップS201で登録した自動メンテナンス設定のそれぞれについてメンテナンス実行条件に係る情報を自動分析装置100の各部から取得して監視し(ステップS203)、メンテナンス実行条件が成立したかどうかを判定する(ステップS204)。ステップS204での判定結果がNOの場合、すなわち、メンテナンス実行条件が成立していない間は、ステップS203を繰り返し、メンテナンス実行条件の監視を続ける。例えば、図3においては、連続通電時間が30時間に達したかどうかを監視している。また、ステップS204での判定結果がYESの場合には、自動メンテナンスを実行し(ステップS205)、処理を終了する。
図4は、試料の分析処理中にメンテナンス実行条件が成立した場合のメンテナンス処理の基本的な流れを示すフローチャートである。
図4に示すように、自動分析装置100の分析処理中において、制御部11は、まず、メンテナンス実行条件が成立した分析ユニットへの検体ラックの投入及びサンプル分注を停止して、対象となる分析ユニットでの以降の分析処理を停止する(ステップS401)。続いて、対象分析ユニットで測定中の項目があるかどうかを判定する(ステップS402)。ステップS402での判定結果がYESの場合には、メンテナンス処理の実行を待機しつつ(ステップS403)、測定結果の出力が完了したかどうかを判定し(ステップS404)、判定結果がYESになるまでステップS403の待機を行う。また、ステップS402での判定結果がNOの場合、及び、ステップS404での判定結果がYESの場合には、メンテナンス処理の開始準備動作(メンテナンス開始準備動作)を行う(ステップS405)。メンテナンス開始準備動作では、それまで実施していたサンプル測定に伴う洗浄動作や各機構動作の停止等を行い、メンテナンス処理の実行可能な状態にする。ステップS405のメンテナンス開始準備動作が終了すると、自動メンテナンス設定画面300での設定内容に基づいてメンテナンス処理を順次実行する(ステップS406)。続いて、各測定系のコンディショニング動作や各機構の分析開始準備等である測定開始準備動作を実施し(ステップS407)、メンテナンス処理の対象となった分析ユニットへの検体ラックの投入及び分析処理を開始し(ステップS408)、処理を終了する。
本実施の形態に係る自動分析装置は、以上のような基本構成に加えて、メンテナンス統合処理を実施することにより、検査効率や作業効率の低下を抑制しつつメンテナンスを実施している。メンテナンス統合処理とは、複数のメンテナンスグループが不連続に実施される場合に、予め設定した条件に応じてメンテナンス処理を統合することにより効率化を図るものである。
図5はメンテナンス統合処理を含むメンテナンス処理の実行までの流れを示すフローチャートであり、図6及び図7はメンテナンス統合処理に対応した自動メンテナンス設定画面の一例をそれぞれ示す図である。
図6及び図7に示す自動メンテナンス設定画面600,700は、制御部11の表示部19に表示され、操作部18によって自動メンテナンスに係る設定を定義・登録するものである。
自動メンテナンス設定画面600は、メンテナンスグループ名設定部606、メンテナンス実行条件設定部602、メンテナンス項目設定部601、メンテナンススケジューリング設定部603、登録ボタン604、取消ボタン605などから構成されている。また、自動メンテナンス設定画面700も同様に、メンテナンスグループ名設定部706、メンテナンス実行条件設定部702、メンテナンス項目設定部701、メンテナンススケジューリング設定部703、登録ボタン704、取消ボタン705などから構成されている。
自動メンテナンス設定画面600では、メンテナンスグループ名として「Gr.1」を登録する場合を例示している。メンテナンス実行条件設定部602には、メンテナンス処理が実行される条件として、分析ユニットでの測定回数2000テストが設定されている。メンテナンス項目設定部601には、メンテナンスグループに加入されるメンテナンス項目と、実行順序と、対象となる分析ユニットとが設定されており、第1分析ユニットのサンプルプローブ洗浄がメンテナンス項目として設定されている。メンテナンススケジューリング設定部603には、当該メンテナンスグループのメンテナンス処理を他のメンテナンス処理と統合して実行するメンテナンス統合処理が実行可能かどうかを設定する実行可否設定部603aと、メンテナンス統合処理の実行条件を設定する先行実施範囲値設定部603bとが設けられている。図6では、メンテナンス統合処理が実行不可であり、先行実施範囲値が設定不可(設定不要)である場合を例示している。各設定部601,602,603に入力された情報は登録ボタン604が選択されることにより制御部11の図示しない記憶部に登録される。また、取消ボタン605が選択されることにより、各設定部601,602,603,605の入力内容は取り消される。
