JP2017139892A - 埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システムおよび電流指令テーブル自動生成方法 - Google Patents

埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システムおよび電流指令テーブル自動生成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】d軸・q軸電流指令値を、実測値に基づいて高精度かつ自動的に生成することができる電流指令テーブル自動生成システムを提供する。【解決手段】埋込磁石同期モータ10を可変速制御するインバータ40に与えるトルク指令から、d軸、q軸電流指令値に変換する電流指令テーブルを自動生成するシステムであって、負荷サーボ装置20に対して速度制御を行わせ、トルク検出値が一つの動作点で設定されたトルク指令値に一致するようにトルクフィードバック制御を行ってq軸電流指令値を生成し、トルクフィードバック制御がなされている状態で、電流指令テーブル自動生成システムの各種情報に基づいて所望の性能を満たすd軸電流指令値を探索して生成し、全動作点について生成されたd軸電流指令値およびq軸電流指令値を、回転数とトルクに各々対応付けてテーブル化する電流指令テーブル自動調整装置30を備えた。【選択図】図1

Description

本発明は、埋込磁石同期モータ(IPMSM:Interior Permanent Magnet Synchronous Motor)の電流指令テーブル自動生成システムに係り、前記モータを可変速制御するインバータにおいて、トルク指令値(速度制御器から生成されるトルク指令値も含む)を与えてトルク制御をする場合、トルク指令値からベクトル制御のd軸およびq軸電流指令値に高精度かつ高効率な変換を実現するテーブルを自動生成する技術に関する。
埋込磁石同期モータは、永久磁石によるマグネットトルクに加えて、磁気的な突極性を用いたリラクタンストルクを活用することができる。また、インバータによって電流位相を適切に制御することでトルクを最大化できることが一般的に知られている。
例えば、三相インバータの回転座標系で電流ベクトル制御を行う場合、永久磁石のN極方向にd軸を、d軸の90度進んだ位相にq軸を定義し、d軸電流とq軸電流の割合を任意の値に追従制御することで電流ベクトル(振幅と位相)を決定することができる。
また、非特許文献1では、最大トルク/電流制御、最大効率制御、最大トルク/磁束制御など、電流位相(d軸電流とq軸電流の割合)を決定する方法について理論的な内容が記載されている。一般に、こうした理論的な数式に基づき、回転数とトルクの動作状態に応じた電流位相を決定し、テーブルマップとしてインバータプログラムに実装することが多い。
武田洋次 他、「埋込磁石同期モータの設計と制御」、オーム社、2001.10
しかしながら、実際のモータのパラメータは設計値との誤差があるため、より高精度に電流位相を決定するためには、実測値に基づいてテーブルマップを補正することも考えられる。また、モータを駆動するインバータの応答性やフィードバック制御に用いる電流センサやデジタル制御に伴う無駄時間なども、最適な電流位相を決定する上での誤差要因となる。
一方、実測値に基づいてテーブルマップを生成ないし補正する場合は、そのテーブル生成や調整に時間がかかる問題がある。特に、調整作業者が実測値を確認しながら手動でテーブルを生成する場合は、非常に多くの時間・労力を必要とし、テーブルの精度も調整作業者のスキルにも依存する。
本発明は、上記課題を解決するものであり、その目的は、埋込磁石同期モータのd軸・q軸電流指令値を、実測値に基づいて高精度かつ自動的に生成することができる埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システムおよび方法を提供することにある。
上記課題を解決するための請求項1に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システムは、埋込磁石同期モータを可変速制御するインバータに与えるトルク指令から、ベクトル制御のd軸、q軸電流指令値に変換する電流指令テーブルを自動生成するシステムであって、
前記モータに軸接続され、サーボモータ制御がなされる負荷装置と、
前記負荷装置とモータの結合軸に設置されたトルクメータと、
前記モータの回転数とトルクを所定の回転数範囲、トルク範囲に各々区分し、区分した各範囲を一つの動作点における速度指令値、トルク指令値に各々設定し、
前記負荷装置の回転速度が、前記一つの動作点で設定された速度指令値となるように負荷装置に対して速度制御を行わせ、
前記トルクメータのトルク検出値が、前記一つの動作点で設定されたトルク指令値に一致するようにトルクフィードバック制御を行ってq軸電流指令値を生成するq軸電流指令値生成処理を実行し、
前記一つの動作点でのトルクフィードバック制御がなされている状態で、電流指令テーブル自動生成システムの各種情報に基づいて所望の性能を満たすd軸電流指令値を探索して生成するd軸電流指令値生成処理を実行し、
前記d軸電流指令値およびq軸電流指令値の生成処理を全動作点について実行し、
前記全動作点について生成されたd軸電流指令値およびq軸電流指令値を、回転数とトルクに各々対応付けてテーブル化する電流指令テーブル自動調整装置と、
前記生成されたd軸電流指令値およびq軸電流指令値によって前記インバータを制御するインバータ制御部と、
を備えたことを特徴としている。
また、請求項17に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成方法は、埋込磁石同期モータに軸接続され、サーボモータ制御がなされる負荷装置と、前記負荷装置とモータの結合軸に設置されたトルクメータと、前記モータを可変速制御するインバータとを有した電流指令テーブル自動生成システムを備え、前記インバータに与えるトルク指令から、ベクトル制御のd軸、q軸電流指令値に変換する電流指令テーブルを自動生成する方法であって、
電流指令テーブル自動調整装置が、前記モータの回転数とトルクを所定の回転数範囲、トルク範囲に各々区分し、区分した各範囲を一つの動作点における速度指令値、トルク指令値に各々設定する指令値設定ステップと、
電流指令テーブル自動調整装置が、前記負荷装置の回転速度が前記一つの動作点で設定された速度指令値となるように負荷装置に対して速度制御を行わせる速度制御ステップと、
電流指令テーブル自動調整装置が、前記トルクメータのトルク検出値を、前記一つの動作点で設定されたトルク指令値に一致させるようにトルクフィードバック制御を行ってq軸電流指令値を生成するq軸電流指令値生成ステップと、
電流指令テーブル自動調整装置が、前記一つの動作点でのトルクフィードバック制御がなされている状態で、電流指令テーブル自動生成システムの各種情報に基づいて所望の性能を満たすd軸電流指令値を探索して生成するd軸電流指令値生成ステップと、
電流指令テーブル自動調整装置が、前記指令値設定ステップ、速度制御ステップ、q軸電流指令値生成ステップおよびd軸電流指令値生成ステップを全動作点について繰り返し実行するステップと、
電流指令テーブル自動調整装置が、前記全動作点について生成されたd軸電流指令値およびq軸電流指令値を、回転数とトルクに各々対応付けてテーブル化するステップと、
を備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、q軸電流指令値生成処理ではトルクフィードバック制御が行われ、d軸電流指令値生成処理におけるd軸電流指令値の探索時の、d軸電流指令値の変化に応じて変化するトルクは、前記トルクフィードバック制御が効いているため、トルク指令値に常に一致するようにq軸電流指令値が自動的に調整される。
このため、トルクフィードバック制御によりq軸電流を自動制御した状態を維持しつつ、高効率化される最適なd軸電流指令値が探索される。これによって、トルク指令値から埋込磁石同期モータのd軸電流指令値、q軸電流指令値への変換を、高精度且つ高効率に可能とした電流指令テーブルを自動生成することができる。
また、請求項2に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システムは、請求項1において、前記d軸電流指令値生成処理は、d軸電流指令値を変化させ、変化前後の、検出したモータ電流の電流振幅値を観測し、該電流振幅値が最小となるd軸電流指令値を探索することを特徴としている。
上記構成によれば、最大トルク/電流制御方式により、最小の電流振幅で最大トルクが得られるd軸電流指令値、q軸電流指令値を決定することができる。このため、埋込磁石同期モータの銅損を最小化するd軸電流指令値、q軸電流指令値を生成することができる。
また、請求項3に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システムは、請求項1において、前記電流指令テーブル自動調整装置はd軸電流指令値からモータ電流の電流振幅値を演算し、
前記d軸電流指令値生成処理は、d軸電流指令値を変化させ、変化前後の、前記演算された電流振幅値を観測し、該電流振幅値が最小となるd軸電流指令値を探索することを特徴としている。
上記構成によれば、モータ電流を検出してその検出信号を取り込む必要がないため、電流指令テーブル自動調整装置との間の信号数とインバータ内部での演算が簡素化される。
また、請求項4に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システムは、請求項1において、前記d軸電流指令値生成処理は、d軸電流指令値を変化させ、変化前後のインバータの入力電力を観測し、該入力電力が最小となるd軸電流指令値を探索することを特徴としている。
上記構成によれば、最大効率制御方式により、最小の消費電力(インバータの入力電力)で最大トルクが得られるd軸電流指令値、q軸電流指令値を決定することができる。このため、埋込磁石同期モータの鉄損・銅損等の総合損失を最小化するd軸電流指令値、q軸電流指令値を生成することができる。
また、請求項5に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システムは、請求項1において、前記インバータ制御部は、インバータの三相検出電流を座標変換したd軸電流、q軸電流が、前記d軸電流指令値、q軸電流指令値に一致するように追従制御して得たd軸電圧指令値、q軸電圧指令値と、インバータの直流入力電圧とから電圧指令デューティ比を演算し、
前記d軸電流指令値生成処理は、d軸電流指令値を変化させ、変化前後の前記電圧指令デューティ比を観測し、該電圧指令デューティ比が設定した制限値となるd軸電流指令値を探索することを特徴としている。
上記構成によれば、最大トルク/磁束制御(誘起電圧制御)方式により、最小の磁束(誘起電圧)で最大トルクが得られるd軸電流指令値、q軸電流指令値を決定することができる。このため、埋込磁石同期モータの鉄損を最小化するd軸電流指令値、q軸電流指令値を生成することができる。
また、請求項6に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システムは、請求項1ないし5のいずれか1項において、予め前記モータの無負荷損失を計測して作成され、前記一つの動作点で設定された速度指令値に対応した負荷損失トルクが出力される無負荷損失テーブルを備え、
前記q軸電流指令値生成処理は、前記トルクメータのトルク検出値が、前記一つの動作点で設定されたトルク指令値と前記無負荷損失テーブルから出力される無負荷損失トルクを加算したトルクに一致するようにトルクフィードバック制御を行って、q軸電流指令値を生成することを特徴としている。
また、請求項18に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成方法は、請求項17において、電流指令テーブル自動調整装置が、予め前記モータの無負荷損失を計測し、前記一つの動作点で設定された速度指令値に対応した負荷損失トルクが出力される無負荷損失テーブルを作成するステップを備え、
前記q軸電流指令値生成ステップは、前記トルクメータのトルク検出値が、前記一つの動作点で設定されたトルク指令値と前記無負荷損失テーブルから出力される無負荷損失トルクを加算したトルクに一致するようにトルクフィードバック制御を行って、q軸電流指令値を生成することを特徴としている。
