JP2017132117A - 血液・ウイルスバリア性積層布帛 - Google Patents

血液・ウイルスバリア性積層布帛 Download PDF

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Abstract

【課題】血液・ウイルスバリア性の耐久性及び耐剥離性に優れた積層布帛を提供する。【解決手段】ポリエステル系合成繊維を含む基布の片面に樹脂膜を有する血液・ウイルスバリア性積層布帛である。前記樹脂膜は内層及び外層の2層をこの順に積層してなり、かつ厚みが10〜35μmである。前記内層はポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子3〜15質量部、イソシアネート化合物1.5〜10質量部、及びポリエステル系樹脂2〜15質量部含有し、厚みは前記樹脂膜の総厚みの1/3以下、かつ2〜10μmであり、前記外層はポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、及び架橋アクリル微粒子12〜40質量部含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、手術衣、無菌衣、又は手術用ドレープなどに好適な血液・ウイルスバリア性積層布帛に関する。
表地、樹脂膜及び裏地がこの順に積層された血液・ウイルスバリア性積層布帛が知られている。例えば、特許文献1には、表地用繊維布帛、乾式膜、湿式膜、接着剤層及び裏地用繊維布帛が、この順に積層された布帛が記載されている。また、特許文献2には、表地、第一接着剤層、微多孔質ポリテトラフルオロエチレンフィルム、第二接着剤層及び裏地が、この順に積層された布帛が記載されている。
特開2014−65226号公報 特開2014−121858号公報
特許文献1及び2に記載の積層布帛は、何れも初期の血液・ウイルスバリア性に優れるだけでなく、工業洗濯及び湿熱滅菌処理の耐久性にも優れる。そのため、手術衣又は手術用ドレープなどの医療用途に好適に使用される。さらに、これらは透湿性にも優れるため、手術衣などに快適な着用感を付与できる。
しかしながら、特許文献1及び2に記載の積層布帛の製造においては種々の装置を必要とし、かつ製造工程が複雑であることから、製造コストが嵩む場合がある。また、透湿性を有しているが故に過酷な着用、洗濯及び滅菌の繰り返しにより、血液・ウイルスバリアが通過しやすくなる危険性を孕んでいる。一方、血液・ウイルスバリア性を向上させようとして、樹脂膜厚みを厚くすると基布に対する耐剥離性に劣るものとなってしまう。
本発明は、上記従来技術の欠点を解消するものであり、基布上に樹脂組成物を複数回(例えば、2回、又は3回)塗布し乾燥するという簡易な操作で得られ、工業洗濯及び湿熱滅菌処理後においても血液・ウイルスバリア性を発揮し、さらに樹脂膜を厚くした場合であっても耐剥離性に優れた積層布帛を提供することを課題とする。
本発明者らは、樹脂膜を複数層構成(例えば、2層構成又は3層構成)とするとともに布帛上に積層される内層を薄くし、さらに樹脂膜に含まれる成分の組成を特定のものとすることで、上記の課題を解決できることを初めて見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(7)を要旨とする。
(1)ポリエステル系合成繊維を含む基布の片面に樹脂膜を有する血液・ウイルスバリア性積層布帛である。前記樹脂膜は内層及び外層の2層からなり、かつ厚みが10〜35μmであり、前記内層はポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子3〜15質量部、イソシアネート化合物1.5〜10質量部、及びポリエステル系樹脂2〜15質量部含有し、厚みは前記樹脂膜の総厚みの1/3以下、かつ2〜10μmであり、前記外層はポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、及び架橋アクリル微粒子12〜40質量部含有する。
(2)ポリエステル系合成繊維を含む基布の片面に樹脂膜を有する血液・ウイルスバリア性積層布帛である。前記樹脂膜は内層、中層、及び外層の3層からなり、かつ厚みが30〜50μmであり、前記内層は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子3〜15質量部、イソシアネート化合物1.5〜10質量部、及びポリエステル系樹脂2〜15質量部を含有し、前記内層の厚みは前記樹脂膜の総厚みの1/3以下、かつ2〜10μmであり、中層、及び外層は、各々、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、及び架橋アクリル微粒子12〜40質量部を含有する。
(3)前記外層が、さらにイソシアネート化合物1.5〜10質量部を含有する、(1)の血液・ウイルスバリア性積層布帛。
(4)前記中層及び外層の各々が、さらにイソシアネート化合物1.5〜10質量部を含有する、(2)の血液・ウイルスバリア性積層布帛。
(5)工業洗濯10回分と湿熱滅菌処理10回分との連続処理を1サイクルとして、10サイクル処理後に、JIS L1089 6.10に従って測定した経方向の剥離強度が4.0N/2.54cm以上である、(1)〜(4)の何れかの血液・ウイルスバリア性積層布帛。
(6)工業洗濯10回分と湿熱滅菌処理10回分との連続処理を1サイクルとして、10サイクル処理後に、ASTM F 1670−08B法に従って評価した人工血液バリア性の判定が合格である、(1)〜(5)の何れかの血液・ウイルスバリア性積層布帛。
(7)工業洗濯10回分と湿熱滅菌処理10回分との連続処理を1サイクルとして、5サイクル処理後に、ASTM F 1671−07B法に従って評価したウイルスバリア性の判定が合格である、(1)〜(6)の何れかの血液・ウイルスバリア性積層布帛。
