JP2017132900A - ポリマー及びそれを用いたペロブスカイト型太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】ペロブスカイト型太陽電池のp型バッファ層として優れた光電変換特性を示し、且つ安価な化合物を提供する。【解決手段】式(1)で表される繰り返し単位及びその類似構造体から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有するポリマー。好ましくは、最低空軌道のエネルギー準位(LUMO)が−3.60〜−2.00eVであり、最高被占有軌道のエネルギー準位(HOMO)が−5.45〜−4.90eVである、ポリマー。[Y1はO、S、N、P又はSiを介する連結基;Y2はN又はPを介する連結基;R1は各々独立に置換基;R2は各々独立にアルキル基又はアルコキシ基;Lは各々独立に単結合又はπ共役基;m1は各々独立に0〜3の整数;m2は0〜3の整数]【選択図】なし

Description

本発明は、ポリマー及びそれを用いたペロブスカイト型太陽電池に関する。
近年、クリーンエネルギーとして、太陽光発電が注目を浴びており、太陽電池の開発が進んでいる。その一つとして、低コストで製造可能な次世代型の太陽電池として、ペロブスカイト材料を光吸収層に用いた太陽電池が急速に注目を集めている。例えば、非特許文献1では、ペロブスカイト材料を光吸収層に用いた溶液型の太陽電池が報告されている。また、非特許文献2には、固体型のペロブスカイト型太陽電池が高効率を示すことも報告されている。
ペロブスカイト型太陽電池の基本構造としては、通常、透明電極の上に、n型バッファ層、光吸収層(ペロブスカイト層)、p型バッファ層及び金属電極をこの順に積層している。n型バッファ層とペロブスカイト層との間にメソポーラスチタニア層(電子輸送層)を備えることもある。このうち、p型バッファ層としては、一般的には、有機半導体の正孔輸送性材料が用いられている。
しかしながら、従来のペロブスカイト型太陽電池は、その光電変換効率が十分とは言えず、現在、ペロブスカイト型太陽電池の光電変換効率の熾烈な高効率化競争が国内外で展開されている状況にある。なかでも、光電変換効率の高効率化のためには、p型バッファ層として用いられる優れた有機半導体材料の開発がさらなる高効率化の鍵を握るといっても過言ではない。これまでに、いくつかの正孔輸送性材料の開発が報告されているが、ペロブスカイト型太陽電池として有用と言えるほどの光電変換効率を発揮することができる化合物はほとんど報告されていないのが現状である。現在は、一般に、色素増感型太陽電池用の正孔輸送材料として開発されたSpiro-OMeTADを正孔輸送材料として使用しているが、1gあたり8.8万円程度(Merck)と非常に高価である。また、PTAA(ポリ[ビス(4−フェニル)(2,4,6−トリメチルフェニル)アミン])とよばれるトリフェニルアミン骨格をもつポリマー材料もp型バッファ層用の正孔輸送材料として用いられているが、同様に1gあたり34.2万円程度(Aldrich)と非常に高価である。さらに、これらの材料をp型バッファ層用の正孔輸送材料として用いる場合、添加物としてLiTFSI塩(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)を用いる必要があり、これが素子の劣化の原因の一つになってしまうと考えられる(非特許文献3)。これらの現状から、他にp型バッファ層として優れた光電変換特性を示す材料が求められている。
Journal of the American Chemical Society, 2009, 131, 6050-6051. Science, 2012, 388, 643-647. Energy & Environmental Science 2014, 7, 2963-2967.
このような観点から、本発明は、ペロブスカイト型太陽電池のp型バッファ層として優れた光電変換特性を示すことができ、且つ安価に得られる化合物を提供することを目的とする。
上述のように、従来のSpiro-OMeTADは色素増感型太陽電池用の正孔輸送材料として開発された経緯がある。スピロ型構造により球状の形状をもつこの低分子材料は、等方的な正孔輸送特性を示すと期待され、多孔質なメソポーラスチタニア層(電子輸送層)の内部から正孔を取り出す目的では有効である。しかしながら、ペロブスカイト型太陽電池では、メソポーラスチタニア層(電子輸送層)を用いた場合でもセルの断面の走査型電子顕微鏡(SEM) 画像からも、ペロブスカイト層はメソポーラスチタニア層(電子輸送層)を完全に覆っていることが明らかになっている。つまり、ペロブスカイト型太陽電池のp型バッファ層に適用される正孔輸送材料としては、固体型の色素増感太陽電池の場合とは異なり、より平坦なペロブスカイト層の界面から金属電極までの膜厚方向(基板に垂直方向)により高い正孔輸送特性を示す材料が必要と考えられる。
高い電荷輸送特性の発現には、(1)分子間の分子の配向及び配列の制御と、(2)分子内の電子構造の制御とが重要である。本発明者らは、π共役分子の形に着目し、従来の平面型構造(ペンタセン等)、プロペラ型構造(α-NPD、TPD等)、及び直交型のスピロ型構造(Spiro-OMeTAD)と異なり、平面から少しねじれた準平面型の繰り返し単位を有するポリマー群を新たに設計及び開発した。
そのうえで、ペロブスカイト型太陽電池の高効率化のためには、(A)固体状態(塗布膜)での正孔輸送特性に加えて、(B)ペロブスカイト材料、金等の電極の価電子帯準位と正孔輸送材料の最高被占有軌道のエネルギー準位(HOMO)のマッチング、並びにペロブスカイト材料の伝導帯準位と正孔輸送材料の最低空軌道のエネルギー準位(LUMO)との差が重要であると考え、検討を行った。その結果、特定の準平面型の繰り返し単位を有するポリマーをp型バッファ層として用いた場合には、優れた光電変換特性を示すことを見出した。
本発明者らは、このような知見に基づき、さらに研究を重ね、本発明を完成した。すなわち、本発明は、以下の構成を包含する。
項1.一般式(1):
[式中、Y1は酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、又はケイ素原子を介して連結する連結基を示す。Y2は窒素原子又はリン原子を介して連結する連結基を示す。R1は同一又は異なって、置換基を示す。R2は同一又は異なって、置換又は無置換のアルキル基又は置換又は無置換のアルコキシ基を示す。Lは同一又は異なって、単結合又はπ共役基を示す。m1は同一又は異なって、0〜3の整数を示す。m2は0〜3の整数を示す。]
で表される繰り返し単位(1)、及び
一般式(2):
[式中、Y1、Y2、L及びm1は前記に同じである。R3は同一又は異なって、置換基を示す。m3は0〜2の整数を示す。点線は−Y1−(Y1は前記に同じ)で表される基又は結合が存在しないことを示す。]
で表される繰り返し単位(2)
よりなる群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有するポリマー。
項2.前記繰り返し単位(1)が、一般式(1A):
[式中、R1、R2、L、m1及びm2は前記に同じである。]
で表される繰り返し単位(1A)である、項1に記載のポリマー。
項3.前記繰り返し単位(2)が、一般式(2A):
[式中、R3、L、m1、m3及び点線は前記に同じである。]
で表される繰り返し単位(2A)である、項1又は2に記載のポリマー。
項4.前記Lが、単結合であるか、又は、2価の脂肪族不飽和炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、及び2価の複素環式基よりなる群から選ばれる少なくとも1種を組合せた基である、項1〜3のいずれかに記載のポリマー。
項5.前記Lが、一般式(3A)〜(3M):
[式中、R5及びR6は同一又は異なって、アルキル基を示す。R6はいずれのベンゼン環に結合していてもよい。R7は同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。Y3は−O−、−S−、−NR7−、−CR7 2−、−SiR7 2−、又は−GeR7 2−を示す。m4は0〜4の整数を示す。m5は0〜2の整数を示す。n1は1〜5の整数を示す。]
で表される少なくとも1種を組合せた基である、項1〜4のいずれかに記載のポリマー。
項6.前記Lが前記一般式(3C)又は(3E)で表される基である、項5に記載のポリマー。
項7.前記m1及びm3がいずれも0であり、前記m2が1である、項1〜6のいずれかに記載のポリマー。
項8.前記R2がアルキル基である、項1〜7のいずれかに記載のポリマー。
項9.最低空軌道のエネルギー準位(LUMO)が−3.60〜−2.00 eVである、項1〜8のいずれかに記載のポリマー。
項10.最高被占有軌道のエネルギー準位(HOMO)が−5.45〜−4.90 eVである、項1〜9のいずれかに記載のポリマー。
項11.項1〜10のいずれかに記載のポリマーからなる正孔輸送材料。
項12.項11に記載の正孔輸送材料を含有するp型バッファ層。
項13.項12に記載のp型バッファ層を備える光電変換素子。
項14.項13に記載の光電変換素子を備える、ペロブスカイト型太陽電池。
本発明によれば、特定の構造を有する準平面型の繰り返し単位を有するポリマー群をp型バッファ層として用いることで、優れた光電変換特性を示す光電変換素子(特にペロブスカイト型太陽電池)を得ることができる。なお、本発明のポリマーをp型バッファ層に使用した場合、LiTFSI等の添加剤を添加しなくても太陽電池として機能することができる。
試験例1のHOMO及びLUMOの結果を示す。 実施例11の太陽電池について、試験例2の結果を示す。 実施例12の太陽電池について、試験例2の結果を示す。 実施例13の太陽電池について、試験例2の結果を示す。 実施例14の太陽電池について、試験例2の結果を示す。 実施例15の太陽電池について、試験例2の結果を示す。 比較例1の太陽電池について、試験例2の結果を示す。
1.ポリマー
本発明のポリマーは、一般式(1):
[式中、Y1は酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、又はケイ素原子を介して連結する連結基を示す。Y2は窒素原子又はリン原子を介して連結する連結基を示す。R1は同一又は異なって、置換基を示す。R2は同一又は異なって、置換又は無置換のアルキル基又は置換又は無置換のアルコキシ基を示す。Lは同一又は異なって、単結合又はπ共役基を示す。m1は同一又は異なって、0〜3の整数を示す。m2は0〜3の整数を示す。]
で表される繰り返し単位(1)、及び
一般式(2):
[式中、Y1、Y2、L及びm1は前記に同じである。R3は同一又は異なって、置換基を示す。m3は0〜2の整数を示す。点線は−Y1−(Y1は前記に同じ)で表される基又は結合が存在しないことを示す。]
で表される繰り返し単位(2)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有する ポリマーである。このような繰り返し単位を有するポリマーを使用することで、π共役を二次元方向(繰り返し単位(1))又は三次元(繰り返し単位(2))に拡張し、これにより固体状態でのπ−スタッキングを構築しやすくすることができる。また、一般式(4):
[式中、Y、Y2、R1、R2、m1及びm2は前記に同じである。]
で表される骨格が準平面骨格であるため、上記繰り返し単位(1)及び(2)はいずれも準平面骨格の繰り返し単位である。このため、隣接する準平面構造を有する繰り返し単位の当該骨格同士が分子間相互作用を有することで、繰り返し単位(1)及び/又は繰り返し単位(2)を所望の方向に配列及び配向させることが可能となり、π−スタッキングを二次元的又は三次元的に拡張することが可能である。このため、分子間での正孔輸送に関する軌道の重なり積分(電子カップリング)が大きくなり、正孔移動特性の低下を低減することができる。また、分子内でπ共役を拡張させることで正孔輸送時の分子の最配列エネルギーも小さくすることができる。このようなポリマーを用いた光電変換素子(特に、ペロブスカイト型太陽電池)は、光電変換効率を向上させることができる。
なお、一般式(2)において、点線は−Y1−(Y1は前記に同じ)で表される基又は結合が存在しないことを示す。つまり、繰り返し単位(2)は、一般式(2-1):
[式中、Y1、Y2、R3、L、m1及びm3は前記に同じである]
で表される繰り返し単位(2-1)と、一般式(2-2):
[式中、Y1、Y2、R3、L、m1及びm3は前記に同じである]
で表される繰り返し単位(2-2)とを包含する。
一般式(1)、(2)及び(4)において、Y1は、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、又はケイ素原子を介して連結する連結基である。
このような連結基としては、例えば、
[式中、R7及びR8は同一又は異なって、水素原子又は置換基を示す。]
で表される基が挙げられる。
R7で示される置換基としては、例えば、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、置換又は無置換のアリール基等が挙げられる。R8で示される置換基としては、例えば、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のシクロアルキルオキシ基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のアリールオキシ基等が挙げられる。
