JP2017136000A - 放射線を用いたオイル高生産体ボトリオコッカスの分離方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 液中のボトリオコッカス藻体に、重イオンビーム又はX線を照射する工程および浮遊したオイル高生産ボトリオコッカス藻体を採取する工程を含む、オイル高生産ボトリオコッカス藻体の分離方法。
【選択図】 なし
Description
このような藻体の回収技術としては、ナノバブルを用いて藻体を物理的に浮遊させる方法が知られている(特許文献1)。しかし、この方法によると、オイル含量の低い藻体も同時に浮遊してしまうという欠点があった。また、藻体の状態によってはナノバブルでは回収できない場合もあった。
液中のボトリオコッカス藻体に、重イオンビーム又はX線を照射する工程および浮遊したオイル高生産ボトリオコッカス藻体を採取する工程を含む、オイル高生産ボトリオコッカス藻体の分離方法。
前記重イオンビーム又はX線の線量が25〜150Gyである<1>に記載の方法。
前記重イオンビームが、炭素イオンビーム又はアルゴンイオンビームである<1>又は<2>に記載の方法。
液中のボトリオコッカス藻体に、重イオンビーム又はX線を照射する工程および浮遊したオイル高生産ボトリオコッカス藻体を採取し、採取したオイル高生産ボトリオコッカス藻体からオイルを分取する工程を含む、オイルの製造方法。
また、増殖状態にある浮遊しなかった藻体は、さらに培養することで、オイル高生産ボトリオコッカス藻体とし、連続的にオイル高生産ボトリオコッカス藻体を回収でき、オイルを有利に製造することができる。
本発明では、ボトリオコッカスに放射線、具体的には重イオンビーム又はX線を照射する。
また、ボトリオコッカスは常法に従って培養したものを使用すればよい。例えば、培地としては、Chu13改変培地やChu10培地、BG11、BBM、BBMa培地、AF-6培地などが使用され、その中でもAF-6培地は多くのBotryococcus株で安定した増殖を示すためよく使われている。また、培養条件としては以下のような条件が挙げられる。
・温度:15〜40℃(至適温度は30℃前後)
・培地pH:5-9
・光強度:10-160μmol/m2/s
・明暗周期:連続光で光を与えることも可能だが、一日のうち数時間(2〜12時間)の暗期を設けることが望ましい。
・培養期間:窒素源となっている硝酸態窒素が培地中より枯渇すると増殖が停止するため、培養期間はこの濃度に依存することが多い。培地中の硝酸態窒素濃度が150mg/L程度の場合、3-4週間程度の培養期間を要する。
・エアレーション:空気あるいは10%程度までの二酸化炭素濃度になるように圧縮空気と混合して培地に与える。
培養は、下記の通り行った。
・光条件;蛍光灯3本(約100μmol/m2/sec)
・明暗周期;明:暗=17H:7H
・エアレーション;5% CO2(暗条件下ではCO2を含まない空気を通気)
・培養温度;25℃
・培地;組成を表1に示す。
X線の照射は、X線照射装置(RIGAKU)を用いた。
上記条件で培養した培養開始から12日後のボトリオコッカス培養液を200μLの8連チューブに入れ、表2に示す線量のアルゴンイオンビームをそれぞれ照射した。
アルゴンイオンビーム照射後、光量約100μmol/m2/sec、25℃で3時間静置した後チューブを観察したところ、アルゴンイオンビームの線量に依存して、藻体の浮遊がみられた。
上記条件で培養した培養開始から12日後のボトリオコッカス培養液を200μLの8連チューブに入れ、4Gy/分の線量率で12.5分、50GyのX線を照射し、実施例1〜4と同様に光量約100μmol/m2/sec、25℃で3時間静置した後観察したところ、藻体の浮遊がみられた。
アルゴンイオンビームおよびX線いずれも照射しなかった以外は同様にして培養液の観察を行った。
(1)画像解析ソフト ImageJに画像を取り込む。
(2)8-bit グレースケールに変換する。
(3)同一面積内の沈殿藻体の輝度を、各例につき3チューブずつ測定し平均値を算出する。
(4)(3)で算出した平均値に対し、比較例1の値を0、実施例3の値を100として、各例について浮遊指数を算出する。
実施例5と同様の条件でボトリオコッカス培養液にX線を照射した。照射後、光量約100μmol/m2/sec、25℃で3時間静置し、浮遊藻体と沈殿藻体と分取した。浮遊藻体と沈殿藻体それぞれに脂溶性蛍光色素BODIPYを終濃度1μg/mLになるよう加えて10分間染色し、蛍光顕微鏡で観察した。図2に明視野顕微鏡写真(左側)及び蛍光顕微鏡写真を示す。
浮遊藻体にはBODIPYで染色される(図2の蛍光顕微鏡写真の白く明るい部分)藻体が多くみられ、沈殿藻体ではBODIPYの蛍光強度が弱かった。本実験において、浮遊藻体ではオイルが高生産していることが分かった。
4日間培養した前培養液を1Lデュラン瓶に植菌(最終培地量800mL)し本培養を行い、培養開始から18日目にサンプリングした。培養5日目と18日目(藻体回収日サンプル)で増殖率速度μ(day-1)を求めると、0.038であった。
[増殖期]
7日間培養した前培養液を1L三角フラスコに植菌(最終培地量700mL)し本培養とした。本培養では、培養開始から13日目に栄養塩を添加し、培養最終日まで増殖状態を保たせた。培養13日目と26日目(藻体回収日サンプル)での増殖率速度μ(day-1)は、0.104であり、定常期に比べ約3倍の増殖能をもっていた。
得られたオイルの組成は、主にC33H56の炭化水素であった。
Claims (4)
- 液中のボトリオコッカス藻体に、重イオンビーム又はX線を照射する工程および浮遊したオイル高生産ボトリオコッカス藻体を採取する工程を含む、オイル高生産ボトリオコッカス藻体の分離方法。
- 前記重イオンビーム又はX線の線量が25〜150Gyである請求項1に記載の方法。
- 前記重イオンビームが、炭素イオンビーム又はアルゴンイオンビームである請求項1又は2に記載の方法。
- 液中のボトリオコッカス藻体に、重イオンビーム又はX線を照射する工程および浮遊したオイル高生産ボトリオコッカス藻体を採取し、採取したオイル高生産ボトリオコッカス藻体からオイルを分取する工程を含む、オイルの製造方法。
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