本発明の積層布帛は、例えば、2層構成(内層及び外層)、又は3層構成(内層、中層及び外層)である樹脂膜を有するとともに、樹脂膜厚みと内層厚みとを特定の範囲としている。さらに、耐熱性又は耐加水分解性などに優れるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を含む内層において、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂との相溶性に優れ耐熱性向上にも寄与し得る架橋アクリル微粒子と、イソシアネート化合物とを、特定の割合で併用している。こうした構成により、血液・ウイルスバリア性、工業洗濯又は湿熱滅菌処理の耐久性に優れるとともに、基布と樹脂膜との接着性向上及び一体化が図られ、耐剥離性に顕著に優れるものとなる。さらに外層においても架橋アクリル微粒子を含有させるため、表面のタッチ感、耐摩耗性にも優れる。本発明の積層布帛は医療用衣服・資材一般に好適であり、特に手術衣、無菌衣、又は手術用ドレープなどの過酷な条件下での工業洗濯及び湿熱滅菌処理が施されるリユース素材において、好ましく使用できる。
本発明の血液・ウイルスバリア性積層布帛の態様を例示する模式図である。 本発明の血液・ウイルスバリア性積層布帛の別の態様を例示する模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の積層布帛は、ポリエステル系合成繊維を含む基布の片面に樹脂膜が積層されてなる。この樹脂膜はポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主成分として含む。
[基布]
基布としては、工業洗濯及び湿熱滅菌処理に耐え得るだけの強度を有するものであればよい。特に汎用性に加え、高温かつ高圧下での耐湿熱性に優れるため、ポリエステル系合成繊維を主たる構成繊維とするものが好ましい。例えば、ポリエステル系合成繊維の混率が90質量%以上、好ましくは100質量%である基布が好ましい。
基布には、工業洗濯及び湿熱滅菌処理の耐久性を損なわない範囲で、ナイロン6、ナイロン66で代表されるポリアミド系合成繊維、ポリアクリルニトリル系、又はポリビニルアルコール系などのポリエステル系合成繊維以外の合成繊維が含まれていてもよい。基布の形態としては、織物(例えば、リップタフタ、ツイルなど)、編物、又は不織布などが挙げられる。基布には、撥水加工、又はカレンダー加工などの公知の加工が施されていてもよい。
[樹脂膜]
(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂)
樹脂膜は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主たる成分として含む。ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂は、それ自体が耐熱性及び耐加水分解性などに優れる。そのため、本発明の積層布帛は、工業洗濯及び湿熱滅菌処理に対する耐久性に優れるものとなる。
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂としては、ポリカーボネートジオールと有機ポリイソシアネートとを原料とし、例えばワンショット法(ポリカーボネートジオール、有機ポリイソシアネート、及び鎖延長剤を、一括に仕込んで反応させる方法)、又はプレポリマー法(予めポリカーボネートジオールと有機ポリイソシアネートとを反応させ、次いで、鎖延長剤を加える方法)により得られる公知のものが挙げられる。
ポリカーボネートジオールとしては、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのアルキルジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ペンチル,2−プロピル−1,3−プロパンジオールなどの2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオールなどの1種又は2種以上のジオールと、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネートなどのジアリールカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート、エチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネートなどのアルキレンカーボネートなどの1種又は2種以上の炭酸ジエステルとのエステル交換反応により得られるものが挙げられる。なかでも、有機溶剤に対する溶解性、又は溶融樹脂としての粘性などの観点から、結晶性を低減させるためにジオールとしては2,2−ジアルキル−1,3−プロパンジオールポリカーボネートジオールを主体とし、高圧下での湿熱滅菌処理に対する耐久性の観点から、炭酸ジエステルとしてはジアリールカーボネートを主体とするものが好ましい。
有機ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニールジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートが挙げられる。なかでも、高圧下での湿熱滅菌処理に対する耐久性の観点から、芳香族ジイソシアネートを主体とするものが好ましい。
鎖延長剤としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレンジアミンなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂は、血液バリア性及びウイルスバリア性、並びに工業洗濯及び湿熱滅菌処理を複数回施した場合のリユース性に優れるために、透湿性を有しないものであることが好ましい。
樹脂膜に含まれる樹脂としては、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂のみであってもよいし、架橋アクリル微粒子との相溶性、耐熱性及び耐加水分解性(耐湿熱性)などに影響を与えない範囲で、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂に加えてその他の樹脂を含有させてもよい。その他の樹脂としては、任意の樹脂が挙げられ、例えば、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリアクリル系樹脂などが挙げられる。耐湿熱性の観点から、樹脂膜を構成する全樹脂中、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂の割合が70質量%以上であることが好ましい。
