JP2017125133A - 活性光線硬化型のインクジェットインク組成物および加飾された成形体の製造方法 - Google Patents

活性光線硬化型のインクジェットインク組成物および加飾された成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】延伸性および表面硬化性をいずれも高めた活性光線硬化型のインクジェットインク組成物を提供する。【解決手段】本発明は、活性光線硬化型のインクジェットインク組成物に係る。前記組成物は、(a)重量平均分子量が5,000以上100,000以下であり1分子あたり10個以上の光重合性官能基を有する光重合性オリゴマー、(b)光重合性モノマー、および(c)光重合開始剤を含有し、前記光重合性オリゴマーの含有量は、前記組成物の全質量に対して3質量%以上30質量%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、活性光線硬化型のインクジェットインク組成物および加飾された成形体の製造方法に関する。
インクジェット記録方式は、インクジェットインクの微小な液滴をインクジェットヘッドのノズルから吐出して基材に着弾させる印刷方法である。インクジェット記録方式は、簡便かつ安価に画像を形成できるため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷を含む様々な印刷分野に応用されている。
インクジェットインクには、水と少量の有機溶剤からなる水性インク、有機溶剤を含有するが実質的に水を含まない非水系インク、室温では固体のインクを加熱溶融して印字するホットメルトインク、および印字後に活性光線を照射されることにより硬化する活性光線硬化型インクを含む複数の種類のインクが含まれ、これらのインクジェットインクは用途に応じて使い分けられている。
これらのうち、活性光線硬化型のインクジェットインクは、活性光線の照射によって重合または架橋する性質を有する官能基を有するモノマーまたはオリゴマー(以下、活性光線の照射によって重合または架橋する性質を有する官能基を単に「光重合性基」ともいい、光重合性基を有するモノマーおよびオリゴマーをそれぞれ「光重合性モノマー」および「光重合性オリゴマー」ともいい、光重合性モノマーおよび光重合性オリゴマーを総称して「光重合性化合物」ともいう。)を含有しており、基材に着弾した後、活性光線を照射することで、基材の上で硬化するという特性を有する。そのため、活性光線硬化型インクは、インクを吸収しない基材の上にも画像を形成することができる。この利点を活用して、フィルムなどの基材の表面に活性光線硬化型インクを着弾させて画像を形成し、UV光などの活性光線を照射してインクを光重合させ、その後、上記光重合したインクを有する上記フィルムなどを、樹脂などからなる成形体に密着させたり、または上記形成された画像を上記フィルムから成形体に転写したりすることで、複雑な立体形状を有する成形体を加飾する方法が知られている。
上記成形体の加飾用途に用いられる活性光線硬化型インクは、フィルムなどに供給され、光線照射によって光重合された後に、成形体の形状にあわせて延伸する性能(以下、単に「延伸性」ともいう。)が求められる。
たとえば、特許文献1には、上記光重合性化合物の一部に溶融塩化合物を用いることで、延伸性を付与した活性光線硬化型インクが記載されている。なお、特許文献1には、2個または3個の光重合性基を有する多官能の光重合性化合物をインクが含有してもよいと記載されているが、主には単官能の化合物を用いたインクについて記載されている。
また、特許文献2には、多官能の光重合性化合物の含有量を減らして、硬化後に形成される架橋の量を減らし、延伸性を高めた活性光線硬化型インクが記載されている。特許文献2には、上記多官能の光重合性化合物として、2個から3個の光重合性基を有する多官能の光重合性化合物が記載されている。
特表2014−529637号公報 特開2011−68768号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載されるような、単官能の光重合性化合物の含有量が多い活性光線硬化型インクでは、活性光線の照射に対するインクの反応性が低いためインクの表面が十分に硬化しないことがあった。インクの表面が十分に硬化しないと、インクが他の媒体に粘着してしまったりする(ブロッキング)ことがある。これに対し、多官能の光重合性化合物の含有量を多くすれば、インクを硬化してなる硬化膜の表面の硬化性(以下、単に「表面硬化性」ともいう。)は高まる。しかし、多官能の光重合性化合物が多い活性光線硬化型インクでは、硬化時に緻密な二次元架橋構造が形成されてしまい、延伸性が不十分になることがあった。また、多官能の光重合性オリゴマーが多い活性光線硬化型インクでは、表面硬化性が十分に高まらないことがあった。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、延伸性および表面硬化性をいずれも高めた活性光線硬化型のインクジェットインク組成物、およびそのような組成物を用いて加飾された成形体を製造する方法を提供することをその目的とする。
上記課題は以下の手段により達成されるものである。
[1]活性光線硬化型のインクジェットインク組成物であって、光重合開始剤と、光重合性モノマーと、重量平均分子量が5,000以上100,000以下であり1分子あたり10個以上の光重合性官能基を有する光重合性オリゴマーと含み、前記光重合性オリゴマーの含有量は、前記インクジェットインク組成物の全質量に対して3質量%以上30質量%以下である、インクジェットインク組成物。
[2]前記光重合性オリゴマーは、1分子あたり10個以上の前記光重合性官能基を側鎖に有する、[1]に記載のインクジェットインク組成物。
[3]前記光重合性オリゴマーは、1分子あたり10個以上のメタクリロイル基またはアリル基を側鎖に有する、[1]または[2]に記載のインクジェットインク組成物。
[4]前記光重合性オリゴマーは、式(1)または式(2)で表される構成単位を有する化合物である、[1]〜[3]のいずれかに記載のインクジェットインク組成物。
Figure 2017125133
式(1)において、Rは炭素数2以上8以下のアルキレン基であり、Rは水素原子またはメチル基であり、mは正の整数である。
Figure 2017125133
[5]前記光重合性モノマーは式(3)で表される化合物である、[1]〜[4]のいずれかに記載のインクジェットインク組成物。
Figure 2017125133
式(3)において、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数1以上4以下のアルキレン基であり、Rは無置換または置換されたシクロアルキル基および無置換または置換されたフェニル基からなる群から選択される1価の基である。
[6]前記光重合開始剤の含有量は、前記組成物の全質量に対して0.5質量%以上10質量%以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載のインクジェットインク組成物。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載のインクジェットインク組成物を含む、真空成型加工用インクジェットインク組成物。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載のインクジェットインク組成物の液滴をインクジェットヘッドのノズルから吐出して、基材に着弾させる工程と、前記基材に着弾した前記組成物に活性光線を照射して、前記組成物が光重合してなる画像を形成する工程と、前記組成物が光重合してなる前記画像を有する前記基材と成形体とを密着させるか、または前記組成物が光重合してなる前記画像を前記基材から成形体へ転写する工程と、を含む、加飾された成形体の製造方法。
