以下本発明の作業機械の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の作業機械の第1の実施の形態である油圧ショベルを示す側面図、図2は本発明の作業機械の第1の実施の形態を構成する油圧駆動装置の要部構成を示す概略図である。
従来技術の油圧ポンプの吐出流量制御回路を備えた開ポンプ直接制御回路においては、油圧ポンプの吐出流量を制御する制御装置が故障した場合、吐出流量制御回路は動作不能となるため、油圧ポンプからの圧油を油圧アクチュエータに供給できず、油圧ショベルは動作不能になる。そこで、本発明の作業機械の第1の実施の形態においては、開ポンプ直接制御回路を複数備えた油圧回路において、開ポンプ直接制御回路ごとに、片傾転ポンプと制御信号線で接続したポンプ制御装置を備え、オペレータの操作レバーの操作量から吐出流量制御回路への制御指令を演算し送信する上位制御装置を備え、各ポンプ制御装置と上位制御装置とを通信線で接続した構成とした。このことにより、いずれかのポンプ制御装置が故障して停止しても、一部の片傾転ポンプのみが停止するだけであるため、油圧ショベルの動作を停止することなく、作業し続けることができ、稼働率の高い油圧ショベルを提供できる。
図1において、本実施の形態に係る作業機械として、油圧ショベル100を例に説明する。油圧ショベル100は、左右方向の両側にクローラ式の走行装置8a,8bを備えた下部走行体103と、下部走行体103の上に旋回可能に取付けられた本体としての上部旋回体102とを備えている。上部旋回体102上にはオペレータが搭乗する操作室としてキャブ101が設けられている。下部走行体103と上部旋回体102とは、旋回油圧モータ7を介して旋回可能とされている。
上部旋回体102の前側には、例えば掘削作業等を行うための作動装置であるフロント作業機104の基端部が回動可能に取り付けられている。ここで、前側とは、キャブ101に搭乗するオペレータが向く方向(図1中の左方向)をいう。
フロント作業機104は、上部旋回体102の前側に基端部が俯仰動可能に連結されたブーム2を備えている。ブーム2は、供給される流体としての作動油(圧油)にて駆動する片ロッド式油圧シリンダであるブームシリンダ1を介して動作する。ブームシリンダ1は、ブームロッド1bの先端部が上部旋回体102に連結され、ブームヘッド1aの基端部がブーム2に連結されている。
ブーム2の先端部には、アーム4の基端部が俯仰動可能に連結されている。アーム4は、片ロッド式油圧シリンダであるアームシリンダ3を介して動作する。アームシリンダ3は、アームロッド3bの先端部がアーム4に連結され、アームシリンダ3のアームヘッド3aがブーム2に連結されている。
アーム4の先端部には、バケット6の基端部が俯仰動可能に連結されている。バケット6は、供給される作動油にて駆動する油圧アクチュエータとしての片ロッド式油圧シリンダであるバケットシリンダ5を介して動作する。バケットシリンダ5は、バケットロッド5bの先端部がバケット6に連結され、バケットシリンダ5のバケットヘッド5aの基端がアーム4に連結されている。
次に、図2に示す概略図における油圧駆動装置のシステム構成を説明する。
図2において、動力源であるエンジン9は、動力を配分する動力伝達装置10に接続されている。動力伝達装置10には、開回路ポンプである第1片傾転ポンプ11と第2片傾転ポンプ12とが接続されている。
第1片傾転ポンプ11と第2片傾転ポンプ12は、それぞれ流量調整手段として一対の入出力ポートを持つ傾転斜板機構と、斜板の傾斜角を調整してポンプ押しのけ容積を調整する調整器としてのレギュレータ11a,12aを備えている。レギュレータ11a,12aは、第1及び第2ポンプ制御装置18,19から制御信号線50,51を介して受信した吐出流量制御信号に従い、第1及び第2片傾転ポンプ11,12の吐出流量を制御する。
第1片傾転ポンプ11の吐出ポートは、流路20を介して流路切換回路としての切換弁14,15に接続されている。切換弁14,15は上位制御装置33からの制御信号線を介した信号により、流路の流通及び切換方向が制御され、信号が無い場合は遮断状態に制御される。第1片傾転ポンプ11の吸入ポートは、流路22を介して切換弁14,15及びタンク32に接続されている。
切換弁14は、流路21,23を介してブームシリンダ1に接続されていて、切換弁14が流通状態になると、第1片傾転ポンプ11はブームシリンダ1と流路を介して接続される。このような、片傾転ポンプと流路と切換弁と油圧シリンダとからなる油圧回路を油圧開回路と称する。
切換弁15は、流路28,29,25,27を介してアームシリンダ3に接続されていて、切換弁15が流通状態になると、第1片傾転ポンプ11はアームシリンダ3と流路を介して接続される。
同様に、第2片傾転ポンプ12の吐出ポートは、流路24を介して流路切換回路としての切換弁16,17に接続されている。切換弁16,17は上位制御装置33からの制御信号線を介した信号により、流路の流通及び切換方向が制御され、信号が無い場合は遮断状態に制御される。第2片傾転ポンプ12の吸入ポートは、流路26を介して切換弁16,17およびタンク32に接続されている。
切換弁16は、流路30,31,21,23を介してブームシリンダ1に接続されていて、切換弁16が流通状態になると、第2片傾転ポンプ12はブームシリンダ1と流路を介して接続される。
切換弁17は、流路25,27を介してアームシリンダ3に接続されていて、切換弁17が流通状態になると、第2片傾転ポンプ12はアームシリンダ3と流路を介して接続される。
上位制御装置33は、圧油制御部33aと、故障判定部33bと、信号送信部33cとを備えている。上位制御装置33には、操作レバー34a,34bが制御信号線を介して接続されている。
