JP2017141939A - 補機駆動ベルト張力調整装置 - Google Patents

補機駆動ベルト張力調整装置 Download PDF

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Abstract

【課題】補機駆動系の高信頼性と損失低減とを両立することが可能な補機駆動ベルト張力調整装置を提供すること。【解決手段】補機駆動ベルト張力調整装置10は、油圧によって第1プーリと第2プーリとの間で駆動力を伝達するベルトの緩み側区間に張力を与えるローラを駆動するベルト張力調整機構と、ベルト張力調整機構に油圧配管51を介して油圧を供給する油圧供給機構4と、を備える。油圧供給機構4は、第2プーリ2に構成され、第2プーリ2のシャフト7に固定された第1ハウジング41と、第1ハウジング41の周方向外側に設けられ、第1ハウジング41に対して周方向に回動自在に支持された第2ハウジング42と、第2ハウジング42に与えられたトルクに応じて変化する周方向の位相差により容積が減少する油圧室43と、油圧室43から供給される作動油を油圧配管51に供給する油流路44と、を含む。【選択図】図5

Description

本発明は、補機駆動ベルト張力調整装置に関する。
近年、自動車の環境負荷低減に対する要求が高まっており、燃費規制(CO2排出量削減)の厳格化への対応が求められている。このような環境保全や省資源化要求に対し、燃費向上アイテムへのニーズが増加しており、アイドリングストップ機構の搭載やハイブリッド化が進んでいる。自動車の内燃機関においては、主機であるエンジンや、エアコン等を稼働するために必要なウォーターポンプやコンプレッサ、ラジエータファン等の補機類を補機ベルトで機械的に接続して駆動するベルト駆動方式の補機駆動ベルトシステム(以下、「補機駆動系」という)が一般的である。補機駆動系は、主機プーリであるクランクプーリと各補機プーリとに巻き掛けられた補機ベルトを介して駆動力が伝達される。この補機駆動系においても、損失低減ニーズが高まってきている。
ベルトにより駆動力を伝達する補機駆動系においては、各プーリとベルトとの間でスリップが発生しないような張力をベルトに与える必要があるため、ベルトの張力を一定値とするためのテンショナーを用いるのが一般的である。このテンショナーは、テンショナーを設けた区間のベルトの張力を一定に保つ機能を有している。ベルトに掛かる張力は、駆動プーリによって引き込まれる側(以下、「張り側」ともいう)で大きくなり、駆動プーリによって押し出される側(以下、「緩み側」ともいう)で小さくなる。例えば、補機としてオルタネータが設けられている場合には、主機プーリであるエンジンのクランクプーリが駆動プーリとなり、補機プーリであるオルタネータプーリが従動プーリとなる。
ベルトを駆動するために必要な張力は、ベルトによって伝達される伝達トルクに比例して大きくなる。すなわち、ベルトを駆動するために必要な張力の適正値は、従動プーリの負荷状態によって変化する。具体的には、例えば、オルタネータの発電量に応じてベルトを駆動するために必要な張力が変化する。オルタネータの発電量が大きく伝達トルクが大きい場合には、オルタネータの発電量が小さく伝達トルクが小さい場合と比較して、オルタネータのロータに接続された補機プーリの回転抵抗が増加するため、大きな伝達トルクを得るためには、小さな伝達トルクを得る場合よりも大きな張力が必要となる。このため、テンショナーは、例えば、オルタネータの発電量が最大となってオルタネータの補機プーリの回転抵抗が最大となったとしても、各プーリとベルトとの間でスリップ等が発生しないように、予めオルタネータの最大発電量に対応した張力が得られるように設定される。
ここで、張り側にテンショナーを設けた場合には、従動プーリの負荷が最大となったとしても、ベルトに掛かる張力が小さい緩み側の張力が、各プーリとベルトとの間でスリップ等が発生しないような張力となるように、ベルトの張り側に与える張力(以下、「張り側張力」という)を設定する必要がある。すなわち、従動プーリの負荷が最大となったとき、各プーリとベルトとの間でスリップ等が発生しないような緩み側の張力が得られるような張り側張力を初期張力として設定する必要がある。このように、張り側にテンショナーを設けた場合には、従動プーリの最大負荷時に必要な張り側張力を初期張力として設定する必要があるため、従動プーリの負荷が小さく伝達トルクが小さいときに不要な張力がベルトに掛かることとなり、ベルトによる駆動力の伝達効率が低下する。
一方、緩み側にテンショナーを設けた場合には、ベルトの緩み側に与える張力(以下、「緩み側張力」という)の初期張力を、従動プーリの最大負荷時に必要な緩み側張力とすればよい。すなわち、補機駆動系においてテンショナーを設ける場合、ベルトの張り側にテンショナーを設ける場合よりも、ベルトの緩み側にテンショナーを設ける場合の方が、ベルトに与える初期張力を小さくすることができる。このため、テンショナーは、ベルトの緩み側に設けるのが好ましい。
例えば、特許文献1には、補機類の動作状態に応じて補機を揺動させることで、ベルトに掛かる張力を調整するベルト張力調整装置が記載されている。
