JP2017125447A - 内燃機関の燃料添加弁制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】排気管に設けられた板状部材における燃料付着量の増大を抑えることのできる内燃機関の燃料添加弁制御装置を提供する。
【解決手段】内燃機関10は、過給機18よりも下流側の排気管14内に設けられた遮蔽板50と、遮蔽板50よりも下流側の排気管14に設けられて遮蔽板50に向かって燃料を噴射する燃料添加弁29と、燃料添加弁29よりも下流側の排気管14に設けられた排気浄化部材とを備えている。電子制御ユニット37は、予め定められている規定噴射時間及び規定休止時間による燃料噴射及び噴射休止を交互に繰り返す間欠噴射を行うように燃料添加弁29を制御する。そして電子制御ユニット37は、遮蔽板50に付着する燃料の付着量と、この付着量の全てが排気熱で蒸発するために必要な蒸発時間を算出して、算出した蒸発時間が規定休止時間よりも長いときには、間欠噴射の実行時における噴射休止の時間を規定休止時間から蒸発時間に変更する。
【選択図】図1
【解決手段】内燃機関10は、過給機18よりも下流側の排気管14内に設けられた遮蔽板50と、遮蔽板50よりも下流側の排気管14に設けられて遮蔽板50に向かって燃料を噴射する燃料添加弁29と、燃料添加弁29よりも下流側の排気管14に設けられた排気浄化部材とを備えている。電子制御ユニット37は、予め定められている規定噴射時間及び規定休止時間による燃料噴射及び噴射休止を交互に繰り返す間欠噴射を行うように燃料添加弁29を制御する。そして電子制御ユニット37は、遮蔽板50に付着する燃料の付着量と、この付着量の全てが排気熱で蒸発するために必要な蒸発時間を算出して、算出した蒸発時間が規定休止時間よりも長いときには、間欠噴射の実行時における噴射休止の時間を規定休止時間から蒸発時間に変更する。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の燃料添加弁制御装置に関する。
内燃機関の排気管には、排気を浄化するために内燃機関の燃料を排気に添加する燃料添加弁や、この燃料添加弁よりも下流側の排気管に設けられて添加された燃料が供給される排気浄化部材などが備えられている。また、そうした燃料添加弁から噴射された燃料を排気中で微粒化させる技術も種々提案されている。
例えば特許文献1に記載の装置では、燃料添加弁の燃料噴射方向を排気管内の排気の流れ方向に対向させるようにしている。こうした装置によれば、燃料添加弁から噴射された燃料が排気と強く衝突するようになるため、燃料の微粒化が促されるようになる。
ところで、排気管には、過給機や、過給機の過給圧を抑えるウエストゲートバルブ、あるいは排気の温度を高めるべく排気管内に設置されるヒータなどといった機能部材が設けられることがある。
ここで、燃料添加弁の燃料噴射方向を排気管内の排気の流れ方向に対向させるようにした場合において、そうした燃料添加弁を上述した機能部材よりも下流側の排気管に設けると、燃料添加弁から噴射された燃料噴霧が機能部材に到達してしまう可能性があり、燃料噴霧が機能部材に到達してしまうと、機能部材には燃料が付着してしまう。このようにして機能部材に燃料が付着すると、例えば付着燃料がデポジット化して機能部材の動作に悪影響を与えるなどの不都合が起きやすい。
そこで、排気管の内壁から排気管の中心に向かって延びる板状部材を機能部材よりも下流側で且つ燃料添加弁よりも上流側の排気管内に設ける。そして、板状部材に向かって燃料を噴射するように燃料添加弁の燃料噴射方向を設定するといった対策が考えられる。こうした対策によれば、板状部材による燃料噴霧の遮蔽によって機能部材への燃料噴霧の付着は抑えられるようになる。
しかし、板状部材に燃料噴霧が到達すると、その板状部材では燃料付着量が増大していくため、新たに次のような不都合の発生が懸念される。
すなわち、板状部材にて燃料付着量が増大していくと、板状部材の表面において燃料の粒子が蓄積されていくことにより、付着した燃料が液膜化するようになる。このようにして燃料が液膜化すると、燃料噴霧の圧力によって燃料の液膜が板状部材から剥離して排気管の上流側へと飛散し、機能部材に付着してしまうおそれがある。
