JP6757016B2 - 多硫酸化プロテオグリカン - Google Patents

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Description

本発明は、化粧料や日用品、医薬品などで使用される、保水性が改善されたプロテオグリカンに関するものである。
肌や髪を健康的に美しく保つために、潤いを与えるなどの手入れが必要である。そのため、スキンケア製品や化粧料、整髪料には保水性を有する物質を含んでいるものが多い。関節機能改善剤や点眼剤などの医薬品にも保水性を有する物質が使用されており、保水性そのものや、保水力に裏打ちされた弾力性を活かした製品が数多く生み出されている。保水性を有する物質として、グリセリンやセラミドなどの低分子化合物からヒアルロン酸やコラーゲンなどの高分子化合物などが挙げられる。近年、新たな保水性物質としてプロテオグリカンが注目されてきている。
プロテオグリカンは、プロテオグリカン単独もしくは、キトサンやコラーゲン、ヒアルロン酸などと併用し、わた体に付着させて使用すること(特許文献1)、美容液や化粧品において、プロテオグリカンの保水能力を補う目的で10重量%以上のコラーゲンと併用すること(特許文献2)が行われている。しかし、特許文献1の方法では、わた体に付着させてもプロテオグリカン自体の保水能力は変わらない。特許文献2の方法では、保水能力を補うにはコラーゲンと併用しなければならないという煩わしさが生じる。また、特許文献1や特許文献2の方法においてコラーゲンを利用する場合、コラーゲンは元々水に不溶であるため、透明または清澄な製品とするには困難である。
特開2002−255726号 公報 特開平6−166616号 公報
上記課題を鑑み、本発明は、コラーゲンなどの他物質との併用をすることなく、保水性が改善されたプロテオグリカンを提供することを目的とする。
上記課題を達成するために、本発明の一つの態様は、カルバゾール硫酸法によるウロン酸含量が22〜33重量%であり、かつローリー法によるタンパク質含量が1〜4重量%であり、かつ硫酸基含量が22〜39重量%である多硫酸化プロテオグリカンであることを要旨とする。
本発明の他の態様は、KBrディスク透過法により測定した赤外吸収スペクトルにおいて、波数1640±10cm −1 、1560±10cm −1 、1240±10cm −1 、1030±10cm −1 、1000±10cm −1 すべてに吸収ピークを有し、かつ1640±10cm −1 の吸収ピークに対する1240±10cm −1 吸収ピークの吸収ピーク強度比が、1.00〜1.25である多硫酸化プロテオグリカンであることを要旨とする。
本発明により、コラーゲンなどの他物質との併用をすることなく、保水性が改善されたプロテオグリカンが提供される。
本発明の、実施例1の多硫酸化プロテオグリカンの保水性の測定1に係り、比較例のプロテオグリカンの保水能を表す図である。 実施例1の多硫酸化プロテオグリカンの保水性の測定1に係り、実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンの保水能と、比較例のプロテオグリカンの保水能とを比較する図である。 実施例1の多硫酸化プロテオグリカンの分析1に係り、実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンのKBrディスク透過法により測定した赤外吸収スペクトルを表す図である。 実施例1の多硫酸化プロテオグリカンの分析1に係り、比較例のプロテオグリカンのKBrディスク透過法により測定した赤外吸収スペクトルを表す図である。 実施例2の多硫酸化プロテオグリカンの保水性の測定2に係り、実施例2に係る多硫酸化プロテオグリカンの保水能と、比較例のプロテオグリカンの保水能とを比較する図である。 実施例2の多硫酸化プロテオグリカンの分析2に係り、実施例2に係る多硫酸化プロテオグリカンのKBrディスク透過法により測定した赤外吸収スペクトルを表す図である。 実施例3の多硫酸化プロテオグリカンの保水性の測定3に係り、実施例3に係る多硫酸化プロテオグリカンの保水能と、比較例のプロテオグリカンの保水能とを比較する図である。 実施例3の多硫酸化プロテオグリカンの分析3に係り、実施例3に係る多硫酸化プロテオグリカンのKBrディスク透過法により測定した赤外吸収スペクトルを表す図である。 実施例4の多硫酸化プロテオグリカンの保水性の測定4に係り、実施例4に係る多硫酸化プロテオグリカンの保水能と、比較例のプロテオグリカンの保水能とを比較する図である。 実施例4の多硫酸化プロテオグリカンの分析4に係り、実施例4に係る多硫酸化プロテオグリカンのKBrディスク透過法により測定した赤外吸収スペクトルを表す図である。 実施例5の多硫酸化プロテオグリカンの保水性の測定5に係り、実施例5に係る多硫酸化プロテオグリカンの保水能と、比較例のプロテオグリカンの保水能とを比較する図である。 実施例5の多硫酸化プロテオグリカンの分析5に係り、実施例5に係る多硫酸化プロテオグリカンのKBrディスク透過法により測定した赤外吸収スペクトルを表す図である。
以下、実施の形態をより具体的に説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
(定義:硫酸化)
本明細書において、「硫酸化」とは、ヒドロキシ基に対して、硫酸イオンをエステル結合させ、硫酸基を導入させることである。
(定義:多硫酸化)
本明細書において、「多硫酸化」とは、原料となる有機物質に硫酸化を行い、原料となる有機物質に含まれている硫酸基の量より多くの硫酸基を導入することである。
(定義:吸収ピーク強度比)
本明細書において、赤外吸収スペクトルにおける「吸収ピーク強度比」を以下のように定義する。はじめに「吸収ピーク強度」とは、特に断りがない限り、赤外吸収スペクトルの縦軸を透過率(%)、横軸を波数(cm −1 )とした場合に谷で表されるピークにおいて、「100−透過率(%)」で表される値(単位:%)のことである。「吸収ピーク強度比」とは、任意の2つの吸収ピークの「吸収ピーク強度」の相対比を表す。例えば、本明細書において、「吸収ピークAに対する吸収ピークBの吸収ピーク強度比」とは、吸収ピークBの吸収ピーク強度を吸収ピークAの吸収ピーク強度で割ることで得られる値である。
本発明の実施の形態に係る多硫酸化プロテオグリカンの原料となるプロテオグリカンは、動物や魚類に存在するグリコサミノグリカンとタンパク質の共有結合物からなる分子量数十万から数百万の天然高分子化合物である。起源となる生物や抽出・製造条件により、分子量や含まれるアミノ酸や糖(中性糖、ウロン酸、アミノ糖など)の種類や量、比率も異なっているが、本発明の実施の形態に係る多硫酸化プロテオグリカンの原料となるプロテオグリカンは、起源となる生物や抽出・製造条件を問わない。
本発明の実施の形態に係る多硫酸化プロテオグリカンは、原料となるプロテオグリカンを有機溶媒に可溶な状態にした後、硫酸化反応をさせて製造することができる。原料となるプロテオグリカンは、その種類や有機溶媒の種類によるが、有機溶媒に不溶あるいは難溶である場合が多い。その場合は、硫酸化反応は有機溶媒中で行う必要があるため、原料となるプロテオグリカンを、硫酸化反応に使用する有機溶媒に可溶な状態にする必要がある。
