以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る紙葉類回収搬送システム10(図2参照)が設置される遊技場2の店内レイアウトの一例を示している。遊技場2の店内には、複数の遊技機島3が通路を隔てて複数配列されている。各遊技機島3には、紙幣の投入を受けて遊技者に遊技球(パチンコ球)を貸し出す遊技球貸機4とパチンコ機などの遊技機5とを一組にしたものが背中合わせになるようにして表裏面に複数組併設収容されている。遊技機島3の内部には、各遊技球貸機4の背面から排出された紙幣を取り込んで遊技機島3の一端まで搬送する島内紙幣搬送装置8が設けてある。遊技機島3の端部には島内紙幣搬送装置8によって搬送されて来た紙幣を一時的に蓄えるための中継ボックス6が設けてある。
図2は、図1に示した各遊技機島3の中継ボックス6から紙幣を回収する紙葉類回収搬送システム10を示している。紙葉類回収搬送システム10は、遊技場2内の複数の遊技機島3の各中継ボックス6から紙幣を回収して所定の目的地へ搬送する機能を果たす。図2の例では、各遊技機島3は遊技場2の1階に設置され、事務所は2階にあるものとする。紙葉類回収搬送システム10は、1階に設置された各遊技機島3の中継ボックス6から紙幣を回収し、目的地である2階の事務所の金庫11へ搬送する機能を備えている。
紙葉類回収搬送システム10は、金庫11と、金庫11から出て階下に延設された後、各中継ボックス6のある箇所の上方を経由し、階上の金庫11へ戻るように配管された主たる搬送経路を構成する搬送管12と、中継ボックス6からその上方を通る搬送管12へ紙幣を搬送する副搬送装置13と、副搬送装置13によって中継ボックス6から搬送されてきた紙幣を、搬送管12内へ、紙面が搬送管12の延設方向に沿う姿勢で送り出す取込装置14とを備えて構成される。
主たる搬送経路を構成する搬送管12のうち、遊技機島3の配列された階を巡る部分は、その階の天井裏(もしくは天井近くの高位置)に配管されている。すなわち、遊技場2の中で人が活動(遊技や通行)するエリアを避けて、該エリアより高い位置に搬送管12を設置してある。また、遊技機島3内の遊技球貸機4は遊技を行う遊技者に合わせた高さに設置され、遊技機島3の中継ボックス6も同様の高さに設置されているので、該中継ボックス6からその上方の搬送管12まで副搬送装置13で紙幣を搬送するようになっている。
紙葉類回収搬送システム10は、主たる搬送経路を構成する搬送管12内に空気流を発生させ、該空気流を受けて搬送管12内を移動する搬送補助体16(図3参照)を、取込装置14より上流側で搬送管12内へ挿入し、取込装置14によって搬送管12内へ取り込まれた紙幣Pを搬送補助体16で後方から押し動かして下流(搬送方向FW)へ搬送するようになっている。本実施の形態では、金庫11から搬送補助体16を送り出し、搬送管12を一周して金庫11に搬送補助体16が戻ってくるようになっている。
詳細には、図8に示すように、金庫11の内部に、空気流発生装置21と、紙幣分離・搬送補助体循環装置22が設けてある。紙幣分離・搬送補助体循環装置22は、搬送補助体16を搬送管12に送り出す搬送補助体挿入装置23の機能と、紙幣Pとこれを後方から押し動かして搬送してきた搬送補助体16とを分離してそれぞれを回収する分離回収装置24の機能を備えると共に、分離回収装置24で回収した搬送補助体16を搬送補助体挿入装置23に渡して循環的に使用させる機能を果たす。分離回収装置24で回収した紙幣Pは、金庫11内の紙幣収納部25に収容される。
空気流発生装置21はモータで羽を回転させることによって空気流を発生させる。空気流発生装置21の空気吹き出し側は搬送補助体挿入装置23の空気流入口側に接続され、搬送補助体挿入装置23の空気流出口側に搬送管12の始端が接続されている。搬送管12の終端は分離回収装置24の空気流入口側に接続され、分離回収装置24の空気流出口側に空気流発生装置21の空気吸い込み側が接続されている。
図2に示すように、紙葉類回収搬送システム10の主たる搬送経路は複数の搬送管12を連結部15で連結して構成される。なお、取込装置14は、その前後の搬送管12を連結する機能も果たす。
中継ボックス6から送り出された紙幣Pは副搬送装置13によって上方へ搬送された後、取込装置14によって搬送管12の中へ送り出される。取込装置14は、紙幣Pをその紙面が搬送管12の延設方向に沿う姿勢で搬送管12内へ送り出す。ここでは、取込装置14は、紙面が上下を向く水平な姿勢となるように紙幣Pを搬送管12内へ送り出す。取込装置14によって搬送管12内に送り出された紙幣Pは、送り出し完了位置に滞在する。複数の取込装置14を経由する部分(図2の地点AからカーブCの直前まで)の搬送管12は横姿勢で、水平にかつ一直線に配管されている。横姿勢とは、搬送管12内の紙幣Pの紙面が水平に搬送管12の姿勢である。
搬送管12内に滞在する紙幣Pを金庫11まで搬送して回収するために搬送補助体16が金庫11内の搬送補助体挿入装置23から搬送管12内へ送り込まれる。搬送管12内へ送り込まれた搬送補助体16は、空気流発生装置21が発生させた空気流の作用を受けて搬送管12内を移動し、搬送管12を一周して金庫11へ戻ってくる。その途中で、搬送補助体16は、図3に示すように、紙幣Pを、その後端側から押し動かし、搬送管12の終端に向けて(図中の搬送方向FWへ)搬送する。
このように、空気流の作用を受けて搬送補助体16が移動し、この搬送補助体16によって紙幣Pを後端側から押し動かして搬送するので、紙幣P自体は空気流から推進力を得る必要がない。したがって、空気流を受けるために紙幣Pを折り曲げる等の措置を施すことなく、紙幣Pを空気流によって搬送することができる。また、搬送補助体16は紙幣Pに比べて効率よく空気流から推進力を得ることができるので、紙幣Pを効率よく搬送することができる。