すなわち、板状部材にて燃料付着量が増大していくと、板状部材の表面において燃料の粒子が蓄積されていくことにより、付着した燃料が液膜化するようになる。このようにして燃料が液膜化すると、燃料噴霧の圧力によって燃料の液膜が板状部材から剥離して排気管の上流側へと飛散し、機能部材に付着してしまうおそれがある。
このように、板状部材において燃料付着量が増大していくと、板状部材を設けているにもかかわらず機能部材に燃料が付着するおそれがある。そのため、板状部材を設ける場合には、その板状部材において燃料付着量が増大することを抑えるように、更なる改善を施す必要がある。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、排気管に設けられた板状部材における燃料付着量の増大を抑えることのできる内燃機関の燃料添加弁制御装置を提供することにある。
上記課題を解決する内燃機関の燃料添加弁制御装置は、排気管に設けられた機能部材と、前記機能部材よりも下流側の排気管内に設けられて排気管の内壁から排気管の中心に向かって延びる板状部材と、前記板状部材よりも下流側の排気管に設けられて前記板状部材に向かって燃料を噴射することにより排気に燃料を添加する燃料添加弁と、前記燃料添加弁よりも下流側の排気管に設けられた排気浄化部材と、を備える内燃機関に適用される。この燃料添加弁制御装置は、予め定められている規定噴射時間及び規定休止時間による燃料噴射及び噴射休止を交互に繰り返す間欠噴射を行うように前記燃料添加弁の燃料噴射を制御する。そして、この燃料添加弁制御装置は、前記燃料添加弁から噴射される燃料噴霧が前記板状部材に到達するか否かを判定する判定部と、前記判定部にて前記燃料噴霧が前記板状部材に到達すると判定されるときには、前記板状部材に付着する燃料の付着量を算出する付着量算出部と、前記付着量算出部にて算出された前記付着量の全てが排気熱で蒸発するために必要な蒸発時間を算出する蒸発時間算出部と、前記蒸発時間算出部で算出された前記蒸発時間が、前記規定休止時間よりも長いときには、前記間欠噴射の実行時における前記噴射休止の時間を前記規定休止時間から前記蒸発時間に変更する休止時間変更部と、を備えている。
燃料添加弁の噴射態様として、燃料噴射及び噴射休止を交互に繰り返す間欠噴射を行う場合には、その間欠噴射における1回の噴射周期内において噴射された燃料が上記板状部材に付着したとしても、同じ噴射周期内において燃料噴射を休止している間に排気熱によって付着燃料は蒸発する。そのため、そうした噴射を休止する時間を適切に設定することにより、板状部材に付着した燃料を1回の噴射周期内において消失させることが可能になる。
そこで、同構成では、まず、燃料添加弁から噴射される燃料噴霧が板状部材に到達するかどうかを判定する。そして、燃料噴霧が板状部材に到達すると判定される場合には、板状部材に付着する燃料の付着量を算出するとともに、その算出された付着量の全てが排気熱で蒸発するために必要な蒸発時間を算出するようにしている。そして、間欠噴射の実行時における噴射休止の時間について予め定められている規定休止時間よりも算出された蒸発時間の方が長い場合には、規定休止時間にて燃料噴射を休止しても付着燃料を完全に蒸発させることができないため、そうした噴射休止の時間を規定休止時間から算出された蒸発時間に変更するようにしている。従って、1回の噴射周期内において噴射された燃料が板状部材に付着しても、その付着した燃料は同じ噴射周期内において消失するようになる。そのため、間欠噴射による燃料噴射を継続しても、板状部材における燃料付着量の増大を抑えることができるようになる。
以下、内燃機関の燃料添加弁制御装置の一実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。本実施形態の燃料添加弁制御装置は、車載用のディーゼル機関(以下、内燃機関という)に適用される。