上記構成によれば、機械損等の無負荷損失で低減するトルクを予め補償した上で電流指令テーブルを生成することができる。
また、請求項7に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システムは、請求項1において、前記電流指令テーブル自動調整装置に設けられ、モータ電流の電流振幅が電流振幅制限値を超えたか否かを判定し、電流振幅が電流振幅制限値を超えたときd軸電流指令値、q軸電流指令値に制限をかける電流振幅制限処理を行う電流振幅制限処理部か、又は前記インバータ制御部に設けられ、インバータの三相検出電流を座標変換したd軸電流、q軸電流がd軸電流指令値、q軸電流指令値に一致するように追従制御してd軸電圧指令値、q軸電圧指令値を得、該d軸電圧指令値、q軸電圧指令値の電圧振幅が電圧振幅制限値を超えたか否かを判定し、電圧振幅が電圧振幅制限値を超えたときd軸電圧指令値、q軸電圧指令値に制限をかける電圧振幅制限処理を行う電圧振幅制限処理部、の少なくともいずれか一方を備え、
前記d軸電流指令値生成処理は、前記一つの動作点でのトルクフィードバック制御がなされている状態で、前記電流振幅又は電圧振幅の少なくともいずれか一方が前記制限値を超えた場合に、第1の情報としての、トルク検出値とトルク指令値の偏差を示すトルク誤差に基づいて、第1の探索モードを実行して最大出力制御が行えるd軸電流指令値を生成し、前記電流振幅又は電圧振幅の少なくともいずれか一方が前記制限値以下の場合に、電流指令テーブル自動生成システムの第2の情報に基づいて、第2の探索モードを実行して最大効率制御が行えるd軸電流指令値を生成することを特徴としている。
また、請求項19に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成方法は、請求項17において、前記電流指令テーブル自動調整装置に設けられ、モータ電流の電流振幅が電流振幅制限値を超えたか否かを判定し、電流振幅が電流振幅制限値を超えたときd軸電流指令値、q軸電流指令値に制限をかける電流振幅制限処理を行う電流振幅制限処理部か、又はインバータ制御部に設けられ、インバータの三相検出電流を座標変換したd軸電流、q軸電流がd軸電流指令値、q軸電流指令値に一致するように追従制御してd軸電圧指令値、q軸電圧指令値を得、該d軸電圧指令値、q軸電圧指令値の電圧振幅が電圧振幅制限値を超えたか否かを判定し、電圧振幅が電圧振幅制限値を超えたときd軸電圧指令値、q軸電圧指令値に制限をかける電圧振幅制限処理を行う電圧振幅制限処理部、の少なくともいずれか一方を備え、
前記d軸電流指令値生成ステップは、前記一つの動作点でのトルクフィードバック制御がなされている状態で、前記電流振幅又は電圧振幅の少なくともいずれか一方が前記制限値を超えた場合に、第1の情報としての、トルク検出値とトルク指令値の偏差を示すトルク誤差に基づいて、第1の探索モードを実行して最大出力制御が行えるd軸電流指令値を生成し、前記電流振幅又は電圧振幅の少なくともいずれか一方が前記制限値以下の場合に、電流指令テーブル自動生成システムの第2の情報に基づいて、第2の探索モードを実行して最大効率制御が行えるd軸電流指令値を生成することを特徴としている。
上記構成によれば、インバータの電流・電圧制限の有無に応じて最大効率制御と最大出力制御の各運転領域に適した制御方式の電流指令テーブル生成手法を適宜切り替えることができる。
また、請求項8に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システムは、請求項7において、前記電流指令テーブル自動調整装置は、前記第1又は第2の探索モード実行時のデータが最小点に収束したか否かを判定する収束判定処理を行い、前記第1又は第2の探索モード実行時に、第1又は第2の探索モードを繰り返し状態遷移した場合は、前記状態遷移の回数および継続時間に基づいて収束判定処理を行うことを特徴としている。
上記構成によれば、第1又は第2の探索モードを繰り返し状態遷移する場合であっても、前記モード実行時のデータを収束させることができる。
また、請求項9に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システムは、請求項8において、前記収束判定処理によって収束が判定された後に、前記第1の情報であるトルク誤差が残留しているか否かを判定し、残留している場合に、一つの動作点に設定されたトルク指令値から前記残留したトルク誤差を減算して新たなトルク指令値を求め、該新たなトルク指令値を当該動作点でのトルク指令値に設定変更することを特徴としている。
前記探索モード時のデータの収束後にトルク誤差が残留する場合は、そのときの回転数におけるトルク出力の運転限界であり、予め設定していたトルク指令値に追従させることができず、その動作点でのd軸電流指令値データは得られないことになる。
しかし、上記請求項9の構成によれば、ある回転数における運転限界のトルク値を動作点として自動的に追加設定し(新たなトルク指令値に設定変更し)、最大トルクとなるd軸電流指令値、q軸電流指令値のデータを得ることができる。
また、請求項10に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システムは、請求項7ないし9のいずれか1項において、前記第2の情報はインバータの入力電力であり、
前記d軸電流指令値生成処理における第2の探索モードは、d軸電流指令値を変化させたときの、変化前後の前記入力電力を観測し、該入力電力が最小となるd軸電流指定値を探索し、
前記d軸電流指令値生成処理における第1の探索モードは、d軸電流指令値を負方向に変化させたときの、変化前後の前記第1の情報であるトルク誤差を観測し、該トルク誤差が0又は最小となるd軸電流指令値を探索することを特徴としている。
また、請求項20に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成方法は、請求項19において、前記第2の情報はインバータの入力電力であり、
前記d軸電流指令値生成ステップにおける第2の探索モードは、d軸電流指令値を変化させたときの、変化前後の前記入力電力を観測し、該入力電力が最小となるd軸電流指定値を探索し、
前記d軸電流指令値生成ステップにおける第1の探索モードは、d軸電流指令値を負方向に変化させたときの、変化前後の前記第1の情報であるトルク誤差を観測し、該トルク誤差が0又は最小となるd軸電流指令値を探索することを特徴としている。
上記構成によれば、インバータの電流・電圧制限値を超えている第1の探索モード時には、最大出力制御方式により電流・電圧が制限された状態で最大出力が得られるd軸電流指令値、q軸電流指令値を決定し、インバータの電流・電圧制限値以下の第2の探索モード時には、最大効率制御方式により最小の消費電力(インバータの入力電力)で最大トルクが得られるd軸電流指令値、q軸電流指令値を決定することができる。
また、請求項11に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システムは、請求項7ないし9のいずれか1項において、前記電流指令テーブル自動調整装置に設けられた電流振幅制限処理部を備え、
前記電流振幅制限処理部は、電流振幅制限処理前のd軸電流指令値、q軸電流指令値から電流振幅値を演算し、
前記第2の情報は前記演算された電流振幅値であり、
前記d軸電流指令値生成処理における第2の探索モードは、電流振幅制限処理前のd軸電流指令値を変化させたときの、変化前後の前記電流振幅値を観測し、該電流振幅値が最小となるd軸電流指令値を探索し、
前記d軸電流指令値生成処理における第1の探索モードは、d軸電流指令値を負方向に変化させたときの、変化前後の前記第1の情報であるトルク誤差を観測し、該トルク誤差が0又は最小となるd軸電流指令値を探索することを特徴としている。
また、請求項21に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成方法は、請求項19において、前記電流指令テーブル自動調整装置に設けられた前記電流振幅制限処理部が、電流振幅制限処理前のd軸電流指令値、q軸電流指令値から電流振幅値を演算するステップを備え、
前記第2の情報は前記演算された電流振幅値であり、
前記d軸電流指令値生成ステップにおける第2の探索モードは、電流振幅制限処理前のd軸電流指令値を変化させたときの、変化前後の前記電流振幅値を観測し、該電流振幅値が最小となるd軸電流指令値を探索し、
前記d軸電流指令値生成ステップにおける第1の探索モードは、d軸電流指令値を負方向に変化させたときの、変化前後の前記第1の情報であるトルク誤差を観測し、該トルク誤差が0又は最小となるd軸電流指令値を探索することを特徴としている。
上記構成によれば、インバータの電流・電圧制限値を超えている第1の探索モード時には、最大出力制御方式により電流・電圧が制限された状態で最大出力が得られるd軸電流指令値、q軸電流指令値を決定し、インバータの電流・電圧制限値以下の第2の探索モード時には、最大トルク/電流制御方式により最小の電流振幅で最大トルクが得られるd軸電流指令値、q軸電流指令値を決定することができる。
また、請求項12に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システムは、請求項7ないし9のいずれか1項において、前記電流指令テーブル自動調整装置に設けられた前記電流振幅制限処理部および前記インバータ制御部に設けられた前記電圧振幅制限処理部を備え、
前記電圧振幅制限処理部は、電圧振幅制限処理前のd軸電圧指令値、q軸電圧指令値およびインバータの直流入力電圧から電圧指令デューティ比を演算し、
前記第2の情報は前記演算された電圧指令デューティ比であり、
前記d軸電流指令値生成処理における第2の探索モードは、電流振幅制限処理前のd軸電流指令値を変化させたときの、変化前後の前記電圧指令デューティ比を観測し、該電圧指令デューティ比が最小となるd軸電流指令値を探索し、
前記d軸電流指令値生成処理における第1の探索モードは、d軸電流指令値を負方向に変化させたときの、変化前後の前記第1の情報であるトルク誤差を観測し、該トルク誤差が0又は最小となるd軸電流指令値を探索することを特徴としている。
また、請求項22に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成方法は、請求項19において、前記電流指令テーブル自動調整装置に設けられた前記電流振幅制限処理部およびインバータ制御部に設けられた前記電圧振幅制限処理部を有し、
前記電圧振幅制限処理部が、電圧振幅制限処理前のd軸電圧指令値、q軸電圧指令値およびインバータの直流入力電圧から電圧指令デューティ比を演算するステップを備え、
前記第2の情報は前記演算された電圧指令デューティ比であり、
前記d軸電流指令値生成ステップにおける第2の探索モードは、電流振幅制限処理前のd軸電流指令値を変化させたときの、変化前後の前記電圧指令デューティ比を観測し、該電圧指令デューティ比が最小となるd軸電流指令値を探索し、
前記d軸電流指令値生成ステップにおける第1の探索モードは、d軸電流指令値を負方向に変化させたときの、変化前後の前記第1の情報であるトルク誤差を観測し、該トルク誤差が0又は最小となるd軸電流指令値を探索することを特徴している。
上記構成によれば、インバータの電流・電圧制限値を超えている第1の探索モード時には、最大出力制御方式により電流・電圧が制限された状態で最大出力が得られるd軸電流指令値、q軸電流指令値を決定し、インバータの電流・電圧制限値以下の第2の探索モード時には、最大トルク/磁束制御(誘起電圧制御)方式により最小の磁束(誘起電圧)で最大トルクが得られるd軸電流指令値、q軸電流指令値を決定することができる。
また、請求項13に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システムは、請求項1ないし12のいずれか1項において、前記電流指令テーブル自動調整装置は、最大効率制御となるq軸電流を予め解析によって求めておき、該求められたq軸電流を前記トルクフィードバック制御を行うときのq軸電流指令値の初期値とすることを特徴としている。
上記構成によれば、トルクフィードバック制御の収束を速めることができる。
