JP2017119353A - 防汚シート - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の防汚シートと比べて高い撥水性・撥油性をより持続的に維持できるがゆえに、貼り替え頻度を大幅に低減することができ、また貼り替え頻度を抑えることにより長期間使用を継続したとしても、雑菌の繁殖を効果的に抑制できる防汚シートを提供する。
【解決手段】物品表面への油滴の付着を防ぐために用いられる防汚シートであって、(1)前記防汚シートは、a)基材シート、b)前記基材シートの少なくとも一方の表面に形成された下地層及びc)前記下地層上の一部又は全部に付着した複合粒子を含み、(2)前記下地層は、樹脂成分及び充填粒子を含み、かつ、その下地層表面は前記充填粒子による凹凸をなしており、(3)前記複合粒子は、a)酸化物粒子と、b)その表面に形成されたポリフルオロアルキルメタアクリレート樹脂を含む樹脂被覆層とを含む、ことを特徴とする防汚シートに係る。
【選択図】図1

Description

本発明は、新規な防汚シートに関する。
従来、家庭の台所、レストラン等の調理場では、調理時に使用する油が周囲に飛び散ったり、油煙として周囲に拡散することから、これらの場所の壁面(天井面含む。)のほか、コンロ等の調理器具、換気用のレンジフード、換気扇等が油で汚れる。
この場合、油汚れを清掃する作業は、非常に労力がかかるだけではなく、この汚れを簡単に落とすことも難しいことが多い。そのため、予め壁面等に汚れを防止する防汚シートを着脱自在に貼り付けておき、このシートが油等で汚染された時に都度交換するようにしている調理場もある。
このような防汚シートとしては、例えば壁面の汚れを防止するためものであれば、樹脂シートを粘着剤又は両面テープにより壁面へ貼付けるものがある(例えば特許文献1)。このような防汚シートは、油汚れがひどくなった段階で剥がして新しい防汚シートに貼り替えることができる。
また例えば、別の防汚シートとして、アルミニウムシート基材の一方の表面に撥油撥水コーティング層を有し、他方の表面に粘着剤層を有しているものが知られている(例えば特許文献2)。
特開2002−79601 特開平10−81859
しかしながら、特許文献1の防汚シートの場合、レストラン等の調理場のように常時油が周囲に飛び散る状況で使用した場合には、数日で油汚れがひどくなり、頻繁に防汚シートを貼り替える必要が生じ、非常に手間と時間がかかる。他方、貼りかえ頻度を抑えるべく、そのまま使用を継続すると、防汚シート表面に蓄積した油分を養分として雑菌が繁殖したり、あるいは異臭が発生するので、衛生面において問題がある。
また、特許文献2の防汚シートの場合は、特許文献1の防汚シートよりも撥油性能が高いために油汚れが付着し難くなってはいるものの、貼り替え頻度が若干低減する程度で、油分蓄積による異臭発生等の問題は依然残ったままである。
従って、本発明の主な目的は、従来の防汚シートと比べて高い撥水性・撥油性をより持続的に維持できるとともに、雑菌の繁殖を効果的に抑制できる防汚シートを提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の層構成を採用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の防汚シートに係る。
1. 物品表面への油滴の付着を防ぐために用いられる防汚シートであって、
(1)前記防汚シートは、a)基材シート、b)前記基材シートの少なくとも一方の表面に形成された下地層及びc)前記下地層上の一部又は全部に付着した複合粒子を含み、
(2)前記下地層は、樹脂成分及び充填粒子を含み、かつ、その下地層表面は前記充填粒子による凹凸をなしており、
(3)前記複合粒子は、a)酸化物粒子と、b)その表面に形成されたポリフルオロアルキルメタアクリレート樹脂を含む樹脂被覆層とを含む、
ことを特徴とする防汚シート。
2. JIS Z2911−2010に規定される「かび抵抗性試験方法(試験操作方法A)」にて4週間経過後にかび発育状態の評価が2以下である、前記項1に記載の防汚シート。
3. 前記複合粒子の炭素含有量(重量%)を酸化物粒子の表面積(m/g)で除した値が0.05〜0.400である、前記項1又は2に記載の防汚シート。
4. 前記酸化物粒子の平均一次粒子径が5〜50nmである、前記項1〜3のいずかに記載の防汚シート。
5. 前記酸化物粒子が酸化ケイ素粒子、酸化アルミニウム粒子及び酸化チタン粒子の少なくとも1種である、前記項1〜4のいずれかに記載の防汚シート。
6. 前記基材シートがアルミニウム又はアルミニウム合金からなる、前記項1〜5のいずれかに記載の防汚シート。
7. 前記複合粒子において、各複合粒子が三次元網目状に固定された多孔質層を形成している、前記項1〜6のいずれかに記載の防汚シート。
8. 前記充填粒子の最小粒径が前記複合粒子の最大粒径よりも大きい、前記項1〜7のいずれかに記載の防汚シート。
本発明の防汚シートによれば、従来の防汚シートと比べて高い撥水性・撥油性を持続的に維持できるとともに、雑菌の繁殖を効果的に抑制できる。このため、防汚シートの貼り替え頻度を大幅に低減することができる。また、貼り替え頻度を減らして長期間にわたって使用を継続したとしても、雑菌の繁殖を効果的に抑制できるので、衛生面においても有利である。
より具体的には、基材シート上に形成された所定の下地層上に撥水性・撥油性を有する複合粒子を付着させているので、優れた撥水性・撥油性をより確実に得られ、しかも防汚シート表面の油分による雑菌の繁殖を抑制できる。その結果、防汚シートを比較的長期にわたって使用できるので、貼り替え作業の負担が軽減できるだけでなく、一定期間内における防汚シートの使用枚数も減らせるのでコスト的にも有利となる。