圧油制御部33aは、オペレータが操作レバー34a,34bを操作した際の操作指令値に基づいて、第1及び第2片傾転ポンプ11,12、切換弁14〜17の制御量であるポンプ吐出流量制御信号と流路切換回路制御信号を演算する。演算方法は、例えば、操作指令値と操作対象である第1及び第2片傾転ポンプ11,12と切換弁14〜17との関係を予め設定した表に基づいてポンプ吐出流量制御信号と流路切換回路制御信号を決定する。
故障判定部33bは、上位制御装置33と通信線を介して接続された第1及び第2ポンプ制御装置18,19の故障による誤作動、および停止を検知する。第1及び第2ポンプ制御装置18,19の故障検知手段としては、例えば、第1及び第2ポンプ制御装置18,19から一定時間間隔で上位制御装置33へ稼働状態信号を送信させるように構成し、故障判定部33bがこの稼働状態信号を受信できたかどうかを判定するようにしても良い。
上位制御装置33が稼働状態信号を受信できた場合、故障判定部33bは、第1及び第2ポンプ制御装置18,19が正常な稼動状態である判定する。上位制御装置33が稼働状態信号を受信できなかった場合、故障判定部33bは、第1及び第2ポンプ制御装置18,19のいずれか又は全てが故障状態であると判定する。具体的には、第1及び第2ポンプ制御装置18,19のいずれか又は全てが停止した場合や、通信線が断線した場合等が考えられる。
信号送信部33cは、圧油制御部33aが演算した切換弁14〜17の流路切換方向である流路切換回路制御信号を、切換弁14〜17に送信する。
第1及び第2ポンプ制御装置18、19は、それぞれ信号受信部18a,19aと、流量制御部18b,19bとを備えている。
第1ポンプ制御装置18において、信号受信部18aは通信線を介して上位制御装置33から吐出流量制御信号を受信する。流量制御部18bは、受信した吐出流量制御信号に基づき、制御信号線50とレギュレータ11aを介して第1片傾転ポンプ11の吐出流量を制御し、流路20に作動油を吐出させる。
同様に、第2ポンプ制御装置19の信号受信部19aは通信線を介して上位制御装置33から吐出流量制御信号を受信する。流量制御部19bは、受信した吐出流量制御信号に基づき、制御信号線51とレギュレータ12aを介して第2片傾転ポンプ12の吐出流量を制御し、流路24に作動油を吐出させる。
次に油圧駆動装置における、油圧アクチュエータを駆動させる一連の動作について説明する。
まず、ブームシリンダ1とアームシリンダ3の停止状態について説明する。
操作レバー34a,34bが非操作の場合、上位制御装置33の圧油制御部33aは、制御信号線を介して操作レバー34a,34bの各操作量を受けとり、例えば予め設定しておいた表に基づいて、操作量に応じた第1及び第2片傾転ポンプ11,12のポンプ吐出流量制御信号を0に、切換弁14〜17の流路切換方向である流路切換回路制御信号を全て遮断と決定する。
故障判定部33bは、第1及び第2ポンプ制御装置18,19が故障しているか否かを判定する。信号送信部33cは、制御信号線を介して流路切換回路制御信号を送信し、切換弁14〜17の流路切換方向を制御する。
また、信号送信部33cは、吐出流量制御信号を第1及び第2ポンプ制御装置18,19に通信線を介して送信し、第1及び第2ポンプ制御装置18,19の信号受信部18a,19aは吐出流量制御信号を受信する。流量制御部18bは受信した吐出流量制御信号に基づき、ポンプの押しのけ容積を算出して、レギュレータ11aへ駆動信号を出力することで、第1片傾転ポンプ11の吐出流量を制御する。同様に、流量制御部19bは受信した吐出流量制御信号に基づき、ポンプの押しのけ容積を算出して、レギュレータ12aへ駆動信号を出力することで、第2片傾転ポンプ12の吐出流量を制御する。
第1及び第2片傾転ポンプ11,12の吐出流量が0であり、かつ、切換弁14〜17も遮断状態に制御されているため、ブームシリンダ1とアームシリンダ3は停止する。
次に、ブームシリンダ1を伸展動作させる場合について説明する。
操作レバー34aがブームシリンダ1を伸展させる方向に操作され、操作レバー34bが非操作の場合、上位制御装置33の圧油制御部33aは、制御信号線を介して操作レバー34a,34bの各操作量を受けとり、例えば予め設定しておいた表に基づいて、第1片傾転ポンプ11のポンプ吐出流量制御信号を操作量に応じたある正の値に、第2片傾転ポンプ12のポンプ吐出流量制御信号を0に決定する。また、切換弁14の流路切換回路制御信号を流路20と流路21が流通状態になるように決定し、切換弁15〜17の流路切換回路制御信号を全て遮断と決定する。故障判定部33bは、第1及び第2ポンプ制御装置18,19の稼働もしくは故障状態を判定する。
信号送信部33cは、流路切換回路制御信号を切換弁14〜17に制御信号線を介して送信し、切換弁14を流路20と流路21が流通状態になるように制御し、切換弁15〜17を全て遮断状態に制御する。また、信号送信部33cは、吐出流量制御信号を第1及び第2ポンプ制御装置18,19に通信線を介して送信し、第1及び第2ポンプ制御装置18,19の信号受信部18a,19aは吐出流量制御信号を受信する。
第1及び第2ポンプ制御装置18,19の流量制御部18b,19bは、吐出流量制御信号に基づく駆動信号を制御信号線50,51を介してレギュレータ11a、12aに送信し、レギュレータ11a,12aは受信した駆動信号に基づいて、第1片傾転ポンプ11の吐出流量をある正の値にして、流路20側に作動油を吐出するよう制御し、第2片傾転ポンプ12の吐出流量を0に制御する。
第1片傾転ポンプ11が作動油を吐出し、かつ、切換弁14が流通状態であるため、第1片傾転ポンプ11が吐出した作動油は流路20、切換弁14、流路21を介して、ブームヘッド1a側の油室に流入し、ブームシリンダ1は伸展する。ブームシリンダ1が伸展すると、ブームロッド1b側の油室から作動油が流路23、切換弁14、流路22を介してタンク32と第1片傾転ポンプ11へと流出する。この際、アームシリンダ3は停止している。