R7及びR8で示されるアルキル基は、直鎖状及び分枝鎖状のいずれも採用でき、炭素数は1〜20が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜6がさらに好ましく、1〜3(つまり、メチル基、エチル基、n−プロピル基又はイソプロピル基)が特に好ましい。
R7及びR8で示されるシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数3〜10、特に4〜8のシクロアルキル基が挙げられる。
R7及びR8で示されるアリール基は、単環アリール基及び多環アリール基のいずれも採用できる。アリール基の炭素数は、6〜22が好ましく、6〜18がより好ましく、6〜14がさらに好ましく、6〜10(つまり、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等)が特に好ましい。
R8で示されるアルコキシ基は、直鎖状及び分枝鎖状のいずれも採用でき、炭素数は1〜20が好ましく、1〜12がより好ましく、1〜6がさらに好ましく、1〜3(つまり、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基又はイソプロポキシ基)が特に好ましい。
R8で示されるシクロアルキルオキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基等の炭素数3〜10、特に4〜8のシクロアルキルオキシ基が挙げられる。
R8で示されるアリールオキシ基は、単環アリールオキシ基及び多環アリールオキシ基のいずれも採用できる。アリールオキシ基の炭素数は、6〜22が好ましく、6〜18がより好ましく、6〜14がさらに好ましく、6〜10(つまり、フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基等)が特に好ましい。
上記アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基及びシクロアルキルオキシ基は、さらに置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。置換されている場合の置換基としては、例えば、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基等が挙げられ、その説明と好ましい範囲については上記アルコキシ基、上記シクロアルキルオキシ基、上記アリール基、及び上記アリールオキシ基と同様とすることができる。また、置換されている場合の置換基の数は特に制限されず、1〜3個が好ましい。
また、上記アリール基及びアリールオキシ基は、さらに置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。置換されている場合の置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基等が挙げられ、その説明と好ましい範囲については上記アルキル基、上記アルコキシ基、上記アリール基、及び上記アリールオキシ基の記載と同様とすることができる。また、置換されている場合の置換基の数は特に制限されず、1〜3個が好ましい。
これらのなかでも、Y1としては、準平面構造を有する繰り返し単位同士がよりπ−スタッキングのネットワークを構築しやすくするとともに、本発明のポリマーのHOMO及びLUMOをより適切に調整することで、得られる光電変換素子の光電変換効率をより向上させるとともにヒステリシスをより低減する観点から、酸素原子を介して連結する連結基(−O−で表わされる基)が好ましい。
また、2個のY1は、同一でもよいし、異なっていてもよい。なかでも、準平面構造を有する繰り返し単位同士がよりπ−スタッキングのネットワークを構築しやすくするとともに、本発明のポリマーのHOMO及びLUMOをより適切に調整することで、得られる光電変換素子の光電変換効率をより向上させるとともにヒステリシスをより低減する観点、合成の容易さの観点から、同一であることが好ましい。
一般式(1)、(2)及び(4)において、Y2は、窒素原子又はリン原子を介して連結する連結基である。このような連結基としては、例えば、
で表わされる基等が挙げられる。この場合、特に優れた正孔輸送特性を示すことができ、光電変換素子(特にペロブスカイト型太陽電池)の特性(光電変換効率等)もより向上する。特に、正孔輸送材料としてのπ軌道の拡張性及び電子構造の制御の観点から、Y2が窒素原子を介して連結する連結基である場合に顕著であり好ましい。
一般式(1)、(2)及び(4)において、R1及びR3は置換基である。このような置換基としては、例えば、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基、置換又は無置換のアルコキシ基、置換又は無置換のシクロアルキルオキシ基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のアリールオキシ基等が好ましい。ここでいうアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリール基及びアリールオキシ基の説明と好ましい範囲については、上記アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリール基及びアリールオキシ基の記載と同様とすることができる。また、ここでいうアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリール基及びアリールオキシ基が置換されている場合の置換基も、上記アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリール基及びアリールオキシ基における置換基の記載と同様とすることができる。
一般式(1)及び(4)において、R2はアルキル基又はアルコキシ基である。特に、一般的な有機溶媒に対する溶解性を向上させ、塗布型材料として使用できるようにして簡便にペロブスカイト型太陽電池用正孔輸送層を形成する観点から、R2は鎖の長い(炭素数の大きい)アルキル基又はアルコキシ基が好ましい。
このようなアルキル基としては、直鎖状及び分枝鎖状のいずれも採用でき、炭素数は1〜40が好ましく、2〜35がより好ましく、4〜30がさらに好ましく、8〜26が特に好ましい。なお、溶解性を高くしたい場合は炭素数を大きく、溶解性を低くしたい場合は炭素数を小さくすることが好ましい。このようなアルキル基としては、分岐鎖状アルキル基が好ましく、一般式(5A):
[式中、kは2〜15の整数を示す。]
で表される基の他、
[式中、R10は同一又は異なって、アルキレン基を示す。R11は同一又は異なって、アルキル基を示す。]
で表される基等がより好ましい。
一般式(5A)において、kは、有機溶媒への溶解性の観点から、4〜14が好ましく、6〜13がより好ましく、8〜12がさらに好ましい。一般式(5B)及び(5C)において、アルキレン基は、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基等の炭素数1〜6、好ましくは2〜4のアルキレン基が好ましい。また、一般式(5B)及び(5C)において、アルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等の炭素数1〜6、好ましくは1〜4のアルキル基が好ましい。
このような一般式(5A)〜(5C)で表されるアルキル基としては、例えば、
等が挙げられる。
また、R2で示されるアルコキシ基としては、直鎖状及び分枝鎖状のいずれも採用でき、炭素数は1〜40が好ましく、2〜35がより好ましく、4〜30がさらに好ましく、8〜26が特に好ましい。なかでも、分岐鎖状アルコキシ基が好ましい。
上記アルキル基及びアルコキシ基は、さらに置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。置換されている場合の置換基としては、例えば、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基等が挙げられ、その説明と好ましい範囲については上記アルコキシ基、上記シクロアルキルオキシ基、上記アリール基、及び上記アリールオキシ基と同様とすることができる。また、置換されている場合の置換基の数は特に制限されず、1〜3個が好ましい。
上記のなかでも、R1〜R3のうち、R2の少なくとも1つ(特に全て)を上記アルキル基又はアルコキシ基(特にアルキル基)とすれば、一般的な有機溶媒に対する溶解性を向上させ、塗布型材料として利用できるという効果を発現することができる。
R1が複数ある場合(m1が2又は3の場合)、複数のR1は同一でも異なっていてもよい。R2が複数ある場合(m2が2又は3の場合)、複数のR2は同一でも異なっていてもよい。R3が複数ある場合(m3が2の場合)、複数のR3は同一でも異なっていてもよい。また、R1〜R3は相互に同一でもよく異なっていてもよい。
一般式(1)、(2)及び(4)において、m1は置換基R1の個数を意味し、0〜3の整数である。m1を1〜3の整数、特に1又は2とすれば有機溶媒への溶解性を発現しながらも固体状態での分子間での密なパッキング構造を保持できるという効果を発現することができるが、合成の容易さの観点から0であってもよい。
一般式(1)及び(4)において、m2は置換基R2の個数を意味し、0〜3の整数である。m2を1〜3の整数、特に1又は2、さらには1とすれば有機溶媒への溶解性を発現しながらも固体状態での分子間での密なパッキング構造を保持できるという効果を発現することができる。
一般式(2)において、m3は置換基R3の個数を意味し、0〜2の整数である。m3を1又は2とすれば有機溶媒への溶解性を発現しながらも固体状態での分子間での密なパッキング構造を保持できるという効果を発現することができるが、合成の容易さの観点から0であってもよい。
一般式(1)及び(2)において、Lは単結合又はπ共役基である。
Lで示されるπ共役基としては、2価の脂肪族不飽和炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、及び2価の複素環式基よりなる群から選ばれる少なくとも1種を組合せた基が挙げられる。このようなπ共役基としては、例えば、一般式(3A)〜(3M):
[式中、R5及びR6は同一又は異なって、アルキル基を示す。R6はいずれのベンゼン環に結合していてもよい。R7は同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。Y3は−O−、−S−、−NR7−、−CR7 2−、−SiR7 2−、又は−GeR7 2−を示す。m4は0〜4の整数を示す。m5は0〜2の整数を示す。n1は1〜5の整数を示す。]
等が挙げられる。
具体的には、
[式中、R7は前記に同じである。]
等が挙げられる。
これらのなかでも、よりπ―スタッキングのネットワークを構築しやすくするとともに、本発明のポリマーのHOMO及びLUMOをより適切に調整することで、得られる光電変換素子の光電変換効率をより向上させるとともにヒステリシスをより低減する観点から、上記一般式(3C)又は(3E)で表される基を採用することが好ましい。
このなかでも、π共役基として、
等を採用した場合には、特にペロブスカイト型太陽電池の光電変換効率を向上させることができ、
[式中、R7は前記に同じである。]
等を採用した場合には、特にペロブスカイト型太陽電池のヒステリシスを低減することができる。
このような条件を満たす本発明のポリマーが有する繰り返し単位としては、よりπ―スタッキングのネットワークを構築しやすくするとともに、本発明のポリマーのHOMO及びLUMOをより適切に調整することで、得られる光電変換素子の光電変換効率をより向上させるとともにヒステリシスをより低減する観点から、一般式(1A):
[式中、R1、R2、L、m1及びm2は前記に同じである。]
で表される繰り返し単位(1A)、又は一般式(2A):
[式中、R3、L、m1、m3及び点線は前記に同じである。]
で表される繰り返し単位(2A)が好ましく、一般式(1A1):
[式中、R2及びLは前記に同じである。]
で表される繰り返し単位(1A1)、又は一般式(2A1):
[式中、L及び点線は前記に同じである。]
で表される繰り返し単位(2A1)がより好ましい。
このような条件を満たす本発明のポリマーにおいて、上記繰り返し単位の繰り返し数(重合度)は、よりπ―スタッキングのネットワークを構築しやすくするとともに、本発明のポリマーのHOMO及びLUMOをより適切に調整することで、得られる光電変換素子の光電変換効率をより向上させるとともにヒステリシスをより低減する観点から、5〜1500程度が好ましく、15〜300がより好ましい。本発明のポリマーの繰り返し単位は、GPCにより測定した数平均分子量から算出する。
このような条件を満たす本発明のポリマーの重量平均分子量(Mw)は、よりπ―スタッキングのネットワークを構築しやすくするとともに、本発明のポリマーのHOMO及びLUMOをより適切に調整することで、得られる光電変換素子の光電変換効率をより向上させるとともにヒステリシスをより低減する観点から、3000〜1000000程度が好ましく、10000〜200000がより好ましい。本発明のポリマーの繰り返し単位は、GPCにより測定する。
