JP2017122057A - 抗老化剤 - Google Patents

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有希子 榎本
義之 神谷
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義之 神谷
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Abstract

【課題】抗老化剤の提供。
【解決手段】一般式(1)で表されるD−ピニトールを有効成分とする抗老化剤。
Figure 2017122057

【効果】D−ピニトールは、皮膚細胞に作用しIL−1RA合成、エラスチン合成、コラーゲン合成を促進し、皮膚の弾力性や柔軟性を改善し、また老化タンパク質の分解や排出に関わる糖化タンパク質結合レセプター1の合成を促進するため、老化タンパク質が細胞内に蓄積されずに排出が促進され、その結果細胞の老化の進行を抑制するため、抗老化作用を示す。
【選択図】図5

Description

本発明は、ピニトールを有効成分とする抗老化剤に関する。
生体を構成するタンパク質であるコラーゲンは、生体内タンパク質の約1/3を占め、血管や皮膚、骨に多く存在し、細胞の足場としてこれら組織の形成、構築に重要な役割を果たしている。コラーゲンは、消化酵素でほとんど分解されないため栄養価の低いタンパク質と考えられていたが、コラーゲンを摂取することによる新陳代謝促進や、関節症治療用薬剤としての利用等が報告されており、有効性が見直されている。更にこのコラーゲンタンパク質は加齢とともに減少することから血管の脆弱化や皮膚の弾力性・柔軟性の減少の一因と考えられている。近年、コラーゲンタンパク質もしくはその加水分解物の経口摂取による皮膚の新陳代謝促進に関する美容向け健康食品が多数販売されている。
生体内のコラーゲンは、生体内で修飾を受けて代謝排泄されることにより、細胞や生体のホメオスターシスを維持している。この過程で形成される糖化タンパク質が排泄されずに蓄積することが老化の一原因であるといわれている。また、このような糖化は、殆ど全ての生体内タンパク質の代謝の過程で発生する。このような糖化したタンパク質は、終末糖化産物(Advanced Glycation End product:AGE)とも呼ばれている。AGEは年齢とともに増加し、生体内に蓄積したAGEタンパク質がアルツハイマー病、糖尿病、白内障、動脈硬化症、皮膚におけるしわなどの多くの疾病に関与することが明らかになってきた。また細胞表面に存在するAGE受容体(RAGE)とAGEの相互作用によって炎症性疾患を発症するなどの問題も指摘されている。このような糖化タンパク質は、異常タンパク質とも呼ばれる。現在では、生体内における異常タンパク質あるいはAGEの蓄積に起因する疾病の予防および改善が大きな課題となっている。従来、異常タンパク質やAGEの蓄積防御に関しては、タンパク質の酸化修飾を防御する研究がなされてきた。すなわち、酸化ストレスにより生体内に発生した活性酸素を抗酸化物質の摂取により消去し、タンパク質の酸化を抑制するという試みである。代表的な抗酸化物質としては、トコフェロール類、カロテノイド類およびフラボノイド類などがある。
しかしながら、抗酸化物質の摂取は、生体内で発生する活性酸素の消去には関与するが、既に蓄積している異常タンパク質の除去には全く関与しない。したがって、老化に伴って生体内に蓄積した異常タンパク質が関与する種々の疾病の予防および改善には異常タンパク質の除去が必須となる。生体内の異常タンパク質を除去する酵素として、プロテアソームが知られている。プロテアソームは複雑な分子構成をした巨大な多成分複合体であり、近年その生体内における生理機能の研究が注目されている。プロテアソームは、タンパク質が立体構造を形成する過程で正常な折り畳みや分子集合に支障をきたした異常タンパク質の除去を行い、タンパク質の品質管理の役割を担うとともに、紫外線や酸化ストレスなどにより、変異や障害を受けたタンパク質を除去することにより、ストレス応答にも密接に関係している。このように、プロテアソームは異常タンパク質を除去することにより、細胞の恒常性を維持、監視する中心的役割を担う分子である。
