JP2017116600A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents

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正志 水野
卓哉 錦織
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卓哉 錦織
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Abstract

【課題】 本発明の解決すべき課題は、クリーニングが難しい弾性変形率が42%以上46%以下の電子写真感光体とともに用いても、フィルミングなどのクリーニング性に優れ、画像濃度とかぶりが良好な静電荷像現像用トナーを提供することにある。【解決手段】 外添剤として特定の炭素鎖長の表面処理がなされたシリカ粒子を、具体的には、長鎖の炭素数が8以上20以下のアルキルシランカップリング剤により表面処理をされたシリカを、特定の構造を有する複合酸化物粒子とともに特定質量で配合したトナーとすることにより前記課題を解決する。【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真法、静電写真法等に用いられる静電荷像現像用トナーに関する。
一般に電子写真法は、光導電性感光体上に種々の方法にて静電潜像を形成させ、次いで静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」と略記する)を用いて潜像を可視化した後、紙等の転写材にトナー可視像を転写し、加熱や加圧等によりトナー像を定着させる工程を有する。これらの工程としては様々な方法が知られており、それぞれの画像形成プロセスに適したものが採用されている。
トナーの代表的な製造方法の一つとして、バインダー樹脂、着色剤、帯電制御剤等の種々の材料を溶融混合し、粉砕・分級して微粉末とする粉砕法があり、比較的簡便に品質の良いトナーが得られることから、カラーやモノクロ、種々の現像方式問わず、一般に広く採用されている。また、近年の電子写真に対する一層の高速化、高画質化の要求に応えるべく、重合トナーの研究開発が盛んである。重合トナーは粉砕トナーに比べて粒子径の制御が容易であることから、高画質化に適した小粒径のトナー母粒子を得ることができる。
更に、粒子構造制御によりトナーをカプセル化することも可能であることから、耐熱性や低温定着性に優れたトナーが得られるといったメリットがある。
前述したようなトナーの小粒径化に加え、安定した高画質を得るための帯電性・流動性の制御を達成すべく種々の検討がなされている。
例えば、トナーがクリーニングブレードからすり抜けることで発生する帯電ローラー汚染やフィルミングなどを抑制するために、トナーの可視像が形成される電子写真感光体の弾性変形率をコントロールする技術が知られている(特許文献1)。
特開2013−92760号公報 特開2012−68589号公報
特開2013−92760号公報では、トナーのブレード近傍でのクリーニング性を向上させるために、電子写真感光体の弾性変形率を45%以上にすることが報告されている(特許文献1)。本発明者の検討の結果でも、弾性変形率が45%以下の場合には、フィルミングなどのクリーニング性が劣ることが分かった(本願比較例5、参考例2に相当)。
上述したように、トナーのクリーニングが難しい低弾性変形率の電子写真感光体とともに用いた際、フィルミングなどのクリーニング性に優れ、画像濃度とかぶりが良好な静電荷像現像用トナーは、未だ提供されていなかった。
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、クリーニングが難しい弾性変形率が42%以上46%以下の電子写真感光体とともに用いても、フィルミングなどのクリーニング性に優れ、画像濃度とかぶりが良好な静電荷像現像用トナーを提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決するために検討を重ね、特定の表面処理および炭素鎖長のシリカ粒子を、特定の構造を有する複合酸化物粒子とともに特定部数用いることで前記課題を解決できることを見出した。即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
1.温度25℃ 、相対湿度50%環境下で、ビッカース圧子を用いて最大押し込み荷重
5mN、負荷所要時間10S、除荷所要時間10Sの条件で測定したときの弾性変形率が42%以上46%以下である電子写真感光体に用いられるトナーであって、
前記トナーは結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナー母粒子と外添剤とを有するトナーであって、該外添剤はシリカ粒子(a)及び複合酸化物粒子(b)を含有し、且つ以下(A)乃至(C)を満足することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
(A)シリカ粒子(a)の表面がアルキルシランで処理されている
(B)該シリカ粒子(a)のアルキルシラン表面処理剤の直鎖の炭素数が8以上20以下である
(C)前記(C)を満たす複合酸化物粒子(b)は、シリカとチタニアの複合酸化物粒子である
2.前記(C)を満たす複合酸化物粒子(b)は、コアシェル構造を有し、且つ該複合酸化物粒子(b)のコア部はチタニアを含有し、シェル部はシリカを含有していることを特徴とする前記1.に記載の静電荷像現像用トナー。
3.前記(C)を満たす複合酸化物粒子(b)中のシリカの含有量が10質量%以上20質量%以下であることを特徴とする前記2.に記載の静電荷像現像用トナー。
4.前記トナーが有する前記(C)を満たす複合酸化物粒子(b)の含有量が、前記トナー母粒子100質量部に対して0.2質量部以上0.5質量部以下であることを特徴とする前記3.に記載の静電荷像現像用トナー。
5.温度25℃ 、相対湿度50%環境下で、ビッカース圧子を用いて最大押し込み荷重
5mN、負荷所要時間10S、除荷所要時間10Sの条件で測定したときの弾性変形率が42%以上46%以下である電子写真感光体に用いられる静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
前記トナーの製造方法は、結着樹脂、顔料及びワックスを含有するトナー母粒子の製造工程と前記トナー母粒子の表面に外添剤を付着又は固着させる外添工程とを有し、
該外添剤はシリカ粒子(a)及び複合酸化物粒子(b)を含有し、且つ以下(A)乃至(C)を満足することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
(A)シリカ粒子(a)の表面がアルキルシランで処理されている
(B)該シリカ粒子(a)のアルキルシラン表面処理剤の直鎖の炭素数が8以上20以下である
(C)複合酸化物粒子(b)は、シリカとチタニアの複合酸化物粒子である
6.前記(C)を満たす複合酸化物粒子(b)は、コアシェル構造を有し、且つ該複合酸化物粒子(b)のコア部はチタニアを含有し、シェル部はシリカを含有していることを特徴とする前記5.に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
7.前記(C)を満たす複合酸化物粒子(b)中のシリカの含有量が10質量%以上20質量%以下であることを特徴とする前記6.に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。8.前記トナーが有する前記(C)を満たす複合酸化物粒子(b)の含有量が、前記トナー母粒子100質量部に対して0.2質量部以上0.5質量部以下であることを特徴とする前記7.に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
本発明は、外添剤として、特定の表面処理および炭素鎖長のシリカ粒子を、特定の構造を有する複合酸化物粒子とともに特定質量で配合したトナーとすることにより、前記弾性
変形率が42%以上46%以下である電子写真感光体とともに用いても、フィルミングなどのクリーニング性に優れ、画像濃度とかぶりが良好であるとの効果を有する。
押し込み深さ−荷重曲線である。 感光体製造例1で用いた電荷発生層形成用塗布液を調整するのに用いた、オキシチタニウムフタロシアニンの粉末X線回折スペクトルを示すX線回折図である。 本発明のトナーが備えられる画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す概略図である。 本発明のトナーが備えられる画像形成装置の一実施態様の要部構成を示す拡大図である。
以下に本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
また、「静電荷像現像用トナー」を単に「トナー」と略記する場合があり、外添剤を固着又は付着させる前のトナーを「トナー母粒子」と称する。
<本発明のトナーの構成>
本発明のトナーは、温度25℃ 、相対湿度50%環境下で、ビッカース圧子を用いて
最大押し込み荷重5mN、負荷所要時間10S、除荷所要時間10Sの条件で測定したときの弾性変形率が42%以上46%以下である電子写真感光体に用いられるトナーであって、前記トナーは結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナー母粒子と外添剤とを有するトナーであって、該外添剤はシリカ粒子(a)及び複合酸化物粒子(b)を含有し、且つ以下(A)乃至(C)を満足することを特徴とする。
(A)シリカ粒子(a)の表面がアルキルシランで処理されている
(B)該シリカ粒子(a)のアルキルシラン表面処理剤の長鎖の炭素数が8以上20以下である
(C)複合酸化物粒子(b)は、シリカとチタニアの複合酸化物粒子である
本発明は、上記のように外添剤として、特定の表面処理および炭素鎖長のシリカ粒子を、特定の構造を有する複合酸化物粒子とともに特定質量で配合したトナーとすることにより、前記弾性変形率が42%以上46%以下である電子写真感光体とともに用いても、フィルミングなどのクリーニング性に優れ、画像濃度とかぶりが良好であるとの効果を奏する。
<本発明の条件(A)について>
本発明に用いられるシリカ粒子(a)の表面処理剤は、アルキルシランであることが必要である。アルキルシラン処理のシリカ粒子(a)としては、具体的には、NK200、R805
、NK200 C4(いずれも日本アエロジル社製)などが挙げられる。