原料となるプロテオグリカンを有機溶媒に可溶な状態にする方法の一例として、原料となるプロテオグリカンを溶解した水溶液を、プロトン型に活性化させた陽イオン交換樹脂にて処理した後に、有機塩基を接触させる方法がある。陽イオン交換樹脂をプロトン型に活性化させるには、無機酸や有機酸などの酸を用いる。原料となるプロテオグリカンを溶解した水溶液をプロトン型の陽イオン交換樹脂に接触させた後は、樹脂を水で洗浄し、樹脂に付着したプロテオグリカンを回収する。得られた水溶液に接触させる有機塩基には、ピリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなど、構造中に窒素原子を含むものが主に挙げられるが、有機溶媒に可溶な状態にできるならばこの限りではない。有機塩基を接触させた後の水溶液から水分を除去する。水分除去方法は、噴霧乾燥や凍結乾燥、アルコールやアセトンなどの有機溶剤により沈殿、風乾するなど、水分を除去できるのであればいずれでもよい。
原料となるプロテオグリカンを有機溶媒に可溶な状態にする別の方法として、有機塩基が水溶性の場合、任意の割合で有機塩基を混合した水溶液を、原料となるプロテオグリカンに接触させる方法がある。接触の後は、透析や限外ろ過膜などの通常の化学的手法により過剰の有機塩基を除去し、上記と同様に水分除去を行うと、有機溶媒に可溶なプロテオグリカンが得られる。
有機溶媒に可溶なプロテオグリカンを用いて、各種硫酸化試薬により硫酸化反応を行うことで、本発明の実施の形態に係る多硫酸化プロテオグリカンが得られる。硫酸化試薬には、硫酸化試薬や濃硫酸などを使用することができる。硫酸化試薬の一例として、三酸化硫黄−ピリジン錯体、三酸化硫黄−トリエチルアミン錯体、三酸化硫黄−ジメチルホルムアミド錯体などが挙げられる。反応に用いる有機溶媒の一例として、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。硫酸化試薬や有機溶媒はそれぞれ、複数種類を混合して用いることも可能である。有機溶媒は可能な限り予備乾燥され、水分や不純物が少ないものが、反応効率の点で好ましい。反応温度は概ね20〜60℃程度、反応時間は概ね1時間以上必要である。硫酸化試薬は、そのまま反応液に添加する方法でもよいし、はじめに有機溶媒に溶解させ、その溶解液を反応液に滴下する方法でもよい。
任意の反応時間後、少量の水を添加することで硫酸化反応を止め、塩基による中和工程や、エタノール沈殿や透析などによる精製工程を経て、本発明の実施の形態に係る多硫酸化プロテオグリカンが得られる。
本発明の実施の形態に係る多硫酸化プロテオグリカンは、カルバゾール硫酸法によるウロン酸含量が22〜33重量%であり、かつローリー法によるタンパク質含量が1〜4重量%であり、かつ硫酸基含量が22〜39重量%である多硫酸化プロテオグリカンである。プロテオグリカンに硫酸基が導入されると、単位重量当たりの硫酸基含量は増大するが、一方でウロン酸含量やタンパク質含量は相対的に減少する。
本発明のカルバゾール硫酸法は、ウロン酸の呈色反応を利用した定量法である。プロテオグリカンは、タンパク質と糖鎖が共有結合していることを特徴とする化合物であり、プロテオグリカン糖鎖の主成分のひとつがウロン酸である。サンプル水溶液にカルバゾール溶液と濃硫酸を添加すると、サンプル水溶液にウロン酸が含まれていれば赤紫色に呈色する。呈色度合はウロン酸含量に比例する。呈色液の吸光度を分光光度計で測定し、標準物質の検量線からウロン酸含量を算出する。
本発明のローリー法は、タンパク質の呈色反応を利用した定量法である。サンプル水溶液をアルカリ性銅溶液とフェノール試薬で処理すると、サンプル水溶液にタンパク質が含まれていれば青色に呈色する。呈色度合はタンパク質含量に比例する。呈色液の吸光度を分光光度計で測定し、標準物質の検量線からタンパク質含量を算出する。
硫酸基含量の測定法は、元素分析あるいはロジゾン酸法などの比色法など、硫酸基が定量できる方法であればいずれでもよい。元素分析の場合は、分析の結果得られた硫黄含量を基に硫酸基含量を算出する。プロテオグリカンにおいて、硫黄原子は糖鎖中の硫酸基とタンパク質中のアミノ酸に含まれる。プロテオグリカンのタンパク質中のアミノ酸の硫黄量は、プロテオグリカンの糖鎖中の硫酸基の硫黄量に比べて極めて少ない。よって、本明細書においては、元素分析で測定された硫黄含量を、糖鎖の硫酸基由来の硫黄含量として表す。硫黄含量を測定する元素分析については、硫黄含量を測定できる手法であればいずれでもよい。
本発明の他の態様に係る多硫酸化プロテオグリカンは、KBrディスク透過法により測定した赤外吸収スペクトルにおいて、波数1640±10cm −1 、1560±10cm −1 、1240±10cm −1 、1030±10cm −1 1000±10cm −1 すべてに吸収ピークを有し、かつ1640±10cm −1 の吸収ピークに対する1240±10cm −1 の吸収ピークの吸収ピーク強度比が、1.00〜1.25である多硫酸化プロテオグリカンである。
プロテオグリカンの赤外吸収スペクトルのうち、波数2000〜1000cm −1 に表れる複数の吸収ピークは、主に糖鎖中の官能基である、硫酸基やカルボキシ基、アミドなどに由来する吸収ピークで構成されていると考えられる。各官能基に由来するピークは複数あり、さらに互いに重なり合っているため、各ピークを各官能基へ帰属させることは困難だが、硫酸基の吸収ピークは概ね1440〜1350cm −1 付近と1230〜1150cm −1 付近の2か所に表れることが知られている。本発明の硫酸化反応においては、理論的には原料となるプロテオグリカンのカルボキシ基やアミドには影響を及ぼさず、ヒドロキシ基に硫酸基が新たに導入され、硫酸基由来の赤外吸収スペクトルの吸収ピークの吸収ピーク強度が変化する。硫酸基由来と考えられる吸収ピークのうち、1240±10cm −1 の吸収ピークについて、主にカルボキシ基由来と考えられる1640±10cm −1 の吸収ピークとの吸収ピーク強度比を、本明細書における硫酸基量の指標として用いる。
本発明の実施の形態に係る多硫酸化プロテオグリカンは、原料となるプロテオグリカンより高い保水性を有する。原料となるプロテオグリカンと比較し、本発明の実施の形態に係る多硫酸化プロテオグリカンは約2倍以上の保水性を有し、コラーゲンなどの他物質との併用をすることなく、単独で保水性向上を達成できる。
本発明の実施の形態に係る多硫酸化プロテオグリカンは、単独で使用してもよいし、他の物質と併用してもよい。また、使用する形態も問わず、固体の状態で使用してもよいが、溶液の状態で使用してもよい。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これは単に例示の目的で述べるものであり、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(多硫酸化プロテオグリカンの製造1−1:プロテオグリカンピリジニウム塩の調製)
