JP2017121222A - 作業車両及びその例としての乗用型田植機 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡単な構成で走行機体の湿田走破性を向上させるようにする。【解決手段】本発明の作業車両1は、走行機体2を支持する前後四つの車輪3,4と、走行機体2の各後車輪4と一体回転するかご車輪100とを備える。かご車輪100は内かご輪体110と外かご輪体120とからなっている。後車輪4を挟んで左右両側から内かご輪体110と外かご輪体120とを配置する。内かご輪体110と外かご輪体120とによって後車輪4を挟持する。【選択図】図4

Description

本発明は、例えば農作業用の乗用型田植機のように、主として農作業に使用される作業車両に関するものである。
近年の乗用型田植機の中には、圃場での走行性能向上のために車輪を追加配置したものがある。例えば特許文献1に記載の乗用型田植機では、後車輪の左右内側又は左右両側に、後車輪と一体回転する補助車輪を設けることによって、走行機体の湿田走破性向上を図っている。
特開平7−329503号公報
しかし、前記従来の構成では、個々の車輪の車輪幅が狭く接地幅として見れば点接触の状態になるため、深い圃場や粘土質の圃場で走行機体が沈没したり旋回時に耕盤を壊して走行機体が沈没したりするという問題があり、市場からは更なる湿田走破性の向上が要求されている。
本発明は、上記の現状に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で走行機体の湿田走破性を更に向上させることを技術的課題としている。
本発明の第1局面は、走行機体を支持する前後四つの車輪を備える作業車両において、前記走行機体の各後車輪と一体回転するかご車輪を備え、前記かご車輪は内かご輪体と外かご輪体とからなり、前記後車輪を挟んで左右両側から前記内かご輪体と前記外かご輪体とを配置し、前記内かご輪体と前記外かご輪体とによって前記後車輪を挟持しているというものである。
本発明の第2局面は、第1局面の作業車両において、前記後車輪に前記内かご輪体を連結した状態で、前記外かご輪体を着脱可能に構成しているというものである。
本発明の第3局面は、第2局面の作業車両において、前記各かご輪体は、環状のリム部と、前記リム部の周方向に沿って適宜間隔で前記リム部に設けた複数の外周ラグ部とを備え、互いの前記外周ラグ部同士を着脱可能に連結することによって、前記内外のかご輪体が前記かご車輪をなしているというものである。
本発明の第4局面は、第3局面の作業車両において、前記両かご輪体の外径寸法は前記後車輪の外径寸法よりも小さく設定しているというものである。
本発明の第5局面は、第3又は第4局面の作業車両において、前記後車輪には、前記後車輪の周方向に沿って適宜間隔で並ぶ複数の推進ラグを備え、前記かご輪体の前記各外周ラグ部は、前記後車輪の前記各推進ラグとは位相をずらして位置しているというものである。
本発明の第6局面は、第3〜第5局面のうちいずれかの作業車両としての乗用型田植機において、前記走行機体の後部に、苗載台及び複数の植付爪を有する苗植付装置を装着し、前記各かご輪体の前記リム部の移動軌跡が平面視で前記各植付爪の箇所と重ならないように、前記各リム部の位置を設定しているというものである。
本発明の第7局面は、走行機体を支持する前後四つの車輪を備え、前記走行機体の後部に、苗載台及び複数の植付爪を有する苗植付装置を装着している乗用型田植機において、前記走行機体の各後車輪と一体回転するかご車輪として、前記後車輪の左右内側に配置した内かご輪体を備えているというものである。
