JP2017119810A - インク、インクジェット記録方法、及び記録物 - Google Patents

インク、インクジェット記録方法、及び記録物 Download PDF

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Abstract

【課題】保存安定性が良好であり、画像光沢度が高く、非浸透性記録媒体に対する、定着性、耐擦過性、耐溶剤性、及び密着性に優れる画像が得られるインクの提供。【解決手段】水と、有機溶剤と、ポリシロキサン界面活性剤と、変性ポリビニルアルコールと、塩化ビニル樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、及びポリエステル樹脂粒子から選択される少なくとも1種と、を含有し、前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値が、8以下であるインクである。前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値が、4.5以上7.0以下である態様などが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、インク、インクジェット記録方法、及び記録物に関する。
広告、看板等の産業用途において、耐光性、耐水性、耐摩耗性等の耐久性を向上させるため、例えば、プラスチックフィルム等の非浸透性記録媒体が使用されており、前記非浸透性記録媒体に用いられるインクが種々開発されている。
このようなインクとしては、例えば、有機溶剤を溶媒として用いた溶剤系インク、重合性モノマーを主成分とする紫外線硬化型インクなどが広く用いられている。しかし、前記溶剤系インクは、有機溶剤蒸発による環境への影響が懸念される。前記紫外線硬化型インクは、安全性の面から使用する重合性モノマーの選択肢が限られる場合がある。
そこで、環境負荷が少なく、非浸透性記録媒体に直接記録できる水性インクが提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
本発明は、保存安定性が良好であり、画像光沢度が高く、非浸透性記録媒体に対する、定着性、耐擦過性、耐溶剤性、及び密着性に優れる画像が得られるインクを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のインクは、水と、有機溶剤と、ポリシロキサン界面活性剤と、変性ポリビニルアルコールと、塩化ビニル樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、及びポリエステル樹脂粒子から選択される少なくとも1種と、を含有し、前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値が、8以下である。
本発明によると、保存安定性が良好であり、画像光沢度が高く、非浸透性記録媒体に対する、定着性、耐擦過性、耐溶剤性、及び密着性に優れる画像が得られるインクを提供することができる。
図1は、シリアル型画像形成装置の一例を示す斜視説明図である。 図2は、図1の装置のメインタンクの一例を示す斜視説明図である。 図3は、図1の装置の加熱手段の一例を示す概略図である。
(インク)
本発明のインクは、水と、有機溶剤と、ポリシロキサン界面活性剤と、変性ポリビニルアルコールと、塩化ビニル樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、及びポリエステル樹脂粒子から選択される少なくとも1種と、を含有し、前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値が、8以下であり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
本発明のインクは、従来の溶剤系インクでは、インク中の有機溶剤により非浸透性記録媒体を膨潤させながら定着するため、非浸透性記録媒体に対する定着性に優れるが、前記水性インクは、最終記録物はインク塗膜が記録媒体にのっているだけの構成となるため、インク塗膜の記録媒体への定着性が不十分であり、高速記録性に劣るという問題があるという知見に基づくものである。また、屋外用途を想定した場合、記録物の耐擦過性についても、屋内向けとは比べ物にならない強靭な耐擦過性、耐溶剤性、画像硬度などの性質が求められている。しかし、従来の水性インクでは溶剤系インクに匹敵する十分な前記性質が得られていないという問題があるという知見に基づくものである。
また、本発明者らは、以下のことを知見した。
インクに含まれる成分のうち、界面活性剤の選定は記録する非浸透性記録媒体へのインクの定着性を左右するため、その果たす役割は非常に大きい。本発明者らは、ポリシロキサン界面活性剤のうち、HLB値が、8以下である化合物をインクに加えることでインクの定着性が著しく向上することを知見した。その理由については定かではないが、HLB値が8以下であると疎水性が高まることで、各種非浸透性記録媒体との親和性が向上するためと推察される。
また、前記インクの非浸透性記録媒体への定着性が向上することにより、高速記録時においても隣接インク滴同士が着弾後に合一し収縮する現象(ビーディング)を抑制することができ、高品位の画像を得ることができることを見出した。また、定着速度の向上は、乾燥性向上も高めることができ、密着性を向上できることから、記録後の記録媒体巻き取り時に裏紙への転写を抑制できることを知見した。
しかし、HLBの値が8以下であると水溶性と油溶性とのバランスが油溶性に偏ることがある。そのような場合、水分がインクの全成分のうち30質量%を超えるような水性インクにおいて、界面活性剤がインク中に溶け難くなり、油相と水相に分離する相分離を引き起こしやすくなる。その結果、インクの保存安定性が低下を招くことがある。
そこで、発明者らは、変性ポリビニルアルコールをインク中に所定量添加したところ、前記ポリシロキサン界面活性剤をインク中に安定化させることができることを見出した。これにより、インクジェット記録用インクとして想定される使用温度範囲内において、インクの相分離を解消することができる。
また、塩化ビニル樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、及びポリエステル樹脂粒子から選択される少なくとも1種をインク中に含有させることで、得られる画像において、高い画像光沢度、及び耐擦過性を付与することができることを知見した。さらに、驚くべきことに、前記ポリシロキサン界面活性剤を、前記変性ポリビニルアルコールと、塩化ビニル樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、及びポリエステル樹脂粒子から選択される少なくとも1種とともに使用することにより記録後に形成される塗膜の耐擦過性だけでなく、耐溶剤性も大きく向上することができることを見出した。
<ポリシロキサン界面活性剤>
前記ポリシロキサン界面活性剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン構造を有する化合物(シリコーン系化合物)の側鎖に親水性の基や親水性ポリマー鎖を有する化合物、ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン構造を有する化合物(シリコーン系化合物)の末端に親水性の基や親水性ポリマー鎖を有する化合物が挙げられる。なお、前記ポリシロキサン界面活性剤とは、その構造中にポリシロキサン構造を有していればよく、ポリシロキサン系界面活性剤も含む意味である。
前記親水性の基や前記親水性ポリマー鎖としては、例えば、ポリエーテル基(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキンドやこれらの共重合体等)、ポリグリセリン(CΗO(CHCH(OH)CHO)−H等)、ピロリドン、ベタイン(CΗ(C−CHCOO等)、硫酸塩(CO(CO)−SONa等)、リン酸塩(CΗO(CO)−P(=O)OHONa等)、4級塩(C(CCl等)などが挙げられる。ただし、前記化学式中、nは1以上の整数を表わす。これらの中でも、ポリエーテル基を有することが好ましい。
また、末端に重合性ビニル基を有するポリジメチルシロキサン等と、共重合可能なその他のモノマー(前記モノマーの少なくとも一部には(メタ)アクリル酸、又はその塩などの親水性モノマーを用いることが好ましい)と、の共重合で得られる側鎖にポリジメチルシロキサンなどのシリコーン系化合物鎖を有するビニル系共重合体なども好適に挙げられる。
これらの中でも、ポリシロキサン構造を有する化合物であり、かつ親水性ポリマー鎖を有する化合物が好ましく、前記親水性ポリマー鎖としてポリエーテル基を含有することがより好ましく、ポリシロキサン界面活性剤が疎水基としてメチルポリシロキサンを有し、親水基としてポリオキシエチレンの構造を有する非イオン界面活性剤であることが特に好ましい。
前記ポリシロキサン界面活性剤のHLBとしては、8以下であり、4.5以上7.0以下が好ましい。前記HLBが、8以下であると、各種非浸透性記録媒体に対して、インクジェット記録しても、優れたインク定着性を確保することができ、さらに、4.5以上7.0以下であるとインクの相分離を生じない温度を高めることができる。
ここで、HLBとは界面活性剤の親水基と親油基とのバランスを意味し、前記HLBは0〜20までの値を取り、0に近いほど親油性が高く、20に近いほど親水性が高くなる。前記HLBは、以下の式(グリフィン法)により定義されるものである。
HLB=20×(親水部の式量の総和/分子量)
前記ポリシロキサン界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性シリコーン、ポリオキシアルキレン基含有シリコーン化合物などが挙げられる。
前記ポリシロキサン界面活性剤としては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、シルフェイスSAG005(HLB:7.0)、シルフェイスSAG008(HLB:7.0)、(以上、日信化学工業株式会社製)、FZ2110(HLB:1.0)、FZ2166(HLB:5.8)、SH−3772M(HLB:6.0)、L7001(HLB:7.4)、SH−3773M(HLB:8.0)、(以上、東レ・ダウ株式会社製)、KF−945(HLB:4.0)、KF−6017(HLB:4.5)、(以上、信越化学工業株式会社製)、FormBan MS−575(Ultra Addives Inc.社製、HLB:5.0)などが挙げられる。
前記ポリシロキサン界面活性剤の含有量としては、インク全量に対して、0.1質量%以上4.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%以上4.0質量%以下であると、各種非浸透性記録媒体へのインクの定着性を向上でき、さらに光沢等の画像品質も向上できる。
<変性ポリビニルアルコール>
前記変性ポリビニルアルコールは、インク中における前記ポリシロキサン界面活性剤の分離の発生を抑制でき、保存安定性を向上できる。
前記変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、シラノール変性ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シラノール変性ポリビニルアルコールが好ましい。シラノール変性ポリビニルアルコールを用いることにより、インクの保存安定性を損なうことなく、インクジェット記録により形成された画像が良好な記録媒体への密着性を確保することができる。
前記変性ポリビニルアルコールとしては、親水性が強い点から、90℃程度の温水下で溶解した水溶液として使用することが好ましく、水への溶解性、及びインク化した際の保存安定性の点から、90℃程度の温水下で10質量%水溶液として使用することがより好ましい。
前記変性ポリビニルアルコールとしては、市販品を使用することもでき、前記市販品としては、商品名:T330H(日本合成化学工業株式会社製、固形分濃度:10質量%)、商品名:R2105(固形分濃度:10質量%)、商品名:R1130(固形分濃度:10質量%)、(以上、株式会社クラレ製)などが挙げられる。
前記変性ポリビニルアルコールの含有量としては、インク全量に対して、0.5質量%以上5質量%以下が好ましく、0.8質量%以上2.5質量%以下がより好ましい。
[質量比(B/A)]
前記ポリシロキサン界面活性剤の含有量A(質量%)と、前記変性ポリビニルアルコールの含有量B(質量%)との質量比(B/A)としては、0.6以上1.8以下が好ましく、0.8以上1.5以下がより好ましい。前記質量比(B/A)が、0.6以上1.8以下であると、インク中において、ポリシロキサン界面活性剤の分離が発生する温度を高くすることができ、また光沢等の画像品質を向上できる。
<樹脂粒子>
前記樹脂粒子は、塩化ビニル樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、及びポリエステル樹脂粒子から選択される少なくとも1種を含有し、更に必要に応じてその他の樹脂を含有してなる。
<<塩化ビニル樹脂粒子>>
前記塩化ビニル樹脂粒子としては、インク中に含まれる顔料や他の樹脂粒子との混和性を確保する点から、塩化ビニル−エチレン共重合体樹脂粒子、塩化ビニル−アクリル共重合体樹脂粒子が好ましく、非極性記録媒体に対する密着性に優れる点から、塩化ビニル−エチレン共重合体樹脂粒子体がより好ましい。