特開2009−180177号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のものは、補機(モータジェネレータ)自体を揺動する構造であるため、揺動を繰り返すことによってモータジェネレータの配線が疲労劣化により断線する可能性があり、補機駆動系における信頼性の低下要因となり得る。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、補機駆動系の高信頼性と損失低減とを両立することが可能な補機駆動ベルト張力調整装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、補機駆動ベルト張力調整装置は、油圧によって第1プーリと第2プーリとの間で駆動力を伝達するベルトの緩み側区間に張力を与えるローラを駆動するベルト張力調整機構と、前記ベルト張力調整機構に油圧配管を介して油圧を供給する油圧供給機構と、を備え、前記油圧供給機構は、前記第2プーリのシャフトに固定された第1ハウジングと、前記第1ハウジングの周方向外側に設けられ、前記第1ハウジングに対して周方向に回動可能に支持された第2ハウジングと、前記第2ハウジングに与えられたトルクに応じて変化する前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間の回動運動により生じた周方向の位相差により容積が減少する油圧室と、前記油圧室から供給される作動油を前記油圧配管に供給する油流路と、を含んでいる。
上記構成により、伝達トルクに比例した緩み側張力をベルトに与えることができ、補機駆動系の損失を低減することが可能となる。
また、上記構成において、前記油圧供給機構は、転動体を挟みそれぞれカム面を軸方向に対向して配置され、弾性部材によって軸方向に付勢力を与えられる円環状の第1カム板及び第2カム板を含み、前記第1カム板は、前記第1ハウジングに対し周方向位置が固定されて配置され、前記第2カム板は、前記第2ハウジングに対し周方向位置及び軸方向位置が固定されて配置され、前記油圧室は、前記第1ハウジング、前記第2ハウジング、及び前記第1カム板で囲われた空間であり、前記油流路は、前記油圧室から前記第1ハウジング及び前記第2プーリのシャフトを貫通して、前記第2プーリの回転軸心に開口され、当該開口部に前記油圧配管が接続されていても良い。
また、望ましい態様として、前記油圧室は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間、前記第1ハウジングと前記第1カム板との間、及び、前記第2ハウジングと前記第1カム板との間が、それぞれシール部材で密封されているのが好ましい。
上記構成により、油圧室内の作動油が漏れてベルト張力調整機構に与える油圧が逃げない密封構造とすることができる。
また、上記構成において、前記油圧供給機構は、転動体を挟みそれぞれカム面を軸方向に対向して配置され、円環部材と前記油圧室内の作動油とを介して、弾性部材によって軸方向に付勢力を与えられる円環状の第1カム板及び第2カム板を含み、前記第1カム板は、前記第1ハウジングに対し周方向位置が固定されて配置され、前記第2カム板は、前記第2ハウジングに対し周方向位置及び軸方向位置が固定されて配置され、前記油圧室は、前記第1ハウジング、前記第2ハウジング、前記円環部材、及び前記第1カム板で囲われた空間であり、前記油流路は、前記油圧室から前記第1ハウジング及び前記第2プーリのシャフトを貫通して、前記第2プーリの回転軸心に開口され、当該開口部に前記油圧配管が接続されていても良い。
また、望ましい態様として、前記油圧室は、前記第1ハウジングと前記円環部材との間、前記第2ハウジングと前記円環部材との間、前記第1ハウジングと前記第1カム板との間、及び、前記第2ハウジングと前記第1カム板との間が、それぞれシール部材で密封されているのが好ましい。
上記構成により、油圧室内の作動油が漏れてベルト張力調整機構に与える油圧が逃げない密封構造とすることができる。
また、望ましい態様として、前記油圧配管の中間部に油圧の倍力装置を備えているのが好ましい。
上記構成により、補機駆動系に対する適用範囲が広い補機駆動ベルト張力調整装置を得ることができる。
本発明によれば、補機駆動系の高信頼性と損失低減とを両立することが可能な補機駆動ベルト張力調整装置を提供することができる。
図1は、補機駆動系の一例を示す図である。 図2は、駆動プーリにおける伝達トルクと、張り側及び緩み側における張力との関係を示す概念図である。 図3は、2つのプーリにベルトが巻き掛けられた補機駆動系における伝達トルクと張力との関係を示す図である。 図4は、実施形態1に係る補機駆動ベルト張力調整装置を適用した補機駆動系の構造概念図である。 図5は、実施形態1に係る補機駆動ベルト張力調整装置の油圧供給機構の概略断面図である。 図6は、第1カム板、転動体、及び第2カム板を図5に示すA矢示方向に見た図である。 図7は、第1カム板、転動体、及び第2カム板を図6に示すB矢示方向に見た図である。 図8は、第1プーリが駆動力を発生しているときの実施形態1に係る補機駆動ベルト張力調整装置の油圧供給機構の状態変化を示す図である。 図9は、第1プーリが駆動力を発生しているときの実施形態1に係る補機駆動ベルト張力調整装置の動作例を示す図である。 図10は、実施形態2に係る補機駆動ベルト張力調整装置の油圧供給機構の概略断面図である。 図11は、第1プーリが駆動力を発生しているときの実施形態2に係る補機駆動ベルト張力調整装置の油圧供給機構の状態変化を示す図である。 図12は、実施形態3に係る補機駆動ベルト張力調整装置を適用した補機駆動系の構造概念図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、補機駆動系の一例を示す図である。図1に示す補機駆動系は、例えば自動車の内燃機関において、主機であるエンジンや、エアコン等を稼働するために必要なウォーターポンプやコンプレッサ、ラジエータファン等の補機類を補機ベルトで機械的に接続して駆動するベルト駆動方式の補機駆動ベルトシステムであり、主機であるエンジンのクランクシャフトに設けられたクランクプーリ101と、各補機類のシャフトに設けられた補機プーリ201〜205とにベルト301が巻き掛けられ、ベルト301を介して各補機類に駆動力が伝達される。
