JP2017119504A - 荷籠の取付構造 - Google Patents
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Abstract
Description
車体に取り付けられた荷籠の左右両側に「取付部」を設けているので、同一形状の一種類の荷籠を、車体の左側でも右側でも、どちらにも取り付けることができる。すなわち、左右別々に異なる形状の荷籠を用意する必要がなく、部品点数の削減による製造コスト低減が可能となる。
このような荷籠取付構造によれば、部品共通化によって部品点数を削減し、コストダウンを図ることができる。
本実施形態では、車体の左右両側にパニアケース(荷籠)10が着脱可能に取り付けられている。アクセサリとしてのパニアケース10は、状況に応じて取付/取外を行うものである。
パニアケース10の前端は、運転者シートの前端よりも後方に位置している。また、同乗者シート面と同じか、またはそれよりも下方位置にパニアケース上面が配置されているので、同乗者を乗せた状態でも、パニアケース10と同乗者との干渉を防ぐことができる。
図3(a)に示しているように、パニアケース10は、車体に取り付けられた状態で車体の前後方向Xに沿う方向の寸法となる縦寸法X1が、車体の左右方向Yに沿う方向の寸法となる横寸法Y1よりも大きく形成される。すなわち、パニアケース10は、真上から見た時に、前後方向Xに沿って延びる長辺と、左右方向Yに沿って延びる短辺とを含んで長方形状に構成されている。
以後、車体にパニアケースが取り付けられた状態における前後方向を、単に前後方向と称する。また、車体にパニアケースが取り付けられた状態における左右方向を、単に左右方向と称する。
二輪車の左右両側にパニアケース10を同時に取り付けた場合を想定する。各パニアケース10の外形が仮想縦中心面Aに関して対称であるので、車体の左右方向一方からパニアケースを見た印象と、車体の左右方向他方からパニアケースを見た印象とを同じにすることができ、外観を統一して美観を向上することができる。
二輪車の左右両側にパニアケース10を同時に取り付けた場合を想定する。左右のパニアケースが前後方向に同じ向き(姿勢)で車体に取り付けられるべきものである場合にも拘わらず、互いに反対向きに取り付けられたとする。その場合、パニアケース10が仮想横中心面Bに関して非対称であれば、対称である場合と比較して、装着された2つのパニアケースの向きが異なっていることを視覚的に認識し易くなる。
すなわち、仮想横中心面Bに関して非対称に構成することで、パニアケース10が、二輪車の前後方向に決められた向き(姿勢)で組み付けられていることを直感的に示すことができる。すなわち、誤組(誤った向きで組み付けられること)の防止効果に優れる。
本実施形態では、キー孔に挿入されたキーが回されることで係止操作が実施される。本実施形態では、施錠部32が後方側に配置されているので、走行時に雨水や泥などが施錠部32(のキー孔)に進入することを防ぐことができる。
また、図4(a)に示したように、荷籠本体20の底壁Lには、仮想縦中心面Aの両側にそれぞれ2つ(合計4つ)の取付開口21bが、底壁Lの厚み方向に貫通して形成されている。
図4(a)で仮想縦中心面Aよりも左側の領域に関して、下方の「取付部(取付開口21b)」が2つ存在し、両者は互いに前後方向に間隔をあけて配置されている。一方の「取付部」は、荷籠本体の前後方向中央部に対して前方に配置され、他方の「取付部」は、荷籠本体の前後方向中央部に対して後方に配置される。前後方向中央部と一方の「取付部」との間の距離は、前後方向中央部と他方の「取付部」との間の距離と等しく形成される。
具体的には、左右の荷籠本体20を構成する部品点数が減る、荷籠本体20を製造するための金型は1セット用意すれば足りる、といった要因でコストが低減できる。また、金型は1セット用意すれば足りるので、左右の金型の出来具合に起因する左右不均一といった不都合が生じることもない。
さらには、パニアケース10の両側に取付開口21a、21b(取付部)を配置しているので片側サイドの取付開口は使用されないこととなるが、当該使用されない取付開口が外部に露出するのを防止して、美観を高めるとともに、損傷等のダメージから保護することもできる。
下方支持部41および上方支持部42は、それぞれ90°屈曲する板状に構成されており、互いに対向する領域に、上下方向の貫通孔41a、42aが形成されている。
同様に、ボルト部材29を取付開口21bおよび貫通孔41aに挿通する。貫通孔41aの下方側には、ナット部41bが一体成形されていて、そこにボルト部材29が締結され、これによって、下側の「取付部」である取付開口21bに、取付ブラケット40の下方支持部41が固定される。