前記塩化ビニル樹脂粒子としては、特に制限はなく、市販品を使用することができ、市販の塩化ビニル樹脂粒子、市販の塩化ビニル−アクリル共重合体樹脂粒子、市販の塩化ビニル−エチレン共重合体樹脂粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記市販の塩化ビニル樹脂粒子としては、例えば、日信化学工業株式会社製のビニブラン(登録商標)シリーズのうち品番985(固形分濃度:40質量%、アニオン性)などが挙げられる。
前記市販の塩化ビニル−アクリル共重合体樹脂粒子としては、例えば、日信化学工業株式会社製のビニブラン(登録商標)シリーズのうち品番278(固形分濃度:43質量%、アニオン性)、700(固形分濃度:30質量%、アニオン性)、701(固形分濃度:30質量%、アニオン性)、711(固形分濃度:30質量%、アニオン性)、721(固形分濃度:30質量%、アニオン性)、700FS(固形分濃度:30質量%、アニオン性)、701RL35(固形分濃度:30質量%、アニオン性)、701RL(固形分濃度:30質量%、アニオン性)、701RL65(固形分濃度:30質量%、アニオン性)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記市販の塩化ビニル−エチレン共重合体樹脂粒子としては、例えば、住化ケムテックス株式会社製のスミエリート(登録商標)シリーズのうち品番1010(固形分濃度:50質量%±1質量%、アニオン性)、1210(固形分濃度:50質量%±1質量%、アニオン性)、1320(固形分濃度:50質量%±1質量%、アニオン性)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
その他の市販品としては、塩化ビニル樹脂にヒドロキシル成分を導入した塩化ビニル系共重合体樹脂粒子であるWacker Chemie AG社製のVINNOLシリーズのうち品番E15/48A(固形分濃度:50質量%、アニオン性)、E22/48A(固形分濃度:30質量%、アニオン性)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<ポリウレタン樹脂粒子>>
前記ポリウレタン樹脂粒子としては、例えば、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂粒子、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂粒子、ポリエステル系ポリウレタン樹脂粒子などが挙げられる。
前記ポリウレタン樹脂粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタン樹脂粒子などが挙げられる。
−ポリオール−
前記ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−ポリエーテルポリオール−−
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、活性水素原子を2個以上有する化合物の少なくとも1種を出発原料として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものなどが挙げられる。
前記活性水素原子を2個以上有する化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、非常に優れた耐擦過性を付与できるインク用バインダーを得る点から、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−ポリカーボネートポリオール−−
また、前記ポリウレタン樹脂粒子の製造に使用できるポリカーボネートポリオールとしては、例えば、炭酸エステルとポリオールとを反応させて得られるもの、ホスゲンとビスフェノールA等とを反応させて得られるものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、4,4’−ビフェノール等の比較的低分子量のジヒドロキシ化合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−−ポリエステルポリオール−−
前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られるもの、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステル、これらの共重合ポリエステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、これらの無水物又はエステル形成性誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−ポリイソシアネート−
前記ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環式ジイソシアネートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、本発明のインクは、ポスターや看板などの屋外向けの用途としても用いられるため、非常に高い長期耐候性を持つ塗膜を必要としており、前記長期耐候性の点から、脂環式ジイソシアネートが好ましい。
更に、少なくとも1種の脂環式ジイソシアネートを使用することにより、目的とする塗膜強度、及び耐擦過性を得やすくなる。
前記脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂環式ジイソシアネートの含有量としては、イソシアネート化合物全量に対して、60質量%以上が好ましい。
[ポリウレタン樹脂粒子の製造方法]
前記ポリウレタン樹脂粒子は、従来一般的に用いられている製造方法により得ることができ、例えば、次の方法などが挙げられる。
まず、無溶剤下又は有機溶剤の存在下で、前記ポリオールと前記ポリイソシアネートとを、イソシアネート基が過剰になる当量比で反応させて、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを製造する。
次いで、前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマー中のアニオン性基を必要に応じて中和剤により中和し、その後、鎖延長剤と反応させて、最後に必要に応じて系内の有機溶剤を除去することによって得ることができる。
前記ポリウレタン樹脂粒子の製造に使用できる有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のアミド類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記鎖延長剤としては、例えば、ポリアミンやその他の活性水素基含有化合物などが挙げられる。
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン類;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン類;ヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン等のヒドラジン類;コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の活性水素基含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール類;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール類;水などが挙げられる。これらは、インクの保存安定性が低下しない範囲内であれば、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記ポリウレタン樹脂粒子としては、カーボネート基の高い凝集力により耐水性、耐熱性、耐摩耗性、耐候性、及び画像の耐擦過性の点から、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂粒子が好ましい。前記ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂粒子である場合、屋外用途のような過酷な環境において使用される記録物に適したインクが得られる。
前記ポリウレタン樹脂粒子としては、市販品を使用してもよく、例えば、ユーコートUX−485(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂粒子)、ユーコートUWS−145(ポリエステル系ポリウレタン樹脂粒子)、パーマリンUA−368T(ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂粒子)、パーマリンUA−200(ポリエーテル系ポリウレタン樹脂粒子)(以上、三洋化成工業株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<フッ素樹脂粒子>>
前記フッ素樹脂粒子は、高い画像光沢度、及び耐擦過性を向上することができる。さらに、驚くべきことに、前記ポリシロキサン界面活性剤、前記変性ポリビニルアルコール、及びフッ素樹脂粒子を併用すると、長期保管時にインク特性の変動を大きく抑制し、経時による粘度変動が安定化すると共に、記録後に形成される塗膜の耐擦過性だけでなく、耐溶剤性も大きく向上することができる。
前記フッ素樹脂粒子とは、その構造中にフッ素を有していればよく、フッ素系樹脂粒子を含む意味である。
前記フッ素樹脂粒子としては、例えば、フルオロオレフィン由来の構造単位及びフッ素置換基を含む構造単位を有するフッ素樹脂粒子、フルオロオレフィン由来の構造単位及びビニルエーテル由来の構造単位を有するフッ素樹脂粒子などが挙げられる。
前記フルオロオレフィン由来の構造単位及びフッ素置換基を含む構造単位を有するフッ素樹脂粒子としては、例えば、4,5−ジフルオロ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)−1,3−ジオキソールとフルオロオレフィンとの共重合体樹脂粒子などが挙げられる。
前記フルオロオレフィン由来の構造単位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、−CFCF−、−CFCF(CF)−、−CFCFCl−などが挙げられる。
前記ビニルエーテル由来の構造単位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記構造単位などが挙げられる。
前記フッ素樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)としては、100℃以上300℃以下が好ましく、150℃以上250℃以下がより好ましい。前記ガラス転移温度が、100℃以上300℃以下であると、フッ素樹脂粒子及び少なくとも1種類のフッ素樹脂粒子以外の樹脂粒子を含んだインクにより非浸透性記録媒体上に形成された画像を一般的な乾燥温度である50℃以上150℃以下の範囲において乾燥させた場合に、フッ素樹脂粒子が粒子としての形状を維持することができるため、1種類以上のフッ素樹脂粒子以外の樹脂粒子による均一な膜の形成を妨げることなく、むしろフッ素樹脂粒子がフィラーのように振舞うことで1種類以上のフッ素樹脂粒子以外の樹脂粒子により形成された樹脂の強度を向上させることができる。このような考え方から、用いるフッ素樹脂粒子のガラス転移温度は、記録物の乾燥温度より高いことが好ましく、20℃以上高いことがより好ましく、50℃以上高いことが特に好ましい。
前記フッ素樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、テフロンAFシリーズのうち、商品名:AF1600(Tg:160℃)、商品名:AF2400(Tg:240℃)(以上、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)、商品名:ルミフロンFE4400(旭硝子株式会社製、Tg:48℃)などが挙げられる。
前記フッ素樹脂粒子の含有量(質量%)とフッ素樹脂粒子以外の樹脂粒子の合計含有量(質量%)との質量比(フッ素樹脂粒子/フッ素樹脂粒子以外の樹脂粒子)としては、0.05以上4.0以下が好ましく、0.1以上2.0以下がより好ましく、0.2以上1.5以下が特に好ましい。質量比(フッ素樹脂粒子/フッ素樹脂粒子以外の樹脂粒子)が、0.05以上4.0以下であると、フッ素樹脂粒子以外の樹脂粒子により形成される膜の特性を劣化させることなくフッ素樹脂粒子の好適な特性を画像に付与できる。
前記フッ素樹脂粒子としては、エマルジョンの状態でインク中に添加することが好ましい。前記フッ素樹脂粒子のエマルジョンとしては、テトラフルオロエチレン(TFE)の転相乳化や懸濁重合、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の転相乳化などにより得ることができる。
前記転相乳化においては、フッ素樹脂粒子をテトラフルオロエチレン(TFE)等の有機溶剤に溶解させたフッ素樹脂粒子溶液を、水及び界面活性剤等と混合して転相乳化を行う。本発明においては、界面活性剤等を、フッ素樹脂粒子を含有した溶液に加えておき、これに水を徐々に投入して分散を行うことが好ましい。この方法を用いることで、得られる水性分散体の平均粒径を500nm以下にすることができ、インクジェットによる記録方法に用いる際に、フッ素樹脂粒子によるノズル詰まりを引き起こすことなく記録を行うことができる。
