JP2017127796A - 遠心分離機、これを備えたガス化設備およびこれを備えたガス化複合発電設備ならびに遠心分離機の補修方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鉛直上下方向に延在する中心軸線を有する筒状の本体部4aと、粉体と流体との混合気を本体部内で中心軸線回りに旋回するように導入する導入部5と、本体部の鉛直方向下方に接続され、下方に向かって内径が先細り形状とされたテーパ部4bと、テーパ部4bの鉛直方向下方に設けられ、混合気から分離された粉体を排出する排出部4cとを備え、テーパ部4bには、鉛直方向上下に分割可能な上下分割部8が設けられている。
【選択図】図2
Description
サイクロンの筒部の下方にチャーによる摩耗で傷付が大きく生じた場合、摩耗部位を含む筒部全体の交換を実施しており、大がかりな工事となるため、計画的に保守点検期間に合わせて対応が出来るように工夫が必要となる。
すなわち、本発明にかかる遠心分離機は、鉛直上下方向に延在する中心軸線を有する筒状の本体部と、粉体と流体との混合気を前記本体部内で前記中心軸線回りに旋回するように導入する導入部と、前記本体部の鉛直方向下方に接続され、下方に向かって内径が先細り形状とされたテーパ部と、該テーパ部の鉛直方向下方に設けられ、前記混合気から分離された前記粉体を排出する排出部とを備え、前記テーパ部には、鉛直方向上下に分割可能な上下分割部が設けられていることを特徴とする。
テーパ部の「上下分割部」としては、例えば、フランジ構造が挙げられる。ただし、分割可能であればフランジ構造に限定されるものではなく、溶接構造としてもよい。
上下分割部の位置としては、テーパ部内壁の摩耗速度によって決定されるが、例えば、テーパ部の上端の流路断面積に対して50%以下、好ましくは30%以下の流路断面積となった位置とされる。
下方分割部は、上下方向(中心軸線方向)に分割する分割部であっても良いし、中心軸線回りの周方向に分割する分割部であっても良い。
テーパ部の下方に円筒状の下部筒部がさらに接続されている場合には、テーパ部と下部筒部との境目を下方分割部としても良い。
「吊下装置」としては、典型的には、チェーンブロックが挙げられる。
マンホールの内径が例えば600mmとされる場合には、分割後の小片は600mm未満の大きさとされる。また、重量としては、作業者が台車等を用いて持ち運べる重量が好ましく、例えば50〜100kgとされる。
下方分割体は、上下方向(中心軸線方向)に分割しても良いし、中心軸線回りの周方向に分割しても良い。
本実施形態のガス化設備は、例えば、図1に示すような石炭ガス化複合発電設備(以下「IGCC」:Integrated Coal Gasification Combined Cycleという。)1において、図示しないミルによって粉砕された石炭(微粉炭)をガス化炉内に投入して可燃性ガス(ガス化ガス)を生成するための装置に用いられる。なお、以下の説明では、微粉炭から可燃性ガスを生成する石炭ガス化炉10を例示する。本発明のガス化設備は、炭素含有固体燃料が好適に用いられるが、石炭以外では例えば間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ等のバイオマス燃料など、他の炭素含有固体燃料をガス化するものにも適用可能である。また、本発明のガス化設備は、IGCCとして生成した生成ガスを、ガス精製設備で精製して燃料ガスとした後、ガスタービン設備に供給して発電を行っているが、発電用に限らず、所望の化学物質を得る化学プラント用ガス化炉にも適用可能である。
ここで使用する酸化剤としては、空気、酸素富化空気、酸素、水蒸気等を例示でき、例えばガスタービン設備50から導入した圧縮空気に酸素分離装置(ASU)80から供給される酸素を混合して使用されてもよい。
チャー回収装置30は、集塵して可燃性ガスから分離されたチャーは、供給ホッパ(供給装置)38で貯留される。なお、チャー回収装置30と供給ホッパ38との間にビンを配置し、このビンに複数の供給ホッパ38を接続するように構成してもよい。そして、供給ホッパ38からのチャー戻しラインがイナートガス供給流路81に接続されている。