以上のようなことから、生体内のプロテアソーム活性を促進し、種々の疾病を予防および改善する組成物が開発されている。本出願人は、ダイズサポニンBグループがプロテアソームを活性化して、糖化したタンパク質を除去する作用を見いだして特許出願した(特許文献1)。
本発明者らは、老化特に皮膚の老化を研究しているが、AGEや細胞表面に存在するAGEのレセプター(RAGE)の関与について検討を進める過程でD−ピニトールの作用に着目している。
D−ピニトールはイノシトールの一種で、マメ科の植物に存在する天然の物質である。
また、ピニトールは植物性インスリン様物質とも呼ばれ、インスリン抵抗性を高め、血糖低下作用を有し、糖尿病(特許文献2、3)や糖尿病性網膜症の改善、肝機能の向上に効果がある(特許文献4)ことが知られている。また特許文献5にはピニトールを有効成分とする骨代謝性疾患の予防・治療剤が、特許文献6、7にはピニトールを含む抗肥満用ダイエット食品が記載されている。ピニトールを多く含有する植物としては、大豆、ルイボス、クローバー、アイスプラントなどが知られている。
そして特許文献8には大豆から高濃度でピニトールを得るための方法が記載されている。また特許文献9に食用のアイスプラント(Mesembryanthemum crystallinum)にピニトールを蓄積させる方法が記載されている。
特許第4286513号公報 特表平09−511530号公報 特表平11−502223号公報 特表2006−521291号公報 特表2010−538057号公報 特開2006−061117号公報 特開2009−196931号公報 特開2007−159462号公報 WO2013/118760号国際公開公報
本発明者は、D−ピニトールの生理作用を検討する過程で、ピニトールが皮膚細胞の老化を抑制する作用を見いだし、本発明を完成させた。
すなわち、本発明はD−ピニトールを有効成分とする抗老化剤を提供することを課題とする。また本発明はD−ピニトールを有効成分とする皮膚細胞の抗老化剤を提供することを課題とする。さらに本発明は、D−ピニトールを有効成分とするインターロイキン-1 レセプター・アンタゴニスト(Interleukin-1 Receptor Antagonist:IL−1RA)合成促進剤・エラスチン合成促進剤・コラーゲン合成促進剤・終末糖化産物受容体−1(Advanced glycation end product receptor 1:AGE−R1)の合成促進剤・終末糖化産物受容体(Receptor for Advanced glycation end product:RAGE)の合成抑制剤を提供することを課題とする。
本発明の構成は、以下のとおりである。
(1)D−ピニトールを有効成分とする抗老化剤。
(2)D−ピニトールを有効成分とする皮膚細胞の抗老化剤。
(3)外用剤である(2)の抗老化剤。
(4)D−ピニトールを有効成分とするインターロイキン-1 レセプター・アンタゴニスト(Interleukin-1 Receptor Antagonist:IL−1RA)合成促進剤。
(5)D−ピニトールを有効成分とするエラスチン合成促進剤。
(6)D−ピニトールを有効成分とするコラーゲン合成促進剤。
(7)D−ピニトールを有効成分とする終末糖化産物受容体−1(Advanced glycation end product receptor 1:AGE−R1)の合成促進剤。
(8)D−ピニトールを有効成分とする終末糖化産物受容体(Receptor for Advanced glycation end product:RAGE)の合成抑制剤。
本発明により、新規な抗老化剤、皮膚細胞の抗老化剤、抗老化外用剤、皮膚細胞や線維芽細胞のIL−1RA合成促進剤・エラスチン合成促進剤・コラーゲン合成促進剤・AGE−R1合成促進剤・RAGE合成抑制剤が提供される。IL−1RA合成促進剤・エラスチン合成促進剤・コラーゲン合成促進剤・AGE−R1合成促進剤・RAGE合成抑制剤は、外用剤として皮膚に投与することで皮膚の老化を抑制するため、スキンケア剤として有用である。
