[第1の実施形態]
以下、本発明を図示する実施形態により具体的に説明する。図1〜図12は本発明の第1の実施形態の板材の折曲加工装置(板材の加工装置)1を示し、図1は全体の側面図、図2及び図3は折曲加工部2を示す斜視図及び背面からの斜視図である。図4〜図7は端面押圧部3及び端面押圧部3における高さ調節機構41を示し、図8〜図11は端面押圧部3における押圧幅調節機構51を示し、図12は板材の端面への押圧制御を示している。
板材の折曲加工装置(たとえばプレスブレーキ)1は、金属板からなる板材(板状のワーク)Wの折曲を行う機能に加えて切断によって生じた残留応力を調整するために板材Wの端面を押圧する機能を備えている。このため、図1に示すように折曲加工装置1はV曲げ等によって板材Wを折り曲げる折曲加工部2と、折り曲げ加工前における板材Wの一方の端面側を押圧する端面押圧部3と、これらを一体に支持する装置基台5とを備えている。
装置基台5は上部基台5aと下部基台5bとが上下で対向した状態で連設されることにより側面から見て縦長の「コ」字状(「C」字状と表現される場合もある。)に形成されており、折曲加工部2が上部基台5a側に配置され、端面押圧部3が折曲加工部2の下側に対向した状態で下部基台5b側に配置されている。折曲加工装置1においては、端面押圧部3がレーザやシャーリング等によって切断された板材Wの一方の端面側を押圧して残留応力を増減する。この一方の端面側の押圧の後、折曲加工部2が板材Wを折曲加工する。これにより反り発生を抑制した板材Wの折曲加工を行うことができる。
図1に示すように、折曲加工部2は上部基台5a側に設けられたパンチ側部材11と、パンチ側部材11の下方に設けられたダイ側部材12と、パンチ側部材11を駆動する油圧シリンダ(サーボモータ等の他のアクチュエータであってもよい。)からなる折曲駆動装置(駆動装置)13とを備えている。油圧シリンダからなる折曲駆動装置13は装置基台5の上部基台5aに上下方向を向くように取り付けられており、その伸縮動作によってパンチ側部材11をダイ側部材12の方向に移動させるための上下動が行われる。なお、パンチ側部材11を上下方向に移動させることに代えてもしくは加えて、ダイ側部材12を上下方向に移動させる構成であってもよい。
パンチ側部材11は折曲駆動装置13の下側に設けられており、板材Wを押圧するパンチ14と、パンチ14が取り付けられるパンチホルダ15と、パンチホルダ15が取り付けられる上部テーブル16とを有している。上部テーブル16は折曲駆動装置13に連結されており、折曲駆動装置13が駆動することによりパンチ14は上部テーブル16,パンチホルダ15と共に上下動して板材Wを押圧する。
ダイ側部材12はパンチ14に対向しておりパンチ14によって押圧された板材Wを受けるダイ17と、ダイ17の下部を支持するダイホルダ(第1のダイ保持体)18と下部テーブル(第2のダイ保持体)21とを有している。下部テーブル21はダイホルダ18と共にダイ17を挟み込んで保持するものであり、その上部にはダイホルダ18に対向した挟持片21aが突出している。ダイ17は脚部17aがダイホルダ18及び挟持片21aに挟持され、この挟持状態でダイホルダ18をねじによって締め付けることによりダイ17がダイホルダ18及び下部テーブル21に保持される。
以上のダイ側部材12は下部テーブル21が装置基台5の下部基台5b上に固定されたベースフレーム25に取り付けられることにより、全体がベースフレーム25に支持される。ベースフレーム25は垂直状に立ち上がる側壁部25aを有した側面L字形に形成されており、下部テーブル21はベースフレーム25の側壁部25aに対して上下移動可能に取り付けられる。すなわち図3に示すように、ベースフレーム25の側壁部25aには、上下方向に伸びる長孔26が所定間隔で複数形成されており、下部テーブル21の背面に取り付けられた複数のねじ27のそれぞれがこの長孔26を貫通することにより、下部テーブル21がベースフレーム25に上下動可能に取り付けられるものである。このような構造では、パンチ14がダイ17方向へ移動して、すなわちパンチ14が下降してダイ17上の板材Wを押圧すると、パンチ14の押圧によって下部テーブル21に下方向への移動力が作用するため、下部テーブル21が同方向へ移動するようになっている。この場合、ベースフレーム25の側壁部25aの内部には、ねじ27に対応したリターンスプリング28が設けられており、下部テーブル21の下動によって圧縮されることにより、この反力で下部テーブル21が元の高さ位置に復帰するようになっている。
折曲加工部2は板材WをV曲げ等に折曲させるものであり、板材Wの折曲はパンチ14とダイ17との押圧中心7(図1参照)に沿って行われる。
端面押圧部3は下部テーブル21に対向して配置された下側端面押圧型31を備えている。下側端面押圧型31は折り曲げ加工前の板材Wの折曲加工の折曲線に沿う一方の端面側を押圧するものである。板材Wは下側端面押圧型31上に一方の端面側が載置され、この載置状態でパンチ14がダイ17方向に移動して下部テーブル21が同方向に移動し、この下部テーブル21の移動によって下部テーブル21と下側端面押圧型31との間に板材Wが挟み込まれることにより一方の端面が押圧される。この押圧を行うため、下側端面押圧型31と対応している下部テーブル21の下端は上側端面押圧型32となっている。
このような構造では、板材Wの折り曲げを行う折曲加工部2と、反りを抑制するために板材Wの端面を押圧する端面押圧部3とを一つの装置基台5に設けた構造であるため、一台の装置で板材Wの端面の押圧と曲げ加工を行うことができる。また、板材Wの取り回しが容易で、作業性を向上させることができる。また、板材Wの残留応力を制御するための板材Wの一方の端面への押圧が板材Wを折曲加工する折曲加工部2の折曲駆動装置13の駆動力によって行うことができるため、板材Wの端面の押圧のための駆動源が別途必要なく、構造が簡単となると共にエネルギー節約が可能となる。
図2に示すように下側端面押圧型31は、複数の固定型33及び複数の可動型35によって形成されている。複数の固定型33は高さ位置が固定された状態でベースフレーム25上に設けられている。可動型35は固定型33に隣接して設けられており、固定型33に対し高さ位置が変更可能となっている。可動型35の高さ位置の変更は高さ調節機構41によって行われる。
高さ調節機構41は図4〜図6に示すように、ベースフレーム25の背面側に配置された高さ調節駆動源42と、ベースフレーム25の上方に配置されたシーム43とを有している。高さ調節駆動源42はシリンダ或いはモータを用いることができるが、この実施形態ではシリンダが用いられている。シーム43は平板状に形成されており、可動型35のそれぞれの下面に臨むようにベースフレーム25の上方に配置されている。可動型35はシーム43に臨む下面が高面部35aと低面部35bの段付き面となっている。
平板状のシーム43はベースフレーム25上をダイ側部材12の方向又はダイ側部材12から離隔する方向に移動可能となっている。この移動を行うため、高さ調節駆動源42のピストン42aの先端部に連結ブラケット44が取り付けられ、この連結ブラケット44の先端部分にシーム43が取り付けられている。連結ブラケット44は高さ調節駆動源42が駆動することによりスライド移動し、このスライド移動によりシーム43が上述した方向(ダイ側部材12の方向及びダイ側部材12から離隔する方向)へ移動する。