なお、図示はしていないが、ボルト部材29は、弾性部材を介在させて、荷籠本体20と取付ブラケット40を連結していることが好ましく、それによって、路面やエンジンからの振動を低減したり、振動あるいは過度な締付けに起因する割れを防止するといった効果が得られる。
さらに、このような凹んだ形状であるが故に、周壁全体が平坦面の場合と比べて、パニアケース10の強度を高めることができる。
膨らんだ形状とする場合には、ボルト部材を締結操作する時に、周囲部分と工具との干渉を防ぐことができ、取付ブラケット40の着脱操作が容易となる。凹んだ形状とする場合には、ボルト頭部の周囲部分に対する上方への突出量を減らすことができ、収容物とボルト頭部との干渉を抑えることができる。
図4の場合のように、パニアケース10が車体の右側(上記とは反対側)に取り付けられる場合には、左側の側壁に設けた「上側の取付部」および底壁L上で左寄りに設けた「下側の取付部」を用いて、荷籠本体20が車体に連結される。その際、図4a中、右側)に存在する上下の「取付部」は、車体への取付けに寄与しない。
このように左右に個別に「取付部」が設けられることで、パニアケース10の向きを不変としたまま、車体の左右両側にパニアケース10をそれぞれ取り付けることができる。言い換えると、車体の左右一方に取り付けられたパニアケースを車体の他方側に取り付ける場合でも、パニアケースを車体に対して左右に平行移動すればよい。
以上のように、開閉蓋30が閉じた状態において、取付部(取付開口21a、21b)自体の一部が外部に露出したとしても、締結部材(ボルト部材29)の外部への露出が防がれることが好ましく、それによって、締結部材(ボルト部材29)を外そうとする行為(盗難等)を防止することができる。
図1から分かるように、パニアケース10と車体(フレーム延長部)を連結する固定ナット部11が、側面視でパニアケース10に重なる位置に配置されている。すなわち、固定ナット部11に係合されたボルト部材103、104(図6参照)も、パニアケース10と対向する位置に配置されることとなる。その結果、左右方向外側からボルト部材に工具を近づけ難くなり、盗難防止性を向上させることができる。
カウルに形成された貫通孔を通して、ネジ孔11aの開口が車体側方に露出する。本実施形態では、ネジ孔11aは、車幅方向に軸線が延びて車幅外側にされている。カウルは、ネジ孔に対向する部分を除く領域に形成される。
図6では隠れて見えないが、図1に部分的に拡大して示したように、内部に設けたフレーム延長部に固定ナット部11が形成されている。そして、この固定ナット部11を共用して、タンデムグリップ90と取付ブラケット40とが共通のボルト部材103、104で共締め固定される。すなわち、ボルト部材103は、取付ブラケット40のプレート部材Xに形成した貫通孔45およびタンデムグリップ90に形成した貫通孔93を通過して、固定ナット部11に締結される。同様に、ボルト部材104は、取付ブラケット40のプレート部材Yに形成した貫通孔46およびタンデムグリップ90に形成した貫通孔94を通過して、固定ナット部11に締結される。
したがって、取付ブラケット40の周辺空間を狭くする効果があり、また、取付ブラケット40自体が外部から視認し難くなるので、取付ブラケット40へのアクセスが困難となり、盗難防止効果を高めることができる。
左グリップ部90は、複数のパイプ状部材で構成されていて、2つの貫通孔93、94を有しており、ここに通したボルト部材103、104で車体に取り付けられる構成である。一方、上述したように、取付ブラケット40のプレート部材X、Yには、それぞれ貫通孔45、46が形成されている。
そして、貫通孔45と貫通孔93に1本の共通のボルト部材103が通され、同様に、貫通孔45と貫通孔94に1本の共通のボルト部材104が通されている。このように、タンデムグリップ側の貫通孔と、取付ブラケット側の貫通孔とに共通して通される1本のボルト部材(その他の連結部材)を「共締部材」と呼ぶ。
また、パニアケース10は、任意装備であって、これを車体から取り外してしまうこともある。その場合、仮にパニアケース専用の取付構造部が車体側に存在すると、使用されていないネジ孔等が外部に露出し車体の美観を損ねてしまう。本実施形態の「共締部材」を採用すれば、パニアケース10を取り外してしまった後では、当該「共締部材」によって、タンデムグリップが車体に取り付けられるので、使用されないネジ孔等が外部に露出することが防がれる(美観を損ねることがない)。
仮にタンデムグリップも取り外された場合でも、上のような共締め構造を採用しない場合と比較すると、カウルに形成する開口を減らせる分だけ美観が向上する。
