以下、本発明を実施するための形態(以下「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
≪第1実施形態≫
≪冷媒切替弁を用いる機器(冷蔵庫)の構成≫
まず、第1実施形態に係る冷媒切替弁60(図10等参照)を説明する前に、第1実施形態に係る冷媒切替弁60(図10等参照)を備える機器として、冷蔵庫を例に、図1から図4を用いて説明する。
図1は、本実施形態の冷蔵庫を前方から見た正面外形図である。図2は、冷蔵庫の庫内の構成を表す図1におけるE−E断面図である。図3は、冷蔵庫の庫内の構成を表す正面図である。図4は、図2の要部拡大説明図である。
図3に示すように、本実施形態の冷蔵庫本体1は、上方から、冷蔵室2と、左右に並べた製氷室3および上段冷凍室4と、下段冷凍室5と、野菜室6と、を有している。なお、一例として、冷蔵室2および野菜室6は、およそ3〜5℃の冷蔵温度帯の貯蔵室である。
また、製氷室3、上段冷凍室4および下段冷凍室5は、およそ−18℃の冷凍温度帯の貯蔵室である。
図1に示すように、冷蔵室2は、前方側に、左右に分割された観音開き(いわゆるフレンチ型)の冷蔵室扉2a、2bを備えている。また、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6は、それぞれ引き出し式の製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、野菜室扉6aを備えている。なお、以下の説明において、冷蔵室扉2a、2b、製氷室扉3a、上段冷凍室扉4a、下段冷凍室扉5a、野菜室扉6aを、単に扉2a、2b、3a、4a、5a、6aと称する場合がある。
また、冷蔵庫本体1は、扉2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉状態をそれぞれ検知する扉センサ(図示せず)と、各扉2a、2b、3a、4a、5a、6aが開放していると判定された状態が所定時間(例えば、1分間以上)継続された場合に、使用者に報知するアラーム(図示せず)と、冷蔵室2の温度設定や上段冷凍室4や下段冷凍室5の温度設定をする温度設定器(図1の操作部および表示部を備えるコントロールパネル40)等を備えている。
図2に示すように、冷蔵庫本体1の庫外と庫内は、内箱10aと外箱10bとの間に発泡断熱材(発泡ポリウレタン)を充填することにより形成される断熱箱体10により隔てられている。また、冷蔵庫本体1の断熱箱体10は複数の真空断熱材14を実装している。
庫内は、温度帯の異なる上下方向に配置された複数の貯蔵室が、断熱仕切壁11a、11bで断熱的に区画されている。即ち、上断熱仕切壁11aにより、冷蔵温度帯の貯蔵室である冷蔵室2と、冷凍温度帯の貯蔵室である上段冷凍室4および製氷室3(図1参照、図2中で製氷室3は図示されていない)とが隔てられている。また、下断熱仕切壁11bにより、冷凍温度帯の貯蔵室である下段冷凍室5と、冷蔵温度帯の貯蔵室である野菜室6とが隔てられている。
図2に示すように、冷蔵室扉2a、2bの庫内側には複数の扉ポケット13が備えられている。また、冷蔵室2は複数の棚12により縦方向に複数の貯蔵スペースに区画されている。
また、上段冷凍室4、下段冷凍室5および野菜室6は、それぞれの貯蔵室の前方に備えられた扉4a、5a、6aの後方に、収納容器4b、5b、6bがそれぞれ設けられている。そして、扉4a、5a、6aの図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより、収納容器4b、5b、6bが引き出せるようになっている。図1に示す製氷室3にも同様に、扉3aの後方に、収納容器(図2中(3b)で表示)が設けられ、扉3aの図示しない取手部に手を掛けて手前側に引き出すことにより、収納容器3bが引き出せるようになっている。
図2に示すように、扉2a、2b、3a、4a、5a、6aは、周囲にドアパッキン15が設けられており、各扉を閉じた際、冷蔵庫本体前面16の開口周縁部と密着することで貯蔵空間(冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5、野菜室6)内部を閉塞して密閉し、貯蔵空間から外部への冷気の漏れを防止している。
<結露防止>
ここで、冷蔵庫本体1の各扉2a、2b、3a、4a、5a、6aを開くと、外気が冷蔵庫本体前面16の開口周縁部と接する。特に、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5内は氷点下の冷凍温度帯(例えば、−18℃)であるため、扉3a、4a、5aを開いた場合、冷蔵庫本体前面16の開口周縁部に外気が触れて冷却されることで露点以下となり、冷蔵庫本体前面16に結露しやすい状態となる。さらに、冷蔵庫本体前面16に結露した状態で扉3a、4a、5aを閉じると、ドアパッキン15と冷蔵庫本体前面16との間の水滴が氷点下に冷却され、凍結するおそれがある。
そこで、図2および図3に示すように、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5の開口周縁部には、後述する凝縮器52を通過した後の冷媒を通過させる冷媒配管17が埋設されている。ここで、冷媒配管17を流れる冷媒の温度(後述する凝縮器52を通過した後の冷媒の温度)は、庫外温度よりも高温であり、例えば、庫外温度が30℃の際に33℃程度となるようにしている。このため、冷媒配管17は、冷蔵庫本体前面16の開口周縁部を加熱して結露および凍結を防止する機能を有しており、以下の説明において「結露防止配管17」と称する。
なお、本実施形態において、結露防止配管17は、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5の開口周縁部に設ける構成としたが、冷蔵室2、野菜室6の開口周縁部に設ける構成であってもよく、同様に、結露防止の効果が得られる。
<冷気循環>
図2に示すように(適宜図3参照)、冷却器7は、下段冷凍室5の略背部に備えられた冷却器収納室8内に設けられている。冷却器7は、冷却器配管7dに多数のフィンが取り付けられて構成され、冷却器配管7d内の冷媒と空気との間で熱交換することができるようになっている。
また、冷却器7の上方には、庫内送風機9(例えば、モータ駆動するファン。)が設けられている。冷却器7で熱交換して冷やされた空気(以下、冷却器7で熱交換した低温の空気を「冷気」という。)は、庫内送風機9によって冷蔵室送風ダクト22、野菜室送風ダクト25、製氷室送風ダクト26a、上段冷凍室送風ダクト26bおよび下段冷凍室送風ダクト27を介して、冷蔵室2、野菜室6、製氷室3、上段冷凍室4および下段冷凍室5の各貯蔵室へ送られるようになっている。ちなみに、冷蔵室2、製氷室3、上段冷凍室4、下段冷凍室5および野菜室6への各送風ダクトは、図3に破線で示すように冷蔵庫本体1の各貯蔵室の背面側に設けられている。
冷却器7の冷気がどの貯蔵室へ送られるかは、冷蔵温度帯室冷気制御手段20および冷凍温度帯室冷気制御手段21により制御されるようになっている。
ここで、冷蔵温度帯室冷気制御手段20は、独立した2つの開口部を備える所謂ツインダンパであり、第一の開口20aは冷蔵室送風ダクト22への送風を制御し、第二の開口20bは野菜室送風ダクト25への送風を制御するようになっている。また、冷凍温度帯室冷気制御手段21は、単独の開口部を備えたシングルダンパであり、製氷室送風ダクト26a、上段冷凍室送風ダクト26bおよび下段冷凍室送風ダクト27への送風を制御するようになっている。
具体的には、冷蔵温度帯室冷気制御手段20の第一の開口20aが開状態のとき、冷気は、冷蔵室上流ダクト23(後述)および冷蔵室送風ダクト22を経て、多段に設けられた吹出口2cから冷蔵室2に送られる。なお、冷蔵室2を冷却した冷気は、冷蔵室2の下部に設けられた戻り口2dから冷蔵室戻りダクト24を経て、冷却器収納室8の側方下部から冷却器収納室8に流入し、冷却器7と熱交換するようになっている。
また、冷蔵温度帯室冷気制御手段20の第二の開口20bが開状態のとき、冷気は、冷蔵室上流ダクト23(後述)および野菜室送風ダクト25を経て、吹出口6cから野菜室6に送られる。なお、野菜室6を冷却した冷気は、戻り口6dを経て、冷却器収納室8の下部から冷却器収納室8に流入し、冷却器7と熱交換するようになっている。ちなみに、野菜室6を循環する風量は、冷蔵室2を循環する風量や後述する冷凍温度帯室を循環する風量に比べて少なくなっている。
冷凍温度帯室冷気制御手段21が開状態のとき、冷気は、製氷室送風ダクト26aや上段冷凍室送風ダクト26bを経て、吹出口3c、4cからそれぞれ製氷室3、上段冷凍室4に送られる。また、下段冷凍室送風ダクト27を経て、吹出口5cから下段冷凍室5に送られる。このように、冷凍温度帯室冷気制御手段21は、後述する送風機カバー31の上方に取り付けられ、製氷室3への送風を容易にしている。
なお、製氷室3に製氷室送風ダクト26aを介して送風された冷気および上段冷凍室4に上段冷凍室送風ダクト26bを介して送風された冷気は、下段冷凍室5に下降する。そして、下段冷凍室5に下段冷凍室送風ダクト27を介して送風された冷気とともに、下段冷凍室5の奥下方に設けられた冷凍室戻り口28を介して、冷却器収納室8に流入し、冷却器7と熱交換するようになっている。
製氷室3、上段冷凍室4および下段冷凍室5を冷却した冷気は、下段冷凍室5の奥下方に設けられた冷凍室戻り口28を介して、冷却器収納室8に戻る。ちなみに、冷凍室戻り口28の横幅寸法は、冷却器7の幅寸法とほぼ等しい横幅である。
図4に示すように、吹出口3c、4c、5cが形成されている冷凍温度帯室背面仕切29は、上段冷凍室4、製氷室3および下段冷凍室5と、冷却器収納室8との間を区画する。
庫内送風機9が取り付けられている送風機支持部30は、冷却器収納室8と冷凍温度帯室背面仕切29との間を区画する。
送風機カバー31は、庫内送風機9の前面を覆うように配置されている。送風機カバー31と冷凍温度帯室背面仕切29との間には、庫内送風機9によって送風された冷気を吹出口3c、4c、5cに導くための、製氷室送風ダクト26a、上段冷凍室送風ダクト26bおよび下段冷凍室送風ダクト27が形成されている。また、送風機カバー31の上部には、吹出口31aが形成されており、この吹出口31aに冷凍温度帯室冷気制御手段21が設けられている。
さらに、送風機カバー31は、庫内送風機9によって送風された冷気を冷蔵温度帯室冷気制御手段20側に送風する役目も果たしている。即ち、送風機カバー31に設けられた冷凍温度帯室冷気制御手段21側に流れない冷気は、図4に示すように、冷蔵室上流ダクト23を経由して冷蔵温度帯室冷気制御手段20側に導かれる。
また、送風機カバー31は、庫内送風機9の前面に整流部31bを備えている。整流部31bは、吹き出す冷気が引き起こす乱流を整流して、騒音の発生を防止するようになっている。
そして、冷蔵温度帯室冷気制御手段20および冷凍温度帯室冷気制御手段21が開状態のとき、大部分の冷気が冷凍温度帯室冷気制御手段21側に送られて、残りの他の冷気が冷蔵温度帯室冷気制御手段20側に導かれるように各送風ダクト等が構成されている。これにより、温度帯の異なる貯蔵室である冷凍温度帯室(製氷室3、上段冷凍室4および下段冷凍室5)および冷蔵温度帯室(冷蔵室2および野菜室6)に、1つの冷却器7で冷気を供給することができるようになっている。
以上説明したように、冷蔵庫本体1の各貯蔵室へ送風する冷気の切り替えは、冷蔵温度帯室冷気制御手段20および冷凍温度帯室冷気制御手段21それぞれを適宜に開閉制御することにより行うことができるようになっている。
また、図4に示すように、冷却器7の下方には、除霜手段である除霜ヒータ35が設置されており、除霜ヒータ35の上方には、除霜水が除霜ヒータ35に滴下することを防止するために、上部カバー36が設けられている。
冷却器7およびその周辺の冷却器収納室8の壁に付着した霜の除霜(融解)によって生じた除霜水は、冷却器収納室8の下部に備えられた樋32に流入した後に、排水管33を介して機械室50に配された蒸発皿34に達し、後述する圧縮機51や凝縮器52の熱により蒸発させられ、冷凍機外に排出されるようになっている。
<機械室>
図3に示すように、断熱箱体10の下部背面側には、機械室50が設けられている。機械室50には、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機51と、冷媒と空気とを熱交換させる凝縮器52と、凝縮器52における冷媒と空気の熱交換を促進させる庫外送風機53と、細管である減圧手段54と、冷媒切替弁60と、が配置されている。
なお、圧縮機51、凝縮器52、減圧手段54、および、冷媒切替弁60は、冷却器7や結露防止配管17と配管で接続され、冷媒が流通する冷媒経路(冷媒回路)が形成されるようになっている。なお、冷媒経路(冷媒回路)については、図5から図9を用いて後述する。
<センサ・制御系>
