以下、図面を参照しながら、本発明にかかる照射装置と墨出器との実施の形態について説明する。
●照射装置(1)●
先ず、本発明にかかる照射装置の実施の形態について説明する。
●照射装置(1)の構成
図1は、本発明にかかる照射装置の実施の形態(以下「第1実施形態」という。)を示す斜視図である。
照射装置1は、壁や天井などの対象物を照射して、対象物に水平ラインや垂直ラインを描く。照射装置1は、光源ユニット10と導光ユニット20とロッドレンズ30とを有してなる。
図2は、照射装置1の左側面視断面図である。
以下の説明において、同図の紙面上側を上方といい、紙面下側を下方という。また、同図の紙面右側を前方といい、紙面左側を後方という。さらに、同図の紙面奥側を左方といい、紙面手前側を右方という。
光源ユニット10は、導光ユニット20にレーザ光の光線束(以下「光束」という。)を出射する。光源ユニット10は、光源11と光源ホルダ12と回路基板13とを備える。
光源11は、光束を出射する。光源11は、例えば、レーザダイオード(半導体レーザ)である。光源11は、光束を出射する出射面と、回路基板13に接続される端子と、を備える。
光源ホルダ12は、光源11を保持する。光源ホルダ12は、両端(紙面上下端)が開口する円筒体である。光源ホルダ12の上端の外周縁には、フランジ部12aが形成される。フランジ部12aには、上下方向に沿うボルト挿通孔(不図示)が2箇所に形成される。光源11は、射出面を上方に向けて光源ホルダ12の内側に保持される。光源11の端子は、光源ホルダ12の下端側の開口から下方へ突出する。
回路基板13は、光源11からの光束の出射を制御する。回路基板13には、例えば、コンパレータや電圧レギュレータなどの素子が設けられる。回路基板13は、光源11の下方に配置される。回路基板13には、光源11の端子が半田などで接続される。回路基板13には、図示されない電源が接続される。
導光ユニット20は、光源11からの光束をロッドレンズ30に導く(導光する)。導光ユニット20は、コリメータレンズ21と第1レンズホルダ22とシンドリカルレンズ23と第2レンズホルダ24とユニットベース25と反射ミラー26とミラーホルダ27とを備える。
コリメータレンズ21は、光源11からの光束を平行光束にする。コリメータレンズ21は、平面視で円形である。コリメータレンズ21は、凸面と平面とを備える。
第1レンズホルダ22は、コリメータレンズ21を保持する。第1レンズホルダ22は、両端(紙面上下端)が開口する円筒体である。コリメータレンズ21は、凸面を上方に向けて第1レンズホルダ22の上下方向における中央の内側に保持される。第1レンズホルダ22の外周面には、第1レンズホルダ22の周方向に沿う溝が形成される。溝には、Oリングが環装される。
シンドリカルレンズ23は、コリメータレンズ21からの平行光束を集光させる。シンドリカルレンズ23は、本発明にかかる照射装置における集光素子の例である。シンドリカルレンズ23は、平面視で円形である。シンドリカルレンズ23は、円柱面と平面とを備える。シンドリカルレンズ23の円柱面は、曲率のある方向と、曲率のある方向に直交する曲率のない方向と、の2つの方向を備える。図2には、シンドリカルレンズ23の曲率のない方向に沿う断面が示される。
第2レンズホルダ24は、シンドリカルレンズ23を保持する。第2レンズホルダ24は、厚いリング体である。シンドリカルレンズ23は、円柱面を上方に向けて第2レンズホルダ24の内側に保持される。第2レンズホルダ24は、第1レンズホルダ22の上端側の内側に保持される。第1レンズホルダ22の内側において、コリメータレンズ21の凸面は、シンドリカルレンズ23の平面と対向する。コリメータレンズ21の中心とシンドリカルレンズ23の中心とは、同一仮想軸線(以下「第1軸線」という。)L1上に位置する。
ユニットベース25は、第1レンズホルダ22を収納する。ユニットベース25は、両端(紙面上下端)が開口する円筒体である。第1レンズホルダ22は、シンドリカルレンズ23の曲率のない方向を前後方向に向けて、ユニットベース25に収納される。第1レンズホルダ22は、ユニットベース25の上下方向の略中央に、Oリングを介して保持される。ユニットベース25の上端の外周縁には、フランジ部25aが形成される。フランジ部25aの上端面には、雌ねじ穴25bが2箇所に形成される。雌ねじ穴25bは、前後方向に沿うユニットベース25の直径ラインの延長線上、かつユニットベース25の開口の同心円上に形成される。
ユニットベース25の上端面には、側方視でVの字状のV溝25eが形成される。V溝25eは、左右方向に沿うユニットベース25の直径ラインの延長線上に形成される。V溝25eは、ユニットベース25の開口を挟んで2箇所に形成される。すなわち、V溝25eは、側方視で2つの雌ねじ穴25bの中間に位置する。
ユニットベース25の下端面には、図示されない雌ねじ穴が2箇所に形成される。2つの雌ねじ穴の間隔は、光源ホルダ12の2つのボルト挿通孔の間隔と同じである。
反射ミラー26は、入射された光束を導光(反射)する。反射ミラー26は、本発明にかかる照射装置における導光素子の例である。反射ミラー26は、一方の面に全反射膜が蒸着などにより形成された全反射ミラーである。全反射膜は、金属などの光反射膜である。反射ミラーの中心と全反射膜が形成された面(以下「導光面」という。)26aの中心とは、一致する。反射ミラー26は、他方の面を後述するミラー支持柱27bcに、例えば、接着剤などで取り付けられる。