このような特徴を有する防汚シートは、油の付着による汚れを防ぐ必要がある場所又は物品に適用できる。特に、一般家庭の台所のほか、レストラン等の外食店の調理場等のように、油滴が付着しやすい壁面、あるいはレンジフード、コンロ等のような調理時に用いられる物品表面の油滴の付着を防ぐために好適に用いることができる。また、本発明の防汚シートは、調理場の照明器具の部材、油汚れ防止パネル、コンロの天板を覆う油汚れ防止レンジカバー等に成形(成型)して使用することもできる。さらに、本発明の防汚シートをクッキングシート等のようにして食品の調理又は包装に使用することもできる。
本発明の防汚シートの断面構造を示す模式図である。 複合粒子の構造を示す模式図である。
本発明の防汚シートは、物品表面への油滴の付着を防ぐために用いられる防汚シートであって、
(1)前記防汚シートは、a)基材シート、b)前記基材シートの少なくとも一方の表面に形成された下地層及びc)前記下地層上の一部又は全部に付着した複合粒子を含み、
(2)前記下地層は、樹脂成分及び充填粒子を含み、かつ、その下地層表面は前記充填粒子による凹凸をなしており、
(3)前記複合粒子は、a)酸化物粒子と、b)その表面に形成されたポリフルオロアルキルメタアクリレート樹脂を含む樹脂被覆層とを含む、
ことを特徴とする。
図1には、本発明の防汚シートの断面構造を示す。防汚シート20は、基材シート21の表面上に下地層22が形成されており、下地層22の表面上に複数の複合粒子11が付着している。ここで、複合粒子11の付着状態は、例えば複合粒子どうしの凝集力及び又は下地層22への接着力によって固定された状態となっている。このため、少々の振動、擦れ等によって脱落しないような状態となっている。なお、本発明では、下地層22及び複合粒子11から構成される層を「防汚被膜」ともいう。
下地層22は、充填粒子23及び樹脂成分24を含む。図1に示すように、充填粒子23は、樹脂成分24からなるマトリックス中に分散したような状態になっている。この場合、図1のように、充填粒子23の一部又は全部が下地層表面を盛り上げた状態になっていることが好ましい。これにより、下地層表面に凹凸が形成され、複合粒子11からなる粉末の一部がその凹部に固着することが可能となる。なお、複数の充填粒子23のうちの一部又は全部は、図1では樹脂成分24に覆われているが、例えば樹脂成分24に覆われることなく、下地層22からはみ出た状態(突出した状態)となっていても良い。
下地層22の表面(上面)は、充填粒子23によって形成される凹凸をなしている。すなわち、充填粒子23が存在する部分に該当する下地層表面は凸部となり、充填粒子23が存在しない部分に該当する下地層表面、あるいは充填粒子23どうしの隙間部分に該当する下地層表面は凹部となっている。
複合粒子11は、上記のような凹凸表面に付着している。この場合、複合粒子11は、下地層22表面の一部又は全面に付着している。また、複合粒子11が下地層22表面の一部に付着している具体例としては、少なくとも複合粒子11が下地層22表面の凹部に存在する場合が挙げられる。このような場合でも、所望の撥油性等を得ることができる。従って、例えばシート使用前には下地層22全面に複合粒子11が付着しているが、シート使用中に下地層22表面の凸部に存在する複合粒子の一部又は全部が脱落した状態のシートも、本発明シートに包含される。
また、複合粒子11からなる粉末は、単層を形成していても良いし、あるいは複層となっていても良い。いずれの場合でも、シート最表面は複数の複合粒子11による凹凸表面が形成されるので、このような構造(フラクタル構造に類似した構造)により高い撥水性・撥油性を発現させることができる。本発明シートでは、特に、より高い撥油性等を発現できるという点では、複合粒子11が複層を構成していることが望ましい。すなわち、複合粒子11どうしが三次元網目状に連なった多孔質層を形成していることが望ましい。複合粒子11は、その一部が下地層22に埋まっていても良いし、下地層22に埋まることなく、下地層22表面上に載って固定(固着)されている状態であっても良い。なお、本発明においては、下地層22に複合粒子11が全く含まれていない態様に限定するものではなく、大部分の複合粒子11が下地層の表面に付着していれば、多少の複合粒子11が下地層中に存在する態様となっていても構わない。
複合粒子11の構成を図2に示す。複合粒子11は、コアとなる酸化物粒子12とその表面に形成された樹脂被覆層13を含むものである。コアとなる酸化物粒子12は、酸化物粒子の一次粒子の場合又はその一次粒子が三次元的に連なる凝集体構造(凝集体多孔質構造)を形成している場合の双方を含む。樹脂被覆層13はその凝集体構造の内部及び外殻に形成される。凝集体構造を形成している場合、図2では、この凝集体構造を模式図的に球形に示し、樹脂被覆層13を外郭のみに示していることになる。
本発明シートは、特に、酸化物粒子11の表面に形成されたポリフルオロアルキルメタアクリレート樹脂を含む樹脂被覆層13と、酸化物粒子11による凹凸表面とが相互に作用することによって、高い撥水性及び撥油性が発揮される。また、複合粒子11のいずれもが所定量のポリフルオロアルキルメタアクリレート樹脂を含む樹脂被覆層13に覆われているので、本発明シートの全面にわたって均質な撥水性及び撥油性を得ることができる。換言すれば、個々の複合粒子は、高い撥油性を発現するのに十分な量の樹脂被覆層13を有しているので、シート全体にわたってムラなく、高い撥水性及び撥油性が発揮される結果、均質な撥水性及び撥油性を得ることができる。