本発明によると、走行機体を支持する前後四つの車輪を備える作業車両において、前記走行機体の各後車輪と一体回転するかご車輪を備え、前記かご車輪は内かご輪体と外かご輪体とからなり、前記後車輪を挟んで左右両側から前記内かご輪体と前記外かご輪体とを配置し、前記内かご輪体と前記外かご輪体とによって前記後車輪を挟持しているから、前記後車輪と前記かご車輪とからなる車輪構造として見ると、圃場との設置幅が線接触又は面接触の状態になる。このため、深い圃場や粘土質の圃場で前記走行機体が沈没したり旋回時に耕盤を壊して前記走行機体が沈没したりするおそれを回避でき、前記走行機体の湿田走破性の大幅な向上を図れる。
本発明の第2局面によると、前記後車輪に前記内かご輪体を連結した状態で、前記外かご輪体を着脱可能に構成しているから、例えばトラック等の荷台に作業車両を搭載して運搬する際は、前記外かご輪体を取り外しておけば、左右のあおり板に干渉せずに前記作業車両をスムーズに搭載できる。
また、本発明の第3局面によると、前記各かご輪体は、環状のリム部と、前記リム部の周方向に沿って適宜間隔で前記リム部に設けた複数の外周ラグ部とを備え、互いの前記外周ラグ部同士を着脱可能に連結することによって、前記内外のかご輪体が前記かご車輪をなしているから、前記内外のかご輪体の連結剛性、ひいては前記かご車輪としての剛性を向上できる。
本発明の第4局面によると、前記両かご輪体の外径寸法は前記後車輪の外径寸法よりも小さく設定しているから、路上走行時に前記かご車輪が走行路面に接触するおそれを抑制でき、前記かご車輪を取り付けた状態でも走行機体でスムーズに路上走行できる。
本発明の第5局面によると、前記後車輪には、前記後車輪の周方向に沿って適宜間隔で並ぶ複数の推進ラグを備え、前記かご輪体の前記各外周ラグ部は、前記後車輪の前記各推進ラグとは位相をずらして位置しているから、前記各推進ラグの存在に邪魔されることなく前記各外周ラグ部を突き合わせでき、前記各外周ラグ部の突き合わせ構造を簡素化できる。前記走行機体の車幅をあまり拡大することなく、前記各外周ラグ部の幅方向の長さも確保できる。
本発明の第6局面によると、前記走行機体の後部に、苗載台及び複数の植付爪を有する苗植付装置を装着し、前記各かご輪体の前記リム部の移動軌跡が前記各植付爪の箇所と重ならないように、前記各リム部の位置を設定しているから、前記各リム部による圃場面の荒れの影響が前記苗植付装置(前記各植付爪)による苗の植付姿勢に及ぶのを抑制できる。
本発明の第7局面によると、走行機体を支持する前後四つの車輪を備え、前記走行機体の後部に、苗載台及び複数の植付爪を有する苗植付装置を装着している乗用型田植機にお
いて、前記走行機体の各後車輪と一体回転するかご車輪として、前記後車輪の左右内側に配置した内かご輪体を備えているから、前記後車輪の左右内側にデッドスペースのある乗用型田植機に、コンパクトに前記内かご輪体を取り付けできる。前記走行機体の湿田走破性の大幅な向上を図れるものでありながら、例えばトラック等の荷台に乗用型田植機を搭載して運搬する際に、左右のあおり板に干渉せずに前記乗用型田植機をスムーズに搭載できる。
実施形態における乗用型田植機の左側面図である。 乗用型田植機の平面図である。 エンジン、ミッションケース及びリヤアクスルケース等を示す左側面図である。 エンジン、ミッションケース及びリヤアクスルケース等を示す平面図である。 乗用型田植機の駆動系統図である。 後車輪及びかご車輪の斜視図である。 後車輪及びかご車輪の分離斜視図である。 外かご輪体の取付け状態を示す斜視図である。 後車輪の取付け状態を示す斜視図である。 かご車輪と植付爪との位置関係を示す平面図である。
以下に、本発明を具体化した実施形態を、8条植え式の乗用型田植機1(以下、単に田植機1という)に適用した場合の図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、走行機体2の進行方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく進行方向に向かって右側を単に右側と称する。