ミラーホルダ27は、反射ミラー26とロッドレンズ30とを保持する。ミラーホルダ27は、第1ホルダ部材27aと第2ホルダ部材27bとを備える。
第1ホルダ部材27aは、前後方向に長い略矩形の板である。第1ホルダ部材27aの上面の前端側には、平面視で円形のレンズ溝27aaが形成される。第1ホルダ部材27aの前後方向の略中央には、第1ホルダ部材27aの厚み方向に貫通する光導入孔27abが形成される。光導入孔27abは、平面視で略矩形に開口される。第1ホルダ部材27aの上面のうち、光導入孔27abの後端縁に隣接する部分には、前後方向に沿う係合溝27acが形成される。レンズ溝27aaと光導入孔27abと係合溝27acとは、第1ホルダ部材27aの幅方向(左右方向)の中央に形成される。
第1ホルダ部材27aの上面のうち、レンズ溝27aaと光導入孔27abとの間と、係合溝27acの後側とには、第1ホルダ部材27aの厚み方向に貫通するボルト挿通孔27adが形成される。2つのボルト挿通孔27adの間隔は、ユニットベース25の2つの雌ねじ穴25bの間隔と同じである。ボルト挿通孔27adは、第1ホルダ部材27aの幅方向の中央に形成される。
第1ホルダ部材27aの下面には、側方視で逆Vの字状の逆V溝27aeが形成される。逆V溝27aeは、光導入孔27abの左右に形成される。逆V溝27aeは、左右方向に沿う。逆V溝27aeは、側方視で2つのボルト挿通孔27adの中間に位置する。
第2ホルダ部材27bは、前後方向に長い略矩形の板である。第2ホルダ部材27bの前後方向の長さは、第1ホルダ部材27aの前後方向の長さよりも短い。第2ホルダ部材27bの下面の前端側には、底面視で円形のレンズ溝27baが形成される。第2ホルダ部材27bのレンズ溝27baより後方には、第2ホルダ部材27bの厚み方向に貫通する工具挿通孔27bbが形成される。レンズ溝27baと工具挿通孔27bbとは、第2ホルダ部材27bの幅方向(左右方向)の中央に形成される。
第2ホルダ部材27bの下面の後端側には、下方に向けて突出するミラー支持柱27bcが形成される。ミラー支持柱27bcは、第2ホルダ部材27bの幅方向の中央に形成される。すなわち、第2ホルダ部材27bは、後方視でTの字状である(図1参照)。ミラー支持柱27bcの前端面は、第2ホルダ部材27bの下面に対して斜め後方へ135度の角度で傾斜する。
反射ミラー26は、ミラー支持柱27bcの前端面に、導光面26aを前斜め下方へ向けて取り付けられる。そのため、反射ミラー26は、第2ホルダ部材27bの下面に対して斜め後方へ135度の角度で傾斜する。すなわち、反射ミラー26の導光面26aは、上下方向と前後方向とに対して45度の角度で傾斜する。ミラー支持柱27bcの左右方向の幅は、反射ミラー26の左右方向の幅と同一、もしくは狭い。
第2ホルダ部材27bは、第1ホルダ部材27aの上方に第1ホルダ部材27aと平行に配置される。第2ホルダ部材27bのミラー支持柱27bcの下端部は、第1ホルダ部材27aの係合溝27acに係合される。このとき、第1ホルダ部材27aのレンズ溝27aaは、第2ホルダ部材27bのレンズ溝27baと対向する。第1ホルダ部材27aの2つのボルト挿通孔27adのうち、前側のボルト挿通孔27adは、第2ホルダ部材27bの工具挿通孔27bbと対向する。
ロッドレンズ30は、反射ミラー26からの光束が入射されて照射光束を照射する。ロッドレンズ30は、本発明にかかる照射装置の照射素子の例である。ロッドレンズ30は、円柱体である。ロッドレンズ30の直径は、反射ミラー26からの光束の幅に基づいて適宜決定される。すなわち、ロッドレンズ30の直径は、反射ミラー26からの光束の全てがロッドレンズ30の外周面に入射される値に決定される。
ロッドレンズ30の外周面の半周面側には、半透過膜31が蒸着などにより形成される(図5参照)。半透過膜31は、金属などの光半透過膜である。半透過膜31は、例えば、反射率と透過率との割合が65対35である。すなわち、半透過膜31は、半透過膜31に入射する光束の65%を反射して、残りの35%を透過する。
なお、半透過膜の反射率と半透過膜の透過率との割合は、本実施の形態の割合に限定されない。すなわち、本発明において、半透過膜の反射率と半透過膜の透過率との割合は、ロッドレンズの材料により適宜調整される。
ロッドレンズ30は、半透過膜31が形成された面(以下「半透過面」という。)を反射ミラー26に向けて、第1ホルダ部材27aのレンズ溝27aaと第2ホルダ部材27bのレンズ溝27baとに嵌合される。ロッドレンズ30の中心軸線は、第1ホルダ部材27aの上面と第2ホルダ部材27bの下面のそれぞれと直交する。すなわち、反射ミラー26は、ロッドレンズ30の中心軸線に対して斜め後方へ45度の角度で傾斜する。反射ミラー26の導光面26aの中心と、ロッドレンズ30の中心軸の中央とは、前後方向に沿う同一仮想軸線(以下「第2軸線」という。)L2上に位置する。
本明細書において、ロッドレンズ30の中心軸線とは、ロッドンレンズ30の中心軸を通る直線をいう。
調節機構40は、反射ミラー26と第1軸線L1との間の角度を調節する。調節機構40は、ピン41と調節ボルト42とを備える。ピン41は、円柱体である。ピン41と調節ボルト42との配置については、後述する。