また、複合粒子11より粒子径の大きい充填粒子23を用いる場合には、下地層22表面の凹部に複合粒子11が入り込んで多数付着することができる。このような構成により、仮に防汚シート20の最外面が擦れ等の負荷がかかって複合粒子の一部が脱落するような場合でも、少なくとも下地層22表面の凹部に付着している複合粒子11は脱落せずに保持されるため、撥水性及び撥油性の低下を効果的に抑制することができる。
本発明シートでは、シート最外面に付着しようとする油滴等があっても、その最外面の撥油性が維持されることによって油滴がはじかれる結果、本発明シートへの油滴が付着することを抑制ないしは防止することができる。本発明シートに油滴が接触した場合、その油滴は球状を維持したままで、かつ、各油滴は合体することなく、それぞれ独立した状態が維持されるので、シート全体にべったりと拡がった状態にならない。その結果、本発明シートにおいては、従来の防汚シートと比べて貼り替え頻度を低減することができることに加え、貼り替え頻度を抑えることにより長期間使用を継続したとしても、雑菌の繁殖を抑制することが可能となり衛生的な状態を維持できる。
本発明シートが油滴の付着を抑制する効果は、基材シート表面に形成される防汚被膜が非常に高い撥油性によるものある。ここに、本発明シートにおいて、雑菌の繁殖が抑制される作用機序は明かではないが、以下のように考えられる。すなわち、通常、油汚れが壁面等に付着していると、空気中の浮遊する水分の中にある雑菌が壁面等に付着し、壁面等に付着している油を栄養源として壁面に雑菌が繁殖する。特に、油汚れがひどい場合には、壁面に付着した油滴がべったりと壁面の全体に拡がって付着しているため、不衛生な状態となる。一方で、本発明の防汚シートを壁面に用いた場合は、防汚シートへの油の付着が抑制されていることから、防汚シート上に栄養源となる油が付着していない。この場合、霧状の油(油煙)はレンジフードにて吸引され、比較的大きな油滴は壁面をコロコロと球状になって転がり、下面に落ちていくため、壁面には油が付着しないことから、雑菌が繁殖しにくくなる。かりに壁面に油が付着していたとしてもごくわずかであり、それらは各々が単独で球状になった状態で存在しているため、やはり雑菌が繁殖にくい状況となる。また、本発明の防汚シートは撥水性も備えているため、防汚シート表面への水の付着も抑制されていることから、雑菌を含む水分の付着も抑制されている。このため、本発明シートでは、これらの撥水及び撥油の両性質の相乗効果により雑菌の繁殖を抑制することができると考えられる。
以下においては、本発明シートを構成する各層(基材シート、下地層、複合粒子等)について詳細に説明する。
1.基材シート
基材シートは、シート状の材料であれば特に限定されない。材質としては、例えばプラスチック、ゴム、金属(合金等を含む。)、セラミックス等が挙げられる。特に、本発明では、金属(金属箔)を使用することが好ましく、入手のし易さ、加工のし易さ等の理由から特にアルミニウム又はアルミニウム合金を好適に用いることができる。
基材シートは、複数のシートを積層した積層体であっても良い。この中でも、基材シートとしては、入手のし易さ、加工のし易さ等の理由からアルミニウム又はアルミニウム合金のシートと合成樹脂フィルムとを積層してなる積層体であることが好ましい。合成樹脂の樹類トとしては、特に限定されず、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンナフタレート、アクリルフィルム、フッ素フィルム等が挙げられる。また、合成樹脂フィルムに代えて不燃紙又は難燃紙とアルミニウムシートとの積層体も基材シートとして採用できる。この場合、基材シートとして不燃紙又は難燃紙とアルミニウムシートとの積層体を用いた本発明の防汚シートを調理場の壁のように耐火性を求められる場所へ用いるときには、アルミニウムシートが外側(壁とは反対側の面)となるように構成するのが好ましい。
基材シートの厚みは特に限定されないが、厚みが5〜100μm程度であることが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。特に、壁面等への貼り付ける際の取扱いのし易さの点からは、30〜50μmであることがより好ましい。なお、上記厚みは、基材シートとして積層体を用いる場合は積層体としての厚みである。
2.下地層とその形成方法
下地層は、前記基材シートの少なくとも一方の表面に形成されている。この場合、下地層は、基材シートの片面に形成しても良いし、両面に形成しても良い。すなわち、シート片面だけに防汚性を付与する場合は、下地層は片面に形成すれば良い。また、シート両面に防汚性を付与する場合は、下地層は両面に形成すれば良い。
下地層は、樹脂成分及び充填粒子を含み、かつ、その下地層表面は前記充填粒子による凹凸をなしている。このことは、図1に基づいて既述した通り、例えば樹脂成分24をマトリックスとして、そのマトリックス中に充填粒子23が分散した構造を採用することができる。充填粒子を分散させることよって、下地層表面に対して充填粒子による凹凸を付与することができる。
充填粒子としては、有機成分及び無機成分の少なくとも1種を含む充填粒子を採用することができる。
無機成分としては、例えば1)アルミニウム、銅、鉄、チタン、銀、カルシウム等の金属又はこれらを含む合金又は金属間化合物、2)酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄等の酸化物、3)リン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム等の無機酸塩又は有機酸塩、4)ガラス、5)窒化アルミニウム、窒化硼素、炭化珪素、窒化珪素等のセラミック等を好適に用いることができる。
