以下、発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
(実施形態1)
図1は、実施形態1の位置出力装置20を備える位置出力システム1を示す図である。位置出力装置20は、カーナビゲーション装置、スマートフォン等の位置情報を出力する装置である。位置出力装置20は、衛星測位システム(第1の測位システム)と無線LAN測位システム(第2の測位システム)とに対応している。位置出力装置20は、2つの測位システムのいずれかを使用して現在位置を判別する。
位置出力システム1は、複数のNSS送信機111〜11Nと、複数の無線送信機121〜12Nと、位置出力装置20と、を備える。なお、本実施形態において、符号に使用されるNは任意の整数であるものとする。11NのNと12NのNは異なる数であってもよい。
NSS送信機111〜11Nは、それぞれ、航法衛星システム(NSS)が備える航法衛星に搭載される送信機である。NSS送信機111〜11Nは、第1の測位システムの送信機として機能する。航法衛星システムは、全地球航法衛星システム(GNSS)であってもよいし、地域航法衛星システム(RNSS)であってもよい。航法衛星システムは、衛星測位システム(SPS)と呼ばれることもある。全地球航法衛星システムの例として、GPS(Global Positioning System)、GLONASS(Global Navigation Satellite System)、Galileo、Compass等が挙げられる。また、地域航法衛星システムの例として、QZSS(準天頂衛星システム)、DORIS(Doppler Orbitography and Radiopositioning Integrated by Satellite)、IRNSS(Indian Regional Navigation Satellite System)等が挙げられる。NSS送信機111〜11Nは、それぞれ、地上に向けて測位信号(航法信号ともいう。)を送信する。
無線送信機121〜12Nは、ワイヤレスで信号を送信する装置である。無線送信機121〜12Nは、第2の測位システムの送信機として機能する。無線送信機121〜12Nは、例えば、電波、光(赤外線を含む。)、若しくは音(超音波を含む。)を使って信号を送信する。本実施形態では、一例として、無線送信機121〜12Nは、無線LAN通信機(例えば、無線LANアクセスポイント)であるものとする。無線送信機121〜12Nは、例えば、建造物の内部、或いはアミューズメントパーク等の敷地内に設置され、Beacon信号等の地上波を送信する。地上波とは、地上を伝わる電波のことである。
位置出力装置20は、位置情報を出力する装置である。位置出力装置20は、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末であってもよいし、カーナビゲーション装置等、移動体に設置される装置であってもよい。位置出力装置20は、ユーザの移動に伴って、若しくはユーザの移動体の操作に伴って、その位置が変化する。位置出力装置20は、NSS受信部21aと、無線受信部21bと、表示部22と、通信部23と、制御部24と、記憶部25と、を備える。
NSS受信部21aは、NSS送信機111〜11Nから送信される測位信号を受信する装置である。NSS受信部21aは、位置出力装置20の第1の受信手段として機能する。NSS受信部21aは、受信した測位信号を制御部24に送信する。或いは、NSS受信部21aは、測位信号に基づいて判別した位置情報を制御部24に送信する。なお、以下の説明では、理解を容易にするため、NSS受信部21aで受信される測位信号に基づき判別される位置情報のことをグローバル位置情報という。
グローバル位置情報は、予め決められた座標系を判別基準とする位置情報である。例えば、グローバル位置情報は、予め決められた緯度経度座標系を判別基準とする緯度経度情報である。グローバル位置情報には、緯度経度情報に加えて、高度情報が含まれていてもよい。高度情報は、標高であってもよいし、楕円体高であってもよい。楕円体高とは、準拠楕円体から測った高さのことである。
グローバル位置情報の判別基準とされる座標系(以下、グローバル座標系という。)は、世界測地系1984(WGS84)、日本測地系2000(JGD2000)等の全地球的測地系に準拠した緯度経度座標系であってもよい。或いは、グローバル座標系は、日本測地系(TKY)等の局所座標系に属する緯度経度座標系であってもよい。全地球的測地系とは、適用範囲が地球全体に及ぶことが可能な測地系のことをいう。グローバル座標系を全地球的測地系に準拠した座標系とする場合であっても、その座標系の適用範囲は必ずしも地球全体でなくてもよい。座標系の適用範囲は、日本、アメリカ、中国、ヨーロッパ等、地球の一部の領域であってもよい。
無線受信部21bは、無線送信機121〜12Nから送信される信号を受信する装置である。無線受信部21bは、位置出力装置20の第2の受信手段として機能する。無線受信部21bは、例えば、無線LAN受信機である。無線受信部21bは、受信信号を制御部24に送信する。或いは、無線受信部21bは、受信信号に基づいて判別した位置情報を制御部24に送信する。受信信号は、例えば、Beacon信号である。なお、以下の説明では、理解を容易にするため、無線受信部21bで受信される信号に基づき判別される位置情報のことをローカル位置情報という。
ローカル位置情報は、予め決められた座標系を判別基準とする位置情報である。例えば、ローカル位置情報は、予め決められた直交座標系(例えば、XY平面座標系、XYZ空間座標系)を判別基準とする座標情報である。ローカル位置情報は、予め設定された点を座標原点とする座標値(X,Y値、或いはX,Y,Z値)であってもよい。このとき、X,Y値はX軸Y軸方向(水平方向)の値であり、Z値はZ軸方向(高さ方向)の値である。X,Y,Z値は、SI単位系の数値であってもよい。直交座標系は、装置設計者等が管理するマップ(例えば、建築図面、写真等)に適用される任意座標系であってもよい。ローカル位置情報の判別基準となる直交座標系は複数あってもよい。適用範囲が異なる座標系は異なる座標系とみなすことができる。