アルキルシラン以外の処理、例えば、ヘキサメチルジシラザン処理のシリカを用いた場合には、トナー母粒子表面からシリカ粒子が脱離し易くフィルミングが悪化する場合がある(本願比較例5、6、7に相当)。
<本発明の条件(B)について>
本発明に用いられるシリカ粒子(a)のアルキルシラン表面処理剤の長鎖の炭素数が8以上20以下であることが必要である。下限は、好ましくは炭素数12以上であり、一方、上限は、好ましくは炭素数16以下である。
アルキルシラン処理のシリカ粒子(a)としては、具体的には、NK200、R805(いずれ
も日本アエロジル社製)などが挙げられる。
アルキルシラン表面処理剤の長鎖の炭素数が8未満、例えば直鎖の炭素数が4のシリカを用いた場合には、トナー母粒子表面からシリカ粒子が脱離し易くフィルミングが悪化する場合がある(本願比較例1に相当)。アルキルシラン表面処理剤の長鎖の炭素数が20より大きい場合には、シリカ表面とアルキルシラン表面処理剤との反応性が低下し、所望の流動性が得られずベタかすれなどが発生する場合がある。
前記シリカ粒子(a)の製造方法は特に限定されず、公知の方法にて作成可能であるが、乾式法により製造されたものが好ましい。ここでいう乾式法とは、珪素化合物の火炎加水分解、火炎中燃焼法による酸化、あるいはこれらの反応の併用による方法等、気相中での反応による製造方法全般のことを指す。
比表面積を問わず外添剤として含有されるシリカ粒子の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、トナー母粒子100質量部に対して、下限は、通常1.5質量部以上であり、好ましくは1.6質量部以上であり、一方、上限は、通常2.0質量部以下であり、好ましくは1.9質量部以下である。
<複合酸化物粒子(b)及び本発明の条件(C)について>
本発明に用いられる外添剤は、シリカとチタニアの複合酸化物粒子であることが必要である。シリカとチタニアの複合酸化物粒子の構造は、本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定はされないが、好ましくは複合酸化物粒子(b)はチタニアとシリカを含有するコアシェル構造を有しており、更に好ましくは、該複合酸化物粒子(b)のコアシェル構造のコア部はチタニアを含有し、シェル部はシリカを含有する。
前記複合酸化物粒子(b)中のシリカの含有量は本発明の効果を著しく損なわない限り特に限定はされないが、下限は、通常10質量%以上であり、好ましくは11質量%以上であり、より好ましくは12質量%以上である。一方、上限は、通常20質量%以下であり、好ましくは19質量%以下であり、より好ましくは18質量%以下である。複合酸化物粒子(b)中のシリカの含有量が過少な場合には、必要とする帯電量が得られず、かぶりが発生したり、ベタ追従性が悪化する場合がある。また、流動性も悪化し、やはりベタ追従性の悪化を招く可能性がある。一方、複合酸化物粒子(b)中のシリカの含有量が過多な場合には、流動性過剰により、クリーニング性の悪化や、帯電立ち上がりが低くなることで、現像ローラや供給ローラの回転にトナーの帯電が追いつかずに、かぶりおよび、ベタ追従性不良の原因となる場合がある。
比表面積を問わず外添剤として含有される複合酸化物粒子の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、トナー母粒子100質量部に対して、下限は、通常0.2質量部以上であり、一方、上限は、通常0.5質量部以下であり、好ましくは0.4質量部以下である。
<外添工程>
本発明のトナーは、トナー母粒子の表面に、少なくとも上述したシリカ粒子及び複合酸化物粒子を外添することで得られるが、本発明の効果を損なわない範囲で、その他外添剤として知られている粒子を併用し、トナー母粒子に添加して、トナー母粒子の表面に付着又は固着させてもよい。
上述したシリカ粒子及び複合酸化物粒子以外の粒子としては、例えば、無機粒子として、酸化チタン(チタニア)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、酸化錫、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、ハイドロタルサイト等が挙げられ、有機粒子として、メタクリル酸エステル重合体粒子、アクリル酸エステル重合体粒子、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体粒子、スチレン−アクリル酸エステル共重合体粒子等の有機樹脂粒子等が挙げられる。
上述したシリカ粒子、複合酸化物粒子及びその他粒子の配合割合は特に限定はなく、シリカ粒子、複合酸化物粒子、及びその他粒子からなる全外添剤の使用量は特に限定はないが、トナー母粒子100質量部に対して、全外添剤の使用量は通常1.3質量部以上であり、好ましくは1.4質量部以上であり、一方、通常3.7質量部以下であり、3.6質量部以下が好ましい。使用量が少なすぎると、外添剤の母粒子表面の埋没が顕著となり、かぶりが悪化する場合がある。一方、多すぎると、流動性が過剰になることによるクリーニングブレードする抜けによる画像欠陥となる場合がある。
上記その他粒子について、トナー母粒子の表面に付着又は固着させる順番は特に限定はないが、上述したシリカ粒子、複合酸化物粒子及びその他粒子と併用してもよいし、併用せず別に添加してもよい。
本発明において、トナー母粒子の表面に、上述したシリカ粒子、複合酸化物粒子及びその他粒子とを付着又は固着させる方法は特に限定はなく、一般にトナーの製造に用いられる混合機を使用することができる。具体的には、ヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、レディゲミキサー、Q−ミキサー等の混合機により攪拌、混合することによりなされる。
本発明のトナーを得る場合に外添工程の段階数は本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、外添剤は2段階以上の外添工程により前記トナー母粒子の表面に付着又は固着されることが好ましい。外添工程は、通常5段階以下であり、好ましくは3段階である。
<トナー母粒子のその他構成及び製造方法>
本発明のトナー母粒子の体積中位径は、特に限定されないが、通常、2.5μm以上であり、3.0μm以上であることが好ましく、3.5μm以上であることがさらに好ましい。また、通常、10μm以下であり、9.0μm以下であることが好ましく、8.0μm以下であることがさらに好ましい。トナーの体積中位径が大きすぎると、単位重量当たりの帯電量が小さくなり、かぶりやトナー飛散が発生する可能性が高くなる場合があり、小さすぎると、単位重量当たりの帯電量が過剰となりやすく、極度な画像濃度低下などの不具合を発生しやすくなる場合がある。体積中位径は、実施例に記載の方法で測定される。
本発明のトナー母粒子の平均円形度は、通常0.945以上であり、0.950以上であることが好ましい。また、通常0.990以下であり、0.985以下であることが好ましい。円形度が大きすぎると、クリーニング部でのすり抜けが発生しやすく画像不良となる場合があり、一方、小さすぎると、該無機粒子が機内のメカニカルストレスにより母粒子表面で転がった際に、母粒子のくぼみに落ち込み、本発明の効果が最後まで維持できない場合がある。本発明のトナー母粒子の円形度は、実施例に記載の方法で測定される。
本発明のトナーの構成材料は特に限定されず、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含み、必要に応じ、帯電制御剤、ワックス、その他の添加剤等を含む。
本発明のトナー母粒子の製造方法は限定されず、粉砕法、湿式法、機械的衝撃力や熱処理等によってトナーを球形化する方法など従来用いられている方法を用いることができる。湿式法としては、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法、エステル伸張法などの方法が挙げられる。
粉砕法では、結着樹脂、着色剤と、必要に応じてその他成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。
次に、上記配合し、混合したトナー原料を溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中に着
色剤等を分散させる。その溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。練り機は1軸または2軸押出機が用いられ、例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が挙げられる。更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する工程を経て冷却物となる。
上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕され、更に、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター等で粉砕される。その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)等の分級機等の篩分機を用いて分級し、トナー母粒子を得る。さらに、従来用いられている方法を用いてトナーを球形化してもよい。
トナー母粒子を得た後、外添剤を添加する処理工程と必要に応じてその他の処理工程を経て、トナーを得ることができる。
湿式法としては、乳化重合凝集法、懸濁重合法、溶解懸濁法などが挙げられ、何れの方法で製造してもよく、特に限定されない。
乳化重合凝集法によりトナー母粒子を製造する場合、通常、重合体粒子を重合して重合体粒子分散液を得る重合工程、重合体粒子分散液と着色剤粒子分散液などを混合する混合工程、混合したものに凝集剤を加えて所定粒径まで凝集さて粒子凝集体(凝集粒子)を得る凝集工程、凝集粒子を過熱、融着させて融着粒子とする融着工程、以降、ろ過・洗浄・乾燥工程などのトナー母粒子として取り出す工程とを有する。
本発明において、懸濁重合トナーの製造方法としては、上述の結着樹脂のモノマー中に着色剤、重合開始剤、そして必要に応じてワックス、極性樹脂、荷電制御剤や架橋剤などの添加剤を加え、均一に溶解又は分散させたモノマー組成物を調製する。このモノマー組成物を、分散安定剤等を含有する水系媒体中に分散させる。好ましくは単量体組成物の液滴が所望のトナー粒子のサイズを有するように撹拌速度・時間を調整し、造粒する。その後、分散安定剤の作用により、粒子状態が維持され、且つ粒子の沈降が防止される程度の撹拌を行い、重合を行う。これらを洗浄・ろ過により収集し、乾燥することによりトナー母粒子を得ることができる。トナー母粒子を得た後、外添剤を添加する処理工程と必要に応じてその他の処理工程を経て、トナーを得ることができる。
