JP2017125164A - 高保水性改変プロテオグリカン - Google Patents

高保水性改変プロテオグリカン Download PDF

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亜衣子 早野
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Abstract

【課題】保水性が向上した改変プロテオグリカン、この改変プロテオグリカンを含む化粧品、およびこの改変プロテオグリカンの製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、乾燥重量で約0.08mmol/g以下の二価カチオンを含む、改変プロテオグリカンを提供する。本発明はまた、改変プロテオグリカンの製造方法であって、プロテオグリカンを二価カチオン捕捉樹脂によって処理する工程を包含する、製造方法を提供する。本発明の改変プロテオグリカンは、高い保水性を有し、化粧品として特に有用である。【選択図】図5

Description

本発明は、高い保水性を有する改変プロテオグリカンおよびその製造方法に関する。
プロテオグリカンは、グリコサミノグリカンとタンパク質の共有結合物の総称であり、動物に存在して、結合組織の細胞外マトリックス中の基質を形成している。
近年、保水性物質としてプロテオグリカンが注目されてきている。プロテオグリカンを単独、またはキトサン、コラーゲン、ヒアルロン酸などと併用し、わた体に付着させて使用すること(特許文献1)、美容液や化粧品においてプロテオグリカンを10重量%以上のコラーゲンと併用すること(特許文献2)、プロテオグリカンをアシル化アルカリ処理コラーゲンと併用すること(特許文献3)などが知られている。しかし、これらの方法では、わた体に付着させてもプロテオグリカン自体の保水能力は変わらず、保水能力を補うにはコラーゲンと併用しなければならないという煩わしさがある。また、水に不溶のコラーゲンを利用するため、透明または清澄な製品への利用は困難である。
さらに、プロテオグリカンは上皮細胞増殖因子(EGF)様作用を有することも明らかになり、化粧品や健康食品への応用がますます注目されている。
特開2002−255726号 公報 特開平6−166616号 公報 特開平6−179612号 公報
本発明は、保水性が向上した改変プロテオグリカン、この改変プロテオグリカンを含む化粧品、およびこの改変プロテオグリカンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、プロテオグリカンに存在する二価カチオンの量を減らすことによって、処理前のプロテオグリカンと比較して保水性の向上した改変プロテオグリカンを得ることができることを予想外に見出した。
本発明者らはまた、二価カチオンの量を減らすことによって、プロテオグリカンのEGF様作用に影響を及ぼすことなく、保水性を向上させることができることを見出した。
本発明者らはさらに、二価カチオン捕捉樹脂(例えば、陽イオン交換樹脂)を用いることによって、簡便に、プロテオグリカンと比較して、EGF様作用を保持し、かつ高い保水性を有する改変プロテオグリカンを製造することができることを見出した。
本発明者らはさらに、ナトリウムイオン型またはカリウムイオン型の二価カチオン捕捉樹脂(例えば、陽イオン交換樹脂)を用いることによって、簡便に、プロテオグリカンと比較して、高い保水性を有し、かつ高い安定性を有する改変プロテオグリカンを製造することができることを見出した。
本発明者らは、特に酢酸抽出されたプロテオグリカンについては、保水性向上が好ましいと考えていたが、本発明によって、酢酸抽出されたプロテオグリカンの顕著な保水性向上が達成された。
したがって、本発明は、代表的に以下を提供する。
(1)二価カチオン量が飽和値の約5%以下である改変プロテオグリカン。
(2)乾燥重量で約1重量%以下の二価カチオンを含む、改変プロテオグリカン。
(3)乾燥重量で約0.08mmol/g以下の二価カチオンを含む、改変プロテオグリカン。
(4)前記二価カチオンがカルシウムである、項1〜3のいずれかに記載の改変プロテオグリカン。
(5)乾燥重量で約5重量%以上のアルカリ金属イオンを含む、項1〜4のいずれかに記載の改変プロテオグリカン。
(6)前記アルカリ金属イオンがナトリウムまたはカリウムを含む、項5に記載の改変プロテオグリカン。
(7)ウロン酸含量が約34〜41重量%である、項1〜6のいずれかに記載の改変プロテオグリカン。
(8)タンパク質含量が約4〜7重量%である、項1〜7のいずれかに記載の改変プロテオグリカン。
(9)改変プロテオグリカンの製造方法であって、
プロテオグリカンを二価カチオン捕捉樹脂によって処理する工程
を包含する、製造方法。
(10) 前記二価カチオン捕捉樹脂が陽イオン交換樹脂またはキレート樹脂である、項9に記載の製造方法。
(11) 前記二価カチオン捕捉樹脂が強酸性陽イオン交換樹脂である、項9または10に記載の製造方法。
(12)前記プロテオグリカンにおける90%以上の二価カチオンが交換される条件下で前記処理を行う、項9〜11のいずれかに記載の製造方法。
(13)前記二価カチオンがカルシウムイオンである、項9〜12のいずれかに記載の製造方法。
(14)前記陽イオン交換樹脂がアルカリ金属イオン型である、項10〜13のいずれかに記載の製造方法。
(15)前記アルカリ金属イオンが、ナトリウムイオンである、項14に記載の製造方法。
(16)前記アルカリ金属イオンが、カリウムイオンである、項14に記載の製造方法。
(17)前記改変プロテオグリカンのウロン酸含量が前記プロテオグリカンのウロン酸含量の約90〜約125%となる条件下で前記処理を行う、項9〜16のいずれかに記載の製造方法。
(18)前記改変プロテオグリカンのタンパク質含量が前記プロテオグリカンのタンパク質含量の約70〜約115%となる条件下で前記処理を行う、項9〜17のいずれかに記載の製造方法。
(19)項1〜8のいずれか1項に記載の改変プロテオグリカン、または項9〜18のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された改変プロテオグリカンを含む、化粧品。
本発明により、EGF様作用と高い保水性とを有する改変プロテオグリカンが提供された。このような改変プロテオグリカンは、そのEGF様作用および高い保水性から、特に化粧品の成分として有用である。
図1は、本発明の改変処理を施していない原料の鮭由来プロテオグリカンの濃度と保水性の関係を示す。 図2は、実施例1の改変プロテオグリカンの保水性と、原料の鮭由来プロテオグリカンの保水性との比較を示す。 図3は、実施例4の改変プロテオグリカンの保水性と、原料の鮫酢酸抽出プロテオグリカンの保水性との比較を示す。 図4は、実施例7の改変プロテオグリカンの保水性と、原料の鮭由来プロテオグリカンの保水性との比較を示す。 図5は、種々の改変プロテオグリカンの保水性を示す。
以下に本発明を、必要に応じて、添付の図面を参照して例示の実施例により説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
本発明者らは、プロテオグリカンにおいて二価カチオンの量を減らすことによって、プロテオグリカンの保水性を向上させることができることを予想外に発見した。したがって、1つの実施形態において、本発明は、乾燥重量で二価カチオンが約1重量%以下、二価カチオン量が理論的飽和値の約5%以下または乾燥重量で約0.08mmol/g以下である改変プロテオグリカンを提供する。そのような本発明の改変プロテオグリカンは、改変前のプロテオグリカンと比較して高い保水性を有し得る。
プロテオグリカンは、グルコサミノグリカン部分とタンパク質部分を含み、グルコサミノグリカン部分はウロン酸を含むが、1つの実施形態において、本発明は、改変プロテオグリカンであって、プロテオグリカン中のウロン酸含量が約34〜41重量%である、および/またはタンパク質含量が約4〜7重量%である改変プロテオグリカンを提供する。ウロン酸含量が約34〜41重量%である、および/またはタンパク質含量が約4〜7重量%である改変プロテオグリカンは、改変前のプロテオグリカンが有しているEGF様作用を保持し得る。
別の実施形態において、本発明は、アルカリ金属イオンが約5重量%以上である改変プロテオグリカンを提供する。そのような本発明の改変プロテオグリカンは、高い安定性を有し得る。
本発明者らはさらに、二価カチオン捕捉樹脂(陽イオン交換樹脂)によってプロテオグリカンを処理することによって、プロテオグリカンの二価カチオンの量を減らし、簡便に高保水性改変プロテオグリカンを製造することができることを発見した。
本発明者らはさらに、ナトリウムイオン型またはカリウムイオン型の二価カチオン捕捉樹脂(例えば、陽イオン交換樹脂)を用いることによって、簡便に、プロテオグリカンと比較して、高い保水性を有し、かつ高い安定性を有する改変プロテオグリカンを製造することができることを見出した。
上記のとおりプロテオグリカンは、グルコサミノグリカン部分とタンパク質部分を含み、グルコサミノグリカン部分はウロン酸を含むが、1つの実施形態において、本発明は、改変プロテオグリカンであって、プロテオグリカン中のウロン酸含量および/またはタンパク質含量が変化せず、かつ二価カチオンの量を減らす条件下で、陽イオン交換樹脂処理を行うことを含む、改変プロテオグリカンの製造方法を提供する。そのような製造方法によって得られる改変プロテオグリカンは、処理前のプロテオグリカンと比較して、EGF様作用を保持し、かつ高い保水性を有するものであり得る。
