以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1及び図2を参照して第1実施の形態における捕獲装置10の概略構成について説明する。図1は本発明の第1実施の形態における捕獲装置10(扉22,23を開けた状態)の斜視図であり、図2は捕獲装置10(扉22,23を閉じた状態)の斜視図である。なお、図2は檻19を図示するため、パネル60の図示が省略されている。
捕獲装置10は、イノシシ、シカ、イタチ、キツネ、タヌキ等の野生動物を捕獲するために山間部近郊などに設置される装置であり、支柱11,12,13,14間に配置した扉22,23を地面から離隔して保持し、扉22,23の下を野生動物が通過して支柱11,12,13,14で囲まれた領域(捕獲領域)に進入した後、扉22,23を落下させて野生動物を捕獲する装置である。
図1及び図2に示すように捕獲装置10は、複数(本実施の形態では13本)の支柱11,12,13,14と、支柱11,12,13,14の内の隣り合う支柱間に重ねて配置される複数枚(本実施の形態では2枚)の扉22,23とを備えている。捕獲装置10は、本実施の形態では、上下が開放された平面視方形の箱状に形成されており、支柱11,13が四隅に配置され、支柱11,13の間に支柱12,14が配置されている。
支柱11,12,13,14は、並べた2本の溝形鋼を接合して形成される部材である。支柱11,12,13,14の内の隣り合う2本の支柱の上端に棒状の第1部材15(横部材)の両端が接合され、支柱11,12,13,14の内の隣り合う2本の支柱の下端に板状の第2部材16の両端が接合される。第2部材16は地面に接する部材であり、野生動物に警戒され難くするため、地面に第2部材16を埋めたり第2部材16に土や草などを被せたりして設置される。
支柱13,14間に、縦長の矩形の枠状に形成された枠部材17が配置される。枠部材17は溝形鋼により形成されており、支柱13,14に連結されている。枠部材17は、溝形鋼の溝内に扉板18の両側が挿入され、檻19の側面の矩形の開口部が下部に溶接されている。枠部材17は、矩形のベニヤ板などの木製の板状の固定板20が、檻19より上方の背面側に固定されている。檻19は、捕獲した野生動物を収容するための金属製の格子状の部材(中から外を見通すことができる)であり、支柱11,12,13,14によって囲まれた方形の領域の外側に配置されている。
扉板18は、矩形のベニヤ板などの木製の板状の部材(中から外を見通すことができない)であり、上端にロープ18aが取り付けられている。ロープ18aを緊張させて扉板18を吊り上げ、固定板20と扉板18とを重ねることで檻19の開口部が開放される。扉板18を吊り上げたロープ18aを緩めると、枠部材17内を扉板18が落下して檻19の開口部が閉鎖される。枠部材17は、檻19の上方に固定板20が固定されているので、扉板18が落下した後に枠部材17に開口ができることを防止できる。
支柱11,12,13,14の内の隣り合う2本の支柱の上部に固定板21(横部材)の両側が接合されている。固定板21は、第1部材15及び第2部材16と鉛直方向にそれぞれ間隔をあけて第1部材15と第2部材16との間に配置される板状の部材であり(例えば縦90cm、横180cm)、ベニヤ板などの木材により形成されている。固定板21は、ブラケットを介してボルト等によって支柱11,12,13,14に固定される。第1部材15と固定板21の上端との間は、磁石装置36,37の大きさ程度の間隔が設けられている。第2部材16から固定板21の下端までの高さは、野生動物に警戒され難くすると共に野生動物が固定板21の下を通って捕獲装置10に進入できるように、野生動物の目線、体高、習性等を考慮して十分な高さ(例えば約1.7m)に設定される。
扉22,23は、地面と離隔して所定の高さに保持され、落下することで上下が開放した箱状の囲いを作るための部材であり、支柱11,12,13,14の内の隣り合う2本の支柱間に重ねて配設されている。本実施の形態では、扉22,23は、矩形のベニヤ板などの木製の板状の部材により形成され(縦90cm、横180cm)、支柱11,12,13,14を形成する溝形鋼の溝内に扉22,23の両側が挿入されている。
扉22,23は、扉22,23の下端が地面から離隔された(扉22,23を開けた)保持位置(地面から扉22,23の下端までの高さ約1.7m)において(図1参照)、固定板21の外面に重ねて配置される。支柱11,12,13,14に沿って扉22,23が落下した(扉22,23を閉じた)落下位置において(図2参照)、扉23は扉22の下方に位置する。扉23は、外面に横桟24が設けられている。横桟24は、落下位置にある扉23を保持位置まで押し上げるときに、捕獲装置10を設置する作業者が使う持ち手である。
本実施の形態では、支柱11,12,13,14は茶色に、扉23の外面、固定板21及び扉22は緑色に着色されている。捕獲装置10を樹木の色合いに似せることができるので、山間部近郊などに設置された捕獲装置10の視覚的な違和感を軽減できる。扉23の内面(捕獲された野生動物が視認できる面)は、固定板21及び扉22とは異なる色に着色されている。特に野生動物が忌避する色に扉23の内面が着色されたり、野生動物が忌避する模様や絵が扉23の内面に表示されたりすると、扉22,23の内側に捕獲された野生動物を扉23に突進させ難くできるので好ましい。
