JP2017144793A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP2017144793A
JP2017144793A JP2016026220A JP2016026220A JP2017144793A JP 2017144793 A JP2017144793 A JP 2017144793A JP 2016026220 A JP2016026220 A JP 2016026220A JP 2016026220 A JP2016026220 A JP 2016026220A JP 2017144793 A JP2017144793 A JP 2017144793A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
protrusion
tire
front side
side portion
top surface
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016026220A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6690958B2 (ja
Inventor
健史 宮本
Kenji Miyamoto
健史 宮本
博史 名塩
Hiroshi Nashio
博史 名塩
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Tire Corp
Original Assignee
Toyo Tire and Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Tire and Rubber Co Ltd filed Critical Toyo Tire and Rubber Co Ltd
Priority to JP2016026220A priority Critical patent/JP6690958B2/ja
Publication of JP2017144793A publication Critical patent/JP2017144793A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6690958B2 publication Critical patent/JP6690958B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Tires In General (AREA)

Abstract

【課題】空冷による放熱を効果的な促進による空気入りタイヤの耐久性の向上。【解決手段】空気入りタイヤ1は、タイヤサイド部3の表面に設けられた突起11を備える。突起11は、頂面12と、タイヤ回転方向RDで前側の側面である前側面13と、頂面12と前側面13とが交わる前辺部17とを備える。前側面13は、少なくとも1個の窪み23を有するように構成されている。前辺部17は、タイヤ径方向から見て、窪み23の底部よりもタイヤ回転方向RDで前方側に位置している、【選択図】図5