ミラーホルダ27は、ユニットベース25の上方に配置される。このとき、反射ミラー26の導光面26aの中心は、第1軸線L1上に配置される。すなわち、第1軸線L1と第2軸線L2とは、導光面26aの中心で交わる。
ユニットベース25のV溝25eは、ミラーホルダ27の逆V溝27aeと対向する。V溝25eと逆V溝27aeとの間には、ピン41が挟持される。ピン41は、ユニットベース25の開口の左右2箇所に配置される。ユニットベース25とミラーホルダ27とは、調節ボルト42により連結される。調節ボルト42は、第1ホルダ部材27aのボルト挿通孔27adに挿通されて、ユニットベース25の雌ねじ穴25bに螺合される。
このとき、ユニットベース25の上端面と第1ホルダ部材27aの下面との間には、ピン41により隙間が形成される。すなわち、ミラーホルダ27は、ユニットベース25に対してピン41を支点とするシーソー状に揺動可能である。ミラーホルダ27のユニットベース25に対する角度は、2つの調節ボルト42,42の締結量に応じて調節可能である。つまり、反射ミラー26の第1軸線L1に対する角度は、2つの調節ボルト42の締結量により簡易に調節される。
光源ホルダ12は、ユニットベース25の下端面に取り付けられる。光源ホルダ12とユニットベース25とは、光源ホルダ12のボルト挿通孔に挿通されたボルト(不図示)により連結される。ボルトは、光源ホルダ12のボルト挿通孔に挿通されて、ユニットベース25の下端面の雌ねじ穴に螺合される。このとき、光源11の照射面の中心は、第1軸線L1上に位置する。すなわち、光源11の中心と、コリメータレンズ21の中心と、シンドリカルレンズ23の中心と、導光面26aの中心とは、第1軸線L1上に位置する。
照射装置1における第2軸線L2は、第1軸線L1に対して直交する。
なお、第1軸線L1に対する第2軸線L2の角度は、本実施の形態に限定されない。つまり、第1軸線L1に対する第2軸線L2の角度は、後述する反射ミラー26からロッドレンズ30に至る光束の光軸がロッドレンズ30の中心軸線に対して直交するように、調節機構40により適宜調節される。
照射装置1における反射ミラー26の後方には、ミラー支持柱27bcのみが配置される。つまり、照射装置1を構成する全ての部材のうち、反射ミラー26よりも左右方向の幅を有する部材は、反射ミラー26の後方には存在しない。
●照射装置(1)の動作
次に、照射装置1の動作について、光束の進行を中心に説明する。
図3は、照射装置1の光学配置図である。同図の一点鎖線は、光束の範囲と第1軸線L1と第2軸線L2とを示す。同図の実線の矢印については、後述する。
光源11は、回路基板13に制御されて光束を出射する。光源11から出射される光束は、拡散光束である。そのため、光源11からの光束は、所定範囲に拡がりコリメータレンズ21の平面に入射される。コリメータレンズ21に入射された光束は、コリメータレンズ21の作用により平行光束となる。コリメータレンズ21の凸面からの光束は、シンドリカルレンズ23の平面に入射される。
シンドリカルレンズ23に入射された光束は、シンドリカルレンズ23の作用により集光される。ここで、シンドリカルレンズ23は、前述したとおり、曲率のある方向が左右方向(紙面左右方向)に向けられて配置される。そのため、シンドリカルレンズ23による集光の方向は、ロッドレンズ30の中心軸線に直交する方向である左右方向である。換言すれば、シンドリカルレンズ23による集光の方向は、後述する反射ミラー26で反射された光束の進行方向と直交する方向である。
シンドリカルレンズ23からの光束は、反射ミラー26の導光面26aに入射される。導光面26aの中心は、シンドリカルレンズ23の集光位置に配置される。つまり、シンドリカルレンズ23からの光束は、反射ミラー26の導光面26aの中央に集光される。そのため、光源11からの光束は、導光面26aの中央において左右方向に最も狭い。したがって、反射ミラー26は、シンドリカルレンズ23による集光がない場合と比較して、左右方向の幅を狭くすることができる。すなわち、反射ミラー26の左右方向の幅(幅寸法)は、ロッドレンズ30の直径寸法以下に設定できる。
図4は、照射装置1が備える光源11からの光束がロッドレンズ30に至るまでの光路を示す光路図である。同図は、シンドリカルレンズ23の図示が省略されている。
反射ミラー26に入射された光束は、反射ミラー26の全反射膜によりロッドレンズ30に向けて反射される。反射ミラー26からの光束は、集光された角度と同じ角度で広がりロッドレンズ30の半透過面に入射される。反射ミラー26からの光束がロッドレンズ30に入射される角度は、ロッドレンズ30の中心軸線に対して直角である。
ここで、光源11から反射ミラー26に至るまでの光束は、第1軸線L1上を通る。そのため、反射ミラー26からロッドレンズ30に至るまでの光束は、第2軸線L2上を通る。すなわち、光源11からロッドレンズ30に至る光束のうち、光源11から反射ミラー26に至る光束の光軸(以下「第1光軸」という。)は、反射ミラー26からロッドレンズ30に至る光束の光軸(以下「第2光軸」という。)に直交する。
本実施の形態においては、第1光軸は、第1軸線L1と平行する。また、第2光軸は、第2軸線L2と平行する。
なお、第1光軸に対する第2光軸の角度は、本実施の形態に限定されない。すなわち、第1光軸に対する第2光軸の角度は、第2光軸がロッドレンズ30の中心軸線に対して直交するように、調節機構40により適宜調節される。つまり、第1軸光軸に対する第2光軸の角度は、反射ミラー26に入射される光束の入射角に応じて、調節機構40により適宜調節される。