自動メンテナンス設定画面700においても同様である。すなわち、自動メンテナンス設定画面700では、メンテナンスグループ名として「Gr.2」を登録する場合を例示している。メンテナンス実行条件設定部702には、メンテナンス処理が実行される条件として、30時間の連続通電が設定されている。メンテナンス項目設定部701には、メンテナンスグループに加入されるメンテナンス項目と、実行順序と、対象となる分析ユニットとが設定されており、第1分析ユニットの光度計チェック、第1及び第2分析ユニットのエアパージの実行順序でメンテナンス項目が設定されている。メンテナンススケジューリング設定部703には、当該メンテナンスグループのメンテナンス処理を他のメンテナンス処理と統合して実行するメンテナンス統合処理が実行可能かどうかを設定する実行可否設定部703aと、メンテナンス統合処理の実行条件を設定する先行実施範囲値設定部703bとが設けられている。先行実施範囲値は、メンテナンス統合処理の実施を判定するための閾値であり、メンテナンス実行条件の到達率を対象としている。図7では、メンテナンス統合処理が実行可能であり、先行実施範囲値として「95%」が設定されている場合を例示している。この場合、メンテナンス実行条件(連続通電時間:30時間)に対して連続通電時間が28.5(=30×0.95)時間以上となった場合(到達率が95%以上となった場合)にメンテナンス統合処理を実施する。なお、他の例としては、例えば、メンテナンス実行条件が測定テスト数1000テストに定義されたメンテナンスグループの場合、対象分析ユニットのテスト数が800テスト測定した場合に到達率は80%となる。各設定部701,702,703に入力された情報は登録ボタン704が選択されることにより制御部11の図示しない記憶部に登録される。また、取消ボタン705が選択されることにより、各設定部701,702,703,705の入力内容は取り消される。
なお、
図5に示すように、制御部11は、まず、操作部18及び表示部19によって自動メンテナンス設定画面600,700で設定されたメンテナンスグループ(メンテナンスグループ名606,706、メンテナンス項目601,701)、メンテナンス実行条件602,702、及びメンテナンススケジューリング設定603,703を登録し(ステップS501)、自動分析装置100を停止状態(スタンバイ状態)からサンプル測定が可能な状態(オペレーション状態)に移行して、試料の分析処理などのオペレーションを開始する(ステップS502)。続いて、ステップS501で登録した自動メンテナンス設定のそれぞれについてメンテナンス実行条件に係る情報を自動分析装置100の各部から取得して監視し(ステップS503)、メンテナンス実行条件が成立したかどうかを判定する(ステップS504)。ステップS504での判定結果がNOの場合、すなわち、メンテナンス実行条件が成立していない間は、ステップS503を繰り返し、メンテナンス実行条件の監視を続ける。また、ステップS504での判定結果がYESの場合には、メンテナンス実行条件が成立したメンテナンスグループとは異なるメンテナンスグループにおいて、メンテナンス統合処理が実施可能であって、かつ、メンテナンス実行条件の到達率が先行実施範囲値以上となっているかどうかを判定し(ステップS605)、判定結果がNOの場合には、メンテナンス実行条件が成立したメンテナンスグループのみで自動メンテナンスを実行し(ステップS606)、処理を終了する。また、ステップS605での判定結果がYESの場合には、メンテナンス統合処理を実施し(ステップS606)、統合したメンテナンスグループに対して自動メンテナンス処理を実行し(ステップS606)、処理を終了する。
上記のメンテナンス統合処理について詳述すると、例えば、図6に示した自動メンテナンス設定画面600で設定したメンテナンスグループ「Gr.1」のメンテナンス実効条件が成立した場合に、自動メンテナンス設定画面700で設定したメンテナンスグループ「Gr.2」のメンテナンス実行条件に対する到達率が先行実施範囲値を超えている場合(連続通電時間が38時間(=40×0.95)に達している場合)、メンテナンスグループ「Gr.1」と「Gr.2」の第1分析ユニットにて実施するメンテナンス処理を統合する。つまり、第1分析ユニットに対するメンテナンスとしてサンプルプローブ洗浄に加えて光度計チェック及びエアパージを統合して実行対象とする。この時、メンテナンスグループ「Gr.2」の第2分析ユニットのメンテナンス処理(エアパージ)は、仮にメンテナンス実行条件に対する第2分析ユニットの到達率が先行実施範囲値を超えていたとしても実行しない。これは、メンテナンスグループ「Gr.1」の実行対象分析ユニットが第1分析ユニットのみである為である。なお、メンテナンス処理を統合する際に、統合対象のメンテナンスグループに同一のメンテナンス項目が定義されていた場合は、1回のみ実行することが考えられる。