図2に示すように、冷蔵庫本体1の天井壁上面側には、制御手段として、CPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した制御手段である制御基板41が配置されている。冷蔵庫には、庫外の温度環境(外気温度)を検知する外気温度センサ42、庫外の湿度環境(外気湿度)を検知する外気湿度センサ43、冷蔵室2の温度を検出する冷蔵室温度センサ44、野菜室6の温度を検出する野菜室温度センサ45、冷凍温度帯室(製氷室3、上段冷凍室4および下段冷凍室5)の温度を検出する冷凍室温度センサ46、冷却器7の温度を検出する冷却器温度センサ47等の温度センサが設けられ、検出した温度が制御基板41に入力されるようになっている。また、制御基板41は、扉2a、2b、3a、4a、5a、6aの開閉状態をそれぞれ検知する扉センサ(図示せず)、冷蔵室扉2aに設けたコントロールパネル40(図1参照)と接続されている。
そして、制御基板41は、前述のROMに予め搭載されたプログラムにより、圧縮機51のON/OFFや回転速度の制御、冷蔵温度帯室冷気制御手段20および冷凍温度帯室冷気制御手段21を個別に駆動するそれぞれの駆動モータ(図示せず)の制御、庫内送風機9のON/OFFや回転速度の制御、庫外送風機53のON/OFFや回転速度等の制御、扉開放状態を報知するアラーム(図示せず)のON/OFF、冷媒切替弁60の切替動作、等の制御を行うことにより、冷蔵庫全体の運転を制御することができるようになっている。
<冷媒経路(冷媒回路)>
次に、第1実施形態に係る冷媒切替弁60(図10等参照)を備える冷蔵庫の冷媒経路(冷媒回路)について、図5から図9を用いて説明する。
図5は、第1実施形態に係る冷媒切替弁60を用いた冷媒経路の第1モードを示す図である。図6は、第1実施形態に係る冷媒切替弁60を用いた冷媒経路の第2モードを示す図である。図7は、第1実施形態に係る冷媒切替弁60を用いた冷媒経路の第3モードを示す図である。図8は、第1実施形態に係る冷媒切替弁60を用いた冷媒経路の第4モードを示す図である。図9は、第1実施形態に係る冷媒切替弁60を用いた冷媒経路の第5モードを示す図である。
冷媒切替弁60は、5つの連通管(図10等を用いて後述する流入管68、連通管69b、69c、69d、69e)を備え、1つの流入口Aと、4つの連通口B、C、D、Eを備える、所謂、五方弁である。すなわち、連通口B、C、D、Eである連通管接続部が複数設けられており、本実施例では4ポート備える構成である。
図5に示すように、流入口Aの上流側には、第一冷媒配管55が接続され、凝縮器52と、さらにその上流側には圧縮機51の高圧側吐出口が接続されている。連通口Bには、第二冷媒配管56の一端が接続され、結露防止配管17を経由して、連通口Dに第二冷媒配管56の他端が接続されている。連通口Eの下流側には、第三冷媒配管57aが接続され、細管である第一の減圧手段54aを経由して合流部89を経て蒸発器である冷却器7に接続されている。連通口Cの下流側には、第四冷媒配管57bが接続され、細管である第二の減圧手段54bを経由して、合流部89において第三冷媒配管57aと接続される。冷却器7の下流側は圧縮機51の低圧側吸入口に接続されている。ちなみに、冷媒経路(冷媒回路)の冷媒としては、例えば、イソブタンを用いることができる。
図5から図9に示すように、第1モードから第5モードは、それぞれ冷媒切替弁60の開閉状態(連通状態)が異なっており、冷媒の経路(回路)が異なっている。
(第1モード)
図5に示すように、第1モードにおいて、冷媒切替弁60は、流入口Aと連通口Bとが連通し(冷媒流れL1)、連通口Dと連通口Eとが連通(冷媒流れL2)し、連通口Cは閉止するようになっている。
圧縮機51により圧縮された高温高圧の冷媒は、凝縮器52に流入し、凝縮器52で空気(庫外空気)と熱交換することにより冷却される。凝縮器52から流出した冷媒は、第一冷媒配管55を経て、冷媒切替弁60の流入口Aに流入し、冷媒流れL1に示すように、連通口Bから流出して、第二冷媒配管56の一部を経て、結露防止配管17に流入する。
ここで、結露防止配管17に流入した冷媒の温度(即ち、凝縮器52から流出した冷媒の温度)は、庫外空気よりも高温であるため、結露防止配管17に流入した冷媒は、冷蔵庫本体1の開口周縁部を加熱する。
そして、開口周縁部に放熱して結露防止配管17に流入時よりも低温となった冷媒は、結露防止配管17から流出して、第二冷媒配管56の残部を経て、冷媒切替弁60の連通口Dに流入し、冷媒流れL2に示すように、連通口Eから流出し、第三冷媒配管57aを経て、細管である第一の減圧手段54aを通過した後、断熱膨張して低温低圧となる。第一の減圧手段54aを通過した後の冷媒は、合流部89を経て蒸発器である冷却器7(冷却器配管7d)に流入する。冷却器7(冷却器配管7d)に流入した低温の冷媒は、冷却器7で周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
このように、第1モードでは、結露防止配管17を通る冷媒温度は、冷蔵庫本体1が設置された外気温度よりも高くなるので、外気が高温高湿な場合であっても、冷蔵庫本体1の開口周縁部の結露を防止することができる。
(第2モード)
図6に示すように、第2モードにおいて、冷媒切替弁60は、流入口Aと連通口Bとが連通し(冷媒流れL1)、連通口Cと連通口Dとが連通(冷媒流れL3)し、連通口Eは閉止するようになっている。
連通口Eは閉止されているので、結露防止配管17から流出して、第二冷媒配管56の残部を経て、冷媒切替弁60の連通口Dに流入した冷媒は、冷媒流れL3に示すように、連通口Cから流出して、第四冷媒配管57bを経て、細管である第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、合流部89を経て蒸発器である冷却器7(冷却器配管7d)に流入する。冷却器7(冷却器配管7d)に流入した低温の冷媒は、冷却器7で周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
このように、第2モードにおいても、結露防止配管17を通る冷媒温度は、冷蔵庫本体1が設置された外気温度よりも高くなるので、外気が高温高湿な場合であっても、冷蔵庫本体1の開口周縁部の結露を防止することができる。
(第3モード)
図7に示すように、第3モードにおいて、冷媒切替弁60は、連通口B、連通口C、連通口Dおよび連通口Eは、互いに連通せず封止されている。また、第3モードにおいて、圧縮機51は停止している状態となっている。
第3モードにおいては、冷媒が循環する回路を遮断するようになっている。即ち、冷媒切替弁60の連通口C、連通口Dおよび連通口Eが遮断されていることにより、第一冷媒配管55や凝縮器52、第二冷媒配管56や冷媒結露防止配管17内の比較的高温な冷媒が、第三冷媒配管57aや第四冷媒配管57bや冷却器7に流れ込むことを遮断して冷却器7の温度上昇を防止できるようになっている。
ここで、冷蔵庫は、冷凍サイクルによって貯蔵室を冷却する運転の場合、貯蔵室が所定温度以下となるまで圧縮機51を動作させて、貯蔵室が所定温度以下まで低下すると圧縮機51を停止させるようになっている。そして、貯蔵室が所定温度より上昇すると圧縮機51を再起動して貯蔵室を冷却するようになっている。
圧縮機51の停止時に冷媒切替弁60を第3モードとすることにより、冷却器7内の冷媒を低温で維持することができる。圧縮機51の再起動時には、冷却器7内の冷媒が低温であることから、熱交換効率が高い状態であり、冷蔵庫の省エネルギ性能を高くすることができる。
(第4モード)
図8に示すように、第4モードにおいて、冷媒切替弁60は、流入口Aと連通口Eとが連通し(冷媒流れL4)、連通口B、連通口Dおよび連通口Cは、他と連通しないようになっている。
圧縮機51により圧縮された高温高圧の冷媒は、凝縮器52に流入し、凝縮器52で空気(庫外空気)と熱交換することにより冷却される。凝縮器52から流出した冷媒は、第一冷媒配管55を経て、冷媒切替弁60の流入口Aに流入し、冷媒流れL4に示すように、連通口Eから流出して、第四冷媒配管57aを経て、細管である第一の減圧手段54aを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、合流部89を経て蒸発器である冷却器7(冷却器配管7d)に流入する。冷却器7(冷却器配管7d)に流入した低温の冷媒は、冷却器7で周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
(第5モード)
図9に示すように、第5モードにおいて、流入口Aと連通口Cとが連通し(冷媒流れL5)連通口B、連通口Dおよび連通口Eは、他と連通しないようになっている。
冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は、冷媒流れL5に示すように、連通口Cから流出して第四冷媒配管57bを経て、細管である第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となる。
第二の減圧手段54bを通過した後の冷媒は、合流部89を経て蒸発器である冷却器7(冷却器配管7d)に流入する。冷却器7(冷却器配管7d)に流入した低温の冷媒は、冷却器7で周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
第1モード(図5参照)ないし第2モード(図6参照)で運転すると、結露防止配管17に外気よりも高温の冷媒が流れるため、その熱が貯蔵室を暖めてしまうおそれがある。
そこで、外気が低湿など結露のおそれが低い場合、第4モードまたは第5モードで運転することにより、結露防止配管17に冷媒を流さないようにすることができる。これにより、冷蔵庫本体1の開口周縁部の結露防止の効果はないものの、結露のおそれが低い場合には、結露防止配管17から冷蔵庫本体1内部への熱漏洩を防止でき、冷蔵庫の省エネルギ性能を高くすることができる。
冷媒切替弁60の第1モードと第2モードと第4モードと第5モードは、外気温度センサ42や外気湿度センサ43の検知結果に基づいて結露のおそれがあるか否かを判定し、結露のおそれがある場合は第1モードないし第2モードとし、結露のおそれがない場合には第4モードないし第5モードとするようモードを切り替えると、必要な時だけ結露を防止するとともに、それ以外の時は熱漏洩を防止できるので、消費電力を低減するのに効果的である。
ここで、一例として、細管である第二の減圧手段54bは、第5モード(図9参照)での運転に適した圧力降下を得られるような管径と長さとし、第一の減圧手段54aは、第1モード(図5参照)での運転に適した圧力降下を得られるような管径と長さとすれば、結露のおそれのある場合に第1モードで運転した場合であっても、あるいはまた結露のおそれのない場合に第5モードで運転した場合であっても、減圧手段54a、54bによって適切な圧力降下が得られるので、運転条件に適した冷媒回路構成とすることができ、冷蔵庫の省エネルギ性能を高くすることができる。
≪冷媒切替弁60≫
次に、第1実施形態に係る冷媒切替弁60の構成と動作について、図10から図14を用いて説明する。
図10は、第1実施形態に係る冷媒切替弁60の外観を示す斜視図である。図11は、図10のF−F断面図である。図12は、図10のG方向矢視図である。図13は、冷媒切替弁60の内部構成を示す斜視図であり、冷媒切替弁60からステータケース61と弁ケース66とを仮想的に取り外して透視した斜視図である。図14は、ロータピニオンギヤ75とアイドラギヤ79と弁体80の構成を示す斜視図であり、ロータ70から弁体80に至るまでのギヤを用いた駆動力の伝達手段の構成を説明する。
図10から図11に示すように、略円筒形状のステータケース61の内部には、コイルを設けたモータの固定子である略円筒形状のステータ62が形成されている。また、ステータケース61の一部は、外方に凸形状となるコネクタケース63を形成しており、コネクタケース63内には、ステータ62からの配線を外部に接続するコネクタピン64を有するコネクタ65が設けられている。
弁ケース66は、例えばステンレス材などの非磁性体金属で一体に形成されており、上端が閉じられて下端が開放した有底円筒形状である。弁ケース66の上側は、ステータ62の内周に嵌合し、弁ケース66の下側は、直径が上側よりも拡大された開口端となっている。この開口端には、円形の弁座プレート67が嵌合して、全周を溶接あるいはロウ付けによって密封接合されている。
図11および図12に示すように、弁座プレート67は、弁座プレート67の外周の外郭を構成する円盤形状の第一の弁座プレート67aと、第一の弁座プレート67aよりも直径が小さくかつ厚さが厚く、第一の弁座プレート67aの中心位置を内包する円盤形状の第二の弁座プレート67bと、を互いにロウ付けによって接合部を密封するように接合している。