捕獲装置10は、複数のパネル30,40,50,60、枠部材17及び檻19の結合により組み立てられている。パネル30,40,50は左右方向の長さ(横幅)が互いに同一であり、パネル60は、枠部材17(檻19)の分だけ、パネル30,40,50より横幅が狭く作られている。
図3を参照して捕獲装置10を構成するパネル30,40,50,60について説明する。図3はパネル30(扉22,23を開けた保持位置にあるとき)の正面図である。パネル40,50,60は、パネル30と同様に構成されているので、パネル30と同一の部分については同一の符号を付して説明する。図3に示すようにパネル30は、扉22,23の両側を支持する一対の柱31,32を備えている。柱31,32は、柱31,32間に架け渡された第1部材15及び第2部材16により柱31,32間の間隔が保持される。
パネル30は、柱31の高さ方向の複数箇所に設けられた第1連結部33により、パネル50の柱32の高さ方向の複数箇所に設けられた第2連結部54(図1参照)に連結される。またパネル30は、柱32の高さ方向の複数箇所に設けられた第2連結部34により、パネル40の柱31の高さ方向の複数箇所に設けられた第1連結部43(図1参照)に連結される。第1連結部33は、柱31の正面に固着されると共に前方へ向かって水平に突出する平板状の部材であり、第2連結部34は、柱32の正面に固着されると共に前方および左右方向外側へ向かって水平に突出する平板状の部材である。
第1連結部33及び第2連結部34は、第1連結部43及び第2連結部54に対して、第2部材16からの高さをそれぞれ板厚分だけ異ならせて柱31,32に配置されている。従って、パネル50の隣にパネル30を配置して第1連結部33と第2連結部54とを重ねることができ、パネル40の隣にパネル30を配置して第1連結部43と第2連結部34とを重ねることができる。第1連結部33及び第2連結部34、並びに、第1連結部43及び第2連結部54は、それらを重ね合わせたときの対応する位置に、板厚方向に貫通する孔部(図示せず)がそれぞれ形成されている。孔部にボルト35をそれぞれ螺着することにより、第1連結部33及び第2連結部54が連結され、第1連結部43及び第2連結部34が連結される。
第1連結部33及び第2連結部54を介して結合された柱31,32により支柱11が形成され、第1連結部43及び第2連結部34を介して結合された柱31,32により支柱12が形成される。なお、パネル40とパネル50、パネル40とパネル60、枠部材17(檻19)とパネル60、枠部材17(檻19)とパネル30とは、いずれもパネル40又はパネル50とパネル30との間と同様に連結される。支柱13,14は、それぞれパネル30と枠部材17との連結、パネル60と枠部材17との連結によって形成される。
パネル30は、扉22,23を第2部材16から離隔した状態に保持する磁石装置36,37(落下装置の一部)が、第1部材15の長手方向の中央に並んで配置されている。磁石装置36,37は下面に被吸着部38,39の吸着面が形成された略円柱状の装置であり、吸着面付近に配置された永久磁石(図示せず)と電磁石(図示せず)とを備えている。電磁石はコイルが巻回されたコアを備え、コアは、吸着面付近の永久磁石の磁極と異なる永久磁石の面に吸着されている。各永久磁石は、扉22,23をそれぞれ支持できるだけの磁場の強さに設定されており、コイルは、電磁石が作る磁界の向きが永久磁石の磁場を弱める向きに巻回されている。磁石装置36,37は、遠隔操作される無線式の電源スイッチ(落下装置の一部、図示せず)が接続されており、遠隔操作によって電源スイッチが作動されるとコイルに通電される。磁石装置36,37は非通電時に永久磁石が被吸着部38,39を吸着し、通電時に永久磁石の磁場が弱まり、被吸着部38,39を吸着する吸着力が低下する。
図4から図6を参照してパネル30の構造について説明する。図4は図3のIV−IV線におけるパネル30(扉22,23が保持位置にあるとき)の断面図であり、図5はパネル30(扉22,23が落下位置にあるとき)の正面図である。
図4及び図5に示すように扉22,23は、磁石装置36,37の吸着面を吸着する磁性体からなる被吸着部38,39が上端にそれぞれ配置されている。本実施の形態では、扉22,23は、鉛直方向の長さが、固定板21と同じ長さ(鉛直方向の長さ)に設定されている。磁石装置36,37は通電されると吸着力が低下し、その瞬間に扉22,23は自重で落下し始めるので、磁石装置36,37への通電は短時間で良い。よって、扉22,23を保持位置に固定し、任意に扉22,23を落下させるために磁石装置36,37へ供給する電力量を小さくできる。
また、落下する扉22,23に被吸着部38,39が取り付けられる一方、第1部材15に磁石装置36,37が取り付けられているので、磁石装置36,37の配線(図示せず)を第1部材15に固定することができる。落下する扉22,23に磁石装置が取り付けられる場合には、落下の衝撃等によって断線等が生じ易くなるところ、本実施の形態によれば、第1部材15に磁石装置36,37の配線が固定されるので、断線等を生じ難くすることができる。