まず、図1〜図4を参照しながら、田植機1の概要について説明する。実施形態の田植機1は、走行部としての左右一対の前車輪3及び同じく左右一対の後車輪4によって支持された走行機体2を備えている。走行機体2の前部にはエンジン5が搭載されている。エンジン5からの動力を後方のミッションケース6に伝達して、前車輪3及び後車輪4を駆動させることにより、走行機体2が前後進走行するように構成されている。ミッションケース6の左右側方にフロントアクスルケース7を突出させ、フロントアクスルケース7から左右外向きに延びる前車軸36に前車輪3が舵取り可能に取り付けられている。ミッションケース6の後方に筒状フレーム8を突出させ、筒状フレーム8の後端側にリヤアクスルケース9を固設し、リヤアクスルケース9から左右外向きに延びる後車軸37に後車輪4が取り付けられている。
図1及び図2に示されるように、走行機体2の前部及び中央部の上面側には、オペレータ搭乗用の作業ステップ(車体カバー)10が設けられている。作業ステップ10の前部の上方にはフロントボンネット11が配置され、フロントボンネット11の内部にエンジン5を設置している。作業ステップ10の上面のうちフロントボンネット11の後部側方に、足踏み操作用の走行変速ペダル12が配置されている。詳細は省略するが、実施形態の田植機1は、走行変速ペダル12の踏み込み量に応じた変速電動モータの駆動にて、ミッションケース6の油圧無段変速機40から出力される変速動力を調節するように構成されている。
また、フロントボンネット11の後部上面側にある運転操作部13には、操縦ハンドル14と走行主変速レバー(図示省略照)と昇降操作具としての作業レバー16とが設けられている。作業ステップ10の上面のうちフロントボンネット11の後方には、シートフ
レーム17を介して操縦座席18が配置されている。なお、フロントボンネット11の左右側方には、作業ステップ10を挟んで左右の予備苗載台24が設けられている。
走行機体2の後端部にリンクフレーム19を立設する。リンクフレーム19には、ロワーリンク20及びトップリンク21からなる昇降リンク機構22を介して、8条植え用の苗植付装置23が昇降可能に連結されている。この場合、苗植付装置23の前面側に、ローリング支点軸(図示省略)を介してヒッチブラケット38を設けている。昇降リンク機構22の後部側にヒッチブラケット38を連結することによって、走行機体2の後方に苗植付装置23を昇降動可能に配置している。筒状フレーム8の上面後部に、油圧式の昇降シリンダ39のシリンダ基端側を上下回動可能に支持させる。昇降シリンダ39のロッド先端側はロワーリンク20に連結している。昇降シリンダ39の伸縮動にて昇降リンク機構22を上下回動させる結果、苗植付装置23が昇降動する。なお、苗植付装置23は前記ローリング支点軸回りに回動して左右方向の傾斜姿勢を変更可能に構成している。
オペレータは、作業ステップ10の側方にある乗降ステップ25から作業ステップ10上に搭乗し、運転操作にて圃場内を移動しながら、苗植付装置23を駆動させて圃場に苗を植え付ける苗植え作業(田植え作業)を実行する。なお、苗植え作業中において、苗植付装置23には、予備苗載台24上の苗マットをオペレータが随時補給する。
図1及び図2に示すように、苗植付装置23は、エンジン5からミッションケース6を経由した動力が伝達される植付入力ケース26と、植付入力ケース26に連結する八条用四組(二条で一組)の植付伝動ケース27と、各植付伝動ケース27の後端側に設けられた苗植機構28と、八条植え用の苗載台29と、各植付伝動ケース27の下面側に配置された圃場面均平用のフロート32とを備えている。苗植機構28には、一条分二本の植付爪30を有するロータリケース31が設けられている。植付伝動ケース27に二条分のロータリケース31が配置されている。ロータリケース31の一回転によって、二本の植付爪30が各々一株ずつの苗を切り取ってつかみ、フロート32にて整地された圃場面に植え付ける。苗植付装置23の前面側には、圃場面を均す(整地する)整地ロータ85を昇降動可能に設けている。