また、請求項14に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システムは、請求項1ないし13のいずれか1項において、前記電流指令テーブル自動調整装置は、最大効率制御となるd軸電流を予め解析によって求めておき、該求められたd軸電流を、前記d軸電流指令値生成処理時のd軸電流指令値の初期値とすることを特徴としている。
上記構成によれば、d軸電流指令値生成処理時のデータ探索回数が低減し、d軸電流指令値データの収束が速められる。
また、請求項15に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システムは、請求項10ないし14のいずれか1項において、前記電流指令テーブル自動調整装置に設けられた前記電流振幅制限処理部を備え、
前記電流振幅制限処理部は、負方向に変化させるd軸電流指令値の大きさが、設定した制限値よりも大となったときにd軸電流指令値に制限をかけるd軸電流指令値制限処理を行うことを特徴としている。
上記構成によれば、d軸電流の負方向の大きさが制限されるため、埋込磁石同期モータの永久磁石が不可逆減磁を引き起こすことを防止できる。
また、請求項16に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システムは、請求項7ないし15のいずれか1項において、前記電流指令テーブル自動調整装置は、前記全動作点について生成されたd軸電流指令値およびq軸電流指令値のデータを、前記電流振幅制限処理部又は電圧振幅制限処理部の少なくとも一方における制限値以下であるデータと制限値を超えたデータとに区分し、区分したデータ毎にデータ補間処理を施してテーブル化を行うことを特徴としている。
前記制限値以下の状態から制限値を超えた状態に切り替わる動作点領域では、電流指令テーブルの特性が大きく変化する。この点について、上記請求項16の構成によれば、前記制限値を超えたデータと以下であるデータとに区分けしたデータ毎に補間処理を行っているので、テーブルデータの境界領域での精度を改善することができる。
(1)請求項1〜22に記載の発明によれば、埋込磁石同期モータを可変速制御するインバータにトルク指令を与えてトルク制御を行うものにおいて、トルク指令から前記モータのd軸電流指令値、q軸電流指令値への変換を、高精度且つ高効率に可能とした電流指令テーブルを自動生成することができる。
(2)請求項2に記載の発明によれば、最大トルク/電流制御方式により、最小の電流振幅で最大トルクが得られるd軸電流指令値、q軸電流指令値を決定することができる。このため、埋込磁石同期モータの銅損を最小化するd軸電流指令値、q軸電流指令値を生成することができる。
また、d軸電流指令値、q軸電流指令値生成処理時に、計算により求めたモータ電流振幅値ではなく検出した(実測した)モータ電流の振幅値を観測しているため、計算による誤差の影響を受けることなくより高精度な電流指令テーブルを自動生成することができる。
(3)請求項3に記載の発明によれば、モータ電流を検出してその検出信号を取り込む必要がないため、電流指令テーブル自動調整装置との間の信号数とインバータ内部での演算が簡素化される。
(4)請求項4に記載の発明によれば、最大効率制御方式により、最小の消費電力(インバータの入力電力)で最大トルクが得られるd軸電流指令値、q軸電流指令値を決定することができる。このため、埋込磁石同期モータの鉄損・銅損等の総合損失を最小化するd軸電流指令値、q軸電流指令値を生成することができる。
(5)請求項5に記載の発明によれば、最大トルク磁束制御(誘起電圧制御)方式により、最小の磁束(誘起電圧)で最大トルクが得られるd軸電流指令値、q軸電流指令値を決定することができる。このため、埋込磁石同期モータの鉄損を最小化するd軸電流指令値、q軸電流指令値を生成することができる。
(6)請求項6、18に記載の発明によれば、機械損等の無負荷損失で低減するトルクを予め補償した上で電流指令テーブルを生成することができる。
(7)請求項7、19に記載の発明によれば、インバータの電流・電圧制限の有無に応じて最大効率制御と最大出力制御の各運転領域に適した制御方式の電流指令テーブル生成手法を適宜切り替えることができる。
(8)請求項8に記載の発明によれば、第1又は第2の探索モードを繰り返し状態遷移する場合であっても、前記モード実行時のデータを収束させることができる。
(9)請求項9に記載の発明によれば、ある回転数における運転限界のトルク値を動作点として自動的に追加設定し(新たなトルク指令値に設定変更し)、最大トルクとなるd軸電流指令値、q軸電流指令値のデータを得ることができる。
(10)請求項10、20に記載の発明によれば、インバータの電流・電圧制限値を超えている第1の探索モード時には、最大出力制御方式により電流・電圧が制限された状態で最大出力が得られるd軸電流指令値、q軸電流指令値を決定し、インバータの電流・電圧制限値以下の第2の探索モード時には、最大効率制御方式により最小の消費電力(インバータの入力電力)で最大トルクが得られるd軸電流指令値、q軸電流指令値を決定することができる。
(11)請求項11、21に記載の発明によれば、インバータの電流・電圧制限値を超えている第1の探索モード時には、最大出力制御方式により電流・電圧が制限された状態で最大出力が得られるd軸電流指令値、q軸電流指令値を決定し、インバータの電流・電圧制限値以下の第2の探索モード時には、最大トルク/電流制御方式により最小の電流振幅で最大トルクが得られるd軸電流指令値、q軸電流指令値を決定することができる。
(12)請求項12、22に記載の発明によれば、インバータの電流・電圧制限値を超えている第1の探索モード時には、最大出力制御方式により電流・電圧が制限された状態で最大出力が得られるd軸電流指令値、q軸電流指令値を決定し、インバータの電流・電圧制限値以下の第2の探索モード時には、最大トルク/磁束制御(誘起電圧制御)方式により最小の磁束(誘起電圧)で最大トルクが得られるd軸電流指令値、q軸電流指令値を決定することができる。
(13)請求項13に記載の発明によれば、トルクフィードバック制御の収束を速めることができる。
(14)請求項14に記載の発明によれば、d軸電流指令値生成処理時のデータ探索回数が低減し、d軸電流指令値データの収束が速められる。
(15)請求項15に記載の発明によれば、d軸電流の負方向の大きさが制限されるため、埋込磁石同期モータの永久磁石が不可逆減磁を引き起こすことを防止できる。
(16)請求項16に記載の発明によれば、前記制限値を超えたデータと以下であるデータとに区分けしたデータ毎に補間処理を行っているので、テーブルデータの境界領域での精度を改善することができる。
本発明の実施形態における電流指令テーブル自動生成システムの基本構成図。 本発明の実施例1における電流指令テーブル自動生成システムの構成図。 本発明の実施例1における電流指令テーブル自動調整装置の内部構成図。 本発明の実施形態における電流指令テーブル自動生成処理の基本フローチャート。 本発明の実施形態における電流指令テーブルの利用形態を示す構成図。 本発明の実施例2における電流指令テーブル自動生成システムの構成図。 本発明の実施例3における電流指令テーブル自動生成システムの構成図。 本発明の実施例3における電流指令テーブル自動調整装置の内部構成図。 本発明の実施例4における電流指令テーブル自動生成システムの構成図。 本発明の実施例4における電流指令テーブル自動調整装置の内部構成図。 本発明の実施例5における電流指令テーブル自動調整装置の内部構成図。 本発明の実施例5を適用した電流指令テーブルの利用形態を示す構成図。 本発明で実行される最大効率制御と最大出力制御の範囲を示すトルク−回転数特性図。 本発明の実施例6における電流指令テーブル自動生成システムの要部を示す構成図。 本発明の実施例6における電流指令テーブル自動生成処理のフローチャート。 本発明の実施例10における電流指令テーブル自動調整装置の内部構成図。 本発明の実施例10における電流指令テーブル自動生成処理のフローチャート。 本発明の実施例11における電流指令テーブル自動調整装置の内部構成図。 本発明の実施例11における電流指令テーブル自動生成処理のフローチャート。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記の実施形態例に限定されるものではない。本実施形態例では、埋込磁石同期モータのd軸およびq軸電流指令値(電流指令値の振幅・位相情報)を、実測値に基づいて高精度かつ自動的に生成する電流指令テーブル自動生成システムおよび方法を提供するものであり、その基本構成を図1に示す。
図1において、対象となる埋込磁石同期モータ10は任意の負荷サーボ装置20と軸接続されている。前記モータ10と負荷サーボ装置20の結合軸にはトルクメータ11が設置され、軸トルクの検出が可能となっている。負荷サーボ装置20には一般的なサーボモータ制御装置等を利用し、指定した回転数となるように速度制御を行う。
30は、電流指令テーブル自動生成システムの各種情報、すなわち、後述する、トルクメータ11のトルク検出値τ、負荷サーボ装置20から出力される速度検出値ωm、モータ電流の電流振幅値Im、電圧指令デューティ比Dv、前記モータ10を駆動するインバータ40の入力電力(消費電力)Pi等に基づいて、d軸電流指令値id *、q軸電流指令値iq *を生成しテーブル化する電流指令テーブル自動調整装置である。
インバータ40では、前記モータ10に取り付けられた回転位置センサ12で検出された回転位相θに同期した回転座標変換を用いて一般的な電流ベクトル制御を行う。
インバータ40のインバータ制御部(41)では、回転座標系において永久磁石のN極方向にd軸を定義し、d軸の90度進んだ位相にq軸を設定する。そして電流センサ13で検出された前記モータ10の三相電流検出値iu,iv,iwを、(1)式の回転座標変換を行ってd軸電流検出値idおよびq軸電流検出値iqに変換する。
Figure 2017139892
そして電流指令テーブル自動調整装置30から送られてきたd軸電流指令値id *およびq軸電流指令値iq *に、前記検出値id,iqがそれぞれ追従するようにPID制御等の自動制御(電流フィードバック制御)を行う。この自動制御器の出力はd軸電圧指令値vd *,q軸電圧指令値vq *となりPWM制御等でゲート信号が作成され、インバータの半導体スイッチング素子を制御する。14はインバータ40の直流電源であり、15は電力計を示している。
電流指令テーブル自動調整装置30では、トルク指令値(τ*)と速度検出値ωmに基づいて電流指令値id *,iq *の値を決定する。この決定方法については各実施例にて後述するが、トルク検出値τ、速度検出値ωm、電流振幅値Im、電圧指令デューティ比Dv、入力電力(消費電力)Pi等を用いてid *,iq *の電流指令テーブル(モータ電流の振幅と位相)を自動調整する。
ここで、電流振幅値Imは(2)式、電圧指令デューティ比Dvは(3)式で表現される。
Figure 2017139892
Figure 2017139892
DC:直流電源(インバータ直流入力)の直流電圧値
尚、電流振幅値Imについては、インバータ40内部で計算しても良いし、三相電流を電流指令テーブル自動調整装置30に直接取り込んで振幅を計算しても良い。
入力電力(消費電力)Piは直流電源14部分において電力計15等を用いて検出する。図1ではインバータ・モータの総合消費電力を計測しているが、インバータ出力部で計測すればモータ単体の消費電力にすることも可能である。
以下、各実施例を説明する。
本実施例では、d軸およびq軸電流指令値(電流振幅・位相)の決定法に最大トルク/電流制御を採用する。最大トルク/電流制御は、トルクを出力する際に電流振幅が最小となる位相にid,iqを調整する方法である。この方法で決定された電流位相で埋込磁石同期モータを駆動すると、モータの銅損が最小化する。
(4)式に一般的なトルク式を示す。(4)式を電流位相角βで偏微分して0とし、電流振幅が最小となる最適電流位相をid,iqの関係式として導くと(5)式が得られる。ただし、p:極対数、Ψ:永久磁石による電機子鎖交磁束、Ld:d軸インダクタンス、Lq:q軸インダクタンスである。
Figure 2017139892
Figure 2017139892