D−ピニトールは、皮膚細胞に作用しIL−1RA合成、エラスチン合成、コラーゲン合成を促進し、皮膚の弾力性や柔軟性を改善する。また老化タンパク質の分解や排出に関わる糖化タンパク質結合レセプター1の合成を促進するため、老化タンパク質が細胞内に蓄積されずに排出が促進され、その結果細胞の老化の進行を抑制するため、抗老化作用を示す。
試験例1のD−ピニトールによる線維芽細胞増殖効果を示すグラフである。 試験例2のD−ピニトールによるIL−1RA合成促進効果を示すグラフである。 D−ピニトールによるタイプ1型コラーゲン合成促進効果を示すグラフである。 D−ピニトールによるエラスチン合成促進効果を示すグラフである。 D−ピニトールによるAGE−R1合成促進効果を示すグラフである。 D−ピニトールによるRAGE抑制効果を示すグラフである。
本発明は、D−ピニトールを有効成分とする抗老化剤及び、D−ピニトールを有効成分とする皮膚細胞や線維芽細胞のIL−1RA合成促進剤・エラスチン合成促進剤・コラーゲン合成促進剤・AGE−R1合成促進剤・RAGE合成抑制剤に係るものである。
D−ピニトールは、下記の一般式1であらわされる構造の水溶性糖アルコールであり、イノシトール作用を有していることが知られている。
Figure 2017122057
D−ピニトールは、ピニットあるいはアビニットとも呼ばれるイノシトールのモノメチルエーテル化合物である。
本発明に用いるD−ピニトールは、大豆やアイスプラント、マツ、エゾウコギ、イナゴマメ(ローカストビーンガム)、ブーゲンビリアの葉などから抽出することができる。イナゴマメの莢から抽出したシロップが市販されている。本発明の剤に用いる場合は、精製物であってもよく、さらに前記植物抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又は粗精製物であっても使用可能である。好ましくはピニトール濃度10%以上に濃縮したものであれば良い。90%以上に精製したものが特に好ましい。
植物からD−ピニトールを得る場合には、上記植物を乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより、上記作用を有するD−ピニトールを含む抽出物を得ることができる。ピニトールは、冷アルコールなどの溶媒に不溶の性質を有していることを利用して抽出する。例えば、高温の抽出溶媒に上記植物を浸漬することにより、D−ピニトールを溶出して行われる。上記抽出溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、アセトン等の水溶性溶媒、上記水溶性溶媒が用いられる。また、上記抽出溶媒による抽出温度は、50〜100℃であることが、抽出効率の点から好ましい。さらに、上記抽出方法において、上記抽出媒体を還流させて抽出してもよい。
そして、このようにして得られた抽出液を、乾燥、濃縮、精製等することにより、目的とするD−ピニトールを得ることができる。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、抽出処理を効率よく行うことができる。
上記のとおり、抽出溶媒としては、極性溶媒を用いるのが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
ピニトールの精製は、糖アルコールの精製に採用される公知の生成方法が使用できる。例えば、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等により行うことができる。
なお、得られた抽出液はそのままでも本発明の抗老化剤及び皮膚細胞や線維芽細胞のIL−1RA合成促進剤・エラスチン合成促進剤・コラーゲン合成促進剤・AGE−R1合成促進剤・RAGE合成抑制剤の有効成分として使用することができる。濃縮液又は乾燥物としたものの方が使用しやすい。
精製D−ピニトールは生化学試薬としても販売されており、これを入手して使用してもよい。
D−ピニトールの精製物やD−ピニトールを含む抽出物は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。また皮膚化粧料等に配合して使用することができる。また外用剤とする場合には、軟膏剤、外用液剤、貼付剤等とすることができる。
