JP2017127860A - フィルター成形体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】浄化材と重合体結合材の混合状態を均一化でき、それにより、浄化性能と機械的強度などの品質を均一化できるフィルター成形体の製造方法を提供する。【解決手段】浄化材と重合体結合材とを混合した混合原料を加熱して、溶融した重合体結合材を浄化材の表面に付着させて、重合体結合材と浄化材が一体化した複合体を形成する(前加熱工程)。前加熱工程で形成された複合体を分断して複合体小片を形成する(小片化工程)。小片化工程の後、複合体小片を金型に充填する(充填工程)。金型内に充填した複合体小片を加熱及び加圧した後、冷却により硬化させて、フィルター成形体を形成する(成形工程)。【選択図】図3

Description

本発明は、水などの液体や大気などの気体から汚染物質や不純物を除去するために用いられ、浄化材と高分子量で低メルトインデックスの重合体結合材とを含むフィルター成形体の製造方法に関する。
従来、水などの液体や大気などの気体から汚染物質や不純物を除去する浄水器や空気清浄機に用いられるフィルターとして、浄化材を、高分子量で低メルトインデックスの重合体結合材(熱可塑性樹脂粉末)で固化した多孔質のフィルター成形体が用いられている(例えば、特許文献1、2参照)。浄化材としては、汚染物質や不純物などを吸着させ得る活性炭が好適に用いられる。活性炭は、粒状、粉末状、繊維状などの形態で用いられる。また、重合体結合材としては、通過した液体や気体とともに浄化材が流出しないよう浄化材を固着できるうえ、液体や気体の流路となり得る多孔質体(多数の小孔を備えた成形体)を形成できるものが用いられる。
特許文献1、2には、このようなフィルター成形体の製造方法が記載されている。特許文献1、2に記載のフィルター成形体は、円筒状であって、フィルター成形体の側面(外周面)を成形する側型と、フィルター成形体の両端面をそれぞれ成形する上型および下型を備える金型を用いて成形される。具体的には、まず、浄化材(活性炭粉末)と重合体結合材(熱可塑性樹脂粉末)とを、混合機などで一定比率に均一に混合して、混合粉末とする。この混合粉末を金型内に充填し、加熱して重合体結合材を溶融させた状態で、上型のみまたは上下両型を押し込むことで混合粉末を加圧して、所定形状(円筒状)に成形する。そして、冷却固化させた後、下型を外して上型を押し込むことによりフィルター成形体を側型から脱型する。もしくは、冷却固化させた後、上下両型を外して脱型具を側型内に押し込むことによりフィルター成形体を側型から脱型する。上述した製造方法で製造されたフィルター成形体は、均質な多孔質とされ、活性炭等の浄化材を均一に分散させることができる。それにより、処理する液体や気体をフィルター成形体全体に満遍なく通して効率よく浄化材と接触させることができると共に、処理する液体や気体の流量を十分に確保できる。よって、汚染物質や不純物を効率的に除去できる優れた濾過性能を有するフィルター成形体を得ることができる。
特開2001−187305号公報 特開2003−266462号公報
しかしながら、特許文献1、2に記載のフィルター成形体の製造方法において、浄化材(活性炭粉末)と重合体結合材(熱可塑性樹脂粉末)との粒子径、粒子形状、または密度が異なる場合などは、混合機で混合した後に、混合粉末を金型へ搬送したり、金型に充填する過程で、浄化材と重合体結合材との混合状態が不均一になる問題が生じる。
特に、金型へ混合粉末を充填する時に、混合粉末を金型上方から金型内に落下させると、密度または粒子径が小さい成分は、落下速度が比較的遅い(舞い上がりやすい)ため、金型上部と下部とで、これらの成分の混合比率が不均一になる。例えば、浄化材(活性炭粉末)に比べて、重合体結合材(熱可塑性樹脂粉末)の落下速度が遅い場合は、フィルター成形体の金型下部に相当する部位では重合体結合材の比率が小さく、金型上部に相当する部位は重合体結合材の比率が大きくなる。この場合、金型下部に相当する部位は機械的強度が小さく破損しやすくなり、金型上部に相当する部位は浄化性能が低下し、フィルター成形体の品質が不均一になる。