次に、第1ポンプ制御装置18が故障して停止した場合に、ブームシリンダ1を伸展動作させる状態について説明する。
操作レバー34aがブームシリンダ1を伸展させる方向に操作され、操作レバー34bが非操作の場合、上位制御装置33の圧油制御部33aは、制御信号線を介して操作レバー34a,34bの各操作量を受けとり、例えば予め設定しておいた表に基づいて、第1片傾転ポンプ11の吐出流量制御信号を操作量に応じたある正の値に、第2片傾転ポンプ12の吐出流量制御信号を0に決定する。また、切換弁14の流路切換回路制御信号を流路20と流路21が流通状態になるように決定し、切換弁15〜17の流路切換回路制御信号を全て遮断と決定する。
故障判定部33bは、第1及び第2ポンプ制御装置18,19の稼働もしくは故障状態を判定する。故障状態の判定方法は、例えば、第1ポンプ制御装置18から通信線を介した稼働状態信号が、故障判定部33bに送られてきている場合は、正常な稼動状態と判定し、一定時間、信号が送られてこない場合、第1ポンプ制御装置18は故障状態と判定する。第1ポンプ制御装置18が故障して停止すると、故障判定部33bは第1ポンプ制御装置18を故障状態と判定する。
第1ポンプ制御装置18を故障状態と判定した故障判定部33bは、操作レバー34aの操作量に応じた第1片傾転ポンプ11の吐出流量制御信号を0に、第2片傾転ポンプ12の吐出流量制御信号をある正の値に再設定する。また、切換弁16の流路切換回路制御信号を流路24と流路31が流通状態になるように再設定し、切換弁14,15,17の流路切換回路制御信号を全て遮断と再設定する。
信号送信部33cは、流路切換回路制御信号を切換弁14〜17に制御信号線を介して送信し、切換弁16を流路24と流路31が流通状態になるように制御し、切換弁14、15、17を遮断状態に制御する。また、信号送信部33cは、吐出流量制御信号を第1及び第2ポンプ制御装置18,19に通信線を介して送信し、第1及び第2ポンプ制御装置18,19の信号受信部18a,19aは吐出流量制御信号を受信する。
第2ポンプ制御装置19の流量制御部19bは、吐出流量制御信号に基づく駆動信号を制御信号線51を介してレギュレータ12aに送信し、レギュレータ12aは受信した駆動信号に基づいて、第2片傾転ポンプ12の吐出流量をある正の値にして、流路24側に作動油を吐出するよう制御する。このとき、第1ポンプ制御装置18の信号受信部18aは、故障しているため信号を受信できず、第1片傾転ポンプ11は制御されずに、吐出流量は初期状態である0となる。
第2片傾転ポンプ12が作動油を吐出し、かつ、切換弁16が流通状態であるため、第2片傾転ポンプ12が吐出した作動油は流路24、切換弁16、流路31、21を介して、ブームヘッド1a側の油室に流入し、ブームシリンダ1は伸展する。ブームシリンダ1が伸展すると、ブームロッド1b側の油室から作動油が流路23、30、切換弁16、流路26を介してタンク32と第2片傾転ポンプ12へと流出する。この際、アームシリンダ3は停止している。
ところで、図2に示す概略図において、例えば、第1ポンプ制御装置18と第2ポンプ制御装置19の機能が1台の制御装置で構成され、この制御装置から制御信号線を介してレギュレータ11a,12aが接続されていた場合には、この制御装置が故障すると、レギュレータ11a,12aを制御することができなくなり、第1及び第2片傾転ポンプ11,12の吐出流量は、全て初期状態である0となる。そのため、第1及び第2片傾転ポンプ11,12の吐出した作動油は、ブームシリンダ1,アームシリンダ3のいずれにも流入させることができず、ブームシリンダ1,アームシリンダ3は停止状態となり、油圧ショベルは稼働不能となってしまう。
本実施の形態では、第1及び第2ポンプ制御装置18,19のいずれが故障して停止すると、第1及び第2片傾転ポンプ11,12のいずれかが制御不能となる。しかし、制御可能であるポンプ制御装置と片傾転ポンプと切換弁とを用いて、吐出作動油を、対象となる油圧シリンダであるブームシリンダ1もしくはアームシリンダ3に流入させることができる。したがって、いずれかのポンプ制御装置が故障しても、動作を停止することなく、作業を継続できる稼働率の高い油圧ショベルを提供できる。
上述した本発明の作業機械の第1の実施の形態によれば、開ポンプ直接制御回路または開閉ポンプ直接制御回路を備えた作業機械100において、いずれかのポンプ制御装置18,19が故障して停止しても、一部の油圧ポンプのみを停止するだけであるため、作業機械の動作を停止することなく作業し続けることができ、稼働率の高い作業機械を提供できる。
また、上述した本発明の作業機械の第1の実施の形態によれば、例えば、開回路ポンプ直接制御回路を備えた油圧ショベルにおいて、いずれかのポンプ制御装置18,19が故障して停止しても、一部の片傾転ポンプのみが停止するだけであり、油圧ショベルの停止を必要としないので、稼働率の高い油圧ショベルを提供することができる。
なお、本実施の形態においては、ブームシリンダ1とアームシリンダ3の油圧駆動装置を例に説明したが、これに限るものではない。ブーム,アーム,バケット,油圧モータのいずれの開回路に適用しても良く、油圧アクチュエータの種類は問わない。
また、本実施の形態においては、第1ポンプ制御装置18が故障した場合に、ブームシリンダ1を駆動させるパターンについて述べたが、これに限るものではない。アームシリンダ3を伸長、縮退させる場合も同様に、正常動作するポンプ制御装置に接続されているレギュレータと、制御可能な片傾転ポンプに流路で接続された流路切換回路を制御し、片傾転ポンプの吐出流量を制御することで、アームシリンダ3を駆動することができる。