本実施形態では、図1に示す例において、エンジンによって発生する駆動力を各補機類に伝達する際に、エンジンのクランクプーリ101を駆動プーリと称し、各補機類の補機プーリ201〜205を従動プーリと称する。また、補機類としてスタータ機能付き発電機(ISG:Integrated Starter Generator)が設けられた補機駆動系において、ISGによる駆動力を伝達してエンジン始動や駆動アシストを行う場合には、ISGのシャフトに設けられたISGプーリが駆動プーリとなり、クランクプーリ101が従動プーリとなる。
図2は、駆動プーリにおける伝達トルクと、張り側及び緩み側における張力との関係を示す概念図である。図3は、2つのプーリにベルトが巻き掛けられた補機駆動系における伝達トルクと張力との関係を示す図である。図2及び図3に示す例では、駆動プーリ100が矢示方向に駆動力を発生させているときの張り側張力T1と緩み側張力T2との関係を示している。図3(a−1)は、張り側及び緩み側の何れにもテンショナー400を設けていない例を示し、図3(a−2)は、張り側及び緩み側の何れにもテンショナー400を設けていない場合の伝達トルクと張力との関係を示している。図3(b−1)は、張り側にテンショナー400を設けた例を示し、図3(b−2)は、張り側にテンショナー400を設けた場合の伝達トルクと張力との関係を示している。図3(c−1)は、緩み側にテンショナー400を設けた例を示し、図3(c−2)は、緩み側にテンショナー400を設けた場合の伝達トルクと張力との関係を示している。また、図3(a−2)乃至図3(c−2)に記載した破線は、張り側張力T1の理想特性を示し、図3(a−2)乃至図3(c−2)に記載した一点鎖線は、緩み側張力T2の理想特性を示している。
図2に示すように、駆動プーリ100が矢示方向に回転して駆動力を発生させたとき、ベルトによって伝達される伝達トルクNは、駆動プーリ100の半径r、張り側張力T1、緩み側張力T2を用いて以下の式で表される。
N=r×(T1−T2)
上式に示すように、伝達トルクNは、張り側張力T1と緩み側張力T2との張力差T1−T2と比例する。すなわち、補機駆動系においてスリップを生じることなくトルクを伝達するために必要な張力差T1−T2を与えることで、駆動プーリ100が発生させた駆動力を従動プーリに伝達することができる。
図3(a−1)に示すように、張り側及び緩み側の何れにもテンショナー400を設けていない場合でも、図3(a−2)に示すように、ベルトに掛かる初期張力T0を適切に設定すれば、補機駆動系における最大伝達トルクNmaxを得ることができる。ここで、緩み側張力T2が最大伝達トルクNmaxを得るための緩み側張力T2の最小値T2min以下となると、最大伝達トルクNmaxあるいはそれ以下の伝達トルク領域においてベルト300のスリップが発生することとなる。従って、補機駆動系において達成しようとする最大伝達トルクNmaxの発生時において、緩み側張力T2が最小値T2minを下回らないように、初期張力T0を設定する必要がある。図3に示す例では、最大伝達トルクNmaxの発生時において、緩み側張力T2が最小値T2minとなったときの張り側張力T1の最大値をT1maxとしている。
図3(b−1)に示すように、張り側にテンショナー400を設けて、張り側張力T1を一定に保つことで最大伝達トルクNmaxを達成しようとすると、図3(b−2)に示すように、初期張力T0がT1max以上となるようにテンショナー400を設定する必要がある。この場合には、最大伝達トルクNmax以下の伝達トルク領域において、本来必要としない過大な張力がベルト300に掛かることとなり、駆動プーリ100及び従動プーリ200に大きな負荷が掛かり、駆動力の伝達効率が低下する。
一方、図3(c−1)に示すように、緩み側にテンショナー400を設けて、緩み側張力T2を一定に保つことで最大伝達トルクNmaxを達成しようとする場合には、図3(c−2)に示すように、初期張力T0がT2min以上となるようにテンショナー400を設定すればよい。しかしながら、緩み側にテンショナー400を設けた場合でも(図3(c−1)参照)、伝達トルクの大きさに依らず、常にT2min以上の張力を緩み側に与える必要がある(図3(c−2)参照)。自動車等の内燃機関においては、アイドリング時や高速走行時等の低トルク領域における損失をより小さくし、緩み側張力T2を理想特性に近付ける、すなわち、伝達トルクの大きさに比例した緩み側張力T2を与えることで、更なる燃費の向上が見込まれる。
図4は、実施形態1に係る補機駆動ベルト張力調整装置を適用した補機駆動系の構造概念図である。図4に示す補機駆動系は、第1プーリ1と第2プーリ2との間で駆動力を伝達するベルト3が巻き掛けられている。なお、図4は、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置を適用した補機駆動系の初期状態、すなわち、補機駆動系の停止状態における構造概念例を示している。
図4に示す補機駆動系において、第1プーリ1は、例えば、自動車の内燃機関であるエンジンのクランクシャフトに設けられたクランクプーリであり、第2プーリ2は、例えばオルタネータのシャフトに設けられたオルタネータプーリである。すなわち、図4に示す補機駆動系では、第1プーリ1であるクランクプーリが駆動プーリとなり、第2プーリ2であるオルタネータプーリが従動プーリとなる。
上述したように、補機駆動系においては、伝達トルクの大きさに比例した緩み側張力を与えるのが好ましい。本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10は、伝達トルクに比例した緩み側張力T2をベルト3に与えることが可能な構成としている。以下、図4及び図5を参照して、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10の構成について説明する。なお、以下の説明では、ベルト3が図4に示す矢示方向に進むものとして説明する。