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
特許文献1,2には、空冷のための複数の突起がタイヤサイド部に形成されたランフラットタイヤが開示されている。これらの突起は、タイヤの回転に伴うタイヤサイド部表面の空気流の乱流化を意図している。乱流化によって、タイヤサイド部表面近傍における空気流の速度勾配が大きくなり、放熱性向上が向上する。
国際公開第WO2007/032405号 国際公開第WO2008/114668号
特許文献1,2には、タイヤサイド部表面近傍の空気流の乱流化以外の手法による放熱性向上は、教示されていない。
本発明は、空冷による放熱を効果的に促進することで、空気入りタイヤの耐久性を向上することを課題とする。
本発明者は、タイヤサイド部表面近傍の空気流の速度勾配の最大化について、種々検討した。物体(例えば平板)が流体の流れの中に配置された場合、流体の粘性によって物体表面近傍では流体の速度が急激に低下することが知られている。流体の速度が急変する領域(境界層)の外側に、流体の速度が粘性の影響を受けない領域が形成される。境界層の厚さは物体の前縁から下流側に向けて増大する。物体の前縁付近の境界層は層流であるが(層流境界層)、下流側に向け、遷移領域を経て、乱流となる(乱流境界層)。本発明者は、層流境界層では流体の速度勾配が大きいため物体から流体への放熱効率が高いことに着目し、本発明を完成した。つまり、本発明者は、層流境界層における高い放熱性を、空気入りタイヤの空冷に適用することを着想した。本発明は、かかる新たな着想に基づく。
本発明は、タイヤサイド部に設けられた突起を備え、前記突起は、頂面と、タイヤ回転方向前側の側面である前側面と、前記頂面と前記前側面とが交わる前辺部とを備え、前記前側面は、少なくとも1個の窪みを有するように構成され、前記前辺部は、タイヤ径方向から見て、前記窪みの底部よりも前記タイヤ回転方向前方側に位置している、空気入りタイヤを提供する。
空気入りタイヤの回転時、空気流は突起の前辺部で突起の頂面を流れる主たる空気流と、前側面に案内されたタイヤサイド部の表面を流れる従たる空気流に分断される。突起の頂面の主たる空気流は層流となる。層流(層流境界)の空気流は速度勾配が大きいため、突起の頂面の空冷による放熱が効果的に促進される。前側面は少なくとも1個の窪みを有し、この窪みは従たる空気流に作用する流れ抵抗を増加させる。その結果、分断によって適切な流量の主たる空気流が突起の頂面を流れ、層流による放熱促進が確実に得られる。
本発明の空気入りタイヤによれば、回転時に、タイヤサイド部の表面に形成された突起の前辺部で空気流が分断され、分断された空気流のうち頂面を流れる主たる空気流は層流となるで、空冷による放熱が効果的に促進され、耐久性が向上する。また、前辺部に窪みを設けたことにより、分断による適切な流量の主たる空気流が突起の頂面を流れ、層流による放熱促進が確実に得られる。
本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの子午線断面図。 本発明の実施形態に係る空気入りタイヤの部分側面図。 図2の部分拡大図。 突起の模式的な斜視図。 突起の端面図。 空気流の経路を説明するための突起の平面図。 空気流の経路を説明するための突起の端面図。 突起及び突起間の空気流の経路を説明するための模式図。 境界層を説明するための突起の端面図。 境界層を説明するための突起の端面図。 前端面及び窪みの形状の代案を示す突起の端面図。 前端面及び窪みの形状の代案を示す突起の端面図。 前端面及び窪みの形状の代案を示す突起の端面図。 前端面及び窪みの形状の代案を示す突起の端面図。 前端面及び窪みの形状の代案を示す突起の端面図。 実施形態と異なる前辺部の傾斜角度を有する突起を備える空気入りタイヤの部分側面図。 図13の部分拡大図。 平面視での突起の形状の代案を示す図。 平面視での突起の形状の代案を示す図。 平面視での突起の形状の代案を示す図。 突起の配置の代案を示す図。 突起の配置の代案を示す図。 突起の配置の代案を示す図。 突起の配置の代案を示す図。 頂面の形状の代案を示す突起の端面図。 頂面の形状の代案を示す突起の端面図。 頂面の形状の代案を示す突起の端面図。 縦スリットを設けた突起の斜視図。 横スリットを設けた突起の斜視図。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るゴム製の空気入りタイヤ(以下、タイヤという)1を示す。本実施形態のタイヤ1はサイズ245/40R18のランフラットタイヤである。本発明は、異なるサイズのタイヤにも適用できる。また、本発明は、ランフラットタイヤの範疇に含まれないタイヤにも適用できる。タイヤ1は、回転方向が指定されている。指定された回転方向を図3に矢印RDで示す。
タイヤ1は、トレッド部2、一対のタイヤサイド部3、及び一対のビード部4を備える。個々のビード部4は、タイヤサイド部3のタイヤ径方向の内側端部(トレッド部2とは反対側の端部)に設けられている。一対のビード部4間には、カーカス5が設けられている。カーカス5と、タイヤ1の最内周面のインナーライナー6との間には、補強ゴム7が配置されている。カーカス5とトレッド部2の踏面との間には、ベルト層8が設けられている。言い換えれば、トレッド部2では、カーカス5のタイヤ径方向外側にベルト層8が設けられている。
