以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図7は、本実施の形態による貨幣釣銭機を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態における貨幣釣銭機およびこのような貨幣釣銭機に設けられたPOSレジスタの外観を示す斜視図であり、図2は、図1に示す貨幣釣銭機における紙幣処理ユニットの内部構成を側方から見たときの構成図であり、図3は、図1に示す貨幣釣銭機における硬貨処理ユニットの内部構成を上方から見たときの構成図である。また、図4は、図1に示す貨幣釣銭機において包装硬貨収納ユニットの収納ドロアを筐体から引き出したときの構成を上方から見たときの構成図である。また、図5は、図1に示す貨幣釣銭機およびPOSレジスタにおける制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、図6は、操作者が所持するICタグに記憶されている情報を示す表であり、図7は、図1に示す貨幣釣銭機のリーダライタによりICタグに情報を書き込む際に操作表示部に表示される画面を示す図である。
コンビニエンスストアやスーパーマーケット等の商業施設の店舗において、顧客が立ち入ることができるフロント領域には様々な商品が陳列された商品棚が設置されているとともに、このフロント領域の精算所には本実施の形態による貨幣釣銭機1やPOSレジスタ90が設置されている。顧客がこのような精算所で精算処理を行う際に、店員は、顧客から受け取った商品の代金としての貨幣を貨幣釣銭機1に入金したり、釣銭としての貨幣を貨幣釣銭機1から出金して顧客に返却したりするようになっている。また、POSレジスタ90により、顧客が購入した商品に係る情報や貨幣釣銭機1に収納されている貨幣に係る情報等の管理が行われるようになっている。また、このような店舗における顧客の立ち入りが禁止されたバックヤード領域(具体的には、例えば入金室)には、貨幣釣銭機1から回収された売上金としての貨幣を入金する出納機等の貨幣入出金機が設置されている。また、貨幣釣銭機1において釣銭としての貨幣が不足する場合には、貨幣入出金機から釣銭補充金としての貨幣を出金し、この貨幣入出金機から出金された釣銭補充金としての貨幣を貨幣釣銭機1に補充することができるようになっている。このような貨幣釣銭機1の構成の詳細について図1乃至図5を用いて説明する。
図1等に示すように、本実施の形態による貨幣釣銭機1は、上下に並ぶよう配置された硬貨処理ユニット50および包装硬貨収納ユニット80と、これらの硬貨処理ユニット50や包装硬貨収納ユニット80の隣に並ぶよう配置された紙幣処理ユニット10とを備えており、紙幣処理ユニット10や硬貨処理ユニット50の上方にはPOSレジスタ90が載置されるようになっている。紙幣処理ユニット10および硬貨処理ユニット50は、それぞれ、硬貨や紙幣の入出金処理を行うようになっている。また、包装硬貨収納ユニット80は、各金種の包装硬貨を取り出し可能に収納するようになっている。また、POSレジスタ90は、貨幣釣銭機1の管理を行う管理装置として用いられるようになっている。
まず、紙幣処理ユニット10の構成について図1および図2を用いて具体的に説明する。図1および図2に示すように、紙幣処理ユニット10は、略直方体形状の筐体12と、筐体12の前面側に設けられた紙幣受入部20と、筐体12の前面側において紙幣受入部20の下方に設けられた紙幣払出部22と、筐体12の内部で紙幣を1枚ずつ搬送する搬送部30と、筐体12の内部で紙幣を収納するとともに収納されている紙幣を繰出可能な複数の紙幣収納部34、36、38とを備えている。なお、図2において、筐体12の右側の側面が紙幣処理ユニット10の手前側の面となっており、図2における左向きの方向が紙幣処理ユニット10の奥行き方向となっている。図2に示すように、搬送部30は、筐体12の中央位置に配置された周回搬送部30aおよび複数の接続搬送部30bから構成されている。また、紙幣受入部20、紙幣払出部22、出金リジェクト部24、後述する収納カセット28を着脱自在に装着可能なカセット装着部26および3つの紙幣収納部34、36、38が、それぞれ、周回搬送部30aを取り囲むよう配置されている。また、図2に示すように、複数の接続搬送部30bの各々により、紙幣受入部20、紙幣払出部22、出金リジェクト部24、カセット装着部26および3つの紙幣収納部34、36、38の各々と、周回搬送部30aとの間をそれぞれ接続するようになっている。また、周回搬送部30aには識別部32が設けられており、この識別部32は、周回搬送部30aにより搬送される紙幣の金種、真偽、正損、表裏、新旧、搬送状態等の識別を行うようになっている。
周回搬送部30aは、図2における時計回りの方向および反時計回りの方向の両方向に紙幣を1枚ずつ搬送することができるようになっている。また、搬送部30において、周回搬送部30aと各接続搬送部30bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部30aに沿って配置されている。
図1および図2に示すように、筐体12の前面には、紙幣受入部20の紙幣受入口20aと、紙幣払出部22の紙幣取出口22aとがそれぞれ設けられている。また、カセット装着部26の前面側には扉26aが設けられており、この扉26aを開くことにより収納カセット28をカセット装着部26に装着させたりこのカセット装着部26から収納カセット28を取り出したりすることができるようになっている。