図4及び図6に示すように柱31は、扉22の下方に位置する長手方向の中央に、第2部材16と距離を設けて、対向する柱32へ向かって延びる突起25が突設されている。同様に柱32は、対向する柱31へ向かって延びる突起(図示せず)が、突起25と同じ高さに突設されている。互いに対向する一組の突起25間の間隔は、扉22の左右方向の長さ(幅)より狭く設定されている。従って、磁石装置36への通電によって落下する扉22は、突起25に下端が当接して突起25の位置で停止する(図4参照)。柱31,32は、扉23の落下を制限する突起25が扉23の下方に設けられていないので、磁石装置37への通電によって落下する扉23は、第2部材16(地面)の位置で停止する(図5及び図6参照)。
図6に示すように突起25は、第2部材16から突起25までの高さ(柱31の長手方向における距離)が、扉23の高さ以下に設定されている。また突起25は、突起25から固定板21の下端までの高さ(柱31の長手方向における距離)が、扉22の高さ以下に設定されている。これにより、磁石装置36,37に通電して落下した扉22,23は厚さ方向に一部が互いに重なるので、地面と固定板21との間に中から外を見通すことのできない塀を形成する。
図4及び図6に示すように扉23は、扉22へ向かって張り出す第1張出部26が背面に設けられており、扉22は、扉23へ向けて張り出す第2張出部27が前面に設けられている。第1張出部26は、鉛直方向において第2張出部27と重なる大きさに形成されており、第2張出部27より鉛直方向下側に位置する。扉22,23が落下した後、横桟24を利用して設置者が扉23を開ける(押し上げる)と、第1張出部26が第2張出部27を押し上げるので、扉22も扉23と一緒に開ける(押し上げる)ことができる。
次に捕獲装置10の組立方法について説明する。捕獲装置10を山間部近郊などに設置する者は、複数のパネル30,40,50,60と、枠状体17が溶接された檻19とをトラック等の車両に積載して搬送する。パネル30,40,50,60、枠状体17及び檻19は車両に積載できる程度の大きさ(横幅)に作られている。また、落下する扉22,23が2つに分けられているので、扉が分割されていない場合と比較して、扉22,23を支持する柱31,32の長さを短くできる。よって、車両によるパネル30,40,50,60、枠状体17及び檻19の運搬を可能にできる。扉22,23に配置された被吸着部38,39が磁石装置36,37に吸着されると扉22,23は固定されるので、運搬中に扉22,23がスライドすることを防止できる。
設置場所で車両からパネル30,40,50,60、枠状体17及び檻19を降ろした後、第1連結部33,43や第2連結部34,54を用いてパネル30,40,50,60及び枠状体17(檻19)を連結し、支柱11,12,13,14を形成し、平面視多角形状の囲いを作る。檻19の開口部は扉板18で閉鎖しておく。パネル30,40,50,60及び枠状体17(檻19)の連結によって捕獲装置10の囲いができるので、支柱11,12,13,14や扉22,23等を構成する資材を現地で組み立てるものと比較して、組立作業性に優れる。
次いで、磁石装置36,37に無線式の電源スイッチ(図示せず)を接続する。捕獲装置10の囲いの内外に1台ずつカメラ(図示せず)を設置し、捕獲装置10に近づいた野生動物を検出する赤外線センサ(図示せず)を設置する。赤外線センサの検出信号の入力があると設置者に通報される。カメラで撮影された映像は無線通信によって信号が送信され、捕獲装置10から離れた場所に設置されたモニタ(図示せず)で映像化される。設置者は、捕獲装置10から離れた場所に設置されたモニタで捕獲装置10の内外の様子を監視できる。
次に捕獲装置10の使用方法について説明する。捕獲装置10は、支柱11,12,13,14で囲まれた領域(捕獲領域)内に餌が置かれ、扉22,23を地面から離隔した(開いた)状態で野生動物の進入を待つ。設置者は、赤外線センサの検出信号による通報があると、モニタ(図示せず)を見て、捕獲装置10の内外の野生動物の数と行動とを確認しながら、タイミングを見計らって無線式の電源スイッチ(図示せず)を作動する。電源スイッチが入って磁石装置36,37に通電されると扉22,23が瞬時に落下する。野生動物は扉22,23、固定板21及び扉板18に囲まれ捕獲される。捕獲された野生動物は扉22,23、固定板21及び扉板18に遮られて外を見ることができないので、習性で、扉22,23、固定板21及び扉板18への突進などを試みることがない。よって、扉22,23、固定板21及び扉板18の損傷を防止できる。
捕獲後、ロープ18aを使い、扉板18を吊り上げて檻19の開口部を開けると視界が開かれるので、そこから逃げられると錯覚した野生動物は、自ら檻19の中へ移動する。設置者は、扉板18を下ろして檻19の開口部を閉じた後、安全に檻19の外から止め刺しができる。また、扉板18を下ろして檻19の開口部を閉じた後、枠状体19を取り外せば、野生動物が収容された檻18を移動させることができる。
この捕獲装置10によれば、支柱11,12,13,14で囲まれた領域内に進入した野生動物を囲む塀を、重ねた複数の扉22,23の位置を上下にずらして作るので(図5及び図6参照)、扉22,23で作る塀と同じ高さの塀を一枚の扉で作る捕獲装置(以下「従来の捕獲装置」と称す)に比べて、地面から離隔された扉22,23の上端の高さ(全高)を低くできる。地面から離隔した状態における扉22,23の下端の高さと、従来の捕獲装置の扉の下端の高さとを同じにすれば、捕獲装置10は、扉22,23の上端の高さを、従来の捕獲装置の扉の縦寸法と扉22,23の縦寸法との差分だけ低くできるからである。山間部近郊などに設置された扉22,23の上端の高さ(全高)を低くできるので、圧迫感を低減できる。また、全高を低くして風の影響を受け難くできるので、強風で支柱11,12,13,14や扉22,23が損傷したり捕獲装置10が倒壊したりすることを抑制できる。