ガス精製設備40で生成された可燃性ガス(燃料ガス)は、可燃性ガス供給系統41を介してガスタービン設備50の燃焼器51に供給され、圧縮機52から導入した圧縮空気を用いて燃焼させられる。
なお、圧縮機52から供給される圧縮空気は、可燃性ガス燃焼用として燃焼器51へ供給されるだけでなく、一部が抽気されて抽気空気昇圧器54で昇圧された後、空気供給流路55を通って石炭ガス化炉10の酸化剤としても使用される。
こうして駆動されたガスタービン53及び蒸気タービン70は、例えば同軸の発電機71を回転駆動して発電する駆動源となる。なお、ガスタービン53及び蒸気タービン70は、各々専用の発電機71を回転駆動するようにしてもよく、特に限定されることはない。
同図に示すように、サイクロン31は、圧力容器3と、圧力容器3内に収容された内筒4とを備えている。
圧力容器3は、上下方向に延在する中心軸線を有する筒形状を有しており、IGCC1の運転時には内圧が所定の正圧状態に維持される容器となっている。
混合気導入配管5の下流端が内筒4内に開口する高さ位置は、連結管33の下端よりも鉛直方向の高さが高い位置に設定されている。混合気導入配管5の開口から内筒4内に導入される混合気は、内筒4の中心軸線回りに旋回するように導入される。
混合気(可燃性ガス)は石炭ガス化炉10内の高い圧力の状態で混合気導入配管5によりサイクロン31内に導入されるが、サイクロン31は圧力容器3の中に内筒4を設けた構造である。このため、混合気と周囲外気圧との圧力差は、圧力容器3で耐久させてあり、内に収容された内筒4には圧力差による応力は発生しない。内筒4の構造や肉厚は、チャーが旋回しながら下部に落下する混合気の旋回力とチャーの摩耗に対して,所定期間耐久性のある肉厚があればよく、以降に説明する内筒4をフランジ構造による分割可能な構造とすることが可能となる。
なお、足場7を設置する場所は、マンホール6がテーパ部4bよりも鉛直下方の位置に形成されていない場合には、マンホール6位置に拘ることなく、下方分割体21よりも鉛直下方の圧力容器3内に、足場7を設置してもよい。
上下分割部8の高さ位置は、テーパ部4bの上端における最大流路断面積(=πD2/4)に対して50%以下、好ましくは30%以下の流路断面積となった位置とされる。具体的には、テーパ部4bの内壁の摩耗量によって決定され、図2の右側に模式的に横軸を摩耗量とし縦軸を内筒4の位置との相関例をグラフで示しているように、テーパ部4bの内壁の摩耗量が急に増大する位置が選定される。この位置は、各種試験やシミュレーションによって決定される。
また、同図に示されているように、上部テーパ部4b1の外周側面には、円周方向に略等間隔で配置された複数の固定側ラグ(固定部)9aが設けられている。下部テーパ部4b2の外周側面にも、固定側ラグ9aに対応する円周方向位置に、複数の移動側ラグ9bが設けられている。それぞれ対応する固定側ラグ9aと移動側ラグ9bとの間にチェーンブロック(吊下装置)13を掛け渡すことにより、図4に示すように下方分割体21を固定側である上方筒部4a及び上部テーパ部4b1から吊り下げることができる。
さらに、図5に示すように、下部テーパ部4b2は、フランジ構造とされた第2小分割部(下方分割部)14bによって周方向に8つに分割できるようになっている。図示しないが、下方筒部4cも下部テーパ部4b2と同様に第2小分割部によって周方向に分割されるようになっている。
このように、第1小分割部14a及び第2小分割部14bを用いて分割された後の小片は、圧力容器3に設けたマンホール6を通過することができる大きさとされる。例えば、マンホール6の内径が600mmとされる場合には、分割後の小片は600mm未満の大きさとされる。また、小片の重量としては、作業者が台車等を用いて持ち運べる重量が好ましく、例えば50〜100kgとされる。