この移動により、シーム43が高面部35aに臨むと、シーム43と可動型35の高面部35aとの間に大きな隙間が生じるため、この大きな隙間の分、可動型35が低くなることができる。このように可動型35が低くなった状態では、可動型35は板材Wの押圧に関与することがない。図7はこの状態を示し、固定型33に対して可動型35が低くなっている。この状態でパンチ14が下降して下部テーブル21が下方に移動すると、下部テーブル21の上側端面押圧型32と固定型33とによって板材Wの端面の押圧が行われるが、可動型35による押圧は行われない。これに対し、シーム43が低面部35bに臨むと、シーム43と低面部35bとが接近するため、可動型35はその上面が固定型33と同じ高さとなるように高い位置で停止した状態となる。このように可動型35が高くなった状態では、可動型35は固定型33と共に板材Wの押圧に関与する。
このような下側端面押圧型31においては、可動型35の高さ位置を変更することにより、板材Wの端面を部分的に押圧することができる。このため、押圧が必要な板材Wの必要部位を部分的に押圧することが可能となっている。
この実施形態の折曲加工装置1においては、板材Wの一方の端面の押圧幅を調節することが可能となっている。この調節は押圧幅調節機構51によって行われる。
押圧幅調節機構51は図8〜図11に示すように、下側端面押圧型31に設けられた端面当接バー53と、下側端面押圧型31を移動させるバックゲージ(不図示)とを備えている。
端面当接バー53は下側端面押圧型31における固定型33に設けられるものであり、固定型33とダイ側部材12の下部テーブル21との間に挿入されている。固定型33と下部テーブル21との間に挿入されることにより端面当接バー53は下側端面押圧型31に載置される板材Wの一方の端面に臨んだ状態となり(図1参照)、板材Wの一方の端面が当接する。この当接により板材Wが下側端面押圧型31で停止するため、押圧すべき板材Wの端面の押圧面の寸法を調節することができる。
この実施形態において、図11に示すように固定型33には端面当接バー53が入り込むことが可能なバー収用溝56が形成されている。バー収用溝56の内部にはコイル状の支持スプリング57が設けられており、端面当接バー53は支持スプリング57に支持されている。このような支持構造では下部テーブル21が下降して端面当接バー53に当接すると、端面当接バー53は支持スプリング57を撓ませながらバー収用溝56内に入り込む。一方、下部テーブル21が上昇すると、端面当接バー53は撓んだ支持スプリング57のトルクによってバー収用溝56から押し出され、固定型33の上面に出現する。これにより端面当接バー53は固定型33に対して出没自在に設けられている。
バックゲージは、固定型33をパンチ14のダイ17への押圧方向に対して交差した直交方向に移動させる可動部として作用する。バックゲージには、シリンダ等が用いられており、連結ブロック59が連結され、それぞれの連結ブロック59に固定型33が取り付けられている。このような構造では、バックゲージの押圧動作により固定型33はパンチ14のダイ17への押圧方向と直交した方向に進出する。図9〜11に示すように固定型33の背面にはリターンスプリング60が当接しており、固定型33が進出するとリターンスプリング60が撓むようになっている。従って、バックケージの駆動が停止すると、進出した固定型33は撓んだリターンスプリング60の反力によって元の位置に復帰する。
このような押圧幅調節機構51はパンチ14のダイ17への押圧方向と直交した方向に固定型33を移動させることにより、端面当接バー53の板材Wの端面への当接位置を調整することができる。このため、下部テーブル21(上側端面押圧型32)及び下側端面押圧型31による板材Wの端面への押圧寸法を板材Wの残留応力に合わせて調節することができる。これにより板材Wの残留応力を簡単に制御することが可能となる。
押圧幅調節機構51による板材Wの端面への押圧幅の調整において、板材Wは一方の端面をダイ側部材12に向けて下部テーブル21と下側端面押圧型31との間に差し込まれる。その後、折曲駆動装置13を駆動してパンチ14をダイ17の方向に移動させ(下降させ)、その移動力によりダイ17の下側の下部テーブル21を下降させて下部テーブル21の上側端面押圧型32と下側端面押圧型31とによって板材Wの一方の端面側を押圧する。
図1に示すように、板材Wの押圧される部位(上側端面押圧型32と固定型33や可動型35とで挟まれて押圧される部位)は、パンチ14とダイ17との押圧中心7よりも板材Wの挿入方向側に位置している。なお、押圧幅調節機構51によって固定型33を移動させて端面当接バー53を押圧中心7に対して移動すれば、板材Wの押圧される部位の幅を適宜変更することができるが、板材Wの押圧される部位の一部が、押圧中心7よりも板材Wの挿入方向の反対側に位置しているようにすることもできる。
以上のような実施形態では、押圧幅調節機構51を調整することにより板材Wの一方の端面の位置(板材Wの押圧される部位の位置)を精度良く設定することができる。このため板材の残留応力に対する処置を精度良く行うことができる。
以上説明したように、この実施形態の板材の折曲加工装置1によれば、板材Wの折り曲げを行う折曲加工部2と、反りを抑制するために板材Wの端面を押圧する端面押圧部3とを一つの装置基台5に設けているため、一台の装置で板材Wの端面の押圧と曲げ加工を行うことができ、板材の取り回しが容易で、作業性を向上させることができる。
また、板材Wの端面に当接する端面当接バー53を有した押圧幅調節機構51を設けることにより、板材Wの一方の端面の押圧幅を調節できるため、板材Wの端面への押圧寸法を板材Wの残留応力に合わせて調節することができ、板材Wの残留応力を簡単に制御することが可能となる。
また、板材Wの残留応力を制御するための端面押圧部3による板材Wの端面の押圧が板材Wを折曲加工する折曲加工部2の折曲駆動装置13の駆動力によって行うため、板材Wの端面の押圧のための駆動源が必要なく、構造が簡単となると共にエネルギー節約が可能となる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る加工装置(板材Wの折曲加工装置)101は、第1の実施形態に係る折曲加工装置1とほぼ同様に構成されており、金属板からなる板材(板状のワーク)Wの折り曲げを行う機能に加え、切断によって生じた残留応力を調整するために板材Wの端面を押圧する機能を備えている。そして、第1の実施形態に係る折曲加工装置1とほぼ同様に動作しほぼ同様の効果を奏するようになっている。
図13、図14、図19、図24等に示すように、折曲加工装置(たとえばプレスブレーキ)101は、V曲げ等によって板材Wを折り曲げる折曲加工部103と、折り曲げ加工前における板材Wの一方の端面側を押圧する端面押圧部105と、これらを一体に支持する「C」字状の装置基台107とを備えている。