扉22,23の上端の高さを低くできるので、扉22,23を支持する柱31,32の長さも、従来の捕獲装置と比較して、その分だけ短くできる。柱31,32を短くできるので、車両によるパネル30,40,50,60の搬送性や捕獲装置10の組立作業性を向上できる。
また、地面から離隔した状態における扉22,23の上端の高さと、従来の捕獲装置の扉の上端の高さとが同じであれば、捕獲装置10は、扉22,23の下端の高さを、従来の捕獲装置の扉の縦寸法と扉22,23の縦寸法との差分だけ、従来の捕獲装置の扉の下端より高くできる。地面から扉22,23の下端までの距離を大きくできるので、見通しを良くすることができ、扉22,23を野生動物の視野に入れ難くできる。野生動物に圧迫感を与え難くできるので、警戒心の強いイノシシやシカ等の野生動物が、支柱11,12,13,14で囲まれた領域(捕獲領域)内へ進入し易くできる。
扉22,23は、磁石装置36,37の吸着力が低下すると静かに落下を開始するので、扉22,23が落下して地面に接地するまでの間に、捕獲装置10が発生する音に驚いた野生動物が扉22,23の下を潜って逃げ出すことを防止できる。よって、支柱11,12,13,14で囲まれた領域(捕獲領域)内へ進入した野生動物の取り逃がしを防止できる。
扉22,23が磁石装置36,37に吸着された状態では、扉23は固定板21及び扉23に重なっているので、固定板21及び扉23に遮られて、捕獲領域の内側から扉23は視認できない。磁石装置36,37に通電して扉22,23を落下させると、捕獲領域の内側から扉23を視認できるようになる。扉22,23が落下すると、固定板21及び扉22と異なる色に着色された扉23の内面(捕獲された野生動物が視認できる面)が突然現れるので、捕獲領域内の野生動物を驚かせることができる。その結果、捕獲領域内の野生動物に扉23への突進を躊躇させることができる。
次に図7を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、パネル30,40,50,60及び枠状体17で囲まれた矩形枠体の上部が開放される場合について説明した。これに対し第2実施の形態では、パネル30,40,50,60及び枠状体17で囲まれた矩形枠体の上部が網状体73で覆われる捕獲装置70について説明する。なお、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図7は第2実施の形態における捕獲装置70の斜視図である。
図7に示すように捕獲装置70は、複数の支柱11,12,13,14と、支柱11,12,13,14の内の隣り合う支柱間に重ねて配設される複数枚(本実施の形態では2枚)の扉22,23とを備え、パネル30,40,50,60及び枠状体17の連結によって平面視矩形状に形成されている。
捕獲装置70は、3本の支柱11を作るパネル30,50間、支柱13を作るパネル30,60間をそれぞれ斜交いに横切る4本の棒状の補強材71が、第1部材15に固定されている。補強材71がパネル30,50,60に固定されているので、パネル30,50やパネル30,60のなす角(略90°)を保持できる。その結果、扉22,23等に外力が加わったときのパネル30,50,60同士の連結部分(第1連結部33等)の変形等を防止できるので、捕獲装置70の破損を防止できる。
捕獲装置70は、互いに対向するパネル40間を連結する4本の棒状の補強材72が、第1部材15に固定されている。補強材72がパネル40に固定されているので、パネル40間の距離を保持できる。その結果、扉22,23等に外力が加わったときのパネル40の連結部分(第2連結部34等)の変形等を防止できるので、捕獲装置70の破損を防止できる。
網状体73は、柔軟性のある糸等が格子状に結び付けられたネット(結節網)であり、パネル30,40,50,60の上端の第1部材15及び枠状体17の上辺に周囲が固定され、中央部分が補強材71,72の上に載せられている。パネル30,40,50,60及び枠状体17で囲まれた矩形枠体の上部が網状体73によって覆われるので、サル等の野生動物が固定板21、扉22,23をよじ登って逃げ出すことを防止できる。また、補強材71,72により、パネル30,40,50,60に囲まれた領域内に柔軟な網状体73が垂れ下がることを防止できるので、垂れ下がった網状体73を野生動物が破ってしまうことを防止できる。
次に図8から図14を参照して第3実施の形態について説明する。第1及び第2実施の形態では、扉22,23毎に磁石装置36,37が設置される場合について説明した。これに対し第3実施の形態では、一つの磁石装置94(落下装置90)が複数の扉22,23を支持する場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図8は第3実施の形態における捕獲装置を構成するパネル80(扉22,23が落下位置にあるとき)を捕獲領域の外側から見た斜視図であり、図9は捕獲領域の内側から見たパネル80(扉22,23が保持位置にあるとき)の斜視図である。パネル80は、第1及び第2実施の形態で説明した捕獲装置10,70のパネル30,40,50,60に代えて設置される。なお、図8では隣り合うパネル80同士を連結する第1連結部33及び第2連結部34の図示が省略されている(図9、図11において同じ)。
