以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
図1は、実施例1の情報収集システムの構成図である。
情報収集システム1は、車両に搭載される車載装置2と、サーバー3(行先情報提供サーバーの一例)とを含む。サーバー3は、車載装置2とは遠隔に配置される。尚、車載装置2は、複数の車両にそれぞれ搭載されることが想定される。以下では、特に言及しない限り、ある任意の1つの車両に搭載された車載装置2に関する説明を行う。また、以下では、特に言及しない限り、"自車"とは、車載装置2が搭載されている車両を表す。
車載装置2は、ナビゲーション装置7と、車載電子機器群8とを含む。
図2は、ナビゲーション装置7のハードウェア構成の一例を示す図である。図2には、ナビゲーション装置7のハードウェア構成に関連付けて、車載電子機器群8に含まれる要素の例が模式的に図示されている。
ナビゲーション装置7は、バス19で接続されたCPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、ROM(Read Only Memory)13、補助記憶装置14、時計15、及び通信インターフェース17、並びに、通信インターフェース17に接続された有線送受信部25を含む。
有線送受信部25は、CAN(controller area network)やLIN(Local Interconnect Network)などの車両ネットワークを利用して通信可能な送受信部を含む。尚、ナビゲーション装置7は、有線送受信部25に加えて、通信インターフェース17に接続される第2無線送受信部(図示せず)を備えてもよい。この場合、第2無線送受信部は、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)部、ブルーツース(Bluetooth、登録商標)通信部、Wi−Fi(Wireless-Fidelity)送受信部、赤外線送受信部などを含んでもよい。
車載電子機器群8は、GPS(Global Positioning System)受信機81と、通信モジュール82と、ディスプレイ83とを含む。
GPS受信機81は、GPS衛星からの電波に基づいて、自車位置を測位する。
通信モジュール82は、携帯電話における無線通信網を利用して無線通信可能な送受信部である。
ディスプレイ83は、例えばタッチパネル式の液晶ディスプレイである。ディスプレイ83は、運転者が目視可能な位置に配置される。ディスプレイ83は、自車内に固定されるディスプレイであるが、自車内に持ち込まれうる携帯端末(例えば、スマートフォン、タブレット等)のディスプレイであってもよい。この場合、携帯端末とナビゲーション装置7との間の通信は、例えばブルーツース通信部(有線送受信部25の一要素)を介して実現できる。
ナビゲーション装置7は、図1に示すように、渋滞判定部70と、運転者要求判定部72と、行先情報要求部74と、走行履歴データ送信部75と、表示制御部76とを含む。渋滞判定部70、運転者要求判定部72、行先情報要求部74、走行履歴データ送信部75、及び表示制御部76は、図2に示したCPU11がROM13に記憶された1つ以上のプログラムを実行することでそれぞれ実現できる。ナビゲーション装置7は、地図データベース79を含む。地図データベース79は、図2に示した補助記憶装置14により実現できる。
渋滞判定部70は、GPS受信機81からの情報及び外部から得た交通情報(例えば通信モジュール82を介して受信する情報)に基づいて、自車が渋滞区間内に入ったか否かを判定する。例えば、渋滞判定部70は、自車位置が渋滞区間の開始地点付近に位置する場合に、自車が渋滞区間内に入ったと判定する。或いは、渋滞判定部70は、平均車速から計算される渋滞状況に基づいて、自車が渋滞区間内に入ったか否かを判定してもよい。例えば、渋滞判定部70は、自車が走行しているリンクに基づいて、該リンクに対応する閾値(道路種類別に定義される閾値)と、該リンクを走行し始めてから一定時間後の自車の平均車速を比較し、閾値以下であると渋滞と判定する。
運転者要求判定部72は、運転者からの入力に基づいて、運転者が行先情報を要求しているか否かを判定する。運転者からの入力は、例えばディスプレイ83上のタッチスイッチを介して実現される。
行先情報要求部74は、後述するように(図18参照)、自車が渋滞区間内に位置する場合や、運転者が行先情報を要求している場合に、行先情報を要求する信号(「行先情報要求信号」と称する)をサーバー3に送信する。行先情報要求部74は、通信モジュール82を介して行先情報要求信号をサーバー3に送信する。行先情報要求信号に含められる情報は、通信モジュール82のID(Identification)(以下、「端末ID」と称する)と、GPS受信機81から取得する自車位置情報とを含む。端末IDは、通信モジュール82に特有のIDであり、実質的に自車を特定するIDとして機能できる。但し、端末IDに代えて、運転者を特定する運転者IDが用いられてもよい。これは、自車が複数のユーザにより運転される可能性がある場合に好適である。また、自車位置情報に代えて、自車が走行しているリンクのリンクIDが用いられてもよい。リンクIDは、リンク(道路リンク)毎に付与されるIDである。尚、リンクは、同一の道路に対して上りと下りとで別々に設定される。
走行履歴データ送信部75は、自車の走行中、定期的に、走行情報をサーバー3に送信する。走行履歴データ送信部75は、通信モジュール82を介して走行情報をサーバー3に送信する。走行情報は、端末IDと、走行日時と、リンクIDとを含む。走行情報に含められるリンクIDは、自車の走行しているリンクに係る。自車の走行しているリンクに係るリンクIDは、自車位置情報と、地図データベース79内の情報とに基づいて取得できる。走行情報に含められるリンクIDは、例えば、前回の送信周期から今回の送信周期まで通過した全てのリンクに係るリンクIDである。或いは、走行情報に含められるリンクIDは、前回の送信周期から今回の送信周期まで通過した全てのリンクのうちの、特定のリンクのみであってもよい。特定のリンクは、例えば所定の道路種別のリンクである。走行日時は、例えば時計15により取得できる。走行日時は、例えば今回の送信周期の時点の日時である。
走行情報には、更に、ナビゲーション機能の目的地が設定されている場合に、該目的地を表す目的地情報が含まれる。目的地情報は、例えば目的地の位置(緯度及び経度)を表す情報である。
また、走行履歴データ送信部75は、例えばアクセサリスイッチのオフ時に、アクセサリオフ情報をサーバー3に送信する。走行履歴データ送信部75は、通信モジュール82を介してアクセサリオフ情報をサーバー3に送信する。アクセサリオフ情報は、端末IDと、到着日時と、そのときの自車位置情報(緯度及び経度)とを含む。到着日時は、アクセサリスイッチのオフ時の日時である。