本発明により、延伸性および表面硬化性をいずれも高めた活性光線硬化型のインクジェットインク組成物、およびそのような組成物を用いて加飾された成形体を製造する方法が提供される。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、光重合性化合物として、(a)重量平均分子量が5,000以上100,000以下であり光重合性官能基を1分子あたり10個以上有する光重合性オリゴマー、(b)光重合性モノマー、ならびに(c)光重合開始剤を含有する、活性光線硬化性インクジェットインク組成物(以下、単に「本発明のインク」ともいう。)によれば、延伸性および表面硬化性をいずれも高めることができることを見出した。
上記組成物によって、延伸性および表面硬化性を高められる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように考えている。つまり、インクが含有する多官能性の光重合性化合物の量を多くすると、活性光線硬化型インクの表面硬化性を高めることができる。このとき、特許文献1および特許文献2などに記載されているような、2個から3個程度の光重合性官能基を有する多官能性の光重合性化合物を用いると、上記多官能性の光重合性化合物に由来するセグメントに架橋点がまとまるが、一方で単官能性の光重合性化合物に由来するセグメントには架橋点がほとんど存在しないため、光重合したインクの内部に架橋密度が高い部分と架橋密度が低い部分とが生じてしまう。この架橋密度が低い部分は、光重合後のインク組成物の膜の硬度を低下させ、ブロッキングなどを発生させる原因となる。このとき、上記多官能性の光重合性化合物として分子量の大きい(分子鎖の長い)オリゴマーを用いても、このようなオリゴマーでは、通常、光重合性官能基は分子鎖の末端に集合しているため、やはり同様に光重合したインクの内部に架橋密度が高い部分と架橋密度が低い部分とが生じてしまう。
一方で、光重合性官能基を10個以上有するオリゴマーは、光重合性官能基を分子の末端のみならず分子鎖の側鎖にも有する。そのため、このようなオリゴマーを用いると、光重合したインクの内部で架橋点が適度に分散して形成され、架橋密度が低い部分が少なくなるため、表面の硬化性が高くなると考えられる。また、この適度に分散した架橋点によって、光重合したインク内では光重合性化合物が重合した分子鎖が粗い網目形状を形成して、分子鎖全体がゆるやかに延伸および収縮可能となると考えられる。
以下、本発明のインクジェットインク組成物および加飾された成形体の製造方法の実施形態について、より詳しく説明する。
1.インクジェットインク組成物
本発明のインクジェットインク組成物は、上記光重合性官能基を10個以上有するオリゴマー、光重合性モノマー、ならびに光重合開始剤を含有する、活性光線硬化型のインクジェットインク組成物であり、上記光重合性オリゴマーを、インク組成物の全質量に対して3質量%以上30質量%以下の量で含有する。
1−1.光重合性オリゴマー
上記インクジェットインク組成物に用いる光重合性オリゴマーは、重量平均分子量が5,000以上100,000以下であり、光重合性官能基を1分子あたり10個以上有する。上記インクジェットインク組成物は、上記光重合性オリゴマーを一種のみ含有してもよいし、二種以上含有していてもよい。
オリゴマーとは、同一または類似の構成単位が10〜100個程度繰り返されて形成される、比較的低分子量の重合体を指す。上記インクジェットインク組成物に用いる光重合性オリゴマーは、炭素を含む直鎖状の構造を分子内に有する、重量平均分子量が5,000以上100,000以下の分子である。上記繰り返し構造の種類は、オリゴマーの主鎖による延伸性の発揮を阻害しなければよく、特に限定されない。
上記光重合性オリゴマーの重量平均分子量が5,000以上であると、オリゴマーが十分な長さを有するため、上述した粗い網目形状が形成されやすく、また、重量平均分子量が100,000以下であると、インクジェットインク組成物の粘度が高まりすぎず、インクジェットヘッドからの吐出が容易である。上述した粗い網目形状による高い延伸性と高い表面硬化性とを両立させる観点からは、上記重量平均分子量は、6,000以上80,000以下であることが好ましく、8,000以上50,000以下であることがより好ましい。
なお、本明細書において、光重合性オリゴマーの重量平均分子量とは、テトラヒドロフラン(THF)を移動相とし、温度40℃、流速0.3mL/minの条件下で、カラムに、2本の東ソー株式会社製、TSK−gel Super HM−H、および1本の東ソー株式会社製、TSK−gel Super H2000を用い、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(東ソー株式会社製、HLC−8220GPC)により求め、標準ポリスチレン換算して算出した分子量である。
光重合性官能基は、活性光線を照射されることにより架橋または重合する官能基である。活性光線の例には、紫外線、電子線、α線、γ線およびX線が含まれる。安全性をより高める観点、および前記重合および架橋をより低いエネルギー量でも発生させやすくする観点から、活性光線は、紫外線または電子線であることが好ましい。
インクジェットインク組成物の表面硬化性をより高める観点からは、光重合性官能基は、光に対する反応性が高い官能基である、ラジカル重合性官能基であることが好ましい。ラジカル重合性官能基は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する官能基である。ラジカル重合性官能基の例には、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリルアミド基およびN−ビニルアミド基が含まれる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」はアクリロイル基またはメタクリロイル基を意味し、「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレートまたはメタクリレートを意味する。
これらの官能基のうち、インクジェットインク組成物の延伸性をより高める観点からは、メタクリロイル基およびアリル基が好ましい。この理由は必ずしも定かではないが、これらの官能基は、重合および架橋の反応性がさほど高くないため、後述する光重合性モノマーがある程度の長さを有する分子鎖を形成した後に、光重合性モノマーによる分子鎖に取り込まれるため、上記した粗い網目形状が形成されやすいためと考えられる。
上記光重合性オリゴマーの重量平均分子量を上記範囲とし、かつ、1分子あたりの光重合性官能基の数を10個以上とすると、光重合性官能基は、分子末端のみならず、側鎖にも形成される。そのため、このようなオリゴマーを含有するインクジェットインク組成物は、上述した粗い網目形状が形成されやすく、延伸性および表面硬化性がいずれも高くなると考えられる。
光重合性オリゴマー1分子当たりの光重合性官能基の数は、15個以上とすることがより好ましく、20個以上とすることがさらに好ましい。上記光重合性官能基の数には特に制限はないが、800個以下とすることが好ましく、500個以下とすることがさらに好ましい。
上述した粗い網目形状をより形成されやすくする観点からは、上記光重合性オリゴマーは、以下の式(1)または式(2)で表される構造を分子内に有することが好ましい。
Figure 2017125133
式(1)において、Rは炭素数2以上8以下の直鎖状、分枝鎖状または環状のアルキレン基であり、Rは水素原子またはメチル基であり、mは正の整数である。
