JP2017122678A - 物理量センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】素子の振動に依らず角速度を測定可能な、MEMS加工により簡易に製造できる小型かつ高精度の物理量センサ素子及びそれを用いた物理量センサを提供する。
【解決手段】複数の錘と、錘を支持する支持部と、錘の変位を検出する検出機構を有するセンサ素子とを備えた物理量センサであって、外力により複数の錘に生じる変位量の差分と、複数の錘間の間隔と、錘の質量、を用いて複数の力学的物理量を計測する、半導体加工技術を用いたマイクロマシニングによって作製される、物理量センサを提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の錘と、錘を支持する支持部と、錘の変位を検出する検出機構を有するセンサ素子とを備えた物理量センサであって、外力により複数の錘に生じる変位量の差分と、複数の錘間の間隔と、錘の質量、を用いて複数の力学的物理量を計測する、半導体加工技術を用いたマイクロマシニングによって作製される、物理量センサを提供する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、素子の振動に依らず加速度、角速度、角加速度を測定可能な、物理量センサに関するものである。
マイクロマシニング技術により物理量を検出するMEMS(Micro Electromechanical System)デバイスが多く活用されている。その一つとして、例えば、振動する質量体に回転が加えられた際に生じるコリオリ力に起因して発生する非常に微弱な振動や変位を、圧電素子や静電容量変化を介して検出することにより、各方向における回転動作、すなわち、回転角速度を検知、測定することが可能な振動ジャイロなどの角速度センサが挙げられる。
角速度センサに必要とされる性能に安定性がある。
マシニングを用いて作製された角速度センサは小型かつ安価に製造できる長所があるが、駆動腕の振動が励起するコリオリ力によって角速度を検出している原理上、振動により励起されるノイズや温度ドリフト、また機械的な制約により、測定の安定性が低下する。
マシニングを用いて作製された角速度センサは小型かつ安価に製造できる長所があるが、駆動腕の振動が励起するコリオリ力によって角速度を検出している原理上、振動により励起されるノイズや温度ドリフト、また機械的な制約により、測定の安定性が低下する。
また角速度センサに必要とされる特性の一つにセンササイズの小型化も挙げられる。センサ単体の小型化をはじめ、複数のセンサや制御回路を集積し、素子とパッケージを同一行程で作り込むウエハレベルパッケージなどの手法が開発、実用化され、センサ素子の小型化が進んでいるが、さらなる小型化のため、1つのセンサ素子で加速度や角速度、角加速度などの複数の物理量を取得することが検討されている。
特許文献1には、H型角速度センサの一例が示されている。H型の振動腕があり、振動腕には、励振するための駆動腕と、振動したときの振動状態を検出するための検出腕がある。振動腕を支持する支持梁があり、駆動腕2本と検出腕2本とからなる4本の振動腕がこの支持梁より突出してH字状に備えられている。支持梁を固定、支持するのが連結片であり、振動腕が振動する際の支持梁の歪み度合いを検出している歪み検出手段を有している。
上記のように構成された従来のH型角速度センサについて、その動作について説明する。まず、振動腕の長手方向と直交する方向の軸であるX軸に沿って一方の側の励振するための駆動腕を振動させると、振動状態を検出するための検出腕はX軸と直交するZ軸方向に沿って振動したときの振動状態を検出する。このとき、支持梁に設けられた歪み検出手段が支持梁の歪み度合いを検出する。この歪み検出手段は支持梁における連結片の突出部分の両側に配設されるという技術が、特許文献1には、開示されている。
特許文献2には、加速度・角速度の複合センサの一例が示されている。加速度検出素子と、角速度検出素子、これを支持する基板と、角速度検出素子と基板を接続する第1接続部と、加速度検出素子と基板を接続する第2の接続部、を備えている。加速度検出素子は、静電容量方式、又は歪抵抗方式のいずれかの方式を用いて加速度を検出し、角速度検出素子は、振動子の振動に基づいて角速度を検出する。