表示制御部76は、ディスプレイ83の表示を制御する。例えば、表示制御部76は、サーバー3から受信した行先情報(後述)に基づいて、ディスプレイ83に、周辺の他車の行先を表す表示を行う(図20参照)。表示制御部76は、通信モジュール82を介して行先情報をサーバー3から受信する。
地図データベース79は、地図データを記憶する。地図データには、例えば、交差点・高速道路の合流点/分岐点に各々対応する各ノードの座標情報、隣接するノードを接続するリンク情報、各リンクに対応する道路の幅員情報、各リンクに対応する国道・県道・高速道路等の道路種別等が含まれている。
図3は、サーバー3の機能ブロック図である。尚、サーバー3のハードウェア構成については図示を省略する。サーバー3の基本的なアーキテクチャ(構成)は、図2に示したナビゲーション装置7の構成に対して、実質的に同一であり、処理能力及び記憶容量が強化されている点が異なる。
サーバー3は、行先情報要求信号受信部300と、データ蓄積部301と、到着地点集計部302と、属性判定部303と、ランク付け部304と、行先情報送信部306とを含む。サーバー3は、走行情報データベース310と、アクセサリオフ情報データベース312と、目的地情報データベース314と、リンク別到着地点データベース316と、属性情報付きデータベース317とを含む。行先情報要求信号受信部300、データ蓄積部301、到着地点集計部302、属性判定部303、ランク付け部304、及び行先情報送信部306は、CPUが、ROMに記憶された1つ以上のプログラムを実行することでそれぞれ実現できる。走行情報データベース310等の各データベースは、補助記憶装置(例えばHDD)により実現できる。また、サーバー3は、リンク別行先ランク付け結果テーブル318(ランキング情報の一例)と、位置データベースAPI(Application Programming Interface)319を含む。リンク別行先ランク付け結果テーブル318は、補助記憶装置(ランキング情報記憶部の一例)内に記憶できる。
行先情報要求信号受信部300は、車載装置2からの行先情報要求信号を受信する。行先情報要求信号受信部300は、受信した行先情報要求信号に対して復号処理等し、行先情報要求信号に含まれる情報を行先情報送信部306に与える。
データ蓄積部301は、車載装置2から走行情報を受信し、受信した走行情報を走行情報データベース310に蓄積する。データ蓄積部301は、受信した走行情報に含まれる端末IDに係る車載装置2からアクセサリオフ情報を受信するまで、定期的に受信する走行情報を、1つの走行情報IDに紐付けて蓄積する。以下では、受信した走行情報に含まれるリンクIDを、「受信リンクID」と称する。図4Aには、走行情報データベース310内のデータの一例が概念的に示される。図4Aには、ある走行情報ID=jに関するデータが示されている。尚、図4Aにおいて、"**"は、対応する何らかの情報があることを意味する。これは、他の同様の図(例えば図4B、図4C、図6A、図6B等)においても同様である。
また、この際、データ蓄積部301は、走行情報に目的地情報が含まれる場合は、同走行情報に含まれる受信リンクIDと対応付けて目的地情報を目的地情報データベース314に記憶する。目的地情報データベース314内の目的地情報は、同一の端末IDに係る新たな目的地情報が取得される毎に、更新される。また、目的地情報データベース314内の目的地情報は、リアルタイム性を保つために、同一の端末IDに係る新たな目的地情報が所定時間内に取得されない場合、消去される。図4Cには、目的地情報データベース314内のデータの一例が概念的に示される。
データ蓄積部301は、車載装置2からアクセサリオフ情報を受信したときに、受信したアクセサリオフ情報を、対応する走行情報に係る走行情報IDに対応付けてアクセサリオフ情報データベース312に蓄積する。図4Bには、アクセサリオフ情報データベース312内のデータの一例が概念的に示される。図4Bには、複数の走行情報IDに関するデータが示されている。
到着地点集計部302は、リンクを走行する車両(対応する端末IDに係る車両)の到着地点を集計する。
図5Aは、到着地点集計部302の機能ブロック図である。到着地点集計部302は、アクセサリオフ記録抽出部3021と、現状走行車両行先抽出部3022と、リンク別到着地点集計処理部3023とを含む。
図5Bは、リンク別到着地点集計処理部3023の第1到着地点集計処理の一例を示すフローチャートである。図5Bに示す処理は、定期的に(オフライン又はオンラインで)実行される。図5Bに示す処理は、端末ID毎に実行される。従って、図5Bに関する以下の説明では、走行情報データベース310及びアクセサリオフ情報データベース312内の各データは、着目する端末IDに関する情報であるものとする。
ステップS500では、リンク別到着地点集計処理部3023は、集計対象リンク表3024(図5A)に基づいて、集計対象リンクを抽出する。集計対象リンク表3024は、集計対象リンクのリンクIDの一覧であり、予め規定される。集計対象リンクは、例えば高頻度に渋滞が発生する道路のリンクを含む。リンク別到着地点集計処理部3023は、集計対象リンクを所定の態様でソートする。例えば、リンク別到着地点集計処理部3023は、集計対象リンクを昇順にソートし、1から昇順に番号を付与する。ここでは、集計対象リンクは、k1個存在することとする。
ステップS502では、リンク別到着地点集計処理部3023は、N=1に設定する。
ステップS504では、リンク別到着地点集計処理部3023は、N番目の集計対象リンクを選択する。
ステップS506では、リンク別到着地点集計処理部3023は、走行情報データベース310内に、N番目の集計対象リンクのリンクIDに一致する受信リンクIDが存在するか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、ステップS508に進み、それ以外の場合は、ステップS507に進む。
ステップS507では、リンク別到着地点集計処理部3023は、Nを"1"だけインクリメントする。
ステップS508では、リンク別到着地点集計処理部3023は、Nがk1以上であるか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、終了し、それ以外の場合は、ステップS504に戻る。
ステップS509では、リンク別到着地点集計処理部3023は、走行情報データベース310内に含まれる走行情報IDであって、N番目の集計対象リンクのリンクIDに一致する受信リンクIDを含む走行情報を有する走行情報IDを抽出する。リンク別到着地点集計処理部3023は、抽出した走行情報IDを昇順にソートし、1から昇順に番号を付与する。ここでは、抽出した走行情報IDは、k2個存在することとする。
ステップS510では、リンク別到着地点集計処理部3023は、M1=1に設定する。