インクジェットインク組成物の延伸性および表面硬化性をより高める観点からは、Rはメチル基であることが好ましい。また、上記観点からは、mは1以上20以下の整数であることが好ましく、1以上10以下の整数であることがより好ましく、1以上5以下の整数であることがさらに好ましい。
Figure 2017125133
上記光重合性オリゴマーの含有量は、インクジェットインク組成物の全質量に対して3質量%以上30質量%以下である。上記含有量が3質量%以上であると、光重合性オリゴマーが光重合性モノマーによる分子鎖に取り込まれることによる、上述した粗い網目形状が形成されやすいため、インクの延伸性および表面硬化性が十分に高くなる。上記含有量が30質量%以下であると、光重合性モノマーの重合が上記光重合性オリゴマーに阻害されず、光重合性モノマーによる分子鎖も十分に伸張できるため、インクの延伸性が十分に高まる。高い延伸性と高い表面硬化性とを両立させる観点からは、上記含有量は4質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。
1−2.光重合性モノマー
光重合性モノマーは、光重合性官能基を有するモノマーである。上記インクジェットインク組成物は、光重合性モノマーを一種のみ含有してもよいし、二種以上含有していてもよい。
光重合性モノマーが有する光重合性官能基は、前記光重合性オリゴマーが有する光重合性官能基と同一のものでもよいし、異なるものでもよい。インクの反応性をより高める観点からは、上記光重合性オリゴマーが有する光重合性官能基がラジカル重合性官能基であるときは、光重合性モノマーが有する光重合性官能基もラジカル重合性官能基であることが好ましい。
ラジカル重合性官能基を有するモノマーの例には、不飽和カルボン酸とその塩、不飽和カルボン酸エステル化合物、不飽和カルボン酸ウレタン化合物、不飽和カルボン酸アミド化合物およびその無水物、アクリロニトリルおよびスチレンが含まれる。上記不飽和カルボン酸の例には、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、およびマレイン酸が含まれる。
一方で、インクジェットインク組成物の延伸性および表面硬化性をより高める観点からは、光重合性モノマーが有する光重合性官能基は、前記光重合性オリゴマーが有する光重合性官能基よりも反応性が高いことが好ましい。これは、反応性が高い光重合性官能基を有する光重合性モノマーを用いることで、光重合性モノマーがある程度の長さを有する分子鎖を形成した後に光重合性オリゴマーが分子鎖に取り込まれるため、上述した粗い網目形状がより形成されやすくなるためと考えられる。このような観点からは、たとえば光重合性オリゴマーが有する光重合性官能基がメタクリロイル基およびアリル基であるとき、光重合性モノマーは有する光重合性官能基はアクリロイル基であることが好ましい。
光重合性モノマーは単官能性のモノマーでもよいし、多官能性のモノマーでもよい。上記光重合性オリゴマーによって生成する架橋の数を調整して、上述した粗い網目形状をより形成されやすくする観点からは、光重合性モノマーは単官能性のモノマーであることが好ましい。また、上記観点からは、インクジェットインク組成物が含有する多官能性のモノマーの量は、インクの全質量に対して20質量以下であることが好ましく、10質量以下であることがより好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。
アクリロイル基を有する単官能の光重合性モノマーの例には、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソミルスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートおよび(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレートが含まれる。
アクリロイル基を有する多官能の光重合性モノマーの例には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートおよびトリプロピレングリコールジアクリレートを含む2官能の(メタ)アクリレート、ならびに、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレートを含む3官能以上の(メタ)アクリレートが含まれる。
インクジェットインク組成物の延伸性および表面硬化性をさらに高める観点からは、光重合性モノマーは以下の式(3)で表される化合物であることが好ましい。式(3)で表される化合物を重合すると、側鎖の末端に環状構造が配置されて、光重合性モノマーが重合してなる分子鎖がより強固な構造になるため、表面硬化性がより高まると考えられる。また、式(3)で表される化合物が有するアルキレンオキシ基は、親水性の性質を有するため、疎水性の傾向が強い他の光重合性モノマーがその近傍に接近しづらい。そのため、式(3)で表される化合物を重合すると、式(3)で表される化合物に由来する親水性のアルキレンオキシ基の近傍に、他の光重合性モノマーに由来する分子鎖が近寄りにくく、物理的な架橋点が生じにくいため、上述した粗い網目形状がより形成されやすいと考えられる。
Figure 2017125133
式(3)において、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数1以上4以下のアルキレン基であり、Rは無置換または置換されたシクロアルキル基および無置換または置換されたフェニル基からなる群から選択される1価の基であり、nは1以上4以下の整数である。上記シクロアルキル基またはフェニル基を置換する置換基の例には、ハロゲン原子、炭素鎖長1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、炭素鎖長1〜18のアルコキシ基、アリール基、アルケニル基、アミノ基、複素環基が含まれる。
上記ハロゲン原子の例には、フッ素原子、塩素原子、および臭素原子が含まれる。
上記炭素鎖長1〜24の直鎖若しくは分岐状のアルキル基の例には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1,3−ジメチルブチル基、1−イソプロピルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1,4−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2−メチル−1−イソプロピルプロピル基、1−エチル−3−メチルブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチル−1−イソプロピルブチル基、2−メチル−1−イソプロピル基、1−t−ブチル−2−メチルプロピル基、n−ノニル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ウンデシル基、1−メチルデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、n−ヘンエイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、およびn−テトラコシル基が含まれる。
上記ヒドロキシアルキル基の例には、ヒドロキシメチル基、およびヒドロキシエチル基が含まれる。
上記アルコキシアルキル基の例には、メトキシエチル基が含まれる。
上記炭素鎖長1〜18のアルコキシ基の例に、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、およびオクタデシルオキシ基が含まれる。
上記アリール基の例には、フェニル基、ナフチル基、トリル基、ビフェニル基、フルオレニル基、アンスリル基、ピレニル基、アズレニル基、アセナフチレニル基、ターフェニル基、およびフェナンスリル基が含まれる。