有機成分としては、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アミノ樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアミド等の有機高分子成分(又は樹脂成分)を好適に用いることができる。
充填粒子は、無機成分からなる粒子あるいは有機成分からなる粒子のほか、無機成分及び有機成分の両者を含む粒子を用いることができる。これらの中でも、特に、アクリル系樹脂粒子、親水性シリカ粒子、リン酸カルシウム粒子、炭粉、焼成カルシウム粒子、未焼成カルシウム粒子、ステアリン酸カルシウム粒子等の少なくとも1種を用いることがより好ましい。
充填粒子の平均粒子径(レーザー回折式粒度分布計による)は0.5〜100μm程度であることが好ましく、1〜50μmであることがさらに好ましく、5〜30μmであることが最も好ましい。0.5μm未満では取扱い性、前述の隙間形成等の点で不向きである。他方、100μmを超える場合は、充填粒子の脱落、分散性等の点で不向きである。
充填粒子の形状は限定的でなく、例えば球状、回転楕円体状、不定形状、涙滴状、扁平状、中空状、多孔質状等のいずれであっても良い。
下地層中における充填粒子の含有量は、例えば充填粒子の種類、所望の物性等に応じて適宜変更できるが、一般的には固形分重量基準で1〜80重量%が好ましく、3〜50重量%がより好ましく、15〜35重量%がさらに好ましい。
樹脂成分は、特に限定されず、例えば公知又は市販の接着剤(例えばヒートシール剤等)に接着成分として含まれる樹脂成分を適宜選択することができる。例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂等の接着剤等を挙げることができる。より具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテンポリマ−、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他の熱接着性樹脂のほか、これらのブレンド樹脂、これらを構成するモノマーの組合せを含む共重合体、変性樹脂等を用いることができる。なお、上記樹脂成分は、ポリフルオロアルキルメタアクリレート樹脂以外の樹脂成分を好適に用いることができる。
下地層中の樹脂成分の含有量は、用いる樹脂成分の種類等に応じて適宜設定することができるが、通常は塗膜中20〜95重量%の範囲内、より好ましくは50〜85重量%の範囲内となるように適宜設定すれば良い。
下地層を形成させる方法は、特に限定されないが、一般的には充填粒子及び樹脂成分を含む分散液を基材シートに塗布する工程を含む方法等が挙げられる。より具体的には、充填粒子及び樹脂成分を分散溶媒に分散させた分散液を基材シートに塗布することにより塗膜を形成する工程及び前記塗膜を乾燥する工程を含む方法を採用することができる。
3.複合粒子とその製造方法
複合粒子は、a)酸化物粒子と、b)その表面に形成されたポリフルオロアルキルメタアクリレート樹脂を含む樹脂被覆層とを含むことを特徴とする。図2にも示したとおり、複合粒子11の基本構成は、酸化物粒子12の表面がポリフルオロアルキルメタアクリレート樹脂を含む樹脂被覆層13により被覆されている。
(1)複合粒子
複合粒子は、a)酸化物粒子と、b)その表面に形成されたポリフルオロアルキルメタアクリレート樹脂を含む樹脂被覆層とを含む。
酸化物粒子
酸化物粒子は、複合粒子のコアとなり得るものであれば限定的でなく、例えば酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の粒子(粉末)の少なくとも1種を用いることができる。本発明では、特に酸化ケイ素粒子、酸化チタン粒子及び酸化アルミニウム粒子の少なくとも1種が好ましい。これら酸化物粒子そのものは公知又は市販のものを使用することもできる。また、酸化物粒子の平均一次粒子径は限定的ではないが、通常5〜50nmであり、特に7〜30nmであることが望ましい。かかる粒子径の範囲内に設定することによって、より優れた撥水性及び撥油性を得ることができる。
なお、本発明における酸化物粒子の一次粒子平均径の測定は、透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡を用いて実施することができる。より具体的には、平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡で撮影し、その写真上で200個以上の粒子の直径を測定し、その算術平均値を算出することによって求めることができる。
前記のような粒径がナノレベルの酸化物粒子は公知又は市販のものを使用することができる。酸化ケイ素としては、例えば製品名「AEROSIL 200」(「AEROSIL」は登録商標。以下同じ)、「AEROSIL 130」、「AEROSIL 300」、「AEROSIL 50」、「AEROSIL 200FAD」、「AEROSIL 380」(以上、日本アエロジル(株)製)等が挙げられる。酸化チタンとしては、製品名「AEROXIDE TiO T805」(エボニック デグサ社製)等が挙げられる。酸化アルミニウムとしては、例えば製品名「AEROXIDE Alu C 805」(エボニック デグサ社製)等が挙げられる。
また、後述するように、酸化物粒子の表面には樹脂被覆層が形成されているが、樹脂被覆層は非常に薄い層であるので、複合粒子と酸化物粒子の粒子径とは実質的に同様であると推測される。従って、本発明では、複合粒子の好ましい粒子径の範囲は、酸化物粒子と同様の範囲として取り扱う。