原料となるプロテオグリカンは、市販の鮭由来プロテオグリカン((株)角弘プロテオグリカン研究所)を購入し、比較例として用いた(以降、「比較例のプロテオグリカン」と略記する)。強酸性陽イオン交換樹脂(商品名:ダイヤイオンSK1B(三菱化学(株)))をガラス製カラムに充填し(内径4.5cm、高さ5cm)、1M塩酸60mLと脱イオン水200mLを順次流下して樹脂をプロトン型に活性化した後、比較例のプロテオグリカン0.500gを脱イオン水10mLに溶解した溶液を、室温でカラム上方から添加・流下した。その後、樹脂に脱イオン水を約50mL流下し、溶出液約60mLを得た。溶出液のpHを卓上pHメータ(F−55、(株)堀場製作所製)で測定したところ、2.1であった。pHを測定しながら、ピリジン(試薬特級、関東化学(株))を滴下し、溶出液のpHを6.6とした。中和後の溶液を回収し、凍結乾燥し、0.536gの白色綿状固体であるプロテオグリカンピリジニウム塩を得た。以降の実施例で用いるプロテオグリカンピリジニウム塩は、すべて本実施例と同じ方法で得たものである。
(多硫酸化プロテオグリカンの製造1−2:硫酸化反応)
本実施例に係るプロテオグリカンピリジニウム塩0.300gとジメチルスルホキシド(特級、関東化学(株))18mLをふた付バイアル瓶に入れ、続いて三酸化硫黄ピリジン錯体(純度98%、シグマアルドリッチ社)1.445gを添加し、プロテオグリカンピリジニウム塩と三酸化硫黄ピリジン錯体をジメチルスルホキシドに溶解させた。バイアル瓶のふたを閉め、溶液が入ったバイアル瓶を40℃の恒温水層に入れた。5時間後にバイアル瓶を恒温水層から取り出し、溶液全量をプラスチック製遠沈管に移した。遠沈管にエタノール300mLを加え、高速冷却遠心機(himac CR 22G3、日立工機(株)製)を用い、5,000rpmで20分間、室温で遠心分離を行った。遠心分離処理後、上澄みを除去し、得られた沈殿に脱イオン水約120mLを加え、溶解させた。溶解液のpHを卓上pHメータ(F−55、(株)堀場製作所製)により測定したところ、2.8であった。溶解液を水酸化ナトリウム水溶液で中和した。中和後の溶液全量を透析用セルロースチューブ(エーディア(株))に入れ、チューブの両端をクリップ留めし、脱イオン水を外液にして透析した。外液は1日に3回交換した。3日後、透析用セルロースチューブ内液を回収し、エバポレーターで溶液が約10mLになるまで濃縮した。濃縮後の溶液を凍結乾燥し、0.426gの白色綿状固体である多硫酸化プロテオグリカンを得た。
(多硫酸化プロテオグリカンの保水性の測定1)
実施例1で用いた比較例のプロテオグリカン0.30g、0.20g、0.10gをそれぞれ脱イオン水100mLに溶解し、比較例のプロテオグリカンの0.30w/v%、0.20w/v%、0.10w/v%水溶液を得た。この比較例のプロテオグリカン水溶液100mLずつをそれぞれ、透析用セルロースチューブ(外周9cm×長さ35cm、エーディア(株))に入れ、チューブの両端をクリップ留めし、脱イオン水を外液にして浮遊させ、4℃の低温室で透析した。外液の交換は1週間に一度行った。吸水した透析用セルロースチューブの重量を不定期に30日間測定し、あらかじめ測定した透析用セルロースチューブ風袋重量を控除し、吸水・保水した重量を求めた。
図1は、比較例のプロテオグリカンの保水性を測定した結果を示すものである。グラフの横軸は経過日数(日)を示し、縦軸は風袋重量を控除した透析用セルロースチューブ内液の重量(g)を示す。図1中の×印は比較例のプロテオグリカンの0.30w/v%水溶液の重量変化を、黒塗りの四角は比較例のプロテオグリカンの0.20w/v%水溶液の重量変化を、黒塗りの三角は比較例のプロテオグリカンの0.10w/v%水溶液の重量変化を示す。いずれの濃度でも吸水・保水量は経過日数にほぼ比例して増えること、また、濃度が0.10w/v%、0.20w/v%、0.30w/v%と高くなるほど吸水・保水量が多くなることが明らかとなった。
比較例のプロテオグリカンと、実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンそれぞれ0.20gを、脱イオン水100mLに溶解し、比較例のプロテオグリカンの0.20w/v%水溶液、実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液を得た。これらの水溶液100mLずつをそれぞれ、透析用セルロースチューブ(外周9cm×長さ35cm、エーディア(株))に入れ、チューブの両端をクリップ留めし、脱イオン水を外液にして浮遊させ、4℃の低温室で透析した。外液の交換は1週間に一度行った。吸水した透析用セルロースチューブの重量を不定期に30日間測定し、あらかじめ測定した透析用セルロースチューブ風袋重量を控除し、吸水・保水した重量を求めた。
図2は、比較例のプロテオグリカンと、実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンの保水性を測定した結果を示すものである。グラフの横軸は経過日数(日)を示し、縦軸は風袋重量を控除した透析用セルロースチューブ内液の重量(g)を示す。図2中の白抜きのひし形は実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液の重量変化を、黒塗りの四角は比較例のプロテオグリカンの0.20w/v%水溶液の重量変化を示す。30日間の測定結果を平均すると、1日当たりの重量の増加量は、比較例のプロテオグリカン2.7g/日に対して、実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンは10.7g/日であった。比較例のプロテオグリカンと比較して、実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンは約4.0倍の吸水・保水量があり、高保水性を有することが明らかとなった。
(多硫酸化プロテオグリカンの分析1)
実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンのウロン酸含量をカルバゾール硫酸法で求めた。実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンの200μg/mL水溶液0.25mLに、カルバゾール溶液50μLと濃硫酸1.5mLを添加してよく撹拌し、20分間100℃で加熱した。放冷後、分光光度計(U−3410、(株)日立製作所製)で535nmの吸光度を測定した。グルクロン酸(シグマ社)を標準物質として作成した検量線より、実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンのウロン酸含量は22.4重量%と算出された。
実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンのタンパク質含量をローリー法で求めた。実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンの1.0mg/mL水溶液0.2mLに、アルカリ性銅溶液(2%炭酸ナトリウム(0.1M水酸化ナトリウム水溶液):0.5%硫酸銅(1%酒石酸ナトリウム水溶液)=50:1(v:v))1.0mLを添加して10分間静置し、2倍希釈のフォーリン&チオカルト−フェノール試薬(MPバイオメディカルズ社)0.1mLを添加して30分静置し、分光光度計(U−3410、(株)日立製作所製)で750nmの吸光度を測定した。牛血清アルブミン(アクロス社)を標準物質として作成した検量線より、実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンのタンパク質含量は2.3重量%と算出された。