図8及び図9は、メンテナンス統合処理の様子を説明する図であって、図8はメンテナンス統合処理を実施した場合のメンテナンス処理の様子を示す図であり、図9はメンテナンス統合処理が実施されない場合のメンテナンス処理の様子を比較例として示す図である。図8及び図9においては、横軸に時間を、縦軸にメンテナンス処理に関係する各処理の実施状況を模式的に示している。
図9の比較例においては、第1分析ユニットは、14:00にメンテナンスグループ「Gr.1」に定義されたメンテナンス実行条件を満たし、メンテナンス準備を実施した後、メンテナンス処理を開始し、その後、測定準備を実施して、14:25に試料の分析処理(測定)を再開している。その直後、14:30にメンテナンスグループ「Gr.2」のメンテナンス実行条件を満たし、メンテナンス準備を実施した後、再度第1分析ユニットにてメンテナンス処理を開始し、その後、測定準備を実施して、14:55に分析処理を再開している。自動メンテナンスを実行する場合には、図4におけるステップS401〜S408の処理が必要になるが、そのうち、ステップS401,S403,S405,S407,S408の処理は、対象となる分析ユニットのサンプル測定状況及び分析ユニットの種類により異なり、各処理ステップで時間を要する。そのため、1つのメンテナンスグループの自動メンテナンスを実行した直後に他のメンテナンスグループの自動メンテナンスを実行すると、ステップS401,S403,S405,S407,S408の処理を再度実行する事となり、分析ユニットがサンプル測定できない時間が延びるため、処理理能力への影響が考えられる。
図8においては、メンテナンス実行条件の到達率が先行実施範囲値以上となってメンテナンス統合処理が実施されている。第1分析ユニットは、14:00にメンテナンスグループ「Gr.1」に定義されたメンテナンス実行条件を満たし、メンテナンス準備を実施した後、メンテナンス処理を開始し、その直後、14:20にメンテナンスグループ「Gr.2」のメンテナンス処理を開始し、その後、測定準備を実施して、14:40に分析処理を再開している。
このように、ある一定範囲において複数のメンテナンスグループを統合して実行する事で、自動メンテナンスの実行に伴うメンテナンス準備及び測定準備を省略可能となり、自動メンテナンスに伴って生じる分析できない時間帯を短くすることが可能となる。
以上のように構成した本実施の形態の効果を説明する。
近年の検査センターなどにおける自動分析装置の運用では、装置を測定可能な状態で24時間継続運転しつつ測定対象の試料を順次投入して大量測定を行い、効率化を図る場合が多くなっている。その一方でメンテナンスは基本的に装置の停止状態で行う必要がありメンテナンスの実行中は試料の測定が行えないため、メンテナンスの実行タイミングによっては検査効率が低下してしまうことが考えられる。また、従来技術においては、サービスエンジニアを含むオペレータによるメンテナンスの起動作業が必要であるため、メンテナンスの開始時にはオペレータが対象の装置に拘束されることとなり、作業効率の低下が懸念される。
これに対して本実施の形態においては、少なくとも1つのメンテナンス処理を含む複数のメンテナンスグループを定義し、分析ユニットの動作状態に関して予め定めた判定開始条件が満たされた場合に、メンテナンスグループのそれぞれについて予め定めたメンテナンス実行条件の到達率が予め定めた閾値を超えているメンテナンスグループのメンテナンス処理を実行するように構成したので、検査効率や作業効率の低下を抑制しつつメンテナンスを実施することにより、分析結果の信頼性を維持することができる。
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態を図10及び図11を参照しつつ説明する。
本実施の形態は、分析ユニットの稼動状況に応じてメンテナンス処理を先行実施する測定中回避処理をさらに行うものである。
図10は本実施の形態におけるメンテナンス処理を示すフローチャートであり、図11は、測定中回避処理に対応した自動メンテナンス設定画面の一例を示す図である。図中、第1の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し説明を省略する。