ロッドレンズ30に入射された光束は、65%がロッドレンズ30の半透過膜31により放射状に反射される。一方、残りの35%は、ロッドレンズ30の半透過膜31を透過する。半透過膜31を透過した透過光束は、ロッドレンズ30の前端の外周面に向けて屈折される。屈折した透過光束は、ロッドレンズ30の前端の外周面で屈折して、ロッドレンズ30の前端の外周面から扇状に出射される。ロッドレンズ30から出射される光束(以下「拡散光束」という。)と、半透過膜31に反射された光束(以下「反射光束」という。)とは、壁や天井などの対象物に照射される照射光束を構成する。照射光束は、ロッドレンズ30の中心軸線に対して直交する方向に照射される。
図5は、照射装置1が照射する照射光束の照射方向を示す照射装置1の平面図である。同図の一点鎖線は、反射ミラー26からの光束と、ロッドレンズ30からの照射光束と、を示す。同図において、反射ミラー26からの光束は、説明の便宜上、平行に示す。同図の実線の矢印については、後述する。
照射光束のうち、反射光束は、反射ミラー26からの光束の半透過面への入射角に応じた角度で半透過面から放射状に反射される。反射光束の照射範囲は、例えば、ロッドレンズ30を中心とする約270度である。一方、拡散光束は、ロッドレンズ30の前端の外周面と透過光束との角度に応じて、ロッドレンズ30の前端の外周面から扇状に出射される。拡散光束の照射範囲は、例えば、ロッドレンズ30を中心とする約130度である。反射光束と拡散光束とは、同一平面上に照射される(図2参照)。換言すれば、反射ミラー26からの光束は、反射光束と拡散光束とが同一平面上に照射されるように、ロッドレンズ30に入射される。反射光束の一部は、拡散光束の一部に重なる。その結果、照射光束は、ロッドレンズ30を中心とする360度の範囲にわたりロッドレンズ30から全周ライン状に照射される。
照射光束の一部は、第2軸線L2上を通る。すなわち、照射光束の照射範囲には、反射ミラー26が配置される。そのため、照射光束の一部は、反射ミラー26に照射される。つまり、照射光束の一部は、図3と図5とに実線の矢印で示されるように、反射ミラー26により扇状に遮られる。照射光束のうち、反射ミラー26に照射される照射光束を除く照射光束の他の一部は、照射装置1に遮られることなく対象物に照射される。換言すれば、照射光束は、照射装置1内において反射ミラー26のみに遮られる。つまり、照射光束は、照射装置1を構成する全ての部材のうち、反射ミラー26のみに遮られる。
照射光束が反射ミラー26により遮られる範囲は、反射ミラー26の左右方向の幅に依存する。前述したとおり、反射ミラー26の左右方向の幅(幅寸法)は、シンドリカルレンズ23の作用により、狭くすることができる。すなわち、照射光束は、極めて切れ目の少ない全周ライン状に照射される。
照射装置1は、例えば、ジンバル機構などにより、第1軸線L1を鉛直方向に、第2軸線L2を水平方向に、それぞれ合わることができる。その結果、照射装置1は、反射ミラー26の後方を除いて、極めて切れ目の少ない全周ライン状に照射光束を照射することで、対象物に水平ラインを描くことができる。
以上説明した照射装置1の動作のうち、照射装置1により対象物を照射する照射方法の特徴は、以下のとおりである。すなわち、先ず、光源11は、一の方向である上方に光束を出射する。次いで、反射ミラー26は、光源11から出射された光束を上方とは異なる他の方向である前方に反射する。次いで、ロッドレンズ30は、反射ミラー26からの光束を対象物に照射する。ロッドレンズ30は、照射光束をロッドレンズ30の中心軸線に対して直交する方向に照射する。このとき、照射光束は、照射装置1内において反射ミラー26のみに遮られる。
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、照射装置1は、ロッドレンズ30が照射した照射光束が反射ミラー26にのみ遮られる構成とすることができる。また、照射装置1は、反射ミラーの幅を狭くして照射光束が遮られる範囲を狭くすることができる。すなわち、照射装置1は、前述の簡易な構造により、広い範囲を照射できる。換言すれば、照射装置1は、簡易な構造により、極めて切れ目の少ない全周ライン状に照射光束を照射することができる。
なお、本発明にかかる照射装置は、導光素子の例として、ペンタプリズムを備えてもよい。ペンタプリズムは、1つの角が90度、残りの角が112.5度の5角8面体である。この場合、ペンタプリズムの90度をなす2面のうち、一方の面は、第1軸線に直交して配置される。他方の面は、第2軸線に直交して配置される。ペンタプリズムの90度をなす2面に隣接する2面には、全反射膜が形成される。
●照射装置(2)●
次に、本発明にかかる照射装置の別の実施の形態(以下「第2実施形態」という。)について、先に説明した第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。第2実施形態における照射装置は、反射ミラー(導光素子)とロッドンレンズ(照射素子)とが第1実施形態と異なる。
●照射装置(2)の構成
図6は、第2実施形態における照射装置の光路図である。同図は、光源11からの光束がロッドレンズ30A1,30A2に至るまでの光路を示している。
以下の説明において、同図の紙面上側を上方といい、紙面下側を下方という。また、同図の紙面左側を前方といい、紙面右側を後方という。さらに、同図の紙面奥側を右方といい、紙面手前側を左方という。
