JP2017117721A - 有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017117721A
JP2017117721A JP2015253814A JP2015253814A JP2017117721A JP 2017117721 A JP2017117721 A JP 2017117721A JP 2015253814 A JP2015253814 A JP 2015253814A JP 2015253814 A JP2015253814 A JP 2015253814A JP 2017117721 A JP2017117721 A JP 2017117721A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic
layer
sealing
sealant
panel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015253814A
Other languages
English (en)
Inventor
謙一 原井
Kenichi Harai
謙一 原井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP2015253814A priority Critical patent/JP2017117721A/ja
Publication of JP2017117721A publication Critical patent/JP2017117721A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

【課題】封止直後のダークスポットの発生、高温高湿環境におけるダークスポットの発生、及び、高温高湿環境における封止剤の発泡が抑制された有機ELパネルの製造方法を提供する。【解決手段】第一電極112、第二電極115及び有機発光層114を備える有機EL素子110と、有機EL素子を封止する封止部材140とを備える有機ELパネル100の製造方法であって、封止部材が、封止基材130と、封止基材上に設けられた封止剤の層120とを備え、封止剤の90℃における貯蔵弾性率が、10MPa以上であり、製造方法が、有機EL素子と封止剤の層とを貼り合わせる工程、封止剤の層と封止基材とを貼り合わせる工程、及び、有機EL素子と封止剤の層とを貼り合わせる工程の前に、封止剤の層を90℃以上の温度で加熱して、乾燥する工程、を含む、有機ELパネルの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、適宜「有機EL素子」ということがある。)は、一般に、薄膜化及びフレキシブル化が可能である。そのため、有機EL素子を備える有機エレクトロルミネッセンスパネル(以下、適宜「有機ELパネル」ということがある。)を製造し、この有機ELパネルを様々な発光装置に適用することが検討されている。
有機EL素子は、通常、水及び空気によってダメージを受けやすい有機材料を含む。よって、有機ELパネルでは、水及び空気から有機材料を保護するために、有機EL素子を封止することが一般的である(特許文献1参照)。
国際公開第2014/91941号
封止された有機EL素子を備える有機ELパネルは、通常、有機EL素子を適切な封止基材で覆った封止構造を有する。ここで、封止構造は、有機EL素子と封止基材との間の空間を空けた中空封止構造と、前記の空間を封止剤で充填した密着封止構造とに分類できる。このうち、有機ELパネルのフレキシブル化が容易であるので、近年、密着封止構造が主流となっている。
密着封止の方法としては、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂等の硬化性樹脂を封止剤として用いる方法が挙げられる。この方法では、有機EL素子と封止基材との間に硬化性樹脂を充填し硬化させることによって、封止を行う。ところが、封止剤として硬化性樹脂を用いると、硬化時の樹脂の収縮によって有機EL素子がダメージを受けることがあった。
また、別の方法として、フィル材及びゲル材のように柔軟性が高い封止剤を用いる方法が挙げられる。この方法では、有機EL素子と封止基材との間に封止剤を充填することによって、封止を行う。ところが、このような柔軟性が高い封止剤で封止を行うと、有機ELパネルを曲げたときに封止基材と有機EL素子とが接触し、有機EL素子がダメージを受けることがあった。
さらに、封止剤の種類によっては、封止後に封止剤からアウトガスは発生し、このアウトガスによって有機EL素子がダメージを受けることがあった。
前記のような課題を解決するため、出願人は、特許文献1において、アウトガスの少ない封止剤のフィルムを圧着することによって封止を行う技術を提案している。
ところが、特許文献1記載のような封止では、封止直後にダークスポットが発生することがあった。ここでダークスポットとは、有機EL素子が局所的に発光できなくなっている部分(発光欠陥)のことをいう。さらに、特許文献1記載のような封止では、高温高湿環境(例えば、85℃85%Rh)において、経時的に更なるダークスポットが発生したり、封止剤からの発泡が生じたりすることがあった。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたものであって、封止直後のダークスポットの発生、高温高湿環境におけるダークスポットの発生、及び、高温高湿環境における封止剤の発泡が抑制された有機ELパネルを製造できる、有機ELパネルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく、有機EL素子を、封止剤の層及び封止基材を備える封止部材で封止する方法について、鋭意検討した。その結果、本発明者は、90℃において所定の貯蔵弾性率を有する封止剤を用い、且つ、封止剤の層を所定温度で乾燥させてから有機EL素子に貼り合わせることによって、封止直後のダークスポットの発生、高温高湿環境におけるダークスポットの発生、及び、高温高湿環境における封止剤の発泡を抑制できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
〔1〕 第一電極、第二電極及び有機発光層を備える有機エレクトロルミネッセンス素子と、前記有機エレクトロルミネッセンス素子を封止する封止部材と、を備える有機エレクトロルミネッセンスパネルを製造する、有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法であって、
前記封止部材が、封止基材と、前記封止基材上に設けられた封止剤の層とを備え、
前記封止剤の90℃における貯蔵弾性率が、10MPa以上であり、
前記製造方法が、
前記有機エレクトロルミネッセンス素子と前記封止剤の層とを貼り合わせる工程、
前記封止剤の層と前記封止基材とを貼り合わせる工程、及び、
前記有機エレクトロルミネッセンス素子と前記封止剤の層とを貼り合わせる工程の前に、前記封止剤の層を90℃以上の温度で加熱して、乾燥する工程、を含む、有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
〔2〕 前記封止剤の層を、10℃/分の昇温条件で25℃から120℃まで昇温させたときに、前記封止剤の層から発生する水分量が、50ppm以下である、〔1〕記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
〔3〕 前記封止剤の層を、10℃/分の昇温条件で25℃から120℃まで昇温させたときに、前記封止剤の層から発生する水以外のアウトガスの総量が、500ppm以下である、〔1〕又は〔2〕記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
本発明の製造方法によれば、封止直後のダークスポットの発生、高温高湿環境におけるダークスポットの発生、及び、高温高湿環境における封止剤の発泡が抑制された有機ELパネルを製造できる。
図1は、第一の例に係る有機ELパネルを模式的に示す縦断面図である。 図2は、第一の例に係る有機ELパネルに含まれる有機EL素子を模式的に示す斜視図である。 図3は、第二の例に係る有機ELパネルを模式的に示す縦断面図である。 図4は、第三の例に係る有機ELパネルを模式的に示す縦断面図である。
以下、実施形態及び例示物を示して本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
[1.有機ELパネルの製造方法の概要]
本発明の一実施形態に係る有機ELパネルの製造方法は、有機EL素子と、この有機EL素子を封止する封止部材とを備える有機ELパネルを製造するための製造方法である。前記の封止部材は、封止基材と、封止基材上に設けられた封止剤の層とを備える。以下の説明において、前記の封止剤の層を、適宜「封止剤層」ということがある。
前記の製造方法は、有機EL素子と封止剤層とを貼り合わせる工程;及び、封止剤層と封止基材とを貼り合わせる工程;を含む。この際、有機EL素子と封止剤層とを貼り合わせる工程、及び、封止剤層と封止基材とを貼り合わせる工程は、いずれを先に行ってもよく、同時に行ってもよい。
さらに、前記の製造方法は、下記(I)及び(II)の要件を満たす。
要件(I):封止剤の90℃における貯蔵弾性率が、所定値以上である。
要件(II):前記製造方法が、有機EL素子と封止剤層とを貼り合わせる工程の前に、封止剤層を所定の乾燥温度で加熱して、乾燥する工程を含む。
前記の要件(I)及び要件(II)を満たすことによって、前記の製造方法では、封止直後のダークスポットの発生、高温高湿環境におけるダークスポットの発生、及び、高温高湿環境における封止剤の発泡が抑制された有機ELパネルを製造できる。
[2.有機EL素子]
有機EL素子は、有機発光層と、この有機発光層に電荷を供給しうる第一電極及び第二電極とを備える。有機発光層は、有機化合物を含む発光層であり、第一電極と第二電極との間に設けられる。この有機発光層は、第一電極及び第二電極から電荷を供給されることによって、光を生じうる。また、通常、有機EL素子は、基板を備え、この基板上に前記の有機発光層、第一電極及び第二電極が設けられている。
有機EL素子の基板としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、脂環式オレフィンポリマー等の、柔軟性のある透明プラスチックからなるフレキシブル基板;石英ガラス、ソーダガラス、無機アルカリガラス等のガラス基板;が挙げられる。
第一電極及び第二電極としては、例えば、金属薄膜、ITO、IZO、及びSnO等からなる透明電極;アルミニウム及びMgAg等からなる反射電極;などを用いうる。通常、有機EL素子は、第一電極及び第二電極として陽極及び陰極を備え、これらの少なくとも一方として透明電極を採用する。これにより、有機EL素子は、透明電極を通した出光を達成できる。この際、前記の透明電極の対極は、透明電極でもよいが、反射電極が好ましい。
有機発光層としては、特に限定されず、任意のものを適切に選択して採用しうる。また、有機発光層は、光源としての用途に適合すべく、一種類の層単独又は複数種類の層の組み合わせにより、所望のピーク波長を含む光を発光するものとしうる。
また、有機EL素子は、前記の基板、有機発光層、第一電極及び第二電極に加えて、任意の層を備えうる。例えば、有機EL素子は、陽極と陰極との間に、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層及びガスバリア層等の層を更に備えていてもよい。また、有機EL素子は、例えば、封止剤層と貼り合わせられる面に、仮封止層及び吸着剤層等の層を備えていてもよい。
有機EL素子の具体的な層構成の例としては、陽極/正孔輸送層/有機発光層/陰極の構成、陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極の構成、陽極/正孔注入層/有機発光層/陰極の構成、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極の構成、陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/等電位面形成層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極の構成、及び陽極/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/電荷発生層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/陰極の構成が挙げられる。有機EL素子は、一層以上の有機発光層を陽極と陰極との間に有するものとしうる。この有機発光層は、複数の発光色が異なる層の積層体、あるいはある色素の層に異なる色素がドーピングされた混合層を有していてもよい。有機発光層を構成する材料の例としては、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリフルオレン系、およびポリビニルカルバゾール系の材料を挙げることができる。また正孔注入層及び正孔輸送層の材料の例としては、フタロシアニン系、アリールアミン系、およびポリチオフェン系の材料を挙げることができる。電子注入層及び電子輸送層の材料の例としては、アルミニウム錯体およびフッ化リチウムを挙げることができる。等電位面形成層及び電荷発生層の材料の例としては、ITO、IZO、及びSnOなどの透明電極、並びにAg及びAlなどの金属薄膜を挙げることができる。
有機発光層、第一電極、第二電極及び任意の層は、例えば、基板上にこれらを順次形成することにより、設けうる。通常、これら各層の形成は、減圧環境において行われる。これら各層の厚みは、10nm〜1000nmとしうる。
有機EL素子は、更に、電極へ通電するための配線等の任意の構成要素を有しうる。
[3.封止剤層]
封止剤層は、有機EL素子を封止するための部材である。この封止剤層は、通常、フィルム状、シート状、平板状等の平坦な形状を有しており、その一方の面を有機EL素子の貼り合わせられることによって、有機EL素子を封止できるように設けられている。また、封止剤層の他方の面は、封止基材に貼り合わせられる。
前記の封止剤層としては、90℃において所定値以上の貯蔵弾性率を有する封止剤の層を用いる。封止剤の具体的な貯蔵弾性率は、通常10MPa以上、好ましくは25MPa以上、より好ましくは50MPa以上である。このように高い貯蔵弾性率を有する封止剤は、高温高湿環境において、過度には柔軟にならないので、水分の浸入を容易には許さない。そのため、このような封止剤からなる封止剤層で封止された有機EL素子には、高温高湿環境においても水分が浸入し難いので、水分による有機材料の劣化を抑制でき、その結果、高温高湿環境における有機ELパネルでのダークスポットの発生を抑制できる。前記の貯蔵弾性率の上限は、特段の制限は無いか、好ましくは500MPa以下、より好ましくは250MPa以下、特に好ましくは100MPa以下である。封止剤の貯蔵弾性率が前記の上限以下であることにより、封止剤層の柔軟性を高めることができるので、有機EL素子と封止剤層との密着を容易にしたり、有機ELパネルのフレキシブル性を向上させたりすることができる。
