JP2017115103A - 硬化性組成物、その硬化方法、これにより得られる硬化物および接着剤 - Google Patents

硬化性組成物、その硬化方法、これにより得られる硬化物および接着剤 Download PDF

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Abstract

【課題】硬化性、接着性および塗工性に優れる硬化性組成物、その硬化方法、これにより得られる硬化物および接着剤を提供する。【解決手段】カチオン硬化性成分(A)90〜98質量部と、カチオン重合開始剤(B)1〜10質量部と、式(I)で表される単量体からなるポリマー、式(II)で表される単量体からなるポリマー(C)2〜10質量部とを含有する効果性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物、その硬化方法、これにより得られる硬化物および接着剤に関し、詳しくは、硬化性、接着性および塗工性に優れる硬化性組成物、その硬化方法、これにより得られる硬化物および接着剤に関する。
エポキシ樹脂等からなる硬化性組成物は、各種基材への接着性に優れており、また、エポキシ樹脂を硬化剤で硬化させた硬化物は、耐熱性、耐薬品性、電気特性、機械特性等が比較的優れているため、インキ、塗料、各種コーティング剤、接着剤、光学部材等の分野において用いられている。
例えば、特許文献1では、樹脂の透湿性や光透過性に関係無く、樹脂を高い接着力で貼り合せる接着剤として、脂肪族エポキシと、脂環式エポキシおよび/またはオキセタンと、光重合開始剤または熱重合開始剤と、を含む硬化型接着剤が提案されている。また、特許文献2では、強い照度の光を照射したり、光照射後に加熱(アフターキュア)をしたりする必要がない光硬化型エポキシ樹脂系接着剤として、芳香族エポキシ樹脂と、脂肪族エポキシ樹脂と、脂環式エポキシ樹脂および/またはオキセタン化合物と、光重合開始剤と、を含む光硬化型エポキシ樹脂系接着剤が提案されている。また、特許文献3では、新規なエポキシ化合物を用いた、金属や合成樹脂との接着強度に優れたエポキシ接着剤が提案されている。さらにまた、特許文献4では、硬化性、接着性および耐水性に優れたカチオン重合性組成物からなる接着剤が提案されている。
特開2008−063397号公報 特開2012−149262号公報 特開2015−007222号公報 国際公開2015/005211号公報
一般に、接着剤には、硬化性、接着性、塗工性等が求められる。しかしながら、特許文献1〜4で提案されている接着剤でも、これらの諸特性を高度にバランスさせることは難しく、接着剤向けの新たな硬化性組成物が求められているのが現状である。
そこで、本発明の目的は、硬化性、接着性および塗工性に優れる硬化性組成物、その硬化方法、これにより得られる硬化物および接着剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、硬化性組成物中におけるカチオン硬化性成分の組成、および所定の構造を有するポリマーを調整することにより、硬化性、接着性および塗工性を高度にバランスできることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の硬化性組成物は、カチオン硬化性成分(A)90〜98質量部と、カチオン重合開始剤(B)1〜10質量部と、下記式(I)、
Figure 2017115103
(式中、Xは、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数6〜12のアリールオキシ基もしくは炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基、またはこれらの基中の水素原子が、エポキシ基、オキセタン基、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で置換されたものである)で表される単量体からなるポリマー、上記式(I)で表される単量体から選択される二種以上の単量体からなるポリマー、下記式(II)、
Figure 2017115103
(式中、Rは、水素原子、メチル基またはハロゲン原子を表し、X’は、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基もしくは炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基、またはこれらの基中の水素原子が、エポキシ基、オキセタン基、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で置換されたものである)で表される単量体からなるポリマー、上記式(II)で表される単量体から選択される二種以上の単量体からなるポリマー、および上記式(I)で表される単量体および上記式(II)で表される単量体からなるポリマーからなる群より選択されるポリマー(C)2〜10質量部と、を含有し、
前記カチオン硬化性成分(A)が、主成分としての脂肪族エポキシ化合物(A1)と、多官能芳香族エポキシ化合物(A2)と、を含有し、前記カチオン硬化性成分(A)100質量部に対して、前記多官能芳香族エポキシ化合物(A2)が、5〜40質量部含有されてなることを特徴とするものである。ここで、主成分とは、カチオン硬化性成分を数種類混ぜて、同じ種類のカチオン硬化性成分の合計が一番多いものを言う。
本発明の硬化性組成物においては、前記多官能芳香族エポキシ化合物(A2)が、三官能以上の芳香族エポキシ化合物であることが好ましい。また、本発明の硬化性組成物においては、前記ポリマー(C)の質量平均分子量が、ポリスチレン換算で5,000〜500,000であることが好ましい。さらに、本発明の硬化性組成物においては、前記カチオン硬化性成分(A)と前記ポリマー(C)との合計量100質量部に対し、水分を3質量部以下の割合で含むことが好ましい。