そこで、本発明は、浄化材と重合体結合材の混合状態を均一化でき、それにより、浄化性能と機械的強度などの品質を均一化できるフィルター成形体の製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明のフィルター成形体の製造方法は、水などの液体または大気などの気体から汚染物質または不純物を除去するために用いられ、浄化材と高分子量で低メルトインデックスの重合体結合材とを含むフィルター成形体の製造方法であって、前記浄化材と前記重合体結合材とを混合して混合原料を得る混合工程と、前記混合工程で混合された前記混合原料を加熱して、溶融した前記重合体結合材を前記浄化材の表面に付着させて、前記重合体結合材と前記浄化材が一体化した複合体を形成する前加熱工程と、前記前加熱工程で形成された前記複合体を分断して複合体小片を形成する小片化工程と、前記小片化工程の後、前記複合体小片を、所定の形状のキャビティを有する金型に充填する充填工程と、前記充填工程の後、前記金型内に充填した前記複合体小片を加熱及び加圧した後、冷却により硬化させて、フィルター成形体を形成する成形工程と、を有することを特徴とする。
この構成によると、フィルター成形体の原料(浄化材および重合体結合材)を金型に充填する前に、前加熱工程において、浄化材と重合体結合材とを一体化させて複合体を形成する。それにより、金型へ原料を搬送する過程や、金型に原料を充填する過程で、浄化材と重合体結合材との混合状態が不均一になるのを抑制できる。また、前加熱工程で形成された複合体は大きい塊となるため、前加熱工程で形成された複合体を、充填工程の前に分断して、ある程度小さい塊(複合体小片)とすることで、金型に支障なく充填できる。また、金型内で塊間に隙間ができるのを防止できる。さらに、複合体を小片化することで、浄化材と重合体結合材とが一体化された1つの塊における浄化材と重合体結合材の混合比率をより一定にできる。よって、金型に充填された浄化材と重合体結合材の混合状態をより均一化できる。したがって、たとえ、浄化材と重合体結合材との粒子径、粒子形状、または密度が異なる場合であっても、金型上部と金型下部とで、浄化材と重合材結合材の混合比率が不均一になることが抑制される。そのため、金型上部に相当する部位から金型下部に相当する部位まで全域に亘って、浄化性能や機械的強度などの品質が均一なフィルター成形体を製造できる。
本発明のフィルター成形体の製造方法は、前記前加熱工程において、前記混合原料を、前記重合体結合材の融点以上の温度に、無加圧状態で加熱することが好ましい。
この構成によると、前加熱工程において、混合原料を重合体結合材の融点以上の温度に加熱するため、重合体結合材を十分に溶融させて、重合体結合材を浄化材に確実に付着させることができる。また、前加熱工程において、混合原料を無加圧状態で加熱することで、溶融した重合体結合材が浄化材の表面全体を覆ってしまうのを防止できる。
本発明のフィルター成形体の製造方法は、前記前加熱工程で形成された前記複合体を冷却固化させることなく前記小片化工程に移行させて、前記小片化工程において、前記重合体結合材が溶融した状態の前記複合体を分断して前記複合体小片を形成することが好ましい。
この構成によると、小片化工程において、重合体結合材が溶融した状態の複合体を分断するため、冷却固化された複合体を分断する場合に比べて、小さいエネルギーで分断できる。つまり、複合体が分断される際、溶融した重合体結合材が分断されやすい。また、重合体結合材と浄化材との付着部分が分断されやすい。そのため、浄化材が分断されるのを抑制できる。浄化材が分断されると、浄化材全体の表面積が増えるため、浄化材に対して重合体結合材の量が不足する。その結果、重合体結合材による浄化材の固着が不十分となり、フィルター成形体の強度が低下する場合がある。したがって、浄化材の分断を抑制することで、冷却固化された複合体を分断する場合に比べて、フィルター成形体の強度を高めることができる。