照射装置1Aは、第1反射ミラー26A1と第2反射ミラー26A2と第1ロッドレンズ30A1と第2ロッドレンズ30A2とを備える。
第1反射ミラー26A1と第2反射ミラー26A2とは、入射された光束を導光(反射)する。第1反射ミラー26A1と第2反射ミラー26A2とは、本発明にかかる照射装置における導光素子の別の例である。第1反射ミラー26A1は、一方の面に50%透過の半透過膜が蒸着などにより形成されたハーフミラーである。半透過膜は、金属などの光半透過膜である。半透過膜は、例えば、反射率と透過率との割合が50対50である。すなわち、半透過膜は、半透過膜に入射する入射光束の50%を反射して、50%を透過する。
第2反射ミラー26A2は、第1反射ミラー26A1の半透過膜を透過した光束を反射する。第2反射ミラー26A2は、一方の面に全反射膜が蒸着などにより形成された全反射ミラーである。全反射膜は、金属などの光反射膜である。
光源11からの光路における第1反射ミラー26A1の配置は、第1実施形態の反射ミラー26の配置と同じである。すなわち、第1反射ミラー26A1は、半透過膜が形成された導光面26A1aを前斜め下方に向けて、第1軸線L1上に配置される。第1反射ミラー26A1の導光面26A1aは、第1軸線L1に対して45度の角度に傾斜する。
第2反射ミラー26A2は、全反射膜が形成された導光面26A2aを下方に向けて、第1反射ミラー26A1の上方に配置される。第2反射ミラー26A2の導光面26A2aは、第1軸線L1に対して直交する。すなわち、第1反射ミラー26A1の導光面26A1aは、第2反射ミラー26A2の導光面26A2aに対して45度の角度に傾斜する。第2反射ミラー26A2の導光面26A2aの中心は、第1軸線L1に近接する。
第1ロッドレンズ30A1と第2ロッドレンズ30A2とは、第1反射ミラー26A1からの光束が入射されて照射光束を照射する。第1ロッドレンズ30A1と第2ロッドレンズ30A2とは、本発明にかかる照射装置における照射素子の別の例である。
第1ロッドレンズ30A1は、第1実施形態のロッドレンズ30と同じである。すなわち、第1ロッドレンズ30A1の半周面には、半透過膜31Aが形成される(図7参照)。第1ロッドレンズ30A1の配置は、第1実施形態のロッドレンズ30の配置と同じである。
第2ロッドレンズ30A2は、円柱体である。第2ロッドレンズ30A2の直径は、第1反射ミラー26A1からの光束に基づいて適宜決定される。すなわち、第2ロッドレンズ30A2の直径は、第1反射ミラー26A1からの光束の全てが第2ロッドレンズ30A2の外周面に入射される値に決定される。
第2ロッドレンズ30A2は、第1反射ミラー26A1の後方(紙面右方向)に配置される。第2ロッドレンズ30A2は、例えば、第1ホルダ部材27aと、後方に延伸させた第2ホルダ部材27b(図2参照)とにより、第1ロッドレンズ30A1と同様に挟持される。第2ロッドレンズ30A2の中心軸は、第2軸線L2上に位置する。第1反射ミラー26A1は、第2ロッドレンズ30A2の中心軸線に対して45度の角度に傾斜する。
なお、ミラー支持柱(不図示)は、第1反射ミラー26A1からの光束が第2反射ミラー26A2と第2ロッドレンズ30A2のそれぞれに到達する形状に適宜形成される。すなわち、例えば、ミラー支持柱には、第1反射ミラー26A1からの光束が通過する孔が形成される。
●照射装置(2)の動作
次に、照射装置1Aの動作について、光束の進行を中心に説明する。
光源11から第1反射ミラー26A1に至る光路は、第1実施形態の光源11から反射ミラー26に至る光路と同様である。
シンドリカルレンズ(不図示)からの光束は、第1反射ミラー26A1の導光面26A1aに入射される。第1反射ミラー26A1の導光面26A1aに入射された光束は、50%が第1反射ミラー26A1の半透過膜により反射される。第1反射ミラー26A1に反射された光束は、第1実施形態と同様に第1ロッドレンズ30A1の半透過面に入射される。
一方、第1反射ミラー26A1の導光面に入射された光束は、残りの50%が第1反射ミラー26A1の半透過膜31Aを透過する。半透過膜31Aを透過した光束は、第2反射ミラー26A2の導光面26A2aに入射される。第2反射ミラー26A2の導光面26A2aに入射された光束は、第2反射ミラー26A2の全反射膜により反射される。第1反射ミラー26A1と第2反射ミラー26A2との間の光束の光軸は、第1光軸と平行である。
第2反射ミラー26A2からの光束は、第1反射ミラー26A1に入射される。第1反射ミラー26A1に入射された光束は、第1反射ミラー26A1の半透過膜により第2ロッドレンズ30A2に向けて反射される。ここで、第1反射ミラー26A1からの光束が第2ロッドレンズ30A2に入射される角度は、第2ロッドレンズ30A2の中心軸線に対して直角である。第1反射ミラー26A1から第2ロッドレンズ30A2に至るまでの光束の光軸は、第2光軸と平行である。すなわち、第1反射ミラー26A1から第2ロッドレンズ30A2に至るまでの光束の光軸は、第2ロッドレンズ30A2の中心軸線に直交する。
図7は、照射装置1Aが照射する照射光束の照射方向を示す照射装置1Aの平面図である。同図の一点鎖線は、第1反射ミラー26A1からの光束と、ロッドレンズ30Aからの照射光束と、を示す。同図における第1反射ミラー26A1からの光束は、説明の便宜上、第1反射ミラー26A1から平行に示す。
