JP7202275B2 - 建設機械 - Google Patents
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Description
油圧回路内のエア抜き方法の背景技術として、特許文献1がある。特許文献1には、パイロットポンプの吐出油路内のエアを作動油タンクに排出するために、ロックレバーに連動して動作するエア抜き弁とエア抜き油路を、パイロットポンプの吐出油路と作動油タンクの間に設け、ロックレバーがロック状態でエンジンを始動した時に、パイロットポンプが吐出したエアを含む作動油がエア抜き弁とエア抜き油路を経由してタンクに排出されるようになっている。
一方で、近年、油圧ショベルやホイールローダなどの建設機械において、省エネ化が重要な開発項目になっている。油圧システム自体の省エネ化を図るため,油圧ポンプと油圧アクチュエータを閉回路接続して,油圧ポンプの流量制御で直接的に油圧アクチュエータの速度を制御する油圧閉回路(以下、閉回路)が検討されている。この閉回路を組み合わせた建設機械の背景技術として、特許文献2がある。このシステムは、従来の流量制御弁による圧損がなく、必要な流量のみをポンプが吐出するためエネルギ損失が少ない。また、油圧アクチュエータからの戻り油を、作動油タンクを経由せずに直接油圧ポンプに戻すため、油圧アクチュエータの位置エネルギや減速時の運動エネルギを回生できる。そのため、さらなる省エネ化が可能となる。
閉回路を構成する流路には作動油タンクが接続されていないため、メンテナンス後の回路内のエア抜きに時間がかかるという課題がある。
図1において、油圧ショベル100は、左右方向の両側にクローラ式の走行装置8a,8bを備えた下部走行体103と、下部走行体103上に旋回可能に取り付けられた本体としての上部旋回体102とを備えている。上部旋回体102上には、オペレータが搭乗する操作室としてキャブ101が設けられている。下部走行体103と上部旋回体102とは、旋回用油圧モータとしての旋回モータ7を介して旋回可能とされている。
図2において、油圧駆動装置105は、油圧アクチュエータであるブームシリンダ1を閉回路で駆動する。なお、図2では、ブームシリンダ1以外の油圧アクチュエータの駆動に関わる部分は省略している。
閉回路ポンプ11は、エンジン9から伝達装置10を介して動力を受け、駆動される。閉回路ポンプ11は、一対の入出力ポートを持つ傾転斜板機構を備えており、斜板の傾斜角を調整してポンプ押しのけ容積を調整する機能を有する。この機能により、閉回路ポンプ11の吐出流量と吐出方向が制御される。
閉回路ポンプ11の2つの吐出ポートは、閉回路の上流側流路である流路15,16にそれぞれ接続され、閉回路切換弁26と流路17,18を介してブームシリンダ1に接続される。これにより、閉回路ポンプ11とブームシリンダ1とが閉回路状に接続される。閉回路切換弁26は、流路15,16および流路17,18をそれぞれ流通状態にする流通位置と、遮断状態にする遮断位置とを有し、制御装置(図示せず)から受信した開閉制御指令値により、切り換えられる。
チャージポンプ12は、エンジン9から伝達装置10を介して動力を受けて駆動される。チャージポンプ12は、作動油タンク30から吸込み流路13を介して作動油を吸入し、流路14へ吐出する。流路14は、チェック弁23aを介して流路15へ接続され、チェック弁23bを介して流路16へ接続される。また流路14から分岐した流路がリリーフ弁22を介して作動油タンク30へ接続される。さらに流路14から分岐した流路21は、チェック弁24aを介して流路17へ接続され、チェック弁24bを介して流路18へ接続される。チャージポンプ12、流路14,19,21、チェック弁23a,23b,24a,24b、およびリリーフ弁22により、チャージ回路が構成される。
フラッシング弁25は、流路17,18に接続されている。また、フラッシング弁25は、流路14から分岐した流路20と接続されている。フラッシング弁25は流路17,18のいずれか圧力が低い方の流路と流路20とを接続するように切り換わる。
閉回路の上流側流路である流路15,16は、回路切換器としてのエア抜き弁27,28を介して、エア抜き流路としての流路29に接続されている。エア抜き弁27,28は、流路15,16と流路29との流通と遮断とを手動で切り換える。流路29は、フィルタ31を介して作動油タンク30に接続されている。本実施形態では、流路15,16と流路29との流通遮断とを切り換えるエア抜き弁27,28で回路切換器を構成しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、流路15,16に流路29を直接接続し、エア抜き弁27,28に代えて、流路29の途中に流路29の流通と遮断とを切換可能な装置を設ける構成としても良い。
次に、本実施例における油圧駆動装置105のエア抜き動作の一例を図2を用いて説明する。
