JP2017137879A - 円すいころ軸受の保持器 - Google Patents
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Abstract
【課題】組立時に円すいころが脱落し難く、しかも運転時に、円すいころとポケットとの間での異常発熱を回避できる保持器を提供する。【解決手段】複数の保持器セグメント20を連結部30、31によって環状に連結し、円周方向に円すいころ15を収容するポケット16が配列された円すいころの保持器において、保持器セグメント20を互いに連結する連結部30、31が、組立て時には円すいころが円すいころの自重によって脱落しない程度の締付け力を有し、その締め付け力が運転時の遠心力又は発熱により緩み、環状に連結された保持器セグメント20間の隙間aが大きくなるようにした。【選択図】図9
Description
この発明は、円すいころ軸受の保持器に関するものである。
円すいころ軸受は、内輪と、その外周に同芯状態に配置された外輪と、これら内輪及び外輪との間に配設される円すいころと、円すいころを周方向に一定間隔で保持する保持器とにより構成される。
前記保持器は、同軸上に配置された大径側縁部と小径側縁部との間に軸方向の柱部を多数設け、その柱部相互間に、円すいころを収容するポケットを形成したものである。この保持器は、一般に、鉄板のプレス成形品又は切削加工品、あるいは樹脂成形品によって形成される。
従来のプレス成形品は、その製作時にプレス用の金型が必要となり、また軸受の組立て時には、円すいころを保持器のポケットに組込むために、組立て用の金型を使用して保持器を拡径し、円すいころを組込んだ後に、拡径した保持器を加締める必要がある。さらに、円すいころと保持器の当たり具合の管理や、円すいころと保持器を内輪に強制嵌合する量、いわゆるかち込み量の管理が必要となる。
このように、従来のプレス成形による金属製の保持器は、製作時や組込み時において種々の問題があり、コスト高の原因となっていた。
このような金属製の保持器の問題を解決するために、環状の保持器を複数の保持器セグメントに分割し、保持器セグメントを環状に連結するようにした円すいころ軸受の保持器が提案されている(特許文献1)。
ところで、複数の保持器セグメントを連結部によって環状に連結した保持器を使用して円すいころ軸受を組立てる際に、保持器のポケットに収容した円すいころの自重により、保持器セグメントが広がると、円すいころが脱落するおそれがあるため、円すいころが脱落しないように、円すいころと保持器のポケットの間の隙間をできるだけ詰め、また、保持器セグメントが互いに広がらないように、保持器セグメントの連結部を強固に連結している。
特に、樹脂製の保持器セグメントは、弾力性があるため、円すいころと保持器のポケットの間の隙間をできるだけ小さくして、組立て時における円すいころの脱落を防止するようにしている。
ところが、円すいころと保持器のポケットの間の隙間が小さいと、円すいころの運転時に、円すいころと保持器のポケットとの間の摩擦力が大きく、異常発熱を起こす恐れがある。
そこで、この発明は、円すいころ軸受の組立時に円すいころが脱落し難く、しかも運転時に、円すいころと保持器との間での異常発熱を回避できるようにすることを課題とするものである。
前記の課題を解決するために、この発明は、複数の保持器セグメントを連結部によって環状に連結し、円周方向に円すいころを収容するポケットが配列された円すいころの保持器において、保持器セグメントを互いに連結する連結部が、組立て時には円すいころが円すいころの自重によって脱落しない程度の締付け力を有し、その締め付け力が運転時の遠心力又は発熱により緩み、環状に連結された保持器セグメント間の隙間が大きくなるようにしたものである。
以上のように、この発明では、組立て時において、円すいころが自重によって脱落しないように、ポケットと円すいころとの間の隙間を小さくしていても、運転時の遠心力や発熱によって、隣り合う保持器セグメントの突き合わせ面が開き、ポケットと円すいころとの間の隙間が大きくなるので、円すいころとポケットとの間の隙間への潤滑油の流通が良くなり、円すいころとポケットとの間の発熱を防止できる。
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、この発明に係る保持器17を使用した円すいころ軸受1の断面図であり、図2は、外輪12を外した状態の円すいころ軸受の斜視図である。図3は、円すいころ軸受1の一部の保持器セグメント20を分解した状態を示す斜視図である。
この円すいころ軸受1は、図1に示すように、内輪11、外輪12、これらの軌道面13、14の間に配列される多数の円すいころ15及び各円すいころ15を一定間隔に保持するポケット16を備えた保持器17を主要な構成要素としている。
内輪11の軌道面13の小径側には、小つば部18、大径側には大つば部19がそれぞれ形成され、これらの両方のつば部18、19によって円すいころ15の軸方向の移動を案内している。