また、本発明の硬化性組成物の硬化方法は、本発明の硬化性組成物を、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化させることを特徴とするものである。
さらに、本発明の硬化物は、本発明の硬化性組成物からなることを特徴とするものである。
さらにまた、本発明の接着剤は、本発明の硬化性組成物からなることを特徴とするものである。
本発明によれば、硬化性、接着性および塗工性に優れる硬化性組成物、その硬化方法、これにより得られる硬化物および接着剤を提供することができる。
以下、本発明の硬化性組成物、その硬化方法、これにより得られる硬化物および接着剤について、詳細に説明する。
本発明の硬化性組成物は、カチオン硬化性成分(A)(以下、「(A)成分」とも称す)90〜98質量部と、カチオン重合開始剤(B)(以下、「(B)成分」とも称す)1〜10質量部と、下記式(I)で表される単量体からなるポリマー、下記式(I)で表される単量体から選択される二種以上の単量体からなるポリマー、下記式(II)で表される単量体からなるポリマー、下記式(II)で表される単量体から選択される二種以上の単量体からなるポリマー、および下記式(I)で表される単量体および下記式(II)で表される単量体からなるポリマーからなる群より選択されるポリマー(C)(以下、「(C)成分とも称す」とも称す)2〜10質量部と、を含有する。
Figure 2017115103
ここで、式中、Xは、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数6〜12のアリールオキシ基もしくは炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基、またはこれらの基中の水素原子が、エポキシ基、オキセタン基、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で置換されたものである。
Figure 2017115103
ここで、式中、Rは、水素原子、メチル基またはハロゲン原子を表し、X’は、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基もしくは炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基、またはこれらの基中の水素原子が、エポキシ基、オキセタン基、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で置換されたものである。
本発明の硬化性組成物は、(A)成分が、主成分としての脂肪族エポキシ化合物(A1)と、多官能芳香族エポキシ化合物(A2)と、を含有し、(A)成分100質量部に対して、多官能芳香族エポキシ化合物(A2)が、5〜40質量部含有されてなる。以下、(A)〜(C)成分について、詳細に説明する。
<カチオン硬化性成分(A)>
本発明の硬化性組成物に使用する(A)成分は、主成分としての脂肪族エポキシ化合物(A1)と、多官能芳香族エポキシ化合物(A2)と、を必須成分とする。本発明の硬化性組成物においては、(A)成分として、これら以外にも、エネルギー線照射または加熱により活性化したカチオン重合開始剤により高分子化、または架橋反応を起こす化合物を含んでもよく、例としては、脂環式エポキシ化合物(A3)、オキセタン化合物(A4)、ビニルエーテル化合物(A5)等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物においては、脂肪族エポキシ化合物(A1)とは、後述の多官能芳香族エポキシ化合物(A2)や脂環式エポキシ化合物(A3)に分類されないエポキシ化合物を指し、脂肪族エポキシ化合物(A1)の具体例としては、脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化物、アルキルカルボン酸のグリシジルエステル等の単官能エポキシ化合物や、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル等の多官能エポキシ化合物が挙げられる。
代表的な化合物として、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、C12〜13混合アルキルグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル、またプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル化物、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。さらに、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルや高級脂肪酸のグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物においては、脂肪族エポキシ化合物(A1)としては、脂肪族アルコールのグリシジルエーテル化物あるいは脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物が、粘度、塗工性および反応性が向上するので好ましく、さらに、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルが好ましい。