紙幣受入部20には紙幣繰出機構21が設けられており、紙幣受入口20aに1枚あるいは複数枚の紙幣が投入されたことが検知されると紙幣繰出機構21が駆動されることにより紙幣が接続搬送部30bを介して周回搬送部30a側へ1枚ずつ繰り出されるようになっている。
紙幣払出部22は、各紙幣収納部34、36、38から周回搬送部30aに繰り出された紙幣を紙幣取出口22aにより筐体12の外部へ放出するようになっている。
出金リジェクト部24は、出金処理時において各紙幣収納部34、36、38から繰り出された紙幣のうち、重送や斜行等の搬送異常により識別部32で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納するようになっている。また、紙幣受入部20から筐体12の内部に取り込まれた紙幣のうち、入金処理時において汚損等により識別部32で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部22に返却されるようになっている。
各紙幣収納部34、36、38は、識別部32の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納するようになっている。これらの紙幣収納部34、36、38には、紙幣処理ユニット10に入金された売上金としての紙幣や釣銭として出金されるべき紙幣が収納されるようになっている。具体的には、例えば紙幣収納部34には千円札が収納され、紙幣収納部36には二千円札および五千円札が混合状態で収納され、紙幣収納部38には一万円札が収納されるようになっている。また、各紙幣収納部34、36、38にはそれぞれ紙幣繰出機構35、37、39が設けられており、これらの紙幣収納部34、36、38に収納されている紙幣は各紙幣繰出機構35、37、39により接続搬送部30bを介して周回搬送部30a側へ1枚ずつ繰り出されるようになっている。
また、紙幣処理ユニット10の筐体12の内部には、当該筐体12の前面側に引き出し可能となっている引出部13が設けられており、上述した紙幣受入部20、紙幣払出部22、出金リジェクト部24、カセット装着部26、搬送部30、各紙幣収納部34、36、38は引出部13に設けられている。また、紙幣処理ユニット10には、引出部13を筐体12の内部にロックするロック機構14(図5参照)が設けられており、ロック機構14による引出部13のロックが解除されると操作者は引出部13を筐体12の前面側(すなわち、図2における右方向)に引き出すことができるようになっている。搬送部30等において紙幣の詰まり等の異常が発生した場合には、ロック機構14による引出部13のロックを解除することにより、操作者は引出部13を筐体12の前面側に引き出して搬送部30等から詰まりの原因となる紙幣を取り出すことができるようになる。
また、図1に示すように、紙幣処理ユニット10の筐体12の上面における前部にはリーダライタ40が設けられており、このようなリーダライタ40によって操作者が所持する無線ICタグ等のICタグから情報を読み取ったり当該ICタグに情報を書き込んだりするようになっている。具体的には、図5に示すように、リーダライタ40は、当該リーダライタ40に近づけられたICタグから様々な情報を読み取る読取部42と、リーダライタ40に近づけられたICタグに様々な情報を書き込む書込部44とを有している。リーダライタ40の読取部42によりICタグから読み取られる情報や書込部44によりICタグに書き込まれる情報の詳細については後述する。
次に、硬貨処理ユニット50の構成について説明する。図1および図3に示すように、硬貨処理ユニット50は、略直方体形状の筐体51と、筐体51の前面側に設けられた硬貨受入部52と、筐体51の前面側において硬貨受入部52の下方に設けられた硬貨払出部66と、筐体51の内部で硬貨を収納するとともに収納されている硬貨を繰出可能な複数の収納繰出部60とを備えている。
硬貨受入部52は、硬貨投入口を介して受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ筐体51内に取り込むようになっている。より詳細には、硬貨受入部52には繰出ベルト等からなる硬貨繰出機構53(図5参照)が設けられており、硬貨受入部52に受け入れられた硬貨を検知するとこの硬貨繰出機構53が駆動されることにより当該硬貨繰出機構53によって硬貨が筐体51の内部に1枚ずつ繰り出されるようになっている。また、硬貨受入部52には、硬貨投入口を開閉するシャッタ52aが設けられている。また、図3に示すように、硬貨受入部52には、当該硬貨受入部52により筐体51の内部に繰り出された硬貨を搬送する入金搬送部54が接続されている。
図3に示すように、入金搬送部54の途中には、硬貨の金種、真偽、正損、表裏、新旧、搬送状態等の識別を行う識別部56と、分岐部58とがそれぞれ設けられている。分岐部58は、識別部56による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部66から払い出されるべき硬貨を入金搬送部54から分岐させて出金搬送部62へ案内するようになっている。