上記のように構成された従来の複合センサについて、角速度検出素子と加速度検出素子を同一のパッケージ基板上に隣接して実装すると、角速度検出素子と加速度検出素子が互いに干渉し、検出精度が低下するという問題が挙げられている。特許文献2においては、この課題に対し、導電性ポストを伝達する過程で減衰させることで角速度検出素子において発生する振動を加速度検出素子に伝達することを抑制する技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1の構成では、振動を用いて角速度を検出するため、振動に起因するノイズが発生し、検出精度が低下するという問題点がある。
特許文献2の従来の構成では、角速度検出素子で生じる振動が加速度検出素子へ伝達しないよう導電性ポストを用いているが、このような構成にすることにより工程数の増加を生じ、生産性や歩留まりの低下、製造コストが増大する問題がある。また角速度と加速度の両物理量を検出するために、角速度検出素子と加速度検出素子を隣接して配置しているが、センサ素子が大型化する問題がある。
本発明は、以上の点を考慮してなされたもので、素子の振動に依らず加速度、角速度、角加速度を測定可能な、小型かつ高精度の物理量センサ素子及びそれを用いた物理量センサを提供することを目的とする。
本発明は、複数の錘と、前記錘を支持する支持部と、前記錘の変位を検出する検出機構を有するセンサ素子と、制御回路とを備えた物理量センサであって、外力により前記複数の錘に生じる変位量と、前記変位量の差分と、複数の前記錘間の間隔と、前記錘の質量、を用いて前記制御回路によって力学的物理量を計測可能な、物理量センサである。
このような構成にすることにより、素子が振動部分を持たないため、高い安定性を有した物理量センサを簡易に製造可能となる。
また本発明は、少なくとも第1、第2、第3の前記錘を有し、前記第1の錘の重心から前記第2の錘の重心へ結んだ直線が、前記第1の錘の重心から前記第3の錘の重心へ結んだ直線に少なくとも一致しないような構成を有する、請求項1に記載の物理量センサとしてもよい。
このような構成にすることによって、多軸の物理量を計測可能な物理量センサが実現できる。
また本発明は、前記複数の錘と、前記支持部と、前記検出機構の構成は、同一部材を少なくとも含む、請求項1又は2に記載の物理量センサとしてもよい。
このような構成にすることによって、高い安定性を有した小型の物理量センサを製造可能となる。
また本発明は、外力による前記錘の変位に応じて、前記錘を初期位置に維持する機構及び制御回路を更に有する、請求項1から3のいずれかに記載の物理量センサとしてもよい。
このような構成にすることによって、錘間の距離を一定に保ち、計測精度の向上が実現できる。
また本発明は、前記力学的物理量が角速度、加速度、角加速度のうちの何れかであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の物理量センサとしてもよい。
このような構成にすることにより、回転物理量を検出可能な、高い安定性を有した物理量センサを実現できる。
素子が振動部分を持たないため、高い安定性を有した角速度測定可能な物理量センサを簡易に製造可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることができる。
実施形態について、図を用いて説明する。これらの図においては形状を分かりやすくするために、電極、及び、配線部を省略している。当然ながら、実際のセンサではこれらが必要になる。
(実施形態1)
図1は実施形態1の静電容量変化を錘の変位検出に用いた物理量センサ1の平面図の略図であり、図1では物理量センサ素子2を覆うパッケージは図示していない。図1において、物理量センサ1は、センサ素子2と、4つの錘3a、3b、3c、3dと、支持部4a、4b、4c、4dと、錘の変位を検出する検出機構5a、5b、5c、5dと、センサ素子2を保持するためのパッケージ、を備えており、錘の重心6a、6b、6c、6dは、任意の2つの錘の重心を結んだ直線が、他の2つの錘の重心を結んだ直線に一致しない組み合わせが少なくとも1組あるように配置される。例えば錘の重心6aと6bを結んだ直線は、錘の重心6aと6cを結んだ直線に一致しない。検出機構5a、5b、5c、5dは錘3a、3b、3c、3dの変位をそれぞれ検出するが、その検出する直交2軸方向をx方向、y方向とすれば、x軸に平行な直線上、y軸に平行な直線上それぞれに2つの錘の重心が一致するように並べられている。例えば錘の重心6aと6bを結ぶ直線がx軸に平行であり、錘の重心6aと6cを結ぶ直線はy軸に平行である。図示はしていないが、物理量センサ1は物理量を検知するシステムを構成する1つの部品であり、多くの場合において、周囲の回路部品と共に回路基板に実装されて使われる。
