JP7134637B2 - ガス化炉設備及びこれを備えたガス化複合発電設備並びにガス化炉設備の製造方法及び生成ガスの排出方法 - Google Patents
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Description
生成ガス管の上流端は、ガス化炉壁より内部側に突出して設けられている。これにより、ガス化炉壁の内部から生成ガス管内に導かれる生成ガスは、ガス化炉壁から突出した生成ガス管の上流端に向かう流線に従って流れるので、ガス化炉壁の天井部よりも内部側で、生成ガス管の上流端の背後側に回り込む流れなど局所的に流速が速くなる偏流発生を抑制することができる。これにより、生成ガス管の上流端の周囲に配置された構造物やガス化炉壁に速度の速い生成ガスが衝突することを抑制することができる。
ここで、速度の速い生成ガスとは、構造物の許容減肉速度を上回る摩耗を発生させる流速となったチャーなどを含む生成ガスである。
なお、拡径部として、例えばベルマウス形状を用いることができる。
冷却手段としては、例えば、内部に冷却水が流れる冷却コイルなどが挙げられる。
耐摩耗材としては、例えば、セラミックス等を用いることができる。
なお、以下においては、上方及び下方の表現を用いて説明した各構成要素の位置関係は、各々鉛直上方側、鉛直下方側を示すものである。
[第1実施形態]
図1には、ガス化炉設備14を適用した石炭ガス化複合発電設備10の概略構成が示されている。
石炭ガス化複合発電設備(IGCC:Integrated Coal Gasification Combined Cycle)10は、空気を主とする酸化剤として用いており、ガス化炉設備14において、燃料から可燃性ガス(生成ガス)を生成する空気燃焼方式を採用している。そして、石炭ガス化複合発電設備10は、ガス化炉設備14で生成した生成ガスを、ガス精製設備16で精製して燃料ガスとした後、ガスタービン17に供給して発電を行っている。すなわち、実施形態1の石炭ガス化複合発電設備10は、空気燃焼方式(空気吹き)の発電設備となっている。ガス化炉設備14に供給する燃料としては、例えば、石炭等の炭素含有固体燃料が用いられる。
石炭ガス化複合発電設備10において、給炭設備11に原炭(石炭)が供給されると、石炭は、給炭設備11において細かい粒子状に粉砕されることで微粉炭となる。給炭設備11で製造された微粉炭は、空気分離設備42から供給される窒素により第1窒素供給ライン43を流通してガス化炉設備14に供給される。また、後述するチャー回収設備15で回収されたチャーが、空気分離設備42から供給される窒素により第2窒素供給ライン45を流通してガス化炉設備14に供給される。更に、後述するガスタービン17から抽気された圧縮空気が昇圧機68で昇圧された後、空気分離設備42から供給される酸素と共に圧縮空気供給ライン41を通してガス化炉設備14に供給される。
なお、ガスタービン17と蒸気タービン18は同一軸として1つの発電機19を回転駆動する構成に代えて、別の軸として複数の発電機を回転駆動する構成としても良い。
ガス化炉設備14のガス化炉101において、リダクタ部118のバーナ127により窒素と微粉炭が投入されて点火されると共に、コンバスタ部116のバーナ126により微粉炭及びチャーと圧縮空気(酸素)が投入されて点火される。すると、コンバスタ部116では、微粉炭とチャーの燃焼により高温燃焼ガスが発生する。また、コンバスタ部116では、微粉炭とチャーの燃焼により高温ガス中で溶融スラグが生成され、この溶融スラグがガス化炉壁111へ付着すると共に、炉底へ落下し、最終的にスラグホッパ122内の貯水へ排出される。そして、コンバスタ部116で発生した高温燃焼ガスは、ディフューザ部117を通ってリダクタ部118に上昇する。このリダクタ部118では、ガス化反応に必要な高温状態に維持されて、微粉炭が高温燃焼ガスと混合し、高温の還元雰囲気において微粉炭を部分燃焼させてガス化反応が行われ、生成ガスが生成される。ガス化した生成ガスが鉛直方向の下方側から上方側に向かって流通する。