本発明では、複合粒子より大きい粒子径を有する充填粒子を含有することが望ましい。特に、充填粒子の最小粒径が複合粒子の最大粒径よりも大きいことが望ましい。前述のとおり、複合粒子11より粒子径の大きい充填粒子の表面に複合粒子が多数付着しているとともに充填粒子と充填粒子との隙間には複数の複合粒子が存在していることにより、複合粒子の一部が擦れ等により欠落した場合でも、前記隙間に存在する複数の複合粒子が残っているため、撥水性及び撥油性が維持あるいは低下しても低下度合を抑制することができる。
複合粒子と充填粒子との粒子径の比としては、特に限定的でなく、所望の撥水性、撥油性等に応じて適宜設定することができる。特に、複合粒子より粒子径の大きい充填粒子の表面に複合粒子が多数付着しているとともに、充填粒子と充填粒子との隙間又は谷間(凹部)に複数の複合粒子が存在している構成とすることが好ましい。かかる構成により、かりに本発明シートの表面が擦れ等の負荷を受けた場合でも、前記隙間又は谷間に存在する複数の複合粒子が残りやすくなるため、撥水性及び撥油性を効果的に保持することができ、たとえ低下してもその低下度合を最小限に抑制することができる。
樹脂被覆層
樹脂被覆層は、ポリフルオロアルキルメタアクリレート樹脂を含む。かかる樹脂を使用することによって、酸化物粒子(特に酸化ケイ素粒子)との親和性に優れるがゆえに比較的密着性の高い強固な樹脂被覆層を当該粒子表面上に形成できるととともに、高い撥水性・撥油性をも発現させることができる。
このような樹脂そのものは、限定的でなく、公知又は市販のものを使用することができる。市販品としては、例えば製品名「CHEMINOX FAMAC−6」(ユニマテック(Japan)社製)、製品名「Zonyl TH Fluoromonomer コード421480」(SIGMA−ALDRICH(USA)社製)、製品名「SCFC−65530−66−7」(Maya High Purity Chem(CHINA)社製)、製品名「FC07−04〜10」(Fluory,Inc(USA))、製品名「CBINDEX:58」(Wilshire Chemical Co.,Inc(USA)社製)、製品名「アサヒガードAG−E530」、「アサヒガードAG−E060」(いずれも旭硝子株式会社製)、製品名「TEMAc−N」(Top Fluorochem Co.,LTD(CHINA)社製)、製品名「Zonyl 7950」(SIGMA−RBI (SWITZ)社製)、製品名「6100840〜6100842」(Weibo Chemcal Co.,Ltd(CHINA)社製)、製品名「CB INDEX:75」(ABCR GmbH&CO.KG(GERMANY)社製)等を挙げることができる。
これらの中でも、より優れた撥水性及び撥油性を達成できるという点より、例えばa)ポリフルオロオクチルメタクリレート、b)2−N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、c)2−ヒドロキシエチルメタクリレート及びd)2,2’−エチレンジオキシジエチルジメタクリレートが共重合したコポリマーを上記樹脂として好適に採用することができる。これらも上記のような市販品を用いることができる。
複合粒子のフッ素含有量及び炭素含有量
本発明においては、複合粒子におけるフッ素含有量(重量%)を酸化物粒子の表面積(m/g)で除した値(A値)は0.025〜0.180であることが望ましく、特に0.030〜0.175であることがより望ましい。さらには、複合粒子における炭素含有量(重量%)を酸化物粒子の表面積(m/g)で除した値(B値)は0.05〜0.400であることが望ましく、特に0.06〜0.390であることがより望ましい。かかる炭素含有量及びフッ素含有量は、本発明において被覆の程度を示す指標となるものであり、その数値が大きいほど被覆量が多いことを示す。
本発明では、所定の被覆量(炭素含有量及びフッ素含有量、特にフッ素含有量)に設定することによって、酸化物粒子の表面への良好な密着性と、優れた撥水性及び撥油性とを達成することができる。
前記A値が0.025未満の場合は、所望の撥水性及び撥油性が得られなくなるおそれがある。一方、前記A値が0.180を超えると、複合粒子の製造そのものが困難となる場合がある。
また、前記B値が0.05未満である場合は、所望の撥水性及び撥油性が得られにくくなることがある。前記B値が0.400を超える場合は、複合粒子が製造しにくくなることがある。
従って、本発明では、優れた撥水性・撥油性を達成するためにA値を所定の範囲内に設定することが好ましい。また、さらには、より優れた撥水性・撥油性を実現するためにはB値も所定の範囲内に設定することが望ましい。
なお、本発明における複合粒子中の炭素含有量の測定は、(検体)を酸素雰囲気中、800℃以上に加熱して表面疎水基が含有する炭素をCOに転じ、微量炭素分析装置により(検体)の表面に存在する炭素含有量を算出するという方法に従って実施する。また、本発明における複合粒子中のフッ素含有量は、検体を1000℃の環状炉で焼成し、生成するガスを水蒸気蒸留で回収し、その回収液をイオンクロマトグラフにてフッ素イオンとして検出し、定量する。また、表面積(m/g)(比表面積)は、Macsorb(マウンテック製)を用いてBET1点法により求めた。吸着ガスは、窒素30体積%・ヘリウム70体積%のガスを用いた。試料の前処理として、100℃で10分間、吸着ガスの流通を行った。その後、試料が入ったセルを液体窒素で冷却し、吸着完了後室温まで昇温し、脱離した窒素量から試料の表面積を求めた。試料の質量で除して比表面積を求めた。
複合粒子の含有量
本発明に防汚シートにおける複合粒子の含有量は、所望の撥水性・撥油性等に応じて適宜設定できるが、通常は下地層及び複合粒子の合計中10〜90重量%とし、特に30〜90重量%とすることが好ましい。複合粒子の含有量を90重量%に近づければそれだけ高い撥水性及び撥油性を得ることができる。