図1は実施形態1の静電容量変化を錘の変位検出に用いた物理量センサ1の平面図の略図であり、図1では物理量センサ素子2を覆うパッケージは図示していない。図1において、物理量センサ1は、センサ素子2と、4つの錘3a、3b、3c、3dと、支持部4a、4b、4c、4dと、錘の変位を検出する検出機構5a、5b、5c、5dと、センサ素子2を保持するためのパッケージ、を備えており、錘の重心6a、6b、6c、6dは、任意の2つの錘の重心を結んだ直線が、他の2つの錘の重心を結んだ直線に一致しない組み合わせが少なくとも1組あるように配置される。例えば錘の重心6aと6bを結んだ直線は、錘の重心6aと6cを結んだ直線に一致しない。検出機構5a、5b、5c、5dは錘3a、3b、3c、3dの変位をそれぞれ検出するが、その検出する直交2軸方向をx方向、y方向とすれば、x軸に平行な直線上、y軸に平行な直線上それぞれに2つの錘の重心が一致するように並べられている。例えば錘の重心6aと6bを結ぶ直線がx軸に平行であり、錘の重心6aと6cを結ぶ直線はy軸に平行である。図示はしていないが、物理量センサ1は物理量を検知するシステムを構成する1つの部品であり、多くの場合において、周囲の回路部品と共に回路基板に実装されて使われる。
物理量センサ1は、錘3a、3b、3c、3dの質量と、外力により錘3a、3b、3c、3dに生じる変位量の差分と、錘間の間隔、から、加速度や角速度や角加速度などの、複数の力学的物理量を計測することを可能とする物理量計測方法を備え、半導体加工技術を用いたマイクロマシニングによって作製される。つまり、錘と支持部と検出機構の構成は、同一部材を少なくとも含む。具体的には、Si、SiO2、SiCなどの半導体材料やAu、Al、Cuなどの金属材料のうち、特定の同一部材を有し、導電率調整のために、p型、もしくはn型のイオンドーピングされるものを含む。物理量検出の際、錘の強制振動を必要としない。
実施形態1の構成を備えた物理量センサを用いた角速度の計測方法は、回転座標系において運動する物体には、見かけ上の力であるコリオリ力、遠心力、角加速度による力が生じることを利用する。コリオリ力は、F=2mvΩ、であらわされ、物体の質量mと、速度vと、角速度Ω、の積に比例する。遠心力は、F=mrΩ^2、であらわされ、質量mと、回転中心からの距離rと、角速度の2乗Ω^2、の積に比例する。角加速度は、F=mrdΩ/dt、であらわされ、質量mと、回転中心からの距離rと、角加速度dΩ/dt、の積に比例する。
2つの錘3a、3bを用いて角速度を次のような原理で検出することが可能である。錘3a及び錘3bの質量をm、錘3aと錘3bの間の距離7をl、錘3aがうけるある軸(x軸とする)の力成分FAx、x軸と直交しセンサ表面と平行な軸(y軸とする)の力成分FAy、同様に錘3bがうけるx軸方向の力成分FBx、y軸方向の力成分FBy、ΔFx=FAx−FBx、ΔFy=FAy−FBy、とすると、x軸とy軸に垂直な軸(z軸とする)に平行な軸中心に回転する場合に、角速度Ωは下式となる。
Ω^4=(ΔFx^2+ΔFy^2)/(ml)^2
Ω^4=(ΔFx^2+ΔFy^2)/(ml)^2
実施形態1の構成を備えた物理量センサを用いた角加速度の測定方法は、錘3a及び錘3bの質量をm、錘3aと錘3bの間の距離7をl、錘3aがうけるある軸(x軸とする)の力成分FAx、x軸と直交しセンサ表面と平行な軸(y軸とする)の力成分FAy、同様に錘3bがうけるx軸方向の力成分FBx、y軸方向の力成分FBy、とすると、x軸とy軸に垂直な軸(z軸とする)に平行な軸中心に回転する場合、角加速度dΩ/dtは下式となる。
dΩ/dt=(√(ΔFx^2+ΔFy^2))/ml
dΩ/dt=(√(ΔFx^2+ΔFy^2))/ml
実施形態1の構成を備えた物理量センサを用いた回転方向の判定方法であるが、角加速度が正、かつ、角速度の微小時間変化が正である時、角速度は正(ここで角速度は右回り方向を正としている)である。角加速度が正、かつ、角速度の微小時間変化が負である時、角速度は負である。角加速度が負、かつ、角速度の微小時間変化が正である時、角速度は負である。角加速度が負、かつ、角速度の微小時間変化が負である時、角速度は正である。