図1に示すように、内燃機関10は、混合気の燃焼が行われる複数の気筒11を有している。内燃機関10は、各気筒11に導入する吸気が流れる吸気管13や、各気筒11から排出された排気が流れる排気管14を備えている。さらに、内燃機関10は、吸気管13に接続されたコンプレッサ16と排気管14に接続されたタービン17とを有した機能部材としての排気タービン式の過給機18を備えている。
タービン17内には、排気管14内を流れる排気によって回転するタービンホイールが設けられており、コンプレッサ16内にはタービンホイールと一体回転するコンプレッサホイールが設けられている。また、タービン17の出口近傍には、過給機18の過給圧を抑える機能部材としてのウエストゲートバルブ40も設けられている。
過給機18やウエストゲートバルブ40といった機能部材よりも下流側の排気管14内には、排気管14の内壁から排気管14の中心に向かって延びる板状部材である遮蔽板50が設けられている。
各気筒11には、気筒11内に燃料を噴射する燃料噴射弁19がそれぞれ設けられている。各気筒11の燃料噴射弁19は、コモンレール20にそれぞれ連結されている。コモンレール20は、吐出量を変更可能な電子制御式の燃料ポンプ21を介して燃料タンク22に連結されている。燃料ポンプ21は、燃料タンク22内の燃料を吸引及び加圧してコモンレール20に供給する。そして、各燃料噴射弁19には、コモンレール20から燃料が分配供給される。
吸気管13における上記コンプレッサ16よりも上流側の部分には、吸気中の異物を濾過するエアクリーナ23と、吸気管13を流れる吸気の流量(吸入空気量GA)を検出するためのエアフロメータ24とが設けられている。また、吸気管13におけるコンプレッサ16の下流側の部分には、コンプレッサ16による圧縮によって高温となった吸気を冷却するインタークーラ25と、吸入空気量GAを調整するスロットルバルブ26とが設けられている。そして、内燃機関10のシリンダヘッドに形成された吸気ポートには、吸気管13の一部を構成する吸気マニホールド27が接続されており、この吸気マニホールド27によって吸気管13を流れる吸気が各気筒11に分配される。
内燃機関10のシリンダヘッドに形成された排気ポートには、排気管14の一部を構成する排気マニホールド28が接続されており、この排気マニホールド28によって各気筒11から排出された排気が合流する。そして、排気マニホールド28の下流側の部分に上記タービン17の入口が接続されている。
内燃機関10の排気浄化装置は、排気管14内を流れる排気に内燃機関10の燃料を添加する燃料添加弁29と、排気中の窒素酸化物(NOx)を浄化するための排気浄化部材として機能するNOx吸蔵還元型触媒装置30(以下、NSR触媒装置という)と、排気中の粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集する排気浄化部材として機能するPMフィルタ31とを備えている。
NSR触媒装置30は、排気管14における燃料添加弁29よりも下流側の部分に設置されている。そして、PMフィルタ31は、排気管14におけるNSR触媒装置30よりも下流側の部分に設置されている。
さらに、排気管14には、NSR触媒装置30を通過した直後の排気の温度である排気温度THEを検出するための排気温センサ32や、PMフィルタ31の通過前後の排気の差圧を検出するための差圧センサ33などが設置されている。また、排気マニホールド28には、各気筒11で燃焼された混合気の空燃比を検出するための空燃比センサ34が取り付けられている。