本発明においては、樹脂膜としては、2層(内層、及び外層)で構成される樹脂膜(第一の樹脂膜)であるか、又は3層(内層、中層、及び外層)で構成される樹脂膜(第二の樹脂膜)が例示される。特に限定されるものではないが、基布が例えば56dtex以下などの細番手糸を用いた薄地の布帛である場合は、樹脂膜の総厚みを薄くして耐剥離性をよりいっそう向上させるために、例えば2層構成(第一の樹脂膜)を採用することが好ましい。基布が例えば太番手糸を用いた中厚地の布帛である場合は、例えば、2層構成、又は3層構成(第二の樹脂膜)を採用することができる。
本発明において、樹脂膜を単層ではなく複数層構成(例えば、2層構成又は3層構成)とする理由は、以下の通りである。血液・ウイルスバリア性を向上させようとして単層の樹脂膜の膜厚みを大きく(例えば、10μm以上)すると、樹脂固化時の収縮により基布とのズレが生じやすく、さらに基布との耐剥離性に劣るものとなりやすい。それに対し、本発明においては樹脂膜構成を複数層構成(例えば、2層構成又は3層構成)とし、後述のように内層を薄く、かつ、内層に含有される成分の組成を基布に対する接着性に優れるものに特定している。これにより、樹脂固化時の収縮が低減し基布とのズレが生じ難くなり、基布と樹脂膜との接着性向上及び一体化が図られる。さらに、内層上に外層を積層したり、又は内層上に中層及び外層をこの順に積層したりして樹脂膜の総厚みを大きくしても、基布に対する耐剥離性に優れるものとなる。さらに、複数層構成とすることで、樹脂膜が無孔質膜である場合の問題である風合いの硬化も抑制される。なお、本明細書における膜厚みとは、基布表面の凸部から膜表面までの平均的な厚みをいう。
(第一の樹脂膜)
第一の樹脂膜は、内層及び外層からなる。図1に示すように、第一の樹脂膜5を備える本発明の積層布帛1は、基布2上に、内層3、及び外層4をこの順に積層してなる。第一の樹脂膜の厚みは10〜35μmであり、15〜30μmであることが好ましい。厚みが10μm以上であると、血液・ウイルスバリア性、並びに工業洗濯及び湿熱滅菌処理後の耐久性に優れる。35μm以下であると風合いが良好となり、さらに、例えば56dtex以下の細繊度糸が用いられた布帛を基布として用いた場合に、樹脂膜と基布との界面で負荷を受けにくく、初期の耐剥離性、並びに、多サイクルの工業洗濯及び湿熱滅菌処理が施された場合の耐剥離性に優れる。なお、第一の樹脂膜において、内層及び外層は同一の組成を有するものであってもよいが、強度などに優れる観点から、本発明の範囲内で、それぞれ異なる組成を有するものであることが好ましい。
第一の樹脂膜において、内層の膜厚みは、基布との耐剥離性を向上させ、接着強度を強固にする観点から、第一の樹脂層の総厚みの1/3以下かつ2〜10μmであり、1/4以下かつ3〜8μmが好ましい。内層の膜厚みが2μm以上であると隠蔽性が良好で、基布表面が凹凸性のあるものであっても防水性に優れる。内層の膜厚みが10μm以下で、かつ、第一の樹脂層厚みの1/3以下、好ましくは1/4以下であると、外層よりも基布との密着性が向上し、その結果、基布との耐剥離性に優れる。
第一の樹脂膜の内層は、架橋アクリル微粒子3〜15質量部、イソシアネート化合物1.5〜10質量部、及びポリエステル系樹脂2〜15質量部を含有する。なお、本発明でいう質量部は、内層、中層又は外層の各々に含有されるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対するものである。
(架橋アクリル微粒子)
架橋アクリル微粒子は、内層及び後述の外層に含有されるものであり、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂との相溶性に優れるため樹脂膜全体の耐久性を向上させる。外層に含有させると、外層表面にマット感を付与し、タッチ感及び耐摩耗性を向上させる。架橋アクリル微粒子としては、例えば、アクリル酸エステル類、又はメタクリル酸エステル類などを主成分とする重合性モノマーと、架橋性モノマーとを重合反応することにより得られる微粒子が挙げられる。
アクリル酸エステル類としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。また、メタクリル酸エステル類としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチルなどが挙げられる。これらを単独で又は混合して用いることができる。
架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、エチレングリコールメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ジプロピレングリコールメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルアジペートなどのビニル系架橋性モノマー、ジアリルフタレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレートなどのアリル基含有架橋性モノマーなどが挙げられる。
架橋アクリル微粒子の製造方法の一例は以下の通りである。上記重合性モノマー及び架橋性モノマーを混合し、無機又は有機過酸化物などの重合開始剤の存在下で、一般的な懸濁重合法、ミクロ懸濁重合法、乳化重合法、又は分散重合法などを採用して製造することができる。
架橋アクリル微粒子の形状は、特に限定されるものでないが、血液・ウイルスバリア性又は防水性(耐水圧)の観点から、球状が好ましい。また、架橋アクリル微粒子の粒子径は0.1〜20μmが好ましく、1〜15μmがより好ましい。0.1μm以上であると取扱性に優れ、樹脂膜中に均一に分散させ易くなり架橋アクリル微粒子の含有効果がより効果的に発現する。一方、20μm以下であると、防水性の低下を抑制できる。
内層における架橋アクリル微粒子の含有量は、内層に含まれるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対して、3〜15質量部であり、5〜12質量部が好ましい。3質量部以上であると耐湿熱性に優れ、さらにタック感(粘着性)が強い内層においても粘着性を適切に抑制することができ、取扱性及び巻取性が良好となる。15質量部以下であると、基布と内層との界面における接着性に優れ一体化が容易となり、工業洗濯及び湿熱滅菌処理の多サイクルの処理が施された場合であっても、耐剥離性に優れる。