また、基材シートに対する複合粒子の付与量(乾燥後重量)は限定的ではなく、所望の撥水性・撥油性、複合粒子の含有量等に応じて適宜設定すれば良いが、通常は0.01〜30g/m、特に0.1〜30g/mの範囲内で設定することができる。従って、例えば1〜30g/m程度の範囲、特に2〜8g/mの範囲で好適に設定することもできる。
(2)複合粒子の製造方法
複合粒子の調製方法は特に限定されず、酸化物の粒子(粉末)に対して、ポリフルオロアルキルメタアクリレート樹脂を含む被覆材を用い、公知のコーティング方法、造粒方法等に従って被覆層を形成すれば良い。例えば、液状のポリフルオロアルキルメタアクリレート樹脂を溶媒に溶解又は分散させた塗工液を酸化物の粒子にコーティングする工程(被覆工程)を含む製造方法によって複合粒子を好適に調製することができる。
上記製造方法では、ポリフルオロアルキルメタアクリレート樹脂として常温(25℃)及び常圧下で液状のものを好適に用いることができる。このようなポリフルオロアルキルメタアクリレート樹脂としては、前記で例示した市販品を使用することもできる。
塗工液に使用する溶媒は特に制限されず、水のほか、例えばアルコール、トルエン等の有機溶剤を使用することができるが、本発明では水を用いることが好ましい。すなわち、塗工液としてポリフルオロアルキルメタアクリレート樹脂が水に溶解及び/又は分散した塗工液を使用することが好ましい。
上記の塗工液中におけるポリフルオロアルキルメタアクリレート樹脂の含有量は特に制限されないが、一般的には10〜80重量%程度とし、特に15〜70重量%とすることが好ましく、さらには20〜60重量%の範囲内に設定することがより好ましい。
酸化物の粒子表面に塗工液をコーティングする方法は、公知の方法に従えば良く、例えばスプレー法、浸漬法、攪拌造粒法等のいずれも適用することができる。特に、本発明では、均一性等に優れるという点でスプレー法によるコーティングが特に好ましい。
塗工液をコーティングした後、熱処理により溶媒を除去することによって複合粒子を得ることができる。熱処理温度は通常150〜250℃程度、特に180〜200℃とすることが好ましい。熱処理の雰囲気は限定的ではないが、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス(非酸化性)雰囲気が望ましい。また、例えば、必要に応じて、さらに被覆工程及び熱処理工程からなる一連の工程を1回以上実施することができる。これにより被覆量の制御等を好適に行うことが可能となる。
4.複合粒子の付着方法
本発明において、下地層に複合粒子を付着させる方法は特に限定されず、公知の方法等も適用することができる。
特に、本発明では、複合粒子を含む分散液を下地層表面にコーティングする工程を含む方法によって塗膜を好適に形成することができる。すなわち、湿式でコーティングした後に溶媒を除去することによって撥水・撥油性塗膜を得ることができる。従来技術のフッ素系撥水撥油剤としてパーフルオロアルキルシランを使用する場合、そのアルコキシシラン基の加水分解反応を制御するために触媒添加又は撥水撥油剤のpH調整をする必要があるのに対し、本発明ではそのような工程がなく、比較的簡便に所望の塗膜が形成することができる。しかも、用いる溶媒が水等であれば、環境への負荷も最小限におさえることもできる。
上記分散液で使用される溶媒は、特に限定されず、例えば水のほか、アルコール(エタノール)、シクロヘキサン、トルエン、アセトン、IPA、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチルジグリコール、ペンタメチレングリコール、ノルマルペンタン、ノルマルヘキサン、ヘキシルアルコール等を挙げることができる。
有機溶媒に対する複合粒子の分散量は、例えば材料の種類、撥水性及び撥油性の程度等に応じて通常20〜50g/L(リットル)程度の範囲内で適宜決定することができる。
また、分散液中には接着剤を含有させることもできる。より具体的には、接着剤成分を分散液中に分散させることができる。
接着剤成分としては前記「2.下地層とその形成方法」で示した樹脂成分の中から適宜選択することができる。その他にも、前記「2.下地層とその形成方法」で示した他の成分を分散液中に含有させることも可能である。
分散液を材料表面にコーティングする方法は限定的でなく、公知の方法を採用することができる。例えば、ロールコーティング、グラビアコーティング、バーコート、ドクターブレードコーティング、コンマコーター、パートコート、刷毛塗り等の公知の方法をいずれも採用することができる。
分散液をコーティングする場合の塗布量は限定的ではなく、乾燥塗膜重量が例えば0.01〜30g/m、好ましくは0.1〜30g/mの範囲内となるように適宜設定することができる。従って、例えば50〜600mg/m程度、特に200〜500mg/mとなるように調節することも可能である。
分散液を材料表面にコーティングした後、乾燥工程を実施すれば良い。乾燥は自然乾燥又は加熱乾燥のいずれであっても良い。加熱乾燥する場合は通常200℃以下、好ましくは100℃以下で加熱すれば良い。
本発明において、複合粒子は多孔質層を形成していることが好ましい。多孔質層を形成している場合、その厚みは0.1〜5μm程度が好ましく、特に0.2〜2.5μm程度がより好ましい。このようなポーラスな層状態で付着することにより、当該層に空気を多く含むことができ、より優れた撥水性及び撥油性を発揮することができる。
5.防汚シートの性状