燃料添加弁29は、排気管14における上記遮蔽板50の下流側に設置されている。この燃料添加弁29には、燃料ポンプ21において加圧される前の燃料が同燃料ポンプ21から供給される。また、燃料添加弁29の燃料噴射方向は、遮蔽板50に向かって燃料を噴射する方向に設定されており、これにより燃料添加弁29からは排気管14内の排気の流れ方向に対向する方向に向かって燃料が噴射される。こうした方向に燃料噴射方向を設定することにより、タービン17から流出した排気の流れ方向に対して対向する方向に燃料が噴射される。ここで、過給機18のタービン17から流出する排気は、排気管14内において比較的流速の速い排気となっているため、燃料添加弁29から噴射された燃料噴霧と排気との相対速度は速くなり、その結果、燃料添加弁29から噴射された燃料の微粒化が促進される。また、燃料添加弁29からは遮蔽板50に向かって燃料が噴射されるため、排気管14における燃料の上流側への噴射は遮蔽板50での燃料付着によって遮蔽される。そのため、排気管14において遮蔽板50よりも上流側に燃料噴霧が達することは抑えられるようになり、上記機能部材への燃料噴霧の付着が抑えられる。
また、内燃機関10には、排気マニホールド28と吸気マニホールド27とを連結する再循環排気通路(EGR通路)15が設けられている。EGR通路15には、排気系から吸気系に再循環される排気(EGRガス)を冷却するEGRクーラ35と、EGRガスの流量を調整するEGRバルブ36とが設けられている。
内燃機関10は電子制御ユニット37を備えている。この電子制御ユニット37は、機関運転制御や排気浄化制御のための各種演算処理を行う中央演算処理装置、制御用のプログラムやデータが記憶された読出専用メモリ、中央演算処理装置の演算結果やセンサの検出結果などを一時的に記憶するメモリ、入力ポート及び出力ポートなどを備えている。また、電子制御ユニット37は、後述の判定部37A、付着量算出部37B、蒸発時間算出部37C、休止時間変更部37Dを有している。
電子制御ユニット37の入力ポートには、上述のエアフロメータ24、排気温センサ32、差圧センサ33、空燃比センサ34の出力信号が入力されている。また、電子制御ユニット37の入力ポートには、燃料添加弁29に供給される燃料の圧力である燃圧PFを検出するための燃圧センサ38の出力信号や、燃料添加弁29内の燃料の温度である燃温THFを検出するための燃温センサ39の出力信号が入力されている。一方、電子制御ユニット37の出力ポートには、燃料噴射弁19や燃料ポンプ21、スロットルバルブ26、燃料添加弁29、EGRバルブ36の駆動回路が接続されている。
電子制御ユニット37は、排気浄化制御の1つとして、NSR触媒装置30に流入する排気中のHC(炭化水素)の濃度を規定範囲内の振幅及び規定範囲内の周期にて振動させることにより、排気温度が高く且つリーン空燃比で混合気の燃焼が行われる機関運転状態においてもNOxの連続浄化が可能となるNOx連続浄化制御を行う。こうしたNOx連続浄化制御を実行するときには、NSR触媒装置30に流入する排気中のHCの濃度が上記規定範囲内の振幅及び上記規定範囲内の周期にて振動するように、燃料添加弁29から排気に対してパルス状に燃料を噴射する間欠噴射が行われる。
また、電子制御ユニット37は、排気浄化制御の1つとして、上記差圧センサ33の検出値などからPMフィルタ31に堆積した粒子状物質の量を推定する。そして、その推定した粒子状物質の堆積量が規定量に達したときには、燃料添加弁29から排気に対してパルス状に燃料を噴射する間欠噴射を行って排気温度を高め、そうした排気温度の高温化によってPMフィルタ31に堆積した粒子状物質を消失させる、いわゆるフィルタ再生制御を実行する。
図2に示すように、上記間欠噴射は、燃料添加弁29による燃料の噴射及び噴射休止が交互に繰り返されるように、電子制御ユニット37が1回の噴射周期Hにおける燃料添加弁29の噴射時間τ及び噴射の休止時間HSを制御することによって実行される。なお、NOx連続浄化制御の実行時における噴射時間τ及び休止時間HSには、予め定められている時間であってNOxの連続浄化に最適化された規定噴射時間τb及び規定休止時間HSbがNOxの浄化状態に応じて種々設定される。同様に、フィルタ再生制御の実行時における噴射時間τ及び休止時間HSには、予め定められている時間であってフィルタ再生に最適化された規定噴射時間τb及び規定休止時間HSbがPMフィルタ31の再生状態に応じて種々設定される。このようにして燃料添加弁29の燃料噴射を制御する電子制御ユニット37は、燃料添加弁制御装置を構成している。