このように構成すると、両サイドのパニアケース10を含めた車体後方に向かう車体シルエットをスリムに保って、外観を向上させることができる。さらには、パニアケース10の側壁S1、S2(図3b参照)が両グリップ部80、90に対してほぼ均等な間隔を保って取り付けられるので、同乗者がタンデムグリップを握り易くなる。
図1の例では、パニアケース10は、二輪車の車体に対して前方側が低く、後方側が高くなるように傾斜しており、回動連結部31が低い前方側に位置し、施錠部32が高い後方側に設けられている。このような構成によって、次のような効果が得られる。
このような効果は、パニアケース10が図1とは逆方向に傾斜している場合でも、回動連結部31を低く、施錠部32を高く構成することで、同様に実現することができる。
本実施形態では、「取付部」としてパニアケース10に取付開口21a、21bを形成していた。本発明の他の実施形態において、このような「取付部」としては、ボルト部材が通される開口に限られず、何らかの係合を利用して車体側に取り付けるための構造部であれば、任意のものを採用可能である。例えば、スナップフィット構造を採用する場合にパニアケース側に設けられる構造部や、パニアケースに一体成形した雄ネジをもって「取付部」としてもよい。また、フレーム延長部に形成した固定ナット部11に限らず、パニアケース10は、車体側のいずれかの箇所に対して連結されるものであればよい。
ただし、取付ブラケット40を介在させることで、次のような効果が得られる。すなわち、複数種類の車体に対して、各車体用に専用の取付ブラケットを用意しておけば、1つのパニアケース10を当該複数種類の車体に対して汎用的に使用することが可能となる。
さらに、2個の隣接する取付開口21aの形状を異ならせることや、両開口に挿通されるボルト部材29の径寸法およびネジ山ピッチの少なくとも一方を互いにに異ならせることによっても、同様に誤組防止効果を得ることができる。
任意装備であるパニアケースは、それを取り外した状態で二輪車を使用することもある。その場合に、使用されないネジ孔等が不自然に露出するのを避けることができる。これによって、車体の美観を常に良好に保つことができる。
次に、図7、8を参照して、パニアケース(荷籠)10の防水性を高める構成について説明する。図7は、図4(b)中の荷籠本体20のコーナ部を拡大して示している。
図示した実施形態では、荷籠が車体に対して左右逆に取り付けられる場合があるので、水抜き孔51も荷籠の左右両側に形成されることが好ましい。これにより、荷籠の剛性を高めつつ、防水効果も向上できる。また、開閉蓋30と荷籠本体20の外面が面一となっているので、高圧洗浄の水が斜め方向から吹き付けられた場合でも、当該洗浄水が浸入し難くなる。
内側部分30aと外側部分30bとの間の内部空間(溝61)は、荷籠の周方向に拡がっている。したがって、高圧洗浄水が周方向にも流れることで、圧力上昇をさらに抑えることができる。また高圧洗浄水が浸入した場合でも、周方向に離散して形成された複数の水抜き孔32も介して高圧洗浄水が排出されるが故に、圧力上昇をさらに抑えることができる。さらに、水抜き孔31は、長孔状に形成されているので、排水性能を向上できる。
フランジ部の折返部分の上面Zと開閉蓋の外側部分の下端面Yとの隙間位置と、立設部55と連結部分30cとの対向位置とが、上下方向に離れて配置されるので、対向位置での圧力上昇をさらに防ぐことができる。さらに隙間位置よりも上方に対向位置が配置されることで、重力の影響によってさらに対向位置での圧力上昇を防ぐことができる。
本実施形態では、図7、8(a)から分かるように、荷籠本体の側壁から横方向に突出するフランジ部50を備えた荷籠を前提として、そのような荷籠のフランジ部50に水抜き孔51を設けている。そして、開閉蓋30は、閉位置にあるときその外側部分30bがフランジ部50の最も外縁側に対向する構成とし、水抜き孔51をそれよりも荷籠内方に位置させている。これにより、荷籠の側方にベルト状に張り出す外観が得られ(図3a参照)、デザイン的にも優れた構成となっている。すなわち、本実施形態によれば、防水性が高く、デザイン性にも優れた荷籠が提供される。
高圧洗浄を予定していない場合には、荷籠から水抜き孔51を省略してもよい。荷籠を車体に取り付けるための取付部が両側に形成されているのであれば、水抜き孔51が存在しなくても、そのような荷籠は本発明に含まれる。
逆に、高圧洗浄が予定されている場合は、荷籠を車体に取り付けるための取付部を左右両側に有していない荷籠であっても、水抜き孔51を備えているのであれば、そのような荷籠は本発明に含まれる。