溶解懸濁法は結着樹脂を有機溶剤に溶解し、着色剤などを添加分散して得られる溶液相を、分散剤等を含有した水相において機械的な剪断力で分散し液滴を形成し、液滴から有機溶剤を除去してトナー粒子を製造する方法である。
エステル伸張重合法はワックス・ポリエステル樹脂・顔料などを分散した油相と、粒径制御剤および界面活性剤の添加された水相中を混合、乳化して油滴を作成し、その油滴を収斂させると同時に伸張反応によりトナー油滴表面に高分子樹脂成分を形成させ、油滴内部の溶剤を除去してトナー粒子を製造する方法である。
本発明において、トナーに含有される結着樹脂としては、従来トナーの結着樹脂として用いられている樹脂類を適宜用いることができる。
トナー母粒子を粉砕方法で製造する場合に用いられる結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン置換体の単重合体、スチレン系共重合体、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で使用しても良いし、混合して使用しても良い。
トナー母粒子を重合法で製造する場合に用いられる結着樹脂としては、ラジカル重合が可能なビニル系重合性単量体が挙げられる。例えば、スチレン、スチレン誘導体、アクリル系重合性単量体、メタクリル系重合性単量体、ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン等が挙げられる。これらの樹脂は単独で使用しても良いし、2種類以上混合して使用しても良い。
単量体としては、酸性基を有する重合性単量体(以下、単に酸性単量体と称すことがある)、塩基性基を有する重合性単量体(以下、単に塩基性単量体と称することがある)、酸性基も塩基性基も有さない重合性単量体(以下、その他の単量体と称することがある)のいずれの重合性単量体も使用することができる。
上記にあげた重合法のうち、乳化重合凝集法を用いてトナー母粒子を製造する場合、乳化重合工程では、通常、乳化剤の存在下、水系媒体中で重合性単量体を重合するが、この際、反応系に重合性単量体を供給するにあたって、各単量体は別々に加えても、予め複数種類の単量体を混合しておいて同時に添加しても良い。また、単量体はそのまま添加しても良いし、予め水や乳化剤などと混合、調整した乳化液として添加することもできる。
酸性単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等のカルボキシル基を有する重合性単量体、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性単量体、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性単量体等が挙げられる。また、塩基性単量体としては、アミノスチレン等のアミノ基を有する芳香族ビニル化合物、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の窒素含有複素環含有重合性単量体、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。これら酸性単量体及び塩基性単量体は、単独で用いても複数種類を混合して用いてもよく、また、対イオンを伴って塩として存在していてもよい。中でも、酸性単量体を用いるのが好ましく、より好ましくはアクリル酸及び/又はメタクリル酸であるのがよい。
結着樹脂を構成する全重合性単量体100質量部中に占める酸性単量体および塩基性単量体の合計量は、通常0.05質量部以上、好ましくは0.5質量部以上、特に好ましくは1.0質量部以上である。また、通常10質量部以下、好ましくは5質量部以下であることが望ましい。
その他の重合性単量体としては、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−n−ノニルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル類、アクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジプロピルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド等が挙げられ、重合性単量体は、単独で用いてもよく、また複数を組み合わせて用いてもよい。
更に、結着樹脂を架橋樹脂とする場合、上述の重合性単量体と共にラジカル重合性を有する多官能性単量体が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジアリルフタレート等が挙げられる。また、反応性基をペンダントグループに有する重合性単量体、例えばグリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等を用いることも可能である。中でもラジカル重合性の二官能性重合性単量体が好ましく、ジビ
ニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレートが特に好ましい。これら多官能性重合性単量体は、単独で用いても複数種類を混合して用いてもよい。
結着樹脂を乳化重合凝集法で重合する場合、乳化剤として公知の界面活性剤を用いることができる。界面活性剤としてはカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の中から選ばれる一種又は二種以上の界面活性剤を併用して用いることができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライド、ドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ドデシルピリジニウムクロライド、ドデシルピリジニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等が挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム、等の脂肪酸石けん、硫酸ドデシルナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等が挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートエーテル、モノデカノイルショ糖等が挙げられる。
乳化重合凝集法を用いてトナー母粒子を製造する場合の乳化剤の使用量は、特に限定されないが、重合性単量体100質量部に対して0.1質量部以上、10質量部以下が好ましい。また、これらの乳化剤に、例えば、部分或いは完全ケン化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体類等の一種或いは二種以上を保護コロイドとして併用することができる。
乳化重合凝集法により得られる重合体一次粒子の体積平均粒径は、通常0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、特に好ましくは0.1μm以上である。また、通常3μm以下、好ましくは2μm以下、特に好ましくは1μm以下であることが望ましい。粒径が小さすぎると、凝集工程において凝集速度の制御が困難となる場合があり、大きすぎると、凝集して得られるトナー粒子の粒径が大きくなり易く、目的とする粒径のトナーを得ることが困難となる場合がある。
乳化重合凝集法を用いてトナー母粒子を製造する場合、必要に応じて公知の重合開始剤を用いることができ、重合開始剤を1種又は2種以上組み合わせて使用する事ができる。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、等の過硫酸塩、及び、これら過硫酸塩を一成分として酸性亜硫酸ナトリウム等の還元剤を組み合わせたレドックス開始剤、過酸化水素、4,4‘−アゾビスシアノ吉草酸、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロペーオキサイド、等の水溶性重合開始剤、及び、これら水溶性重合性開始剤を一成分として第一鉄塩等の還元剤と組み合わせたレドックス開始剤系、過酸化ベンゾイル、2,2‘−アゾビス−イソブチロニトリル、等が用いられる。これら重合開始剤はモノマー添加前、添加と同時、添加後のいずれの時期に重合系に添加しても良く、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせても良い。
乳化重合凝集法を用いてトナー母粒子を製造する場合、必要に応じて公知の連鎖移動剤を使用することができ、具体的な例としては、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ジイソプロピルキサントゲン、四塩化炭素、トリクロロブロモメタン等があげられる。連鎖移動剤は単独または2種類以上の併用でもよく、重合性単量体に対して0〜5質量%用いられる。
また、乳化重合凝集法を用いてトナー母粒子を製造する場合、必要に応じて公知の懸濁安定剤を使用することができる。懸濁安定剤の具体的な例としては、リン酸カルシウム、
リン酸マグネシウム水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。これらは、一種或いは二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記懸濁安定剤は、通常重合性単量体100質量部に対して1質量部以上、10質量部以下の量で用いられる。
重合開始剤および懸濁安定剤は、何れも、重合性単量体添加前、添加と同時、添加後のいずれの時期に重合系に添加してもよく、必要に応じてこれらの添加方法を組み合わせてもよい。
その他、反応系には、pH調整剤、重合度調節剤、消泡剤等を適宜添加することができる。
本発明のトナーには、離型性付与のため、ワックスを含有させてもよい。ワックスとしては、離型性を有するものであればいかなるものも使用可能である。