図11に示すように、第一の弁座プレート67aには、1つの流入管68が、ロウ付けによって接合部を密封するように結合されて弁ケース66内部と連通している。また、第二の弁座プレート67bには、4つの連通管69である連通管69b、連通管69c、連通管69dおよび連通管69eが、ロウ付けによって接合部を密封するように結合されて弁ケース66内部と連通している。そして、図11に示すように、流入管68と連通管69b、連通管69c、連通管69d、連通管69eの一端は、弁座プレート67の一面に弁ケース66内側に向けて開口した流入口A、連通口B、連通口C、連通口D、連通口Eに接続している。
図11に示すように、ロータ70は、マグネットを有するモータの回転子である。コネクタピン64を駆動回路(図示せず)に接続して通電すると、ステータ62に磁界が生じ、弁ケース66を介して磁力をロータ70に伝達してロータ70を回転するモータを構成する。このようなモータの構成の一例は、一般的なステッピングモータであり詳細な説明は省略するが、一定の角度毎に回転するようになっている。
弁体軸71は、ロータ70の回転中心軸であるとともに、後述する弁体80の揺動中心軸である。
第一の弁座プレート67aと第二の弁座プレート67bとは、同軸に配置されており、第一の弁座プレート67aと第二の弁座プレート67bの中心位置には、弁体軸71の嵌合孔であるロータ軸穴72が第二の弁座プレート67bを貫通しないよう形成されている。また、弁ケース66上部の円筒有底部の略中央には、凹部であるロータ軸受73が形成されている。弁体軸71は、一端がロータ軸穴72に嵌合して支持されるとともに、他端がロータ軸受73と嵌合して支持される。
ここで、図12に示すように、連通口B、連通口C、連通口Dおよび連通口Eは、弁体軸71(ロータ軸穴72)を中心とした仮想の同一円周上に配置されている。換言すると、複数の連通管接続部である連通口B、連通口C、連通口Dおよび連通口Eは、弁体軸71を中心とした仮想の円弧に接する仮想の正多角形の頂点のいずれかの位置に配置される。連通口B、連通口C、連通口Dおよび連通口Eの好適な配置角度については後述する。
なお、ここで円周とは、平面上にある一点から等しい距離で動く点の軌跡に限定するものではない。例えば、平面上にある一点からの距離が変化する点の軌跡であっても、弁の構成上、連通口の開閉の妨げとならない範囲であれば、この構成も本実施例に含むことができる。
また、連通口である連通管接続部の位置は、頂点の中心位置が連通口の中心位置と一致していることが最も好ましいが、これに限定せず、連通口が仮想の正多角形の頂点を含む範囲内であれば、頂点の中心位置が連通口の中心位置と一致していない構成であってもよい。
連通口Cは、弁体軸71(ロータ軸穴72)に対して流入口Aに近接した位置(弁体軸71(ロータ軸穴72)に対して後述するアイドラ軸78とは反対側)に設けられている。連通口Bおよび連通口Eは、連通口Cを挟んで対向した位置に設けられている。
図11および図12に示すように、第一の弁座プレート67aにおいて、弁体軸71(ロータ軸穴72)に対して流入管68(流入口A)の反対側には、後述するアイドラギヤ79の回転中心であるアイドラ軸78の嵌合孔が形成されており、アイドラ軸78の一端がロウ付けによって第一の弁座プレート67aに接合部を密封するように結合されている。なお、図11に示すように、アイドラ軸78の他端は固定されておらず、所謂、片持ちの構造となっている。
ロータ70は、ロータ駆動部74に支持され、弁体軸71を回転中心軸として、ロータ70とロータ駆動部74とが一体として回転するようになっている。また、ロータ駆動部74の下側の一部にロータピニオンギヤ75が形成されている。即ち、ロータ70が回転すると、ロータ駆動部74およびロータピニオンギヤ75も一体として回転するようになっている。
次に、図11から図13を用いて、流入管68と、第二の弁座プレート67bないし弁体80と、アイドラ軸78ないしアイドラギヤ79、との好適な配置関係について説明する。図11から図13に示すように、流入管68は弁ケース66内部に連通しており、弁ケース66内部には流入口Aから高速に冷媒が噴出する。冷媒は弁ケース66内に流入した際には拡大されて流速は低下し、弁の切替状態に応じて開放された流出口B、C、Dの何れかから流出管69へと流出される。ここで、流入口Aから噴出する冷媒により生じる流体力がアイドラギヤ79に作用すると、アイドラギヤ79が浮上したり、あるいは振動して弁体80に力が作用し、弁体80の第二の弁座プレート67bに対する押圧力が変化して封止性が低下する恐れがある。
本実施例では、弁ケース66の中心軸と同軸に配置された弁体80に対して、一方に流入口Aを設け、弁体80を挟んで他方にアイドラ軸78ないしアイドラギヤ79を設けた。このように配置したことにより、流入口Aの近傍にアイドラギヤ79を配置しないので、アイドラギヤ79は弁ケース66内に流入する冷媒による流体力を受けることがなく、アイドラギヤ79が浮上したり振動することがなく、弁体80の第二の弁座プレート67bに対する押圧力が変化しないので安定した封止性を得て、信頼性の高い冷媒切替弁を得ることができる。なお、弁ケース66の中心軸と同軸に弁体80を配置したとの表現には、弁体80の回転駆動の妨げとならない範囲で、弁ケース66の中心軸と軸の位置がずれた構成も含む。
弁体80は、一面を弁体摺接面81(図14参照)として弁座プレート67と接しながら、弁体軸71を中心として揺動するようになっている。弁体80が揺動することで、弁座プレート67に設けられた連通口B、C、D、Eを開閉する構成である。また、弁体80の弁座プレート67と接する面である弁体摺接面81(図14参照)には、部分的に凹部である連通凹部82(図14参照)が設けられている。なお、連通凹部82の位置や連通口B、C、D、Eの開閉動作との関係は後述する。また、弁体80の弁座プレート67から離れた側には、弁体ギヤ83が設けられている。
図14に示すように、ロータ駆動部74と一体に形成されたロータピニオンギヤ75は、ロータピニオンギヤ75の下端部の回転軸周囲に設けられた凸部であるロータ駆動部先端76が弁体80の上面に載置され(図11参照)、共通の中心軸である弁体軸71のまわりにそれぞれロータ駆動軸穴77と弁体軸穴85を介して回転自在に配置されている。
図11および図13に示すように、弁ケース66の上面内側に向けて一部を放射状に腕を伸長した付勢手段である板バネ86がロータ70を支持し一体として回転するロータ駆動部74の上面に配置され、板バネ86の腕が弁ケース66の上面内側から受ける弁体軸71方向の反力をロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75を介して弁体80に加え、弁体80を弁座プレート67に対して押圧する。また、弁体80にはさらにロータ70の自重も併せて加わる。
ここで、ロータ駆動部先端76が弁体80と接触する位置は、弁体軸71の近傍であるため、弁体80は回転軸近傍で弁座プレート67に対して軸方向に押圧されるので、均一でバランスよく押圧されるようになっている。
アイドラ軸78にはアイドラ大歯車79bとアイドラピニオン79aとを有するアイドラギヤ79が回転自在に軸支されている。アイドラ大歯車79bはロータピニオンギヤ75と噛み合い、アイドラピニオン79aは弁体ギヤ83と噛み合って減速する。ロータ70からの回転トルクは、ロータピニオンギヤ75、アイドラ大歯車79b、アイドラピニオン79a、弁体ギヤ83の順に減速しながら伝達される。
ここで、ロータピニオンギヤ75の歯数をZ1、アイドラ大歯車79bの歯数をZ2、アイドラピニオン79aの歯数をZ3、弁体ギヤ83の歯数をZ4とすれば、全てのギヤのモジュールが同一であれば、Z1+Z2=Z3+Z4なる関係を満たせばロータピニオンギヤ75とアイドラ大歯車79bとの間の軸間距離と、アイドラピニオン79aと弁体ギヤ83との間の軸間距離とは等しくなるので、ロータピニオンギヤ75と弁体ギヤ83とを同軸に配置することができる。例えば、Z1=12、Z2=34、Z3=13、Z4=33、とすれば、Z1+Z2=Z3+Z4=46となるのでこの関係を満たすことができる。
ちなみに、このときのロータ70から弁体80にいたるまでの減速比は、(Z1×Z3)/(Z2×Z4)となり、前記した例では(12×13)/(34×33)=約1/7.2となる。即ち、弁体80はロータ70により生じるトルクの7.2倍のトルクで回転するので、回転トルクに余裕があり、弁体80の切替動作を確実にすることができる。
また、図14に示すように、弁体80の一部は弁体ギヤ83の外周よりも凸形状のストッパ84が形成されており、弁体80が時計まわりまたは反時計まわりに最大角度回転した際には、アイドラギヤ79のアイドラピニオン79aよりも下側に突出した円筒状のアイドラストッパ79cに当接して弁体ギヤ83の回転角度を所定の角度範囲に制限するようになっている。なお、弁体ギヤ83の回転角度は、後述する弁体80の切替動作に必要な回動角度の範囲に加えて、所定の角度例えば8°程度の角度を余分に回動してから当接して回動を停止するよう構成される。
また、アイドラギヤ79には、アイドラ大歯車79bの上面に円周状に突起部79sが形成されている。また、ロータ駆動部74には、円周状に突起部74sが形成されている。アイドラギヤ79のアイドラ軸78は、片持ちの構造であるが、アイドラギヤ79の軸方向の位置が上方向にずれた場合、突起部79sが突起部74sに当接してそれ以上移動することができないようになっている。これにより、アイドラギヤ79が片持ちのアイドラ軸78から脱落することを防止するようになっている。
<冷媒切替弁60の動作>
次に、弁体80による連通口B、C、D、Eの開閉動作について図15から図18を用いて説明する。なお、図16から図18において、説明のために弁座プレート67と接する弁体摺接面81にはハッチングを付加して図示している。
連通口の配置として、仮想的な正多角形(Nを整数とした正N角形)の頂点に連通口を配置するのが好適であるので、正多角形における辺と頂点の関係を図15により説明する。
図15は半径Rの円に内接する1辺の長さがpである正N角形90の一部分を示す説明図である。正N角形90の1辺と半径Rの円の中心Oとを結んだ3角形は、2辺の長さがR、1辺の長さがpの二等辺三角形であり、長さRである2辺のなす角は(2π/N)ラジアンとなる。ここで長さpの1辺の中点をuとすると、三角形Ouvにおいて、uv=(p/2)、Ov=R、角uOv=(π/N)ラジアンなので、
uv=(p/2)=R・sin(π/N)・・・・(式1)
の関係があり、変形すると、
R=p/[2・sin(π/N)]・・・・(式2)
となる。
図16は、図10の矢印G方向から見た弁体80の弁体摺接面81と、第1実施形態における連通口B、C、D、Eの位置関係を説明する図である。連通管69の外径をd、隣接する連通管69同士の隙間をgapとすれば、連通口B、C、D、Eの配設する間隔であるピッチpは、p=d+gapとなる。
したがって、式2は、
R=(d+gap)/[2・sin(π/N)]・・・・(式3)
と表され、連通管の直径dと、隣接する連通管69同士に必要な間隔gapと、連通管を配置する正N角形のNとから、連通口69を配置できる半径Rは定められる。具体例としてgapを加工する上での最小寸法とすれば、その時に求められる半径Rが最小配置半径となる。
一例として、d=2.8、gap=0.5、N=7の場合には、R=(2.8+0.5)/[2・sin(π/7)]=3.8となる。
ここで、第1実施形態においては1辺の長さをpとする正7角形91の頂点に、連通口B、C、D、Eを配置する。なお、本実施例における正多角形の表現は、幾何学的に厳密に定義した構成に限定するものではない。例えば、弁としての機能を満足する範囲内であれば、正多角形に類似する多角形であっても許容される。また、正7角形についても同様に、正7角形に類似する7角形も許容される。すなわち、製造工程における寸法誤差や設計上の許容寸法誤差を含むものである。
隣接する連通口同士において、それぞれの連通口と弁体軸71を結んだ中心線のなす角度θpは、θp=(2π/N)ラジアン=360゜/7=51.4゜となるので、この角度θpを1ピッチと称することとする。ここで、連通口Bと連通口Cとの間は図示反時計方向に2ピッチ(=2θp)の間隔であって、間にある正7角形91の頂点ap1には連通口は配置されない。連通口C、D、Eは図示反時計方向に1ピッチ(=θp)ずつ、正7角形91のそれぞれ対応する頂点に互いに隣接して配置される。すなわち、連通口Bから連通口Eまでの配置される範囲は4ピッチ(=4θp)となり、頂点ap2と頂点ap3には連通口は配置されない。
弁体80の弁体摺接面81もまた、4ピッチ(=4θp)の範囲を覆うものとすれば、弁体80は連通口B、C、D、Eを同時に覆うことができる。すなわち、本実施例では、図16に示すように、弁座67b上に仮想の正7角形の頂点に複数の連通管接続部(連通口B、C、D、E)をそれぞれ配置して、複数の連通管接続部は4ポートであって、弁体80は正7角形の頂点のうち5つの頂点を同時に塞ぐ手段を有するので、弁体80は連通口B、C、D、Eを同時に覆うことができる。