第1ロッドレンズ30A1に入射された光束は、第1実施形態と同様に第1ロッドレンズ30A1を中心とする360度の範囲にわたり第1ロッドレンズ30A1から照射される。
第2ロッドレンズ30A2に入射された光束は、第2ロッドレンズ30A2の後端の外周面に向けて屈折する。屈折した光束は、第2ロッドレンズ30A2の後端の外周面で屈折して、第2ロッドレンズ30A2の後端の外周面から扇状に出射される。第1ロッドレンズ30A1から照射される光束と、第2ロッドレンズ30A2から出射される光束とは、対象物に照射される照射光束を構成する。第2ロッドレンズ30A2から照射される照射光束の照射範囲は、例えば、約130度である。第2ロッドレンズ30A2から照射される照射光束は、第2ロッドレンズ30A2の中心軸線に対して直交する方向に照射される。
第1ロッドレンズ30A1からの照射光束の一部は、第1実施形態と同様に第1反射ミラー26A1により扇状に遮られる。ここで、第2ロッドレンズ30A2から照射される照射光束の照射範囲は、第1ロッドレンズ30A1の第1反射ミラー26A1により遮られる範囲よりも広い。そのため、第1ロッドレンズ30A1からの照射光束の一部は、第2ロッドレンズ30A2からの照射光束の一部に重なる。その結果、照射装置1Aの照射光束の照射範囲は、照射装置1Aを中心とする360度になる。すなわち、照射装置1Aは、全周ライン状に照射光束を照射する。
照射装置1Aは、例えば、ジンバル機構などにより、第1軸線L1を鉛直方向に、第2軸線L2を水平方向に、それぞれ合わせることができる。その結果、照射装置1Aは、360度にわたる広い範囲に照射光束を照射することで、対象物に水平ラインを描くことができる。
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、照射装置1Aは、照射装置1Aを中心とする360度の範囲を照射する構成とすることができる。すなわち、照射装置1Aは、前述の簡易な構造により、360度にわたる広い範囲に照射することができる。換言すれば、照射装置1Aは、前述の簡易な構造により、全周ライン状に照射光束を照射することができる。
なお、照射装置1Aは、第2ロッドレンズ30A2からの照射光束の照射範囲が、第1反射ミラー26A1に入射される第1ロッドレンズ30A1からの照射光束の範囲をカバー可能であれば、シンドリカルレンズ23を備えなくともよい。
●照射装置(3)●
次に、本発明にかかる照射装置のさらに別の実施の形態(以下「第3実施形態」という)について、先に説明した第1実施形態と第2実施形態と異なる部分を中心に説明する。第3実施形態における照射装置は、反射ミラー(導光素子)とロッドレンズ(照射素子)と調節機構とが第1実施形態と第2実施形態のそれぞれと異なる。
図8は、第3実施形態における照射装置の左側面視断面図である。以下の説明において、同図の紙面上側を上方といい、紙面下側を下方という。また、同図の紙面右側を前方といい、紙面左側を後方という。さらに、同図の紙面奥側を左方といい、紙面手前側を右方という。
照射装置1Bは、反射ミラー26Bと、ミラーホルダ27Bと、第1ロッドレンズ30B1と、第2ロッドレンズ30B2と、板バネ28Bと、ロッドレンズホルダ29Bと、調節機構40Bと、を備える。
反射ミラー26Bは、第2実施形態の第1反射ミラー26A1と同じである。すなわち、反射ミラー26Bは、一方の面に半透過膜が形成されたハーフミラーである。光源11からの光路における反射ミラー26Bの配置は、第2実施形態の第1反射ミラー26A1の配置と同じである。すなわち、反射ミラー26Bは、半透過膜が形成された導光面26Baを前斜め下方へ向けて、第1軸線L1上に配置される。反射ミラー26Bの導光面26Baは、第1軸線L1に対して45度の角度に傾斜する。
ミラーホルダ27Bは、第1実施形態の第1ホルダ部材27aに相当する第1ホルダ部27Baと、同第2ホルダ部材27bに相当する第2ホルダ部27Bbと、同ミラー支持柱27bcに相当するミラー支持柱27Bcとが一体に形成される。第1ホルダ部27Baの前端には、上方視でUの字状のレンズ固定部27Bdが両端を前方に向けて形成される。第2ホルダ部27Bbの前端には、上方視でUの字状のレンズ固定部27Bdが両端を前方に向けて形成される。第1ホルダ部27Baのレンズ固定部27Bdの前端面と、第2ホルダ部27Bbのレンズ固定部27Bdの前端面のそれぞれには、板バネ28Bが図示されないボルトにより取り付けられる。
第1ホルダ部27Baのレンズ固定部27Bdの股部に隣接する部位には、左右方向に貫通する雌ねじ孔27Beが形成される。
第2ホルダ部27Bbには、第2ホルダ部27Bbの厚み方向に貫通する光導出孔27Bfが形成される。光導出孔27Bfは、光導入孔27abと対向する。光導出孔27Bfの上開口端には、側方視でVの字状のV溝27Bgが形成される。V溝27Bgは、光導出孔27Bfの上開口端の左右に形成される。V溝27Bgは、左右方向(紙面奥手前方向)に沿う。第2ホルダ部27Bbの上面には、雌ねじ穴27Bhが形成される。雌ねじ穴27Bhは、光導出孔27Bfの前後に形成される。光導出孔27Bfと雌ねじ穴27Bhとは、第2ホルダ部27Bbの幅方向(左右方向)の中央に形成される。
