JP2017118962A - 吸収性物品 - Google Patents
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特許文献1には、液保持性の吸収層および液不透過性の防漏層を備え、防漏部が長手方向に沿って配されている吸収性物品が開示されている。防漏部は、長手方向または幅方向の断面形状が波形に成された立体シートを、吸収性物品の長手方向に沿って配設したものである(引用文献1の請求項6等参照。)。
おむつの着用者が側臥位で寝ている状態で排尿した際には、立体ギャザーの立ち上がり部分である起立基部に尿が溜まりやすい。おむつに配された吸収体の股間部が括れている場合、くびれ部分の尿の吸収容量が少ないため、立体ギャザーの起立基部に尿がより溜まりやすくなる。この状態では撥水性の立体ギャザーに沿って前後に尿が移動し易く、臀部(背中)側や腹側から尿が漏れ出る可能性があった。
また特許文献1に記載された吸収性物品では、立体シートからなる防漏部は、長手方向の断面形状が波形に形成されている。すなわち、防漏部の高さ方向の全体に畝状の凸部を有する波形が配されている。そのため、排泄位置に対応する吸収体の中央部に液が排泄された場合には、防漏部の立ち上がり部分に液が溜まり、波型の凹凸形状のためにその液が臀部側や腹側に移行しにくくなる。それによって、液が溜まりすぎて漏れ出る可能性があり、改善の余地があった。
特許文献2に記載された吸収性物品では、側方カフスの幅方向の先端側の両面に長手方向に延びる襞が生じている。しかし、側方カフスの立ち上がり部分の吸収体側は、襞が配されていない(引用文献2の図6参照。)。このため、側方カフスの立ち上がり部分に溜まった尿が側方カフスに沿って前後に移動して臀部側や腹側から尿が漏れ出る可能性があり、改善の余地があった。
さらに特許文献3に記載された吸収性物品では、サイド防漏部の立ち上がり部分の吸収体側は、凸部が配されていない(引用文献3の図2参照。)。このため、サイド防漏部の立ち上がり部分に溜まった尿がサイド防漏部に沿って前後に移動して臀部側や腹側から尿が漏れ出る可能性があり、改善の余地があった。
前記一対の立体ギャザーは、前記吸収性本体側の面の起立基部側に、凹部と凸部とが前記長手方向に繰り返し配された凹凸領域を有し、
前記凹凸領域は前記吸収性物品の着用時に着用者の臀部側が位置する前記立体ギャザーの後方部に少なくとも配されていて、
前記立体ギャザーが伸ばされた状態で、前記着用者の腹側に位置する前記立体ギャザーの前方部および前記後方部に配された前記凹凸領域の凸部の高さは、前記着用者の股下部に位置する前記立体ギャザーの中間部に前記凹凸領域が配されている場合では該中間部の凹凸領域の凸部の高さ以上であり、または前記中間部に前記凹凸領域が配されていない場合では該中間部よりも高い吸収性物品を提供するものである。
テープ型おむつ10は、装着時において装着者の腹部領域に当接する前方部F、装着者の股下部領域に位置する中間部C、装着者の臀部に当接する後方部Rに区分される。テープ型おむつ10の形状から明確に各部位が区分できないときは、テープ型おむつ10を長手方向(Y方向)に3等分する。そして装着者の腹側寄りに配される領域から順に、前方部F、中間部C、後方部Rと区分する。以下、テープ型おむつ10は単におむつ10ともいう。
なお、立体ギャザー41は、図1(a)では倒伏されている状態を示し、図1(b)では起立した状態を示した。また、図1(a)では立体ギャザー弾性体71の図示は省略した。
凹凸領域44は、吸収性物品のおむつ10を着用したときに着用者の股下部に対向する中間部Cよりも着用者の臀部側の後方部Rに少なくとも配されている。
以下、立体ギャザー41の長手方向(YG方向)は吸収性物品の長手方向(Y方向)と同様の方向である。また、立体ギャザー41の幅方向(XG方向)は、立体ギャザー41が倒伏した状態で吸収性物品の幅方向(Y方向)と同様の方向である。
上記の立体ギャザーが伸ばされた状態とは、立体ギャザーを伸長させて、設計寸法(弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じ)となるまで広げた状態を意味する。
また、凹凸領域が立体ギャザー41の幅方向(XG方向)の起立基部41b側の1/2の領域にのみ配されることで、自由端41f側からの尿漏れを抑制して、起立基部41b側に尿を溜まり易くすることができる。これによって、尿が前方部Fおよび後方部Rから漏れるのを防止する一助となる。
また、凸部43の高さは股下側の中央部Cより前方部Fおよび後方部Rに向かうにしたがい、高くなるように配してもよい。この様に凸部43を配することで、尿の移動しにくさが段階的に発現されることから、局所的な吸収を防ぎ、より効果的に吸収性能を発現できるという効果を奏する。
別の好ましい実施形態として、図5(a)に示すように、凹凸領域44の凸部43は、立体ギャザー41の幅方向(XG方向)に断続的に配してもよい。それぞれの凸部43は、立体ギャザー41の長手方向(YG方向)に短く、幅方向に長くなっている。また、長手方向に繰り返されて配されている凸部43間が凹部42となる。