ステップS512では、リンク別到着地点集計処理部3023は、アクセサリオフ記録抽出部3021に、アクセサリオフ情報データベース312から、M1番目の走行情報IDに対応するアクセサリオフ情報を抽出させる。
ステップS514では、リンク別到着地点集計処理部3023は、ステップS512で抽出されたアクセサリオフ情報に含まれる自車位置を、「到着地点」として、N番目の集計対象リンクに対応付けてリンク別到着地点データベース316の第1領域に記憶する(図6A参照)。
ステップS516では、リンク別到着地点集計処理部3023は、M1がk2以上であるか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、ステップS520に進み、それ以外の場合は、ステップS518に進む。
ステップS518では、リンク別到着地点集計処理部3023は、M1を"1"だけインクリメントする。
ステップS520では、リンク別到着地点集計処理部3023は、Nがk1以上であるか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、終了し、それ以外の場合は、ステップS521を介してステップS504に戻る。
ステップS521では、リンク別到着地点集計処理部3023は、Nを"1"だけインクリメントする。
図5Bに示す処理によれば、端末ID毎且つ集計対象リンク毎に、到着地点を集計し、リンク別到着地点データベース316の第1領域に記憶できる。図6Aは、リンク別到着地点データベース316の第1領域内のデータの一例を概念的に示す図である。図6Aには、各端末IDに対応付けれた態様で、ある1つの集計対象リンクに関するデータが示される。リンク別到着地点データベース316の第1領域内のデータは、図6Aに示すように、端末ID、到着地点(緯度、経度)、到着日時、及び走行日時を含む。走行日時は、集計対象リンクに係る受信リンクに対応付けられた走行日時である。同様のデータは、他の集計対象リンクに関しても生成されることになる。リンク別到着地点データベース316の第1領域内のデータは、図5Bに示す処理が実行される毎に書き換えられる(更新される)。或いは、図5Bに示す処理は、前回処理以降に蓄積されたデータに対して実行され、その都度、リンク別到着地点データベース316の第1領域内のデータが追加的に更新されてもよい。
図7は、リンク別到着地点集計処理部3023の第2到着地点集計処理の一例を示すフローチャートである。図7に示す処理は、リアルタイムに実行される。図5Bと同一の処理については、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
ステップS530では、リンク別到着地点集計処理部3023は、目的地情報データベース314内に、N番目の集計対象リンクのリンクIDに一致する受信リンクIDが存在するか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、ステップS532に進み、それ以外の場合は、ステップS507に進む。
ステップS532では、リンク別到着地点集計処理部3023は、目的地情報データベース314内から、N番目の集計対象リンクのリンクIDに一致する受信リンクIDに対応付けられた目的地情報を有する端末IDを抽出する。リンク別到着地点集計処理部3023は、抽出した端末IDを昇順にソートし、1から昇順に番号を付与する。ここでは、抽出した端末IDは、k3個存在することとする。
ステップS534では、リンク別到着地点集計処理部3023は、M2=1に設定する。
ステップS536では、リンク別到着地点集計処理部3023は、M2番目の端末IDを選択する。
ステップS538では、リンク別到着地点集計処理部3023は、現状走行車両行先抽出部3022に、目的地情報データベース314から、選択した端末IDに係る目的地情報を抽出させる。
ステップS539では、リンク別到着地点集計処理部3023は、ステップS538で抽出された目的地を、「到着地点」として、N番目の集計対象リンクに対応付けてリンク別到着地点データベース316の第2領域に記録する。
ステップS540では、リンク別到着地点集計処理部3023は、M2がk3以上であるか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、ステップS544に進み、それ以外の場合は、ステップS542に進む。
ステップS542では、リンク別到着地点集計処理部3023は、M2を"1"だけインクリメントする。
ステップS544では、リンク別到着地点集計処理部3023は、Nがk1以上であるか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、終了し、それ以外の場合は、ステップS521を介してステップS504に戻る。
図7に示す処理によれば、端末ID毎且つ集計対象リンク毎に、リアルタイムに走行中の各車両に係る到着地点を集計し、リンク別到着地点データベース316の第2領域に記憶できる。リンク別到着地点データベース316の第2領域内のデータは、図7に示す処理が実行される毎に書き換えられる。図6Bには、リンク別到着地点データベース316の第2領域内のデータの一例が概念的に示される。このようにして、上述した図5Bに示す処理及び図7に示す処理によって、端末ID毎且つ集計対象リンク毎に、集計結果がリンク別到着地点データベース316に記憶される。
属性判定部303は、端末ID毎且つ集計対象リンク毎に、到着地点の集計結果(本例では、リンク別到着地点データベース316内の第1領域のデータ、図6A参照)に基づいて、各到着地点の属性を判定する。到着地点の属性とは、その到着地点に向かった運転者の行動種別に対応する。属性判定部303は、属性の判定結果に応じて値を持つ行動フラグを、各到着地点に紐付ける。行動フラグは、「通勤」であることを表す第1の値と、「帰宅」であることを表す第2の値と、「それ以外」であることを表す第3の値とを含む。
図8は、属性判定部303の機能ブロック図である。属性判定部303は、目的地到着回数計算部3031(到着回数計算部の一例)と、運転者行動カテゴリ判定部3032(属性決定部の一例)とを含む。図8には、属性判定部303の処理結果として得られる属性情報付きデータベース317が示されている。
図9は、属性判定部303の属性判定処理の一例を示すフローチャートである。図9に示す処理は、例えば、図5Bに示す処理によりリンク別到着地点データベース316の第1領域内のデータが更新された場合に実行される。
ステップS900では、目的地到着回数計算部3031は、集計対象リンクを昇順にソートし、1から昇順に番号を付与する。ここでは、集計対象リンクは、k1個存在することとする。
ステップS902では、目的地到着回数計算部3031は、N1=1に設定する。
ステップS904では、目的地到着回数計算部3031は、N1番目の集計対象リンクを選択する。