(定義)
本明細書において、「プロテオグリカン」とは、グリコサミノグリカン側鎖がタンパク質に結合した分子群であって、任意の生物から抽出された任意のプロテオグリカンをいう。プロテオグリカンの特徴はウロン酸含量およびタンパク質含量で表現することができる。
本明細書において、「改変プロテオグリカン」とは、プロテオグリカンの任意のパラメーターの少なくとも1つが改変されたプロテオグリカンをいう。
本明細書において、物質Aが物質Bと比較して「保水性が高い」または「高保水性」とは、ある一定期間に物質Aが吸水した水分の重量が、同期間かつ同条件で物質Bが吸水した水分の重量よりも多いことをいう。なお、本明細書においては、この吸水した水分量は、測定対象の物質の水溶液を透析用セルロースチューブに入れて水中に浮遊させ、水に対して透析した結果の透析用セルロースチューブ内部の重量増加により測定される。
本明細書において、「二価カチオン捕捉樹脂」とは、プロテオグリカンの二価カチオンを捕捉できる任意の樹脂をいう。本発明の二価カチオン捕捉樹脂は、具体的には陽イオン交換樹脂およびキレート樹脂を含むが、これらに限定されない。
本明細書において、「強酸性陽イオン交換樹脂」とは、強酸(例えば、スルホン酸)を交換基とする任意の陽イオン交換樹脂をいう。本明細書において、強酸とは酸解離指数pKが3以下の酸をいう。強酸性陽イオン交換樹脂における交換基は、スルホン酸基、スルホプロピル基、スルホエチル基を含むが、これらに限定されない。
本明細書において、「弱酸性陽イオン交換樹脂」とは、弱酸(例えば、カルボン酸)を交換基とする任意の陽イオン交換樹脂をいう。本明細書において、弱酸とは電離定数Kが10−3以下の酸をいう。弱酸性陽イオン交換樹脂において用いられる酸は、カルボン酸、リン酸エステル、カルボキシメチルを含むが、これらに限定されない。
本明細書において、「上皮細胞増殖因子様作用」または「EGF様作用」とは、表皮成長因子作用のことであり、哺乳類やニワトリ表皮の増殖・ケラチン化および/またはヒト線維芽細胞の増殖などを促進する作用をいう。
本明細書において、プロテオグリカンまたは改変プロテオグリカンの「安定性」とは、分子量減少の程度をいう。プロテオグリカンまたは改変プロテオグリカンの分子量減少は、そのプロテオグリカンまたは改変プロテオグリカンにおいて分解が起こったことを示す。AがBよりも安定性が「高い」とは、Bにおける分子量減少の程度と比較して、Aにおける分子量減少の程度が小さいことをいう。
本明細書において、プロテオグリカンまたは改変プロテオグリカンの「分子量」とは、ゲルろ過法によって測定される分子量をいう。例えば、プロテオグリカンまたは改変プロテオグリカン溶液をゲルろ過法に供し、目的物質の溶出時間を、標準物質(例えば、デキストラン)を用いた検量線上にプロットすることによって目的物質の分子量を求めることができる。
本明細書において、「約」とは、後に続く数字の±10%の範囲内をいう。
(好ましい実施形態の説明)
以下に提供される実施形態は、本発明のよりよい理解のために提供されるものであり、本発明の範囲は以下の記載に限定されるべきではない。本明細書中の記載を参酌して、本発明の範囲内で適宜改変を行なうことができることは、当業者に明らかである。
・プロテオグリカン
本発明において原料とするプロテオグリカンは、任意の生物から抽出された任意のプロテオグリカンを含む。プロテオグリカンの原料となる生物としては、体内にプロテオグリカンを含む限りどのような生物であってもよく、牛、鶏、鯨などの哺乳類・鳥類の軟骨や、鮭、鮫、エイなどの魚類の軟骨であってもよい。本発明のプロテオグリカンの原料となる生物としては、鮭または鮫が好ましい。特に、鮭の鼻軟骨由来のプロテオグリカンにはEGF様作用が確認されており、本発明において好ましい。
本発明のプロテオグリカンの抽出法は、原料となる生物からプロテオグリカンを抽出できるものである限りどのような方法であってもよい。1つの実施形態において、プロテオグリカンの抽出においては、有害試薬を用いないことが好ましい。改変プロテオグリカンの化粧品、健康食品、医薬品などへの応用が容易であるからである。本発明に適したプロテオグリカン抽出法としては、例えば、熱水、酢酸、過酢酸、リンゴ酸、クエン酸、アスコルビン酸、アルカリ(水酸化ナトリウム等)、尿素またはグアニジン塩酸を用いる方法が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、プロテオグリカン抽出のために使用する試薬や、温度または時間などの具体的な条件を適切に決定することができる。好ましくは、本発明においては、プロテオグリカンは、原料となる生物から酢酸(例えば、4%酢酸)抽出されたものであり得る。
・改変プロテオグリカン
二価カチオンの量が減少すればするほど、プロテオグリカンの保水性が向上することが本発明者らによって発見された。
好ましい実施形態において、本発明の改変プロテオグリカンは、約1重量%以下の二価カチオンを含む。より好ましい実施形態において、本発明の改変プロテオグリカンは、約0.8重量%以下の二価カチオンを含む。より好ましい実施形態において、本発明の改変プロテオグリカンは、約0.5重量%以下の二価カチオンを含む。
別の実施形態において、本発明の改変プロテオグリカンは、二価カチオン量の飽和値の約5%以下、より好ましくは二価カチオン量の飽和値の約3%以下の二価カチオンを含み、さらに好ましくは二価カチオン量の飽和値の約1%以下の二価カチオンを含み、特に好ましくは二価カチオンを含まない。二価カチオン量の飽和値は、実施例13で使用したプロテオグリカンの場合1.58mmol/gであるので、この場合、本発明の改変プロテオグリカンは、約0.08mmol/g以下の二価カチオンを含み、より好ましくは約0.05mmol/g以下の二価カチオンを含み、特に好ましくは二価カチオンを含まない。
本明細書において改変プロテオグリカンの二価カチオン量の「飽和値」とは、原料となるプロテオグリカンを二価カチオンで飽和したと仮定した場合の二価カチオン1g当たりの二価カチオンのモル数をいう。具体的には、「飽和値」は硫酸基とカルボキシル基のモル数から算出することができる。硫酸基は元素分析による硫酸エステル基の定量法により測定し得る。プロテオグリカン中の硫黄原子には、糖鎖由来(硫酸エステル基由来)とタンパク質由来があると考えられる。糖鎖由来の硫黄原子とタンパク質由来の硫黄原子の総量の推定値を計算で求めると、プロテオグリカン中の糖鎖由来(硫酸エステル基由来)の硫黄原子の量は、タンパク質由来の硫黄原子の量の約70倍と算出されたことから、本明細書において、元素分析によって得られる硫黄原子の量を、糖鎖由来(硫酸エステル基由来)の硫黄原子の量として表すものとする。カルボキシル基はウロン酸由来であり、ウロン酸量から算出できる。
実施例13で使用した角弘プロテオグリカン研究所のプロテオグリカンを元素分析装置(全自動元素分析装置(vario EL CUBE、elementar)で測定した結果、硫黄原子は4.67重量%、硫酸エステル基に換算すると14.1重量%(=1.45mmol/g)含まれること、およびカルバゾール硫酸法によりウロン酸を定量した結果、33.3重量%(グルクロン酸換算)となり、カルボキシル基に換算すると7.7重量%(=1.71mmol/g)であることが分かった。二価カチオンは、硫酸エステル基とウロン酸に結合するにはそれぞれモル換算で2倍要することから、飽和値は、{(硫酸エステル基のモル数/g)+(カルボキシル基のモル数/g)}/2で算出することができるため、本例では、
(1.45+1.71)/2=1.58mmol/g
であると算出することができる。このようにして、本発明では、対象となるプロテオグリカンの二価カチオン量の飽和値が知られていない場合でも、元素分析による硫黄原子を測定により硫酸エステル基を測定して硫酸基の量を測定し、カルバゾール硫酸法等でカルボキシル量を測定することで、二価カチオン量の飽和値を推定することができる。このように求めた二価カチオン量の推定値に基づいて、本発明の改変プロテオグリカンが含む二価カチオン量を特定することができる。
なお、二価カチオン量の飽和値は、本発明において使用され得る鮭由来プロテオグリカンについては、一般的には約1mmol/g〜約5mmol/gの範囲にあることが分かっているため、鮭由来プロテオグリカンを原料として使用する場合、この範囲の量を指標に除去すべき二価カチオン量等を検討することができる。
別の実施形態において、本発明の改変プロテオグリカンは、改変前のプロテオグリカンに含まれる二価カチオンの量の約10%以下の二価カチオンしか含まない。より好ましくは、本発明の改変プロテオグリカンは、改変前のプロテオグリカンに含まれる二価カチオンの量の約5%以下の二価カチオンしか含まず、特に好ましくは、二価カチオンを含まない。
本発明において、代表的な二価カチオンは、カルシウムおよび/またはマグネシウムであり、より代表的にはカルシウムである。このような二価カチオンが減少した改変プロテオグリカンは、プロテオグリカンから二価カチオンを除去し得る任意の公知の方法によって調製され得るが、以下に説明する陽イオン交換樹脂を使用する方法が、二価カチオン除去効率が高いこと、および/または処理が簡便であることから、特に好ましい。