上記アルケニル基の例には、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、および2−ペンテニル基が含まれる。
上記アミノ基の例には、アミノ基(−NH)、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、およびジフェニルアミノ基が含まれる。
上記複素環基の例には、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、キナゾリニル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基、フタラジニル基、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基、およびフラニル基が含まれる。
上記効果をより好適に奏する観点からは、式(3)で表される化合物の含有量は、光重合性モノマーの全質量に対して60質量%以上100質量%以下であることが好ましく、80質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
光重合性モノマーの含有量は、延伸性及び表面硬化性を損なわない範囲であれば任意に設定してよく、たとえば、インクジェットインク組成物の全質量に対して1質量%以上97質量%以下とすることができ、30質量%以上95質量%以下であることが好ましい。
1−3.光重合開始剤
光重合開始剤は、前記光重合性オリゴマーおよび光重合性モノマーの重合を開始できるものであればよい。たとえば、前記光重合性オリゴマーおよび光重合性モノマーがラジカル重合性官能基を有するときは、光重合開始剤は光ラジカル開始剤とすることができる。上記インクジェットインク組成物は、光重合開始剤を一種のみ含有してもよいし、二種以上含有していてもよい。
光ラジカル開始剤の例には、開裂型ラジカル開始剤および水素引き抜き型ラジカル開始剤が含まれる。
開裂型ラジカル開始剤の例には、アセトフェノン系の開始剤、ベンゾイン系の開始剤、アシルホスフィンオキシド系の開始剤、ベンジルおよびメチルフェニルグリオキシエステルが含まれる。
アセトフェノン系の開始剤の例には、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オンおよび2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンが含まれる。
ベンゾイン系の開始剤の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。
アシルホスフィンオキシド系の開始剤の例には、2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドが含まれる。
水素引き抜き型ラジカル開始剤の例には、ベンゾフェノン系の開始剤、チオキサントン系の開始剤、アミノベンゾフェノン系の開始剤、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノンおよびカンファーキノンが含まれる。
ベンゾフェノン系の開始剤の例には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンが含まれる。
チオキサントン系の開始剤の例には、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンおよび2,4−ジクロロチオキサントンが含まれる。
アミノベンゾフェノン系の開始剤の例には、ミヒラーケトンおよび4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノンが含まれる。
光重合開始剤の含有量は、インクジェットインク組成物が十分に硬化できる範囲であればよく、たとえば、インクジェットインク組成物の全質量に対して0.5質量%以上10質量%以下とすることができる。
1−4.その他の成分
上記インクジェットインク組成物は、延伸性及び表面硬化性を損なわない範囲において、色材、分散剤、光重合開始剤助剤および重合禁止剤を含むその他の成分をさらに含んでいてもよい。インクジェットインク組成物は、これらの成分をそれぞれ一種のみ含有してもよいし、二種以上含有していてもよい。
色材の例には、染料および顔料が含まれる。耐候性の良好な画像を得る観点からは、色材は顔料であることが好ましい。顔料は、形成すべき画像の色等に応じて、たとえば、黄顔料、赤またはマゼンタ顔料、青またはシアン顔料および黒顔料から選択することができる。
色材の含有量は、たとえば、インクジェットインク組成物の全質量に対して、0.4質量%以上10質量%未満とすることができる。
分散剤は、上記顔料を十分に分散させることができればよい。分散剤の例には、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、およびステアリルアミンアセテートが含まれる。
分散剤の含有量は、たとえば、顔料の全質量に対して20質量%以上70質量%以下とすることができる。
重合禁止剤の例には、(アルキル)フェノール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、p−メトキシフェノール、t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、ピロガロール、1,1−ピクリルヒドラジル、フェノチアジン、p−ベンゾキノン、ニトロソベンゼン、2,5−ジ−t−ブチル−p−ベンゾキノン、ジチオベンゾイルジスルフィド、ピクリン酸、クペロン、アルミニウムN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン、トリ−p−ニトロフェニルメチル、N−(3−オキシアニリノ−1,3−ジメチルブチリデン)アニリンオキシド、ジブチルクレゾール、シクロヘキサノンオキシムクレゾール、グアヤコール、o−イソプロピルフェノール、ブチラルドキシム、メチルエチルケトキシムおよびシクロヘキサノンオキシムが含まれる。
重合禁止剤の含有量は、たとえば、インクジェットインク組成物の全質量に対して0.001質量%以上2.0質量%以下とすることができる。
界面活性剤の例には、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類および脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類およびポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類および第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、ならびにシリコーン系やフッ素系の界面活性剤が含まれる。
シリコーン系の界面活性剤の市販品の例には、KF−351A、KF−352A、KF−642およびX−22−4272、信越化学工業製、BYK307、BYK345、BYK347およびBYK348、ビッグケミー製(「BYK」は同社の登録商標)、ならびにTSF4452、東芝シリコーン社製が含まれる。
界面活性剤の含有量は、たとえば、インクジェットインク組成物の全質量に対して、0.001質量%以上1.0質量%未満とすることができる。
1−5.物性
インクジェットヘッドからの射出性をより高める観点からは、インクジェットインク組成物の80℃における粘度は3mPa・s以上20mPa・s以下であることが好ましい。
上記インクジェットインク組成物の80℃における粘度は、レオメータにより、インクの動的粘弾性の温度変化を測定することにより求めることができる。本明細書においては、上記粘度は、以下の方法によって得られた値である。インクを100℃に加熱し、ストレス制御型レオメータPhysica MCR301(コーンプレートの直径:75mm、コーン角:1.0°)、Anton Paar社製によって粘度を測定しながら、剪断速度11.7(1/s)、降温速度0.1℃/sの条件で20℃までインクを冷却して、粘度の温度変化曲線を得る。上記粘度は、粘度の温度変化曲線において80℃における粘度を読み取ることにより求める。