図8に示すようにパネル80は、柱31,32を形成する溝形鋼の溝内に、扉22,23の厚さ方向の遊びを伴って、扉22,23の両側が挿入されている。パネル80は、扉22の上縁に張出部81が設けられている。張出部81は、固定板21と反対の方向(パネル80の厚さ方向)へ向かって扉22の両側から突出する板状の部材である。張出部81は、扉23から迫り出すように、扉22からの突出長さが扉22と扉23との隙間より大きく設定されている。
扉23は、上縁の中央に係止部82が設けられている。係止部82は、落下装置90に吊り下げられる板状の部材であり、扉23の外面に下部が固定され、扉23の上縁から上方へ向かって突出している。係止部82は、扉22側(扉23の内面側)の斜め下方へ向けて突出する爪83が上端に設けられている。爪83は、落下装置90に係合する部位である。
図9に示すように落下装置90は、扉22,23を第1部材15側に落下可能に保持するための装置である。第2部材16は、柱31,32を繋ぐ保護板84が設けられている。保護板84は、第2部材16の奥行方向(第2部材16の短手方向)の中央から第1部材15へ向けて突出する帯状の部材である。扉23が落下した状態では、保護板84は、扉23の内側(図9紙面奥側)に位置する。
柱31,32は、扉22の下方に位置する長手方向の中央に、第2部材16と距離を隔てて、それぞれ対向する柱31,32へ向かって突出する突起85が設けられている。突起85は、扉22の落下位置を規定して、扉23の落下位置(高さ)と扉22の落下位置とを異ならせるための部材であり、落下した扉22の下端が上面に当接する。突起85は、柱31,32の内側(図9紙面奥側)から外側(扉23側)へ向かうにつれて下降する傾斜面が上面に形成されている。突起85の上面に傾斜面が形成されており、柱31,32(溝形鋼)の溝内に扉22の厚さ方向の遊びを伴って扉22の両側が挿入されているので、突起85で停止した扉22は、柱31,32の内側(図9紙面奥側、固定板21側)へ向けて上端側が傾斜する。
図10を参照して落下装置90について説明する。図10は落下装置90の正面図であり、扉22,23を保持位置に保持した状態が図示されている。落下装置90は、第1部材15に取り付けられる台部91と、台部91に固定される磁石装置94と、係止部82を吊り下げるアーム95とを備えている。台部91は、フランジ92及びウェブ93からなる山形鋼により形成されており、第1部材15の側面(図10紙面手前)にウェブ93が溶接され、磁石装置94がフランジ92の上面に取り付けられている。磁石装置94は、磁性体からなる被吸着部101を吸着する装置である。
磁石装置94は、上面に吸着面が形成された略円柱状の装置であり、吸着面付近に配置された永久磁石(図示せず)と電磁石(図示せず)とを備えている。電磁石はコイルが巻回されたコアを備え、コアは、吸着面付近の永久磁石の磁極と異なる磁極をもつ永久磁石の面に吸着されている。永久磁石は、扉22,23を支持できるだけの磁場の強さに設定されており、コイルは、電磁石が作る磁界の向きが永久磁石の磁場を弱める向きに巻回されている。よって、磁石装置94は非通電時に永久磁石が被吸着部101を吸着し、通電時に永久磁石の磁場が弱まり、被吸着部101を吸着する吸着力が低下する。
アーム95は第1端96及び第2端97を備える直線の棒状の部材であり、ウェブ93に設けられた支点105に、アーム95の中央下部に設けられた支点受け104が支持されている。支点105は、フランジ92と平行となるように配置されている。支点105は、回転方向の遊びを伴って(支点受け104と支点105との間に隙間(遊び)を有して)アーム95を支持する。アーム95は、磁石装置94が被吸着部101を吸着した状態で、上面が略水平となるように配置されている。
第1端96は、係止部82の上端に形成された爪83に係合する部位であり、第2端97は、被吸着部101が配置される部位である。第2端97に孔部98が形成されている。孔部98の方向は支点105と平行である。孔部98は、固定部100に設けられた軸99が挿入される部位である。固定部100は被固着部101が固定される断面L形の部材であり、軸99が設けられている。軸99の向きは支点105の向きと平行である。軸99は固定部100(被吸着部101)を揺動可能に支持する。
被吸着部101は磁性体で形成された有底円筒状の部材であり、底部102の第1面が固定部100に固着されている。底部102の第1面と反対側の第2面が、磁石装置94の吸着面に吸着される。側部103は、底部102の周りから第2面側へ突出する筒状の部位であり、底部102を磁石装置94が下方から吸着したときに磁石装置94の側方(周囲)に配置される。