具体的には、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、共重合ポリエチレン等のオレフィン系ワックス、パラフィンワックス、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸エステル、ステアリン酸ステアリル等の長鎖脂肪族基を有するエステル系ワックス、水添ひまし油、カルナバワックス等の植物系ワックス、ジステアリルケトン等の長鎖アルキル基を有するケトン、アルキル基を有するシリコーン、ステアリン酸等の高級脂肪酸、エイコサノール等の長鎖脂肪族アルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと長鎖脂肪酸により得られる多価アルコールのカルボン酸エステル、又は部分エステル、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の高級脂肪酸アミド、低分子量ポリエステル等が挙げられる。
これらのワックスの中で、定着性を改善するためには、ワックスの融点は通常30℃以上であり、40℃以上が好ましく、50℃以上が特に好ましい。また、通常100℃以下であり、90℃以下がより好ましく、80℃以下が特に好ましい。融点が低すぎると定着後にワックスが表面に露出し、べたつきを生じる場合があり、一方、融点が高すぎると低温での定着性が劣る場合がある。
また、ワックスの化合物種としては、高級脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。高級脂肪酸エステル系ワックスとしては、具体的には、ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル、モンタン酸グリセリド等の、炭素数15〜30の脂肪酸と1〜5価のアルコールとのエステルが好ましい。また、エステルを構成するアルコール成分としては、1価アルコールの場合は炭素数10〜30のものが好ましく、多価アルコールの場合には炭素数3〜10のものが好ましい。
上記ワックスは単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。また、トナーを定着する定着温度により、ワックス化合物の融点を適宜選択することができる。
本発明において、ワックスを含有させる場合、ワックスの量は特に限定はないが、トナー100質量部中に対して、通常、1質量部以上であり、好ましくは2質量部以上、特に好ましくは5質量部以上である。また、通常、40質量部以下であり、好ましくは35質量部以下、特に好ましくは30質量部以下である。トナー中のワックス含有量が少なすぎると、高温オフセット性等の性能が十分でない場合があり、一方多すぎると、耐ブロッキング性が十分でなかったり、ワックスがトナーから漏出することにより装置を汚染したりする場合がある。
本発明の着色剤としては公知の着色剤を任意に用いることができる。着色剤の具体的な例としては、カーボンブラック、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ローダミン系染顔料、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系染顔料など、公知の任意の染顔料を単独あるいは混合して用いることができ
る。フルカラートナーの場合にはイエローはベンジジンイエロー、モノアゾ系、縮合アゾ系染顔料、マゼンタはキナクリドン、モノアゾ系染顔料、シアンはフタロシアニンブルーをそれぞれ用いるのが好ましい。着色剤は、重合体一次粒子100質量部に対して3質量部以上、20質量部以下となるように用いることが好ましい。
乳化重合凝集法における着色剤の配合は、通常、凝集工程で行われる。重合体一次粒子の分散液と着色剤粒子の分散液とを混合して混合分散液とした後、これを凝集させて粒子凝集体とする。着色剤は、乳化剤の存在下で水中に分散した状態で用いるのが好ましく、着色剤粒子の体積平均粒径が通常0.01μm以上、好ましくは0.05μm以上である。また通常3μm以下、好ましくは1μmである。
本発明においては、必要に応じて帯電制御剤を用いてもよい。帯電制御剤を用いる場合には、公知の任意のものを単独ないしは併用して用いることができ、例えば、正帯電性帯電制御剤として4級アンモニウム塩、ニグロシン、加工ニグロシン、アルキルニグロシンなどのアジン系黒色染料、加工ニグロシン化合物、グアニシン化合物、トリフェニルスルホニウム化合物、樹脂系帯電制御剤、アミド基含有化合物、塩基性・電子供与性の金属物質が挙げられ、負帯電性帯電制御剤として芳香族オキシカルボン酸系、芳香族ダイカルボン酸の金属キレート類、モノアゾ含金錯体化合物、有機酸の金属塩、含金属染料、ジフェニルヒドロキシ錯体化合物、含鉄アゾ化合物、乳化重合用家電制御剤、オキシカルボン酸各種金属錯体化合物、カリックスアレン化合物、フェノール化合物、樹脂系帯電制御剤、ナフトール化合物及びそれらの金属塩、ウレタン結合含有化合物、酸性もしくは電子吸引性の有機物質が挙げられる。
また、本発明のトナーをカラートナー又はフルカラートナーにおける黒色トナー以外のトナーとして使用する場合には、無色ないしは淡色でトナーへの色調障害がない帯電制御剤を用いることが好ましく、例えば、正帯電性帯電制御剤としては4級アンモニウム塩化合物が、負帯電性帯電制御剤としてはサリチル酸もしくはアルキルサリチル酸の亜鉛、アルミニウムなどとの金属塩、金属錯体や、ベンジル酸の金属塩、金属錯体、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物、フェノールアミド化合物、4,4’−メチレンビス〔2−〔N−(4−クロロフェニル)アミド〕−3−ヒドロキシナフタレン〕等のヒドロキシナフタレン化合物が好ましい。
本発明のトナーにおいて、乳化重合凝集法を用いてトナー中に帯電制御剤を含有させる場合は、乳化重合時に重合性単量体等とともに帯電制御剤を添加するか、重合体一次粒子及び着色剤等とともに凝集工程で添加するか、重合体一次粒子及び着色剤等を凝集させてほぼ目的とする粒径となった後に添加する等の方法によって配合することができる。これらのうち、帯電制御剤を界面活性剤を用いて水中で分散させ、体積平均粒径0.01μm以上、3μm以下の分散液として凝集工程に添加することが好ましい。
乳化重合凝集法において、凝集は通常、攪拌装置を備えた槽内で行われるが、加熱する方法、電解質を加える方法と、これらを組み合わせる方法とがある。重合体一次粒子を攪拌下に凝集して目的とする大きさの粒子凝集体を得ようとする場合、粒子同士の凝集力と攪拌による剪断力とのバランスから粒子凝集体の粒径が制御されるが、加熱するか、或いは電解質を加えることによって凝集力を大きくすることができる。本発明において、電解質を添加して凝集を行う場合の電解質としては、有機塩、無機塩のいずれでも良いが、具体的には、NaCl、KCl、LiCl、Na2SO4、K2SO4、Li2SO4、MgC
2、CaCl2、MgSO4、CaSO4、ZnSO4、Al2(SO43、Fe2(SO43、CH3COONa、C65SO3Na等が挙げられる。これらのうち、2価以上の多価
の金属カチオンを有する無機塩が好ましい。
本発明のトナーにおいて、電解質の添加量は、電解質の種類、目的とする粒径等によって異なるが、混合分散液の固形成分100質量部に対して、通常0.05質量部以上であり、0.1質量部以上が好ましい。また、通常25質量部以下であり、15質量部以下が好ましく、特に10質量部以下が好ましい。添加量が少なすぎると、凝集反応の進行が遅くなり凝集反応後も1μm以下の微粉が残る、得られた粒子凝集体の平均粒径が目的の粒径に達しないなどの問題を生じる場合があり、一方多すぎると、急速な凝集となりやすく粒径の制御が困難となり、得られた凝集粒子中に粗粉や不定形のものが含まれるなどの問題を生じる場合がある。電解質を加えて凝集を行う場合の凝集温度は、通常20℃以上、好ましくは30℃以上である。また通常70℃以下、好ましくは60℃以下である。
電解質を用いないで加熱のみによって凝集を行う場合の凝集温度は、重合体一次粒子のガラス転移温度をTgとすると、通常(Tg−20)℃以上であり、(Tg−10)℃以上が好ましい。また、通常Tg以下であり、(Tg−5)℃以下である。
凝集に要する時間は装置形状や処理スケールにより最適化されるが、トナーの粒径が目的とする粒径に到達するためには、前記した所定の温度で通常、少なくとも30分以上保持することが望ましい。所定の温度へ到達するまでの昇温は、一定速度で昇温しても良いし、段階的に昇温することもできる。
上述の凝集処理後の粒子凝集体表面に、必要に応じて樹脂粒子を付着または固着した粒子を形成することも出来る。粒子凝集体表面に性状を制御した樹脂粒子を付着または固着することにより、得られるトナーの帯電性や耐熱性を向上できる場合があり、さらには、本発明の効果を一層顕著とすることができる。
樹脂粒子として重合体一次粒子のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する樹脂粒子を用いた場合、定着性を損なうことなく、耐ブロッキング性の一層の向上が実現できるので好ましい。該樹脂粒子の体積平均粒径は、通常0.02μm以上であり、0.05μm以上が好ましい。また、通常3μm以下であり、1.5μm以下が好ましい。樹脂粒子としては、前述の重合体一次粒子に用いられる重合性単量体と同様なモノマーを乳化重合して得られたもの等を用いることができる。
樹脂粒子は、通常、界面活性剤により水または水を主体とする液中に分散した分散液として用いるが、帯電制御剤を凝集処理後に加える場合には、粒子凝集体を含む分散液に帯電制御剤を加えた後に樹脂粒子を加えることが好ましい。
凝集工程で得られた粒子凝集体の安定性を増すために、凝集工程の後の熟成工程において凝集粒子内の融着を行うことが好ましい。熟成工程の温度は、通常重合体一次粒子のTg以上、好ましくはTgより5℃高い温度以上であり、また、通常Tgより80℃高い温度以下、好ましくはTgより50℃高い温度以下である。また、熟成工程に要する時間は、目的とするトナーの形状により異なるが、重合体一次粒子のガラス転移温度以上に到達した後、通常0.1〜10時間、好ましくは1〜6時間保持することが望ましい。
なお、凝集工程以降、好ましくは熟成工程以前又は熟成工程中の段階で、界面活性剤を添加するか、pH値を上げることが好ましい。ここで用いられる界面活性剤としては、重合体一次粒子を製造する際に用いることのできる乳化剤から一種以上を選択して用いることができるが、特に重合体一次粒子を製造した際に用いた乳化剤と同じものを用いることが好ましい。界面活性剤を添加する場合の添加量は限定されないが、混合分散液の固形成分100質量部に対して、通常0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上、特に好ましくは3質量部以上である。また、通常20質量部以下、好ましくは15質量部以下、特に好ましくは10質量部以下である。凝集工程以降、熟成工程の完了前の間に界面活性剤を添加するか、pH値を上げることにより、凝集工程で凝集した粒子凝集体同士の凝集等を抑制することができ、熟成工程後の粗大粒子生成を抑制できる場合がある。