装置基台107は、図14で示すように、上部基台107aと下部基台107bとが上下で対向した状態で連設されることにより側面から見て「C」字状に形成されている。また、折曲加工部(折曲押圧部)103が上部基台107a側に配置されており、押圧加工部(端面押圧部)105が折曲加工部103の下側に対向した状態で下部基台107b側に配置されている。
折曲加工装置101においては、端面押圧部105がレーザやシャーリング等によって切断された板材Wの一方の端面側を押圧して残留応力を増減する。この一方の端面側の押圧の後(両方の端面側を押圧した後でもよい。)、折曲加工部103が板材Wを折曲加工する。これにより反り発生を抑制した(舟反りの反り量を低減することができる)板材Wの折曲加工を行うことができる。
折曲加工部103は上部基台107a側に設けられたパンチ側部材109と、パンチ側部材109の下方で下部基台107b側に設けられたダイ側部材111と、パンチ側部材109を駆動する油圧シリンダ163(サーボモータ等の他のアクチュエータであってもよい。)からなる折曲駆動装置(駆動装置)113とを備えている。折曲駆動装置113の油圧シリンダ163は装置基台107の上部基台107aに上下方向を向くように取り付けられており、その伸縮動作によってパンチ側部材109をダイ側部材111の方向に移動させるための上下動が行われる。
なお、油圧シリンダ163に供給される作動油の圧力を変えることで、パンチ側部材109の推力を調整することができるようになっている。また、パンチ側部材109を上下方向に移動させることに代えてもしくは加えて、ダイ側部材111を上下方向に移動させる構成であってもよい。
パンチ側部材109は折曲駆動装置113の下側に設けられており、板材Wを押圧するパンチ115と、パンチ115が一体的に取り付けられるパンチホルダ117と、パンチホルダ117が一体的に取り付けられる上部テーブル119とを有している。上部テーブル119は折曲駆動装置113に連結されており、折曲駆動装置113が駆動することにより、パンチ115が上部テーブル119、パンチホルダ117とともに上下動して板材Wを押圧する。
ダイ側部材111はパンチ115に対向しており、図16や図17や図24等で示すように、パンチ115によって押圧された板材Wを受けるダイ121と、ダイ121の下部を支持するダイホルダ(ダイ保持体)125及び上部押圧型(上側端面押圧型;ダイホルダ押え部材)127とを有している。
ダイ保持体125には、ダイ121と上部押圧型127とが一体的に設けられている。ダイ側部材111が装置基台107の下部基台107b(下部テーブル159)上に固定されたベースフレーム123に取り付けられることにより、ダイ側部材111が(ダイ保持体125とダイ121と上部押圧型127とが)ベースフレーム123に支持され、ベースフレーム123に対して上下方向で移動自在になっている。
また、ダイ側部材111は、シリンダ(たとえば空気圧シリンダ)129等の付勢部材によって、上方に付勢されるようになっている。すなわち、空気圧シリンダ129の下側のシリンダ室に圧縮空気を供給したときには、図17で示すように、ダイ側部材111が上昇するようになっている。なお、空気圧シリンダ129に供給されている圧縮空気の圧力が一定であれば、ダイ側部材111はこの位置にかかわらず、常に一定の付勢力で上方に付勢される。
空気圧シリンダ129の下側のシリンダ室への圧縮空気の供給を止めた場合(空気圧シリンダ129の下側のシリンダ室と上側シリンダ室とが大気開放された場合)には、ダイ側部材111の自重でダイ側部材111が下降するようになっている。
なお、空気圧シリンダ129の上側のシリンダ室へ圧縮空気を供給し下側のシリンダ室を大気開放することで、ダイ側部材111を強制的に下降するようにしてもよい。
また、シリンダ等に代わりに圧縮コイルばね等の弾性体を用い、第1の実施形態に係る折曲加工装置1と同様にして、ダイ側部材111を上方に付勢してもよいし、第1の実施形態に係る折曲加工装置1において、シリンダ等を用いて、ダイ側部材12を上方に付勢してもよい。
さらに、シリンダや圧縮コイルばね等の弾性体の代わりに、サーボモータ等のアクチュエータを用いて、ダイホルダ125と上側端面押圧型127とを上下方向で移動し任意の位置に位置決めするようにしてもよい。
折曲加工部103は板材WをV曲げ等に折り曲げするものであり、板材Wの折り曲げはパンチ115とダイ121との押圧中心131(図24等参照)に沿って行われる。
端面押圧部105は、上部押圧型127に対向して配置された下側端面押圧型(下部押圧型)135を備えて構成されている。下部押圧型135は折り曲げ加工前の板材Wの折曲加工の折曲線に沿う一方の端面側を押圧するものである。
板材Wは下側端面押圧型135上に一方の端面側が載置され、この載置状態でパンチ115がダイ121方向(下方向)に移動してダイ保持体125と上部押圧型127が同方向に移動し、この移動により上部押圧型127と下部押圧型135との間で板材Wが挟み込まれることにより板材Wの一方の端面が押圧される(図19参照)。
下部押圧型135は、ダイ側部材111(上部押圧型127)との間で(ダイ側部材111の上側端面押圧型127と協働して)板材Wの端面を押圧可能な(押圧する)複数個の押圧型137(137A,137B,137C),139(139A,139B,139C,139D,139E,139F)に分割されている(図15等参照)。
これらの分割された各押圧型137,139のうちのたとえば各押圧型137A,137B,137Cは、ダイ側部材111との間で板材Wを押圧するときに選択的に押圧(加圧)可能なようになっている。
上記選択は、折曲駆動装置113の押圧力(加圧力)が不足している場合であっても、端面押圧部105による板材Wの押圧力が不足しないようにするためになされる。
例を掲げて詳しく説明する。端面押圧部105による板材5の端面の押圧(板材Wの厚さ方向での押圧)は、折曲加工装置101(折曲駆動装置113の油圧シリンダ163)の押圧力を用いてなされるようになっている。ここで、下側端面押圧型135が3つの押圧型(第1の押圧型137A、第2の押圧型137B、第3の押圧型137C)に分割されているものとする(図13、図15参照)。
第1の押圧型(分割型)137Aの長さ(押圧型139A,139Bを含めた長さ)と、第2の押圧型137Bの長さ(押圧型139C,139Dを含めた長さ)と、第3の押圧型137Cの長さ(押圧型139E,139Fを含めた長さ)とはお互いが等しく500mm程度になっている。第1〜第3の押圧型137A,137B,137Cをこれらの長さ方向につなげることで、下側端面押圧型135の長さ(左右方向の寸法)は1500mmになっている。なお、各押圧型(分割型)139A〜139Fそれぞれの長さは、お互いが等しい50mm程度になっており、押圧型137の長さに比べて十分に小さくなっている。
板材Wの折曲加工の折曲線に沿う端面側の長さは1500mm弱になっており、この長さ1500mm弱の一端側の500mmの部位が第1の押圧型137Aと押圧型139A,139B(押圧型139C〜139Fを含む場合もある)とによって押圧され、同様にして、中央の500mmの部位が第2の押圧型137Bによって押圧され、他端側の500mmの部位が第3の押圧型137Cによって押圧されるようになっているものとする。