比較例のプロテオグリカンのウロン酸含量およびタンパク質含量を、同様の方法で測定したところ、ウロン酸含量は34.6重量%、タンパク質含量は6.5重量%であった。
実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンの水分含量を、熱天秤装置(Thermo Plus TG8210、(株)リガク製)にて、125℃で試料重量が恒量となるまで加熱し、重量減少分を試料に含まれていた水分とした。その結果、実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンの水分含量は14重量%であった。同様に、比較例のプロテオグリカンの水分含量について分析したところ、17重量%であった。
実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンの相対粘度を、オストワルド相対粘度計(粘度計No.1、毛細管内径0.5mm、柴田科学(株)製)で、脱イオン水の粘度を基準として測定した。実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカン25.0mgを5mLの脱イオン水に溶解し、この水溶液5mLをオストワルド相対粘度計に移し、粘度を測定した。実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンの水分含量は14重量%なので、乾燥重量当たりで換算すると、21.5mg/5mL水溶液となり、濃度は0.43w/v%となる。水温26.5℃の水槽中で脱イオン水の粘度を1.0としたとき、実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンの相対粘度は1.1であった。比較例のプロテオグリカンについて同一の相対粘度計を用いて分析した。比較例のプロテオグリカン25.9mgを5mLの脱イオン水に溶解し、この水溶液5mLをオストワルド相対粘度計に移し、粘度を測定した。比較例のプロテオグリカンの水分含量は17重量%なので、乾燥重量当たりで換算すると、21.5mg/5mL水溶液となり、濃度は0.43w/v%となる。水温26.5℃の水槽中で脱イオン水の粘度を1.0としたとき、比較例のプロテオグリカンの相対粘度は4.2であった。
実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンの硫酸基含量を、燃焼型元素分析装置vario EL cube(エレメンタール社製)を用い、炭素・水素・窒素・硫黄の4元素測定モードで測定した結果より算出した。実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンの硫黄含量は12.68重量%であり、硫酸基含量は38.04重量%と算出された。同様の測定法で比較例のプロテオグリカンを測定したところ、硫黄含量は4.51重量%であり、硫酸基含量は13.53重量%と算出された。
実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンの炭素含量を、燃焼型元素分析装置vario EL cube(エレメンタール社製)を用い、炭素・水素・窒素・硫黄の4元素測定モードで測定した結果より算出した。実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンの炭素含量は20.83重量%であり、炭素含量に対する硫黄含量の重量比は0.6087であった。同様の測定法で比較例のプロテオグリカンの炭素含量を測定したところ、炭素含量は30.85重量%であり、炭素含量に対する硫黄含量の重量比は0.1462であった。硫酸化反応の前後で、プロテオグリカンの基本骨格を成す炭素原子の量は不変であるため、炭素含量に対する硫黄含量の重量比を比較することで、硫酸基の導入度合を算出することができる。炭素含量に対する硫黄含量の重量比の相対比より、実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンは、比較例のプロテオグリカンの約4.2倍に硫酸基が増えたことが分かった。
実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンの赤外吸収スペクトルを、KBrディスク透過法で測定した。赤外吸収スペクトルは、フーリエ変換赤外分光光度計(FT/IR−420、日本分光(株)製)を用いて、測定範囲4000〜400cm −1 、分解能4cm −1 、積算回数54、スキャンスピード2mm/秒の条件で測定した。図3は実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンの赤外吸収スペクトルである。図3のグラフの横軸は波数(cm −1 )を表し、縦軸は透過率(%)を表す。図3のグラフにおいて、谷となっている部分が吸収ピークである。図3のグラフより、実施例1に係る多硫酸化プロテオグリカンは、1638cm −1 (ピーク番号1)、1561cm −1 (ピーク番号2)、1240cm −1 (ピーク番号5)、1026cm −1 (ピーク番号8)、999cm −1 (ピーク番号9)に吸収ピークを有することが分かった。また、1638cm −1 の吸収ピークの透過率は61.6538(%)であり、1240cm −1 の吸収ピークの透過率は57.7929(%)であることから、吸収ピーク強度は、1638cm −1 の吸収ピークは38.3462(%)、1240cm −1 の吸収ピークは42.2071(%)と算出された。1638cm −1 の吸収ピークに対する1240cm −1 の吸収ピークの吸収ピーク強度比は、1.10と算出された。図3中の吸収ピーク1〜11の波数については、1は1638cm −1 、2は1561cm −1 、3は1420cm −1 、4は1378cm −1 、5は1240cm −1 、6は1127cm −1 、7は1056cm −1 、8は1026cm −1 、9は999cm −1 10は820cm −1 、11は592cm −1 であった。
同様に、比較例のプロテオグリカンについても赤外吸収スペクトルを、積算回数64で測定した。図4は比較例のプロテオグリカンの赤外吸収スペクトルである。図4のグラフの横軸は波数(cm −1 )を表し、縦軸は透過率(%)を表す。図4のグラフにおいて、谷となっている部分が吸収ピークである。図4のグラフより、比較例に係るプロテオグリカンは、1642cm −1 (ピーク番号1)および1233cm −1 (ピーク番号5)に吸収ピークを有するが、1560±10cm −1 、1030±10cm −1 、1000±10cm −1 に吸収ピークを有しないことが分かった。また、1642cm −1 の吸収ピークの透過率は53.7760(%)であり、1233cm −1 の吸収ピークの透過率は68.7426(%)であることから、吸収ピーク強度は、1642cm −1 の吸収ピークは46.2240(%)、1233cm −1 の吸収ピークは31.2574(%)と算出された。1642cm −1 の吸収ピークに対する1233cm −1 の吸収ピークの吸収ピーク強度比は、0.68と算出された。図4中の吸収ピーク1および3〜7、10、11の波数については、1は1642cm −1 、3は1422cm −1 、4は1378cm −1 、5は1233cm −1 、6は1130cm −1 、7は1067cm −1 、10は823cm −1 、11は589cm −1 であった。