詳細は後述するが、エンジン5からミッションケース6を経由した動力は、前車輪3及び後車輪4に伝達されるだけでなく、苗植付装置23の植付入力ケース26にも伝達される。この場合、ミッションケース6から苗植付装置23に向かう動力は、リヤアクスルケース9の右側上部に設けられた株間変速ケース75に一旦伝達され、株間変速ケース75から植付入力ケース26に動力伝達される。当該伝達された動力にて、各苗植機構28や苗載台29が駆動する。株間変速ケース75には、植え付けられる苗の株間を例えば疎植、標準植又は密植等に切り換える株間変速機構76と、苗植付装置23への動力伝達を継断する植付クラッチ77とが内蔵されている(図5参照)。
なお、苗植付装置23の左右外側にはサイドマーカ33を備えている。サイドマーカ33は、筋引き用のマーカ輪体34と、マーカ輪体34を回転可能に軸支するマーカアーム35とを有している。各マーカアーム35の基端側が苗植付装置23の左右外側に左右回動可能に軸支されている。サイドマーカ33は、運転操作部13にある作業レバー16の操作に基づき、次工程での基準となる軌跡を圃場面に着地して形成する作業姿勢と、マーカ輪体34を上昇させて圃場面から離間させた非作業姿勢とに回動可能に構成されている。
図3及び図4に示すように、走行機体2は前後に延びる左右一対の機体フレーム50を備えている。各機体フレーム50は前部フレーム51と後部フレーム52とに二分割されている。前部フレーム51の後端部と後部フレーム52の前端部とが左右横長の中間連結
フレーム53に溶接固定されている。左右一対の前部フレーム51の前端部は前フレーム54に溶接固定されている。左右一対の後部フレーム52の後端側は後フレーム55に溶接固定されている。前フレーム54、左右両前部フレーム51及び中間連結フレーム53は平面視四角枠状に構成されている。同様に、中間連結フレーム53、左右両後部フレーム52及び後フレーム55も平面視四角枠状に構成されている。
図4に示すように、左右両前部フレーム51の前寄り部位は、前後二本のベースフレーム56によって連結されている。当該各ベースフレーム56の中間部は、左右両前部フレーム51よりも低く位置するようにU字形に折り曲げられた形状に形成されている。各ベースフレーム56の左右端部は、対応する前部フレーム51に溶接固定されている。略平板状のエンジン台57及び複数の防振ゴム(図示省略)を介して、前後両ベースフレーム56にエンジン5が搭載され防振支持されている。後側のベースフレーム56は、後中継ブラケット60を介してミッションケース6の前部に連結されている。
図4から分かるように、左右両前部フレーム51の後寄り部位は、ミッションケース6の左右両側に突出したフロントアクスルケース7に連結されている。中間連結フレーム53の中央側には、側面視で後斜め下向きに延びるU字状フレーム61の左右両端部が溶接固定されている。U字状フレーム61の中間部がミッションケース6とリヤアクスルケース9とをつなぐ筒状フレーム8の中途部に連結されている(図3及び図4参照)。後フレーム55の中間部には、左右二本の縦フレーム62の上端側が溶接固定されている。左右両縦フレーム62の下端側には左右横長のリヤアクスル支持フレーム63の中間部が溶接固定されている。リヤアクスル支持フレーム63の左右両端部がリヤアクスルケース9に連結されている。なお、左側の前部フレーム51に外向き突設されたステップ支持台64の下方に、エンジン5の排気音を低減させるマフラー65が配置されている。