表示部22は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescent Display)等の表示装置である。表示部22は、制御部24の制御に従って、ユーザに各種情報を表示する。
通信部23は、位置出力装置20を外部の機器と接続するための通信インタフェースである。例えば、通信部23は、USB(Universal Serial Bus)インタフェース等の外部機器接続インタフェースであってもよいし、LAN(Local Area Network)インタフェース等のネットワーク接続インタフェースであってもよい。通信部23は、有線インタフェースであってもよいし、無線LAN、Bluetooth(登録商標)等の無線インタフェースであってもよい。通信部23は、制御部24の制御に従って外部の機器と通信する。
制御部24はプロセッサ等の処理装置である。制御部24は不図示のROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)或いは記憶部25に格納されているプログラムに従って動作することで、後述の「位置出力処理」を含む種々の動作を実現する。図2は制御部24の機能ブロック図である。制御部24は、位置判別部241、マップ取得部242、切換タイミング判別部243、位置出力部244としての機能を有する。位置判別部241は位置出力装置20の位置判別手段として機能し、マップ取得部242は位置出力装置20のマップ取得手段として機能し、切換タイミング判別部243は位置出力装置20の切換タイミング判別手段として機能し、位置出力部244は位置出力装置20の位置出力手段として機能する。図2に示す各機能ブロックは、ソフトウェアブロックであってもよいし、ハードウェアブロックであってもよい。
記憶部25は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部25は位置出力装置20の記憶手段として機能する。図3は、記憶部25に各種データが格納されている様子を示す図である。記憶部25には、マップ情報251、ローカルマップ位置情報252、送信機位置情報253等が格納されている。
マップ情報251は、位置出力装置20が現在位置をユーザに指し示すために使用されるマップデータである。マップ情報251は、グローバルマップG(第1のマップ)と、複数のローカルマップを含む。複数のローカルマップには、ローカルマップA(第2のマップ)と、ローカルマップB(第3のマップ)と、ローカルマップC(第4のマップ)と、が含まれる。グローバルマップGは、グローバル座標系の適用範囲となる領域のマップである。ローカルマップA〜Cは、ローカル座標系の適用範囲となる領域のマップである。なお、本実施形態では、ローカルマップの数は、一例として、A〜Cの3つとするが、ローカルマップの数は3つに限られない。ローカルマップの数は3つより多くてもよいし、少なくてもよい。
図4は、グローバル座標系及びローカル座標系の適用範囲となる各領域の関係を示す図である。領域Gは、グローバル座標系の適用範囲となる領域である。領域Gは、例えば、地球全体、或いは地球の一部の領域である。領域A〜Cは、それぞれ、ローカル座標系の適用範囲となる領域である。領域A〜Cは、それぞれ、領域Gの一部の領域である。領域A、Cは、領域G上の独立した領域であり、領域Bは、領域Aの一部領域である。領域A、Cは、例えば、アミューズメントパークや工場の敷地であり、領域Bは、例えば、アミューズメントパーク内の建造物内である。なお、図4はあくまで一例である。領域の数、範囲、及び従属関係は、図4に示した例に限定されるものではない。
なお、以下の説明では、領域Gを適用範囲とする座標系をグローバル座標系G(第1の座標系)という。また、領域Aを適用範囲とするローカル座標系をローカル座標系A(第2の座標系)、領域Bを適用範囲とするローカル座標系をローカル座標系B(第3の座標系)、領域Cを適用範囲とするローカル座標系をローカル座標系C(第4の座標系)という。ローカル座標系A〜Cの座標原点A〜Cは、装置設計者等が任意に定めてもよい。
図3に戻り、ローカルマップ位置情報252は、グローバルマップG上におけるローカルマップA〜Cの位置を示す情報である。例えば、ローカルマップ位置情報252は、ローカルマップA〜Cの識別情報と座標原点A〜Cの位置情報とを関連付けた情報である。座標原点A〜Cの位置情報は、グローバル座標系Gにおける位置情報である。グローバル座標系Gが緯度経度座標系なのであれば、座標原点A〜Cの位置情報は緯度経度情報である。
なお、座標原点の位置情報は、必ずしもグローバル座標系における位置情報でなくてもよい。該当のローカルマップに上位のローカルマップがあるのであれば、座標原点の位置情報は、上位のローカルマップの座標系における位置情報であってもよい。図4の例であれば、ローカルマップBには上位のローカルマップとしてローカルマップAがあるので、座標原点Bの位置情報は、ローカル座標系Aにおける位置情報であってもよい。ローカル座標系Aが任意座標系なのであれば、座標原点Bの位置情報は、例えば、座標原点AからのSI単位系の距離として表現された位置情報(例えば、X,Y値)である。
図3に戻り、送信機位置情報253は、無線送信機121〜12Nの設置位置が記録された情報である。送信機位置情報253は、無線送信機121〜12Nの識別情報とその設置位置の情報とから構成される。無線送信機121〜12Nは、例えば、ローカル座標系の適用範囲に設置される。図5は、無線送信機121〜126の設置状況の一例を示す図である。図5の例では、無線送信機121〜123の3つの送信機が領域Aに設置されており、無線送信機124〜126の3つの送信機が領域Bに設置されている。無線送信機121〜12Nの位置は、設置領域に適用される座標系の位置情報として記録される。図5の例の場合、無線送信機121〜123の設置位置は、図3に示すように、ローカル座標系A上の位置情報I1〜I3として送信機位置情報253に記録され、無線送信機124〜126の位置は、ローカル座標系B上の位置情報I4〜I6として記録される。
次に、このような構成を有する位置出力装置20の動作について説明する。
位置出力装置20に電源が投入されると、制御部24は位置出力処理を開始する。上述したように、制御部24は、位置判別部241、マップ取得部242、切換タイミング判別部243、位置出力部244としての機能を有する。以下、図6のフローチャートを参照して位置出力処理を説明する。