このような条件を満たす本発明のポリマーの数平均分子量(Mn)は、よりπ―スタッキングのネットワークを構築しやすくするとともに、本発明のポリマーのHOMO及びLUMOをより適切に調整することで、得られる光電変換素子の光電変換効率をより向上させるとともにヒステリシスをより低減する観点から、3000〜1000000程度が好ましく、10000〜200000がより好ましい。本発明のポリマーの繰り返し単位は、GPCにより測定する。
このような本発明のポリマーのHOMOは、隣接する金属電極(金等)側に正孔を輸送しやすくして光電変換効率をより向上させる観点から、隣接する光吸収層中のペロブスカイト材料(CH3NH3PbX3)の価電子帯準位より高く、隣接する金属電極(金等)の価電子帯準位より低いことが好ましい。なお、隣接する光吸収層中のペロブスカイト材料として一般に使用されるCH3NH3PbI3の価電子帯準位は−5.45 eV(実測値;真空準位)、隣接する金属電極として一般に使用される金の価電子帯準位は−4.89 eV(実測値;真空準位)である。このため、本発明のポリマーのHOMOは、−5.45〜−4.90 eVが好ましく、−5.40〜−4.95 eVがより好ましく、−5.35〜−5.00 eVがさらに好ましい。本発明のポリマーのHOMOは、トルエン溶液をITO基板上にスピンコートして作成した薄膜に対する、大気下光電子分光法(AC-3)により測定する。
また、このような本発明のポリマーのLUMOは、隣接する光吸収層中のペロブスカイト材料(CH3NH3PbX3)の価電子帯準位との差を一定範囲に保つことが好ましい。このため、本発明のポリマーのLUMOは、−3.60〜−2.00 eVが好ましく、−3.30〜−2.20 eVがより好ましく、−2.90〜−2.40 eVがさらに好ましい。本発明のポリマーのLUMOは、大気下光電子分光法により測定したHOMO準位と、トルエン溶液を石英基板上にスピンコートして作成した薄膜に対する紫外可視吸収スペクトル測定により見積もったバンドギャップから算出する。
このような条件を有する本発明のポリマーは、上記のような構成を備えていることから、光電変換素子(特にペロブスカイト型太陽電池)用の正孔輸送層に使用した場合、特に優れた光電変換効率を得ることができる。このため、本発明のポリマーは、光電変換素子(特にペロブスカイト型太陽電池)用の正孔輸送材料として特に有用である。
2.ポリマーの製造方法
本発明のポリマーの合成方法は特に制限されない。例えば、所望のジハロゲン体と所望のビススタニル体とを、パラジウム触媒の存在下で反応させること(右田・小杉・スティルカップリング)により得ることができるし、所望のジハロゲン体と所望のビスボレート体とを、パラジウム触媒の存在下で反応させること(鈴木・宮浦カップリング)により得ることもできる。また、L(π共役基)として三重結合を導入する場合は、所望のジハロゲン体とビスアルキニル体とを、パラジウム触媒、銅触媒及び塩基の存在下で反応させること(薗頭カップリング)により得ることもできる。
(2-1)基質
ジハロゲン体
基質として使用するジハロゲン体としては、上記繰り返し単位(1)又は(2)の構造を有するジハロゲン体を使用することができ、例えば、一般式(6):
[式中、Y1、Y2、R1、R2、m1及びm2は前記に同じである。X1は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。]
で表される化合物(6)を使用することができる。
一般式(6)において、X1で示されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
このジハロゲン体は、公知又は市販の化合物を使用することができる。
ビススタニル体
基質として使用するビススタニル体としては、上記繰り返し単位(1)又は(2)の構造を有するビススタニル体を使用することができ、例えば、一般式(7):
[式中、Y1、Y2、R1、R2、m1及びm2は前記に同じである。R8は同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。]
で表される化合物(7)を使用することができる。
一般式(7)において、R8で示されるアルキル基としては、上記したものを採用することができる。
また、L(π共役基)を導入する場合は、ジハロゲン体として上記化合物(6)を採用し、ビススタニル体としては、導入しようとするπ共役基を有するビススタニル体を使用することもできる。
このビススタニル体は、公知又は市販の化合物を使用することができる。または、上記ジハロゲン体を用いて常法でスタニル化することによって得ることもできる。
ビスボレート体
基質として使用するビスボレート体としては、上記繰り返し単位(1)又は(2)の構造を有するビスボレート体を使用することができ、例えば、一般式(8):
[式中、Y1、Y2、R1、R2、m1及びm2は前記に同じである。Y4は同一又は異なって、ボロン酸又はそのエステル基を示す。]
で表される化合物(8)を使用することができる。
一般式(8)において、Y4で示されるボロン酸又はそのエステル基としては、一般式(9):
[式中、R9は同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。2個のR9は互いに結合して、隣接する−O−B−O−とともに環を形成してもよい。]
で表される基が挙げられる。
一般式(9)において、R9で示されるアルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましい。また、R9は同一であっても異なっていてもよい。また、R9がアルキル基である場合には、それぞれのアルキル基を構成する炭素原子が、互いに結合してホウ素原子及び酸素原子とともに環を形成してもよい。
このようなボロン酸又はそのエステル基としては、具体的には、
等が挙げられる。
また、L(π共役基)を導入する場合は、ジハロゲン体として上記化合物(6)を採用し、ビススタニル体としては、導入しようとするπ共役基を有するビススタニル体を使用することもできる。
このビスボレート体は、公知又は市販の化合物を使用することができる。または、上記ジハロゲン体を用いて常法でボレート化することによって得ることもできる。
ビスアルキニル体
基質として使用するビスアルキニル体としては、上記繰り返し単位(1)又は(2)の構造を有するビスアルキニル体を使用することができ、例えば、一般式(10):
[式中、Y1、Y2、R1、R2、m1及びm2は前記に同じである。]
で表される化合物(10)を使用することができる。
このビスアルキニル体は、公知又は市販の化合物を使用することができる。または、上記ジハロゲン体を用いて常法でアルキニル化することによって得ることもできる。
(2-2)右田・小杉・スティルカップリング
本発明のポリマーは、上記ジハロゲン体と上記ビススタニル体とを、パラジウム触媒の存在下で反応させることにより得ることができる。
右田・小杉・スティルカップリングを採用する場合、ビススタニル体の添加量は、特に制限はなく、収率等の観点から、ジハロゲン体1モルに対して、0.1〜5.0モルが好ましく、0.2〜3.0モルがより好ましく、0.5〜1.5モルがさらに好ましい。
反応は、通常、パラジウム触媒の存在下で行われる。パラジウム触媒としては、金属パラジウムをはじめ、有機化合物(高分子化合物を含む)等の合成用触媒として公知のパラジウム化合物等が挙げられる。本発明においては、右田・小杉・スティルカップリング反応に通常使用されるパラジウム触媒を用いることができる。具体的には、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd(PPh3)4)、PdCl2、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(Pd(dppf)Cl2)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(Pd2(dba)3)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)(Pd(dba)2)、ビス(トリt−ブチルホスフィノ)パラジウム(0)等が挙げられる。これらのパラジウム触媒は、そのまま使用することもできるし、各種有機溶媒の溶媒和物として使用することもできる。本工程では、収率等の観点から、Pd2(dba)3又はその溶媒和物が好ましく、Pd2(dba)3・CHCl3がより好ましい。
パラジウム触媒の使用量は、収率の観点から、ジハロゲン体1モルに対して、通常、パラジウム換算で0.001〜1モルが好ましく、0.005〜0.1モルがより好ましい。
また、上記説明したパラジウム触媒には配位子が含まれているものもあるが、パラジウム触媒と別途、パラジウム原子に配位し得る配位子化合物を使用することもできる。この配位子化合物としては、ホスフィン配位子化合物が挙げられ、例えば、トリフェニルホスフィン(PPh3)、トリ−(o, m, p)−トリルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス[2−(ジフェニルホスフィノ)エチル]ホスフィン、ビス(2−メトキシフェニル)フェニルホスフィン、2−(ジ−t−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジフェニルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、トリ−t−ブチルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,6−ビス(ジフェニルホスフィノ)ヘキサン、1,2−ビス(ジメチルホスフィノ)エタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、ビス(2−ジフェニルホスフィノエチル)フェニルホスフィン、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’,6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル(S−Phos)、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’,4’,6’−トリ−イソプロピル−1,1’−ビフェニル(X−Phos)、ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル(DPEPhos)等が挙げられる。本工程では、収率等の観点から、トリ−(o, m, p)−トリルホスフィンが好ましく、トリ−o−トリルホスフィンがより好ましい。
配位子化合物を使用する場合、その使用量は、パラジウム触媒1モルに対して、0.2〜10モルが好ましく、0.5〜5モルがより好ましい。
反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、t-ブチルメチルエーテル等の鎖状エーテル;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等の環状エーテル;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトニトリル等のニトリル;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。これらのうち、本発明では、収率等の観点から、芳香族炭化水素及びハロゲン化炭化水素が好ましく、トルエン及びクロロベンゼンがより好ましい。
反応温度は、加温下、常温下及び冷却下のいずれも採用でき、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下(シュレンク内密閉系ででの環境を含む)である範囲(例えば80〜130℃)から選択され得る。また、反応時間は、反応が十分に進行する時間(例えば12〜48時間)とすることができる。
また、反応雰囲気は、例えば、不活性ガス雰囲気が好ましく、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等がより好ましい。なお、空気雰囲気とすることもできる。
反応後、必要に応じて常法にしたがって精製を行い、本発明のポリマーを得ることができる。
(2-3)鈴木・宮浦カップリング
本発明のポリマーは、上記ジハロゲン体と上記ビスボレート体とを、パラジウム触媒の存在下で反応させることにより得ることができる。
鈴木・宮浦カップリングを採用する場合、ビスボレート体の添加量は、特に制限はなく、収率等の観点から、ジハロゲン体1モルに対して、0.1〜5.0モルが好ましく、0.2〜3.0モルがより好ましく、0.5〜1.5モルがさらに好ましい。
反応は、通常、パラジウム触媒の存在下で行われる。パラジウム触媒としては、上記右田・小杉・スティルカップリングにて説明したものを使用することができる。本工程では、収率等の観点から、Pd2(dba)3又はその溶媒和物が好ましく、Pd2(dba)3・CHCl3がより好ましい。
パラジウム触媒の使用量は、収率の観点から、ジハロゲン体1モルに対して、通常、パラジウム換算で0.001〜1モルが好ましく、0.005〜0.1モルがより好ましい。
また、上記説明したパラジウム触媒には配位子が含まれているものもあるが、パラジウム触媒と別途、パラジウム原子に配位し得る配位子化合物を使用することもできる。この配位子化合物としては、上記右田・小杉・スティルカップリングにて説明したものを使用することができる。本工程では、収率等の観点から、トリ−(o, m, p)−トリルホスフィンが好ましく、トリ−o−トリルホスフィンがより好ましい。