図3及び図4に示すように、エンジン5の後方に配置されたミッションケース6の前部には、パワーステアリングユニット66が設けられている。詳細は省略するが、パワーステアリングユニット66の上面に立設されるハンドルポストの内部にハンドル軸が回動可能に配置される。ハンドル軸の上端側に操縦ハンドル14が固定されている。パワーステアリングユニット66の下面側には操舵出力軸(図示省略)が下向きに突出している。当該操舵出力軸には、左右の前車輪3を操舵する操舵杆68(図4参照)がそれぞれ連結されている。
実施形態のエンジン5は、出力軸70(クランク軸)を左右方向に向けて前後両ベースフレーム56の中間部上に配置されている。エンジン5及びエンジン台57の左右幅は左右両前部フレーム51間の内法寸法よりも小さく、エンジン5の下部側及びエンジン台57は、前後両ベースフレーム56の中間部上に配置された状態で、左右両前部フレーム51よりも下側に露出している。この場合、エンジン5の出力軸70(軸線)は、側面視で左右両前部フレーム51と重なる位置にある。エンジン5の左右一側面(実施形態では左側面)には、エンジン5の排気系に連通する排気管69が配置されている。排気管69の基端側がエンジン5の各気筒に接続され、排気管69の先端側がマフラー65の排気入口側に接続されている。
次に、図5を参照しながら、田植機1の駆動系統について説明する。エンジン5の出力軸70はエンジン5の左右両側面から外向きに突出している。出力軸70のうちエンジン5左側面から突出した突端部にエンジン出力プーリ72を設け、ミッションケース6から左外側に突出したミッション入力軸71にミッション入力プーリ73を設け、両プーリ72,73に伝達ベルトを巻き掛けている。両プーリ72,73及び伝達ベルトを介して、エンジン5からミッションケース6に動力伝達する。
ミッションケース6内には、油圧ポンプ40a及び油圧モータ40bからなる油圧無段変速機40、遊星歯車装置41、油圧無段変速機40及び遊星歯車装置41を経由した変速動力を複数段に変速する歯車式副変速機構42、遊星歯車装置41から歯車式副変速機構42への動力伝達を継断する主クラッチ43、並びに、歯車式副変速機構42からの出力を制動させる走行ブレーキ44等を備えている。ミッション入力軸71からの動力で油圧ポンプ40aを駆動させ、油圧ポンプ40aから油圧モータ40bに作動油を供給し、油圧モータ40bから変速動力が出力される。油圧モータ40bの変速動力は、遊星歯車装置41及び主クラッチ43を介して歯車式副変速機構42に伝達される。そして、歯車式副変速機構42から、前後車輪3,4と苗植付装置23との二方向に分岐して動力伝達される。
前後車輪3,4に向かう分岐動力の一部は、歯車式副変速機構42から差動歯車機構45を介して、フロントアクスルケース7の前車軸36に伝達され、左右前車輪3を回転駆動させる。前後車輪3,4に向かう分岐動力の残りは、歯車式副変速機構42から、自在継手軸46、リヤアクスルケース9内のリヤ駆動軸47、左右一対の摩擦クラッチ48及び歯車式伝動機構49を介して、リヤアクスルケース9の後車軸37に伝達され、左右後車輪4を回転駆動させる。走行ブレーキ44を作動させた場合は、歯車式副変速機構42からの出力がなくなるので、前後車輪3,4共にブレーキがかかる。また、田植機1を旋回させる場合は、リヤアクスルケース9内の旋回内側の摩擦クラッチ48を切り作動させて旋回内側の後車輪4を自由回転させ、動力伝達される旋回外側の後車輪4の回転駆動によって旋回する。
リヤアクスルケース9内には、整地ロータ85への動力継断用の整地ロータクラッチを有するロータ駆動ユニット86を備えている。歯車式副変速機構42から自在継手軸46に伝達された動力はロータ駆動ユニット86にも分岐して伝達され、ロータ駆動ユニット86から自在継手軸87を介して整地ローラ85に動力伝達される。整地ロータ85の回転駆動によって圃場面が均される。