位置判別部241は、NSS送信機111〜11Nから測位信号を取得する。位置判別部241は、少なくとも、グローバル座標系G及びローカル座標系A〜Cに対応している。すなわち、位置判別部241は、NSS送信機111〜11Nから取得した測位信号に基づいてグローバル座標系Gを基準とした現在位置を判別可能であり、無線送信機121〜12Nから取得した信号に基づいてローカル座標系A〜Cを基準とした現在位置を判別可能である。位置判別部241は、NSS送信機111〜11Nから取得した測位信号に基づいて、グローバル座標系Gを基準とした現在位置P1を判別する(ステップS101)。グローバル座標系Gは緯度経度座標系であるので、現在位置P1は緯度経度情報である。現在位置P1には高度情報が含まれていてもよい。
続いて、位置判別部241は、現在位置P1を判別できたか否か判別する(ステップS102)。現在位置を判別できなかった場合(ステップS102:No)、位置判別部241は、ステップS105に処理を進める。
現在位置P1を判別できた場合(ステップS102:Yes)、マップ取得部242は、記憶部25に格納されている複数のマップの中から、現在位置P1の座標系に対応するマップを取得する。現在位置P1はグローバル座標系Gを基準とした位置情報であるので、対応のマップはグローバルマップGとなる。マップ取得部242は、記憶部25から対応のマップとしてグローバルマップGを取得する(ステップS103)。
グローバルマップGの取得が完了したら、位置出力部244は、ステップS103で取得したグローバルマップGに、現在位置P1を出力する(ステップS104)。グローバルマップGと現在位置P1はいずれもグローバル座標系Gであるので、位置出力部244は、現在位置P1を他の座標系の位置情報に変換することなくマップに出力できる。位置出力部244は、現在位置P1が表示されたグローバルマップGを表示部22に表示する。図7は、現在位置P1が出力されたグローバルマップGが表示部22に表示された様子を示す図である。位置出力部244は、現在位置P1の情報(例えば、緯度経度情報)をログ情報として記憶部25に出力してもよい。
次に、切換タイミング判別部243は、現時点が座標系の切換タイミングであるか否か判別する(ステップS105)。どの時点を切換タイミングとするか否かは装置設計者が任意に設定可能である。例えば、切換タイミング判別部243は、位置出力装置20がある座標系の適用領域から他の座標系の適用領域に入ったタイミングを切換タイミングとしてもよい。図4の例であれば、切換タイミングは、位置出力装置20が、領域Gから領域A又は領域Cに入ったタイミング、領域A又は領域Cから領域Cに入ったタイミング、領域Aから領域Bに入ったタイミング、及び、領域Bから領域Aに入ったタイミングである。
他の座標系の適用領域に入ったか否かを判別する方法は、種々の方法を使用可能である。例えば、切換タイミング判別部243は、他の座標系の適用領域に設置されている無線送信機の1つ或いは複数から、無線受信部21bが予め設定された強度の信号(例えば、設定受信強度以上のBeacon信号)を受信できた場合に、位置出力装置20が他の座標系の領域に入ったと判別してもよい。或いは、切換タイミング判別部243は、他の座標系の領域に設置されている無線送信機からの信号に基づいて位置判別部241が現在位置を判別でき、さらに、判別した現在位置が他の座標系の適用領域内であった場合に、位置出力装置20が他の座標系の領域に入ったと判別してもよい。
現時点が座標系の切換タイミングでない場合(ステップS105:No)、切換タイミング判別部243はステップS107に処理を進める。現時点が座標系の切換タイミングである場合(ステップS105:Yes)、位置判別部241は、現在位置の判別基準となる座標系を他の座標系に切り換える(ステップS106)。例えば、位置出力装置20が、図8(A)に示すように、領域Gから領域Aに入ったとする。図8(A)において、P2の位置が位置出力装置20の位置である。このとき、位置判別部241は、現在位置の判別基準となる座標系をグローバル座標系Gからローカル座標系Aに切り換える。また、位置出力装置20が、図9(A)に示すように、領域Aから領域Bに入ったとする。図9(A)において、P3の位置が位置出力装置20の位置である。このとき、位置判別部241は、現在位置の判別基準となる座標系をローカル座標系Aからローカル座標系Bに切り換える。
位置判別部241は、切り換えた座標系を基準として現在位置を判別する(ステップS107)。切り換えた座標系がグローバル座標系Gなのであれば、位置判別部241は、ステップS101で示した方法と同じ方法で現在位置を判別する。一方、切り換えた座標系がローカル座標系なのであれば、位置判別部241は、無線受信部21bの受信信号に基づき現在位置を判別する。例えば、位置判別部241は、RSS(Received Signal Strength)に基づく位置推定方法を使って現在位置を判別する。例えば、切り換えた座標系がローカル座標系Aであり、その適用領域が図5に示す領域Aであるとする。このとき、位置判別部241は、以下の手順で位置出力装置20の現在位置を判別する。
まず、位置判別部241は、無線送信機121〜123それぞれの受信信号強度RSSを判別する。さらに、位置判別部241は、受信信号の強度(例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator)等)に基づき無線送信機121〜123までの距離をそれぞれ判別する。その後、位置判別部241は、図3に示す記憶部25から無線送信機121〜123のローカル座標系A上の位置情報I1〜I3を取得する。そして、位置判別部241は、無線送信機121〜123までの距離と無線送信機121〜123の位置情報I1〜I3とに基づき、位置出力装置20の現在位置を算出する。なお、現在位置を算出できるだけの数の受信信号を得ることができない場合は、位置判別部241は、最も受信信号強度の強い無線送信機の位置をそのまま現在位置として判別してもよい。