IGCC1の運転を行い所定時間経過すると、サイクロン31の内筒4の内面の鉛直方向下方においてチャーによる摩耗が進行する。そして、メンテナンス時にIGCC1の運転を停止した際に、内筒4の補修作業を行う。
足場7にて、フランジ構造とされた第2小分割部14bを用いて各小片を組み立てて下部テーパ部4b2及び下方筒部4cをそれぞれ形成する。そして、これら下部テーパ部4b2と下方筒部4cとをフランジ構造とされた第1小分割部14aを用いて接続し、下方分割体21を形成する。第1小分割部14a及び第2小分割部14bによって接続されたつなぎ目の内周面側に段差がある場合は、グラインダーによって処理することで、内周面における段差を低減するようにする。
そして、下部テーパ部4b2に設けられた移動側ラグ9bと上部テーパ部4b1に設けられた固定側ラグ9aとの間にチェーンブロック13を掛け渡す。下方分割体21は、チェーンブロック13によって、下部テーパ部4b2の上端と上部テーパ部4b1の下端とが付き合わされる位置まで上昇させられる。この位置で、フランジ構造とされた上下分割部8を用いて上部テーパ部4b1と下方分割体21とが接続される(取付工程)。上下分割部8によって接続されたつなぎ目の内周面側に段差がある場合は、グラインダーによって処理することで、内周面における段差を軽減するようにする。
上述の作業が終了すると、足場7を撤去し、マンホール6の蓋を閉めて運転待機状態とする。
混合気導入配管5から内筒4内に導入された混合気は、内筒4内で中心軸線回りに旋回を行い、ガスよりも比重が大きいチャーが遠心力によって内筒4の内壁面側に向かう。内筒4の内壁面側に向かったチャーは、旋回しつつ自重によって降下し、鉛直方向下方のテーパ部4bを通って下方筒部4cの下端から内筒4の外部へと排出される。テーパ部4bは、鉛直方向下方に向かって先細りとなっているため、下方に行くほど内径が小さくなり、チャーの旋回速度が速くなるとともにチャー密度も高くなる。このため、テーパ部4bの下方ほどチャーによるテーパ部4b内壁の摩耗量が大きくなる。そこで、上下に分割可能な上下分割部8にてテーパ部4bを分割することとした。これにより、摩耗が比較的多い下部テーパ部4b2を上部テーパ部4b1から分離して取り外すことができ、下方分割体21のみを交換することができるので、内筒4全体を交換する場合に比べて作業を容易にすることができる。また、交換部分が下方分割体のみで済むので、内筒4全体を交換する場合に比べて交換する部品のコストを削減することができる。
第1小分割部14aによって、下部テーパ部4b2と下方筒部4cとを中心軸線方向に分割して切り離すことで、円錐台形状の部分と円筒形状の部分とを分けて分割することができる。第2小分割部14bによって、中心軸線回りの周方向に分割することで、略同一形状の小片に分割することができる。
すなわち、第1小分割部14a及び第2小分割部14bにより、マンホール6を通過することができる大きさまで下方分割体21を細分割することができるので、マンホール6を介して下方分割体21を搬出、または交換品を搬入することができる。
また、本実施形態では、下方分割体21を足場7で形成した後に一体として上昇させて上部テーパ部4b1に対して取り付けることとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、分割された小片ごとに上昇させて上部テーパ部4b1に対して取り付けることとしてもよい。
3 圧力容器
3a 上部鏡
4 内筒
4a 上方筒部(本体部)
4b テーパ部
4b1 上部テーパ部
4b2 下部テーパ部
4c 下方筒部(排出部)
5 混合気導入配管(導入部)
6 マンホール
7 足場
8 上下分割部
9a 固定側ラグ
9b 移動側ラグ
10 石炭ガス化炉
11 可燃性ガス供給系統
13 チェーンブロック(吊下装置)
14a 第1小分割部(下方分割部)
14b 第2小分割部(下方分割部)
20 給炭装置
21 下方分割体
30 チャー回収装置
31 サイクロン(遠心分離機)
38 供給ホッパ(供給装置)
40 ガス精製設備
50 ガスタービン設備
60 排熱回収ボイラ(HRSG)
70 蒸気タービン