なお、本発明の抗老化剤及び皮膚細胞や線維芽細胞のIL−1RA合成促進剤・エラスチン合成促進剤・コラーゲン合成促進剤・AGE−R1合成促進剤・RAGE合成抑制剤を外用剤とする場合、D−ピニトールとして外用剤の種類に応じて適宜調製することができる。好適な配合率は、D−ピニトールとして0.0001〜10質量%であり、特に好ましくは0.001〜1質量%である。
以下、試験例及び配合例を示し、本発明を具体的に説明する。
〔試験例1〕D−ピニトールの皮膚細胞増殖試験
(1)試薬
試験に用いた試薬は以下の通りである。
D−ピニトール(Sigma Aldrich)
MTT(和光純薬工業)
2−プロパノール(関東化学)
(2)細胞及び培養液
新生児由来ヒト表皮角化細胞(Normal Human Epidermal Keratinocyte、以下NHEKという)
培地(継代培養及び評価時):Epilife(登録商標)60μMカルシウム含有(Thermo Fischer Scientific)
(3)試験方法
継代4代目に相当するNHEK細胞懸濁液を2.0×10cells/wellの密度で平板96ウェルプレートに播種し、37℃、5%COインキュベーターで培養した。24時間後、培養液を除去し、0.0125、0.05mg/ml D−pinitol入り培地に交換し、37℃、5%COに設定したインキュベーターで培養した。24時間後、Epilifeで調製したMTT(0.3mg/ml)溶液を100μlずつ入れ、3時間後に、MTT溶液を除去し、PBS(−)で洗浄し、2−プロパノールを100μlずつ入れ、プレートミキサーにて5分振盪させ、プレートリーダー(SPECTRA MAX190、モレキュラーデバイス)にて570nmの吸光度で測定した。
各群におけるO.D.値(570nm)を細胞生存量とみなし、その細胞生存量に基づいて、下記式により細胞生存率を求めた。
細胞生存率(%)=(A/コントロール)×100(AはD−ピニトールを添加したウェルのO.D.値。コントロールは、D−ピニトール無添加ウェルのO.D.値。)
(4)結果
各濃度の6ウェルの平均細胞数と標準偏差を図1に示す。
D−ピニトール0.0125mg/ml、0.05mg/ml添加で、無添加のコントロールと比べ約20%の細胞増殖率を示した(図1)。
D−ピニトールには細胞増殖効果があることが認められた。
〔試験例2〕IL−1RA合成促進試験
(1)試薬
D−ピニトール(Sigma Aldrich)
Human IL−1RA ELISA kit(R&D systems)
Tissue Protein Extraction Reagent(Thermo Fischer Scientific)
(2)細胞及び培養液
試験1に同じ
(3)試験方法
継代4代目に相当するNHEK細胞懸濁液を1.2×10cells/wellの密度で6ウェルプレートに播種し、37℃、5%COに設定のインキュベーターで培養した。培養2日後、培養液を除去し、D−ピニトール0.025mg/ml、0.1mg/mlとなるように調製した培養液を2ml/well添加し、37℃、5%COに設定のインキュベーターで培養した。24時間後、細胞培養上清を回収し―80℃で凍結保存した。なお、培養上清中LDHを検出キットにより測定し、細胞傷害性の指標とした。
6ウェルプレートをPBS(−)にて洗浄し、Tissue Protein Extraction Reagent 200μlを入れ、4℃、30分間振盪しタンパク質を抽出した。抽出したタンパク質をELISA kitを用いてIL−1RA産生量を測定し、コントロールに対するIL−1RA合成促進を評価した。ELISA測定法は、ELISA kitに添付の説明書に従って行った。
(4)結果及び考察
各濃度n=3で測定した平均値を図2に示す。
IL−1RAは、ケラチノサイトの増殖を濃度依存性で促進する作用を有している。したがって、皮膚細胞におけるIL−1RAの増加は、皮膚細胞の再生を活性化しているものであることが試験1、試験2の結果から明らかとなった。すなわちIL−1RAは、皮膚の老化に対して抵抗的に作用して、新たな細胞亢進に働くものである。このことは、以下に示す試験結果から、皮膚細胞の老化に対して抵抗的に作用する各種タンパク質の合成が促進することにより確認できる。