光導出孔27Bfの下方には、反射ミラー26Bが固定される。反射ミラー26Bは、ミラー支持柱27Bcの下端と、第2ホルダ部27Bbの下面とに導光面26Baを前斜め下方へ向けて取り付けられる。
第1ロッドレンズ30B1と第2ロッドレンズ30B2とは、反射ミラー26Bからの光束が入射されて照射光束を照射する。第1ロッドレンズ30B1と第2ロッドレンズ30B2とは、本発明にかかる照射装置における照射素子の別の例である。
第1ロッドレンズ30B1は、第1実施形態のロッドレンズ30と同じである。すなわち、第1ロッドレンズ30B1の半周面には、半透過膜31B1が形成される。第1ロッドレンズ30B1の位置は、第1実施形態のロッドレンズ30の位置と同じである。
第1ロッドレンズ30B1は、半透過面を反射ミラー26Bに向けて、レンズ固定部27Bdに嵌合される。第1ロッドレンズ30B1の上端と下端とには板バネ28Bが前方から当接する。すなわち、第1ロッドレンズ30B1は、ミラーホルダ27Bと板バネ28Bとに挟持される。
第2ロッドレンズ30B2は、円柱体である。第2ロッドレンズ30B2の直径は、反射ミラー26Bからの光束に基づいて適宜選定される。すなわち、第2ロッドレンズ30B2の直径は、反射ミラー26Bからの光束の全てが第2ロッドレンズ30B2の外周面に入射される値に選定される。
第2ロッドレンズ30B2の外周面の半周面側には、半透過膜31B2が蒸着などにより形成される。半透過膜31B2は、金属などの光半透過膜である。半透過膜31B2は、反射率と透過率との割合が65対35である。すなわち、半透過膜31B2は、半透過膜31Bに入射する入射光束の65%を反射して、35%を透過する。
なお、半透過膜の反射率と半透過膜の透過率との割合は、本実施の形態の割合に限定されない。すなわち、本発明において、半透過膜の反射率と半透過膜の透過率との割合は、第2ロッドレンズの材料により適宜調整される。
ロッドレンズホルダ29Bは、第2ロッドレンズ30B2を保持する。ロッドレンズホルダ29Bは、相互に平行な前壁と後壁とを備える。前壁の下端と、後壁の下端とは、下方に凸な円柱面状に接続される。すなわち、ロッドレンズホルダ29Bは、側方視で略Uの字状である。ロッドレンズホルダ29Bの前壁と後壁のそれぞれの上端には、前方視でUの字状のレンズ固定部29Baが形成される。ロッドレンズホルダ29Bの前壁と後壁のそれぞれの下端には、前後方向に突出するフランジ部29Bbが形成される。フランジ部29Bbには、2つのボルト挿通孔29Bcが形成される。2つのボルト挿通孔29Bcの間隔と、第2ホルダ部27Bbの2つの雌ねじ穴27Bhの間隔とは、同じである。
第2ロッドレンズ30B2は、半透過面を反射ミラー26Bに向けて、ロッドレンズホルダ29Bのレンズ固定部29Baに嵌合される。第2ロッドレンズ30B2の中心軸線は、前後方向に沿う。第2ロッドレンズ30B2の中心軸は、第1軸線L1上に位置する。
調節機構40Bは、反射ミラー26Bを透過した光束の光軸と、反射ミラー26に反射された光束の光軸との角度を調節する。調節機構40Bは、ピン41と、ミラーホルダ27Bとユニットベース25とを固定する調節ボルト(以下「第1調節ボルト」という。)42と、第2調節ボルト43Bと、レンズ調節ボルト44Bと、を備える。
レンズ調節ボルト44Bは、反射ミラー26Bに対する第1ロッドレンズ30B1の中心軸線の角度を調節する。レンズ調節ボルト44Bは、雌ねじ孔27Beに螺合される。レンズ調節ボルト44Bには、図示されないテーパ部が形成される。テーパ部は、レンズ調節ボルト44Bの進退に応じて、レンズ固定部27Bdの内側に進退可能である。レンズ調節ボルト44Bのテーパ部は、第1ロッドレンズ30B1の後部下端に当接する。
ロッドレンズホルダ29Bは、ミラーホルダ27Bの光導出孔27Bfの上方に配置される。ロッドレンズホルダ29Bの円柱面状の接続部は、第2ホルダ部27BbのV溝27Bgに当接する。ミラーホルダ27Bとロッドレンズホルダ29Bとは、第2調節ボルト43Bにより連結される。第2調節ボルト43Bは、ロッドレンズホルダ29Bのボルト挿通孔29Bcに挿通されて、第2ホルダ部27Bbの雌ねじ穴27Bhに螺合される。
このとき、ロッドレンズホルダ29Bのフランジ部29Bbの下面と、第2ホルダ部27Bbの上面との間には、隙間が形成される。すなわち、ロッドレンズホルダ29Bは、ミラーホルダ27Bに対して円柱面状の接続部を支点とするシーソー状に揺動可能である。ロッドレンズホルダ29Bのミラーホルダ27Bに対する角度は、2つの第2調節ボルト43Bの締結量に応じて調整可能である。つまり、第2調節ボルト43Bは、反射ミラー26Bに対する第2ロッドレンズ30B2の中心軸線の角度を調節する。
●照射装置(3)の動作
次に、照射装置1Bの動作について、光束の進行を中心に説明する。
光源11から反射ミラー26Bに至る光路と、反射ミラー26Bから第1ロッドレンズ30B1に至る光路は、第2実施形態と同じである。
反射ミラー26Bの半透過膜を透過した光束は、第2ロッドレンズ30B2の半透過面に入射される。反射ミラー26Bからの光束が第2ロッドレンズ30B2に入射される角度は、第2ロッドレンズ30B2の中心軸線に対して直角である。