なお、図2に示すように、搬送管12の途中の適所に、搬送管12内を流れる空気流を増強するための補助ブロア17が設けてある。図2の例では、搬送管12がカーブしている箇所、および、紙幣Pを上方へ搬送する上り部分の基点に補助ブロア17を設けてある。カーブの途中や上り部分の途中に補助ブロア17を設けてもよい。補助ブロア17は、当該部分を、紙幣Pや搬送補助体16が通過した直後にONにされて空気流を増強するように制御される。
図2のカーブCは、紙幣Pと搬送補助体16を移動させる場所である。また進路が湾曲すると共にカーブの当初は紙幣Pと搬送補助体16を上方へ搬送する箇所なので、特に強い空気流を必要とする。そこで。カーブCの上り初めの部分に空気流を送り込むために補助ブロア17を設けてある。
紙葉類回収搬送システム10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを主要部とする制御部27(図8参照)を備えており、該制御部27により、空気流発生装置21、紙幣分離・搬送補助体循環装置22、副搬送装置13、取込装置14、補助ブロア17、副搬送装置13、中継ボックス6などの動作を制御する。
次に、搬送管12および搬送補助体16の形状について詳細に説明する。
図4は、直線部分における搬送管12の斜視図を、図5は、同部分の搬送管12の延設方向FW(=紙幣Pの搬送方向FW=空気流の流れる方向)に垂直な断面形状を示す図である。搬送管12は、厚さ1.5ミリほどの樹脂で形成されている。搬送管12は、たとえば、押し出し成型によって形成される。
搬送管12の直線部分の延設方向FWに垂直な断面の形状は、長方形の長辺の中央部分が外側へ矩形に拡張した形状を成している。詳細には、搬送管12は、断面で長方形の短辺を成す壁部31と、断面で長方形の長辺を成す側側壁部32と、側壁部32の中央部分において外側へ矩形に張り出した拡張部33とを備えている。なお、搬送管12の延設方向(搬送方向FW)に垂直な略長方形の断面における短辺方向をX方向、長辺方向をY方向とする。X方向、Y方向それぞれにおいて搬送管12の中心に向かう方向を内側、中心から内壁へ向かう方向を外側と呼ぶものとする。
拡張部33は、搬送管12の内側方向へ立設された分離壁34によって2つに区切られている。分離壁34は拡張部33の内壁にT字型の部材を貼り付けて形成されている。
側壁部32には、搬送管12の内側方向へ突起した複数本のリブ35が搬送方向に沿って延設形成されている。本例では、側壁部32と拡張部33の境界部に搬送管12の内側へ突出するリブ35が搬送方向FWに沿って形成されている。分離壁34はリブ35と同じ高さになっており、分離壁34の頂部はリブとしての作用を果たす。
側壁部32は、搬送される紙幣Pの紙面に対向する一対の内壁となっている。紙幣Pは長方形をなしており、搬送管12内を、長辺が搬送方向FWとなる向きで搬送される。言い換えると、紙面Pが搬送管12の側壁部32に対向しかつ紙幣Pの一方の短辺が搬送方向FWの先端側となり他方の短辺が後端側となる向きで搬送される。
搬送管12の対向する一対の壁部31の間隔Dyは紙幣Pの短辺より僅かに長くされている。また、対向する一対の側壁部32(リブ35や拡張部33、分離壁34が形成されていない部分(基準平面部とする))の間隔Dxは21ミリほどに設定されている。各側壁部32に設けられた拡張部33は側壁部32(基準平面部)よりも外側へ6ミリほど拡張している。リブ35および分離壁34の頂は、側壁部32(基準平面部)から内側へ約2ミリの高さになっている。リブ35の高さは適宜に設定すればよい。
なお、搬送管12はその長手方向を縦、横のほか任意の角度に傾けて設置して使用することができ、どの角度でも搬送補助体16は円滑に搬送管12の中を移動することができる。たとえば、後述するねじり部51(図18参照)においても円滑に紙幣Pおよび搬送補助体16を搬送することができる。図5は、長方形の断面のうちの長辺が縦になるように設置した縦姿勢の搬送管12を示している。
図6は、搬送補助体16の平面および正面を示している。搬送補助体16は、各部で径が異なる断面円形の柱状を成している。搬送補助体16は、円柱の中心軸が搬送管12のY方向となるように搬送管12内に挿入されて使用される。搬送補助体16は、長さ方向にその中心に対して対象な形状であり、一方の端から順に、頭部16a、頭部よりやや径の小さい首部16b、頭部16aより径が大きい大径部16c、首部16bと同径であって長さ方向の中央に位置する括れ部16d、大径部16c、首部16b、頭部16aを有して構成される。搬送補助体16は、軽量、丈夫であり、たとえば、プラスティックなどにより内部が空洞に形成される。なお、軽量、丈夫であれば、発泡スチロールや押出発泡ポリスチレンなどにより形成されてもよい。
図7は、搬送管12内に搬送補助体16を挿入した状態の断面を示している。同図は、延設方向FWに垂直であって搬送補助体16の中心軸を通る断面である。搬送補助体16の各部の径は、搬送管12の内縁形状に対応している。すなわち、搬送補助体16の中心軸を通る断面形状は、延設方向FWと垂直な断面における搬送管12の内縁形状に対応した形状となっており、搬送管12の内側を、内壁との間に所定のクリアランスをあけてほぼ塞ぐ形状になっている。
このように、搬送補助体16は、搬送管12の内縁形状に対応する形状(若干のクリアランスをもってほぼ同一の形状)をなして搬送管12の断面のほぼ全体を塞ぐので、空気流の作用を効率よく受けて移動することができる。さらに搬送補助体16は上流からの空気流が搬送補助体16の下流側へ至るのを防ぎ、下流側での空気流の乱れを抑制する役割を果たす。
紙幣Pは、搬送管12内の空気流から作用を受けると側壁部32に張り付く傾向にある。すなわち、紙幣Pの一方の紙面とこれに対向する側壁部32との間隔と、他方の紙面とこれに対向する側壁部32との間隔とが均等になることはほとんどなく、いずれかの間隔が他方より狭くなる。空気流の流速は狭い間隔側で広い間隔側より速くなるため、狭い間隔側の気圧が広い間隔側の気圧より低くなり、この気圧差によって紙幣Pが狭い間隔側の側壁部32へ吸着・押圧される。そうなると、狭い間隔側の間隔がさらに狭くなり、紙幣Pが側壁部32へ張り付き吸着する現象が生じる。