熟成工程での加熱処理により、凝集体における重合体一次粒子同士の融着一体化がなされ、凝集体としてのトナー粒子形状も球形に近いものとなる。熟成工程前の粒子凝集体は、重合体一次粒子の静電的あるいは物理的凝集による集合体であると考えられるが、熟成工程後は、粒子凝集体を構成する重合体一次粒子は互いに融着しており、トナー粒子の形状も球状に近いものとすることが可能となる。この様な熟成工程によれば、熟成工程の温度及び時間等を制御することにより、重合体一次粒子が凝集した形状である葡萄型、融着が進んだジャガイモ型、更に融着が進んだ球状等、目的に応じて様々な形状のトナーを製造することができる。
得られた粒子は、公知の方法にて固液分離し、粒子を回収し、必要に応じて洗浄、乾燥することで目的とするトナー母粒子を得ることができる。
前記トナー母粒子に対して上述した外添工程により外添剤を本発明の規定に従って外添することによりトナーを得ることができる。
<電子写真感光体>
本発明のトナーとともに現像工程において用いられる電子写真感光体は、温度25℃
、相対湿度50%環境下で、ビッカース圧子を用いて最大押し込み荷重5mN、負荷所要時間10S、除荷所要時間10Sの条件で測定したときの表面の弾性変形率が42%以上46%以下である。
前記所望の弾性変形率を有する電子写真感光体は、公知の方法に基づいて製造することができるが、例えば、特開2012−68589号公報の段落[0196]乃至[0225]及び特開2011−118342号公報の段落[0092]乃至[0128]に示すような方法で製造することができる。
また、電子写真感光体の弾性変形率は実施例に記載の測定方法にて定められる。
<電子写真カートリッジ及び画像形成装置>
本発明のトナー及び本発明のトナーが用いられる電子写真感光体は、画像形成装置に対して取り外し可能な電子写真カートリッジに備えられ、あるいは、直接画像形成装置に備えられる。
以下に電子写真カートリッジを用いた画像形成装置の実施の形態について、装置の要部構成を図3及び図4を用いて説明する。但し、実施の形態は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り任意に変形して実施することができる。
(画像形成装置)
本発明のトナー及び本発明のトナーが用いられる電子写真感光体を備える画像形成装置の要部構成について図3を用いて説明する。
図3に示す通り、画像形成装置は露光装置1、転写装置2、電子写真トナーカートリッジ3、定着装置4で構成される。
電子写真カートリッジ3は、記録紙Pにトナーを現像するもので、図3ではその一例として電子写真感光体を有するトナーカートリッジを示している。
露光装置1は電子写真カートリッジ3の電子写真感光体に露光を行なって電子写真感光体の感光面に静電潜像を形成することができるものであれば、その種類に特に制限はない。具体例としては、ハロゲンランプ、蛍光灯、半導体レーザーやHe−Neレーザー等のレーザー、LEDなどが挙げられる。また、感光体内部露光方式によって露光を行なうようにしてもよい。露光を行なう際の光は任意であるが、例えば波長が780nmの単色光、波長600nm〜700nmのやや短波長寄りの単色光、波長380nm〜500nmの短波長の単色光などで露光を行なえばよい。これらの中で380〜500nmの短波長光を用いると解像度が高くなり好ましい。中でも405nmの単色光が好適である。
転写装置2は、その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。図3ではローラ転写の態様を示している。この転写装置2は、トナーの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、電子写真感光体に形成されたトナー像を記録紙(用紙,媒体)Pに転写するものである。
記録紙P上に転写されたトナーは、所定温度に加熱された上部定着部材42と下部定着部材41との間を通過する際、トナーが溶融状態まで熱加熱され、通過後冷却されて記録紙P上にトナーが定着される。
なお、定着装置についてもその種類に特に限定はなく、ここで用いたものをはじめ、熱ローラ定着、フラッシュ定着、オーブン定着、圧力定着など、任意の方式による定着装置を設けることができる。
(電子写真トナーカートリッジ)
また、上記画像形成装置に使用される電子写真トナーカートリッジの要部構成について図4を用いて説明する。
図4に示すように、電子写真トナーカートリッジ3は、電子写真感光体31,感光体用クリーニングブレード32,帯電装置33,露光装置1及び現像装置34を備えて構成され、更に、必要に応じて転写装置2が設けられる。
電子写真感光体31は、電子写真感光体であれば特に制限はないが、図4ではその一例として、円筒状の導電性支持体の表面に上述した感光層を形成したドラム状の感光体を示している。この電子写真感光体31の外周面に沿って、感光体用クリーニングブレード32,帯電装置33,露光装置1,現像装置34及び転写装置2がそれぞれ配置されている。
帯電装置33は、電子写真感光体31を帯電させるもので、電子写真感光体31の表面を所定電位に均一帯電させる。帯電装置としては、コロトロンやスコロトロン等のコロナ帯電装置、電圧印加された直接帯電部材を感光体表面に接触させて帯電させる直接帯電装置(接触型帯電装置)帯電ブラシ等の接触型帯電装置などがよく用いられる。直接帯電手段の例としては、帯電ローラ、帯電ブラシ等の接触帯電器などが挙げられる。なお、図4では、帯電装置33の一例としてローラ型の帯電装置(帯電ローラ)を示している。直接帯電手段として、気中放電を伴う帯電、あるいは気中放電を伴わない注入帯電いずれも可能である。また、帯電時に印可する電圧としては、直流電圧だけの場合、及び直流に交流を重畳させて用いることもできる。
現像装置34は、その種類に特に制限はなく、カスケード現像、一成分絶縁トナー現像、一成分導電トナー現像、二成分磁気ブラシ現像などの乾式現像方式や、湿式現像方式などの任意の装置を用いることができる。図4では、現像装置34は、現像槽341、アジテータ342、供給ローラ343、現像ローラ344、及び、規制部材345からなり、現像槽341の内部にトナーを貯留している構成となっている。また、必要に応じ、トナーを補給する補給装置(図示せず)を現像装置34に付帯させてもよい。この補給装置は、ボトル、カートリッジなどの容器からトナーを補給することが可能に構成される。
供給ローラ343は、導電性スポンジ等から形成される。現像ローラ344は、鉄,ステンレス鋼,アルミニウム,ニッケルなどの金属ロール、又はこうした金属ロールにシリコン樹脂,ウレタン樹脂,フッ素樹脂などを被覆した樹脂ロールなどからなる。この現像ローラ344の表面には、必要に応じて、平滑加工や粗面加工を加えてもよい。
現像ローラ344は、電子写真感光体31と供給ローラ343との間に配置され、電子
写真感光体31及び供給ローラ343に各々当接している。供給ローラ343及び現像ローラ344は、回転駆動機構(図示せず)によって回転される。供給ローラ343は、貯留されているトナーを担持して、現像ローラ344に供給する。現像ローラ344は、供給ローラ343によって供給されるトナーを担持して、電子写真感光体31の表面に接触させる。
規制部材345は、シリコン樹脂やウレタン樹脂などの樹脂ブレード、ステンレス鋼、アルミニウム、銅、真鍮、リン青銅などの金属ブレード、又はこうした金属ブレードに樹脂を被覆したブレード等により形成されている。この規制部材345は、現像ローラ344に当接し、ばね等によって現像ローラ344側に所定の力で押圧(一般的なブレード線圧は5〜500g/cm)される。必要に応じて、この規制部材345に、トナーとの摩擦帯電によりトナーに帯電を付与する機能を具備させてもよい。
アジテータ342は、回転駆動機構によってそれぞれ回転されており、トナーを攪拌するとともに、トナーを供給ローラ343側に搬送する。アジテータ342は、羽根形状、大きさ等を違えて複数設けてもよい。
感光体用クリーニングブレード32について特に制限はなく、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、ブレードクリーナーなど、任意のクリーニング装置を用いることができる。感光体用クリーニングブレード32は、感光体31に付着している残留トナーをクリーニング部材で掻き落とし、残留トナーを回収するものである。但し、感光体表面に残留するトナーが少ないか、殆ど無い場合には、感光体用クリーニングブレード32は無くても構わない。
転写装置2その種類に特に制限はなく、コロナ転写、ローラ転写、ベルト転写などの静電転写法、圧力転写法、粘着転写法など、任意の方式を用いた装置を使用することができる。ここでは、転写装置2が感光体31に対向して配置されるものとする。この転写装置2は、トナーの帯電電位とは逆極性で所定電圧値(転写電圧)を印加し、感光体31に形成されたトナー像を記録紙Pに転写するものである。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。以下の例で「部」とあるのは「質量部」を意味し、「%」とあるのは「質量%」を意味する。
<電子写真感光体の弾性変形率>
本発明における弾性変形率は、微小硬度計( Fischer社製 : FISCHERSCOPE H100C) を用いて、温度25℃ 、相対湿度50%の環境下で測定した値である。測定には対面角136° のビッカース四角錘ダイヤモンド圧子を用いる。測定条件は以下の通りに設定して
行い、圧子にかかる荷重とその荷重下における押し込み深さを連続的に読み取り、それぞれY軸、X軸にプロットした図1に示すようなプロファイルを取得する。
[測定条件]
最大押し込み荷重 5 m N
負荷所要時間 1 0 s
除荷所要時間 1 0 s
本発明における弾性変形率は、下記式により定義される値であり、押し込みに要した全仕事量に対して、除荷の際に膜が弾性によって行う仕事の割合である。
弾性変形率(%) = (We/Wt) × 100
上記式中、全仕事量Wt(nJ)は図1中のA-B-D-Aで囲まれる面積を示し、弾性変形仕事量We(nJ)はC-B-D-Cで囲まれる面積を示している。弾性変形率が大きいほど、負荷に対する変
形が残留しにくく、100の時には変形が残らないことを意味する。
<重合体一次粒子の平均粒径の測定方法>
日機装株式会社製、型式:Microtrac Nanotrac 150(以下、「ナノトラック」と略記する)を用いて、ナノトラックの取り扱い説明書に従い、同社解析ソフトMicrotrac Particle Analyzer Ver10.1.2.-019EEを用い、電気伝導度が0.5μS/cmのイオン交