第2ロッドレンズ30B2に入射された光束は、65%が第2ロッドレンズ30B2の半透過膜31B2により放射状に反射される。一方、残りの35%は、第2ロッドレンズ30B2の半透過膜31B2を透過する。半透過膜31B2を透過した透過光束は、第2ロッドレンズ30B2の上端の外周面に向けて屈折する。屈折した透過光束は、第2ロッドレンズ30B2の上端の外周面から左右方向の扇状に出射される。第2ロッドレンズ30B2から出射される光束と、半透過膜に反射された光束は、対象物に照射される第2照射光束を構成する。第2照射光束は、第2ロッドレンズ30B2の中心軸線に対して直交する方向に照射される。
第1ロッドレンズ30B1から照射される第1照射光束は、第1実施形態と同様に反射ミラー26Bにのみ遮られる。一方、第2ロッドレンズ30B2から照射される第2照射光束は、ロッドレンズホルダ29Bやユニットベース25に遮られる。第1照射光束と、第2照射光束とは、直交する。
照射装置1Bは、例えば、ジンバル機構などにより、第1軸線L1を鉛直方向に、第2軸線L2を水平方向に、それぞれ合わせることができる。その結果、照射装置1Bは、対象物に水平ラインと鉛直ラインとを同時に描くことができる。
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、照射装置1Bは、第1実施形態の照射装置1と同様の効果、すなわち、前述の簡易な構造により、広い範囲を照射できる。換言すれば、照射装置1Bは、簡易な構造により、極めて切れ目の少ない全周ライン状に照射光束を照射することができる。
また、照射装置1Bは、前述の簡易な構造により、対象物に水平ラインと鉛直ラインとを同時に描くことができる。
なお、本発明にかかる照射装置は、導光素子の例として、ペンタプリズムと三角プリズムとを備えてもよい。ペンタプリズムの形状と配置とは、例えば、第1実施形態で述べたペンタプリズムの形状と配置と同じである。ペンタプリズムの90度をなす面に隣接する2面のうち、第1軸線上に位置する面には、半透過膜が形成される。三角プリズムは、ペンタプリズムの半透過膜が形成された面に当接して配置される。
●墨出器●
次に、本発明にかかる墨出器の実施の形態について説明する。
●墨出器の構成
図9は、本発明にかかる墨出器の実施の形態を示す斜視図である。
墨出器Sは、前述の第1実施形態における照射装置1、とベース5と、支持体(不図示)と、ジンバル機構(不図示)と、揺動体(不図示)、と電源(不図示)と、ケース6と、を有してなる。
照射装置1は、対象物に水平ラインや鉛直ラインを描く。
なお、照射装置は、例えば、前述した第2実施形態における照射装置1Aや、第3実施形態における照射装置1Bなどでもよい。
照射装置1は、揺動体に固定される。照射装置1は、例えば、導光ユニット20とロッドレンズ30とがケース6の上方に配置される。照射装置1は、ジンバル機構により、第1軸線L1が鉛直方向に向くように調整される。
ベース5は、支持体を支持する。ベース5は、略矩形の板状体である。ベース5は、3脚により支持される。
支持体は、ベース5の4角から上方に立ち上がった4本の支柱から構成される。
ジンバル機構は、揺動体を介して照射装置1の水平方向と鉛直方向とのバランスを調整する。ジンバル機構は、前後方向に沿う第1軸と、左右方向に沿う第2軸と、中間支持体と、を備える。中間支持体は、第1軸により左右方向に揺動可能に支持される。第2軸は中間支持体に支持される。
揺動体は、照射装置1を支持する。揺動体は、ジンバル機構の第2軸に前後方向に揺動可能に支持される。すなわち、揺動体は、支持体に対して前後左右に揺動可能である。つまり、揺動体は、常に水平方向と鉛直方向とに対する一定の姿勢を保つ。
電源は、照射装置1に光源の駆動用の電源を供給する。電源は、例えば、ベース5の上に配置される。
ケース6は、支持体とジンバル機構と揺動体と電源とを収納する。ケース6は、例えば、有底筒体である。ケース6は、ベース5の上方に被せられる。
●墨出器の動作
次に墨出器Sの動作について説明する。
墨出器Sは、例えば、建築現場の建築中の建物の床面に設置される。このとき、照射装置1は、ジンバル機構により、第1軸線L1が鉛直方向に向くように調整される。この状態において、墨出器Sの電源をオンにすると、照射光束は、照射装置から建物の壁(対象物)に照射される。その結果、墨出器Sは、水平方向における反射ミラー(不図示)に遮られた範囲を除いた範囲内の対象物に極めて切れ目の少ない全周ライン状に水平ラインを描くことができる。
以上説明した墨出器Sの動作のうち、墨出器Sにより対象物を照射する照射方法の特徴は以下のとおりである。すなわち、先ず、光源11は、一の方向である上方に光束を出射する。次いで、反射ミラー26は、光源11から出射された光束を上方とは異なる他の方向である前方に反射する。次いで、ロッドレンズ30は、反射ミラー26からの光束を対象物に照射する。ロッドレンズ30は、照射光束をロッドレンズ30の中心軸線に対して直交する方向に照射する。このとき、墨出器S内においては、照射光束は、反射ミラー26のみに遮られる。
なお、照射装置を前述した第2実施形態の照射装置1Aとすることで、墨出器は、水平方向における360度の範囲内の対象物に水平ラインを描くことができる。また、照射装置を前述した第3実施形態の照射装置1Bとすることで、墨出器は、対象物に水平ラインと鉛直ラインとを同時に描くことができる。
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、墨出器Sは、本発明にかかる照射装置を備えるため、広い範囲を照射することができる。換言すれば、墨出器Sは、簡易な構造により、極めて切れ目の少ない全周ライン状に照射光束を照射することができる。