一方、正常硬貨等の筐体51内に収納されるべき硬貨は入金搬送部54により各収納繰出部60へ搬送されるようになっている。収納繰出部60は硬貨を金種別に収納するとともに収納されている硬貨を繰出可能となるよう構成されている。具体的には、例えば日本国で流通している硬貨の6つの金種(500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨および1円硬貨)に対応して6つの収納繰出部60が設けられており、入金搬送部54の上流側(すなわち、図3における下側)から低額順に各収納繰出部60に硬貨が金種毎に収納されるようになっている。また、収納繰出部60には、当該収納繰出部60に収納された硬貨を1枚ずつ出金搬送部62に繰り出す硬貨繰出機構(図示せず)が設けられている。
出金搬送部62は、収納繰出部60から繰り出された硬貨を硬貨払出部66へ搬送するようになっている。また、出金搬送部62は、分岐部58により入金搬送部54から分岐させられたリジェクト硬貨等を硬貨払出部66へ搬送するようになっている。
また、硬貨処理ユニット50の筐体51の内部には、当該筐体51の前面側に引き出し可能となっている引出部55が設けられており、上述した硬貨受入部52、入金搬送部54、識別部56、分岐部58、各収納繰出部60、出金搬送部62、硬貨払出部66は引出部55に設けられている。また、硬貨処理ユニット50には、引出部55を筐体51の内部にロックするロック機構57(図5参照)が設けられており、ロック機構57による引出部55のロックが解除されると操作者は引出部55を筐体51の前面側(すなわち、図3における下方向)に引き出すことができるようになっている。入金搬送部54や出金搬送部62等において硬貨の詰まり等の異常が発生した場合には、ロック機構57による引出部55のロックを解除することにより、操作者は引出部55を筐体51の前面側に引き出して入金搬送部54や出金搬送部62等から詰まりの原因となる硬貨を取り出すことができるようになる。
次に、包装硬貨収納ユニット80の構成について具体的に説明する。図1および図4に示すように、包装硬貨収納ユニット80は、手前側の側面が開口している略直方体形状の筐体81と、筐体81内に収容可能となっているとともに当該筐体81から手前側に引き出し可能な収納ドロア82とを備えており、収納ドロア82には各金種の包装硬貨が例えば2列で収納されるようになっている(図4において、収納ドロア82に収納された各金種の包装硬貨を斜線で示している)。ここで、収納ドロア82には、包装硬貨を1本ずつ収納する収納部(ポケット)が複数個形成されており、各収納部に収納される包装硬貨の金種毎の収納本数および位置が予め設定されている。具体的には、図4において参照符号Aで示す領域には8本の100円の包装硬貨が収納可能となっており、参照符号Bで示す領域には1本の500円の包装硬貨が収納可能となっており、参照符号Cで示す領域には1本の50円の包装硬貨が収納可能となっている。また、図4において参照符号Dで示す領域には6本の10円の包装硬貨が収納可能となっており、参照符号Eで示す領域には4本の1円の包装硬貨が収納可能となっており、参照符号Fで示す領域には1本の5円の包装硬貨が収納可能となっている。
また、図5に示すように、包装硬貨収納ユニット80の筐体81の内部には、収納ドロア82が筐体81に完全に収容されたときに当該収納ドロア82を筐体81内にロックするためのロック機構86が設けられている。ここで、ロック機構86が収納ドロア82を筐体81の内部にロックしたときには、この収納ドロア82を筐体81から手前側に引き出すことができなくなり、よって収納ドロア82から包装硬貨を取り出すことができなくなる。
また、包装硬貨収納ユニット80の筐体81における前面開口の近傍には、収納ドロア82が筐体81から手前側に引き出されたり筐体81の内部に戻されたりする際に当該収納ドロア82に収納されている包装硬貨の金種毎の本数を検知する検知手段84が設けられている。具体的には、図4等に示すように、検知手段84は左右一対の光センサ84aおよび筐体81からの収納ドロア82の引き出し量を検知するロータリエンコーダ84bを有している。ここで、各光センサ84aは発光素子および受光素子を有しており、発光素子から発せられた光は、包装硬貨収納ユニット80の幅方向(図4における左右方向)に延びる光軸を通って受光素子に送られるようになっている。そして、収納ドロア82が筐体81の内部に完全に収容されていたり当該収納ドロア82が筐体81から完全に引き出されたりしているときには、各光センサ84aにおいて発光素子から発せられた光は受光素子により受けられ、一方、収納ドロア82が筐体81から手前側に引き出されたり筐体81の内部に戻されたりする際に、発光素子から発せられた光が収納ドロア82内に収納された包装硬貨により遮られることにより受光素子に届かなくなり、このことにより包装硬貨の孔の有無や直径の大きさが検知されるようになる。前述したように、収納ドロア82において、収納される包装硬貨の金種毎の収納本数および位置が予め設定されているため、光センサ84aにより検知された包装硬貨の孔の有無や直径の大きさ、ならびにロータリエンコーダ84bにより検知された筐体81からの収納ドロア82の引き出し量に基づいて、収納ドロア82に収納された包装硬貨の金種毎の本数、および各包装硬貨が収納ドロア82内の所定の位置に正しく収納されているか否か等が検知されるようになっている。