アーム95は、支点105から第1端96側の第1部分106と、支点105から第2端97側の第2部分107とからなる。第2部分107は、アーム95の第2端97に吊り下げられた固定部100及び被吸着部101とアーム95とを備えている。第1部分106及び第2部分107は、外力が付与されない状態で、第2部分107が傾くように第1部分106及び第2部分107のつり合いが設定されている。即ち落下装置90は、第1部分106を支点105回りに回転させる力のモーメントを、第2部分107を支点105回りに回転させる力のモーメントより小さくするように支点105の位置が設定されている。また、第2部分107の長さは、第1部分106の長さより大きく設定されている。
次に落下装置90の動作について説明する。磁石装置94は非通電時に被吸着部101を吸着し、アーム95を略水平に維持するので、アーム95の第1端96に爪83を係合させることができる。爪83がアーム95に係合して扉23の係止部82がアーム95に吊り下げられた状態では、扉23が張出部81(図9参照)を支持するので、張出部81によって扉22が吊り下げられる。磁石装置94に通電すると磁石装置94の磁場が弱まるので、磁石装置94が被吸着部101を吸着する吸着力が低下し、扉22,23の荷重によって支点105回りにアーム95が傾く。アーム95の傾きが大きくなると第1端96から爪83が滑り落ちるので、重力によって扉22,23が落下する。爪83が外れたアーム95は、支点105回り(図10反時計回り)に回転する。
爪83がアーム95から外れると、第1部分106と第2部分107とのつり合いにより、磁石装置94が被吸着部101を吸着しなくても(アーム95に外力を付与しない状態で)、アーム95は回転方向を変える(図10時計回り)。アーム95の回転に伴い磁石装置94に被吸着部101が近づくので、非通電時に磁石装置94が被吸着部101を吸着する。
この落下装置90によれば、重ねて配置される扉23へ向けて扉22から張出部81が張り出し、張出部81により扉22,23は鉛直方向に干渉する。磁石装置94は、保持位置にある扉22,23のうち鉛直方向の最も下に位置する扉23を支持し、通電により吸着力が弱まり扉22,23を落下させるので、扉22,23の保持と落下とを容易に行うことができる。扉22,23を一つの磁石装置94で支持するので、扉22,23の数に比べて磁石装置94の数を少なくできる。磁石装置94の数を少なくできる分、磁石装置94に要するコストを削減できる。
アーム95を介して扉22,23の荷重を支点105及び磁石装置94が分けて支えるので、扉22,23の全ての荷重を磁石装置が支える場合に比べて、磁石装置94が支持しなければならない荷重を小さくできる。扉22,23の全ての荷重を支える場合には吸着力の大きな磁石装置が必要となるが、支点105を設けることにより、落下装置90は簡易な構造で大きな荷重を支えることができる。磁石装置94は過大な吸着力が要求されないので、磁石装置94を小型化できる。
第2部分107は第1部分106より長いので、第1部分106が第2部分107より長い場合に比べて、磁石装置94は小さい力で扉22,23を支えることができる。磁石装置94に要求される吸着力を小さくできるので、磁石装置94を小型化できる。
磁石装置94の通電時に、アーム95を傾けて第1端96から扉22,23を重力によって落下させるので、作動音を生じ難くできる。アーム95から扉22,23が落下した後は、第1部分106と第2部分107とのつり合いにより、アーム95に外力を付与しなくても、磁石装置94に被吸着部101が近づくようにアーム95は回転する。磁石装置94は非通電時に被吸着部101を吸着して、扉22,23の保持位置にアーム95を静止させる。アーム95に外力を付与しなくてもアーム95を初期位置(扉22,23を上方に設置できる位置)に復元できるので、扉22,23を上方に設置するときの作業性に優れる。
アーム95から扉22,23が落下すると、磁石装置94に被吸着部101が近づくようにアーム95は回転し、磁石装置94は非通電時に被吸着部101を吸着する。磁石装置94の吸着面は、アーム95から扉22,23を落下させるときに露呈し、扉22,23を落下させた直後に被吸着部101(底部102)に覆われる。磁石装置94の吸着面が露呈する時間を短くできるので、吸着面にゴミや埃等の異物が付着することを抑制できる。
被吸着部101は、底部102の周りから筒状の側部103が突出する。磁石装置94が底部102を下方から吸着したときに磁石装置94の側方に側部103が配置されるので、磁石装置94に被吸着部101を被せることができる。磁石装置94の上にゴミや埃等の異物が積もることを側部103が防ぐので、吸着面と被吸着部101との間に介在する異物により吸着力が低下することを抑制できる。
落下装置90はアーム95の第2端97に軸99が設けられる。軸99は被吸着部101を揺動可能に支持するので、磁石装置94に対する被吸着部101(底部102)の角度を調整できる。磁石装置94の吸着面に正対するように被吸着部101(底部102)の角度が勝手に調整されるので、磁石装置94に被吸着部101を強固に吸着できる。磁石装置94の吸着面に対して垂直方向へ底部102が引きはがされるように吸着するときが、吸着力を最も大きくできるからである。
支点105は回転方向の遊び(支点受け104と支点105との隙間)を伴ってアーム95(支点受け104)を支持するので、遊びの分だけ磁石装置94に対する被吸着部101(底部102)の角度を調整できる。磁石装置94の吸着面に正対するように被吸着部101(底部102)の角度が勝手に調整されるので、磁石装置94に被吸着部101を強固に吸着できる。