好ましい実施形態において、本発明の改変プロテオグリカンは、約5重量%以上のアルカリ金属イオンを含む。上述のとおり、本発明は、プロテオグリカンにおける二価カチオンの量を減少させることによってプロテオグリカンの保水性が向上することに基づくが、本発明者らはさらに、そのように保水性が向上した改変プロテオグリカンにおいてアルカリ金属イオンの量を増加させるようにすることによって、改変プロテオグリカンの安定性が増すことも見出した。より好ましい実施形態において、本発明の改変プロテオグリカンは約9重量%以上のアルカリ金属イオンを含み、特に好ましくは約12重量%以上のアルカリ金属イオンを含む。本発明の、二価カチオン量が減少し、かつアルカリ金属イオン含量が増加した好ましい改変プロテオグリカンは、高い保水性と、高い安定性(すなわち、改変前のプロテオグリカンと比較して、分子量の変動が約50%以内、好ましくは約30%以内、より好ましくは約10%以内)とを有し得る。
別の実施形態において、本発明の改変プロテオグリカンは、ウロン酸含量が約34〜41重量%であり、かつ/またはタンパク質含量が約4〜7重量%である。ウロン酸含量が約34〜41重量%であり、かつ/またはタンパク質含量が約4〜7重量%である改変プロテオグリカンは、二価カチオンの減少、および必要に応じてアルカリ金属イオンの増加以外にはプロテオグリカンの組成または構造が実質的に変化していないため、改変前のプロテオグリカンが有していたEGF様作用を保持し得る。
・改変プロテオグリカンの製造方法
二価カチオンが減少した本発明の改変プロテオグリカンは、プロテオグリカンから二価カチオンを除去し得る任意の公知の方法によって調製され得るが、二価カチオン捕捉樹脂を使用する方法が、処理が簡便であることから好ましい。二価カチオン捕捉樹脂としては、陽イオン交換樹脂およびキレート樹脂が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の改変プロテオグリカンの製造のためには、陽イオン交換樹脂(特に好ましくは、強酸性陽イオン交換樹脂)を使用する方法が、二価カチオン除去効率が高いこと、および/または処理が簡便であることから、特に好ましい。
したがって、本発明の代表的な実施形態においては、原料となる生物から抽出されたプロテオグリカンを、陽イオン交換樹脂によって処理して、プロテオグリカンから二価カチオンを除去する。
1つの実施形態において、本発明は、プロテオグリカンにおける約90%以上の二価カチオンが交換される条件下で、プロテオグリカンを二価カチオン捕捉樹脂(例えば、強酸性陽イオン交換樹脂)によって処理する工程を包含する、改変プロテオグリカンの製造方法を提供する。このようにして得られた改変プロテオグリカンは、処理前のプロテオグリカンと比較して保水性が向上している。本発明の好ましい実施形態において、プロテオグリカンにおける約95%以上の二価カチオンが交換(例えば、ナトリウムやカリウムなどに交換)される条件下で、特に好ましい実施形態においては、プロテオグリカンにおける約100%の二価カチオンが交換される条件下で、二価カチオン捕捉樹脂(例えば、強酸性陽イオン交換樹脂)による処理が行われ得る。このような約90%以上、より好ましくは約95%以上、特に好ましくは約100%の二価カチオンが交換され得る条件は、具体的には、交換容量、樹脂との接触時間、処理温度などを含み、当業者が適切に決定し得る。本発明のプロテオグリカンでは、二価カチオンのほとんどは、カルシウムイオンが占めることから、本発明の改変プロテオグリカンの製造方法においてプロテオグリカンにおける約90%以上(または約95%以上もしくは約100%等の別の比率)の二価カチオンが交換されたかどうかは、実質的に、カルシウムイオンを指標として評価することもできる。その場合、本明細書では、当該条件は、プロテオグリカンにおける約90%以上(または約95%以上もしくは約100%等の別の比率)のカルシウムイオンが交換される条件とも称される。
本発明における陽イオン交換樹脂は、強酸性陽イオン交換樹脂および弱酸性陽イオン交換樹脂を含む。好ましい実施形態において、本発明において用いられる陽イオン交換樹脂は強酸性陽イオン交換樹脂である。強酸性陽イオン交換樹脂による処理は、弱酸性陽イオン交換樹脂による処理と比較して、プロテオグリカンの回収率が優れているからである。強酸性陽イオン交換樹脂処理によるプロテオグリカンの回収率(処理後のプロテオグリカン/抽出後のプロテオグリカン)は約75%以上であるのに対して、弱酸性陽イオン交換樹脂処理によるプロテオグリカンの回収率は約60%程度であった。弱酸性陽イオン交換樹脂に結合したプロテオグリカンを回収しようとすると、イオン強度の高い溶離液またはアルカリ性溶離液などを使用する必要があるため、得られる改変プロテオグリカンの性質が変化し得る。強酸性陽イオン交換樹脂は、代表的に、担体にスルホン酸基のイオン交換基が導入された水不溶性の高分子樹脂である。担体としてはスチレン系やフェノール系、ビニル系、アクリルアミド系などの合成樹脂やセルロース系、アガロース系、デキストラン系などがある。
上述のとおり、本発明の好ましい改変プロテオグリカンは、アルカリ金属イオンの増加した改変プロテオグリカンであるが、このような好ましい改変プロテオグリカンは、アルカリ金属イオン型の二価カチオン捕捉樹脂処理によって調製され得る。アルカリ金属イオン型の二価カチオン捕捉樹脂とは、二価カチオンを捕捉し、それをプロトンないし金属イオンに交換する樹脂をいう。アルカリ金属イオン型二価カチオン捕捉樹脂による処理は、二価カチオンの減少とアルカリ金属の付加とを同時に行い得るため、本発明の改変プロテオグリカンの製造のために特に好ましい。アルカリ金属イオン含量の増加した改変プロテオグリカンは、好ましくは、アルカリ金属イオン型の陽イオン交換樹脂処理によって調製され得る。
アルカリ金属イオン型二価カチオン捕捉樹脂は、二価カチオン捕捉樹脂(例えば、陽イオン交換樹脂)をナトリウム、カリウム、リチウムなどの周期表第1族に属するアルカリ金属のイオン型とし、用いる。金属イオン型としては数種の金属の混合物でも構わない。樹脂を使用する前には、常法により酸やアルカリなどで予備洗浄し、使用する金属イオン型に活性化する必要がある。本発明における好ましいアルカリ金属は、ナトリウムまたはカリウムである。アルカリ金属(例えば、ナトリウムまたはカリウム)イオン型二価カチオン捕捉樹脂処理によって得られる改変プロテオグリカンは、プロトン型二価カチオン捕捉樹脂処理によって得られる改変プロテオグリカンと比較して、安定性が高いものであり得る。
1つの実施形態において、本発明は、本発明の処理前のプロテオグリカンの分子量からの処理後の分子量への変動が約50%以下である条件下で(すなわち、処理前をX,処理後をYとした場合に、|(X−Y)/X|<0.5である条件下)、プロテオグリカンを二価カチオン捕捉樹脂(例えば、強酸性陽イオン交換樹脂)によって処理する工程を包含する、改変プロテオグリカンの製造方法を提供する。このようにして得られた改変プロテオグリカンの分子量は、処理前のプロテオグリカンの分子量と比較して約50%〜約150%の範囲内である。本発明の好ましい実施形態において、処理前のプロテオグリカンの分子量からの処理後の分子量への変動が約30%以下(すなわち、約70%〜約130%)である条件下で、特に好ましい実施形態においては、処理前のプロテオグリカンの分子量からの処理後の分子量への変動が約10%以下(すなわち、約90%〜約110%)である条件下で、二価カチオン捕捉樹脂(例えば、強酸性陽イオン交換樹脂)による処理が行われ得る。
本発明の改変プロテオグリカンの製造方法は、原料から抽出されたプロテオグリカンを含む溶液を、二価カチオン捕捉樹脂(好ましくは、強酸性陽イオン交換樹脂、より好ましくは、アルカリ金属イオン型強酸性陽イオン交換樹脂)に接触させることを含む。このとき原料から抽出されたプロテオグリカンを含む溶液には、プロテオグリカン以外の物質、特にイオン性物質は入っていないほうが好ましい。もしくは、原料から抽出されたプロテオグリカンを含む溶液のイオン強度は低いほうが好ましい。
プロテオグリカン溶液と二価カチオン捕捉樹脂との接触方法は、カラムなどに樹脂を充填し、プロテオグリカン溶液をカラムに通過させる方式やバッチ式などがある。接触時間は、数分以上必要であり、接触する温度は室温以下が好ましい。使用するアルカリ金属イオン型二価カチオン捕捉樹脂(例えば、強酸性陽イオン交換樹脂)の量は、樹脂の種類により異なるが、出発原料となる元のプロテオグリカン1g当たり、陽イオン交換樹脂の交換容量2meq量相当の樹脂量に、安全率を乗じた以上の樹脂量であることが好ましい。
次いで、二価カチオン捕捉樹脂(例えば、強酸性陽イオン交換樹脂)と接触させたプロテオグリカンを、ろ過などの方法により、樹脂から分離する。ろ過後の二価カチオン捕捉樹脂(例えば、強酸性陽イオン交換樹脂)を水で洗浄し、樹脂に付着している改変プロテオグリカンを回収する。得られた改変プロテオグリカンは、原料から抽出されたプロテオグリカンより二価カチオンが減少し、保水性が向上した改変プロテオグリカンである。この時点では樹脂から分離された状態は水溶液の状態であり、そのまま化粧品などに使用してもよいし、噴霧乾燥や凍結乾燥などにより粉末化、または、アルコールやアセトンなどの有機溶剤により沈殿、風乾して、粉末化してもよい。
