以下に添付図面を参照して、画像処理装置、画像形成装置、画像処理システム、画像処理方法、および画像処理プログラムの実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
まず、本実施の形態に係る画像処理システム1の構成を説明する。
図1は、本実施の形態の画像処理システム1の構成の一例を示す図である。本実施の形態では、画像処理システム1は、DFE(Digital Front End)20と、MIC(Mechanism I/F Contoroller)30と、を備える。DFE20はホスト装置10に接続されている。MIC30は、DFE20に接続されている。画像形成装置40は、MIC30を介してDFE20に接続されている。
DFE20は、本実施の形態の画像処理を行う装置である(詳細後述)。本実施の形態では、画像処理装置を、DFE20に適用した構成を一例として説明する。DFE20は、MIC30を介して画像形成装置40と通信を行い、画像形成装置40における画像形成を制御する。
DFE20には、ホスト装置10が接続されている。ホスト装置10は、PC(Personal Computer)などである。DFE20は、ホスト装置10から入力画像データを受信する。
図2は、入力画像データ50の構成例を概念的に示す模式図である。入力画像データ50は、例えば、ジョブコマンド51と、有色版データ52と、特色版データ54と、を含む。
ジョブコマンド51は、画像形成装置40における画像形成条件を指定するためのコマンドを含む。例えば、ジョブコマンド51は、画像形成装置40の設定、集約の設定、両面の設定などを画像形成装置40に対して指定するためのコマンドを含む。図2には、ジョブコマンド51の一例として、JDF(Job Definition Format)を示した。しかし、ジョブコマンド51は、図2に示す形態に限定されない。
有色版データ52は、オブジェクトごとにRGBやCMYK等の有色の濃度値を規定した画像データである。例えば、有色版データ52は、ユーザによって指定された色および濃度値をオブジェクトごとに規定したデータである。
本実施の形態では、有色版データ52は、RGBの各々の色の濃度値をオブジェクト毎に規定した、有色版データ52R、52G、52B、の各々を含む。なお、有色版データ52は、ベクター形式に限定されず、ラスター形式であってもよい。
特色版データ54は、特色の濃度値を規定した画像データである。特色とは、CMYKやRGBなどの基本的な有色以外の色である。特色は、例えば、金属による金属色、白、透明、などである。本実施の形態では、一例として、特色が金属色である場合を一例として説明する。
金属色は、金属光沢を再現した色である。金属色は、例えば、金色や銀色などである。なお、金属色は、金色や銀色などの基本となる金属色に、更に、CMYKやRGBなどの色味を加味した色であってもよい。
図3は、有色版データ52および特色版データ54の具体例を示す説明図である。図3に示す例では、有色版データ52には、矩形状の領域によって示されるオブジェクトに、ユーザが画像処理アプリケーションで指定した色に対応する濃度値が規定されている。また、図3に示す例では、特色版データ54には、円状の領域によって示されるオブジェクトに、ユーザが画像処理アプリケーションで指定した濃度値が規定されている。
図1に戻り、ホスト装置10は、例えば、予めインストールされた画像処理アプリケーションにより、入力画像データ50を生成する。上述したように、入力画像データ50は、有色版データ52および特色版データ54を含む。そして、ホスト装置10は、入力画像データ50を、DFE20へ送信する。なお、入力画像データ50は、PostScript(登録商標)のようなページ記述言語(PDL)に変換されてもよいし、DFE20が対応していれば、PDF形式のままでもよい。
DFE20は、ホスト装置10から入力画像データ50を受信する。そして、DFE20は、入力画像データ50から印刷データを生成し、MIC30を介して画像形成装置40へ出力する。印刷データは、有色版データ52および特色版データ54の各々を、画像形成装置40で処理可能な形式に変換したものである(詳細後述)。
画像形成装置40は、DFE20から受信した印刷データに基づいて、記録媒体に画像を形成する。
図4は、画像形成装置40の一例を示す模式図である。画像形成装置40は、公知の電子写真方式の画像形成装置である。本実施の形態では、画像形成装置40には、CMYKの有色トナーと、特色トナーと、が少なくとも搭載されている。特色トナーとは、上記特色を実現するために用いるトナーである。特色トナーは、例えば、金属トナーや、透明な(無色の)トナーや、白色トナーなどがある。本実施の形態では、特色トナーとして、金属トナーを用いる場合を説明する。
金属トナーは、金属色を実現可能なトナーであればよい。金属トナーは、例えば、金属粒子や金属顔料の外側を樹脂で包含したものや、樹脂粒子中に金属微粒子を分散させたものを用いる。
特色トナーとして金属トナーを用いることで、金属トナーの付与された領域に、視覚的に金属的な質感を効果的に生じさせ、高付加価値を付与することが可能となる。
画像形成装置40には、各トナー(CMYKの各々の有色トナー、特色トナー)の各々に対して、感光体、帯電器、現像器、および感光体クリーナを含む作像ユニット、露光器および定着機の各々が搭載されている。
例えば、画像形成装置40には、記録媒体Pを搬送するための搬送ベルト43が設けられている。搬送ベルト43は、環状であり、内側から、複数のローラ48(ローラ48A、ローラ48B、ローラ48C)によって支持されている。搬送ベルト43は、ローラ48の回転に伴って回転する。これによって、搬送ベルト43は、搬送ベルト43の外側に供給された記録媒体Pを、搬送方向(矢印X方向参照)に搬送する。
画像形成装置40は、有色用感光体44と、特色用感光体46と、を備える。有色用感光体44は、感光体44C、感光体44M、感光体44Y、および、感光体44Kを含む。感光体44Cは、シアン(C)の有色トナーを記録媒体Pに付与する。感光体44Mは、マゼンタ(M)の有色トナーを記録媒体Pに付与する。感光体44Yは、イエロー(Y)の有色トナーを記録媒体Pに付与する。感光体44Kは、ブラック(K)の有色トナーを記録媒体Pに付与する。特色用感光体46は、特色トナーを記録媒体Pに付与する。