なお、本実施の形態による包装硬貨収納ユニット80は上記の構成のものに限定されることはない。他の構成の包装硬貨収納ユニット80において、収納ドロア82に収納されている包装硬貨の金種毎の本数を検知する検知手段84として、収納ドロア82の収納部に収納される包装硬貨の有無および金種(材質)を検出するセンサを全ての収納部に配置するような方式のものが用いられてもよい。
次に、POSレジスタ90の構成について具体的に説明する。図1および図5に示すように、POSレジスタ90は、POS制御部91と、POS制御部91にそれぞれ接続されたモニタ等の表示部93および操作キー等の操作部94とを備えている。操作部94は、操作者が操作することができるようになっており、POS制御部91に対して様々な指令を与えることができるようになっている。また、表示部93は、紙幣処理ユニット10や硬貨処理ユニット50における紙幣や硬貨の処理状況や、紙幣処理ユニット10や硬貨処理ユニット50に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報を表示するようになっている。また、POSレジスタ90には顧客が視認可能な追加の表示部93aが設けられており、様々な情報を表示部93に表示させる代わりに、あるいは表示部93における表示に加えて、追加の表示部93aにおいて表示が行われるようになっていてもよい。また、POSレジスタ90にはカードリーダ96および印字部97が設けられている(図5参照、図1では図示せず)。カードリーダ96は、店員等の操作者が所持するIDカードを読み取ることにより当該操作者のIDや権限等に関する情報を取得するようになっている。また、印字部97は例えばプリンタから構成され、売上レシートや集計レシートに加えて、紙幣処理ユニット10や硬貨処理ユニット50に収納されている紙幣や硬貨の在高等の情報をレシートに印字するようになっている。
次に、このような貨幣釣銭機1における制御系の構成について図5を用いて説明する。図5に示すように、硬貨処理ユニット50は、上位制御部2および硬貨制御部50aを有しており、これらの上位制御部2および硬貨制御部50aは互いに接続されている。また、紙幣処理ユニット10は紙幣制御部10aを有しており、この紙幣制御部10aは硬貨処理ユニット50の上位制御部2に接続されている。また、包装硬貨収納ユニット80は包装硬貨制御部80aを有しており、この包装硬貨制御部80aは硬貨処理ユニット50の上位制御部2に接続されている。また、POSレジスタ90に設けられたPOS制御部91も硬貨処理ユニット50の上位制御部2に接続されている。また、図示していないが、POSレジスタ90のPOS制御部91は店舗サーバ等の上位端末と通信可能に接続されている。
図5に示すように、硬貨処理ユニット50の上位制御部2には、紙幣処理ユニット10、包装硬貨収納ユニット80およびPOSレジスタ90の各々と通信を行うための通信部3、操作表示部4、記憶部6および処理モード選択手段8がそれぞれ接続されている。この上位制御部2は、通信部3により、紙幣処理ユニット10の紙幣制御部10a、包装硬貨収納ユニット80の包装硬貨制御部80aおよびPOSレジスタ90のPOS制御部91に対して信号の送受信を行うようになっている。また、操作表示部4は硬貨処理ユニット50の筐体51の上面に設けられたタッチパネル等からなり、操作者が操作するための操作画面や、紙幣処理ユニット10、硬貨処理ユニット50および包装硬貨収納ユニット80の各々に収納されている貨幣の在高に係る情報が操作表示部4に表示されるようになっている。このような操作表示部4において操作者は操作画面における操作ボタンに指を触れることによって上位制御部2に様々な指令を入力することができるようになっている。記憶部6には、紙幣処理ユニット10、硬貨処理ユニット50および包装硬貨収納ユニット80の各々に収納されている貨幣の在高に係る情報や、貨幣釣銭機1における貨幣の処理履歴等の様々な情報が記憶されるようになっている。また、記憶部6には、本実施の形態による貨幣釣銭機1の識別番号として、貨幣釣銭機1が設置される店舗の番号(以下、店舗番号ともいう)、および貨幣釣銭機1に対応するPOSレジスタ90の識別番号(以下、レジ番号ともいう)がそれぞれ記憶されるようになっている。また、処理モード選択手段8は、リーダライタ40の読取部42によりICタグから読み取られた情報に基づいて貨幣釣銭機1の各構成部材により各種の処理を行うような第1処理モードおよびPOSレジスタ90等の外部装置から送信された指令に基づいて貨幣釣銭機1の各構成部材により各種の処理を行うような第2処理モードのうちいずれかの処理モードを選択するようになっている。このような処理モード選択手段8の機能の詳細については後述する。
また、紙幣処理ユニット10の紙幣制御部10aには、通信部18、紙幣繰出機構21、搬送部30、識別部32、紙幣繰出機構35、37、39、カセット装着部26、ロック機構14、リーダライタ40等が接続されており、識別部32による紙幣の識別情報や、操作者が所持するICタグからリーダライタ40の読取部42により読み取られた情報が紙幣制御部10aに送られるとともに、紙幣制御部10aは紙幣処理ユニット10の各構成部材に指令信号を送ることによりこれらの構成部材の制御を行うようになっている。また、紙幣制御部10aは、通信部18により、硬貨処理ユニット50の上位制御部2に対して信号の送受信を行うようになっている。