扉22,23が落下すると、柱31,32間の開口が固定板21及び扉22,23で塞がれる。図11は内面側から見たパネル80(扉22,23が落下位置にあるとき)の斜視図である。図11に示すようにパネル80は、落下位置において扉23の内面側に保護板84が配置されている。落下した扉23は下端が第2部材16に突き当り、保護板84は第2部材16から上方へ向かって突出しているので、扉22,23に取り囲まれて捕獲された野生動物は、保護板84に遮られて扉23の下端と第2部材16との間に鼻や手足等を差し込むことができない。よって、野性動物が鼻や手足等を使って扉23を持ち上げられないようにできる。
パネル80は、扉22の内面の上端付近に干渉部110が設けられている。干渉部110は三角柱状の部材であり、扉22の幅方向の両側の2か所に配置されている。干渉部110は、鉛直方向の最上に位置する上端面が扉22から最も突出し、上端面から鉛直下方へ向かうにつれて扉22に近づく傾斜面を有している。干渉部110は、扉22が落下するときに固定板21に当たらないように、扉22からの突出高さが設定されている。扉22の落下を干渉部110及び固定板21が妨げないようにするためである。
扉22は、突起85に下端が当接すると、柱31,32の内側(図11紙面手前側、固定板21側)へ向けて上端側が傾斜し、干渉部110は固定板21の鉛直下方に位置する。扉22,23に取り囲まれて捕獲された野生動物が逃げようとして、鼻や手足を使って扉22を持ち上げようとしても、扉22の上端側を固定板21から遠ざけるようにしないと干渉部110が固定板21に突き当たる。よって、扉23を持ち上げ難くして野生動物を逃がさないようにできる。
図11に示すように、固定板21は下端に保持体111が設けられている。保持体111は、支軸112により固定板21の下端面に回転可能に取り付けられており、上面に凸部113が設けられている。凸部113は、保持体111の上面から鉛直上方へ向けて突出する部位であり、凸部113が固定板21に干渉して保持体111が支軸112回りに回転できる範囲が制限される。
図12から図14を参照して保持体111の使用方法について説明する。図12は野生動物を捕獲するときのパネル80の平面図であり、図13は扉22,23を保持位置にするときのパネル80の平面図であり、図14は扉22,23が保持位置にあるときのパネル80の平面図である。
図12に示すように、保持体111は平面視が横長の矩形状の部材であり、保持体111の短手方向の寸法は、固定板21の厚さより大きく設定されている。支軸112は、保持体111の長手方向の中心から一端側にずれた短手方向の中心の位置に設けられている。保持体111は、保持体111の他端側の長手方向の寸法が、固定板21及び扉22,23を重ねた寸法(厚さ)より大きく設定されている。凸部113は、保持体111の一端側の頂点付近に設けられている。
野生動物を捕獲するとき(捕獲領域に野生動物が入るのを待つ間)は、扉22,23は上方の保持位置に設置される。捕獲領域に野生動物が入ると扉22,23を落下させて捕獲するので、扉22,23の落下を妨げないように、保持体111は固定板21の下に退避させておく。保持体111の一端側の頂点付近に凸部113が設けられているので、凸部113を固定板21に当てて保持体111の位置を規制できる。
扉22,23を落下させて野生動物を捕獲し、捕獲した野性動物を処理した後は、次の野生動物を捕獲する準備のため、扉22,23を持ち上げて落下装置90に固定する。扉22,23を一括して持ち上げることは可能であるが、一枚ずつ持ち上げた方が作業は楽である。まず、落下した扉22の上端側の干渉部110を固定板21から遠ざけるようにしながら、扉22を持ち上げる。保持体111の上方まで扉22の下端を持ち上げた後、図13に示すように、凸部113が固定板21に当たるまで支軸112回りに保持体111を回転させ、扉22を保持体111の上に乗せる。落下装置90の代りに、保持体111により扉22を保持できる。
次に扉23を持ち上げる。保持体111の上方まで扉23の下端を持ち上げた後、図14に示すように、保持体111が固定板21に略直交するように支軸112回りに保持体111を回転させ、扉22,23を保持体111の上に乗せる。落下装置90が扉23を保持するまで、保持体111により扉22,23を保持できる。
扉23に取り付けられた係止部82の爪83を落下装置90のアーム95に引掛けると、扉23は落下装置90に吊り下げられる。扉22は張出部81により扉23に吊り下げられる。図12に示すように、凸部113が固定板21に当たるまで支軸112回りに保持体111を回転させ、扉22,23が乗った保持体111を取り去る。これにより野生動物を捕獲する準備が整う。落下装置90に通電すると、扉22,23は落下する。
以上のように支軸112で固定板21に保持体111が取り付けられるので、落下装置90が扉22,23を支持するまでの間、扉22,23を保持体111に仮置きできる。昼間など捕獲装置を使わないときは、扉22,23を保持体111の上に乗せておけば、万が一、落下装置90が誤動作して磁石装置94の吸着力が低下しても扉22,23の落下を防止できる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。扉22,23の大きさ等は当然のことながら適宜設定できる。また、2枚の扉22,23を落下させる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、扉を3枚以上にすることは当然可能である。