本発明シートでは、最表面に複合粒子を含む防汚被膜を有するものであるが、特に防汚被膜表面が複合粒子による凹凸構造(近似的なフラクタル構造)を有していることが好ましい。より具体的には、複数の複合粒子が連なることによって形成された空隙と粒子本体により形成される表面を有することが望ましい。これにより、複合粒子が所定の樹脂被覆層を有すると相まって、より優れた撥水性と撥油性を発揮することが可能となる。すなわち、凹凸構造の表面が前記樹脂被覆層により実質的に構成される結果、より優れた撥水性と撥油性とを発揮することができる。この場合、凹凸構造の形成に寄与する粒子としては、本発明の効果を妨げない範囲において、複合粒子以外のものが含まれていても良い。なお、前記凹凸構造は、走査型電子顕微鏡等で観察することができる。
防汚被膜としての厚みは特に限定されないが、通常0.5〜30μmの範囲内で適宜決定すれば良く、1〜8μm程度とすることがより好ましい。これによって、より優れた撥水性及び撥油性を得ることができる。
本発明シートにおける撥水性は、通常は純水(25℃)の接触角が140度以上、特に150度以上であることが好ましい。また、撥油性については、食用油:オリーブ油(25℃、100℃)の接触角が130度以上、特に140度以上であることが好ましい。さらに、塗膜の落下角(オリーブ油)は限定的ではないが、通常は5〜20度とすることが好ましい。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
<実施例1>
(1)複合粒子の調製
平均一次粒子径12nm及びBET比表面積200m/gの気相法シリカ粉末(製品名「AEROSIL 200」日本アエロジル(株)製)100gを反応槽に入れ、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら市販の表面処理剤500gをスプレーし、次いで200℃で30分間攪拌した後、冷却した。このようにして表面改質シリカ微粒子(複合粒子)からなる粉末を得た。上記の表面処理剤として、ポリフルオロオクチルメタクリレート、2−N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び2,2’−エチレンジオキシジエチルジメタクリレートのコポリマーの水分散液(固形分濃度:20重量%)を用いた。得られた表面改質シリカ微粒子(粉末)の炭素含有量、フッ素含有量等を表2に示す。
(2)分散液の調製
前記(1)で得られた複合粒子30重量部をエタノール200重量部に添加及び混合することにより分散液を調製した。
(3)接着剤層及び防汚被膜の形成
基材として、ポリエチレンテレフタレート(厚さ12μm)/ポリウレタン系ドライラミネート接着剤/アルミニウム箔(20μm)との構成の複合シート体(基材シート)を準備した。次いで、前記アルミニウム箔の表面に樹脂溶液210重量部(主成分:アクリル系樹脂10重量部+塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂160重量部+溶剤(トルエン+メチルエチルケトンの混合溶剤)40重量部)とポリエチレン製樹脂粒子(平均粒子径10μm:レーザー回折式粒度分布計)40重量部との混合物を乾燥重量後約4g/mとなるようにバーコーターを用いて塗布後乾燥(乾燥条件は150℃×10秒)して接着剤層を形成した。そして、接着剤層の表面(アルミニウム箔と接する面と反対の面)にバーコーターを用いて前記(2)で準備した分散液を乾燥後塗布量3g/mとなるように塗布し、続いて180℃のオーブン中で15秒間加熱することにより、実施例1の防汚シートを作製した。
<実施例2>
実施例1で用いた複合シート体に代えてアルミニウム箔(12μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして防汚シートを作製した。得られた表面改質シリカ微粒子(粉末)の炭素含有量、フッ素含有量等を表2に示す。
<実施例3>
酸化物粒子として平均一次粒子径30nm及びBET比表面積50m/gの気相法シリカ粉末(製品名「AEROSIL 50」日本アエロジル(株)製)を用い、かつ、表面処理剤500gを25gに変更したほかは、実施例1と同様にして防汚シートを作製した。得られた表面改質シリカ微粒子(粉末)における炭素含有量、フッ素含有量等を表2に示す。
<実施例4>
酸化物粒子として平均一次粒子径30nm及びBET比表面積50m/gの気相法シリカ粉末(製品名「AEROSIL 50」日本アエロジル(株)製)を用いたほかは、実施例1と同様にして防汚シートを作製した。得られた表面改質シリカ微粒子(粉末)の炭素含有量、フッ素含有量等を表2に示す。
<実施例5>
酸化物粒子として平均一次粒子径7nm及びBET比表面積300m/gの気相法シリカ粉末(製品名「AEROSIL300」日本アエロジル(株)製)を用い、かつ、表面処理剤500gを750gに変更したほかは、実施例1と同様にして防汚シートを作製した。得られた表面改質シリカ微粒子(粉末)における炭素含有量、フッ素含有量等を表2に示す。
<比較例1>
防汚シートとして、ポリエチレンテレフタレート(厚さ32μm)のシート体を準備した。本シート体は特許文献1に相当する防汚シートである。
< 比較例2>
防汚シートとして、アルミニウム箔(厚さ32μm)のシート体を準備した。
<比較例3>
実施例1で用いた分散液に代えて、実施例1に記載する市販の処理剤を複合シート体のアルミニウム箔表面にバーコーターを用いて乾燥後塗布量3g/mとなるように塗布した以外は、実施例1と同様にして防汚シートを作製した。なお、本シート体は、特許文献2に相当する防汚シートである。
<試験例1>(撥油性の評価)