配位子化合物を使用する場合、その使用量は、パラジウム触媒1モルに対して、0.2〜10モルが好ましく、0.5〜5モルがより好ましい。
また、上記パラジウム触媒に加えて、必要に応じて、塩基を使用することもできる。この塩基は、鈴木・宮浦カップリング反応において、ホウ素原子上にアート錯体を形成し得る化合物が好ましい。具体的には、フッ化カリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属ハロゲン化物;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の金属炭酸塩;リン酸カリウム等のアルカリ金属リン酸塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム等のアルカリ(土類)金属酢酸塩等が挙げられる。これらのうち、収率等の観点から、アルカリ金属リン酸塩が好ましく、リン酸カリウムがより好ましい。
塩基を使用する場合、その使用量は、ジハロゲン体に対して過剰量とすることが好ましく、具体的には、ジハロゲン体1モルに対して、通常、1〜20モル程度が好ましく、2〜10モルがより好ましい。
反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、上記右田・小杉・スティルカップリングにて説明したものを使用することができる。有機溶媒と水との混合溶媒を採用することもできる。これらのうち、本発明では、収率等の観点から、芳香族炭化水素、環状エーテル及び水が好ましく、トルエン、ジオキサン及び水がより好ましい。特に、トルエン、ジオキサン及び水の混合溶媒が好ましい。
反応温度は、加温下、常温下及び冷却下のいずれも採用でき、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下(シュレンク内密閉系ででの環境を含む)である範囲(例えば80〜130℃)から選択され得る。また、反応時間は、反応が十分に進行する時間(例えば24〜72時間)とすることができる。
また、反応雰囲気は、例えば、不活性ガス雰囲気が好ましく、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等がより好ましい。なお、空気雰囲気とすることもできる。
反応後、必要に応じて常法にしたがって精製を行い、本発明のポリマーを得ることができる。
(2-4)薗頭カップリング
本発明のポリマーは、上記ジハロゲン体と上記ビスアルキニル体とを、パラジウム触媒、銅触媒及び塩基の存在下で反応させることにより得ることができる。
薗頭カップリングを採用する場合、ビスアルキニル体の添加量は、特に制限はなく、収率等の観点から、ジハロゲン体1モルに対して、0.1〜5.0モルが好ましく、0.2〜3.0モルがより好ましく、0.5〜1.5モルがさらに好ましい。
反応は、通常、パラジウム触媒及び銅触媒の存在下で行われる。パラジウム触媒としては、上記右田・小杉・スティルカップリングにて説明したものを使用することができる。本工程では、収率等の観点から、Pd(PPh3)4が好ましい。
パラジウム触媒の使用量は、収率の観点から、ジハロゲン体1モルに対して、通常、0.001〜1モルが好ましく、0.005〜0.1モルがより好ましい。
銅触媒としては、ハロゲン化銅が好ましく、本工程では収率の観点からヨウ化銅がより好ましい。
銅触媒の使用量は、収率の観点から、ジハロゲン体1モルに対して、通常、0.002〜2モルが好ましく、0.01〜0.2モルがより好ましい。
塩基としては、例えば、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン等のアミン化合物が挙げられ、これらは溶媒としての役割も有する。
塩基の使用量は特に制限されず、上記の液体のアミン化合物を使用する場合は過剰量とすることが好ましい。
塩基として液体のアミン化合物を使用する場合は、反応溶媒を使用せずに反応を行うこともできるが、別途反応溶媒を使用することもできる。この反応溶媒としては、上記右田・小杉・スティルカップリングにて説明したものが挙げられる。
反応温度は、加温下、常温下及び冷却下のいずれも採用でき、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下(シュレンク内密閉系ででの環境を含む)である範囲(例えば40〜100℃)から選択され得る。また、反応時間は、反応が十分に進行する時間(例えば12〜48時間)とすることができる。
また、反応雰囲気は、例えば、不活性ガス雰囲気が好ましく、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等がより好ましい。なお、空気雰囲気とすることもできる。
反応後、必要に応じて常法にしたがって精製を行い、本発明のポリマーを得ることができる。
3.p型バッファ層
本発明のp型バッファ層は、上記した本発明のポリマーを含有する。
このp型バッファ層中には、本発明のポリマー以外にも、本発明のポリマーをカチオン化してHOMOを調整(HOMOを低減)しつつ、本発明のポリマーの正孔輸送特性をさらに向上させることを目的として、酸化剤が含まれていてもよいが、用いない方がより好ましい。
この酸化剤としては、本発明のHOMOを適切な範囲に調整しやすい化合物を採用することが好ましく、例えば、
[式中、TFSIはトリス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを示す。以下同様である。]
で表される化合物の他、LiTFSI、Ag(TFSI)2、AgTFS(TFSはリフルオロメタンスルホニル基を示す。以下同様である。)、NOSbF6、SbCl5、SbF5等も挙げられる。
酸化剤を使用する場合、p型バッファ層中の酸化剤の含有量は、本発明のポリマーをカチオン化してHOMOを調整(HOMOを低減)しつつ、本発明のポリマーの正孔輸送特性をさらに向上させることができる観点から、酸化剤を使用する場合、本発明のポリマー1モルに対して、0.1〜2.0モルが好ましく、0.2〜1.0モルがより好ましい。これら酸化剤は、デバイスの寿命(安定性)という観点から、用いない方がより好ましい。
本発明のp型バッファ層には、本発明のポリマー及び酸化剤以外にも、従来からp型バッファ層に含ませることができる添加剤(t−ブチルピリジン(TBP)等)を、本発明の効果を損なわない範囲で含めることができる。
p型バッファ層の厚みは、特に制限されず、得られる光電変換素子の光電変換効率をより向上させる観点から、10〜200 nm程度が好ましく、10〜100 nm程度がより好ましく、10〜50 nm程度がさらに好ましい。
p型バッファ層の形成方法は特に制限されない。例えば、光電変換素子用p型バッファ層形成用組成物を、対象基板又は膜(好ましくは、後述の光吸収層)に対して塗布及び乾燥することにより形成することが好ましい。この際使用される光電変換素子用p型バッファ層形成用組成物は、本発明のポリマー、必要に応じて上記酸化剤及び添加剤、並びに溶媒を含有する。
この際使用される溶媒は、本発明のポリマー、並びに必要に応じて上記酸化剤及び添加剤を溶解することができる限り特に制限はなく、例えば、イソプロパノール、トルエン、キシレン、メシチレン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、二硫化炭素、ナフタレン、ベンゼン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、酢酸エチル等が挙げられる。
塗布方法は特に制限されず、スピンコート、スクリーン印刷、ロールコート、ディップコート、スプレー、ナイフコート、バーコート、ダイコート、カーテンコート等が挙げられ、膜厚、成膜性等の観点から、スピンコートが好ましい。なお、スピンコートの条件は、所望の膜厚に応じて、適宜設定することができる。
乾燥の条件は特に制限はなく、余分な溶媒を除去できる程度とすればよい。例えば、25〜100℃が好ましく、30〜50℃がより好ましい。
4.光電変換素子(ペロブスカイト型太陽電池)
本発明の光電変換素子(特にペロブスカイト型太陽電池)は、本発明のポリマーを含有するp型バッファ層を備える。より詳細には、本発明の光電変換素子(特にペロブスカイト型太陽電池)は、透明電極、n型バッファ層、光吸収層(ペロブスカイト層)、本発明のp型バッファ層(正孔輸送層)、及び金属電極をこの順に備えることが好ましい。また、n型バッファ層とペロブスカイト層との間には、電子輸送層を備えることが好ましい。
(4-1)透明電極
透明電極は、光電変換に寄与する光を透過可能な透光性を有する必要があることから、透明な材料を使用する。また、透明電極は、後述の光吸収層の支持体であるとともに、光吸収層より電流を取り出す機能を有する部材であることから、導電性基板が好ましい。
このような観点から、透明電極としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)膜、フッ素ドープの二酸化錫(FTO)膜、不純物ドープの酸化亜鉛(ZnO)膜、不純物ドープの酸化インジウム(In2O3)膜、又はこれらを積層してなる積層膜等の透明導電性酸化物からなる透明導電層を備えていることが好ましい。
これら透明電極の厚みは特に制限されず、通常、抵抗が5〜15Ω/□となるように調整することが好ましい。
透明導電層は、成形する材料に応じて、公知の成膜方法を用いて得ることができる。当該透明導電層は、外部から保護するために、必要に応じて、透光性被覆体により覆うこともできる。
当該透光性被覆体としては、例えば、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリイミド等の樹脂シート;白板ガラス、ソーダガラス等の無機シート;又はこれらの素材を組合せてなるハイブリッドシート等が挙げられる。
これら透光性被覆体の厚みは特に制限されず、通常、抵抗が5〜15Ω/□となるように調整することが好ましい。
(4-2)n型バッファ層
本発明の光電変換素子(特にペロブスカイト型太陽電池)においては、前記透明電極の上に、n型バッファ層が形成されることが好ましい。このn型バッファ層は、平滑構造を有し、p型バッファ層中の本発明のポリマーが上記透明電極と接して短絡することをより防ぐ目的で形成されるものである。
n型バッファ層は、透光性の電子輸送材料を含む層(特に透光性の電子輸送材料からなる層)が好ましい。透光性の電子輸送材料としては、特に制限されず、例えば、酸化チタン(TiO2等)、酸化タングステン(WO2、WO3、W2O3等)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb2O5等)、酸化タンタル(Ta2O5等)、酸化イットリウム(Y2O3等)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3等)、フラーレン誘導体、カーボンナノチューブ等の1種又は2種以上を採用できる。半導体を使用する場合には、ドナーをドープすることもできる。これにより、電子輸送層からの電子のリークをより抑制することができる。透光性の電子輸送材料として酸化チタン(TiO2等)を採用する場合には、結晶形態はアナターゼ型が好ましい。
n型バッファ層の厚みは、特に制限されず、光吸収層(ペロブスカイト層)が上記透明電極と接して短絡することをより防ぐ観点から、5〜100 nm程度が好ましく、30〜50 nm程度がより好ましい。
n型バッファ層は、成形する材料に応じて、公知の成膜方法を用いて得ることができる。
(4-3)電子輸送層
本発明の光電変換素子(特にペロブスカイト型太陽電池)においては、前記n型バッファ層の上に、電子輸送層が形成されることが好ましい。
電子輸送層は、多孔質構造を有していることが好ましい。多孔質構造とは、特に制限されず、粒状体、線状体(線状体:針状、チューブ状、柱状等)等が集合して、全体として多孔質な性質を有していることが好ましい。また、細孔サイズはナノスケールであることが好ましい。多孔質構造を有することにより、ナノスケールであるため、光吸収層(ペロブスカイト層)の活性表面積を著しく増加させ、光電変換効率を向上させるとともに、電子収集に優れる電子輸送層とすることができる。
電子輸送層は、透光性の多孔質電子輸送材料を含む層(透光性の多孔質電子輸送材料からなる層)とすることが好ましい。透光性の多孔質電子輸送材料としては、特に制限されず、例えば、酸化チタン(TiO2等)、酸化タングステン(WO2、WO3、W2O3等)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニオブ(Nb2O5等)、酸化タンタル(Ta2O5等)、酸化イットリウム(Y2O3等)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3等)等の1種又は2種以上を採用できる。半導体を使用する場合には、ドナーをドープすることもできる。これにより、電子輸送層が、光吸収層(ペロブスカイト層)に光を導入するための窓層となり、且つ、光吸収層(ペロブスカイト層)から得られた電力をより効率よく取り出すことができる。
電子輸送層の厚みは、特に制限されず、光吸収層(ペロブスカイト層)からの電子をより収集できる観点から、50〜500 nm程度が好ましく、100〜250 nm程度がより好ましい。
電子輸送層は、成形する材料に応じて、公知の成膜方法を用いて得ることができる。
(4-4)光吸収層(ペロブスカイト層)
本発明の光電変換素子(特にペロブスカイト型太陽電池)においては、前記電子輸送層の上に、光吸収層(ペロブスカイト層)が形成されることが好ましい。