折曲加工装置101(折曲駆動装置113)における最大の押圧力が50t(50000kgf;約500kN)であり、一方、板材(たとえば、spcc)Wの折曲加工の折曲線に沿う端面側の長さ1500mm弱の箇所を、第1〜第3の押圧型137A〜137C,139A〜139Fを用いて同時に押圧するのに必要な押圧力(曲げ加工をしたときに船形の変形を確実に許容範囲内にするために必要な押圧力)が、最大の押圧力が50tよりも大きい60tであるものとする。
そこで、まず、第1の押圧型137Aを選択して、第1の押圧型137A(押圧型139A〜139Fを含む)のみで、板材Wの一端側の500mmの部位を20t程度の力で押圧をし、この後、第2の押圧型137Bを選択して、第2の押圧型137B(押圧型139A〜139Fを含む)のみで、板材Wの中央の500mmの部位を20t程度の力で押圧をし、この後、第3の押圧型137Cを選択して、第3の押圧型137C(押圧型139A〜139Fを含む)のみで、板材Wの他端側の500mmの部位を20t程度の力で押圧をするのである。
また、パンチ側部材109(パンチ115)のダイ側部材111(ダイ121)側への駆動(移動)方向(板材Wの押圧方向;上下方向)に対して交差する方向(直交する方向;前後方向)に、各押圧型137,139のそれぞれを別個に移動することで、上記選択がなされるように構成されている。
たとえば、押圧型137が後側に移動したときには、図20で示すように、パンチ側部材109(パンチ115)の斜め下に押圧型137が位置し、この状態で上部押圧型127が下降しても、上部押圧型127と押圧型137とによる板材Wの挟み込みがなされず、板材Wの押圧がなされないようになっている。
一方、押圧型137が前側に移動したときには、図19で示すように、パンチ側部材109(パンチ115)の真下に押圧型137が位置し、この状態で上部押圧型127が下降すると、上部押圧型127と押圧型137とによる板材Wの挟み込みがなされ、板材Wの押圧がなされるようになっている。
なお、図15に示す押圧型137Aは、複数(たとえば3つ)に分かれているが、各押圧型137Aは、連結部材141(141A)によって一体的に連結されており、図示しない空気圧シリンダ等のアクチュエータにより前後方向で移動するようになっている。同様にして、各押圧型137Bも連結部材141(141B)によって連結されており、前後方向で移動するようになっている。各押圧型137Cも連結部材141(141C)によって連結されており、前後方向で移動するようになっている。
各押圧型137,139のうちの一部の押圧型(突き当て支持体)139(139A〜139F;図15参照)は、折曲加工装置101のバックゲージ143(図13、図14参照)によって前後方向で移動位置決めされるように構成されている。
押圧型139には、板材Wが突き当てられる(当接される)突き当て(当接バー)145が設けられている(図18等参照)。突き当て145に板材Wの端面が突き当てられて板材Wの位置決めがなされることで、端面押圧部105による板材Wの押圧幅(図19の寸法L1)が決められる。
折曲加工装置101には、たとえば2つのバックゲージ143が設けられている。これらのバックゲージ143のそれぞれは、別個に移動位置決めされるようになっている。
突き当て支持体(押圧型)139は、少なくとも2つ(たとえば図15で示すように6つ)設けられている。複数の突き当て支持体139のうちの2つの突き当て支持体139のそれぞれに、2つのバックゲージ143のそれぞれが係合して一体化するようになっている。
バックゲージ143が係合する突き当て支持体139の選択は、板材Wの寸法(パンチ115とダイ121とで曲げ加工がなされる曲げ線の延伸方向における板材Wの端部の長さ)に応じて適宜決定される。
2つのバックゲージ143のそれぞれが係合した2つの突き当て支持体139のそれぞれは、バックゲージ143とともに前後方向で別個に移動位置決めされるようになっている。
なお、すでに理解されるように、支持体139、突き当て145、バックゲージ143等によって、折曲加工装置101における押圧幅調節機構が構成されている。
また、第1の実施形態の係る折曲加工装置1でも、同様にしてバックゲージで押圧型(突き当て支持体;当接バー支持体)の位置決めがなされるようになっている。
突き当て145は、突き当て支持体139の板材Wを押圧する面(板材押圧面)149に対して出没自在になっている。また、突き当て145は、板材押圧面149から上方に突出するように、圧縮コイルバネ151等の弾性体で付勢されている。そして、板材Wの位置決めをするときには、突き当て145は、板材押圧面149から上方に突出しており、板材Wが上側端面押圧型127と下側端面押圧型135とで押圧されるときには、突き当て145は、上側端面押圧型127に押されて突き当て支持体(下側端面押圧型135を構成している押圧型)139に埋没する方向(下方向)に移動するようになっている。
また、折曲加工装置101(第1の実施形態にかかる折曲加工装置1を含む)には、板材Wをヘミング加工(図22、図23参照)するヘミング加工部153が設けられている。
なお、ヘミング加工部153は、端面押圧部105によって構成されている(端面押圧部105と兼用されている)。
ところで、ダイ保持体125と上部押圧型127とを有しているダイ側部材111、ベースフレーム123、下部押圧型135等によって、金型設置体(ダイ設置体)155が構成されている。
金型設置体155は、すでに理解されるように、パンチ115とダイ121とを用いて板材Wに曲げ加工等を施す折曲加工装置101(第1の実施形態にかかる折曲加工装置1を含む)に設置されて使用されるものである。
金型設置体155には、金型設置部157と端面押圧部105とヘミング加工部153とが設けられている。金型設置部157には、ダイ121が設置されるようになっている(ダイ121の代わりにパンチ115が設置されるようになっていてもよい)。
また、上述したように、端面押圧部105によって、パンチ115と金型設置部157に設置されたダイ121とで曲げ加工がされる前の板材Wの曲げ線に沿う端面側の部位が押圧されるようになっている。
端面押圧部105は、板材Wの曲げ加工の曲げ線の延伸方向で複数の押圧型137,139に分割されており、板材Wの曲げ線に沿う端面側の部位を押圧するときには、分割がされている各押圧型137を選択的に使用できるように構成されている。
突き当て145が設けられている押圧型139は、前述したように、折曲加工装置101のバックゲージ143によって移動位置決めされるようになっている。
なお、図15では、3つの金型設置体155A,155B,155Cがこれらの長手方向につながっている。図15に示すような金型設置体155が、折曲加工装置101に設置されるようになっている。
ここで、折曲加工装置101や金型設置体(ダイ設置体)155についてさらに詳しく説明する。
説明の便宜のために水平な一方向(左右方向)をX軸方向とし、X軸方向に対して直交する水平な他の一方向(前後方向)をY軸方向とし、X軸方向とY軸方向とに直交する方向(上下方向)をZ軸方向とする。