イソシアネート化合物としては、トリレン2,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。その他、例えば、これらのジイソシアネート類3モルと、活性水素を含有する化合物1モルとの付加反応によって得られるトリイソシアネート類であってもよい。活性水素を含有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリンなどが挙げられる。
イソシアネート化合物としては、樹脂層を形成するための樹脂溶液(樹脂組成物)中での安定性又はポットライフの点で、ブロックイソシアネートが好ましい。ブロックイソシアネートとしては熱処理によって解離するタイプが好ましく、具体的には、フェノール、ラクタム、又はメチルケトオキシムなどで付加ブロック体を形成させたものが好ましい。
イソシアネート化合物の含有量は、内層に含まれるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対して、1.5〜10質量部であり、3〜9質量部が好ましい。1.5質量部以上であると基布と内層との接着性が良好となり、耐剥離性に優れる。10質量部以下であると内層が過度に硬くならず、風合い硬化を抑制するとともに耐揉性に優れる。
ポリエステル系樹脂は、内層の基布に対する接着性を向上させる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどから選択される1種以上のジオールと、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン2酸などから選択される1種以上のジカルボン酸との重合反応物などが挙げられる。特に、ジオール成分としてのエチレングリコール及びネオペンチルグリコールを、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸、イソフタル酸及びセバシン酸をそれぞれ採用し、分子量が10000〜50000程度である非晶質飽和共重合ポリエステル樹脂は有機溶媒に溶解し易く樹脂溶液に加工し易くなり、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂中の水酸基又はイソシアネート基との反応性も良好である。
第一の樹脂膜の内層におけるポリエステル系樹脂の含有量は、内層に含まれるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対して2〜15質量部であり、3〜14質量部が好ましい。2質量部以上であると、基布と内層との接着性に優れる。15質量部以下であると、風合い硬化が抑制されるとともに耐揉性に優れ、工業洗濯及び湿熱滅菌処理の多サイクルの処理後であっても耐剥離性に優れる。
第一の樹脂膜の外層は、外層に含まれるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対して架橋アクリル微粒子を12〜40質量部含有するものであり、15〜35質量部含有することが好ましい。12質量部以上であると、外層表面におけるマット感・ドライ感、及び耐摩耗性に優れる。40質量部以下であると、風合いが硬くなったり、脆くなったりすることがなく、さらにコスト面でも有利である。架橋アクリル微粒子としては、上述したものが挙げられる。
外層には、さらにイソシアネート化合物を1.5〜10質量部含有させることが好ましく、1.5〜7質量部含有させることがより好ましい。これにより、外層自体の架橋効果が向上し、さらに内層との界面での潜在的な密着性が向上するため、工業洗濯及び湿熱滅菌処理の多サイクル処理後であっても、血液・ウイルスバリア性及び耐剥離性に顕著に優れる。イソシアネート化合物としては、上述したものが挙げられる。
また、本発明の積層布帛を製品とした後にシームテープを貼合したり、使用後の損傷部分に捕集用のリペアパッチを貼合したりする場合があり、シームテープ又はリペアパッチに対する易接着性も要求されるケースがある。ここで、外層がイソシアネート化合物を含有する場合は耐熱性が向上し、シームテープ又はリペアパッチの圧着条件が高温・高圧化する場合がある。こうした場合は、外層を、イソシアネート化合物を含有しない非架橋層としたり、内層及び外層をイソシアネート化合物含有の架橋層とし、別途最外層としての非架橋層の薄膜を積層したりすることが好ましい。
(第二の樹脂膜)
第二の樹脂膜は、内層、中層及び外層からなる。図2に示すように、第二の樹脂膜9を備える本発明の積層布帛1は、基布2上に、内層6、中層7及び外層8をこの順に積層してなる。第二の樹脂膜の厚みは、30〜50μmであり、32〜45μmであることが好ましい。厚みが30μm以上であると、工業洗濯及び湿熱滅菌処理後においても血液・ウイルスバリア性によりいっそう優れる。50μm以下であると、例えば太番手糸が用いられた中厚地の布帛を基布として用いた場合であっても樹脂膜の耐剥離性が十分に向上し、さらに風合い硬化が抑制される。樹脂層を3層構成とすることにより、2層構成と比較して、風合い硬化を抑制しつつ、膜厚みを大きくすることができる。なお、第二の樹脂膜において、内層、中層及び外層は同一の組成を有するものであってもよいが、強度などに優れる観点から、本発明の範囲内で、それぞれ異なる組成を有するものであることが好ましい。
内層の膜厚みは、基布との耐剥離性を向上させ、接着強度を強固にする観点から、第二の樹脂膜の層厚みの1/3以下かつ2〜10μmであり、1/4以下かつ3〜8μmが好ましい。2μm以上であると隠蔽性が良好で、表面に凹凸性のある基布であっても防水性に優れる。内層の膜厚みが10μm以下で、かつ、第二の樹脂層厚みの1/3、好ましくは1/4以下であると、外層よりも基布との密着性が向上し、その結果、基布と内層との耐剥離性に優れる。
第二の樹脂膜の内層は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対して、架橋アクリル微粒子3〜15質量部、イソシアネート化合物1.5〜10質量部、及びポリエステル系樹脂2〜15質量部を含有する。
架橋アクリル微粒子は、第二の樹脂膜の内層、中層、及び外層に含有されるものであり、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂との相溶性に優れるため、樹脂膜全体の耐久性を向上させる。外層に含有させると、外層表面にマット感を付与し、タッチ感及び耐摩耗性を向上させる。架橋アクリル微粒子としては、上述したものが挙げられる。