苗植付装置23に向かう分岐動力は、自在継手軸付きのPTO伝動軸機構74を介して株間変速ケース75に伝達される。株間変速ケース75内には、植え付けられる苗の株間を例えば疎植、標準植又は密植等に切り換える株間変速機構76と、苗植付装置23への動力伝達を継断する植付クラッチ77とを備えている。株間変速ケース75に伝達された動力は、株間変速機構76、植付クラッチ77及び自在継手軸78を介して植付入力ケース26に伝達される。
植付入力ケース26内には、苗載台を横送り移動させる横送り機構79と、苗載台29上の苗マットを縦送り搬送させる苗縦送り機構80と、植付入力ケース26から各植付伝動ケース27に動力伝達する植付出力軸81とを備えている。植付入力ケース26に伝達された動力によって、横送り機構79及び苗縦送り機構80が駆動し、苗載台29を連続的に往復で横送り移動させ、苗載台29が往復移動端(往復移動の折返し点)に到達したときに苗載台29上の苗マットを間欠的に縦送り搬送する。植付入力ケース26から植付出力軸81を経由した動力は各植付伝動ケース27に伝達され、各植付伝動ケース27のロータリケース31並びに植付爪30を回転駆動させる。なお、施肥装置を設ける場合は株間変速ケース75から施肥装置に動力伝達される。
次に、図1、図4及び図6以降を参照しながら、本発明に係る補助車輪としてのかご車輪100及び後車輪4の詳細構造について説明する。左右の後車輪4は、回転中心部に位置するハブ筒部93と、環状のリム部(図示省略)と、ハブ筒部93から放射状に延びてハブ筒部93とリム部とをつなぐスポーク部94とを備えている。リム部には、周囲に硬質ゴムを焼き付けることによって、ゴム輪体91と推進ラグ92とを形成している。推進
ラグ92は、ゴム輪体91の周方向に沿って適宜間隔でゴム輪体91に形成している。後車軸37の先端側(左右外側)は六角軸形状になっていて、後車軸37の六角軸部37aに後車輪4のハブ筒部93が被嵌される。
各後車輪4には、これと一体回転するかご車輪100を取り付けている。図4及び図6から分かるように、実施形態のかご車輪100は、内かご輪体110と外かご輪体120とからなる左右半割り状のものである。内かご輪体110は後車輪4の左右内側に位置し、外かご輪体120は後車輪4の左右外側に位置している。
内かご輪体110は、環状の内側リム部111と、内側リム部111の周方向に沿って適宜間隔で内側リム部111に設けた複数の内側外周ラグ部112とを備えている。内かご輪体110は更に、回転中心部に位置する内側ハブ筒部113と、内側ハブ筒部113から放射状に延びて内側ハブ筒部113と内側リム部111とを連結する内側スポーク部114とを備えている。後車軸37の六角軸部37aに内かご輪体110の内側ハブ筒部113を被嵌することによって、内かご輪体110は後車輪4と一体回転可能になっている。後車軸37の六角軸部37aに、内かご輪体110の内側ハブ筒部113、後車輪4のハブ筒部93の順で被嵌し、後車輪4のハブ筒部93を後車軸37の六角軸部37aにロックピン軸95と止めピン96とで抜け不能に固定することによって、内かご輪体110の内側ハブ筒部113も後車軸37の六角軸部37aに抜け不能に保持される。
各内側外周ラグ部112は、後車軸37の長手方向(回転軸線方向)に沿うように後車輪4に向けて延びている。各内側外周ラグ部112はクランク形状になっていて、後車輪4に内かご輪体110を取り付けた状態では、先端側の段差部分112aが後車輪4(ゴム輪体91)の内周面と左右内側面とに重なる。段差部分112aの最先端側には、後述する外側外周ラグ部122の先端側が嵌まる嵌合部分112bを形成している。後車輪4に内かご輪体110を取り付けた状態で、嵌合部分112bは、後車輪4(ゴム輪体91)の左右外側面よりも更に左右外側に突出している。各内側外周ラグ部112の基端側は内側リム部111に溶接固定している。
各内側外周ラグ部112のうち後車輪4のスポーク部94に対応する箇所には、補強板115を取り付けている。実施形態では、前部下側の補強板115だけ二つの内側外周ラグ部112に跨って溶接固定している。後車輪4の各スポーク部94は、対応する補強板115に押さえ片116を介してボルト117で固定している。