封止剤の貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(ユービーエム社製「Rheosol−G30000」)を用いて、周波数10Hz、昇温温度5℃/minにて測定しうる。
また、封止剤は、水の溶解度係数が小さいことが好ましい。水の溶解度係数が小さい封止剤を含む封止剤層は、雰囲気中の水分を取り込みにくいので、このような封止剤層で有機EL素子を封止することにより、高温高湿環境においても有機EL素子への水分の浸入を効果的に抑制できる。そのため、ダークスポットの発生を、効果的に抑制できる。
溶解度係数は、圧力検出器を備えた差圧式水蒸気透過率測定装置(Technolox社製、デルタパーム)を用いることで算出できる。この装置を用いて得られた水の透過曲線の直線部分の傾きから水の透過係数を、非定常状態での遅れ時間から水の拡散係数を求めた後に、水の透過係数÷水の拡散係数により求めることができる。
さらに、封止剤は、ある程度の柔軟性を有することが好ましい。封止剤が柔軟であることにより、有機ELパネルに外力が加わった場合に、封止剤層が変形して前記の外力を吸収できるので、外力による有機EL素子の破損を抑制できる。そのため、有機ELパネルのフレキシブル化を実現することができる。また、封止剤層と有機ELパネルとを貼り合わせるときに、有機EL素子の表面の形状に合わせて封止剤層が容易に変形できるので、封止剤層を有機EL素子に隙間無く密着させることが容易になる。そのため、封止剤層と有機EL素子との間に残留した空気による気泡の形成を、効果的に抑制できる。具体的には、封止剤の引張弾性率は、好ましくは1500MPa以下、より好ましくは1000MPa以下、特に好ましくは800MPa以下である。この引張り弾性率は、23℃において測定した値である。前記の引張弾性率の下限に特に制限は無いが、好ましくは0.1MPa以上である。
〔3.1.封止剤〕
前記のような条件を満たす封止剤として、通常は、樹脂を用いる。前記の樹脂としては、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は、所定の封止温度に加熱することによって可塑化して柔軟になるので、有機EL素子に容易に密着して封止できる。このような熱可塑性樹脂は、通常、熱可塑性の重合体と、必要に応じて任意の成分とを含む。
(3.1.1.重合体)
重合体としては、エラストマーを用いることが好ましい。エラストマーとは、加硫処理をしなくても室温でゴム弾性を有する重合体である。ここで室温とは、通常、25℃をいう。以下の説明において、エラストマーと必要に応じて任意の成分とを含む樹脂を、適宜「エラストマー樹脂」ということがある。エラストマー樹脂は、一般に残留溶媒を含まないか、含むとしてもその量は少ないので、アウトガスが少ない。したがって、エラストマー樹脂は、低圧環境下においてガスを発生し難いので、封止剤層からのアウトガスによる有機EL素子の劣化を抑制できる。
エラストマーとしては、ブロック共重合体エラストマー及び水添ブロック共重合体エラストマーが好ましい。ブロック共重合体エラストマーとは、ブロック共重合体からなるエラストマーである。また、水添ブロック共重合体エラストマーとは、ブロック共重合体の水素化物からなるエラストマーである。通常、ブロック共重合体及びその水素化物は、その分子構造に含まれる重合体ブロックの種類及び比率により性状を調整できる。ブロック共重合体及びその水素化物がエラストマーである場合、そのブロック共重合体は、通常、分子中に弾性を有するゴム成分(即ちソフトセグメント)としての重合体ブロックと、塑性変形を防止するための分子拘束成分(即ちハードセグメント)としての重合体ブロックとを含む。
前記のブロック共重合体としては、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体が好ましい。ここで、芳香族ビニル化合物−共役ジエンブロック共重合体とは、芳香族ビニル化合物単位を主成分とする重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物単位を主成分とする重合体ブロック[B]とを有するブロック共重合体のことをいう。また、芳香族ビニル化合物単位とは、芳香族ビニル化合物を重合して形成される構造を有する構造単位のことをいう。さらに、鎖状共役ジエン化合物単位とは、鎖状共役ジエン化合物を重合して形成される構造を有する構造単位のことをいう。これらのブロック共重合体及びその水素化物は、例えばアルコキシシラン、カルボン酸、カルボン酸無水物等で変性されていていてもよい。
中でも、エラストマーとしては、芳香族ビニル化合物単位を主成分とする、共重合体1分子あたり2個以上の重合体ブロック[A]と、鎖状共役ジエン化合物単位を主成分とする、共重合体1分子あたり1個以上の重合体ブロック[B]とを有する特定のブロック共重合体を水素化した水素化物が好ましい。
・特定のブロック共重合体
特定のブロック共重合体が有する重合体ブロック[A]は、芳香族ビニル化合物単位を有する。この重合体ブロック[A]が有する芳香族ビニル化合物単位に対応する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、5−t−ブチル−2−メチルスチレン、4−モノクロロスチレン、ジクロロスチレン、4−モノフルオロスチレン、4−フェニルスチレンなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。中でも、水分の浸入を抑制する観点から、極性基を含有しないものが好ましい。更に、工業的入手のし易さ、耐衝撃性の観点から、スチレンが特に好ましい。
重合体ブロック[A]における芳香族ビニル化合物単位の含有率は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、特に好ましくは99重量%以上である。重合体ブロック[A]において芳香族ビニル化合物単位の量を前記のように多くすることにより、封止剤の耐熱性を高めることができる。
重合体ブロック[A]は、芳香族ビニル化合物単位以外に、任意の構造単位を含んでいてもよい。任意の構造単位としては、例えば、鎖状共役ジエン化合物単位、芳香族ビニル化合物以外のビニル化合物を重合して形成される構造を有する構造単位、などが挙げられる。
鎖状共役ジエン化合物単位に対応する鎖状共役ジエン化合物としては、例えば、重合体ブロック[B]が有する鎖状共役ジエン化合物単位に対応する鎖状共役ジエン化合物の例として挙げるものと同様の例が挙げられる。また、鎖状共役ジエン化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
芳香族ビニル化合物以外のビニル化合物としては、例えば、鎖状ビニル化合物;環状ビニル化合物;ニトリル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシカルボニル基、又はハロゲン基を有するビニル化合物;不飽和の環状酸無水物;不飽和イミド化合物などが挙げられる。中でも、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−エイコセン、4−メチル−1−ペンテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン等の鎖状オレフィン;ビニルシクロヘキサン等の環状オレフィン;などの、極性基を含有しないものが、水分の浸入を抑制する観点で、好ましい。その中でも、鎖状オレフィンがより好ましく、エチレン及びプロピレンが特に好ましい。また、これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合体ブロック[A]における任意の構造単位の含有率は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
ブロック共重合体1分子における重合体ブロック[A]の数は、好ましくは2個以上であり、好ましくは5個以下、より好ましくは4個以下、特に好ましくは3個以下である。1分子中に複数個ある重合体ブロック[A]は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
1分子のブロック共重合体に、異なる重合体ブロック[A]が複数存在する場合、重合体ブロック[A]の中で、重量平均分子量が最大の重合体ブロックの重量平均分子量をMw(A1)とし、重量平均分子量が最小の重合体ブロックの重量平均分子量をMw(A2)とする。このとき、Mw(A1)とMw(A2)との比「Mw(A1)/Mw(A2)」は、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.2以下である。これにより、各種物性値のばらつきを小さく抑えることができる。
他方、ブロック共重合体が有する重合体ブロック[B]は、鎖状共役ジエン化合物単位を有する。この重合体ブロック[B]が有する鎖状共役ジエン化合物単位に対応する鎖状共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。中でも、水分の浸入を抑制する観点で、極性基を含有しないものが好ましく、1,3−ブタジエン及びイソプレンが特に好ましい。
重合体ブロック[B]における鎖状共役ジエン化合物単位の含有率は、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、特に好ましくは99重量%以上である。重合体ブロック[B]において鎖状共役ジエン化合物単位の量を前記のように多くすることにより、封止剤の低温での耐衝撃性を向上させることができる。
重合体ブロック[B]は、鎖状共役ジエン化合物単位以外に、任意の構造単位を含んでいてもよい。任意の構造単位としては、例えば、芳香族ビニル化合物単位、並びに、芳香族ビニル化合物以外のビニル化合物を重合して形成される構造を有する構造単位などが挙げられる。これらの芳香族ビニル化合物単位、並びに、芳香族ビニル化合物以外のビニル化合物を重合して形成される構造を有する構造単位としては、例えば、重合体ブロック[A]に含まれていてもよいものとして例示したものが挙げられる。
重合体ブロック[B]における任意の構造単位の含有率は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。特に、重合体ブロック[B]における芳香族ビニル化合物単位の含有率を低くすることにより、封止剤の低温での柔軟性を向上させて、封止剤の低温での耐衝撃性を向上させることができる。
ブロック共重合体1分子における重合体ブロック[B]の数は、通常1個以上であるが、2個以上であってもよい。ブロック共重合体における重合体ブロック[B]の数が2個以上である場合、重合体ブロック[B]は、互いに同じでもよく、異なっていてもよい。
また、1分子のブロック共重合体に、異なる重合体ブロック[B]が複数存在する場合、重合体ブロック[B]の中で、重量平均分子量が最大の重合体ブロックの重量平均分子量をMw(B1)とし、重量平均分子量が最小の重合体ブロックの重量平均分子量をMw(B2)とする。このとき、Mw(B1)とMw(B2)との比「Mw(B1)/Mw(B2)」は、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.2以下である。これにより、各種物性値のばらつきを小さく抑えることができる。
ブロック共重合体のブロックの形態は、鎖状型ブロックでもよく、ラジアル型ブロックでもよい。中でも、鎖状型ブロックが、機械的強度に優れ、好ましい。
ブロック共重合体が鎖状型ブロックの形態を有する場合、その両端が重合体ブロック[A]であることが、エラストマー樹脂のベタツキを所望の低い値に抑えることができるので、好ましい。
ブロック共重合体の特に好ましいブロックの形態は、[A]−[B]−[A]で表されるように、重合体ブロック[B]の両端に重合体ブロック[A]が結合したトリブロック共重合体;[A]−[B]−[A]−[B]−[A]で表されるように、重合体ブロック[A]の両端に重合体ブロック[B]が結合し、更に該両重合体ブロック[B]の他端にそれぞれ重合体ブロック[A]が結合したペンタブロック共重合体;である。特に、[A]−[B]−[A]のトリブロック共重合体であることが、製造が容易であり且つ粘度等の物性を所望の範囲とすることができるため、特に好ましい。
ブロック共重合体において、全重合体ブロック[A]がブロック共重合体全体に占める重量分率wAと、全重合体ブロック[B]がブロック共重合体全体に占める重量分率wBとの比(wA/wB)は、好ましくは20/80以上、より好ましくは30/70以上であり、好ましくは60/40以下、より好ましくは55/45以下である。前記の比wA/wBを前記範囲の下限値以上にすることにより、封止剤の耐熱性を向上させることができる。また、上限値以下にすることにより、封止剤の柔軟性を高めて、封止剤層の封止能力を安定して良好に維持することができる。さらに、ブロック共重合体のガラス転移温度を下げることで封止温度を下げられるので、有機EL素子の熱劣化を抑制することができる。
前記のブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは30,000以上、より好ましくは40,000以上、特に好ましくは50,000以上であり、好ましくは200,000以下、より好ましくは150,000以下、特に好ましくは100,000以下である。
また、ブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、特に好ましくは1.5以下であり、好ましくは1.0以上である。ここで、Mnは、数平均分子量を表す。
前記ブロック共重合体の重量平均分子量及び分子量分布は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算の値として測定しうる。
ブロック共重合体の製造方法の例としては、例えば3つの重合体ブロックを有するブロック共重合体を製造する場合、下記の製造方法1及び2が挙げられる。ここで、「モノマー組成物」と称する材料は、2種類以上の物質の混合物のみならず、単一の物質からなる材料をも包含する。
(製造方法1) 芳香族ビニル化合物を含有するモノマー組成物(a1)を重合させて重合体ブロック[A]を形成する第一工程と、
かかる重合体ブロック[A]の一端において、鎖状共役ジエン化合物を含有するモノマー組成物(b1)を重合させて重合体ブロック[B]を形成し、[A]−[B]のジブロックの重合体を形成する第二工程と、
かかるジブロックの重合体の、ブロック[B]側の末端において、芳香族ビニル化合物を含有するモノマー組成物(a2)を重合させて、ブロック共重合体を得る第3工程とを有する方法。ただし、モノマー組成物(a1)とモノマー組成物(a2)とは、同一でも異なっていてもよい。
(製造方法2) 芳香族ビニル化合物を含有するモノマー組成物(a1)を重合させて重合体ブロック[A]を形成する第一工程と、
かかる重合体ブロック[A]の一端において、鎖状共役ジエン化合物を含有するモノマー組成物(b1)を重合させて重合体ブロック[B]を形成し、[A]−[B]のジブロックの重合体を形成する第二工程と、
かかるジブロックの重合体の、重合体ブロック[B]側の末端同士を、カップリング剤によりカップリングさせて、ブロック共重合体を得る第3工程とを有する方法。