本実施例においてはさらに、連通凹部82を1ピッチ(=θp)の範囲のみを連通するように設け、連通口の設けていない頂点ap1と連通口Cとの間を連通する位置に設ける。すなわち、連通口Cは連通凹部82と連通し、連通口B、D、Eは弁体摺接面81で覆われた状態である。連通凹部82は弁体80の一部に設けられた凹部に過ぎないので、図16に示した状態においては連通口B、C、D、Eは全て覆われた状態であって弁ケース66内部とは連通しないので、全閉状態であるといえる。
弁体80は、図16に示した全閉状態を角度0として、角度0から時計方向(プラス方向)、ないし反時計方向(マイナス方向)に揺動する。ここで揺動角度の符号の向きは、図16は冷媒切替弁60を下面のG方向から見た図なので、回転軸は図示手前から奥に向かう方向を正方向とし、右ねじの法則に従って時計方向の揺動をプラス、反時計方向の揺動をマイナスと定義する。
本実施形態では時計方向には1ピッチ(=θp)、反時計方向には3ピッチ(=−3θp)揺動するものとし、それぞれの方向に1ピッチ(=θp)揺動する毎に連通口B、C、D、Eの開閉状態が変化するので、図17により説明する。
図17は連通口の配置と弁体の揺動を示した説明図であって、図16と同様に図示しており、弁体80の弁体摺接面81が弁体軸71のまわりに(1)はマイナス方向に3ピッチ(=−3θp)揺動した第1状態、(2)はマイナス方向に2ピッチ(=−2θp)揺動した第2状態、(3)はマイナス方向に1ピッチ(=−θp)揺動した第3状態、(4)は図16と同じく角度=0の第4状態、(5)はプラス方向に1ピッチ(=θp)揺動した第5状態を図示している。弁体80は、(1)の第1状態から(5)の第5状態まで揺動するとともに、可逆的に(5)の第5状態から(1)の第1状態に揺動できる構成である。
図18は、冷媒切替弁60が図17(1)の第1状態から(5)の第5状態に対応して弁体80が1ピッチ(=θp)ずつ順次揺動した際の冷媒回路を説明する模式図である。
図18において、連通口Bおよび連通口Dは第二冷媒配管56の両端に接続されており、結露防止配管17は連通口Bと連通口Dの間に設けられる。連通口Cは第四冷媒配管57bに接続されており、連通口Eは第三冷媒配管57aと接続されている。
図18(1)の第1状態では、連通口Cが開口し、連通口B、連通口Dおよび連通口Eは閉鎖されている。第二冷媒配管56の両端は閉鎖されているから、圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66内を介して連通口Cへと流れる。冷媒は連通口Cから第四冷媒配管57bを経て細管である第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、合流部89を経て冷却器7に流入する。冷却器7(冷却器配管7d)に流入した低温の冷媒は、周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る、図9に示した第5モードである。
図18(2)の第2状態では、連通口Bが開口し、連通口Cが閉鎖され、連通口Dおよび連通口Eは連通凹部82に開口して互いに連通している。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66内を介して連通口Bから第二冷媒配管56に流出する。冷媒は結露防止配管17を経由して連通口Dから連通凹部82に流入し、連通口Eから流出して第三冷媒配管57aを経て細管である第一の減圧手段54aを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、合流部89を経て冷却器7に流入する。冷却器7(冷却器配管7d)に流入した低温の冷媒は、周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る、図5に示した第1モードである。
図18(3)の第3状態では、連通口Bが開口し、連通口Cおよび連通口Dは連通凹部82に開口して互いに連通している。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66内を介して連通口Bから第二冷媒配管56に流出する。冷媒は結露防止配管17を経由して連通口Dから連通凹部82に流入し、連通口Cから流出して第四冷媒配管57bを経て細管である第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、合流部89を経て冷却器7に流入する。冷却器7(冷却器配管7d)に流入した低温の冷媒は、周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る、図6に示した第2モードである。
図18(4)の第4状態では、連通口B、連通口C、連通口D、および連通口Eは全て閉鎖されており、圧縮機51は停止して冷媒は流れない、図7に示した第3モードである。
図18(5)の第5状態では、連通口B、連通口C、および連通口Dは閉鎖されており、連通口Eは開口している。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66内を介して連通口Eから流出して第三冷媒配管57aを経て、細管である第一の減圧手段54aを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、冷却器7に流入する。冷却器7(冷却器配管7d)に流入した低温の冷媒は、周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る、図8に示した第4モードである。
<作用・効果>
図16から図18により説明したように、第1実施形態に係る冷媒切替弁60は、隣接する複数の連通管接続部(連通口B、連通口C、連通口D、および連通口Eのいずれか)を連通させる連通凹部82が設けられ、弁体80が正多角形の隣接した頂点同士のなす角度ずつ揺動する場合、複数の連通管接続部の開閉状態が変化する。すなわち、弁体80を切り替えることにより、
流入管68(流入口A)と連通管69c(連通口C)が連通するとともに、連通管69b(連通口B)と連通管69d(連通口D)と連通管69e(連通口E)とが閉鎖する第1状態(図18(1)参照)と、
流入管68(流入口A)と連通管69b(連通口B)が連通するとともに、連通管69c(連通口C)が閉塞され、連通管69d(連通口D)と連通管69e(連通口E)とが互いに連通する第2状態(図18(2)参照)と、
流入管68(流入口A)と連通管69b(連通口B)が連通するとともに、連通管69c(連通口C)と連通管69d(連通口D)とが互いに連通し、連通管69e(連通口E)が閉塞する第3状態(図18(3)参照)と、
連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)と連通管69d(連通口D)と連通管69e(連通口E)が閉塞する第4状態(図18(4)参照)と、
流入管68(流入口A)と連通管69e(連通口E)が連通するとともに、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)と連通管69d(連通口D)が閉塞された第5状態(図18(5)参照)と、を切り替えることができる。
これにより、冷媒の切替性能が向上した冷媒切替弁60を提供することができる。また、この冷媒切替弁60を備える機器(冷蔵庫)の実使用状態に即して、冷媒の切り替えが可能となる。
また、図5から図9および図16から図18により説明したように、第1実施形態に係る冷媒切替弁60を備える機器(冷蔵庫)は、結露防止配管17に外気よりも高温の冷媒を供給して結露を防止する第1モード(図5、図18(2)参照)と第2モード(図6、図18(3)参照)と、
圧縮機51を停止する際に冷却器7内の冷媒の温度を低温で維持する第3モード(図7、図18(4)参照)と、
結露防止配管17からの熱漏洩を低減する第4モード(図8、図18(5)参照)と第5モード(図9、図18(1)参照)と、
の5つの冷媒経路(冷媒回路)のモードを、唯一の冷媒切替弁60の動作で切り替えることができる。
さらに第1モードでは第一の減圧手段54aを用い、第2モードでは第二の減圧手段54bを用いるよう切り替えることができる。
さらに第4モードでは第一の減圧手段54aを用い、第5モードでは第二の減圧手段54bを用いるよう切り替えることができる。
これにより、機器(冷蔵庫)の冷媒経路(冷媒回路)に設けられる弁は、冷媒切替弁60のみであり、その他の弁を追加することを必要とせず冷凍サイクルを構成できるので、安価に構成することができる。また、弁の切替制御や配置が複雑化しないため、冷媒切替弁60を備える機器(冷蔵庫)の信頼性を向上できる。
また、第1実施形態に係る冷媒切替弁60を備える機器(冷蔵庫)は、外気湿度センサの測定結果に応じて、外気が高温高湿であって結露のおそれがある場合、冷媒経路(冷媒回路)を第1モード(図5、図18(2)参照)または第2モード(図6、図18(3)参照)となるように切り替え、外気が低湿で結露のおそれがない場合、冷媒経路(冷媒回路)を第4モード(図8、図18(5)参照)または第5モード(図9、図18(1)参照)となるように切り替えることができる。なお、このモードの切り替えは、前述したように、冷媒切替弁60の動作で切り替えることができる。これにより、結露のおそれがある場合、結露防止配管17に高温の冷媒を通過させ、貯蔵室の開口前面周縁部の温度を、貯蔵室温度よりも高く設定して結露を防止することができる。また、結露のおそれがない場合、結露防止配管17の冷媒の通過を停止させ、結露防止配管17からの熱が貯蔵室内部に漏洩して消費エネルギが増加することを抑制することができる。
また、第1モード(図5、図18(2)参照)と第5モード(図9、図18(1)参照)とは、弁体80の回転角度は互いに1ピッチ(=θp)のみ回転することで切り替えることができるので、結露防止配管17と第一の減圧手段54aを経由する第1モードと、結露防止配管17を経由せずと第二の減圧手段54bを経由する第5モードとの切換が短時間に行える、という効果がある。
また、第1モード(図5、図18(2)参照)と第2モード(図6、図18(3)参照)とは、弁体80の回転角度は互いに1ピッチ(=θp)回転することで切り替えることができるので、結露防止配管17と第一の減圧手段54aを経由する第1モードと、結露防止配管17と第二の減圧手段54bを経由する第2モードとの間で、減圧手段54a、54bのみの切り替えが短時間に行える、という効果がある。
第1実施形態に係る冷媒切替弁60において、圧縮機51からの高圧の冷媒が、第一冷媒配管55(図5参照)、流入管68(図11参照)、流入口A(図12参照)を介して、弁ケース66内の空間に流入するようになっている。このため、弁ケース66内の弁体80には、弁体80を弁座プレート67に押圧する方向の力が加わる。これにより、弁体摺接面81と弁座プレート67との間の密着性能が向上して、冷媒の漏洩を低減することができる。
また、第1実施形態に係る冷媒切替弁60において、ロータ70およびロータ駆動部74と一体で回転するロータピニオンギヤ75を弁体80の上に重ねて、ロータピニオンギヤ75と弁体80とを同軸に共通の回転軸である弁体軸71のまわりに回転自在に配置し、弁体軸71と別に設けたアイドラ軸78のまわりにアイドラ大歯車79bとアイドラピニオン79aとを一体で設けたアイドラギヤ79を配置している。そして、ロータピニオンギヤ75とアイドラ大歯車79bとを噛み合わせて減速し、さらにアイドラピニオン79aと弁体ギヤ83とを噛み合わせてさらに減速させるようになっている。これにより、ロータピニオンギヤ75、アイドラギヤ79、弁体ギヤ83の3つのギヤを、弁体軸71とアイドラ軸78の2本の軸のまわりに配置することができるので、2枚のギヤの投影面積に3枚のギヤを配置でき、冷媒切替弁60を小型化することができる。
さらに、ロータピニオンギヤ75から弁体ギヤ83までは2段階の減速を行うので、減速比が大きくなり、弁体80に伝達される回転トルクを大きくすることができるので、弁体80の切替動作を確実にすることができる。また、弁体80と弁座(第二の弁座プレート67b)との摩擦が増加しても回転トルクが不足することがないようになっているので、弁体80に特段の低摩擦材料を用いる必要がなく、また、回転トルクの低いステータとロータの組み合わせであっても動作できるので、冷媒切替弁60を低価格化することができる。
また、図11に示すように、第1実施形態に係る冷媒切替弁60において、ロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)と弁体80を共通の弁体軸71で同軸に配置し、ロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)を弁体80の上に載置して、板バネ86でロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)を付勢するようになっている。これにより、弁体80は、板バネ86の付勢力とロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)の自重により、弁座(第二の弁座プレート67b)に対して付勢されるので、適度な押圧力とすることで、弁体摺接面81において冷媒を確実に封止する押圧を得ることができる。