2.加飾された成形体の製造方法
本発明に係る加飾された成形体の製造方法は、上記インクジェットインク組成物の液滴をインクジェットヘッドのノズルから吐出して、基材に着弾させる工程(以下、単に「第1工程」ともいう。)と、上記基材に着弾したインク組成物に活性光線を照射して、インク組成物を光重合してなる画像を形成する工程(以下、単に「第2工程」ともいう。)と、上記インク組成物が光重合してなる画像を有する基材と成形体とを密着させるか、または上記インク組成物が光重合してなる画像を基材から成形体へ転写する工程(以下、単に「第3工程」ともいう。)と、を含む。
2−1.第1工程
第1工程は、上記インクジェットインク組成物の液滴をインクジェットヘッドのノズルから吐出して、基材に着弾させる工程である。
上記インクジェットインク組成物の液滴は、加熱した状態で吐出ヘッドから吐出することで、吐出安定性を高めることができる。吐出安定性をより高める観点からは、吐出される際のインク組成物の温度は、35℃以上100℃以下であるが好ましく、35℃以上80℃以下であることがより好ましい。吐出安定性をさらに高める観点からは、吐出される際のインク組成物の温度は、インク組成物の粘度が3mPa・s以上20mPa・s以下になる温度であることが好ましく、7mPa・s以上15mPa・s以下になる温度であることがより好ましく、8mPa・s以上13mPa・s以下となるような温度であることがさらに好ましい。
インクジェットインク組成物を所定の温度に加熱する方法の例には、ヘッドキャリッジを構成するインクタンク、供給パイプおよびヘッド直前の前室インクタンク等のインク供給系、フィルター付き配管ならびに吐出ヘッド等の少なくともいずれかを、パネルヒーター、リボンヒーターまたは保温水によって所定の温度に加熱する方法が含まれる。
記録速度をより速くし、かつ、より高精細な画像を形成可能にする観点から、吐出される際のインク組成物の液滴量は2pL以上20pL以下であることが好ましい。
2−2.第2工程
第2工程は、基材に着弾したインク組成物に活性光線を照射して、インク組成物が光重合してなる画像を形成する工程である。上記インクジェットインク組成物は、吸水性が低い基材においても、高い密着性を有する画像を形成することができる。
インクジェットインクに照射できる活性光線の例には、電子線、紫外線、α線、γ線、およびエックス線が含まれる。これらのうち、取り扱いの容易さおよび人体への影響の少なさの観点から、紫外線を照射することが好ましい。光源の輻射熱によってインクジェットインクが溶けることによるインクの硬化不良の発生を抑制する観点から、光源は発光ダイオード(LED)であることが好ましい。
インクジェットインク組成物の硬化性を高める観点から、活性光線は、インク着弾後0.001秒以上1.0秒以下の間に照射されることが好ましく、より高精細な画像を形成する観点から、0.001秒以上0.5秒以下の間に照射されることがより好ましい。
2−3.第3工程
第3工程は、前記インク組成物が光重合してなる画像を有する基材と成形体とを密着させるか、または前記インク組成物が光重合してなる画像を基材から成形体へ転写する工程である。
上記密着は、たとえば、光線照射されて光重合したインク組成物からなる画像が形成された基材を加熱して軟化させて、真空吸引または圧縮空気による加圧によって、すでに成形された成形体に圧着させる真空成型法または圧空成形法、または、光線照射されて光重合したインク組成物からなる画像が形成された基材を配置した金型に、溶融した成形体の材料を流し込んで、上記基材が溶着した成形体を上記金型内で成形するフィルムインサート成形法によって行うことができる。従って、上記インクジェットインク組成物は、これらの方法に用いられる真空成型加工用インクジェットインク組成物、圧空成形加工用インクジェット組成物、又は、インサート成形加工用インクジェット組成物となり得る。
上記転写は、たとえば、一体成型法の例には、上記基材を設置した金型に溶融した成形体の材料を流し込んで、上記基材に形成された画像がフィルムから剥離して転写された成形体を上記金型内で成形するインモールド成形法によって行うことができる。
光重合したインク組成物は、インク組成物を有する基材を成形体に密着させる前の加熱や、インク組成物を有する基材に溶融した成形体材料を接触させる際の加熱によって、硬化がさらに進行する。これにより、成形体表面に硬化したインク組成物の層が形成される。
2−4.基材
基材は、上記方法による加飾された成形体の製造が可能であればよいが、少なくとも画像を形成すべき領域に樹脂材料を含むことが好ましい。上記樹脂の例には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびポリブチレンテレフタレートを含むポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンおよびポリプロピレンを含むポリα−オレフィン、ポリウレタン、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)を含むアクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ならびにアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)共重合体が含まれる。インク組成物と基材との密着性をより高めて、加飾された成形体の色落ちをより生じにくくする観点からは、基材は、少なくとも画像を形成すべき領域にポリカーボネート、PMMA、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルを含むことが好ましい。
上記方法で製造された成形体は、基材に形成された画像が十分に延伸するため、基材が変形しても画像が元の形状を保ちやすく、かつ、インクが十分に光重合しているため、ブロッキングが生じにくい。
以下、本発明の具体的な実施例を比較例とともに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.材料
1−1.光重合性オリゴマー(A)
1−1−1.光重合性モノマーA1−1
1−1−1−1.光重合性モノマーA1−1−1の合成方法
式(1)において、mが1、RがC、RがHである構成単位からなるモノマー(A1−1−1)を作製した。
オルダーショウ型精留塔、攪拌装置、温度計、ガス導入管および液逐次投入ラインを備えたガラス製2L丸底フラスコ(反応器)に、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル(丸善石油化学社製)(以下、「HEVE」とも記す。)を302g、アクリル酸メチル(東京化成社製)(以下、「AM」とも記す。)を620g、一次酸化防止剤としてフェノチアジン(東京化成社製)(以下、「PTz」とも記す。)を1.1g、二次酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(東京化成社製)(以下、「DBPP」とも記す。)を1.1g、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩(東京化成社製)(以下、「NPHN」とも記す。)を0.32g、触媒としてジブチル錫オキサイド(東京化成社製)(以下、「DBTO」とも記す。)を2.1g仕込み、ガス導入管より7%酸素/窒素バランス組成のガスを15mL/minにて液相バブリングしながら120℃のオイルバスに反応器を浸漬し、全還流の状態にて昇温を開始した。