なお、前記転相乳化とは、フッ素樹脂の有機溶剤溶液に、この溶液に含まれる有機溶剤量を超える量の水を添加して、系を有機溶剤相から水相に変化させることを意味する。
前記フッ素樹脂粒子をテトラフルオロエチレン(TFE)等の有機溶剤に溶解させたフッ素樹脂粒子溶液において、前記フッ素樹脂粒子の含有量としては、フッ素樹脂粒子溶液全量に対して、10質量%以上70質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましく、30質量%以上50質量%以下が特に好ましい。前記含有量が、70質量%以下であると、次の分散工程において、水と混合した場合に粘度の上昇を抑制でき、得られる水性分散体の体積平均粒径を小さくでき、保存安定性を向上できる。また、10質量%以上であると、次の分散工程により、さらにフッ素樹脂の濃度が下がることを防止でき、脱溶剤工程の際に多量の有機溶剤を除去する必要がなくなる。
前記フッ素樹脂粒子を有機溶剤に溶解するための装置としては、液体を投入できる槽を備え、適度な撹拌できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、前記フッ素樹脂粒子が溶解しにくい場合には、加熱してもよい。
前記分散工程における温度としては、40℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましく、20℃以下がさらに好ましく、15℃以下が特に好ましい。前記温度が、40℃以下であると、界面活性剤等の含有量が少なくても、得られる水性分散体の平均粒径を500nm以下にすることができる。前記分散工程の温度は、この工程を通じて40℃以下に保たれていることが好ましいが、撹拌による剪断熱などにより液温が上昇しやすいため、系の温度を維持しにくい場合がある。そのような場合においても、フッ素樹脂粒子溶液に含まれる有機溶剤の0.8倍量の水を加え終えるまでは40℃以下に(40℃を超えないように)制御することが好ましく、1倍量の水を加え終えるまでは40℃以下に制御することがより好ましく、1.1倍量の水を加え終えるまでは40℃以下に制御することが特に好ましい。
<<ポリエステル樹脂粒子>>
前記ポリエステル樹脂粒は、高い画像光沢度、及び耐擦過性を向上することができる。さらに、驚くべきことに、前記ポリシロキサン界面活性剤、前記変性ポリビニルアルコール、及びポリエステル樹脂粒子を併用することにより、長期保管時にインク特性の変動を大きく抑制し、経時による粘度変動が安定化すると共に、記録後に形成される塗膜の耐擦過性だけでなく、耐溶剤性も大きく向上することができる。
前記ポリエステル樹脂粒子としては、画像の耐候性を得るために、乳化剤やスルホン酸塩等の乾燥後の被膜に残存する親水性成分を含有しないものが好ましい。
前記ポリエステル樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、ユニチカ株式会社製のエマルションエリーテル(登録商標)シリーズのうち品番KZA−1449(固形分濃度:30質量%、アニオン性)、KZA−3556(固形分濃度:30質量%、アニオン性)、KZA−0134(固形分濃度:30質量%、アニオン性)、高松油脂株式会社製のペスレジンAシリーズのうち品番A−124GP(固形分濃度:25質量%)、A−125S(固形分濃度:30質量%)、A−160P(固形分濃度:25質量%)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂粒子は、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが好ましい。
有機溶剤、色材、及び水と配合して水性のインクを調整する作業の容易性や、前記インク中にできるだけ均一に分散させること等を考慮すると、樹脂粒子が水を分散媒として安定に分散した状態である、樹脂エマルジョンの状態でインクに添加することが好ましい。
前記樹脂粒子は、インクへ添加する有機溶剤に溶解することで容易に造膜し、膜状の記録層が形成される。有機溶剤及び水の蒸発に伴い樹脂粒子の造膜が促進される。そのため、本発明のインクを使用すると、加熱工程を有さない記録を行うことも可能である。
前記樹脂粒子を、水を分散媒として分散させるにあたり、樹脂粒子としては、分散剤を利用した強制乳化型の樹脂粒子、分子構造中にアニオン性基を有する、いわゆる自己乳化型の樹脂粒子などが挙げられる。これらの中でも、記録物の強度を上げる点から、分子構造中にアニオン性基を有する自己乳化型の樹脂粒子が好ましい。
前記自己乳化型の樹脂粒子のアニオン性基の酸価としては、水分散性、耐擦過性、及び耐薬品性の点から、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下が好ましく、5mgKOH/mg以上50mgKOH/mg以下がより好ましい。
前記アニオン性基としては、例えば、カルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基などが挙げられる。これらの中でも、良好な水分散安定性を維持する点から、一部又は全部が塩基性化合物等によって中和されたカルボキシレート基やスルホネート基が好ましい。前記アニオン性基を樹脂中に導入するには、前記アニオン性基を持ったモノマーを使用すればよい。
前記アニオン性基を有する樹脂粒子の水分散体を製造する方法としては、水分散体にアニオン性基の中和に使用できる塩基性化合物を添加する方法などが挙げられる。
前記塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、モルホリンなどの有機アミン;モノエタノールアミンなどのアルカノールアミン;Na、K、Li、Caなどを含む金属塩基化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記強制乳化型の樹脂粒子を用いて水分散体を製造する方法としては、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等の界面活性剤を用いることなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐水性の点から、ノニオン性界面活性剤を用いることが好ましい。
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレンポリオール、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミンが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、メチルタウリル酸塩、スルホコハク酸塩、エーテルスルホン酸塩、エーテルカルボン酸塩、脂肪酸塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アルキルアミンオキシドなどが挙げられる。これらの中でも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸塩が好ましい。
前記強制乳化型の樹脂粒子を用いて水分散体を製造する場合、前記界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、強制乳化型の樹脂粒子全量に対して、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%以上30質量%以下の範囲内であれば、好適に樹脂粒子が造膜し、付着性や耐水性に優れたインクが得られ、記録物がブロッキングすることなく好適に用いられる。
前記樹脂粒子の体積平均粒径としては、インクジェット記録装置に使用することを考慮すると、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上500nm以下がより好ましく、10nm以上200nm以下が特に好ましい。前記体積平均粒径が、10nm以上1,000nm以下であると、有機溶剤と樹脂粒子表面との接触部位が増加し、樹脂粒子の造膜性が高まり、強靭な樹脂の連続被膜が形成されるため、高い強度の記録物を得ることができる。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(マイクロトラック MODEL UPA9340、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
前記樹脂粒子の定性及び定量としては、例えば、「プラスチック材料の各動特性の試験法と評価結果(22);安田武夫著、プラスチックス:日本プラスチック工業連盟誌/「プラスチックス」編集委員会編」に詳述されているような手順で確認することができる。具体的には、赤外線分光分析(IR)、熱分析(DSC、TG/DTA)、熱分解ガスクロマトグラフィ(PyGC)核磁気共鳴法(NMR)などで分析することにより確認することができる。
本発明のインクは、加熱を行うと、残留溶剤が低減して接着性が向上することができる。特に、樹脂粒子の最低造膜温度(以下、「MFT」とも称することがある)が80℃を超える場合、樹脂の造膜不良なく、画像堅牢性を向上できる点から、加熱をすることが好ましい。また、加熱は、記録媒体にインクを付与した後、記録後に行うことが好ましい。
なお、本発明のインクを得るために樹脂エマルジョンの最低造膜温度を調整する場合、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度(以下、「Tg」とも称することがある)をコントロールすることにより調整することができ、樹脂粒子が共重合体である場合には、前記共重合体を形成するモノマーの比率を変えることにより調整することができる。なお、前記最低造膜温度とは、樹脂粒子をアルミニウム等の金属板の上に薄く流延し、温度を上げていったときに透明な連続フィルムが形成される最低温度のことをいい、前記最低造膜温度未満の温度領域では、エマルジョンは白色粉末状となる点をいう。前記最低造膜温度は、例えば、「造膜温度試験装置」(株式会社井元製作所製)、「TP−801 MFTテスター」(テスター産業株式会社製)などの市販の最低造膜温度測定装置により測定することができる。
また、前記最低造膜温度は、樹脂粒子の体積平均粒径によっても変化するため、樹脂粒子の体積平均粒径の制御因子により樹脂粒子の最低造膜温度を狙いの値とすることができる。
前記樹脂粒子のTgとしては、示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ株式会社製、DSC6200)を用いて測定した値をいう。具体的には、下記の連続する温度プログラム1〜4の条件により測定を行い、温度プログラム3で測定された値をTgとすることができる。前記の昇温、冷却の温度プログラムにおいて測定を行い、温度プログラム3の測定値を用いるのは、測定値の再現性を確保するためである。
温度プログラム:
1.30℃〜250℃:昇温速度 30℃/min,保持時間1min
2.250℃〜−100℃:冷却速度 30℃/min,保持時間30min
3.−100℃〜250℃:昇温速度 5℃/min,保持時間1min
4.250℃〜30℃:冷却速度 30℃/min,保持時間2min
前記樹脂粒子の含有量としては、インク全量に対して、3質量%以上10質量%以下が好ましく、4質量%以上8質量%以下がより好ましい。
<<その他の樹脂粒子>>
前記その他の樹脂粒子としては、例えば、エポキシ樹脂粒子、ポリアミド樹脂粒子、ポリエーテル樹脂粒子、アクリル−シリコーン樹脂粒子等のアクリル樹脂粒子、ポリオレフィン樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂粒子、ポリビニルエステル樹脂粒子、ポリアクリル酸樹脂粒子、不飽和カルボン酸系樹脂等の付加系合成樹脂粒子、セルロース類、ロジン類、天然ゴム等の天然ポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
<有機溶剤>
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水溶性有機溶剤などが挙げられる。なお、水溶性とは、例えば、25℃の水100gに5g以上溶解することを意味する。
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、エチル1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネイト、炭酸エチレンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶剤の含有量としては、インクの乾燥性、及び吐出信頼性の点から、インク全量に対して、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<水>
前記水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、超純水などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水の含有量は、インク全量に対して、15質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上40質量%以下がより好ましい。前記含有量が、15質量%以上であると、高粘度になることを防止し、吐出安定性を向上でき、60質量%以下であると、非浸透性記録媒体への濡れ性が好適となり、画像品位を向上できる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、色材、ポリシロキサン界面活性剤以外の界面活性剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤、ヒンダードフェノールやヒンダードフェノールアミンのようなゴム及びプラスチックス用無色老化防止剤などが挙げられる。