図13や図14で示すように、折曲加工装置101の装置基台(フレーム)107の前側下方には、下部テーブル159が一体的に設けられている。下部テーブル159の上面には、金型設置体155(155A,155B,155C)がこれらの長手方向で順につながって(図13、図15参照)X軸方向に長く延びて設けられている。
金型設置体155(155A,155B,155C)それぞれの上方には、ダイ121(121A,121B,121C)が一体的に設置されている。各ダイ121A,121B,121Cは同一の仕様であり、これらの長手方向で順につながって(図13参照)X軸方向に長く延びている。
装置基台107の前側上方には、上部テーブル119が設けられている。上部テーブル119は、装置基台107に対してZ軸方向で移動自在になっている。
上部テーブル119の下面には、パンチホルダ117を介して、パンチ115(115A,115B,115C)が一体的に設置されている。各パンチ115A,115B,115Cは同一の仕様であり、これらの長手方向で順につながって(図13参照)X軸方向に長く延びている。
上部テーブル119に設置された各パンチ115A,115B,115Cのそれぞれに、下部テーブル159に設置された各ダイ121A,121B,121Cのそれぞれが対向している。
折曲加工装置101(折曲加工装置1)には、制御装置161が設けられている。そして、制御装置161の制御の下、上部テーブル119が、折曲駆動装置113の油圧シリンダ163によって、Z軸方向で移動位置決めされるようになっている。
これにより、折曲加工部103による板材Wの折り曲げ加工がなされ、端面押圧部105による板材Wの端面の押圧がなされ、ヘミング加工部153による板材Wのヘミング加工がなされるようになっている。
バックゲージ143は、Z軸方向では装置基台107の中央部に、X軸方向では、下部テーブル159よりも後側に設けられており、制御装置161の制御の下、装置基台107に対して、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向で移動位置決めされるようになっている。
次に、金型設置体155Aについて詳しく説明する。金型設置体155B、155Cは、金型設置体155Aと同様に構成されているので、金型設置体155B、155Cの説明は省略する。
金型設置体155Aは、図17、図21等で示すように、ベースフレーム123、ダイ保持体125、上部押圧型127、シリンダ129、下部押圧型135(押圧型137、139)、連結部材141、突き当て145を備えて構成されている。
ベースフレーム123は、細長い直方体状に形成されている。さらに説明すると、ベースフレーム123の断面(長手方向であるX軸方向に対して直交する平面による断面)は、矩形状の下側基部165と矩形状の上側係合部167とを備えている。
上側係合部167の幅(Y軸方向の寸法)の値は、下側基部165の幅(Y軸方向の寸法)の値よりも小さくなっている。上側係合部167は、Y軸方向では下側基部165の中間部に位置し、Z軸方向では下側基部165の上端から上方に突出している。
ダイ保持体125も、ベースフレーム123と同じ長さで細長い直方体状に形成されており、X軸方向(長手方向)で、ベースフレーム123と同じところに位置している。さらに説明すると、ダイ保持体125の断面(長手方向に対して直交する平面による断面)は、矩形状の上側本体部169と矩形状の下側突出部171とを備えている。
下側突出部171の幅(Y軸方向の寸法)の値は、上側本体部169の幅(Y軸方向の寸法)の値よりも小さくなっている。下側突出部171は、Y軸方向では上側本体部169に後端部に位置し、Z軸方向では上側本体部169の下端から下方に突出している。
また、ダイ保持体125には、ダイ設置用凹部(ダイ設置用溝)173が形成されている。ダイ設置用凹部173は、ダイ保持体125の長手方向(X軸方向)の全長にわたって形成されている。ダイ保持体125の断面をとると、ダイ設置用凹部173は、幅の値が上側本体部169の幅の値よりも小さく、深さ(Z軸方向の寸法)の値が上側本体部169の高さ(Z軸方向の寸法)の値よりも小さくなっている。そして、ダイ設置用凹部173は、Y軸方向では上側本体部169の中間部に位置し、Z軸方向では上側本体部169の上端から下方に凹んでいる。
ダイ121は、この下部がダイ設置用凹部173に入り込んで、ダイ保持体125に一体的に設置されている。ダイ121の長さ(X方向の寸法)は、ベースフレーム123と同じ長さになっており、X軸方向(長手方向)で、ベースフレーム123と同じところに位置している。
上部押圧型127も、ベースフレーム123と同じ長さで細長い直方体状に形成されており、X軸方向(長手方向)で、ベースフレーム123と同じところに位置している。さらに説明すると、上部押圧型127の断面(長手方向に対して直交する平面による断面)は、矩形状の上側凹部175と三角形状の下側面取部177とを備えて概ね「L」字状に形成されている。
上側凹部175と下側面取部177は、上部押圧型127の長手方向(X軸方向)の全長にわたって形成されている。上部押圧型127の断面をとると、上側凹部175は、幅の値が上部押圧型127の幅の値よりも小さく、深さ(Z軸方向の寸法)の値が上部押圧型127の高さ(Z軸方向の寸法)の値よりも小さくなっている。そして、上側凹部175は、上部押圧型127後上側の角部に設けられている。また、下側面取部177は、上部押圧型127前下側の角部に設けられている。
上部押圧型127は、ダイ保持体125の上側本体部169の前方下側の角部を構成している2つ面(辺)が、上側凹部175に入り込み、上側凹部175の2つの面(X軸方向とY軸方向とに展開している平面と、X軸方向とZ軸方向とに展開している平面)のそれぞれが、上側本体部169の前方下側の2つの面のそれぞれに面接触するようにして、ダイ保持体125に一体的に設けられている。
ダイ保持体125に上部押圧型127が設置されていることで、ダイ保持体125と上部押圧型127と下方の中央部には、細長い直方体矩形状の溝179が形成されている。
この溝179に、ベースフレーム123の上側係合部167が入り込んで、ダイ保持体125と上部押圧型127とに、ベースフレーム123が係合することで、ベースフレーム123に対してダイ保持体125と上部押圧型127とが滑り対偶をなし、ベースフレーム123に対してダイ保持体125と上部押圧型127とが、Z軸方向で移動するようになっている。
なお、溝179の幅(Y軸方向の寸法)は、ベースフレーム123の上側係合部167の幅(Y軸方向の寸法)よりもごく僅かに大きくなっている。
ベースフレーム123内には、シリンダ129が設けられている。シリンダ129は、筒状のシリンダ本体部181とピストン183とピストンロッド185とを備えて構成されている。
シリンダ129は、Y軸方向では、ベースフレーム123の中央部に設けられており、Z軸方向では、シリンダ本体部181とピストン183とが下方に位置し、ピストンロッド185が上方に突出している。ピストンロッド185の先端部は、ベースフレーム123(上側係合部167)の上端から突出して、ダイ保持体125の上側本体部169に一体的に係合している。シリンダ本体部181は、ベースフレーム123に一体的に設けられている。
