JP2017128872A - 場所打ち杭用の注入バッグ及びその注入バッグの設置方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、フレームが杭底に到達した際に鉄筋籠からフレームを分離させる機構の構造が複雑であるため、鉄筋籠からフレームを分離させて、注入バッグを杭底に設置する作業は煩雑であるという問題があった。
場所打ち杭のための杭孔に建て込む鉄筋籠とともにその杭孔内に配設され、前記杭孔の底部に設置された状態で、その内部に注入材が注入されることで膨張して杭先端地盤を加圧圧縮する場所打ち杭用の注入バッグであって、
外縁に複数のバンド装着部が設けられている不透水性の袋体と、
前記複数のバンド装着部に一端部が繋がれて、他端部に連結部材が設けられている複数の伸縮バンドと、を備え、
前記連結部材を前記鉄筋籠の所定箇所に取り付けて、前記袋体で前記鉄筋籠の下部先端を覆うように構成されているようにした。
袋体で鉄筋籠の下部先端を覆うように注入バッグを鉄筋籠に取り付けた状態で、その鉄筋籠を杭孔に建て込み、杭孔にコンクリートを流し込めば、コンクリートの重量によって注入バッグの伸縮バンドが伸びて、鉄筋籠の下部先端を覆っていた袋体の外縁が広がるように展開する。
つまり、注入バッグの袋体を鉄筋籠の下部先端に取り付けた状態でその鉄筋籠を杭孔に建て込んだ後、杭孔内にコンクリートを打設することによって、容易に袋体を杭孔の底部に展開して設置することができる。
このような注入バッグであれば、注入材の注入によって好適に膨らみ、地盤に所定の荷重を付与することができるので、この注入バッグを先端プレロード場所打ち杭工法に用いることで、場所打ちコンクリート杭に沈下が生じないようにすることができる。
前記袋体は、前記鉄筋籠の下部先端を覆うとともに前記鉄筋籠の側面側の一部を覆うことが可能なサイズを有するようにする。
注入バッグの袋体が、鉄筋籠の下部先端を覆うとともに鉄筋籠の側面側の一部を覆うことが可能なサイズを有していれば、その袋体を杭孔の底部に展開した際に、例えば底部のほぼ全域を被覆するように設置することが可能になる。このような注入バッグであれば、注入材を注入して膨張させて、杭孔の底部を良好に加圧圧縮することができる。
前記連結部材を前記鉄筋籠に取り付けて、前記袋体を前記鉄筋籠の下部先端に取り付けた状態でその鉄筋籠を前記杭孔に建て込んだ後、前記杭孔内に打設するコンクリートの重量によって前記伸縮バンドを伸ばして、前記袋体を前記杭孔の底部に展開して設置するようにした。
そして、杭孔の底部に展開して設置した袋体に所定量の注入材を注入すれば注入バッグを好適に膨らませることができ、膨張した注入バッグが杭孔の底部を加圧圧縮することで、杭先端地盤に荷重(プレロード)を載荷することができる。
前記鉄筋籠の下部先端に杭底フレームを上下に移動可能に設け、前記杭底フレームを介して前記袋体を前記鉄筋籠に取り付け、
前記鉄筋籠を前記杭孔に建て込んで前記袋体が前記杭孔の底部に到達した後、前記杭底フレームの配置が切り替わることで、前記杭孔内に配設する前記鉄筋籠の位置を調整可能とする。
杭孔内に配設する鉄筋籠の位置を適正に調整できれば、その鉄筋籠を内蔵する場所打ちコンクリート杭を好適に形成することができる。
先端プレロード場所打ち杭工法では、まず、図1(a)に示すように、場所打ちコンクリート杭のための杭孔1を地盤に削孔する。この工程を「杭孔削孔工程」という。
杭孔1の削孔は、杭孔側壁1aの崩落を防止するため、ベントナイト等の粒子を混合させた水(削孔用液体)を杭孔1内に満たしながら行う。このため、杭の先端(下端)となる杭孔1の底部1bには、地盤が削孔された微細な土粒子が沈澱した柔らかい泥状のスライム部1cが形成される。
この鉄筋籠2の下部先端に後述する注入バッグ100を取り付け、図1(b)に示すように、鉄筋籠2とともに注入バッグ100をクレーン3等によって吊り込み、杭孔1内に建て込む。こうして注入バッグ100を杭孔1の底部1b(杭先端地盤)に設置する。この工程を「鉄筋カゴ・注入バッグ沈設工程」という。
なお、鉄筋籠2の下部先端には後述する杭底フレーム21が出没可能に設けられており、注入バッグ100はその杭底フレーム21を介して鉄筋籠2に取り付けられている。
排出機51側に注入材Gが到達し、注入バッグ100内の気泡が抜けたことが確認されたら排出バルブB2を閉じ、更に注入ポンプ41による送液を継続し、注入バッグ100に注入材Gを注入する。
そして、所定量の注入材Gを注入して注入バッグ100を膨らませ、注入バック100内に所定の圧力が所定時間が加わったことを確認した後、注入バルブB1を閉じて注入ポンプ41を止める。