紙幣Pが強く側壁部32に張り付くと、搬送補助体16で紙幣Pを押し動かして搬送することが難しくなるが、上記のように搬送補助体16はその下流側への空気の流れを遮る(少なくする)作用を果たすので、紙幣Pが張り付き吸着する力は小さくなり、円滑な搬送が実現される。
搬送補助体16が有する2つの大径部16cは、搬送管12の分離壁34に区切られた2つの拡張部33のそれぞれに係合する。本例では、拡張部33を分離壁34によって2つに区切ると共に、これらの拡張部33を搬送管12のY方向の中央寄りに設けてあるので、搬送補助体16を安定した姿勢に維持して移動させることができる。また、搬送補助体16の姿勢が安定するので、紙幣Pの後端に搬送補助体16の大径部16cが適切に当接して安定した搬送力を与えることができる。また、搬送管12と搬送補助体16との間に紙幣Pが巻き込まれ難くなる。
また、搬送補助体16は、大径部16cを設けることで、空気流の作用を受ける部分の面積が拡大し、移動するための力を効率よく受けることができる。また、大径部16cを設けて空気流の作用を効率的に受けるので、その分、頭部16aの径を小さくすることができる。頭部の径を小さくすることで、搬送管12内の対向する一対の側側壁部32の間隔(幅(Dx))を狭くすることができ、紙幣Pの倒れを防ぐことができる。
さらに、側壁部32に設けた複数本のリブ35の存在により、紙幣Pが側壁部32にぴったりと張り付くことが防止される。すなわち、紙幣Pと側壁部32との接触面積が少なくなって摩擦が軽減され、静電気の発生等を抑えることができる。また、紙幣Pが側壁部32に張り付いた場合でも、その紙幣Pはリブ35の先端部分で支持されるため、リブ35の周辺では側壁部32と紙幣Pとの間に隙間が確保され、張り付き力が小さく抑えられる。また分離壁34によって紙幣Pが支えられるので、紙幣Pが拡張部33の窪みに落ち込むことが防止される。
また、側壁部32から内側に突出する複数のリブ35や分離壁34の頂部は、搬送管12の幅方向(X方向)における実質的な紙幣Pの通路幅Wを、基準平面部間距離Dxより狭くする役割を果たす。これにより、紙幣Pが搬送管12内で一方の側壁部32側へ倒れに難くなり、紙幣6の姿勢がY方向に沿うように保持される。特に、リブ35を複数設けることで、紙幣Pの上記倒れを適切に防ぐと共に、紙幣Pの側壁部32への張り付きも効果的に防止される。なお、リブ35を設けた分だけDxを大きくすることができ、これによって搬送管12の断面積を大きくして搬送補助体16が空気流の作用を受けやすくなっている。
本実施の形態に係る搬送補助体16の場合、大径部16cの径が最も大きいので、図3に示すように、この大径部16cが紙幣6の後端に当接して押し動かすようになる。
次に、金庫11の内部構造についてより詳細に説明する。
図8は前面カバーを外した状態の金庫11とその近傍の搬送管12を示している。金庫11は、縦長の直方体形状を成しており、その内側下部には空気流発生装置21が配置され、上部には紙幣分離・搬送補助体循環装置22が取り付けられている。このほか金庫11の内部には、紙幣Pを収容する紙幣収納部25、分離回収装置24によって分離回収された紙幣Pを紙幣収納部25へ搬送する紙幣搬送部26、紙葉類回収搬送システム10の動作を制御する制御部27、電源部などが収容されている。分離回収装置24の後端から排出された紙幣Pは、図8の矢印Bに示す経路を進み、併設されている紙幣搬送部26に受け渡され、紙幣搬送部26によって紙幣収納部25へ搬送される。
図9、図10は、紙幣分離・搬送補助体循環装置22の概観を示している。図9は、紙幣分離・搬送補助体循環装置22を、分離された紙幣の排出口側から見た斜視図であり、図10は、紙幣分離・搬送補助体循環装置22を搬送管12の接続部側から見た斜視図である。
紙幣分離・搬送補助体循環装置22は、搬送補助体16を搬送管12内へ送り出す搬送補助体挿入装置23と、搬送補助体挿入装置23の上方に重ねて配置され、搬送補助体16と紙幣Pとを分離して回収する分離回収装置24とを一体にして構成される。
分離回収装置24で紙幣Pと分離して回収した搬送補助体16は、案内通路28(図10参照)を通じて分離回収装置24から下方へ落下し、搬送補助体挿入装置23内の待機場所29へ受け渡される。これにより、回収した搬送補助体16が次の送出に使用され、搬送補助体16が繰り返し利用される。
詳細には、図11に示すように、分離回収装置24は、搬送補助体16に押し動かされて搬送されてきた紙幣Pは下流へ通過させ、搬送補助体16は当接して停止させる機能を果たす保持部41を備えている。保持部41は、一端を中心に所定角度範囲に回動する腕の先端に、搬送補助体16を受け止めるための断面U字状の受け部42を有している。受け部42の中央には紙幣Pを通過させるスリット43が設けてある。また、受け部42の底面には搬送補助体16を落下させるための排出口が開設されている。
通常、保持部41は、受け部42のある先端を搬送管12の終端に向けた位置(図11では実線で示す位置)にされている。搬送補助体16によって押し動かされてきた紙幣Pが受け部42のスリット43を通過し、搬送補助体16を受け部42で受け止めると、保持部41はモータに駆動されて回動し、受け部42が搬送管12の延長上から脇に外れた位置(図11では破線で示す位置)へ移動される。この位置では受け部42の底部の開口が案内通路28に連通し、案内通路28を通じて搬送補助体16が下方へ落下する。
スリット43を通過した紙幣Pは図示省略の搬送ベルトに搬送されて分離回収装置24の後端の排出口から排出される。排出された紙幣Pは前述したように、紙幣搬送部26に搬送されて紙幣収納部25へ送られる。
案内通路28を落下してきた搬送補助体16は搬送補助体挿入装置23の待機場所29に入って受け止められる。
搬送補助体挿入装置23は、一端を中心に回動し、他端に搬送補助体16を保持する断面U字状の送出部45を備えた可動腕46を備えている。送出部45には、空気流発生装置21からの空気流を円滑に流すための大きい開口が設けてある。