また、前加熱工程の後、複合体を冷却固化させてから、小片化工程において、複合体を再び加熱して複合体を分断する場合に比べて、フィルター成形体の製造時間を短縮できる。
本発明のフィルター成形体の製造方法は、前記小片化工程において、冷却固化された前記複合体を分断して前記複合体小片を形成してもよい。
この構成によると、小片化工程において、冷却固化された複合体を分断して複合体小片を形成する。そのため、前加熱工程の後、複合体を溶融状態で維持または再溶融させるために加熱しなくて済む。よって、製造コストを低減できる。
本発明の実施形態に係る製造方法で得られるフィルター成形体を用いた蛇口直結型水処理器の断面図である。 本発明の実施形態に係る製造方法において、金型に原料を充填した状態を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る製造方法において、フィルター成形体を成形している状態を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る製造方法において、成形されたフィルター成形体を側型から外している途中の状態を示す断面図である。 (a)は、浄化材を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した画像であって、(b)は、重合体結合材を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した画像であって、(c)は、複合体小片を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した画像である。 実施例および比較例のフィルター成形体のサンプリング位置における重合体結合材の含有率を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施形態の製造方法によって得られるフィルター成形体1は、円筒状であって、例えば図1に示すような蛇口直結型の水処理器100の水処理器用フィルター101に使用される。水処理器用フィルター101は、水処理器100内に形成されたフィルター収容室100aに収容される。水処理器用フィルター101は、フィルター成形体1と、フィルター成形体1の外周面を被覆する濾過層102と、フィルター成形体1の上面及び下面に取り付けられる一対のキャップ103で構成される。キャップ103は、フィルター成形体1に密着して(水密性をもって)取り付けられている。水処理器100内には、蛇口106から供給される水の流れを切り換える切換板104が配置されており、図1に実線で示す位置に切換板104が配置されている状態では、蛇口106から供給された水は水処理器用フィルター101を通過する。具体的には、水処理器用フィルター101を通過する水の流れは、まず、濾過層102を通過して比較的大きなごみ等が除去された後、フィルター成形体1を通過することで塩素や有機物等が除去されて、その後、浄水口105から外部に流出する。
フィルター成形体1は、活性炭からなる浄化材を、高分子量で低メルトインデックスの重合体結合材をバインダーとして固化した固体活性炭成形体である。重合体結合材には、平均分子量が数十万〜数百万程度の超高分子量ポリエチレンが用いられる。フィルター成形体1は、浄化材が重合体結合材により結合することで多数の空隙を含む多孔質体となっている。浄化材は、この空隙に露出するように重合体結合材に固着しており、空隙を通る水に含まれる不純物(塩素、有機物等)を吸着できる。
続いて、フィルター成形体1の製造方法について説明する。
まず、原料の浄化材および重合体結合材について説明する。
原料の浄化材としては、60メッシュパスの粒状または粉末状の活性炭を用いることが好ましい。「メッシュ」は、網目の大きさを表す尺度である。「メッシュパス」は、そのメッシュを通過する全ての粒子を意味し、メッシュパスが大きいほど粒径が小さいことを示す。60メッシュパスは、60メッシュ(1インチ(=25.4mm)平方中に縦60本横60本の網目)の篩を通過する全ての粒子を意味する。60メッシュパス未満の比較的大きな径の粒状の活性炭を用いると、重合体結合材で活性炭を固めることが困難になる上、フィルター成形体の空隙(小孔)が大きくなりすぎて活性炭に接触することなくフィルター成形体を通過してしまう水が多くなり、浄化性能が悪くなるので好ましくない。