ところで、本実施形態では、燃料添加弁29から遮蔽板50に向けて燃料を噴射するようにしている。また、燃料添加弁29から噴射される燃料噴霧の貫徹力は、機関運転中の各種条件によって種々変化する。そのため、燃料噴霧の貫徹力が弱い状態のときには燃料噴霧は遮蔽板50に到達しないが、貫徹力が強い状態のときには燃料噴霧が遮蔽板50に到達してしまい、遮蔽板50における燃料付着量が増大するようになる。そして、遮蔽板50にて燃料付着量が増大していくと、遮蔽板50の表面において燃料の粒子が蓄積されていくことにより、付着した燃料が液膜化するようになる。このようにして燃料が液膜化すると、燃料噴霧の圧力によって燃料の液膜が遮蔽板50から剥離して排気管14の上流側へと飛散し、上記機能部材である過給機18やウエストゲートバルブ40に付着してしまうおそれがある。
そこで、電子制御ユニット37は燃料添加を行うときに、以下に説明する一連の処理を行うことにより、そうした遮蔽板50における燃料付着量の増大を抑えるようにしている。
図3に、上記一連の処理手順を示す。この処理では、まずはじめに、現在、燃料添加弁29による燃料の添加要求があるか否かが判定される(S100)。このステップS100では、例えば、上記NOx連続浄化制御や上記フィルタ再生制御の実行要求がある場合に、添加要求があると判定される。そして、添加要求が無い場合には(S100:NO)、本処理は終了される。
一方、添加要求がある場合には(S100:YES)、上記判定部37Aによって、燃料添加弁29から噴射される燃料噴霧が遮蔽板50に到達するか否かが判定される(S110)。
ここで、燃圧PFが高いときほど燃料噴霧の貫徹力は大きくなるため、燃料噴霧が遮蔽板50に到達しやすくなる。また、燃温THFが低いときほど燃料の粘度は高くなり燃料噴霧の粒径は大きくなるため、燃料噴霧の貫徹力は大きくなり、燃料噴霧が遮蔽板50に到達しやすくなる。また、上記噴射周期1回における燃料の噴射時間τが長いときほど、燃料噴霧の貫徹力は大きくなるため、燃料噴霧が遮蔽板50に到達しやすくなる。また、排気温度THEが低いときほど、NSR触媒装置30を通過する前の排気温度も低い状態にあり、この通過前の排気温度が低いときほど、燃料添加弁29から噴射された直後の燃料噴霧の蒸発が起きにくくなるため、燃料噴霧の貫徹力は大きくなり、燃料噴霧が遮蔽板50に到達しやすくなる。また、本実施形態では、排気の流速が遅いときほど、燃料添加弁29から噴射された燃料噴霧を排気が押し戻す力が弱くなる。そのため、排気の流速が遅いときほど噴射された燃料噴霧の速度は速くなり、燃料噴霧の貫徹力は大きくなるため、燃料噴霧が遮蔽板50に到達しやすくなる。
このように燃料噴霧が遮蔽板50に到達するか否かは、燃圧PF、燃温THF、燃料の噴射時間、排気温度THE、及び排気流速に基づいて判定することができる。そこで、ステップS110において上記判定部37Aは、燃圧PF、燃温THF、排気温度THE、及び排気流速の代用値としての吸入空気量GAについてそれら各値の現状値を読み込むとともに、現在設定されている燃料の噴射時間τを読み込む。そして、読み込んだそれら各値に基づいて燃料噴霧が遮蔽板50に到達するか否かを判定する。
ステップS110にて、燃料噴霧が遮蔽板50に到達すると判定されるときには(S110:YES)、上記付着量算出部37Bによって、遮蔽板50に付着する燃料の付着量である燃料付着量FHが算出される(S120)。なお、この燃料付着量FHは、上記噴射周期H内において規定噴射時間τbにて燃料噴射を行った場合に遮蔽板50に付着すると推定される予測量である。
ここで、燃圧PFが高いときほど燃料噴霧の貫徹力は大きくなるため、遮蔽板50に到達する燃料噴霧の量は多くなり、燃料付着量FHは多くなる。また、燃温THFが低いときほど燃料の粘度は高くなり燃料噴霧の粒径は大きくなるため、燃料付着量FHは多くなる。また、上記噴射周期1回における燃料の噴射時間τが長いときほど、燃料噴霧の貫徹力は大きくなるため、燃料付着量FHは多くなる。また、排気温度THEが低いときほど、NSR触媒装置30を通過する前の排気温度も低い状態にあり、この通過前の排気温度が低いときほど、燃料添加弁29から噴射された直後の燃料噴霧の蒸発が起きにくくなるため、遮蔽板50に到達する液状の燃料噴霧の量は多くなり、燃料付着量FHは多くなる。また、本実施形態では、排気の流速が遅いときほど、燃料添加弁29から噴射された燃料噴霧を排気が押し戻す力が弱くなる。そのため、排気の流速が遅いときほど噴射された燃料噴霧の速度は速くなり、燃料噴霧の貫徹力は大きくなるため、燃料付着量FHは多くなる。