脂肪族エポキシ化合物(A1)としては、市販品のものを用いることができ、例えば、デナコールEX−121、デナコールEX−171、デナコールEX−192、デナコールEX−211、デナコールEX−212、デナコールEX−313、デナコールEX−314、デナコールEX−321、デナコールEX−411、デナコールEX−421、デナコールEX−512、デナコールEX−521、デナコールEX−611、デナコールEX−612、デナコールEX−614、デナコールEX−622、デナコールEX−810、デナコールEX−811、デナコールEX−850、デナコールEX−851、デナコールEX−821、デナコールEX−830、デナコールEX−832、デナコールEX−841、デナコールEX−861、デナコールEX−911、デナコールEX−941、デナコールEX−920、デナコールEX−931(ナガセケムテックス社製);エポライトM−1230、エポライト40E、エポライト100E、エポライト200E、エポライト400E、エポライト70P、エポライト200P、エポライト400P、エポライト1500NP、エポライト1600、エポライト80MF、エポライト100MF(共栄社化学社製)、アデカグリシロールED−503、アデカグリシロールED−503G、アデカグリシロールED−506、アデカグリシロールED−523T(ADEKA社製)等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、(A)成分100質量部に対して、脂肪族エポキシ化合物(A1)が、主成分となっていれば特に制限はないが、30〜90質量部、特に、40〜80質量部とすることで、粘度、塗工性および反応性が向上するので好ましい。
多官能芳香族エポキシ化合物(A2)とは、エポキシ基を複数有し芳香環を含むエポキシ化合物を指し、多官能芳香族エポキシ化合物(A2)の具体例としては、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール等、少なくとも1個の芳香族環を有する1価フェノールまたは、そのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテル化物、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、またはこれらに、さらにアルキレンオキサイドを付加した化合物のポリグリシジルエーテル化物やフェノールノボラック型エポキシ化合物;レゾルシノールやハイドロキノン、カテコール等の2個以上のフェノール性水酸基を有する芳香族化合物のグリシジルエーテル;ベンゼンジメタノールやベンゼンジエタノール、ベンゼンジブタノール等のアルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル化物;フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸等の2個以上のカルボン酸を有する多塩基酸芳香族化合物のポリグリシジルエステル、安息香酸やトルイル酸、ナフトエ酸等の安息香酸類のポリグリシジルエステル、安息香酸のグリシジルエステル、スチレンオキサイドまたはジビニルベンゼンのエポキシ化物等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物においては、芳香族エポキシ化合物(A2)としては、これらの中でも、フェノール類のポリグリシジルエーテル、アルコール性水酸基を2個以上有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル化物、多価フェノール類のポリグリシジルエーテル化物、安息香酸類のポリグリシジルエステル、多塩基酸類のポリグリシジルエステルの群から選ばれる少なくとも一種を含有することが、硬化性組成物の低粘度化の観点から好ましい。特に、多官能芳香族エポキシ化合物としては、三官能以上のものが、硬化性に優れるため好ましい。
多官能芳香族エポキシ化合物(A2)としては、市販品のものを用いることができ、例えば、デナコールEX−201、デナコールEX−203、デナコールEX−711、デナコールEX−721、オンコートEX−1020、オンコートEX−1030、オンコートEX−1040、オンコートEX−1050、オンコートEX−1051、オンコートEX−1010、オンコートEX−1011、オンコート1012(ナガセケムテックス社製);オグソールPG−100、オグソールEG−200、オグソールEG−210、オグソールEG−250(大阪ガスケミカル社製);HP4032、HP4032D、HP4700(DIC社製);ESN−475V(新日鉄住金化学社製);エピコートYX8800(三菱化学社製);マープルーフG−0105SA、マープルーフG−0130SP(日油社製);エピクロンN−665、エピクロンHP−7200(DIC社製);EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、XD−1000、NC−3000、EPPN−501H、EPPN−501HY、EPPN−502H、NC−7000L(日本化薬社製);アデカレジンEP−4000、アデカレジンEP−4005、アデカレジンEP−4100、アデカレジンEP−4901、アデカレジンEP−5100R(ADEKA社製);TECHMORE VG−3101L(プリンテック社製)等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物においては、(A)成分100質量部に対し、多官能芳香族エポキシ化合物(A2)は、硬化性向上の観点から、5〜40質量部含有することが好ましく、10〜30質量部含有することがより好ましい。
本発明の硬化性組成物においては、(A)成分としては、さらに、脂環式エポキシ化合物(A3)を用いてもよい。脂環式エポキシ化合物(A3)の具体例としては、少なくとも1個の脂環式環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル化物またはシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、プロパン−2,2−ジイル−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサン、1,2−エポキシ−2−エポキシエチルシクロヘキサン、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン,ポリ[オキシ−(1−オキソ−1,6−ヘキサンジイル)]]誘導体、ヘキサン二酸ビス[(7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−イル)メチル]、α−ピネンオキシド、リモネンジオキシド等が挙げられる。これらの中でも、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートまたは3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレートが、密着性向上の観点から好ましい。