原料の重合体結合材としては、例えば、平均粒径が約10〜200μmの粉末状の超高分子量ポリエチレンを用いる。超高分子量ポリエチレンは、単体の粒子であってもよく、粒子同士がぶどう房状に結合した嵩密度0.3g/cm3未満の複合粒子であってもよい。重合体結合材は溶融時に流動しにくい、または、流動しないことが好ましい。重合体結合材のメルトインデックスは、2.3g/10min(ASTM D1238、190℃、15kgLoad)以下が好ましく、1.0g/10min以下がより好ましく、0g/10minがさらに好ましい。「メルトインデックス」は、高分子材料の溶融時の流動性を表す尺度であり、この値が小さいほど流動性が低いことを示す。重合体結合材のメルトインデックスが、2.3g/10minを超えると、フィルター成形体1の成形時に溶融したポリマーが活性炭の細孔部を覆ってしまい、不純物等を吸着する機能が低下するので好ましくない。
(混合工程)
上述した原料の浄化材および重合体結合材を、ヘンシェルミキサーやタンブラー等の混合装置の撹拌槽に投入して、撹拌することで均一に混合する。混合原料に対する重合体結合材の含有率は、例えば5〜50質量%であって、7〜20質量%が好ましい。
(前加熱工程)
混合原料を混合装置から取り出して、熱風循環式オーブン等の加熱装置に投入し、混合原料を無加圧状態で重合体結合材の融点以上に加熱する。これにより、重合体結合材が溶融して、浄化材の表面に重合体結合材が付着して、浄化材と重合体結合材とが一体化した複合体が形成される。重合体結合材である超高分子量ポリエチレンの融点は、約130℃である。混合原料は、130℃〜160℃に加熱することが望ましい。130℃未満であると重合体結合材が充分に溶融せず、浄化材と一体化しない。160℃以上であると、重合体結合材の流動性が高くなり、浄化材の表面全体を覆ってしまうため、不純物等を吸着する機能が低下する。
なお、混合装置で原料を混合した後、混合原料を撹拌槽から取り出さずに撹拌槽内で加熱してもよい。また、混合原料を撹拌槽で混合しながら加熱してもよい。つまり、混合工程と前加熱処理とを同時に行ってもよい。
(小片化工程)
複合体を再び混合装置の撹拌槽に投入して、撹拌する。それにより、複合体が分断されて、粉末状の複合体小片が形成される。小片化工程は、重合体結合材が溶融している状態で行ってもよく、複合体を冷却固化させた後で行ってもよい。但し、複合体が高温の状態で行う場合は、重合体結合材の形状を維持できる程度の温度に抑える必要がある。複合体の温度が高すぎると、重合体結合材の流動性が高くなりすぎて重合体結合材を分断できないからである。重合体結合材が溶融している状態で小片化工程を行った場合には、重合体結合材が分断されやすいと共に、重合体結合材と浄化材との付着部分が分断されやすく、浄化材は分断されにくい。複合体を冷却固化させた後で小片化工程を行った場合には、浄化材も分断されやすくなる。
なお、混合工程と前加熱処理と小片化工程は、全て、混合装置の撹拌槽内で行ってもよい。具体的には、混合装置の攪拌槽に先に重合体結合材の融点以上に加熱した浄化材を投入し、撹拌しながら重合体結合材を少量ずつ添加してもよい。また、混合装置の攪拌槽に先に室温の浄化材を投入した後、混合装置の攪拌槽内で浄化材を重合体結合材の融点以上に加熱し、撹拌しながら重合体結合材を少量ずつ添加してもよい。これらの方法により、混合工程と、複合体を形成する前加熱工程と、複合体を分断して複合体小片を形成する小片化工程を同時並行に実施することが可能で、生産性向上およびエネルギーロスの低減を図ることができる。また、混合装置の撹拌槽内において、混合工程、前加熱工程、小片化工程の順で行ってもよい。
(充填工程)