図4に示すように、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10は、油圧によって第1プーリ1と第2プーリ2との間で駆動力を伝達するベルト3の緩み側区間に張力を与えるローラ12を駆動するベルト張力調整機構5と、ベルト張力調整機構5に油圧配管51を介して油圧を供給する油圧供給機構4と、を備えている。
ベルト張力調整機構5は、所謂油圧シリンダー型の構造を有しており、シリンダ52と、シリンダ52の内部に設けられたピストン53と、ピストン53とローラ12の回転軸CXとを接続するピストンロッド54と、ピストン53にピストンロッド54の延伸方向に付勢力を与える弾性部材55と、を備えている。
弾性部材55は、ピストンロッド52の先端部に取り付けられたローラ12を介してベルト3に伝達トルクが掛かり始める初期において最低限必要な初期張力T0を与える機能を有するものであり、例えば、板ばねやコイルばねであってもよいし、弾性ゴムのような固体部材であってもよい。
シリンダ52とピストン53との間、及びシリンダ52と油圧配管51との間には、例えばOリングやリップシール等のシール部材で密封され、油圧供給機構4から与えられた作動油が漏れて油圧が逃げないような密封構造を有しているものとする。この密封構造の詳細については、ここでは説明を省略する。
図5は、実施形態1に係る補機駆動ベルト張力調整装置の概略断面図である。図6は、第1カム板、転動体、及び第2カム板を図5に示すA矢示方向に見た図である。
図5に示すように、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10の油圧供給機構4は、第2プーリ2の構成要素を含み構成されている。具体的には、油圧供給機構4は、第1ハウジング41と、第2ハウジング42と、油圧室43と、油流路44と、を含み構成されている。
第1ハウジング41は、第2プーリ2のシャフト7に固定された円筒形状の部材である。
第2ハウジング42は、第1ハウジング41の周方向外側に軸受81を介して設けられ、第1ハウジング41に対して回動可能に支持された円筒形状の部材である。なお、軸受81は、例えば玉軸受で構成されるが、この軸受81の構成あるいは種類によって本発明が限定されるものではない。
油圧室43は、第2ハウジング42に与えられたトルクに応じて変化する第1ハウジング41と第2ハウジング42との間の周方向の位相差により容積が圧縮される。
油流路44は、油圧室43から供給される作動油を油圧配管51に供給する。
また、油圧供給機構4は、第1カム板66及び第2カム板67を含み構成されている。
第1カム板66及び第2カム板67は、図5及び図6に示すように、複数個のころ状あるいは玉状の転動体64を挟みそれぞれカム面を軸方向に対向して配置され、弾性部材65によって軸方向に付勢力を与えられる円環状の部材である。なお、転動体64は、例えば複数の転動体64が円環状の転動体支持部材により支持される構造であってもよい。また、図6に示す例では、4つの転動体64が周方向に90度ずつずれた位置に配置された例を示したが、転動体64の数及び位置はこれに限らず、3つ以上の転動体64が周方向に等間隔に配置される構成であってもよい。また、弾性部材65は、例えば円環状の皿ばねで構成されるが、板ばねやコイルばねであってもよいし、弾性ゴムのような固体部材であってもよい。この弾性部材65の構成や材質、形状によって本発明が限定されるものではない。
第1カム板66は、図5に示すように、輪止め部材91によって係止された弾性部材65によって軸方向の移動が制限されると共に、第1ハウジング41に周方向位置が固定されて配置されている。なお、図5に示す例では、第1ハウジング41に対して第1カム板66の周方向位置を固定する構造については省略しているが、この第1ハウジング41に対して第1カム板66の周方向位置を固定する構造によって本発明が限定されるものではない。
第2カム板67は、図5に示すように、第2ハウジング42に対し周方向位置及び軸方向位置が固定されて配置されている。なお、図5に示す例では、第2ハウジング42に対して第2カム板67の周方向位置及び軸方向位置を固定する構造については省略しているが、この第2ハウジング42に対して第2カム板67の周方向位置及び軸方向位置を固定する構造によって本発明が限定されるものではない。
油圧室43は、第1ハウジング41、第2ハウジング42、及び第1カム板66で囲われており、第1ハウジング41と第2ハウジング42との間がシール部材92で密封され、第1ハウジング41と第1カム板66との間がシール部材93で密封され、第2ハウジング42と第1カム板66との間がシール部材94で密封された空間である。シール部材92,93,94は、例えばOリングやリップシール等で構成されるが、これらのシール部材92,93,94の構成あるいは油圧室43の密封構造については、これに限るものではなく、これらの構成や構造によって本発明が限定されるものではない。
油流路44は、油圧室43から第1ハウジング41及び第2プーリ2のシャフト7を貫通して、第2プーリ2の回転軸心AXを中心としてシャフト7の軸方向先端部に開口されている。この油流路44の開口部45には、軸受82を介して油圧配管51が接続される。なお、軸受82は、例えば玉軸受で構成されるが、この軸受82の構成あるいは種類によって本発明が限定されるものではない。