可動腕46は、送出部45が待機場所29の中に収まる待機位置(図11では破線で示す位置)と、送出部45が搬送管12の始端の延長上となる送り出し位置(図11では実線で示す位置)とにモータに駆動されて回動する。可動腕46は、通常、待機位置にされており、案内通路28を通じて分離回収装置24から落下してきた搬送補助体16を送出部45で受け止める。搬送補助体16を搬送管12内へ送り出すときは、可動腕46を回動させて送出部45を送り出し位置に移動させる。すると、空気流発生装置21からの空気流により、搬送補助体16は送出部45から離脱して搬送管12内へ送り出される。
このようにして、搬送管12を一周して紙幣Pを押し動かしながら戻って来た補助体16は分離回収装置24によって紙幣Pと分離されて回収され、搬送補助体挿入装置23に受け渡されて、次の送出に再利用される。
次に、搬送管12の設置および構成について説明する。
ここでは、図1に示すように4つの遊技機島3が通路を空けて併設されており、これらの遊技機島3の中継ボックス6から紙幣Pを回収するために、図2に示すように、搬送管12が配管された場合を例に説明する。
図2では、搬送管12は、金庫11から出た後、下方へ延設され、その下端が遊技機島3の配列された1階の天井裏の高さに達すると弧を描きながら水平に向きを変える。そして、各遊技機島3の中継ボックス6の上を通るように天井裏を巡った後、上方に向きを変えて延設され、2階の金庫11に戻るように配管されている。天井裏に配管された部分の搬送管12は、天井裏に沿って水平(もしくは略水平)に延設されている。ここでは天井裏に沿って延設された部分は、T字の縦棒の下端から該T字の外縁を一周して戻ってくるような形状に配管されている。T字の横棒部分は各遊技機島3の中継ボックス6の上方を通る部分になっている。
金庫11を出てから最初の取込装置14の直前の地点A(図2参照)までの区間は、搬送管12内を搬送補助体16のみが通り、紙幣Pは通らない。そのため、カーブの半径(曲率半径)を小さくできる。たとえば、カーブB(図2、図12参照)は、地点Aより下流にあるカーブC(図2、図13参照)より小さい半径にされている。
また、地点Aに至る前のカーブの部分では、図16に示すように、搬送管12を、搬送補助体16がその軸をカーブの半径方向にした姿勢で通る形状にすることができる。たとえば、図2、図15のカーブDがこれに該当する。
一方、紙幣Pが通る部分のカーブ(たとえば、図2、図13のカーブC)は、紙幣Pを曲げることができる向きには制限があるので、紙幣Pの紙面が弧の内外を向く(紙面がカーブの半径に垂直になる)姿勢で紙幣Pを通過させる必要がある。
たとえば、水平面内で進路を変更する湾曲部(水平湾曲部とする。図2、図15のカーブEなど)では、紙面が鉛直になる姿勢で紙幣Pが通過するように搬送管12を縦姿勢にする必要がある。
一方、水平方向と鉛直方向との間で進路を変更する部分のカーブ(水平鉛直湾曲部とする。図2、図13のカーブC、図2、図19のカーブFなど)では、所定の鉛直面に対して紙面が垂直になる姿勢を維持しながら水平な向きと鉛直な向きとの間で弧を描くように湾曲した搬送管12を要する。すなわち、水平な進路から水平鉛直湾曲部に入る部分では、搬送管12を、該搬送管12内の紙幣Pの紙面が水平となる横姿勢にする必要がある。
そこで、水平湾曲部と水平鉛直湾曲部との間に、紙幣Pの姿勢を紙面が水平な姿勢と紙面が鉛直な姿勢との間で徐々にねじりながら(90度ねじる)変更して該紙幣Pを搬送するねじり部51を設ける。ねじり部51は、搬送管12の姿勢を横姿勢から縦姿勢に、あるいはその逆に滑らかに変化させる役割を果たす。
図2、図15の例では、カーブEとカーブFの間、カーブCとカーブEの間にねじり部51を設けてある。
紙葉類回収搬送システム10の主たる搬送経路のうち、紙幣Pの詰まりが生じやすい部分は、カーブした部分とねじり部51と考えられる。そこで、本実施の形態では、カーブの前後にねじり部51を配置してこれらを集中配置している。カーブとねじり部51を集中させることで、点検や詰まりの解消作業が容易になる。また、天井裏に配管した場合には、カーブとねじり部51が集中している箇所に点検口を設ければ済む。
図17は水平湾曲部(カーブE)の前後にねじり部51を連結した部分の搬送路12を示す正面図、図18はその斜視図である。ねじり部51は、少しずつねじった複数の管路を繋ぎ合わせて構成されている。
なお、本例では、図2、図8に示すように、金庫11に出入りする搬送管12が縦姿勢のため、水平と鉛直との間で進路を変えるカーブGと金庫11との間にもねじり部51を設けてある。
次に、副搬送装置13から搬送されて来た紙幣Pを取込装置14によって搬送管12内へ送り出す部分について説明する。
搬送管12のうち、中継ボックス6の上方を通る部分(図2の地点AからカーブCの直前までの間)は、管内を搬送される紙幣Pの紙面が上下を向く姿勢(紙面が水平な姿勢)となるよう設置されている(図12参照)。すなわち、この部分の搬送管12は横姿勢で延設されている。また、この部分の搬送管12は水平にかつ真っ直ぐに延設されている。
図14は、中継ボックス6の上方を通る部分の搬送管12に介挿された取込装置14の周辺を示している。取込装置14の前後の搬送管12は、前述したように、搬送される紙幣P(図中のPa)の紙面が上下を向く姿勢になるように横姿勢で延設されており、中継ボックス6から取込装置14まで紙幣P(図中のPb)を上方に搬送する副搬送装置13は、紙幣Pbをその一方の紙面が、取込装置14のある箇所の搬送管12の延設方向Fwを臨む姿勢で搬送する。
取込装置14を経由する部分の搬送管12と副搬送装置13は、該搬送管12内を搬送される紙幣Paの幅方向Daと、副搬送装置13によって搬送される紙幣Pbの幅方向Dbとが平行になるように設置される。取込装置14は、副搬送装置13によって搬送されてきた紙幣Pbを、ねじらずに、紙幣Pの進路を延設方向Fwに変えて、搬送管12の中へ送り出す。