次に、図3を用いてガス化炉壁111の上部構造について説明する。
図3に示されているように、筒形状とされたガス化炉壁111の上部には、生成ガス管80が設けられている。生成ガス管80は、図1に示したガス生成ライン49の上流側に設けられている。生成ガス管80の流路断面積は、ガス化炉壁111の流路断面積よりも小さい。生成ガス管80は、ガス化炉壁111の上端を仕切る天井壁とされた天井部111aに対して固定されている。生成ガス管80の上流端80aは、ガス化炉壁111より内部側(図3において紙面下方側)に突出している。具体的には、生成ガス管80の上流端80aは、ガス化炉壁111の天井部111aから鉛直下方に向けて挿入されている。生成ガス管80の上流端80aが天井部111aから突出する突出量h(h>0)は、生成ガスの流量、圧力、温度などの状態量、及びガス化炉壁111の内径に対する生成ガス管80の内径の関係などで適切に選定されるが、例えば数mmから数百mm程度とされている。突出量hは、生成ガス流れGの一部が生成ガス管80の上流端80aの背後面と天井部111aとの間に回り込んで流速の速い偏流を発生させたり、生成ガス流れGの流速の速いものが天井部111aに直接衝突することがないようにシミュレーション等を行って適宜設定される。ただし、突出量hが大きくなると、生成ガス管80の下方側に点検等を行うための一定の作業空間を確保する必要があるため天井部111aの高さ位置が高くなってしまう。このため、突出量hの上限は、ガス化炉設備14の高さ制限から決定される。
なお、チャーなどを含む生成ガスが、構造物に許容減肉速度以上の摩耗を発生させないとする限界流速がある。構造物の摩耗による減肉は流速の3乗に比例することから、速い流速を低下させることが必要になる。本実施形態では、流速の速い生成ガスとは、限界流速を超えるガス流速となったものである。構造物の材質や形状にも因るが、限界流速は、例えば15m/s以上25m/s以下とされる。
筒形状とされたガス化炉壁111の内部でガス化された生成ガスは、ガス化炉壁111内を鉛直上方へ流れ、生成ガス管80からガス化炉壁111の外部へと導かれる。このとき、生成ガス管80の上流端80aは、ガス化炉壁111より内部側に突出量hを有して突出して設けられている。これにより、ガス化炉壁111の内部から生成ガス管80内に導かれる生成ガスは、ガス化炉壁111から突出した生成ガス管80の上流端80aに向かう生成ガス流れGの流線に従って流れるので、ガス化炉壁111の天井部111aより内部側で、流速の速い偏流の発生や、生成ガス管80の上流端80aの背後側に回り込む流れなど局所的な流速の速い偏流を抑制することができる。図3に示すように、生成ガス管80の上流端80aの背後側に流れ込んだ生成ガスは、緩慢な渦Vを形成するだけである。これにより、生成ガス管80の上流端80aの周囲に配置された吊下管81やガス化炉壁111に流速の速い生成ガスが衝突することを抑制することができる。
次に、本発明の第2実施形態について、図5を用いて説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して、生成ガス管80の接続構造が異なるが、他の構成については同様であるのでその説明は省略する。
図5に示されているように、生成ガス管80は、圧力容器110の側方側から挿入され、かつ、ガス化炉壁111の天井部111aに連結する側部111bから挿入されている。生成ガス管80が挿入される高さ位置は、ガス化炉壁111の天井部111aよりも下方側で、かつ、シンガスクーラ103の最上方側に位置する節炭器134よりも上方側とされる。また、生成ガス管80は、第1実施形態と同様に、生成ガスの流速が局所的に速くなるような流れの偏流が生じないような範囲で、天井部111aに近い位置に設置される。生成ガス管80の上流端80aの側部111bからの突出量hは、第1実施形態と同様に、生成ガスの流れが生成ガス管80の上流端80aに向かって円滑に流れるように設定される。
11 給炭設備
11a 給炭ライン