保持器17は、図2及び図3に示すように、円周方向に複数に分割された保持器セグメント20が環状に配列されることにより構成される。保持器セグメント20は、円すい台形のかご形保持器をその中心線を含む分割面で等分割した形状である。各保持器セグメント20を環状に組み合わせることによって、軸方向の一端に小径側端面21、他端に大径側端面22を有する円すい台形のかご形の分割形保持器が構成される。
図4は、保持器セグメント20単体の斜視図である。図5は、保持器セグメント20単体を小径側端面21から見た正面図、図6は図5のVI−VI線における断面図である。
保持器セグメント20は、金属あるいは樹脂で構成されており、リングを周方向に分断した弧状の側板部23、29が軸方向に並んで平行に配置され、柱状部24が両側板部23、29を接続したような形状である。柱状部24は、この実施形態では、1つの保持器セグメントに1つが設けられ、図7に示すように、2つの保持器セグメント20が突き合わされて当該柱状部24の間に円すいころを収納するポケット16が形成される。隣り合う柱状部24の対向面には弧状のころ案内面16aと、案内面16aの上方に円すいころ15の脱落を防止する凸部16bが設けられている。
図8に示すように、保持器17のポケット16に、円すいころ15を外径側から内径側に向かって圧入すると、円すいころ15が軸を中心として回転自在にポケット内に嵌り込む。
円周上に配置される保持器セグメント20には、隣り合う保持器セグメント20を連結するために、側板部23、29の両端面のそれぞれに連結部30、31が設けられている。
側板部23、29の両端面の連結部30、31は、連結凸部30a、31aと連結凹部30b、31bとからなる。側板部23の連結凸部30a、連結凹部30bと、側板部29の連結凸部31a、連結凹部31bとは、それぞれ対象位置に設けられている。
側板部23の連結凸部30aと連結凹部30bとの嵌め合い、及び側板部29の連結凸部31aと連結凹部31bとの嵌め合いは、組立て時に、ポケット16に収納した円すいころ15が脱落しないように、円すいころ15の自重によっては、図8に示すように、隣り合う保持器セグメント20の突き合わせ面が開かない程度の結合力が得られるように設定され、この結合力は、運転時における遠心力や発熱によって緩み、図9に示すように、環状に連結された保持器セグメント20間の突き合わせ面が開いて、隙間aが形成されるように設定されている。
このように、隣り合う保持器セグメント20を互いに連結する連結部30、31の結合力を、運転時における遠心力や発熱によって緩み、図9に示すように、環状に連結された保持器セグメント20間の突き合わせ面の隙間aが大きくなるように設定すると、組立て時において、ポケット16と円すいころ15との間の隙間を小さくして、円すいころ15が脱落しないようにしていても、運転時の遠心力や発熱によって、隣り合う保持器セグメント20の突き合わせ面が開き、ポケット16と円すいころ15との間の隙間aが大きくなるので、円すいころ15とポケット16との間の隙間への潤滑油の流通が良くなり、円すいころ15とポケット16との間の発熱を防止できる。
前記環状に連結された保持器セグメント20間に形成される隙間aの大きさを、大径側の側板部29間に形成される隙間の方を、小径側の側板部23間に形成される隙間aよりも小さくすることにより、円すいころ15の挙動を安定化させることができる。
この図1〜図9の実施形態のように、側板部23の連結凸部30aと連結凹部30bとの嵌め合い、及び側板部29の連結凸部31aと連結凹部31bとの嵌め合いによって連結する場合、図3に示すように、保持器セグメント20を環状に順次組み立てると、組立ての最終段階において、連結凸部30a、31aを嵌め入れるスペースがなくなり、組立てが困難になる。このため、保持器17を組立てる際には、図10に示すように、まず、保持器セグメント20を半円弧状に組立て、半円弧状に組立てた保持器セグメント20同士を左右から突き合わせると、組立てが容易になる。
この発明は、運転時における遠心力や発熱により、隣り合う保持器セグメント20の連結部30、31が緩むようにして、円すいころ15とポケット16との間の発熱を防止している。この連結部30、31の緩みは、上記のように、連結凸部30a、31aと連結凹部30b、31bとの嵌め合いを調整する以外に、保持器セグメント20を樹脂製にして、連結凸部30a、31aを樹脂よりも線膨張係数の小さい金属製にしておくことにより、発熱の際の線膨張係数の差により、連結部30、31に緩みを生じさせるようにしてもよい。
また、図11及び図12の実施形態は、保持器セグメント20の連結部30、31を構成する連結凸部30a、31aの先端に、抜け止め用突起30c、31cを設け、この抜け止め用突起30c、31cが嵌る抜け止め凹部(図示省略)を連結凹部30b、31bに設けることにより、組立てた保持器の組立て強度を高めた例である。その他の構成は、図1〜図10に示す実施形態と同一であるから、共通する部分は同一の符号を付して説明は省略する。
次に、図13〜図18に示す実施形態は、隣り合う保持器セグメント20を連結する連結部30、31を、環状に組合された保持器セグメント20の外周面に嵌めこまれる環状ワイヤ32、33によって形成した例である。この実施形態において、図1〜図10に示す実施形態と同一の部分は、同一の符号を付して説明は省略する。