すなわち、取込装置14を経由する部分の搬送管12と副搬送装置13の位置関係を、搬送管12内を搬送される紙幣Paの幅方向Daと副搬送装置13によって搬送される紙幣Pbの幅方向Dbとが平行になるように設定することで、取込装置14は、紙幣Pをねじることなく該紙幣Pの進路を変えて搬送管12へ送り出すことができる。
なお、上方に紙幣Pを搬送する副搬送装置13に対して、上記の位置関係にするためには、搬送管12を横姿勢にする必要がある。そのため取込装置14の下流に水平湾曲部を設ける場合は、該水平湾曲部に至る前にねじり部51を設けて搬送管12を縦姿勢にする必要が生じる。図2の例では、取込装置14を経由する区間(地点AからカーブCの直前までの区間)の下流にカーブEが存在するので、該カーブEの手前(この例では直前)にねじり部51を設けてある。
次に副搬送装置13について説明する。
図20は副搬送装置13とその上端に接続された取込装置14を示す斜視図、図21は副搬送装置13とその上端に接続された取込装置14の断面図、図22は図21のうち副搬送装置13の上部と取込装置14を示す拡大断面図、図23は図21のうち副搬送装置13の下部を示す拡大断面図である。
副搬送装置13は、別途の搬送補助体16を使用して紙幣Pを搬送する。副搬送装置13は、1本の搬送管61を1つの搬送補助体16が往復移動する。搬送管61の断面形状は搬送管12の直線部分と同一である。
副搬送装置13は上下方向に延設された搬送管61(副搬送管)と、該搬送管61の中を上下に往復移動する搬送補助体16と、搬送管61の下端に取り付けられた紙幣取込部63と、紙幣取込部63を通じて上方に向かう空気流を搬送管61内に送り込む上昇流発生部62とを備えている。搬送管61と、取込装置14を通る部分の搬送管12との相対的な位置関係は、前述したように(図14参照)、搬送管12内を搬送される紙幣Pの幅方向Daと、副搬送装置13の搬送管61によって搬送される紙幣Pの幅方向Dbとが平行になるようにされている。言い換えると、搬送管61の断面のY方向(長手方向)と搬送管12の断面のY方向(長手方向)とは平行になっている。この例では、搬送管61は鉛直で搬送管12は水平かつ横姿勢なので、搬送管61を搬送される紙幣Pの紙面は取込装置14を通る部分の搬送管12の延設方向FWに対して垂直な向きになっている。
図23に示すように、紙幣取込部63は、搬送管61と同様の断面形状を有して搬送管61の下端に連通する約15cmの長さを有する通路部64と、該通路部64の一方の側壁に設けられた、紙幣Pを取り込むための開口64bと、開口64bから通路部64の中へ斜め上向きに紙幣Pを送り出すための搬送部65を備えている。紙幣取込部63は、副搬送装置13の搬送基点である。
搬送部65は、開口64bに通じる紙幣通路65aと、この紙幣通路65aを通じて紙幣Pを通路部64の開口64bに向けて搬送する搬送ローラ65bと、搬送ローラ65bによって通路部64内に送り出された紙幣Pをその終端まで完全に通路部64内へ送り出す作用を果たす搬送ベルト65cと、紙幣通路65aからの空気流の漏れを防ぐために該紙幣通路65aの途中に設けられて該紙幣通路65aを開閉するシャッタ65dと、搬送ローラ65bおよび搬送ベルト65cを駆動するモータ等を備えている。シャッタ65dはバネなどにより閉位置に付勢されている。
通路部64の下端は幅狭くされており、搬送補助体16を受け止めて保持する。また通路部64の下端には、上昇流発生部62からの空気流の流入口64cが設けてある。
図24は、通路部64の蓋(開口64bと対向する壁部)を取り外した状態の紙幣取込部63を、開口64bに対向する側から見た状態の紙幣取込部63を示している。搬送ベルト65cは通路部64の幅方向の左右にそれぞれ設けてある。左右の搬送ベルト65cで紙幣Pを通路部64内へ送り出すので、紙幣Pを上方へ送り出す際に紙幣Pが斜めに傾くことがなく、真っ直ぐに紙幣Pを通路部64内へ送り出すことができる。
上昇流発生部62はモータと該モータによって回転される羽62aとを備えている(図23参照)。上昇流発生部62の空気吹き出し口62bは紙幣取込部63の通路部64の下端に接続されている。
図22に示すように、搬送管61の上端は幅狭にされた開口61aを備えており、搬送補助体16は搬送管61の上端の幅狭となった部分に当接して停止し、紙幣Pは開口61aを通過して取込装置14へ進出する。
副搬送装置13は、次のように動作する。
常時は上昇流発生部62を停止させており、搬送補助体16は紙幣取込部63の通路部64の下端に保持されている(図23参照)。また、紙幣取込部63のシャッタ65dは閉じている。紙幣Pを紙幣取込部63によって搬送管61内へ送り出すときは、紙幣取込部63のモータを駆動し、外部から受け入れた紙幣Pを紙幣通路65aを通じて通路部64の開口64bに向けて送り出す。このとき、紙幣通路65aを通る紙幣Pに押されてシャッタ65dが開く。紙幣Pが完全に通路部64内に送り出されると、上昇流発生部62を作動させて上向きの空気流を発生させる。この空気流の作用で搬送補助体16は紙幣Pを後端から押しながら搬送管61内を上昇する。
搬送補助体16によって搬送管61の上端へ搬送されてきた紙幣Pは開口61aを通じてそのまま取込装置14内へ進出し、取込装置14に取り込まれる。搬送補助体16は搬送管61の上端の幅狭部分に当接して停止する。その後、上昇流発生部62を停止させると、搬送補助体16は自然落下し、紙幣取込部63の通路部64の下端に保持される状態に戻る。これにより紙幣Pを上方の取込装置14まで搬送する一連の動作が完了する。
なお、副搬送装置13は複数枚(たとえば、3枚から5枚)の紙幣Pを一度に上方へ搬送する搬送能力を備えている。たとえば、紙幣取込部63は、1枚ずつ紙幣Pを通路部64内に送り出す動作を複数回行って、複数枚の紙幣Pが通路部64内に滞在する状態を形成する。この状態で上昇流発生部62を作動させると、搬送補助体16が一度にその複数枚の紙幣Pを上端の取込装置14まで搬送する。