一定角速度で回転する場合の回転方向は、角加速度=0の前段階計算結果から回転方向の正負を読み出し現在の回転方向の正負を判別する手法を備えた制御回路が有効である。
実施形態1の構成を備えた物理量センサを用いた角加速度、角速度を個別に計測する方法は、錘3a及び錘3bの質量をm、錘3aと錘3bの間の距離7をl、錘3aのx座標、y座標をそれぞれx1、y1、錘3bのx座標、y座標をそれぞれx2、y2、錘3aがうけるある軸(x軸とする)の力成分FAx、x軸と直交しセンサ表面と平行な軸(y軸とする)の力成分FAy、同様に錘3bがうけるx軸方向の力成分FBx、y軸方向の力成分FBy、とすると、x軸とy軸に垂直な軸(z軸とする)に平行な軸中心に回転する場合に、角速度Ω、角加速度dΩ/dtは下式となる。
Ω^2=(ΔFx(x2−x1)+ΔFy(y2−y1))/ml^2
dΩ/dt=(−ΔFx(y2−y1)+ΔFy(x2−x1))/ml^2
Ω^2=(ΔFx(x2−x1)+ΔFy(y2−y1))/ml^2
dΩ/dt=(−ΔFx(y2−y1)+ΔFy(x2−x1))/ml^2
実施形態1の構成を備えた物理量センサは加速度センサの構成と根本的に同一であるため、加速度も検出可能であり、加速度センサとしての機能も備えており、傾斜角度も検出可能である。
実施形態の構成を備えた物理量センサでは、多軸の角速度を検出することが可能である。錘は、例えばx軸とy軸からなる平面内にセンサ表面を持つ物理量センサとし、x軸と平行な直線上に2つ以上の錘の重心が一致するよう並べられ、y軸と平行な直線上に2つ以上の錘の重心が一致するよう並べられているとする。本実施例では、例えば錘3aと3bの重心6a、6bを結んだ直線がx軸に平行であり、錘3aと3cの重心6a、6cを結んだ直線がx軸に平行である。
x軸まわりの角速度が生じた場合、y軸に平行な直線上に重心が一致するよう並べられた2つ以上の錘、即ち例えば錘3aと3c、のうけるy軸方向の力成分の差を用いて、角速度が計算可能である。y軸まわりの角速度が生じた場合、x軸に平行な直線上に重心が一致するよう並べられた2つ以上の錘、即ち例えば錘3aと3b、のうけるx軸方向の力成分の差を用いて角速度が計算可能である。z軸まわりの角速度が生じた場合、x軸に平行な直線上に重心が一致するよう並べられた2つ以上の錘、即ち例えば錘3aと3b、のうけるx軸方向の力成分の差と、y軸に平行な直線上に重心が一致するよう並べられた2つ以上の錘、即ち例えば錘3aと3c、のうけるy軸方向の力成分の差、を用いて角速度が計算可能である。
図1において、センサ素子2は、共通の材料、例えばSiや水晶からなり、一般的なSi等からなるウエハのパターニング加工(半導体加工)によって一体に又は一括で形成され得り、素子を簡易に製造可能である。
図1において、外力による錘の変位に応じて錘を初期位置に維持する機構及び制御回路を有し、錘間の距離を一定に保つようサーボ機能などが付与されていることが望ましい。図2にサーボ機能を有する回路のブロック図を示す。可動電極11は錘に固定されており、可動電極11は変位検出部13にて変位を検出される。変位の検出方法として、電極間の静電容量変化を用いるものが有効である。可動電極11の変位信号は、誤差検出部14にて基準値との誤差を計算される。更に増幅補償部15にて信号の補償がなされ、電圧、電力増幅部16にて信号振幅の増幅がなされる。最後に、フィードバックループを通して可動電極11をもとの位置に戻す力を発する機構、フォーサ12へ可動電極11がもとの位置に戻るよう信号が与えられる。ここでのフィードバック量は直接加速度検出信号となる。検出物理量を各錘間の距離の関数として測定する方法を用いるため、錘の位置は測定精度に影響する。錘間の距離を一定に保つよう制御することにより、高精度の計測が可能になる。サーボ制御の方法としては櫛歯型電極間の静電引力によるものが有効である。
実施形態1で検出機構5a、5b、5c、5dは櫛歯型電極を用いているが、錘3a、3b、3c、3dの変位により可動櫛歯電極と固定櫛歯電極の間の距離が変化し、櫛歯電極間の静電容量が変化した量を検出して、錘3a、3b、3c、3dの変位量を検出する。図1の櫛歯型電極は簡単のため本数を減らして記述しており、センサ素子2を作製する際は、検出対象となる物理量の大小に応じて本数及び形状を最適化する。
電気配線を行えるよう、櫛歯を含むセンサ素子2を構成する共通の部材は導電性を有したSi、絶縁性を有したSiO2やAl2O3などを用い、検出用配線を形成する。