図11に示す自動メンテナンス設定画面1100は、制御部11の表示部19に表示され、操作部18によって自動メンテナンスに係る設定を定義・登録するものである。
自動メンテナンス設定画面1100は、メンテナンスグループ名設定部1107、メンテナンス実行条件設定部1102、メンテナンス項目設定部1101、メンテナンススケジューリング設定部1103、登録ボタン1104、取消ボタン1105などから構成されている。
自動メンテナンス設定画面1100では、メンテナンスグループ名として「Gr.3」を登録する場合を例示している。メンテナンス実行条件設定部1102には、メンテナンス処理が実行される条件として、分析ユニットでの測定回数5000テストが設定されている。メンテナンス項目設定部1101には、メンテナンスグループに加入されるメンテナンス項目と、実行順序と、対象となる分析ユニットとが設定されており、第1分析ユニットのエアパージがメンテナンス項目として設定されている。メンテナンススケジューリング設定部1103には、当該メンテナンスグループのメンテナンス処理を分析ユニットの稼動状況に応じてメンテナンス処理を先行実施する測定中回避処理で実行可能かどうかを設定する実行可否設定部1103aと、メンテナンス統合処理の実行条件を設定する先行実施範囲値設定部1103bとが設けられている。図11では、測定中回避処理が実行可能であり、先行実施範囲値として「95%」が設定されている場合を例示している。この場合、メンテナンス実行条件(測定テスト数:5000テスト)に対して測定テスト数が4750(=5000×0.95)テスト以上となった場合(到達率が95%以上となった場合)に測定中回避処理を実施する。
ここで、測定中回避処理とは、各メンテナンスグループ単位で、測定中回避範囲値を定義し、定期的に各メンテナンスグループのメンテナンス実行条件の到達率と測定中回避範囲値とを比較する。そして、メンテナンス実行条件の到達率が測定中回避範囲値に達しており、かつ、該当分析ユニットがサンプル測定していない場合に、その条件をトリガとして、先行して該当メンテナンスグループのメンテナンスを自動的に実行するものである。
図10に示すように、制御部11は、まず、操作部18及び表示部19によって自動メンテナンス設定画面1100で設定されたメンテナンスグループ(メンテナンスグループ名1106、メンテナンス項目1101)、メンテナンス実行条件1102、及びメンテナンススケジューリング設定1103を登録し(ステップS1001)、自動分析装置100を停止状態(スタンバイ状態)からサンプル測定が可能な状態(オペレーション状態)に移行して、試料の分析処理などのオペレーションを開始する(ステップS1002)。続いて、ステップS1001で登録した自動メンテナンス設定のそれぞれについてメンテナンス実行条件に係る情報を自動分析装置100の各部から取得して監視し(ステップS1003)、メンテナンス実行条件が成立したかどうかを判定する(ステップS1004)。ステップS1004での判定結果がYESの場合には、自動メンテナンス処理を実行し(ステップS1008)、処理を終了する。また、ステップS1004での判定結果がNOの場合には、測定中回避処理が実施可能であって、かつ、メンテナンス実行条件の到達率が測定中回避囲値以上となっているかどうかを判定し(ステップ1006)、対象の分析ユニットが分析処理中であってサンプル測定しているかどうかを判定する(ステップS1007)。ステップS1006及びステップS1007の判定結果がともにYESの場合には、自動メンテナンス処理を実行し(ステップS1008)、処理を終了する。また、ステップS1006及びステップS1007の判定結果の少なくとも一つがNOの場合には、ステップS1004の処理に戻る。
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においても第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態を図12及び図13を参照しつつ説明する。
本実施の形態は、第1及び第2に実施の形態において、分析ユニットの稼動状況に応じてメンテナンス処理を分割実施する処理をさらに行うものである。
図12は本実施の形態におけるメンテナンス処理を示すフローチャートであり、図13は、測定中回避処理に対応した自動メンテナンス設定画面の一例を示す図である。図中、第1及び第2の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し説明を省略する。