本発明の硬化性組成物においては、脂環式エポキシ化合物(A3)としては、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートまたは3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレートが、密着性向上の観点から好ましい。
脂環式エポキシ化合物(A3)としては、市販品のものを用いることができ、例えば、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2000、セロキサイド3000(ダイセル社製)等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物においては、(A)成分として、さらに、オキセタン化合物(A4)を用いてもよい。オキセタン化合物(A4)としては、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、3−エチル−3−(3−エチル−3−オキセタニルメチルオキシメチル)オキセタン、キシリレンビスオキセタン等の二官能脂肪族オキセタン化合物、3−エチル−3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3−エチル−3−(ヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(クロロメチル)オキセタン等の一官能オキセタン化合物等が挙げられ、一官能脂肪族オキセタン化合物が、粘度および反応性の点から好ましい。これらは1種単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
オキセタン化合物(A4)としては、カチオン重合性モノマーを主成分とする市販品のものを用いることができ、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(丸善石油化学社製);アロンオキセタンOXT−121、OXT−221、EXOH、POX、OXA、OXT−101、OXT−211、OXT−212(東亞合成社製)、エタナコールOXBP、OXTP(宇部興産社製)等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物においては、(A)成分として、さらに、ビニルエーテル化合物(A5)を用いてもよい。ビニルエーテル化合物(A5)としては、例えば、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、n−ドデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、1,6−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等が挙げられる。
(A)成分において、脂肪族エポキシ化合物(A1)、多官能芳香族エポキシ化合物(A2)、脂環式エポキシ化合物(A3)、オキセタン化合物(A4)およびビニルエーテル化合物(A5)の使用割合は、カチオン硬化性成分(A)100質量部に対して、脂肪族エポキシ化合物(A1)30〜90質量部、多官能芳香族エポキシ化合物(A2)5〜40質量部、脂環式エポキシ化合物(A3)10〜30質量部、オキセタン化合物(A4)0〜30質量部およびおよびビニルエーテル化合物(A5)1〜15質量部とするのが、粘度、塗工性、反応性および硬化性が向上するので好ましい。
<カチオン重合開始剤(B)>
本発明の硬化性組成物に使用する(B)成分は、エネルギー線照射または加熱によりカチオン重合を開始させる物質を放出させることが可能な化合物であればどのようなものでも差し支えないが、好ましくは、エネルギー線の照射によってルイス酸を放出するオニウム塩である複塩、またはその誘導体である。かかる化合物の代表的なものとしては、下記一般式、
[A]r+[B]r−
で表される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
ここで陽イオン[A]r+はオニウムであることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式、
[(RQ]r+
で表すことができる。
さらに、ここで、Rは炭素原子数が1〜60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでいてもよい有機基である。aは1〜5の整数である。a個のRは各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つは、芳香環を有する上記のような有機基であることが好ましい。QはS,N,Se,Te,P,As,Sb,Bi,O,I,Br,Cl,F,N=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団である。また、陽イオン[A]r+中のQの原子価をqとしたとき、r=a−qなる関係が成り立つことが必要である(ただし、N=Nは原子価0として扱う)。
また、陰イオン[B]r−は、ハロゲン化物錯体であることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式、
[LYr−で表すことができる。