図2及び図3を参照すると、タイヤサイド部3の表面には、複数の突起11がタイヤ周方向に間隔をあけて設けられている。本実施形態では、これらの突起11の形状、寸法、及び姿勢は同じである。図1では、リム(図示せず)の最外周位置P1からトレッド部1のタイヤ径方向の最も外側の位置までの距離(タイヤ高さ)が符号THで示されている。突起11は、リムの最外周位置P1からタイヤ高さTHの0.05倍以上0.7倍以下の範囲に設けることができる。
本明細書では、タイヤ幅方向から見た突起11の形状に関して「平面視」又はそれに類する用語を使用する場合があり、後述する内端面15側から見た突起11の形状に関して「端面視」又はそれに類する用語を使用する場合がある。
図4及び図5を参照すると、突起11は、本実施形態ではタイヤサイド部3の表面に沿って拡がる平坦面である頂面12を備える。また、突起11は、タイヤ周方向に対向する一対の側面、すなわち前側面13と後側面14とを備える。前側面13はタイヤ回転方向RDの前方側に位置し、後側面14はタイヤ回転方向RDの後方側に位置する。さらに、突起11は、タイヤ径方向に対向する一対の端面、すなわちタイヤ径方向内側の内端面15と、タイヤ径方向外側の外端面16とを有する。後に詳述するように、本実施形態における前側面13は、窪み23を有するように構成されている。本実施形態における後側面14、内端面15、及び外端面16は、タイヤサイド部3の表面に対して概ね垂直に延びる平坦面である。
前辺部17は頂面12と前側面13とが互いに交わる部分であり、後辺部18は頂面12と後側面14とが互いに交わる部分である。内辺部19は頂面12と内端面15とが互いに交わる部分であり、外辺部20は頂面12と外端面16とが互いに交わる部分である。前辺部17、後辺部18、内辺部19、及び外辺部20は、本実施形態のように鋭いないしは明瞭なエッジであってもよいが、端面視である程度湾曲した形状を有していてもよい。本実施形態では、前辺部17、後辺部18、内辺部19、及び外辺部20の平面視での形状は、いずれも直線状である。しかし、これらの平面視での形状は、円弧及び楕円弧を含む曲線状であってもよく、複数の直線から構成された折れ線であってもよく、直線と曲線の組み合わせであってもよい。
図3を参照すると、前辺部17は、平面視において、前辺部17を通るタイヤ径方向に延びる直線に対して傾斜している。言い換えれば、前辺部17はタイヤ径方向に対して傾斜している。前辺部17のタイヤ径方向に対する傾斜角度a1は、前辺部17のタイヤ回転方向RDで最前方側の位置を通り、かつタイヤ径方向に延びる基準直線Lsと、前辺部17が延びる方向(本実施形態では直線である前辺部17自体)とがなす角度(平面視で時計回りを正とする)として定義される。
本実施形態における前辺部17は、平面視で右上がりに延びている。図13及び図14に示すように、突起11は前辺部17が平面視で右下がりに延びる形状であってもよい。本実施形態の後辺部18は、平面視で前辺部17と概ね平行に延びている。また、本実施形態の内辺部19と外辺部20は、平面視で互いに平行に延びている。
図3を参照すると、符号Rはタイヤ半径を示し、符号Rpは突起11のタイヤ径方向の任意の位置のタイヤ回転中心からの距離を示す。また、図3の符号Rpcは突起11の中心pc(例えば平面視での頂面12の図心)のタイヤ回転中心からの距離を示す。さらに、図3の符号hRpは、タイヤ径方向の任意の位置における、突起11のタイヤ周方向の寸法、すなわち突起11の幅を示す。また、図3の符号hRpcは突起の中心pcにおける、突起11の幅を示している。
図5を併せて参照すると、本実施形態では、突起11のタイヤ径方向の任意の位置における突起11の厚みtRpは一定である。つまり、突起11の厚みtRpは、突起11のタイヤ径方向で一様である。また、本実施形態では、突起11の厚みtRpは前側面13(前辺部17)から後側面14(後辺部18)まで一定である。つまり、突起11の厚みtRpは突起11のタイヤ周方向でも一様である。
図5を参照すると、突起11の前側面13は、端面視で傾斜した2個の平坦面24a,24bによって構成されている。頂面12側の平坦面24aは右下がりで、タイヤサイド部3の表面側の平坦面24bは右上がりである。これらの平坦面24a,24bによって、端面視で三角形の窪み23が形成されている。窪み23は、内端面15から外端面16まで延びている。端面視では、突起12の前辺部17は窪み23の底部よりもタイヤ回転方向RDの前方側に位置している。
引き続き図5を参照すると、端面視では、前辺部17において突起11の頂面12と前側面13の頂面12側の平坦面24aとがある角度(先端角度a2)をなしている。本実施形態における前側面13の平坦面24aは、頂面12と平坦面24aとが前辺部17に向けて間隔が狭まるテーパ形状となるような傾斜を有している。言い換えれば、前側面13の平坦面24aの傾斜は、端面視において、平坦面24aの下端が前辺部17よりもタイヤ回転方向RDの後方側に位置するように設定されている。前側面13の平坦面24aがこのような傾斜を有することで、本実施形態の突起11の先端角度a2は鋭角(45°)である。先端角度a2の具体的な定義は後述する。