感光体44C、感光体44M、感光体44Y、感光体44K、および特色用感光体46は、搬送ベルト43の搬送方向(矢印X方向)の上流側から下流側に向かって、この順に配列されている。このため、記録媒体Pには、有色用感光体44(感光体44C、44M、44Y、44K)によってCMYKの有色トナーが付与された後に、特色用感光体46によって特色トナーが付与される。
制御部42は、印刷データに基づいて、有色用感光体44および特色用感光体46を制御することで、印刷データに応じた画像を形成するように制御する。
有色用感光体44および特色用感光体46によって、記録媒体Pには、有色トナーおよび特色トナーが、この順に付与される。有色トナーおよび特色トナーの付与された記録媒体Pは、ローラ48によって矢印X方向に搬送された後に、矢印Y方向に搬送され、定着部49の位置へ到る。定着部49は、記録媒体Pに付与された有色トナーおよび特色トナーを記録媒体Pに定着させる。これによって、記録媒体Pには、有色トナーによる有色画像および特色トナーによる特色画像が、この順に形成され、画像形成装置40の外部へと排出される。
なお、記録媒体Pは、画像形成可能な媒体であればよい。記録媒体Pは、例えば、公知の紙媒体(用紙)、合成紙、ビニール紙などである。
図1に戻り、次に、DFE20について具体的に説明する。図5は、DFE20の機能的構成の一例を示すブロック図である。DFE20は、画像処理装置に相当する。
DFE20は、制御部22と、記憶部24と、を備える。制御部22と記憶部24とは、データや信号を授受可能に接続されている。
記憶部24は、各種データを記憶する。記憶部24は、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)である。本実施の形態では、記憶部24は、色情報変換テーブル24Bと、第1補正値テーブル24Cと、第2補正値テーブル24Dと、を予め記憶する。これらのテーブルは、後述する制御部22による画像処理時に用いられる(詳細後述)。
次に、制御部22について説明する。制御部22は、DFE20全体を制御する。制御部22は、受信部22Aと、印刷用データ生成部22Bと、取得部22Cと、補正部22Dと、出力部22Eと、を備える。受信部22A、印刷用データ生成部22B、取得部22C、補正部22D、および、出力部22Eの一部またはすべては、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)などのハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
受信部22Aは、ホスト装置10から入力画像データ50を受付ける。受信部22Aは、受付けた入力画像データ50を、印刷用データ生成部22Bへ出力する。
印刷用データ生成部22Bは、入力画像データ50を用いて、印刷用データを生成する。図6は、印刷用データ61の一例を示す模式図である。印刷用データ61は、有色トナー版データ62と、特色トナー版データ64と、を含む。
有色トナー版データ62は、有色トナーの有色付与量を画素毎に規定したものである。本実施の形態では、有色トナー版データ62は、CMYKの各色の有色トナー版データ62C、62M、62Y、62Kからなる。有色トナー版データ62C、62M、62Y、62Kの各々は、CMYKの各々の色の有色トナーの有色付与量を画素毎に規定したものである。
印刷用データ生成部22Bは、入力画像データ50に含まれる、RGBの各々の有色版データ52(52R、52G、52B)について、ベクター形式をラスター形式に変換する。そして、印刷用データ生成部22Bは、ラスター形式に変換したRGBの各々の有色版データ52(52R、52G、52B)によって表される色空間を、CMYK形式の色空間に変換する。CMYK形式の色空間への変換には、公知の方法を用いればよい。
これによって、印刷用データ生成部22Bは、有色版データ52から、CYMKの有色トナー版データ62を生成する。
特色トナー版データ64は、特色トナーの特色付与量を画素毎に規定したものである。
印刷用データ生成部22Bは、入力画像データ50に含まれる、特色版データ54における濃度値の規定された領域を構成する画素に、該濃度値に対応する特色付与量を割り当てる。この処理により、印刷用データ生成部22Bは、特色版データ54から特色トナー版データ64を生成する。
なお、特色版データ54の濃度値に対応する特色付与量は、濃度値と特色付与量とを予め対応づけて記憶部24に記憶しておけばよい。制御部22は、例えば、濃度値が高いほど、大きい値の特色付与量を、予め対応づけて記憶部24に記憶すればよい。印刷用データ生成部22Bは、特色版データ54に規定された濃度値に対応する特色付与量を読取ることで、特色トナー版データ64を生成すればよい。
すなわち、印刷用データ生成部22Bによって、画素毎の有色トナーの有色付与量と、画素毎の特色トナーの特色付与量と、が決定される。有色付与量および特色付与量は、記録媒体Pに付与する(すなわち定着させる)有色トナーおよび特色トナーの各々の単位面積当たりの定着量に関係する。
例えば、有色トナー版データ62における、ある画素の有色付与量が0%を示す値である場合、この画素には有色トナーは付与されない。一方、有色トナー版データ62における、ある画素の有色付与量が100%を示す値である場合、この画素には、有色トナーが隙間なく付与される。同様に、特色トナー版データ64における、ある画素の特色付与量が0%を示す値である場合、この画素には特色トナーは付与されない。一方、特色トナー版データ64における、ある画素の特色付与量が100%を示す値である場合、この画素には、特色トナーが隙間なく付与される。
印刷用データ生成部22Bは、生成した有色トナー版データ62および特色トナー版データ64を含む印刷用データ61を、取得部22Cへ出力する。
取得部22Cは、印刷用データ61を取得する。上述したように、印刷用データ61は、有色トナー版データ62と、特色トナー版データ64と、を含む。本実施の形態では、取得部22Cは、印刷用データ生成部22Bから印刷用データ61を取得する。