換水を分散媒に用い、下記の条件で又は下記の条件を入力し、取り扱い説明書に記載された方法で測定した。
・溶媒屈折率:1.333
・測定時間 :100秒
・測定回数 :1回
・粒子屈折率:1.59
・透過性 :透過
・形状 :真球形
・密度 :1.04
<トナー粒子の体積中位径(Dv50)の測定方法>
ベックマンコールター社製マルチサイザーIII(アパーチャー径100μm)(以下、「マルチサイザー」と略記する)を用い、分散媒には同社製アイソトンIIを用い、分散質濃度0.03質量%になるように分散させて測定した。測定粒子径範囲は2.00から64.00μmまでとし、この範囲を対数目盛で等間隔となるように256分割に離散化し、それらの体積基準での統計値をもとに算出したものを体積中位径(Dv50)とした。
<円形度の測定方法>
本発明における「平均円形度」は、トナー母粒子を分散媒(アイソトンII、ベックマンコールター社製)に、5720〜7140個/μLの範囲になるように分散させ、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社(旧東亜医用電子社)製、FPIA3000)を用いて、以下の装置条件にて測定を行い、その値を「平均円形度」と定義する。本発明においては、同様の測定を3回行い、3個の「平均円形度」の相加平均値を、「平均円形度」として採用する。
・モード :HPF
・HPF分析量 :0.35μL
・HPF検出個数:2000〜2500個
以下は、上記装置で測定され、上記装置内で自動的に計算されて表示されるものであるが、「円形度」は下記式で定義される。
[円形度]=[粒子投影面積と同じ面積の円の周長]/[粒子投影像の周長]
そして、HPF検出個数である2000〜2500個を測定し、この個々の粒子の円形度の算術平均(相加平均)が「平均円形度」として装置に表示される。
[トナー母粒子のコア樹脂とシェル樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定方法]
パーキンエルマー社製DSC7により測定した。試料10mgをアルミニウムパンに入れ、30℃から100℃までを7分間で昇温し、100℃から−20℃まで急冷し、−20℃から100℃までを12分間で昇温して、2回目の昇温時に観察されたTgの値を用いた。吸熱ピークが複数存在する場合は、最も低い吸熱ピーク温度をTgとする。なお、コア樹脂、シェル樹脂は分散液の水分を乾固して測定し、ワックス粒子の吸熱ピークが干渉する場合は、ワックス粒子なしの重合体を作製して行う。
<外添剤の平均一次粒径測定方法>
本発明の外添剤の平均一次粒径は、透過型電子顕微鏡像を用いて測定することできる。例えば、透過型電子顕微鏡像上で、対象となる外添剤から無作為に数千個の粒子を選び出し、その粒子径の個数平均により平均一次粒子径を求める方法やBET比表面積測定値より球換算相当径を求める方法がある。
<外添剤及びトナーのBET比表面積の測定方法>
株式会社マウンテック社製、Macsorb model−1208を使用し、液体窒素を用いる1点法によって測定する。具体的には以下の通りである。
まずガラス製の専用セルに測定サンプルを1.0g程度充填する(以下、このサンプル充填量をA(g)とする)。次いで、セルを測定器本体にセットし、窒素雰囲気下で200℃、20分の乾燥脱気を行った後、セルを室温まで冷却する。その後、セルを液体窒素で冷却しつつ、セル内に測定ガス(第一級の窒素30%・ヘリウム70%混合ガス)を流量25mL/minで流し、測定ガスのサンプルへの吸着量V(cm)を測定する。サンプルの総表面積をS(m)とすると、求めるBET比表面積(m/g)は以下の計算式によって算出できる。
(BET比表面積)=S/A
=[K・(1−P/P0)・V]/A
K:ガス定数(本測定においては、4.29)
P/P0:吸着ガスの相対圧力であり、混合比の97%(本測定においては、0.29)
<帯電量の測定方法>
本発明における無機粒子の帯電量測定は下記条件で行う。
温度23℃、湿度55%環境下において
キャリア : ノンコートフェライトキャリア(粒径80μm、パウダーテック社製) 19.8g
無機粒子 : 0.2g
を20mlガラス瓶に入れ、12h以上放置する。その後、手振りで50回往復混合し、振幅1.0cm、振とう速度500rpmで1分攪拌する。
ガラス瓶から0.2g取り出し、東芝ケミカル製ブローオフTB-200装置により下記設定で測定する。
N2圧力計:1.0Kg/cm2
SET TIME:20.0sec
ファラデーゲージにセットする金網(ステンレス製:400メッシュ)
読み取った値Q(μC)に対して下記計算式にて計算することで単位質量当たりの帯電量Q/M(μC/g)を求めることができる。
Q/M(μC/g) = −(Q(μC)/(測定質量(g))
<真比重の測定方法>
ルシャテリエ比重瓶を用い、JIS−K−0061の5−2−1に準拠して真比重を測定した。操作は次の通りに行った。
(1)ルシャテリエ比重瓶に約250mlのエチルアルコールを入れ、メニスカスが目盛りの位置にくるように調整する。
(2)比重瓶を恒温水槽に浸し、液温が20.0±0.2℃になったとき、メニスカスの位置を比重瓶の目盛りで正確に読み取る。(精度0.025mlとする)
(3)試料を約100g量り取り、その質量をWとする。
(4)量り取った試料を比重瓶に入れ泡を除く。
(5)比重瓶を恒温水槽に浸し、液温が20.0±0.2℃になったとき、メニスカスの位置を比重瓶の目盛りで正確に読み取る。(精度0.025mlとする)
(6)次式により真比重を算出する。
D=W/(L2−L1)
S=D/0.9982
式中、Dは試料の密度(20℃)(g/cm3)、Sは試料の真比重(20℃)、Wは
試料の見かけの質量(g)、L1は試料を比重瓶に入れる前のメニスカスの読み(20℃)(ml)、L2は試料を比重瓶に入れた後のメニスカスの読み(20℃)(ml)、0.9982は20℃における水の密度(g/cm3)である。
[静電荷像現像用トナー製造例]
<ワックスエマルジョンAの製造>
パラフィンワックス(HNP9:日本精蝋製 融点77℃)20質量部を、アニオン性界面活性剤20質量%水溶液(ネオゲンS−20D:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液 第一工業製薬製、以下、「20%DBS水溶液」と略す)1.44質量部と共に、イオン交換水50質量部に加えて、高圧剪断下で乳化することにより、パラフィンワックスのエマルジョン(以下、「ワックスエマルジョンA1」と略す)を作製した。なお、日機装製マイクロトラックMT3300で測定した個数平均粒径(mn)は0.25μmであった。
ワックスの融点は、昇温速度10℃/minで測定を行い、DSCカーブにおいて最大の吸熱を示すピークの頂点の温度とした。
<重合体一次粒子エマルジョンB1の製造>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に、上記ワックスエマルジョンA1を35.6質量部、イオン交換水283質量部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。攪拌翼先端部の周速2.78m/sで攪拌しながら、<配合表−1>の[重合性モノマー類等]と[乳化剤水溶液]との混合物を5時間かけて添加した。前記混合物を滴下開始した時間を「重合開始」とし、「重合開始」の30分後から、前記の操作と併行して[開始剤水溶液−1]を4.5時間かけて添加した。前記混合物と[開始剤水溶液−1]の添加が終了後、[開始剤水溶液−2]を2時間かけて添加した。[開始剤水溶液−2]の添加が終了した後も更に攪拌を続け、内温90℃のまま1時間保持した。
<配合表−1>
[重合性モノマー類等]
スチレン 76.75質量部
アクリル酸ブチル 23.25質量部
アクリル酸 1.5質量部
ヘキサンジオールジアクリレート 0.7質量部
トリクロロブロモメタン 1.0質量部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0質量部
イオン交換水 67.1質量部
[開始剤水溶液−1]
8質量%過酸化水素水溶液 15.52質量部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 15.52質量部
[開始剤水溶液−2]
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 14.21質量部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子エマルジョンB1を得た。マイクロトラックUPAを用いて測定した体積平均粒径(mv)は0.24μmであり、固形分濃度は20.4質量%であった。
<重合体一次粒子エマルジョンB2の製造>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に20%DBS水溶液を1.78重量部、イオン交換水を290部仕込み、窒素気流下で90℃に昇温した。攪拌翼先端部の周速2.78m/sで攪拌しながら、<配合表−2>の[開始剤水溶液−3]を一括添加した。
その後も攪拌を続けたまま、表2の[重合性モノマー類等]と[乳化剤水溶液]との混合物を5時間かけて添加した。また、前記混合物を滴下開始した時間を「重合開始」とし、前記の操作と併行して[開始剤水溶液−4]を重合開始から6時間かけて添加した。[開始剤水溶液−4]の添加が終了した後も更に攪拌を続け、内温90℃のまま1時間保持した。
<配合表−2>
[重合性モノマー類等]
スチレン 100.0質量部
アクリル酸 0.5質量部
トリクロロブロモメタン 0.5質量部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0質量部
イオン交換水 66.0質量部
[開始剤水溶液−3]
8質量%過酸化水素水溶液 3.2質量部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 3.2質量部
[開始剤水溶液−4]
8質量%過酸化水素水溶液 18.9質量部
8質量%L(+)−アスコルビン酸水溶液 18.9質量部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子エマルジョンB2を得た。マイクロトラックUPAを用いて測定した体積平均粒径(mv)は0.15μmであり、固形分濃度は19.5質量%であった。
<トナー粒子分散液の製造>