外かご輪体120は、環状の外側リム部121と、外側リム部121の周方向に沿って適宜間隔で外側リム部121に設けた複数の外側外周ラグ部122とを備えている。各外側外周ラグ部122は、後車軸37の長手方向(回転軸線方向)に沿うように後車輪4に向けて延びている。各外側外周ラグ部122は略L字形状になっている。後車輪4を挟んで左右両側から内かご輪体110と外かご輪体120とを突き合わせ、各内側外周ラグ部112の嵌合部分に、対応する外側外周ラグ部122の先端側を嵌め込んで、ボルト及びナットで着脱可能に締結することによって、内かご輪体110と外かご輪体120とが後車輪4を挟持した状態でかご車輪100をなしている。この場合、内側リム部111と外側リム部112とは、後車輪4を挟んだ左右両側で同心状に相対向して位置することになる。各外側外周ラグ部122の基端側は外側リム部121に溶接固定している。
なお、ボルトを緩めて内外の外周ラグ部112,122の締結を解除すれば、内かご輪体110はそのままで、外かご輪体120だけを簡単に取り外しできる。例えばトラック等の荷台に田植機1を搭載して運搬する際は、外かご輪体120を取り外しておけば、左右のあおり板に干渉せずに田植機1をスムーズに搭載できる。
後車輪4を挟んで互いに隣り合う外周ラグ部112,122は、後車軸37の長手方向に沿った長い姿勢で並んでいる。従って、かご車輪100としての圃場との設置幅は線接触又は面接触の状態になるため、深い圃場や粘土質の圃場で走行機体2が沈没したり旋回時に耕盤を壊して走行機体2が沈没したりするおそれを回避できる。走行機体2の湿田走破性の大幅な向上を図れる。また、互いの外周ラグ部112,122同士を着脱可能に連結することによって、内外のかご輪体110,120がかご車輪100をなしているから、内外のかご輪体110,120の連結剛性、ひいてはかご車輪100としての剛性を向上できる。
内外のかご輪体110,120の各外周ラグ部112,122は、後車輪4の各推進ラグ92とは位相をずらして位置している。実施形態では、後車輪4において回転方向前後に隣り合う推進ラグ92の間に、内外のかご輪体110,120の外周ラグ部112,122を位置させている。このため、各推進ラグ92の存在に邪魔されることなく内外のかご輪体110,120の各外周ラグ部112,122を突き合わせでき、各外周ラグ部112,122の突き合わせ構造を簡素化できる。走行機体2の車幅をあまり拡大することなく、各外周ラグ部112,122の幅方向長さも確保できる。
図1及び図4等に示すように、内外のかご輪体110,120の外径寸法(直径と言ってもよい)は後車輪4の外径寸法よりも小さく設定している。すなわち、内外のかご輪体110,120は、側面視で後車輪4の内径側に収まる大きさになっている。このため、路上走行時にかご車輪100(特に内外の外周ラグ部112,122)が走行路面に接触するおそれを抑制でき、かご車輪100を取り付けた状態でも走行機体2でスムーズに路上走行できる。
図10に示すように、内外のかご輪体110,120におけるリム部111,121の位置は、各リム部111,121の移動軌跡が苗植付装置23の各植付爪30の箇所と重ならないように設定している。実施形態では、左右それぞれの内側リム部111の移動軌跡が平面視で左から二つ目及び三つ目の植付伝動ケース27(左右内側の植付伝動ケース27)と重なるように、内かご輪体110の内側リム部111の位置を設定している。また、左右それぞれの外側リム部121の移動軌跡が平面視で左から一つ目及び四つ目の植付伝動ケース27(左右外側の植付伝動ケース27)と重なるように、外かご輪体120の外側リム部121の位置を設定している。上記のように構成すると、各リム部111,121による圃場面の荒れの影響が苗植付装置23(各植付爪30)による苗の植付姿勢に及ぶのを抑制できる。