(多硫酸化プロテオグリカンの製造2)
実施例1に係るプロテオグリカンピリジニウム塩0.300gとジメチルスルホキシド(特級、関東化学(株))18mLをふた付バイアル瓶に入れ、続いて三酸化硫黄ピリジン錯体(純度98%、シグマアルドリッチ社)1.445gを添加し、プロテオグリカンピリジニウム塩と三酸化硫黄ピリジン錯体をジメチルスルホキシドに溶解させた。バイアル瓶のふたを閉め、溶液が入ったバイアル瓶を40℃の恒温水層に入れた。1時間後にバイアル瓶を恒温水層から取り出し、溶液全量をプラスチック製遠沈管に移した。遠沈管にエタノール300mLを加え、高速冷却遠心機(himac CR 22G3、日立工機(株)製)を用い、5,000rpmで20分間、室温で遠心分離を行った。遠心分離処理後、上澄みを除去し、得られた沈殿に脱イオン水約150mLを加え、溶解させた。溶解液のpHを卓上pHメータ(F−55、(株)堀場製作所製)により測定したところ、3.0であった。溶解液を水酸化ナトリウム水溶液で中和した。中和後の溶液全量を透析用セルロースチューブ(エーディア(株))に入れ、チューブの両端をクリップ留めし、脱イオン水を外液にして透析した。外液は1日に3回交換した。3日後、透析用セルロースチューブ内液を回収し、エバポレーターで溶液が約10mLになるまで濃縮した。濃縮後の溶液を凍結乾燥し、0.411gの白色綿状固体である多硫酸化プロテオグリカンを得た。
(多硫酸化プロテオグリカンの保水性の測定2)
比較例のプロテオグリカンと実施例2に係る多硫酸化プロテオグリカンの保水性を、実施例1と同様に測定した。図5は、比較例のプロテオグリカンと、実施例2に係る多硫酸化プロテオグリカンの保水性を測定した結果を示すものである。グラフの横軸は経過日数(日)を示し、縦軸は風袋重量を控除した透析用セルロースチューブ内液の重量(g)を示す。図5中の白抜きのひし形は実施例2に係る多硫酸化プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液の重量変化を、黒塗りの四角は比較例のプロテオグリカンの0.20w/v%水溶液の重量変化を示す。30日間の測定結果を平均すると、1日当たりの重量の増加量は、比較例のプロテオグリカン2.7g/日に対して、実施例2に係る多硫酸化プロテオグリカンは8.9g/日であった。比較例のプロテオグリカンと比較して、実施例2に係る多硫酸化プロテオグリカンは約3.3倍の吸水・保水量があり、高保水性を有することが明らかとなった。
(多硫酸化プロテオグリカンの分析2)
実施例2に係る多硫酸化プロテオグリカンのウロン酸含量およびタンパク質含量を、実施例1と同様の方法で測定したところ、ウロン酸含量は24.9%、タンパク質含量は2.2重量%であった。
実施例2に係る多硫酸化プロテオグリカンの水分含量を、実施例1と同様の方法で測定したところ、14重量%であった。
実施例2に係る多硫酸化プロテオグリカンの相対粘度を、オストワルド相対粘度計(粘度計No.1、毛細管内径0.5mm、柴田科学(株)製)で、脱イオン水の粘度を基準として測定した。実施例2に係る多硫酸化プロテオグリカン25.0mgを5mLの脱イオン水に溶解し、この水溶液5mLをオストワルド相対粘度計に移し、粘度を測定した。実施例2に係る多硫酸化プロテオグリカンの水分含量は14重量%なので、乾燥重量当たりで換算すると、21.5mg/5mL水溶液となり、濃度は0.43w/v%となる。水温26.5℃の水槽中で脱イオン水の粘度を1.0としたとき、実施例2に係る多硫酸化プロテオグリカンの相対粘度は1.4であった。
実施例2に係る多硫酸化プロテオグリカンの硫酸基含量を、実施例1と同様の方法で算出したところ、硫黄含量は12.09重量%であり、硫酸基含量は36.27重量%であった。
実施例2に係る多硫酸化プロテオグリカンの炭素含量を、実施例1と同様の方法で測定した。その結果、炭素含量は21.28重量%であり、炭素含量に対する硫黄含量の重量比は0.5681であった。実施例1より、比較例のプロテオグリカンの炭素含量に対する硫黄含量の重量比は0.1462であった。炭素含量に対する硫黄含量の重量比の相対比より、実施例2に係る多硫酸化プロテオグリカンは、比較例のプロテオグリカンの約3.9倍に硫酸基が増えたことが分かった。
実施例2に係る多硫酸化プロテオグリカンの赤外吸収スペクトルを、積算回数57で実施例1と同様の方法で測定した。図6は実施例2に係る多硫酸化プロテオグリカンの赤外吸収スペクトルである。図6のグラフの横軸は波数(cm −1 )を表し、縦軸は透過率(%)を表す。図6のグラフにおいて、谷となっている部分が吸収ピークである。図6のグラフより、実施例2に係る多硫酸化プロテオグリカンは、1638cm −1 (ピーク番号1)、1561cm −1 (ピーク番号2)、1238cm −1 (ピーク番号5)、1026cm −1 (ピーク番号8)、997cm −1 (ピーク番号9)に吸収ピークを有することが分かった。また、1638cm −1 の吸収ピークの透過率は53.5796(%)であり、1238cm −1 の吸収ピークの透過率は47.4466(%)であることから、吸収ピーク強度は、1638cm −1 の吸収ピークは46.4204(%)、1238cm −1 の吸収ピークは52.5534(%)と算出された。1638cm −1 の吸収ピークに対する1238cm −1 の吸収ピークの吸収ピーク強度比は、1.13と算出された。図6中の吸収ピーク1〜11の波数については、1は1638cm −1 、2は1561cm −1 、3は1411cm −1 、4は1377cm −1 、5は1238cm −1 、6は1129cm −1 、7は1057cm −1 、8は1026cm −1 、9は997cm −1 、10は820cm −1 、11は591cm −1 であった。
(多硫酸化プロテオグリカンの製造3)
実施例1に係るプロテオグリカンピリジニウム塩0.300gとジメチルスルホキシド(特級、関東化学(株))18mLをふた付バイアル瓶に入れ、続いて三酸化硫黄ピリジン錯体(純度98%、シグマアルドリッチ社)0.867gを添加し、プロテオグリカンピリジニウム塩と三酸化硫黄ピリジン錯体をジメチルスルホキシドに溶解させた。バイアル瓶のふたを閉め、溶液が入ったバイアル瓶を40℃の恒温水層に入れた。1時間後にバイアル瓶を恒温水層から取り出し、溶液全量をプラスチック製遠沈管に移した。遠沈管にエタノール300mLを加え、高速冷却遠心機(himac CR 22G3、日立工機(株)製)を用い、5,000rpmで20分間、室温で遠心分離を行った。遠心分離処理後、上澄みを除去し、得られた沈殿に脱イオン水約120mLを加え、溶解させた。溶解液のpHを卓上pHメータ(F−55、(株)堀場製作所製)により測定したところ、3.0であった。溶解液を水酸化ナトリウム水溶液で中和した。中和後の溶液全量を透析用セルロースチューブ(エーディア(株))に入れ、チューブの両端をクリップ留めし、脱イオン水を外液にして透析した。外液は1日に3回交換した。3日後、透析用セルロースチューブ内液を回収し、エバポレーターで溶液が約10mLになるまで濃縮した。濃縮後の溶液を凍結乾燥し、0.410gの白色綿状固体である多硫酸化プロテオグリカンを得た。