<色材>
前記色材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、顔料、染料などが挙げられる。これらの中でも、顔料が好ましい。
前記顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料などが挙げられる。
前記無機顔料として、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料(例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
その他、中空樹脂粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。
前記顔料としては、黒色用としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、カラー用としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155;C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51;C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219;C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63;C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17、23、42、44、79、142;C.I.アシッドレッド52、80、82、249、254、289;C.I.アシッドブルー9、45、249;C.I.アシッドブラック1、2、24、94;C.I.フードブラック1、2;C.I.ダイレクトイエロー1、12、24、33、50、55、58、86、132、142、144、173;C.I.ダイレクトレッド1、4、9、80、81、225、227;C.I.ダイレクトブルー1、2、15、71、86、87、98、165、199、202;C.I.ダイレクドブラック19、38、51、71、154、168、171、195;C.I.リアクティブレッド14、32、55、79、249;C.I.リアクティブブラック3、4、35などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
顔料をインク中に分散させるには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした自己分散顔料等が使用できる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能なものを用いることができる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT−100(ノニオン系界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<顔料分散体>
顔料に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave−UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
前記顔料の数平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、最大個数換算で最大頻度は20nm以上150nm以下が好ましい。前記数平均粒径が、20nm以上であると、分散操作、分級操作が容易になり、150nm以下であると、インクとしての顔料分散安定性が良くなるばかりでなく、吐出安定性にも優れ、画像濃度などの画像品質も高くなり好ましい。
前記数平均粒径は、例えば、粒度分析装置(マイクロトラック MODEL UPA9340、日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
前記色材の含有量としては、画像濃度、定着性、及び吐出安定性の点から、インク全量に対して、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%以上15質量%以下であると、吐出信頼性が高く、また高い彩度の画像を得ることができる。
前記顔料の含有量としては、インク全量に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下が好ましい。前記含有量が、0.1質量%以上10質量%以下であると、画像濃度、定着性、及び吐出安定性を向上できる。
<ポリシロキサン界面活性剤以外の界面活性剤>
本発明のインクは、記録媒体への濡れ性を確保する点から、ポリシロキサン界面活性剤以外の界面活性剤を併用してもよい。
前記ポリシロキサン界面活性剤以外の界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、分散安定性、及び画像品質の点から、ノニオン性界面活性剤が好ましい。
また、組成によってはフッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤を併用又は単独で使用することもできる。
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリシロキサン界面活性剤以外の前記界面活性剤の含有量としては、0.1質量%以上5質量%以下が好ましい。前記含有量が、0.1質量%以上であると、非浸透性記録媒体への濡れ性が確保できるため、画像品質が向上でき、5質量%以下であると、インクが泡立ちにくくなるため、優れた吐出安定性が得られる。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
[インクの製造方法]
前記インクの製造方法としては、例えば、前記水、前記有機溶剤、前記ポリシロキサン界面活性剤、前記変性ポリビニルアルコール、前記塩化ビニル樹脂粒子及びポリウレタン樹脂粒子の少なくともいずれか、並びに必要に応じて、前記その他の成分を、撹拌混合することにより製造することができる。前記撹拌混合としては、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシェイカー、超音波分散機、通常の撹拌羽を用いた撹拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機などを用いることができる。
インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は、印字濃度や文字品位が向上し、また、良好な吐出性が得られる点から、5mPa・s以上30mPa・s以下が好ましく、5mPa・s以上25mPa・s以下がより好ましい。ここで、粘度は、例えば回転式粘度計(東機産業社製RE−80L)を使用することができる。測定条件としては、25℃で、標準コーンローター(1°34’×R24)、サンプル液量1.2mL、回転数50rpm、3分間で測定可能である。
インクの表面張力としては、記録媒体上で好適にインクがレベリングされ、インクの乾燥時間が短縮される点から、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。
インクのpHとしては、接液する金属部材の腐食防止の観点から、7〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。
本発明のインクは、インクジェット記録用に好適に用いることができる。
<記録媒体>
記録媒体としては特に制限はなく、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできるが、非浸透性基材を用いても良好な画像形成が可能である。
前記非浸透性基材とは、水透過性、吸収性が低い表面を有する基材であり、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれ、より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である基材をいう。
前記非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルムなどのプラスチックフィルムを、好適に使用することができる。
また、カラー記録の際にカラーインクより前に、ホワイトインクを塗布することによって記録媒体が着色されたもの(着色記録媒体)であっても記録媒体の色を白に揃えることができ、カラーインクの発色を向上させることができる。
前記着色記録媒体としては、着色された紙や前記フィルム、生地、衣服、セラミックスなどが代表例である。
<インク収容容器>
前記インク収容容器は、本発明の前記インクを容器に収容してなる。
前記インク収容容器としては、前記インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材などを有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じて、その形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するものなどが挙げられる。
(インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置)
本発明のインクジェット記録方法は、インク飛翔工程を含み、加熱工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
前記インクジェット記録装置は、インク飛翔手段を有し、加熱手段を有することが好ましく、更に必要に応じて更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
本発明のインクジェット記録方法は、前記インクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。前記加熱工程は、前記加熱手段により好適に行うことができる。また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
<インク飛翔工程及びインク飛翔手段>
前記インク飛翔工程は、本発明の前記インクに、刺激を印加し、前記インクを飛翔させて画像を形成する工程であり、インク飛翔手段により実施することができる。
前記インク飛翔手段としては、特に制限はなく、例えば、インクジェットヘッドなどが挙げられる。
前記インクジェットヘッドとして、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの(特開平2−51734号公報参照)、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させるいわゆるサーマル型のもの(特開昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)などいずれの場合も含まれる。
前記刺激は、例えば、前記刺激発生手段により発生させることができ、前記刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱(温度)、圧力、振動、光などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好ましい。
前記インクの飛翔の態様としては、特に制限はなく、前記刺激の種類等に応じて異なり、例えば、前記刺激が「熱」の場合、記録ヘッド内の前記インクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを、例えば、サーマルヘッド等を用いて付与し、前記熱エネルギーにより前記インクに気泡を発生させ、前記気泡の圧力により、前記記録ヘッドのノズル孔から前記インクを液滴として吐出噴射させる方法などが挙げられる。また、前記刺激が「圧力」の場合、例えば、記録ヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小して、前記記録ヘッドのノズル孔から該インクを液滴として吐出噴射させる方法などが挙げられる。
前記飛翔させる前記インクの液滴は、その大きさとしては、例えば、3pL以上40pL以下が好ましく、その吐出噴射の速さとしては、5m/s以上20m/s以下が好ましく、その駆動周波数としては1kHz以上が好ましく、その解像度としては300dpi以上が好ましい。
<加熱工程及び加熱手段>
前記加熱工程は、画像を記録した記録媒体を加熱する工程であり、加熱手段により実施することができる。
前記インクジェット記録方法としては、前記記録媒体としての非浸透性記録媒体に高画像品質な記録ができるが、より一層高画質で耐擦過性、及び記録媒体への密着性の高い画像の形成、並びに高速の記録条件にも対応できるようにするために、記録後に前記非浸透性記録媒体を加熱することが好ましい。記録後に加熱工程を含むと、インク中に含有される樹脂粒子の造膜が促進されるため、記録物の画像硬度を向上させることができる。