続いて、マップ取得部242は、記憶部25に格納されている複数のマップの中から、ステップS107で取得した現在位置の座標系に対応するマップを取得する(ステップS108)。例えば、ステップS107で取得した現在位置がグローバル座標系Gの位置情報なのであれば、マップ取得部242は、対応するマップとしてグローバルマップGを取得する。ステップS107で取得した現在位置がローカル座標系Aの位置情報なのであれば、マップ取得部242は、対応するマップとしてローカルマップAを取得する。ステップS107で取得した現在位置がローカル座標系Bの位置情報なのであれば、マップ取得部242は、対応するマップとしてローカルマップBを取得する。
続いて、位置出力部244は、ステップS108で取得したマップに、ステップS107で取得した現在位置を出力する(ステップS109)。マップの座標系と現在位置の座標系が一致しているので、位置出力部244は、現在位置を他の座標系の位置情報に変換することなく出力できる。位置出力部244は、現在位置が表示されたマップを表示部22に出力する。例えば、位置判別部241がステップS107でローカル座標系Aの現在位置P2を取得したとする。このとき、位置出力部244は、図8(B)に示すように、ローカルマップAに現在位置P2を表示する。また、位置判別部241がステップS107でローカル座標系Bの現在位置P3を取得したとする。このとき、位置出力部244は、図9(B)に示すように、ローカルマップBに現在位置P2を表示する。位置出力部244は、現在位置を数値情報(例えば、座標値)として表示部22に表示してもよい。また、位置出力部244は、位置出力装置20の現在位置の情報(例えば、SI単位系の座標値と座標原点の緯度経度情報)をログ情報として記憶部25に出力してもよい。位置出力部244は、現在位置の情報を、通信部23を介して外部の装置に出力してもよい。
位置情報の出力が完了したら、制御部24はステップS105に戻り、ステップS105〜ステップS109を繰り返す。
本実施形態によれば、位置出力装置20は、位置判別部241で判別した現在位置を判別基準とした座標系と同じ座標系のマップに出力しているので、判別した現在位置を異なる単位系の位置情報に変換する必要がない。そのため、座標系の変換に伴う誤差や、測位システムそのものが持つ誤差を考慮する必要がないので、位置出力装置20は、複数の測位システムを使用する場合であっても、マップに出力される現在位置を精度の高いものとすることができる。
世界地図の場合は緯度経度の位置情報の方がユーザは情報を扱いやすい。一方、建築図面の場合はSI単位系の位置情報の方がユーザは扱いやすい。位置出力装置20は、複数の座標系に対応しているので、緯度経度に対応したマップ(例えば、世界地図)の場合には緯度経度で位置情報を出力でき、SI単位系に対応したマップ(例えば、建築図面)にはSI単位で位置情報を出力できる。よって位置出力装置20は高い利便性を実現できる。
また、位置出力装置20は、切換タイミング判別部243が判別した切換タイミングに基づいて座標系を切り換えているので、屋内外でシームレスに位置を表示できる。
また、位置出力装置20は、マップの座標系を選ばないので、ユーザは位置出力装置20が位置出力に使用するマップを自由に選択できる。位置出力装置20は、様々な座標系を扱うことができるので、単位の細かな座標系を使用することにより、位置表示の最小単位を詳細化できる。
(実施形態2)
実施形態1では、第2の測位システムは無線LAN測位システムであるものとした。しかしながら、第2の測位システムは、無線LAN測位システムに限られない。第2の測位システムは、IMES(Indoor Messaging System)であってもよい。以下、実施形態2の位置出力装置20を備える位置出力システム1について説明する。
図10は、実施形態2の位置出力装置20を備える位置出力システム1を示す図である。位置出力システム1は、複数のNSS送信機111〜11Nと、複数のIMES送信機131〜13Nと、位置出力装置20と、を備える。複数のNSS送信機111〜11Nは実施形態1と同じであるので説明を省略する。なお、符号に使用されたNは任意の整数である。11NのNと13NのNは異なる数であってもよい。
IMES送信機131〜13Nは、IMES対応の送信機である。IMES送信機は、第2の測位システムの送信機として機能する。IMESは、準天頂衛星システムユーザインタフェース仕様書(IS−QZSS)等で規定されている。IMES送信機131〜13Nは、例えば、地上の建造物の内部に設置される。IMES送信機131〜13Nから送信される信号には、送信機自身の位置情報(経度緯度情報、高度情報)が含まれている。IMES送信機131〜13Nが送信する高度情報は、建物の階数を示すフロア情報である。IMES送信機131〜13Nの送信信号には、ショートID、ミディアムIDと呼ばれるID情報を含ませることができる。
位置出力装置20は、NSS受信部21aと、IMES受信部21cと、表示部22と、通信部23と、制御部24と、記憶部25と、を備える。NSS受信部21a、表示部22、及び制御部24の構成は、実施形態1と同じであるので説明を省略する。
IMES受信部21cは、IMES送信機131〜13Nの送信信号を受信する装置である。IMES受信部21cは、位置出力装置20の第2の受信手段として機能する。IMES受信部21cは、例えば、IMES受信機である。IMES受信部21cは、受信信号を制御部24に送信する。位置判別部241は、受信信号に基づき位置出力装置20の現在位置を判別する。
記憶部25は、データ読み書き可能な記憶装置である。図11は、記憶部25に各種データが格納されている様子を示す図である。記憶部25には、マップ情報251、ローカルマップ位置情報252、送信機位置情報254等が格納されている。マップ情報251、及びローカルマップ位置情報252のデータ構成は実施形態1と同じである。
送信機位置情報254は、IMES送信機131〜13Nの設置位置が記録された情報である。送信機位置情報254は、IMES送信機131〜13Nの識別情報とその設置位置の情報とから構成される。IMES送信機131〜13Nは、例えば、ローカル座標系の適用範囲に設置される。図12は、IMES送信機131〜1315の設置状況の一例を示す図である。図12の例では、IMES送信機131〜1311の11個の送信機が領域Aに設置されており、IMES送信機1312〜1315の4個の送信機が領域Bに設置されている。IMES送信機131〜13Nの位置は、その設置領域に適用される座標系の位置情報として記録される。図12の例の場合、IMES送信機131〜1311の設置位置は、図11に示すように、ローカル座標系A上の位置情報J1〜J11として記録され、IMES送信機1312〜1315の位置は、ローカル座標系B上の位置情報J12〜J15として記録される。