別の実施形態において、本発明の改変プロテオグリカンの製造方法において、改変プロテオグリカンのウロン酸含量が、改変前のプロテオグリカンのウロン酸含量の約90〜125%となる条件下で陽イオン交換樹脂処理を行うことが好ましい(すなわち、改変前のプロテオグリカン中のウロン酸の含量をX%(w/w)とし、改変後のプロテオグリカン中のウロン酸の含量をY%(w/w)とした場合、Y/Xが約0.9〜約1.25となることが好ましい)。より好ましくは、改変プロテオグリカンのウロン酸含量が、改変前のプロテオグリカンのウロン酸含量の約95〜110%となる条件下で陽イオン交換樹脂処理が行われ、特に好ましくは、改変プロテオグリカンのウロン酸含量が、改変前のプロテオグリカンのウロン酸含量の約100%となる条件下で陽イオン交換樹脂処理が行われる。
別の実施形態において、陽イオン交換樹脂処理を用いる本発明の改変プロテオグリカンの製造方法において、改変プロテオグリカンのタンパク質含量が、改変前のプロテオグリカンのタンパク質含量の約70〜115%となる条件下で陽イオン交換樹脂処理を行うことが好ましい(すなわち、改変前のプロテオグリカン中のタンパク質の含量をX%(w/w)とし、改変後のプロテオグリカン中のタンパク質の含量をY%(w/w)とした場合、Y/Xが約0.7〜約1.15となることが好ましい)。より好ましくは、改変プロテオグリカンのタンパク質含量が、改変前のプロテオグリカンのタンパク質含量の約80〜110%となる条件下で陽イオン交換樹脂処理が行われ、特に好ましくは、改変プロテオグリカンのタンパク質含量が、改変前のプロテオグリカンのタンパク質含量の約100%となる条件下で陽イオン交換樹脂処理が行われる。
別の実施形態において、陽イオン交換樹脂処理を用いる本発明の改変プロテオグリカンの製造方法において、改変プロテオグリカンのウロン酸含量およびタンパク質含量が、それぞれ改変前のプロテオグリカンのウロン酸含量およびタンパク質含量のそれぞれ約90〜125%および約70〜115%となる条件下で陽イオン交換樹脂処理を行うことが好ましい。より好ましくは、改変プロテオグリカンのウロン酸含量およびタンパク質含量が、それぞれ改変前のプロテオグリカンのウロン酸含量およびタンパク質含量のいずれも約90〜110%となる条件下で陽イオン交換樹脂処理が行われ、特に好ましくは、改変プロテオグリカンのウロン酸含量およびタンパク質含量が、それぞれ改変前のプロテオグリカンのウロン酸含量タンパク質含量のいずれも約100%となる条件下で陽イオン交換樹脂処理が行われる。これらのウロン酸含量および/またはタンパク質含量について改変の前後で変動の少ない改変プロテオグリカンは、二価カチオンの減少、および必要に応じてアルカリ金属イオンの増加以外にはプロテオグリカンの組成または構造が実質的に変化していないため、改変前のプロテオグリカンが有していたEGF様作用を保持し得る。
上述のようなウロン酸含量および/またはタンパク質含量が実質的に変化しない陽イオン交換樹脂処理条件は、当該分野で公知であり、当業者は適切にその条件を決定し得る
(改変プロテオグリカンの製造1)
原料のプロテオグリカンは、市販の鮭由来プロテオグリカン((株)角弘プロテオグリカン研究所)を購入し、用いた。これは、鮭の鼻軟骨から公知の酢酸抽出法によって抽出されたプロテオグリカンであった(例えば、特許3731150号)。強酸性陽イオン交換樹脂(商品名:ダイヤイオンSK1B(三菱化学(株)))をガラス製カラムに充填し(内径2cm、高さ8cm)、1M塩酸50mLと脱イオン水200mLを順次流下して樹脂を洗浄した後、1M塩化ナトリウム水溶液100mLを流下し、樹脂をナトリウムイオン型に活性化した。過剰の塩化ナトリウムを除くため、脱イオン水約200mLを流下した後、原料の鮭由来プロテオグリカン0.31gを脱イオン水25mLに溶解した溶液を、室温でカラム上方から添加・流下した。その後、樹脂に脱イオン水を130mL流下し、得られた溶出液約150mLをエバポレーター(東京理科器械(株))にて濃縮した後、凍結乾燥し、0.28gの白色綿状固体である本発明の改変プロテオグリカンを得た。
(改変プロテオグリカンの保水性の測定1)
原料の鮭由来プロテオグリカン0.30g、0.20g、0.10gをそれぞれ脱イオン水100mLに溶解し、原料の鮭由来プロテオグリカンの0.30w/v%、0.20w/v%、0.10w/v%水溶液100mLずつを得た。この原料の鮭由来プロテオグリカン水溶液100mLずつをそれぞれ、透析用セルロースチューブ(外周9cm×長さ35cm、エーディア(株))に入れ、上下の口を封じ水中に浮遊させ、4℃の低温室で、水に対して透析した。水の交換は1週間に一度行った。吸水した透析用セルロースチューブの重量を不定期に30日間測定し、あらかじめ測定した透析用セルロースチューブ風袋重量を控除し、吸水・保水した重量を求めた。
図1は、原料の鮭由来プロテオグリカンの保水性を測定した結果を示すものである。グラフの横軸は経過日数(日)を示し、縦軸は風袋重量を控除した透析用セルロースチューブ内液の重量(g)を示す。図1中のプロットのうち、「×0.30w/v%鮭由来プロテオグリカン」は原料の鮭由来プロテオグリカンの0.30w/v%水溶液の重量変化を、「■0.20w/v%鮭由来プロテオグリカン」は原料の鮭由来プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液の重量変化を、「▲0.10w/v%鮭由来プロテオグリカン」は原料の鮭由来プロテオグリカンの0.10w/v%水溶液の重量変化を示す。いずれのプロテオグリカン濃度でも吸水・保水量は経過日数にほぼ比例して増えること、また、プロテオグリカン濃度が0.10w/v%、0.20w/v%、0.30w/v%と高くなるほど吸水・保水量が多くなることが分かる。
原料の鮭由来プロテオグリカンと、実施例1の改変プロテオグリカンそれぞれ0.20gを、脱イオン水100mLに溶解し、原料の鮭由来プロテオグリカンおよび実施例4の改変プロテオグリカンのそれぞれ0.20w/v%水溶液100mLを得た。この原料の鮭由来プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液100mLと実施例1の改変プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液100mLをそれぞれ、透析用セルロースチューブ(外周9cm×長さ35cm、エーディア(株))に入れ、上下の口を封じ水中に浮遊させ、4℃の低温室で、水に対して透析した。水の交換は1週間に一度行った。吸水した透析用セルロースチューブの重量を不定期に30日間測定し、あらかじめ測定した透析用セルロースチューブ風袋重量を控除し、吸水・保水した重量を求めた。
図2は、原料の鮭由来プロテオグリカンと、実施例1の改変プロテオグリカンの保水性を測定した結果を示すものである。グラフの横軸は経過日数(日)を示し、縦軸は風袋重量を控除した透析用セルロースチューブ内液の重量(g)を示す。図2中のプロットのうち、「◇0.20w/v%高保水性プロテオグリカン(実施例1、ナトリウムイオン型)」は実施例1の改変プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液の重量変化を、「■0.20w/v%鮭由来プロテオグリカン」は原料の鮭由来プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液の重量変化を示す。30日間の測定結果を平均すると、1日当たりの重量の増加量は、原料の鮭由来プロテオグリカン2.7g/日に対して、実施例4の改変プロテオグリカンは7.4g/日であった。原料の鮭由来プロテオグリカンと比較して、実施例4の改変プロテオグリカンは約2.7倍の吸水・保水量があり、高保水性を有することが明らかとなった。
(改変プロテオグリカンの化学分析1)
実施例1の改変プロテオグリカンのタンパク質含量を、比色法であるローリー法にて、牛血清アルブミン(アクロス社)を標準物質とした検量線から求めたところ、5.2重量%であった。ウロン酸含量を、比色法であるカルバゾール硫酸法にて、グルクロン酸(シグマ社)を標準物質とした検量線から求めたところ、37.6重量%であった。原料の鮭由来プロテオグリカンについて同様に分析したところ、タンパク質含量は6.5重量%、ウロン酸含量は34.6重量%であった。これらの結果から、実施例1の改変プロテオグリカンのタンパク質とウロン酸含量は、それぞれ原料の鮭由来プロテオグリカンの約80%および約109%であり、改変処理前からほとんど変化がないことが明らかとなった。
水分含量は、熱天秤装置(Thermo Plus TG8210、(株)リガク製)にて、125℃で試料重量が恒量となるまで加熱し、重量減少分を試料に含まれていた水分とした。その結果、実施例1で得られた高保水性プロテオグリカンの水分含量は13重量%であった。同様に、原料の鮭由来プロテオグリカンの水分含量について分析したところ、17重量%であった。
また、実施例1で得られた高保水性プロテオグリカンの各金属含量を、キャピラリー電気泳動装置(Agilent7100キャピラリー電気泳動システム、アジレント・テクノロジー(株)製)を用いて定量した。各金属の定量法については、UV吸収を有する緩衝液で満たしたキャピラリーカラムに、試料を注入して電圧をかけることで、試料中の各金属イオンを分離しながら移動させ、UV検出部を通過する時のUV吸収の減少分により検出するという間接吸光法を採用した。カラムにフューズドシリカキャピラリー(内径50μm、有効長56cm、アジレント・テクノロジー(株)製)、緩衝液に陽イオン分析バッファ(PartNo.5064−8203、アジレント・テクノロジー(株)製)を用い、電圧25kVで、陽イオン標準液(5〜100ppm、PartNo.5064−8205、アジレント・テクノロジー(株)製)から作成した検量線より、ナトリウム、カリウム、カルシウム含量を求めた。