そして、ピストン183の上側のシリンダ室を大気開放しておいて、ピストン183の下側のシリンダ室に圧縮空気を供給すると、図17、図18、図21、図22で示すように、ダイ保持体125と上部押圧型127とダイ121とが上昇端に位置するようになっている。
一方、ピストン183の上側のシリンダ室と下側のシリンダ室とを大気開放すると、たとえば自重によってダイ保持体125と上部押圧型127とダイ121とが下降するようになっている(図19、図20、図24等参照)。
下部押圧型135の押圧型137(137A)は、細長い直方体状に形成されている。さらに説明すると、図17等で示すように、押圧型137の断面(長手方向に対して直交する平面による断面)は、上方前側に切り欠き187が設けられた概ね矩形な形状に形成されている。
また、ベースフレーム123の下側基部165の前方上部には、凹部189が設けられている。ベースフレーム123の断面をとると、図17等で示すように、凹部189は矩形状に形成されており、ベースフレーム123の下側基部165の前方上部の角部のところに設けられている。
押圧型137は、凹部189に入り込んでおり、押圧型137の下面と凹部189の底面とはお互いが面接触している。また、押圧型137は、図示しない空気圧シリンダ等のアクチュエータにより、ベースフレーム123に対してY軸方向で移動するようになっている。
なお、図17、図19、図22、図23、図24では、押圧型137は前側の移動端に位置しており、図20では、押圧型137は後側の移動端に位置している。
下部押圧型135の押圧型139(139A,139B)は、図18で示すように、この断面(X軸方向に対して直交する平面による断面)が、下側水平部位191と上側起立部位193とを備えた「L」字状に形成されている。
下側水平部位191の高さ寸法(Z軸方向の寸法)は、押圧型137の高さ寸法と一致している。また、下側水平部位191の前方上部には、切り欠き187と同様な切り欠き195が設けられている。
ベースフレーム123の下側基部165の上部と上側係合部167の下部には、ベースフレーム123を前後方向に貫通している貫通孔197が設けられている。貫通孔197の底面の高さ位置は、凹部189の底面の高さ位置と一致している。
また、貫通孔197に設置された押圧型139は、この下面が貫通孔197の底面に面接触して滑り対偶をなしている。
したがって、押圧型137、139がベースフレーム123に設置された状態では、Z軸方向で、押圧型137の上面203の位置と、押圧型139の下側水平部位191の上面201の位置とがお互いに一致している。
また、押圧型139の上側起立部位193が、バックゲージ143に一体的に係合することで、押圧型139は、Y軸方向で移動位置決め自在になっている。
押圧型139の下側水平部位191には突き当て145が設けられている。突き当て145は、下側水平部位191に対して上下方向で移動するようになっており、下側水平部位191の上面201に対して出没自在になっている。
また、突き当て145は、圧縮コイルバネ151で上方に付勢されている。そして、なんら外力が加わっていない場合には、突き当て145は、下側水平部位191の上面201から突出している(図18等参照)。一方、パンチ115の下降により上部押圧型127で下方に押されると、突き当て145は、下方に移動する(図19等参照)。
板材Wに舟反り等緩和のための押圧や曲げ加工をするときには、押圧型139(139A〜139F)は、Y軸方向で図18で示すところに位置している。すなわち、上部押圧型127の下面199の前端よりも適宜の寸法L1だけ、突き当て145が後方に位置している。なお、寸法L1が板材Wの押圧幅になる。
ヘミング加工をするときには、図21で示すように、押圧型139は後方端に位置している。このとき、突き当て145は、ベースフレーム123の貫通孔197内に入り込んでいる。
なお、図18で示す場合であっても、図21で示す場合であっても、押圧型139の下側水平部位191の上面201の一部は、板材Wを挟み込んで押圧するために、上部押圧型127の下面199と対向している。
また、金型設置体155Aでは、X軸方向で左から右に向かって、押圧型137A、押圧型139A、押圧型137A、押圧型139B、押圧型137Aがこの順にならんでいる。
さらには、図13で示すように、X軸方向で左から右に向かって、金型設置体155A、金型設置体155B、金型設置体155Cがこの順にならんでいるとすると、左から右に向かって、押圧型137A、押圧型139A、押圧型137A、押圧型139B、押圧型137A、押圧型137B、押圧型139C、押圧型137B、押圧型139D、押圧型137B、押圧型137C、押圧型139E、押圧型137C、押圧型139F、押圧型137Cがこの順にならんでいる(図15参照)。
なお、図17に参照符号205で示すものは、板材Wをガイドするためのガイドプレートである。ガイドプレート205は、たとえば連結部材141を介して、ベースフレーム123に一体的に設けられている。
また、ベースフレーム123の下端からは、係合ピン207が突出している。ベースフレーム123(金型設置体155)は、係合ピン207と図示しないボルト等の締結具によって、下部テーブル159の上面で下部テーブル159に一体的に設置されている。
なお、すでに理解されるように、パンチ115と金型設置体155に設置されたダイ121とによって、折曲加工部103が形成されており、金型設置体155の上部押圧型127(下面199)と金型設置体155の下部押圧型135(上面201,203)とで、端面押圧部105とヘミング加工部153とが形成されている。
次に、折曲加工装置101の動作について説明する。
金型設置体155Aと金型設置体155Bと金型設置体155CとのX軸方向の長さは、1500mm(500mm×3)とする。すなわち、ダイ121とパンチ115とによって、最大1500mmに長さにわたり、板材Wに1回で曲げ加工を施すことができるものとする。また、板材Wの曲げ線の長さは、1500mmよりも若干短いものとする。
まず、板材Wに舟反り等緩和のための押圧や曲げ加工をするときの動作を説明する。
初期状態として、図17や図18で示すように、パンチ115が上昇しており、ダイ保持体125と上部押圧型127とが上昇端に位置しており、金型設置体155Aの押圧型139と、金型設置体155Bの押圧型139と、金型設置体155Cの押圧型139とは、図18で示すところに位置しており、金型設置体155Aの押圧型137Aが、図17で示すように前側に位置しており、金型設置体155Bの押圧型137Bと金型設置体155Cの押圧型137Cとが、図20で示すように後側に位置しているものとする。
上記初期状態において、板材Wを金型設置体155(155A〜155C)に設置する。この状態では、X軸方向で金型設置体155(155A〜155C)と板材Wの位置とがお互いに一致しており、また、図17や図18で示すように、突き当て145に板材Wが当接してY軸方向で板材Wの位置決めがされている。
続いて、パンチ115を下降して金型設置体155Aの上部押圧型127と、金型設置体155Aの下部押圧型135(押圧型137A、139A、139C)とで、板材Wの長さ方向の一端部を幅L1(図19参照)で押圧する。