モノマー組成物を重合してそれぞれの重合体ブロックを得る方法としては、例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位アニオン重合、配位カチオン重合などを用いうる。重合操作及び後工程での水素化反応を容易にする観点では、ラジカル重合、アニオン重合及びカチオン重合などを、リビング重合により行う方法が好ましく、リビングアニオン重合により行う方法が特に好ましい。
前記のモノマー組成物の重合は、重合開始剤の存在下で、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上、特に好ましくは20℃以上、また、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下、特に好ましくは70℃以下の温度範囲において行いうる。
リビングアニオン重合を行う場合は、重合開始剤として、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム等のモノ有機リチウム;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン等の多官能性有機リチウム化合物;などを用いうる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合反応の形態は、例えば溶液重合及びスラリー重合などを用いうる。中でも、溶液重合を用いると、反応熱の除去が容易である。
溶液重合を行う場合、溶媒としては、各工程で得られる重合体が溶解しうる不活性溶媒を用いうる。不活性溶媒としては、例えば、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。中でも、溶媒として脂環式炭化水素類を用いると、水素化反応にも不活性な溶媒としてそのまま使用でき、ブロック共重合体の溶解性も良好であるため、好ましい。溶媒の使用量は、全使用モノマー100重量部に対して、好ましくは200重量部〜2000重量部である。
それぞれのモノマー組成物が2種以上のモノマーを含む場合、ある1成分の連鎖だけが長くなるのを防止するために、例えばランダマイザーを使用しうる。特に重合反応をアニオン重合により行う場合には、例えばルイス塩基化合物等をランダマイザーとして使用することが好ましい。ルイス塩基化合物としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルフェニルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシド等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物;などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
・特定のブロック共重合体の水素化物
エラストマーとしては、上述の特定のブロック共重合体の水素化物を用いることが好ましい。特定のブロック共重合体を水素化して用いることにより、封止剤からのアウトガスの発生量を更に少なくできる。
このブロック共重合体の水素化物は、前述した特定のブロック共重合体の不飽和結合を水素化して得られるものである。ここで、ブロック共重合体の不飽和結合には、ブロック共重合体の主鎖及び側鎖の、芳香族性及び非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合をいずれも含む。水素化率は、ブロック共重合体の全不飽和結合の、好ましくは90%以上、より好ましくは97%以上、特に好ましくは99%以上である。水素化率が高いほど、封止剤の耐熱性及び耐光性を良好にできる。ここで、水素化物の水素化率は、H−NMRによる測定により求めうる。
特に、非芳香族性の不飽和結合の水素化率は、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上である。非芳香族性の炭素−炭素不飽和結合の水素化率を高めることにより、封止剤の耐光性及び耐酸化性を更に高くできる。
また、芳香族性の炭素−炭素不飽和結合の水素化率は、好ましくは90%以上、より好ましくは93%以上、特に好ましくは95%以上である。芳香環の炭素−炭素不飽和結合の水素化率を高めることにより、重合体ブロック[A]を水素化して得られる重合体ブロックのガラス転移温度が高くなるので、封止剤の耐熱性を効果的に高めることができる。さらに、封止剤の光弾性係数を下げて、封止時の意図しないレターデーションの発現を抑制できる。
ブロック共重合体の水素化物の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは30,000以上、より好ましくは40,000以上、特に好ましくは45,000以上であり、好ましくは200,000以下、より好ましくは150,000以下、特に好ましくは100,000以下である。また、ブロック共重合体の水素化物の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、特に好ましくは1.5以下であり、好ましくは1.0以上である。ブロック共重合体の水素化物の重量平均分子量Mw及び分子量分布Mw/Mnを前記の範囲に収めることにより、封止剤の機械強度及び耐熱性を向上させることができる。前記ブロック共重合体の水素化物の重量平均分子量及び分子量分布は、テトラヒドロフランを溶媒としたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算の値で測定しうる。
ブロック共重合体の水素化物における、全重合体ブロック[A]がブロック共重合体全体に占める重量分率wAと、全重合体ブロック[B]がブロック共重合体全体に占める重量分率wBとの比(wA/wB)は、通常、水素化する前のブロック共重合体における比wA/wBと同様の値となる。
さらに、ブロック共重合体の水素化物は、その分子構造にアルコキシシリル基を有することが好ましい。このアルコキシシリル基を有するブロック共重合体の水素化物は、例えば、アルコキシシリル基を有さないブロック共重合体の水素化物に、アルコキシシリル基を結合させることにより得られる。この際、ブロック共重合体の水素化物にアルコキシシリル基を直接結合させてもよく、例えばアルキレン基などの2価の有機基を介して結合させてもよい。
アルコキシシリル基を有するブロック共重合体の水素化物は、ガラス、無機物、金属などの材料との接着性に特に優れる。そのため、封止剤層によって有機EL素子を封止する場合に、封止剤層と有機EL素子との接着性を特に高くできる。したがって、高温高湿環境に長時間暴露された後も、封止剤層が十分な接着力を維持することができる。
アルコキシシリル基の導入量は、アルコキシシリル基の導入前のブロック共重合体の水素化物100重量部に対し、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、特に好ましくは0.3重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下、特に好ましくは3重量部以下である。アルコキシシリル基の導入量を前記範囲に収めると、水分等で分解されたアルコキシシリル基同士の架橋度が過剰に高くなることを防止できるので、封止剤層の接着性を高く維持することができる。
アルコキシシリル基の導入量は、H−NMRスペクトルにて計測しうる。また、アルコキシシリル基の導入量の計測の際、導入量が少ない場合は、積算回数を増やして計測しうる。
アルコキシシリル基を有するブロック共重合体の水素化物の分子量は、導入されるアルコキシシリル基の量が少ないため、通常は、アルコキシシリル基を導入する前のブロック共重合体の水素化物の分子量から大きく変化しない。ただし、アルコキシシリル基を導入する際には過酸化物の存在下でブロック共重合体の水素化物を変性反応させるので、その水素化物の架橋反応及び切断反応が進行し、分子量分布は大きく変化する傾向がある。アルコキシシリル基を有するブロック共重合体の水素化物の重量平均分子量は、好ましくは30,000以上、より好ましくは40,000以上、特に好ましくは50,000以上であり、好ましくは200,000以下、より好ましくは150,000以下、特に好ましくは120,000以下である。また、アルコキシシリル基を有するブロック共重合体の水素化物の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3.5以下、より好ましくは2.5以下、特に好ましくは2.0以下であり、好ましくは1.0以上である。アルコキシシリル基を有するブロック共重合体の水素化物の重量平均分子量Mw及び分子量分布Mw/Mnがこの範囲であると、封止剤層の良好な機械強度及び引張り伸びが維持できる。前記のアルコキシシリル基を有するブロック共重合体の水素化物の重量平均分子量及び分子量分布は、テトラヒドロフランを溶媒としたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによって、ポリスチレン換算の値として測定しうる。
前述したようなブロック共重合体の水素化物の製造方法は、通常、前述した特定のブロック共重合体を水素化することを含む。水素化方法としては、水素化率を高くでき、ブロック共重合体の鎖切断反応の少ない水素化方法が好ましい。このような好ましい水素化方法としては、例えば、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、及びレニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む水素化触媒を用いて水素化を行う方法が挙げられる。水素化触媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。水素化触媒は、不均一系触媒、均一系触媒のいずれも使用可能である。また、水素化反応は、有機溶媒中で行うのが好ましい。
不均一系触媒は、例えば、金属又は金属化合物のままで用いてもよく、適切な担体に担持して用いてもよい。担体としては、例えば、活性炭、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、チタニア、マグネシア、ジルコニア、ケイソウ土、炭化ケイ素、フッ化カルシウムなどが挙げられる。触媒の担持量は、触媒及び担体の合計量に対して、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上であり、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。また、担持型触媒の比表面積は、好ましくは100m/g〜500m/gである。さらに、担持型触媒の平均細孔径は、好ましくは100Å以上、より好ましくは200Å以上であり、好ましくは1000Å以下、好ましくは500Å以下である。ここで、比表面積は、窒素吸着量を測定しBET式を用いて求めうる。また、平均細孔径は、水銀圧入法により測定しうる。
均一系触媒としては、例えば、ニッケル、コバルト、チタン又は鉄の化合物と有機金属化合物とを組み合わせた触媒;ロジウム、パラジウム、白金、ルテニウム、レニウム等の有機金属錯体触媒;などを用いることができる。
ニッケル、コバルト、チタン又は鉄の化合物としては、例えば、各金属のアセチルアセトナト化合物、カルボン酸塩、シクロペンタジエニル化合物等が挙げられる。
また、有機金属化合物としては、例えば、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド等のハロゲン化アルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等の水素化アルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物;並びに有機リチウム化合物などが挙げられる。
有機金属錯体触媒としては、例えば、ジヒドリド−テトラキス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジヒドリド−テトラキス(トリフェニルホスフィン)鉄、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル等の遷移金属錯体が挙げられる。
水素化触媒の使用量は、ブロック共重合体100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、特に好ましくは0.1重量部以上であり、好ましくは100重量部以下、より好ましくは50重量部以下、特に好ましくは30重量部以下である。
水素化反応の温度は、好ましくは10℃以上、より好ましくは50℃以上、特に好ましくは80℃以上であり、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、特に好ましくは180℃以下である。このような温度範囲で水素化反応を行なうことにより、水素化率を高くでき、また、ブロック共重合体の分子切断を少なくできる。
また、水素化反応時の水素圧力は、好ましくは0.1MPa以上、より好ましくは1MPa以上、特に好ましくは2MPa以上であり、好ましくは30MPa以下、より好ましくは20MPa以下、特に好ましくは10MPa以下である。このような水素圧力で水素化反応を行なうことにより、水素化率を高くでき、ブロック共重合体の分子鎖切断を少なくでき、操作性が良好となる。
前記のようにブロック共重合体を水素化することにより、ブロック共重合体の水素化物が生成物として得られる。この水素化反応後の生成物は、そのまま封止剤を製造するために用いてもよい。また、水素化反応後の生成物に対し、必要に応じてさらに任意の処理を施してから、封止剤を製造するために用いてもよい。例えば、水素化反応後の生成物に対し、必要に応じてアルコキシシリル基を導入する処理を行ってもよい。
ブロック共重合体の水素化物にアルコキシシリル基を導入する方法としては、例えば、アルコキシシリル基を導入する前のブロック共重合体の水素化物と、エチレン性不飽和シラン化合物とを、過酸化物の存在下で反応させる方法を用いうる。
エチレン性不飽和シラン化合物としては、ブロック共重合体の水素化物とグラフト重合でき、ブロック共重合体の水素化物にアルコキシシリル基を導入できるものを用いうる。このようなエチレン性不飽和シラン化合物の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、及び2−ノルボルネン−5−イルトリメトキシシランなどが挙げられる。中でも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、p−スチリルトリメトキシシランが好ましい。また、エチレン性不飽和シラン化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
エチレン性不飽和シラン化合物の量は、アルコキシシリル基を導入する前のブロック共重合体の水素化物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、特に好ましくは0.3重量部以上であり、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下、特に好ましくは3重量部以下である。