そして、取得部22Cは、印刷用データ61を補正部22Dへ出力する。また、取得部22Cは、印刷用データ61に含まれる有色トナー版データ62を、出力部22Eへ出力する。なお、印刷用データ61に、有色トナー版データ62および特色トナー版データ64以外のデータ(例えば、ジョブコマンド51)が含まれる場合がある。この場合、取得部22Cは、ジョブコマンド51についても、出力部22Eへ出力する。
次に、補正部22Dについて説明する。補正部22Dは、有色トナー版データ62を用いて、特色トナー版データ64を補正する。
図7は、補正部22Dの機能的構成例を示すブロック図である。補正部22Dは、抽出部22Fと、色版生成部22Gと、補正値算出部22Hと、補正版生成部22Iと、を含む。補正値算出部22Hは、第1の算出部22Jおよび第2の算出部22Kを含む。
抽出部22F、色版生成部22G、補正値算出部22H、補正版生成部22I、第1の算出部22J、および第2の算出部22Kの一部またはすべては、例えば、CPUなどの処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、ICなどのハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
抽出部22Fは、取得部22Cから印刷用データ61を受付ける。そして、抽出部22Fは、印刷用データ61に含まれる特色トナー版データ64における、特色領域の特色領域画像を抽出する。また、抽出部22Fは、印刷用データ61に含まれる有色トナー版データ62における、該特色領域に対応する位置、大きさ、および範囲の有色領域画像を抽出する。
図8は、抽出部22Fが行う抽出処理の一例の説明図である。抽出部22Fは、特色トナー版データ64における、特色付与量が0%より大きい値を示す領域Bを特定する。言い換えると、抽出部22Fは、特色トナー版データ64における、特色付与量が“0”を超える(特色付与量が無ではない)画素群からなる領域Bを特定する。
なお、抽出部22Fは、0%より大きい値を示す特色付与量の画素が隣接している場合には、まとめて1つの領域Bとして特定する。また、抽出部22Fは、0%より大きい値を示す特色付与量の画素が隣接していない場合には、別の領域Bとして特定する。なお、補正部22Dでは(図7参照)、抽出部22Fで抽出した各領域Bの各々ごとに、以下の処理を行う。
そして、抽出部22Fは、特色トナー版データ64から、該特色トナー版データ64における、特定された領域B内の画像である特色領域画像64Bを抽出する。
また、抽出部22Fは、有色トナー版データ62(62C、62M、62Y、62K)の各々における、該領域Bと同じ位置、同じ大きさ、および同じ範囲の領域である領域B’を特定する。そして、抽出部22Fは、有色トナー版データ62(62C、62M、62Y、62K)の各々から、該領域B’内の画像である有色領域画像62Bを抽出する。すなわち、抽出部22Fは、CMYKの各色の有色トナー版データ62の各々から、特色トナー版データ64における領域Bに対応する領域B’の各々を抽出する。これによって、抽出部22Fは、CMYKの各色の有色トナー版データ62から、CMYKの各色の有色領域画像62Bを抽出する。
そして、抽出部22Fは、抽出したCMYKの各色の有色領域画像62Bを、色版生成部22Gへ出力する。また、抽出部22Fは、抽出した特色領域画像64Bを、補正版生成部22Iへ出力する。
図7に戻り、次に、色版生成部22Gについて説明する。色版生成部22Gは、有色トナー版データ62に規定された画素毎の有色付与量の各々を、色を示す色情報に変換した色版データを生成する。
本実施の形態では、色情報は、有色トナー版データ62に規定された有色付与量の各々のCMYKの有色トナーの組合せによって実現される、色(色味)を示す情報である。
本実施の形態では、色情報を、Lab色空間(Lab表色系とも称する)によって表す場合を説明する。このため、本実施の形態では、色情報が、明度(L*)、色相および彩度(a*とb*)によって表される場合を説明する。すなわち、本実施の形態では、色版生成部22Gは、有色トナー版データ62に規定された有色付与量の各々を、明度、色相、および彩度によって表される色情報に変換した、色版データを生成する形態を説明する。
なお、色情報は、明度を表す尺度を含む色空間によって表されていればよく、Lab色空間に限定されない。例えば、色情報を、公知のXYZ色空間(XYZ表色系とも称する)や、HSV色空間によって表してもよい。
色版生成部22Gは、公知の方法を用いて、有色付与量を色情報に変換する。例えば、色版生成部22Gは、CMYKの各々の有色付与量を画素値として扱い、絶対色空間に変換した後に、Lab色空間によって表される色情報に変換してもよい。絶対色空間は、例えば、sRGBやAdobeRGBなどである。
本実施の形態では、色版生成部22Gは、色情報変換テーブル24Bを用いて、有色付与量を色情報に変換する。
図9は、色情報変換テーブル24Bのデータ構成の一例を示す模式図である。色情報変換テーブル24Bは、有色付与量と、色情報と、を対応づけたものである。色情報変換テーブル24Bには、有色付与量として、CMYKの各々の有色トナーの有色付与量が登録されている。色情報変換テーブル24Bに登録されている色情報は、対応する有色付与量の各々のCMYKの有色トナーの組合せによって実現される、色(色味)を示す情報である。本実施の形態では、色情報変換テーブル24Bにおける色情報は、明度(L*)、色相(a*)、および彩度(b*)によって表される。
すなわち、色情報変換テーブル24Bは、CMYKの各々の有色トナーの有色付与量の組合せに対応する色情報を登録した、LUT(ルックアップテーブル)である。なお、色情報変換テーブル24Bは、LUTに限定されず、ICCプロファイルのB2A(BtoATag)テーブルであってもよい。
色版生成部22Gは、CMYKの有色トナー版データ62について、同じ画素位置の画素ごとに、有色付与量を読取る。そして、色版生成部22Gは、読取ったCMYKの各々の有色付与量の組合せに対応する色情報を、色情報変換テーブル24Bから読取る。これにより、色版生成部22Gは、各画素位置の画素の色情報を特定し、色版データを生成する。すなわち、色版生成部22Gは、CMYKの4版の有色トナー版データ62(62C、62M、62Y、62K)から、1版の色版データを生成する。