図6から図8を参照すると、タイヤ1を装着した車両の走行時には、矢印AF0で概念的に示すように、前辺部17側から突起11に流入する空気流がタイヤサイド部3の表面近傍に生じる。図6を参照すると、タイヤサイド部3の表面の特定の位置P2における空気流AF0は、位置P2を通るタイヤ径方向に延びる直線に対して引いた垂線(水平線Lh)に対する角度(流入角度afl)を有する。本発明者が行った解析によると、タイヤサイド245/40R18、突起11の中心Pcのタイヤ回転中心からの距離Rpcが550mm、車両の走行速度80km/hという条件下では、流入角度aflは12°である。また、走行速度が40〜120km/hの範囲で変化すると、流入角度aflには±1°程度の変化がある。実際の使用時には、走行速度に加え、向かい風、車両の構造等を含む種々の要因による影響があるので、前述の条件下における流入角度aflは12±10°程度とみなせる。
引き続き図6から図8を参照すると、空気流AF1は前辺部17から突起11に流入し、この流入時に2つの空気流に分断される。図7に最も明瞭に示すように、一方の空気流AF1は、前側面13から頂面12に乗り上がり、前辺部17から後辺部18に向けて頂面12に沿って流れる(主たる空気流)。他方の空気流AF2は、前側面13に案内されてタイヤサイド部3の表面に沿ってタイヤ径方向外側へ流れる(従たる空気流)。図13及び図14に示すように前辺部17が平面視で右下がりの場合、空気流AF2は前側面13に案内されてタイヤサイド部3の表面に沿ってタイヤ径方向内側へ流れる。
図9を併せて参照すると、突起11の頂面12に沿って流れる空気流AF1は層流となっている。つまり、突起11の頂面12近傍には層流境界層LBが形成される。図9において、符号Vaは空気流AF0,空気流AF1のタイヤサイド部3の表面近傍と突起11の頂面12近傍での速度勾配を概念的に示している。層流である空気流AF1は速度勾配が大きいので、突起11の頂面12から空気流AF1へ高効率で放熱がなされる。言い換えれば、突起11の頂面12の空気流AF2が層流となることで、空冷による放熱が効果的に促進される。効果的に空冷することで、タイヤ1の耐久性が向上する。
図8において矢印AF3で示すように、頂面12を通過して後辺部18から下流側へ流れる空気流は、頂面12からタイヤサイド部3の表面に向かって落下する。空気流AF3はタイヤサイド部3の表面に衝突する。その結果、隣接する突起11,11間では、タイヤサイド部3の表面近傍の領域TAの空気流は乱流となる。この領域TAでは、空気流の乱流化による速度勾配の増大によって、タイヤサイド部3の表面からの放熱が促進される。
以上のように、本実施形態のタイヤ1では、突起11の頂面12の空気流AF1の層流化と、突起11,11間の空気流AF3の乱流化の両方によってタイヤ1の放熱性を向上している。
前側面13には窪み23が設けられており、この窪み23は空気流AF2に作用する流れ抵抗を増加させる。そのため、前側面13の窪み23の形状、寸法、個数を適切に設定することで、突起11の頂面12に沿って流れる空気流AF1と、突起11の前側面13に沿って流れる空気流AF2の流量比率を調節できる。従って、窪み23を設けることで、突起11に流入する空気流AF0の分断によって、適切な流量の空気流AF1が突起11の頂面12を流れ、層流による放熱促進が確実に得られる。
後に詳述するように、タイヤ回転中心からの距離Rpにおける突起11の幅hRp(図3参照)は、突起11の頂面12の後辺部18まで層流境界層LBとなるように設定することが好ましい。しかし、図10に概念的に示すように、突起11の幅hRpは、突起11の頂面12の後辺部18側で、速度境界層が遷移領域TRや乱流境界層TBとなるような比較的長い寸法にすることも許容される。このような場合でも、突起11の頂面12のうち層流境界層LBが形成される領域では、大きな速度勾配により放熱性向上の利点が得られる。
前述した突起11への流入時の空気流AF0の空気流AF1,AF2への分断を生じさせるためには、突起11の厚さtRp、特に前辺部17の部分における厚さtRpが突起11の幅hp(幅hpが一定でない場合は最小幅)よりも小さいことが好ましい。
前述のように突起11へ流入する空気流AF0は流入角度aflを有する。空気流AF0の空気流AF1,AF2への分断を生じさせるためには、平面視での突起11の前辺部17の傾斜角度a1を、前辺部17に対する空気流AF0の進入角度が90°とならないように設定する必要がある。言い換えれば、平面視において、空気流AF0に対して突起11の前辺部17を傾ける必要がある。
図3を参照すると、本実施形態のように、前辺部17が平面視で右上がりである場合、前辺部17は、前辺部17に流入する空気流AF0に対して45°で交差するように設定するのがより好ましい。この場合、上述したように、空気流AF0の流入角度aflは12±10°程度とみなせるので、前辺部17の傾斜角度a1は、以下の式(1)で規定される範囲内に設定することが好ましい。
Figure 2017144793
図14を参照すると、前辺部17が右下がりである場合、前辺部17の傾斜角度a1は以下の式(2)で規定される範囲内に設定することが好ましい。
Figure 2017144793
要するに、前辺部17の傾斜角度は、式(1)又は(2)を満たすように設定することが好ましい。
図5を参照すると、突起11への流入時の空気流AF0の空気流AF1,AF2への分断を生じさせるためには、突起11の先端角度a2は過度に大きく設定しない必要がある。具体的には、先端角度a2は100°以下に設定することが好ましい。より好ましくは、先端角度a2は、鋭角、つまり90°未満に設定される。先端角度a2が過度に小さいことは、前辺部17付近における突起11の強度低下の原因となるので好ましくない。そのため、先端角度a2は、特に45°以上65°以下の範囲に設定することが好ましい。