なお、位置出力装置20は、IMES送信機131〜13Nから送信機位置情報254を取得するよう構成されていてもよい。例えば、システム構築者は、IMES送信機131〜13Nが位置出力装置20に送信する情報の中に、IMES送信機自身の位置情報とその周囲にあるIMES送信機の位置情報とが含まれるよう、位置出力システム1を構成する。位置情報の送信には、ID情報(例えば、ミディアムID)が使用されてもよい。なお、IMES送信機が周囲のIMES送信機の位置情報を取得する方法は様々な方法を使用可能である。例えば、IMES送信機は、周囲のIMES送信機と無線通信を試み、通信が確立されたIMES送信機から位置情報を受信することにより、周囲のIMES送信機の位置情報を取得してもよい。位置出力装置20は、IMES送信機から位置情報を取得したら、その取得した位置情報をIMES送信機の識別情報と関連づけて記憶部25に格納してもよい。
次に、このような構成を有する位置出力装置20の動作について説明する。
位置出力装置20に電源が投入されると、制御部24は位置出力処理を開始する。制御部24は、実施形態1と同様に、位置判別部241、マップ取得部242、切換タイミング判別部243、位置出力部244としての機能を有する。以下、図13のフローチャートを参照して位置出力処理を説明する。
位置判別部241は、NSS送信機111〜11Nから取得した測位信号に基づいて、グローバル座標系Gを基準とした現在位置P1を判別する(ステップS201)。そして、位置判別部241は、現在位置P1を判別できたか否か判別する(ステップS202)。現在位置P1を判別できなかった場合(ステップS202:No)、位置判別部241は、ステップS205に処理を進める。現在位置P1を判別できた場合(ステップS202:Yes)、マップ取得部242は、記憶部25に格納されている複数のマップの中から、現在位置P1の座標系に対応するグローバルマップGを取得する(ステップS203)。そして、位置出力部244は、グローバルマップGに現在位置P1を出力する(ステップS204)。位置出力部244は、現在位置P1の情報をログ情報として記憶部25に出力してもよい。
次に、切換タイミング判別部243は、現時点が座標系の切換タイミングであるか否か判別する(ステップS205)。どの時点を切換タイミングとするか否かは装置設計者が任意に設定可能である。例えば、切換タイミング判別部243は、位置出力装置20が、ある座標系の適用領域から他の座標系の適用領域に入ったタイミングを切換タイミングとしてもよい。
他の座標系の適用領域に入ったか否かを判別する方法は、種々の方法を使用可能である。例えば、切換タイミング判別部243は、他の座標系の適用領域に設置されているIMES送信機の1つ或いは複数から緯度経度情報を取得できた場合に位置出力装置20が他の座標系の領域に入ったと判別してもよい。或いは、切換タイミング判別部243は、他の座標系の領域に設置されているIMES送信機からの信号に基づいて位置判別部241が現在位置を判別でき、さらに、判別した現在位置が他の座標系の適用領域内であった場合に、位置出力装置20が他の座標系の領域に入ったと判別してもよい。
現時点が座標系の切換タイミングでない場合(ステップS205:No)、切換タイミング判別部243はステップS207に処理を進める。現時点が座標系の切換タイミングである場合(ステップS205:Yes)、位置判別部241は、現在位置の判別基準となる座標系を他の座標系に切り換える(ステップS206)。そして、位置判別部241は、切り換えた座標系を基準として現在位置を判別する(ステップS207)。切り換えた座標系がローカル座標系なのであれば、位置判別部241は、IMES受信部21cの受信信号に基づき現在位置を判別する。
例えば、IMES受信部21cが予め設定された数以上(例えば、3つ以上)のIMES送信機から信号を受信している場合、位置判別部241は、それらIMES送信機からの受信信号の強度に基づき現在位置を判別してもよい。現在位置の判別基準とする座標系は、切換先の座標系とする。現在位置の情報には、フロア情報が含まれていてもよい。一方、IMES受信部21cが予め設定された数以上のIMES送信機から信号を受信していない場合、位置判別部241は、最も受信信号強度の強いIMES送信機を判別し、判別したIMES送信機の位置をそのまま現在位置として判別する。このとき、位置判別部241は、IMES送信機の位置情報を図11に示す送信機位置情報254から取得してもよい。なお、位置判別部241が現在位置を判別する方法は上記に限られない。例えば、位置判別部241は、GPSと同様に搬送波やコード信号を用いた測位により現在位置を判別してもよい。
続いて、マップ取得部242は、記憶部25に格納されている複数のマップの中から、ステップS207で取得した現在位置の座標系に対応するマップを取得する(ステップS208)。そして、位置出力部244は、ステップS208で取得したマップに、ステップS207で取得した現在位置を出力する(ステップS209)。位置出力部244は、現在位置が出力されたマップを表示部22に表示する。位置出力部244は、位置出力装置20の現在位置の情報(対象座標系の座標値及びフロア情報)をログ情報として記憶部25に出力してもよい。
位置情報の出力が完了したら、制御部24はステップS205に戻り、ステップS205〜ステップS209を繰り返す。
本実施形態においても、位置出力装置20は、マップに出力される現在位置を精度の高いものとすることができる。また、位置出力装置20は、IMESに対応することにより、位置情報としてフロア情報も得ることができる。
(実施形態3)
実施形態1、2では、第2の測位システムは送信機と受信機との間の距離を計測するシステム(以下、測距システムという。)であった。しかしながら、第2の測位システムは必ずしも測距システムでなくてもよい。例えば、第2の測位システムは、RFID(Radio Frequency Identifier)を利用したシステム(例えば、入退室システム)であってもよい。以下、実施形態3の位置出力装置20を備える位置出力システム1について説明する。