反応の進行に伴い副生成物であるメタノールが塔頂部に濃縮していき、塔頂部温度がアクリル酸メチルとメタノールの共沸点である63℃に到達した後、還流比8にて、50g/hの抜出速度で留出を開始した。留出速度と等速にて、 アクリル酸メチルを液逐次投入ラインからフィードした。留出開始時を反応0時間(反応開始時)と規定し、8時間反応を行い、式(1)において、mが1、RがC、RがHである構成単位を有するモノマー(A1−1−1)を作製した。尚、(メタ)アクリル酸エス テルによるタワー内部の重合防止のため、塔頂部より1質量%PTzのAM溶液を5g/hの速度で投入した。
1−1−1−2.光重合性オリゴマーA1−1の合成方法
式(1)において、mが1、RがC、RがHである構成単位を有するオリゴマーを作製した。撹拌棒、温度計、滴下ライン、窒素/空気混合ガス導入管を取り付けた4つ口フラスコに重合溶媒としての80gの酢酸エチルを加え、20℃に昇温した。昇温後、200gのA1−1−1モノマーと、13gの酢酸エチルと重合触媒としての13mgのリンタングステン酸との混合溶解物をそれぞれ2時間かけて滴下し重合を行った。重合終了時にはトリエチルアミンを加えて反応を終了した。次いで、エバポレーターで濃縮した後、光重合性オリゴマーA1−1を得た。反応停止後の混合液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析したところ、単量体の反応率は90.1%だった。また、得られた光重合性オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は48000であった。
光重合性オリゴマーA1−1は、上記重量平均分子量(Mw)とモノマー(A1−1−1)の分子量との比から、約338個の光重合性官能基((メタ)アクリロイル基またはビニルエーテル基の数)を側鎖に有していると考えられる。
なお、本実施例における重量平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を移動相とし、温度40℃、流速0.3mL/minの条件下で、東ソー株式会社製のカラム TSK−gel SuperHM−H 2本、TSK−gel SuperH2000 1本を用い、東ソー株式会社製のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置 HLC−8220GPCにより求め、標準ポリスチレン換算して算出して得た値である。
1−1−2.光重合性オリゴマーA1−2
1−1−2−1.光重合性モノマーA1−2−1の合成方法
1−1−1−1.項に記載のHEVE302gをジエチレングリコールモノブチルエーテル(丸善石油化学社製)(DEGV)453gに変更した以外は同様に合成し、式(1)において、mが2、RがC、RがHである構成単位を有するモノマー(A1−2−1)を作製した。
1−1−2−2.光重合性オリゴマーA1−2の合成方法
1−1−1−2.項に記載のA1−1−1モノマーをA1−2−1モノマーに変更した以外は同様に合成し、式(1)において、mが2、RがC、RがHである構成単位を有するオリゴマー(A1−2)を作製した。単量体の反応率は86.8%だった。また、得られた光重合性オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は18000であった。
光重合性オリゴマーA1−2は、上記重量平均分子量(Mw)とモノマー(A1−2−1)の分子量との比から、約98個の光重合性官能基((メタ)アクリロイル基またはビニルエーテル基の数)を側鎖に有していると考えられる。
1−1−3.光重合性オリゴマーA1−3
1−1−3−1.光重合性モノマーA1−3−1の合成方法
1−1−1−1.項に記載のHEVE(302g)をDEGV(453g)に変更し、AM(620g)をメタクリル酸メチル(東京化成社製)(以下、「MM」とも記す。)(721g)に変更した以外は同様に合成し、式(1)において、mが2、RがC、RがCHである構成単位を有するモノマー(A1−3−1)を作製した。
1−1−3−2.光重合性オリゴマーA1−3の合成方法
1−1−1−2.項に記載のA1−1−1モノマーをA1−3−1モノマーに変更した以外は同様に合成し、式(1)において、mが2、RがC、RがCHである構成単位を有するオリゴマー(A1−3)を作製した。単量体の反応率は80.6%だった。また、得られた光重合性オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は9000であった。
光重合性オリゴマーA1−3は、上記重量平均分子量(Mw)とモノマー(A1−3−1)の分子量との比から、約42個の光重合性官能基((メタ)アクリロイル基またはビニルエーテル基の数)を側鎖に有していると考えられる。
1−1−4.光重合性オリゴマーA1−4
1−1−4−1.光重合性モノマーA1−4−1の合成方法
1−1−1−1.項に記載のHEVE(302g)を4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(丸善石油化学社製)(HBVE)(398g)に変更した以外は同様に合成し、式(1)において、mが1、RがC、RがHである構成単位を有するモノマー(A1−4−1)を作製した。
1−1−4−2.光重合性オリゴマーA1−4の合成方法
1−1−1−2.項に記載のA1−1−1モノマーをA1−4−1モノマーに変更した以外は同様に合成し、式(1)において、mが1、RがC、RがHである構成単位を有するオリゴマー(A1−4)を作製した。単量体の反応率は92.1%だった。また、得られた光重合性オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は33000であった。
光重合性オリゴマーA1−4は、上記重量平均分子量(Mw)とモノマー(A1−4−1)の分子量との比から、約194個の光重合性官能基((メタ)アクリロイル基またはビニルエーテル基の数)を側鎖に有していると考えられる。
1−1−5.光重合性オリゴマーA1−5
1−1−5−1.光重合性モノマーA1−5−1の合成方法
1−1−1−1.項に記載のHEVE(302g)をHBVE(398g)に変更し、AM(620g)をMM(721g)に変更した以外は同様に合成し、式(1)において、mが1、RがC、RがCHである構成単位を有するモノマー(A1−5−1)を作製した。
1−1−5−2.光重合性オリゴマーA1−5の合成方法
1−1−1−2.項に記載のA1−1−1モノマーをA1−3−1モノマーに変更した以外は同様に合成し、式(1)において、mが1、RがC、RがCHである構成単位を有するオリゴマー(A1−5)を作製した。単量体の反応率は83.0%だった。また、得られた光重合性オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は11000であった。
光重合性オリゴマーA1−5は、上記重量平均分子量(Mw)とモノマー(A1−5−1)の分子量との比から、約60個の光重合性官能基((メタ)アクリロイル基またはビニルエーテル基の数)を側鎖に有していると考えられる。
1−1−6.光重合性オリゴマーA1−6
1−1−6−1.光重合性モノマーA1−6−1の合成方法
1−1−1−1.項に記載のHEVE(302g)をシクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル(日本カーバイド工業社製)(CHMVE)(584g)に変更した以外は同様に合成し、式(1)において、mが1、RがCH―C10―CH、RがHである構成単位を有するモノマー(A1−6−1)を作製した。
1−1−6−2.光重合性オリゴマーA1−6の合成方法