前記加熱手段としては、多くの既知の装置を使用することができ、例えば、温風発生手段を用いた強制空気加熱、輻射加熱、伝導加熱、高周波乾燥、マイクロ波乾燥等の装置などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記加熱温度としては、インク中に含まれる有機溶媒の種類や量、及び添加する樹脂粒子の最低造膜温度に応じて変更することができ、更に印刷する記録媒体の種類に応じても変更することができる。
前記加熱温度としては、乾燥性、及び造膜温度の点から、高いことが好ましく、40℃以上100℃以下がより好ましく、50℃以上90℃以下が特に好ましい。前記加熱温度が、40℃以上120℃以下であると、非浸透性記録媒体の熱によるダメージを防止し、インクヘッドが温まることによる不吐出が生じることを抑制することができる。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、例えば、刺激発生工程、制御工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、例えば、刺激発生手段、制御手段などが挙げられる。
前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライトなどが挙げられ、具体的には、例えば、圧電素子等の圧電アクチュエーター、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエーター、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエーター、静電力を用いる静電アクチュエーターなどが挙げられる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
本発明のインクジェット記録方法の一例としては、顔料を含まないクリアインク、又は色材として白色(ホワイト)の顔料を含有するインク(ホワイトインク)を記録媒体に塗布する工程と、カラー色材を有するインクを用いて記録する記録工程とを有する記録方法とすることもできる。この際、クリアインク、又はホワイトインクは、記録媒体の全面に塗布することも可能であり、また、記録媒体の一部に塗布してもよい。記録媒体の一部に塗布する場合は、例えば、記録を行う箇所と同一の箇所に塗布してもよいし、又は記録を行う箇所と一部共通する箇所に塗布してもよい。
前記ホワイトインクを用いる場合、以下の記録方法を用いることも有効である。ホワイトインクを記録媒体に塗布し、その上に、ホワイト以外の色のインクで記録する。この方法によれば、例えば、透明フィルムを用いた場合であっても、前記ホワイトインクを記録媒体表面に付着させるため、記録の視認性を確保することができる。本発明のインクは、非浸透性記録媒体に対しても良好な乾燥性、高光沢、耐擦過性等を有するので、視認性を向上させるために透明フィルム等の非浸透性記録媒体にホワイトインクを塗布することが可能である。
また、透明フィルムの上に記録を行った後、ホワイトインクを塗布することによっても、同様の視認性に優れた画像を得ることが可能となる。ホワイトインクの代わりにクリアインクを用いれば、保護層としても機能することが可能である。
本発明のインクは、インクジェット記録方法に制限されず、広く使用することが可能である。インクジェット記録方法以外にも、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本乃至5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
実施態様の一例として、前記ホワイトインクを記録媒体の全面に塗布する場合は、インクジェット記録方法以外の塗工方法で塗工し、ホワイト以外の色のインクで記録する場合は、インクジェット記録方法で記録する態様が可能である。
別の実施態様として、ホワイトインクを用いた記録も、ホワイト以外の色のインクを用いた記録も、インクジェット記録方法で記録する態様が可能である。
ホワイトインクの代わりにクリアインクを用いた場合も同様である。
<記録装置、記録方法>
本発明のインクは、インクジェット記録方式による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本発明において、記録装置、記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
記録装置、記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。
また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
記録装置の一例について図1乃至図2を参照して説明する。図1は同装置の斜視説明図である。図2はメインタンクの斜視説明図である。記録装置の一例としての画像形成装置400は、シリアル型画像形成装置である。画像形成装置400の外装401内に機構部420が設けられている。ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色用のメインタンク410(410k、410c、410m、410y)の各インク収容部411は、例えばアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。インク収容部411は、例えば、プラスチックス製の収容容器ケース414内に収容される。これによりメインタンク410は、各色のインクカートリッジとして用いられる。
一方、装置本体のカバー401cを開いたときの開口の奥側にはカートリッジホルダ404が設けられている。カートリッジホルダ404には、メインタンク410が着脱自在に装着される。これにより、各色用の供給チューブ436を介して、メインタンク410の各インク排出口413と各色用の吐出ヘッド434とが連通し、吐出ヘッド434から記録媒体へインクを吐出可能となる。
図3は、図1の装置の加熱手段の一例を示す概略図である。図3に示すように、キャリッジ133を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッドを駆動することにより、停止している記録媒体142にインク滴を吐出して画像を記録する。記録媒体を下ざさえするガイド部材153上であり、かつ搬送ローラ157とテンションローラ158との間に張架される搬送ベルト151上を搬送される記録媒体142に形成された画像に、温風発生部として加熱ファン201により温風202を吹き付けることにより乾燥させる。
なお、搬送ベルト151の記録媒体142と反対側には、ヒーター群203が設けられており、画像形成された記録媒体142を加熱可能である。
(記録物)
本発明の記録物は、記録媒体上に、本発明のインクを用いて形成された画像を有してなる。
インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録して記録物とすることができる。
また、本発明の記録物は、記録媒体と、前記記録媒体上に、ポリシロキサン界面活性剤と、変性ポリビニルアルコールと、塩化ビニル樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、及びポリエステル樹脂粒子から選択される少なくとも1種と、を含有する記録層と、を有し、前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値が、8以下である。
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
(顔料分散体の調製例1)
<自己分散型ブラック顔料分散体の調製>
以下の処方混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製、KDL型、メディア:直径0.3mmジルコニアボール使用)で7時間循環分散して自己分散型ブラック顔料分散体(顔料固形分濃度:15質量%)を得た。
・カーボンブラック顔料(商品名:Monarch800、キャボット社製)・・・15質量部
・アニオン性界面活性剤(商品名:パイオニンA−51−B、竹本油脂株式会社製)・・・2質量部
・イオン交換水・・・83質量部
(顔料分散体の調製例2)
<自己分散型シアン顔料分散体の調製>
顔料分散体の調製例1において、カーボンブラック顔料を、ピグメントブルー15:3(商品名:LIONOL BLUE FG−7351、東洋インキ株式会社製)に変更した以外は、顔料分散体の調製例1と同様にして、自己分散型シアン顔料分散体(顔料固形分濃度:15質量%)を得た。
(顔料分散体の調製例3)
<自己分散型マゼンタ顔料分散体の調製>
顔料分散体の調製例1において、カーボンブラック顔料を、ピグメントレッド122(商品名:トナーマゼンタEO02、クラリアントジャパン株式会社製)に変更した以外は、顔料分散体の調製例1と同様にして、自己分散型マゼンタ顔料分散体(顔料固形分濃度:15質量%)を得た。
(顔料分散体の調製例4)
<自己分散型イエロー顔料分散体の調製>
顔料分散体の調製例1において、カーボンブラック顔料を、ピグメントイエロー74(商品名:ファーストイエロー531、大日精化工業株式会社製)に変更した以外は、顔料分散体の調製例1と同様にして、自己分散型イエロー顔料分散体(顔料固形分濃度:15質量%)を得た。
(顔料分散体の調製例5)
<樹脂分散型ブラック顔料分散体の調製>
−ポリマー溶液Aの調製−
機械式撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lのフラスコ内を充分に窒素ガス置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを混合し、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシルエチルメタクリレート60.0g、前記スチレンマクロマー36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18.0gの混合溶液を、2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18.0gの混合溶液を、0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内にメチルエチルケトン364.0gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液Aを800g得た。
−樹脂分散型ブラック顔料分散体の調製−
前記ポリマー溶液A 28gと、カーボンブラック(商品名:FW100、デグサ社製)42g、1mol/Lの水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及び水13.6gを十分に撹拌した後、ロールミルを用いて混練した。得られたペーストを純水200gに投入し、充分に撹拌した後、エバポレータでメチルエチルケトン及び水を留去し、更に粗大粒子を除くために、得られた分散液を平均孔径が5.0μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルター(商品名:PODMF−500、有限会社ウインテック製)で加圧ろ過し、顔料固形分濃度が15質量%、固形分濃度が20質量%である樹脂分散型ブラック顔料分散体を得た。
(アクリル樹脂エマルジョンの調製例)
撹拌機、還流コンデンサー、滴下装置、及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水900g及びラウリル硫酸ナトリウム1gを仕込み、撹拌下に窒素置換しながら70℃まで昇温した。内温を70℃に保ち、重合開始剤として過硫酸カリウム4gを添加し、溶解後、予めイオン交換水450g、ラウリル硫酸ナトリウム3gに、アクリルアミド20g、スチレン615g、ブチルアクリレート30g、及びメタクリル酸350gを撹拌下で加えて作製した乳化物を、反応溶液内に連続的に4時間かけて滴下した。滴下終了後、3時間熟成させた。得られた水性エマルジョンを常温まで冷却した後、イオン交換水と水酸化ナトリウム水溶液とを添加して固形分濃度30質量%、pH8に調整した。
このアクリル樹脂エマルジョンについて、造膜温度試験装置(株式会社井元製作所製)で測定した最低造膜温度は53℃であった。
(実施例1)
自己分散型ブラック顔料分散体(顔料固形分濃度:15質量%)20.0質量%、ポリエーテル変性シリコーン2(商品名:KF−6017、信越化学工業株式会社製、HLB:4.5)1.0質量%、シラノール変性ポリビニルアルコール2水溶液(商品名:R−1130、株式会社クラレ製、固形分濃度:10質量%)10.0質量%、塩化ビニル−エチレン系共重合体樹脂エマルジョン(商品名:スミエリート1210、住化ケムテックス株式会社製、固形分濃度:50質量%)14.0質量%、1,2−プロパンジオール12.0質量%、1,3−プロパンジオール10.0質量%、1,2−ブタンジオール3.0質量%、2,3−ブタンジオール3.0質量%、3−メトキシ−3−メチルブタノール3.0質量%、2−メチル−2,4−ペンタンジオール3.0質量%、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル4.0質量%、防腐剤として商品名:プロキセルLV(アーチ・ケミカルズ・ジャパン株式会社製)0.1質量%、及び高純水を100質量%となるように残量を添加し、混合撹拌して、平均孔径が0.2μmのポリプロピレンフィルター(商品名:Betafine BTJ、3M社製)にてろ過することにより、インク1を作製した。
(実施例2〜12、及び比較例1〜3)
実施例1において、下記表1〜3に記載の組成、及びに含有量に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜12、及び比較例1〜3のインク2〜15を作製した。