この押圧のとき、金型設置体155Bの上部押圧型127と、金型設置体155Bの押圧型139C,139Dとにより、また、金型設置体155Cの上部押圧型127と、金型設置体155Cの押圧型139E,139Fとにより、同様の押圧がなされる。
続いて、パンチ115とダイ保持体125と上部押圧型127とを上昇端に位置させ、金型設置体155Aの押圧型137Aを図20で示すように後側に位置させ、金型設置体155Bの押圧型137Bを図20で示すように前側に位置させる。
続いて、パンチ115を下降して金型設置体155Bの上部押圧型127と、金型設置体155Bの下部押圧型135(押圧型137B、139C、139D)とで、板材Wの長さ方向の中央部を幅L1(図19参照)で押圧する。
この押圧のとき、金型設置体155Aの上部押圧型127と、金型設置体155Aの押圧型139A,139Bとにより、また、金型設置体155Cの上部押圧型127と、金型設置体155Cの押圧型139E,139Fとにより、同様の押圧がなされる。
続いて、パンチ115とダイ保持体125と上部押圧型127とを上昇端に位置させ、金型設置体155Bの押圧型137を図20で示すように後側に位置させ、金型設置体155Cの押圧型137を図20で示すように前側に位置させる。
続いて、パンチ115を下降して金型設置体155Cの上部押圧型127と、金型設置体155Cの下部押圧型135(押圧型137C、139E、139F)とで、板材Wの長手方向の他端部を幅L1(図19参照)で押圧する。
この押圧のとき、金型設置体155Aの上部押圧型127と、金型設置体155Aの押圧型139A,139Bとにより、また、金型設置体155Bの上部押圧型127と、金型設置体155Bの押圧型139C,139Dとにより、同様の押圧がなされる。
以上により、1500mmに全長にわたる板材Wの押圧(板材Wに舟反り等緩和のための押圧)が終了する。
続いて、パンチ115とダイ保持体125と上部押圧型127とを上昇端に位置させ、板材Wを金型設置体155から搬出し、図24で示すように、ダイ保持体125と上部押圧型127とを上昇端に位置させる。ダイ保持体125と上部押圧型127とを下降端に位置させた状態では、図25で示すように、上部押圧型127の下面199と下部押圧型135の上面201,203との間は、ごく僅かの間隙(0.2mm程度の間隙)になっている。
これにより、上部押圧型127の下面199と下部押圧型135の上面201,203との間にゴミ等の異物が入り難くなっており、板材Wの曲げ加工を精度良く行うことができる。
なお、ダイ保持体125と上部押圧型127とを下降端に位置させた状態では、ベースフレーム123の上側係合部167の上面と、ダイ保持体125の上側本体部169の下面とは、お互いに面接触している。
続いて、板材Wをダイ121に載置し、パンチ115を下降して、ほぼ1500mmの長さにわたり板材Wに一度の動作で曲げ加工をする。
次に、板材Wにヘミング加工をするときの動作を説明する。
初期状態として、図21で示すように、パンチ115が上昇しており、ダイ保持体125と上部押圧型127とが上昇端に位置しており、金型設置体155Aの押圧型139と、金型設置体155Bの押圧型139と、金型設置体155Cの押圧型139とは、後端に位置しており、金型設置体155Aの押圧型137Aと、金型設置体155Bの押圧型137Bと、金型設置体155Cの押圧型137Cとが、前側に位置しているものとする。
上記初期状態において、図24で示すように、パンチ115を下降して板材Wに曲げ加工を施す。この曲げ加工は、ほぼ1500mmの長さにわたって一度になされる。曲げ角度は、30°程度になっている。
続いて、パンチ115を上昇して、ダイ保持体125と上部押圧型127とを上昇端に位置させ、30°程度の曲げ加工をした板材Wの部位を、上部押圧型127と下部押圧型135との間に設置する(図22参照)。
続いて、パンチ115を下降して、上部押圧型127と下部押圧型135とで、板材Wの30°程度の曲げ加工をした部位を挟み込むことで、ヘミング加工をする(図23参照)。
なお、板材Wにヘミング加工をするとき、図22で示す状態と図23で示す状態とでは、板材Wの左端の位置が一定になっているが、金型設置体155に発生するモーメントを少なくするために、たとえば突き当て145の位置を適宜変更し、これに板材Wを突き当てることで、板材Wの左端の位置を変えてもよい(たとえば、特開2003−181546号公報参照)。
ところで、上記説明では、3つのパンチ115が同一の仕様になっており、3つのダイ121も同一の仕様になっているが、パンチ115やダイ121を異なる仕様のものとしてもよい。ただし、金型ハイト(板材Wのパスライン)はお互いに等しくなっているものとする。
そして、各金型設置体155において、異なった加工を板材Wに施してもよい。
たとえば、金型設置体155Aのところで、板材Wにヘミング加工を施し、金型設置体155Bと金型設置体155Cのところで、板材Wに押圧と曲げ加工を施してもよい。
これにより段取り変えをすることなく、板材Wに曲げ加工やヘミング加工等の異なる加工を施すことができる。
折曲加工装置101によれば、各押圧型137,139が板材Wを押圧するときに選択的に押圧可能なようになっているので、折曲駆動装置113における最大の押圧力に値を大きくすることなく(最大推力の値が大きい大型の折曲加工装置を用いることなく)、板材Wに十分な押圧力を加えることができ、曲げ加工のときに板材Wに発生する舟反りや舟反りの量を許容値内に容易におさめることができる。
また、折曲加工装置101によれば、各押圧型137,139のそれぞれが、前後方向に移動することで、上記選択がなされるように構成されているので、簡素な構成で板材を押圧する押圧型の選択をすることができる。
また、折曲加工装置101によれば、別途機構やアクチュエータを用いることなく、バックゲージ143を用いた簡素な構成で、押圧される板材Wの面積(幅;図18や図19の寸法L1)を設定することができる。
また、折曲加工装置101によれば、ヘミング加工部153が端面押圧部105によって構成されているので、別途ヘミング加工部を設けることなく簡素な構成で、板材Wにヘミング加工を施すことができる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係る折曲加工装置(プレスブレーキ;板材Wの加工装置)301では、板材Wの曲げ加工をすることが無い押圧金型303を用いて、板材Wの端部の押圧(切断によって生じた残留応力を調整するため押圧;板材Wを曲げ加工するときの反りを少なくするための押圧)とヘミング加工(ヘミング加工は必要な亜倍のみなされる)とをするようになっている点が、第1の実施形態に係る折曲加工装置1や第2の実施形態に係る折曲加工装置101と異なり、その他の点は、折曲加工装置1,101とほぼ同様に構成されており、ほぼ同様に動作しほぼ同様の効果を奏するようになっている。
第3の実施形態に係る板材の加工装置(加工装置)301は、装置基台(たとえば、図14で示す装置基台107と同様な基台)302(図30(b)参照)を備えており、板材Wを加圧する加圧部(加圧手段)305と、この加圧部305で加圧される板材Wを受ける受け部(受け手段)307とを備えて構成されている(図26、図27、図29等参照)。