光吸収層は、特に制限されず、例えば、CH3NH3PbI3、C2H5NH3PbI3、CH3NH3PbBr3、C2H5NH3PbBr3、CH3NH3PbBr3、C2H5NH3PbCl3、CH3NH3PbCl3、C2H5NH3PbCl3、CsSnI3、CH3NH3SnI3、C2H5NH3SnI3、CsSnBr3、CH3NH3SnBr3、C2H5NH3SnBr3、CsSnCl3、CH3NH3SnCl3、C2H5NH3SnCl3等のペロブスカイト材料を含有する層を採用することができる。これらのペロブスカイト材料は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。
光吸収層(ペロブスカイト層)の厚みは、欠陥や剥離による性能劣化をより抑制する観点から、50〜1000 nmが好ましく、200〜500 nmがより好ましい。
光吸収層は、成形する材料に応じて、公知の成膜方法を用いて得ることができる。
(4-5)p型バッファ層
本発明において、p型バッファ層は、上記説明したように、本発明のポリマーを含有する層である。このp型バッファ層は、上記光吸収層(ペロブスカイト層)の上に形成されることが好ましい。つまり、上記光吸収層(ペロブスカイト層)の上に、スピンコート、スクリーン印刷、ロールコート、ディップコート、スプレー、ナイフコート、バーコート、ダイコート、カーテンコート等(好ましくはスピンコート)の方法によって形成されることが好ましい。
(4-6)金属電極
本発明の光電変換素子においては、前記p型バッファ層の上に、金属電極を備えることが好ましい。
金属電極を構成する材料としては、特に制限されず、例えば、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、タングステン、モリブデン、タンタル、チタン、ニオビウム等が好ましい。また、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、タングステン、モリブデン、タンタル、チタン、ニオビウム等の金属の合金等も好ましく用いられる。
金属電極の厚みは特に制限されず、例えば、50〜100 nm程度とすることが好ましい。
以下、実施例等を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、THFはテトラヒドロフラン、dbaはジベンジリデンアセトン、P(o-furyl)3はトリ−o−フリルホスフィン、P(o-tol)3はトリ−o−トリルホスフィン、PdCl2(PPh3)2はジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、TBAFはフッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム、Pd(PPh3)4はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、DMFはジメチルホルムアミドである。また、7-ブロモベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン、ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジンは既知の方法(若宮ら、Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 5800.)に従って合成した。1,4-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼン等を含む他の全ての試薬は、市販品を精製せずに使用した。
[合成例1〜6(AG-1〜AG-6)]
合成例1:7-(2-エチルヘキシル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン (AG-1) の合成
二口フラスコ中にマグネシウム(0.613 g, 25.5 mmol)を投入し、ヨウ素の結晶(0.062 g, 0.48 mmol)を加えた。1-ブロモ-2-エチルヘキサン(3.29 g, 17.0 mmol)の脱水THF溶液(10 mL)を滴下し、24 時間還流した。生成した Grignard 試薬をアルゴン下でキャニュラーを用いて、200 mLの二口フラスコに移した。そこに、7-ブロモベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(3.00 g, 8.52 mmol)及びジクロロ[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)(0.347 g, 0.426 mmol)の脱水THF溶液(30 mL)を滴下し、混合液を 45℃で48時間撹拌した。混合液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン、Rf = 0.50)で精製し、目的物である7-(2-エチルヘキシル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン( AG-1) を無色のオイルとして得た(43%, 1.55 g, 4.02 mmol)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ7.15-6.98 (m, 8H), 6.65 (s, 2H), 2.35 (m, 2H) 1.50 (m, 1H), 1.20-1.35 (m, 8H), 0.85 (t, 3J(H, H) = 7.5 Hz, 6H); HRMS (APCI-positive) (m/z): [M]+ calcd. for C26H27NO2, 385.2042; found, 385.25。
合成例2:7-(2-デシルテトラデシル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン (AG-2) の合成
二口フラスコ中にマグネシウム(0.511 g, 21.3 mmol)を投入し、ヨウ素の結晶(0.080 g, 0.62 mmol)を加えた。1-ブロモ-2-デシルテトラデカン(7.11 g, 17.0 mmol)の脱水THF溶液(12 mL)を滴下し、24時間還流した。生成したGrignard試薬をアルゴン下でキャニュラーを用いて、200 mLの二口フラスコに移した。そこに、7-ブロモベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(3.01 g, 8.55 mmol)及びジクロロ[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)(0.347 g, 0.426 mmol)の脱水THF溶液(30 mL)を滴下し、混合液を 45℃で48時間撹拌した。混合液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン、Rf = 0.60)で精製し、目的物である7-(2-デシルテトラデシル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(AG-2)を無色のオイルとして得た(58%, 3.01 g, 4.94 mmol)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ7.14-6.99 (m, 8H), 6.65 (s, 2H), 2.36 (m, 2H), 1.51-1.41 (m, 1H), 1.15-1.32 (m, 40H), 0.85 (t, 3J(H, H) = 7.5 Hz, 6H); HRMS (APCI-positive) (m/z): [M]+ calcd. for C42H59NO2, 609.4546; found, 609.49。
合成例3:3,11-ジブロモ-7-(2-エチルヘキシル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(AG-3)の合成
合成例1で得たAG-1(1.50 g, 3.89 mmol)をジクロロメタン(50 mL)中に溶解させた。その溶液にN-ブロモスクシンイミド(NBS; 1.46 g, 8.18 mmol)を投入し、暗所、室温で18時間撹拌した。混合液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン、Rf = 0.51)で精製し、目的物である3,11-ジブロモ-7-(2-エチルヘキシル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(AG-3)を無色のオイルとして得た(95%, 2.01 g, 3.70 mmol)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ7.16-6.95 (m, 6H), 6.311 (s, 2H), 2.34 (t, 2H) 1.51-1.41 (m, 1H), 1.31-1.15 (m, 8H), 0.83 (t, 3J(H, H) = 7.5 Hz, 6H); HRMS (APCI-positive) (m/z): [M]+ calcd. for C26H25Br2NO2, 543.0232; found, 543.10。
合成例4:3,11-ジブロモ-7-(2-デシルテトラデシル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(AG-4)の合成
合成例2で得たAG-2(6.11 g, 10.0 mmol)をジクロロメタン(50 mL)中に溶解させた。その溶液にN-ブロモスクシンイミド(NBS; 3.92 g, 22.0 mmol)を投入し、暗所、室温で18時間撹拌した。混合液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン、Rf = 0.55)で精製し、目的物である 3,11-ジブロモ-7-(2-デシルテトラデシル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(AG-4)を無色のオイルとして得た(89%, 6.82 g, 8.88 mmol)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ7.15-7.03 (m, 6H), 6.30 (s, 2H), 2.35 (m, 2H) 1.50 (m, 1H), 1.32-1.15 (m, 40H), 0.85 (t, 3J(H, H) = 7.5 Hz, 6H); HRMS (APCI-positive) (m/z): [M]+ calcd. for C42H57Br2NO2, 765.2756; found, 767.29。
合成例5:7-(2-エチルヘキシル)-3,11-ビス(トリメチルスタニル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(AG-5)の合成
合成例3で得たAG-3(0.350 g, 0.644 mmol)を脱水THF(20 mL)中に溶解させ、−78℃に冷却した。n−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(1.58 M, 1.22 mL, 1.93 mmol)を滴下し、60分撹拌した。塩化トリメチルスズ(0.384 g, 1.93 mmol)のTHF溶液(2 mL)をゆっくり加え、さらに30分撹拌した。溶液を室温まで昇温し、14時間撹拌した。ジクロロメタンを用いて、溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をゲル排除クロマトグラフィー(トルエン)で精製し、目的物である7-(2-エチルヘキシル)-3,11-ビス(トリメチルスタニル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(AG-5)を無色のオイルとして得た(53%, 0.245 g, 0.345 mmol)。
1H NMR (500 MHz, CD2Cl2): δ 7.31-7.30 (m, 2H), 7.03-7.00 (m, 4H), 6.48-6.46 (d, 2H), 2.58(d, 2H), 1.60-1.50 (m, 1H), 1.50-1.20 (m, 8H), 0.90-0.85 (m, 6H), 0.28 (s, 18H); HRMS (APCI-positive) (m/z): [M]+calcd. for C32H43NO2Sn2, 711.1332; found, 711.15。
合成例6:7-(2-デシルテトラデシル)-3,11-ビス(トリメチルスタニル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(AG-6)の合成