〔試験例3〕D−ピニトールによるタイプ1型コラーゲン、エラスチン、AGE−R1の合成促進試験
(1)試薬
D−ピニトール(Sigma Aldrich)
Trizol(Thermo Fischer Scientific)
PrimeScript(商品名)RT reagent Kit(タカラバイオ)
SYBR(登録商標)Premix Ex TaqII(タカラバイオ)
(2)細胞及び培養液
正常ヒト皮膚線維芽細胞(Normal Human Dermal Fibroblasts、以下NHDFという)
培養(継代培養及び評価時):DMEM,high glucose(Thermo Fischer Scientific)、Fetal Bovine serum (Thermo Fischer Scientific)
(3)試験方法
継代7代目に相当するNHDF細胞懸濁液を7000cells/wellの密度で6ウェルプレートに播種し、37℃、5%COに調整したインキュベーターで培養した。培養4日後、培養液を除去し、レチノイン酸0.001%、D−ピニトール0.2%となるように調製した培養液を2ml/well添加し、37℃、5%COのインキュベーター中で培養した。0、1、2、4、8、24時間後、Trizolで全RNAを抽出した。RNA抽出は、TRlsol Reagentに添付の説明書に従って行った。なおレチノイン酸は皮膚細胞の老化を抑制し、タイプ1型コラーゲン、エラスチン、AGE−R1、RAGEを増加させることが判明し、動物試験で抗老化作用が確認されている化合物である。本試験の陽性対照として用いた。
抽出したRNAをPrimeScript RT reagent Kit (タカラバイオ)によりcDNA合成し、SYBR Premix Ex Taq II (Takara)を用いてタイプ1型コラーゲン、エラスチン、AGE−R1のリアルタイムPCRを行い、各タンパク質の合成促進を評価した。
(4)結果及び考察
各群、各濃度n=3で測定した平均値±標準偏差 を図3、4、5に示す。
D−ピニトールの添加2時間後に、タイプ1型コラーゲン(図3)、エラスチン(図4)、AGE−R1(図5)遺伝子発現が認められたことから、D−ピニトールによってこれらのタンパク質の合成が促進されることが確認できた。
〔試験例4〕D−ピニトールによるRAGEの合成抑制試験
(1)試薬
D−ピニトール(Sigma Aldrich)
ヒトRAGE測定ELISAキット(Ray Biotech)
T−PER Tissue Protein Extraction Reagent(Thermo Fischer Scientific)
(2)細胞及び培養液
正常ヒト皮膚線維芽細胞(Normal Human Dermal Fibroblasts、以下NHDFという)
培養(継代培養及び評価時):DMEM,high glucose(Thermo Fischer Scientific)、Fetal Bovine serum(Thermo Fischer Scientific)
(3)試験方法
継代4代目に相当するNHDF細胞懸濁液を1.0×10cells/wellの密度で6ウェルプレートに播種し、37℃、5%COの条件に設定のインキュベーターで培養した。培養3日後、培養液を除去し、1ng/ml TNF−αと共にD−pinitolを0、0.05、0.2%となるように調製した培養液を2ml/well添加し、37℃、5%COに設定のインキュベーターで培養した。
24時間後、6ウェルプレートをPBS(−)にて洗浄し、T−PER Tissue Protein Extraction Reagentを200μl入れ、4℃、30分間振盪しタンパク質を抽出した。抽出したタンパク質をELISA kitを用いて、定法に従いRAGE発現量を測定し、コントロールに対するRAGE発現抑制を評価した。
(4)結果及び考察
各群、各濃度n=3で測定した平均値±標準偏差を図6に示す。図6に示すように、D−ピニトール 0.05、0.2%での添加でRAGEの合成が抑制された。AGEと反応して炎症を誘発するRAGEの合成をピニトールが抑制することが明らかとなった。