本実施例では、閉回路ポンプ11と、油圧アクチュエータ1と、閉回路ポンプ11の一方の入出力ポートと油圧アクチュエータ1の一方の入出力ポートとを接続する第1流路15,17と、閉回路ポンプ11の他方の入出力ポートと油圧アクチュエータ1の他方の入出力ポートとを接続する第2流路16,18と、第1流路15,17および第2流路16,18をそれぞれ流通させる流通位置と第1流路15,17および第2流路16,18をそれぞれ遮断する遮断位置とに切換可能な閉回路切換弁26と、作動油タンク30と、作動油タンク30から吸い込んだ作動油を吐出するチャージポンプ12と、第1流路15,17の閉回路ポンプ11と閉回路切換弁26とを接続する部分である第1上流側流路15および第2流路16,18の閉回路ポンプ11と閉回路切換弁26とを接続する部分である第2上流側流路16とチャージポンプ12の吐出ポートとを接続するチャージ流路14,19と、チャージ流路14,19から第1上流側流路15への作動油の流れを許可し、第1上流側流路15からチャージ流路14,19への作動油の流れを禁止する第1チェック弁23aと、チャージ流路14,19から第2上流側流路16への作動油の流れを許可し、第2上流側流路16からチャージ流路14,19への作動油の流れを禁止する第2チェック弁23bとを備えた油圧ショベル100において、作動油タンク30に接続されたエア抜き流路29と、第1上流側流路15とエア抜き流路29との間の流通と遮断とを切換可能な第1回路切換器27と、第2上流側流路16とエア抜き流路29との間の流通と遮断とを切換可能な第2回路切換器28とを備えている。
第1の実施例(図2に示す)のチャージポンプ12は作動油タンク30から吸込み流路13を介してエア混入の少ない作動油を吸入していたが、チャージポンプ12の取付位置と作動油タンク30内の作動油液面高さとの位置関係により、吸込み流路13内にエアが混入している場合がある。吸込み流路13にエアが混入していると、チャージポンプ12の吐出作動油にもエアが混入するため、エア抜き動作によって適切にエアが抜けず、メンテナンス時間が増加するという課題が生じる。
図3において、作動油タンク30は、液面高さ表示器32を備えている。液面高さ表示器32は、チャージポンプ12の取付け高さと同じかそれより高い位置に設けられる。
次に、本実施例における油圧駆動装置105のエア抜き動作の一例を図3を用いて説明する。
本実施例に係る油圧ショベル100は、作動油タンク30に取り付けられた液面高さ表示器32を更に備え、液面高さ表示器32は、チャージポンプ12の吸込みポート12aと同じ高さかそれよりも高い位置に取り付けられている。本実施例によれば、第1の実施例の効果に加えて、以下の効果が得られる。
第1の実施例(図2に示す)のエア抜き実施後において、閉回路切換弁26内部にエアが残留している場合がある。閉回路切換弁26内部のエアは閉回路切換弁26の応答性を悪化させる恐れがある。閉回路切換弁26の応答が悪いと、油圧ショベル100(図1に示す)を通常動作させる場合に、例えばブームシリンダ1の応答性が低下し、作業効率が低下するという課題が生じる。
図4において、油圧駆動装置105は、エア抜き指示器40と、コントローラ41とを備えている。コントローラ41は、信号線を介して閉回路切換弁26に接続されており、エア抜き動作モード部42と切換弁制御部43とを有する。
次に、本実施例における油圧駆動装置105のエア抜き動作の一例を図4を用いて説明する。本実施例によれば、第1の実施例の効果に加えて、以下の効果が得られる。
本実施例に係る油圧ショベル100は、閉回路切換弁26を制御するコントローラ41と、コントローラ41へエア抜き実施指令信号を出力可能なエア抜き指示器40とを更に備え、コントローラ41は、エア抜き実施指令信号を受信すると、閉回路切換弁26を一定時間流通位置と遮断位置に切り換える開閉指令信号を閉回路切換弁26へ出力する。本実施例によれば、第1の実施例の効果に加えて、以下の効果が得られる。
第1の実施例における油圧駆動装置105(図2に示す)のエア抜き動作では、エンジン9を駆動する必要がある。しかし、組立やメンテナンスを行う場所によっては、排気ガスの関係でエンジンを稼働できない場合がある。そのような状況では回路のエア抜きができないという課題が生じる。
図5において、油圧駆動装置105は、電動モータ53と電動モータ53で駆動される電動ポンプ51とを備えている。チャージポンプ12の吐出流路14上には、外付けポート50が設けられている。電動ポンプ51の吐出流路52は、外付けポート50に接続可能である。
次に、本実施例における油圧駆動装置105のエア抜き動作の一例を図5を用いて説明する。
本実施例に係る油圧ショベル100は、電動モータ53と、電動モータ53で駆動される電動ポンプ51と、チャージポンプ12の吐出流路14に設けられた外付けポート50とを更に備え、電動ポンプ51の吐出流路52は、外付けポート50に接続可能である。本実施例によれば、第1の実施例の効果に加えて、以下の効果が得られる。