過酸化物としては、例えば、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシヘキサン)、ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ラウロイルパーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、p−メンタンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。中でも、1分間半減期温度が170℃〜190℃のものが好ましく、例えば、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシヘキサン)、ジ−t−ブチルパーオキシドなどが好ましい。また、過酸化物は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
過酸化物の量は、アルコキシシリル基を導入する前のブロック共重合体の水素化物100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、特に好ましくは0.3重量部以上であり、好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下、特に好ましくは2重量部以下である。
上記のブロック共重合体の水素化物とエチレン性不飽和シラン化合物とを過酸化物の存在下で反応させる方法は、例えば、加熱混練機及び反応器を用いて行いうる。具体例を挙げると、ブロック共重合体の水素化物とエチレン性不飽和シラン化合物と過酸化物との混合物を、二軸混練機にて、ブロック共重合体の水素化物の溶融温度以上で加熱溶融させて、所望の時間混練することにより、ブロック共重合体の水素化物にアルコキシシリル基を導入することができる。混練時の具体的な温度は、好ましくは180℃以上、より好ましくは190℃以上、特に好ましくは200℃以上であり、好ましくは240℃以下、より好ましくは230℃以下、特に好ましくは220℃以下である。また、混練時間は、好ましくは0.1分以上、より好ましくは0.2分以上、特に好ましくは0.3分以上であり、好ましくは15分以下、より好ましくは10分以下、特に好ましくは5分以下である。二軸混練機、単軸押出し機などの連続混練設備を使用する場合は、滞留時間が上記範囲になるようにして、連続的に混練及び押出しを行いうる。
ところで、上述した方法で得られるブロック共重合体の水素化物は、通常、ブロック共重合体の水素化物、水素化触媒及び重合触媒を含む反応液として得られる。そこで、ブロック共重合体の水素化物は、この反応液から例えば濾過及び遠心分離等の方法によって水素化触媒及び重合触媒を除去した後に、反応液から回収されうる。反応液からブロック共重合体の水素化物を回収する方法としては、例えば、ブロック共重合体の水素化物が溶解した溶液からスチームストリッピングにより溶媒を除去するスチーム凝固法;減圧加熱下で溶媒を除去する直接脱溶媒法;ブロック共重合体の水素化物の貧溶媒中に溶液を注いでブロック共重合体の水素化物を析出及び凝固させる凝固法;などが挙げられる。
回収されたブロック共重合体の水素化物の形態は、その後の成形加工又は変性反応に供し易いように、ペレット形状とすることが好ましい。例えば、直接脱溶媒法により反応液からブロック共重合体の水素化物を回収した場合、溶融状態の水素化物をダイスからストランド状に押し出し、冷却後、ペレタイザーでカッティングしてペレット状にして、各種の成形に供してもよい。また、凝固法を用いる場合は、例えば、得られた凝固物を乾燥した後、押出機により溶融状態で押し出し、上記と同様にペレット状にして各種の成形に供してもよい。
(3.1.2.任意の成分)
封止剤が重合体と組み合わせて含みうる任意の成分としては、例えば、金属化合物が挙げられる。ここで、金属化合物が含む金属には、半金属を含む。金属化合物として、無機金属化合物を用いてもよく、有機金属化合物を用いてもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。中でも、金属化合物としては、水分捕捉剤として機能しうるものが好ましい。封止剤が水分捕捉剤を含むことにより、水分による有機EL素子の劣化を効果的に抑制できる。
水分捕捉剤として機能しうる金属化合物としては、例えば、酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化ストロンチウム(SrO)等の無機金属酸化物;特開2005−298598号公報に記載の有機金属化合物;などが挙げられる。また、潮解性を有する蛍光体は水分捕捉剤として機能しうるので、このような蛍光体を金属化合物として用いてもよい。さらに、例えば、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ等の、水分を物理的に吸着しうる金属化合物を用いてもよい。金属化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
金属化合物は、通常、粒子として封止剤に含まれる。金属化合物の粒子の径は、封止剤層に求められる透明性に応じて設定しうる。例えば、封止剤層が透明であることを求められる場合、金属化合物の粒子の数平均粒子径は、好ましくは100nm以下である。また、例えば、封止剤層が透明でなくてもよい場合、金属化合物の粒子の数平均粒子径は、封止剤層の厚みの1/10以下にしうる。
金属化合物の量は、封止剤中の重合体100重量部に対して、好ましくは5重量部以上、より好ましくは10重量部以上、特に好ましくは20重量部以上であり、好ましくは90重量部以下、より好ましくは80重量部以下、特に好ましくは70重量部以下である。金属化合物の量を、前記範囲の下限値以上にすることにより十分な水分補足性能が得られ、前記範囲の上限値以下にすることにより有機EL素子と封止剤層との接着性を高めることができる。
任意の成分としては、例えば、封止剤のガラス転移温度及び弾性率を調整するための可塑剤が挙げられる。可塑剤としては、例えば、ポリイソブテン、水素化ポリイソブテン、水素化ポリイソプレン、水素化1,3−ペンタジエン系石油樹脂、水素化シクロペンタジエン系石油樹脂、水素化スチレン・インデン系石油樹脂などが挙げられる。また、可塑剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
可塑剤の量は、封止剤100重量部に対して、好ましくは40重量部以下であり、樹脂特性を調整する目的に合わせて適宜選択される。
任意の成分としては、例えば、封止剤の耐候性及び耐熱性を向上させるための光安定剤が挙げられる。光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく、中でも当該光安定剤の分子構造中に3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル基、2,2,6,6−テトラメチルピペリジル基、又は、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル基を有している化合物が特に好ましい。
これらの中でも、耐候性に優れる点で、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−N−メチルピペリジル)−N,N’−ジホルミル−アルキレンジアミン類、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ジホルミルアルキレンジアミン類、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ビスアルキレン脂肪酸アミド類、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕が好ましく、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N,N’−ジホルミルアルキレンジアミン類、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,6−ヘキサンジアミンと2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとの重合体とN−ブチル−1−ブタンアミンとN−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミンとの反応生成物が特に好ましい。また、光安定剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
光安定剤の量は、封止剤中の重合体100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.02重量部以上、特に好ましくは0.03重量部以上であり、好ましくは5重量部以下、より好ましくは2重量部以下、特に好ましくは1重量部以下である。光安定剤の量を前記範囲の下限値以上とすることにより、封止剤の耐候性を高くできる。また、上限値以下とすることにより、封止剤を成形して封止剤層を製造する際に、押出し機のTダイ及び冷却ロールの汚れを防止でき、加工性を高めることができる。
任意の成分としては、例えば、紫外線吸収剤が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などが挙げられる。
紫外線吸収剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
紫外線吸収剤の量は、封止剤中の重合体100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.02重量部以上、特に好ましくは0.04重量部以上であり、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.75重量部以下、特に好ましくは0.5重量部以下である。紫外線吸収剤を前記範囲の下限値以上用いることにより、封止剤の耐光性を改善することができ、上限を超えて過剰に用いても、更なる改善は得られ難い。
任意の成分としては、例えば、酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、リン系酸化防止剤、フェノ−ル系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などが挙げられ、着色がより少ないリン系酸化防止剤が好ましい。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなどのモノホスファイト系化合物;4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルホスファイト)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(フェニル−ジ−アルキル(C12〜C15)ホスファイト)などのジホスファイト系化合物;6−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ〕−2,4,8,10−テトラキス−t−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1.3.2〕ジオキサフォスフェピン、6−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ〕−2,4,8,10−テトラキス−t−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1.3.2〕ジオキサフォスフェピンなどの化合物を挙げることができる。
酸化防止剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤の量は、封止剤中の重合体100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上、特に好ましくは0.1重量部以上であり、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下、特に好ましくは0.3重量部以下である。酸化防止剤を前記範囲の下限値以上用いることにより、封止剤の熱安定性を改善することができ、上限を超えて過剰に用いても、更なる改善は得られ難い。
さらに、上述した以外の任意の成分としては、例えば、滑剤及び無機フィラー等が挙げられる。これらの任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合体と任意の成分とを混合して封止剤を得る方法は、例えば、任意の成分を適切な溶媒に溶解して重合体の溶液と混合した後、溶媒を除去して所望の封止剤を回収する方法;二軸混錬機、ロール、ブラベンダー、押出機等の混練機で、重合体を溶融状態にして任意の成分と混練する方法;などが挙げられる。
(3.1.3.封止剤の物性)
封止剤は、透明であることが好ましい。このような透明の封止剤を用いることにより、有機EL素子が発する光が通る部位に封止剤層を設けることができる。ここで、透明な封止剤とは、当該封止剤を厚み1mmの試験片として測定した全光線透過率が、通常70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上であるものを言う。また、全光線透過率は、紫外・可視分光計を用いて、波長400nm〜700nmの範囲で測定しうる。
封止剤のガラス転移温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上、特に好ましくは70℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、特に好ましくは160℃以下である。ブロック共重合体を含む封止剤を用いた場合、その封止剤が複数のガラス転移温度を有する場合がありえる。その場合、封止剤の最も高いガラス転移温度が、前記の範囲に収まることが好ましい。封止剤のガラス転移温度を前記の範囲に収めることにより、封止剤の接着性と封止後の有機EL素子の性能維持のバランスを取ることができる。
〔3.2.封止剤層の物性及び厚み〕
封止剤層の透明性は、特に限定されない。ただし、封止剤層を、光を透過することが求められる部分に用いうる有用なものとするという観点では、封止剤層の透明性は高いことが好ましい。この場合、封止剤層の全光線透過率は、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。
封止剤層のヘイズは、特に限定されない。ただし、封止剤層を、光を拡散させることを特段意図しない光学的用途に用いる場合、ヘイズは一般的には低い方が好ましい。この場合、封止剤層のヘイズは、好ましくは3.0%以下、より好ましくは1.0%以下である。ヘイズは、JIS K 7136に準拠して、封止剤層を50mm×50mmに切り出したフィルム片を用いて測定しうる。
封止剤層は、当該封止剤層を他の部材と貼り合せる際に、その部材との接着性に優れることが好ましい。特に、封止剤層は、有機ELパネルにおいて、電極のように、無機物からなる部位に接触することが多いので、無機物と十分に高い接着性を有することが好ましい。例えば、封止剤層をガラス板に直接に貼り合わせた場合に、そのガラス板から封止剤層を剥がすために要する剥離強度は、好ましくは5N/cm以上、より好ましくは10N/cm以上である。前記の剥離強度の上限に特に制限は無いが、好ましくは200N/cm以下である。