1−1−1−2.項に記載のA1−1−1モノマーをA1−6−1モノマーに変更した以外は同様に合成し、式(1)において、mが1、RがCH―C10―CH、RがHである構成単位を有するオリゴマー(A1−6)を作製した。単量体の反応率は92.1%だった。また、得られた光重合性オリゴマーの重量平均分子量(Mw)は23000であった。
光重合性オリゴマーA1−6は、上記重量平均分子量(Mw)とモノマー(A1−6−1)の分子量との比から、約102個の光重合性官能基((メタ)アクリロイル基またはビニルエーテル基の数)を側鎖に有していると考えられる。
1−1−7.光重合性オリゴマーA2−1
式(2)で表される構成単位を有し、重量平均分子量が35,000でありヨウ素価が55である、株式会社大阪ソーダ製、ダイソーダップK(「ダイソーダップ」はダイソー株式会社の登録商標)を光重合性オリゴマーA2−1として使用した。ヨウ素価より、光重合性オリゴマーA2−1の1分子あたりの光重合性官能基(アリル基の数)は、約76個と推測される。
1−1−8.光重合性オリゴマーA2−2
式(2)で表される構成単位を有し、重量平均分子量が55,000でありヨウ素価が55である、株式会社大阪ソーダ製、ダイソーダップAを光重合性オリゴマーA2−2として使用した。ヨウ素価より、光重合性オリゴマーA2−2の1分子あたりの光重合性官能基(アリル基の数)は、約120個と推測される。
1−1−9.光重合性オリゴマーA3
ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業社製アートレジンUN-6202(重量平均分子量11,000、光重合性官能基数:2)を光重合性オリゴマーA3として使用した。
得られた各光重合性オリゴマーの化学構造と物性値を表1に示す。
Figure 2017125133
1−2.光重合性モノマー(B)
以下の光重合性モノマーB1〜B7を単独で用いるか複数混合して、主たる光重合性モノマーとして使用した。
B1:フェノキシエチルアクリレート(共栄社化学株式会社製、ライトアクリレートPO−A)
B2:フェノキシジエチレングリコールアクリレート(共栄社化学株式会社製、ライトアクリレートP2H−A)
B3:シクロヘキシルアクリレート(大阪有機工業株式会社製、ビスコート#155)
B4:イソボルニルアクリレート(大阪有機工業株式会社製、IBXA)
B5:2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(共栄社化学株式会社製、エポキシエステルM−600A)
B6:n−オクチルアクリレート(大阪有機工業株式会社製、NOAA)
B7:(2ーメチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート(大阪有機工業株式会社製、MEDOL−10
1−3.光重合開始剤
以下の光重合開始剤C1〜C2を使用した。
C1:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(BASF社製、IRGACURE TPO(「IRGACURE」はビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの登録商標))
C2:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製、IRGACUR 819)
1−4.その他の光重合性モノマー
以下の光重合性モノマーD1〜D5を従たる光重合性モノマーとして使用した。
D−1:ペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、A−TMM−3)
D−2:エチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製、1G)
D−3:トリエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業株式会社製、3G)
D−4:トリメチロールプロパントリメタクリレート(新中村化学工業株式会社製、TMPT)
D−5:ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート(新中村化学工業株式会社製、ATM−35E、エトキシ基の数:35)
2.インクの調製
表2および表3に記載の組成に従い、各成分を混合した後、80℃に加熱して撹拌した。得られた混合液の温度を保持したまま、ADVATEC社製テフロン(「テフロン」はデュポン社の登録商標)3μmメンブランフィルターで濾過し、活性光線硬化型インクジェットインク組成物(以下、単に「インク組成物」ともいう。)1〜23を調製した。なお、表2および表3に記載の数値は、各インク組成物における上記成分の組成比(単位は質量%)を示す。
Figure 2017125133
Figure 2017125133
3.インク組成物の評価
3−1.表面硬化性
ピエゾ型インクジェットノズルを有するインクジェット記録装置を用いて、ポリカーボネート基材(膜厚400μm、帝人株式会社製、パンライト、「パンライト」は同社の登録商標)に画像を形成した。
上記インクジェット記録装置は、インクタンク、インク供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、およびピエゾ型のインクジェットヘッドを、インクが流通する上流側から下流側に向けて、この順で有していた。また、上記インクジェット装置は、露光系として、LEDの紫外線ランプ(株式会社 ジーエス・ユアサ コーポレーション製、LTD100)を有していた。インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近に温度センサーをそれぞれ設けて、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱及び加温を行い、ノズル部分が常に45℃±2℃となるよう、温度制御を行った。
上記インクジェットヘッドは、液滴量14pl、印字速度0.5m/sec、射出周波数10.5kHz、印字率100%となる条件で駆動して、インク組成物1〜21の液滴を吐出させた。露光系、ならびにインクジェットヘッドの主走査速度は、インク液滴が上記ポリカーボネート基材に着弾してから0.1秒後に、露光面照度1,200mW/cmに集光したUV光の照射が始まるように、調整した。
上記条件で、インク組成物1〜23を用いて、平均膜厚が30μmのベタ画像を上記ポリカーボネート基材に形成した。形成した画像を50mm×50mmの正方形に切り取って、試験片を製造した。
上記試験片に、50mm×50mmの正方形をした、厚さ75μmの未処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、E5000)を重ねて、定荷重式の永久歪試験機(テスター産業株式会社製、CO−201)にセットし、25℃、相対湿度55%の条件で、61.3Nの荷重を加えた。24時間後に、目視で、未処理PETフィルム側へのインクの転写が認められるか否か、および転写が認められる場合は、未処理PETフィルムの表面積のうち転写があった部分の割合を1%刻みで求めた。確認した結果に基づき、以下の基準で評価を行った。
◎:転写なし
○:転写基材側に1%以上10%以下の面積で転写あり
△:転写基材側に10%超20%以下の面積で転写あり
×:転写基材側に20%超100%以下の面積で転写あり
3−2.延伸性
インク組成物1〜23を60℃で4週間保存した後に、上記と同様にして平均膜厚が30μmのベタ画像を上記ポリカーボネート基材に形成した。形成した画像を50mm×20mmの正方形に切り取って、試験片を製造した。上記試験片を、試験機の軸に試験片の長軸が一致するようにして、テンシロン(株式会社島津製作所製、AGS−X)のつかみ具にセットし、180℃、引張り速度50mm/分の条件で試験片の長軸方向に延伸させた。画像の破断が目視で確認されたときの試験片の長軸方向の長さを測定し、式:[{破断時の長さ−試験前の長さ(50mm)}/試験前の長さ(50mm)]に代入して得られる値を延伸率とした。算出された延伸率に基づき、以下の基準で評価を行った。