第3の実施例における油圧駆動装置105(図4に示す)のエア抜き動作では、閉回路切換弁26を駆動して流路15~18を流通/遮断したとしても、油圧アクチュエータが旋回モータ7(図6に示す)であった場合、旋回モータ7を駆動させない限り、旋回モータ7内部のエアは残留してしまう。そのため、通常稼働した際に旋回動作の応答性が低下するという課題が生じる。
図6において、油圧駆動装置105は、油圧アクチュエータとして旋回モータ7を備える。閉回路ポンプ11は、閉回路ポンプ11の吐出流量を制御するポンプレギュレータ11aを備える。コントローラ41は、ポンプレギュレータ11aと信号線で接続されたポンプ制御部60を備える。
次に、本実施例における油圧駆動装置105のエア抜き動作の一例を図6を用いて説明する。
本実施例に係る油圧ショベル100は、下部走行体103と、下部走行体103上に旋回可能に取り付けられた上部旋回体102と、閉回路ポンプ11の吐出流量を制御するポンプレギュレータ11aとを備え、油圧アクチュエータ7は、上部旋回体102を駆動する油圧モータであり、コントローラ41は、エア抜き実施指令信号を受信すると、閉回路切換弁26を一定時間流通位置と遮断位置に交互に切り換える開閉指令信号を閉回路切換弁26へ出力すると共に、閉回路ポンプ11に所定の流量を吐出させるポンプ流量指令信号をポンプレギュレータ11aへ出力する。本実施例によれば、第1の実施例の効果に加えて、以下の効果が得られる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は、油圧ショベルに本発明を適用したものであるが、本発明は油圧ショベル以外の建設機械にも適用可能である。例えば、油圧式クレーン等の作業装置を備えた建設機械や、複数の油圧ポンプを有する油圧駆動装置を搭載した建設機械にも本発明は適用可能である。
Claims (5)
- 閉回路ポンプと、
油圧アクチュエータと、
前記閉回路ポンプの一方の入出力ポートと前記油圧アクチュエータの一方の入出力ポートとを接続する第1流路と、
前記閉回路ポンプの他方の入出力ポートと前記油圧アクチュエータの他方の入出力ポートとを接続する第2流路と、
前記第1流路および前記第2流路をそれぞれ流通させる流通位置と前記第1流路および前記第2流路をそれぞれ遮断する遮断位置とに切換可能な閉回路切換弁と、
作動油タンクと、
前記作動油タンクから吸い込んだ作動油を吐出するチャージポンプと、
前記第1流路の前記閉回路ポンプと前記閉回路切換弁とを接続する部分である第1上流側流路および前記第2流路の前記閉回路ポンプと前記閉回路切換弁とを接続する部分である第2上流側流路と前記チャージポンプの吐出ポートとを接続するチャージ流路と、
前記チャージ流路から前記第1上流側流路への作動油の流れを許可し、前記第1上流側流路から前記チャージ流路への作動油の流れを禁止する第1チェック弁と、
前記チャージ流路から前記第2上流側流路への作動油の流れを許可し、前記第2上流側流路から前記チャージ流路への作動油の流れを禁止する第2チェック弁とを備えた建設機械において、
前記作動油タンクに接続されたエア抜き流路と、
前記第1上流側流路と前記エア抜き流路との間の流通と遮断とを切換可能な第1回路切換器と、
前記第2上流側流路と前記エア抜き流路との間の流通と遮断とを切換可能な第2回路切換器と、
前記閉回路切換弁を制御するコントローラと、
前記コントローラへエア抜き実施指令信号を出力可能なエア抜き指示器とを備え、
前記コントローラは、前記エア抜き実施指令信号を受信すると、前記閉回路切換弁を一定時間流通位置と遮断位置に交互に切り換える開閉指令信号を前記閉回路切換弁へ出力する
ことを特徴とする建設機械。 - 請求項1に記載の建設機械において、
前記作動油タンクに取り付けられた液面高さ表示器を更に備え、
前記液面高さ表示器は、前記チャージポンプの吸込みポートと同じ高さかそれよりも高い位置に取り付けられている
ことを特徴とする建設機械。 - 請求項1に記載の建設機械において、
電動モータと、
前記電動モータで駆動される電動ポンプと、
前記チャージポンプの吐出流路に設けられた外付けポートとを更に備え、
前記電動ポンプの吐出流路は、前記外付けポートに接続可能である
ことを特徴とする建設機械。 - 請求項1に記載の建設機械において、
下部走行体と、
前記下部走行体上に旋回可能に取り付けられた上部旋回体と、
前記閉回路ポンプの吐出流量を制御するポンプレギュレータとを更に備え、
前記油圧アクチュエータは、前記上部旋回体を駆動する油圧モータであり、
前記コントローラは、前記エア抜き実施指令信号を受信すると、前記閉回路切換弁を一定時間流通位置と遮断位置に交互に切り換える開閉指令信号を前記閉回路切換弁へ出力すると共に、前記閉回路ポンプに所定の流量を吐出させるポンプ流量指令信号を前記ポンプレギュレータへ出力する
ことを特徴とする建設機械。 - 請求項4に記載の建設機械において、
前記所定の流量は、前記チャージポンプの最大吐出流量以下に設定されている
ことを特徴とする建設機械。
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