次に取込装置14について説明する。
取込装置14は、搬送管12と同等の断面形状を有して前後に搬送管12が接続される通路部71を有する。搬送補助体16は通路部71を通過することができる。通路部71は長方形の断面が横長の向きにされる。通路部71の下側の壁面には、紙幣Pを通路部71内に取り込むための開口71bが形成されている。取込装置14は、開口71bから通路部71の中へ紙幣Pを送り出すための搬送部72を備えている。
搬送部72は、開口71bに通じる紙幣案内路73と、副搬送装置13によって搬送されてきた紙幣Pをこの紙幣案内路73を通じて通路部71の開口71bに向けて搬送する搬送ベルト74と、搬送ベルト74によって通路部71内に送り出された紙幣Pをその終端まで完全に通路部71内へ送り出す作用を果たす繰り出しベルト75と、紙幣案内路73からの空気流の漏れを防ぐために該紙幣案内路73の途中に設けられて該紙幣案内路73を開閉するシャッタ76と、搬送ベルト74および繰り出しベルト75を駆動するモータ等を備えている。シャッタ76はバネなどにより閉位置に付勢されている。
取込装置14は、副搬送装置13から複数枚の紙幣Pが一度に搬送されてきた場合は、その複数枚の紙幣Pを一度に紙幣案内路73の中に取り込んで待機させることができる。取込装置14は、制御部27から紙幣Pを搬送管12内に送り出す指令を受けると、紙幣案内路73内に待機している紙幣Pを通路部71内へ送り出す。
次に、遊技機島3内での紙幣Pの回収および中継ボックス6について説明する。
遊技機島3内で各遊技球貸機4の背面から排出された紙幣を取り込んで遊技機島3の一端まで搬送する島内紙幣搬送装置8も、空気流によって搬送補助体16を移動させ、紙幣Pをその後端から搬送補助体16で押し動かして搬送する方式となっている。
図25は遊技機島3内に設置された島内紙幣搬送装置8を示す平面図、図26は遊技機島3内に設置された島内紙幣搬送装置8を示す正面図である。図27は、中継ボックス6の内部を示す図である。
遊技機島3の内部には、搬送管12と同じ断面形状を備えた搬送管80が設置されている。搬送管80は、中継ボックス6から出た後、遊技機島3の他端に向けて延設され、該他端でUターンして中継ボックス6へ戻るように配管されている。搬送管80のうち、Uターンしてから中継ボックス6へ戻る部分(復路とする)の途中には、各遊技球貸機4に対応する位置に、遊技球貸機4の背面から排出された紙幣Pを搬送管80内へ取り込む紙幣取込装置82が配設されている。紙幣取込装置82は、遊技機島3の表面側に配置された遊技球貸機4からの紙幣Pと、遊技機島3の裏面側に配置された遊技球貸機4からの紙幣Pとを取り込むべく、搬送管80の側壁の両側に設けられている。紙幣取込装置82から搬送管80内に取り込まれた紙幣Pは、その紙面が搬送管80の延設方向に沿う姿勢で所定の取り込み完了位置に滞在する。
中継ボックス6の中には金庫11に設けた空気流発生装置21と同様の空気流発生装置84と、金庫11に設けた紙幣分離・搬送補助体循環装置22と同様の構成の紙幣分離・搬送補助体循環装置85が設けてある。紙幣分離・搬送補助体循環装置85は、搬送補助体挿入装置23と同様の搬送補助体挿入装置86と、分離回収装置24と同様の分離回収装置87を有している(図26参照)。
さらに中継ボックス6の中には、分離回収装置87から排出された紙幣Pを搬送する紙幣搬送部88(図27参照)と、該紙幣Pを一時貯留する一時貯留装置90を備えている。一時貯留装置90は、紙幣搬送部88から受け入れた紙幣Pを一時貯留すると共に、一時貯留している紙幣Pを所定のタイミングで1枚ずつ繰り出し、前述した副搬送装置13の紙幣取込部63へ送り出す機能と、送り出す途中で紙幣Pの金種を判定する機能を備えている。
遊技機島3内の遊技球貸機4の背面から排出された紙幣Pを中継ボックス6まで搬送して回収する際には、中継ボックス6内の搬送補助体挿入装置86から搬送管80内へ搬送補助体16が送り出される。搬送管80内へ送り出された搬送補助体16は、空気流発生装置84が発生させた空気流を受けて搬送管80内を下流に向けて移動し、その途中で紙幣Pを回収して中継ボックス6内の分離回収装置87へ戻ってくる。分離回収装置87は搬送補助体16によって搬送されてきた紙幣Pと搬送補助体16とを分離し、搬送補助体16を搬送補助体挿入装置86へ引き渡す。一方、分離された紙幣Pは紙幣搬送部88によって中継ボックス6内の一時貯留装置90に搬送される。図27には紙幣搬送部88が紙幣Pを搬送する経路Mを示してある。
図28は、一時貯留装置90の概略構成を示す断面図である。一時貯留装置90は、紙幣搬送部88によって搬送されて来た紙幣Pを受け入れると共に、紙幣Pの向きを紙面が垂直な状態から紙面が水平な状態に変換する紙幣変換部91と、紙面が水平にされた紙幣Pを下方の繰り出し位置へ搬送するエレベータ部92と、繰り出し位置にある紙幣Pを1枚ずつ繰り出して副搬送装置13の紙幣取込部63に向けて搬送する繰り出し搬送部93と、繰り出し搬送部93の搬送経路の途中に設けられ、該搬送経路を通る紙幣Pの金種を判別する紙幣金種判別部94を有する。
繰り出し搬送部93は、紙幣金種判別部94で金種を判別できなかった紙幣Pは搬送経路から分岐させて紙幣排出部95へ排出する。図28に示す破線96は紙幣Pの搬送経路を示している。また、破線97は紙幣排出部95への排出経路を示している。
図29は、一時貯留装置90の構成と動作を模式的に示している。図29に示すように、紙幣変換部91は、長方形の板に一回り小さい長方形の開口を設けると共に該長方形の板の両長辺に沿って互いに向き合う一対の矩形の溝を形成されるようにL型の突起を両長辺に沿って設けた形状をなしている。紙幣変換部91は、一対の溝の間に紙幣Pを複数枚収納可能にされている。