第二の樹脂膜の内層における架橋アクリル微粒子の含有量は、内層に含まれるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対して、3〜15質量部であり、5〜12質量部が好ましい。3質量部以上であると耐湿熱性に優れ、タック感が強い内層においても取扱性及び巻取性が良好となる。15質量部以下であると基布と内層との界面における接着性に優れ一体化が容易となり、工業洗濯及び湿熱滅菌処理の多サイクルの処理が施された場合であっても耐剥離性に優れる。
第二の樹脂膜の内層におけるイソシアネート化合物の含有量は、内層に含まれるポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対して、1.5〜10質量部であり、3〜9質量部が好ましい。1.5質量部以上であると基布と内層との接着性が良好となり、10質量部以下であると内層が過度に硬くならず、風合い硬化が抑制されるとともに耐揉性に優れる。イソシアネート化合物としては上述したものが挙げられる。
ポリエステル系樹脂は、基布に対する内層の接着性を向上させる。第二の樹脂膜の内層におけるポリエステル系樹脂の含有量は、内層のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対して2〜15質量部であり、3〜14質量部が好ましい。2質量部以上であると基布との接着性に優れる。15質量部以下であると、風合い硬化が抑制されるとともに耐揉性に優れ、工業洗濯及び湿熱滅菌処理の多サイクルの処理後においても耐剥離性に優れる。ポリエステル系樹脂としては上述したものが挙げられる。
第二の樹脂膜の中層、及び外層は、各々の層中のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部に対し、架橋アクリル微粒子12〜40質量部含有する。中層における架橋アクリル微粒子の含有量は耐熱性を十分発揮できるために12〜25質量部が好ましい。外層における架橋アクリル微粒子の含有量は、外層表面におけるマット感・ドライ感、及び耐摩耗性等により優れるために、20〜40質量部が好ましい。
第二の樹脂膜の中層、及び外層は、耐剥離性をよりいっそう向上させるために、さらにイソシアネート化合物を1.5〜10質量部を含有することが好ましく、1.5〜7質量部含有することがより好ましい。これにより、外層自体の架橋効果が向上し、さらに内層と中層、中層と外層との界面において潜在的な密着性が向上する。その結果、工業洗濯及び湿熱滅菌処理の多サイクル処理後であっても、血液・ウイルスバリア性及び耐剥離性に顕著に優れる。
外層にイソシアネート化合物が含有される場合は、上記のようにシームテープ又はリペアパッチを採用した際の圧着条件が高温かつ高圧化する問題がある。こうした場合には、上述のように外層をイソシアネート化合物が非含有の非架橋層とするか、又は、内層、中層及び外層の全てをイソシアネート化合物含有の架橋層とし、別途、最外層としての非架橋層の薄膜を積層すればよい。
[積層布帛の製造方法]
上記のような樹脂膜(例えば、2層構成である第一の樹脂膜、3層構成である第二の樹脂膜)を基布表面に形成することで、本発明の積層布帛を製造することができる。
樹脂膜の形成方法としては上記のような、内層、外層及び中層に含有される各成分(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂、架橋アクリル微粒子、イソシアネート化合物)、と、有機溶剤などのその他の成分とを含有する樹脂溶液(内層用樹脂組成物、中層用樹脂組成物、外層用樹脂組成物)を調製し、基布に塗布した後に乾燥して製膜する方法が挙げられる。内層用樹脂組成物の塗布には、内層を薄膜で強固に接着させる観点から、ナイフコータを用いることが好ましい。中層又は外層用樹脂組成物の塗布には、ナイフコータ又はコンマコータ等を用い、厚みを調整しながら基布上に直接塗布乾燥する方法(いわゆる乾式コーティング法)が好ましい。
第一の樹脂膜を形成する場合は、基布上に内層を形成し、この内層上に外層を形成して積層させる。外層は内層の形成から2日以内に形成することが好ましく、当日速やかに形成することがより好ましい。3日間以上経日すると、環境にもよるが内層の架橋が進行し過ぎ、見掛け上は密着性又は短期的耐性に問題が発現しない場合であっても、工業洗濯及び湿熱滅菌処理の多サイクル処理後の繰り返しにより、内層と外層との界面で微細な間隙が生じるものと推定される。その結果、耐水圧が低下しやすくなり、血液・ウイルスバリアが通過しやすくなる。
第二の樹脂膜を形成する場合は、基布上に内層を形成し、この内層上に中層を形成し、この中層上に外層を形成して積層させる。中層は内層の形成から2日以内に形成することが好ましく、当日速やかに形成することがより好ましい。外層は中層の形成から2日以内に形成することが好ましく、当日速やかに形成することがより好ましい。
本発明の積層布帛は、工業洗濯及び湿熱滅菌処理を繰り返した後においても、優れた血液・ウイルスバリア性及び樹脂膜の耐剥離性が維持され、さらに表面のタッチ感及び耐摩耗性にも優れるものである。そのため、医療用衣服・資材一般に好適であり、とりわけ手術衣、無菌衣、又は手術用ドレープなどに好適できる。
以下、実施例に従って本発明を具体的に説明する。本発明はこの実施例に限定されない。
(実施例1)
経糸及び緯糸に、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント56dtex48fを用い、経糸密度150本/2.54cmかつ緯糸密度110本/2.54cmの平組織織物を製織した。続いて、日華化学株式会社製精練剤「サンモールFL(商品名)」1g/Lを使用して80℃で20分間精練し、その後、ダイスタージャパン株式会社製分散染料「Dianix Blue UN−SE(商品名)」を0.5%omf使用して130℃で30分間染色した。
その後、フッ素系撥水剤エマルジョンの水分散液(濃度6質量%)に、上記織物をパディングし、ウェットピックアップ率を40%に調整した後、乾燥した。さらに170℃で40秒間熱処理することで、撥水加工布帛とした。続いて、鏡面ロールを有するカレンダー加工機を用いて、温度170℃、圧力300kPa、速度30m/分の条件で撥水加工布帛を目潰し加工し、基布とした。