さらに、ここで、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(Metalloid)であり、B,P,As,Sb,Fe,Sn,Bi,Al,Ca,In,Ti,Zn,Sc,V,Cr,Mn,Co等である。Yはハロゲン原子である。bは3〜7の整数である。また、陰イオン[B]r−中のLの原子価をpとしたとき、r=b−pなる関係が成り立つことが必要である。
上記一般式の陰イオン[LYr−の具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラ(3,5−ジフルオロ−4−メトキシフェニル)ボレート、テトラフルオロボレート(BF、ヘキサフルオロフォスフェート(PF、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF、ヘキサフルオロアルセネート(AsF、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl等を挙げることができる。
また、陰イオン[B]r−は、下記一般式、
[LYb−1(OH)]r−
で表される構造のものも好ましく用いることができる。L,Y,bは上記と同様である。また、その他用いることのできる陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO、フルオロスルホン酸イオン(FSO、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオン、カンファースルフォネート、ノナフロロブタンスルフォネート、ヘキサデカフロロオクタンスルフォネート、テトラアリールボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。
本発明では、このようなオニウム塩の中でも、下記の(i)〜(iii)の芳香族オニウム塩を使用することが特に好ましい。本発明の硬化性組成物においては、これらのうち1種を単独で用いてもよく、または2種以上を併用してもよい。
(i)フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩
(ii)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のジアリールヨードニウム塩
(iii)下記群Iまたは群IIで表されるスルホニウムカチオンとヘキサフルオロアンチモンイオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等のスルホニウム塩
<群I>
Figure 2017115103
<群II>
Figure 2017115103
また、その他好ましいものとしては、(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン〕−アイアン−ヘキサフルオロホスフェート等の鉄−アレーン錯体や、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウム等のアルミニウム錯体とトリフェニルシラノール等のシラノール類との混合物;チオフェニウム塩、チオラニウム塩、ベンジルアンモニウム、ピリジニウム塩、ヒドラジニウム塩等の塩;ジエチレントリアミン、トリエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン等のポリアルキルポリアミン類;1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノ−3,6−ジエチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン類;m−キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン類;上記ポリアミン類と、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル類またはカルボン酸のグリシジルエステル類等の各種エポキシ化合物と、を常法によって反応させることによって製造されるポリエポキシ付加変性物;上記有機ポリアミン類と、フタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸等のカルボン酸類とを常法によって反応させることによって製造されるアミド化変性物;上記ポリアミン類とホルムアルデヒド等のアルデヒド類およびフェノール、クレゾール、キシレノール、第三ブチルフェノール、レゾルシン等の核に少なくとも一個のアルデヒド化反応性場所を有するフェノール類とを常法によって反応させることによって製造されるマンニッヒ化変性物;多価カルボン酸(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2−メチルコハク酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−メチルペンタン二酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸、水添ダイマー酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸類;フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸類;トリメリト酸、トリメシン酸、ひまし油脂肪酸の三量体等のトリカルボン酸類;ピロメリット酸等のテトラカルボン酸類等)の酸無水物;ジシアンジアミド、イミダゾール類、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、アミンイミド等を挙げることができる。
これらの中でも、実用面と光感度向上の観点から、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄−アレーン錯体を用いることが好ましい。