上述した構成において、油圧室43、油流路44、油圧配管51、シリンダ52とピストン53とで囲われた密封構造体の内部に作動油が満たされ、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10が構成される。
次に、図4乃至図9を参照して、上述のように構成した本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10の動作について説明する。図7は、第1カム板、転動体、及び第2カム板を図6に示すB矢示方向に見た図である。図7(a)は、第1プーリ1が駆動力を発生していない初期状態を示し、図7(b)は、第1プーリ1が駆動力を発生しているときの第1ハウジング41と第2ハウジング42との間の周方向の位相差を示している。図8は、第1プーリが駆動力を発生しているときの実施形態1に係る補機駆動ベルト張力調整装置の油圧供給機構の状態変化を示す図である。図9は、第1プーリが駆動力を発生しているときの実施形態1に係る補機駆動ベルト張力調整装置の動作例を示す図である。
本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10において、油圧供給機構4の油圧室43は、第2ハウジング42に与えられたトルクに応じて変化する第1ハウジング41と第2ハウジング42との間の回動運動により生じた周方向の位相差によって容積が減少する。
上述したように、第1カム板66及び第2カム板67は、弾性部材65によって軸方向に付勢力が与えられている。第1カム板66及び第2カム板67は、周方向に対して周期的に厚さが異なっている。このため、第1プーリ1が駆動力を発生していないとき、弾性部材65によって与えられる反力によって、図7(a)に示すように、第1カム板66の軸方向の厚さと転動体64の直径と第2カム板67の軸方向の厚さとの合計が最も薄いD1となる。このとき、転動体64は、図7(a)に示す例において、第1カム板66上の周方向位置C1と第2カム板67上の周方向位置C2とが一致する位置にある。
第1プーリ1が駆動力を発生しているとき、第2ハウジング42に与えられたトルクによって第1カム板66と第2カム板67とが周方向にずれるトルクが発生し、図7(b)に示すように、転動体64が第1カム板66と第2カム板67との間で移動する。このとき、第1カム板66の軸方向の厚さと転動体64の直径と第2カム板67の軸方向の厚さとの合計が大きくなり、軸方向に推力が発生する。この推力と弾性部材65による反力とがつり合うように、第1カム板66が周方向に固定された第1ハウジング41と、第2カム板67が周方向に固定された第2ハウジング42との間に、第1カム板66上の周方向位置C1と第2カム板67上の周方向位置C2とがずれた分だけの位相差Δθを生じる。このとき、第1カム板66の軸方向の厚さと転動体64の直径と第2カム板67の軸方向の厚さとの合計D2は、図8に示すように、弾性部材65が軸方向に変形することで、第1プーリ1が駆動力を発生していないときよりもΔDだけ厚くなる(D2=D1+ΔD)。この結果として、図8に示すように、第1カム板66の軸方向端部が図5及び図8に示す位置DからΔDだけ軸方向に移動し、これに伴って油圧室43の容積が減少する。これにより、油圧室43内部の作動油が油流路44に流れ込み、油圧配管51を介してベルト張力調整機構5に油圧が供給される。このとき、図9に示すように、ピストン53がピストンロッド54の延伸方向に移動し、ピストンロッド54の先端部に設けられたローラ12がベルト3の緩み側を押して張力を与える。
本実施形態において、第2ハウジング42に与えられるトルクと、このトルクに応じて変化する第1ハウジング41と第2ハウジング42との間の周方向の位相差と、この位相差によって変化する油圧室43の容積の減少分と、この油圧室43の容積の減少分だけベルト張力調整機構5に流れ込む作動油の油量と、これによってベルト張力調整機構5に供給される油圧と、この油圧によって移動するピストン53、ピストンロッド54、及びローラ12の移動量とは、それぞれ比例関係にある。すなわち、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10では、上述したような構成とすることにより、伝達トルクに比例した緩み側張力T2をベルト3に与えることが可能となる。
また、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10では、オルタネータ等の補機類を揺動させる構造を有していないので、補機類の配線が疲労劣化により断線する要因がないため、信頼性の高い補機駆動ベルト張力調整装置10を実現することができる。
以上説明したように、実施形態1に係る補機駆動ベルト張力調整装置10は、油圧によって第1プーリ1と第2プーリ2との間で駆動力を伝達するベルト3の緩み側区間に張力を与えるローラ12を駆動するベルト張力調整機構5と、ベルト張力調整機構5に油圧配管51を介して油圧を供給する油圧供給機構4と、を備えている。
油圧供給機構4は、第2プーリ2のシャフト7に固定された第1ハウジング41と、第1ハウジング41の周方向外側に設けられ、第1ハウジング41に対して周方向に回動可能に支持された第2ハウジング42と、第2ハウジング42に与えられたトルクに応じて変化する第1ハウジング41と第2ハウジング42との間の回動運動により生じた周方向の位相差により容積が減少する油圧室43と、油圧室43から供給される作動油を油圧配管51に供給する油流路44と、を含み構成されている。