このように燃料付着量FHは、燃圧PF、燃温THF、燃料の噴射時間τ、排気温度THE、及び排気流速に基づいて判定することができる。そこで、ステップS120において上記付着量算出部37Bは、燃圧PF、燃温THF、排気温度THE、及び排気流速の代用値としての吸入空気量GAについてそれら各値の現状値を読み込むとともに、現在設定されている規定噴射時間τbを読み込む。そして、読み込んだそれら各値に基づいて、燃料付着量FHを算出する。
こうして燃料付着量FHが算出されると、上記蒸発時間算出部37Cによって、上記燃料付着量FHの全てが排気熱によって蒸発するために必要な蒸発時間TZが算出される(S130)。
ここで、算出された燃料付着量FHが多いときほど上記蒸発時間TZは長くなる。また、排気温度THEが低いときほど、NSR触媒装置30を通過する前の排気温度も低い状態にあり、この通過前の排気温度が低いときほど遮蔽板50からの燃料蒸発速度は遅くなるため、上記蒸発時間TZは長くなる。また、排気の流速が遅いときほど、遮蔽板50からの燃料蒸発速度は遅くなるため、上記蒸発時間TZは長くなる。
このように蒸発時間TZは、燃料付着量FHは、燃料付着量FH、排気温度THE、及び排気流速に基づいて判定することができる。そこで、ステップS130において上記蒸発時間算出部37Cは、算出された燃料付着量FHと、排気温度THEの現状値、及び排気流速の代用値である吸入空気量GAの現状値を読み込む。そして、読み込んだそれら各値に基づいて蒸発時間TZを算出する。
こうして蒸発時間TZが算出されると、上記休止時間変更部37Dによって、算出された蒸発時間TZ及び現在設定されている上記規定休止時間HSbのうちでより長い方の時間が上記休止時間HSに設定される(S140)。このステップS140の処理によって、現在設定されている上記規定休止時間HSbよりも算出された蒸発時間TZの方が長いときには、間欠噴射実行時の休止時間HSが規定休止時間HSbから蒸発時間TZに変更される。
他方、上記ステップS110にて、燃料噴霧が遮蔽板50に到達しないと判定されるときには(S110:NO)、間欠噴射実行時の休止時間HSとして、現在設定されている規定休止時間HSbがそのまま設定される(S150)。
上記ステップS140またはステップS150にて休止時間HSが設定されると、上記規定噴射時間τb及び設定された休止時間HSによる間欠噴射が開始されることにより、燃料の添加が開始される(S160)。
こうして、ステップS160にて燃料の添加が開始されると、次に添加を開始してから所定時間TDが経過したか否かが判定される(S170)。この所定時間TDとしては、例えば以下のような時間が設定されている。
すなわち、機関運転中には燃料噴霧の貫徹力が種々変化するのであるが、上記ステップS160にて燃料の添加を開始してから、それほど時間が経過していなければ、燃料噴霧の貫徹力はそれほど大きく変化しておらず、先のステップS110における燃料噴霧の到達判定結果は変わらないと考えられる。逆に、上記ステップS160にて燃料の添加を開始してから、ある程度時間が経過していると、燃料噴霧の貫徹力が変化しており、先のステップS110における燃料噴霧の到達判定結果は変わる可能性がある。
また、機関運転中には遮蔽板50に付着した燃料の蒸発状態も種々変化するのであるが、上記ステップS160にて燃料の添加を開始してから、それほど時間が経過していなければ、燃料の蒸発状態はそれほど大きく変化しておらず、現状の噴射状態を維持しても付着燃料は完全に蒸発していると考えられる。逆に、上記ステップS160にて燃料の添加を開始してから、ある程度時間が経過していると、燃料の蒸発状態が変化しており、現状の噴射状態を維持すると付着燃料が完全に蒸発しない可能性がある。