ステップS906では、目的地到着回数計算部3031は、リンク別到着地点データベース316の第1領域内のデータであって、N1番目の集計対象リンクに対応するデータに含まれる端末IDを抽出する。また、この際、目的地到着回数計算部3031は、前回の属性判定処理完了後を基準としてリンク別到着地点データベース316の第1領域内のデータの更新があった端末IDのみを抽出する。目的地到着回数計算部3031は、抽出した端末IDを昇順にソートし、1から昇順に番号を付与する。ここでは、抽出した端末IDは、k4個存在することとする。
ステップS908では、目的地到着回数計算部3031は、M3=1に設定する。
ステップS910では、目的地到着回数計算部3031は、N1番目の集計対象リンクに係り且つM3番目の端末IDに係るデータであって、リンク別到着地点データベース316の第1領域内のデータを抽出する。
ステップS912では、目的地到着回数計算部3031は、ステップS910で抽出したデータに基づいて、目的地到着回数計算処理を行う。目的地到着回数計算部3031は、ステップS910で抽出したデータに基づいて、同一の行先に係る到着地点の数(以下、「到着回数」と称する)を算出する。ここで、同一の行先に係る複数の到着地点であっても、それぞれは、測位誤差等の誤差を含み、必ずしも緯度及び経度が厳密に一致しない。このため、例えば、目的地到着回数計算部3031は、図10に示すように、かかる誤差を補償できるサイズで、緯度及び経度で表される平面をメッシュ分割し、各メッシュに含まれる到着地点の数を、同一の行先に係る到着回数としてカウントする。尚、図10において、平面の2軸は緯度及び経度であり、縦軸は数(回数)である。図10に示す例では、メッシュのサイズは、約50[m]×約50[m]である。尚、1つのメッシュは、1つの行先に対応する。
ステップS914では、運転者行動カテゴリ判定部3032は、目的地到着回数計算処理結果に基づいて、行動フラグ設定処理を行う。具体的には、運転者行動カテゴリ判定部3032は、ステップS914で算出された到着回数に基づいて、最も到着回数が多いメッシュを特定し、該メッシュ内に含まれる各到着地点を、「自宅」と判定する。そして、運転者行動カテゴリ判定部3032は、「自宅」と判定した各到着地点に対して、行動フラグとして"第2の値"を紐付ける。また、運転者行動カテゴリ判定部3032は、ステップS914で算出された到着回数に基づいて、2番目に到着回数が多く且つ該到着回数が所定閾値Th1以上となるメッシュを特定し、該メッシュ内に含まれる各到着地点を、「勤務先」と判定する。そして、運転者行動カテゴリ判定部3032は、「勤務先」と判定した各到着地点に対して、行動フラグとして"第1の値"を紐付ける。運転者行動カテゴリ判定部3032は、他のメッシュ内に含まれる各到着地点を「その他」と判定し、該メッシュに含まれる各到着地点に対して、行動フラグとして"第3の値"を紐付ける。これは、一般的に、1回の通勤毎に勤務先と自宅とが1回ずつ到着地点となり、通勤頻度は、帰宅頻度よりも少ない(例えば旅行の場合は、勤務先が行きの到着地点とならず、自宅が帰りの到着地点となるため)ためである。また、一般的に、通勤に車両を利用する場合、通勤頻度が、自宅以外の場所へ行く頻度よりも有意に高くなるためである。他方、通勤に車両を利用しない場合、2番目に多い到着回数は、有意に多くならない傾向となるためである。所定閾値Th1は、適合値であるが、例えばステップS910で抽出したデータが14日間のデータである場合、所定閾値Th1は、"3"である。図10は、ある端末IDに対して、例えば28日分のデータに基づく第1目的地到着回数及び第2目的地到着回数の演算結果が示されている。第1目的地到着回数とは、最も到着回数が多いメッシュ内に含まれる各到着地点の数であり、第2目的地到着回数とは、到着回数が2番目に多いメッシュ内に含まれる各到着地点の数である。図10に示す例では、ある端末IDについて、第1目的地到着回数が19回、第2目的地到着回数が15回である。この場合、第1目的地到着回数を計上した各到着地点が「自宅」と判定され、第2目的地到着回数を計上した各到着地点が「勤務先」と判定される。
或いは、運転者行動カテゴリ判定部3032は、ステップS914で算出された到着回数に基づいて、2番目に到着回数が多く且つ該到着回数(第2目的地到着回数)と第1目的地到着回数との差が所定閾値Th2以下となるメッシュを特定し、該メッシュ内に含まれる各到着地点を「勤務先」と判定してもよい。これは、一般的に、1回の通勤毎に勤務先と自宅とが1回ずつ到着地点となり、通勤頻度は、帰宅頻度よりも少ないが、その差は比較的小さい傾向があるためである。
ステップS916では、目的地到着回数計算部3031は、M3がk4以上であるか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、ステップS920に進み、それ以外の場合は、ステップS918を介してステップS910に戻る。
ステップS918では、目的地到着回数計算部3031は、M3を"1"だけインクリメントする。
ステップS920では、目的地到着回数計算部3031は、N1がk1以上であるか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、終了し、それ以外の場合は、ステップS922を介してステップS904に戻る。
ステップS922では、目的地到着回数計算部3031は、N1を"1"だけインクリメントする。
図9に示す処理によれば、端末ID毎且つ集計対象リンク毎に、到着地点の集計結果に基づいて、到着地点の属性が判定され、判定結果として各到着地点に対して行動フラグが付与される。これにより、属性情報付きデータベース317内の実績データが得られる。属性情報付きデータベース317内の実績データは、リンク別到着地点データベース316の第1領域内のデータに、図9に示す処理により得られる行動フラグを付加することで、生成できる。図6Cは、属性情報付きデータベース317内の実績データの一例を概念的に示す図である。図6Cに示す例では、属性情報付きデータベース317内の実績データは、集計対象リンク別に、端末IDと、到着地点(緯度・経度)、到着日時、走行日時、及び行動フラグが含まれる。図6Cには、ある1つの集計対象リンクに関するデータが示される。
図11は、ランク付け部304のブロック図である。ランク付け部304は、図11に示すように、対象データ抽出部3041と、POI(Point Of Interest)補間処理部3042と、リンク別ランキング処理部3043とを含む。尚、図11において、位置データベースAPI319が併せて示されており、位置データベースAPI319は、POI API3191と、逆GeoCodingツール3192とを含む。