また、図11に示すように、第1実施形態に係る冷媒切替弁60において、弁体80を支持する弁体軸71は、弁体80と弁体摺接面81で接する弁座(第二の弁座プレート67b)に設けられたロータ軸穴72と、弁ケース66の上端に設けられた凹部であるロータ軸受73とで両端を支持される両持ち構造であり、弁体80の支持剛性や精度が得やすく、弁体摺接面81において冷媒を確実に封止することができる。加えて、弁体軸71の周りをロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)が回転する構成であるため、ロータ軸穴72やロータ軸受73に高精度な軸受を設ける必要がなく、冷媒切替弁60を低価格化することができる。
加えて、ロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)と弁体80を同軸とすることにより、弁体軸71を長くすることができる。弁体軸71を長くすることにより、ロータ軸穴72やロータ軸受73の加工誤差に対する弁体軸71の傾きを小さくして、第二の弁座プレート67bに対する弁体軸71の直角度の精度を向上させることができるので、弁体80の精度が得やすく、弁体摺接面81において冷媒を確実に封止することができる。
また、図11に示すように、第1実施形態に係る冷媒切替弁60において、アイドラ軸78は片持ち構造となっており、冷媒切替弁60の組み立て性が向上する。なお、アイドラギヤ79が、上方向に移動した場合でも、アイドラ大歯車79bがロータ駆動部74と当接するので、アイドラギヤ79の脱落を防止することができるようになっている。また、ロータ駆動部74に突起部74sを形成し、アイドラギヤ79に突起部79sを形成することにより、接触面積を小さくすることが望ましい。
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態に係る冷媒切替弁およびこれを備える機器について、図19を用いて説明する。
図19は第2実施形態に係る冷媒切替弁60が図17の(1)の第1状態から(5)の第5状態に対応して弁体80が1ピッチ(=θp)ずつ順次揺動した際の冷媒回路を説明する模式図である。
第2実施形態における冷媒切り替え弁60は第1の実施例と同一であって、図19において連通口Bおよび連通口Dは第二冷媒配管56の両端に接続されており、結露防止配管17は連通口Bと連通口Dの間に設けられる。連通口Cは第四冷媒配管57bに接続されており、連通口Eは第三冷媒配管57aと接続されている。
第2実施形態が第1実施形態と異なるところは、第三冷媒配管57aに第1の冷却器7aを備え、第四冷媒配管57bに第2の冷却器7bを備え、第三冷媒配管57aでは第一の減圧手段54aを通過した後、断熱膨張して低温低圧となった冷媒は第1の冷却器7aに流入し、合流部89を経たのち圧縮機51に戻る。第四冷媒配管57bでは第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となった冷媒は第2の冷却器7bに流入し、合流部89を経たのち圧縮機51に戻る。
ここで、一例として温度帯の異なる冷凍温度帯の冷却と冷蔵温度帯の冷却とを別々の冷却器で行うものとし、第1の冷却器7aは冷凍室3、4、5の冷却に用い、第2の冷却器7bを冷蔵室2の冷却に用いる。
図19(1)の第1状態では、連通口Cが開口し、連通口B、連通口Dおよび連通口Eは閉鎖されている。第二冷媒配管56の両端は閉鎖されているから、圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66内を介して連通口Cへと流れる。冷媒は連通口Cから第四冷媒配管57bを経て第2の冷却器7bを経由して圧縮機51に戻り、冷却器7bは冷蔵室2および野菜室6を冷却する。
図19(2)の第2状態では、連通口Bが開口し、連通口Cが閉鎖され、連通口Dおよび連通口Eは連通凹部82に開口して互いに連通している。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66内を介して連通口Bから第二冷媒配管56に流出する。冷媒は結露防止配管17を経由して連通口Dから連通凹部82に流入し、連通口Eから流出して第三冷媒配管57aを通過して第1の冷却器7aを経由して圧縮機51に戻り、冷却器7aは冷凍室3、4、5を冷却する。
図19(3)の第3状態では、連通口Bが開口し、連通口Cおよび連通口Dは連通凹部82に開口して互いに連通している。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66内を介して連通口Bから第二冷媒配管56に流出する。冷媒は結露防止配管17を経由して連通口Dから連通凹部82に流入し、連通口Cから流出して第四冷媒配管57bを経て第2の冷却器7bを経由して圧縮機51に戻り、第2の冷却器7bは冷蔵室2および野菜室6を冷却する。
図19(4)の第4状態では、連通口B、連通口C、連通口D、および連通口Eは全て閉鎖されており、圧縮機51は停止して冷媒は流れない。
図19(5)の第5状態では、連通口B、連通口C、および連通口Dは閉鎖されており、連通口Eは開口している。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66内を介して連通口Eから流出して第三冷媒配管57aを経て第1の冷却器7aを経由して圧縮機51に戻り、第1の冷却器7aは冷凍室3、4、5を冷却する。
<作用・効果>
図19により説明したように、第2実施形態に係る冷媒切替弁60は、弁体80を切り替えることにより、流入管68(流入口A)と連通管69c(連通口C)が連通するとともに、連通管69b(連通口B)と連通管69d(連通口D)と連通管69e(連通口E)とが閉鎖する第1状態(図19(1)参照)と、流入管68(流入口A)と連通管69b(連通口B)が連通するとともに、連通管69c(連通口C)が閉塞され、連通管69d(連通口D)と連通管69e(連通口E)とが互いに連通する第2状態(図19(2)参照)と、流入管68(流入口A)と連通管69b(連通口B)が連通するとともに、連通管69c(連通口C)と連通管69d(連通口D)とが互いに連通し、連通管69e(連通口E)が閉塞する第3状態(図19(3)参照)と、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)と連通管69d(連通口D)と連通管69e(連通口E)が閉塞する第4状態(図19(4)参照)と、流入管68(流入口A)と連通管69e(連通口E)が連通するとともに、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)と連通管69d(連通口D)が閉塞された第5状態(図19(5)参照)と、を切り替えることができる。これにより、冷媒の切替性能が向上した冷媒切替弁60を提供することができる。また、この冷媒切替弁60を備える機器(冷蔵庫)の実使用状態に即して、冷媒の切り替えが可能となる。
第1実施例と同様に、第2実施例においても、機器(冷蔵庫)の冷媒経路(冷媒回路)に設けられる弁は、冷媒切替弁60のみであり、その他の弁を追加することを必要とせず冷凍サイクルを構成できるので、安価に構成することができる。また、弁の切替制御や配置が複雑化しないため、冷媒切替弁60を備える機器(冷蔵庫)の信頼性を向上できる。
≪第3実施形態≫
次に、第3実施形態に係る冷媒切替弁およびこれを備える機器について、図20および図21を用いて説明する。
図20は図17と同様に連通口の配置と弁体の揺動を示した説明図であって、連通口B、C、D、Eの配置は第1実施例と同様に正7角形の頂点に配置されており、第1実施形態と異なるところは、弁体80に設けられた連通凹部82は第1実施形態においては1ピッチ(=θp)の範囲のみを連通するよう設けられていたが、第3実施形態においては連通凹部82が2ピッチ(=2θp)の範囲に設けられる。
図16ないし図17(4)第4状態に示したのと同様に連通口B、C、D、Eを同時に覆った状態を図20(3)第3状態として示し、連通凹部82は連通口Bと連通口Cとの間を連通するよう配置される。
図20において、弁体80の弁体摺接面81が弁体軸71のまわりに(1)はマイナス方向に2ピッチ(=−2θp)揺動した第1状態、(2)はマイナス方向に1ピッチ(=−θp)揺動した第2状態、(3)は角度=0の第3状態、(4)はプラス方向に1ピッチ(=θp)揺動した第4状態、(5)はプラス方向に2ピッチ(=2θp)揺動した第5状態を図示している。弁体80は、(1)の第1状態から(5)の第5状態まで揺動するとともに、可逆的に(5)の第5状態から(1)の第1状態に揺動できる構成である。
図21は冷媒切替弁60が図20(1)の第1状態から(5)の第5状態に対応して弁体80が1ピッチ(=θp)ずつ順次揺動した際の冷媒回路を説明する模式図である。
図21において、連通口Bおよび連通口Cは第二冷媒配管56の両端に接続されており、結露防止配管17は連通口Bおよび連通口Cの間に設けられる。連通口Dは第四冷媒配管57bに接続されており、連通口Eは第三冷媒配管57aと接続されている。
図21(1)の第1状態では、連通口Bが開口し、連通口C、連通口Dおよび連通口Eは連通凹部82に開口して互いに連通している。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66内を介して連通口Bから第二冷媒配管56に流出する。冷媒は結露防止配管17を経由して連通口Cから連通凹部82に流入し、一部は連通口Dから流出し、残部は連通口Eから流出する。連通口Dから流出した冷媒は第四冷媒配管57bを経て、細管である第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となる。連通口Eから流出した冷媒は第三冷媒配管57aを経て、細管である第一の減圧手段54aを通過した後、断熱膨張して低温低圧となる。第三冷媒配管57aと第四冷媒配管57bを通過した冷媒は、合流部89を経由して冷却器7(冷却器配管7d)に流入する。冷却器7(冷却器配管7d)に流入した低温の冷媒は、冷却器7で周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
図21(2)の第2状態では、連通口Bが開口し、連通口Cと連通口Dは連通凹部82に開口して互いに連通している。連通口Eは閉鎖される。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は、弁ケース66内を介して連通口Bから第二冷媒配管56に流出する。冷媒は結露防止配管17を経由して連通口Cから連通凹部82に流入し、連通口Dから流出して第四冷媒配管57bを経て細管である第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、冷却器7に流入する。冷却器7(冷却器配管7d)に流入した低温の冷媒は、周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
図21(3)の第3状態では、連通口Bと連通口Cとが連通凹部82に開口して互いに連通している。連通口Dと連通口Eは閉鎖される。連通口Bと連通口Cが連通するので、第二冷媒配管56は両端が接続されるが、連通凹部82は弁体80に設けられた凹部なので、弁ケース66内部とは連通しない。圧縮機51は停止して冷媒は流れない。
図21(4)の第4状態では、連通口Eが開口し、連通口B、連通口C、および連通口Dは閉鎖されている。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66内を介して連通口Eから流出し、第三冷媒配管57aを経て、細管である第一の減圧手段54aを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、冷却器7に流入する。冷却器7(冷却器配管7d)に流入した低温の冷媒は、周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
図21(5)の第5状態では、連通口Dと連通口Eが開口し、連通口Bと連通口Cは閉鎖されている。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は弁ケース66内を介して連通口Dと連通口Eから流出する。連通口Dから流出した冷媒は第四冷媒配管57bを経て、細管である第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となる。連通口Eから流出した冷媒は第三冷媒配管57aを経て、細管である第一の減圧手段54aを通過した後、断熱膨張して低温低圧となる。第三冷媒配管57aと第四冷媒配管57bを通過した冷媒は、合流部89を経由して冷却器7(冷却器配管7d)に流入する。冷却器7(冷却器配管7d)に流入した低温の冷媒は、冷却器7で周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