また、第2ポンプ制御装置19が故障して停止し、第1ポンプ制御装置18が稼働している場合も、正常動作する第1ポンプ制御装置18に接続されている第1片傾転ポンプ11のレギュレータ11aと、制御可能な第1片傾転ポンプ11に流路で接続された切換弁15を制御し、第1片傾転ポンプ11の吐出流量を制御することで、アームシリンダ3を駆動することができる。
以下、本発明の作業機械の第2の実施の形態を図面を用いて説明する。図3は本発明の作業機械の第2の実施の形態を構成する油圧駆動装置の要部構成を示す概略図である。図3において、図1及び図2に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
本実施の形態においては、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ1、アームシリンダ3と、第1及び第2両傾転ポンプ35,36とをそれぞれ油圧閉回路で接続した回路に、第1及び第2片傾転ポンプ11,12をそれぞれ油圧閉回路のシリンダヘッド側の流路に接続し、両傾転ポンプと片傾転ポンプを連動させて油圧アクチュエータを駆動する複数の開閉ポンプ直接制御回路を設けたことと、開閉ポンプ直接制御回路ごとにポンプ制御装置を複数備えたことを特徴とする。
図3に示す本発明の作業機械の第2の実施の形態は、大略第1の実施の形態と同様の機器で構成されるが、以下の構成が異なる。
本実施の形態においては、油圧アクチュエータとしてブームシリンダ1、アームシリンダ3を第1及び第2両傾転ポンプ35,36とそれぞれ油圧閉回路で接続した回路を備える。第1及び第2両傾転ポンプ35,36は、動力伝達装置10に接続されていて、それぞれ流量調整装置として一対の入出力ポートを持つ両傾転斜板機構、および斜板の傾斜角を調整してポンプ押しのけ容積を調整する第1調整器としてのレギュレータ35a,36aを備えている。レギュレータ35a,36aは、それぞれ第1及び第2ポンプ制御装置18,19から制御信号線50,51を介して受信した駆動信号に従って、第1及び第2両傾転ポンプ35,36の吐出流量を制御する。
流路切換回路としては、切換弁37〜41,43を備えている。切換弁37は流路20〜23に接続され、切換弁38は流路20,22,28,29に接続されている。また、切換弁39は流路24,26,30,31に接続され、切換弁40は流路24〜27に接続されている。
切換弁37は、流路21,23を介してブームシリンダ1に接続されていて、切換弁37が流通状態になると、第1両傾転ポンプ35はブームシリンダ1と流路20,21,23,22を介して接続されている。
切換弁38は、流路28,29,25,27を介してアームシリンダ3に接続されていて、切換弁38が流通状態になると、第1両傾転ポンプ35はアームシリンダ3と流路20,22,28,29,25,27を介して接続されている。
切換弁39は、流路30,31,21,23を介してブームシリンダ1に接続されていて、切換弁39が流通状態になると、第2両傾転ポンプ36はブームシリンダ1と流路24,26,30,31,21,23を介して接続されている。
切換弁40は、流路25,27を介してアームシリンダ3に接続されていて、切換弁40が流通状態になると、第2両傾転ポンプ36はアームシリンダ3と流路24,25,27,26を介して接続されている。
また、第1片傾転ポンプ11の吐出ポートは、切換弁41と流路42を介して流路20へと接続されている。第1片傾転ポンプ11の吸入ポートは、流路を介してタンク32に接続されている。同様に、第2片傾転ポンプ12の吐出ポートは、切換弁43と流路44を介して流路24へと接続されている。第2片傾転ポンプ12の吸入ポートは、流路を介してタンク32に接続されている。
第1片傾転ポンプ11と第2片傾転ポンプ12は、それぞれ流量調整手段として一対の入出力ポートを持つ傾転斜板機構と、斜板の傾斜角を調整してポンプ押しのけ容積を調整する第2調整器としてのレギュレータ11a,12aを備えている。レギュレータ11a,12aは、第1及び第2ポンプ制御装置18,19から制御信号線50,51を介して受信した吐出流量制御信号に従い、第1及び第2片傾転ポンプ11,12の吐出流量を制御する。
なお、本実施の形態においては、第1及び第2片傾転ポンプ11,12の吐出ポートは、流路20,24へと接続されているが、これに限るものではなく、流路22,26へそれぞれ接続されていても良い。
流路21と流路23には、チェック弁45aとフラッシング弁46aとが接続されていて、流路25と流路27には、チェック弁45bとフラッシング弁46bとが接続されている。チェック弁45aは、流路21,23の圧力がタンク32の圧力以下まで下がると、タンク32の作動油を回路に吸い込み、回路のキャビテーションを防止する。同様にチェック弁45bは、流路25,27の圧力に応じて動作する。フラッシング弁46a,46bは、流路21と23、もしくは流路25と27の圧力の低い流路をタンク32に接続し、閉回路内の余剰作動油を排出する。
また、切換弁37,38,39,40,41,43は、制御信号線を介して上位制御装置33に接続されている。
次に、本実施の形態における、油圧アクチュエータを駆動させる一連の動作について説明する。
まず、ブームシリンダ1とアームシリンダ3の停止状態について説明する。
操作レバー34a,34bが非操作の場合、上位制御装置33の圧油制御部33aは、制御信号線を介して操作レバー34a,34bの各操作量を受けとり、例えば予め設定しておいた表に基づいて、操作量に応じた第1及び第2両傾転ポンプ35,36、及び、第1及び第2片傾転ポンプ11,12の吐出流量制御信号を0に決定し、切換弁37〜41,43の流路切換方向である流路切換回路制御信号を全て遮断と決定する。