対象データ抽出部3041は、属性情報付きデータベース317内から、集計対象リンク別、曜日別且つ時間帯別に実績データを抽出する。曜日別は、平日及び休日の2種類だけで区別されてもよい。時間帯別は、例えば1時間単位である。
POI補間処理部3042は、POI API3191を用いて、POIテーブル(図示せず)を生成する。POIテーブルには、所定区画ごとに、当該区画に含まれるPOIのPOI名称(正式名称)、POIのジャンル名称、POIの緯度及び経度(以下、「POI位置」と称する)が規定され、POI名称毎にPOI_IDが規定される。所定区画は、例えば緯度で約503[m]、経度で約616[m]の単位である。ジャンル名称は、例えば交通機関原点(駅など)、名所・旧跡・観光地、レジャー等である。また、POI補間処理部3042は、POIが存在しない区画に対して、逆GeoCodingツール3192を用いて、POIの補間処理を行う。この場合、POIテーブルにおける、POIが存在しない区画に係るPOI名称は、例えば、当該区画内の代表的な住所による住所名称で規定される。また、POIテーブルにおける、POIが存在しない区画に係るPOI位置は、例えば、当該区画内の代表的な住所である。
リンク別ランキング処理部3043は、対象データ抽出部3041が抽出するデータに対して、POIテーブルを用いて、集計対象リンク別に行先をランク付けする。
図12は、ランク付け部304の行先ランク付け処理の一例を示すフローチャートである。図12に示す処理は、定期的に(オフライン又はオンラインで)実行される。
ステップS1200では、対象データ抽出部3041は、集計対象リンクを昇順にソートし、1から昇順に番号を付与する。ここでは、集計対象リンクは、k1個存在することとする。
ステップS1202では、対象データ抽出部3041は、N2=1に設定する。
ステップS1204では、対象データ抽出部3041は、N2番目の集計対象リンクに対して、曜日を順に選択する。曜日の選択順は、任意であるが、例えば月曜日から日曜日に向かう順序である。
ステップS1206では、対象データ抽出部3041は、N2番目の集計対象リンクに対して選択された曜日に対して、時間帯を順に選択する。時間帯の選択順は、任意であるが、例えば0時か1時間単位で進む順序である。
ステップS1208では、対象データ抽出部3041は、属性情報付きデータベース317(図6C参照)内から、N2番目の集計対象リンクに係る、選択された曜日の選択された時間帯における実績データを、対象データとして抽出する。
ステップS1209では、POI補間処理部3042は、ステップS1208で抽出された対象データに含まれる各到着地点を含む全区画に対するPOIテーブルを生成する。尚、かかるPOIテーブルが既に生成され記憶されている場合は、ステップS1209の処理は省略される。
ステップS1210では、リンク別ランキング処理部3043は、ステップS1208で抽出された対象データと、POIテーブルとに基づいて、N2番目の集計対象リンクに係る行先をランク付けする。この処理は、後述する。
ステップS1212では、対象データ抽出部3041は、N2番目の集計対象リンクに対して選択された曜日に対して、全ての時間帯を選択したか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、ステップS1214に進み、それ以外の場合は、ステップS1206に戻り、新たな時間帯を選択する。
ステップS1214では、対象データ抽出部3041は、N2番目の集計対象リンクに対して全ての曜日を選択したか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、ステップS1216に進み、それ以外の場合は、ステップS1204に戻り、新たな曜日を選択する。
ステップS1216では、対象データ抽出部3041は、N2がk1以上であるか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、終了し、それ以外の場合は、ステップS1218を介してステップS1204に戻る。
ステップS1218では、対象データ抽出部3041は、N2を"1"だけインクリメントする。
図12に示す処理によれば、属性情報付きデータベース317内から、集計対象リンク別、曜日別且つ時間帯別に実績データを抽出して、リンク別ランキング処理部3043によるランク付け処理を行うことができる。
図13は、リンク別ランキング処理部3043の機能ブロック図である。リンク別ランキング処理部3043は、到着地点POI割当部343と、ランキング計算部344とを含む。
図14は、リンク別ランキング処理部3043のランク付け処理の一例を示すフローチャートである。図14に示す処理は、図12のステップS1210の処理の一例である。
ステップS1400では、到着地点POI割当部343は、対象データのうちから、行動フラグが第3の値(「それ以外」)である到着地点を抽出する。
ステップS1402では、到着地点POI割当部343は、POIテーブルに基づいて、ステップS1400で抽出した各到着地点に、POI_IDをそれぞれ対応付ける。ある到着地点にPOI_IDを対応付けるに際して、到着地点POI割当部343は、当該到着地点が属する区画内に複数のPOIが存在する場合は、当該到着地点に最も近いPOIに係るPOI_IDを対応付ける。また、到着地点POI割当部343は、当該到着地点が属する区画内にPOIが存在しない場合は、当該区画(POIが存在しない区画)に係るPOI_IDを対応付ける。
ステップS1404では、ランキング計算部344は、行動フラグが第1の値(「勤務先」)である到着地点の数を合算する。以下では、この合算値を、「勤務先出現回数」と称する。
ステップS1406では、ランキング計算部344は、行動フラグが第2の値(「自宅」)である到着地点の数を合算する。以下では、この合算値を、「自宅出現回数」と称する。そして、ランキング計算部344は、勤務先出現回数と自宅出現回数とを合算する。以下では、この合算値を、「勤務先/自宅出現回数」と称する。
ステップS1408では、ランキング計算部344は、ステップS1402で対応付けたPOI_ID毎に、同じPOI_IDを持つ到着地点の数を合算する。以下では、この合算値を、「POI出現回数」と称する。
ステップS1410では、到着地点POI割当部343は、リンク別到着地点データベース316の第2領域内のデータに、N2番目の集計対象リンクに対応付けられた到着地点(目的地)が存在するか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、ステップS1412に進み、それ以外の場合は、ステップS1416に進む。
ステップS1412では、到着地点POI割当部343は、リンク別到着地点データベース316の第2領域内のデータ内の到着地点であって、N2番目の集計対象リンクに対応付けられた1つ以上の到着地点に、POI_IDをそれぞれ対応付ける。POI_IDの対応付け方法自体は、ステップS1402と同じである。