<作用・効果>
図21により説明したように、第3実施形態に係る冷媒切替弁60は、弁体80を切り替えることにより、流入管68(流入口A)と連通管69b(連通口B)が連通するとともに、連通管69c(連通口C)と連通管69d(連通口D)と連通管69e(連通口E)とが互いに連通する第1状態(図21(1)参照)と、流入管68(流入口A)と連通管69b(連通口B)が連通するとともに、連通管69c(連通口C)と連通管69d(連通口D)とが互いに連通し、連通管69e(連通口E)が閉塞する第2状態(図21(2)参照)と、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)とが互いに連通するとともに、連通管69d(連通口D)と連通管69e(連通口E)とが閉塞する第3状態(図21(3)参照)と、流入管68(流入口A)と連通管69e(連通口E)が連通するとともに、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)と連通管69d(連通口D)が閉塞された第4状態(図21(4)参照)と、流入管68(流入口A)と連通管69d(連通口D)と連通管69e(連通口E)が連通するとともに、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)が閉塞された第5状態(図21(5)参照)と、を切り替えることができる。これにより、冷媒の切替性能が向上した冷媒切替弁60を提供することができる。また、この冷媒切替弁60を備える機器(冷蔵庫)の実使用状態に即して、冷媒の切り替えが可能となる。
第3実施例においても、機器(冷蔵庫)の冷媒経路(冷媒回路)に設けられる弁は、冷媒切替弁60のみであり、その他の弁を追加することを必要とせず冷凍サイクルを構成できるので、安価に構成することができる。また、弁の切替制御や配置が複雑化しないため、冷媒切替弁60を備える機器(冷蔵庫)の信頼性を向上できる。
≪第4実施形態≫
次に、第4実施形態に係る冷媒切替弁およびこれを備える機器について、図22および図23を用いて説明する。
図22は図20ないし図17と同様に連通口の配置と弁体の揺動を示した説明図であって、連通口B、C、D、Eの配置は第1実施例と同様に正7角形の頂点に配置されるが、第1実施例とは異なって連通口B、C、D、Eはそれぞれ1ピッチ(=θp)ずつ隣接して設けられ、連通口の配置される角度範囲は第1の実施例が4ピッチ(=4θp)であったのに比して第4の実施例では3ピッチ(=3θp)となる。
弁体80の弁体摺接面81は第1の実施例と同様に4ピッチ(=4θp)の範囲に設けられ、連通凹部82は1ピッチ(=θp)の範囲であり、第1の実施例とは異なって4ピッチ(=4θp)のうち一方の端部寄りの1ピッチ、図22では連通口Bと頂点ap4との間に設けられる。
連通口B、C、D、Eを同時に覆った状態を図22(3)第3状態として示し、連通凹部82は連通口Bに対して連通口Cの反対方向に延伸して設けられる。
図22において、弁体80の弁体摺接面81が弁体軸71のまわりに(1)はマイナス方向に2ピッチ(=−2θp)揺動した第1状態、(2)はマイナス方向に1ピッチ(=−θp)揺動した第2状態、(3)は角度=0の第3状態、(4)はプラス方向に1ピッチ(=θp)揺動した第4状態、(5)はプラス方向に2ピッチ(=2θp)揺動した第5状態を図示している。弁体80は、(1)の第1状態から(5)の第5状態まで揺動するとともに、可逆的に(5)の第5状態から(1)の第1状態に揺動できる構成である。
図23は冷媒切替弁60が図22(1)の第1状態から(5)の第5状態に対応して弁体80が1ピッチ(=θp)ずつ順次揺動した際の冷媒回路を説明する模式図である。
図23において、連通口Bおよび連通口Cは第二冷媒配管56の両端に接続されており、結露防止配管17は連通口Bと連通口Cの間に設けられる。連通口Dは第四冷媒配管57bに接続されており、連通口Eは第三冷媒配管57aと接続されている。
図23(1)の第1状態では、連通口Bが開口し、連通口Cと連通口Dは連通凹部82に開口して互いに連通している。連通口Eは閉鎖される。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は、弁ケース66内を介して連通口Bから第二冷媒配管56に流出する。冷媒は結露防止配管17を経由して連通口Cから連通凹部82に流入し、連通口Dから流出して第四冷媒配管57bを経て細管である第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、合流部89を経て冷却器7に流入する。冷却器7(冷却器配管7d)に流入した低温の冷媒は、周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
図23(2)の第2状態では、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)とは互いに連通凹部82に開口して互いに連通している。連通口Dおよび連通口Eは閉鎖されている。第二冷媒配管56の両端は連通凹部82を介して連通されるが、弁ケース66内とは連通せず、連通口B、連通口C、連通口D、および連通口Eは全て閉鎖される。
圧縮機51は停止して冷媒は流れない。
図23(3)の第3状態では、連通口B、連通口C、連通口D、および連通口Eは全て閉鎖される。圧縮機51は停止して冷媒は流れない。
図23(4)の第4状態では、連通口Eが開口し、連通口B、連通口Cおよび連通口Dは閉鎖される。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は、弁ケース66内を介して連通口Eから流出して第三冷媒配管57aを経て、細管である第一の減圧手段54aを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、合流部89を経て冷却器7に流入する。冷却器7(冷却器配管7d)に流入した低温の冷媒は、周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
図23(5)の第5状態では、連通口D、および連通口Eが開口し、連通口Bと連通口Cは閉鎖される。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は、弁ケース66内を介して一部は連通口Dから流出し、残部は連通口Eから流出する。連通口Dから流出した冷媒は第四冷媒配管57bを経て、細管である第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となる。連通口Eから流出した冷媒は第三冷媒配管57aを経て、細管である第一の減圧手段54aを通過した後、断熱膨張して低温低圧となる。第三冷媒配管57aと第四冷媒配管57bを通過した冷媒は、合流部89を経由して冷却器7(冷却器配管7d)に流入する。冷却器7(冷却器配管7d)に流入した低温の冷媒は、冷却器7で周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
<作用・効果>
図23により説明したように、第4実施形態に係る冷媒切替弁60は、弁体80を切り替えることにより、流入管68(流入口A)と連通管69b(連通口B)が連通するとともに、連通管69c(連通口C)と連通管69d(連通口D)とが互いに連通し、連通管69e(連通口E)が閉塞する第1状態(図23(1)参照)と、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)とが互いに連通するとともに、連通管69d(連通口D)と連通管69e(連通口E)とが閉塞する第2状態(図23(2)参照)と、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)と、連通管69d(連通口D)と連通管69e(連通口E)とが閉塞する第3状態(図23(3)参照)と、流入管68(流入口A)と連通管69e(連通口E)が連通するとともに、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)と連通管69d(連通口D)が閉塞された第4状態(図23(4)参照)と、流入管68(流入口A)と連通管69d(連通口D)と連通管69e(連通口E)が連通するとともに、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)が閉塞された第5状態(図23(5)参照)と、を切り替えることができる。これにより、冷媒の切替性能が向上した冷媒切替弁60を提供することができる。また、この冷媒切替弁60を備える機器(冷蔵庫)の実使用状態に即して、冷媒の切り替えが可能となる。
第4実施例においても、機器(冷蔵庫)の冷媒経路(冷媒回路)に設けられる弁は、冷媒切替弁60のみであり、その他の弁を追加することを必要とせず冷凍サイクルを構成できるので、安価に構成することができる。また、弁の切替制御や配置が複雑化しないため、冷媒切替弁60を備える機器(冷蔵庫)の信頼性を向上できる。
なお、本実施形態においては、第1実施形態と同様に冷却器7は単一としているが、第2実施形態と同様に冷却器を複数備えた構成であっても同様な効果がある。
≪第5実施形態≫
次に、第5実施形態に係る冷媒切替弁60およびこれを備える機器について、図24を用いて説明する。図24は冷媒切替弁60が図22(1)の第1状態から(5)の第5状態に対応して弁体80が1ピッチ(=θp)ずつ順次揺動した際の冷媒回路を説明する模式図である。
第5実施形態に係る冷媒切替弁60の構成は第4実施例と同様である。第4実施例と異なるところは第1冷却器7aと第2冷却器7bとを備え、第三冷媒配管57aにおいては第一の減圧手段54aと合流部89の間に第1冷却器7aを備え、合流部89と圧縮機51との間に第2冷却器7bを備えたことである。
図24(1)の第1状態では、連通口Bが開口し、連通口Cと連通口Dは連通凹部82に開口して互いに連通している。連通口Eは閉鎖される。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は、弁ケース66内を介して連通口Bから第二冷媒配管56に流出する。冷媒は結露防止配管17を経由して連通口Cから連通凹部82に流入し、連通口Dから流出して第四冷媒配管57bを経て細管である第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、第1の冷却器7aに流入し、さらに合流部89を経て第2の冷却器7bに流入し、低温の冷媒は第1の冷却器7aと第2の冷却器7bで周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
図24(2)の第2状態では、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)とは互いに連通凹部82に開口して互いに連通している。連通口Dおよび連通口Eは閉鎖されている。第二冷媒配管56の両端は連通凹部82を介して連通されるが、弁ケース66内とは連通せず、連通口B、連通口C、連通口D、および連通口Eは全て閉鎖される。
圧縮機51は停止して冷媒は流れない。
図24(3)の第3状態では、連通口B、連通口C、連通口D、および連通口Eは全て閉鎖される。圧縮機51は停止して冷媒は流れない。
図24(4)の第4状態では、連通口Eが開口し、連通口B、連通口Cおよび連通口Dは閉鎖される。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は、弁ケース66内を介して連通口Eから流出して第三冷媒配管57aを経て、細管である第一の減圧手段54aを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、合流部89を経て第2の冷却器7bに流入し、低温の冷媒は第2の冷却器7bで周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
図24(5)の第5状態では、連通口D、および連通口Eが開口し、連通口Bと連通口Cは閉鎖される。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は、弁ケース66内を介して一部は連通口Dから流出し、残部は連通口Eから流出する。連通口Dから流出した冷媒は第四冷媒配管57bを経て、細管である第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となる。第四冷媒配管57bを通過した冷媒は第1の冷却器7aに流入し、低温の冷媒は周囲空気と熱交換して合流部89を経て圧縮機51に戻る。連通口Eから流出した冷媒は第三冷媒配管57aを経て、細管である第一の減圧手段54aを通過した後、断熱膨張して低温低圧となる。第三冷媒配管57aを通過した冷媒は合流部89を経て第2の冷却器7bに流入し、低温の冷媒は周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