また、硬貨処理ユニット50の硬貨制御部50aには、硬貨繰出機構53、入金搬送部54、識別部56、分岐部58、各収納繰出部60、出金搬送部62およびロック機構57等が接続されており、識別部56による硬貨の識別情報が硬貨制御部50aに送られるとともに、硬貨制御部50aは硬貨処理ユニット50の各構成部材に指令信号を送ることによりこれらの構成部材の制御を行うようになっている。
また、包装硬貨収納ユニット80の包装硬貨制御部80aには、通信部89、検知手段84、ロック機構86および記憶部88等が接続されており、検知手段84による包装硬貨の検知情報が包装硬貨制御部80aに送られるとともに、包装硬貨制御部80aはロック機構86に指令信号を送ることにより当該ロック機構86の制御を行うようになっている。また、包装硬貨制御部80aは、通信部89により、硬貨処理ユニット50の上位制御部2に対して信号の送受信を行うようになっている。また、包装硬貨収納ユニット80の収納ドロア82に収納されている包装硬貨の在高の情報等が記憶部88に記憶されるようになっている。
また、POSレジスタ90のPOS制御部91には、表示部93、操作部94、記憶部95、通信部92、カードリーダ96、印字部97等がそれぞれ通信可能に接続されており、操作者により操作部94に入力された指令が当該操作部94からPOS制御部91に送られたり、カードリーダ96により読み取られた店員等の操作者のIDカードに係る情報がPOS制御部91に送られたりするようになっている。また、POS制御部91は表示部93に指令を送ることにより当該表示部93に様々な情報を表示させるようになっている。なお、POS制御部91は、表示部93に様々な情報を表示させる代わりに、あるいは表示部93における表示に加えて、追加の表示部93aにおいて表示を行わせるようになっていてもよい。また、POS制御部91は印字部97に指令を送ることにより当該印字部97により様々な情報をレシート等に印字させるようになっている。また、POSレジスタ90のPOS制御部91は、通信部92により、硬貨処理ユニット50の上位制御部2や店舗サーバ等の上位端末(図示せず)に対して信号の送受信を行うようになっている。また、記憶部95には、紙幣処理ユニット10や硬貨処理ユニット50等から送信された、紙幣処理ユニット10や硬貨処理ユニット50における硬貨や紙幣の処理状況や、紙幣処理ユニット10や硬貨処理ユニット50、包装硬貨収納ユニット80の内部に収納されている硬貨や紙幣、包装硬貨の在高等の様々な情報が記憶されるようになっている。
次に、本実施の形態による貨幣釣銭機1の動作について説明する。なお、以下に示すような貨幣釣銭機1の動作は、紙幣制御部10aや硬貨制御部50aが紙幣処理ユニット10や硬貨処理ユニット50の各構成部材を制御することにより行われるようになっている。
本実施の形態では、貨幣釣銭機1におけるリーダライタ40の読取部42により情報が読み取られるべきICタグ(すなわち、操作者が所持するICタグ)には、図6の表に示す情報が記憶されるようになっている。具体的には、ICタグには少なくとも店舗番号、レジ番号および操作者の権限が記憶されるようになっている。ここで、店舗番号とは、本実施の形態による貨幣釣銭機1が設置される店舗の番号のことをいい、レジ番号とは、本実施の形態による貨幣釣銭機1に対応するPOSレジスタ90の識別番号のことをいう。また、操作者の権限として、例えば、ICタグを所持する操作者が店舗の管理者である場合には「001」という番号がICタグに記憶され、ICタグを所持する操作者が店舗の店員である場合には「002」という番号がICタグに記憶され、ICタグを所持する操作者がメンテナンス員である場合には「003」という番号がICタグに記憶されるようになっている。なお、操作者を特定する個人識別番号や社員番号がICタグに記憶されるようになっていてもよい。この場合には、貨幣釣銭機1の記憶部6には、操作者の個人識別番号や社員番号と、操作可能な処理とが関連付けられたテーブルが記憶されるようになる。このようにして、操作者の権限に係る情報が操作者の個人識別番号や社員番号として間接的にICカードに記憶されるようになる。
また、本実施の形態による貨幣釣銭機1では、記憶部6には操作者の権限と貨幣釣銭機1において行われる処理の種類との関係が記憶されるようになっている。ここで、貨幣釣銭機1において行われる処理の種類としては、紙幣処理ユニット10や硬貨処理ユニット50の筐体12、51の内部に紙幣や硬貨を投入して識別部32、56により識別させた後に紙幣収納部34、36、38や収納繰出部60に収納させるような入金処理、紙幣収納部34、36、38や収納繰出部60から繰り出された紙幣や硬貨を紙幣処理ユニット10や硬貨処理ユニット50の筐体12、51の外部に投出するような出金処理、紙幣収納部34、36、38や収納繰出部60に収納されている紙幣や硬貨の在高を確認するような精査処理、紙幣収納部34、36、38や収納繰出部60に紙幣や硬貨を補充するような補充処理、紙幣収納部34、36、38や収納繰出部60から紙幣や硬貨を回収するような回収処理等がある。また、記憶部6には、操作者の権限と処理の種類との関係として、例えば、店舗の店員は上述した様々な処理のうち入金処理、出金処理および精査処理しか行うことができないが、店舗の管理者は入金処理、出金処理および精査処理に加えて、補充処理および回収処理を行うことができるという情報が記憶されるようになっている。