本実施の形態では、色版生成部22Gは、CMYKの有色トナー版データ62における、抽出部22Fで抽出された有色領域画像62Bを構成する画素の各々の有色付与量を、色情報に変換する場合を一例として説明する。なお、色版生成部22Gは、有色トナー版データ62の全領域に含まれる画素の各々について、有色付与量を色情報に変換し、色版データを生成してもよい。
図10は、本実施の形態の色版生成部22Gによる、色版データ生成の一例の説明図である。まず、色版生成部22Gは、抽出部22Fから、CMYKの各色の有色領域画像62Bを取得する。そして、色版生成部22Gは、画素ごとに、CMYKの各色の有色領域画像62Bに規定される、CMYKの各々の有色付与量を読取る。
例えば、ある画素位置の画素の有色付与量が、シアン(C)10%、マゼンタ(M)25%、イエロー(Y)70%、ブラック(K)0%であったと仮定する。この場合、色版生成部22Gは、これらのYMCKの有色付与量の組合せに対応する色情報を、色情報変換テーブル24B(図9参照)から読取る。例えば、上記YMCKの有色付与量の組合せに対応する色情報が、明度(L*)80、色相(a*)5、彩度(b*)50であったと仮定する。この場合、色版生成部22Gは、該画素位置の画素について、明度(L*)80、色相(a*)5、彩度(b*)50を色情報として割り当てる。
そして、色版生成部22Gは、有色領域画像62Bを構成する全ての画素位置の画素の各々について、同様にして、CMYKの有色付与量の組合せに対応する色情報を割り当てる。これによって、色版生成部22Gは、有色トナー版データ62における有色領域画像62Bに規定された有色付与量を、色情報で表した、色領域画像66Bを生成する。そして、色版生成部22Gは、色領域画像66Bを補正値算出部22Hへ出力する。
なお、色版生成部22Gは、有色トナー版データ62の全画素について、有色付与量を色情報で表した色版データ66を生成し、補正値算出部22Hへ出力してもよい。
図7に戻り、次に、補正値算出部22Hについて説明する。補正値算出部22Hは、色版データ66に基づいて、特色トナー版データ64に規定された特色付与量を補正するための補正値を、画素毎に算出する。
本実施の形態では、補正値算出部22Hは、色版生成部22Gで生成された色領域画像66Bに基づいて、特色トナー版データ64における特色領域画像64Bに規定された各画素の特色付与量を補正するための補正値を、画素ごとに算出する。
なお、補正値算出部22Hは、色版データ66の全画素(色領域画像66Bを含む全画素)を用いて、特色トナー版データ64の全画素の各々の特色付与量を補正するための補正値を、画素ごとに算出してもよい。
しかし、特色トナー版データ64における、特色領域画像64B以外の領域は、特色付与量が0%(特色トナーの付与無)の領域である。このため、補正値算出部22Hは、色領域画像66Bに基づいて補正値を算出することが、処理時間削減や処理の簡略化の観点から好ましい。
補正値算出部22Hは、第1の算出部22Jと、第2の算出部22Kと、を含む。第1の算出部22Jは、色版データ66に基づいて、第1の補正値を画素毎に算出する。本実施の形態では、第1の算出部22Jは、色領域画像66Bを構成する各画素の色情報を用いて、第1の補正値を画素毎に算出する。
第1の補正値は、色情報によって表される明度が高いほど特色付与量が多くなるように、特色トナー版データ64を補正するための補正値である。
本実施の形態では、第1の算出部22Jは、第1補正値テーブル24Cを用いて、色情報に対応する第1の補正値を算出する。
図11は、第1補正値テーブル24Cおよび後述する第2補正値テーブル24Dのデータ構成の一例を示す模式図である。
第1補正値テーブル24Cは、明度の差分(ΔL*)と、第1の補正値と、を対応づけたものである。明度の差分(ΔL*)は、特色領域画像64Bに含まれる画素の明度から特色領域画像64Bの明度の平均値を減算した減算値(明度−明度の平均値)である。
図11(A)に示すように、第1補正値テーブル24Cには、この明度の差分(ΔL*)が無い場合(“0”である場合)の第1の補正値として、補正無を示す値“1”が登録されている。また、第1補正値テーブル24Cには、画素の明度が特色領域画像64Bの明度の平均値より低いほど、特色付与量が少なくなるように補正するための第1の補正値が登録されている。また、第1補正値テーブル24Cには、画素の明度が特色領域画像64Bの明度の平均値より高いほど、特色付与量が多くなるように補正するための第1の補正値が登録されている。
補正値算出部22Hは、色領域画像66Bを構成する画素ごとに、色情報に対応する第1の補正値を第1補正値テーブル24Cから読取る。この処理によって、補正値算出部22Hは、色領域画像66Bを構成する画素毎に第1の補正値を算出する。このため、補正値算出部22Hは、色領域画像66Bを構成する各画素について、色領域画像66Bの明度の平均値より相対的に明るい明度を示す画素には、特色付与量を増やすための第1の補正値を算出する。また、補正値算出部22Hは、色領域画像66Bを構成する各画素について、色領域画像66Bの明度の平均値より相対的に暗い明度を示す画素には、特色付与量を減らすための第1の補正値を算出する。
次に、第2の算出部22Kについて説明する。第2の算出部22Kは、色版データ66に基づいて、第2の補正値を画素毎に算出する。本実施の形態では、第2の算出部22Kは、色領域画像66Bを構成する各画素の色情報を用いて、第2の補正値を画素毎に算出する。
第2の補正値は、予め定めた色空間における、色情報によって表される色相および彩度によって示される位置が、該色空間における予め定めた基準領域から離れるほど特色付与量が少なくなるように、特色トナー版データ64を補正するための補正値である。基準領域は、例えば、色空間における、特色トナー(本実施の形態では金属トナー)自体の色に相当する領域であることが好ましい。
本実施の形態では、第2の算出部22Kは、第2補正値テーブル24Dを用いて、色情報に対応する第2の補正値を算出する。
図11(B)は、第2補正値テーブル24Dのデータ構成の一例を示す模式図である。第2補正値テーブル24Dは、色相(a*)と、彩度(b*)と、第2の補正値と、を対応づけたものである。
図11に示す例では、Lab色空間における、色相(a*)が“5”で彩度(b*)が“50”の位置を、基準領域として定めている。そして、第2の補正値は、色相および彩度が該基準領域から離れるほど、特色付与量が少なくなるように定められている。このため、第2の補正値には、0以上1以下の範囲の値が定められている。