理論的には(5)式に基づいてidとiqを決定すれば最大トルク/電流制御を実現できるが、実際のモータ駆動システムにおいては、インバータ、ケーブル、センサ特性、電流および周波数依存性がある抵抗・インダクタンス変動、永久磁石等の磁気回路の温度依存性等が影響して、設計値や解析値からの誤差が発生する。したがって、より高精度かつ高効率にトルクを出力するには、実測値に基づいてid,iqを調整する必要がある。
そこで本実施例では、図2に示すようにトルクτおよび電流振幅値Imを検出して電流指令テーブル自動調整を行う。図2において図1と同一部分は同一符号をもって示している。
電流指令テーブル自動調整装置30の内部では、図3に示す構成で図4に示す電流指令テーブル自動生成処理を行い、動作点(トルク・回転数の動作状態)に応じた二次元の電流指令テーブルを自動生成する。
図3において31は、後述する一つの動作点における速度指令値、トルク指令値を決定する機能と、速度検出値ωm、トルク検出値τが速度指令値ωm *、トルク指令値τ*と一致しているかを確認する機能と、動作点を変更する機能とを有したトルク&速度指令値設定処理部である。
32は、トルク指令値τ*から、トルクメータ11で検出されたトルク検出値τを差し引く減算器であり、33はPID制御により追従制御を行い、トルク検出値τがトルク指令値τ*に一致するように制御する(トルクフィードバック制御を行う)トルク制御器(調整器)である。34は、検出された電流振幅Imが最小となるd軸電流指令値id *を探索するd軸電流調整器である。
次に、図2、図3における電流指令テーブル自動生成処理を図4とともに説明する。
<ステップS1(データ取得準備)>では、トルク&速度指令値設定処理部31が、回転数とトルクの二次元でd軸電流指令値id *とq軸電流指令値iq *の電流指令テーブルを生成するため定トルク範囲、定出力範囲などのモータの仕様に合わせて回転数の範囲と点数およびトルクの範囲と点数を任意に設定する(指令値設定ステップ)。
例えば、モータ回転数範囲が−1000rpm〜1000rpmで100rpm刻みの点数、トルク範囲が−100Nm〜100Nmで10Nm刻みの点数でテーブルを生成したい場合は、回転数21点×トルク21点=合計441点の動作点を設定する。また、モータの各種パラメータの温度依存性を考慮し、十分な暖機運転を行ってから電流指令テーブル自動生成処理を開始する。
<ステップS2(電流指令テーブル自動生成処理ループ開始)>は、ステップS1で予め設定された全動作点において、順次id,iqを決定する処理を繰り返すループである。1つの動作点でid,iqのデータを取得した後、次の動作点に移行する処理を行う。これは全動作点のデータが取得されるまで繰り返される。
<ステップS3(回転数指令設定・速度制御)>では、ステップS1で設定された回転数設定値(速度指令)ωm *を図2における負荷サーボ装置20に送信し、回転数を所望の値に制御する(速度制御ステップ)。負荷サーボ装置20では速度制御が行われており、回転数検出値(速度検出値)ωmを電流指令テーブル自動調整装置30に返す。図3のトルク&速度指令値設定処理部31において、回転数検出値が所望の設定値に一致していることを確認し、ステップS4に移行する。
<ステップS4(トルク指令設定・トルク制御)>では、ステップS1で設定されたトルク指令値τ*とトルク検出値τが一致するように、図3の減算器32およびトルク制御器33がトルクフィードバック制御を行う。トルク指令と検出の偏差は一般的なPI制御を用いて追従制御し、PI制御出力(トルク制御器33の出力)をq軸電流指令値iq *とする(q軸電流指令値生成ステップ)。このとき、d軸電流指令値id *の初期値は0とする(id *=0制御)。d軸電流調整器については後段のステップS5で処理する。トルク検出値が設定値に一致したことを確認し、ステップS5に移行する。
<ステップS5(d軸電流調整)>では、d軸電流調整器34が電流振幅検出値Imが最小となるid *を探索する(d軸電流指令値生成ステップ)。探索手法は特に限定しないが、一般的な山登り法、最急降下法などを用いれば良い。例えばid *=0の初期値から任意のステップ幅でd軸電流指令値id *を負方向に変化させる。変化前後の電流振幅値Imを観測し、変化前より電流振幅値が小さくなればさらに負方向にid *を変化させる。本処理を繰り返すことで、電流振幅が最小となるid *を探索できる。このときd軸電流指令値id *を変化させるとトルクτも変化することになるが、前段のステップS4の処理(図3のトルクフィードバック制御)が効いているため、id *の変化に応じてトルクτはトルク指令値τ*に常に一致するように、iq *が自動的に調整される。したがってid *とiq *は、最大トルク/電流制御(電流振幅最小で最大トルクを出力する電流位相)を自動的に実現することができる。本処理によってid *,iq *が収束したことを確認し、ステップS6に移行する。
<ステップS6(設定動作点のid *,iq *電流指令データ記録)>では、ステップS4,S5で求めたid *,iq *を、そのときの回転数・トルク設定値とともにそれぞれメモリに記録する。
<ステップS7(電流指令テーブル自動生成処理ループ終了)>では、全動作点でid *,iq *のデータが取得できている場合は後段のステップS8に移行し、そうでない場合は前段のステップS2に戻って未記録の他の動作点に設定・移行し、ステップS3〜S6のループを繰り返す。
<ステップS8(全動作点のid *,iq *電流指令データ読み出し)>では、取得した全動作点におけるid *,iq *のデータをメモリから読み出し、ステップS9に移行する。
<ステップS9(電流指令テーブル生成)>では、ステップS8で読み出した全動作点のid *,iq *のデータを用いて、回転数とトルクを入力とした二次元テーブルとして展開する。テーブル化する際に、正規化や種々のデータ補間(例:キュービックスプライン補間など)を行っても良い。テーブルは2入力(回転数とトルク)1出力(id *又はiq *)という形式のデータとなり、ステップS1で説明した441点の動作点の例では、441点のテーブルがid *用とiq *用で2種類生成され、終了する。
以上のようにして自動生成された電流指令テーブルは、インバータ内部のマイコン等にプログラムとして実装し、モータの動作状態(トルク指令と回転数の状態)に応じて、適合するid *,iq *のデータを線形補間等で読み出し、d軸電流指令値およびq軸電流指令値として利用する。したがって、電流指令テーブルが自動生成された後は、図2、図3のようなトルクフィードバック等の装置構成を必要とせず、任意のインバータで対象の埋込磁石同期モータを駆動すれば良い。あくまで、図2、図3の装置構成は実測に基づいた高精度な電流指令テーブルを自動生成する時のみに使用されるものである。図5は、図2、図3の構成で自動生成された電流指令テーブルを、一般的なベクトル制御インバータに実装する場合の利用形態の例である。
図5の電流指令テーブルの利用形態について以下に説明する。図5において図2と同一部分は同一符号をもって示しており、200は負荷、400は任意のインバータを示している。
インバータ制御部51内の52は、電流センサ13で検出された埋込磁石同期モータ10の三相電流検出値iu,iv,iwを、(1)式の回転座標変換を行ってd軸電流検出値idおよびq軸電流検出値iqに変換する座標変換部である。
53は、回転位置センサ12で検出された前記モータ10の回転位相θから回転数ωm(速度検出値)を演算する速度演算部である。
図2、図3の構成および図4のフローチャートで自動生成された電流指令テーブル300は、トルク指令τ*と回転数ωmを引数とした2次元テーブルの形式でインバータ制御部51に実装される。前記テーブルからはd軸電流指令値id *とq軸電流指令値iq *が出力され、後段のベクトル制御部55で回転座標上の電流追従制御(id *,iq *とid,iqが一致するように追従制御)が行われる。その結果出力されるd軸電圧指令値vd *およびq軸電圧指令値vq *は、座標変換部58で三相電圧指令値vu *,vv *,vw *に逆変換された後、PWM制御部59で三角波キャリア比較等のPWM制御によりゲート信号を生成し、インバータ400を制御する。
本実施例は、図3における電流指令テーブルのトルク誤差低減(高精度化)と高効率化(電流最小)を実現することに寄与するものである。方式としての特長は、トルクフィードバック制御をしながらq軸電流を自動制御した状態を維持しつつ、高効率化される最適なd軸電流を探索できる点である。
本実施例によれば、トルクフィードバック制御と電流振幅検出が可能な装置構成において、電流振幅が最小(モータ銅損が最小)となる最大トルク/電流制御を高精度に実現する電流指令値id *,iq *を自動的に求めた上で、テーブル化することができる。したがって、トルク出力の高精度化と銅損の最小化、およびid *,iq *の自動調整とテーブルの自動生成による省力化に大きな効果がある。
実施例1では、電流振幅を最小化する際に、インバータ40から(2)式の電流振幅検出値(Im)を返していた。本実施例では、演算簡素化と入出力信号の削減のために、電流振幅の計算に電流指令値を用いる。インバータ40のインバータ制御部における電流フィードバック制御が正しく機能していれば、電流検出値と電流指令値は一致する。そこで(6)式に示すとおり、d軸およびq軸電流指令値id *,iq *を用いて電流振幅値Imを計算する。
Figure 2017139892
電流振幅検出値を用いる図2の構成に対して、本実施例では図6に示すとおり、電流振幅検出値のフィードバックが必要なくなり、電流指令テーブル自動調整装置30との間の信号数とインバータ内部での演算が簡素化される。(6)式の演算は電流指令テーブル自動調整装置30内部で実行すればよい。
図6において図2と同一部分は同一符号をもって示している。電流指令テーブル自動生成処理は、実施例1と同様に実施されるものであり、その説明は省略する。
実施例1、2では、銅損を最小化するために、電流振幅が最小となるようにd軸電流を調整したが、効率という観点ではモータの鉄損なども考慮してd軸電流を調整した方が望ましい。また、インバータ・モータのシステム総合効率を最大化する意味では、インバータ入力電力を最小化することが望ましい。
そこで本実施例では、入力電力を計測してd軸電流を調整する方式を用いる。電流指令テーブル自動生成システムは、図7に示した構成を用いる。また、電流指令テーブル自動調整装置30の内部構成は図8となる。図7、図8において、図2、図3と同一部分は同一符号を持って示している。図2、図3と異なる点は、電流指令テーブル自動調整装置30のd軸電流調整器34にインバータの入力電力Piを入力した点である。
インバータの入力電力Piは、直流電源出力の電力を任意の計測器(例えば電力計15)等で検出すれば良い。交流入力電源から整流器を通して直流電源を得る整流器付きインバータの場合は、交流入力電源の電力を計測しても良い。インバータ入力電力は、消費電力検出値Piとして電流指令テーブル自動調整装置30に入力する。
電流指令テーブル自動生成のフローチャートは基本的に図4に示した手順と同一であり、<ステップS5(d軸電流調整)>の処理内容のみが前記実施例1と異なる。本実施例では図4のステップS5において、消費電力検出値Piが最小となるid *を探索する。探索手法は特に限定しないが、一般的な山登り法、最急降下法などを用いれば良い。
例えばid *=0の初期値から任意のステップ幅でd軸電流指令値id *を負方向に変化させる。変化前後の消費電力検出値Piを観測し、変化前より消費電力が小さくなればさらに負方向にid *を変化させる。本処理を繰り返すことで、消費電力が最小となるid *を探索できる。
このときd軸電流指令値id *を変化させるとトルクτも変化することになるが、ステップS4の処理(図8のトルク制御器33のトルクフィードバック制御)が効いているため、id *の変化に応じてトルクτはトルク指令値τ*に常に一致するように、iq *が自動的に調整される。
したがってid *とiq *は、最大効率制御(消費電力最小で最大トルクを出力する電流位相)を自動的に実現することができる。本処理によってid *,iq *が収束したことを確認し、図4のステップS6に移行すればよい。その他の処理は、前記実施例1と同様である。
本実施例によれば、インバータ・モータの総合効率が最大化するd軸・q軸電流指令テーブルを自動生成できる。