そこで、上記ステップS160にて燃料の添加を開始してから燃料噴霧の貫徹力や燃料の蒸発状態がほぼ変化しておらず、燃料噴霧の到達判定結果が変わらないと考えられる時間、或いは現状の噴射状態を維持しても付着燃料が完全に蒸発していると考えられる時間のうちで長い方の時間(例えば数秒程度)が上記所定時間TDに設定されている。
そして、添加を開始してから所定時間TDが経過していないときには(S170:NO)、添加を開始してから所定時間TDが経過するまでステップS170での判定が繰り返し行われる。
一方、添加を開始してから所定時間TDが経過しているときには(S170:YES)、燃料添加弁29による燃料の添加要求が無くなったか否かが判定される(ステップS180)。このステップS180では、例えば、上記NOx連続浄化制御や上記フィルタ再生制御の実行要求が無くなった場合に、添加要求が無くなったと判定される。そして、ステップS180にて、添加要求があると判定されるときには(S180:NO)、上記ステップS110以降の処理が再び実行されることにより、燃料噴霧の到達判定や休止時間HSの設定が再び行われて、燃料の添加が継続される。
一方、ステップS180にて、添加要求が無いと判定されるときには(S180:YES)、上記ステップS160にて開始した燃料の添加が終了されて(S190)、本処理は終了される。
次に、このように構成される本実施形態の作用、並びにその効果について説明する。
燃料添加弁29の噴射態様として、燃料噴射及び噴射休止を交互に繰り返す間欠噴射を行う場合には、その間欠噴射における1回の噴射周期H内において噴射された燃料が遮蔽板50に付着したとしても、同じ噴射周期H内において燃料噴射を休止している間に排気熱によって付着燃料は蒸発する。そのため、そうした噴射を休止する時間を適切に設定することにより、遮蔽板50に付着した燃料を1回の噴射周期内において消失させることが可能になる。
燃料添加弁29の噴射態様として、燃料噴射及び噴射休止を交互に繰り返す間欠噴射を行う場合には、その間欠噴射における1回の噴射周期H内において噴射された燃料が遮蔽板50に付着したとしても、同じ噴射周期H内において燃料噴射を休止している間に排気熱によって付着燃料は蒸発する。そのため、そうした噴射を休止する時間を適切に設定することにより、遮蔽板50に付着した燃料を1回の噴射周期内において消失させることが可能になる。
そこで、まず、上記ステップS110では、燃料添加弁29から噴射される燃料噴霧が遮蔽板50に到達するかどうかが判定される。そして、燃料噴霧が遮蔽板50に到達すると判定される場合には、上記ステップS120にて、遮蔽板50に付着する燃料付着量FHが算出され、上記ステップS130では、その算出された燃料付着量FHの全てが排気熱で蒸発するために必要な蒸発時間TZが算出される。そして、予め定められている規定休止時間HSbよりも蒸発時間TZの方が長い場合には、規定休止時間HSbにて燃料噴射を休止しても遮蔽板50に付着した燃料を完全に蒸発させることができない。そこで、ステップS140では、規定休止時間HSbよりも蒸発時間TZの方が長い場合、噴射の休止時間HSを規定休止時間HSbから蒸発時間TZへと変更するようにしている。
従って、1回の噴射周期H内において噴射された燃料が遮蔽板50に付着しても、同じ噴射周期H内においてその付着した燃料は消失するようになるため、間欠噴射による燃料噴射を継続しても、遮蔽板50における燃料付着量の増大を抑えることができるようになる。
こうして遮蔽板50における燃料付着量の増大が抑えられるため、遮蔽板50においては液膜化した燃料が生じなくなる。従って、遮蔽板50の表面で液膜化した燃料が、燃料噴霧の圧力によって剥離し、上記機能部材に付着してしまうという不都合の発生も抑えられるようになる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・排気管14に設けられた上記機能部材は、過給機18及びウエストゲートバルブ40であったが、燃料付着に起因して各種動作不良が起きるおそれのある他の部材でもよい。例えば、上記機能部材としては、排気の温度を高めるべく排気管内に設置されるヒータでもよい。