次に、エリーテルUE3220(ユニチカ株式会社製、熱可塑性飽和共重合ポリエステル樹脂)20質量部を、トルエン80質量部に混合・溶解させて20質量%のエステル系樹脂を調製した。そして、下記処方1の内層用樹脂組成物(粘度7500mPa・s/25℃、固形分25質量%)を調液した。続いて、下記処方2の外層用樹脂組成物(粘度12000mPa・s/25℃、固形分26質量%)を調液し、ともに経時で自然脱泡させた。
<処方1>
レザミンCUS−1500 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分30質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液)
MZ−10HN 2質量部
(綜研化学株式会社製、球状で平均粒子径が10μmの架橋アクリル微粒子)
レザミンX 2質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分100質量%のイソシアネート化合物)
UE3220が20質量%のトルエン溶液 15質量部
トルエン 27質量部
<処方2>
レザミンCUS−1500 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分30質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液)
MR−7GC 5質量部
(綜研化学株式会社製、球状で平均粒子径が6μmの架橋アクリル微粒子)
トルエン 20質量部
メチルエチルケトン 5質量部
前記基布における目潰し面に、ナイフコータにて、先ず、処方1の樹脂組成物を20g/m塗布し、100℃で3分間の乾燥し、厚みが4μmの内層(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子7質量部、イソシアネート化合物7質量部、ポリエステル系樹脂10質量部を含有)を形成した。次に、処方2の樹脂組成物を内層上に60g/m塗布し、90℃で1分間の乾燥した後、120℃で2分間の乾燥し、厚みが15μmの外層(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子17質量部を含有)を積層し、続いて、170℃で1分間のセット加工を行い、実施例1の血液・ウイルスバリア性積層布帛(内層の厚みは全厚みの4/19)を得た。
(実施例2)
実施例1において、処方2の外層用樹脂組成物に代えて、下記処方3の外層用樹脂組成物(粘度11000mPa・s/25℃、固形分28質量%、)を用い、厚みが約17μmの外層(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子17質量部、イソシアネート化合物5質量部を含有)を積層した以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2の血液・ウイルスバリア性積層布帛を得た。
<処方3>
レザミンCUS−1500 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分30質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液)
MR−7GC 5質量部
(綜研化学株式会社製、球状で平均粒子径が6μmの架橋アクリル微粒子)
レザミンX 1.5質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分100質量%のイソシアネート化合物)
トルエン 20質量部
メチルエチルケトン 5質量部
(実施例3)
経糸及び緯糸にポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント84dtex72fを用い、経糸密度190本/2.54cm、緯糸密度110本/2.54cmの2/2ツイル織物を製織した。続いて、日華化学株式会社製精練剤「サンモールFL(商品名)」を1g/L使用して、80℃で20分間精練し、その後、ダイスタージャパン株式会社製分散染料「Dianix Blue UN−SE(商品名)」を0.5%omf使用して130℃で30分間染色した。
その後、フッ素系撥水剤エマルジョンの水分散液(濃度6質量%)に上記織物をパディングし、ウェットピックアップ率を40%に調整した後、乾燥し、さらに170℃で40秒間熱処理することで、撥水加工布帛とした。続いて、鏡面ロールを有するカレンダー加工機を用いて、温度170℃、圧力300kPa、速度30m/分の条件で片面を目潰し加工して基布とした。
次に、基布のカレンダー加工面に、下記処方4の内層用樹脂組成物(粘度8000mPa・s/25℃、固形分26質量%)を調液・脱泡後、ナイフコータにて35g/m塗布し、100℃で3分間乾燥し、厚み7μmの内層(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子10質量部、イソシアネート化合物7質量部、ポリエステル系樹脂13質量部を含有)を形成した。
<処方4>
レザミンCUS−1500 100質量部
(大日精化工業株式会社製、不揮発分30質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液)
MX−150 3質量部
(綜研化学株式会社製、球状で平均粒子径が3μmの架橋アクリル微粒子)
レザミンX 2質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分100質量%のイソシアネート化合物)
UE3220が20質量%のトルエン溶液 20質量部
トルエン 25質量部
続いて、下記処方5の中層用樹脂組成物(粘度5000mPa・s/25℃、固形分22質量%)を調液・脱泡後、コンマコータにて80g/m塗布し、80℃で1分間の乾燥後、130℃で2分間の乾燥を行い、厚み17μmの中層(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子17質量部)を積層した。
<処方5>
レザミンCUS−1500 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分30質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液)
MR−7GC 5質量部
(綜研化学株式会社製、球状で平均粒子径が6μmの架橋アクリル微粒子)