ステップS1414では、ランキング計算部344は、ステップS1412で対応付けしたPOI_ID毎に、同じPOI_IDを持つ到着地点の数を合算する。以下では、この合算値を、「現在POI出現回数」と称する。
ステップS1416では、ランキング計算部344は、ステップS1406で得た勤務先/自宅出現回数、及びステップS1408で得た各POI出現回数を比較し、最も出現回数が多い順に高いランキングを付与する。この際、ランキング計算部344は、POI出現回数については、同じPOI_IDに係る現在POI出現回数を加算した上で、比較を行う。図15は、POI出現回数の比較方法の説明図である。図15では、横軸にPOI_IDが、縦軸にPOI出現回数(例えば現在POI出現回数の加算後)がそれぞれ示されている。図15に示す例では、POI出現回数のうち、○で囲まれたPOI出現回数が上位3位となる。
図14に示す処理によれば、行動フラグ別に、到着地点の数を比較して、ランキングを付与できる。図16は、リンク別行先ランク付け結果テーブル318の一例を示す図である。図16には、ある1つの集計対象リンクに対するリンク別行先ランク付け結果テーブル318が示されている。図16に示す例では、ランキングが高い順に上位3位(2つのPOI名称及び"勤務先又は自宅")が示されている。具体的には、POI名称"トヨタ会館"に対応するPOI_IDが1位であり、"勤務先又は自宅"が2位であり、POI名称"名古屋市**(住所名称)"に対応するPOI_IDが3位である。このようにして、集計対象リンク毎に上位3位までの各行先が含まれるリンク別行先ランク付け結果テーブル318が生成される。
ところで、各リンクは、各車両の行先に関連する。例えば、ある行先に行くためには、必ず、あるリンクを走行しなければならない場合がありうる。また、ある行先に行く際に、あるリンクを走行する運転者の数が多い場合もある。この点、図12及び図14に示す処理によれば、リンク毎にランク付け処理を行うので、ランク付け処理の結果として得られるランキングの高い行先が、実際の行先と整合する可能性を高めることができる。
また、同じリンクを走行する車両であっても、各車両の行先は、曜日別且つ時間帯別に異なり得る。この点、図12及び図14に示す処理によれば、曜日別且つ時間帯別にランク付け処理を行うので、ランク付け処理の結果として得られるランキングの高い行先が、実際の行先と整合する可能性を高めることができる。
また、一般的に、通勤や帰宅の際に利用される集計対象リンクは、勤務先及び自宅の位置が多様となりうることから、該集計対象リンクを走行する車両の行先の傾向を捉えることが困難である。この点、図12及び図14に示す処理によれば、行動フラグに基づいて、複数の車両の"勤務先又は自宅"について、同一の行先として扱うので、通勤や帰宅の際に利用される集計対象リンクに対しても、該集計対象リンクを走行する車両の行先の傾向を捉えることが可能となる。この結果、ランク付け処理の結果として得られるランキングの高い行先が、実際の行先と整合する可能性を高めることができる。
行先情報送信部306は、行先情報要求信号受信部300が車載装置2からの行先情報要求信号を受信することに応答して、行先情報を生成し、車載装置2に送信する。以下、行先情報要求信号を送信した車両(行先情報の提供対象の車両)を「情報提供対象車両」とも称する。
図17Aは、行先情報送信部306のブロック図である。行先情報送信部306は、対象リンク特定部3060と、送信処理部3061とを含む。
対象リンク特定部3060は、行先情報要求信号に含まれる自車位置情報(情報提供対象車両の位置情報)に基づいて、情報提供対象車両が走行しているリンク(以下、「対象リンク」と称する)を特定する。
送信処理部3061は、リンク別行先ランク付け結果テーブル318に基づいて、対象リンク特定部3060により特定された対象リンクを走行する他車の行先を表す行先情報を生成する。ここでは、送信処理部3061は、リンク別行先ランク付け結果テーブル318に基づいて、対象リンク特定部3060により特定された対象リンクに係る行先(上位3つの行先)を含む情報を生成し、該情報を行先情報とする。これは、ランク付けされた上位の行先を表す情報は、上述のように統計的に、対象リンクを走行する他車の行先を精度良く表す行先情報となるためである。対象リンクに係る行先とは、対象リンクが集計対象リンクであるときは、当該集計対象リンクに対してランク付けされた上位3つの行先を含む。他方、対象リンクが集計対象リンクでないときは、対象リンクに最も近い集計対象リンクに対してランク付けされた上位3つの行先を含んでもよいが、正確な情報を出力する観点から、好ましくは、行先情報を生成せず、"評価対象外道路"であることを表す情報を生成してよい。そして、送信処理部3061は、生成した行先情報を、情報提供対象車両の車載装置2に送信する。この際、対象リンクに係る行先の1つが、"勤務先又は自宅"であるとき、行先情報は、勤務先又は自宅を特定できる情報(例えば、勤務先又は自宅の住所や名称を表す情報)を含まない。具体的には、"勤務先又は自宅"を表す行先情報は、"通勤又は帰宅"という行動種別を表す情報である。これにより、ユーザの個人情報を含まない行先情報を各車両に送信できる。他方、対象リンクに対応付けられた行先が、"勤務先又は自宅"を含まないときは、行先情報は、例えば、各行先のPOI名称及びPOI位置の少なくともいずれか1つを含む。
図17Bは、行先情報送信部306の行先情報送信処理の一例を示すフローチャートである。図17Bに示す処理は、所定周期毎に実行される。
ステップS1700では、送信処理部3061は、行先情報要求信号受信部300にて行先情報要求信号が受信されたか否かを判定する。例えば、送信処理部3061は、行先情報要求信号受信部300からの行先情報要求信号に含まれる情報(自車位置情報等)が入力された場合は、行先情報要求信号受信部300にて行先情報要求信号が受信されたと判定する。判定結果が"YES"の場合は、ステップS1702に進み、それ以外の場合は、今回周期の処理を終了する。
ステップS1702では、送信処理部3061は、行先情報要求信号に含まれる端末IDに基づいて、情報提供対象車両を特定する。
ステップS1704では、送信処理部3061は、対象リンク特定部3060に、行先情報要求信号に含まれる自車位置情報(情報提供対象車両の位置情報)に基づいて対象リンクを特定させる。