また、加工装置301は、端面押圧上型309と端面押圧下型311と端面押圧部313と端面押圧幅調節部(端面押圧幅調節機構)315とを備えて構成されている。
端面押圧上型309は、加圧部305からの加圧力を受けるようになっている。加圧部305は、装置基台302の上側に設けられた油圧シリンダ(図13等で示す第2の実施形態に係る加工装置101の油圧シリンダ163と同様な油圧シリンダ)等のアクチュエータによって構成されている。受け部307は、装置基台302の下側の部位によって構成されている。
端面押圧下型311は、端面押圧上型309に対向して受け部307側(下側)に設けられており、端面押圧上型309との間に板材Wの端面が挿入されるようになっている。
端面押圧部313では、加圧部309の加圧力により端面押圧上型309を端面押圧下型311側に相対的に移動することで(端面押圧上型309が下降することで)、板材Wの加工前(折り曲げ加工前)の折曲線に沿う一方の端面319を押圧(加圧)するようになっている(図27、図30等参照)。換言すれば、端面押圧部313では、端面押圧上型309と端面押圧下型311と間で(加圧部305と受け部307との間で)、端面押圧上型309と端面押圧下型311とによって板材Wを挟み込み、板材Wの端部をこの厚さ方向で押圧するようになっている。
端面押圧幅調節部315は、端面押圧部313で板材Wの押圧をするときに、板材Wの端面310のところの押圧幅(Y軸方向の寸法)を設定するものである。この設定により、板材Wの一方の端面の突き当て面(被突き当て面)319が、端面押圧上型309への加圧部305の加圧力の加圧中心(押圧中心)317よりも、端面押圧上型309と端面押圧下型311との間への板材Wの挿入方向(図30では左から右に向かう方向;Y軸方向で前から後に向かう方向)の手前側(「C」字状の装置基台302とは反対側)に位置するようになっている(図30(b)参照)。すなわち、被突き当て面319が、Y軸方向で、加圧中心317よりも僅かに前側に位置し、さらに、板材Wの全体が、Y軸方向で、突き当て面319よりも前側に位置するようになっている。
また、端面押圧下型311は、第2の実施形態に係る加工装置101の場合と同様にして、X軸方向で端面押圧上型309との間で板材Wの端部を押圧可能な複数個の押圧型321(321A〜321I)に分割されている(図26等参照)。
これらの分割された各押圧型321は、板材Wの端面319のところを押圧するときに選択的に使用されるように(選択的に押圧可能なように)構成されている。
また、各押圧型321のそれぞれが、端面押圧上型309の端面押圧下型311側への駆動方向(Z軸方向)に対して交差する方向(Y軸方向)に移動することで、上記選択がなされるように構成されている。
端面押圧幅調節部315は、各押圧型321のうちの一部の押圧型であって加工装置301のバックゲージ(図26〜図30では図示せず)によって上記交差する方向(Y軸方向)で移動位置決めされる押圧型(321B,321D,321F,321H)と、この押圧型に設けられ板材Wが突き当てられる突き当て(当接バー)323とを備えて構成されている。
押圧型321A,321C,321E,321G,321Iは、図示しない空気圧シリンダ等のアクチュエータで、Y軸方向に移動するようになっている。
なお、突き当て323は、第2の実施形態に係る加工装置101の場合と同様にして、圧縮コイルばね325により上方に付勢されている(図29参照)。
また、加工装置301には、板材Wの端面をヘミング加工するヘミング加工部327が設けられている(図28参照)。ヘミング加工部327は、端面押圧部313によって構成されている。
ところで、すでに理解されるように、端面押圧上型309と、端面押圧下型311と、端面押圧部313と、端面押圧幅調節部315とによって、加工装置(たとえばプレスブレーキ)301に設置されて使用される押圧金型303が形成されている。
加工装置301は、パンチとダイと加圧部305とを用いて板材Wに曲げ加工を施すものである。ただし、押圧金型303を使用して、板材Wを曲げ加工することなく板材Wを押圧する場合には、パンチとダイとは使用されない。パンチの代わりに、図26等で示すような、下面が平面になっている端面押圧上型309が使用され、ダイの代わりに上面が平面になっている端面押圧下型311が使用されるようになっている。
また、上述したように、押圧金型303では、端面押圧下型311が、X軸方向で複数の押圧型321(321A〜321I)に分割されており、板材Wの曲げ線に沿う端面319側の部位を押圧するときには、分割がされている各押圧型321を選択的に使用できるように構成されている。各押圧型321のそれぞれがY軸方向に移動することで、上記選択がなされるように構成されている。各押圧型321のうちの一部の押圧型(突き当て323が設けられている押圧型)は、加工装置301のバックゲージによってY軸方向で移動位置決めされるように構成されている。
さらに、押圧金型303には、ヘミング加工部327が設けられており、ヘミング加工部327は、端面押圧部313によって構成されている。
加工装置301によれば、端面押圧部313で板材Wを押圧するときに、板材Wの端面319および板材Wの全体とが「C」字状の装置基台302とは反対側に位置しているので(図30参照)、板材Wを曲げ加工するときの反りを少なくするためになされる板材Wの押圧を確実に行うことができる。
すなわち、図30(a)で示すようにして板材の端面319のところを押圧する場合、押圧の中心317に対して板材Wが「C」字状の装置基台302とは反対側に位置しておりしかも装置基台302等が当然なことに完全な剛体ではないので、端面押圧上型309(端面押圧下型311)にモーメント(図30の矢印MT参照)が発生し、装置基台302等にごくわずかな弾性変形(撓み)が発生し、端面押圧上型309(端面押圧下型311)がごく僅かに傾く(図30(b)参照)。なお、図30(b)では、端面押圧上型309の傾きを誇張して描いてある。
上述したモーメントMTによるごく僅かな傾きにより、板材Wの端319に最大の押圧力がかかる。これによって、板材Wの押圧を正確にしかも確実に行うことができ、板材Wを曲げ加工したときに発生する舟反りの量を確実に小さくすることができる。
ところで、各押圧型321B,321D,321F,321Hのそれぞれに設けられている突き当て323が、Z軸方向に移動せず、各押圧型321B,321D,321F,321Hのそれぞれに一体的に設けられており、突き当て323の高さが一定になっていてもよい。
この場合、突き当て323と下降した端面押圧上型309との干渉を避けるために、端面押圧上型309に、突き当て323が入り込む凹部(図示せず)が設けられているものとする。
なお、板材Wの厚さの値が、突き当て323の突出高さの値よりも大きければ、突き当て323が入り込む凹部を端面押圧上型309に設ける必要は無い。
さらに、各押圧型321B,321D,321F,321HのそれぞれをY軸方向で固定してもよい。
また、図13で示す各金型設置体121A,121B,121Cのうちの少なくとも1つの金型設置体を、押圧金型303に置き換えてもよい。この場合、パスライン(金型ハイト)が等しくなっているものとする。