実施例1で得られた高保水性プロテオグリカンについては、乾燥重量を基にして0.174重量%水溶液で測定したため、作成した検量線による各金属含量の測定下限は0.29重量%であった。測定の結果、ナトリウムは9.3重量%、カルシウム、マグネシウムおよびカリウムのいずれも検量線の測定下限より低い濃度であったため0.29重量%未満であった。原料の鮭由来プロテオグリカンについては、乾燥重量を基にして0.166重量%水溶液で測定したため、作成した検量線による各金属含量の測定下限は0.30重量%であった。原料の鮭由来プロテオグリカンについて同様に分析したところ、ナトリウムは1.8重量%、カルシウムは5.6重量%であり、カリウムは検量線の測定下限より低い濃度であったため0.30重量%未満であった。なお、上記金属含量は、実施例1で得られた高保水性プロテオグリカン中に含まれる水分含量(13重量%)および原料の鮭由来プロテオグリカンに含まれる水分含量(17重量%)をそれぞれ除去した乾燥重量を基に計算した。
実施例1の改変プロテオグリカンの相対粘度を、オストワルド相対粘度計(粘度計No.1、毛細管内径0.5mm、柴田科学(株)製)で、純水の粘度を基準として測定した。実施例1で得られた高保水性プロテオグリカン25.0mgを5mLの蒸留水に溶解し、この水溶液5mLをオストワルド相対粘度計に移し、粘度を測定した。実施例1で得られた高保水性プロテオグリカンの水分含量は13重量%なので、乾燥重量で換算すると、21.8mg/5mL水溶液となり、濃度は0.44w/v%となる。水温26.5℃の水槽中で純水の粘度を1としたとき、実施例1で得られた高保水性プロテオグリカンの相対粘度は6.4であった。原料の鮭由来プロテオグリカンについて同一の相対粘度計を用いて分析した。原料の鮭由来プロテオグリカン26.3mgを5mLの蒸留水に溶解し、この水溶液5mLをオストワルド相対粘度計に移し、粘度を測定した。原料の鮭由来プロテオグリカンの水分含量は17重量%なので、乾燥重量で換算すると、21.8mg/5mL水溶液となり、濃度は0.44w/v%となる。水温26.5℃の水槽中で純水の粘度を1としたとき、原料の鮭由来プロテオグリカンの相対粘度は4.4であった。
実施例1の改変プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液のpHは7.5であり、原料の鮭由来プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液のpHは6.2であった。
(改変プロテオグリカンの製造2)
本発明の改変プロテオグリカンの製造にあたって、原料となるプロテオグリカンを常法により鮫から調製した。市販の鮫軟骨粉末100gに対して、5%酢酸(関東化学)を1L加え、4℃で一晩撹拌した。遠心分離により固形分を除去し、溶液を得た。この溶液を分画分子量10万の限外ろ過膜(ミリポア社)を装着した卓上循環式濃縮装置((株)トライテック)に通し、加水しながら、分子量10万以上の成分を集めた。残っている低分子成分を除去するため、透析用セルロースチューブ(エーディア(株))に分子量10万以上の画分を入れ、4℃の低温室で、水に対して3日間透析した。外液の水は定期的に交換した。透析用セルロースチューブ内の溶液を凍結乾燥し、固形分の重量を測定したところ、0.8gの白色綿状固体である鮫酢酸抽出プロテオグリカンを得た。
強酸性陽イオン交換樹脂(商品名:AG 50W−X8resin(バイオラッド社))をガラス製カラムに充填し(内径2.5cm、高さ8.2cm)、1M塩酸60mLと脱イオン水150mLを順次流下して樹脂を洗浄した後、1M水酸化カリウム水溶液150mLを流下し、樹脂をカリウムイオン型に活性化した。過剰の水酸化カリウムを除くため、脱イオン水約250mLを流下した後、原料の鮫酢酸抽出プロテオグリカン0.31gを脱イオン水30mLに溶解した溶液を、室温でカラム上方から添加・流下した。その後、樹脂に脱イオン水を170mL流下し、得られた溶出液約200mLをエバポレーター(東京理科器械(株))にて濃縮した後、凍結乾燥し、0.29gの白色綿状固体である高保水性プロテオグリカンを得た。
(改変プロテオグリカンの保水性の測定2)
原料の鮫酢酸抽出プロテオグリカンと、実施例4の改変プロテオグリカンそれぞれ0.10gを、脱イオン水50mLに溶解し、原料の鮫酢酸抽出プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液50mL、実施例7の改変プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液50mLを得た。この原料の鮫酢酸抽出プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液50mLと実施例7の改変プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液50mLをそれぞれ、透析用セルロースチューブ(外周9cm×長さ35cm、エーディア(株))に入れ、上下の口を封じ水中に浮遊させ、4℃の低温室で、水に対して透析した。水の交換は1週間に一度行った。吸水した透析用セルロースチューブの重量を不定期に30日間測定し、あらかじめ測定した透析用セルロースチューブ風袋重量を控除し、吸水・保水した重量を求めた。
図3は、原料の鮫酢酸抽出プロテオグリカンと、実施例4の改変プロテオグリカンの保水性を測定した結果を示すものである。グラフの横軸は経過日数(日)を示し、縦軸は風袋重量を控除した透析用セルロースチューブ内液の重量(g)を示す。図4中のプロットのうち、「◇0.20w/v%高保水性プロテオグリカン(実施例7、カリウムイオン型)」は実施例7の改変プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液の重量変化を、「■0.20w/v%鮫酢酸抽出プロテオグリカン」は原料の鮫酢酸抽出プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液の重量変化を示す。30日間の測定結果を平均すると、1日当たりの重量の増加量は、原料の鮫酢酸抽出プロテオグリカン1.9g/日に対して、実施例7の改変プロテオグリカンは5.1g/日であった。原料の鮫酢酸抽出プロテオグリカンと比較して、実施例7の改変プロテオグリカンは約2.7倍の吸水・保水量があり、高保水性を有することが明らかとなった。よって、プロテオグリカンの由来する生物に拘わらず、陽イオン交換樹脂処理による改変によって保水性の向上効果が得られることが分かる。
(改変プロテオグリカンの化学分析2)
実施例4の改変プロテオグリカンのタンパク質含量を、比色法であるローリー法にて、牛血清アルブミン(アクロス社)を標準物質とした検量線から求めたところ、4.5重量%であった。ウロン酸含量を、比色法であるカルバゾール硫酸法にて、グルクロン酸(シグマ社)を標準物質とした検量線から求めたところ、34.5重量%であった。原料の鮫酢酸抽出プロテオグリカンについて同様に分析したところ、タンパク質含量は5.9重量%、ウロン酸含量は33.8重量%であった。これらの結果から、実施例4の改変プロテオグリカンのタンパク質とウロン酸含量は、原料の鮫酢酸抽出プロテオグリカンのそれぞれ約76%および約103%であり、改変前からほとんど変化がないことが明らかとなった。
実施例4の改変プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液のpHは7.5であり、原料の鮫酢酸抽出プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液のpHは4.2であった。
(改変プロテオグリカンの製造3)
原料のプロテオグリカンは、市販の鮭由来プロテオグリカン((株)角弘プロテオグリカン研究所)を購入し、用いた。強酸性陽イオン交換樹脂(商品名:ダイヤイオンSK1B(三菱化学(株)))をガラス製カラムに充填し(内径2.5cm、高さ8.2cm)、1M塩酸60mLと脱イオン水150mLを順次流下して樹脂を洗浄した後、1M塩化カリウム水溶液400mLを流下し、樹脂をカリウムイオン型に活性化した。過剰の塩化カリウムを除くため、脱イオン水約350mLを流下した後、原料の鮭由来プロテオグリカン0.30gを脱イオン水30mLに溶解した溶液を、室温でカラム上方から添加・流下した。その後、樹脂に脱イオン水を150mL流下し、得られた溶出液約170mLをエバポレーター(東京理科器械(株))にて濃縮した後、凍結乾燥し、0.30gの白色綿状固体である高保水性プロテオグリカンを得た。
(改変プロテオグリカンの保水性の測定3)
原料の鮭由来プロテオグリカンと、実施例7の改変プロテオグリカンそれぞれ0.20gを、脱イオン水100mLに溶解し、原料の鮭由来プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液100mL、実施例7の改変プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液100mLを得た。この原料の鮭由来プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液100mLと実施例13の改変プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液100mLをそれぞれ、透析用セルロースチューブ(外周9cm×長さ35cm、エーディア(株))に入れ、上下の口を封じ水中に浮遊させ、4℃の低温室で、水に対して透析した。水の交換は1週間に一度行った。吸水した透析用セルロースチューブの重量を不定期に30日間測定し、あらかじめ測定した透析用セルロースチューブ風袋重量を控除し、吸水・保水した重量を求めた。