このようにして、注入バッグ100の内部に注入材Gを注入して、注入バッグ100を膨らませる。こうして膨らんだ注入バッグ100が杭孔1の底部1bを加圧圧縮し、杭先端地盤に荷重(プレロード)が載荷される。この工程を「プレロード工程」という。このプレロードによって、杭先端地盤の支持力が増強されるとともに杭沈下量が低減する。
図2、図3(a)(b)に示すように、注入バッグ100は、不透水性の袋体10と、その袋体10に接続されている注入ホース40及び排出ホース50等を備えている。
袋体10の外縁には、複数(本実施形態では6つ)のバンド装着部10dが設けられている。
この注入ホース40及び排出ホース50は、例えば、袋体10を貫通し、その袋体10内に収容されている図示しない有孔管の両端部にそれぞれ接続されている。図示しない有孔管は、例えば樹脂材料や金属材料からなる管状部材の周面に多数の孔が形成されたものであり、注入ホース40を通じて送液された注入材Gを排出ホース50に向けて流す流路となり、その孔から注入材Gが袋体10内に流入するようになっている。
そして、排出バルブB2が閉じられて排出ホース50に注入材Gが流れなくなった状態では、図示しない有孔管の孔から加圧された注入材Gが袋体10内に流れ込み、袋体10(注入バッグ100)を膨らませるようになっている(図3(b)参照)。
この袋体10は、中央に丸穴を有する円形の上面シート材と下面シート材の外周縁と内周縁をそれぞれ貼り合わせて、浮き輪のような袋状に形成されている。
また、中央の丸穴(内周縁)には、水抜き用のメッシュシート10cが着設されており、外縁(外周縁)には、複数のバンド装着部10dが着設されている。このバンド装着部10dは、袋体10のシート材と同じ材料を用いて形成された舌状の部材であり、伸縮バンド60を取り付けるための開口が設けられている。なお、メッシュシート10cは、杭孔1の底部1bの泥(スライム部1c)対策のために設けられている周知の部材である。
シート材の貼り合わせは、接着剤による接着、または加圧による圧着、または加熱による熔着、或いはそれらを複合した貼着手法などによって行うことができる。なお、上面シート材には、注入ホース40及び排出ホース50が通される貫通孔が形成されているが、その貫通孔の縁は注入ホース40と排出ホース50の周面にそれぞれ着設されている。
袋体10を構成するシート材の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の合成樹脂材料、具体的にはポリエチレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリアミドなどを用いることができる。また、ゴム系材料(天然ゴムの他、合成ゴムやエラストマー系材料等を含む)も使用可能である。
こうして、所定量の注入材Gを袋体10に注入して注入バッグ100を膨らませることで、膨張した注入バッグ100が杭孔1の底部1bを加圧圧縮し、杭先端地盤に荷重(プレロード)を載荷することができる。
本実施形態では、注入材Gとしてセメントミルクを用いた。またセメントミルクの他のグラウト材や、硬化性樹脂材料等も注入材Gとして用いることができる。
連結部材70は、例えばフックであり、鉄筋籠2の任意の箇所に取り付けることができる。
特に、本実施形態の注入バッグ100は、伸縮可能な伸縮バンド60を用いて鉄筋籠2の下部先端に取り付けられているので、鉄筋籠2とともに注入バッグ100を杭孔1に配設した後、図4(b)に示すように、その杭孔1にコンクリート4を流し込めば、コンクリート4の重量によって注入バッグ100の伸縮バンド60が伸びることで、袋体10を杭孔1の底部1bに展開して設置することが可能になっている。
また、注入バッグ100の袋体10は、図4(a)に示すように、鉄筋籠2の下部先端を覆うとともに鉄筋籠2の側面側の一部を覆うことが可能なサイズを有しているので、この袋体10を杭孔1の底部1bに展開した際に、底部1bの全域を被覆するように設置することが可能になっている。
なお、図4(a)(b)では、注入ホース40及び排出ホース50の図示を省略している。
ここで、鉄筋籠2に設けられている杭底フレーム21について説明する。
フレーム保持部21bは、鉄筋籠2の下端に固定される枠部2aと、枠部2aに上下動可能に挿通されている複数(本実施形態では6本)のスライドバー2bと、そのスライドバー2bの上部に固設されている抜止部材2c等を備えて構成されており、スライドバー2bの下部にフレーム本体21aが固設されている。