実施例1〜3では、電流振幅を最小化する場合や総合効率を最大化する場合の電流指令テーブルを生成した。本実施例では、同一トルクで鎖交磁束が最小(≒誘起電圧が最小)となる最大トルク/磁束制御(≒最大トルク/誘起電圧制御)を実現するための電流指令テーブル自動生成方法を提供する。
埋込磁石同期モータは永久磁石から界磁磁束を得るため、回転数とともに誘起電圧が上昇するが、インバータで制御できる電圧範囲は直流電圧以下に制限される。したがって、誘起電圧上昇によってモータ端子電圧が上昇すると、電圧飽和を起こして所望の正弦波波形で制御できなくなる。この電圧飽和対策として、d軸電機子反作用による減磁効果を活用する弱め磁束制御が一般的に用いられている。以上より、高速回転数領域では最大トルク/磁束制御を実現するための電流指令テーブルを生成する必要がある。
そこで本実施例では、(3)式で示した電圧指令デューティ比Dvを用いてd軸電流を調整する。電流指令テーブル自動生成システムは、図9に示す構成を用い、電流指令テーブル自動調整装置は図10に示す構成を用いる。
最大トルク/磁束制御(最大トルク/誘起電圧制御)は、電圧振幅制限下で最大トルクを得るd軸電流を探索することになる。したがって、インバータ40のインバータ制御部内の電流制御器の出力である電圧指令デューティ比Dv(座標変換された電流検出値id,iqがid *,iq *に追従するように自動制御されて得られた電圧指令値vd *,vq *と直流電源14の直流電圧値Vdcとから(3)式により計算されるDv)の情報を電流指令テーブル自動調整装置30に入力し、電圧指令の飽和状況を確認できる構成を用いる。
電流指令テーブル自動生成のフローチャートは基本的に図4に示した手順と同一であり、<ステップS5(d軸電流調整)>の処理内容のみが前記実施例1と異なる。本実施例では図4のステップS5において、電圧指令デューティ比Dvが任意に設定した制限値Dvsatとなるid *を探索する。探索手法は特に限定しないが、一般的な山登り法、最急降下法などを用いれば良い。
例えばid *=0の初期値から任意のステップ幅でd軸電流指令値id *を負方向に変化させる。変化前後のDvを観測し、変化前よりDvsatとの誤差が小さくなればさらに負方向にid *を変化させる。本処理を繰り返すことで、任意に設定した電圧指令デューティ比制限値Dvsatとなるid *を探索できる。
このときd軸電流指令値id *を変化させるとトルクτも変化することになるが、ステップS4の処理(図10のトルク制御器33のトルクフィードバック制御)が効いているため、id *の変化に応じてトルクτはトルク指令値τ*に常に一致するように、iq *が自動的に調整される。
したがってid *とiq *は、最大トルク/磁束制御を自動的に実現することができる。本処理によってid *,iq *が収束したことを確認し、図4のステップS6に移行すればよい。その他の処理は、前記実施例1と同様である。
本実施例によれば、任意に設定した電圧制限値(電圧指令デューティ比の制限値Dvsat)を満たすd軸・q軸電流指令テーブルを自動生成できる。
前記実施例1〜4では、機械的な損失などに代表される無負荷損失を考慮していないので、電流指令テーブルは損失分も含んで生成されることになる。
本実施例では、予め無負荷損失分を計測した後に、その損失分を考慮して電流指令テーブルを生成する。図1の装置構成において、負荷サーボ装置20によって速度制御した場合、負荷装置に依存した損失は速度制御によって補償される。したがって、埋込磁石同期モータ10を駆動するインバータ40に電流指令値を与えない状態で、その回転数における軸トルク検出値τを計測すれば、埋込磁石同期モータ10の無負荷損失が得られる。任意回転数ごとに軸トルク検出値τを同様に計測した後、回転数に対する無負荷損失テーブルを作成する。
埋込磁石同期モータ10の無負荷損失を分離して電流指令テーブルを自動生成する制御構成例について以下に示す。ここでは代表例として、実施例1の最大トルク/電流制御時における図2の電流指令テーブル自動調整装置30を図11のように構成した。図11において図3と同一部分は同一符号をもって示している。
予め計測しておいた無負荷損失は、入力を回転数(速度指令)、出力を損失トルクとして無負荷損失テーブル35を構成する。この損失トルク分を加算器36においてトルク指令値τ*に加算し、減算器32およびトルク制御器33でトルクフィードバック制御を行い、q軸電流指令値iq *を生成する。その他の部分は、前記実施例1と同様に図4の処理を行って、無負荷損失で低減するトルクを予め補償した上で電流指令テーブルを自動生成する。
また、本実施例は実施例2〜4に適用することもでき、その場合も前記と同様の作用、効果を奏する。
次に、本実施例5のように、無負荷損失によるトルク低減を考慮して生成した電流指令テーブルを実装する形態を図12に示す。この実装形態においても無負荷損失によるトルク低減分を予めトルク指令値に加算して電流指令テーブル500に入力する。
図12において図5と同一部分は同一符号をもって示している。電流指令テーブル500は実施例5により生成されたテーブルであり、トルク指令τ*と回転数ωmを引数とした2次元テーブルの形式でインバータ制御部61に実装されている。
また、インバータ制御部61には、速度演算部53から出力される回転数ωmを入力とする無負荷損失テーブル35が実装され、該無負荷損失テーブル35の出力である損失トルクが加算器54においてトルク指令τ*に加算されて電流指令テーブル500に入力されるように構成されている。
本実施例によれば、機械損等の無負荷損失を予め分離して電流指令テーブルを生成することが可能となる。
前記実施例1〜5では、一般に用いられる代表的な3つの制御方式(最大トルク/電流制御、最大効率制御、最大トルク/誘起電圧制御)に基づいて、それぞれの電流指令テーブルを自動生成する手法を提案した。
しかしながら、実際には埋込磁石同期モータを駆動するインバータ等の電圧飽和、過電流、発熱、磁石の減磁など様々な制約条件を考慮する必要がある。したがって、ひとつの制御方式のみを運転領域全体で適用するのではなく、運転領域に適した制御方式に適宜切り替えることが有用である。
ここで、前記各制御方式の特徴は次のとおりである。
・最大トルク/電流制御…最小の電流振幅で最大トルクが得られるようにd軸、q軸電流指令値を決定する方法であり、電流が最小となるため銅損を最小化できる。
・最大トルク/磁束制御(誘起電圧制御)…最小の磁束(誘起電圧)で最大トルクが得られるようにd軸、q軸電流指令値を決定する方法であり、磁束(誘起電圧)が最小となるため鉄損を最小化できる。
・最大効率制御…最小の消費電力で最大トルクが得られるようにd軸、q軸電流指令値を決定する方法であり、鉄損・銅損等の総合損失を最小化できる。
例えば効率を重視した場合、回転数対トルクの特性を示す図13のように、インバータの電流・電圧制限値を満たす範囲内では最大効率制御を実施し、電圧または電流が制限値に達した時は、制限値を満たした上で最大出力制御に切り替えることが考えられる。ここで、最大出力制御とは、電流または電圧が制限された状態で最大出力が得られるように電流指令値を決定する制御方法であり、制限値を保った上で損失を最小にすることが望まれる。
このように、回転数とトルクおよびインバータの電圧制限・電流制限を考慮しながら、所望の性能を満たす制御方式を選択する必要がある。
そこで本実施例6では、電流振幅値および電圧振幅値が設定した制限値範囲内のときは最大効率制御を行い、制限値にかかる場合はその制限値を満たした上で消費電力が最小、すなわち総合損失が最小で総合効率が最大となる電流指令値を探索する電流指令テーブル自動生成手法を提供する。
電流指令テーブル自動生成システムの構成は、図1に示したとおりである。また、本実施例6における、電流指令テーブル自動調整装置30およびインバータ40のインバータ制御部41の基本制御構成を図14に示す。
図14において図3と同一部分は同一符号をもって示している。図14の電流指令テーブル自動調整装置30は、速度検出値ωm・トルク検出値τ・入力電力Piおよびインバータ制御部41から得られる電圧指令デューティ比Dvを入力とする。トルク指令値τ*は内部で生成される。速度指令値ωm *は負荷サーボ装置20に出力される。内部で生成したd軸電流およびq軸電流指令値はインバータ制御部41に出力される。
トルク&速度指令値設定処理部31は、負荷サーボ装置20から得られた速度検出値ωmと、トルクメータ11から得られたトルク検出値τを監視し、任意に設定した定常動作点(速度指令値ωm *、トルク指令値τ*)と一致していることを確認する機能と、動作点を変更する機能とを有している。
減算器32およびトルク制御器33は、トルク指令値τ*とトルク検出値τが一致するように制御する調整器であり、一般的なPID制御等で追従制御を実現している。トルク制御器33の出力は飽和未考慮のq軸電流指令値iq0 *とする。
d軸電流調整器34は、電流制限値(後述の電流振幅制限処理部37からの電流制限フラグFlg_Im)、電圧制限値(後述の電圧振幅制限処理部47からの電圧指令デューティ比Dvを用いて検知)、トルク誤差Δτ、入力電力Piを入力として、後述する最適なd軸電流指令値を決定するものであり、飽和未考慮のd軸電流指令値id0 *を出力する。
電流振幅制限処理部37は、d軸電流指令値(飽和未考慮)id0 *とq軸電流指令値(飽和未考慮)iq0 *に対して、任意に設定した電流振幅制限値Imsatを考慮し、各電流指令値を制限する処理を行う。電流振幅は(7)式で計算し、Im>Imsatとなる場合は、d軸電流指令値id *=id0 *×(Imsat/Im)とし、q軸電流指令値iq *=iq0 *×(Imsat/Im)として制限すれば良い。同時に電流振幅が制限されていることを示すフラグFlg_Imをd軸電流調整器34に与える。Im≦Imsatの場合は、そのままid *=id0 *、iq *=iq0 *を出力する。
Figure 2017139892
インバータ制御部41は一般的なベクトル制御を実施するものであり、座標変換部42はベクトル制御を行うため、(1)式に示すように3相電流をモータ回転に同期した回転座標系(dq軸座標)に変換する部分である。
d軸電流制御器45、q軸電流制御器46は、一般的なPID制御を行って、減算器43、44で各々偏差がとられる電流指令値id *,iq *と、電流検出値id,iqが一致するように追従制御する。各制御器45,46の出力はそれぞれ飽和未考慮のd軸電圧指令値vd0 *、飽和未考慮のq軸電圧指令値vq0 *となる。
電圧振幅制限処理部47は、インバータの電圧飽和を考慮し、前記vd0 *、vq0 *から(8)式の電圧指令振幅値(飽和未考慮)Vmを計算し、該Vmを、設定した電圧振幅制限値Vmsatに制限する。
Figure 2017139892
Vm>Vmsatとなる場合はd軸電圧指令値vd *=vd0 *×(Vmsat/Vm)とし、q軸電圧指令値vq *=vq0 *×(Vmsat/Vm)として制限すれば良い。Vm≦Vmsatの場合は、そのままvd *=vd0 *、vq *=vq0 *を出力する。
また、電圧指令の飽和状態を考慮するために、(3)式の電圧指令デューティ比Dvを計算し、電流指令テーブル自動調整装置30のd軸電流調整器34にフィードバックする。
座標逆変換部48は、電圧振幅制限処理部47から出力されたd、q軸電圧指令値vd *、vq *を用いて(9)式によって3相の電圧指令値vu*,vv*,vw*に逆変換する。
Figure 2017139892
PWM制御部49は、3相に変換された電圧指令値vu*,vv*,vw*に対して、三角波キャリア比較方式等の一般的なPWM制御を行い、インバータの半導体素子のゲート信号(スイッチング信号)を生成する。
次に、本実施例6における電流指令テーブル自動生成システムの処理フローを図15のフローチャートとともに説明する。
<ステップS11(データ取得準備)>では、トルク&速度指令値設定処理部31が、回転数とトルクの二次元でd軸電流指令値id *とq軸電流指令値iq *の電流指令テーブルを生成するため定トルク範囲、定出力範囲などのモータの仕様に合わせて回転数の範囲と点数およびトルクの範囲と点数を任意に設定する(指令値設定ステップ)。
例えば、モータ回転数範囲が−1000rpm〜1000rpmで100rpm刻みの点数、トルク範囲が−100Nm〜100Nmで10Nm刻みの点数でテーブルを生成したい場合は、回転数21点×トルク21点=合計441点の動作点を設定する。また、モータの各種パラメータの温度依存性を考慮し、十分な暖機運転を行ってから電流指令テーブル自動生成処理を開始する。