なお、前記表1〜3において、成分の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
・ポリオキシアルキレン基含有シリコーン化合物1:東レ・ダウ株式会社製、商品名:FZ2110、HLB:1.0
・ポリエーテル変性シリコーン1:信越化学工業株式会社製、商品名:KF−945、HLB:4.0
・ポリエーテル変性シリコーン2:信越化学工業株式会社製、商品名:KF−6017、HLB:4.5
・ポリエーテル変性シリコーン3:Ultra Addives Inc.社製、商品名:FormBan MS−575、HLB:5.0
・ポリオキシアルキレン基含有シリコーン化合物2:東レ・ダウ株式会社製、商品名:FZ2166、HLB:5.8
・ポリエーテル変性シリコーン4:東レ・ダウ株式会社製、商品名:SH−3772M、HLB:6.0
・ポリエーテル変性シリコーン5:日信化学工業株式会社製、商品名:シルフェイスSAG005、HLB:7.0
・ポリエーテル変性シリコーン6:東レ・ダウ株式会社製、商品名:L7001、HLB:7.4
・ポリエーテル変性シリコーン7:東レ・ダウ株式会社製、商品名:SH−3773M、HLB:8.0
・ポリエーテル変性シリコーン8:信越化学工業株式会社製、商品名:KF−353、HLB:10.0
・カルボキシル変性ポリビニルアルコール水溶液:日本合成化学工業株式会社製、商品名:T330H、固形分含有量:10質量%
・シラノール変性ポリビニルアルコール1水溶液:株式会社クラレ製、商品名:R2105、固形分濃度:10質量%
・シラノール変性ポリビニルアルコール2水溶液:株式会社クラレ製、商品名:R1130、固形分濃度:10質量%
・塩化ビニル−エチレン系共重合体樹脂エマルジョン:住化ケムテックス株式会社製、商品名:スミエリート1210、固形分濃度:50質量%
・塩化ビニル−アクリル系共重合体樹脂エマルジョン:日信化学工業株式会社製、商品名:ビニブラン711、固形分濃度:30質量%
・塩化ビニル系共重合体樹脂エマルジョン:Wacker Chemie AG社製、商品名:VINNOL E15/48A、固形分濃度:84質量%
・防腐剤:アーチ・ケミカルズ・ジャパン株式会社製、商品名:プロキセルLV
次に、以下のようにして、「保存安定性」、「定着性(ビィーデング)」、「耐擦過性」、「耐溶剤性」、「画像光沢度」、及び「密着性」を評価した。結果を下記表4に示す。
なお、屋外用途への利用を考慮して、「定着性(ビーディング)」、及び「耐擦過性」の評価については、一般の紙に記録する場合と比べてかなり厳しい評価基準を採用した。
<保存安定性(外観評価)>
得られた実施例1〜12、及び比較例1〜3のインク1〜15を、50℃、60℃、及び70℃でそれぞれ7日間保管し、目視にて下記基準に基づいて、「保存安定性」を評価した。前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。
[評価基準]
A:70℃保存において相分離していない
B:60℃保存において相分離していないが、70℃保存において相分離している
C:50℃保存において相分離していないが、60℃保存において相分離している
D:50℃保存において相分離している
[ベタ画像の形成]
次に、得られた実施例1〜12、及び比較例1〜3のインク1〜15をインクジェットプリンター(装置名:IPSiO GXe5500改造機、株式会社リコー製)に充填し、ポリ塩化ビニルフィルム(CPPVWP1300、桜井株式会社製、以下、「PVCフィルム」とも称することがある)記録媒体に対し、ベタ画像を記録した。記録後、前記ベタ画像を80℃に設定したホットプレート(NINOS ND−1、アズワン社製)上で1時間乾燥させた。
なお、前記IPSiO GXe5500改造機は、IPSiO GXe5500機を、150cmの印字幅で30m/hrの記録速度相当の記録をA4サイズで再現できるように改造し、また、前記ポットプレートを設置し、記録後の加熱条件(加熱温度、加熱時間)を変えることができるように改造した。
<定着性(ビーディング)>
PVCフィルム記録媒体に形成されたベタ画像の記録ムラを目視により観察し、下記評価基準に基づいて、「定着性(ビーディング)」を評価した。前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。
[評価基準]
A:非常に良好(ビーディングが全くなかった)
B:良好(わずかにビーディングが観察された)
C:普通(ビーディングがあった)
D:不良(著しいビーディングがあった)
<耐擦過性>
PVCフィルム記録媒体に形成されたベタ画像を乾いた木綿(カナキン3号)で400gの荷重をかけて擦過し、画像の状態を目視で観察し、下記評価基準に基づいて、「耐擦過性」を評価した。前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。
[評価基準]
AA:50回以上擦っても画像が変化しなかった
A:50回擦った段階で多少の傷が残るが画像には影響しなかった
B:31回以上49回以下擦っても画像が変化しなかった
C:30回以下擦っても画像が変化しなかった
<耐溶剤性>
PVCフィルム記録媒体に形成されたベタ画像を、60質量%エタノール水溶液に常温(25℃)で24時間浸漬し、次いで、室温(25℃)で24時間自然乾燥させた後、X−Rite938(X−Rite社製)を用いて、画像濃度を測定し、浸漬前の画像の初期濃度に対する浸漬後の画像濃度における画像濃度値の減少量を算出し、下記の評価基準に基づいて、「耐溶剤性」を評価した。前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。
〔評価基準〕
AA:画像濃度値の減少が10質量%未満
A:画像濃度値の減少が10質量%以上20質量%未満
B:画像濃度値の減少が20質量%以上30質量%未満
C:画像濃度値の減少が30質量%以上
<画像光沢度>
PVCフィルム記録媒体に形成されたベタ画像の60°光沢度を、光沢度計(BYK Gardener社製、4501)により4回測定し、光沢値の平均値を求め、下記評価基準に基づいて、「画像光沢度」を評価した。前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。
[評価基準]
AA:光沢値が100以上
A:光沢値が90以上100未満
B:光沢値が80以上90未満
C:光沢値が80未満
<密着性>
PVCフィルム記録媒体に形成されたベタ画像に対し、布粘着テープ(ニチバン株式会社製、123LW−50)を用いた碁盤目剥離試験により、試験マス目100個の残存マス数をカウントし、下記評価基準に基づいて、記録媒体に対する「密着性」を評価した。前記評価がB以上であることが実使用上望ましい。
[評価基準]
AA:残存マス数が98個以上
A:残存マス数が90個以上98個未満
B:残存マス数が70個以上90個未満
C:残存マス数が70個未満
実施例1、及び実施例2は、本発明の好ましい実施例であり、PVCフィルム記録媒体に対する密着性に優れ、非浸透性記録媒体に印字した際にも高い画像光沢度が得られると共に、耐擦過性、及び耐溶剤性を有する画像を得られることが分かる。
実施例3、及び実施例4は、ポリシロキサン界面活性剤のHLBがやや高い例であり、実施例1に比べ定着性が劣る結果となった。
実施例5、及び実施例6は、ポリシロキサン界面活性剤のHLBがやや低い例であり、実施例1に比べ保存安定性が劣る結果となった。
実施例7は、ポリシロキサン界面活性剤の添加量がやや少ない例であり、実施例1に比べ定着性及び耐溶剤性が劣る結果となった。
実施例8は、ポリシロキサン界面活性剤の添加量がやや多い例であり、実施例1に比べ保存安定性が劣る結果となった。
実施例11は、変性ポリビニルアルコールの添加量がポリシロキサン界面活性剤に比べてやや少ない例であり、実施例1に比べて保存安定性が劣る結果となった。
実施例12は、変性ポリビニルアルコールの添加量がポリシロキサン界面活性剤に比べてやや多い例であり、実施例1に比べて画像光沢度が劣る結果となった。
これに対して、比較例1〜3は、HLB値が8以下であるポリシロキサン界面活性剤、変性ポリビニルアルコール、並びにポリウレタン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、及びポリエステル樹脂粒子から選択される少なくとも1種のすべてを含むインクではない例であり、比較例1は、実施例1に比べ定着性、及び耐溶剤性が特に劣っていた。比較例2は、実施例1に比べ保存安定性、及び密着性が特に劣っていた。比較例3は、実施例1に比べ耐擦過性、及び耐溶剤性が特に劣っていた。
前記表4の結果から、本発明のインクが屋外用途に適したものであることが分かる。また、実施例1〜12のインクは、定着性、耐擦過性、耐溶剤性、画像光沢度、及び記録媒体への密着性に優れていた。
(ポリウレタン樹脂粒子の調製例1)
<ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製>
撹拌機、還流冷却管、及び温度計を挿入した反応容器に、ポリカーボネートジオール(1,6−ヘキサンジオールとジメチルカーボネートとの反応生成物(数平均分子量(Mn):1,200)1,500質量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸(以下、「DMPA」とも称することがある)220質量部、及びN−メチルピロリドン(以下、「NMP」とも称することがある)1,347質量部を窒素気流下で仕込み、60℃に加熱してDMPAを溶解させた。
次に、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート1,445質量部、ジブチルスズジラウリレート(触媒)2.6質量部を加えて90℃まで加熱し、5時間かけてウレタン化反応を行い、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得た。この反応混合物を80℃まで冷却し、これにトリエチルアミン149質量部を添加し、混合したものの中から4,340質量部を抜き出して、強撹拌下、水5,400質量部、及びトリエチルアミン15質量部の混合溶液の中に加えた。
次に、氷1,500質量部を投入し、35質量%の2−メチル−1,5−ペンタンジアミン水溶液626質量部を加えて鎖延長反応を行い、固形分濃度が30質量%となるように溶媒を留去し、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョンを得た。
得られたポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョンについて、「造膜温度試験装置」(株式会社井元製作所製)で測定したところ、最低造膜温度は55℃であった。
(ポリウレタン樹脂粒子の調製例2)
<ポリエーテル系ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製>
温度計、窒素ガス導入管、及び撹拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエーテルポリオール(「PTMG1000」、三菱化学株式会社製、重量平均分子量:1,000)100.2質量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸15.7質量部、イソホロンジイソシアネート48.0質量部、及び有機溶剤としてメチルエチルケトン77.1質量部を、触媒としてジブチルスズジラウレート(以下、「DMTDL」とも称することがある)0.06質量部を使用し、反応させた。
前記反応を4時間継続した後、希釈溶剤としてメチルエチルケトン30.7質量部を供給し、更に反応を継続した。
前記反応物の重量平均分子量が20,000以上60,000以下の範囲に達した時点で、メタノール1.4質量部を投入し、前記反応を終了することによって、ウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液に48質量%水酸化カリウム水溶液を13.4質量部加えることで前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基を中和した。次いで、水715.3質量部を加え十分に撹拌した後、エージング及び脱溶剤することによって、固形分濃度が30質量%のポリエーテル系ポリウレタン樹脂エマルジョンを得た。
得られたポリエーテル系ポリウレタン樹脂エマルジョンについて、前記ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製例1と同様にして、最低造膜温度を測定した。その結果、最低造膜温度は43℃であった。
(ポリウレタン樹脂粒子の調製例3)
<ポリエステル系ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製>
前記ポリウレタン樹脂粒子の調製例2において、ポリエーテルポリオール(「PTMG1000」、三菱化学株式会社製、重量平均分子量:1,000)を、ポリエステルポリオール(「ポリライトOD−X−2251」、DIC株式会社製、重量平均分子量:2,000)に変更した以外は、前記ポリウレタン樹脂粒子の調製例2と同様にして、固形分濃度が30質量%のポリエステル系ポリウレタン樹脂エマルジョンを得た。
得られたポリエステル系ポリウレタン樹脂エマルジョンについて、前記ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョンの調製例1と同様にして、最低造膜温度を測定した。その結果、最低造膜温度は74℃であった。