合成例4で得たAG-4(1.00 g, 1.30 mmol)を脱水THF(25 mL)中に溶解させ、−78℃に冷却した。n−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(1.58 M, 1.73 mL, 2.74 mmol)を滴下し、60分撹拌した。塩化トリメチルスズ(0.649 g, 3.26 mmol)のTHF溶液(2 mL)をゆっくり加え、さらに30分撹拌した。溶液を室温まで昇温し、14時間撹拌した。ジクロロメタンを用いて、溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をゲル排除クロマトグラフィー(トルエン)で精製し、目的物である7-(2-デシルテトラデシル)-3,11-ビス(トリメチルスタニル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(AG-6)を無色のオイルとして得た(29%, 0.350 g, 0.374 mmol)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 7.30-7.29 (m, 2H), 7.02-6.95 (m, 4H), 6.46-6.45 (d, 2H), 2.59 (d, 2H), 1.60-1.50 (m, 1H), 1.49-1.21 (m, 40H), 0.91-0.85 (m, 6H), 0.28 (s, 18H); HRMS (APCI-positive) (m/z): [M]+calcd. for C48H75NO2Sn2, 935.3836; found, 935.40。
[合成例7及び8(AG-7及びAG-8)]
合成例7:3,11-ジブロモベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(AG-7)の合成
ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(12.0 g, 43.9 mmol)をジクロロメタン(200 mL)中に溶解させた。その溶液にN-ブロモスクシンイミド(NBS; 16.4 g, 92.3 mmol)を約2 gずつ投入し、暗所、室温で25時間撹拌した。混合液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン : CH2Cl2 = 3 : 1、Rf = 0.45)で精製し、目的物である3,11-ジブロモベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(AG-7)を白色の固体として得た(78%, 14.8 g, 34.3 mmol)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 7.2-6.99 (m, 6H), 6.70 (t, 1H), 6.48-6.46 (d, 2H); HRMS (APCI-positive) (m/z): [M]+ calcd. for C18H9Br2NO2, 430.8980; found, 430.96。
合成例8:3,11-ビス(トリメチルスタニル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(AG-8)の合成
合成例7で得たAG-7(0.810 g, 1.88 mmol)を脱水THF(30 mL)に溶解させ、−78℃に冷却した。n−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(1.58 M, 3.56 mL, 5.64 mmol)を滴下し、60分撹拌した。塩化トリメチルスズ(1.12 g, 5.64 mmol)のTHF溶液(2 mL)をゆっくり加え、さらに30分撹拌した。溶液を室温まで昇温し、14時間撹拌した。ジクロロメタンを用いて、溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をゲル排除クロマトグラフィー(トルエン)で精製し、目的物である3,11-ビス(トリメチルスタニル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(AG-8)を無色のオイルとして得た(65%, 0.736 g, 1.23 mmol)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 7.31-7.29 (m, 2H), 7.03-7.00 (m, 4H), 6.72 (t, 1H), 6.49-6.46 (d, 2H); HRMS (APCI-positive) (m/z): [M]+calcd. for C24H27NO2Sn2, 599.0080; found, 599.06。
[実施例1(P1)、実施例2(P2)、実施例3(P3)、実施例4(P4)及び実施例5(P5)]
実施例1〜5に共通する操作
後述のトリアリールアミン骨格のジブロモ体(1.00当量)、後述のビススタニル体(1.00当量)、Pd2(dba)3・CHCl3(1 mol% of Pd)及び後述のホスフィン配位子(3 mol%)を10 mLのシュレンク管に投入し、後述の有機溶媒(トルエン又はクロロベンゼン)を溶媒として添加した。この混合液を窒素バブリングにより30分間脱気した後、110℃で24時間撹拌した。溶液を室温まで冷却した後、13 M塩酸(1 mL)を加えたメタノール(100 mL)に注ぎ、2時間撹拌した。沈殿をろ過し、得られた固体をソックスレーに投入した。メタノール、アセトン及びヘキサンでそれぞれ24時間洗浄した。残った固体をクロロベンゼンにより回収し、メタノールで再沈殿を行い、ろ過し、減圧下で乾燥した。
実施例1(P1)
トリアリールアミン骨格のジブロモ体:合成例4で得たAG-4(50 mg, 0.0652 mmol)
ビススタニル体:合成例6で得たAG-6(67 mg, 0.0717 mmol)
Pd2(dba)3・CHCl3(1.345 mg, 0.0013 mmol)
ホスフィン配位子:P(o-furyl)3(1.67 mg, 0.0072 mmol)
有機溶媒:クロロベンゼン(2 mL)。
GPC Mw = 3.19 kg/mol, Mn = 3.99 kg/mol, PDI = 1.25. 1H NMR (500 MHz, CDCl3): 7.16-6.97 (br, 4H), 6.36-6.25 (br, 4H), 2.35 (br, 2H), 1.65-1.05 (br, 41H, -CH, -CH2), 0.91-0.75 (br, 6H, -CH3)。
実施例2(P2)
トリアリールアミン骨格のジブロモ体:合成例3で得たAG-3(100 mg, 0.184 mmol)
ビススタニル体:合成例8で得たAG-8(110 mg, 0.184 mmol)
Pd2(dba)3・CHCl3(1.9 mg, 0.00184 mmol)
ホスフィン配位子:P(o-tol)3(2.24 mg, 0.00736 mmol)
有機溶媒:トルエン(2 mL)。
GPC Mw = 4.9 kg/mol, Mn = 3.4 kg/mol, PDI = 1.44. 1H NMR (500 MHz, CDCl3): 7.17-6.96 (br, 4H), 6.34-6.21 (br, 5H), 2.35 (br, 2H), 1.66-1.05 (br, 17H, -CH, -CH2), 0.91-0.75 (br, 6H, -CH3)。
実施例3(P3)
トリアリールアミン骨格のジブロモ体:合成例4で得たAG-4(150 mg, 0.195 mmol)
ビススタニル体:合成例8で得たAG-8(117 mg, 0.195 mmol)
Pd2(dba)3・CHCl3(2 mg, 0.00193 mmol)
ホスフィン配位子:P(o-tol)3(2.4 mg, 0.00788 mmol)
有機溶媒:トルエン(2 mL)。
GPC Mw = 4.5 kg/mol, Mn = 3.0 kg/mol, PDI = 1.50. 1H NMR (500 MHz, CDCl3): 7.15-6.91 (br, 4H), 6.31-6.20 (br, 5H), 2.40-2.31 (br, 2H), 1.66-1.05 (br, 49H, -CH, -CH2), 0.99-0.85 (br, 6H, -CH3)。
実施例4(P4)
トリアリールアミン骨格のジブロモ体:合成例3で得たAG-3(100 mg, 0.184 mmol)
ビススタニル体:5,5'-ビス(トリメチルスタニル)-2,2'-ビチオフェン(90 mg, 0.184 mmol)
Pd2(dba)3・CHCl3(1.9 mg, 0.00184 mmol)
ホスフィン配位子:P(o-tol)3(2.24 mg, 0.00736 mmol)
有機溶媒:トルエン(2 mL)。
GPC Mw = 4.3 kg/mol, Mn = 3.4 kg/mol, PDI = 1.26. 1H NMR (500 MHz, CDCl3): 7.21-7.01 (br, 4H), 6.61-6.45 (br, 4H), 6.35-6.25 (br, 4H), 2.40-2.30 (br, 2H), 1.55-1.05 (br, 9H, -CH, -CH2), 0.96-0.75 (br, 6H, -CH3)。
実施例5(P5)
トリアリールアミン骨格のジブロモ体:合成例4で得たAG-4(150 mg, 0.195 mmol)
ビススタニル体:5,5'-ビス(トリメチルスタニル)-2,2'-ビチオフェン(96 mg, 0.195 mmol)
Pd2(dba)3・CHCl3(2 mg, 0.00195 mmol)
ホスフィン配位子:P(o-tol)3(2.4 mg, 0.0078 mmol)
有機溶媒:トルエン(2 mL)。
GPC Mw = 10.2 kg/mol, Mn = 7.6 kg/mol, PDI = 1.34. 1H NMR (500 MHz, CDCl3): 7.22-7.09 (br, 4H), 6.62-6.46 (br, 4H), 6.36-6.24 (br, 4H), 2.39-2.31 (br, 2H), 1.56-1.04 (br, 41H, -CH, -CH2), 0.96-0.75 (br, 6H, -CH3)。
[合成例9(AG-9)]
7-(2-デシルテトラデシル)-3,11-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(AG-9)の合成
合成例4で得たAG-4(2.003 g, 2.61 mmol)を脱水THF(50 mL)中に溶解させ、−78℃に冷却した。n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(2.44 M, 2.35 mL, 5.74 mmol)を滴下し、60分撹拌した。イソプロピルピナコールボレート(0.88 g, 4.73 mmol)を加え、溶液を室温まで昇温し、終夜で撹拌した。溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液で中和し、酢酸エチル(100 mL)で3回抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥した後、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗生成物をジクロロメタンに溶解し、シリカゲルショートカラムクロマトグラフィーを行った後、ゲル排除クロマトグラフィー(トルエン)で精製し、目的物である7-(2-デシルテトラデシル)-3,11-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(AG-9)を無色のペースト状固体として得た(40 %, 890 mg, 1.03 mmol)。
1H NMR (500 MHz, C6D6): δ 7.72 (s, 2H), 7.53 (d, 4H), 6.30 (s, 2H), 2.19 (d, 2H), 1.52-1.41 (m, 1H), 1.32-1.20 (m, 40H), 0.90-0.85 (t, 6H); HRMS (APCI-positive) (m/z): [M]+ calcd. for C18H9Br2NO2, 861.6250; found, 861.68。
[実施例6(P6)、実施例7(P7)及び実施例8(P8)]
実施例6〜8に共通する操作
合成例4で得たAG-4(1.00当量)、後述のビスピナコールボレート体(1.00当量)及びK3PO4(4当量)を10 mLのシュレンク管に投入し、脱気したトルエン/1,4-ジオキサン/水(2:1:1)、メチルトリ−n−オクチルアンモニウムクロリド(Aliquat 336; 数滴)、Pd2(dba)3・CHCl3(1 mol% of Pd)及びP(o-tol)3(3 mol%)を添加した。この混合液を窒素バブリングにより30分間脱気した後、110℃で48時間撹拌した。溶液を室温まで冷却した後、メタノールに注いだ。生成した沈殿をろ過し、1 M塩酸、飽和重曹水、水及びアセトンで洗浄した。固体をクロロホルムに溶解して回収し、トルエンを展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、ポリマーを黄色固体として得た。得られたポリマーをソックスレーに投入し、メタノール及びアセトンでそれぞれ24時間洗浄した。残った固体を熱ヘキサンで回収した後、クロロホルムに溶解した。メタノールで再沈殿を行い、ろ過し、減圧下で乾燥した。
実施例6(P6)
合成例4で得たAG-4(723 mg, 0.942 mmol)
ビスピナコールボレート体:合成例9で得たAG-9(812 mg, 0.942 mmol)
Pd2(dba)3・CHCl3(9.75 mg, 0.00942 mmol)
P(o-tol)3(17.2 mg, 0.0565 mmol)
K3PO4(1.60 g, 7.53 mmol)
トルエン(6 mL)、1,4-ジオキサン(3 mL)、水(3mL)。