錘は重量を大きくするほど、微小な物理量を高感度に検出することが一般に可能であるが、錘の占有面積が増大するため、検出対象となる物理量の測定範囲によって適宜設計される。
支持部4a、4b、4c、4dは、剛性が小さい長く細い形状であれば、錘3a、3b、3c、3dが柔らかく支持された状態となり、錘は印加された物理量に対して大きく変位するようになり、検出を高感度に行うことが可能となる。
支持部4a、4b、4c、4dは、剛性が大きい短く太い形状もしくは支持体の数を増やすなどにより、錘3a、3b、3c、3dが固く支持された状態となり、錘は印加された物理量に対しての変位量が小さく、信号のサチレーションを生じることなく、大振幅の入力域においても入出力関係を線形に保つことが可能となり、広範囲の物理量計測が可能となる。
環境外乱としての外部振動の周波数範囲である数10Hzから数kHz、又は特に予想される周波数域に、センサ素子が共振周波数をもたないようにし、外部の振動がセンサ素子2及び錘3a、3b、3c、3dに伝達され誤出力を生じないよう、錘の重量及び支持部の形状の設計、ダンパーの利用、封止雰囲気の適切な選定が望まれる。
センサ素子の支持部や櫛歯における角部にあたる部分には、応力集中、破損が発生しないよう、適宜丸みを設けることが望ましい。
測定範囲外の物理量が物理量センサに印加され、錘が大きく変位し錘の周囲に衝突し、錘や周囲の構造に変形や破損が無いよう、錘とその外周にあたる部分にストッパーとよばれる衝突防止体などを設ける。
実施形態1においては検出方法として櫛歯電極を用いた静電容量を適用したが、抵抗歪を用いるものや静電容量を用いるもの、圧電材料をもちいるもの、磁気抵抗素子(AMR、GMR、TMR)を用いるもの、コイルの誘導起電力を用いるもの、超音波を用いるもの、光電方式(透過型、反射型)を用いるもの、表面弾性波を用いるもの、バルク弾性波(BAW、FBAR)を用いるもの、などの検出方法が一般に考えられる。
図3は振動ジャイロと実施形態1の構成を備えた物理量センサによる角速度信号のアラン分散のシミュレーション値である。アラン分散は角速度測定の安定性を示す指標であり、バスタブカーブと呼ばれるカーブの底面が低いほど安定性に優れる。振動ジャイロ31に比べ、物理量センサ32のバスタブカーブ底面が低位置にあり、振動ジャイロに比べ、実施形態1の構成を備えた物理量センサが高い安定性を有している。
図4は実施形態1の物理量センサを示す分解図の略図であり、第1キャップ層41と、第1スペーサ層42と、センサ素子43と、第2スペーサ層44と、第2キャップ層45、からなり、センサ素子43をパッケージング可能である。キャップ層41とスペーサ層42、もしくはキャップ層45とスペーサ層44は一つの構造体になっていてもよい。
キャップ層と、スペーサ層と、センサ素子はマイクロマシニング技術により同一プロセスで一体に作製可能である。パッケージ特性には高い機械的性能が求められるため、キャップ層41と、スペーサ層42にはSiやSiO2などの半導体、ステンレスなどの金属、セラミクスなどの誘電体材料からなることが考えられる。SOI基板などの多層基板を用いて構造体を形成も有効であり、応力による反りなどの変形を防止するため、各層の線膨張係数は同じか、近い値であることが望ましく、応力緩和を目的とした溝を、センサ素子43の、錘と、センサ素子43とスペーサ層42及び44の接着面、の間などに適宜入れることが望ましい。
図5は実施形態1の物理量センサを示す断面図の略図であり、センサ素子を含むデバイス層51と、スペーサ層52と、キャップ層53と、スペーサ層を含むキャップ層54、検出機構55、からなる物理量センサの一つの例であり、この形態がすべてではない。
この形状はマイクロマシニング技術で作製可能である。デバイス層51と、スペーサ層52と、キャップ層53と、スペーサ層を含むキャップ層54からなる、空乏内を任意雰囲気に調整することも容易である。スペーサ層を含むキャップ層54と、キャップ層53と、スペーサ層52、をデバイス層51に接合する際の雰囲気状態が内部に保たれるため、所望の雰囲気に空乏内を調整することができる。
角速度センサと加速度センサの1チップ化を考える場合、これまでのコリオリ力を利用した角速度センサの気密雰囲気は真空、加速度センサの気密雰囲気は大気、もしくはN2雰囲気であることが、プロセスを複雑にする問題を有していたが、実施形態1の構成をした物理量センサでは、角速度検出に振動を要しないため、同一雰囲気で加速度、角速度の両物理量を検出可能であり、多物理量を検出するセンサ素子を、簡便なプロセスで作製可能である。