この実施形態の保持器セグメント20には、図13、図16及び図18に示すように、保持器セグメント20の側板部23、29の外周面に、環状ワイヤ32、33を嵌め入れる嵌合溝34、35を設けている。
環状ワイヤ32、33は、嵌合溝34、35に嵌め入れられ、図15に示すように、両端部が加締め部材36、37によって連結されている。
環状ワイヤ32、33による保持器セグメント20の締め付け力は、組立て時において、ポケット16と円すいころ15との間の隙間を小さくして、円すいころ15が脱落しないよう程度の締め付け力で、運転時の遠心力や発熱によって環状ワイヤ32、33の締め付け力が緩み、隣り合う保持器セグメント20の突き合わせ面が開き、ポケット16と円すいころ15との間の隙間が大きくなる程度の締め付け力に設定されている。
環状ワイヤ32、33は、例えば、金属ワイヤあるいはナイロン糸などによって形成することができる。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
1 :円すいころ軸受
11 :内輪
12 :外輪
13 :軌道面
14 :軌道面
15 :えんすいころ
16 :ポケット
16a :案内面
16b :凸部
17 :保持器
18 :小つば部
19 :大つば部
20 :保持器セグメント
21 :小径側端面
22 :大径側端面
23 :側板部
24 :柱状部
29 :側板部
30 :連結部
30a :連結凸部
30b :連結凹部
30c :抜け止め用突起
31 :連結部
31a :連結凸部
31b :連結凹部
31c :抜け止め用突起
32 :環状ワイヤ
33 :環状ワイヤ
34 :嵌合溝
35 :嵌合溝
36 :加締め部材
37 :加締め部材
11 :内輪
12 :外輪
13 :軌道面
14 :軌道面
15 :えんすいころ
16 :ポケット
16a :案内面
16b :凸部
17 :保持器
18 :小つば部
19 :大つば部
20 :保持器セグメント
21 :小径側端面
22 :大径側端面
23 :側板部
24 :柱状部
29 :側板部
30 :連結部
30a :連結凸部
30b :連結凹部
30c :抜け止め用突起
31 :連結部
31a :連結凸部
31b :連結凹部
31c :抜け止め用突起
32 :環状ワイヤ
33 :環状ワイヤ
34 :嵌合溝
35 :嵌合溝
36 :加締め部材
37 :加締め部材
Claims (5)
- 複数の保持器セグメントを連結部によって環状に連結し、円周方向に円すいころを収容するポケットが配列された円すいころの保持器において、保持器セグメントを互いに連結する連結部が、組立て時には円すいころが円すいころの自重によって脱落しない程度の締付け力を有し、その締め付け力が運転時の遠心力又は発熱により緩み、環状に連結された保持器セグメント間の隙間が大きくなるようにしたことを特徴とする円すいころ軸受の保持器。
- 隣り合う保持器セグメントを連結する連結部が、互いに嵌り合う連結凸部と連結凹部とによって形成されている請求項1記載の円すいころ軸受の保持器。
- 前記連結凸部の先端に抜け止め突起を設け、この抜け止め突起が嵌る抜け止め凹部を前記連結凹部に設けたことを特徴とする請求項2記載の円すいころ軸受の保持器。
- 隣り合う保持器セグメントを連結する連結部が、環状に組合された保持器セグメントの外周面に嵌めこまれる環状ワイヤによって形成されている請求項1記載の円すいころ軸受の保持器。
- 前記複数の保持器セグメントを連結部によって環状に連結した組立て時において、環状に連結された保持器セグメントの大径側と小径側に形成される隙間が、大径側の方が小径側よりも小さく設定されている請求項1〜4のいずれかに記載の円すいころ軸受の保持器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016016903A JP2017137879A (ja) | 2016-02-01 | 2016-02-01 | 円すいころ軸受の保持器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016016903A JP2017137879A (ja) | 2016-02-01 | 2016-02-01 | 円すいころ軸受の保持器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017137879A true JP2017137879A (ja) | 2017-08-10 |
Family
ID=59565616
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016016903A Pending JP2017137879A (ja) | 2016-02-01 | 2016-02-01 | 円すいころ軸受の保持器 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2017137879A (ja) |
-
2016
- 2016-02-01 JP JP2016016903A patent/JP2017137879A/ja active Pending
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