実施例及び比較例で得られた防汚シートについて撥油性(25℃)を調べた。具体的には各サンプルの撥水・撥油性付与面を試験面とし、オリーブオイルを数滴滴下して、液滴の状態を観察した。なお、前記オリーブオイルとしては、市販品「AJINOMOTO オリーブオイル」(食用オリーブ油)(味の素株式会社製)を使用した。評価は、撥油性を発揮していたもの(玉状で転がる)を「○」とし、若干の撥油性が見られたもの(完全に濡れた状態ではないが玉状に転がる状態ではない)を「△」とし、撥油性が見られないもの(完全に濡れた状態で転がらず)を「×」とした。その結果を表2に示す。
<試験例2>(接触角の測定)
実施例及び比較例で得られた防汚シートについて接触角(25℃)を測定した。具体的には各サンプルの撥水・撥油性付与面を試験面とし、接触角測定装置(固液界面解析装置「Drop Master300」協和界面科学株式会社製)を用いて純水及びオリーブオイル(約2〜4μl)の接触角を測定した。測定結果は、N数を5回とし、その接触角の平均値を結果に示す。なお、前記オリーブオイルとしては、市販品「AJINOMOTO オリーブオイル」(食用オリーブ油)(味の素株式会社製)を使用した。その結果を表2に示す。
<試験例3>(落下角の測定)
実施例及び比較例で得られたサンプルについて落下角(25℃)を測定した。具体的には各サンプルの撥水・撥油性付与面を試験面とし、この面を上面として水平な平台にクリップで固定し、オリーブオイルを至近距離から垂らし、水平な平台を傾け、オリーブオイルが流れ始めた時の角度を観察した。なお、前記オリーブオイルとしては、市販品「AJINOMOTO オリーブオイル」(食用オリーブ油)(味の素株式会社製)を使用した。その結果を表2に示す。
<試験例4>(耐摩耗性の評価)
実施例及び比較例で得られたサンプルについて耐久性(耐摩耗性)を調べた。その試験方法はJIS規格『JIS L0849』に基づき実施した。具体的には各サンプルの撥水・撥油性付与面を試験面とし、摩擦試験機(SHOWA JUKI製)にて摩耗試験を実施した後、オリーブオイルにて撥油性を維持しているかどうかを確認した。試験条件としては、摩擦子の先端に乾燥した布を取り付け、試験面上を2Nの荷重で毎分30回往復の速度で100回往復摩擦を行った。なお、前記オリーブオイルとしては、市販品「AJINOMOTO オリーブオイル」(食用オリーブ油)(味の素(株)製)を使用した。評価は、試験例1と同様の基準で撥油性を維持していた場合を「○」とし、若干の撥油性はあるが、試験例1と同様の基準で撥油性を維持していない場合を「△」とし、撥油性を失っていた場合を「×」とした。その結果を表2に示す。
<試験例5>(かび抵抗性試験)
実施例及び比較例で得られたサンプルについて、JIS Z2911−2010に規定される、かび抵抗性試験方法(試験操作方法A)にて4週間経過後にかび発育状態を観察して評価した。評価は、同JISの附属書Aの表A.3「かび発育の評価」の基準に従って行い、1サンプルにつき3回行った。前記附属書表Aの内容を下記表1に示す。また、評価結果を表2に示す。
<試験例6>(壁面への取付性の評価)
実施例及び比較例で得られたサンプルについて、30cm×100cmのサイズに切り取り、調理場の壁面への取付性を確認した。貼付け時にシワなく綺麗に貼付けができた場合は「○」、多数のシワが発生した場合は「×」とした。その結果を表2に示す。
これらの結果からも明らかなように、実施例の防汚シートは、比較例の防汚シートに比して優れた撥水性・撥油性とともに、高い耐摩耗性及びかび抵抗性を発揮できることがわかる。特に、撥水性においては、実施例では接触角が145度以上、特に153度以上という高い値になっていることがわかる。撥油性においても、実施例では接触角が140度以上、特に145度以上という高い値が得られることがわかる。しかも、これらの高い撥水性及び撥油性が摩耗試験後も効果的に維持されていることがわかる。また、落下角においては、実施例では14度以下、特に13度以下という優れた撥油性が発揮されていることがわかる。

Claims (8)

  1. 物品表面への油滴の付着を防ぐために用いられる防汚シートであって、
    (1)前記防汚シートは、a)基材シート、b)前記基材シートの少なくとも一方の表面に形成された下地層及びc)前記下地層上の一部又は全部に付着した複合粒子を含み、
    (2)前記下地層は、樹脂成分及び充填粒子を含み、かつ、その下地層表面は前記充填粒子による凹凸をなしており、
    (3)前記複合粒子は、a)酸化物粒子と、b)その表面に形成されたポリフルオロアルキルメタアクリレート樹脂を含む樹脂被覆層とを含む、
    ことを特徴とする防汚シート。
  2. JIS Z2911−2010に規定される「かび抵抗性試験方法(試験操作方法A)」にて4週間経過後にかび発育状態の評価が2以下である、請求項1に記載の防汚シート。
  3. 前記複合粒子の炭素含有量(重量%)を酸化物粒子の表面積(m/g)で除した値が0.05〜0.400である、請求項1又は2に記載の防汚シート。
  4. 前記酸化物粒子の平均一次粒子径が5〜50nmである、請求項1〜3のいずかに記載の防汚シート。
  5. 前記酸化物粒子が酸化ケイ素粒子、酸化アルミニウム粒子及び酸化チタン粒子の少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれかに記載の防汚シート。
  6. 前記基材シートがアルミニウム又はアルミニウム合金からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の防汚シート。
  7. 前記複合粒子において、各複合粒子が三次元網目状に固定された多孔質層を形成している、請求項1〜6のいずれかに記載の防汚シート。
  8. 前記充填粒子の最小粒径が前記複合粒子の最大粒径よりも大きい、請求項1〜7のいずれかに記載の防汚シート。
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