次に、図2に示すように、金型2内に粉末状の複合体小片10を充填する。
図3に示すように、金型2は、側型3、下型4、及び上型5を有する。側型3は、円筒状である。下型4は、側型3の外径より一回り大きな径を有する円盤状の底板4aと、底板4aの上面の中心から上方に延出した中子4bとを有する。底板4aは、側型3の下端部が嵌合する部分を有する。中子4bは、フィルター成形体1の中央の孔を形成するためのものである。上型5は、円筒状である。上型5の外径は、側型3の内径とほぼ同じである。上型5の内径は、中子4bの径とほぼ同じである。金型2のキャビティは、円筒状である。
金型2内に複合体小片10を充填する際には、図2に示すように、上型5は外しておき、側型3と下型4とを組み付ける。この状態で、図示しない漏斗を上方から側型3内に挿入して、漏斗の先端を底板4aの上面に接触させる。そして、漏斗に複合体小片10を投入した後、漏斗を徐々に上方に移動させて側型3から抜き取る。これにより、複合体小片10が金型2内に充填される。なお、複合体小片10は漏斗を用いずに金型2内に充填してもよい。
(成形工程)
金型2内に複合体小片10を充填した後、図3に示すように、上型5の孔に中子4bを挿入しながら上型5を側型3内に挿入して、所定温度(例えば200℃)で所定時間(例えば1時間)加熱して、重合体結合材を溶融させる。その後、上型5によって複合体小片10を加圧する。その後、冷却して重合体結合材を固化させて、フィルター成形体1を成形する。
(脱型工程)
成形されたフィルター成形体1を金型2から脱型する。具体的には、先ず、下型4を下方に抜き取る。次に、図4に示すように、上型5を下方に押し込むことにより、フィルター成形体1を下方に押圧してフィルター成形体1を側型3から押し出す。その後、フィルター成形体1を上型5から外す。以上により、フィルター成形体1の製造が完了する。
本実施形態の製造方法によると、フィルター成形体1の原料(浄化材および重合体結合材)を金型2に充填する前に、前加熱工程において、浄化材と重合体結合材とを一体化させて複合体を形成する。それにより、金型2へ原料を搬送する過程や、金型2に原料を充填する過程で、浄化材と重合体結合材との混合状態が不均一になるのを抑制できる。また、前加熱工程で形成された複合体は大きい塊となるため、前加熱工程で形成された複合体を、充填工程の前に分断して、ある程度小さい塊(複合体小片10)とすることで、金型2に支障なく充填できる。また、金型2内で塊間に隙間ができるのを防止できる。さらに、複合体を小片化することで、浄化材と重合体結合材とが一体化された1つの塊における浄化材と重合体結合材の混合比率をより一定にできる。よって、金型2に充填された浄化材と重合体結合材の混合状態をより均一化できる。したがって、たとえ、浄化材と重合体結合材との粒子径、粒子形状、または密度が異なる場合であっても、金型2上部と金型2下部とで、浄化材と重合材結合材の混合比率が不均一になることが抑制される。そのため、金型2上部に相当する部位から金型2下部に相当する部位まで全域に亘って、浄化性能や機械的強度などの品質が均一なフィルター成形体1を製造できる。
前加熱工程において、混合原料を重合体結合材の融点以上の温度に加熱する。そのため、重合体結合材を十分に溶融させて、重合体結合材を浄化材に確実に付着させることができる。また、前加熱工程において、混合原料を無加圧状態で加熱することで、溶融した重合体結合材が浄化材の表面全体を覆ってしまうのを防止できる。
前加熱工程で形成された複合体を冷却固化させることなく小片化工程に移行させて、小片化工程において、重合体結合材が溶融した状態の複合体を分断して複合体小片10を形成する。そのため、冷却固化された複合体を分断する場合に比べて、小さいエネルギーで分断できる。つまり、複合体が分断される際、溶融した重合体結合材が分断されやすい。また、重合体結合材と浄化材との結合部が分断されやすい。そのため、浄化材が分断されるのを抑制できる。浄化材が分断されると、浄化材全体の表面積が増えるため、浄化材に対して重合体結合材の量が不足する。その結果、重合体結合材による浄化材の固着が不十分となり、フィルター成形体1の強度が低下する場合がある。したがって、浄化材の分断を抑制することで、冷却固化された複合体を分断する場合に比べて、フィルター成形体1の強度を高めることができる。