図4は、原料の鮭由来プロテオグリカンと、実施例7の改変プロテオグリカンの保水性を測定した結果を示すものである。グラフの横軸は経過日数(日)を示し、縦軸は風袋重量を控除した透析用セルロースチューブ内液の重量(g)を示す。図4中のプロットのうち、「◇0.20w/v%高保水性プロテオグリカン(実施例13、カリウムイオン型)」は実施例7の改変プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液の重量変化を、「■0.20w/v%鮭由来プロテオグリカン」は原料の鮭由来プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液の重量変化を示す。30日間の測定結果を平均すると、1日当たりの重量の増加量は、原料の鮭由来プロテオグリカン2.7g/日に対して、実施例7の改変プロテオグリカンは7.3g/日であった。原料の鮭由来プロテオグリカンと比較して、実施例7の改変プロテオグリカンは約2.7倍の吸水・保水量があり、高保水性を有することが明らかとなった。
(改変プロテオグリカンの化学分析3)
実施例7の改変プロテオグリカンのタンパク質含量を、比色法であるローリー法にて、牛血清アルブミン(アクロス社)を標準物質とした検量線から求めたところ、7.0重量%であった。ウロン酸含量を、比色法であるカルバゾール硫酸法にて、グルクロン酸(シグマ社)を標準物質とした検量線から求めたところ、40.6重量%であった。原料の鮭由来プロテオグリカンについて同様に分析したところ、タンパク質含量は6.5重量%、ウロン酸含量は34.6重量%であった。これらの結果から、実施例7の改変プロテオグリカンのタンパク質とウロン酸含量は、原料の鮭由来プロテオグリカンのそれぞれ約107%および約117%であり、改変前とほとんど変化がないことが明らかとなった。
実施例7で得られた高保水性プロテオグリカンの水分含量を上記実施例3と同様に測定したところ、14重量%であった。また、実施例7で得られた高保水性プロテオグリカンの各金属含量を、上記実施例3と同様に測定した。実施例7で得られた高保水性プロテオグリカンについては、乾燥重量を基にして0.0645重量%水溶液で測定したため、作成した検量線による各金属含量の測定下限は0.78重量%であった。測定の結果、ナトリウムは1.7重量%、カリウムは12.0重量%であり、カルシウムおよびマグネシウムは検量線の測定下限より低い濃度であったため0.78重量%未満であった。なお、上記金属含量は、実施例7で得られた高保水性プロテオグリカン中に含まれる水分含量(14重量%)を除去した乾燥重量を基に計算した。
実施例7の改変プロテオグリカンの相対粘度を実施例3と同一の相対粘度計を用いて分析した。実施例7の改変プロテオグリカン25.3mgを5mLの蒸留水に溶解し、この水溶液5mLをオストワルド相対粘度計に移し、粘度を測定した。実施例7の改変プロテオグリカンの水分含量は14重量%なので、乾燥重量で換算すると、21.8mg/5mL水溶液となり、濃度は0.44w/v%となる。水温26.5℃の水槽中で純水の粘度を1としたとき、実施例7の改変プロテオグリカンの相対粘度は6.0であった。
実施例7の改変プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液のpHは6.2であり、原料の鮭由来プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液のpHは6.2であった。
(改変プロテオグリカンの製造4)
原料のプロテオグリカンは、市販の鮭由来プロテオグリカン((株)角弘プロテオグリカン研究所)を購入し、用いた。プロトン型の強酸性陽イオン交換樹脂(内径2.5cm、高さ8.2cm、商品名:AG50W−X8 resin(バイオラッド社))に、原料の鮭由来プロテオグリカン0.4gを脱イオン水30mLに溶解した溶液を、室温でカラム上方から添加・流下した。溶出液をウォーターバスで47℃に加温しながら約10mLになるまで45分間減圧濃縮した後、凍結乾燥し、0.32gの改変プロテオグリカンを得た。
本実施例で製造した改変プロテオグリカンのタンパク質含量を、比色法であるローリー法にて、牛血清アルブミン(アクロス社製)を標準物質とした検量線から求めたところ、6.3%(重量比)であった。ウロン酸含量を、比色法であるカルバゾール硫酸法にて、グルクロン酸(シグマ社製)を標準物質とした検量線から求めたところ、38.3%(重量比)であった。原料の鮭由来プロテオグリカンについて同様に分析したところ、タンパク質含量は6.5%(重量比)、ウロン酸含量は34.6%(重量比)であった。これらの結果から、本実施例で製造した改変プロテオグリカンのタンパク質とウロン酸含量は、原料の鮭由来プロテオグリカンのそれぞれ約97%および約111%であり、改変前とほとんど変化がないことが明らかとなった。
本実施例で製造した改変プロテオグリカンの相対粘度をオストワルド式で測定した。測定器具にはオストワルド相対粘度計No.1(柴田科学(株)製)を用い、溶媒は脱イオン水とし、本実施例で製造した改変プロテオグリカンの5mg/mL水溶液の粘度を26.5℃の水浴中で測定した。結果、本実施例で製造したプロテオグリカン分解物5mg/mL水溶液の相対粘度は1.1であった。原料の鮭由来プロテオグリカン5mg/mL水溶液について同様の条件で測定したところ、相対粘度は3.7であった。
本実施例で製造した改変プロテオグリカンの分子量をゲルろ過法により測定した。ゲルろ過用樹脂はトヨパールHW55F(内径2.7cm、高さ116cm、東ソー(株)製)、ポンプはLKB・PumpP−1(ファルマシア社製)、フラクションコレクターはLKB・FRAC−100(ファルマシア社製)を用いた。本実施例で製造した改変プロテオグリカン10mgを1M塩化ナトリウム水溶液5mLに溶解し、カラム上方から添加した。溶離液は1M塩化ナトリウム水溶液、流速0.5mL/分で、4mLずつ溶出液を分取した。得られた各溶出液画分に対して、比色法であるカルバゾール硫酸法にてウロン酸含量を分析した。得られたウロン酸含量ピークの溶出体積に対して、分子量標準物質としてデキストラン(平均分子量75,000、38,500;和光純薬工業(株)製、150,000、10,000;シグマアルドリッチ社製)を用いた検量線から分子量を求めた。その結果から、本実施例で製造した改変プロテオグリカンの分子量は32kDaと算出された。
なお、原料の鮭由来プロテオグリカンの分子量測定については、ゲルろ過用樹脂はSephacrylS−500 HR(内径2.8cm、高さ120cm、GEヘルスケア社製)、ポンプはAC−2120ペリスタ・バイオミニポンプ(アトー(株)製)、フラクションコレクターはADVANTECFRC−2120 Fraction Collector(アドバンテック東洋(株)製)を用いた。原料の鮭由来プロテオグリカン10mgを0.1M塩化ナトリウム水溶液5mLに溶解した溶液を、カラム上方から添加した。溶離液は0.1M塩化ナトリウム水溶液、流速0.5mL/分で、5.5mLずつ溶出液を分取した。得られた各溶出液画分に対して、比色法であるカルバゾール硫酸法にてウロン酸含量を分析した。得られたウロン酸含量ピークの溶出体積に対して、分子量標準物質としてデキストラン(平均分子量1,400,000、670,000、410,000、150,000、シグマアルドリッチ社製)を用いた検量線から分子量を求めた。その結果から、原料の鮭由来プロテオグリカンの分子量は、1,400kDa以上と確認された。
原料の鮭由来プロテオグリカンの分子量との比較より、本実施例で製造した改変プロテオグリカンは、原料の鮭由来プロテオグリカンが約44分の1の大きさに分解されたものであることがわかった。
上記実施例と同様に吸水・保水量を測定したところ、1日当たりの重量の増加量は、原料の鮭由来プロテオグリカン2.7g/日に対して、本実施例で製造した改変プロテオグリカンは7.6g/日であった。本実施例で製造した改変プロテオグリカンは、原料の鮭由来プロテオグリカンと比較して、約2.8倍の吸水・保水量があり、高保水性を有することが明らかとなった。
以上の結果から、プロトン型陽イオン交換樹脂での処理によって製造された改変プロテオグリカンは、高い保水性を有するものの、分解されており、そして粘度も下がっていることが明らかになった。なお、ナトリウム型陽イオン交換樹脂またはカリウム型陽イオン交換樹脂での処理によって製造された改変プロテオグリカンにおいては、そのような分解は観察されず、安定であった。
(改変プロテオグリカンの製造5)
原料のプロテオグリカンは、市販の鮭由来プロテオグリカン((株)角弘プロテオグリカン研究所)を購入して用いた。プロトン型の強酸性陽イオン交換樹脂(内径2cm、高さ8cm、商品名:ダイヤイオンSK1B、三菱化学(株)製)に、原料の鮭由来プロテオグリカン0.4gを脱イオン水30mLに溶解した溶液を、室温でカラム上方から添加・流下した。その後、樹脂に脱イオン水を100mL流下した。溶出液をウォーターバスで47℃に加温しながら、約10mLになるまで30分間減圧濃縮した後、凍結乾燥し、0.35gの改変プロテオグリカンを得た。