その他、電流振幅制限値Imsatおよび電圧振幅制限値Vmsatなど、後述の処理で利用する各種パラメータや初期値等を予め設定する。
<ステップS12(電流指令テーブル自動生成処理ループ開始)>は、ステップS11で予め設定された全動作点において、順次id,iqを決定する処理を繰り返すループである。1つの動作点でid,iqのデータを取得した後、次の動作点に移行する処理を行う。これは全動作点のデータが取得されるまで繰り返される。
<ステップS13(回転数指令設定・速度制御)>では、ステップS11で設定された回転数設定値(速度指令)ωm *を図1における負荷サーボ装置20に送信し、回転数を所望の値に制御する(速度制御ステップ)。負荷サーボ装置20では速度制御が行われており、回転数検出値(速度検出値)ωmを電流指令テーブル自動調整装置30に返す。図14のトルク&速度指令値設定処理部31において、回転数検出値が所望の設定値に一致していることを確認し、ステップS14に移行する。
<ステップS14(トルク指令設定・トルク制御)>では、ステップS11で設定されたトルク指令値τ*とトルク検出値τが一致するように、図14の減算器32およびトルク制御器33がトルクフィードバック制御を行う。トルク指令と検出の偏差は一般的なPI制御を用いて追従制御し、PI制御出力(トルク制御器33の出力)をq軸電流指令値(飽和未考慮)iq0 *とする(q軸電流指令値生成ステップ)。このとき、d軸電流指令値id *の初期値は0とする(id *=0制御)。d軸電流調整器については後段のステップS15で処理する。トルク検出値が設定値に一致したことを確認し、ステップS15に移行する。
<ステップS15(d軸電流調整)>では、前段のステップS14のトルクフィードバック制御でq軸電流指令値が自動的に制御された状態で、d軸電流調整器34が、ステップS151〜S156を実行して最適なd軸電流指令値を探索する処理を行う。図14に示すとおり、d軸電流調整器34は、入力電力Pi、トルク誤差Δτ、電流制限フラグFlg_Im、電圧指令デューティ比Dvの情報を用いて、電流・電圧振幅値の制限を考慮しながらd軸電流指令値を探索する。本実施例では、最大効率制御を目指すため、同一トルクで入力電力が最小(つまり効率が最大)となるd軸電流を求める。
まず、図15の<ステップS151(電流・電圧制限判定)>では、電流制限フラグFlg_Imおよび電圧指令デューティ比Dvを用いて、ステップS11で設定した電流振幅制限値Imsatおよび電圧制限値Vmsatの閾値にかかっているかを判定する。電流振幅制限値Imsatと電流振幅Imの比較は、図14の電流振幅制限処理部37で行われており、制限されている場合はFlg_Im=1、制限されていない場合はFlg_Im=0とする。
電圧振幅制限値Vmsatは直流電圧Vdcで除して電圧指令デューティ比制限値Dvsatに単位変換し、電圧指令デューティ比Dvと比較すればよい。
電流もしくは電圧の振幅が制限された状態である場合は、ステップS152の「トルク誤差最小点探索」のモード(第1の探索モード)に移行する。制限されていない場合は、ステップS153の「入力電力最小点探索」のモード(第2の探索モード)に移行する。
ステップS152の「トルク誤差最小点探索」のモードは、id *=0を初期値とした状態で電流もしくは電圧振幅が制限されるため、そのままではステップS14のトルクフィードバック制御が追従できないことを意味する。したがって、d軸電流指令値を負方向に流すことで、最大トルク/電流制御や弱め磁束制御となる方向にd軸電流指令値の動作点を移動し、電流・電圧の制限を緩和しながらトルク誤差をなくす必要がある。
そこで、d軸電流指令値(飽和未考慮)id0 *を変化させたときのトルク誤差Δτを監視し、トルク指令値τ*と一致するまでd軸電流を変化させる。そしてトルク誤差が0となる、あるいはトルク誤差が最小となるd軸電流指令値を探索し、d軸電流指令値を収束させる。
探索手法は特に限定しないが、一般的な山登り法、最急降下法などを用いれば良い。例えばid *=0の初期値から任意のステップ幅でd軸電流指令値id0 *を負方向に変化させる。変化前後のトルク誤差Δτを観測し、変化前よりΔτが小さくなればさらに負方向にid0 *を変化させる。本処理を繰り返すことで、電流振幅が最小となるid *を探索できる。
このときid0 *を変化させるとトルクτも変化することになるが、ステップS14の処理(図14のトルク制御器33によるトルクフィードバック制御)が効いているため、id0 *の変化に応じてトルクτはトルク指令値τ*に常に一致するように、iq0 *が自動的に調整される。
ステップS153の「入力電力最小点探索」のモードは、トルク誤差Δτが0で電流・電圧振幅が制限されていない状態において、入力電力が最小(すなわち最大効率制御)となるd軸電流指令値を探索する処理を行う。探索手法は上述の通り、d軸電流指令値を変更したときの入力電力の変化を見て、山登り法などの一般的な手法で入力電力最小点を探索する。
<ステップS154(収束判定)>では、ステップS152の「トルク誤差最小点探索」もしくはステップS153の「入力電力最小点探索」の処理を実施した後、最小点に収束したことを判定する。通常は、電流・電圧制限範囲内で入力電力が最小となるd軸・q軸電流指令値に収束するが、電流・電圧振幅制限のために、d軸電流をどれだけ調整してもトルク誤差が残留する場合は、トルク誤差Δτが最小となる点に収束したことを判定する。
また、トルク誤差が0であっても、電流もしくは電圧振幅、またはその両方の制限値に達する場合がある。その場合、電流・電圧振幅の制限にかかるステップS152のモード(トルク誤差最小点探索)と、制限値にかからないステップS153のモード(入力電力最小点探索)の2つのモードを繰り返し状態遷移することになる。この場合は、探索処理中の上述の2つのモードの状態遷移回数と継続時間を判定し、トルク誤差が0であり、かつ、入力電力最小(最大効率)となる動作点として収束させる。以上より、トルク誤差最小もしくはトルク誤差が0で入力電力最小となるように、d軸・q軸電流指令値を自動的に求めることができる。
<ステップS155(トルク誤差評価)>では、d軸・q軸電流指令値が収束した後もトルク誤差Δτが残留しているかを判定する。上述のように、モータやインバータの制約上、設定した回転数とトルクを出力できない限界点に達した場合、d軸電流をいくら調整してもトルク誤差が0とならない場合がある。これは、動作点設定自体に無理があることを意味しているため、その回転数においては、トルク指令値自体を変更する必要がある。トルク誤差が残留している場合は、ステップS156(トルク設定値変更)にてトルク設定値を変更し、次の動作点に移行する。
以上が<ステップS15(d軸電流調整)>の処理内容となる。これにより、任意の動作点における電流・電圧振幅制限を考慮して、最大効率を実現するd軸・q軸電流指令値を求めることができる。
<ステップS16(設定動作点のid *,iq *電流指令データ記録)>では、ステップS14、S15で求めたid0 *,iq0 *に対して図14の電流振幅制限処理部37の処理を介して出力されたid *,iq *をそれぞれメモリに記録する。また、そのとき設定した回転数・トルクも併せてメモリに記録する。
<ステップS17(電流指令テーブル自動生成処理ループ終了)>では、全動作点でid *,iq *のデータ取得が完了するまで、ステップS13〜S16のループを繰り返す。全動作点のデータが取得された後はステップS18に移行する。
<ステップS18(全動作点のid *,iq *電流指令データ読み出し)>では、取得した全動作点のid *,iq *のデータをメモリから読み出し、ステップS19に移行する。
<ステップS19(電流指令テーブル生成)>では、ステップS18で読み出した全動作点のid *,iq *のデータを用いて、回転数とトルクを入力とした二次元テーブルとしてid *およびiq *をテーブル化する。テーブル化する際に、正規化や種々のデータ補間(例:キュービックスプライン補間など)を行っても良い。テーブルは2入力(回転数とトルク)1出力(id *又はiq *)という形式のデータとなり、id *用とiq *用で2種類生成されて終了する。
以上のようにして自動生成された電流指令テーブルは、インバータ内部のマイコン等にプログラムとして実装し、モータの動作状態(トルク指令と回転数の状態)に応じて、適合するid *,iq *のデータを線形補間等で読み出し、d軸電流指令値およびq軸電流指令値として利用する。したがって、電流指令テーブルが自動生成された後は、図1、図3のようなトルクフィードバック等の装置構成を必要とせず、任意のインバータで対象の埋込磁石同期モータを駆動すれば良い。あくまで、図1、図14の装置構成は実測に基づいた高精度な電流指令テーブルを自動生成する時のみに使用されるものである。図1、図14の構成で自動生成された電流指令テーブルを、一般的なベクトル制御インバータに実装する場合の利用形態は前記と同様に図5となる。
本実施例6における電流指令テーブルの利用形態では、図5の電流指令テーブル300は、図1、図14の装置構成で図15の処理を行って生成されたものである。
本実施例は、特に埋込磁石同期モータのd軸・q軸電流指令値(各軸の電流振幅・位相)を決定するにあたり、トルク誤差低減(高精度化)と高効率化の実現に寄与するものである。本装置および制御手法としての特長は、トルクフィードバック制御をしながらq軸電流を自動制御した状態を維持しつつ、高効率化される最適なd軸電流を探索できる点であり、さらにはモータやインバータの電流振幅・電圧振幅の仕様上の制限を考慮して、制限された状態においても最高効率となるd軸電流およびq軸電流の指令値を自動的に決定できることにある。また、最適な電流指令テーブル生成を自動化することで、テーブル生成に係る工数を削減できるので、省力化にも大きな効果がある。
実施例6では、電流振幅と電圧振幅の制限を考慮してd軸電流およびq軸電流指令値を決定した。本実施例では、これらの制限に加えて、モータ磁石の減磁対策としてd軸電流の負方向の大きさも制限する。
一般に、永久磁石を用いた同期モータは、負のd軸電流を流すことでd軸電機子反作用による減磁効果を用いることができる。これにより、d軸方向の磁束を減少させる弱め磁束制御が可能となり、埋込磁石同期モータの場合はモータ特性の改善にも繋がる。しかしながら、過度な減磁起磁力は永久磁石に対して不可逆減磁を引き起こす可能性があるため、負のd軸電流の大きさを制限する必要がある。
そこで本実施例では、電流振幅・電圧振幅制限に加えて、d軸電流指令値id *の大きさ|id *|も制限する。例えば、図14の電流振幅制限処理部37において、実施例6の電流振幅制限処理に加えて、|id0 *|がd軸電流制限値|id_sat|を超えた場合に制限するリミッタを設置し、制限時はFlg_Imを1とする。本処理を加えることで、永久磁石の不可逆減磁の恐れがあるd軸電流条件を禁止することができる。
図15の電流指令テーブル自動生成フローチャートにおいて、実施例6ではステップS15(d軸電流調整)のステップS155(トルク誤差評価)の処理で、d軸電流の探索が収束した後もトルク誤差が残留する場合はトルク設定値を変更する処理(ステップS156)を実施している。トルク誤差が残留する場合は、そのときの回転数におけるトルク出力の運転限界であり、予め設定したトルク指令値に追従させることはできない。したがって、そのときのトルク設定値のデータはメモリに記録せず、次の動作点に移行させていた。
本実施例では、上述のようにトルク誤差が残留する場合において、トルク誤差Δτの最小点探索結果を用い、設定されたトルク指令値から減算して、減算後のトルクを新たなトルク指令値として、後段のステップS16で記録する。
例えば、トルク誤差が残留する場合におけるトルク誤差最小点探索結果をΔτminとした場合、新たなトルク指令値はτ*−Δτminとなる。この新たなトルク指令値と、そのときの回転数設定値およびd軸電流指令値id *、q軸電流指令値iq *を、ステップS16で記録する。
本実施例によれば、任意回転数における運転限界のトルク値を動作点として自動的に追加設定し、最大トルクのデータを記録することができる。
これまでの実施例1〜8では、ステップS5,S15のd軸電流調整において、d軸電流の初期値をid *=0として調整を開始していた。d軸電流は0を初期値として負方向に調整され、例えば定常動作点において入力電力が最小(最大効率)となるd軸電流を探索した。