(実施例13)
顔料分散体の調製例1の自己分散型ブラック顔料分散体(顔料固形分濃度:15質量%)20.0質量%、ポリエーテル変性シリコーン2(商品名:KF−6017、信越化学工業株式会社製、HLB:4.5)1.0質量%、前記ポリウレタン樹脂粒子の調製例1のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂エマルジョン(固形分濃度:30質量%)23.3質量%、シラノール変性ポリビニルアルコール2水溶液(商品名:R−1130、株式会社クラレ製固形分濃度:10質量%)10.0質量%、1,2−プロパンジオール12.0質量%、1,3−プロパンジオール10.0質量%、1,2−ブタンジオール3.0質量%、2,3−ブタンジオール3.0質量%、3−メトキシ−3−メチルブタノール3.0質量%、2−メチル−2,4−ペンタンジオール3.0質量%、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル4.0質量%、防腐剤として商品名:プロキセルLV(アーチ・ケミカルズ・ジャパン株式会社製)0.1質量%、及び高純水を合計100質量%となるように残量を添加し、混合撹拌して、平均孔径が0.2μmのポリプロピレンフィルターにてろ過することにより、インク16を作製した。
(実施例14〜24、及び比較例4〜5)
実施例13において、下記表5〜7に記載の組成、及びに含有量に変更した以外は、実施例13と同様にして、実施例14〜24、及び比較例4〜5のインク17〜29を作製した。
なお、前記表5〜7において、成分の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
・ポリオキシアルキレン基含有シリコーン化合物1:東レ・ダウ株式会社製、商品名:FZ2110、HLB:1.0
・ポリエーテル変性シリコーン1:信越化学工業株式会社製、商品名:KF−945、HLB:4.0
・ポリエーテル変性シリコーン2:信越化学工業株式会社製、商品名:KF−6017、HLB:4.5
・ポリエーテル変性シリコーン3:Ultra Addives Inc.社製、商品名:FormBan MS−575、HLB:5.0
・ポリオキシアルキレン基含有シリコーン化合物2:東レ・ダウ株式会社製、商品名:FZ2166、HLB:5.8
・ポリエーテル変性シリコーン4:東レ・ダウ株式会社製、商品名:SH−3772M、HLB:6.0
・ポリエーテル変性シリコーン5:日信化学工業株式会社製、商品名:シルフェイスSAG005、HLB:7.0
・ポリエーテル変性シリコーン6:東レ・ダウ株式会社製、商品名:L7001、HLB:7.4
・ポリエーテル変性シリコーン7:東レ・ダウ株式会社製、商品名:SH−3773M、HLB:8.0
・ポリエーテル変性シリコーン8:信越化学工業株式会社製、商品名:KF−353、HLB:10.0
・カルボキシル変性ポリビニルアルコール水溶液:日本合成化学工業株式会社製、商品名:T330H、固形分濃度:10質量%
・シラノール変性ポリビニルアルコール1水溶液:株式会社クラレ製、商品名:R2105、固形分濃度:10質量%
・シラノール変性ポリビニルアルコール2水溶液:株式会社クラレ製、商品名:R1130、固形分濃度:10質量%
・防腐剤:アーチ・ケミカルズ・ジャパン株式会社製、商品名:プロキセルLV
得られた実施例13〜24、及び比較例4〜5のインク16〜29を用いて、実施例1〜12、及び比較例1〜3と同様にして、「定着性(ビィーデング)」、「保存安定性」、「耐擦過性」、「耐溶剤性」、「画像光沢度」、及び「密着性」を評価した。結果を下記表8に示す。
実施例13、及び実施例14は、本発明の好ましい実施例であり、PVCフィルム記録媒体に対する密着性に優れ、非浸透性記録媒体に印字した際にも高い画像光沢度が得られると共に、耐擦過性、及び耐溶剤性を有する画像を得られることが分かる。
実施例15、及び実施例16は、ポリシロキサン界面活性剤のHLBがやや高い例であり、実施例13に比べ定着性が劣る結果となった。
実施例17、及び実施例18は、ポリシロキサン界面活性剤のHLBがやや低い例であり、実施例13に比べ保存安定性が劣る結果となった。
実施例19は、ポリシロキサン界面活性剤の添加量がやや少ない例であり、実施例13に比べ定着性及び耐溶剤性が劣る結果となった。
実施例20は、ポリシロキサン界面活性剤の添加量がやや多い例であり、実施例13に比べ保存安定性が劣る結果となった。
実施例23は、変性ポリビニルアルコールの添加量がポリシロキサン界面活性剤に比べてやや少ない例であり、実施例13に比べて保存安定性が劣る結果となった。
実施例24は、変性ポリビニルアルコールの添加量がポリシロキサン界面活性剤に比べてやや多い例であり、実施例13に比べて画像光沢度が劣る結果となった。
これに対して、比較例4〜5は、HLB値が8以下であるポリシロキサン界面活性剤、変性ポリビニルアルコール、並びに塩化ビニル樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、及びポリエステル樹脂粒子から選択される少なくとも1種のすべてを含むインクではない例であり、比較例4は、実施例13に比べ定着性、及び耐溶剤性が特に劣っていた。比較例5は、実施例13に比べ保存安定性、及び密着性が特に劣っていた。
(フッ素樹脂エマルジョンの調製例1)
<フッ素樹脂エマルジョン1の調製>
テフロンAF1600(Tg:160℃、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)をペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)に溶解させた樹脂溶液(固形分濃度:15質量%)200質量部をジャケット付きガラス容器(内容量:2L)に仕込み、ジャケットに冷水を通して系内温度を13℃に保ち、攪拌機(東京理化株式会社製、MAZELA1000)で撹拌した(回転速度:600rpm)。その後、撹拌しながら、あらかじめ水に溶解しておいた界面活性剤(商品名:ユニダイン DSN−403N、ダイキン工業株式会社製)の10質量%水溶液を10質量部添加し、続いて100g/minの速度で13℃の蒸留水を190質量部添加した。蒸留水を全量添加する間、系内温度は常に15℃以下であった。蒸留水添加終了後、30分間撹拌して固形分濃度が8質量%のフッ素樹脂エマルジョンを得た。さらに、この水性分散体400質量部を1Lフラスコ入れ、約50℃に加熱されたオイルバスにて加熱し、減圧で濃縮を行った。濃縮を(フラスコ+水性分散体)の質量が約260質量部減量したところで一度終了し、室温まで冷却後、蒸留水を200質量部添加した。この水性分散体340質量部を再び1Lフラスコに入れ、約50℃に加熱されたオイルバスで加熱し、減圧で濃縮を行った。濃縮は(フラスコ+水性分散体)の質量が約240g減量したところで終了し、室温まで冷却した。以上の操作により、固形分濃度が30質量%のフッ素樹脂エマルジョン1を得た。
(フッ素樹脂エマルジョンの調製例2)
<フッ素樹脂エマルジョン2の調製>
フッ素樹脂エマルジョンの調製例1において、テフロンAF1600をテフロンAF2400(Tg:240℃、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)に変更した以外は、フッ素樹脂エマルジョンの調製例1と同様にして、固形分濃度が30質量%のフッ素樹脂エマルジョン2を得た。
(フッ素樹脂エマルジョンの調製例3)
<フッ素樹脂エマルジョン3の調製>
フッ素樹脂エマルジョン1の調製において、テフロンAF1600をルミフロンFE4400(Tg:48℃、旭硝子株式会社製)に変更した以外は、フッ素樹脂エマルジョン1の調製と同様にして、固形分濃度が30質量%のフッ素樹脂エマルジョン3を得た。
(実施例25)
自己分散型ブラック顔料分散体(顔料固形分濃度:15質量%)20.0質量%、ポリエーテル変性シリコーン2(商品名:KF−6017、信越化学工業株式会社製、HLB:4.5)1.0質量%、シラノール変性ポリビニルアルコール2水溶液(商品名:R−1130、株式会社クラレ製、固形分濃度:10質量%)10.0質量%、フッ素樹脂エマルジョン1(固形分濃度:30質量%)6.0質量%、1,2−プロパンジオール12.0質量%、1,3−プロパンジオール10.0質量%、1,2−ブタンジオール3.0質量%、2,3−ブタンジオール3.0質量%、3−メトキシ−3−メチルブタノール3.0質量%、2−メチル−2,4−ペンタンジオール3.0質量%、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル4.0質量%、防腐剤として商品名:プロキセルLV(アーチ・ケミカルズ・ジャパン株式会社製)0.1質量%、及び高純水を合計100質量%となるとうに残量を添加し、混合撹拌して、平均孔径が0.2μmのポリプロピレンフィルター(商品名:Betafine BTJ、3M社製)にてろ過することにより、インク30を作製した。
(実施例26〜36、及び比較例6〜8)
実施例25において、下記表9〜11に記載の組成、及びに含有量に変更した以外は、実施例25と同様にして、実施例26〜36、及び比較例6〜8のインク31〜44を作製した。
なお、前記表9〜11において、成分の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
・ポリオキシアルキレン基含有シリコーン化合物1:東レ・ダウ株式会社製、商品名:FZ2110、HLB:1.0
・ポリエーテル変性シリコーン1:信越化学工業株式会社製、商品名:KF−945、HLB:4.0
・ポリエーテル変性シリコーン2:信越化学工業株式会社製、商品名:KF−6017、HLB:4.5
・ポリエーテル変性シリコーン3:Ultra Addives Inc.社製、商品名:FormBan MS−575、HLB:5.0
・ポリオキシアルキレン基含有シリコーン化合物2:東レ・ダウ株式会社製、商品名:FZ2166、HLB:5.8
・ポリエーテル変性シリコーン4:東レ・ダウ株式会社製、商品名:SH−3772M、HLB:6.0
・ポリエーテル変性シリコーン5:日信化学工業株式会社製、商品名:シルフェイスSAG005、HLB:7.0
・ポリエーテル変性シリコーン6:東レ・ダウ株式会社製、商品名:L7001、HLB:7.4
・ポリエーテル変性シリコーン7:東レ・ダウ株式会社製、商品名:SH−3773M、HLB:8.0
・ポリエーテル変性シリコーン8:信越化学工業株式会社製、商品名:KF−353、HLB:10.0
・カルボキシル変性ポリビニルアルコール水溶液:日本合成化学工業株式会社製、商品名:T330H、固形分濃度:10質量%
・シラノール変性ポリビニルアルコール1水溶液:株式会社クラレ製、商品名:R2105、固形分濃度:10質量%
・シラノール変性ポリビニルアルコール2水溶液:株式会社クラレ製、商品名:R1130、固形分濃度:10質量%
・防腐剤:アーチ・ケミカルズ・ジャパン株式会社製、商品名:プロキセルLV
得られた実施例25〜36、及び比較例6〜8のインク30〜44を用いて、実施例1〜12、及び比較例1〜3と同様にして、「定着性(ビィーデング)」、「保存安定性」、「耐擦過性」、「耐溶剤性」、「画像光沢度」、及び「密着性」を評価した。
実施例25、及び実施例26は、本発明の好ましい実施例であり、PVCフィルム記録媒体に対する密着性に優れ、非浸透性記録媒体に印字した際にも高い画像光沢度が得られると共に、耐擦過性、及び耐溶剤性を有する画像を得られることが分かる。
実施例27、及び実施例28は、ポリシロキサン界面活性剤のHLBがやや高い例であり、実施例25に比べ定着性が劣る結果となった。
実施例29、及び実施例30は、ポリシロキサン界面活性剤のHLBがやや低い例であり、実施例25に比べ保存安定性が劣る結果となった。
実施例31は、ポリシロキサン界面活性剤の添加量がやや少ない例であり、実施例25に比べ定着性及び耐溶剤性が劣る結果となった。
実施例32は、ポリシロキサン界面活性剤の添加量がやや多い例であり、実施例25に比べ保存安定性が劣る結果となった。
実施例35は、変性ポリビニルアルコールの添加量がポリシロキサン界面活性剤に比べてやや少ない例であり、実施例25に比べて保存安定性が劣る結果となった。
実施例36は、変性ポリビニルアルコールの添加量がポリシロキサン界面活性剤に比べてやや多い例であり、実施例25に比べて画像光沢度が劣る結果となった。
これに対して、比較例6〜8は、HLB値が8以下であるポリシロキサン界面活性剤、変性ポリビニルアルコール、並びに塩化ビニル樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、及びポリエステル樹脂粒子から選択される少なくとも1種のすべてを含むインクではない例であり、比較例6は、実施例25に比べ、定着性、及び耐溶剤性が特に劣っていた。比較例7は、実施例25に比べ保存安定性、及び密着性が特に劣っていた。比較例8は、実施例25に比べ耐擦過性、及び耐溶剤性が特に劣っていた。
(実施例37)