(多硫酸化プロテオグリカンの保水性の測定3)
比較例のプロテオグリカンと実施例3に係る多硫酸化プロテオグリカンの保水性を、実施例1と同様に測定した。図7は、比較例のプロテオグリカンと、実施例3に係る多硫酸化プロテオグリカンの保水性を測定した結果を示すものである。グラフの横軸は経過日数(日)を示し、縦軸は風袋重量を控除した透析用セルロースチューブ内液の重量(g)を示す。図7中の白抜きのひし形は実施例3に係る多硫酸化プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液の重量変化を、黒塗りの四角は比較例のプロテオグリカンの0.20w/v%水溶液の重量変化を示す。30日間の測定結果を平均すると、1日当たりの重量の増加量は、比較例のプロテオグリカン2.7g/日に対して、実施例3に係る多硫酸化プロテオグリカンは8.1g/日であった。比較例のプロテオグリカンと比較して、実施例3に係る多硫酸化プロテオグリカンは約3.0倍の吸水・保水量があり、高保水性を有することが明らかとなった。
(多硫酸化プロテオグリカンの分析3)
実施例3に係る多硫酸化プロテオグリカンのウロン酸含量およびタンパク質含量を、実施例1と同様の方法で測定したところ、ウロン酸含量は24.1重量%、タンパク質含量は2.0重量%であった。
実施例3に係る多硫酸化プロテオグリカンの水分含量を、実施例1と同様の方法で測定したところ、18重量%であった。
実施例3に係る多硫酸化プロテオグリカンの相対粘度を、オストワルド相対粘度計(粘度計No.1、毛細管内径0.5mm、柴田科学(株)製)で、脱イオン水の粘度を基準として測定した。実施例3に係る多硫酸化プロテオグリカン26.2mgを5mLの脱イオン水に溶解し、この水溶液5mLをオストワルド相対粘度計に移し、粘度を測定した。実施例3に係る多硫酸化プロテオグリカンの水分含量は18重量%なので、乾燥重量当たりで換算すると、21.5mg/5mL水溶液となり、濃度は0.43w/v%となる。水温26.5℃の水槽中で脱イオン水の粘度を1.0としたとき、実施例3に係る多硫酸化プロテオグリカンの相対粘度は1.9であった。
実施例3に係る多硫酸化プロテオグリカンの硫酸基含量を、実施例1と同様の方法で算出したところ、硫黄含量は11.33重量%であり、硫酸基含量は33.99重量%であった。
実施例3に係る多硫酸化プロテオグリカンの炭素含量を、実施例1と同様の方法で測定した。その結果、炭素含量は21.99重量%であり、炭素含量に対する硫黄含量の重量比は0.5152であった。実施例1より、比較例のプロテオグリカンの炭素含量に対する硫黄含量の重量比は0.1462であった。炭素含量に対する硫黄含量の重量比の相対比より、実施例3に係る多硫酸化プロテオグリカンは、比較例のプロテオグリカンの約3.5倍に硫酸基が増えたことが分かった。
実施例3に係る多硫酸化プロテオグリカンの赤外吸収スペクトルを、積算回数64で実施例1と同様の方法で測定した。図8は実施例3に係る多硫酸化プロテオグリカンの赤外吸収スペクトルである。図8のグラフの横軸は波数(cm −1 )を表し、縦軸は透過率(%)を表す。図8のグラフにおいて、谷となっている部分が吸収ピークである。図8のグラフより、実施例3に係る多硫酸化プロテオグリカンは、1638cm −1 (ピーク番号1)、1561cm −1 (ピーク番号2)、1242cm −1 (ピーク番号5)、1030cm −1 (ピーク番号8)、997cm −1 ピーク番号9)に吸収ピークを有することが分かった。また、1638cm −1 の吸収ピークの透過率は43.4534(%)であり、1242cm −1 の吸収ピークの透過率は32.5456(%)であることから、吸収ピーク強度は、1638cm −1 の吸収ピークは56.5466(%)であり、1242cm −1 の吸収ピークは67.4544(%)と算出された。1638cm −1 の吸収ピークに対する1242cm −1 の吸収ピークの吸収ピーク強度比は、1.19と算出された。図8中の吸収ピーク1〜11の波数については、1は1638cm −1 、2は1561cm −1 、3は1412cm −1 、4は1377cm −1 、5は1242cm −1 、6は1130cm −1 、7は1064cm −1 、8は1030cm −1 、9は997cm −1 、10は820cm −1 、11は592cm −1 であった。
(多硫酸化プロテオグリカンの製造4)
実施例1に係るプロテオグリカンピリジニウム塩0.273gとジメチルスルホキシド(特級、関東化学(株))16.4mLをふた付バイアル瓶に入れ、続いて三酸化硫黄ピリジン錯体(純度98%、シグマアルドリッチ社)0.523gを添加し、プロテオグリカンピリジニウム塩と三酸化硫黄ピリジン錯体をジメチルスルホキシドに溶解させた。バイアル瓶のふたを閉め、溶液が入ったバイアル瓶を40℃の恒温水層に入れた。1時間後にバイアル瓶を恒温水層から取り出し、溶液全量をプラスチック製遠沈管に移した。遠沈管にエタノール300mLを加え、高速冷却遠心機(himac CR 22G3、日立工機(株)製)を用い、7,000rpmで20分間、室温で遠心分離を行った。遠心分離処理後、上澄みを除去し、得られた沈殿に脱イオン水約40mLを加え、溶解させた。溶解液のpHを卓上pHメータ(F−55、(株)堀場製作所製)により測定したところ、2.6であった。溶解液を水酸化ナトリウム水溶液で中和した。中和後の溶液全量を透析用セルロースチューブ(エーディア(株))に入れ、チューブの両端をクリップ留めし、脱イオン水を外液にして透析した。外液は1日に3回交換した。3日後、透析用セルロースチューブ内液を回収し、エバポレーターで溶液が約10mLになるまで濃縮した。濃縮後の溶液を凍結乾燥し、0.393gの白色綿状固体である多硫酸化プロテオグリカンを得た。
(多硫酸化プロテオグリカンの保水性の測定4)
比較例のプロテオグリカンと実施例4に係る多硫酸化プロテオグリカンの保水性を、実施例1と同様に測定した。図9は、比較例のプロテオグリカンと、実施例4に係る多硫酸化プロテオグリカンの保水性を測定した結果を示すものである。グラフの横軸は経過日数(日)を示し、縦軸は風袋重量を控除した透析用セルロースチューブ内液の重量(g)を示す。図9中の白抜きのひし形は実施例4に係る多硫酸化プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液の重量変化を、黒塗りの四角は比較例のプロテオグリカンの0.20w/v%水溶液の重量変化を示す。30日間の測定結果を平均すると、1日当たりの重量の増加量は、比較例のプロテオグリカン2.7g/日に対して、実施例4に係る多硫酸化プロテオグリカンは7.2g/日であった。比較例のプロテオグリカンと比較して、実施例4に係る多硫酸化プロテオグリカンは約2.7倍の吸水・保水量があり、高保水性を有することが明らかとなった。
(多硫酸化プロテオグリカンの分析4)
実施例4に係る多硫酸化プロテオグリカンのウロン酸含量およびタンパク質含量を、実施例1と同様の方法で測定したところ、ウロン酸含量は24.8重量%、タンパク質含量は1.2重量%であった。