<作用・効果>
図24により説明したように、第5実施形態に係る冷媒切替弁60は、弁体80を切り替えることにより、流入管68(流入口A)と連通管69b(連通口B)が連通するとともに、連通管69c(連通口C)と連通管69d(連通口D)とが互いに連通し、連通管69e(連通口E)が閉塞する第1状態(図24(1)参照)と、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)とが互いに連通するとともに、連通管69d(連通口D)と連通管69e(連通口E)とが閉塞する第2状態(図24(2)参照)と、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)と、連通管69d(連通口D)と連通管69e(連通口E)とが閉塞する第3状態(図24(3)参照)と、流入管68(流入口A)と連通管69e(連通口E)が連通するとともに、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)と連通管69d(連通口D)が閉塞された第4状態(図24(4)参照)と、流入管68(流入口A)と連通管69d(連通口D)と連通管69e(連通口E)が連通するとともに、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)が閉塞された第5状態(図24(5)参照)と、を切り替えることができる。これにより、冷媒の切替性能が向上した冷媒切替弁60を提供することができる。また、この冷媒切替弁60を備える機器(冷蔵庫)の実使用状態に即して、冷媒の切り替えが可能となる。
第5実施例においても、機器(冷蔵庫)の冷媒経路(冷媒回路)に設けられる弁は、冷媒切替弁60のみであり、その他の弁を追加することを必要とせず冷凍サイクルを構成できるので、安価に構成することができる。また、弁の切替制御や配置が複雑化しないため、冷媒切替弁60を備える機器(冷蔵庫)の信頼性を向上できる。
≪第6実施形態≫
次に、第6実施形態に係る冷媒切替弁60およびこれを備える機器について、図25を用いて説明する。
図25は図24と同様に、冷媒切替弁60が図22(1)の第1状態から(5)の第5状態に対応して弁体80が1ピッチ(=θp)ずつ順次揺動した際の冷媒回路を説明する模式図である。第6実施形態に係る冷媒切替弁60の構成は第4実施例と同様である。第4実施例と異なるところは、凝縮器52は圧縮機51と冷媒切替弁60の流入口Aとの間ではなく、連通口Bと結露防止配管17との間に設けられることと、第三冷媒配管57aには第一の減圧手段54aが配置されないことである。
図25において、連通口Bおよび連通口Cは第二冷媒配管56の両端に接続されており、凝縮器52と結露防止配管17は連通口Bと連通口Cの間に設けられる。連通口Dは第四冷媒配管57bに接続されており、連通口Eは第三冷媒配管57aと接続されている。
図25(1)の第1状態では、連通口Bが開口し、連通口Cと連通口Dは連通凹部82に開口して互いに連通している。連通口Eは閉鎖される。圧縮機51で圧縮され冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は、弁ケース66内を介して連通口Bから第二冷媒配管56に流出する。冷媒は凝縮器52と結露防止配管17を経由して連通口Cから連通凹部82に流入し、連通口Dから流出して第四冷媒配管57bを経て細管である第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、合流部89を経て冷却器7に流入する。冷却器7(冷却器配管7d)に流入した低温の冷媒は、周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
図25(2)の第2状態では、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)とは互いに連通凹部82に開口して互いに連通している。連通口Dおよび連通口Eは閉鎖されている。第二冷媒配管56の両端は連通凹部82を介して連通されるが、弁ケース66内とは連通せず、連通口B、連通口C、連通口D、および連通口Eは全て閉鎖される。
圧縮機51は停止して冷媒は流れない。
図25(3)の第3状態では、連通口B、連通口C、連通口D、および連通口Eは全て閉鎖される。圧縮機51は停止して冷媒は流れない。
図25(4)の第4状態では、連通口Eが開口し、連通口B、連通口Cおよび連通口Dは閉鎖される。圧縮機51で圧縮され冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は、弁ケース66内を介して連通口Eから流出して第三冷媒配管57aを経て、合流部89を経て冷却器7に流入する。冷却器7に流入する冷媒は圧縮機51から高温高圧で吐出された冷媒であり、冷却器7を加熱して圧縮機51に戻る。
<作用・効果>
図25により説明したように、第6実施形態に係る冷媒切替弁60は、弁体80を切り替えることにより、流入管68(流入口A)と連通管69b(連通口B)が連通するとともに、連通管69c(連通口C)と連通管69d(連通口D)とが互いに連通し、連通管69e(連通口E)が閉塞する第1状態(図25(1)参照)と、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)とが互いに連通するとともに、連通管69d(連通口D)と連通管69e(連通口E)とが閉塞する第2状態(図25(2)参照)と、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)と、連通管69d(連通口D)と連通管69e(連通口E)とが閉塞する第3状態(図25(3)参照)と、流入管68(流入口A)と連通管69e(連通口E)が連通するとともに、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)と連通管69d(連通口D)が閉塞された第4状態(図25(4)参照)と、を切り替えることができる。この第4状態においては、圧縮機51から高温高圧で吐出された冷媒が冷却器7に流入して冷却器7を加熱するので、高湿な環境下において冷却器7に霜が付着した際に、冷媒の熱で冷却器7に付着した霜を除霜できるので、除霜ヒータ35が不要となる。ないし除霜ヒータ35の発生熱量を低減できるので、省エネが実現できる。
これにより、冷媒の切替性能が向上した冷媒切替弁60を提供することができる。また、この冷媒切替弁60を備える機器(冷蔵庫)の実使用状態に即して、冷媒の切り替えが可能となる
第6実施例においても、機器(冷蔵庫)の冷媒経路(冷媒回路)に設けられる弁は、冷媒切替弁60のみであり、その他の弁を追加することを必要とせず冷凍サイクルを構成できるので、安価に構成することができる。また、弁の切替制御や配置が複雑化しないため、冷媒切替弁60を備える機器(冷蔵庫)の信頼性を向上できる。
≪第7実施形態≫
次に、第7実施形態に係る冷媒切替弁60およびこれを備える機器について、図26から図28を用いて説明する。
図26は図16と同様に図10の矢印G方向から見た弁体80の弁体摺接面81と、連通口B、C、D、Eの位置関係を説明する図である。
図26が図16と異なるところは、本実施例においては1辺の長さをpとする正7角形ではなく正6角形92の頂点に、連通口B、C、D、Eを互いに隣接して配置したことである。
なお、本実施例における正6角形の表現は、幾何学的に厳密に定義した構成に限定するものではない。例えば、弁としての機能を満足する範囲内であれば、正6角形に類似する6角形であっても許容される。すなわち、製造工程における寸法誤差や設計上の許容寸法誤差を含むものである。
正6角形なので、本実施例においてはθp=60゜となり、連通口B、C、D、Eは3ピッチ(=3θp=180゜)の範囲に配置される。弁体80の弁体摺接面81もまた、3ピッチ(=3θp=180゜)範囲を覆うものとすれば、弁体80は連通口B、C、D、Eを同時に覆うことができる。すなわち、本実施例では、図26に示すように、弁座67b上に仮想の正6角形の頂点に複数の連通管接続部(連通口B、C、D、E)をそれぞれ配置して、複数の連通管接続部は4ポートであって、弁体80は正6角形の頂点のうち4つの頂点を同時に塞ぐ手段を有するので、弁体80は連通口B、C、D、Eを同時に覆うことができる。
本実施例においてはさらに、連通凹部82を1ピッチ(=θp)の範囲のみを連通するように設け、連通口BおよびCの間を連通する位置に設ける。連通口Bと連通口Cは連通凹部82によって互いに連通し、連通口D、Eは弁体摺接面81で覆われた状態である。
弁体80は、図26に示した全閉状態を角度0として、角度0から時計方向(プラス方向)、ないし反時計方向(マイナス方向)に揺動する。
図27において、弁体80の弁体摺接面81が弁体軸71のまわりに図26に示した角度0の状態から(1)はマイナス方向に1ピッチ(=−θp)揺動した第1状態、(2)は角度=0の第2状態、(3)はプラス方向に1ピッチ(=θp)揺動した第3状態、(4)はプラス方向に2ピッチ(=2θp)揺動した第5状態を図示している。弁体80は、(1)の第1状態から(4)の第4状態まで揺動するとともに、可逆的に(4)の第5状態から(1)の第1状態に揺動できる構成である。
図28は冷媒切替弁60が図27(1)の第1状態から(4)の第4状態に対応して弁体80が1ピッチ(=θp)ずつ順次揺動した際の冷媒回路を説明する模式図である。
図28(1)の第1状態では、連通口Bが開口し、連通口Cと連通口Dは連通凹部82に開口して互いに連通している。連通口Eは閉鎖される。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は、弁ケース66内を介して連通口Bから第二冷媒配管56に流出する。冷媒は結露防止配管17を経由して連通口Cから連通凹部82に流入し、連通口Dから流出して第四冷媒配管57bを経て細管である第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、合流部89を経て冷却器7に流入する。冷却器7(冷却器配管7d)に流入した低温の冷媒は、周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
図28(2)の第2状態では、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)とは互いに連通凹部82に開口して互いに連通している。連通口Dおよび連通口Eは閉鎖されている。第二冷媒配管56の両端は連通凹部82を介して連通されるが、弁ケース66内とは連通せず、連通口B、連通口C、連通口D、および連通口Eは全て閉鎖される。
圧縮機51は停止して冷媒は流れない。
図28(3)の第3状態では、連通口Eが開口し、連通口B、連通口Cおよび連通口Dは閉鎖される。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は、弁ケース66内を介して連通口Eから流出して第三冷媒配管57aを経て、細管である第一の減圧手段54aを通過した後、断熱膨張して低温低圧となり、冷却器7に流入する。冷却器7(冷却器配管7d)に流入した低温の冷媒は、周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
図28(4)の第4状態では、連通口D、および連通口Eが開口し、連通口Bと連通口Cは閉鎖される。圧縮機51で圧縮され凝縮器52を経て冷媒切替弁60の流入口Aから流入した冷媒は、弁ケース66内を介して一部は連通口Dから流出し、残部は連通口Eから流出する。連通口Dから流出した冷媒は第四冷媒配管57bを経て、細管である第二の減圧手段54bを通過した後、断熱膨張して低温低圧となる。連通口Eから流出した冷媒は第三冷媒配管57aを経て、細管である第一の減圧手段54aを通過した後、断熱膨張して低温低圧となる。第三冷媒配管57aと第四冷媒配管57bを通過した冷媒は、合流部89を経由して冷却器7(冷却器配管7d)に流入する。冷却器7(冷却器配管7d)に流入した低温の冷媒は、冷却器7で周囲空気と熱交換して圧縮機51に戻る。
<作用・効果>
図28により説明したように、第7実施形態に係る冷媒切替弁60は、弁体80を切り替えることにより、流入管68(流入口A)と連通管69b(連通口B)が連通するとともに、連通管69c(連通口C)と連通管69d(連通口D)とが互いに連通し、連通管69e(連通口E)が閉塞する第1状態(図28(1)参照)と、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)とが互いに連通するとともに、連通管69d(連通口D)と連通管69e(連通口E)とが閉塞する第2状態(図28(2)参照)と、流入管68(流入口A)と連通管69e(連通口E)が連通するとともに、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)と連通管69d(連通口D)が閉塞された第3状態(図28(3)参照)と、流入管68(流入口A)と連通管69d(連通口D)と連通管69e(連通口E)が連通するとともに、連通管69b(連通口B)と連通管69c(連通口C)が閉塞された第4状態(図28(4)参照)と、を切り替えることができる。これにより、冷媒の切替性能が向上した冷媒切替弁60を提供することができる。また、この冷媒切替弁60を備える機器(冷蔵庫)の実使用状態に即して、冷媒の切り替えが可能となる。