この構成において、油圧供給機構4を、転動体64を挟みそれぞれカム面を軸方向に対向して配置されて弾性部材65によって軸方向に付勢力を与えられる円環状の第1カム板66及び第2カム板67を含む構成とし、第1カム板66を第1ハウジング41に対し周方向位置を固定して配置し、第2カム板67を第2ハウジング42に対し周方向位置及び軸方向位置を固定して配置し、油圧室43を第1ハウジング41、第2ハウジング42、及び第1カム板66で囲われた空間とし、油流路44を油圧室43から第1ハウジング41及び第2プーリ2のシャフト7を貫通して第2プーリ2の回転軸心AXに開口し、その開口部45に油圧配管51を接続することで、伝達トルクに比例した緩み側張力T2をベルト3に与えることができ、補機駆動系の損失を低減することが可能となる。
また、実施形態1に係る補機駆動ベルト張力調整装置10において、油圧室43は、第1ハウジング41と第2ハウジング42との間をシール部材92で密封し、第1ハウジング41と第1カム板66との間をシール部材93で密封し、第2ハウジング42と第1カム板66との間をシール部材94で密封した構成としている。これにより、油圧室43内の作動油が漏れてベルト張力調整機構5に与える油圧が逃げない密封構造とすることができる。
また、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10では、補機類の配線が疲労劣化により断線する要因がなく、信頼性の高い補機駆動ベルト張力調整装置10を実現することができる。
このように、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10を補機駆動系に適用することで、補機駆動系の高信頼性と損失低減とを両立することが可能となる。
(実施形態2)
図10は、実施形態2に係る補機駆動ベルト張力調整装置の概略断面図である。なお、上述した実施形態1と同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10aにおいて、油圧供給機構4aでは、図10に示すように、第1カム板66及び第2カム板67に対し、円環部材68と油圧室43a内の作動油とを介して、弾性部材65aによって軸方向に付勢力を与える構成としている。なお、弾性部材65aは、実施形態1の弾性部材65と同様に、例えば円環状の皿ばねで構成されるが、板ばねやコイルばねであってもよいし、弾性ゴムのような固体部材であってもよい。この弾性部材65aの構成や材質、形状によって本発明が限定されるものではない。
本実施形態において、第1カム板66は、図10に示すように、円環部材68と油圧室43a内の作動油とを介して配置された弾性部材65aによって軸方向の移動が制限されると共に、第1ハウジング41に周方向位置が固定されて配置されている。なお、図10に示す例では、実施形態1と同様に、第1ハウジング41に対して第1カム板66の周方向位置を固定する構造については省略しているが、この第1ハウジング41に対して第1カム板66の周方向位置を固定する構造によって本発明が限定されるものではない。
油圧室43aは、第1ハウジング41、第2ハウジング42、円環部材68、及び第1カム板66で囲われており、第1ハウジング41と第1カム板66との間がシール部材93で密封され、第2ハウジング42と第1カム板66との間がシール部材94で密封され、第1ハウジング41と円環部材68との間がシール部材95で密封され、第2ハウジング42と円環部材68との間がシール部材96で密封された空間である。シール部材93,94,95,96は、例えばOリングやリップシール等で構成されるが、これらのシール部材93,94,95,96の構成あるいは油圧室43aの密封構造については、これに限るものではなく、これらの構成や構造によって本発明が限定されるものではない。
実施形態1では、第1プーリ1が駆動力を発生しているとき、弾性部材65が軸方向に変形することで油圧室43の容積が減少し、これによって油圧室43内部の作動油が油流路44に流れ込み、油圧配管51を介してベルト張力調整機構5に油圧が供給される構成について説明したが、この場合には、弾性部材65のばね定数を、第2ハウジング42に与えられるトルクの大きさに対して最適な値に設定する必要がある。換言すれば、第1カム板66及び第2カム板67に軸方向に与える付勢力に対し、弾性部材65のばね定数を最適化する必要がある。すなわち、ローラ12によってベルト3に与える張力に応じたばね定数とする必要がある。
これに対し、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10aでは、上述したように、第1カム板66及び第2カム板67に対し、円環部材68と油圧室43a内の作動油とを介して、弾性部材65aによって軸方向に付勢力を与える構成としている。これにより、第1プーリ1が駆動力を発生して第1カム板66と第2カム板67とが周方向にずれるトルクが発生し、第1カム板66の軸方向の厚さと転動体64の直径と第2カム板67の軸方向の厚さとの合計が変位した場合でも、弾性部材65aが軸方向に変形し難い構成とする。すなわち、第1カム板66及び第2カム板67に軸方向に与える付勢力に対し、弾性部材65aのばね定数を十分に大きな値とすればよい。
次に、図10及び図11を参照して、上述のように構成した本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10aの動作について説明する。図11は、第1プーリが駆動力を発生しているときの実施形態2に係る補機駆動ベルト張力調整装置の油圧供給機構の状態変化を示す図である。
本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10aにおいて、油圧供給機構4aの油圧室43aは、実施形態1の構成と同様に、第2ハウジング42に与えられたトルクに応じて変化する第1ハウジング41と第2ハウジング42との間の回動運動により生じた周方向の位相差によって容積が減少する。