または凸部43を千鳥配置とすることも好ましい。例えば、図5(b)に示すように、立体ギャザー41の幅方向(XG方向)に断続的に配された凸部43は、隣接する凸部43とのピッチを立体ギャザー41の幅方向にずらして配した千鳥配置であっても好ましい。そのずらし量は凸部43の幅方向ピッチが1ピッチ未満であり、例えば1/2ピッチずつずらすことが好ましい。また図示はしないが、凸部43のピッチを立体ギャザー41の長手方向(YG方向)にずらして配した千鳥配置であってもよい。そのずらし量は凸部43の長手方向ピッチが1ピッチ未満であり、例えば1/2ピッチずつずらすことが好ましい。
一般に凸部を形成すると部材自体の厚みが増すために剛性が高くなり変形がしにくくなる。そのため凸部を起立基部41b側の1/2の領域に配し、尿の移動抑制と立体ギャザー41の柔軟性を両立させることが望ましい。更に柔軟性を向上させる手段として、凸部43をXG方向に断続的にすることができるが、その場合は、断続部がYG方向に連続しない方が尿の移動抑制の点から好ましいことから、千鳥配置、特に1/2ピッチずらして断続部のYG方向連続性を低減した千鳥配置が好ましい。
例えば、弾性部材の伸縮とメルトパターンを組み合わせて、波状の凹凸領域44を作製する方法がある。
具体的には、サイドシート7の凹部42に当たる部分がホットメルト接着剤塗布部を形成し、2層目となるシート7bと貼り合せる。このように作製された立体ギャザー41は、立体ギャザー弾性体71の収縮力が作用することで、塗布部が凹部42に非塗布部が凸部43へと変形する。
具体的には、別工程で波状に成形した不織布7cとサイドシート7をホットメルト接着剤で貼り合せて作製するが、波状の不織布7cのサイドシート7側の凸部にのみホットメルト接着剤を塗布することで凹部42が形成され、ホットメルト接着剤非塗布部が凸部43となる。
例えば、上記2枚重ねの一方のSMS不織布46の表面46Sfがフラット面になっていることが好ましく、その裏面46Sbがエンボス面になっていることが好ましい。一方のSMS不織布46の表面46Sfに他方のSMS不織布47がその裏面47Sbを重ねて配されている。SMS不織布46、47同士が接合しやすいように、他方のSMS不織布47の裏面47Sbはフラット面であることが好ましい。また、他方のSMS不織布47の表面47Sfはエンボス面になっていることが好ましい。
上記フラット面とは、エンボス面に比べエンボス部の凹凸が小さい状態の不織布の面をいう。
エンボス面とは、エンボス加工によるエンボス部48、49を有する面をいう。ここで言うエンボス部48、49とは、SMS不織布に配された、その周囲よりも厚みが薄く高密度化され、繊維同士が融着している部分であり、当該部分は下層まで及んでいないものである。したがって、エンボス部48、49は言い換えれば、SMS不織布に配され、反対側の面にまで及ばない高密度化融着部である。
SMS不織布46、47はフラット面同士が対向するように2枚重ねにして配されていて、接合されている。この接合には、熱融着またはホットメルト接着剤等の接着剤が用いられることが好ましい。また、接合は、立体ギャザー41の風合いを保つため、線状の接合または点状の接合が好ましく、点状の接合がより好ましい。また、比較的平滑なフラット面同士を接合するので、接触面積が大きくより確実に接合させることができるため、接合強度が得られやすく、点接合であっても十分な接合強度が得られる。また凹凸領域44が2枚重ねになっているので、凹凸領域44の形状がくずれにくく形状安定性に優れる。
さらにエンボス面が吸収性本体4側の立体ギャザー41の起立基部41b(図1〜3等参照)側に配されることで、尿を起立基部41bに溜まり易くすることができる。これによって、尿が前方部F側および後方部R側から漏れるのを防止する一助となる。
上記ファスニングテープ19およびテープ貼付部20によっておむつ10を着用者に装着固定する。このとき、おむつ10の長手方向中央を緩やかに内側に折り曲げて、吸収体3が装着者の臀部から下腹部にわたって沿うように装着する。これにより排泄物が的確に吸収体3に吸収保持される。本実施形態のおむつ10においては、さらに機能的な構造部材やシート部材等を設けてもよい。
また上記吸収体ギャザー弾性体73によって吸収体3の側部が伸縮するため脚周り、特に大腿部付け根周りのフィット性が向上し、その部分の漏れを防止することができる。
実施例1のおむつ10として、図1に示すものを作製した。
試験用のおむつ10を次の方法により作製した。
おむつ10には、花王株式会社製のメリーズ(登録商標)2015年製を用いた。そのおむつ10の立体ギャザーを加熱ないし冷却することでホットメルト接着剤の接着機能を低減させて取り外し、下記の実施例1から5の凹凸形状を付与した立体ギャザーをホットメルト接着剤が塗布されていた部分を再加熱して取り付けた。
実施例1の立体ギャザーは、以下のようにして作製した。
実施例1は、図3の(a)に示した立体ギャザーを作製した。