探索アルゴリズムには、例えば山登り法や最急降下法などの一般的な手法を用いればよいが、探索回数を低減して収束速度を速めるためには、d軸電流の初期値が最適点に近いことが望まれる。また、q軸電流は図3、図8、図10、図11、図14のトルク制御器33のフィードバック制御で決定づけられるが、トルク制御器出力の初期値、すなわちq軸電流指令値の初期値についても、解析結果から各動作点の初期値を設定することが可能であり、その場合はトルクフィードバック制御の収束が速くなる。
そこで本実施例では、シミュレーション等の解析結果から、予め最大効率制御となるd軸電流およびq軸電流を計算しておき、それを各動作点で初期値として設定する。解析結果を得る手法は任意であるが、例えば有限要素法等を用いた電磁界解析結果からd軸電流、q軸電流の初期値を求めておく。より簡易的に実施するならば、埋込磁石同期モータの一般的なトルク式((10)式)および解析式が得やすい最大トルク/電流制御の解析式((11)式)を用いて、各動作点におけるd軸電流、q軸電流を数値的に求め、それを初期値に設定して最適点探索アルゴリズムやトルクフィードバック制御(ステップS4,S5,S14,S15)を実施すれば良い。
Figure 2017139892
Figure 2017139892
ただし、p:極対数、Ψ:永久磁石による電機子鎖交磁束、Ld:d軸インダクタンス、Lq:q軸インダクタンスである。
解析結果には各種要因による誤差が含まれるため、初期値における誤差を補正するように探索アルゴリズムが機能する。本実施例によれば、解析結果を用いてd軸電流およびq軸電流指令値の初期値を設定するため、最適点探索アルゴリズムの収束速度を速めて、電流指令テーブル自動生成システムの調整時間を短縮することができる。
前記実施例6〜9では、インバータ・モータの総合効率を優先し、最大効率制御に基づいて電流指令テーブルを自動生成したが、意図的に銅損を減らしたい、あるいは電流振幅制限を緩和したい場合は、本実施例のように最大トルク/電流制御を用いることもできる。
装置構成は図1と同様のものを用いれば良い。制御構成は図14を基本として、図14の電流指令テーブル自動調整装置30の部分を図16に示すように変更する(インバータ制御部41は図14と同一)。図16において図14の電流指令テーブル自動調整装置30と異なる点は、入力電力Piの代わりに電流振幅Imをd軸電流調整器34に導入した点である。
前記電流振幅Imは、電流振幅制限処理部37において前記(7)式のとおり計算し、d軸電流調整器34に入力している。最大トルク/電流制御では、同一トルクで電流振幅が最小となるようにd軸電流を調整するため、図17に示すフローチャートで電流振幅最小点を探索する。図17は図15のフローチャートと基本的に同じ処理を行えばよい。図15からの変更は、ステップS153(入力電力最小点探索)をステップS157(電流振幅最小点探索)としている点のみである。したがって、電流・電圧振幅制限にかからない場合は、ステップS157で電流振幅最小点を任意の探索アルゴリズムで決定し、制限にかかる場合は図15と同様にステップS152のトルク誤差最小点を探索するモードに切り替えれば良い。
前記ステップS157(電流振幅最小点探索)は、図4のステップS5(d軸電流調整)と同様の手法でid *を探索する。
本実施例によれば、モータやインバータの電流振幅・電圧振幅の仕様上の制限を考慮して、制限された状態においても最大トルク/電流制御(電流振幅最小)を満たすd軸電流およびq軸電流の指令値を自動的に決定することができる。
本実施例では、モータの鉄損を最小化して電圧制限の緩和を優先したい場合に、最大トルク/磁束制御(最大トルク/誘起電圧制御)を実現する電流指令テーブル自動調整手法を提供する。
装置構成は図1と同様のものを用いれば良い。制御構成は図14を基本として、図14の電流指令テーブル自動調整装置30の部分を図18に示すように変更する(インバータ制御部41は図14と同一)。図18において、図14の電流指令テーブル自動調整装置30と異なる点は、入力電力Piの入力を削除した点である。
インバータ制御部41から受信した電圧指令デューティ比Dvは(3)式で計算され、d軸電流調整器34に入力される。最大トルク/磁束制御では、同一トルクで電圧振幅が最小(つまり電圧指令デューティ比Dvが最小)となるようにd軸電流を調整するため、図19に示すフローチャートで電圧指令デューティ比の最小点を探索する。
図19は図15のフローチャートと基本的に同じ処理を行えばよい。図15からの変更は、ステップS153(入力電力最小点探索)をステップS158(電圧指令デューティ比最小点探索)としている点のみである。したがって、電流・電圧振幅制限にかからない場合は、ステップS158で電圧指令デューティ比最小点を任意の探索アルゴリズムで決定し、制限にかかる場合は図15と同様にステップS152のトルク誤差最小点を探索するモードに切り替えれば良い。
本実施例によれば、モータやインバータの電流振幅・電圧振幅の仕様上の制限を考慮して、制限された状態においても最大トルク/磁束制御(電圧振幅最小)を満たすd軸電流およびq軸電流の指令値を自動的に決定することができる。
前記実施例6〜11は、電流・電圧振幅制限を考慮して、制限の有無にかかわらず電流指令テーブルを自動的に生成できるが、制限された状態に切り替わる動作点領域では、電流指令テーブル特性が大きく変化する。例えば図13で示したように、最大効率制御の運転領域と電流もしくは電圧振幅が制限された状態の最大出力制御の領域では、d軸電流、q軸電流指令値のテーブル特性は切り替わるので、特に運転領域が切り替わる境界付近ではテーブルデータを補間する際に、値の大きな変化に対して考慮する必要がある。
そこで本実施例では、図4、図15、図17、図19のフローチャートのステップS6,S16(設定動作点のid *,iq *電流指令データ記録)において、電流もしくは電圧制限の有無を同時に記録する。これにより電流・電圧制限の有無は全動作点で記録されるため、制限の有無で運転領域を区分ける。そして、図4、図15、図17、図19のステップS9,S19(電流指令テーブル生成)において、区分けした領域毎にデータを補間処理することで、テーブルデータの境界領域での精度を改善することができる。
10…埋込磁石同期モータ
11…トルクメータ
12…回転位置センサ
13…電流センサ
14…直流電源
15…電力計
20…負荷サーボ装置
30…電流指令テーブル自動調整装置
31…トルク&速度指令値設定処理部
32,43,44…減算器
33…トルク制御器
34…d軸電流調整器
35…無負荷損失テーブル
36,54…加算器
37…電流振幅制限処理部
40,400…インバータ
41,51,61…インバータ制御部
42,52…座標変換部
45…d軸電流制御器
46…q軸電流制御器
47…電圧振幅制限処理部
48,58…座標逆変換部
49,59…PWM制御部
53…速度演算部
55…ベクトル制御部
200…負荷
300,500…電流指令テーブル

Claims (22)

  1. 埋込磁石同期モータを可変速制御するインバータに与えるトルク指令から、ベクトル制御のd軸、q軸電流指令値に変換する電流指令テーブルを自動生成するシステムであって、
    前記モータに軸接続され、サーボモータ制御がなされる負荷装置と、
    前記負荷装置とモータの結合軸に設置されたトルクメータと、
    前記モータの回転数とトルクを所定の回転数範囲、トルク範囲に各々区分し、区分した各範囲を一つの動作点における速度指令値、トルク指令値に各々設定し、
    前記負荷装置の回転速度が、前記一つの動作点で設定された速度指令値となるように負荷装置に対して速度制御を行わせ、
    前記トルクメータのトルク検出値が、前記一つの動作点で設定されたトルク指令値に一致するようにトルクフィードバック制御を行ってq軸電流指令値を生成するq軸電流指令値生成処理を実行し、
    前記一つの動作点でのトルクフィードバック制御がなされている状態で、電流指令テーブル自動生成システムの各種情報に基づいて所望の性能を満たすd軸電流指令値を探索して生成するd軸電流指令値生成処理を実行し、
    前記d軸電流指令値およびq軸電流指令値の生成処理を全動作点について実行し、
    前記全動作点について生成されたd軸電流指令値およびq軸電流指令値を、回転数とトルクに各々対応付けてテーブル化する電流指令テーブル自動調整装置と、
    前記生成されたd軸電流指令値およびq軸電流指令値によって前記インバータを制御するインバータ制御部と、
    を備えたことを特徴とする埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システム。
  2. 前記d軸電流指令値生成処理は、d軸電流指令値を変化させ、変化前後の、検出したモータ電流の電流振幅値を観測し、該電流振幅値が最小となるd軸電流指令値を探索することを特徴とする請求項1に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システム。
  3. 前記電流指令テーブル自動調整装置はd軸電流指令値からモータ電流の電流振幅値を演算し、
    前記d軸電流指令値生成処理は、d軸電流指令値を変化させ、変化前後の、前記演算された電流振幅値を観測し、該電流振幅値が最小となるd軸電流指令値を探索することを特徴とする請求項1に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システム。
  4. 前記d軸電流指令値生成処理は、d軸電流指令値を変化させ、変化前後のインバータの入力電力を観測し、該入力電力が最小となるd軸電流指令値を探索することを特徴とする請求項1に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システム。
  5. 前記インバータ制御部は、インバータの三相検出電流を座標変換したd軸電流、q軸電流が、前記d軸電流指令値、q軸電流指令値に一致するように追従制御して得たd軸電圧指令値、q軸電圧指令値と、インバータの直流入力電圧とから電圧指令デューティ比を演算し、
    前記d軸電流指令値生成処理は、d軸電流指令値を変化させ、変化前後の前記電圧指令デューティ比を観測し、該電圧指令デューティ比が設定した制限値となるd軸電流指令値を探索することを特徴とする請求項1に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システム。
  6. 予め前記モータの無負荷損失を計測して作成され、前記一つの動作点で設定された速度指令値に対応した負荷損失トルクが出力される無負荷損失テーブルを備え、
    前記q軸電流指令値生成処理は、前記トルクメータのトルク検出値が、前記一つの動作点で設定されたトルク指令値と前記無負荷損失テーブルから出力される無負荷損失トルクを加算したトルクに一致するようにトルクフィードバック制御を行って、q軸電流指令値を生成することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システム。
  7. 前記電流指令テーブル自動調整装置に設けられ、モータ電流の電流振幅が電流振幅制限値を超えたか否かを判定し、電流振幅が電流振幅制限値を超えたときd軸電流指令値、q軸電流指令値に制限をかける電流振幅制限処理を行う電流振幅制限処理部か、又は前記インバータ制御部に設けられ、インバータの三相検出電流を座標変換したd軸電流、q軸電流がd軸電流指令値、q軸電流指令値に一致するように追従制御してd軸電圧指令値、q軸電圧指令値を得、該d軸電圧指令値、q軸電圧指令値の電圧振幅が電圧振幅制限値を超えたか否かを判定し、電圧振幅が電圧振幅制限値を超えたときd軸電圧指令値、q軸電圧指令値に制限をかける電圧振幅制限処理を行う電圧振幅制限処理部、の少なくともいずれか一方を備え、
    前記d軸電流指令値生成処理は、前記一つの動作点でのトルクフィードバック制御がなされている状態で、前記電流振幅又は電圧振幅の少なくともいずれか一方が前記制限値を超えた場合に、第1の情報としての、トルク検出値とトルク指令値の偏差を示すトルク誤差に基づいて、第1の探索モードを実行して最大出力制御が行えるd軸電流指令値を生成し、前記電流振幅又は電圧振幅の少なくともいずれか一方が前記制限値以下の場合に、電流指令テーブル自動生成システムの第2の情報に基づいて、第2の探索モードを実行して最大効率制御が行えるd軸電流指令値を生成することを特徴とする請求項1に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システム。