紙幣変換部91は、図29(a)に示すように、待機時は、垂直に起立した縦姿勢にされている。この状態で、紙幣搬送部88から紙面が垂直な状態で搬送されてきた紙幣を一対の溝の間に受け入れて収納する。紙幣変換部91は図29(a)に示す縦姿勢と、縦姿勢から下端を中心に90度回動して水平に倒れた横姿勢(図29(b)参照)とに変位可能にされている。紙幣変換部91は図示省略のモータにより縦姿勢と横姿勢に変位される。
エレベータ部92は、紙幣Pを下方から支持するための下板92aと、下板92aに載置された紙幣Pを上から押さえて下板92aとの間に挟み込むための押さえ部92bを有する。待機時において下板92aは、横姿勢になった紙幣変換部91の下面に丁度当接する位置に停止しており、押さえ部92bは該下板92aの真上であって縦姿勢の紙幣変換部91より高い位置に停止している。押さえ部92bは、紙幣変換部91に設けられた矩形の開口の中を通り抜ける大きさ、位置にされている。
紙幣変換部91に収納された紙幣Pをエレベータ部92で下方へ搬送し、繰り出し搬送部93で副搬送装置13の紙幣取込部63に向けて繰り出す際に、一時貯留装置90は以下のように動作する。
まず、図29(a)に示す状態で紙幣Pを収納し、次に、同図(b)に示すように、紙幣変換部91が横姿勢に倒れる。その後、エレベータ部92の押さえ部92bが下降を開始する(図29(c))。押さえ部92bは紙幣変換部91の開口を通り抜け、紙幣変換部91に収納されている紙幣Pを下板92aとの間に挟持する。
その後、挟持した状態のまま下板92aと押さえ部92bとが一体となって下降を続ける(図29(d))。紙幣変換部91は、エレベータ部92が紙幣変換部91より下方へ降下したら、縦姿勢に戻る。エレベータ部92は最下の位置まで下降すると停止する(図29(e))。
押さえ部92bには、紙幣Pの排出方向から切リ欠き92cが設けてあり(図29(a)参照)、繰り出しベルト93bは切リ欠き92cに対応した位置に設けてある。最下の位置では、押さえ部92bは紙幣Pを繰り出しベルト93bに向けて押さえ付ける機能を果たす。
エレベータ部92が最下の位置に停止した状態で繰り出しベルト93bが駆動されると、紙幣Pがエレベータ部92から繰り出され、繰り出し搬送部93の搬送経路に沿って搬送される(図29(f))。
紙幣Pの繰り出しは1枚ずつ行われる。したがって、図29(b)の状態で紙幣変換部91に複数枚の紙幣Pが収納されていた場合は、すべての紙幣Pの繰り出しが完了するまで、図29(f)の状態が維持される。
紙幣Pの繰り出しが完了すると、エレベータ部92(下板92aおよび押さえ部92b)が上昇を始める(図29(g))。下板92aは紙幣変換部91の下端の高さ(待機時の高さ)まで上昇すると(図29(h))、その位置で停止する。押さえ部92bはさらに上昇を続け、紙幣変換部91より高い、待機時の位置まで移動して停止する(図29(i))。
一時貯留装置90では、紙幣変換部91を縦姿勢と横姿勢に回動させることで、紙幣Pの姿勢を紙面が垂直な状態から水平な状態に変更するので、紙幣Pをねじりながら搬送して紙面が垂直な状態から水平な状態に紙幣Pの姿勢を変更する機構を採用する場合に比べて、少ないスペースで紙幣の姿勢を変換することができる。
また、紙幣変換部91が横姿勢になると、すぐに押さえ部92bが下降を始め、押さえ部92bが紙幣変換部91より下降したら直ぐに紙幣変換部91が縦姿勢に戻るので、紙幣変換部91が紙幣搬送部88から紙幣Pを受け入れることのできない期間は短時間のみであり、遊技機島3内での紙幣Pの回収に支障をきたすことはない。本実施の形態では、紙幣変換部91が縦姿勢に戻ることが、次の搬送補助体16を島内紙幣搬送装置8が送出する条件になっている。
また、紙幣変換部91は複数枚の紙幣Pを収容することができるので、エレベータ部92が下降している時間が長くなり、その間に紙幣搬送部88によって複数の紙幣Pが搬送されてきても、これらを受け入れて収納することができる。
たとえば、エレベータ部92が複数枚の紙幣Pを同時に下方へ搬送した場合には、これら複数枚の紙幣Pの繰り出しがすべて完了するまでの時間が長くなる。また、紙葉類回収搬送システム10が他の中継ボックス6の紙幣Pを回収しているために当該中継ボックス6からの紙幣Pの繰り出しが待たされることがある。このような場合に、エレベータ部92が最下の位置に滞在する時間が長くなるが、前述したように、その間に紙幣搬送部88によって複数の紙幣Pが搬送されてきても、紙幣変換部91にこれらを収納することができるので、問題は生じない。なお、エレベータ部92の押さえ部92bが待機時の位置にあることが、紙幣変換部91を横姿勢に倒す動作を開始するための条件になっている。
ところで、実施の形態では、図15に示すように、副搬送装置13の紙幣取込部63は、中継ボックス6の背面において、中継ボックス6の幅方向の左右の一方へ偏った位置に取り付けられている。一方、図2に示すように、各遊技機島3の遊技場2内での配置に合わせて、中継ボックス6を遊技機島3の端部に右向きに取り付ける場合と左向きに取り付ける場合とがある。したがって、遊技機島3の端部に設けた中継ボックス6の位置が一直線上に位置合わせされていても、右向きと左向きの中継ボックス6が混在する場合には、各中継ボックス6の背面に取り付けられた紙幣取込部63の位置は一直線上に揃わなくなる。そのため、各中継ボックス6の背面から副搬送装置13の搬送管61を真っ直ぐ上に延設すると、搬送管61の上端に取り付けられる取込装置14の位置が一直線上に揃わず、中継ボックス6の上方に搬送管12を一直線に配管することができなくなる。
そこで、中継ボックス6を右向きに取り付けた場合と左向きに取り付けた場合における紙幣取込部63の位置の違いを、搬送管61を湾曲させて吸収するようにしてある。すなわち、各中継ボックス6に対応する副搬送装置13のうち、副搬送装置13の搬送路61の始端(紙幣取込部63)の鉛直線上に紙葉類回収搬送システム10の搬送管12が存在しない場所に設けられたものについては、副搬送装置13の搬送管61の終端が上方に掛け渡されている搬送管12に到達するように、途中で曲がった搬送路61を使用する。