ステップS1706では、送信処理部3061は、リンク別行先ランク付け結果テーブル318を参照し、ステップS1704で特定された対象リンクに係る行先情報であって、現在の日時に対応する曜日及び時間帯における上位3つの行先を表す行先情報を、情報提供対象車両の車載装置2に送信する。行先情報を送信する送信信号は、上位3つの行先のそれぞれのランキングを表す情報を含む態様で生成される。例えば、送信信号は、上位3つの行先を特定の順序で含むデータ構造を有してもよいし、上位3つの行先のそれぞれのランキング自体を示すデータや、上位3つの行先のそれぞれに係る出現回数(勤務先/自宅出現回数又はPOI出現回数)を示すデータを含んでもよい。これにより、送信信号を受信する車載装置2は、送信信号に含まれる情報に基づいて、上位3つの行先の各ランキングを判断できる。
図17Bに示す処理によれば、行先情報要求信号に応答して、対象リンクに係る行先(上位3つの行先)を含む行先情報を、情報提供対象車両の車載装置2に送信できる。即ち、サーバー3は、行先情報要求信号を送信してくる車両(情報提供対象車両)に対して、該車両の対象リンクに応じた行先情報を送信できる。
次に、車載装置2における行先情報に関連した処理について説明する。
図18は、行先情報要求信号送信処理の一例を示す概略フローチャートである。
ステップS1800では、運転者要求判定部72は、運転者からの入力に基づいて、運転者が行先情報を要求しているか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、ステップS1804に進み、それ以外の場合は、ステップS1802に進む。
ステップS1802では、渋滞判定部70は、自車が渋滞区間内に入ったか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、ステップS1804に進み、それ以外の場合は、今回周期の処理を終了する。
ステップS1804では、行先情報要求部74は、行先情報要求信号をサーバー3に送信する。
図18に示す処理によれば、自車が渋滞区間内に入った場合に、行先情報要求信号をサーバー3に自動的に送信できる。また、運転者からの入力があった場合にも、行先情報要求信号をサーバー3に送信できる。
尚、図18に示す処理において、ステップS1800及びステップS1802のいずれか一方が省略されてもよい。ステップS1800が省略される場合、ステップS1802の判定結果に応じて、判定結果が"YES"の場合は、ステップS1804に進み、それ以外の場合は、今回周期の処理を終了する。
図19は、行先情報受信処理の一例を示す概略フローチャートである。
ステップS1900では、表示制御部76は、通信モジュール82を介して行先情報が受信されたか否かを判定する。判定結果が"YES"の場合は、ステップS1902に進み、それ以外の場合は、今回周期の処理を終了する。
ステップS1902では、表示制御部76は、受信した行先情報をディスプレイ83上に表示する。この際、表示制御部76は、上位3つの行先のそれぞれのランキングを判断し、ランキングに基づいて、各行先の表示位置を決定する。例えば、表示制御部76は、上位3つの行先のそれぞれの表示位置を、ランキングが高いものが画面上方に位置するように決定する。これにより、ユーザは、表示された複数の行先の各ランキングを把握できる。
図20は、ディスプレイ83上における行先情報の表示態様の一例を示す図である。図20は、ディスプレイ83の画面上の表示を矩形枠内に示す。
図20に示す例では、ディスプレイ83の画面上の表示は、地図表示90と、自車位置表示91と、音声出力ボタン92と、行先表示内容を示す表示"周辺車両の主な行先"93と、3つの行先を示す各表示94,95,96と、各行先の符号を示す各表示94A,95B,96Cと、各行先の位置を示す位置表示94B,96Bとを含む。尚、音声出力ボタン92は、3つの行先を音声で出力させたいユーザが操作するボタン(タッチスイッチ)である。
このようにして、自車の運転者(又は他の乗員)は、ディスプレイ83上の画面を見ることで、周辺の他車の行先を推定できる。従って、周辺の他車の行先に関心がある運転者にとって有用な表示を提示できる。例えば、運転者は、渋滞中、周辺の他車はどこに行くのだろうと疑問に思う。このとき、図20に示すような表示を見れば、運転者は、周辺の他車の行先を推定でき、渋滞中においても、疑問が解消して少しすっきりした気分になれる。
図20に示す例では、2番目の行先の表示95は、"帰宅または通勤"である。"帰宅または通勤"の場合、その位置表示は形成されない。これは、位置表示94B,96Bが形成される他の行先の表示94,96とは対照的である。これは、上述のように、"帰宅または通勤"に関しては、行先情報に自宅等の位置情報が含まれていないためである。このようにして、ユーザの個人情報を利用せずに、"帰宅または通勤"のための車両が多いだろうことを、自車の運転者に通知できる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述した実施例では、行動フラグは、「通勤」であることを表す第1の値と、「帰宅」であることを表す第2の値と、「それ以外」であることを表す第3の値とを含むが、行動フラグは、「通勤」又は「帰宅」であることを表す第1の値と、「それ以外」であることを表す第2の値とを含むものであってもよい。これは、上述した実施例では、行先のランク付けの際、"帰宅"及び"通勤"という別々の行動種別を1つの行動種別"帰宅または通勤"にまとめて扱っていることに対応する。
また、上述した実施例では、行先のランク付けの際、"帰宅"及び"通勤"という別々の行動種別を1つの行動種別"帰宅または通勤"にまとめて、"自宅"及び"勤務先"を1つの行先として扱っている。これは、ディスプレイ83の表示領域の制約を考慮している。従って、ディスプレイ83の表示領域の制約が小さい場合は、行先のランク付けの際、これらの2つの行動種別をそれぞれ別々に扱うことで、"自宅"及び"勤務先"をそれぞれ別々の行先として扱うこととしてもよい。
また、上述した実施例では、行先のランク付けに、目的地情報データベース314(及びそれに基づくリンク別到着地点データベース316の第2領域内のデータ)を用いてリアルタイムの目的地を反映させているが、かかる反映は省略されてもよい。この場合、上述の現在POI出現回数の加算は実行されない。
また、上述した実施例では、送信処理部3061は、上位3つの行先を表す行先情報を、情報提供対象車両の車載装置2に送信する。しかしながら、上位何位までの行先を表す行先情報を情報提供対象車両の車載装置2に送信するかは、任意である。例えば、送信処理部3061は、最上位の行先のみを含む行先情報や、上位2つの行先を表す行先情報を情報提供対象車両の車載装置2に送信してもよい。或いは、送信処理部3061は、上位3つの行先に代えて、上位4つの行先を表す行先情報を、情報提供対象車両の車載装置2に送信してもよい。