図3を参照すると、タイヤ径方向の任意の位置における突起11の幅hRpが過度に狭いと、頂面12近傍の層流境界層LBによる突起11からの放熱面積が不足し、層流による放熱促進効果が十分に得られない。そのため、突起11の幅hRpは10mm以上に設定することが好ましい。
引き続き図3を参照すると、タイヤ径方向の任意の位置における突起11の幅hRpは、以下の式(3)を満たすように設定することが好ましい。以下の説明における数式はすべてSI単位系を使用している。
Figure 2017144793
R:タイヤ半径R
Rp:突起上の任意の位置のタイヤ回転中心からの距離
hRp:タイヤ回転中心からの距離Rpにおける突起の幅
幅hRpが小さすぎると速度勾配が増大する領域を十分に確保できず十分な冷却効果が得られない。式(3)における下限値10は、層流による放熱促進効果を確保するための必要最小限の放熱面積に対応している。
幅hRpが大きすぎると突起11上で速度境界層が過度に成長してしまい速度勾配が小さくなり放熱性が悪化する。式(3)における上限値50は、かかる観点から規定されている。以下、上限値を50に設定した理由を説明する。
平板上における速度境界層の発達、すなわち層流境界層LBから乱流境界層TBへの遷移は以下の式(4)で表されることが知られている。
Figure 2017144793
x:層流境界層から乱流境界層への遷移が生じる平板先端からの距離
U:流入速度
ν:流体の動粘性係数
主流の乱れの影響や、遷移領域付近では境界層がある程度成長することで速度勾配が低下することを考えると、十分な冷却効果が得られるために必要な突起11の幅hRpの最大値hRp_maxは、式(4)の距離xの1/2程度と考えられる。従って、突起11の最大幅hRp_maxは、以下の式(5)で表される。
Figure 2017144793
突起11への流体の流入速度Uは、突起11のタイヤ径方向の任意の位置のタイヤ回転中心からの距離Rpとタイヤ角速度の積として表される(U=Rpω)。また、車両速度Vはタイヤ半径Rとタイヤ角速度の積として表される(V=Rω)。従って、以下の式(6)の関係が成立する。
Figure 2017144793
空気の動粘性係数νについて、以下の式(7)が成立する。
Figure 2017144793
式(6),(7)を式(5)に代入することで、以下の式(8)が得られる。
Figure 2017144793
車両速度Vとして80km/hを想定すると、式(8)よりhRp_maxは以下となる。
Figure 2017144793
タイヤ1の発熱がより顕著となる高速走行時、具体的には車両速度Vとして160km/hまでを考慮すると、式(8)よりhRp_maxは以下となる。
Figure 2017144793
このように、高速走行時(車両速度Vとして160km/h以下)であっても、突起11の頂面12の幅方向全体で層流境界層LBが形成されるためには、式(3)の上限値は50となる。
図11Aから図12Bは、突起11の前側面13の端面視での形状に関する種々の代案を示す。
図11Aから図11Cに示す突起11の前側面13は、端面視で、1個の窪み23を構成している。
図11Aの突起11の前側面13は、半円状の断面形状を有する曲面により構成されている。この曲面によって、端面視で半円状の窪み23が形成されている。半円状の窪み23の半径は、例えば1mm以上20mm以下の範囲で設定できる。
図11Bの突起11の前側面13は、端面視で右下がりの平坦面25aと、円弧状の断面形状を有する曲面25bにより構成されている。平坦面25aが突起11の頂面12側に位置し、曲面25bがタイヤサイド部3の表面側に位置している。平坦面25aと曲面25bとによって、窪み23が形成されている。
図11Cの突起11の前側面13は、3個の平坦面26a,26b,26cによって構成されている。端面視では、突起11の頂面12側の平坦面26aは右下がりで、タイヤサイド部3の表面側の平坦面26cは右上がりで、中央の平坦面26bはタイヤ径方向に延びている。これらの平坦面26a〜26cによって多角形状の窪み23が形成されている。
図12A及び図12Bに示す突起11の前側面13は、端面視で、タイヤ径方向に隣接した配置された2個の窪み23A,23Bを構成している。
図12Aの突起11の前側面13は、4個の平坦面27a〜27dによって構成されている。端面視では、突起11の頂面12側の平坦面27aは右下がりであり、タイヤサイド部3の表面に向けて、右上がりの平坦面27b、右下がりの平坦面27c、及び右上がりの平坦面27dが順に配置されている。平坦面27a,27bによって突起11の頂面12側に三角形状の断面形状を有する1個の窪み23Aが形成され、この窪み23Aのタイヤサイド部3の表面側に隣接して、同様に三角形状の断面形状を有する1個の窪み23Bが平坦面27c,27dによって形成されている。
図12Bの突起11の前側面13は、半円状の断面形状を有する2個の曲面28a,28bによって構成されている。突起11の頂面12側の曲面28aによって、半円状の断面形状を有する1個の窪み23Aが形成され、この窪み23Aのタイヤサイド部3の表面側に隣接して、同様に半円状の断面形状を有する1個の窪み23Bが曲面28bによって形成されている。