◎:延伸率300%以上
○:延伸率200%以上300%未満
△:延伸率100%以上200%未満
×:延伸率100%未満
4.成形体の製造
ABS(材料)からなる半円柱(高さ:200mm、直径:100mm)の成形体を、布施真空株式会社製CUVF−1216−PWB(加飾装置)に設置した。この装置に、上記3−1.に記載の方法でインク組成物1〜23によるベタ画像が形成された厚さ300μmのポリカーボネート(PC)フィルム(帝人株式会社製、パンライト)をそれぞれ設置して150℃に加熱した後、上記成形体とPCフィルムとの間を真空排気して、PCフィルムを成形体に圧着させた。成形条件は型の温度が80℃、基材温度が150℃で、金型はアルミ製とした。
5.成形体の評価(表面硬化性)
成型後の基材からPCフィルムを剥離し(厚さ300μm)、50mm×50mmの正方形に切り取って、試験片を製造した。この試験面のインク塗布面に、50mm×50mmの正方形をした、厚さ75μmの未処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡株式会社製、E5000)を重ねて、定荷重式の永久歪試験機(テスター産業株式会社製、CO−201)にセットし、25℃、相対湿度55%の条件で、61.3Nの荷重を加えた。24時間後に、目視で、未処理PETフィルム側へのインクの転写が認められるか否か、および転写が認められる場合は、未処理PETフィルムの表面積のうち転写があった部分の割合を1%刻みで求めた。確認した結果に基づき、以下の基準で評価を行った。
◎:転写なし
○:転写基材側に1%以上10%以下の面積で転写あり
△:転写基材側に10%超20%以下の面積で転写あり
×:転写基材側に20%超100%以下の面積で転写あり
インク組成物1〜23についての、上記インクの評価結果(表面硬化性および延伸性)および成形体の評価結果(表面硬化性)を、表4に示す。
Figure 2017125133
重量平均分子量が5,000以上100,000以下であり1分子あたり10個以上の光重合性官能基を側鎖に有する光重合性オリゴマー、光重合性モノマーおよび光重合開始剤を含有する活性光線硬化型インクジェットインク組成物であって、光重合性オリゴマーの含有量がインク組成物の全質量に対して3質量%以上30質量%以下である、インク組成物1〜11、14、15、23は、インクの表面硬化性および延伸性が高く、かつ、成形体を製造した後のインクの表面硬化性も高かった。
特に、1分子あたり10個以上のメタクリロイル基またはアリル基を有する光重合性オリゴマーを含有するインク組成物1〜7、23は、インクの延伸性がより高かった。
さらに、光重合性モノマーが式(3)で表される化合物であるインク組成物1〜3は、インクの表面硬化性および成形体を製造した後のインクの表面硬化性が、いずれもより高かった。
一方で、光重合性オリゴマーの含有量がインク組成物の全質量に対して3質量%よりも少ないインク組成物12は、表面硬化性が低かった。これは、光照射後や加熱後に架橋が十分に形成されなかったためと考えられる。
また、光重合性オリゴマーの含有量がインク組成物の全質量に対して30質量%よりも多いインク組成物13は、インクの延伸性が高まりにくかった。これは、光重合性モノマーによる分子鎖が十分に伸張できなかったためと考えられる。
また、光重合開始剤の含有量がやや少ないインク組成物14、および、光重合開始剤の含有量がやや多いインク組成物15は、インクの評価結果における表面硬化性と成形体の評価結果がやや低下する傾向を示した。
また、光重合性オリゴマーを含有しないインク組成物16〜21は、光重合したインクの延伸性が高まりにくかった。1個以上4個以下の光重合性官能基を有するモノマーを含有するインク組成物17〜21でも、光重合したインクの延伸性は十分に高まりにくかった。これは、1分子あたり10個以上の光重合性官能基を有する光重合性オリゴマーを用いない場合、上述した粗い網目形状が形成されにくかったためと考えられる。
また、1分子当たり10個未満の光重合性官能基を有する光重合性オリゴマーを用いたインク組成物22は、インクの評価における表面硬化性と成形物の評価における表面硬化性がいずれも低い結果となった。網目形状が粗すぎるため、硬化性が不十分になったものと考えられる。
本発明のインクによれば、基材に形成された画像が十分に延伸するため、基材が変形しても画像が元の形状を保ちやすく、かつ、インクが十分に硬化しているため、ブロッキングが生じにくい。そのため、本発明は、インクジェット法による成形体の加飾の適用の幅を広げ、同分野の技術の進展および普及に貢献することが期待される。

Claims (8)

  1. 活性光線硬化型のインクジェットインク組成物であって、
    光重合開始剤と、光重合性モノマーと、重量平均分子量が5,000以上100,000以下であり1分子あたり10個以上の光重合性官能基を有する光重合性オリゴマーと含み、
    前記光重合性オリゴマーの含有量は、前記インクジェットインク組成物の全質量に対して3質量%以上30質量%以下である、インクジェットインク組成物。
  2. 前記光重合性オリゴマーは、1分子あたり10個以上の前記光重合性官能基を側鎖に有する、請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  3. 前記光重合性オリゴマーは、1分子あたり10個以上のメタクリロイル基またはアリル基を側鎖に有する、請求項1または2に記載のインクジェットインク組成物。
  4. 前記光重合性オリゴマーは、式(1)または式(2)で表される構成単位を有する化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
    Figure 2017125133
    (式(1)において、Rは炭素数2以上8以下のアルキレン基であり、Rは水素原子またはメチル基であり、mは正の整数である。)
    Figure 2017125133
  5. 前記光重合性モノマーは式(3)で表される化合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
    Figure 2017125133
    (式(3)において、Rは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素数1以上4以下のアルキレン基であり、Rは無置換または置換されたシクロアルキル基および無置換または置換されたフェニル基からなる群から選択される1価の基である。)
  6. 前記光重合開始剤の含有量は、前記組成物の全質量に対して0.5質量%以上10質量%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物を含む、真空成型加工用インクジェットインク組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のインクジェットインク組成物の液滴をインクジェットヘッドのノズルから吐出して、基材に着弾させる工程と、
    前記基材に着弾した前記組成物に活性光線を照射して、前記組成物が光重合してなる画像を形成する工程と、
    前記組成物が光重合してなる前記画像を有する前記基材と成形体とを密着させるか、または前記組成物が光重合してなる前記画像を前記基材から成形体へ転写する工程と、
    を含む、加飾された成形体の製造方法。

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