封止剤層の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、更に好ましくは17μm以上、特に好ましくは20μm以上であり、好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは150μm以下、特に好ましくは100μm以下である。封止剤層の厚みが前記範囲の下限値以上であると、封止剤層の製造が容易である。また、この程度の厚みがあれば、封止剤層が十分な封止機能を発揮でき、さらに、仮に封止剤層に小さい異物が混入しても、その異物により封止剤層の厚みが不均一となることを抑制できる。また、封止剤層の厚みが上限値以下であれば、有機ELパネルの撓みを抑制でき、更には有機ELパネルの厚みを薄くできる。
〔3.3.封止剤層の製造方法〕
封止剤層の製造方法に制限は無い。例えば、フィルム状の封止剤層を製造する場合、封止剤を所望の形状に成形することにより、封止剤層が得られる。封止剤の成形方法としては、例えば、溶融成形法、溶液流延法などを用いうる。溶融成形法は、さらに詳細には、押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの方法の中でも、機械強度及び表面精度に優れた封止剤層を得るために、押出成形法、インフレーション成形法及びプレス成形法が好ましく、中でも効率よく簡単に封止剤層を製造できる観点から、押出成形法が特に好ましい。
[4.封止基材]
封止基材としては、通常、フィルムを用いる。このような封止基材は、1層のみを備える単層構造を有していてもよく、2層以上を備える複層構造を有していてもよい。中でも、封止基材としては、基材フィルム層及びバリア層を備える複層構造のフィルムが好ましい。
基材フィルム層としては、通常、樹脂フィルムを用いる。中でも、封止基材を有機ELパネルにおいて光を透過することが求められる部分に用いうる有用なものとするという観点から、透明な樹脂を用いることが好ましい。
基材フィルム層を形成する樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、及び電子線硬化性樹脂のいずれも用いうる。中でも、加工が容易であるので、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂の例としては、ポリエステル樹脂、ポリアクリレート樹脂、及びオレフィン樹脂などが挙げられる。
なかでも、基材フィルム層としては、脂環式オレフィン樹脂からなるフィルムを用いることが好ましい。脂環式オレフィン樹脂とは、脂環式オレフィン重合体と、必要に応じてその他の任意の成分とを含有する樹脂である。脂環式オレフィン樹脂は吸湿性が低く、機械的強度に優れる。また、脂環式オレフィン樹脂は、バリア層を形成する際の蒸着及びスパッタリング等の工程におけるアウトガスの放出量が少ない。そのため、基材フィルム層として脂環式オレフィン樹脂からなるフィルムを用いることにより、封止基材の封止能力を高めることができる。特に、脂環式オレフィン樹脂を溶融押し出しして製造した基材フィルム層は、表面の平滑性が良好で、バリア層のクラックの原因となりうる表面の突起が小さいので、高い封止能力を発揮できるバリア層を得るためにバリア層の厚みを厚くする必要がなく、生産性および可撓性に優れている。
脂環式オレフィン樹脂としては、例えば、ノルボルネン系樹脂、単環の環状オレフィン樹脂、環状共役ジエン樹脂、ビニル脂環式炭化水素樹脂等が挙げられる。これらの中で、ノルボルネン系樹脂は、透明性と成形性が良好なため、好適に用いることができる。
基材フィルム層を形成する樹脂は、高いガラス転移温度を有することが好ましい。基材フィルム層を形成する樹脂の具体的なガラス転移温度は、好ましくは110℃以上、より好ましくは130℃以上、特に好ましくは160℃以上である。高いガラス転移温度を有する樹脂は、温度変化による熱収縮を生じ難いので、高温環境における封止基材の封止能力の低下を抑制することができる。基材フィルム層を形成する樹脂のガラス転移温度の上限に特に制限は無いが、好ましくは300℃以下である。
基材フィルム層は、1層からなる単層構造の層であってもよく、2層以上を備える複層構造の層であってもよい。
基材フィルム層の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは30μm以上であり、好ましくは500μm以下、より好ましくは250μm以下である。このような厚みを有する基材フィルム層は、機械的強度及び封止能力の両方にバランスよく優れる。
基材フィルム層の製造方法は、任意である。例えば、熱可塑性樹脂から基材フィルム層を製造する場合は、溶融成形法、溶液流延法などによって樹脂をフィルム状に成形することにより、基材フィルム層を製造しうる。溶融成形法は、さらに詳細には、例えば、押出成形法、プレス成形法、インフレーション成形法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの方法の中でも、機械強度及び表面精度に優れた基材フィルム層を得るためには、押出成形法、インフレーション成形法又はプレス成形法が好ましい。中でも効率良く簡単に基材フィルム層を製造するためには、押出成形法が特に好ましい。また、基材フィルム層を製造する際には、フィルムを延伸する延伸工程を行ってもよい。
バリア層は、水又は酸素を遮断しうる層である。通常、バリア層は無機材料によって形成される。無機材料の好ましい例を挙げると、金属(半金属を含む);金属酸化物、金属窒化物及び金属酸化窒化物等の金属化合物;DLC(ダイヤモンドライクカーボン)などが挙げられる。前記の金属としては、アルミニウム、ケイ素等が挙げられる。これらの無機材料の中でも、透明性の点では、ケイ素の酸化物、窒化物及び窒化酸化物等の、少なくともケイ素を含有する材料が特に好ましい。
ケイ素の酸化物としては、例えば、SiOが挙げられる。ここでxは、バリア層の透明性及び封止能力を両立させる観点から、好ましくは1.4より大きく、より好ましくは1.5より大きく、また、好ましくは2.0より小さく、より好ましくは1.9より小さい数である。また、ケイ素の酸化物としては、SiOCも挙げることができる。
ケイ素の窒化物としては、例えば、SiNが挙げられる。ここでyは、バリア層の透明性及び封止能力を両立させる観点から、好ましくは0.5より大きく、より好ましくは1.2より大きく、また、好ましくは1.5より小さい数である。
ケイ素の窒化酸化物としては、例えば、SiOが挙げられる。ここで、バリア層の密着性の向上を重視する場合には、1<p<2.0、0<q<1.0として、バリア層を酸素リッチの膜とすることが好ましい。また、バリア層の封止能力の向上を重視する場合には、0<p<0.8、0.8<q<1.3として、バリア層を窒素リッチの膜とすることが好ましい。
アルミニウムの酸化物、窒化物及び窒化酸化物としては、例えば、AlO、AlN、及びAlOを挙げることができる。
これらの中でも、封止能力を高める観点からは、SiO及びAlOが好ましい。
また、無機材料は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
バリア層の厚みは、好ましくは3nm以上、より好ましくは10nm以上、特に好ましくは100nm以上であり、好ましくは2500nm以下、より好ましくは2000nm以下、特に好ましくは1000nm以下である。バリア層の厚みを前記範囲の下限値以上にすることにより、高い封止能力を得ることができる。また、上限値以下にすることにより、十分な封止能力を維持しながら封止基材の着色を抑制できる。
バリア層の形成方法は任意である。例えば、無機材料によってバリア層を形成する場合、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト蒸着法、アーク放電プラズマ蒸着法、熱CVD法、プラズマCVD法等の形成方法を用いうる。中でも、アーク放電プラズマ蒸着法を用いると、適度なエネルギーを有する蒸発粒子が生成され、高密度の膜を形成することができる。また、熱CVD法及びプラズマCVD法等の化学気相成長法を用いると、膜の形成に用いるガス成分を調整することにより可撓性のあるバリア層を形成できるので、バリア層のクラックを効果的に抑制できる。さらに、複数種類の成分を含むバリア層を形成する場合には、それらの成分を同時に蒸着又はスパッタリングしてもよい。
さらに、封止基材は、前記の基材フィルム層及びバリア層に組み合わせて、任意の層を備えうる。任意の層としては、例えば、ブロッキング防止層、帯電防止層、ハードコート層、導電性付与層、汚染防止層、凹凸構造層などが挙げられる。
[5.乾燥工程]
本実施形態に係る有機ELパネルの製造方法は、有機EL素子と封止剤層とを貼り合わせる工程の前に、封止剤層を所定の乾燥温度で加熱して、乾燥する工程を含む。このような封止剤層の加熱は、封止剤層と封止基材とを貼り合わせる工程の前に行ってもよく、封止剤層と封止基材とを貼り合わせる工程の後に行ってもよい。前記の乾燥温度は、通常90℃以上、好ましくは95℃以上、より好ましくは100℃以上である。有機EL素子と貼り合わせる前に封止剤層をこのような乾燥温度で加熱することにより、封止直後の有機ELパネルでのダークスポットの発生、及び、高温高湿環境における有機ELパネルでの封止剤の発泡を、抑制できる。このような効果が得られる理由は、下記のように推察される。ただし、本発明の技術的範囲は、下記の推察によって制限されない。
本発明者の検討によれば、従来の有機ELパネルにおいて発生していた封止直後のダークスポットは、封止剤層に含まれていた水分が有機EL素子の有機材料にダメージを与えていたことが一因であったことが判明している。これに対し、封止剤層を前記の乾燥温度で加熱することにより、封止剤層から水分を除去できる。そのため、このように水分を除去された封止剤層は、有機EL素子と貼り合わせた時に有機材料にダメージを与えにくいので、封止直後のダークスポットの発生を抑制できる。
また、本発明者の検討によれば、従来の有機ELパネルにおいて発生していた高温高湿環境での封止剤の発泡は、主に、封止剤層に含まれていた水分以外の成分(有機ガス等)の気化が一因であったことが判明している。これに対し、封止剤層を前記の乾燥温度で加熱することにより、封止剤層から高温高湿環境において気化しうる成分を除去できる。そのため、このように気化しうる成分を除去された封止剤層からは、高温高湿環境においてガスが発生し難いので、封止剤の発泡を抑制できる。
前記の乾燥温度の上限は、封止剤の熱による劣化を生じない範囲で、任意に設定しうる。ただし、封止剤層と封止基材とを貼り合わせる工程の後で封止剤層の乾燥を行う場合、封止剤層を加熱すると、通常は、封止基材も加熱される。この場合、封止剤層の加熱は、封止基材に含まれる樹脂のガラス転移温度よりも低い乾燥温度で乾燥を行うことが好ましい。これにより、封止基材の熱による変形を抑制できる。乾燥温度の上限は、具体的には、好ましくは120℃以下、より好ましくは115℃以下、特に好ましくは110℃以下である。
封止剤層を前記の乾燥温度に加熱する乾燥時間は、好ましくは10分以上、より好ましくは15分以上、特に好ましくは30分以上であり、好ましくは24時間以下、より好ましくは10時間以下、特に好ましくは5時間以下である。乾燥時間が、前記範囲の下限値以上であることにより、封止剤層から水分等の気化しうる成分を効果的に除去でき、また、前記範囲の上限値以下であることにより、有機ELパネルの製造効率を高めることができる。
前記のように乾燥された封止剤層は、通常、アウトガスが少ない。よって、乾燥後の封止剤層を、10℃/分の昇温条件で25℃から120℃まで昇温させたときに、封止剤層から発生する水分量を、少なくできる。前記の水分量は、好ましくは50ppm以下、より好ましくは45ppm以下、特に好ましくは40ppm以下である。ここで、前記の水分量の単位「ppm」は、水分量の割合を重量基準で表すものであり、昇温前の封止剤層の重量に対する割合を表す。このように水分を除去された封止剤層で封止することにより、有機EL素子での封止直後のダークスポットの発生を効果的に抑制できる。
また、乾燥後の封止剤層を、10℃/分の昇温条件で25℃から120℃まで昇温させたときに、封止剤層から発生する水分以外のアウトガスの総量を、少なくできる。前記の水分以外のアウトガスの総量は、好ましくは500ppm以下、より好ましくは450ppm以下、特に好ましくは400ppm以下である。ここで、前記の水分以外のアウトガスの総量の単位「ppm」は、水分以外のアウトガスの総量の割合を重量基準で表すものであり、昇温前の封止剤層の重量に対する割合を表す。水分以外のアウトガスとしては、封止剤層に含まれる、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の低分子量の添加剤由来の成分があげられる。
アウトガスの量は、ガスクロマトグラフ質量分析計によって測定しうる。
[6.貼合工程]
本実施形態に係る有機ELパネルの製造方法は、有機EL素子と封止剤層とを貼り合わせる工程、及び、封止剤層と封止基材とを貼り合わせる工程を含む。有機EL素子と封止剤層とは、それらの間に任意の層を介して間接的に貼り合わせてもよいが、それらの間に任意の層を介さずに直接に貼り合わせることが好ましい。また、封止剤層と封止基材とは、それらの間に任意の層を介して間接的に貼り合わせてもよいが、それらの間に任意の層を介さずに直接に貼り合わせることが好ましい。
有機EL素子と封止剤層とを貼り合わせる工程では、通常は、有機EL素子の表面に封止剤層を沿わせ、封止剤層を有機EL素子に所定の封止温度で圧着させる。これにより、封止剤層が有機EL素子に密着し、有機EL素子の封止が達成される。また、この貼り合わせの際、封止剤層は既に乾燥させられているので、封止剤層の水分量は小さい。よって、封止剤層からの水分による有機EL素子へのダメージを抑制できるので、ダークスポットの発生を抑制できる。
封止剤層と封止基材とを貼り合わせる工程では、通常は、封止剤層と封止基材とを重ね、封止剤層と封止基材とを所定の封止温度で圧着させる。基材フィルム層及びバリア層を備える複層構造の封止基材を用いる場合、封止剤層は、封止基材の基材フィルム層側に貼り合わせてもよく、封止基材のバリア層側に貼り合わせてもよい。封止剤層と封止基材とを貼り合わせることにより、封止剤層及び封止基材を備える封止部材が得られる。この封止部材によれば、有機EL素子に含まれる有機材料を劣化させる水分及び酸素等の成分の浸入を効果的に抑制できる。よって、この封止部材によって有機EL素子を封止することで、有機EL素子の性能を長期間にわたって維持できる。
有機EL素子と封止剤層とを貼り合わせる工程、及び、封止剤層と封止基材とを貼り合わせる工程は、いずれの工程を先に行ってもよく、両方の工程を同時に行ってもよい。中でも、工程数を削減して有機ELパネルの製造を効率的に行う観点から、有機EL素子と封止剤層とを貼り合わせる工程、及び、封止剤層と封止基材とを貼り合わせる工程は、同時に行うことが好ましい。