第1プーリ1が駆動力を発生していないとき、弾性部材65aによって与えられる反力によって、図7(a)に示すように、第1カム板66の軸方向の厚さと転動体64の直径と第2カム板67の軸方向の厚さとの合計が最も薄いD1となる。このとき、転動体64は、図7(a)に示す例において、第1カム板66上の周方向位置C1と第2カム板67上の周方向位置C2とが一致する位置にある。
第1プーリ1が駆動力を発生しているとき、第2ハウジング42に与えられたトルクによって第1カム板66と第2カム板67とが周方向にずれるトルクが発生し、図7(b)に示すように、転動体64が第1カム板66と第2カム板67との間で移動する。このとき、第1カム板66の軸方向の厚さと転動体64の直径と第2カム板67の軸方向の厚さとの合計が大きくなり、軸方向に推力が発生する。この推力と弾性部材65aによる反力とがつり合うように、第1カム板66が周方向に固定された第1ハウジング41と、第2カム板67が周方向に固定された第2ハウジング42との間に、第1カム板66上の周方向位置C1と第2カム板67上の周方向位置C2とがずれた分だけの位相差Δθを生じる。このとき、第1カム板66の軸方向の厚さと転動体64の直径と第2カム板67の軸方向の厚さとの合計D2は、第1プーリ1が駆動力を発生していないときよりもΔDだけ厚くなる(D2=D1+ΔD)。この結果として、図11に示すように、第1カム板66の軸方向端部が図10及び図11に示す位置DからΔDだけ軸方向に移動し、これに伴って油圧室43aの容積が減少する。これにより、油圧室43a内部の作動油が油流路44に流れ込み、油圧配管51を介してベルト張力調整機構5に油圧が供給される。このとき、図9に示すように、ピストン53がピストンロッド54の延伸方向に移動し、ピストンロッド54の先端部に設けられたローラ12がベルト3の緩み側を押して張力を与える。
本実施形態では、上述したように、第1カム板66及び第2カム板67に軸方向に与える付勢力に対し、弾性部材65aのばね定数を十分に大きな値とする。これにより、第1カム板66の軸方向の厚さと転動体64の直径と第2カム板67の軸方向の厚さとの合計が変位したとき、弾性部材65aの軸方向の変形量を小さくすることができる。このため、実施形態1と同様に、第2ハウジング42に与えられるトルクと、このトルクに応じて変化する第1ハウジング41と第2ハウジング42との間の回動運動により生じた周方向の位相差と、この位相差によって変化する油圧室43aの容積の減少分と、この油圧室43aの容積の減少分だけベルト張力調整機構5に流れ込む作動油の油量と、これによってベルト張力調整機構5に供給される油圧と、この油圧によって移動するピストン53、ピストンロッド54、及びローラ12の移動量との間の比例関係が保たれる。すなわち、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10aでは、上述したような構成とすることにより、実施形態1と同様に、伝達トルクに比例した緩み側張力T2をベルト3に与えることが可能となる。
また、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10aにおいても、オルタネータ等の補機類を揺動させる構造を有していないので、補機類の配線が疲労劣化により断線する要因がないため、信頼性の高い補機駆動ベルト張力調整装置10aを実現することができる。
以上説明したように、実施形態2に係る補機駆動ベルト張力調整装置10aは、第1カム板66及び第2カム板67に対し、円環部材68と油圧室43a内の作動油とを介して、弾性部材65aによって軸方向に付勢力を与える構成としている。このため、第1カム板66及び第2カム板67に軸方向に与える付勢力に対して弾性部材65aのばね定数を最適化する必要がなく、設計や仕様変更に対して柔軟な補機駆動ベルト張力調整装置10aを実現することができる。
また、第1カム板66及び第2カム板67に軸方向に与える付勢力に対し、弾性部材65aのばね定数を十分に大きな値とすることで、第1カム板66の軸方向の厚さと転動体64の直径と第2カム板67の軸方向の厚さとの合計が変位したときの弾性部材65aの軸方向の変形量を小さくすることができる。このため、実施形態1と同様に、伝達トルクに比例した緩み側張力T2をベルト3に与えることができ、補機駆動系の損失を低減することが可能となる。
また、実施形態2に係る補機駆動ベルト張力調整装置10aにおいて、油圧室43aは、第1ハウジング41と第1カム板66との間をシール部材93で密封し、第2ハウジング42と第1カム板66との間をシール部材94で密封し、第1ハウジング41と円環部材68との間をシール部材95で密封し、第2ハウジング42と円環部材68との間をシール部材96で密封した構成としている。これにより、油圧室43a内の作動油が漏れてベルト張力調整機構5に与える油圧が逃げない密封構造とすることができる。
また、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10aにおいても、実施形態1と同様に、補機類の配線が疲労劣化により断線する要因がなく、信頼性の高い補機駆動ベルト張力調整装置10aを実現することができる。
このように、本実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10aを補機駆動系に適用することで、補機駆動系の高信頼性と損失低減とを両立することが可能となる。
(実施形態3)