トルエン 40質量部
メチルエチルケトン 15質量部
次に、下記処方6の外層用樹脂組成物(粘度8000mPa・s/25℃、固形分25質量%)を調液・脱泡後、ナイフコータにて45g/m塗布し、100℃で3分間の乾燥を行い、厚みが11μmの外層(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子23質量部を含有)を積層し、続いて、170℃で1分間のセット加工を行い、実施例3の血液・ウイルスバリア性積層布帛(内層の厚みは全厚みの1/5)を得た。
<処方6>
レザミンCUS−1500 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分30質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液)
MR−7GC 7質量部
(綜研化学株式会社製、球状で平均粒子径が6μmの架橋アクリル微粒子)
トルエン 30質量部
メチルエチルケトン 10質量部
(実施例4)
実施例3において、処方5の中層用樹脂組成物を下記処方7の中層用樹脂組成物(粘度5000mPa・s/25℃、固形分22質量%)に変更して中層(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子17質量部、イソシアネート化合物3質量部を含有)を形成し、上記処方6の外層用樹脂組成物を下記処方8の外層用樹脂組成物(粘度8100mPa・s/25℃、固形分26質量%)に変更して外層(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子27質量部、イソシアネート化合物3質量部を含有)を形成した以外は、実施例3と同様の方法により、実施例4の血液・ウイルスバリア性積層布帛を得た。
<処方7>
レザミンCUS−1500 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分30質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液)
MR−7GC 5質量部
(綜研化学株式会社製、球状で平均粒子径が6μmの架橋アクリル微粒子)
レザミンX 1質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分100質量%のイソシアネート化合物)
トルエン 40質量部
メチルエチルケトン 15質量部
<処方8>
レザミンCUS−1500 100質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分30質量%のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂溶液)
MR−7GC 8質量部
(綜研化学株式会社製、球状で平均粒子径が6μmの架橋アクリル微粒子)
レザミンX 1質量部
(大日精化工業株式会社製、固形分100質量%のイソシアネート化合物)
トルエン 30質量部
メチルエチルケトン 10質量部
(比較例1)
実施例1において、処方2の外層用樹脂組成物の塗布量を15g/mに変更し外層の厚みを4μmに変更した以外は、実施例1と同様の方法により、比較例1の積層布帛を得た。
(比較例2)
実施例1において、処方2の外層用樹脂組成物の塗布量を130g/mに変更し、90℃で1分間の乾燥を2分間に、120℃で2分間の乾燥を4分間に変更し、厚みが34μmの外層を積層した以外は、実施例1と同様の方法により、比較例2の積層布帛を得た。
(比較例3)
実施例1において、処方1の内層用樹脂組成物から架橋アクリル微粒子(MZ−10HN)を除き、実施例1と同様の方法により内層を形成したところ、基布表面と内層との密着性が過度に強くなり、取扱が困難となり巻取ることができなくなった。そのため次工程に進むことができなかったので加工中止とした。
(比較例4)
実施例1において、処方1の内層用樹脂組成物からイソシアネート化合物(レザミンX)を除いて内層を形成した以外は、実施例1と同様の方法により、比較例4の積層布帛を得た。
(比較例5)
実施例1において、処方1の内層用樹脂組成物からポリエステル系樹脂(UE3220の濃度が20質量%のトルエン溶液)を除いて内層を形成した以外は、実施例1と同様の方法により、比較例5の積層布帛を得た。
(比較例6)
実施例1で用いた基布の目潰し面に、処方1の樹脂組成物をコンマコータにて85g/m塗布し、90℃で1分間の乾燥後、続いて120℃で2分間の乾燥を行い、厚みが20μmの樹脂層(単層)を形成し、比較例6の積層布帛を得た。
(比較例7)
実施例1で用いた基布の目潰し面に、処方2の樹脂組成物をコンマコータにて85g/m塗布し、90℃で1分間の乾燥後、続いて120℃で2分間の乾燥を行い、厚みが20μmの樹脂層(単層)を形成し、比較例7の積層布帛を得た。
(比較例8)
実施例1において、処方1の内層用樹脂組成物の塗布量を60g/mに変更し、厚みが13μmの内層を積層した以外は、実施例1と同様の方法により、比較例8の積層布帛を得た。
(比較例9)
実施例3において、処方4の内層用樹脂組成物からイソシアネート化合物のレザミンXを除いて内層を形成した以外は、実施例3と同様の方法により、比較例9の積層布帛を得た。
(比較例10)
実施例3において、処方6の外層用樹脂組成物の塗工量を20g/mに変更し外層の厚みを4μmとした以外は、実施例3と同様の方法により、比較例10の積層布帛を得た。
(比較例11)
実施例3において、処方6の樹脂組成物の塗布量を180g/mに変更し外層の厚みを34μmとした以外は、実施例3と同様の方法により、比較例11の積層布帛を得た。
以上の実施例及び比較例の積層布帛について、以下の方法による連続処理を行い、各々の物性を測定・評価した。
[工業洗濯]
工業洗濯機(株式会社大栄科学精器製作所製、型式;WS−1SE)を用いて、標準的な1回分の洗濯条件「73℃×20分間」を下記条件に変更し、10回分の洗濯とした。
浴比;1:40(1.5kg:60L)
洗剤;ピュア−石鹸(株式会社不動化学製)1g/L、苛性ソーダ0.08g/Lを添加しPH値を10に調整したものを用いた。
工程;洗い(73℃×200分間)→湯洗(40℃×30分間)→オーバーフローすすぎ(常温×15分間)→脱水→タンブル乾燥(60℃×20分間)
[湿熱滅菌処理]