本実施の形態では、第1の算出部22Jは、第1補正値テーブル24Cを用いて、色領域画像66Bを構成する画素毎に第1の補正値を算出する。また、第2の算出部22Kは、第2補正値テーブル24Dを用いて、色領域画像66Bを構成する画素毎に第2の補正値を算出する。
そして、補正値算出部22Hは、色領域画像66Bを構成する画素毎に算出された第1の補正値と第2の補正値との乗算値を、色領域画像66Bを構成する画素ごとの補正値として算出する。
図12は、補正値算出部22Hが行う補正値算出処理の説明図である。すなわち、補正値算出部22Hは、色版生成部22Gから、色版データ66の色領域画像66Bを受付ける。
そして、補正値算出部22Hは、色領域画像66Bを構成する各画素の各々について、色情報から補正値を算出する。
例えば、色領域画像66Bを構成するある画素位置の画素の色情報が、明度“80”、色相“5”、彩度“50”であったと仮定する。この場合、第1の算出部22Jは、明度“80”に対応する第1の補正値を第1補正値テーブル24Cから読取る。第2の算出部22Kは、色相“5”、彩度“50”に対応する第2の補正値を第2補正値テーブル24Dから読取る。そして、補正値算出部22Hは、該画素位置の画素について算出した第1の補正値と第2の補正値との乗算値(第1の補正値×第2の補正値)を、該画素の補正値として算出する。同様にして、補正値算出部22Hは、色領域画像66Bを構成する全画素について、同様の処理を行う。
なお、補正値算出部22Hは、第1の算出部22Jおよび第2の算出部22Kの何れか一方を含む形態であってもよい。補正値算出部22Hが第1の算出部22Jのみを含む場合、補正値算出部22Hは、第1の補正値を補正値として用いればよい。一方、補正値算出部22Hが第2の算出部22Kのみを含む場合、補正値算出部22Hは、第2の補正値を補正値として用いればよい。
補正値算出部22Hは、色領域画像66Bを構成する各画素の各々について算出した補正値を、補正版生成部22Iへ出力する。
図7に戻り、次に、補正版生成部22Iについて説明する。補正版生成部22Iは、特色トナー版データ64に規定された画素毎の特色付与量を、対応する画素の補正値を用いて補正した、補正特色トナー版データを生成する。
本実施の形態では、補正版生成部22Iは、特色トナー版データ64における特色領域画像64Bの画素毎の特色付与量を、補正値算出部22Hによって算出された対応する画素の補正値を用いて補正する。これによって、補正版生成部22Iは、補正特色トナー版データを生成する。
図13は、補正版生成部22Iの補正版生成処理の説明図である。まず、補正版生成部22Iは、補正値算出部22Hから、有色領域画像62Bを構成する画素毎の補正値を受付ける。また、補正版生成部22Iは、抽出部22Fから、特色トナー版データ64における特色領域画像64Bを受付ける。
そして、補正版生成部22Iは、特色領域画像64Bを構成する各画素の特色付与量に、色領域画像66Bにおける対応する画素位置の画素の補正値を乗算する。これによって、補正版生成部22Iは、特色領域画像64Bにおける各画素の特色付与量を補正した、補正特色領域画像65Bを生成する。そして、補正版生成部22Iは、特色トナー版データ64における特色領域画像64Bを、生成した補正特色領域画像65Bで置き換えることで、補正特色トナー版データ65を生成する。
すなわち、補正特色トナー版データ65は、特色トナー版データ64に規定された画素毎の特色付与量を、対応する画素の補正値を用いて補正したものである。補正版生成部22Iは、この補正特色トナー版データ65を、出力部22Eへ出力する。
なお、単位面積当たりに付与可能なトナーの付与量には、最大値(100%)がある。このため、補正版生成部22Iは、次の処理を行うことが好ましい。すなわち、補正版生成部22Iは、補正値を用いて補正した後の画素に対応するトナー(有色トナーおよび特色トナー)の総付与量が上記最大値を超える場合、該総付与量が最大値となるように、補正値を算出することが好ましい。
図5に戻り、出力部22Eは、取得部22Cから有色トナー版データ62を受付ける。すなわち、出力部22Eは、取得部22Cから、YMCKの各々の有色トナー版データ62(62Y、62M、62C、62K)を受付ける。また、出力部22Eは、補正部22Dから、補正特色トナー版データ65を受付ける。
そして、出力部22Eは、この有色トナー版データ62および補正特色トナー版データ65を含む印刷データを、画像形成装置40へ出力する。
図14は、印刷データ60を示す模式図である。図14に示すように、印刷データ60は、有色トナー版データ62と、補正特色トナー版データ65と、を含む。
このため、本実施の形態のDFE20では、特色トナー版データ64に代えて補正特色トナー版データ65を含む印刷データ60を、画像形成装置40へ出力する。
図1に戻り、印刷データ60を受付けた画像形成装置40は、印刷データ60に基づいて、有色トナーによる有色画像および特色トナーによる特色画像を記録媒体Pへ形成する。
ここで、印刷データ60に含まれる補正特色トナー版データ65は、有色トナー版データ62によって示される各画素の色(色味)を示す色情報に基づいて、特色トナー版データ64を補正したものである。このため、画像形成装置40では、有色トナー版データ62に規定された有色付与量の有色トナーを記録媒体Pへ付与すると共に、補正特色トナー版データ65に規定された特色付与量の特色トナーを記録媒体Pへ付与する。
このため、記録媒体Pに形成された有色トナーによる有色画像上には、有色トナー版データ62によって示される色に応じて調整された特色付与量の特色トナーが付与される。
次に、本実施の形態のDFE20で実行する画像処理の手順を説明する。図15は、本実施の形態のDFE20で実行する画像処理の手順の一例を示す、フローチャートである。
まず、受信部22Aが、ホスト装置10から入力画像データ50を受信する(ステップS100)。次に、印刷用データ生成部22Bが、入力画像データ50から、印刷用データ61を生成する(ステップS102)。すなわち、印刷用データ生成部22Bは、有色トナー版データ62および特色トナー版データ64を含む、印刷用データ61を生成する。