図14は、実施形態3の位置出力装置20を備える位置出力システム1を示す図である。位置出力システム1は、複数のNSS送信機111〜11Nと、複数のRFIDリーダ141〜14Nと、位置出力装置20と、を備える。複数のNSS送信機111〜11Nは実施形態1と同じであるので説明を省略する。なお、符号に使用されるNは任意の整数である。11NのNと14NのNは異なる数であってもよい。
RFIDリーダ141〜14Nは、位置出力装置20に付されたRFタグ21dと無線通信する装置である。RFIDリーダ141〜14Nは、第2の測位システムの送信機として機能する。RFIDリーダ141〜14Nは、それぞれ、固有の識別情報を有している。RFIDリーダ141〜14Nは、それぞれ、RFタグ21dから情報をリードするとともに、RFタグ21dを介して位置出力装置20にRFIDリーダの識別情報を送信する。
位置出力装置20は、NSS受信部21aと、RFタグ21dと、表示部22と、通信部23と、制御部24と、記憶部25と、を備える。NSS受信部21a、表示部22、及び制御部24の構成は、実施形態1と同じであるので説明を省略する。
RFタグ21dは、RFIDリーダ141〜14Nと通信するRFIDタグ(ICタグともいう。)である。RFタグ21dは、位置出力装置20の第2の受信手段として機能する。IMES受信部21cは、RFIDリーダ141〜14Nから受信した信号に含まれる識別情報を制御部24に送信する。位置判別部241は、RFIDリーダの識別情報に基づき位置出力装置20の現在位置を判別する。
記憶部25は、データ読み書き可能な記憶装置である。図15は、記憶部25に各種データが格納されている様子を示す図である。記憶部25には、マップ情報251、ローカルマップ位置情報252、RFIDリーダ位置情報255が格納されている。マップ情報251、及びローカルマップ位置情報252のデータ構成は実施形態1と同じである。
RFIDリーダ位置情報255は、RFIDリーダ141〜14Nの設置位置が記録された情報である。RFIDリーダ位置情報255は、RFIDリーダ141〜14Nの識別情報とその設置位置の情報とから構成される。RFIDリーダ141〜14Nは、例えば、ローカル座標系の適用範囲に設置される。
図16は、RFIDリーダ141〜14Nの設置状況の一例を示す図である。図16の例では、RFIDリーダ141〜146の6個の送信機が領域Aに設置されており、RFIDリーダ147〜149の3個の送信機が領域Bに設置されている。領域AはA1〜A6の9つのサブ領域に分割されており、領域BはB1〜B3の3つのサブ領域に分割されている。RFIDリーダ141〜146は、サブ領域A1〜A6の出入口に配置されており、RFIDリーダ147〜149は、サブ領域B1〜B3の出入口に配置されている。具体的には、
RFIDリーダ141は領域Aの出入口(グローバル領域Gとサブ領域A1の境界)に設置されており、RFIDリーダ142はサブ領域A1とA2の境界に設置されており、・・・・、RFIDリーダ146はサブ領域A5とA6の境界に設置されている。また、RFIDリーダ147は領域Bの出入口(領域Aとサブ領域B1の間)に設置されており、RFIDリーダ148はサブ領域B1とB2の境界に設置されており、RFIDリーダ146はサブ領域A5とA6の境界に設置されている。
RFIDリーダ141〜14Nの位置は、その設置領域に適用される座標系の位置情報として記録される。図16の例の場合、RFIDリーダ141〜146の設置位置は、図15に示すように、ローカル座標系A上の位置情報K1〜K6として記録され、RFIDリーダ147〜149の位置は、ローカル座標系B上の位置情報K7〜K9として記録される。位置情報は、座標値であってもよいし、どの領域とどの領域の境界に設置されているかを示す独自のフォーマットの情報であってもよい。
次に、このような構成を有する位置出力装置20の動作について説明する。
位置出力装置20に電源が投入されると、制御部24は位置出力処理を開始する。制御部24は、実施形態1と同様に、位置判別部241、マップ取得部242、切換タイミング判別部243、位置出力部244としての機能を有する。以下、図17のフローチャートを参照して位置出力処理を説明する。
位置判別部241は、NSS送信機111〜11Nから取得した測位信号に基づいて、グローバル座標系Gを基準とした現在位置P1を判別する(ステップS301)。そして、位置判別部241は、現在位置P1を判別できたか否か判別する(ステップS302)。現在位置P1を判別できなかった場合(ステップS302:No)、位置判別部241は、ステップS305に処理を進める。現在位置P1を判別できた場合(ステップS302:Yes)、マップ取得部242は、記憶部25に格納されている複数のマップの中から、現在位置P1の座標系に対応するグローバルマップGを取得する(ステップS303)。そして、位置出力部244は、グローバルマップGに現在位置P1を出力する(ステップS304)。位置出力部244は、現在位置P1の情報をログ情報として記憶部25に出力してもよい。
位置判別部241は、RFIDリーダ141〜14Nのいずれかから信号を受信しているか判別する(ステップS305)。信号を受信していない場合(ステップS305:No)、位置判別部241はステップS308に処理を進める。
信号を受信している場合(ステップS305:Yes)、切換タイミング判別部243は、現時点が座標系の切換タイミングであるか否か判別する(ステップS306)。例えば、切換タイミング判別部243は、座標系の境界(出入口)にあるRFIDリーダから信号を受信した場合に、現時点が座標系の切換タイミングであると判別する。図16の例であれば、切換タイミング判別部243は、RFIDリーダ141、147から信号を受信した場合に、現時点が座標系の切換タイミングであると判別する。どのRFIDリーダから信号を受信したかは、信号に含まれる識別情報を基に判別してもよい。