14 ガス化炉設備
15 チャー回収設備
16 ガス精製設備
17 ガスタービン
18 蒸気タービン
19 発電機
20 排熱回収ボイラ
41 圧縮空気供給ライン
42 空気分離設備
43 第1窒素供給ライン
45 第2窒素供給ライン
46 チャー戻しライン
47 酸素供給ライン
49 ガス生成ライン
51 集塵設備
52 供給ホッパ
53 ガス排出ライン
61 圧縮機
62 燃焼器
63 タービン
64 回転軸
65 圧縮空気供給ライン
66 燃料ガス供給ライン
67 燃焼ガス供給ライン
68 昇圧機
69 タービン
70 排ガスライン
71 蒸気供給ライン
72 蒸気回収ライン
74 ガス浄化設備
75 煙突
80 生成ガス管
80a 上流端
80b 拡径部
80c エキスパンション部
81 吊下管
82 フレーム材
83 炉壁管
85 集合管
101 ガス化炉
102 シンガスクーラ(熱交換器)
110 圧力容器
111 ガス化炉壁
111a 天井部
111b 側部
115 アニュラス部
116 コンバスタ部
117 ディフューザ部
118 リダクタ部
121 ガス排出口
122 スラグホッパ
126 バーナ
127 バーナ
131 蒸発器
132 過熱器
134 節炭器
154 内部空間
156 外部空間
h 突出量
G 生成ガス流れ
Claims (10)
- 炭素含有固体燃料をガス化するガス化炉でガス化された生成ガスが流通する筒形状とされたガス化炉壁と、
前記ガス化された生成ガスを前記ガス化炉壁の外部へ導く生成ガス管と、
を備え、
前記生成ガス管の上流端は、前記ガス化炉壁から内部側に突出し、
前記生成ガス管の前記上流端は、ベルマウス形状とされているガス化炉設備。 - 炭素含有固体燃料をガス化するガス化炉でガス化された生成ガスが流通する筒形状とされたガス化炉壁と、
前記ガス化された生成ガスを前記ガス化炉壁の外部へ導く生成ガス管と、
を備え、
前記生成ガス管の上流端は、前記ガス化炉壁から内部側に突出し、
前記生成ガス管の前記上流端を冷却する冷却手段を備えているガス化炉設備。 - 前記生成ガス管の前記上流端は、前記ガス化炉壁の天井部から鉛直下方に向けて挿入されている請求項1又は2に記載のガス化炉設備。
- 前記天井部は、水平方向に延在する平坦形状とされている請求項3に記載のガス化炉設備。
- 前記生成ガス管の前記上流端は、前記ガス化炉壁の側部から挿入されている請求項1又は2に記載のガス化炉設備。
- 前記生成ガス管の前記上流端は、前記ガス化炉壁の前記側部の周囲の複数箇所から挿入されている請求項5に記載のガス化炉設備。
- 前記生成ガス管の前記上流端には、耐摩耗材が設けられている請求項1から6のいずれかに記載のガス化炉設備。
- 請求項1から請求項7のいずれかに記載のガス化炉設備と、
前記ガス化炉設備で生成した生成ガスの少なくとも一部を燃焼させることで回転駆動するガスタービンと、
前記ガスタービンから排出されるタービン排ガスを導入する排熱回収ボイラで生成した蒸気により回転駆動する蒸気タービンと、
前記ガスタービンおよび/または前記蒸気タービンと連結された発電機と、
を備えているガス化複合発電設備。 - 炭素含有固体燃料をガス化するガス化炉でガス化された生成ガスが流通するガス化炉壁と、
前記生成ガスを前記ガス化炉壁の外部へ導く生成ガス管と、
を備えたガス化炉設備の製造方法であって、
前記生成ガス管の上流端を、前記ガス化炉壁から内部側に突出させて設置し、
前記生成ガス管の前記上流端は、ベルマウス形状とされているガス化炉設備の製造方法。 - 炭素含有固体燃料をガス化するガス化炉でガス化された生成ガスが流通するガス化炉壁と、
前記生成ガスを前記ガス化炉壁の外部へ導く生成ガス管と、
を備えたガス化炉の生成ガスの排出方法であって、
前記生成ガス管の上流端を、前記ガス化炉壁よりも内部側に突出させて設置し、
前記生成ガス管の前記上流端は、ベルマウス形状とされている生成ガスの排出方法。
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