次に、取得部22Cが、印刷用データ生成部22Bから印刷用データ61を取得する(ステップS104)。ステップS104の処理によって、取得部22Cは、印刷用データ61に含まれる特色トナー版データ64およびYMCKの各色の有色トナー版データ62を取得する。
次に、補正部22Dの抽出部22Fが、ステップS104で取得した特色トナー版データ64における、特色付与量が“0”を超える領域Bの特色領域画像64Bを抽出する(ステップS106)。また、ステップS106において、抽出部22Fは、ステップS104で取得した有色トナー版データ62における、該領域Bに対応する領域の有色領域画像62Bを抽出する。
次に、色版生成部22Gが、抽出部22Fで抽出された、CMYKの有色領域画像62Bを構成する画素の各々の有色付与量を、色情報に変換することで、色版データ66を生成する(ステップS108)。本実施の形態では、上述したように、色版生成部22Gは、色領域画像66Bを生成する。
次に、補正値算出部22Hが、ステップS108の処理によって色版生成部22Gで生成された色領域画像66Bに基づいて、補正値を算出する(ステップS110)。
次に、補正版生成部22Iが、ステップS110で算出された補正値と、ステップS104で取得した特色トナー版データ64と、を用いて、補正特色トナー版データ65を生成する(ステップS112)。本実施の形態では、補正版生成部22Iは、特色トナー版データ64における特色領域画像64Bの画素毎の特色付与量を、有色領域画像62Bの色情報に基づいて算出された画素毎の補正値を用いて補正する。これによって、補正版生成部22Iは、補正特色トナー版データ65を生成する。
次に、出力部22Eが、ステップS112で生成された補正特色トナー版データ65と、ステップS104で取得した印刷用データ61と、を含む印刷データ60を、画像形成装置40へ出力する(ステップS114)。そして、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施の形態のDFE20(画像処理装置)は、取得部22Cと、色版生成部22Gと、補正値算出部22Hと、補正版生成部22Iと、出力部22Eと、を備える。取得部22Cは、有色トナーの有色付与量を画素毎に規定した有色トナー版データ62と、特色トナーの特色付与量を画素毎に規定した特色トナー版データ64と、を含む印刷用データ61を取得する。色版生成部22Gは、有色トナー版データ62に規定された画素毎の有色付与量の各々を、色を示す色情報に変換した色版データ66を生成する。補正値算出部22Hは、色版データ66に基づいて、特色トナー版データ64に規定された特色付与量を補正するための補正値を画素毎に算出する。補正版生成部22Iは、特色トナー版データ64に規定された画素毎の特色付与量を、対応する画素の補正値を用いて補正した補正特色トナー版データ65を生成する。出力部22Eは、有色トナー版データ62と、補正特色トナー版データ65と、を含む印刷データ60を、画像形成装置40へ出力する。
このように、本実施の形態のDFE20では、印刷用データ61に含まれる特色トナー版データ64に規定された画素毎の特色付与量を、有色トナー版データ62に規定された有色付与量に応じた色情報に基づいて補正する。
このため、DFE20では、有色トナーによって実現される色味に応じて、特色トナー版データ64に規定された特色付与量を補正することができる。
従って、本実施の形態のDFE20では、有色トナーによって実現される色味を損なわずに、特色トナーによる特色効果を実現することができる。
また、色版生成部22Gは、有色トナー版データ62に規定された有色付与量の各々を、明度、色相、および彩度によって表される色情報に変換した、色版データ66を生成する。
このように、色版生成部22Gが、色情報として、明度、色相、および彩度によって表される色情報を用いる。このため、本実施の形態のDFE20では、有色トナー版データ62に規定された有色付与量の有色トナーによって実現される明度、色相、および彩度を損なわずに、特色トナーによる特色効果を実現することができる。
補正値算出部22Hは、第1の算出部22Jを含むことが好ましい。第1の算出部22Jは、色版データ66に基づいて、色情報によって表される明度が高いほど特色付与量が多くなるように、特色トナー版データ64を補正するための第1の補正値を補正値として画素毎に算出する。
第1の補正値を用いることによって、DFE20では、有色トナー版データ62における各画素が表現する色(色味)によって実現される金属反射成分が明度が高いほど強調されるように、特色トナー版データ64に規定される特色付与量を補正することができる。
詳細には、有色トナー版データ62に規定された有色付与量によって表される色情報の明度が高い画素には、特色トナー版データ64に規定された特色付与量が多くなるように補正することができる。このため、有色トナー版データ62に規定された有色付与量によって表される色(色味)に含まれる金属反射成分を、特色トナーを用いて表現することができる。
このため、DFE20では、有色トナーによって実現される色味に含まれる金属反射成分(金属光沢成分)を損なわずに、特色トナーによる特色効果を実現することができる。言い換えると、DFE20は、入力画像データ50に含まれる有色版データ52に基づいた形で、金属反射を強調することが可能となる。
また、有色トナー版データ62に規定された有色付与量によって表される色情報の明度が低い画素には、特色トナー版データ64に規定された特色付与量が低くなるように補正することができる。このため、有色トナー版データ62に規定された有色付与量によって表される色情報の明度が高い領域との、金属反射成分量の差を大きくすることができる。このため、有色トナー版データ62に規定された有色付与量によって表される色情報の明度が高い画素の領域の、金属反射成分を強調することが可能となる。
また、補正値算出部22Hは、第2の算出部22Kを含むことが好ましい。第2の算出部22Kは、色版データ66に基づいて、予め定めた色空間における、色情報によって表される色相および彩度によって示される位置が、色空間における予め定めた基準領域から離れるほど特色付与量が少なくなるように、特色トナー版データ64を補正するための第2の補正値を補正値として画素毎に算出する。また、基準領域は、色空間における、特色トナー(本実施の形態では金属トナー)の本来の色を示す領域であることが好ましい。