ハンドリングの観点からも、大口径のウエハにおいてもわずかな応力や外力、自重などで破損する危険があるという問題が一般にあるが、SOI基板などの積層基板を用いて、キャップ層、スペーサ層、デバイス層などから構成される物理量センサは、ハンドリング層と呼ばれる数百μmの厚みを有する層を備え、またパッケージ部材として利用可能なので剥離工程もなく、工程の増加や歩留まりの低下も生じない。
センサ素子とセンサ制御回路を結線する導線が長いほどノイズが大きく発生するため、センサ素子とセンサ制御回路は隣接して配置する。回路の直上に素子を配置するか、もしくは平面内で隣り合って配置することが望ましい。
(実施形態2)
図6は実施形態2の静電容量変化を錘の変位検出に用いた物理量センサを示す平面図の略図であり、錘の配置を変えたものである。図3において、物理量センサ61は、センサ素子62と、4つの錘63a、63b、63c、63d,63eと、支持部64a、64b、64c、64d,64eと、錘の変位を検出する検出機構65a、65b、65c、65d,65eと、センサ素子22を保持するためのパッケージ、を備えており、錘の重心66a、66b、66c、66d,66eは、任意の2つの錘の重心を結んだ直線が、他の2つの錘の重心を結んだ直線に一致しない組み合わせが少なくとも1組あるように配置される。例えば錘の重心66aと66eを結んだ直線は、錘の重心66bと66dを結んだ直線に一致しない。検出機構65a、65b、65c、65d,65eは錘63a、63b、63c、63d、63eの変位をそれぞれ検出するが、その検出する直交2軸方向をx方向、y方向とすれば、x軸に平行な直線上、y軸に平行な直線上それぞれに2つの錘の重心が一致するように並べられている。例えば錘の重心66bと66dを結ぶ直線がx軸に平行であり、錘の重心66aと66eを結ぶ直線はy軸に平行である。図示はしていないが、物理量センサ61は物理量を検知するシステムを構成する1つの部品であり、多くの場合において、周囲の回路部品と共に回路基板に実装されて使われる。
図6は実施形態2の静電容量変化を錘の変位検出に用いた物理量センサを示す平面図の略図であり、錘の配置を変えたものである。図3において、物理量センサ61は、センサ素子62と、4つの錘63a、63b、63c、63d,63eと、支持部64a、64b、64c、64d,64eと、錘の変位を検出する検出機構65a、65b、65c、65d,65eと、センサ素子22を保持するためのパッケージ、を備えており、錘の重心66a、66b、66c、66d,66eは、任意の2つの錘の重心を結んだ直線が、他の2つの錘の重心を結んだ直線に一致しない組み合わせが少なくとも1組あるように配置される。例えば錘の重心66aと66eを結んだ直線は、錘の重心66bと66dを結んだ直線に一致しない。検出機構65a、65b、65c、65d,65eは錘63a、63b、63c、63d、63eの変位をそれぞれ検出するが、その検出する直交2軸方向をx方向、y方向とすれば、x軸に平行な直線上、y軸に平行な直線上それぞれに2つの錘の重心が一致するように並べられている。例えば錘の重心66bと66dを結ぶ直線がx軸に平行であり、錘の重心66aと66eを結ぶ直線はy軸に平行である。図示はしていないが、物理量センサ61は物理量を検知するシステムを構成する1つの部品であり、多くの場合において、周囲の回路部品と共に回路基板に実装されて使われる。
実施形態2の錘63a、63b、63c、63dはx、y方向の加速度を受けx、y方向に変位し、検出機構65a、65b、65c、65dが変位量を検出する。錘63eはz方向の加速度を受けz方向に変位し、検出機構65eが変位量を検出する。
このようにz方向の加速度を検出可能な構成とすることによって、回転及び並進運動が複雑な場合においても加速度、角速度、角加速度などの物理量を、高精度に検出可能である。
本発明に係わる物理量センサは、自動車、カーナビゲーション、手ぶれ防止カメラ、モバイル通信端末、体動検知器、産業機器等の物質の並進運動及び回転運動による加速度及び角速度を検出する用途に利用できる。
1、61 物理量センサ
2、62 センサ素子
3a、3b、3c、3d、63a、63b、63c、63d、63e 錘