また、上述したように、紙幣処理ユニット10や硬貨処理ユニット50において、筐体12、51の内部にはこれらの筐体12、51の前面側に引き出し可能な引出部13、55が設けられており、これらの引出部13、55はロック機構14、57により筐体12、51の内部にロックされるようになっているが、所定の権限を有する操作者のみがロック機構14、57による引出部13、55のロックを解除することができるようになっている。また、紙幣処理ユニット10における搬送部30や硬貨処理ユニット50における入金搬送部54、出金搬送部62をロックするためのロック機構(図示せず)や、紙幣処理ユニット10における各紙幣収納部34、36、38や硬貨処理ユニット50における各収納繰出部60の内部に操作者の手が入らないようにするためにこれらの各紙幣収納部34、36、38や各収納繰出部60に設けられた扉を閉状態でロックするためのロック機構(図示せず)、紙幣処理ユニット10における出金リジェクト部24の扉を閉状態でロックするためのロック機構(図示せず)等についても、所定の権限を有する操作者のみがこれらのロック機構によるロックを解除することができるようになっている。具体的には、ロック機構14、57による引出部13、55のロックの解除は、店舗の店員、管理者およびメンテナンス員が行うことができるようになっているが、搬送部30、入金搬送部54、出金搬送部62のロックの解除や出金リジェクト部24の扉のロックの解除は店舗の管理者およびメンテナンス員のみが行うことができるようになっている。また、メンテナンス員はその他の全てのロック機構によるロックを解除することができるようになっている。このように、記憶部6には、操作者の権限と、各種のロック機構によるロックを解除するという処理とが関連付けられて記憶されるようになる。また、記憶部6に記憶されている、操作者の権限と、各種のロック機構によるロックを解除するという処理との関係を例えば操作表示部4により自在に変更することができるようになっていてもよい。
本実施の形態による貨幣釣銭機1において操作者が様々な処理を行うにあたり、当該操作者はまず所持するICタグの情報をリーダライタ40の読取部42により読み取らせる。このことにより、図6の表に示すような情報が読取部42により読み取られるようになり、読み取られた情報は上位制御部2に送られる。そして、上位制御部2において、読取部42により読み取られた店舗番号およびレジ番号と、記憶部6に記憶されている店舗番号およびレジ番号とが一致するか否かが判別される。ここで、読取部42により読み取られた店舗番号およびレジ番号と、記憶部6に記憶されている店舗番号およびレジ番号とが一致しない場合には、操作者が所持するICタグが貨幣釣銭機1に対応するものではないとして、操作表示部4にエラーメッセージが表示され、当該操作者はこの貨幣釣銭機1で処理を行うことができないようになる。また、読取部42により読み取られた店舗番号およびレジ番号と、記憶部6に記憶されている店舗番号およびレジ番号とが一致する場合には、記憶部6に記憶されている操作者の権限と処理の種類との関係に基づいて、読取部42によりICタグから読み取られた操作者の権限に対応する種類の処理を各構成部材により実行可能とするよう紙幣制御部10aや硬貨制御部50aは紙幣処理ユニット10や硬貨処理ユニット50の各構成部材を制御するようになる。具体的には、読取部42によりICタグから読み取られた操作者の権限が店舗の店員である場合には、貨幣釣銭機1において入金処理、出金処理および精査処理を行うことができるようになる。一方、読取部42によりICタグから読み取られた操作者の権限が店舗の管理者である場合には、貨幣釣銭機1において入金処理、出金処理、精査処理、補充処理および回収処理を行うことができるようになる。また、読取部42によりICタグから読み取られた操作者の権限がメンテナンス員である場合には、貨幣釣銭機1においてロック機構14、57による引出部13、55のロックを解除することができるようになる。
また、本実施の形態による貨幣釣銭機1では、貨幣釣銭機1を用いて店舗番号やレジ番号を設定し、設定された店舗番号やレジ番号を記憶部6に記憶させることができるようになっている。また、設定された店舗番号やレジ番号をリーダライタ40の書込部44によりICタグに書き込むことができるようになっている。より詳細には、上位制御部2において、記憶部6に記憶されている操作者の様々な権限のうち予め設定されている所定の権限を有する者(例えば、店舗の管理者)のみが書込部44によりICタグに上記の情報を書き込むことができる情報登録モードを選択可能になっている。このような情報登録モードは、貨幣釣銭機1が待機状態となっているときに管理者が所持するICタグの情報をリーダライタ40の読取部42により読み取らせ、操作表示部4のメニュー画面で情報登録モードを選択することにより実行可能となっている。操作表示部4のメニュー画面でこのような情報登録モードを選択すると、当該操作表示部4には図7に示すような設定画面が表示されるようになる。このような設定画面で操作者が店舗番号やレジ番号を設定すると、設定された店舗番号やレジ番号は記憶部6に記憶されるようになる。また、図7に示すような設定画面において操作者が店舗番号やレジ番号を設定した後、ICタグをリーダライタ40に近づけると、設定された店舗番号やレジ番号、および記憶部6に記憶されている操作者の様々な権限のうちある一つの権限がICタグに書き込まれるようになる。ここで、ICタグに書き込まれる操作者の権限は操作表示部4により選択することができるようになっている。このようにして、貨幣釣銭機1を用いて店舗番号やレジ番号を設定するとともに、設定された店舗番号やレジ番号をICタグに記憶させることができるようになる。