図12は、実施形態3に係る補機駆動ベルト張力調整装置を適用した補機駆動系の構造概念図である。なお、上述した実施形態1乃至実施形態2と同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態3に係る補機駆動ベルト張力調整装置10bは、油圧供給機構4とベルト張力調整機構5との間の油圧配管51aと油圧配管51bとの中間部に油圧の倍力装置8を備えた構成としている。これにより、油圧供給機構4から供給される油圧を増幅してベルト張力調整機構5に供給することができる。このため、例えば、油圧供給機構4,4aにおける油圧室43,43aの容積の変化量が小さく、ベルト張力調整機構5に十分な油圧を供給できない場合や、第1プーリ1が駆動力を発生し、第2ハウジング42に与えられたトルクによって生じる第1カム板66と第2カム板67との周方向の位相差を十分に得られない場合等においても適用可能となる。すなわち、補機駆動系に対する適用範囲を拡大することができる。
以上説明したように、実施形態3に係る補機駆動ベルト張力調整装置10bは、油圧供給機構4,4aとベルト張力調整機構5との間の油圧配管51aと油圧配管51bとの中間部に油圧の倍力装置8を備えた構成とすることで、補機駆動系に対する適用範囲が広い補機駆動ベルト張力調整装置10bを得ることができる。
上述したように、実施形態に係る補機駆動ベルト張力調整装置10,10a,10bを用いることで、伝達トルクに比例した緩み側張力をベルトに与えることができるので、この補機駆動ベルト張力調整装置10,10a,10bは、補機駆動系の高信頼性と損失低減とを両立するのに適している。
1 第1プーリ
2 第2プーリ
3 ベルト
4,4a 油圧供給機構
5 ベルト張力調整機構
7 シャフト(第2プーリ)
8 倍力装置
10,10a,10b 補機駆動ベルト張力調整装置
12 ローラ
41 第1ハウジング
42 第2ハウジング
43,43a 油圧室
44 油流路
45 開口部
65,65a 弾性部材
66 第1カム板
67 第2カム板
68 円環部材
81,82 軸受
91 輪止め部材
92,93,94,95,96 シール部材
100 駆動プーリ
200 従動プーリ
201〜205 補機プーリ
301 ベルト
400 テンショナー
AX 回転軸心(第2プーリ)
CX 回転軸(ローラ)
T0 初期張力
T1 張り側張力
T2 緩み側張力

Claims (6)

  1. 油圧によって第1プーリと第2プーリとの間で駆動力を伝達するベルトの緩み側区間に張力を与えるローラを駆動するベルト張力調整機構と、
    前記ベルト張力調整機構に油圧配管を介して油圧を供給する油圧供給機構と、
    を備え、
    前記油圧供給機構は、
    前記第2プーリのシャフトに固定された第1ハウジングと、
    前記第1ハウジングの周方向外側に設けられ、前記第1ハウジングに対して周方向に回動可能に支持された第2ハウジングと、
    前記第2ハウジングに与えられたトルクに応じて変化する前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間の回動運動により生じた周方向の位相差により容積が減少する油圧室と、
    前記油圧室から供給される作動油を前記油圧配管に供給する油流路と、
    を含んでいる、
    補機駆動ベルト張力調整装置。
  2. 前記油圧供給機構は、
    転動体を挟みそれぞれカム面を軸方向に対向して配置され、弾性部材によって軸方向に付勢力を与えられる円環状の第1カム板及び第2カム板を含み、
    前記第1カム板は、前記第1ハウジングに対し周方向位置が固定されて配置され、
    前記第2カム板は、前記第2ハウジングに対し周方向位置及び軸方向位置が固定されて配置され、
    前記油圧室は、前記第1ハウジング、前記第2ハウジング、及び前記第1カム板で囲われた空間であり、
    前記油流路は、前記油圧室から前記第1ハウジング及び前記第2プーリのシャフトを貫通して、前記第2プーリの回転軸心に開口され、当該開口部に前記油圧配管が接続されている、
    請求項1に記載の補機駆動ベルト張力調整装置。
  3. 前記油圧室は、
    前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとの間、前記第1ハウジングと前記第1カム板との間、及び、前記第2ハウジングと前記第1カム板との間が、それぞれシール部材で密封されている、
    請求項2に記載の補機駆動ベルト張力調整装置。
  4. 前記油圧供給機構は、
    転動体を挟みそれぞれカム面を軸方向に対向して配置され、円環部材と前記油圧室内の作動油とを介して、弾性部材によって軸方向に付勢力を与えられる円環状の第1カム板及び第2カム板を含み、
    前記第1カム板は、前記第1ハウジングに対し周方向位置が固定されて配置され、
    前記第2カム板は、前記第2ハウジングに対し周方向位置及び軸方向位置が固定されて配置され、
    前記油圧室は、前記第1ハウジング、前記第2ハウジング、前記円環部材、及び前記第1カム板で囲われた空間であり、
    前記油流路は、前記油圧室から前記第1ハウジング及び前記第2プーリのシャフトを貫通して、前記第2プーリの回転軸心に開口され、当該開口部に前記油圧配管が接続されている、
    請求項1に記載の補機駆動ベルト張力調整装置。
  5. 前記油圧室は、
    前記第1ハウジングと前記円環部材との間、前記第2ハウジングと前記円環部材との間、前記第1ハウジングと前記第1カム板との間、及び、前記第2ハウジングと前記第1カム板との間が、それぞれシール部材で密封されている、
    請求項4に記載の補機駆動ベルト張力調整装置。
  6. 前記油圧配管の中間部に油圧の倍力装置を備えている、請求項1乃至請求項5に記載の補機駆動ベルト張力調整装置。
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