突起11の前側面13は、端面視で、タイヤ径方向に隣接した配置された3個以上の窪みを構成してもよい。
前述したように、前側面13の窪み23の形状、寸法、個数を適切に設定することで、突起11の頂面12に沿って流れる空気流AF1と、突起11の前側面13に沿って流れる空気流AF2の流量比率を調節できる。
図13から図16Dは、突起11の平面視での形状の種々の代案を示す。
図13及び図14の突起11は、前述のように平面視で右上がりに延びる前辺部17を有する。
図15Aの突起11の後辺部18は、傾斜角度の異なる2本の直線により構成された平面視での形状を有する。
図15B,16Cの突起11は、前辺部17が右上がりに延びるのに対し、後辺部18が右下がりに延びる平面視での形状を有する。特に、図15Cの突起11は、等脚台形状の平面視での形状を有する。
図16Aでは、タイヤサイド部3の表面に、幅hRpが異なる2種類の突起11が交互に配置されている。
図16B,図16Cでは、タイヤサイド部3の表面に、前辺部17の傾斜角度a1が異なる2種類の突起11が交互に配置されている。図17Bでは、2種類の突起11はいずれも右上がりの前辺部17を有する。図17Cでは、2種類の突起11のうちの一方は右上がりの前辺部17を有し、他方の突起11は右下がりの前辺部17を有する。
図16Dでは、タイヤサイド部3の表面に、タイヤ径方向の位置が異なる2種類の突起11が交互に配置されている。
図17Aから図17Cは、突起11の頂面12の端面視での形状の種々の代案を示す。図17Aの突起11は、端面視において翼断面形状の頂面12を有する。図17Bの突起11は、端面視において円弧状の頂面12を有する。図17Cの突起11は、端面視において翼断面形状でも円弧状でもない曲線状の頂面12を有する。
図11Aから図12Bの前側面13の形状のうちのいずれかと、図17Aから図17Cの頂面12の形状のいずれかを組み合わせて、1個の突起11を構成してもよい。
図5、図11Aから図12B、図17Aから図17Cを参照すると、前辺部17において突起11の頂面12と前側面13とがなす角度、すなわち突起11の先端角度a2は、端面視において、頂面12に対応する直線Ltと、前側面13の前辺部17近傍の部分に対応する直線Lfsとがなす角度として定義される。
直線Ltは、頂面12のうち厚みtRpが最も大きい部分を通り、かつタイヤサイド部3の表面に沿って延びる直線として定義される。図5、図11Aから図12Bを参照すると、頂面12がタイヤサイド部3の表面に沿って延びる単一の平坦面である場合、端面視において頂面12自体を延長して得られる直線が直線Ltである。図17Aから図17Cを参照すると、頂面12が曲面である場合、端面視で頂面12のうち厚みtRpが最も大きい位置P3を通り、かつタイヤサイド部3の表面に沿って延びる直線が直線Ltである。
図5、図11B、図11C、図12A、図17Aから図17Cのように、前側面13の最も前辺部17に近接した部分が傾斜した平坦面24a,25a,27aで構成されている場合、端面視でこれらの平坦面24a,25a,27a自体を延長して得られる直線が直線Lfsである。図11A、図12Bのように、前側面13の最も前辺部17に近接した部分が曲面13,18aで構成されている場合、端面視において前辺部17と最も頂面12側の窪み23,23Aの最も窪んだ位置とを接続する直線が、直線Lfsである。
(その他の実施形態)
図18を参照すると、頂面12における層流の形成を顕著に阻害しないのであれば、タイヤ径方向に延びる1本の縦スリット33よって、1個の突起11をタイヤ周方向に並べられた2個の互いに独立した部分に分割してもよい。2本以上縦スリット33によって、1個の突起11を3個以上の互いに独立した部分に分割してもよい。
図19を参照すると、頂面12における層流の形成を顕著に阻害しないのであれば、タイヤ周方向に延びる1本の横スリット34によって、1個の突起11をタイヤ径方向に並べられた2個の互いに独立した部分に分割してもよい。2本以上の縦スリット34によって、1個の突起11を3個以上の互いに部分に分割してもよい。
1本以上の縦スリット33と1本以上の横スリット34とを設けることで、1個の突起11を4個以上の複数の部分に分割してもよい。
縦スリット33及び横スリット34の深さは、図18及び図19に示すように、これらのスリット33,34が頂面12からタイヤサイド部3の表面まで達するように設定してもよいし、これらのスリット33,34がタイヤサイド部3の表面まで達しないように設定してもよい。
1 タイヤ
2 トレッド部
3 タイヤサイド部
4 ビード部
5 カーカス
6 インナーライナー
7 補強ゴム
8 ベルト層
11 突起
12 頂面
13 前側面
14 後側面
15 内端面
16 外端面
17 前辺部
18 後辺部
19 内辺部
20 外辺部
23,23A,23B 窪み
24a,24b,25a,26a〜26c,27a〜27d 平坦面
25b,28a,28b 曲面
31 突条
32 溝
33 縦スリット
34 横スリット
RD 回転方向
P1 リムの最外周位置
P2 タイヤサイド部の表面の特定の点
P3 頂面の厚みが最も大きい位置
Ls 基準直線
Lt,Lfs 直線
Lh 水平線
AF0,AF1,AF2 空気流
Va 空気流の速度
LB 層流境界層
TR 遷移領域
TB 乱流境界層
TA 乱流の領域