図2の例では、A地点の近傍に設置された中継ボックス6だけが他の中継ボックス6と向きが異なる。そこで、図12に拡大図示するように、該中継ボックス6の背面から上方に延設された搬送管61をその途中で、中継ボックス6の背面に沿う方向に距離Dsだけシフトするように湾曲させてある。これにより、各副搬送装置13の搬送管61の上端に取り付けられたすべての取込装置14の位置が一直線上に揃うので、各中継ボックス6の上方において搬送管12は一直線状にかつ水平に配管される。
なお、カーブCの近傍の中継ボックス6に対応する副搬送装置13においては、図13に示すように、取込装置14の取り付け位置がカーブCの手前になるように、搬送管61の上端がA地点寄りにシフトするように搬送管61を途中で湾曲させてある。たとえば、壁際に沿って設置される片側島(片面のみに遊技機5等が配列された遊技機島)に中継ボックス6を設置した場合などに上記の状況は発生する。
以上説明したように、本実施の形態に係る紙葉類回収搬送システム10は、遊技場2に配列された複数の遊技機島3のそれぞれで回収された紙幣Pを、各遊技機島3から収集して事務所の金庫11まで搬送することができるので、安全にかつ手間なく各遊技機島3から事務所の金庫11に紙幣Pを集めることができる。
また、遊技機島3に中継ボックス6を設けたので、遊技機島3内で紙幣Pを回収して搬送する島内紙幣搬送装置8と紙葉類回収搬送システム10とを別の装置として構成しつつ、遊技機島3内で回収された紙幣Pを事務所の金庫11まで自動的に搬送することができる。
紙葉類回収搬送システム10の搬送管12を天井裏に設けたので、搬送管12を遊技場2内の各所に巡らしても、搬送管12が遊技者の活動や行き来に支障を与えることはない。
また、搬送管12の途中にねじり部51を設けたので、紙幣Pの搬送方向として上下方向と水平方向を混在させつつ、天井裏などの平面内で搬送管12の進路を自在に設定することができる。
また、副搬送装置13の終端に設けられた取込装置14を経由する部分の搬送路12内を搬送される紙幣Pの幅方向と、副搬送装置13によって搬送される紙幣Pの幅方向とが平行になるようにしたので、取込装置14は、副搬送装置13によって搬送されてきた紙幣Pを、ねじらずに該紙幣Pの進路を変更して搬送管12内へ円滑に送り出すことができる。なお、実施の形態では、取込装置14を経由する部分の搬送管12を、搬送される紙幣Pの紙面が上下を向く横姿勢に設置する共に、副搬送装置13の搬送管61を、該搬送管61内を搬送される紙幣Pの紙面が取込装置14を通る部分の搬送管12の延設方向を臨む姿勢となるように設置することで、前述の平行な位置関係を形成している。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
実施の形態では、搬送管12を天井裏に設置したが、天井付近や床下に配管するように構成されてもよい。床下の場合、副搬送装置13は中継ボックス6の背面から排出された紙幣を下方に搬送すればよい。
なお、各遊技機島3の中継ボックス側の端部が施設の壁際になるように配置した場合には、上下方向に紙幣Pを搬送する副搬送装置13を設けずに、紙葉類回収搬送システム10の搬送管12を中継ボックス6から紙幣Pが排出される高さに合わせて配管するようにしてもよい。たとえば、搬送管12を壁裏に配管するように構成してもよい。
実施の形態では、搬送管12を垂直方向および水平面内に配管するようにしたが、傾斜して搬送管12を設置するようにされてもかまわない。たとえば、傾斜天井の場合に、該天井に沿って搬送管12を傾斜させて配管してもよい。
遊技機島3は、実施の形態で例示したパチンコ機と遊技球貸機を収容する構成に限定されず、メダル貸機とスロットマシン等を収容する遊技機島でもかまわない。
なお、搬送補助体16の形状は実施の形態で示したものに限定されない。たとえば、断面矩形・多角形などの柱形状としてもよい。また、搬送補助体16をY方向中央部に対して対象な形状にしたが、Y方向に非対称な形状にされてもかまわない。
実施の形態では紙葉類として紙幣Pを例に説明したが、チケット、カードなど他の種類の紙葉類であってもかまわない。また、紙葉類の形状は長方形に限定されない。また紙葉類回収搬送システム10の設置場所は遊技場に限定されず、他の施設でもかまわない。
実施の形態では、紙葉類を1枚のみ搬送する例を図3等に示したが、搬送管12の途中に複数枚の紙幣Pが存在する状態で搬送補助体16を挿入した場合には、それら複数枚の紙幣Pを一度に搬送することも可能である。たとえば、副搬送装置13の搬送管61内に3枚の紙幣Pが溜まると、それらの紙幣Pを上方の取込装置14へ搬送し、紙葉類回収搬送システム10の搬送管12を通じて回収するようにすれば、搬送補助体16を搬送管12に送り出す回数を少なくでき、搬送補助体16の劣化を抑えることができる。また、1回に複数枚回収することで、紙葉類回収搬送システム10の単位時間当たりの回収能力を高めることができる。
複数枚の紙幣Pを搬送可能な大きな搬送力は、搬送補助体16が搬送管12の断面をほぼ塞ぐ形状を成していること、またこれにより紙幣Pの張り付き吸着が少なくなること、拡張部38の存在により空気流の作用を受ける面積が大きいこと、補助ブロア17による空気流の増強などによって確保される。
実施の形態では搬送管12の断面を略長方形としたが、円形や楕円形など他の形状にされてもよい。ただし、搬送補助体はその内縁形状に対応した形状で断面のほぼ全体を塞ぐことが好ましい。また、複数のリブを設けて、紙葉類の実質的な通路幅を狭くするとよい。
実施の形態では紙葉類回収搬送システム10によって紙葉類を搬送する目的地を金庫11としたが、金庫に限定されるものではない。
実施の形態では、搬送補助体16を用いて空気流によって搬送方式の紙葉類回収搬送システム10を示したが、これに限定されず、搬送補助体16を使用しないで空気流を直接、紙葉類に作用させて搬送する方式でもかまわない。また副搬送装置13や島内紙幣搬送装置8の搬送方式は任意でよく、たとえば、搬送ベルトなどで紙葉類を搬送する搬送方式でもかまわない。