4a、4b、4c、4d、64a、64b、64c、64d,64e 支持部
5a、5b、5c、5d、65a、65b、65c、65d,65e 検出機構
6a、6b、6c、6d、66a、66b、66c、66d,66e 錘の重心
7 錘3aと錘3bの間の距離
11 可動電極
12 フォーサ
13 変位検出部
14 誤差検出部
15 増幅検出部
16 電圧、電力増幅部
31 振動ジャイロのアラン分散
32 物理量センサのアラン分散
41 第1キャップ層
42 第1スペーサ層
43 センサ素子
44 第2スペーサ素子
45 第2キャップ素子
51 センサ素子を含むデバイス層
52 スペーサ層
53 キャップ層
54 スペーサ層を含むキャップ層
55 検出機構
2、62 センサ素子
3a、3b、3c、3d、63a、63b、63c、63d、63e 錘
4a、4b、4c、4d、64a、64b、64c、64d,64e 支持部
5a、5b、5c、5d、65a、65b、65c、65d,65e 検出機構
6a、6b、6c、6d、66a、66b、66c、66d,66e 錘の重心
7 錘3aと錘3bの間の距離
11 可動電極
12 フォーサ
13 変位検出部
14 誤差検出部
15 増幅検出部
16 電圧、電力増幅部
31 振動ジャイロのアラン分散
32 物理量センサのアラン分散
41 第1キャップ層
42 第1スペーサ層
43 センサ素子
44 第2スペーサ素子
45 第2キャップ素子
51 センサ素子を含むデバイス層
52 スペーサ層
53 キャップ層
54 スペーサ層を含むキャップ層
55 検出機構
Claims (5)
- 複数の錘と、前記錘を支持する支持部と、前記錘の変位を検出する検出機構を有するセンサ素子と、制御回路とを備えた物理量センサであって、外力により前記複数の錘に生じる変位量と、前記変位量の差分と、複数の前記錘間の間隔と、前記錘の質量、を用いて前記制御回路によって力学的物理量を計測可能なことを特徴とする物理量センサ。
- 少なくとも第1、第2、第3の前記錘を有し、前記第1の錘の重心から前記第2の錘の重心へ結んだ直線が、前記第1の錘の重心から前記第3の錘の重心へ結んだ直線に少なくとも一致しないような構成を有することを特徴とする請求項1に記載の物理量センサ。
- 前記複数の錘と、前記支持部と、前記検出機構の構成は、同一部材を少なくとも含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の物理量センサ。
- 外力による前記錘の変位に応じて、前記錘を初期位置に維持する機構及び制御回路を更に有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の物理量センサ。
- 前記力学的物理量が角速度、加速度、角加速度のうちの何れかであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の物理量センサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016002369A JP2017122678A (ja) | 2016-01-08 | 2016-01-08 | 物理量センサ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016002369A JP2017122678A (ja) | 2016-01-08 | 2016-01-08 | 物理量センサ |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017122678A true JP2017122678A (ja) | 2017-07-13 |
Family
ID=59306283
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
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Country | Link |
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-
2016
- 2016-01-08 JP JP2016002369A patent/JP2017122678A/ja active Pending
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