封止温度は、通常、封止剤のガラス転移温度よりも高い温度を採用する。具体的な封止温度は、好ましくはTg+5℃以上、より好ましくはTg+10℃以上、特に好ましくはTg+20℃以上である。ここで「Tg」とは、封止剤のガラス転移温度を表す。封止剤が複数のガラス転移温度を有する場合、前記のTgは、前記複数のガラス転移温度のうちで最も高いガラス転移温度を表す。このようにガラス転移温度よりも高い温度では、封止剤層は十分に柔軟である。そのため、有機EL素子又は封止基材の表面が平坦でない場合でも、封止剤層が前記の表面に隙間無く密着し易いので、良好な封止を実現できる。特に、表示装置の表示面に設けられる有機EL素子を製造する場合には、表示面の微小な凹部及び凸部を封止剤層によって減少させることができるので、表示の見え方が改善できる。封止温度の上限は、好ましくはTg+150℃以下、より好ましくはTg+120℃以下、特に好ましくはTg+100℃以下である。これにより、封止の際の熱による有機EL素子の熱劣化を抑制できる。さらに、封止剤層と封止基材とを貼り合わせる工程では、熱による封止基材の変形を抑制する観点から、封止温度は封止基材に含まれる樹脂のガラス転移温度以下で行うことが好ましい。
圧着のために加えられる圧力は、好ましくは0.01MPa以上、より好ましくは0.05MPa以上、特に好ましくは0.1MPa以上であり、好ましくは1MPa以下、より好ましくは0.75MPa以下、特に好ましくは0.5MPa以下である。圧力が前記範囲の下限値以上であることにより、封止剤層を、有機EL素子及び封止基材に容易に密着させることができる。また、圧力が前記範囲の上限値以下であることにより、過剰な圧力による有機EL素子へのダメージを抑制できるので、ダークスポットの発生を効果的に抑制できる。
前記の貼り合わせは、減圧環境において行うことが好ましい。これにより、封止される有機EL素子への水分の浸入を更に効果的に抑制できる。封止環境の具体的な真空度は、好ましくは100Pa以下、より好ましくは75Pa以下、特に好ましくは50Pa以下である。
また、前記の貼り合わせは、露点温度−40℃以下のドライエアーを導入したドライルームにおいて行っても好ましい。これにより、封止される有機EL素子への水分の浸入を更に効果的に抑制できる。
前記の貼り合わせによって、有機EL素子、封止剤層及び封止基材をこの順に備えた有機ELパネルが得られる。この有機ELパネルは、通常、有機EL素子が、封止剤層及び封止基材を備える封止部材によって封止された密着封止構造を有する。ここで、密着封止構造とは、有機EL素子と封止基材との間に空気が入り込んでいない構造をいう。密着封止構造の例としては、有機EL素子と封止剤層とが密着し、且つ、封止剤層と封止基材とが密着した構造が挙げられる。このような密着封止構造によれば、有機EL素子の高度な封止が可能であることに加え、有機ELパネルのフレキシブル化が可能である。
[7.任意の工程]
本実施形態に係る有機ELパネルの製造方法は、上述した工程に加えて、更に任意の工程を含みうる。例えば、前記の製造方法は、有機ELパネルに任意の層を設ける工程を含んでいてもよい。任意の層としては、封止部材の有機EL素子とは反対側に設けられうるハードコート層、マット層、光取出フィルム層などが挙げられる。
[8.有機ELパネルの例]
上述した製造方法により、有機EL素子と、封止基材及び封止剤層を備えて有機EL素子を封止する封止部材とを備える有機ELパネルが得られる。この有機ELパネルでは、封止部材によって、有機EL素子に含まれる有機材料を劣化させる水分及び酸素等の成分の浸入が抑制されている。
前記の有機ELパネルは、封止剤層として、予め所定温度以上の温度で乾燥させられたものを備えている。このように乾燥された封止剤層に含まれる水分量は、小さい。したがって、封止剤層から放出される水分による有機EL素子の劣化を抑制できるので、前記の有機ELパネルでは、封止直後において、ダークスポットの発生を抑制できる。
また、予め所定温度以上の温度で乾燥させられた前記の封止剤層は、高温高湿環境において気化しうる成分の含有量が、小さい。したがって、高温高湿環境において封止剤層から放出されるアウトガスの量を小さくできるので、前記の有機ELパネルでは、高温高湿環境における封止剤の発泡を抑制できる。
さらに、前記の封止剤層は、90℃における貯蔵弾性率が高い封止剤を含む。このように高い貯蔵弾性率を有する封止剤は、雰囲気中の水分を取り込みにくい。したがって、高温高湿環境において封止部材を通って有機EL素子に浸入する水分を量を少なくできるので、前記の有機ELパネルでは、高温高湿環境におけるダークスポットの発生を抑制できる。
このように、上述した実施形態に係る製造方法で製造された有機ELパネルにおいては、封止直後だけでなく、高温高湿環境において保管又は使用を行った後でも、水分の浸入を抑制して、有機EL素子の良好な封止を実現できる。さらに、前記の有機ELパネルは、高温高湿環境において、水分の浸入によるダークスポットだけでなく、封止剤の発泡も、抑制することができる。よって、前記の有機ELパネルは、有機EL素子の性能を長期間にわたって維持できるので、長寿命化を達成することができる。
高温高湿環境における有機ELパネルの状態は、非点灯状態で、85℃85%Rhの環境に500時間静置する耐久性試験を行うことにより、評価しうる。前記の耐久性試験の結果、ダークスポット及び気泡が見られない場合には、高温高湿環境において、その有機ELパネルのダークスポットの発生及び発泡を抑制できたと判定できる。
以下、前記の有機ELパネルの具体的な構造を、例を示して説明する。ただし、有機ELパネルの構造は、下記の例に限定されるものでは無い。
〔8.1.有機ELパネルの第一の例〕
図1は、第一の例に係る有機ELパネル100を模式的に示す縦断面図である。また、図2は、第一の例に係る有機ELパネル100に含まれる有機EL素子110を模式的に示す斜視図である。
図1に示すように、第一の例に係る有機ELパネル100は、有機EL素子110、封止剤層120及び封止基材130をこの順に備える。
図2に示すように、有機EL素子110は、基板111、基板111の上面111Uに細長い帯状に多数形成された第一電極112、第一電極112の周辺に形成されたエッジカバー層113、第一電極112上に設けられた有機発光層114、及び有機発光層114上に設けられた第二電極115を備える。このような有機EL素子110では、第一電極112及び第二電極115に通電することにより、有機発光層114が発光しうる。
図1に示すように、封止剤層120は、有機EL素子110の基材111とは反対側に貼り合わせられている。また、封止剤層120の有機EL素子110とは反対側には、封止基材130が貼り合わせられている。本例では、封止剤層120に近い順に、バリア層131及び基材フィルム層132を備える封止基材130を示して説明する。
このような有機ELパネル100では、有機発光層114を含む有機EL素子110が、封止剤層120及び封止基材130を備える封止部材140によって封止される。これにより、良好な封止が達成され、有機ELパネル100の寿命などの性能を高めることができる。また、この有機ELパネル100では、封止剤層120が、所定の貯蔵弾性率を有する封止剤を含み、且つ、有機EL素子110と貼り合わせる前に所定の乾燥温度に加熱されている。そのため、封止直後のダークスポットの発生、高温高湿環境におけるダークスポットの発生、及び、高温高湿環境における封止剤の発泡が抑制が可能である。したがって、この有機ELパネル100においては、常温常圧環境及び高温高湿環境の両方において、良好な発光を実現できる。
〔8.2.有機ELパネルの第二の例〕
図3は、第二の例に係る有機ELパネル200を模式的に示す縦断面図である。第二の例に係る有機ELパネル200の構成要素のうち、第一の例に係る有機ELパネル100と同様の要素は、第一の例に係る有機ELパネル100と同様の符号で示す。
図3に示すように、第二の例に係る有機ELパネル200は、基板111、第一電極112、エッジカバー層113、有機発光層114及び第二電極115の全体を覆うように形成された仮封止層216を有機EL素子210が備えること以外は、第一の例に係る有機ELパネル100と同様の構造を有する。
仮封止層216の材料としては、例えば、SiN、SiOなどのケイ素を含む材料を挙げることができる。仮封止層216の厚みは、0.2μm〜1μm程度としうる。
仮封止層216は、例えば、有機発光層114及び第二電極115と同様の減圧環境下において、蒸着などの成膜方法により形成しうる。有機発光層114、第二電極115及び仮封止層216を減圧環境下において連続的に設けることにより、有機発光層114の劣化を効果的に抑制することができる。さらに、これらを減圧環境下から取り出した後に封止剤層120及び封止基材130で有機EL素子210を封止することにより、有機ELパネル200の使用環境下に耐えうる強固な封止を達成できる。これにより、製造時における有機EL素子210の劣化が少なく、且つその状態が使用環境下においても長期間維持される有機ELパネル200を得ることができる。
また、本例に係る有機ELパネル200によれば、第一の例に係る有機ELパネル100と同様の利点を得ることができる。
〔8.3.有機ELパネルの第三の例〕
図4は、第三の例に係る有機ELパネル300を模式的に示す縦断面図である。第三の例に係る有機ELパネル300の構成要素のうち、第一の例及び第二の例に係る有機ELパネル100及び200と同様の要素は、第一の例及び第二の例に係る有機ELパネル100及び200と同様の符号で示す。
図4に示すように、第三の例に係る有機ELパネル300は、基板111、第一電極112、エッジカバー層113、有機発光層114及び第二電極115の全体を覆うように形成された仮封止層216及び吸着剤層317を有機EL素子310が備えること以外は、第一の例に係る有機ELパネル100と同様の構造を有する。
吸着剤層317は、仮封止層216の上面216Uに設けられた層である。吸着材層317の材料としては、例えば、有機アルミニウム錯体を挙げることができる。吸着剤層317の厚みは、0.1μm〜1μm程度としうる。
吸着剤層317を備えることにより、封止をさらに強固なものとすることができる。例えば、封止剤層120から放出されうるアウトガスを吸着し、有機発光層114等の層の劣化をさらに防止することができる。
また、本例に係る有機ELパネル300によれば、第一の例及び第二の例に係る有機ELパネル100及び200と同様の利点を得ることができる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。以下の説明において、量を表す「ppm」、「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中にて行った。
[製造例1:封止剤層1の製造]
芳香族ビニル化合物としてスチレンを用い、鎖状共役ジエン化合物としてイソプレンを用いて、重合体ブロック[B]の両端に重合体ブロック[A]が結合したトリブロック構造を有するブロック共重合体を、以下の手順により製造した。
内部が充分に窒素置換された、攪拌装置を備えた反応器に、脱水シクロヘキサン256部、脱水スチレン25.0部、及びn−ジブチルエーテル0.615部を入れ、60℃で攪拌しながらn−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)1.35部を加えて重合を開始させ、さらに、攪拌しながら60℃で60分反応させた。この時点での重合転化率は99.5%であった(重合添加率は、ガスクロマトグラフィーにより測定した。以下にて同じ。)。
次に、脱水イソプレン50.0部を加え、同温度で30分攪拌を続けた。この時点での重合転化率は99%であった。その後、更に、脱水スチレンを25.0部加え、同温度で60分攪拌した。この時点での重合転化率はほぼ100%であった。次いで、反応液にイソプロピルアルコール0.5部を加えて反応を停止させて、ブロック共重合体を含む溶液(i)を得た。得られた溶液(i)中のブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は44,900、分子量分布(Mw/Mn)は1.03であった。
次に、攪拌装置を備えた耐圧反応器に溶液(i)を移送し、水素化触媒としてシリカ−アルミナ担持型ニッケル触媒(日揮化学工業社製「E22U」、ニッケル担持量60%)4.0部及び脱水シクロヘキサン350部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度170℃、圧力4.5MPaにて6時間水素化反応を行なうことによりブロック共重合体を水素化して、ブロック共重合体の水素化物(ii)を含む溶液(iii)を得た。溶液(iii)中のブロック共重合体の水素化物(ii)の重量平均分子量(Mw)は45,100、分子量分布(Mw/Mn)は1.04であった。
水素化反応の終了後、溶液(iii)をろ過して水素化触媒を除去した。その後、濾過された溶液(iii)に、リン系酸化防止剤である6−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ〕−2,4,8,10−テトラキス−t−ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1.3.2〕ジオキサフォスフェピン(住友化学社製「スミライザー(登録商標)GP」。以下、「酸化防止剤A」という。)0.1部を溶解したキシレン溶液1.0部を添加して溶解させ、溶液(iv)を得た。
次いで、溶液(iv)を、フィルター(キュノー社製「ゼータプラス(登録商標)フィルター30H」。孔径0.5μ〜1μm)にて濾過し、更に別の金属ファイバー製フィルター(孔径0.4μm、ニチダイ社製)にて順次濾過して、微小な固形分を除去した。濾過された溶液(iv)から、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所社製「コントロ」)を用いて、温度260℃、圧力0.001MPa以下で、溶媒であるシクロヘキサン、キシレン及びその他の揮発成分を除去した。そして、前記の濃縮乾燥器に直結したダイから、溶液(iv)の固形分を溶融状態でストランド状に押し出し、冷却し、ペレタイザーでカットして、ブロック共重合体の水素化物及び酸化防止剤Aを含有する封止剤樹脂のペレット(v)を得た。この封止剤樹脂を動的粘弾性測定装置(ユービーエム社製「Rheosol−G30000」)にて、周波数10Hz、昇温温度5℃/minにて測定したところ、90℃における貯蔵弾性率は50MPaであった。
前記のペレット(v)を、バレル温度200℃で一軸押出し成形することにより、厚み50μmの封止用フィルムとして封止剤層1を得た。得られた封止剤層1を、90℃で5時間加熱し、乾燥させた。
乾燥後の封止剤層1からのアウトガスの発生量を、ガスクロマトグラフ質量分析計(島津製作所製「GC/MS QP2010SE」)で測定した。この測定は、25℃から120℃まで、昇温速度10℃/5minの条件で封止剤層1を加熱して、行った。その結果、発生したアウトガスの量は、水分が45ppm、水分以外の成分が438ppmであった。
[製造例2:封止剤層2の製造]
製造例1で製造した封止剤樹脂のペレット(v)90重量部と、酸化バリウム10重量部とを、露点温度−60℃のドライルーム内にて、二軸押出機を用いて溶融混練し、押し出して、ストランドを得た。このストランドを、ペレタイザーで成形して、封止剤樹脂のペレット(vi)を製造した。この封止剤樹脂を動的粘弾性測定装置(ユービーエム社製「Rheosol−G30000」)にて、周波数10Hz、昇温温度5℃/minにて測定したところ、90℃における貯蔵弾性率は30MPaであった。