故障判定部33bは、第1及び第2ポンプ制御装置18,19の稼働もしくは故障状態を判定する。信号送信部33cは、流路切換回路制御信号を切換弁37,38,39,40,41,43に制御信号線を介して送信し、遮断状態に制御する。
また、信号送信部33cは、吐出流量制御信号を第1及び第2ポンプ制御装置18,19に通信線を介して送信し、第1及び第2ポンプ制御装置18,19の信号受信部18a,19aは吐出流量制御信号を受信する。流量制御部18bは受信した吐出流量制御信号に基づき、ポンプの押しのけ容積を算出して、レギュレータ35a,11aへ駆動信号を出力することで、第1両傾転ポンプ35、第1片傾転ポンプ11の吐出流量を制御する。同様に、流量制御部19bは受信した吐出流量制御信号に基づき、ポンプの押しのけ容積を算出して、レギュレータ36a,12aへ駆動信号を出力することで、第2両傾転ポンプ36,第2片傾転ポンプ12の吐出流量を制御する。
第1及び第2両傾転ポンプ35,36と第1及び第2片傾転ポンプ11,12の吐出流量が0であり、かつ、切換弁37〜41,43が遮断状態に制御されているため、ブームシリンダ1とアームシリンダ3は停止する。
次に、ブームシリンダ1を伸展動作させる場合について説明する。
操作レバー34aがブームシリンダ1を伸展させる方向に操作され、操作レバー34bが非操作の場合、上位制御装置33の圧油制御部33aは、制御信号線を介して操作レバー34a,34bの各操作量を受けとり、例えば予め設定しておいた表に基づいて、第1両傾転ポンプ35の吐出流量制御信号を流路20側に吐出する操作量に応じた値に、第1片傾転ポンプ11の吐出流量制御信号を操作量に応じたある正の値に、第2両傾転ポンプ36と第2片傾転ポンプ12の吐出流量制御信号を0に決定する。また、圧油制御部33aは、切換弁37の流路切換回路制御信号を流路20と流路21が流通状態になるように決定し、切換弁41の流路切換回路制御信号を流路42と流通状態になるように決定する。さらに、切換弁38〜40,43の流路切換回路制御信号を全て遮断と決定する。故障判定部33bは、第1及び第2ポンプ制御装置18,19の稼働もしくは故障状態を判定する。
信号送信部33cは、流路切換回路制御信号を切換弁37〜41,43に制御信号線を介して送信し、切換弁37を流路20と流路21が流通状態になるように制御し、切換弁41を流路42と流通状態となるように制御し、切換弁38,39,40,43を遮断状態に制御する。また、信号送信部33cは、吐出流量制御信号を第1及び第2ポンプ制御装置18,19に通信線を介して送信する。
第1及び第2ポンプ制御装置18,19の流量制御部18b,19bは、それぞれ通信線を介して吐出流量制御信号を受信する。流量制御部18b,19bは、それぞれ、吐出流量制御信号に基づく駆動信号を制御信号線50,51を介してレギュレータ35a,11a,36a,12aに送信し、レギュレータ35a,11a,36a,12aは受信した駆動信号に基づいて、第1両傾転ポンプ35の吐出流量を流路20側に作動油を吐出するよう制御し、第1片傾転ポンプ11の吐出流量をある正の値にして、流路42側に作動油を吐出するよう制御する。また、第2両傾転ポンプ36と第2片傾転ポンプ12の吐出流量を0に制御する。
第1両傾転ポンプ35が作動油を流路20側に吐出し、かつ、切換弁37が流通状態であるため、第1両傾転ポンプ35が吐出した作動油は流路20、切換弁37、流路21を介して、ブームヘッド1a側の油室に流入する。また、第1片傾転ポンプ11が流路42側へ作動油を吐出し、かつ、切換弁41が流通状態であるため、第1片傾転ポンプ11が吐出した作動油は流路42を介して流路20へ合流し、ブームヘッド1a側の油室に流入する。このことにより、ブームシリンダ1は伸展する。ブームシリンダ1が伸展すると、ブームロッド1b側の油室から作動油が流出し、流路23、切換弁37、流路22を介して第1両傾転ポンプ35へと流入する。この際、アームシリンダ3は停止している。
次に、第1ポンプ制御装置18が故障して停止した場合に、ブームシリンダ1を伸展動作させる状態について説明する。
操作レバー34aがブームシリンダ1を伸展させる方向に操作され、操作レバー34bが非操作の場合、上位制御装置33の圧油制御部33aは、制御信号線を介して操作レバー34a,34bの各操作量を受けとり、例えば予め設定しておいた表に基づいて、第1両傾転ポンプ35の吐出流量制御信号を流路20側に吐出する操作量に応じた値に、第1片傾転ポンプ11の制御信号を操作量に応じたある正の値に、第2両傾転ポンプ36と第2片傾転ポンプ12の制御信号を0に決定する。また、切換弁37の流路切換回路制御信号を流路20と流路21が流通状態になるように決定し、切換弁41の流路切換回路制御信号を流路42と流通状態になるように決定する。さらに、切換弁38〜40,43の流路切換回路制御信号を全て遮断と決定する。
故障判定部33bは、第1及び第2ポンプ制御装置18,19の稼働もしくは故障状態を判定する。故障状態の判定方法は、例えば、第1ポンプ制御装置18から通信線を介した稼働状態信号が、故障判定部33bに送られてきている場合は、正常な稼動状態と判定し、一定時間、信号が送られてこない場合、第1ポンプ制御装置18は故障状態と判定する。第1ポンプ制御装置18が故障して停止すると、故障判定部33bは第1ポンプ制御装置18を故障状態と判定する。
第1ポンプ制御装置18を故障状態と判定した故障判定部33bは、第1両傾転ポンプ35と第1片傾転ポンプ11のポンプ吐出流量指令値を0に再設定し、第2両傾転ポンプ36のポンプ吐出流量指令値を流路24側に吐出する操作量に応じた値に、第2片傾転ポンプ12のポンプ吐出流量指令値を操作量に応じたある正の値に再設定する。また、切換弁39の流路切換回路制御信号を流路24と流路31が流通状態になるように再設定し、切換弁43の流路切換回路制御信号を流路44と流通状態になるように再設定し、切換弁37,38,40,41の流路切換回路制御信号を全て遮断と再設定する。