第1実施の形態では磁石装置36,37を用いて扉22,23を落下させる落下装置を備える場合、第2実施の形態では磁石装置94が配置された落下装置90を備える場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の落下装置を用いることは当然可能である。他の落下装置としては、例えば特許文献1に記載された装置(ロープで扉を吊り上げた状態で保持し、ロープを放して扉の自重で落下させる装置)が挙げられる。
上記第1実施の形態では、磁石装置36,37を第1部材15に取り付け、被吸着部38,39(磁性体)を扉22,23に取り付ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、磁石装置36,37に代えて電磁石を第1部材15に取り付け、被吸着部38,39に代えて永久磁石を扉22,23に取り付けることは当然可能である。この場合は、電磁石への通電によってコアの端面に発生する極と同極の面が、コアの端面と当接するように永久磁石を配置することで、吸着のときの電力消費をなくすことができる。
上記第1実施の形態では、磁石装置36,37を第1部材15に取り付け、被吸着部38,39を扉22,23にそれぞれ取り付ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。磁石装置36を省略すると共に、被吸着部38に代えて扉22に張出部81(図8参照)を設けることは当然可能である。磁石装置37に通電することで扉23を落下させ、張出部81を介して扉23に支持された扉22も一緒に落下させることができるからである。これにより磁石装置36及び被吸着部38を省略できるので、その分だけコストを削減できる。
上記各実施の形態では、扉23の落下を規制する落下規制部として、柱31,32の互いに対向する面に設けた突起25の場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の落下規制部を採用することは当然可能である。他の落下規制部としては、長さを規制したロープやワイヤ等の線状体で扉23の上部と第1部材15との間を繋ぐもの、下方へ向かって延びる脚を扉23の左右両側の下端に設けるもの等が例示される。これらの場合も、線状体や脚の長さを適宜設定することで、扉23の落下量(地面からの扉23の高さ)を規制できる。
上記各実施の形態では、パネル30,40,50,60,80によって捕獲装置10,70を組み立てる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。予め組み立てられたパネル30,40,50,60,80を使わずに、支柱11,12,13,14や扉22,23等を構成する資材を現地へ運び込んで、現地で捕獲装置10,70を組み立てることは当然可能である。
上記各実施の形態では、パネル30,40,50,60,80、枠状体17に設けた第1連結部33,43、第2連結部34,54等を、ボルト35を用いて連結する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。クランプ等の結合金具やピン等を用いて第1連結部33,43、第2連結部34,54等を連結することは当然可能である。また、第1連結部33,43、第2連結部34,54等を使わずに、大きめのクランプ等の結合金具を使って柱31,32同士を結合することは当然可能である。
上記各実施の形態では、捕獲装置10,70の内外に設置されたカメラ(図示せず)が撮影した映像を監視した人が、無線式の電源スイッチ(図示せず)を作動させて扉22,23を落下させる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。捕獲装置10,70の内外に設置されたカメラやセンサによって捕獲装置10の内外の野生動物の数と行動とを検出し、その検出結果を用いて制御装置により磁石装置36,37や磁石装置94に通電して扉22,23を落下させることは当然可能である。
上記第2実施の形態では、網状体73が結節網の場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ラッセル網等の無結節網、綟子網、織網、紗等を用いることは当然可能である。
上記第3実施の形態では、扉22,23が2枚の場合に、落下した扉22の干渉部110が上方に位置する固定板21に干渉する場合について説明した。扉が3枚以上の場合には、落下した扉の干渉部110が、その扉よりも上方に位置する扉に干渉するようにすれば良い。
上記実施の形態で説明した捕獲装置10,70は、入口を有する囲い罠の一種であり、全方位に入口が設けられるものである。第3実施の形態で説明した落下装置90は、その入口を開閉する扉23を落下する装置である。しかし、落下装置90が対象とする落下体は、必ずしも扉23に限られるものではなく、他の落下体を対象にすることは当然可能である。他の落下体としては、例えば、一般的な囲い罠の入口を開閉する扉、地面に対向するように所定の高さに設置された捕獲ネットが挙げられる。