自己分散型ブラック顔料分散体(顔料固形分濃度:15質量%)20.0質量%、ポリエーテル変性シリコーン2(商品名:KF−6017、信越化学工業株式会社製、HLB:4.5)1.0質量%、シラノール変性ポリビニルアルコール2水溶液(商品名:R−1130、株式会社クラレ製、固形分濃度:10質量%)10.0質量%、ポリエステル樹脂エマルジョン1(商品名:KZA1449、ユニチカ株式会社製、固形分濃度:30質量%)6.0質量%、1,2−プロパンジオール12.0質量%、1,3−プロパンジオール10.0質量%、1,2−ブタンジオール3.0質量%、2,3−ブタンジオール3.0質量%、3−メトキシ−3−メチルブタノール3.0質量%、2−メチル−2,4−ペンタンジオール3.0質量%、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル4.0質量%、防腐剤として商品名:プロキセルLV(アーチ・ケミカルズ・ジャパン株式会社製)0.1質量%、及び高純水を合計100質量%となるように残量を添加し、混合撹拌して、平均孔径が0.2μmのポリプロピレンフィルター(商品名:Betafine BTJ、3M社製)にてろ過することにより、インク45を作製した。
(実施例38〜48、及び比較例9〜10)
実施例37において、下記表13〜15に記載の組成、及びに含有量に変更した以外は、実施例37と同様にして、実施例38〜48、及び比較例9〜10のインク45〜58を作製した。
なお、前記表13〜15において、成分の商品名、及び製造会社名については下記の通りである。
・ポリオキシアルキレン基含有シリコーン化合物1:東レ・ダウ株式会社製、商品名:FZ2110、HLB:1.0
・ポリエーテル変性シリコーン1:信越化学工業株式会社製、商品名:KF−945、HLB:4.0
・ポリエーテル変性シリコーン2:信越化学工業株式会社製、商品名:KF−6017、HLB:4.5
・ポリエーテル変性シリコーン3:Ultra Addives Inc.社製、商品名:FormBan MS−575、HLB:5.0
・ポリオキシアルキレン基含有シリコーン化合物2:東レ・ダウ株式会社製、商品名:FZ2166、HLB:5.8
・ポリエーテル変性シリコーン4:東レ・ダウ株式会社製、商品名:SH−3772M、HLB:6.0
・ポリエーテル変性シリコーン5:日信化学工業株式会社製、商品名:シルフェイスSAG005、HLB:7.0
・ポリエーテル変性シリコーン6:東レ・ダウ株式会社製、商品名:L7001、HLB:7.4
・ポリエーテル変性シリコーン7:東レ・ダウ株式会社製、商品名:SH−3773M、HLB:8.0
・ポリエーテル変性シリコーン8:信越化学工業株式会社製、商品名:KF−353、HLB:10.0
・カルボキシル変性ポリビニルアルコール水溶液:日本合成化学工業株式会社製、商品名:T330H、固形分濃度:10質量%
・シラノール変性ポリビニルアルコール1水溶液:株式会社クラレ製、商品名:R2105、固形分濃度:10質量%
・シラノール変性ポリビニルアルコール2水溶液:株式会社クラレ製、商品名:R1130、固形分濃度:10質量%
・ポリエステル樹脂エマルジョン1:ユニチカ株式会社製、商品名:KZA1449、固形分濃度30質量%
・ポリエステル樹脂エマルジョン2:高松油脂株式会社製、商品名:A−125S、固形分濃度30質量%
・ポリエステル樹脂エマルジョン3:高松油脂株式会社製、商品名:A−160P、固形分濃度25質量%
・防腐剤:アーチ・ケミカルズ・ジャパン株式会社製、商品名:プロキセルLV
得られた実施例37〜48、及び比較例9〜10のインク45〜58を用いて、実施例1〜12、及び比較例1〜3と同様にして、「定着性(ビィーデング)」、「保存安定性」、「耐擦過性」、「耐溶剤性」、「画像光沢度」、及び「密着性」を評価した。結果を下記表16に示す。
実施例37、及び実施例38は、本発明の好ましい実施例であり、PVCフィルム記録媒体に対する密着性に優れ、非浸透性記録媒体に印字した際にも高い画像光沢度が得られると共に、耐擦過性、及び耐溶剤性を有する画像を得られることが分かる。
実施例39、及び実施例40は、ポリシロキサン界面活性剤のHLBがやや高い例であり、実施例37に比べ定着性、及び密着性が劣る結果となった。
実施例41、及び実施例42は、ポリシロキサン界面活性剤のHLBがやや低い例であり、実施例37に比べ保存安定性が劣る結果となった。
実施例43は、ポリシロキサン界面活性剤の添加量がやや少ない例であり、実施例37に比べ定着性及び耐溶剤性が劣る結果となった。
実施例44は、ポリシロキサン界面活性剤の添加量がやや多い例であり、実施例37に比べて定着性、保存安定性、及び密着性が劣る結果となった。
実施例47は、変性ポリビニルアルコールの添加量がポリシロキサン界面活性剤に比べてやや少ない例であり、実施例37に比べて定着性、保存安定性、及び密着性が劣る結果となった。
実施例38は、変性ポリビニルアルコールの添加量がポリシロキサン界面活性剤に比べてやや多い例であり、実施例37に比べて定着性、画像光沢度、及び密着性が劣る結果となった。
これに対して、比較例9〜10は、HLB値が8以下であるポリシロキサン界面活性剤、変性ポリビニルアルコール、並びに塩化ビニル樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、及びポリエステル樹脂粒子から選択される少なくとも1種のすべてを含むインクではない例であり、比較例10は、実施例37に比べ定着性、及び耐溶剤性が特に劣っていた。比較例11は、実施例37に比べ保存安定性、及び密着性が特に劣っていた。
(試験例1〜32)
<加熱乾燥における影響の評価>
実施例1のインク1、実施例13のインク16、及び実施例25のインク30、及び実施例37のインク45において、下記表17及び18に示すように記録後の加熱条件(加熱温度、加熱時間)に変更した以外は、実施例1と同様にして、定着性(ビーディング)、密着性、及び耐擦過性を評価した。結果を下記表17及び18に示した。
なお、試験例8、試験例16、試験例24、及び試験例32は、それぞれ、インク1、インク16、インク30、及びインク45を用いて、実施例1と同様にして、ベタ画像の記録を行い、記録後の加熱なし(25℃にて24時間放置)することにより乾燥させた。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 水と、有機溶剤と、ポリシロキサン界面活性剤と、変性ポリビニルアルコールと、塩化ビニル樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、及びポリエステル樹脂粒子から選択される少なくとも1種と、を含有し、
前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値が、8以下であることを特徴とするインクである。
<2> 前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値が、4.5以上7.0以下である前記<1>に記載のインクである。
<3> 前記ポリシロキサン界面活性剤の含有量が、1.0質量%以上2.0質量%以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載のインクである。
<4> 前記変性ポリビニルアルコールが、シラノール変性ポリビニルアルコールである前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクである。
<5> 前記ポリシロキサン界面活性剤の含有量A(質量%)と、前記変性ポリビニルアルコールの含有量B(質量%)との質量比(B/A)が、0.8以上1.5以下である前記<1>から<4>のいずれかに記載のインクである。
<6> 色材をさらに含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載のインクである。
<7> 前記変性ポリビニルアルコールの含有量が、0.5質量%以上5質量%以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクである。
<8> 前記変性ポリビニルアルコールの含有量が、0.8質量%以上2.5質量%以下である前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクである。
<9> 前記ポリウレタン樹脂粒子が、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂粒子、ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂粒子、及びポリエステル系ポリウレタン樹脂粒子から選択される少なくとも1種である前記<1>から<8>のいずれかに記載のインクである。
<10> 前記塩化ビニル樹脂粒子が、アクリル−塩化ビニル共重合体樹脂粒子、エチレン−塩化ビニル共重合体樹脂粒子、及び塩化ビニル系共重合体樹脂粒子から選択される少なくとも1種である前記<1>から<9>のいずれかに記載のインクである。
<11> 前記ポリウレタン樹脂粒子の体積平均粒径が、10nm以上1,000nm以下である前記<1>から<10>のいずれかに記載のインクである。
<12> 前記塩化ビニル樹脂粒子の体積平均粒径が、10nm以上1,000nm以下である前記<1>から<11>のいずれかに記載のインクである。
<13> 前記ポリウレタン樹脂粒子の含有量が、3質量%以上10質量%以下である前記<1>から<12>のいずれかに記載のインクである。
<14> 前記塩化ビニル樹脂粒子の含有量が、3質量%以上10質量%以下である前記<1>から<13>のいずれかに記載のインクである。
<15> 前記有機溶剤の含有量が、10質量%以上60質量%以下である前記<1>から<14>のいずれかに記載のインクである。
<16> 前記色材が、顔料である前記<6>から<15>のいずれかに記載のインクである。
<17> 前記色材の含有量が、0.1質量%以上15質量%以下である前記<6>から<16>のいずれかに記載のインクである。
<18> 前記<1>から<17>のいずれかに記載のインクに刺激を印加し、前記インクを飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔工程を含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<19> 前記記録媒体を加熱する加熱工程を含む前記<18>に記載のインクジェット記録方法である。
<20> 前記加熱工程における加熱温度が、40℃以上100℃以下である前記<19>に記載のインクジェット記録方法である。
<21> 記録媒体と、
前記記録媒体上に、ポリシロキサン界面活性剤と、変性ポリビニルアルコールと、塩化ビニル樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、及びポリエステル樹脂粒子から選択される少なくとも1種の少なくともいずれかと、を含有する記録層と、を有し、
前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値が、8以下であることを特徴とする記録物。
前記<1>から<17>のいずれかに記載のインク、前記<18>から<20>のいずれかに記載のインクジェット記録方法、及び前記<21>に記載の記録物は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特開2005−220352号公報 特開2011−094082号公報
142:記録媒体

Claims (10)

  1. 水と、有機溶剤と、ポリシロキサン界面活性剤と、変性ポリビニルアルコールと、塩化ビニル樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、及びポリエステル樹脂粒子から選択される少なくとも1種と、を含有し、
    前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値が、8以下であることを特徴とするインク。
  2. 前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値が、4.5以上7.0以下である請求項1に記載のインク。
  3. 前記ポリシロキサン界面活性剤の含有量が、1.0質量%以上2.0質量%以下である請求項1から2のいずれかに記載のインク。
  4. 前記変性ポリビニルアルコールが、シラノール変性ポリビニルアルコールである請求項1から3のいずれかに記載のインク。
  5. 前記ポリシロキサン界面活性剤の含有量A(質量%)と、前記変性ポリビニルアルコールの含有量B(質量%)との質量比(B/A)が、0.8以上1.5以下である請求項1から4のいずれかに記載のインク。
  6. 色材をさらに含有する請求項1から5のいずれかに記載のインク。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のインクに刺激を印加し、前記インクを飛翔させて記録媒体に画像を記録するインク飛翔工程を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
  8. 前記記録媒体を加熱する加熱工程を含む請求項7に記載のインクジェット記録方法。
  9. 前記加熱工程における加熱温度が、40℃以上100℃以下である請求項8に記載のインクジェット記録方法。
  10. 記録媒体と、
    前記記録媒体上に、ポリシロキサン界面活性剤と、変性ポリビニルアルコールと、塩化ビニル樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、及びポリエステル樹脂粒子から選択される少なくとも1種と、を含有する記録層と、を有し、
    前記ポリシロキサン界面活性剤のHLB値が、8以下であることを特徴とする記録物。
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