実施例4に係る多硫酸化プロテオグリカンの水分含量を、実施例1と同様の方法で測定したところ、14重量%であった。
実施例4に係る多硫酸化プロテオグリカンの相対粘度を、オストワルド相対粘度計(粘度計No.1、毛細管内径0.5mm、柴田科学(株)製)で、脱イオン水の粘度を基準として測定した。実施例4に係る多硫酸化プロテオグリカン25.0mgを5mLの脱イオン水に溶解し、この水溶液5mLをオストワルド相対粘度計に移し、粘度を測定した。実施例4に係る多硫酸化プロテオグリカンの水分含量は14重量%なので、乾燥重量当たりで換算すると、21.5mg/5mL水溶液となり、濃度は0.43w/v%となる。水温26.5℃の水槽中で脱イオン水の粘度を1.0としたとき、実施例4に係る多硫酸化プロテオグリカンの相対粘度は2.1であった。
実施例4に係る多硫酸化プロテオグリカンの硫酸基含量を、実施例1と同様の方法で算出したところ、硫黄含量は11.38重量%であり、硫酸基含量は34.14重量%であった。
実施例4に係る多硫酸化プロテオグリカンの炭素含量を、実施例1と同様の方法で測定した。その結果、炭素含量は22.12重量%であり、炭素含量に対する硫黄含量の重量比は0.5145であった。実施例1より、比較例のプロテオグリカンの炭素含量に対する硫黄含量の重量比は0.1462であった。炭素含量に対する硫黄含量の重量比の相対比より、実施例4に係る多硫酸化プロテオグリカンは、比較例のプロテオグリカンの約3.5倍に硫酸基が増えたことが分かった。
実施例4に係る多硫酸化プロテオグリカンの赤外吸収スペクトルを、積算回数77で実施例1と同様の方法で測定した。図10は実施例4に係る多硫酸化プロテオグリカンの赤外吸収スペクトルである。図10のグラフの横軸は波数(cm −1 )を表し、縦軸は透過率(%)を表す。図10のグラフにおいて、谷となっている部分が吸収ピークである。図10のグラフより、実施例4に係る多硫酸化プロテオグリカンは、1638cm −1 (ピーク番号1)、1562cm −1 ピーク番号2)、1239cm −1 (ピーク番号5)、1031cm −1 (ピーク番号8)、997cm −1 (ピーク番号9)に吸収ピークを有することが分かった。また、1638cm −1 の吸収ピークの透過率は46.9880(%)であり、1239cm −1 の吸収ピークの透過率は35.6551(%)であることから、吸収ピーク強度は、1638cm −1 の吸収ピークは53.0120(%)であり、1239cm −1 の吸収ピークは64.3449(%)と算出された。1638cm −1 の吸収ピークに対する1239cm −1 の吸収ピークの吸収ピーク強度比は、1.21と算出された。図10中の吸収ピーク1〜11の波数については、1は1638cm −1 、2は1562cm −1 、3は1419cm −1 、4は1378cm −1 、5は1239cm −1 、6は1130cm −1 、7は1065cm −1 、8は1031cm −1 、9は997cm −1 、10は820cm −1 、11は585cm −1 であった。
(多硫酸化プロテオグリカンの製造5)
実施例1に係るプロテオグリカンピリジニウム塩0.283gとジメチルスルホキシド(特級、関東化学(株))17.0mLをふた付バイアル瓶に入れ、続いて三酸化硫黄ピリジン錯体(純度98%、シグマアルドリッチ社)0.271gを添加し、プロテオグリカンピリジニウム塩と三酸化硫黄ピリジン錯体をジメチルスルホキシドに溶解させた。バイアル瓶のふたを閉め、溶液が入ったバイアル瓶を40℃の恒温水層に入れた。1時間後にバイアル瓶を恒温水層から取り出し、溶液全量をプラスチック製遠沈管に移した。遠沈管にエタノール300mLを加え、高速冷却遠心機(himac CR 22G3、日立工機(株)製)を用い、7,000rpmで20分間、室温で遠心分離を行った。遠心分離処理後、上澄みを除去し、得られた沈殿に脱イオン水約40mLを加え、溶解させた。溶解液のpHを卓上pHメータ(F−55、(株)堀場製作所製)により測定したところ、2.8であった。溶解液を水酸化ナトリウム水溶液で中和した。中和後の溶液全量を透析用セルロースチューブ(エーディア(株))に入れ、チューブの両端をクリップ留めし、脱イオン水を外液にして透析した。外液は1日に3回交換した。3日後、透析用セルロースチューブ内液を回収し、エバポレーターで溶液が約10mLになるまで濃縮した。濃縮後の溶液を凍結乾燥し、0.369gの白色綿状固体である多硫酸化プロテオグリカンを得た。
(多硫酸化プロテオグリカンの保水性の測定5)
比較例のプロテオグリカンと実施例5に係る多硫酸化プロテオグリカンの保水性を、実施例1と同様に測定した。図11は、比較例のプロテオグリカンと、実施例5に係る多硫酸化プロテオグリカンの保水性を測定した結果を示すものである。グラフの横軸は経過日数(日)を示し、縦軸は風袋重量を控除した透析用セルロースチューブ内液の重量(g)を示す。図11中の白抜きのひし形は実施例5に係る多硫酸化プロテオグリカンの0.20w/v%水溶液の重量変化を、黒塗りの四角は比較例のプロテオグリカンの0.20w/v%水溶液の重量変化を示す。30日間の測定結果を平均すると、1日当たりの重量の増加量は、比較例のプロテオグリカン2.7g/日に対して、実施例5に係る多硫酸化プロテオグリカンは7.1g/日であった。比較例のプロテオグリカンと比較して、実施例5に係る多硫酸化プロテオグリカンは約2.6倍の吸水・保水量があり、高保水性を有することが明らかとなった。
(多硫酸化プロテオグリカンの分析5)
実施例5に係る多硫酸化プロテオグリカンのウロン酸含量およびタンパク質含量を、実施例1と同様の方法で測定したところ、ウロン酸含量は25.1重量%、タンパク質含量は2.0重量%であった。
実施例5に係る多硫酸化プロテオグリカンの水分含量を、実施例1と同様の方法で測定したところ、16重量%であった。
実施例5に係る多硫酸化プロテオグリカンの相対粘度を、オストワルド相対粘度計(粘度計No.1、毛細管内径0.5mm、柴田科学(株)製)で、脱イオン水の粘度を基準として測定した。実施例5に係る多硫酸化プロテオグリカン25.6mgを5mLの脱イオン水に溶解し、この水溶液5mLをオストワルド相対粘度計に移し、粘度を測定した。実施例5に係る多硫酸化プロテオグリカンの水分含量は16重量%なので、乾燥重量当たりで換算すると、21.5mg/5mL水溶液となり、濃度は0.43w/v%となる。水温26.5℃の水槽中で脱イオン水の粘度を1.0としたとき、実施例5に係る多硫酸化プロテオグリカンの相対粘度は3.5であった。
実施例5に係る多硫酸化プロテオグリカンの硫酸基含量を、実施例1と同様の方法で算出したところ、硫黄含量は9.07重量%であり、硫酸基含量は27.21重量%であった。
実施例5に係る多硫酸化プロテオグリカンの炭素含量を、実施例1と同様の方法で測定した。その結果、炭素含量は24.31重量%であり、炭素含量に対する硫黄含量の重量比は0.3731であった。実施例1より、比較例のプロテオグリカンの炭素含量に対する硫黄含量の重量比は0.1462であった。炭素含量に対する硫黄含量の重量比の相対比より、実施例5に係る多硫酸化プロテオグリカンは、比較例のプロテオグリカンの約2.6倍に硫酸基が増えたことが分かった。