現時点が座標系の切換タイミングでない場合(ステップS306:No)、切換タイミング判別部243はステップS308に処理を進める。現時点が座標系の切換タイミングである場合(ステップS306:Yes)、位置判別部241は、現在位置の判別基準となる座標系を他の座標系に切り換える(ステップS307)。例えば、現在位置がグローバル領域Gの状態で、RFタグ21dが図16に示すRFIDリーダ141から信号を受信したとする。この場合、位置判別部241は、現在位置の判別基準となる座標系をグローバル座標系Gからローカル座標系Aに切り換える。また、現在位置がローカル領域Aの状態で、RFタグ21dがRFIDリーダ147から信号を受信したとする。この場合、位置判別部241は、現在位置の判別基準となる座標系をローカル座標系Aからローカル座標系Bに切り換える。
続いて、位置判別部241は、切り換えた座標系を基準として現在位置を判別する(ステップS308)。例えば、現在位置がグローバル領域Gの状態でRFタグ21dがRFIDリーダ141から信号を受信したとする。この場合、位置判別部241は、位置出力装置20の現在位置をサブ領域A1と判別する。また、現在位置がサブ領域A1の状態でRFタグ21dがRFIDリーダ142から信号を受信したとする。この場合、位置判別部241は、位置出力装置20の現在位置をサブ領域A2と判別する。
続いて、マップ取得部242は、記憶部25に格納されている複数のマップの中から、現在位置の座標系に対応するマップを取得する(ステップS309)。そして、位置出力部244は、取得したマップに現在位置を出力する(ステップS310)。例えば、現在位置がサブ領域A1なのであれば、位置出力部244は、図16に示すように、サブ領域A1の中央に現在位置P2を表示する。位置出力部244は、現在位置が表示されたマップを表示部22に出力する。位置出力部244は、位置出力装置20の現在位置の情報をログ情報として記憶部25に出力してもよい。
位置情報の出力が完了したら、制御部24をステップS305に戻り、ステップS305〜ステップS310を繰り返す。
本実施形態においても、位置出力装置20は、マップに出力される現在位置を精度の高いものとすることができる。RFIDを使用することにより、位置出力装置20は建物内のどのサブ領域にいるかを確実にユーザに知らせることができる。
(実施形態4)
上位マップの縦横方向(Y軸X軸方向)と下位マップの縦横方向(Y軸X軸方向)は必ずしも一致するとは限らない。例えば、ローカルマップが、施設管理者等が任意に定めた任意座標系を基準としたマップ(例えば、建築図面)であるとする。この場合、ローカルマップのX軸Y軸方向は必ずしも東西南北方向であるとは限らない。多くのグローバルマップはX軸Y軸方向を東西南北方向に合わせているので、この場合、グローバルマップのX軸Y軸方向とローカルマップのX軸Y軸方向は一致しない。また、マップは楕円形の地球の一部を平面に投影したものであるため、座標原点から離れるほど、或いは中央経線から東西に離れるほど、マップの歪みは大きくなる。そのため、グローバルマップのX軸Y軸方向が必ずしも東西南北方向であるとは限らないので、ローカルマップのX軸Y軸方向を東西南北方向と一致させたとしても、グローバルマップのX軸Y軸方向とローカルマップのX軸Y軸方向は必ずしも一致しない。
以上の理由から、例えば図18に示すように、下位マップのX軸Y軸(図の例ではローカルマップAのXA軸YA軸)が上位マップのX軸Y軸(図の例ではグローバルマップGのXG軸YG軸)に対して傾いていることもあり得る。この場合、グローバル座標系Gにおけるローカル座標系Aの座標原点の位置が分かっていたとしても、ユーザは、ローカル座標系Aの位置情報からグローバル座標系Gの位置情報を得ることは困難である。しかし、上位マップのX軸Y軸方向に対する下位マップのX軸Y軸方向の傾き(以下、マップの姿勢という。)が分かれば、ユーザは容易にローカル座標系の位置情報をグローバル座標系の位置情報に変換できる。以下、実施形態4の位置出力装置20を備える位置出力システム1について説明する。
位置出力システム1の機器構成は、図1に示す実施形態1の位置出力システム1と同様である。位置出力システム1は、複数のNSS送信機111〜11Nと、複数の無線送信機121〜12Nと、位置出力装置20と、を備える。位置出力装置20は、位置出力装置20は、NSS受信部21aと、無線受信部21bと、表示部22と、通信部23と、制御部24と、記憶部25と、を備える。制御部24以外の構成は、実施形態1と同じである。
制御部24はプロセッサ等の処理装置である。制御部24は、実施形態1に示した「位置出力処理」に加えて、後述の「姿勢判別処理」も実行可能である。図19は制御部24の機能ブロック図である。制御部24は、位置判別部241、マップ取得部242、切換タイミング判別部243、位置出力部244としての機能に加えて、移動方向情報取得部245、移動方向判別部246、姿勢判別部247としての機能を有する。移動方向情報取得部245は位置出力装置20の移動方向情報取得手段として機能し、移動方向判別部246は位置出力装置20の移動方向判別手段として機能し、姿勢判別部247は位置出力装置20の姿勢判別手段として機能する。図19に示す各機能ブロックは、ソフトウェアブロックであってもよいし、ハードウェアブロックであってもよい。
次に、このような構成を有する位置出力装置20の動作について説明する。切換タイミング判別部243が、図6に示すステップS105で、現時点が座標系の切換タイミングであると判別すると、制御部24は姿勢判別処理を開始する。姿勢判別処理は切換タイミングの度に実行される。また、姿勢判別処理は位置出力処理に並行して実行される。以下、図20のフローチャートを参照して姿勢判別処理を説明する。
移動方向情報取得部245は、座標系の切換タイミングにおける位置出力装置20の移動方向の情報であって、切換先の座標系(下位マップの座標系)を基準とした移動方向の情報を取得する(ステップS401)。例えば、図18に示すように、位置出力装置20がグローバルマップGの領域からローカルマップAの領域に移動し、座標系がグローバル座標系Gからローカル座標系Aに切り換わったとする。このとき、移動方向情報取得部245は、ローカル座標系Aを基準とした位置出力装置20の移動方向の情報を取得する。移動方向の情報は移動方向ベクトルVA(a1,n1)であってもよい。a1は移動方向ベクトルVAのXA軸成分の値であり、n1は移動方向ベクトルVAのYA軸成分の値である。