また、上述した実施例では、行先のランク付けが行われているが、ランク付けが行われなくてもよい。例えば、変形例として、図14に示す処理において、ステップS1416では、ランキング計算部344は、ステップS1406で得た勤務先/自宅出現回数、及びステップS1408で得た各POI出現回数を、所定の閾値と比較し、所定の閾値を超えた出現回数(勤務先/自宅出現回数又はPOI出現回数)に係る行先を、ランク付けせずに、リンク別行先ランク付け結果テーブル318に代わるリンク別行先結果テーブル(図示せず)に登録する。この場合、行先情報送信部306は、リンク別行先結果テーブルに基づいて、対象リンク特定部3060により特定された対象リンクに係る行先(リンク別行先結果テーブルに登録された、対象リンクに係る行先)を表す情報を、行先情報として生成する。これは、所定の閾値を超えた出現回数に係る行先を表す情報は、上述のように統計的に、対象リンクを走行する他車の行先を精度良く表す行先情報となるためである。
また、別の変形例として、図14に示す処理において、ステップS1416では、ランキング計算部344は、ステップS1406で得た勤務先/自宅出現回数、及びステップS1408で得た各POI出現回数を、複数の所定の閾値と比較してよい。このとき、ランキング計算部344は、第1の所定の閾値を超えた出現回数(勤務先/自宅出現回数又はPOI出現回数)に係る行先を、最上位のグループである第1グループにグループ化し、第1の所定の閾値よりも小さい第2の所定の閾値を超えた出現回数に係る行先を、2番目に上位のグループである第2グループにグループ化するといった具合に、各行先をグループ分けし、グループ毎の行先を、リンク別行先ランク付け結果テーブル318に代わるリンク別グループ化結果テーブル(図示せず)に登録する。この場合、行先情報送信部306は、リンク別グループ化結果テーブルに基づいて、対象リンク特定部3060により特定された対象リンクに係る行先(リンク別グループ化結果テーブに登録された、対象リンクに係る行先であって、上位の所定数のグループに属する行先)を表す情報を、行先情報として生成する。
なお、以上の実施例に関し、さらに以下を開示する。
(態様1)
複数の道路のリンクについて、リンク毎に、該リンクを走行する車両の行先のランキングを表すランキング情報を記憶するランキング情報記憶部と、
情報提供対象車両の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報に基づいて、前記情報提供対象車両が走行している道路のリンクである対象リンクを特定する対象リンク特定部と、
前記ランキング情報に基づいて、前記対象リンクに係る前記行先を表す行先情報であって、前記ランキングの高い順に所定数の前記行先を表す行先情報を、前記情報提供対象車両に送信する行先情報送信部とを含む、行先情報提供サーバー。
(態様2)
車両の走行したリンクと、該リンクを走行したときの到着地点とを含む過去の実績データであって、複数の車両に係る前記実績データに基づいて、リンク毎に、前記ランキング情報を生成するランク付け部を更に含む、態様1に記載の行先情報提供サーバー。
態様2によれば、過去の実績データに基づいて、精度の高いランキング情報を生成できる。精度の高いランキング情報とは、上位の行先が、対象リンクを走行している車両の実際の行先に整合する可能性が高いことを表す。また、リンク毎にランキング情報を生成するので、精度の高いランキング情報を生成できる。これは、リンク毎にそのリンクを走行するときの行先のランキングが異なりうるためである。
(態様3)
前記ランク付け部は、更に、曜日毎且つ時間帯毎に、前記ランキング情報を生成する、態様2に記載の行先情報提供サーバー。
態様3によれば、更に精度の高いランキング情報を生成できる。これは、同じリンクであっても、そのリンクを走行するときの行先のランキングが曜日毎且つ時間帯毎に異なりうるためである。
(態様4)
前記実績データに基づいて、リンク毎に、リンクを走行する車両の到着地点を集計する到着地点集計部を更に含み、
前記ランク付け部は、前記到着地点集計部の集計結果に基づいて、前記ランキング情報を生成する、態様2に記載の行先情報提供サーバー。
態様4によれば、到着地点の集計結果に基づいて、精度の高いランキング情報を生成できる。
(態様5)
前記到着地点集計部は、車両毎且つリンク毎に、前記到着地点を集計し、
車両毎且つリンク毎に、前記到着地点集計部の集計結果に基づいて、同一の行先に係る前記到着地点の数を算出する到着回数計算部と、
前記到着回数計算部の計算結果に基づいて、前記到着地点の属性を決定する属性決定部とを更に含み、
前記到着地点の属性は、自宅又は勤務先である第1種別と、自宅及び勤務先以外である第2種別とを含み、
前記ランク付け部は、前記属性決定部により決定された前記属性に基づいて、前記ランキング情報を生成する、態様4に記載の行先情報提供サーバー。
態様5によれば、車両毎且つリンク毎に到着地点を集計することで、到着地点の属性を精度良く判定できる。第1種別と第2種別との間の相違は、車両毎の集計結果を用いることで判別しやすくなるためである。これは、第2種別の到着地点は、多数の車両の行先となる傾向があるのに対して、第1種別の到着地点は、車両毎に異なる傾向があるためである。また、到着地点の属性に基づいて、利便性の高いランキング情報を生成できる。例えば、複数の車両に係る第1種別の到着地点を1つの行先として纏めることで、各運転者にとって知る必要のない行先(例えば個人の自宅や勤務地)が行先情報に含まれないようにし、利便性を高めることができる。
(態様6)
前記ランク付け部は、リンク毎に、前記第1種別の前記到着地点の数の合計値である第1のパラメータと、同一の行先に係る前記第2種別の前記到着地点の数である第2のパラメータであって、行先毎の第2のパラメータとを算出するパラメータ算出部を含み、
前記ランク付け部は、前記第1のパラメータの算出値及び前記第2のパラメータの各算出値に基づいて、前記ランキング情報を生成する、態様5に記載の行先情報提供サーバー。
態様6によれば、複数の車両に係る第1種別の到着地点(自宅又は勤務先)を1つの行先としてそのランキングを第1のパラメータで評価できる。これにより、第1種別の到着地点と第2種別の各到着地点とを別々のパラメータに基づき比較してランク付けでき、ランキング情報の利便性を高めることができる。
(態様7)
前記ランク付け部は、前記ランキング情報を生成するに当たり、Nを自然数としたとき、前記第1のパラメータの算出値がN番目に大きいときは、自宅又は通勤先をN位にランク付けする、態様6に記載の行先情報提供サーバー。
(態様8)
複数の道路のリンクについて、リンク毎に、該リンクを走行する車両の行先のランキングを表すランキング情報を記憶するランキング情報記憶部を備える行先情報提供サーバーが実行する行先情報提供方法であって、
情報提供対象車両の位置情報を取得し、
前記位置情報に基づいて、前記情報提供対象車両が走行している道路のリンクである対象リンクを特定し、
前記ランキング情報に基づいて、前記対象リンクに係る前記行先を表す行先情報であって、前記ランキングの高い順に所定数の前記行先を表す行先情報を、前記情報提供対象車両に送信することを含む、行先情報提供方法。