前記のペレット(vi)を、バレル温度200℃で一軸押出し成形することにより、厚み50μmの封止用フィルムとして封止剤層2を得た。得られた封止剤層2を、95℃で4時間加熱し、乾燥させた。
乾燥後の封止剤層2からのアウトガスの発生量を、ガスクロマトグラフ質量分析計(島津製作所製「GC/MS QP2010SE」)で測定した。この測定は、25℃から120℃まで、昇温速度10℃/5minの条件で封止剤層2を加熱して、行った。その結果、発生したアウトガスの量は、水分が33ppm、水分以外の成分が313ppmであった。
[製造例3:封止剤層3の製造]
酸化バリウムの代わりに、平均粒子径100nmのゼオライト粒子を用いたこと以外は、製造例2と同様にして、封止剤樹脂のペレット(vii)を製造した。この封止剤樹脂を動的粘弾性測定装置(ユービーエム社製「Rheosol−G30000」)にて、周波数10Hz、昇温温度5℃/minにて測定したところ、90℃における貯蔵弾性率は20MPaであった。
前記のペレット(vii)を、バレル温度200℃で一軸押出し成形することにより、厚み50μmの封止用フィルムとして封止剤層3を得た。得られた封止剤層3を、100℃で3時間加熱し、乾燥させた。
乾燥後の封止剤層3からのアウトガスの発生量を、ガスクロマトグラフ質量分析計(島津製作所製「GC/MS QP2010SE」)で測定した。この測定は、25℃から120℃まで、昇温速度10℃/5minの条件で封止剤層3を加熱して、行った。その結果、発生したアウトガスの量は、水分が18ppm、水分以外の成分が222ppmであった。
[製造例4:封止剤層4の製造]
攪拌装置、温度計、コンデンサーを備えた1Lフラスコに、トルエンジイソシアネート(東ソー社製「コロネートT−100」)23.6部、エチルジグリコールアセテート13.3部、有機溶媒(丸善石油化学社製「スワゾール♯1000」)31.9部を仕込み、窒素雰囲気下、室温で攪拌した。そこに1,4−ブタンジオール6.1部、及び、エチルジグリコールアセテート13.3部を混合したものを加え、更にジオクチルスズジラウレート(日東化成社製「ネオスタンU−810」)の有機溶媒(丸善石油化学社製「スワゾール♯1000」)1%溶液を0.7部加えて、80℃まで昇温し、90分間反応させた。
60℃以下まで冷却した後、水素化ポリブタジエン(日本曹達社製「GI−3000」、水酸基価=30mgKOH/g)129.1部、エチルジグリコールアセテート13.3部、及び、有機溶媒(丸善石油化学社製「スワゾール♯1000」)47.8部 を混合したものを加え、更にジオクチルスズジラウレート(日東化成社製「ネオスタンU−810」)の有機溶媒(丸善石油化学社製「スワゾール♯1000」)1%溶液を1.4部加え、80℃まで昇温し80分間反応させた。
40℃まで冷却した後、1,4−ブタンジオール6.1部、及び、エチルジグリコールアセテート13.3部を混合したものを加え、80℃まで昇温し、更に90分間反応させた。赤外分光分析により、イソシアネート基に基づく吸収(2274cm−1)が消失したことを確認して反応終了し反応物1を得た。
続いて、攪拌装置、温度計、コンデンサーを備えた1Lフラスコに反応物1を311.1部、エチルジグリコールアセテート7.4部、有機溶媒(丸善石油化学社製「スワゾール♯1000」)55.8部を仕込み、窒素雰囲気下、室温で攪拌しながら、トルエンジイソシアネート(東ソー社製「コロネートT−100」)12.3部、及び、エチルジグリコールアセテート9.3部を混合したものを加え、80℃まで昇温し、90分間反応させた。
室温まで冷却後、攪拌しながらエチルジグリコールアセテートに70%溶解させたエポキシ化合物(三菱化学社製「JER−1001」。分子内に1以上の水酸基と1以上のグリシジルエーテル構造とを有するエポキシ化合物)を固形分換算で55.9部、及び、エチルジグリコールアセテート17.5部を混合したものを加え、45℃まで昇温し、1時間反応させた。
その後、イソブチルアルコール0.78部及びエチルジグリコールアセテート3.0部を加え、30分間反応させた後、ジオクチルスズジラウレート(日東化成社製「ネオスタンU−810」)の有機溶媒(丸善石油化学社製「スワゾール♯1000」)1%溶液3.1部を加え、110℃まで昇温し、2時間反応させた。赤外分光分析により、イソシアネート基に基づく吸収(2274cm−1)が消失したことを確認して反応を終了させ、エポキシ基とウレタン構造を有するポリブタジエン樹脂(製造物1)を得た。
チオール化合物としてのトリス(3−メルカプトプロピル)イソシアヌレートは、特開昭56−120671号公報に記載された方法により合成したものを、そのまま用いた。すなわち、トリアリルイソシアヌレート(日本化成株式会社製)とチオールプロピオン酸(CityChemicalLLC製)をアセトン及び酢酸の混合溶媒中で紫外線照射し、反応させた。溶媒を減圧除去後、反応溶液の残渣を濃塩酸中で煮沸し、無水炭酸ナトリウムを加えて中和した。その後、中活性アルミナカラムに通し、溶媒を除去することで、トリス(3−メルカプトプロピル)イソシアヌレートを得た。
製造物1を固形分換算で44.4部、合成したトリス(3−メルカプトプロピル)イソシアヌレートを2.6部、無機充填材として疎水性シリカ(日本アエロジル社製「R−805」、平均粒子径0.012μm)を4.6部混合し、三本ロールミルにて混練を行った後、有機溶媒(丸善石油化学社製「スワゾール♯1000」)2.0部を加えて粘度を約35Pa・sに調整した。最後に、硬化触媒として1,2−ジメチルイミダゾール(日本合成化学工業社製「ニチゴーイミダゾール1,2−DMI」)2.2部を加え、自転・公転ミキサー(シンキー社製「あわとり練太郎AR−100」)にて攪拌し、樹脂ワニスを作製した。この樹脂ワニスを80℃、60分で硬化させ、得られた硬化樹脂を動的粘弾性測定装置(ユービーエム社製「Rheosol−G30000」)にて、周波数10Hz、昇温温度5℃/minにて測定したところ、90℃における貯蔵弾性率は40MPaであった。
得られた樹脂ワニスを、離型ポリテトラフルオロエチレンフィルム(旭硝子社製「アフレックス50N」)上にバーコーターを用いて塗布し、80℃60分にて硬化して、厚み20μmの封止用フィルムとして封止剤層4を得た。得られた封止剤層4を、110℃で5時間加熱し、乾燥させた。
乾燥後の封止剤層4からのアウトガスの発生量を、ガスクロマトグラフ質量分析計(島津製作所製「GC/MS QP2010SE」)で測定した。この測定は、25℃から120℃まで、昇温時間10℃/5minの条件で封止剤層4を加熱して、行った。その結果、発生したアウトガスの量は、水分が80ppm、水分以外の成分が460ppmであった。
[製造例5:封止剤層5の製造]
撹拌装置を備えた反応器を用意し、その内部を充分に窒素置換した。この反応器に、脱水シクロヘキサン550部、脱水スチレン25.0部、及びn−ジブチルエーテル0.59部を入れ、60℃で撹拌しながら、n−ブチルリチウム(15%シクロヘキサン溶液)1.14部を加えて、重合を開始した。その後、撹拌しながら、60℃で60分反応させた。その後、得られた反応混合物の重合転化率を測定したところ、この時点での重合転化率は、99.5%であった(重合転化率は、ガスクロマトグラフィー分析により測定した。以下にて同じ。)。
次に、反応器に脱水イソプレン50.0部を加え、そのまま30分撹拌を続けた。この時点での重合転化率は、99.5%であった。
その後、更に、反応器に脱水スチレン25.0部を加え、60分撹拌した。この時点での重合転化率は、ほぼ100%であった。ここで、反応器にイソプロピルアルコール0.5部を加えて反応を停止させて、ブロック共重合体を含む溶液(viii)を得た。得られたブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は47,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.03、スチレン重合体ブロックの重量分率wAとイソプレン重合体ブロックの重量分率wBとの比wA/wB=50であった。
次に、溶液(viii)を、撹拌装置を備えた耐圧反応器に移送した。この耐熱反応器に、水素化触媒として珪藻土担持型ニッケル触媒(ズードケミー触媒社製「T−8400RL」)3.0部及び脱水シクロヘキサン100部を添加した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を撹拌しながら水素を供給し、温度190℃、圧力4.5MPaにて6時間水素化反応を行なった。これによりブロック共重合体を水素化して、ブロック共重合体の水素化物(ix)を含む溶液(x)を得た。溶液(x)中のブロック共重合体の水素化物(ix)の重量平均分子量(Mw)は48,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.04であった。
水素化反応の終了後、溶液(x)をろ過して、水素化触媒を除去した。その後、ろ過された溶液(x)に、フェノール系酸化防止剤であるペンタエリスリチル・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](SONGWON社製「Songnox1010」)0.1部を溶解したキシレン溶液1.0部を添加して溶解させて、溶液(xi)を得た。
次いで、溶液(xi)を、金属ファイバー製フィルター(孔径0.4μm、ニチダイ社製)にてろ過して微小な固形分を除去した。その後、ろ過された溶液(xi)から、溶媒であるシクロヘキサン、キシレン及びその他の揮発成分を、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所社製「コントロ」)を用いて温度260℃、圧力0.001MPa以下で除去し、溶融ポリマーを得た。この溶融ポリマーを、連続して、前記の濃縮乾燥器に連結した孔径5μmのステンレス製焼結フィルターを備えたポリマーフィルター(富士フィルター製)により、温度260℃でろ過した。その後、ダイから溶融ポリマーをストランド状に押し出し、冷却した後、ペレタイザーによりカットして、ブロック共重合体の水素化物(xii)のペレット96部を製造した。得られたブロック共重合体の水素化物(xii)の重量平均分子量(Mw)は48,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.04であった。水素化率は、ほぼ100%であった。
得られたブロック共重合体の水素化物(xii)のペレット100部に対して、ビニルトリメトキシシラン2.0部及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日油社製「パーヘキサ(登録商標)25B」)0.2部を添加して、混合物を得た。この混合物を、二軸押出機(東芝機械社製「TEM37B」)を用いて、樹脂温度200℃、滞留時間60秒〜70秒で混練し、ストランド状に押し出し、空冷した後、ペレタイザーによりカットし、アルコキシシリル基を有する変性ブロック共重合体の水素化物(xiii)のペレット97部を得た。
得られた変性ブロック共重合体の水素化物(xiii)のペレット10部を、シクロヘキサン100部に溶解した後、脱水したメタノール400部中に注いで、変性ブロック共重合体の水素化物(xiii)を凝固させた。凝固した変性ブロック共重合体の水素化物(xiii)を濾別した後、25℃で真空乾燥して、変性ブロック共重合体の水素化物(xiii)のクラム9.5部を単離した。単離したクラムについて、FT−IRスペクトル及びH−NMRスペクトルを観察した。FT−IRスペクトルでは、1090cm−1にSi−OCH基に由来する新たな吸収帯が観察され、825cm−1と739cm−1にSi−CH基に由来する新たな吸収帯が観察された。これらの吸収帯の位置は、ビニルトリメトキシシランの吸収帯の位置である1075cm−1、808cm−1、及び766cm−1と異なる位置である。また、H−NMRスペクトル(重クロロホルム中)では3.6ppmにメトキシ基のプロトンに基づく吸収帯が観察された。これらのスペクトルにおけるピーク面積比から、ブロック共重合体の水素化物(xii)の100部に対してビニルトリメトキシシラン1.7部が結合したことが確認された。
変性ブロック共重合体の水素化物(xiii)のペレット100重量部に、紫外線吸収剤である2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン0.5部を添加し、混合物とした。この混合物を、液状物を添加できるサイドフィーダーを備えた二軸押出機(東芝機械社製「TEM37BS」)を用いて、樹脂温度190℃でストランド状に押し出した。この押し出しの際、二軸延伸機内の混合物には、前記サイドフィーダーを通して、可塑剤としてのポリイソブテン(JX日鉱日石エネルギー社製「日石ポリブテンLV−100」。数平均分子量500)を、変性ブロック共重合体の水素化物(xiii)100重量部に対して40重量部の割合となるように、連続的に添加した。押し出された混合物を空冷した後、ペレタイザーによりカットして、変性ブロック共重合体の水素化物(xiii)及びポリイソブテンを含む樹脂のペレット(xiv)102部を得た。この樹脂を動的粘弾性測定装置(ユービーエム社製「Rheosol−G30000」)にて、周波数10Hz、昇温温度5℃/minにて測定したところ、90℃における貯蔵弾性率は0.8MPaであった。
このペレット(xiv)を、バレル温度200℃で一軸押出し成形することにより、厚み50μmの封止用フィルムとして封止剤層5を得た。得られた封止剤層5を、100℃で4時間加熱し、乾燥させた。
乾燥後の封止剤層5からのアウトガスの発生量を、ガスクロマトグラフ質量分析計(島津製作所製「GC/MS QP2010SE」)で測定した。この測定は、25℃から120℃まで、昇温速度10℃/5minの条件で封止剤層5を加熱して、行った。その後、発生したアウトガスの量は、水分が20ppm、水分以外の成分が199ppmであった。
[製造例6:封止剤層6の製造]
製造例1で製造した封止剤層1(90℃で5時間加熱する前のもの)を、70℃で2時間加熱し、乾燥させて、封止フィルムとして封止剤層6を得た。
乾燥後の封止剤層6からのアウトガスの発生量を、ガスクロマトグラフ質量分析計(島津製作所製「GC/MS QP2010SE」)で測定した。この測定は、25℃から120℃まで、昇温速度10℃/5minの条件で封止剤層6を加熱して、行った。その後、発生したアウトガスの量は、水分が190ppm、水分以外の成分が1500ppmであった。
[製造例7:封止基材1の製造]
基材フィルムとして、厚み100μmのノルボルネン系樹脂フィルム(日本ゼオン社製「ZF16−100」)を用意した。この基材フィルム上に、プラズマCVD法によって厚み約1000nmの酸化珪素膜をバリア層として形成して、封止基材1を得た。
[製造例8:封止基材2の準備]
厚み100μmのガラスフィルムを準備し、これを封止基材2とした。
[製造例9:封止基材3の準備]
厚み100μmのステンレス箔を準備し、これを封止基材3とした。
[製造例10:有機EL素子1の製造]