<配合表−3>の各成分を用いて、以下の凝集工程(コア材凝集工程・シェル被覆工程)・円形化工程を実施することによりコアシェル型の構造を持ったトナー粒子の分散液を得た。
<配合表−3>
重合体一次粒子エマルジョンB1 固形分として 92.5重量部
重合体一次粒子エマルジョンB2 固形分として 7.5重量部
着色剤(カーボンブラックMA100S 三菱化学社製)分散液 着色剤固形分として 5.0重量部
20%DBS水溶液 コア材凝集工程では、固形分として 0.12重量部
円形化工程では、固形分として 3.0重量部
0.5質量%硫酸アルミ水溶液 固形分として 0.1重量部
○コア材凝集工程
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器に重合体一次粒子エマルジョンB1と20%DBS水溶液を仕込み、内温10℃で攪拌翼先端部の周速0.8m/sで5分間攪拌した。続いて攪拌翼先端部の周速を5.1m/sまで上げ、着色剤分散液を15分かけて連続添加し、5分間保持した。
その後、周速を保持したまま内温を55℃まで0.6℃/minで昇温した。次いで、55℃の
まま、マルチサイザーIII測定による体積中位径(Dv50)が6.95μmを超えるま
で、保持した。
○シェル被覆工程
その後、重合体一次粒子エマルジョンB2を10分かけて連続添加してそのまま40分保持した。
○円形化工程
続いて、円形化工程用の20%DBS水溶液とイオン交換水3.5質量部を計25分かけて添加した後100℃に昇温し、フロー式粒子像分析装置FPIA−3000(シスメックス社製)測定による平均円形度が0.968を超えるまで96.5℃のまま保持した。その後2℃/minで30℃まで冷却し、トナー粒子分散液を得た。この時トナー粒子の粒
径Dv50は7.05μm、FPIA−3000を用いて測定した平均円形度は0.970であった。
上記のトナー粒子分散液の製造をそれぞれ製造した後、トナー粒子分散液を遠心分離機(ピーラーセントリフュージHZ:三菱化工機製)を用い、トナー粒子に対して63倍のイオン交換水を通水してろ過、洗浄した。さらに、洗浄したトナー粒子は40℃の雰囲気下で水分量が0.2質量%になるまで乾燥させ、トナー母粒子を得た。
実施例、比較例、参考例には、以下のシリカ粒子P、Q、R、Sを用いた。
シリカ粒子P:原体を乾式法にて作成し、表面をアルキルシラン(ヘキサデシルシリル 炭素数16)で処理。(BET:119.4 m/g、真比重2.2、負帯電性)
シリカ粒子Q:原体を乾式法にて作成し、表面をアルキルシラン(オクチルシリル 炭素数8)で処理。(BET: 139.4m/g、真比重2.2、負帯電性)
シリカ粒子R:原体を乾式法にて作成し、表面をアルキルシラン(ブチルシリル 炭素数4)で処理。(BET:169.9m/g、真比重2.2、負帯電性)
シリカ粒子S:原体を乾式法にて作成し、表面をヘキサメチルジシラザンで処理。(BET
:140.7m/g、真比重2.2、負帯電性)
実施例、比較例、参考例には、以下のチタニアとシリカ複合酸化物粒子XとチタニアYを用いた。
チタニアとシリカ複合酸化物粒子X
(平均一次粒子径:18nm、BET:56.1m2/g、帯電量:-138.3μC/g)
チタニアY
(平均一次粒子径:15nm、BET:97.3m2/g、帯電量:-33.3 μC/g、)
<トナーAの製造例>
トナー母粒子(100部)に対し、上記シリカ粒子Pを0.2部添加し、3500rpmで2分間混合攪拌を行った(第一段階)。
続いてシリカ粒子Pを1.4部添加し、3500rpmで10分間攪拌・混合した(第
二段階)。
更に、酸化チタンXを0.2部、ハイドロタルサイト(平均一次粒子径:0.4μm ,BET:9.31m2/g、帯電量:38.4 μC/g、電気抵抗値:3.01×1011Ω・cm
、)を0.05部添加した後に3500rpmで5分間追加攪拌・混合して篩別することによりトナーAを得た(第三段階)。
<トナーBの製造例 >
トナーAの製造例において、第一段階と第二段階のシリカ粒子Pをシリカ粒子Qにした以外はトナーAの製造例と同様にしてトナーBを得た。
<トナーCの製造例 >
トナーAの製造例において、第一段階と第二段階のシリカ粒子Pをシリカ粒子Rにした
以外はトナーAの製造例と同様にしてトナーCを得た。
<トナーDの製造例 >
トナーAの製造例において、第三段階の酸化チタンXを酸化チタンYにした以外はトナーAの製造例と同様にしてトナーDを得た。
<トナーEの製造例 >
トナーAの製造例において、第三段階の酸化チタンの添加部数を0部にした以外はトナーAの製造例と同様にしてトナーEを得た。
<トナーFの製造例 >
トナーAの製造例において、第一段階と第二段階のシリカ粒子Pをシリカ粒子Sにした以外はトナーAの製造例と同様にしてトナーFを得た。
<トナーGの製造例>
トナーAの製造例において、第一段階と第二段階のシリカ粒子Pをシリカ粒子Sにし、第三段階の酸化チタンXを酸化チタンYにした以外はトナーAの製造例と同様にしてトナーGを得た。
<トナーHの製造例>
トナーAの製造例において、第一段階と第二段階のシリカ粒子Pをシリカ粒子Sにし、第三段階の酸化チタンの添加部数を0部にした以外はトナーAの製造例と同様にしてトナーHを得た。
以上、トナーA乃至Hの外添工程の条件の詳細については表−1に示す。
Figure 2017116600
Figure 2017116600
<感光体の製造>
[感光体製造例1:D1]
感光体は、下記のように、まず各層形成用の塗布液を製造し、それを順次アルミニウム基体上に塗布することにより製造した。なお、下記製造例中の「部」の記載は、特に指定しない限り「質量部」あるいは「重量部」を示す。
(1)下引き層形成用塗布液の製造
下引き層形成用塗布液は以下のように作製した。平均一次粒子径40nmのルチル型酸
化チタン(石原産業社製「TTO55N」)と、該酸化チタンに対して3質量%のメチルジメトキシシラン(東芝シリコーン社製「TSL8117」)とを、ヘンシェルミキサーにて混合して得られた表面処理酸化チタンを、メタノール/1−プロパノールの重量比が7/3の混合溶媒中でボールミルにより分散させることにより、表面処理酸化チタンの分散スラリーとした。該分散スラリーと、メタノール/1−プロパノール/トルエンの混合溶媒及び、ε−カプロラクタム[下記式(A)で表される化合物]/ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン[下記式(B)で表される化合物]/ヘキサメチレンジアミン[下記式(C)で表される化合物]/デカメチレンジカルボン酸[下記式(D)で表される化合物]/オクタデカメチレンジカルボン酸[下記式(E)で表される化合物]の組成モル比率が、60%/15%/5%/15%/5%からなる共重合ポリアミドのペレットとを加熱しながら撹拌、混合してポリアミドペレットを溶解させた後、超音波分散処理を行なうことにより、メタノール/1−プロパノール/トルエンの重量比が7/1/2で、表面処理酸化チタン/共重合ポリアミドを重量比3/1で含有する、固形分濃度18.0%の下引き層形成用塗布液を作製した。
Figure 2017116600
(2)電荷発生層形成用塗布液の製造
電荷発生層形成用塗布液は、以下のように作製した。電荷発生物質として、図2(a)のX線回折スペクトルで示されるオキシチタニウムフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン280部を混合し、サンドグラインドミルで1時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いて、この微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10部を、1,2−ジメトキシエタンの255部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85部の混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び、230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液Aを調製した。
次に、電荷発生物質として、図2(b)のX線回折スペクトルで示されるオキシチタニウムフタロシアニン20部と1,2−ジメトキシエタン280部を混合し、サンドグラインドミルで4時間粉砕して微粒化分散処理を行なった。続いて、この微細化処理液に、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名「デンカブチラール」#6000C)10部を、1,2−ジメトキシエタンの255部と4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンの85部の混合液に溶解させて得られたバインダー液、及び、230部の1,2−ジメトキシエタンを混合して電荷発生層形成用塗布液Bを調製した。
続いて、上記電荷発生層形成用塗布液Aと電荷発生層形成用塗布液Bを、重量比6:4の割合で混合し、本実施例で用いる電荷発生層形成用塗布液を作製した。
(3)電荷輸送層形成用塗布液の製造
電荷輸送層形成用塗布液は、以下のように作製した。電荷輸送物質として、下記式(CTM1a)で表される化合物と、下記式(CTM1b)で表される化合物の混合物(モル比2:1)80部、下記繰り返し構造からなるポリエステル樹脂(A)(粘度平均分子量40,000)を75部、下記繰り返し構造からなるポリカーボネート樹脂(B)(l:m=70:30(mol比)、粘度平均分子量40,000)を25部、遮光剤として、下記構造式(X)で表される化合物を2部、酸化防止剤として、チバスペシャルティーケミカルズ社製、商品名IRGANOX1076を8重量部、レベリング剤としてシリコーンオイル(
信越シリコーン社製:商品名 KF96)0.1部を、テトラヒドロフランとトルエンと
の混合溶媒(テトラヒドロフラン70質量%、トルエン30質量%)815部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
Figure 2017116600
(4)感光層の形成
表面が粗切削仕上げされた外径24mm、長さ261.6mmのアルミニウム製シリンダー上に、上記(1)〜(3)に示した下引き層形成用塗布液、電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法により順次塗布し、乾燥後の膜厚がそれぞれ、1
.3μm、0.4μm、15μmとなるように、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層を形成し、感光体ドラムD1を得た。なお、下引き層、電荷発生層の乾燥は室温で、電荷輸送層の乾燥は、125℃で20分間行なった。