移動方向情報取得部245は、様々な方法を使用して移動方向情報を取得可能である。例えば、移動方向情報取得部245は、切換タイミングにおける位置出力装置20の現在位置とその一定時間後の位置出力装置20の現在位置とに基づいて移動方向ベクトルを算出してもよい。切換先の座標系の領域が屋内であり、その出入口における位置出力装置20の移動方向が固定されているのであれば、移動方向情報取得部245は、その固定された移動方向をそのまま移動方向ベクトルとしてもよい。このとき、記憶部25には移動方向ベクトルが記憶されていてもよい。
続いて、移動方向判別部246は、座標系の切換タイミングにおける位置出力装置20の移動方向の情報であって、切換元の座標系(上位マップの座標系)を基準とした移動方向の情報を取得する(ステップS402)。例えば、図18に示すように、位置出力装置20がグローバルマップGの領域からローカルマップAの領域に移動し、座標系がグローバル座標系Gからローカル座標系Aに切り換わったとする。このとき、移動方向情報取得部245は、ローカル座標系Gを基準とした位置出力装置20の移動方向の情報を取得する。移動方向の情報は移動方向ベクトルVG(a2,n2)であってもよい。a2は移動方向ベクトルVGのXG軸成分の値であり、n2は移動方向ベクトルVGのYG軸成分の値である。
移動方向判別部246は、様々な方法を使用して移動方向を判別可能である。例えば、移動方向判別部246は、切換タイミングにおける位置出力装置20の現在位置とその一定時間前の位置出力装置20の現在位置とに基づいて移動方向ベクトルを算出してもよい。一定時間前の現在位置情報は、記憶部25に格納されているログ情報から取得してもよい。
次に、姿勢判別部247は、ステップS401で取得した移動方向情報とステップS402で取得した移動方向情報とに基づいて上位マップに対する下位マップの姿勢を判別する(ステップS403)。例えば、姿勢判別部247は、ステップS401で取得した移動方向ベクトルとステップS401で取得した移動方向ベクトルとの角度の差分を下位マップの姿勢として判別する。図18の例であれば、姿勢判別部247は、移動方向ベクトルVA(a1,n1)と移動方向ベクトルVG(a2,n2)との角度の差分を下位マップの姿勢θとして判別する。下位マップの姿勢は角度ではなくベクトルやノルムであってもよい。
下位マップの姿勢の判別が完了したら、位置出力装置20は、判別した下位マップの姿勢を姿勢情報として表示部22或いは記憶部25に出力する(ステップS404)。このとき、位置出力装置20は、現在位置の情報ともに姿勢情報を出力してもよい。出力が完了したら、制御部24は姿勢判別処理を終了する。
本実施形態によれば、ユーザは上位マップを基準とした下位マップの姿勢を容易に知ることができる。よって、ユーザは容易にローカル座標系の位置情報をグローバル座標系の位置情報に変換できる。グローバル座標系上に複数の独立したローカル座標系があったとしても、ユーザはそれら複数のローカル座標系を、グローバル座標系を介して連系させることができる。なお、実施形態4では実施形態1の位置出力装置20に変形を加えたが、実施形態4の変形は実施形態2、3の位置出力装置20にも適用可能である。
上述の各実施形態はそれぞれ一例を示したものであり、種々の変更及び応用が可能である。
例えば、実施形態1〜4では、第2の測位システムは、無線LAN測位システム、IMES測位システム、或いはRFID測位システムであるものとした。しかしながら、第2の測位システムはこれらに限定されない。例えば、第2の測位システムは、UWB(Ultra Wide Band)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、携帯電話網、レーザー、音波、或いは超音波を利用した測位システムであってもよい。このとき、位置出力システム1が備える第2の測位システムの送信機は、UWB通信機(例えば、UWBアクセスポイント)、Bluetooth(登録商標)通信機、ZigBee(登録商標)通信機、携帯電話基地局、レーザー出力装置、音波/超音波出力装置であってもよい。また、位置出力装置20が備える第2の受信手段は、UWB通信機(例えば、UWB子機)、Bluetooth(登録商標)通信機、ZigBee(登録商標)通信機、携帯電波受信装置、レーザー検知装置、音波/超音波検知装置であってもよい。
また、実施形態1〜4では、位置出力装置20が対応する測位システムは第1の測位システムと第2の測位システムの2つであったが、位置出力装置20は2つより多くの測位システムに対応していてもよい。
また、実施形態1、2、4では、位置判別部241は、RSSに基づく位置推定方法を使って、ローカル領域における位置出力装置20の現在位置を判別した。しかしながら、位置判別部241が現在位置を判別する方法はRSS位置推定方法に限定されない。位置判別部241が現在位置を判別する方法は、TOA(Time of Arrival)に基づく位置推定方法であってもよいし、TDOA(Time Difference of Arrival)に基づく位置推定方法であってもよいし、AOA(Angle of Arrival)に基づく位置推定方法であってもよい。
本実施形態の位置出力装置20を制御する制御装置は、専用のコンピュータシステムによって実現してもよいし、通常のコンピュータシステムにより実現してもよい。例えば、上述の動作を実行するためのプログラムを、光ディスク、半導体メモリ、磁気テープ、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、該プログラムをコンピュータにインストールし、上述の処理を実行することによって制御装置を構成してもよい。制御装置は、位置出力装置20の外部の装置(例えば、パーソナルコンピュータ)であってもよいし、位置出力装置20の内部の装置(例えば、制御部24)であってもよい。また、上記プログラムをインターネット等のネットワーク上のサーバ装置が備えるディスク装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションソフトとの協働により実現してもよい。この場合には、OS以外の部分を媒体に格納して配布してもよいし、OS以外の部分をサーバ装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。