JP2017120112A - 車両用ドラムブレーキ - Google Patents

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覚 新谷
浩二 森
Koji Mori
浩二 森
健一 明城
Kenichi Akishiro
健一 明城
長谷川 博司
Hiroshi Hasegawa
博司 長谷川
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Abstract

【課題】ブレーキケーブルの摩耗を抑制してその耐久性を向上させる車両用ドラムブレーキを提供する。
【解決手段】ブレーキケーブル58をガイドするケーブル案内部18eに、ブレーキケーブル58の径よりも小さな間隔で開口された溝部18dを形成し、ブレーキケーブル58の径よりも小さな間隔の一対の開口縁18fが備えられたことにより、ブレーキケーブル58が一対の開口縁18fで支持されて溝部18dを摺動するため、溝部が形成されていない支持部でブレーキケーブル58を支持する場合と比べてケーブル案内部18eとブレーキケーブル58との接触面積が増加してブレーキケーブル58に生じる応力が分散されるのでブレーキケーブル58の耐久性を向上させることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両用ドラムブレーキに関し、特にパーキングブレーキに操作力を伝達するブレーキケーブルのケーブルガイドに関するものである。
一般的に、バッキングプレートに拡開可能に配設された一対のブレーキシューと、一対のブレーキシューの一方の一端部において所定の取付軸まわりに回動可能に配設されたパーキングレバーと、パーキングレバーの先端部に一端部が連結されたブレーキケーブルと、ブレーキケーブルをバッキングプレートの内外へ挿通するようにバッキングプレートに貫通して形成された貫通穴と、貫通穴とパーキングレバーの先端部との間のバッキングプレート上に固定され、ブレーキケーブルに引張力が加えられる際のブレーキケーブルを支持することによりブレーキケーブルをバッキングプレートに平行な方向に案内するケーブル案内部とを備える車両用ドラムブレーキが知られている。たとえば、特許文献1に記載された車両用ドラムブレーキがそれである。
特許文献1では、車両用ドラムブレーキにおいて、バッキングプレートの一部に絞り加工およびプレス加工を実施してブレーキケーブルのガイド機構となるガイド案内部を形成する技術が開示されている。これにより、パーキングブレーキが作動させられた状態では、ブレーキケーブルを安定してガイドすることができる。
特開2011−190853号公報
しかしながら、上記特許文献1の技術では、ブレーキケーブルがケーブル案内部に設けられた平板部で支持されており、さらに、車両用ドラムブレーキの構造上、ケーブル案内部はその一端部がブレーキケーブルの屈曲部付近のみを支持する状態になりやすいため、ケーブル案内部とブレーキケーブルとの接触面積が小さくブレーキケーブルに生じる応力は大きくなる。これにより、パーキングブレーキの作動を繰り返した場合に、ブレーキケーブルが摩耗しやすくなり耐久性に問題が生じる可能性があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、ブレーキケーブルの摩耗を抑制してその耐久性を向上させる車両用ドラムブレーキを提供することにある。
本発明の要旨とするところは、バッキングプレートに拡開可能に配設された一対のブレーキシューと、一対のブレーキシューの一方の一端部において所定の取付軸まわりに回動可能に配設されたパーキングレバーと、パーキングレバーの先端部に一端部が連結されたブレーキケーブルと、ブレーキケーブルをバッキングプレートの内外へ挿通するようにバッキングプレートに貫通して形成された貫通穴と、貫通穴とパーキングレバーの先端部との間のバッキングプレート上に固定され、ブレーキケーブルに引張力が加えられる際にブレーキケーブルを支持する支持部を有することによりブレーキケーブルをバッキングプレートに平行な方向に案内するケーブル案内部とを備える車両用ドラムブレーキであって、ケーブル案内部は、支持部に、ブレーキケーブルの長手方向に沿って形成され、ブレーキケーブルの径よりも小さな間隔の一対の開口縁を有する溝部を備え、ブレーキケーブルを溝部の一対の開口縁にて支持することにある。
このようにすれば、ブレーキケーブルをガイドするケーブル案内部に、ブレーキケーブルの径よりも小さな間隔で開口された溝部を形成し、ブレーキケーブルの径よりも小さな間隔の一対の開口縁が備えられたことにより、ブレーキケーブルが一対の開口縁で支持されて溝部を摺動するため、溝部が形成されていない支持部でブレーキケーブルを支持する場合と比べて、ケーブル案内部とブレーキケーブルとの接触面積が増加してブレーキケーブルに生じる応力が分散されるのでブレーキケーブルの耐久性を向上させることができる。
本発明の一例の車両用ドラムブレーキを示す正面図である。 図1の実施例のリターンスプリングを拡大して示す図であり、図1のII−II視断面図に対応するものである。 図1の実施例のバッキングプレートを示す斜視図である。 図1の実施例のケーブル案内部を拡大して示す図であり、図2のIV−IV視断面図に対応するものである。 本発明の他の実施例におけるケーブル案内部を拡大して示す図である。