このため、有色トナー版データ62に規定された有色付与量によって表される色情報の色相および彩度が、金属トナーの本来の色から大きく離れている場合に、特色トナーの特色付与量を少なくするように補正することができる。これによって、DFE20は、金属反射成分の調整を行うことができる。
また、補正値算出部22Hは、第1の算出部22Jおよび第2の算出部22Kの双方を含むことが好ましい。この場合、補正値算出部22Hは、第1の算出部22Jが算出した第1の補正値と、第2の算出部22Kが算出した第2の補正値と、の乗算値を、補正値として画素毎に算出することが好ましい。
また、特色トナーは、金属色の金属トナーであることが好ましい。
特色トナーに金属トナーを用いることで、金属トナーの付与された記録媒体Pに、視覚的に金属的な質感を効果的に生じさせることが可能となる。また、有色トナーのみでは表現できない高い付加価値を記録媒体Pへ有色画像に付加することができる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、DFE20が、有色版データ52と特色版データ54とを含む入力画像データ50を、ホスト装置10から受信する形態を説明した。そして、DFE20が、特色版データ54を用いて特色トナー版データ64を生成する形態を説明した。
本実施の形態では、ユーザによって指定された特色領域に基づいて、DFE21が特色トナー版データ64を生成する形態を説明する。
図1は、本実施の形態の画像処理システム1Aの一例を示す模式図である。画像処理システム1Aは、ホスト装置10と、DFE21と、MIC30と、画像形成装置40と、を含む。なお、画像処理システム1Aは、DFE20に代えてDFE21を備えた以外は、第1の実施の形態の画像処理システム1と同様である。
図16は、DFE21の機能的構成の一例を示すブロック図である。DFE21は、画像処理装置に相当する。
DFE21は、制御部23と、記憶部24と、UI(ユーザ・インターフェース)部25を備える。制御部23と、UI部25および記憶部24とは、データや信号を授受可能に接続されている。記憶部24は、第1の実施の形態と同様である。
UI部25は、表示部25Aおよび入力部25Bを含む。表示部25Aは、各種情報を表示する公知の表示装置である。表示部25Aは、例えば、液晶表示装置などである。入力部25Bは、ユーザによる操作指示を受付ける。入力部25Bは、例えば、キーボードなどである。なお、表示部25Aおよび入力部25Bを一体的に構成し、タッチパネルとしてもよい。
制御部23は、DFE21全体を制御する。制御部23は、受信部23Aと、印刷用データ生成部23Bと、取得部23Cと、補正部22Dと、出力部22Eと、受付部23Mと、特色版生成部23Nと、を備える。
受信部23A、印刷用データ生成部23B、取得部23C、補正部22D、出力部22E、受付部23M、および、特色版生成部23Nの一部またはすべては、例えば、CPUなどの処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、ICなどのハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
受信部23Aは、ホスト装置10から入力画像データを受付ける。本実施の形態では、受信部23Aは、特色版データ54を含まず、且つ、有色版データ52を含む入力画像データを受付ける。
受信部23Aは、受付けた有色版データ52を印刷用データ生成部23Bへ出力する。印刷用データ生成部23Bは、第1の実施の形態の印刷用データ生成部22Bと同様にして、有色版データ52から有色トナー版データ62を生成する。すなわち、印刷用データ生成部23Bは、特色トナー版データ64を生成しない以外は、第1の実施の形態の印刷用データ生成部22Bと同様である。
印刷用データ生成部23Bは、生成した有色トナー版データ62を取得部23Cへ出力する。
受付部23Mは、特色トナーを付与する特色領域の指定を受付ける。例えば、ユーザは、入力部25Bを操作しながら表示部25Aを参照し、特色領域の入力を行う。ユーザは、入力部25Bを操作することによって、特色トナーを付与する特色領域の位置、大きさ、および範囲を指定する。受付部23Mは、特色領域の指定を受付けることで、特色領域の位置、大きさ、および範囲を示す特色情報を受付ける。
特色版生成部23Nは、受付部23Mで受付けた特色領域を用いて、特色トナー版データ64を生成する。詳細には、特色版生成部23Nは、受付けた特色領域を構成する画素の各々に予め定めた値を特色付与量として規定する。また、特色版生成部23Nは、特色領域以外の外部領域を構成する画素に、付与量無しを示す値を特色付与量として規定する。これらの規定により、特色版生成部23Nは、特色トナー版データ64を生成する。
すなわち、本実施の形態では、ユーザが、特色トナーを付与する特色領域を指定すると、DFE21側で、該特色領域を構成する画素の各々に特色付与量を規定した、特色トナー版データ64を生成する。
そして、特色版生成部23Nは、生成した特色トナー版データ64を取得部23Cへ出力する。
このため、取得部23Cは、有色トナー版データ62を印刷用データ生成部23Bから受信し、特色トナー版データ64を特色版生成部23Nから受信することで、印刷用データ61を取得する。すなわち、取得部23Cは、有色トナー版データ62と、特色版生成部23Nで生成された特色トナー版データ64と、を含む印刷用データ61を取得する。
補正部22Dおよび出力部22Eは、第1の実施の形態と同様である。このため、詳細な説明を省略する。
次に、本実施の形態のDFE21で実行する画像処理の手順を説明する。図17は、本実施の形態のDFE21で実行する画像処理の手順の一例を示す、フローチャートである。
まず、受信部23Aが、ホスト装置10から入力画像データを受信する(ステップS200)。ステップS200で受信する入力画像データには、有色版データ52は含まれるが、特色版データ54は含まれない。
次に、印刷用データ生成部23Bが、有色版データ52から有色トナー版データ62を生成する(ステップS202)。
次に、受付部23Mが、入力部25Bから特色領域の指定を受付ける(ステップS204)。特色版生成部23Nは、該指定された特色領域の位置、大きさ、および範囲に基づいて、特色トナー版データ64を生成する(ステップS206)。