信号送信部33cは、流路切換回路制御信号を切換弁37〜41,43に制御信号線を介して送信し、切換弁39を流路24と流路31が流通状態になるように制御し、切換弁40を遮断状態に制御する。また、切換弁43を流路44が流通状態になるように制御する。切換弁37、38、41を遮断状態に制御する。また、信号送信部33cは、吐出流量制御信号を第1及び第2ポンプ制御装置18,19に通信線を介して送信し、第1及び第2ポンプ制御装置18,19の信号受信部18a,19aは吐出流量制御信号を受信する。
第2ポンプ制御装置19の流量制御部19bは、吐出流量制御信号に基づく駆動信号を制御信号線51を介してレギュレータ36a,12aにそれぞれ送信し、レギュレータ36a,12aは受信した駆動信号に基づいて、第2両傾転ポンプ36の吐出流量を流路24側に作動油を吐出するよう制御し、第2片傾転ポンプ12の吐出流量をある正の値にして、流路44側に作動油を吐出するよう制御する。このとき、第1ポンプ制御装置18の信号受信部18aは、故障しているため信号を受信できず、第1両傾転ポンプ35と第1片傾転ポンプ11は制御されずに、第1両傾転ポンプ35と第1片傾転ポンプ11の吐出流量は初期状態である0となる。
第2両傾転ポンプ36と第2片傾転ポンプ12が作動油を吐出し、かつ、切換弁39,43が流通状態であるため、第2両傾転ポンプ36が吐出した作動油は流路24、切換弁39、流路31、21を介して、第2片傾転ポンプ12が吐出した作動油は切換弁43、流路44を介してブームヘッド1a側の油室に流入し、ブームシリンダ1は伸展する。ブームシリンダ1が伸展すると、ブームロッド1b側の油室から作動油が流路23、30、切換弁39、流路26を介して第2両傾転ポンプ36へと流入する。この際、アームシリンダ3は停止している。
ところで、図3に示す概略図において、例えば、第1ポンプ制御装置18と第2ポンプ制御装置19の機能が1台の制御装置で構成され、この制御装置から制御信号線を介してレギュレータ35a,36a,11a,12aが接続されていた場合には、この制御装置が故障すると、レギュレータ35a,36a,11a,12aを制御することができなくなり、第1及び第2両傾転ポンプ35,36と第1及び第2片傾転ポンプ11,12の吐出流量は、全て初期状態である0となる。そのため、第1及び第2両傾転ポンプ35,36と第1及び第2片傾転ポンプ11,12の吐出した作動油は、ブームシリンダ1,アームシリンダ3のいずれにも流入させることができず、ブームシリンダ1,アームシリンダ3は停止状態となり、油圧ショベルは稼働不能となってしまう。
本実施の形態では、第1及び第2ポンプ制御装置18,19のいずれが故障して停止すると、第1両傾転ポンプ35と第1片傾転ポンプ11及び第2両傾転ポンプ36と第2片傾転ポンプ12のいずれかが制御不能となる。しかし、制御可能であるポンプ制御装置と両傾転ポンプと片傾転ポンプと切換弁とを用いて、吐出作動油を、対象となる油圧シリンダであるブームシリンダ1もしくはアームシリンダ3に流入させることができる。したがって、いずれかのポンプ制御装置が故障しても、動作を停止することなく、作業を継続できる稼働率の高い油圧ショベルを提供できる。
さらに、本実施の形態においては、第1両傾転ポンプ35と連動する第1片傾転ポンプ11を同一の第1ポンプ制御装置18で制御し、同様に、第2両傾転ポンプ36と連動する第2片傾転ポンプ12を同一の第2ポンプ制御装置19で制御する構成にしたので、ポンプ制御装置の故障時における油圧アクチュエータの誤作動を抑制することができる。
例えば、図3に示す概略図において、開閉ポンプ直接制御回路では、第1両傾転ポンプ35と第1片傾転ポンプ11の吐出流量の比を、接続する油圧シリンダの受圧面積比を合わせることで、油圧シリンダのシリンダヘッドとシリンダロッドとの入出力流量差を吸収して油圧シリンダの操作性を向上させている。このような状況で、例えば、第1両傾転ポンプ35と第1片傾転ポンプ11が別々のポンプ制御装置で制御されていたと仮定すると、第1両傾転ポンプ35側のポンプ制御装置が故障しても、第1片傾転ポンプ11は制御可能であるため、第1片傾転ポンプ11が作動油を吐出して、ブームシリンダ1を駆動することはできるが、第1両傾転ポンプ35を制御することはできなくなる。このことにより、第1片傾転ポンプ11の作動油を第1両傾転ポンプ35側に合流させることができなくなる。この結果、油圧シリンダの受圧面積比に合わせた入出力流量差を吸収できなくなり、油圧シリンダの挙動が不安定になり、操作性が低下する。
本実施の形態においては、第1ポンプ制御装置18が故障して停止した場合、切換弁37,38,41は遮断状態となり、第2両傾転ポンプ36と第2片傾転ポンプ12によってブームシリンダ1を駆動できるため、ブームシリンダ1の受圧面積比に合わせた入出力流量差を第2両傾転ポンプ36と第2片傾転ポンプ12で吸収できる。この結果、第1ポンプ制御装置18が故障しても油圧ショベルの操作性は低下しない。
上述した本発明の作業機械の第2の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、上述した本発明の作業機械の第2の実施の形態によれば、開閉ポンプ直接制御回路毎にポンプ制御装置を設けたので、ポンプ制御装置の故障時における油圧アクチュエータの誤作動を抑制することができる。
なお、本実施の形態においては、ブームシリンダ1とアームシリンダ3の油圧駆動装置を例に説明したが、これに限るものではない。ブーム,アーム,バケット,油圧モータのいずれの開回路に適用しても良く、油圧アクチュエータの種類は問わない。