GPC Mw = 7.0 kg/mol, Mn = 4.6 kg/mol, PDI = 1.52. 1H NMR (500 MHz, CDCl3): 7.15-7.01 (br, 4H), 6.39-6.25 (br, 4H), 2.37-2.25 (br, 2H), 1.61-1.05 (br, 41H, -CH, -CH2), 0.94-0.75 (br, 6H, -CH3)。
実施例7(P7)
合成例4で得たAG-4(200 mg, 0.260 mmol)
ビスピナコールボレート体:1,4-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼン(86 mg, 0.260 mmol)
Pd2(dba)3・CHCl3(2.7 mg, 0.00261 mmol)
P(o-tol)3(4.6 mg, 0.0158 mmol)
K3PO4(221 mg, 1.04 mmol)
トルエン(2 mL)、1,4-ジオキサン(1 mL)、水(1 mL)。
GPC Mw = 16.9 kg/mol, Mn = 8.3 kg/mol, PDI = 2.03. 1H NMR (500 MHz, CDCl3): 7.16-7.00 (br, 4H), 6.42-6.25 (br, 8H), 2.37-2.25 (br, 2H), 1.50-1.05 (br, 41H, -CH, -CH2), 0.94-0.75 (br, 6H, -CH3)。
実施例8(P8)
合成例4で得たAG-4(200 mg, 0.260 mmol)
ビスピナコールボレート体:1,3-ビス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼン(86 mg, 0.260 mmol)
Pd2(dba)3・CHCl3(2.7 mg, 0.00261 mmol)
P(o-tol)3(4.8 mg, 0.0158 mmol)
K3PO4(221 mg, 1.04 mmol)
トルエン(2 mL)、1,4-ジオキサン(1 mL)、水(1 mL)。
GPC Mw = 10.3 kg/mol, Mn = 6.3 kg/mol, PDI = 1.63. 1H NMR (500 MHz, CDCl3): 7.19-7.00 (br, 4H), 6.45-6.21 (br, 8H), 2.30-2.0 (br, 2H), 1.60-1.05 (br, 41H, -CH, -CH2), 0.95-0.76 (br, 6H, -CH3)。
[合成例10(maru-1)、合成例11(maru-2)、合成例12(maru-3)及び合成例13(maru-4)]
合成例10:7-(2-オクチルドデシル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(maru-1)の合成
アルゴンを封入した二口フラスコ中にマグネシウム(1.70 g, 70.0 mmol)を投入し、脱水THF(4.0 mL)を加えた。1-ブロモ-2-オクチルドデカン(24.4 g, 67.5 mmol)の脱水THF溶液(80 mL)を滴下し、75℃で4時間撹拌した。500 mLの二口フラスコに7-ブロモベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(6.07 g, 17.2 mmol)及びジクロロ[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)(PdCl2dppf・CH2Cl2; 0.282 g, 0.345 mmol)を投入し、アルゴン置換した後、脱水THF(100 mL)を添加した。生成したGrignard試薬をシリンジで加え、75℃で15時間撹拌した。混合液を水(100 mL)に注ぎ入れ、ジクロロメタン(100 mL)で3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥、ろ過した後、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン、Rf = 0.28)で精製し、目的物である7-(2-オクチルドデシル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(maru-1)を無色のオイルとして得た(84%, 8.05 g, 14.5 mmol)。
1H NMR (500 MHz, CD2Cl2): δ7.34 (d, 3J(H,H) = 8.0 Hz, 2H), 6.98-6.92 (m, 2H), 6.89 (d, 4J(H,H) = 3.5 Hz, 4H), 6.32 (s, 2H), 2.36 (d, 3J(H,H) = 7.0 Hz, 2H), 1.35-1.10 (m, 33H), 0.91-0.80 (m, 6H)。
合成例11:3,11-ジブロモ-7-(2-オクチルドデシル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(maru-2)の合成
合成例10で得たmaru-1(8.05 g, 14.5 mmol)をジクロロメタン(320 mL)中に溶解させた。その溶液にN-ブロモスクシンイミド(NBS; 5.68 g, 31.9 mmol) を投入し、暗所、室温で21時間撹拌した。混合液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン、Rf = 0.70)で精製し、目的物である3,11-ジブロモ-7-(2-オクチルドデシル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(maru-2)を黄色のオイルとして得た(96%, 9.88 g, 13.9 mmol)。
1H NMR (500 MHz, C6D6): δ 6.94 (d, 4J(H,H) = 2.0 Hz, 2H), 6.70 (dd, 3J(H,H) = 8.5 Hz, 4J(H,H) = 2.0 Hz, 2H), 6.47 (d, 3J(H,H) = 8.5 Hz, 2H), 6.34 (s, 2H), 2.28 (d, 3J(H,H) = 7.5 Hz, 2H), 1.37-1.24 (m, 33H), 0.93-0.86 (m, 6H); 13C NMR (125 MHz, C6D6: δ 147.7, 144.8, 139.0, 128.3, 126.5, 120.9, 117.7, 115.5, 114.9, 112.3, 40.3, 39.8, 33.5, 32.3, 31.9, 30.5, 30.15, 30.12, 30.08, 29.82, 29.79, 27.0, 23.1, 23.0, 14.4; HRMS (APCI-positive) (m/z): [M]+ calcd. for C38H49Br2NO2, 711.2110; found, 711.2440。
合成例12:3,11-ビス((トリイソプロピルシリル)エチニル)-7-(2-オクチルドデシル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(maru-3)の合成
合成例11で得たmaru-2(5.72 g, 8.04 mmol)をジイソプロピルアミン(iPr2NH; 130 mL)に溶解させ、アルゴンバブリングにより1時間脱気した。CuI(308 mg, 1.62 mmol)、PdCl2(PPh3)2(1.13 g, 1.61 mmol)及びトリイソプロピルシリルアセチレン(3.52 g, 19.3 mmol)を投入し、110℃で17時間撹拌した。混合液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン、Rf = 0.40)で精製し、目的物である3,11-ビス((トリイソプロピルシリル)エチニル)-7-(2-オクチルドデシル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(maru-3)を黄色のオイルとして得た(92%, 6.75 g, 7.38 mmol)。
1H NMR (500 MHz, CD2Cl2): δ7.22 (d, 3J(H,H) = 8.5 Hz, 2H), 7.07 (dd, 3J(H,H) = 8.5 Hz, 4J(H,H) = 2.0 Hz, 2H), 6.99 (d, 4J(H,H) = 2.0 Hz, 2H), 6.34 (s, 2H), 2.36 (d, 3J(H,H) = 7.0 Hz, 2H), 1.28-1.20 (m, 33H), 1.13 (s, 42H), 0.87 (t, 3J(H,H) = 6.5 Hz, 6H); HRMS (APCI-positive) (m/z): [M-H]+ calcd. for C60H91NO2Si2, 912.6510; found, 912.6940。
合成例13:3,11-ジエチニル-7-(2-オクチルドデシル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(maru-4)の合成
合成例12で得たmaru-3(6.75 g, 7.38 mmol)を脱水THF(110 mL)に溶解させ、−78℃ に冷却した。TBAFのTHF溶液(1 M, 15.5 mmol, 15.5 mL)を添加し、室温まで昇温した後、16時間撹拌した。混合液を、ジクロロメタンを展開溶媒に用いて、シリカゲルショートカラムクロマトグラフィーを行った後、濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン、Rf = 0.10)で精製し、目的物である3,11-ジエチニル-7-(2-オクチルドデシル)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(maru-4)を茶色のオイルとして得た(97%, 4.32 g, 7.18 mmol)。
1H NMR (500 MHz, CD2Cl2): δ 7.25 (d, 3J(H,H) = 9.0 Hz, 2H), 7.10 (dd, 3J(H,H) =9.0 Hz, 4J(H,H) = 2.0 Hz, 2H), 7.00 (d, 4J(H,H) = 2.0 Hz, 2H), 6.35 (s, 2H), 3.12 (s, 2H), 2.37 (d, 3J(H,H) = 7.5 Hz, 2H), 1.32-1.15 (m, 33H), 0.90-0.85 (m, 6H); HRMS (APCI-positive) (m/z): [M]+ calcd. for C42H51NO2, 601.3920; found, 601.4208。
[実施例9(maru-P1)]
maru-P1の合成
トルエン(150 mL)及びジイソプロピルアミン((i-Pr)2NH; 15 mL)を混合し、アルゴンバブリングにより脱気した。合成例13で得たmaru-4(0.903 g, 1.50 mmol)を混合溶媒に溶解し、合成例11で得たmaru-2(1.07 g, 1.50 mmol)に添加した。混合液にCuI(5.3 mg, 0.06 mmol)及びPd(PPh3)4(34.7 mg, 0.03 mmol)を加え、60℃で28時間撹拌した。クロロベンゼンを用いて、溶液をセライトろ過した。ろ液を純水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過した後、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をクロロベンゼンに溶解し、メタノール(700 mL)に注ぎ入れた。沈殿をろ過し、得られた固体をソックスレーに投入した。メタノール、アセトン及びヘキサンでそれぞれ24時間洗浄した後、ジクロロメタンで抽出した。抽出物をそれぞれメタノールで再沈殿を行い、ろ過し、減圧下で乾燥した。得られた固体をトルエンで溶解し、ゲル排除クロマトグラフィー(トルエン)で精製した。
GPC Mw = 25.0 kg/mol, Mn = 15.0kg/mol, PDI = 1.63, 1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ7.20-6.63 (br, 4H), 6.44-5.95 (br, 4H), 2.43-2.23 (br, 2H), 1.63-1.44 (br, 1H), 1.37-1.05 (br, 34H), 0.93-0.77 (br, 6H)。
[合成例14(maru-5)及び合成例15(maru-6)]
合成例14:7-(メトキシ)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(maru-5)の合成
7-ブロモベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(352 mg, 1.00 mmol)を DMF(40 mL)及びメタノール(16 mL)に溶解した。混合液にナトリウムメトキシド(270 mg, 5.0 mmol)を加え、120 ℃で30分撹拌した。臭化銅(I)(14.3 mg, 0.10 mmol)を添加し、さらに 48 時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却した後、水を加え、ジクロロメタン(50 mL)で3回抽出した。有機層を Na2SO4で乾燥し、ろ過した後、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン : CH2Cl2 = 5 : 1、Rf = 0.16)で精製し、目的物である7-(メトキシ)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(maru-5)を白色の固体として得た(36%, 109 mg, 0.36 mmol)。