次に、取得部23Cが、印刷用データ生成部23Bから有色トナー版データ62を取得する(ステップS208)。また、ステップS208において、取得部23Cは、特色版生成部23Nから特色トナー版データ64を取得する(ステップS208)。
次に、DFE21では、第1の実施の形態におけるステップS106〜ステップS114と同様にして、ステップS210〜ステップS218の処理を実行し、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施の形態のDFE21は、受付部23Mと、特色版生成部23Nと、を備える。受付部23Mは、特色トナーを付与する特色領域の指定を受付ける。特色版生成部23Nは、受付けた特色領域を構成する画素に予め定めた値を特色付与量として規定し、特色領域以外の外部領域を構成する画素に付与量無しを示す値を特色付与量として規定した、特色トナー版データ64を生成する。そして、取得部23Cは、有色トナー版データ62と、特色版生成部23Nで生成された特色トナー版データ64と、を含む印刷用データ61を取得する。
このように、本実施の形態のDFE21では、ユーザによって指定された特色領域に、特色付与量を規定した特色トナー版データ64を生成する。このため、本実施の形態のDFE21では、第1の実施の形態の効果に加えて、ユーザによる操作性の向上を図ることができる。
<変形例1>
上記実施の形態では、ホスト装置10と、DFE20と、MIC30と、画像形成装置40と、を別体として構成した形態を説明した。しかし、ホスト装置10、DFE20、MIC30、および画像形成装置40の内の少なくとも2つ以上を、一体的に構成してもよい。
図18は、画像処理システム1Cの一例を示す模式図である。例えば、図18に示すように、画像処理システム1Cを、ホスト装置10と、画像形成装置80と、を備えた構成としてもよい。
この場合、画像形成装置80は、DFE機能部82と、MIC機能部84と、画像形成部86と、を備えた構成とすればよい。DFE機能部82は、上記実施の形態のDFE20またはDFE21で実行する画像処理を行う。MIC機能部84は、上記実施の形態のMIC30で実行する処理を行う。画像形成部86は、上記実施の形態の画像形成装置40で実行する処理を行う。
すなわち、DFE機能部82、MIC機能部84、および画像形成部86の各々は、上記実施の形態で説明したDFE20またはDFE21、MIC30、および画像形成装置40の各々と同様の機能構成であればよい。
<変形例2>
また、上記実施の形態における、一の装置で行っていた複数の処理のいずれかを、一の装置とネットワークを介して接続する1以上の他の装置で行う構成にしてもよい。例えば、DFE20またはDFE21の機能の一部を、ネットワーク上のサーバ装置上に実装してもよい。
図19は、本変形例の画像処理システム1Dの構成を例示する図である。画像処理システム1Dは、ホスト装置10と、DFE3020と、MIC30と、画像形成装置40と、を備える。ホスト装置10、MIC30M、および画像形成装置40は、第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様である。
本変形例では、DFE3020がインターネット等のネットワークを介して、サーバ装置3060と接続された構成となっている。また、画像処理システム1Dでは、例えば、第1の実施の形態のDFE20における受信部22A、印刷用データ生成部22B、取得部22C、補正部22D、出力部22E、および記憶部24の少なくとも1つを、サーバ装置3060に設けた構成であってもよい。また、DFE3020に代えて、第2の実施の形態のDFE21に相当する、DFE3021を備えた構成であってもよい。この場合、DFE3021に設けられた複数の機能部の内の少なくとも1つを、サーバ装置3060に設けた構成とすればよい。
次に、上述した実施の形態および変形例のホスト装置10、DFE20,21、3020,3021、画像形成装置40、および画像形成装置80のハードウェア構成について説明する。
図20は、ホスト装置10、DFE20,21、3020,3021、画像形成装置40、および画像形成装置80のハードウェア構成図である。ホスト装置10、DFE20,21、3020,3021、画像形成装置40、および画像形成装置80は、CPU2901と、ROM2902と、RAM2903と、HDD2904と、I/F2905と、がバス2906を介して接続されている。I/F2905には、通信装置や、表示装置や、入力装置などが接続される。
上記実施の形態および変形例のホスト装置10、DFE20,21、3020,3021、画像形成装置40、および画像形成装置80で実行される処理は、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供される。
また、上記実施の形態および変形例のホスト装置10、DFE20,21、3020,3021、画像形成装置40、および画像形成装置80で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上記実施の形態および変形例のホスト装置10、DFE20,21、3020,3021、画像形成装置40、および画像形成装置80で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
また、上記実施の形態および変形例のホスト装置10、DFE20,21、3020,3021、画像形成装置40、および画像形成装置80で実行されるプログラムを、ROM2902等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
なお、本発明は上記実施の形態および変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態および変形例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、種々の変形が可能である。
なお、上述した実施の形態の画像処理システムは、MIC30を備えた構成としているが、これに限定されるものではない。上述したMIC30が行う処理、機能をDFE20等の他の装置にもたせて、MIC30を設けない構成としてもよい。