・排気管14に設けられた上記機能部材は、過給機18及びウエストゲートバルブ40であったが、燃料付着に起因して各種動作不良が起きるおそれのある他の部材でもよい。例えば、上記機能部材としては、排気の温度を高めるべく排気管内に設置されるヒータでもよい。
・上記実施形態では、排気浄化部材として、HCを供給することによりNOxを浄化するNOx吸蔵還元型触媒装置30を備えていた。この他、排気浄化部材として、HCを供給することによりNOxを浄化するNOx還元触媒装置や、燃料添加により排気の温度を高める酸化触媒装置などを備える排気浄化装置に対しても、上記実施形態で説明した構造を適用することができる。
10…内燃機関、11…気筒、13…吸気管、14…排気管、15…再循環排気通路(EGR通路)、16…コンプレッサ、17…タービン、18…過給機(機能部材)、19…燃料噴射弁、20…コモンレール、21…燃料ポンプ、22…燃料タンク、23…エアクリーナ、24…エアフロメータ、25…インタークーラ、26…スロットルバルブ、27…吸気マニホールド、28…排気マニホールド、29…燃料添加弁、30…NOx吸蔵還元型触媒装置(NSR触媒装置)、31…PMフィルタ、32…排気温センサ、33…差圧センサ、34…空燃比センサ、35…EGRクーラ、36…EGRバルブ、38…燃圧センサ、39…燃温センサ、37…電子制御ユニット、40…ウエストゲートバルブ(機能部材)、50…遮蔽板(板状部材)。
Claims (1)
- 排気管に設けられた機能部材と、前記機能部材よりも下流側の排気管内に設けられて排気管の内壁から排気管の中心に向かって延びる板状部材と、前記板状部材よりも下流側の排気管に設けられて前記板状部材に向かって燃料を噴射することにより排気に燃料を添加する燃料添加弁と、前記燃料添加弁よりも下流側の排気管に設けられた排気浄化部材と、を備える内燃機関に適用されて、予め定められている規定噴射時間及び規定休止時間による燃料噴射及び噴射休止を交互に繰り返す間欠噴射を行うように前記燃料添加弁の燃料噴射を制御する燃料添加弁制御装置であって、
前記燃料添加弁から噴射される燃料噴霧が前記板状部材に到達するか否かを判定する判定部と、
前記判定部にて前記燃料噴霧が前記板状部材に到達すると判定されるときには、前記板状部材に付着する燃料の付着量を算出する付着量算出部と、
前記付着量算出部にて算出された前記付着量の全てが排気熱で蒸発するために必要な蒸発時間を算出する蒸発時間算出部と、
前記蒸発時間算出部で算出された前記蒸発時間が前記規定休止時間よりも長いときには、前記間欠噴射の実行時における前記噴射休止の時間を前記規定休止時間から前記蒸発時間に変更する休止時間変更部と、を備える
内燃機関の燃料添加弁制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2016005122A JP2017125447A (ja) | 2016-01-14 | 2016-01-14 | 内燃機関の燃料添加弁制御装置 |
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JP2019065808A (ja) * | 2017-10-04 | 2019-04-25 | いすゞ自動車株式会社 | 内燃機関の吸気系構造 |
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-
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- 2016-01-14 JP JP2016005122A patent/JP2017125447A/ja active Pending
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