[感光体製造例2:D2]
前記感光体製造例1において、電荷輸送層形成用塗布液として下記の塗布液を使用した以外は、感光体製造例1と同様に感光体ドラムD2を製造した。
電荷輸送層形成用塗布液は、以下のように作製した。電荷輸送物質として、下記式(CTM2)で表される化合物を80部、上記繰り返し構造からなるポリエステル樹脂(A)(粘度平均分子量37,000)を100部、酸化防止剤として、チバスペシャルティーケミカルズ社製、商品名IRGANOX1076を4重量部、レベリング剤としてシリコーンオイル
(信越シリコーン社製:商品名 KF96)0.1部を、テトラヒドロフランとトルエン
との混合溶媒(テトラヒドロフラン80質量%、トルエン20質量%)775部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
Figure 2017116600
[感光体製造例3:D3]
前記感光体製造例1において、電荷輸送層形成用塗布液として下記の塗布液を使用した以外は、感光体製造例1と同様に感光体ドラムD3を製造した。
電荷輸送層形成用塗布液は、以下のように作製した。電荷輸送物質として、上記式(CTM1a)で表される化合物と、上記式(CTM1b)で表される化合物の混合物(モル比2:1)80部、上記繰り返し構造からなるポリエステル樹脂(A)(粘度平均分子量37,000)を100部、酸化防止剤として、チバスペシャルティーケミカルズ社製、商品名IRGANOX1076を4重量部、レベリング剤としてシリコーンオイル(信越シリコーン
社製:商品名 KF96)0.1部を、テトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒(テ
トラヒドロフラン80質量%、トルエン20質量%)775部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
[感光体製造例4:D4]
前記感光体製造例1において、電荷輸送層形成用塗布液として下記の塗布液を使用した以外は、感光体製造例1と同様に感光体ドラムD4を製造した。
電荷輸送物質として、下記式(CTM3)で表わされる構造を主成分とする、幾何異性体の化合物群からなる混合物を40質量部、下記繰り返し構造からなるポリエステル樹脂(C)(粘度平均分子量40,000)を26部、上記繰り返し構造からなるポリエステル樹脂(A)(粘度平均分子量41,000)を74部、レベリング剤は使用せず、テトラヒドロフランとトルエンとの混合溶媒(テトラヒドロフラン80質量%、トルエン20質量%)640部に混合し、電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
Figure 2017116600
〔実施例、比較例、参考例で使用するトナーと電子写真感光体〕
実施例1〜5、比較例1〜7、参考例1〜3で使用するトナーと電子写真感光体の組合せおよび実写結果の詳細については表−2に示す。
<評価方法>
得られたトナーは、実写テストにて画質評価を行った。
実写には、非磁性一成分、有機感光体(OPC)使用で、ローラー帯電、ゴム現像ローラー接触現像方式、タンデム方式、直接転写方式、熱定着方式、ブレードドラムクリーニング方式、のHP社製 CP3525(プリンターA 実施例1〜5および比較例1〜7で使用)および CP4525(プリンターB、参考例1〜3で使用)の2台のフルカラープリンターを用いた。
上記プリンターにて、15℃・20%の環境下にて、5%印字率チャートを連続でプリンターAでは5000枚、プリンターBでは13,000枚まで耐刷した後、以下の項目について判定を行った。
得られたトナーについては、以下の項目について実写評価を行った。
・ フィルミングによる画像欠陥の有無
・ ベタ追従性不良の有無
・ 画像濃度
・ PCかぶり(転写後/ クリーニング前の感光体上のトナー残量)
の評価結果を表−2に示す。
尚、プリンターBは、プロセススピードが速く4.のPCカブリが取得できなかったため、判定なしとした。
<フィルミングによる画像欠陥の有無>
フィルミングによる画像欠陥有無は、目視で判断した。
判定基準は以下の通りである。
○:画像欠陥なし
△:軽微な画像欠陥が認められるが、実使用上は問題なし
×:明らかな画像欠陥が認められ、実使用上支障をきたす
<ベタ追従性不良の有無>
ベタ追従性不良の有無は、目視で判断した。
判定基準は以下の通りである。
◎:ベタ追従性良好
○:軽微なベタ追従性不良が認められるが、実使用上は問題なし
△:ベタ追従性不良が認められ、実使用上支障をきたす
<画像濃度>
画像濃度の測定には、分光濃度計500 シリーズ(エックスライト社製)を用い、視野角は10°、観察条件はF2で測定を実施した。
判定基準は以下の通りである。
画像濃度(プリンターAでは、初期および1,000枚、以降2,000枚の印刷毎の
測定値の平均値。プリンターBでは、初期および2,000枚の印刷毎の測定値の平均値

○:4色の画像濃度の平均値が1.28以上
△:4色の画像濃度の平均値が1.25g以上1.28g未満
×:4色の画像濃度の平均値が1.25g未満
<PCかぶり(転写後/ クリーニング前の感光体上のトナー残量)>
(プリンターAで、初期および1,000枚、以降2,000枚の印刷毎の測定値の平
均値。プリンターBでは、プロセススピードが速くPCカブリが取得できなかったため、判定なしとした。)
画像形成装置中の感光体の、転写/ クリーニングブレード間部分にテープを貼り付け
てはがし、転写残トナーをサンプリングした。テープを標準紙(明度 92 、紙厚 20lb、
サイズ letter)に貼り付け、テープ部分の影響を差し引いて、色差を、分光濃度計500
シリーズ(エックスライト社製)を用い、視野角は10°、観察条件はF2で測定した。PCかぶりは、転写残トナーの量を表すことから、転写効率低下による回収トナー溢れのリスクを評価することができる。
PCかぶりの判定基準は以下の通りである。
○(良好): △ Eが0.61未満
△(許容): △ Eが0.61以上0.71未満
×(不良): △ Eが0.71以上
Figure 2017116600
1・・・露光装置
2・・・転写装置
3・・・電子写真用トナーカートリッジ
4・・・定着装置
41・・・下部定着部材
42・・・上部定着部材
31・・・電子写真感光体
32・・・感光体用クリーニングブレード
33・・・帯電装置
34・・・現像装置
341・・現増槽
342・・アジテータ
343・・供給ローラー
344・・現像ローラー
345・・規制部材

Claims (8)

  1. 温度25℃ 、相対湿度50%環境下で、ビッカース圧子を用いて最大押し込み荷重5
    mN、負荷所要時間10S、除荷所要時間10Sの条件で測定したときの弾性変形率が42%以上46%以下である電子写真感光体に用いられるトナーであって、
    前記トナーは結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナー母粒子と外添剤とを有するトナーであって、該外添剤はシリカ粒子(a)及び複合酸化物粒子(b)を含有し、且つ以下(A)乃至(C)を満足することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
    (A)シリカ粒子(a)の表面がアルキルシランで処理されている
    (B)該シリカ粒子(a)のアルキルシラン表面処理剤の長鎖の炭素数が8以上20以下である
    (C)複合酸化物粒子(b)は、シリカとチタニアの複合酸化物粒子である
  2. 前記(C)を満たす複合酸化物粒子(b)は、コアシェル構造を有し、且つ該複合酸化物粒子(b)のコア部はチタニアを含有し、シェル部はシリカを含有していることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記(C)を満たす複合酸化物粒子(b)中のシリカの含有量が10質量%以上20質量%以下であることを特徴とする請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記トナーが有する前記(C)を満たす複合酸化物粒子(b)の含有量が、前記トナー母粒子100質量部に対して0.2質量部以上0.5質量部以下であることを特徴とする請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 温度25℃ 、相対湿度50%環境下で、ビッカース圧子を用いて最大押し込み荷重5
    mN、負荷所要時間10S、除荷所要時間10Sの条件で測定したときの弾性変形率が42%以上46%以下である電子写真感光体に用いられる静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
    前記トナーの製造方法は、結着樹脂、顔料及びワックスを含有するトナー母粒子の製造工程と前記トナー母粒子の表面に外添剤を付着又は固着させる外添工程とを有し、
    該外添剤はシリカ粒子(a)及び複合酸化物粒子(b)を含有し、且つ以下(A)乃至(C)を満足することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
    (A)シリカ粒子(a)の表面がアルキルシランで処理されている
    (B)該シリカ粒子(a)のアルキルシラン表面処理剤の長鎖の炭素数が8以上20以下である
    (C)複合酸化物粒子(b)は、シリカとチタニアの複合酸化物粒子である
  6. 前記(C)を満たす複合酸化物粒子(b)は、コアシェル構造を有し、且つ該複合酸化物粒子(b)のコア部はチタニアを含有し、シェル部はシリカを含有していることを特徴とする請求項5に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  7. 前記(C)を満たす複合酸化物粒子(b)中のシリカの含有量が10質量%以上20質量%以下であることを特徴とする請求項6に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  8. 前記トナーが有する前記(C)を満たす複合酸化物粒子(b)の含有量が、前記トナー母粒子100質量部に対して0.2質量部以上0.5質量部以下であることを特徴とする請求項7に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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