高圧蒸気滅菌器(株式会社平山製作所製、「HV50型」)を用いて、標準的な1回分の滅菌条件「135℃×8分間」を「135℃×80分間」に変更し、10回分の湿熱滅菌処理とした。
[連続処理]
前記工業洗濯10回分と前記湿熱滅菌処理10回分との連続処理を、1サイクル(10回分)として処理を行った。
(1)耐水圧(防水性)
JIS L1092(高水圧法)に基づいて測定した。
(2)剥離強度(耐剥離性)
JIS L1089 6.10に基づいて経方向の剥離強度を測定した。10サイクル処理後の剥離強度が4.0N/2.54cm以上であれば、実用に十分に耐えうるものであると評価した。
(3)連続処理後の樹脂膜の剥離状況(耐剥離性)
5サイクル(5Cとも表記する)及び10サイクル(10Cとも表記する)の連続処理を行い、下記基準に基づき目視判定し、耐剥離性の評価とした。
○:全く剥離なし
○−△;僅かではあるが部分的に剥離した部分があった
△:部分的に剥離し、剥離した部分が多かった
×:全て(全面で)剥離した
(4)人工血液バリア性
ASTM F 1670−08B法に基づいて評価した。10サイクル後の判定が合格であれば実用に十分耐えうるものであると評価した。
(5)ウイルスバリア性
ASTM F 1671−07B法に基づいて評価した。5サイクル後の判定が合格であれば実用に十分耐えうるものであると評価した。
なお、表1中「−」は樹脂膜が剥離してしまい、評価不能であったことを示す。
表1から明らかなように、本発明の積層布帛は、耐剥離性、防水性、及び血液・ウイルスバリア性の耐久性の全てにおいて優れていた。特に、実施例2及び実施例4のウイルスバリア性積層布帛は、外層にもイソシアネート化合物が含有されていたため、耐剥離性、及び血液・ウイルスバリア性の耐久性にいっそう優れていた。
比較例1の積層布帛は、樹脂膜の総厚みが過小であり内層厚みの割合が過大であったため、工業洗濯及び滅菌処理後の血液・ウイルスバリア性に劣っていた。比較例2及び11の積層布帛は、樹脂層の総厚みが過大であったため、比較例2は8C目の工業洗濯中に全剥離が生じ、比較例11は7C目の工業洗濯中に全剥離が生じた。比較例3の積層布帛は、内層に架橋アクリル微粒子を用いなかったため、タック感が強過ぎて取扱性及び巻取性に劣り、積層布帛を得ることができなかった。
比較例4及び9の積層布帛は、内層にイソシアネート化合物が含有されていなかったため、共に8C目の工業洗濯中に全剥離が生じた。比較例5は内層にポリエステル系樹脂が含有されていなかったため、9C目の工業洗濯中に全剥離が生じた。比較例6及び7の積層布帛は樹脂膜が単層であったため、比較例6は8C目の工業洗濯中に全剥離が生じ、比較例7は6C目の工業洗濯中に全剥離が生じた。比較例8の積層布帛は内層厚みが過大であったため、6C目の工業洗濯中に全剥離が生じた。比較例10の積層布帛は樹脂層の総厚みが過小であったため、工業洗濯及び滅菌処理後の血液・ウイルスバリア性に劣っていた。
1 血液・ウイルスバリア性積層布帛
2 基布
3 内層
4 外層
5 第一の樹脂膜
6 内層
7 中層
8 外層
9 第二の樹脂膜

Claims (7)

  1. ポリエステル系合成繊維を含む基布の片面に樹脂膜を有する血液・ウイルスバリア性積層布帛であって、
    前記樹脂膜は内層及び外層の2層をこの順に積層してなり、かつ厚みが10〜35μmであり、
    前記内層はポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子3〜15質量部、イソシアネート化合物1.5〜10質量部、及びポリエステル系樹脂2〜15質量部含有し、厚みは前記樹脂膜の総厚みの1/3以下、かつ2〜10μmであり、
    前記外層はポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、及び架橋アクリル微粒子12〜40質量部含有することを特徴とする、血液・ウイルスバリア性積層布帛。
  2. ポリエステル系合成繊維を含む基布の片面に樹脂膜を有する血液・ウイルスバリア性積層布帛であって、
    前記樹脂膜は内層、中層、及び外層の3層をこの順に積層してなり、かつ厚みが30〜50μmであり、
    前記内層は、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、架橋アクリル微粒子3〜15質量部、イソシアネート化合物1.5〜10質量部、及びポリエステル系樹脂2〜15質量部を含有し、
    前記内層の厚みは前記樹脂膜の総厚みの1/3以下、かつ2〜10μmであり、
    中層、及び外層は、各々、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂100質量部、及び架橋アクリル微粒子12〜40質量部を含有することを特徴とする、血液・ウイルスバリア性積層布帛。
  3. 前記外層が、さらにイソシアネート化合物1.5〜10質量部を含有することを特徴とする、請求項1に記載の血液・ウイルスバリア性積層布帛。
  4. 前記中層及び外層の各々が、さらにイソシアネート化合物1.5〜10質量部を含有することを特徴とする、請求項2に記載の血液・ウイルスバリア性積層布帛。
  5. 工業洗濯10回分と湿熱滅菌処理10回分との連続処理を1サイクルとして、10サイクル処理後に、JIS L1089 6.10に従って測定した経方向の剥離強度が4.0N/2.54cm以上であることを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の血液・ウイルスバリア性積層布帛。
  6. 工業洗濯10回分と湿熱滅菌処理10回分との連続処理を1サイクルとして、10サイクル処理後に、ASTM F 1670−08B法に従って評価した人工血液バリア性の判定が合格であることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の血液・ウイルスバリア性積層布帛。
  7. 工業洗濯10回分と湿熱滅菌処理10回分との連続処理を1サイクルとして、5サイクル処理後に、ASTM F 1671−07B法に従って評価したウイルスバリア性の判定が合格であることを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の血液・ウイルスバリア性積層布帛。
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