本実施例で製造した改変プロテオグリカンのタンパク質含量を、比色法であるローリー法にて、牛血清アルブミン(アクロス社製)を標準物質とした検量線から求めたところ、6.3%(重量比)であった。ウロン酸含量を、比色法であるカルバゾール硫酸法にて、グルクロン酸(シグマ社製)を標準物質とした検量線から求めたところ、37.2%(重量比)であった。原料の鮭由来プロテオグリカンについて同様に分析したところ、タンパク質含量は6.5%(重量比)、ウロン酸含量は34.6%(重量比)であった。これらの結果から、本実施例で製造した改変プロテオグリカンのタンパク質とウロン酸含量は、原料の鮭由来プロテオグリカンのそれぞれ約97%および約108%であり、改変前ととほとんど変化がないことが明らかとなった。
本実施例で製造した改変プロテオグリカンの相対粘度をオストワルド式で測定した。測定器具にはオストワルド相対粘度計No.1(柴田科学(株)製)を用い、溶媒は脱イオン水とし、本実施例で製造した改変プロテオグリカンの5mg/mL水溶液の粘度を26.5℃の水浴中で測定した。結果、本実施例で製造した改変プロテオグリカン5mg/mL水溶液の相対粘度は1.2であった。原料の鮭由来プロテオグリカン5mg/mL水溶液について同様の条件で測定したところ、相対粘度は3.7であった。
本実施例で製造した改変プロテオグリカンの分子量をゲルろ過法により測定した。ゲルろ過用樹脂はトヨパールHW55F(内径2.7cm、高さ116cm、東ソー(株)製)、ポンプはLKB・PumpP−1(ファルマシア社製)、フラクションコレクターはLKB・FRAC−100(ファルマシア社製)を用いた。本実施例で製造した改変プロテオグリカン10mgを1M塩化ナトリウム水溶液5mLに溶解し、カラム上方から添加した。溶離液は1M塩化ナトリウム水溶液、流速0.5mL/分で、4mLずつ溶出液を分取した。得られた各溶出液画分に対して、比色法であるカルバゾール硫酸法にてウロン酸含量を分析した。得られたウロン酸含量ピークの溶出体積に対して、分子量標準物質としてデキストラン(平均分子量75,000、38,500;和光純薬工業(株)製、150,000、10,000;シグマアルドリッチ社製)を用いた検量線から分子量を求めた。その結果から、本実施例で製造した改変プロテオグリカンの分子量は12kDaと算出された。
実施例10に記載したとおり、原料の鮭由来プロテオグリカンの分子量は、1,400kDa以上であった。本実施例で製造したプロテオグリカン分解物と原料の鮭由来プロテオグリカンの分子量の比較より、本実施例で製造した改変プロテオグリカンは、原料の鮭由来プロテオグリカンが約120分の1の大きさに分解されたものであることがわかった。
上記実施例と同様に吸水・保水性を測定したところ、1日当たりの重量の増加量は、原料の鮭由来プロテオグリカン2.7g/日に対して、本実施例で製造した改変プロテオグリカンは7.6g/日であった。本実施例で製造した改変プロテオグリカンは、原料の鮭由来プロテオグリカンと比較して、約2.8倍の吸水・保水量があり、高保水性を有することが明らかとなった。
以上の結果から、プロトン型陽イオン交換樹脂での処理によって製造された改変プロテオグリカンは、高い保水性を有するものの、分解されており、そして粘度も下がっていることが明らかになった。なお、ナトリウム型陽イオン交換樹脂またはカリウム型陽イオン交換樹脂での処理によって製造された改変プロテオグリカンにおいては、そのような分解は観察されず、安定であった。
(改変プロテオグリカンの製造6)
原料となるプロテオグリカンを常法により鮫から調製した。市販の鮫軟骨粉末100gに対して、5%酢酸(関東化学(株)製)を1L加え、4℃で一晩撹拌した。遠心分離により固形分を除去し、溶液を得た。この溶液を分画分子量10万の限外ろ過膜(ミリポア社製)を装着した卓上循環式濃縮装置((株)トライテック製)に通し、加水しながら、分子量10万以上の成分を集めた。残っている低分子成分を除去するため、透析用セルロースチューブ(エーディア(株)製)に分子量10万以上の画分を入れ、4℃の低温室で、水に対して3日間透析した。外液の水は定期的に交換した。透析用セルロースチューブ内の溶液を凍結乾燥し、0.8gの鮫由来プロテオグリカンを得た。
プロトン型の強酸性陽イオン交換樹脂(内径2.5cm、高さ8.2cm、商品名:AG50W−X8 resin、バイオラッド社製)に、原料の鮫由来プロテオグリカン0.2gを脱イオン水20mLに溶解した溶液を、室温でカラム上方から添加・流下した。その後、樹脂に脱イオン水を100mL流下した。溶出液をウォーターバスで47℃に加温しながら、約10mLになるまで30分間減圧濃縮した後、凍結乾燥し、0.17gの改変プロテオグリカンを得た。
本実施例で製造した改変プロテオグリカンの相対粘度をオストワルド式で測定した。測定器具にはオストワルド相対粘度計No.1(柴田科学(株)製)を用い、溶媒は脱イオン水とし、本実施例で製造した改変プロテオグリカンの5mg/mL水溶液の粘度を26.5℃の水浴中で測定した。結果、本実施例で製造した改変プロテオグリカン5mg/mL水溶液の相対粘度は1.1であった。原料の鮫由来プロテオグリカン5mg/mL水溶液について同様の条件で測定したところ、相対粘度は1.6であった。
本実施例で製造した改変プロテオグリカンの分子量をゲルろ過法により測定した。ゲルろ過用樹脂はトヨパールHW55F(内径2.7cm、高さ116cm、東ソー(株)製)、ポンプはLKB・PumpP−1(ファルマシア社製)、フラクションコレクターはLKB・FRAC−100(ファルマシア社製)を用いた。本実施例で製造した改変プロテオグリカン10mgを1M塩化ナトリウム水溶液5mLに溶解し、カラム上方から添加した。溶離液は1M塩化ナトリウム水溶液、流速0.5mL/分で、4mLずつ溶出液を分取した。得られた各溶出液画分に対して、比色法であるカルバゾール硫酸法にてウロン酸含量を分析した。得られたウロン酸含量ピークの溶出体積に対して、分子量標準物質としてデキストラン(平均分子量75,000、38,500;和光純薬工業(株)製、150,000、10,000;シグマアルドリッチ社製)を用いた検量線から分子量を求めたその結果から、本実施例で製造したプロテオグリカン分解物の分子量は12kDaと算出された。
原料の鮫由来プロテオグリカンと、本実施例で製造した改変プロテオグリカンそれぞれ0.1gを、脱イオン水50mLに溶解し、透析用セルロースチューブ(外周9cm×長さ35cm、エーディア(株)製)に入れ、上下の口を封じ水中に浮遊させ、4℃の低温室で、水に対して透析した。水の交換は1週間に一度行った。吸水したセルロースチューブの重量を不定期に30日間測定し、あらかじめ測定した風袋重量を控除し、吸水・保水した量を求めた。その結果、1日当たりの重量の増加量は、原料の鮫由来プロテオグリカン1.9g/日に対して、本実施例で製造した改変プロテオグリカンは4.8g/日であった。本実施例で製造した改変プロテオグリカンは、原料の鮫由来プロテオグリカンと比較して、約2.5倍の吸水・保水量があり、高保水性を有することが明らかとなった。
以上の結果から、プロトン型陽イオン交換樹脂での処理によって製造された改変プロテオグリカンは、高い保水性を有するものの、分解されており、そして粘度も下がっていることが明らかになった。なお、ナトリウム型陽イオン交換樹脂またはカリウム型陽イオン交換樹脂での処理によって製造された改変プロテオグリカンにおいては、そのような分解は観察されず、安定であった。
(比較例1)
(塩酸との混合処理による改変プロテオグリカン)
原料のプロテオグリカンは、市販の鮭由来プロテオグリカン((株)角弘プロテオグリカン研究所)を購入して用いた。原料の鮭由来プロテオグリカン0.4gを脱イオン水160mLに溶解し、撹拌しながら、塩酸の終濃度が0.05Mになるように1M塩酸を8.4mL滴下した。4℃で3時間撹拌した後、反応液を透析用セルロースチューブ(エーディア(株)製)に入れ、外液を25mM塩酸にし、4℃で一晩透析した。その後、外液を脱イオン水に変え、3日間透析した。外液の脱イオン水は1日3回交換した。セルロースチューブ内液を回収し、ウォーターバスで47℃に加温しながら、約10mLになるまで30分間減圧濃縮した。濃縮液を凍結乾燥し、0.34gの改変プロテオグリカンを得た。
本比較例で製造した改変プロテオグリカンの分子量をゲルろ過法により測定した。ゲルろ過用樹脂はトヨパールHW55F(内径2.7cm、高さ116cm、東ソー(株)製)、ポンプはLKB・PumpP−1(ファルマシア社製)、フラクションコレクターはLKB・FRAC−100(ファルマシア社製)を用いた。本比較例で製造した改変プロテオグリカン10mgを1M塩化ナトリウム水溶液5mLに溶解し、カラム上方から添加した。溶離液は1M塩化ナトリウム水溶液、流速0.5mL/分で、4mLずつ溶出液を分取した。得られた各溶出液画分に対して、比色法であるカルバゾール硫酸法にてウロン酸含量を分析した。得られたウロン酸含量ピークの溶出体積に対して、分子量標準物質としてデキストラン(平均分子量75,000、38,500;和光純薬工業(株)製、150,000、10,000;シグマアルドリッチ社製)を用いた検量線から分子量を求めた。その結果から、本比較例で製造した改変プロテオグリカンの分子量は12kDaと算出された。
実施例10に記載したとおり、原料の鮭由来プロテオグリカンの分子量は、1,400kDa以上であった。本比較例で製造した改変プロテオグリカンと原料の鮭由来プロテオグリカンの分子量の比較より、本比較例で製造した改変プロテオグリカンは、原料の鮭由来プロテオグリカンが約120分の1の大きさに分解されたものであることがわかった。