Claims (11)

  1. タイヤサイド部に設けられた突起を備え、
    前記突起は、頂面と、タイヤ回転方向前側の側面である前側面と、前記頂面と前記前側面とが交わる前辺部とを備え、
    前記前側面は、少なくとも1個の窪みを有するように構成され、
    前記前辺部は、タイヤ径方向から見て、前記窪みの底部よりも前記タイヤ回転方向前方側に位置している、空気入りタイヤ。
  2. 前記突起は、タイヤ径方向に対向する一対の端面を備え、
    前記窪みは、一方の前記端面から他方の端面まで延びている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記窪みは、タイヤ径方向に並べて配置された複数個の窪みを含む、請求項1又は請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記タイヤサイド部の前記表面から前記突起の前記頂面までの距離である前記突起の厚さは、前記頂面のタイヤ周方向の寸法である前記突起の幅よりも小さく、
    前記突起の前記幅は10mm以上である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記突起の前記幅は、以下を満たす、請求項4に記載の空気入りタイヤ。
    Figure 2017144793
    R:タイヤ半径R
    Rp:突起上の任意の位置のタイヤ回転中心からの距離
    hRp:タイヤ回転中心からの距離Rpにおける突起の幅
  6. 前記前辺部は、タイヤ幅方向から見て、前記前辺部を通るタイヤ径方向に延びる直線に対して傾斜を有する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記タイヤ幅方向から見た、前記突起の前記前辺部の傾斜角度は、以下を満たす、請求項6に記載の空気入りタイヤ。
    Figure 2017144793
    a1:傾斜角度
  8. 前記前側面は複数の平坦面により構成されている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記前側面は曲面により構成されている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  10. 前記曲面はタイヤ径方向から見て円弧状の形状を有する、請求項9に記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記前側面は平坦面と曲面とにより構成されている、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
JP2016026220A 2016-02-15 2016-02-15 空気入りタイヤ Active JP6690958B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016026220A JP6690958B2 (ja) 2016-02-15 2016-02-15 空気入りタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016026220A JP6690958B2 (ja) 2016-02-15 2016-02-15 空気入りタイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017144793A true JP2017144793A (ja) 2017-08-24
JP6690958B2 JP6690958B2 (ja) 2020-04-28