図13に示す自動メンテナンス設定画面1300は、制御部11の表示部19に表示され、操作部18によって自動メンテナンスに係る設定を定義・登録するものである。自動メンテナンス設定画面1300は、メンテナンスグループ名設定部1305、メンテナンス実行条件設定部1302、メンテナンス項目設定部1301、登録ボタン1303、取消ボタン1304などから構成されている。
自動メンテナンス設定画面1300では、メンテナンスグループ名として「Gr.4」を登録する場合を例示している。メンテナンス実行条件設定部1302には、メンテナンス処理が実行される条件として、分析ユニットでの測定回数5000テストが設定されている。メンテナンス項目設定部1301には、メンテナンスグループに加入されるメンテナンス項目、実行順序、及び対象となる分析ユニットのほかに、スタンバイのみ実行設定部1301aが設定されており、第1分析ユニットのエアパージ、試薬プローブ洗浄、反応槽水交換、セルブランク測定、及び、光度計チェックの順にメンテナンス項目として設定されている。また、反応槽水交換、セルブランク測定、及び、光度計チェックについては、スタンバイのみ実行の設定がなされている。
図12に示すように、制御部11は、まず、操作部18及び表示部19によって自動メンテナンス設定画面1300で設定されたメンテナンスグループ(メンテナンスグループ名1305、メンテナンス項目1301)、メンテナンス実行条件1302を登録し(ステップS1201)、自動分析装置100を停止状態(スタンバイ状態)からサンプル測定が可能な状態(オペレーション状態)に移行して、試料の分析処理などのオペレーションを開始する(ステップS1202)。続いて、ステップS1201で登録した自動メンテナンス設定のそれぞれについてメンテナンス実行条件に係る情報を自動分析装置100の各部から取得して監視し(ステップS1203)、メンテナンス実行条件が成立したかどうかを判定する(ステップS1204)。ステップS1204での判定結果がNOの場合、すなわち、メンテナンス実行条件が成立していない間は、ステップS1203を繰り返し、メンテナンス実行条件の監視を続ける。また、ステップS1204での判定結果がYESの場合には、メンテナンス実行対象の分析ユニットスタンバイ以外であるかどうかを判定する(ステップS1205)。ステップS1205での判定結果がYESの場合には、スタンバイのみ実行の設定以外のメンテナンス項目(本実施の形態では、サンプルプローブ洗浄及び試薬プローブ洗浄)をメンテナンス処理の実行対象とするとともに(ステップS1206)、スタンバイのみ実行の設定がなされたメンテナンス項目(本実施の形態では、反応槽水交換、セルブランク測定及び光度計チェック)を実行予約し(ステップS1207)、ステップS1206で実行対象としたメンテナンス項目についてのみ自動メンテナンス処理を実行する(ステップS1209)。また、ステップS1205での判定結果がNOの場合には、当該メンテナンスグループに登録されている全てのメンテナンス項目を実行対象とし(ステップS1208)、実行対象としたメンテナンス項目について自動メンテナンスを実行する(ステップS1209)。ステップS1209での自動メンテナンスを実行した後、対象の分析ユニット(本実施の形態では第1分析ユニット)の状態監視を行い(ステップS1210)、対象の分析ユニットがスタンバイ状態となったかどうかを判定し(ステップS1211)、判定結果がYESになるまでステップS1210の状態監視を継続する。ステップS1211での判定結果がYESの場合には、ステップS1207で実行予約したメンテナンス項目について自動メンテナンス処理を実行し(ステップS1212)、処理を終了する。
その他の構成は第1及び第2の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においても第1及び第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、装置運用によっては、特定のメンテナンスは、スタンバイ状態で実行し、オペレータがメンテナンス実行による効果及び影響を確認するケースが考えられる。しかし、オペレータの負担低減の為に、自動でメンテナンスは実行したい。つまり、上記運用では、自動でメンテナンスを実行したいが、スタンバイ状態以外では実行したくないケースが想定される。そこで、本実施の形態のように、メンテナンスグループに登録する各メンテナンスに対してスタンバイのみ実行メンテナンスを設定可能とする。これにより、メンテナンス実行条件を満たして自動メンテナンスを実行する際、スタンバイのみ実行に設定されたメンテナンス項目は、実行対象分析ユニットがスタンバイ状態でない場合には、メンテナンス予約のみとして実行せず、実行対象分析ユニットがスタンバイ状態になる時に、予約したメンテナンスを自動的に実行するようにすることが可能となる。したがって、メンテナンスグループに登録したメンテナンス項目においても装置状況に合わせて分割して自動メンテナンスを実行する事で、オペレータの運用に合わせたメンテナンス処理の実行が可能になり、検査効率や作業効率の低下をさらに抑制することができる。