80 酸素分離装置(ASU)
Claims (11)
- 鉛直上下方向に延在する中心軸線を有する筒状の本体部と、
粉体と流体との混合気を前記本体部内で前記中心軸線回りに旋回するように導入する導入部と、
前記本体部の鉛直方向下方に接続され、下方に向かって内径が先細り形状とされたテーパ部と、
該テーパ部の鉛直方向下方に設けられ、前記混合気から分離された前記粉体を排出する排出部と、
を備え、
前記テーパ部には、鉛直方向上下に分割可能な上下分割部が設けられていることを特徴とする遠心分離機。 - 前記上下分割部よりも鉛直方向下方の下方分割体は、該下方分割体をさらに分割可能な下方分割部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の遠心分離機。
- 前記上下分割部よりも鉛直方向上方には、前記上下分割部よりも下方の下方分割体に下端を吊り下げ保持した吊下装置の上端を固定する固定部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遠心分離機。
- 前記本体部及び前記テーパ部を内部に収容するとともに、運転時において前記混合気の圧力と大気圧との圧力差が加えられる圧力容器を備え、
該圧力容器には、前記テーパ部よりも鉛直方向下方の位置に、作業員が通過可能なマンホールが形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の遠心分離機。 - 前記上下分割部よりも鉛直方向下方の下方分割体は、該下方分割体をさらに分割可能な下方分割部により、前記マンホールを通過することができる大きさまで分割可能とされていることを特徴とする請求項4に記載の遠心分離機。
- 炭素含有固体燃料をガス化するガス化炉と、
該ガス化炉からガス化されたガス化ガスが導かれる請求項1から5のいずれかに記載の遠心分離機と、
前記遠心分離機で分離した前記紛体を前記ガス化炉へ戻す供給装置と、
を備えていることを特徴とするガス化設備。 - 請求項6に記載のガス化設備と、
前記ガス化炉で生成した生成ガスの少なくとも一部を燃焼させることで回転駆動するガスタービンと、
該ガスタービンによって駆動される発電機と、
を備えていることを特徴とするガス化複合発電設備。 - 圧力容器内部に設置された内筒の鉛直上下方向に中心軸線を有する筒状の本体部と、
粉体と流体との混合気を前記本体部内で前記中心軸線回りに旋回するように導入する導入部と、
前記本体部の鉛直方向下方に接続され、下方に向かって内径が先細り形状とされたテーパ部と、
該テーパ部の鉛直方向下方に設けられ、前記混合気から分離された前記粉体を排出する排出部と、
を備えた遠心分離機の補修方法であって、
前記テーパ部を鉛直方向上下に分割する上下分割部から下方の下方分割体を前記本体部側から取り外して分割する分割工程と、
該分割工程にて分割された前記下方分割体を撤去する撤去工程と、
該撤去工程にて撤去された前記下方分割体の交換品となる交換用下方分割体を前記上下分割部よりも上方の前記テーパ部に対して取り付ける取付工程と、
を有することを特徴とする遠心分離機の補修方法。 - 前記圧力容器には、作業員が通過可能なマンホールが形成され、
前記下方分割体をさらに分割する細分割工程と、
前記マンホールを通過して搬入または搬出する搬入出工程と、
を有することを特徴とする請求項8に記載の遠心分離機の補修方法。 - 前記上下分割部よりも鉛直方向上方の前記テーパ部または前記本体部に対して吊下装置を設置する吊下装置固定工程と、
前記吊下装置によって前記下方分割体を吊り下げて降下させる降下工程と、
を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の遠心分離機の補修方法。 - 前記分割工程に先立ち、前記圧力容器内の前記下方分割体よりも鉛直方向下方の位置に、足場を形成する足場形成工程を有することを特徴とする請求項10に記載の遠心分離機の補修方法。
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