まずポリプロピレンのSMS不織布を、120℃に加熱された互いの凸部が噛み合った2本のロール間を通し、凹凸形状を部分的に付与した。凹凸の大きさ(高さ)については、2本のロールのかみ合わせ部のクリアランスを変更することで適宜調整した。このように得られた凹凸シートを適所に貼り合せて作製した立体ギャザーをおむつに配した。
(実施例2)
実施例2は、図3の(b)に示した立体ギャザーを作製した。作製方法は、凹凸領域44の凸部43のパターン形状が異なる以外、実施例1と同様の方法である。そして、実施例1と同様の方法で作製した立体ギャザーをおむつに配した。
(実施例3)
実施例3は、図3の(c)に示した立体ギャザーを作製した。作製方法は、凹凸領域44の凸部43のパターン形状が異なる以外、実施例1と同様の方法である。そして、実施例1と同様の方法で作製した立体ギャザーをおむつに配した。
(実施例4)
実施例4は、図5の(a)に示した立体ギャザーを作製した。作製方法は、凹凸領域44の凸部43のパターン形状が異なる以外、実施例1と同様の方法である。そして、実施例1と同様の方法で作製した立体ギャザーをおむつに配した。
(実施例5)
実施例5は、図5の(b)に示した立体ギャザーを作製した。作製方法は、凹凸領域44の凸部43のパターン形状が異なる以外、実施例1と同様の方法である。そして、実施例1と同様の方法で作製した立体ギャザーをおむつに配した。
(実施例6)
実施例6は、図示はしていないが、凹凸領域44を臀部側のみに配した以外、実施例1と同様の方法で立体ギャザーを作製し、おむつに配した。
(比較例)
比較例は、図示はしていないが、実施例1において、凹凸領域を配していない構成とした以外、実施例1と同様の方法で立体ギャザーを作製し、おむつに配した。
評価基準
A:漏れない。
B:漏れないが、立体ギャザー中間部か臀部側や腹側に人工尿が流れている。
C:漏れないが、おむつ端部まで人工尿が来ている。
D:漏れ。
2 裏面シート
3 吸収体
4 吸収性本体
5 被覆シート
7 サイドシート
8 外装シート
10 テープ型おむつ、おむつ
17 背側フラップ部
18 腹側フラップ部
19 ファスニングテープ
20 テープ貼付部
41 立体ギャザー
41b 起立基部
41f 自由端
42 凹部
43,43R,43c,43F 凸部
44,44R,44c,44F 凹凸領域
45 凹凸領域44を除いた領域
46,47 SMS不織布
48,49 エンボス部
71 立体ギャザー弾性体
73 吸収体ギャザー弾性体
75 レッグギャザー弾性体
76 弾性部材
F 前方部
C 中間部
R 後方部
Claims (7)
- 表面シートと、裏面シートと、両シート間に挟まれた吸収体とを有する吸収性本体と、前記吸収性本体の幅方向の両側で長手方向に起立可能に配された一対の立体ギャザーとを備えた吸収性物品であって、
前記一対の立体ギャザーは、前記吸収性本体側の面の起立基部側に、凹部と凸部とが前記長手方向に繰り返し配された凹凸領域を有し、
前記凹凸領域は前記吸収性物品の着用時に着用者の臀部側が位置する前記立体ギャザーの後方部に少なくとも配されていて、
前記立体ギャザーが伸ばされた状態で、前記着用者の腹側に位置する前記立体ギャザーの前方部および前記後方部に配された前記凹凸領域の凸部の高さは、前記着用者の股下部に位置する前記立体ギャザーの中間部に前記凹凸領域が配されている場合では該中間部の凹凸領域の凸部の高さ以上であり、または前記中間部に前記凹凸領域が配されていない場合では該中間部よりも高い吸収性物品。 - 前記凹凸領域が、前記後方部から前記中間部を経て前記前方部まで連続して配されている請求項1に記載の吸収性物品。
- 前記凹凸領域が、前記立体ギャザーの幅方向における前記起立基部側の1/2の領域のみに配されている請求項1または2に記載の吸収性物品。
- 前記凹凸領域の凸部と凹部は、立体ギャザーの幅方向に連続して延びていて、長手方向に波状の凹凸をなしている請求項1から3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 前記凹凸領域が、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンボンド不織布を順に積層した3層構造のSMS不織布が2枚重ねられてなる請求項1から4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
- 2枚重ねの前記SMS不織布のそれぞれは、第1面側にエンボス面を有し、前記第1面とは反対面の第2面側にフラット面を有し、前記2枚重なったSMS不織布の対向する面が前記フラット面同士である請求項5に記載の吸収性物品。
- 2枚重ねの前記SMS不織布のうち、一方のSMS不織布の表面がフラット面であり、前記一方のSMS不織布の表面に他方のSMS不織布の裏面を重ねて配され、前記他方のSMS不織布の表面に前記凹凸領域の凸部が配されている請求項5または6に記載の吸収性物品。
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