第7実施例においても、機器(冷蔵庫)の冷媒経路(冷媒回路)に設けられる弁は、冷媒切替弁60のみであり、その他の弁を追加することを必要とせず冷凍サイクルを構成できるので、安価に構成することができる。また、弁の切替制御や配置が複雑化しないため、冷媒切替弁60を備える機器(冷蔵庫)の信頼性を向上できる。
なお、本実施例においては、第1実施形態と同様に冷却器7は単一としているが、第2実施形態と同様に冷却器を複数備えた構成であってもよいし、第5実施形態と同様に複数の冷却器7a、7bを配置した構成であってもよいし、またさらに第6実施形態と同様に連通口Bと連通口Cの間の第二冷媒配管56に凝縮器52と結露防止配管17とを設け、連通口Dは第四冷媒配管57bに接続されており、連通口Eは第三冷媒配管57aと接続し、第3冷媒配管には細管である第一の減圧手段54aを設けない構成であってもよい。
≪第8実施形態≫
次に、第8実施形態に係る冷媒切替弁60およびこれを備える機器について、図29を用いて説明する。
図29(1)は第8実施形態に係る冷媒切替弁60の図10におけるH−H断面図であり、ステータケース61やロータ70を省略して図示している。図29(2)は図29(1)のJ−J断面図である。第8実施形態が第1実施形態と異なるところは、第1のアイドラ軸78aと第2のアイドラ軸78bを備え、さらに第1のアイドラピニオン791aと第1のアイドラ大歯車791bとを備えた第1のアイドラギヤ791と、第2のアイドラピニオン792aと第2のアイドラ大歯車792bとを備えた第2のアイドラギヤ792とを備え、第1のアイドラ軸78aのまわりには第1のアイドラギヤ791を回転自在に軸支し、第2のアイドラ軸78bのまわりには第2のアイドラギヤ792を回転自在に軸支し、ロータピニオンギヤ75と第1のアイドラ大歯車791bとがかみあって減速し、第1のアイドラピニオン791aと第2のアイドラ大歯車792bとがかみあって減速し、第2のアイドラピニオン792aと弁体80に設けられた弁体ギヤ83とがかみあって減速する構成である。
第8実施形態によれば、ロータピニオンギヤ75から弁体ギヤ83に至るまでに3回の減速を行うことで減速比を大とすることができ、弁体80の駆動トルクが大となるので弁体80の動作が確実で信頼性の高い冷媒切替弁60を提供できる。
≪第9実施形態≫
次に、第9実施形態に係る冷媒切替弁60およびこれを備える機器について、図30を用いて説明する。
図30(1)は第9実施形態に係る冷媒切替弁60のF−F断面図である。第1実施形態と異なるところは、
第1のアイドラピニオン791aと第1のアイドラ大歯車791bとを備えた第1のアイドラギヤ791と、第2のアイドラピニオン792aと第2のアイドラ大歯車792bとを備えた第2のアイドラギヤ792と、第3のアイドラピニオン793aと第2のアイドラ大歯車793bとを備えた第3のアイドラギヤ793と、を備え、弁体軸71のまわりに弁体80と第2のアイドラギヤ792とロータピニオン75とを同軸に回転自在に軸支し、かつ弁体80の上面に第2のアイドラギヤ792を載置し、さらに第2のアイドラギヤ792の上面にロータピニオン75を載置し、アイドラ軸78のまわりに第1のアイドラギヤ791と第3のアイドラギヤ793とを回転自在に同軸に軸支し、第3のアイドラギヤ793の上面に第1のアイドラギヤ791を載置し、ロータピニオンギヤ75と第1のアイドラ大歯車791bとがかみあって減速し、第1のアイドラピニオン791aと第2のアイドラ大歯車792bとがかみあって減速し、第2のアイドラピニオン792aと第3のアイドラ大歯車793bとがかみあって減速し、第3のアイドラピニオン793aと弁体80に設けられた弁体ギヤ83とがかみあって減速する構成である。
第9実施形態によれば、ロータピニオンギヤ75から弁体ギヤ83に至るまでに4回の減速を行うことで減速比を大とすることができ、弁体80の駆動トルクが大となるので弁体80の動作が確実で信頼性の高い冷媒切替弁60を提供できる。
さらに、弁体80と第2のアイドラギヤ792とロータピニオン75を弁体軸71のまわりに同軸に配置し、第1のアイドラギヤ791と第3のアイドラギヤ793とをアイドラ軸78のまわりに同軸に配置したので、アイドラ軸78は1本のみの構成で4段減速が実現できるので、簡素な構成で大きな減速比が得られる。
≪弁座構造≫
次に、第1実施形態から第9実施形態に係る冷媒切替弁60の弁座構造について、図31を用いて更に説明する。
図31は、冷媒切替弁の第二の弁座プレート67bと弁体80と連通管69の断面を示す拡大部分断面図である。
図31に示すように、第二の弁座プレート67bの外周の第一の弁座プレート67aと嵌合する部分は、直径が縮小されて段差が設けられ、第一の弁座プレート67aと嵌合されて互いにロウ付けされて接合される。
第二の弁座プレート67bの中央には、貫通しない有底のロータ軸穴72が穿設され、弁体軸71を支持するようになっている。また、ロータ軸穴72に隣接して、連通管69(69b,69c,69d,69e)の接続される連通孔88(連通管穴87)が開口されている。ここで、連通孔88(連通管穴87)は、弁体80が配置される側は、直径d0(例えば、φ1mm程度)の連通孔88が開口され、弁体80が配置される側の反対側は、直径(直径d1)が拡大(d1>d0)されており、連通管69が嵌合されてロウ付けされて接合される。
これら連通管69の接続される連通孔88は、弁体80の弁体摺接面81に設けられた連通凹部82に対応して配置するために、弁体軸71に近接した、図15にて説明した半径R(例えば、3−4mm程度)の位置に設ける必要がある。
一方、連通管69は冷媒配管として銅管を用いるのが一般的であり、連通管69を嵌合してロウ付けする連通管穴87は、連通孔88の内径より太い直径d1(例えば、φ3mm程度)であり、ロウ付けする際に第二の弁座プレート67bに対して位置決めするために、ある程度の深さt2(例えば、2mm程度)が必要となる。
ここで、第二の弁座プレート67bの厚さをt0、有底のロータ軸穴72の深さをt1、連通管69b、連通管69c、連通管69d、連通管69eを嵌合される深さをt2とすれば、t0>(t1+t2)なる関係を満たせば、ロータ軸穴72と連通管穴87とが干渉して穴があいて連通管69をロウ付けする際にロータ軸穴72にロウが流れ込むことを防止でき、好適である。これは、例えば、t0=5mm、t1=t2=2mmとして実現できる。
なお、弁体軸71は、有底のロータ軸穴72に嵌合されて固定されるものであり、ロウ付けされないので、弁体軸71と第二の弁座プレート67bの接合部にロウが表面張力によって隅部にフィレット状にはみ出すことがなく、はみだしたロウによって弁体が第二の弁座プレート67bへの密着を妨げられることがない、という効果がある。
また、図11から図14ないし図29から図30に示す弁ケース66と第一の弁座プレート67aの外周とは、溶接、例えばTIG溶接(タングステン・不活性ガス溶接)やレーザ溶接によって密封される構成である。一方、弁体80やアイドラギヤ79は、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)などの耐熱性樹脂で製作されるものの、温度上昇には限界がある。特に、弁体80の弁体摺接面81は、わずかな熱変形が生じても冷媒を封止できなくなるおそれがあるので、弁体80の温度上昇を抑制する構成が望ましい。
本実施形態(第1〜第9実施形態)に係る冷媒切替弁60の構成では、弁体80は、ロータ70と同軸に配置され、弁座プレート67(第一の弁座プレート67a、第二の弁座プレート67b)の中心に設けられた弁体軸71のまわりに揺動するように配置される構成であり、溶接される外周からは最も遠い位置に配置される。
これにより、溶接時の熱が最も伝わりにくく温度上昇しにくい位置に弁体80が配置されているので、弁ケース66と第一の弁座プレート67aの接合時における弁体80の熱変形を防止するという効果がある。
図18に示す第1実施形態の(2)第2状態や、図23に示す第4実施形態の(1)第1状態において、冷媒は連通凹部82を通って流れるようになっている。
ここで、連通凹部82の断面寸法として、図31に示す連通凹部82の幅wを、概ね連通孔88の直径d0と等しいかやや大きい値とし、図31に示す連通凹部82の深さhを概ねwと等しい寸法とすることが望ましい。
このような寸法とすることで、冷媒が連通口Cから連通凹部82に流入する際に、流路が急拡大して圧力損失を生じることを防止でき、あるいは逆に、流路が縮小されて流速が高まり動圧が上昇して弁体80が浮上することを防止できるので好適である。
≪液封時の動作≫
次に、図32(適宜図18、図21等)を用いて、冷媒経路(冷媒回路)に所謂液封が生じた場合について説明する。ここで、液封とは、両端が閉じられた冷媒回路、即ち閉回路が液体の冷媒で満たされ、その後温度上昇して冷媒が熱膨張することで冷媒回路配管内部や弁体内部に高圧が生じる現象である。
前述したように、例えば第1実施形態に係る冷媒切替弁60における第1状態(図18(1)参照)、第4状態(図18(4)参照)と第5状態(図18(5)参照)、第2実施形態に係る冷媒切替弁60における第1状態(図19(1)参照)、第4状態(図19(4)参照)と第5状態(図19(5)参照)、などにおいて、第二冷媒配管56(および結露防止配管17)は、両端を弁体80で封止された閉回路となる。
ちなみに、例えば第1実施形態に係る冷媒切替弁60における第4状態(図18(4)参照)は、弁ケース66は内部の体積が比較的大きな凝縮器52と連通する状態となっているので、封入された総冷媒量の体積(液体時)よりも閉回路の体積(凝縮器52、第一冷媒配管55、弁ケース66)を大きくすることができるので、液封を防止することができる。
また、冷媒切替弁60の連通口Dと圧縮機51とで閉じられた第三冷媒配管57aや第四冷媒配管57bや冷却器7についても、蒸発器として機能する冷却器7の内部の体積が比較的大きいため、液封を防止することができるようになっている。
図32は、連通管69側の圧力が上昇した際の冷媒切替弁60の第二の弁座プレート67bと弁体80と連通管69の断面を示す拡大部分断面図である。
閉回路の内部が全て液体の冷媒で満たされて、その後温度上昇して冷媒が熱膨張すると、熱膨張した冷媒の圧力P2が、連通管69から弁体80に(図示下方から上方に)向けて加わる。
ところで、図11ないし図14により説明したように、弁体80は、ロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)が弁体80に載置され、ロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)の自重と板バネ86の付勢力によって、第二の弁座プレート67bに対して予圧される構成である。また、弁体80には、弁ケース66内部の冷媒の圧力P1に起因する押圧力が加わる。
ここで、冷媒の圧力P2がP1より大となり、ロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)の自重、板バネ86の付勢力、および圧力P1に起因する押圧力の合計を上回る力を受けると、板バネ86が縮んで、図32に示すように、弁体軸71に沿って、弁体80およびロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)が第二の弁座プレート67bから浮上する方向に移動する。弁体80が浮上することにより、連通管69内の冷媒は、弁体80と第二の弁座プレート67bの隙間から、弁ケース66内部に流出して、連通管69内の圧力が低下する。そして、連通管69内の圧力が低下すると、ロータ70(ロータ駆動部74、ロータピニオンギヤ75)の自重と板バネ86の付勢力によって、弁体80は、は第二の弁座プレート67bに密着する。
このように、弁体80は第二の弁座プレート67bから浮上することができるので、連通管69内の圧力が異常に上昇することを防止することができるという効果がある。
なお、連通管69内の圧力が異常に上昇することを防止する効果は、連通管69内が液体冷媒で満たされる液封の状態に限られるものではなく、連通管69内部は気体のみまたは気体と液体の混合状態であって、温度上昇によって熱膨張して圧力が上昇した場合にも同様な効果がある。
なお、本発明においては、連通口の配置を正多角形の頂点位置にあるとしたが、第1実施形態から第7実施形態まで、弁体の揺動に伴う連通口の開閉動作が同様であれば、1ピッチの角度(θp)を正多角形の場合の(2π/N)よりもずらした角度としてもよい。