以下、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明の一例のドラムインディスクブレーキ型のツーリーディング式車両用ドラムブレーキ10(以下、車両用ドラムブレーキ10という)を示す正面図である。車両用ドラムブレーキ10には、たとえば図示しない車軸管、アクスルハウジング、サスペンション装置などの車体側部材すなわち非回転部材に一体的に固設された円板形状のバッキングプレート18が備えられている。このバッキングプレート18の外周部には、図示しないディスクを保護するためのディスクカバー20が固定されている。
また、車両用ドラムブレーキ10には、バッキングプレート18の外周部に凸側が外側になる姿勢で互いに接近離間可能にバッキングプレート18の中心線Tに対して略対称的に配設された円弧形状の一対のブレーキシュー22、24と、その一対のブレーキシュー22、24の一端部、すなわち図1における上端部の間において位置固定に設けられたアンカ26と、そのアンカ26と一対のブレーキシュー22、24との間にそれぞれ張設され一対のブレーキシュー22、24の前記一端部を互いに接近する方向に常時付勢する一対のリターンスプリング28、30と、一対のブレーキシュー22、24の前記一端部間に架け渡されたて一対のブレーキシュー22、24の接近を阻止する長手板状のストラット32と、一対のブレーキシュー22、24の他端部、すなわち図1における下端部の間に介在させられてアジャストホイール34aの回転に伴って全長が変化させられることによりシュー間隙を調節する間隙調節装置34と、一対のブレーキシュー22、24の前記他端部間に張設されてそれら前記他端部を互いに接近する方向に常時付勢して間隙調節装置34を長手方向に挟圧するための中間部分がコイル状のスプリング36とが備えられている。上記中心線Tは、図1の正面視において、アンカ26の長手方向の中央およびバッキングプレート18の中心を通る線である。
一対のブレーキシュー22、24は、何れも、後述するバッキングプレート18の平板部18aと略平行な平板状を成し、かつ、図1に示す正面図において全体が円弧形状に湾曲したシューウェブ38、40と、それらの円弧形状を成すシューウェブ38、40外周側端縁に沿ってブレーキシュー22、24の断面が略T字状を成すように一体的に固設された帯板状のシューリム42、44と、それらシューリム42、44の外周面に接着剤などで一体的に固着された摩擦材から成るライニング46、48とを備えてそれぞれ構成されている。
また、一対のブレーキシュー22、24は、シューウェブ38およびシューウェブ40にそれぞれ配設されたシューホールドダウン装置50、52によってバッキングプレート18側へ押圧されることによりそのバッキングプレート18に対して面方向の拡開移動可能に保持されている。制動時には、ブレーキシュー22、24が、パーキングレバー56およびストラット32によって拡開されて、ライニング46、48が、図示しない回転ドラムの内周面に摺接させられる。
図1に示すように、ブレーキシュー22には、略円柱形状の取付軸54を備えた平板状のパーキングレバー56が配設されており、ブレーキシュー22の前記一端部とパーキングレバー56の基端部56aとは、その取付軸54によって、その取付軸54まわりに相対回動可能に連結されている。そして、パーキングレバー56の基端部56aであって取付軸54に近い部分は、ストラット32のブレーキシュー22側の端部に切り欠かれた切欠面32aにシューウェブ38と共に係合させられている。また、パーキングレバー56の先端部56bには、パーキングブレーキペダル、パーキングブレーキレバー等の図示されていないブレーキ操作装置が操作されることによって発生する操作力、すなわち張力をそのパーキングレバー56の先端部56bに伝達するインナーケーブル、いわゆるブレーキケーブル58の一端部が連結されている。
図2は、図1のII−II視断面の要部を示す図であり、図3は、図1のバッキングプレート18を示す斜視図である。図2および図3に示すように、バッキングプレート18には、そのバッキングプレート18の外周部にケーブル取付部材60がバッキングプレート18の内外へ挿通可能な大きさで穿設された貫通穴18bに嵌め着けられ、ブレーキケーブル58がケーブル取付部材60に通された状態でバッキングプレート18に取り付けられている。さらに、バッキングプレート18には、そのバッキングプレート18の貫通穴18bに隣接する部分からブレーキシュー22および24の間へ突き出すように、そのバッキングプレート18の平板部18aの一部が台形状断面に突き入れられた、一対の基部18cとその一対の基部18cの先端を結ぶ支持部18gと、その支持部18gにブレーキケーブル58の長手方向に沿うように形成された溝部18dとを一体に有するケーブル案内部18eが備えられている。
ケーブル取付部材60は、弾性変形可能な材質たとえばプラスチック或いは合成ゴムによって構成されており、ケーブル取付部材60の一部分から貫通穴18bに嵌め着けられる嵌着突起部60aと、ケーブル取付部材60に貫通された挿通穴60bとが備えられている。挿通穴60bには、インナーケーブルであるブレーキケーブル58が挿通されるとともに、アウターケーブル66が挿通される。