  8. 前記電流指令テーブル自動調整装置は、前記第1又は第2の探索モード実行時のデータが最小点に収束したか否かを判定する収束判定処理を行い、前記第1又は第2の探索モード実行時に、第1又は第2の探索モードを繰り返し状態遷移した場合は、前記状態遷移の回数および継続時間に基づいて収束判定処理を行うことを特徴とする請求項7に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システム。
  9. 前記収束判定処理によって収束が判定された後に、前記第1の情報であるトルク誤差が残留しているか否かを判定し、残留している場合に、一つの動作点に設定されたトルク指令値から前記残留したトルク誤差を減算して新たなトルク指令値を求め、該新たなトルク指令値を当該動作点でのトルク指令値に設定変更することを特徴とする請求項8に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システム。
  10. 前記第2の情報はインバータの入力電力であり、
    前記d軸電流指令値生成処理における第2の探索モードは、d軸電流指令値を変化させたときの、変化前後の前記入力電力を観測し、該入力電力が最小となるd軸電流指定値を探索し、
    前記d軸電流指令値生成処理における第1の探索モードは、d軸電流指令値を負方向に変化させたときの、変化前後の前記第1の情報であるトルク誤差を観測し、該トルク誤差が0又は最小となるd軸電流指令値を探索することを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システム。
  11. 前記電流指令テーブル自動調整装置に設けられた電流振幅制限処理部を備え、
    前記電流振幅制限処理部は、電流振幅制限処理前のd軸電流指令値、q軸電流指令値から電流振幅値を演算し、
    前記第2の情報は前記演算された電流振幅値であり、
    前記d軸電流指令値生成処理における第2の探索モードは、電流振幅制限処理前のd軸電流指令値を変化させたときの、変化前後の前記電流振幅値を観測し、該電流振幅値が最小となるd軸電流指令値を探索し、
    前記d軸電流指令値生成処理における第1の探索モードは、d軸電流指令値を負方向に変化させたときの、変化前後の前記第1の情報であるトルク誤差を観測し、該トルク誤差が0又は最小となるd軸電流指令値を探索することを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システム。
  12. 前記電流指令テーブル自動調整装置に設けられた前記電流振幅制限処理部および前記インバータ制御部に設けられた前記電圧振幅制限処理部を備え、
    前記電圧振幅制限処理部は、電圧振幅制限処理前のd軸電圧指令値、q軸電圧指令値およびインバータの直流入力電圧から電圧指令デューティ比を演算し、
    前記第2の情報は前記演算された電圧指令デューティ比であり、
    前記d軸電流指令値生成処理における第2の探索モードは、電流振幅制限処理前のd軸電流指令値を変化させたときの、変化前後の前記電圧指令デューティ比を観測し、該電圧指令デューティ比が最小となるd軸電流指令値を探索し、
    前記d軸電流指令値生成処理における第1の探索モードは、d軸電流指令値を負方向に変化させたときの、変化前後の前記第1の情報であるトルク誤差を観測し、該トルク誤差が0又は最小となるd軸電流指令値を探索することを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システム。
  13. 前記電流指令テーブル自動調整装置は、最大効率制御となるq軸電流を予め解析によって求めておき、該求められたq軸電流を前記トルクフィードバック制御を行うときのq軸電流指令値の初期値とすることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システム。
  14. 前記電流指令テーブル自動調整装置は、最大効率制御となるd軸電流を予め解析によって求めておき、該求められたd軸電流を、前記d軸電流指令値生成処理時のd軸電流指令値の初期値とすることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システム。
  15. 前記電流指令テーブル自動調整装置に設けられた前記電流振幅制限処理部を備え、
    前記電流振幅制限処理部は、負方向に変化させるd軸電流指令値の大きさが、設定した制限値よりも大となったときにd軸電流指令値に制限をかけるd軸電流指令値制限処理を行うことを特徴とする請求項10ないし14のいずれか1項に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システム。
  16. 前記電流指令テーブル自動調整装置は、前記全動作点について生成されたd軸電流指令値およびq軸電流指令値のデータを、前記電流振幅制限処理部又は電圧振幅制限処理部の少なくとも一方における制限値以下であるデータと制限値を超えたデータとに区分し、区分したデータ毎にデータ補間処理を施してテーブル化を行うことを特徴とする請求項7ないし15のいずれか1項に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成システム。
  17. 埋込磁石同期モータに軸接続され、サーボモータ制御がなされる負荷装置と、前記負荷装置とモータの結合軸に設置されたトルクメータと、前記モータを可変速制御するインバータとを有した電流指令テーブル自動生成システムを備え、前記インバータに与えるトルク指令から、ベクトル制御のd軸、q軸電流指令値に変換する電流指令テーブルを自動生成する方法であって、
    電流指令テーブル自動調整装置が、前記モータの回転数とトルクを所定の回転数範囲、トルク範囲に各々区分し、区分した各範囲を一つの動作点における速度指令値、トルク指令値に各々設定する指令値設定ステップと、
    電流指令テーブル自動調整装置が、前記負荷装置の回転速度が前記一つの動作点で設定された速度指令値となるように負荷装置に対して速度制御を行わせる速度制御ステップと、
    電流指令テーブル自動調整装置が、前記トルクメータのトルク検出値を、前記一つの動作点で設定されたトルク指令値に一致させるようにトルクフィードバック制御を行ってq軸電流指令値を生成するq軸電流指令値生成ステップと、
    電流指令テーブル自動調整装置が、前記一つの動作点でのトルクフィードバック制御がなされている状態で、電流指令テーブル自動生成システムの各種情報に基づいて所望の性能を満たすd軸電流指令値を探索して生成するd軸電流指令値生成ステップと、
    電流指令テーブル自動調整装置が、前記指令値設定ステップ、速度制御ステップ、q軸電流指令値生成ステップおよびd軸電流指令値生成ステップを全動作点について繰り返し実行するステップと、
    電流指令テーブル自動調整装置が、前記全動作点について生成されたd軸電流指令値およびq軸電流指令値を、回転数とトルクに各々対応付けてテーブル化するステップと、
    を備えたことを特徴とする埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成方法。
  18. 電流指令テーブル自動調整装置が、予め前記モータの無負荷損失を計測し、前記一つの動作点で設定された速度指令値に対応した負荷損失トルクが出力される無負荷損失テーブルを作成するステップを備え、
    前記q軸電流指令値生成ステップは、前記トルクメータのトルク検出値が、前記一つの動作点で設定されたトルク指令値と前記無負荷損失テーブルから出力される無負荷損失トルクを加算したトルクに一致するようにトルクフィードバック制御を行って、q軸電流指令値を生成することを特徴とする請求項17に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成方法。
  19. 前記電流指令テーブル自動調整装置に設けられ、モータ電流の電流振幅が電流振幅制限値を超えたか否かを判定し、電流振幅が電流振幅制限値を超えたときd軸電流指令値、q軸電流指令値に制限をかける電流振幅制限処理を行う電流振幅制限処理部か、又はインバータ制御部に設けられ、インバータの三相検出電流を座標変換したd軸電流、q軸電流がd軸電流指令値、q軸電流指令値に一致するように追従制御してd軸電圧指令値、q軸電圧指令値を得、該d軸電圧指令値、q軸電圧指令値の電圧振幅が電圧振幅制限値を超えたか否かを判定し、電圧振幅が電圧振幅制限値を超えたときd軸電圧指令値、q軸電圧指令値に制限をかける電圧振幅制限処理を行う電圧振幅制限処理部、の少なくともいずれか一方を備え、
    前記d軸電流指令値生成ステップは、前記一つの動作点でのトルクフィードバック制御がなされている状態で、前記電流振幅又は電圧振幅の少なくともいずれか一方が前記制限値を超えた場合に、第1の情報としての、トルク検出値とトルク指令値の偏差を示すトルク誤差に基づいて、第1の探索モードを実行して最大出力制御が行えるd軸電流指令値を生成し、前記電流振幅又は電圧振幅の少なくともいずれか一方が前記制限値以下の場合に、電流指令テーブル自動生成システムの第2の情報に基づいて、第2の探索モードを実行して最大効率制御が行えるd軸電流指令値を生成することを特徴とする請求項17に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成方法。
  20. 前記第2の情報はインバータの入力電力であり、
    前記d軸電流指令値生成ステップにおける第2の探索モードは、d軸電流指令値を変化させたときの、変化前後の前記入力電力を観測し、該入力電力が最小となるd軸電流指定値を探索し、
    前記d軸電流指令値生成ステップにおける第1の探索モードは、d軸電流指令値を負方向に変化させたときの、変化前後の前記第1の情報であるトルク誤差を観測し、該トルク誤差が0又は最小となるd軸電流指令値を探索することを特徴とする請求項19に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成方法。
  21. 前記電流指令テーブル自動調整装置に設けられた前記電流振幅制限処理部が、電流振幅制限処理前のd軸電流指令値、q軸電流指令値から電流振幅値を演算するステップを備え、
    前記第2の情報は前記演算された電流振幅値であり、
    前記d軸電流指令値生成ステップにおける第2の探索モードは、電流振幅制限処理前のd軸電流指令値を変化させたときの、変化前後の前記電流振幅値を観測し、該電流振幅値が最小となるd軸電流指令値を探索し、
    前記d軸電流指令値生成ステップにおける第1の探索モードは、d軸電流指令値を負方向に変化させたときの、変化前後の前記第1の情報であるトルク誤差を観測し、該トルク誤差が0又は最小となるd軸電流指令値を探索することを特徴とする請求項19に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成方法。
  22. 前記電流指令テーブル自動調整装置に設けられた前記電流振幅制限処理部およびインバータ制御部に設けられた前記電圧振幅制限処理部を有し、
    前記電圧振幅制限処理部が、電圧振幅制限処理前のd軸電圧指令値、q軸電圧指令値およびインバータの直流入力電圧から電圧指令デューティ比を演算するステップを備え、
    前記第2の情報は前記演算された電圧指令デューティ比であり、
    前記d軸電流指令値生成ステップにおける第2の探索モードは、電流振幅制限処理前のd軸電流指令値を変化させたときの、変化前後の前記電圧指令デューティ比を観測し、該電圧指令デューティ比が最小となるd軸電流指令値を探索し、
    前記d軸電流指令値生成ステップにおける第1の探索モードは、d軸電流指令値を負方向に変化させたときの、変化前後の前記第1の情報であるトルク誤差を観測し、該トルク誤差が0又は最小となるd軸電流指令値を探索することを特徴とする請求項19に記載の埋込磁石同期モータの電流指令テーブル自動生成方法。
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