[全体考察]
試験1〜4の結果から、D−ピニトールは老化に係るマクロファージなどのファゴサイトーシスによってAGEの分解を促進するレセプターであるAGE−R1を増加させることから、糖化タンパク質の蓄積を抑制して抗老化作用を示すことが予想される。また皮膚細胞の弾力性や柔軟性を改善するタイプ1型コラーゲン及びエラスチン合成を促進することから皮膚細胞の老化を抑制するものと考えられた。また表皮角化細胞を増殖させる作用とIL−1RA合成を促進する作用を有していることから、タイプ1型コラーゲン及びエラスチン合成促進とあいまって、皮膚の弾力性を回復させることが予想された。さらにRAGEを抑制することから、老化にともなって増加するAGEとRAGEの反応によって誘発される炎症反応が抑制されるため、炎症反応に由来する酸化が抑制され、老化が抑制されることが期待される。
エラスチンとコラーゲンの併用によって、キメの体積率、キメ個数、シワ体積率、シワ個数、肌質改善効果が認められ、その効果はコラーゲン単独の場合よりも効果があること(論文「エラスチン・コラーゲン併用摂取による肌質改善効果の検証」雑誌「新薬と臨床J.New Rem.& Clin.Vol.60No.3,2011、」第217〜228頁 参照)が知られている。
また、これまでの研究の結果(榎本有希子外7名著 論文「角層中IL−1RAと皮膚老化の関連性」、2015.10発行、加齢皮膚医学セミナー 第10巻 第61〜65頁参照)、IL−1RA量は皮膚の弾力性と正の相関が認められ、皮膚の弾力性は真皮のコラーゲンやエラスチンなどの細胞外マトリクスの減少や皮膚基底膜が損なわれて低下しており、IL−1RAは表皮で細胞増殖や呼吸、エネルギー産生などの細胞活性・細胞恒常性維持へ関与すると推測している。
本発明の試験結果及びこれまでの知見を総合すると、本発明に係るD−ピニトールが、エラスチン合成促進、コラーゲン合成促進、IL−1RA合成促進、AGE−R1の合成促進の各作用を昂進することは、総合して優れた皮膚賦活性を示し、抗老化、皮膚細胞の抗老化に有用であることを裏付けるものである。外用剤として皮膚に投与することで皮膚の老化を抑制するため、スキンケア剤として有用である。
〔配合例〕
下記組成の外用剤を常法により製造した。
(処方例1:化粧水) (質量%)
1.D−ピニトール 0.2
2.グリセリン 5
3.1,3ブチレングリコール 5
4.ジグリセリン 3
5.ペンチレングリコール 2
6.カルボキシメチルデキストランNa 0.1
7.PH調整剤 適量
9.精製水 残余
(処方例2:乳液) (質量%)
1.グリセリン 8
2.1.3−ブチレングリコール 5
3.1,2−ペンタンジオール 1
4.D−ピニトール 0.1
5.クエン酸 0.01
6.クエン酸ナトリウム 0.1
7.キサンタンガム 0.08
8.スクワラン 3
9.ジメチコン 1
10.ポリソルベート60 0.8
11.ステアリン酸ソルビタン 0.3
12.精製水 残余

Claims (8)

  1. D−ピニトールを有効成分とする抗老化剤。
  2. D−ピニトールを有効成分とする皮膚細胞の抗老化剤。
  3. 外用剤である請求項2の抗老化剤。
  4. D−ピニトールを有効成分とするインターロイキン-1 レセプター・アンタゴニスト(Interleukin-1 Receptor Antagonist:IL−1RA)合成促進剤。
  5. D−ピニトールを有効成分とするエラスチン合成促進剤。
  6. D−ピニトールを有効成分とするコラーゲン合成促進剤。
  7. D−ピニトールを有効成分とする終末糖化産物受容体−1(Advanced glycation end product receptor 1:AGE−R1)の合成促進剤。
  8. D−ピニトールを有効成分とする終末糖化産物受容体(Receptor for Advanced glycation end product:RAGE)の合成抑制剤。
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