また、その鉄筋籠2を杭孔1に建て込むなどしてフレーム本体21aが杭孔1の底部1bに接触すると、図6(b)に示すように、フレーム本体21aを相対的に上方に移動させるようにスライドバー2bが枠部2aの上方に抜け出して鉄筋籠2側に引っ込んで、フレーム本体21aが鉄筋籠2に近接する方向に移動するようになっている。
このように、鉄筋籠2に対し、フレーム本体21aが上下に移動可能に備えられているので、杭孔1に建て込んだ鉄筋籠2の袋体10が杭孔1の底部1bに到達した後、杭底フレーム21のフレーム本体21aの配置が切り替わることで、杭孔1内に配設する鉄筋籠2の位置を調整することが可能になっている。こうすることで、場所打ちコンクリート杭を好適に形成することができる。
そして、注入バッグ100を取り付けた鉄筋籠2を、図1(b)に示すように、杭孔1に建て込む。
また、杭孔1に建て込んだ鉄筋籠2の下部先端の袋体10が杭底(底部1b)に到達した後、杭底フレーム21のフレーム本体21aが上下に移動するのを利用して、杭孔1内に配設する鉄筋籠2の位置を調整する。
このとき、図4(b)に示すように、杭孔1内に打設したコンクリート4の重量によって注入バッグ100の伸縮バンド60が伸びて、鉄筋籠2の下部先端を覆っていた袋体10の外縁が広がるように展開する。
つまり、注入バッグ100の袋体10を鉄筋籠2の下部先端に取り付けた状態でその鉄筋籠2を杭孔1に建て込んだ後、杭孔1内にコンクリート4を打設することで、袋体10を杭孔1の底部1bに展開して設置することができる。
そして、打設したコンクリート4を硬化させて、地盤内に場所打ちコンクリート杭を形成した後、所定量の注入材Gを袋体10内に注入して、注入バッグ100を膨らませる。こうして膨らませた注入バッグ100によって杭孔1の底部1bを加圧圧縮し、杭先端地盤に荷重(プレロード)を載荷する。
つまり、伸縮可能な伸縮バンド60を用いて鉄筋籠2の下部先端に取り付けて使用する場所打ち杭用の注入バッグ100であれば、従来技術のような、杭底に到達したフレームを鉄筋籠から分離させて注入バッグを杭底に設置する手法よりも、より簡便に注入バッグ100(袋体10)を杭底1bに展開して設置することができる。
そして、杭孔1の底部1bに展開して設置した袋体10に所定量の注入材Gを注入すれば注入バッグ100を好適に膨らませることができ、膨張した注入バッグ100が杭孔1の底部1bを加圧圧縮することで、杭先端地盤に荷重(プレロード)を載荷することができる。
つまり、先端プレロード場所打ち杭工法に、この注入バッグ100を用いれば、場所打ちコンクリート杭に沈下が生じないようにすることができる。
1a 杭孔側壁
1b 底部
1c スライム部
2 鉄筋籠
21 杭底フレーム
3 クレーン
4 コンクリート
4a コンクリートポンプ
4b コンクリート圧送管
100 注入バッグ
10 袋体
10c メッシュシート
10d バンド装着部
40 注入ホース
41 注入ポンプ
50 排出ホース
51 排出機
60 伸縮バンド
70 連結部材
G 注入材
B1 注入バルブ
B2 排出バルブ
Claims (4)
- 場所打ち杭のための杭孔に建て込む鉄筋籠とともにその杭孔内に配設され、前記杭孔の底部に設置された状態で、その内部に注入材が注入されることで膨張して杭先端地盤を加圧圧縮する場所打ち杭用の注入バッグであって、
外縁に複数のバンド装着部が設けられている袋体と、
前記複数のバンド装着部に一端部が繋がれて、他端部に連結部材が設けられている複数の伸縮バンドと、を備え、
前記連結部材を前記鉄筋籠の所定箇所に取り付けて、前記袋体で前記鉄筋籠の下部先端を覆うように構成されていることを特徴とする場所打ち杭用の注入バッグ。 - 前記袋体は、前記鉄筋籠の下部先端を覆うとともに前記鉄筋籠の側面側の一部を覆うことが可能なサイズを有していることを特徴とする請求項1に記載の場所打ち杭用の注入バッグ。
- 請求項1又は2に記載の場所打ち杭用の注入バッグを杭孔の底部に設置する注入バッグの設置方法であって、
前記連結部材を前記鉄筋籠に取り付けて、前記袋体を前記鉄筋籠の下部先端に取り付けた状態でその鉄筋籠を前記杭孔に建て込んだ後、前記杭孔内に打設するコンクリートの重量によって前記伸縮バンドを伸ばして、前記袋体を前記杭孔の底部に展開して設置することを特徴とする注入バッグの設置方法。 - 前記鉄筋籠の下部先端に杭底フレームを上下に移動可能に設け、前記杭底フレームを介して前記袋体を前記鉄筋籠に取り付け、
前記鉄筋籠を前記杭孔に建て込んで前記袋体が前記杭孔の底部に到達した後、前記杭底フレームの配置が切り替わることで、前記杭孔内に配設する前記鉄筋籠の位置を調整可能としたことを特徴とする請求項3に記載の注入バッグの設置方法。
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