Family

ID=59682526

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016026220A Active JP6690958B2 (ja) 2016-02-15 2016-02-15 空気入りタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6690958B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008174226A (ja) * 2006-12-21 2008-07-31 Bridgestone Corp 空気入りタイヤ
WO2008096879A1 (ja) * 2007-02-09 2008-08-14 Bridgestone Corporation 空気入りタイヤ
JP2008302740A (ja) * 2007-06-05 2008-12-18 Bridgestone Corp 空気入りタイヤ
JP2013001135A (ja) * 2011-06-10 2013-01-07 Bridgestone Corp タイヤ
JP2013071669A (ja) * 2011-09-28 2013-04-22 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ
JP2016020187A (ja) * 2014-07-15 2016-02-04 住友ゴム工業株式会社 ランフラットタイヤ

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008174226A (ja) * 2006-12-21 2008-07-31 Bridgestone Corp 空気入りタイヤ
WO2008096879A1 (ja) * 2007-02-09 2008-08-14 Bridgestone Corporation 空気入りタイヤ
JP2008302740A (ja) * 2007-06-05 2008-12-18 Bridgestone Corp 空気入りタイヤ
JP2013001135A (ja) * 2011-06-10 2013-01-07 Bridgestone Corp タイヤ
JP2013071669A (ja) * 2011-09-28 2013-04-22 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ
JP2016020187A (ja) * 2014-07-15 2016-02-04 住友ゴム工業株式会社 ランフラットタイヤ

Also Published As

Publication number Publication date
JP6690958B2 (ja) 2020-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5222736B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP5243015B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP6712146B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP6730042B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP6702749B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2009029370A (ja) 空気入りタイヤ
JP2017144786A (ja) 空気入りタイヤ
JP2017144787A (ja) 空気入りタイヤ
JP6649109B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP6730041B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2017144795A (ja) 空気入りタイヤ
JP2017144793A (ja) 空気入りタイヤ
JP2017144796A (ja) 空気入りタイヤ
JP2017144792A (ja) 空気入りタイヤ
JP2017144797A (ja) 空気入りタイヤ
JP6707359B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2017144789A (ja) 空気入りタイヤ
JP2017144795A5 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181218

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191108

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191119

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191202

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200407

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200409

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6690958

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250