また、前加熱工程の後、複合体を冷却固化させてから、小片化工程において、複合体を再び加熱して複合体を分断する場合に比べて、フィルター成形体1の製造時間を短縮できる。
一方、冷却固化された複合体を分断して複合体小片10を形成する場合には、前加熱工程の後、複合体を溶融状態で維持または再溶融させるために加熱しなくて済む。よって、製造コストを低減できる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
フィルター成形体1の浄化材には、繊維状の活性炭を用いてもよく、粒状又は粉末状の活性炭と繊維状の活性炭とを混合して用いてもよい。
フィルター成形体1の浄化材は、活性炭に加えて、もしくは活性炭の代わりに、例えば、ゼオライト、キレート繊維、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ウォラストナイト、ガラス繊維、珪酸チタニウム、ヒドロキシアパタイト、イオン交換樹脂、銀添着活性炭などを含んでいてもよい。
フィルター成形体1の重合体結合材は、高分子量で低メルトインデックスであれば、超高分子量ポリエチレン以外の熱可塑性樹脂を用いてもよい。
本発明の製造方法で製造されるフィルター成形体の形状は円筒状に限らない。フィルター成形体は、中央に孔のない形状でもよい。また、フィルター成形体の断面形状は、楕円状や矩形状など円形状以外の形状であってもよい。
本発明の製造方法で製造されるフィルター成形体は、蛇口直結型の水処理器の他、種々の形態の水処理器に使用できる。例えば、フィルター成形体は、シンク内に配置されて蛇口とホースを介して接続される浄水器に使用してもよく、また、シャワーのハンドルを兼ねて構成された浄水器に使用してもよい。さらには、ポットピッチャー型浄水器に使用してもよい。また、本発明の製造方法で製造されるフィルター成形体は、空気から汚染物質を除去する空気清浄機に使用してもよい。
本発明の製造方法で製造されるフィルター成形体は、所定の長さにカットしてから、水処理器等に使用してもよい。
以下、本発明の具体的な実施例と比較例について説明する。
実施例として、上記実施形態の製造方法でフィルター成形体を作成した。原料の浄化材には、平均粒径が約50μm、60メッシュパスの粉末状のヤシ殻活性炭を使用した。原料の重合体結合材には、平均粒径が約30μm、メルトインデックスが0g/10min(ASTM D1238、190℃、15kgLoad)の粉末状の超高分子量ポリエチレン(三井化学株式会社製ミペロンXM−22)を用いた。図5(a)は、浄化材を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した画像である。図5(b)は、重合体結合材を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した画像である。この浄化材170gと重合体結合材30gとを、混合装置に投入し、1分間撹拌することで混合した(混合工程)。つまり、混合原料における重合体結合材の含有率は15質量%とした。
混合原料を入れた金属容器(ステンレス製ビーカー)を熱風循環式オーブンに配置して、無加圧状態で140℃にて1時間加熱した(前加熱工程)。この前加熱工程により形成された複合体を、冷却することなく混合装置の撹拌槽に移して、1分間撹拌することで、複合体小片に分断した(小片化工程)。図5(c)は、複合体小片を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した画像である。図5(c)から、浄化材の表面に重合体結合材が付着していることが確認できる。