ケーブル案内部18eは、挿通穴60bとパーキングレバー56の先端部56bとの間のバッキングプレート18上に形成されてブレーキケーブル58を支持し、かつ、ブレーキケーブル58に引張力が加えられる際にそのブレーキケーブル58の一端部をパーキングレバー56の先端部56bにバッキングプレート18の平板部18aと略平行な状態で案内するように、そのケーブル案内部18e高さが設定されている。
図4は、図2のIV−IV視断面図であり、図4で示すように、ケーブル案内部18eには、一対の基部18cの先端を結ぶ支持部18gにブレーキケーブル58の長手方向に沿って開口する溝部18dが形成されている。溝部18dは、バッキングプレート18側方向に深さを有し、ブレーキケーブル58の径Dよりも小さな間隔で開口する幅を有している。溝部18dと支持部18gとの間には、ブレーキケーブル58を支持する開口縁18fが形成されており、その開口縁18fは、ブレーキケーブル58の径Dよりも小さな間隔Wを有している。ブレーキケーブル58は、一対の開口縁18fにて支持されて溝部18dを摺動する。開口縁18fの間隔Wは、ブレーキケーブル58と開口縁18fとの接点C間の間隔と同等であって、たとえば、ブレーキケーブル58の径Dの0.8〜0.5倍の範囲が望ましく、好適には0.7〜0.6倍が望ましい。
本実施例の車両用ドラムブレーキ10によれば、ブレーキケーブル58をガイドするケーブル案内部18eに、ブレーキケーブル58の径よりも小さな間隔で開口された溝部18dを形成し、ブレーキケーブル58の径よりも小さな間隔の一対の開口縁18fが備えられたことにより、ブレーキケーブル58が一対の開口縁18fで支持されて溝部18dを摺動するため、溝部が形成されていない支持部でブレーキケーブル58を支持する場合と比べて、ケーブル案内部18eとブレーキケーブル58との接触面積が増加してブレーキケーブル58に生じる応力が分散されるのでブレーキケーブル58の耐久性を向上させることができる。
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において実施例相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図5は、他のケーブル案内部70の断面を示す。図5に示すように、ケーブル案内部70は、断面が対称的な逆L字状の一対の第1ケーブル案内部70aと第2ケーブル案内部70bとの2部品が、図示しない溶接又はかしめなどでバッキングプレート18に固定されている。前述の実施例と同様に、第1ケーブル案内部70aと第2ケーブル案内部70bとの間にはブレーキケーブル58の径Dよりも小さい間隔で開口する溝部72が形成され、第1ケーブル案内部70aの屈曲部と第2ケーブル案内部70bの屈曲部とがブレーキケーブル58の径Dよりも小さい間隔Wで一対の開口縁74a、74bを形成している。開口縁74a、74bの間隔Wは、ブレーキケーブル58と開口縁74a、74bとのそれぞれの接点C間の間隔と同等である。ブレーキケーブル58は、一対の開口縁74a、74bで支持されて溝部72を摺動するため、溝部が形成されていない支持部でブレーキケーブル58を支持する場合と比べて、ケーブル案内部70とブレーキケーブル58との接触面積が増加してブレーキケーブル58にかかる応力が分散されるのでブレーキケーブル58の耐久性を向上させることができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の様態にも適用される。たとえば、前述の実施例のケーブル案内部18e、70では溝部が1つであったが、必ずしもこれに限らず、並行する複数の溝部を有するものであってもよい。
また、前述の図5のケーブル案内部70を構成する第1ケーブル案内部70aおよび第2ケーブル案内部70bは、バッキングプレート18から互いに接近する側へ曲げ起こされたものでもよい。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両用ドラムブレーキ
18:バッキングプレート
18b:貫通穴
18d、72:溝部
18e、70:ケーブル案内部
18f、74a、74b:開口縁
18g:支持部
22、24:ブレーキシュー
56:パーキングレバー
56b:先端部
58:ブレーキケーブル

Claims (1)

  1. バッキングプレートに拡開可能に配設された一対のブレーキシューと、
    前記一対のブレーキシューの一方の一端部において所定の取付軸まわりに回動可能に配設されたパーキングレバーと、
    前記パーキングレバーの先端部に一端部が連結されたブレーキケーブルと、
    前記ブレーキケーブルを前記バッキングプレートの内外へ挿通するように前記バッキングプレートに貫通して形成された貫通穴と、
    前記貫通穴と前記パーキングレバーの先端部との間の前記バッキングプレート上に固定され、前記ブレーキケーブルに引張力が加えられる際に前記ブレーキケーブルを支持する支持部を有することにより前記ブレーキケーブルを前記バッキングプレートに平行な方向に案内するケーブル案内部とを備える車両用ドラムブレーキであって、
    前記ケーブル案内部は、前記支持部に、前記ブレーキケーブルの長手方向に沿って形成され、前記ブレーキケーブルの径よりも小さな間隔の一対の開口縁を有する溝部を備え、前記ブレーキケーブルを前記溝部の一対の開口縁にて支持することを特徴とする車両用ドラムブレーキ。
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