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態を図14及び図15を参照しつつ説明する。
本実施の形態は、第1及び第2に実施の形態において、複数のメンテナンスグループに登録するメンテナンス項目の実行対象として異なる分析ユニットを指定する場合に、メンテナンス処理を複数の分析ユニットで同時に行わないようにするものである。
図14は、本実施の形態における自動メンテナンス設定画面のメンテナンス項目設定部1401を抜き出して示す図であり、図15は本実施の形態におけるメンテナンス処理を示すフローチャートである。図中、第1及び第2の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し説明を省略する。
図14に示すように、本実施の形態では複数のメンテナンスグループが登録されている場合を例示する。図14に示すメンテナンス項目設定部1401では、メンテナンスグループ「Gr.5」は、第1分析ユニットをメンテナンス処理の対象とし、サンプルプローブ洗浄、試薬プローブの順でメンテナンス項目が登録されている。また、メンテナンス実行条件としては、対象の分析ユニットの測定テスト数2000テストが定義されている。また、メンテナンスグループ「Gr.6」は、第2分析ユニットを対象とし、メンテナンス項目として光度計チェックが登録されている。また、メンテナンス実行条件としては、対象の分析ユニットの測定テスト数2000テストが定義されている。
本実施の形態では、一度に自動メンテナンスを実施する分析ユニットは1つまでとし、1つの分析ユニットの自動メンテナンスが完了したら、待機させていた他の分析ユニットの自動メンテナンスを実行することにより、作業効率の低下を抑制する。
図13において、制御部11は、まず、予め登録された自動メンテナンス設定のそれぞれについてメンテナンス実行条件に係る情報を自動分析装置100の各部から取得して監視し(ステップS1501)、メンテナンス実行条件が成立したかどうかを判定する(ステップS1502)。ステップS1502の判定結果がNOの場合、すなわち、メンテナンス実行条件が成立していない間は、ステップS1501の処理を繰り返し、メンテナンス実行条件の監視を続ける。また、ステップS1502での判定結果がYESの場合には、自動メンテナンスが実行中の分析ユニットがあるかどうかを判定し(ステップS1503)、判定結果がNOの場合には、ステップS1502でメンテナンス実行条件が成立したと判定されたメンテナンスグループについて自動メンテナンスを実行し(ステップS1505)、処理を終了する。また、ステップS1503での判定結果がYESの場合には、対象の分析ユニットの自動メンテナンスの実行予約を行う(ステップS1506)。続いて、自動メンテナンスの実施状況の監視を行い(ステップS1306)、自動メンテナンスを実行している分析ユニットがあるかどうかを判定し(ステップS1307)、判定結果がYESになるまでステップS1306の処理を繰り返して自動メンテナンスの実施状況を監視する。また、ステップS1307での判定結果がNOの場合には、ステップS1506で実行予約したメンテナンスグループ(本実施の形態では第2分析ユニットのメンテナンス項目を有するメンテナンスグループ)について自動メンテナンス(光度計チェック)を実行し(ステップS1508)、処理を終了する。
その他の構成は第1及び第2の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においても第1及び第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、複数のメンテナンスグループが登録されている場合に、任意のメンテナンスグループのメンテナンス実行条件が達成されて自動メンテナンスが実行されるタイミングにおいて、他の分析ユニットが自動メンテナンスを実行しているケースが発生した場合には、複数の分析ユニットにて同時に自動メンテナンスを行う事となり、サンプル測定不可である分析ユニットが複数存在して、処理能力の大幅な低下を招く事になる。これに対して本実施の形態においては、一度に自動メンテナンスを実施する分析ユニットは1つまでとし、1つの分析ユニットの自動メンテナンスが完了したら、待機させていた他の分析ユニットの自動メンテナンスを実行することにより、作業効率の低下を抑制する。