また、上記の情報登録モードにおいて、操作者が店舗番号として特定の番号(例えば、9999)を設定すると、ICタグは各店舗で共通利用が可能となる。ここで、各店舗で共通利用が可能となるICタグを設けた場合には、複数の店舗を管理している管理者は各店舗のICタグを所持する必要がなくなる。また、上記の情報登録モードにおいて、操作者がレジ番号として特定の番号を設定すると、ICタグは各レジで共通利用が可能となる。ここで、ICタグに記憶されるレジ番号を特定の番号とした場合には、当該ICタグは他の店舗では利用できないが、その店舗の全てのレジの貨幣釣銭機1が利用可能となるため、店員はどのレジでもすぐに貨幣釣銭機1を使用することができるようになる。
また、例えば貨幣釣銭機1で発生したエラーを解除する際に、ロック機構14、57による引出部13、55のロックを解除して引出部13、55を筐体12、51から前面に引き出す動作、ロック機構による搬送部30、入金搬送部54、出金搬送部62のロックを解除する動作、および各紙幣収納部34、36、38や各収納繰出部60に設けられた扉のロックを解除する動作が順に行われる場合において、ICタグをリーダライタ40の読取部42により1回読み取らせるだけで上記の全てのロックが解除されるようになっていてもよく、あるいはICタグをリーダライタ40の読取部42により読み取らせる度に1つずつロックが解除されるようになっていてもよい。後者の場合には、各ロック機構によるロックを順番に解除していくため、操作者によるエラー解除ミスを防止することができ、また、紙幣処理ユニット10や硬貨処理ユニット50における不要な箇所が開けられてしまうことを防止することができるようになる。
また、本実施の形態の貨幣釣銭機1では、処理モード選択手段8により、リーダライタ40の読取部42によりICタグから読み取られた情報に基づいて貨幣釣銭機1の各構成部材により各種の処理を行うような第1処理モードおよびPOSレジスタ90等の外部装置から送信された指令に基づいて貨幣釣銭機1の各構成部材により各種の処理を行うような第2処理モードのうちいずれかの処理モードを選択するようになっている。また、紙幣制御部10aや硬貨制御部50aは、処理モード選択手段8により選択された処理モードに基づいて、紙幣処理ユニット10や硬貨処理ユニット50の各構成部材を制御するようになっている。より詳細には、貨幣釣銭機1が待機状態となっているときに管理者が所持するICタグの情報をリーダライタ40の読取部42により読み取らせた後、操作表示部4により第1処理モードおよび第2処理モードのうち何れかの処理モードを設定することができるようになり、処理モード選択手段8は、操作表示部4による設定内容に基づいて第1処理モードおよび第2処理モードのうち何れかの処理モードを選択するようになる。
なお、処理モード選択手段8により第2処理モードが選択された場合に備えて、POSレジスタ90の記憶部95に店舗番号やレジ番号を予め記憶させていく。また、POSレジスタ90のカードリーダ96によって店員等の操作者が所持するIDカードを読み取ることによりPOS制御部91は操作者のIDや権限等に関する情報を取得することができるようになっている。このようにして、ICタグを用いなくてもPOSレジスタ90において図6の表に示す情報(具体的には、店舗番号、レジ番号および操作者の権限)を取得することができるようになるため、処理モード選択手段8により第2処理モードが選択された場合には、ICタグを用いた第1処理モードを実行する場合よりもセキュリティ性を向上させることができるようになる。
また、本実施の形態による貨幣釣銭機1では、処理モード選択手段8により上述した第2処理モードが選択されているときに、POSレジスタ90等の外部装置から指令が所定時間送信されなかった場合には処理モード選択手段8により第1処理モードに自動的に切り替えられるようになっている。
以上のような構成からなる本実施の形態の貨幣釣銭機1(貨幣処理装置)およびこのような貨幣釣銭機1による貨幣処理方法によれば、記憶部6は、店舗番号やレジ番号等の識別番号を記憶するとともに、操作者の権限と処理部(具体的には、紙幣処理ユニット10や硬貨処理ユニット50の各構成部材)により行われる処理の種類との関係を記憶するようになっており、制御部(具体的には、上位制御部2、紙幣制御部10aおよび硬貨制御部50a)は、リーダライタ40の読取部42により記憶媒体(具体的には、ICタグ)から情報が読み取られたときに、読取部42により読み取られた識別番号が記憶部6に記憶されている識別番号と一致する場合に、記憶部6に記憶されている操作者の権限と処理の種類との関係に基づいて、読取部42により読み取られた操作者の権限に対応する種類の処理を処理部により実行可能とするよう当該処理部を制御するようになっている。このように、ICタグから記憶媒体から少なくとも識別番号および操作者の権限に関する情報を読取部42により読み取ることによって、機械的物理キーを用いない簡易な構成としながら、操作者の権限毎に貨幣釣銭機1における処理内容を変えることができるようになる。