なお、図4(a)、(b)に示した例では、水抜き孔51は、荷籠本体20の左右側壁中央付近を除いて形成されている。このように、水抜き孔51を設ける場所および数は、任意に設定することができる。荷籠本体20の全周に渡って水抜き孔51を設ける場合に、高い防水性を得ることができる。なお、各水抜き孔51のサイズおよび間隔は、適宜設定することが可能である。
11 固定ナット部
11a ネジ孔
20 荷籠本体
21a、21b 取付開口(取付部)
22 荷籠基部
29 ボルト部材
30 開閉蓋
30a 内側部分
30b 外側部分
30c 連結部分
31 回動連結部
32 施錠部
40 取付ブラケット
41 下方支持部
42 上方支持部
41a、42a 貫通孔
41b、42b ナット部
43 接続部
44 棒状部材
45、46 貫通孔
50 フランジ部
50a 突出部分
50b 折返部分
51 水抜き孔
55 立設部
60 防水部材
61 溝
70 プレート部材
80 タンデムグリップ(右グリップ部)
90 タンデムグリップ(左グリップ部)
93、94 貫通孔
103、104 ボルト部材
Claims (14)
- 荷籠が車体の左右両側にそれぞれ取り付けられる荷籠取付構造であって、
荷籠には、車体に着脱可能に取り付けるための取付部が形成され、
当該取付部は、荷籠が車体に取り付けられた状態で左右両側にそれぞれ設けられている、荷籠取付構造。 - 前記荷籠の外形は、荷籠が車体に取り付けられた状態で前後方向に延びる仮想縦中心面に関して対称である、請求項1記載の荷籠取付構造。
- 前記荷籠の外形は、荷籠が車体に取り付けられた状態で左右方向に延びる仮想横中心面に関して非対称である、請求項1または2記載の荷籠取付構造。
- 前記荷籠は、荷籠本体と、当該荷籠本体に対して回動可能に連結された開閉蓋とを備え、
当該開閉蓋の回動軸は、荷籠が車体に取り付けられた状態で左右方向に延びている、請求項1〜3のいずれか1つに記載の荷籠取付構造。 - 前記荷籠は、荷籠本体と、当該荷籠本体を開閉する開閉蓋と、当該開閉蓋を閉状態に係止する施錠部とを備え、
当該施錠部の施錠の際に操作される係止操作部は、車体に取り付けられた状態で前方側または後方側の端面に位置している、請求項1〜4のいずれか1つに記載の荷籠取付構造。 - 前記荷籠は、荷籠本体と、当該荷籠本体を開閉する開閉蓋とを備え、
前記取付部に対して荷籠取り外しのために操作される操作部が、開閉蓋を閉じた状態では当該開閉蓋と荷籠本体とで覆われる、請求項1〜5のいずれか1つに記載の荷籠取付構造。 - 前記荷籠の取付部は、荷籠を車体に取り付けるための取付ブラケットを介して、車体に取り付けられている、請求項1〜6のいずれか1つに記載の荷籠取付構造。
- 車体に取り付けられた前記荷籠の車体よりの面は、前記取付ブラケットと車体との連結箇所に対向して位置している、請求項7記載の荷籠取付構造。
- 前記荷籠が取り付けられる車体上の取付箇所に対して、荷籠と、当該荷籠の固定とは異なる機能を有する部材とが、当該取付箇所を共用して車体に取り付けられている、請求項1〜8のいずれか1つに記載の荷籠取付構造。
- 荷籠と、当該荷籠の固定とは異なる機能を有する部材とが、車体上に設けた取付箇所を共用して当該車体に取り付けられている、荷籠取付構造。
- 前記荷籠は、荷籠本体と、当該荷籠本体に回動連結部において回動可能に連結された開閉蓋と、当該開閉蓋を閉状態に係止する施錠部とを備え、
当該荷籠は、二輪車の車体に対して前後方向のうち一方部分が低く、他方部分が高くなるように傾斜して、当該車体に取り付けられており、
前記回動連結部を前記一方部分に設け、施錠部を前記他方部分に設けている、請求項1〜10記載のいずれか1つに記載の荷籠取付構造。 - 車体の側方に取り付けられる荷籠であって、
車体に着脱可能に取り付けるための取付部を、当該荷籠が車体に取り付けられた状態における左右両側にそれぞれ備えている、荷籠。 - 開口を有する荷籠本体と、当該荷籠本体の開口を開閉する開閉蓋とを備える請求項12記載の荷籠であって、
荷籠本体は開口の周囲にフランジ部を備え、当該フランジ部は、開閉蓋が荷籠本体の開口を閉じる閉位置にあるときに当該開閉蓋の外周縁と対向する領域よりも内側の位置に、水抜き孔を備えている、荷籠。 - 開口を有する荷籠本体と、当該荷籠本体の開口を開閉する開閉蓋とを備え、車体に取り付けられる荷籠であって、
荷籠本体は開口の周囲にフランジ部を備え、当該フランジ部は、開閉蓋が荷籠本体の開口を閉じる閉位置にあるときに当該開閉蓋の外周縁と対向する領域よりも内側の位置に、水抜き孔を備えている、荷籠。
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