<第5の実施の形態>
本発明の第5の実施の形態を図16及び図17を参照しつつ説明する。
本実施の形態は、第1及び第2に実施の形態において、1つのメンテナンスグループに登録するメンテナンス項目の実行対象として複数の分析ユニットを指定する場合に、メンテナンス処理を複数の分析ユニットで同時に行わないようにするものである。
図16は、本実施の形態における自動メンテナンス設定画面のメンテナンス項目設定部1601を抜き出して示す図であり、図17は本実施の形態におけるメンテナンス処理を示すフローチャートである。図中、第1及び第2の実施の形態と同様の部材には同じ符号を付し説明を省略する。
図16に示すように、本実施の形態では1つのメンテナンスグループが登録されている場合を例示する。図16に示すメンテナンス項目設定部1601では、メンテナンスグループ「Gr.7」は、第1及び第2分析ユニットをメンテナンス処理の対象とし、エアパージがメンテナンス項目として登録されている。また、メンテナンス実行条件としては、対象の分析ユニットの装置連続通電時間が50時間で定義されている。
本実施の形態においても、第4の実施の形態と同様に、一度に自動メンテナンスを実施する分析ユニットは1つまでとし、1つの分析ユニットの自動メンテナンスが完了したら、待機させていた他の分析ユニットの自動メンテナンスを実行することにより、作業効率の低下を抑制する。
図17において、制御部11は、まず、予め登録された自動メンテナンス設定のそれぞれについてメンテナンス実行条件に係る情報を自動分析装置100の各部から取得して監視し(ステップS1701)、メンテナンス実行条件が成立したかどうかを判定する(ステップS1702)。ステップS1702の判定結果がNOの場合、すなわち、メンテナンス実行条件が成立していない間は、ステップS1701の処理を繰り返し、メンテナンス実行条件の監視を続ける。また、ステップS1702での判定結果がYESの場合には、最初に自動メンテナンスを実行する分析ユニットを決定する(ステップS1703)。第一優先としては、サンプル測定中でない分析ユニットを優先して決定する。すなわち、サンプル測定中で無い分析ユニットは、結果出力まで待つ必要が無いため、最短時間で自動メンテナンスが実行開始できるからである。また、対象分析ユニットが全てサンプル測定中の場合は、サンプル測定完了が最も早く完了する分析ユニットを優先して自動メンテナンスを実行する分析ユニットとして決定する。このように、測定完了が早い分析ユニットを優先して自動メンテナンスを実行する事で、短時間で自動メンテナンスを開始できるため、結果としてオペレーション復帰までの時間が早く、処理能力低下を抑制することができる。また、いずれの分析ユニットもサンプル測定中でない場合は、いずれの分析ユニットから自動メンテナンスを開始しても処理能力に大きさ差は発生しないため、どの分析ユニットから自動メンテナンスを開始してもよい。例えば、図1における検体ラック投入部1に近い順(つまり、分析ユニット5,6,7,8、の順)に優先して自動メンテナンスを実行する。なお、本実施の形態では、上記優先度に従って判定した結果、第1分析ユニットにて最初に自動メンテナンスを実行する事を決定したと仮定する。
ステップS1703で分析ユニットが決定されると、対象の分析ユニット(第1分析ユニット)の自動メンテナンス(エアパージ)を実行し(ステップS1704)、他の分析ユニットの自動メンテナンスの実行予約を行う(ステップS1705)。続いて、自動メンテナンスの実施状況を監視して(ステップS1706)、自動メンテナンスの実行中の分析ユニットがあるかどうかを判定し(ステップS1707)、判定結果がYESになるまでステップS1706の自動メンテナンスの実施状況の監視を繰り返す。また、ステップS1707での判定結果がNOの場合には、予約した自動メンテナンス(第2分析ユニットのエアパージ)を実行し(ステップS1708)、処理を終了する。
その他の構成は第1及び第2の実施の形態と同様である。
以上のように構成した本実施の形態においても第1、第2、及び第4の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本発明は上記した各実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本願発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記した各実施の形態を組み合わせて実施することも可能である。