また、上記の説明では、記憶部6に記憶されている識別番号や、ICタグに記憶されている識別番号が、店舗番号およびレジ番号を組み合わせたものであるような態様について述べたが、本実施の形態による貨幣釣銭機1はこのような態様に限定されることはない。記憶部6に記憶されている識別番号や、ICタグに記憶されている識別番号として、店舗番号のみが用いられてもよく、あるいはレジ番号のみが用いられてもよい。記憶部6に記憶されている識別番号や、ICタグに記憶されている識別番号として、店舗番号のみが用いられる場合には、ICタグを店舗毎の異番鍵として用いることができるようになる。また、記憶部6に記憶されている識別番号や、ICタグに記憶されている識別番号として、レジ番号のみが用いられる場合には、ICタグを同一店舗内のレジ毎の異番鍵として用いることができるようになる。また、記憶部6に記憶されている識別番号や、ICタグに記憶されている識別番号として、店舗番号やレジ番号以外の番号が用いられてもよい。また、記憶部6に記憶されている識別番号や、ICタグに記憶されている識別番号として、文字や記号が用いられてもよい。
また、本実施の形態に係る貨幣釣銭機1においては、上述したように、記憶部6に記憶されている店舗番号やレジ番号等の識別番号および操作者の権限をICタグ等の記憶媒体に書き込む書込部44が設けられている。また、この場合、記憶部6に記憶されている操作者の様々な権限のうち予め設定されている所定の権限を有する者のみが書込部44により記憶部6に記憶されている識別番号および権限をICタグ等の記憶媒体に書き込むことができる情報登録モードを選択可能となっている。このことにより、ICタグに情報を書き込む専用の情報書込機を用いなくても、本実施の形態の貨幣釣銭機1によりICタグに必要な情報を書き込むことができるようになる。
また、上記の情報登録モードにおいて、店舗番号やレジ番号等の識別番号、および操作者の権限等の情報をICタグに書き込むだけではなく、貨幣釣銭機1における処理内容をICタグに一時的に書き込むことができるようになっていてもよい。例えば、店舗の管理者が貨幣釣銭機1に両替処理の内容を入力し、入力された両替処理の内容を店舗の店員がリーダライタ40の書込部44により当該店員が所持するICタグに書き込む。そして、この店員は他の貨幣釣銭機1でICタグをリーダライタ40の読取部42により読み取らせることにより、両替処理の内容を入力することなく両替処理を行うことができるようになる。このことにより、店舗の管理者の手が離せない場合でも、店員に代行を依頼することができ、さらに店員の聞き間違えや入力ミス等による処理ミスを防止することができる。また、上記の動作は両替処理に限定されることはなく、売上金としての貨幣の入金処理や回収処理、不足分の貨幣の補充処理についても同様の動作を行うことができるようになっていてもよい。このように、店員やアルバイト等の権限では処理できない処理内容についても管理者が入力している場合は、管理者から依頼された処理内容のみ一時的に権限が付与される形になる。
また、本実施の形態に係る貨幣釣銭機1においては、上述したように、読取部42によりICタグ等の記憶媒体から読み取られた情報に基づいて処理部により処理を行うような第1処理モードおよびPOSレジスタ90等の外部装置から送信された指令に基づいて処理部により処理を行うような第2処理モードのうちいずれかの処理モードを選択する処理モード選択手段8が設けられており、上位制御部2、紙幣制御部10a、硬貨制御部50a等の制御部は、処理モード選択手段8により選択された処理モードに基づいて処理部を制御するようになっている。この場合には、ICタグ等の記憶媒体を用いることにより操作者にとっての操作性を向上させることができるような第1処理モードおよびセキュリティ性を向上させることができるような第2処理モードのうち状況に応じて望ましい処理モードを選択することにより利便性を向上させることができる。また、処理モード選択手段8により第2処理モードが選択されているときに、POSレジスタ90等の外部装置から指令が所定時間送信されなかった場合には処理モード選択手段8により第1処理モードに切り替えられるようになっていてもよい。この場合には、POSレジスタ90等の外部装置から指令が所定時間送信されないと処理モードが第2処理モードから第1処理モードに自動で切り替えられるため、操作者が処理モードを変更する手間を省くことができるようになり利便性をより一層向上させることができるようになる。
なお、本実施の形態による貨幣釣銭機1やこのような貨幣釣銭機1による貨幣処理方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、本実施の形態に係る貨幣釣銭機1は、紙幣処理ユニット10および硬貨処理ユニット50を組み合わせたものに限定されることはない。本実施の形態に係る貨幣釣銭機1として、紙幣処理ユニット10が単体で用いられるような紙幣釣銭機を適用してもよく、あるいは、硬貨処理ユニット50が単体で用いられるような硬貨釣銭機を適用してもよい。
また、読取部42により識別番号(具体的には、店舗番号やレジ番号)や操作者の権限に関する情報が読み取られる記憶媒体はICタグに限定されることはない。記憶媒体として、操作者が所持するIDカードや携帯端末(具体的には、スマートフォン等)が用いられるようになっていてもよい。
また、本発明の原理が適用される貨幣処理装置は貨幣釣銭機1に限定されることはない。本発明の原理が適用される貨幣処理装置として、店舗のバックヤード領域に設けられた出納機等の他の種類の装置が用いられてもよい。