実施例5に係る多硫酸化プロテオグリカンの赤外吸収スペクトルを、積算回数81で実施例1と同様の方法で測定した。図12は実施例5に係る多硫酸化プロテオグリカンの赤外吸収スペクトルである。図12のグラフの横軸は波数(cm −1 )を表し、縦軸は透過率(%)を表す。図12のグラフにおいて、谷となっている部分が吸収ピークである。図12のグラフより、実施例5に係る多硫酸化プロテオグリカンは、1638cm −1 (ピーク番号1)、1562cm −1 ピーク番号2)、1237cm −1 (ピーク番号5)、1034cm −1 (ピーク番号8)、996cm −1 (ピーク番号9)に吸収ピークを有することが分かった。また、1638cm −1 の吸収ピークの透過率は53.8331(%)であり、1237cm −1 の吸収ピークの透過率は51.8511(%)であることから、吸収ピーク強度は、1638cm −1 の吸収ピークは46.1669(%)であり、1237cm −1 の吸収ピークは48.1489(%)と算出された。1638cm −1 の吸収ピークに対する1237cm −1 の吸収ピークの吸収ピーク強度比は、1.04と算出された。図12中の吸収ピーク1〜11の波数については、1は1638cm −1 、2は1562cm −1 、3は1420cm −1 、4は1378cm −1 、5は1237cm −1 、6は1132cm −1 、7は1067cm −1 、8は1034cm −1 、9は996cm −1 、10は823cm −1 、11は586cm −1 であった。
(多硫酸化プロテオグリカンの製造6)
実施例1に係るプロテオグリカンピリジニウム塩15.0mgとジメチルスルホキシド(特級、関東化学(株))0.9mLをふた付バイアル瓶に入れ、続いて三酸化硫黄ピリジン錯体(純度90%以上、和光純薬工業(株))47.1mgを添加し、プロテオグリカンピリジニウム塩と三酸化硫黄ピリジン錯体をジメチルスルホキシドに溶解させた。バイアル瓶のふたを閉め、溶液が入ったバイアル瓶を20℃の恒温水層に入れた。1時間後にバイアル瓶を恒温水層から取り出し、溶液のpHを卓上pHメータ(F−55、(株)堀場製作所製)により測定したところ、弱酸性を呈した。溶液を水酸化ナトリウム水溶液で中和し、全量をプラスチック製遠沈管に移し、エタノール30mLを加え、卓上遠心機(himac CT 6D、日立工機(株)製)を用い、2,000rpmで10分間、室温で遠心分離を行った。遠心分離処理後、上澄みを除去し、得られた沈殿に脱イオン水約10mLを加え、溶解させた。溶解液にエタノール30mLを加え、再度遠心分離を行った。遠心分離処理後、上澄みを除去し、得られた沈殿に脱イオン水約15mLを加え、溶解させた。溶解液全量を透析用セルロースチューブ(エーディア(株))に入れ、チューブの両端をクリップ留めし、脱イオン水を外液にして透析した。外液は1日に3回交換した。3日後、透析用セルロースチューブ内液を回収し、エバポレーターで溶液が約5mLになるまで濃縮した。濃縮後の溶液を凍結乾燥し、15.0mgの白色綿状固体である多硫酸化プロテオグリカンを得た。
(多硫酸化プロテオグリカンの分析6)
実施例6に係る多硫酸化プロテオグリカンのウロン酸含量およびタンパク質含量を、実施例1と同様の方法で測定したところ、ウロン酸含量は32.7重量%、タンパク質含量は3.4重量%であった。
実施例6に係る多硫酸化プロテオグリカンの硫酸基含量を、実施例1と同様の方法で算出したところ、硫黄含量は7.54重量%であり、硫酸基含量は22.62重量%であった。
実施例6に係る多硫酸化プロテオグリカンの炭素含量を、実施例1と同様の方法で測定した。その結果、炭素含量は29.95重量%であり、炭素含量に対する硫黄含量の重量比は0.2518であった。実施例1より、比較例のプロテオグリカンの炭素含量に対する硫黄含量の重量比は0.1462であった。炭素含量に対する硫黄含量の重量比の相対比より、実施例6に係る多硫酸化プロテオグリカンは、比較例のプロテオグリカンの約1.7倍に硫酸基が増えたことが分かった。
(多硫酸化プロテオグリカンの製造7)
実施例1に係るプロテオグリカンピリジニウム塩30.0mgとジメチルスルホキシド(特級、関東化学(株))1.8mLをふた付バイアル瓶に入れ、続いて三酸化硫黄ピリジン錯体(純度90%以上、和光純薬工業(株))157mgを添加し、プロテオグリカンピリジニウム塩と三酸化硫黄ピリジン錯体をジメチルスルホキシドに溶解させた。バイアル瓶のふたを閉め、溶液が入ったバイアル瓶を60℃の恒温水層に入れた。5時間後にバイアル瓶を恒温水層から取り出し、バイアル瓶のふたを開け、溶液全量をプラスチック製遠沈管に移した。溶液の入った遠沈管にエタノール6mLを加え、卓上遠心機(himac CT 6D、日立工機(株)製)を用い、2,000rpmで10分間、室温で遠心分離を行った。遠心分離処理後、上澄みを除去し、得られた沈殿に脱イオン水約4mLを加え、溶解させた。溶解液にエタノール6mLを加え、再度遠心分離を行った後、上澄みを除去し、得られた沈殿に脱イオン水約10mLを加え、溶解させた。溶解液のpHを卓上pHメータ(F−55、(株)堀場製作所製)により測定したところ、弱酸性を呈した。溶解液を水酸化ナトリウム水溶液で中和し、溶液全量を透析用セルロースチューブ(エーディア(株))に入れ、チューブの両端をクリップ留めし、脱イオン水を外液にして透析した。外液は1日に3回交換した。3日後、透析用セルロースチューブ内液を回収し、エバポレーターで溶液が約5mLになるまで濃縮した。濃縮後の溶液を凍結乾燥し、31.7mgの白色綿状固体である多硫酸化プロテオグリカンを得た。
(多硫酸化プロテオグリカンの分析7)
実施例7に係る多硫酸化プロテオグリカンのウロン酸含量およびタンパク質含量を、実施例1と同様の方法で測定したところ、ウロン酸含量は22.8重量%、タンパク質含量は3.3重量%であった。
実施例7に係る多硫酸化プロテオグリカンの硫酸基含量を、実施例1と同様の方法で算出したところ、硫黄含量は11.39重量%であり、硫酸基含量は34.17重量%であった。
実施例7に係る多硫酸化プロテオグリカンの炭素含量を、実施例1と同様の方法で測定した。その結果、炭素含量は26.34重量%であり、炭素含量に対する硫黄含量の重量比は0.4324であった。実施例1より、比較例のプロテオグリカンの炭素含量に対する硫黄含量の重量比は0.1462であった。炭素含量に対する硫黄含量の重量比の相対比より、実施例7に係る多硫酸化プロテオグリカンは、比較例のプロテオグリカンの約3.0倍に硫酸基が増えたことが分かった。
本発明により、コラーゲンなどの他物質との併用をすることなく、単独で高保水性を有する多硫酸化プロテオグリカンが提供されることにより、化粧料や日用品、医薬品などに広く利用されることが可能となる。

Claims (1)

  1. 鮭由来のプロテオグリカンを、プロトン型強酸性陽イオン交換樹脂に接触させ、次に、該接触プロテオグリカンをピリジンで中和させ、次に、中和したプロテオグリカンに三酸化硫黄ピリジン錯体を加え、ジメチルスルホキシド中で20〜40℃で1〜5時間反応させて得られた硫酸基が22重量%以上36重量%以下の範囲で付加されたことを特徴とするプロテオグリカン。

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