1H NMR (500 MHz, C6D6): δ 7.06-7.04 (m, 2H), 6.84-6.82 (m, 2H), 6.63-6.61 (m, 4H), 6.15 (s, 2H); HRMS (APCI-positive) (m/z): [M+H]+ calcd. for C19H14NO3, 304.0974; found, 304.2650。
合成例15:3,11-ジブロモ-7-(メトキシ)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(maru-6)の合成
合成例14で得たmaru-5(15.0 mg, 0.05 mmol)をジクロロメタン(4 mL)中に溶解させた。その溶液にN-ブロモスクシンイミド(19.4 mg, 0.11 mmol)を投入し、暗所、室温で3時間撹拌した。混合液を減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン : 酢酸エチル = 5 : 1、Rf = 0.64)で精製し、目的物である3,11-ジブロモ-7-(メトキシ)ベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(maru-6)を(66%, 15.1 mg, 0.03 mmol)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 7.19 (s, 2H), 7.11-7.10 (d, 2H), 7.04-7.05 (d, 2H), 6.19 (s, 2H), 3.82 (s, 3H); MS (DI) (m/z): [M]+calcd. for C19H11Br2NO3, 461; found, 461。
合成例16:3,7,11-トリブロモベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(HN-1)の合成
7-ブロモベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(352 mg, 1.00 mmol)をクロロホルム(25 mL)及び酢酸(25 mL)中に溶解させた。その溶液にN-ブロモスクシンイミド(NBS; 386 mg, 2.17 mmol)を投入し、暗所、室温で3時間撹拌した。混合液を飽和重曹水で中和した後、クロロホルム(50 mL)で3回抽出した。有機層を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥、ろ過した後、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルショートカラムクロマトグラフィー (クロロホルム)で精製し、目的物である3,7,11-トリブロモベンゾ[5,6][1,4]オキサジノ[2,3,4-kl]フェノキサジン(HN-1)を白色の固体として得た(30%, 151 mg, 0.296 mmol)。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 7.11 (d, 3J(H,H) = 8.5 Hz, 2H), 7.09 (dd, 3J(H,H) = 8.5 Hz, 4J(H,H) = 1.5 Hz, 2H), 7.04 (d, 4J(H,H) = 1.5 Hz, 2H), 6.68 (s, 2H)。
このようにして得たHN-1を基質として使用した場合でも、3箇所に有する臭素原子を起点として、実施例1〜9と同様に、本発明のポリマーを合成することができる。
試験例1:HOMO及びLUMO
実施例1で得たP1、実施例3で得たP3、実施例5で得たP5、及び実施例7で得たP7について、トルエン溶液(20 mg/mL)をITOガラス基板(HOMO準位測定用)もしくは石英ガラス基板上(バンドギャップ測定用)にスピンコートして薄膜を作製し、これらに対して、大気下光電子分光法によりHOMOを測定した。また、紫外可視吸収スペクトルにより、バンドギャップを測定した。これらの値から、スピンコートフィルム中のLUMOを算出した。結果を図1に示す。なお、図1には、参考のために、光吸収層のペロブスカイト材料(CH3NH3PbI3)及び公知の正孔輸送材料(PTAA)のHOMO及びLUMOも示す。
実施例11:太陽電池(P5)
実施例5で得たP5を用いて、以下のように太陽電池を作製した。
F-doped SnO2ガラス基板(FTO付きガラス基板)にTiO2膜を大気中、450℃でスプレー熱分解法(SPD法)により製膜し約30 nmの膜(n型バッファ層;Compact TiO2膜)を得た。この基板を70°Cで50 mMのTiCl4水溶液に30 分間浸漬した後、大気中500℃で20分間焼成した。
さらに、室温で、このCompact TiO2膜上に、スピンコート法によりmesoporous TiO2を約120 nm製膜し、大気中500℃で30分間焼成することで、mesoporous TiO2膜(電子輸送層)を得た。
次に、PbI2及びCH3NH3Iをジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、1.1 Mの混合液を調製した。室温にて、mesoporous TiO2膜の上に、上記調製した混合溶液をスピンコートし、続いてトルエン0.5 mLをスピンコートすることにより成膜し、50℃で5分間加熱乾燥した後、更に100℃で30分間加熱することで、厚みが240 nmのCH3NH3PbI3層(光吸収層)を形成した。
その後、上記のCH3NH3PbI3層(光吸収層)の上に、実施例5で得たP5を10 mg/mL、TBPを4.0μL/mL、添加物としてLiTFSIを1.0 mg/mLを含むクロロベンゼン溶液1 mLを用いて、室温でスピンコート法により成膜し、70 ℃で30分間加熱乾燥し、放冷し、厚みが42 nmの正孔輸送層(p型バッファ層)を形成した。
さらに、この上に、Au背面電極(金属電極)を蒸着法により80 nmの膜厚で製膜し目的の太陽電池を得た。
実施例12:太陽電池(P6)
実施例5で得たP5の代わりに実施例6で得たP6を用い、CH3NH3PbI3層(光吸収層)の厚みが330 nm、正孔輸送層(p型バッファ層)の厚みが430 nmとなるように調整した他は実施例11と同様に、太陽電池を作製した。
実施例13:太陽電池(P7)
実施例5で得たP5の代わりに実施例7で得たP7を用い、CH3NH3PbI3層(光吸収層)の厚みが300 nm、正孔輸送層(p型バッファ層)の厚みが90 nmとなるように調整した他は実施例11と同様に、太陽電池を作製した。
実施例14:太陽電池(P8)
実施例5で得たP5の代わりに実施例8で得たP8を用い、CH3NH3PbI3層(光吸収層)の厚みが246 nm、正孔輸送層(p型バッファ層)の厚みが35 nmとなるように調整した他は実施例11と同様に、太陽電池を作製した。
実施例15
実施例5で得たP5の代わりに実施例7で得たP7を用い、LiTFSIを用いないこと以外は実施例11と同様にクロロベンゼン溶液を作製し、実施例11と同様の処理を行い、CH3NH3PbI3層(光吸収層)の厚みが180 nm、正孔輸送層(p型バッファ層)の厚みが45 nmとなるように同様に太陽電池を作製した。
比較例1
実施例5で得たP5の代わりに従来からp型バッファ層に使用されているPTAAを用い、LiTFSIを用いないこと以外は実施例11と同様にクロロベンゼン溶液を作製し、実施例11と同様の処理を行い、CH3NH3PbI3層(光吸収層)の厚みが50 nm、正孔輸送層(p型バッファ層)の厚みが190 nmとなるように同様に太陽電池を作製した。
試験例2:光電変換特性
実施例11〜15及び比較例1の太陽電池の光電変換特性について、JIS C 8913: 1998のシリコン結晶系太陽電池セルの出力測定方法に準拠した方法で測定した。ソーラーシュミレーター(分光計器社製 SMO-250III型)に、AM 1.5G相当のエアマスフィルターを組み合わせ、2次基準Si 太陽電池で100 mW/cm2の光量に調整して測定用光源とし、ペロブスカイト型太陽電池セルの試験サンプルに光照射をしながら、ソースメーター(Keithley Instruments Inc. 製、2400型汎用ソースメーター)を使用してI-Vカーブ特性を測定し、I-Vカーブ特性測定から得られた短絡電流(Isc)、開放電圧(Voc)、フィルファクター(FF)、直列抵抗(Rs)、及び並列抵抗(Rsh)を導出した。そして、短絡電流密度(Jsc)、及び光電変換効率(PCE)を以下の式1及び式2を用いて算出した。
式1:短絡電流密度(Jsc;mA/cm2)=Isc(mA)/有効受光面S(cm2
式2:光電変換効率(PCE;%)=Voc(V)×Jsc(mA/cm2)×FF×100/100(mW/cm2
結果を表1及び図2〜7に示す。図2は実施例11、図3は実施例12、図4は実施例13、図5は実施例14、図6は実施例15、図7は比較例1について、得られた太陽電池の断面SEMとI-Vカーブ特性の結果である。なお、図2〜7では、Forward scan及びReverse scanのいずれも示している。この結果、本発明のポリマーを用いることで、太陽電池として機能させることができた。なお、図6〜7の結果から、従来のPTAAを使用した場合は、LiTFSI塩を使用しない場合はJ-V特性が著しく低下してしまうのと比較し、本発明のポリマーを使用した場合はLiTFSI塩を使用しなくてもJ-V特性を一定程度維持することができることが示されている。つまり、本発明のポリマーは、添加剤を使用せずとも太陽電池として機能することができることが理解できる。

Claims (14)

  1. 一般式(1):
    [式中、Y1は酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、又はケイ素原子を介して連結する連結基を示す。Y2は窒素原子又はリン原子を介して連結する連結基を示す。R1は同一又は異なって、置換基を示す。R2は同一又は異なって、置換又は無置換のアルキル基又は置換又は無置換のアルコキシ基を示す。Lは同一又は異なって、単結合又はπ共役基を示す。m1は同一又は異なって、0〜3の整数を示す。m2は0〜3の整数を示す。]
    で表される繰り返し単位(1)、及び
    一般式(2):
    [式中、Y1、Y2、L及びm1は前記に同じである。R3は同一又は異なって、置換基を示す。m3は0〜2の整数を示す。点線は−Y1−(Y1は前記に同じ)で表される基又は結合が存在しないことを示す。]
    で表される繰り返し単位(2)
    よりなる群から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有するポリマー。
  2. 前記繰り返し単位(1)が、一般式(1A):
    [式中、R1、R2、L、m1及びm2は前記に同じである。]
    で表される繰り返し単位(1A)である、請求項1に記載のポリマー。
  3. 前記繰り返し単位(2)が、一般式(2A):
    [式中、R3、L、m1、m3及び点線は前記に同じである。]
    で表される繰り返し単位(2A)である、請求項1又は2に記載のポリマー。
  4. 前記Lが、単結合であるか、又は、2価の脂肪族不飽和炭化水素基、2価の芳香族炭化水素基、及び2価の複素環式基よりなる群から選ばれる少なくとも1種を組合せた基である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリマー。
  5. 前記Lが、一般式(3A)〜(3M):
    [式中、R5及びR6は同一又は異なって、アルキル基を示す。R6はいずれのベンゼン環に結合していてもよい。R7は同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。Y3は−O−、−S−、−NR7−、−CR7 2−、−SiR7 2−、又は−GeR7 2−を示す。m4は0〜4の整数を示す。m5は0〜2の整数を示す。n1は1〜5の整数を示す。]
    で表される少なくとも1種を組合せた基である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリマー。
  6. 前記Lが前記一般式(3C)又は(3E)で表される基である、請求項5に記載のポリマー。
  7. 前記m1及びm3がいずれも0であり、前記m2が1である、請求項1〜6のいずれかに記載のポリマー。
  8. 前記R2がアルキル基である、請求項1〜7のいずれかに記載のポリマー。
  9. 最低空軌道のエネルギー準位(LUMO)が−3.60〜−2.00 eVである、請求項1〜8のいずれかに記載のポリマー。
  10. 最高被占有軌道のエネルギー準位(HOMO)が−5.45〜−4.90 eVである、請求項1〜9のいずれかに記載のポリマー。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載のポリマーからなる正孔輸送材料。
  12. 請求項11に記載の正孔輸送材料を含有するp型バッファ層。
  13. 請求項12に記載のp型バッファ層を備える光電変換素子。
  14. 請求項13に記載の光電変換素子を備える、ペロブスカイト型太陽電池。
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