また、本実施の形態においては、第1ポンプ制御装置18が故障した場合に、ブームシリンダ1を駆動させるパターンについて述べたが、これに限るものではない。アームシリンダ3を伸長、縮退させる場合も同様に、正常動作するポンプ制御装置に接続されている両傾転ポンプ及び片傾転ポンプのレギュレータと、流路切換回路を制御することで、アームシリンダ3を駆動することができる。
また、第2ポンプ制御装置19が故障して停止し、第1ポンプ制御装置18が稼働している場合も、正常動作する第1ポンプ制御装置18に接続されている第1両傾転ポンプ35と第1片傾転ポンプ11と切換弁38、41を制御することで、アームシリンダ3を駆動することができる。
以下、本発明の作業機械の第3の実施の形態を図面を用いて説明する。図4は本発明の作業機械の第3の実施の形態を構成する油圧駆動装置の要部構成を示す概略図である。図4において、図1乃至図3に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
図4に示す本発明の作業機械の第3の実施の形態は、大略第2の実施の形態と同様の機器で構成されるが、以下の構成が異なる。
本実施の形態においては、予備ポンプ制御装置47を備えた点が異なる。予備ポンプ制御装置47は通信線を介して上位制御装置33に接続されると共に、制御信号線52,53を介して第1及び第2両傾転ポンプ35,36と第1及び第2片傾転ポンプ11,12のレギュレータ35a,36a,11a,12aに接続されている。また予備ポンプ制御装置47は、信号受信部47aと、制御切換部47bと、流量制御部47cを備えている。
次に、本実施の形態における、ポンプ制御装置が故障した場合の油圧アクチュエータを駆動させる状態について説明する。なお、ポンプ制御装置が故障していない場合の停止時及びブームシリンダ1の駆動方法については、第2の実施の形態と同様なので省略する。
まず、第1ポンプ制御装置18が故障して停止した場合に、ブームシリンダ1を伸展動作させる状態について説明する。
操作レバー34aがブームシリンダ1を伸展させる方向に操作され、操作レバー34bが非操作の場合、上位制御装置33の圧油制御部33aは、制御信号線を介して操作レバー34a,34bの各操作量を受けとり、例えば予め設定しておいた表に基づいて、第1両傾転ポンプ35の吐出流量制御信号を流路20側に吐出する操作量に応じた値に、第1片傾転ポンプ11の吐出流量制御信号を操作量に応じたある正の値に、第2両傾転ポンプ36と第2片傾転ポンプ12の吐出流量制御信号を0に決定する。また、切換弁37の流路切換回路制御信号を流路20と流路21が流通状態になるように決定し、切換弁41の流路切換回路制御信号を流路42と流通状態になるように決定する。さらに、切換弁38〜40,43の流路切換回路制御信号を全て遮断と決定する。
故障判定部33bは、第1及び第2ポンプ制御装置18,19の稼働もしくは故障状態を判定する。故障状態の判定方法は、例えば、第1ポンプ制御装置18から通信線を介した稼働状態信号が、故障判定部33bに送られてきている場合は、故障判定部33bは正常な稼動状態と判定する。一方、一定時間、信号が送られてこない場合は、故障判定部33bは第1ポンプ制御装置18が故障状態と判定し、故障した第1ポンプ制御装置18のIDを故障ポンプ制御装置IDとして設定する。ここでIDは例えばポンプ制御装置の固有の製造番号等である。
信号送信部33cは、制御信号線を介して切換弁41を流路42が流通状態になるように制御し、切換弁38〜40,43を遮断状態に制御する。また、信号送信部33cは、故障ポンプ制御装置IDと吐出流量制御信号を第1及び第2ポンプ制御装置18,19と予備ポンプ制御装置47に通信線を介して送信する。第1及び第2ポンプ制御装置18,19と予備ポンプ制御装置47の信号受信部18a,19a,47aは、故障ポンプ制御装置IDと吐出流量制御信号をそれぞれ受信する。
予備ポンプ制御装置47の制御切換部47bは、受信した故障ポンプ制御装置IDと吐出流量制御信号に基づき、駆動制御対象を第1両傾転ポンプ35と第1片傾転ポンプ11と選択する。このとき、駆動制御対象への制御信号線の接続は、ソフトウエアによる切換えや、リレー回路を用いた電気回路による切換えでも、いずれの方法でも良い。
流量制御部47cは、制御切換部47bが選択した駆動制御対象である第1両傾転ポンプ35と第1片傾転ポンプ11のレギュレータ35a,11aに、吐出流量制御信号に基づく駆動信号を制御信号線52を介して送信する。レギュレータ35a,11aは受信した駆動信号に基づいて、第1両傾転ポンプ35の吐出流量を流路20側に作動油を吐出するよう制御し、第1片傾転ポンプ11の吐出流量をある正の値にして、流路42側に作動油を吐出するよう制御する。一方、第1ポンプ制御装置18の信号受信部18aは、故障しているため信号を受信できず、第1両傾転ポンプ35と第1片傾転ポンプ11のレギュレータ35a、11aに対して制御信号を出力しない。
第1両傾転ポンプ35と第1片傾転ポンプ11が作動油を吐出し、かつ、切換弁37,41が流通状態であるため、第1両傾転ポンプ35が吐出した作動油は流路20、切換弁37、流路21を介して、ブームヘッド1a側の油室に流入する。また、第1片傾転ポンプ11が吐出した作動油は、切換弁41、流路42を介して流路21へ合流する。この結果、ブームシリンダ1は伸展する。ブームシリンダ1が伸展すると、ブームロッド1b側の油室から作動油が流出し、流路23、切換弁37、流路22を介して第1両傾転ポンプ35へと流入する。この際、アームシリンダ3は停止している。
ところで、第2の実施の形態においては、いずれかのポンプ制御装置が故障した場合に、正常動作しているポンプ制御装置を用いて、油圧アクチュエータを駆動させるが、ブームシリンダ1とアームシリンダ3の同時駆動操作はできない。このため、正常動作している油圧ショベルに比べると操作性が低下するという問題がある。