複合体小片182gを、漏斗を用いて金型に充填した(充填工程)。金型のキャビティは、外径50mm、内径33mmである。そして、金型に充填された複合体小片を200℃で45分間加熱後、高さ(長手方向長さ)が316mmになるように加圧した。その後、室温まで冷却して、円筒状のフィルター成形体を成形した(成形工程)。そして、金型から円筒状のフィルター成形体を取り外した(脱型工程)。
比較例として、前加熱工程と小片化工程を除いた点以外は、実施例と同じ条件で、円筒状のフィルター成形体を作成した。
実施例および比較例のフィルター成形体について、それぞれ、長手方向両端を含む長手方向に等間隔に離れた6箇所のサンプルを採取した。そして、各サンプルの熱質量分析を行った。熱質量分では、各サンプルを窒素雰囲気下で30℃から650℃まで昇温し、650℃で10分間保持した時の質量の減少量(減少質量)を測定した。各サンプルの元の質量に対する減少質量の比率を、フィルター成形体中の重合体結合材の含有率として算出した。その結果を、以下に表1および図6に示す。なお、表1中のサンプリング位置Aは、フィルター成形体の上型(5)と接する端面である。サンプリング位置Fは、フィルター成形体の下型(4)の底板(4a)と接する位置である。サンプリング位置A〜Fは、この順で並んでいる。
表1および図6からわかるように、前加熱工程と小片化工程を行わずに作成された比較例のフィルター成形体は、重合体結合材の含有率が不均一であった。比較例の重合体結合材の含有率は、金型中央部に相当する部位に比べて、金型下部に相当する部位では小さく、金型上部に相当する部位では大きい。一方、実施例では、金型上部に相当する部位から金型下部に相当する部位まで全域にわたって、重合体結合材の含有率が均一なフィルター成形体を得ることができた。
1 フィルター成形体
2 金型
3 側型
4 下型
5 上型
10 複合体小片

Claims (4)

  1. 水などの液体または大気などの気体から汚染物質または不純物を除去するために用いられ、浄化材と高分子量で低メルトインデックスの重合体結合材とを含むフィルター成形体の製造方法であって、
    前記浄化材と前記重合体結合材とを混合して混合原料を得る混合工程と、
    前記混合工程で混合された前記混合原料を加熱して、溶融した前記重合体結合材を前記浄化材の表面に付着させて、前記重合体結合材と前記浄化材が一体化した複合体を形成する前加熱工程と、
    前記前加熱工程で形成された前記複合体を分断して複合体小片を形成する小片化工程と、
    前記小片化工程の後、前記複合体小片を、所定の形状のキャビティを有する金型に充填する充填工程と、
    前記充填工程の後、前記金型内に充填した前記複合体小片を加熱及び加圧した後、冷却により硬化させて、フィルター成形体を形成する成形工程と、
    を有することを特徴とするフィルター成形体の製造方法。
  2. 前記前加熱工程において、前記混合原料を、前記重合体結合材の融点以上の温度に、無加圧状態で加熱することを特徴とする請求項1に記載のフィルター成形体の製造方法。
  3. 前記前加熱工程で形成された前記複合体を冷却固化させることなく前記小片化工程に移行させて、前記小片化工程において、前記重合体結合材が溶融した状態の前記複合体を分断して前記複合体小片を形成することを特徴とする請求項1または2に記載のフィルター成形体の製造方法。
  4. 前記小片化工程において、冷却固化された前記複合体を分断して前記複合体小片を形成することを特徴とする請求項1または2に記載のフィルター成形体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS6157240A (ja) * 1984-08-13 1986-03-24 ポール・コーポレーシヨン 固定化無機収着剤粒子を含む自己支持性構造体およびその製造方法
WO2004039494A1 (ja) * 2002-10-29 2004-05-13 Kuraray Chemical Co.,Ltd. 複合吸着材とその製造方法、並びに浄水材及び浄水器
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