本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば本発明は乗用型田植機に適用するに限らず、各種苗移植機等の作業車両にも適用可能である。また、田植機1の前車輪3のバリエーションも種々選択できる。例えば幅広車輪にしてもよいし、通常の前車輪3を左右に二つずつ並べて設けてもよい。また、前車輪3の左右外側に専用のかご車輪を取り付けてもよい。いずれも、前車輪3としての圃場との設置幅を拡大でき、湿田走破性向上に貢献する。
更に、後車輪4の左右内側に内かご輪体110だけを取り付けるようにしてもよい。この場合、後車輪4の左右内側にデッドスペースのある乗用型田植機に、コンパクトに内かご輪体110を取り付けできることになる。走行機体2の湿田走破性の大幅な向上を図れるものでありながら、例えばトラック等の荷台に田植機1を搭載して運搬する際に、左右のあおり板に干渉せずに田植機1をスムーズに搭載できる。後車輪4の左右外側に外かご輪体120だけを取り付けるようにしてもよい。また、例えば後車輪4を除いて、内かご輪体110と外かご輪体120とからなるかご車輪100だけで、走行機体2の後部を支持する構成にすることも可能である。各部の構成は図示の実施形態に限定されるものでは
なく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
1 乗用型田植機
2 走行機体
5 エンジン
6 ミッションケース
37 後車軸
37a 六角軸部
92 推進ラグ
100 かご車輪
110 内かご輪体
111 内側リム部
112 内側外周ラグ部
120 外かご輪体
121 外側リム部
122 外側外周ラグ部

Claims (7)

  1. 走行機体を支持する前後四つの車輪を備える作業車両において、
    前記走行機体の各後車輪と一体回転するかご車輪を備え、前記かご車輪は内かご輪体と外かご輪体とからなり、前記後車輪を挟んで左右両側から前記内かご輪体と前記外かご輪体とを配置し、前記内かご輪体と前記外かご輪体とによって前記後車輪を挟持している、作業車両。
  2. 前記後車輪に前記内かご輪体を連結した状態で、前記外かご輪体を着脱可能に構成している、
    請求項1に記載の作業車両。
  3. 前記各かご輪体は、環状のリム部と、前記リム部の周方向に沿って適宜間隔で前記リム部に設けた複数の外周ラグ部とを備え、
    互いの前記外周ラグ部同士を着脱可能に連結することによって、前記内外のかご輪体が前記かご車輪をなしている、
    請求項2に記載の作業車両。
  4. 前記両かご輪体の外径寸法は前記後車輪の外径寸法よりも小さく設定している、
    請求項3に記載の作業車両。
  5. 前記後車輪には、前記後車輪の周方向に沿って適宜間隔で並ぶ複数の推進ラグを備え、
    前記かご輪体の前記各外周ラグ部は、前記後車輪の前記各推進ラグとは位相をずらして位置している、
    請求項3又は4に記載の作業車両。
  6. 前記走行機体の後部に、苗載台及び複数の植付爪を有する苗植付装置を装着し、
    前記各かご輪体の前記リム部の移動軌跡が平面視で前記各植付爪の箇所と重ならないように、前記各リム部の位置を設定している、
    請求項3〜5のうちいずれかに記載の作業車両としての乗用型田植機。
  7. 走行機体を支持する前後四つの車輪を備え、前記走行機体の後部に、苗載台及び複数の植付爪を有する苗植付装置を装着している乗用型田植機において、
    前記走行機体の各後車輪と一体回転するかご車輪として、前記後車輪の左右内側に配置した内かご輪体を備えている、
    乗用型田植機。

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