基板として、厚み0.1mm、50mm角のガラスフィルムを用意した。このガラスフィルム上に、蒸着(10−4Pa減圧下)によって、厚み150nmのITO層を第一電極として形成した。この第一電極上に、5×10−4Paの真空下にて、N,N’−ジフェニル−N,N’−m−トリル−4,4’−ジアミノ−1,1’−ビフェニルを蒸着して、正孔輸送層を形成した。この正孔輸送層上に、5×10−4Paの真空下にて、Alq3(トリス(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム)を蒸着して、発光層を形成した。この発光層上に、5×10−4Paの真空下にて、LiFを蒸着して、電子輸送層を形成した。この電子輸送層上に、5×10−4Paの真空下にて、Alを蒸着して、第二電極を形成した。これにより、ボトムエミッションタイプの有機EL素子1を得た。
[製造例11:有機EL素子2の製造]
基板として、厚み0.1mm、50mm角のガラスフィルムを用意した。このガラスフィルム上に、アルミニウムを厚み100nmで蒸着して、反射層を形成した。この反射層上に、SiOを厚み20nmで蒸着して、絶縁層を形成した。この絶縁層上に、製造例10と同様にして、ITOからなる第一電極、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層を、この順に形成した。さらに、電子輸送層上に、銀を厚み10nmで蒸着し、次いでITOを厚み100nmで蒸着することで、光透過性の第二電極を形成した。これにより、トップエミッションタイプの有機EL素子2を得た。
[実施例1:有機ELパネル1の製造及び評価]
有機EL素子1、封止剤層1、及び、封止基材1をこの順に重ね、熱圧着することによって封止して、有機ELパネル1を得た。熱圧着は、真空ラミネーター(常陽工学社製)にて、加熱温度110℃、加圧0.8kN、真空度1.3Pa、保持時間5minにて実施した。
得られた有機ELパネル1を観察したところ、貼り合わせ時に気泡が残ることなく、きれいに貼合できていた。有機ELパネル1に通電したところ、ダークスポットが無く、問題なく点灯することを確認した。
その後、有機ELパネル1を、非点灯状態で、85℃85%Rhの環境に500時間静置する耐久性試験を実施した。その後、有機ELパネル1を室温に戻し、再び通電して点灯させたところ、ダークスポットの発生及び封止剤樹脂の発泡が無く、問題なく点灯することを確認した。
[実施例2:有機ELパネル2の製造及び評価]
有機EL素子1の代わりに、有機EL素子2を用いた。また、封止剤層1の代わりに、封止剤層2を用いた。さらに、封止基材1の代わりに、封止基材2を用いた。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、有機ELパネル2を得た。
得られた有機ELパネル2を観察したところ、貼り合わせ時に気泡が残ることなく、きれいに貼合できていた。有機ELパネル2に通電したところ、ダークスポットが無く、問題なく点灯することを確認した。
その後、有機ELパネル2を、非点灯状態で、85℃85%Rhの環境に500時間静置する耐久性試験を実施した。その後、有機ELパネル2を室温に戻し、再び通電して点灯させたところ、ダークスポットの発生及び封止剤樹脂の発泡が無く、問題なく点灯することを確認した。
[実施例3:有機ELパネル3の製造及び評価]
封止剤層1の代わりに、封止剤層3を用いた。また、封止基材1の代わりに、封止基材3を用いた。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、有機ELパネル3を得た。
得られた有機ELパネル3を観察したところ、貼り合わせ時に気泡が残ることなく、きれいに貼合できていた。有機ELパネル3に通電したところ、ダークスポットが無く、問題なく点灯することを確認した。
その後、有機ELパネル3を、非点灯状態で、85℃85%Rhの環境に500時間静置する耐久性試験を実施した。その後、有機ELパネル3を室温に戻し、再び通電して点灯させたところ、ダークスポットの発生及び封止剤樹脂の発泡が無く、問題なく点灯することを確認した。
[実施例4:有機ELパネル4の製造及び評価]
有機EL素子1の代わりに、有機EL素子2を用いた。また、封止剤層1の代わりに、封止剤層4を用いた。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、有機ELパネル4を得た。
得られた有機ELパネル4を観察したところ、貼り合わせ時に気泡が残ることなく、きれいに貼合できていた。有機ELパネル4に通電したところ、ダークスポットが無く、問題なく点灯することを確認した。
その後、有機ELパネル4を、非点灯状態で、85℃85%Rhの環境に500時間静置する耐久性試験を実施した。その後、有機ELパネル4を室温に戻し、再び通電して点灯させたところ、ダークスポットの発生及び封止剤樹脂の発泡が無く、問題なく点灯することを確認した。
[比較例1:有機ELパネル5の製造及び評価]
封止剤層1の代わりに、封止剤層6を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機ELパネル5を得た。
得られた有機ELパネル5を観察したところ、貼り合わせ時に気泡が残ることなく、きれいに貼合できていた。有機ELパネル5に通電したところ、ダークスポットが発生していた。
その後、有機ELパネル5を、非点灯状態で、85℃85%Rhの環境に500時間静置する耐久性試験を実施した。その後、有機ELパネル5を室温に戻し、再び通電して点灯させたところ、ダークスポットは増加していなかったが、封止剤樹脂の発泡が発生しており、発光面の輝度が不均一であった。
[比較例2:有機ELパネル6の製造及び評価]
封止剤層1の代わりに、封止剤層5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、有機ELパネル6を得た。
得られた有機ELパネル6を観察したところ、貼り合わせ時に気泡が残ることなく、きれいに貼合できていた。有機ELパネル6に通電したところ、ダークスポットが無く、問題なく点灯することを確認した。
その後、有機ELパネル6を、非点灯状態で、85℃85%Rhの環境に500時間静置する耐久性試験を実施した。その後、有機ELパネル6を室温に戻し、再び通電して点灯させたところ、ダークスポットが発生しており、発光面の輝度が不均一であった。
[結果]
前記の実施例及び比較例の結果を、下記の表1にまとめた。
Figure 2017117721
[検討]
有機EL素子との貼り合わせ前に90℃以上での加熱乾燥を行わなかった比較例1では、貼合直後にダークスポットが生じ、また、耐久性試験後に封止剤樹脂の発泡が生じた。また、封止剤樹脂の貯蔵弾性率が小さい比較例2では、耐久性試験後にダークスポットが生じた。これに対し、実施例1〜4では、貼合直後のダークスポットの発生、耐久性試験後の封止剤樹脂の発泡、及び、耐久性試験後のダークスポットの発生を、いずれも抑制できた。以上の結果から、本発明の製造方法により、封止直後のダークスポットの発生、高温高湿環境におけるダークスポットの発生、及び、高温高湿環境における封止剤の発泡が抑制された有機ELパネルを製造できることが確認された。
100 有機ELパネル
110 有機EL素子
111 基板
112 第一電極
113 エッジカバー層
114 有機発光層
115 第二電極
120 封止剤層
130 封止基材
131 バリア層
132 基材フィルム層
140 封止部材
200 有機ELパネル
210 有機EL素子
216 仮封止層
300 有機ELパネル
310 有機EL素子
317 吸着剤層

Claims (3)

  1. 第一電極、第二電極及び有機発光層を備える有機エレクトロルミネッセンス素子と、前記有機エレクトロルミネッセンス素子を封止する封止部材と、を備える有機エレクトロルミネッセンスパネルを製造する、有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法であって、
    前記封止部材が、封止基材と、前記封止基材上に設けられた封止剤の層とを備え、
    前記封止剤の90℃における貯蔵弾性率が、10MPa以上であり、
    前記製造方法が、
    前記有機エレクトロルミネッセンス素子と前記封止剤の層とを貼り合わせる工程、
    前記封止剤の層と前記封止基材とを貼り合わせる工程、及び、
    前記有機エレクトロルミネッセンス素子と前記封止剤の層とを貼り合わせる工程の前に、前記封止剤の層を90℃以上の温度で加熱して、乾燥する工程、を含む、有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  2. 前記封止剤の層を、10℃/分の昇温条件で25℃から120℃まで昇温させたときに、前記封止剤の層から発生する水分量が、50ppm以下である、請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
  3. 前記封止剤の層を、10℃/分の昇温条件で25℃から120℃まで昇温させたときに、前記封止剤の層から発生する水以外のアウトガスの総量が、500ppm以下である、請求項1又は2記載の有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法。
JP2015253814A 2015-12-25 2015-12-25 有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法 Pending JP2017117721A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015253814A JP2017117721A (ja) 2015-12-25 2015-12-25 有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015253814A JP2017117721A (ja) 2015-12-25 2015-12-25 有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017117721A true JP2017117721A (ja) 2017-06-29

Family

ID=59232390

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015253814A Pending JP2017117721A (ja) 2015-12-25 2015-12-25 有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017117721A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019131724A (ja) * 2018-01-31 2019-08-08 日本ゼオン株式会社 吸湿性樹脂フィルムの製造方法
KR20200115496A (ko) 2018-01-31 2020-10-07 니폰 제온 가부시키가이샤 수지 조성물, 수지 필름 및 유기 일렉트로루미네센스 장치
KR20200115492A (ko) 2018-01-31 2020-10-07 니폰 제온 가부시키가이샤 수지 필름 및 유기 일렉트로루미네센스 장치
KR20210013034A (ko) 2018-05-18 2021-02-03 니폰 제온 가부시키가이샤 인쇄용 수지 용액 및 디바이스 구조체의 제조 방법
CN115609989A (zh) * 2022-12-20 2023-01-17 四川省众望科希盟科技有限公司 一种低摩擦系数低磨损的聚四氟乙烯密封材料

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019131724A (ja) * 2018-01-31 2019-08-08 日本ゼオン株式会社 吸湿性樹脂フィルムの製造方法
KR20200115496A (ko) 2018-01-31 2020-10-07 니폰 제온 가부시키가이샤 수지 조성물, 수지 필름 및 유기 일렉트로루미네센스 장치
KR20200115492A (ko) 2018-01-31 2020-10-07 니폰 제온 가부시키가이샤 수지 필름 및 유기 일렉트로루미네센스 장치
JP7056187B2 (ja) 2018-01-31 2022-04-19 日本ゼオン株式会社 吸湿性樹脂フィルムの製造方法
US11970606B2 (en) 2018-01-31 2024-04-30 Zeon Corporation Resin composition, resin film and organic electroluminescent device
US11976201B2 (en) 2018-01-31 2024-05-07 Zeon Corporation Resin film and organic electroluminescent device
KR20210013034A (ko) 2018-05-18 2021-02-03 니폰 제온 가부시키가이샤 인쇄용 수지 용액 및 디바이스 구조체의 제조 방법
CN115609989A (zh) * 2022-12-20 2023-01-17 四川省众望科希盟科技有限公司 一种低摩擦系数低磨损的聚四氟乙烯密封材料
CN115609989B (zh) * 2022-12-20 2023-03-28 四川省众望科希盟科技有限公司 一种低摩擦系数低磨损的聚四氟乙烯密封材料

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102579772B1 (ko) 봉지재, 봉지재의 제조 방법 및 발광 장치의 제조 방법
EP2930210B1 (en) Resin composition for sealing organic electronics devices and organic electronics device
JP6524915B2 (ja) 封止フィルム、有機エレクトロルミネッセンス表示装置及び有機半導体デバイス
EP2857372B1 (en) Glass laminate, and method for using block copolymer hydrogenation product as binder for glass laminate
JP2017117721A (ja) 有機エレクトロルミネッセンスパネルの製造方法
US20130244367A1 (en) Hydrogenated block copolymer having alkoxysilyl group and use therefor
WO2017111138A1 (ja) 複合積層体、及び、樹脂層の保管方法
JP2013132755A (ja) 多層シート及びその利用
EP3546538A1 (en) Adhesive sheet and laminated glass
JP6638350B2 (ja) 複合ガスバリア積層体及び有機エレクトロルミネッセンス発光体
CN111052354B (zh) 层叠体及其制造方法
JP7443699B2 (ja) 接合体の製造方法
JP2018051956A (ja) 透明フィルムの製造方法