(種々の改変プロテオグリカンの製造および性質)
上記の実施例により、原料のプロテオグリカンにおける二価カチオン(特に、カルシウム量)を減らすことによって、プロテオグリカンの保水性が向上することが明らかになったが、さらに詳細にプロテオグリカンの保水性向上の条件を検討するために、種々の改変プロテオグリカンを製造し、その性質を検討した。
原料のプロテオグリカンは、市販の鮭由来プロテオグリカン((株)角弘プロテオグリカン研究所)を購入し、用いた。この原料のプロテオグリカンは、4.4重量%のカルシウムおよび0.2重量%のマグネシウムを含み、サンプル1g当たりの二価カチオンを1.18mmol/g含んでいた。タンパク質含量は6.5重量%であり、中性糖含量は4.0重量%、コンドロイチン硫酸含量は80.8重量%だった。分子量は(1.304±0.171)×10であった。
このプロテオグリカンの400mg/30mL溶液を、ナトリウム型、カリウム型、プロトン型、カルシウム型、マグネシウム型の強酸性陽イオン交換樹脂(AG 50W−X8;バイオラッド)に、室温で添加・流下した。その後、樹脂に脱イオン水を150mL流下し、得られた溶出液約170mLをエバポレーター(東京理科器械(株))にて濃縮した後、凍結乾燥し、325〜383mgの白色綿状固体である改変プロテオグリカンを得た。以下、ナトリウム型陽イオン交換樹脂を用いて改変した改変プロテオグリカンをNa−PGと、カリウム型陽イオン交換樹脂を用いて改変した改変プロテオグリカンをK−PGと、カルシウム型陽イオン交換樹脂を用いて改変した改変プロテオグリカンをCa−PGと、プロトン型陽イオン交換樹脂を用いて改変した改変プロテオグリカンをH−PGと、マグネシウム型陽イオン交換樹脂を用いて改変した改変プロテオグリカンをMg−PGと、それぞれ称する。
また、プロテオグリカンを塩酸と混合して撹拌し、カルシウム含量が0.5重量%(Ca減少PG1と称する。)および2.4重量%(Ca減少PG2と称する。)となったカルシウム減少プロテオグリカンも製造した。なお、陽イオン交換樹脂を用いないこのような方法では、二価カチオンを完全に除去するための条件を見出すためには、塩酸処理等の条件について試行錯誤が必要である。さらに、このような陽イオン交換樹脂を用いない方法では、一般的にプロテオグリカンが分解しやすい傾向にあるため、二価カチオンの完全な除去とプロテオグリカンの分解の防止とのバランスを取る条件についても試行錯誤の必要がある。それに対して、陽イオン交換樹脂(特に、ナトリウム型陽イオン交換樹脂またはカリウム型陽イオン交換樹脂)を用いた場合には、プロテオグリカンの分解を防ぎつつ二価カチオンのほぼ完全な除去が達成された。
各種改変プロテオグリカンの保水性は上記実施例と同様に測定した。
以下に、原料のプロテオグリカン(表中「非改変」と称する。)および各種改変プロテオグリカンのカルシウム量、マグネシウム量、二価カチオン量、保水性、H−PGを1としたときの保水性の比率を表にまとめる。

この原料のプロテオグリカンについて二価カチオン量の飽和値を求めた。ここでは、元素分析による硫黄原子を測定により硫酸エステル基を測定して硫酸基の量を測定し、カルバゾール硫酸法等でカルボキシル量を測定した。なお、飽和値を求めるに当たり、予備実験を行ったところ、PG中の糖鎖由来(硫酸エステル基由来)の硫黄原子の量は、タンパク質由来の硫黄原子の量の約70倍という計算結果となった。よって、本実施例では、元素分析によって得られる硫黄原子の量を、糖鎖由来(硫酸エステル基由来)の硫黄原子の量として表すことを前提に測定を行った。カルボキシル基はウロン酸由来であり、ウロン酸量から算出した。
本サンプルの飽和値について具体的に特定したところ、元素分析装置(全自動元素分析装置 vario EL CUBE、elementar社製)で測定した結果、硫黄原子は4.67重量%、硫酸エステル基に換算すると14.1重量%(=1.45mmol/g)含まれることが分かった。また、カルバゾール硫酸法によりウロン酸を定量した結果、33.3重量%(グルクロン酸換算)となり、カルボキシ基に換算すると7.7重量%(=1.71mmol/g)であることが分かった。二価カチオンは、硫酸エステル基とウロン酸に結合するにはそれぞれモル換算で2倍要することから、飽和値は、
(1.45+1.71)/2=1.58mmol/g
であると算出された。したがって、Ca−PGおよびMg−PGについてはほぼ飽和値に近い値にまで二価カチオンが付加されていることが分かった。
表1に示されるように、二価カチオン量の減少と保水性の増加とに相関性が観察された。より具体的には、原料のプロテオグリカンと比較してカルシウム量が増加したCa−PGと、マグネシウム量が増加したMg−PGとは、いずれも原料と比較して保水性が悪化していた。Ca−減少PG1およびCa−減少PG2については保水性の向上は観察されたが、不十分であった。他方で、原料のプロテオグリカンと比較して二価カチオン量が減少したNa−PG、K−PG、H−PGはいずれも顕著に保水性が向上していた。
Ca減少PG以外の改変プロテオグリカンと、原料のプロテオグリカンの保水性を図6にまとめた。原料の非改変のプロテオグリカンに対して、Na−PG、K−PGおよびH−PGはいずれも2.8倍ほどの保水性の増加を示した。
(改変プロテオグリカンを含む化粧品の製造)
実施例1の改変プロテオグリカンを含む美容液を試作した。実施例1の改変プロテオグリカン6mg(水分含量13重量%)とビタミンC250mg、グリセリン10mLを蒸留水40mLに溶解し、ガラス瓶に入れ、完成である。得られた美容液は、無色透明、清澄であり、肌に塗布したとき、べたつき感がなくさらさらしているが、しっとり感が感じられるものであった。
次に、実施例1の改変プロテオグリカンを含むクリ−ムを試作した。実施例1の改変プロテオグリカン5mg(水分含量13重量%)を水12mLに溶解し、オリ−ブオイル10mL、乳化ワックス3gを混合し、広口のプラスチックの瓶に入れた。また、プロテオグリカンを含まないクリームを同様に試作した。水12mLにオリ−ブオイル10mL、乳化ワックス3gを混合し同様に試作した。結果、両者のクリ−ムを肌に塗布したとき、プロテオグリカンを含むクリームは、含まないクリームよりしっとり感が感じられるものであった。
本発明の改変プロテオグリカンは、化粧品、健康食品、栄養補助食品または医薬に有用であり、保水性が高いため特に化粧品に有用である。

Claims (19)

  1. 二価カチオン量が飽和値の約5%以下である改変プロテオグリカン。
  2. 乾燥重量で約1重量%以下の二価カチオンを含む、改変プロテオグリカン。
  3. 乾燥重量で約0.08mmol/g以下の二価カチオンを含む、改変プロテオグリカン。
  4. 前記二価カチオンがカルシウムである、請求項1〜3のいずれかに記載の改変プロテオグリカン。
  5. 乾燥重量で約5重量%以上のアルカリ金属イオンを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の改変プロテオグリカン。
  6. 前記アルカリ金属イオンがナトリウムまたはカリウムを含む、請求項5に記載の改変プロテオグリカン。
  7. ウロン酸含量が約34〜41重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の改変プロテオグリカン。
  8. タンパク質含量が約4〜7重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の改変プロテオグリカン。
  9. 改変プロテオグリカンの製造方法であって、
    プロテオグリカンを二価カチオン捕捉樹脂によって処理する工程
    を包含する、製造方法。
  10. 前記二価カチオン捕捉樹脂が陽イオン交換樹脂またはキレート樹脂である、請求項9に記載の製造方法。
  11. 前記二価カチオン捕捉樹脂が強酸性陽イオン交換樹脂である、請求項9に記載の製造方法。
  12. 前記プロテオグリカンにおける90%以上の二価カチオンが交換される条件下で前記処理を行う、請求項9に記載の製造方法。
  13. 前記二価カチオンがカルシウムイオンである、請求項9に記載の製造方法。
  14. 前記陽イオン交換樹脂がアルカリ金属イオン型である、請求項10に記載の製造方法。
  15. 前記アルカリ金属イオンが、ナトリウムイオンである、請求項14に記載の製造方法。
  16. 前記アルカリ金属イオンが、カリウムイオンである、請求項14に記載の製造方法。
  17. 前記改変プロテオグリカンのウロン酸含量が前記プロテオグリカンのウロン酸含量の約90〜約125%となる条件下で前記処理を行う、請求項9に記載の製造方法。
  18. 前記改変プロテオグリカンのタンパク質含量が前記プロテオグリカンのタンパク質含量の約70〜約115%となる条件下で前記処理を行う、請求項9に記載の製造方法。
  19. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の改変プロテオグリカン、または請求項9〜18のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された改変プロテオグリカンを含む、化粧品。
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