本実施の形態では、第1及び第2ポンプ制御装置18,19のいずれが故障して停止しても、故障したポンプ制御装置の代わりに予備ポンプ制御装置47を用いて、該当の片傾転ポンと両傾転ポンプを制御することができる。このため、ポンプ制御装置が故障した場合でも、ブームシリンダ1とアームシリンダ3の同時操作が可能になる。したがって、いずれかのポンプ制御装置が故障しても、動作を停止することなく、ポンプ制御装置の故障前の操作性を維持したまま作業を継続できる稼働率の高い油圧ショベルを提供できる。
上述した本発明の作業機械の第3の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、上述した本発明の作業機械の第3の実施の形態によれば、予備ポンプ制御装置47を設けたので、いずれかのポンプ制御装置が故障しても、動作を停止することなく、ポンプ制御装置の故障前の操作性を維持したまま作業を継続できる稼働率の高い油圧ショベルを提供できる。
以下、本発明の作業機械の第4の実施の形態を図面を用いて説明する。図5は本発明の作業機械の第4の実施の形態を構成する油圧駆動装置の要部構成を示す概略図である。図5において、図1乃至図4に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
図5に示す本発明の作業機械の第4の実施の形態は、大略第2の実施の形態と同様の機器で構成されるが、以下の構成が異なる。
本実施の形態においては、表示装置48を備えた点が異なる。表示装置48は通信線を介して上位制御装置33に接続されていて、信号受信部48aと、表示部48bとを備えている。
次に、本実施の形態における、ポンプ制御装置が故障した場合の油圧アクチュエータを駆動させる動作について説明する。なお、ポンプ制御装置が故障していない場合の停止時及びブームシリンダ1の駆動方法、及びポンプ制御装置が故障した場合のブームシリンダ1の駆動方法については、第2の実施の形態と同様なので省略する。
まず、第1ポンプ制御装置18が故障して停止したときに、ブームシリンダ1を伸展動作させる場合について説明する。
上位制御装置33の故障判定部33bは、第1及び第2ポンプ制御装置18,19の稼働もしくは故障状態を判定する。故障状態の判定方法は、例えば、第1ポンプ制御装置18から通信線を介した稼働状態信号が、故障判定部33bに送られてきている場合は、故障判定部33bは正常な稼動状態と判定する。一方、一定時間、信号が送られてこない場合は、故障判定部33bは第1ポンプ制御装置18が故障状態と判定し、故障した第1ポンプ制御装置18のIDを故障ポンプ制御装置IDとして設定する。ここでIDは例えばポンプ制御装置の固有の製造番号等である。
上位制御装置33の信号送信部33cは、故障ポンプ制御装置IDと吐出流量制御信号を第1及び第2ポンプ制御装置18,19と表示装置48に通信線を介して送信する。第1及び第2ポンプ制御装置18,19と表示装置48の信号受信部18a,19a,48aは、故障ポンプ制御装置IDと吐出流量制御信号をそれぞれ受信する。表示装置48の表示部48bは、受信した故障ポンプ制御装置IDを画面に表示する。表示部48bは、ディスプレイやLCDなどの表示器であり、故障ポンプ制御装置IDをオペレータが認識できるものであれば良い。
ところで、第2の実施の形態においては、いずれかのポンプ制御装置が故障した場合に、オペレータもしくはメンテナンス実施作業者では、故障したポンプ制御装置の特定は困難であった。このため、別途、故障ポンプ制御装置の特定作業と、故障ポンプ制御装置の交換作業など、メンテナンスに時間がかかるという問題があった。
本実施の形態では、表示装置48を設けたので、いずれかのポンプ制御装置が故障して停止しても、故障したポンプ制御装置を特定することが容易となり、ポンプ制御装置の交換などのメンテナンスを早急に実施することができる。
したがって、ポンプ制御装置が故障しても、早急にメンテナンスを実施し、正常なポンプ制御装置に交換することで、油圧ショベルの動作をすぐに正常に復帰することができる。このことにより、油圧ショベルの作業量の低下時間を抑制できる稼働率の高い油圧ショベルを提供できる。
また、以上の実施の形態では、ブームシリンダ1とアームシリンダ3を駆動させる油圧回路を中心に述べているが、この技術思想は旋回油圧モータ7とバケットシリンダ5の閉回路および開回路にも適用可能である。例えば、ブーム,アーム、バケット、旋回を駆動する4つの閉回路を備えた開閉ポンプ直接制御回路に本発明を適用して、4台のポンプ制御装置を備えても有効である。
一方、本発明と異なり、例えば、ブームシリンダ1とアームシリンダ3の回路に対して一のポンプ制御装置、バケットシリンダ5と旋回油圧モータ7の回路に対して他のポンプ制御装置を配置し、4つの開回路もしくは開閉回路に対して、2つのポンプ制御装置を備えることも考えられる。しかし、いずれかのポンプ制御装置が故障してしまうと、同時に駆動できるアクチュエータが2つのみとなってしまう。
4つの閉回路を備えた開閉ポンプ直接制御回路に4台のポンプ制御装置を備える本発明の構成であれば、1つのポンプ制御装置が故障しても3つのアクチュエータが同時に駆動できるので、油圧ショベルの稼働率を向上させることができる。
なお、本発明は、上述の各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内の様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施の形態では、本発明を油圧ショベルに適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明は油圧ショベル以外の建設機械にも適用可能である。例えば、油圧式クレーン等、作業装置で複数の油圧アクチュエータを閉回路によって駆動する油圧装置を備えた作業機械の全般に本発明は適用可能である。