(A)成分に対する(B)成分の使用割合は特に限定されず、本発明の目的を阻害しない範囲内で概ね通常の使用割合で使用すればよい。例えば、(A)成分100質量部に対して、(B)成分0.001〜15質量部、好ましくは0.1〜10質量部とすることができる。(B)成分が少なすぎると硬化が不十分となりやすく、多すぎると硬化物の吸水率や硬化物強度等の諸物性に悪影響を与える場合がある。
<ポリマー(C)>
本発明の硬化性組成物に使用する(C)成分は、上記式(I)、で表される単量体から得られるポリマー(C1)、上記式(I)で表される単量体から選択される二種以上の単量体から得られるポリマー(C2)、上記式(II)で表される単量体から得られるポリマー(C3)、上記式(II)で表される単量体から選択される二種以上の単量体から得られるポリマー(C4)、および上記式(I)で表される単量体および上記式(II)で表される単量体から得られるポリマー(C5)の群より選択され、重量平均分子量が、ポリスチレン換算で5,000〜500,000である。
上記式(I)中のXで表される炭素原子数1〜7のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、iso−ブチル、ペンチル、iso−ペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、4−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、iso−ヘプチル、tert−ヘプチル等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数1〜4のアルキル基、または、エポキシ基、オキセタン基、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で部分的に置換された炭素原子数1〜4のアルキル基が、硬化性の点から好ましい。
上記式(I)中のXで表される炭素原子数1〜7のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、iso−プロピルオキシ、ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、iso−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、iso−ペンチルオキシ、tert−ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、2−ヘキシルオキシ、3−ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、4−メチルシクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、2−ヘプチルオキシ、3−ヘプチルオキシ、iso−ヘプチルオキシ、tert−ヘプチルオキシ等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数1〜4のアルキル基、または、エポキシ基、オキセタン基、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で部分的に置換された炭素原子数1〜4のアルコキシ基が、硬化性の点から好ましい。
上記式(I)中のXで表される炭素原子数6〜12のアリール基としては、フェニル、メチルフェニル、ナフチル等が挙げられる。
上記式(I)中のXで表される炭素原子数6〜12のアリールオキシ基としては、フェニルオキシ、メチルフェニルオキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。
上記式(I)中のXで表される炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基としては、シクロへキシル、メチルシクロヘキシル、ノルボルニル、ビシクロペンチル、ビシクロオクチル、トリメチルビシクロヘプチル、トリシクロオクチル、トリシクロデカニル、スピロオクチル、スピロビシクロペンチル、アダマンチル、イソボルニル等が挙げられる。
上記式(I)において、Xの一部がエポキシ基またはオキセタン基で置換されている場合における、式(I)で表される単量体としては、例えば、下記式(1)〜(3)で表される単量体が挙げられる。
Figure 2017115103
(式中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、mは、1〜6の整数である。)
Figure 2017115103
(式中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、nは、1〜6の整数である。)
Figure 2017115103
(式中、Rは、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、sは、1〜6の整数である。)
上記式(II)において、Rで表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
上記式(II)において、X’は、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基もしくは炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基、またはこれらの基中の水素原子が、エポキシ基、オキセタン基、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で置換されたものである。上記アルキル基、アリール基および脂環式炭化水素基としては、上記式(I)のものと同じものを例として挙げることができる。
上記式(II)において、X’の一部がエポキシ基またはオキセタン基で置換されている場合における、式(II)で表される単量体としては、下記式(4)〜(6)で表されるものが挙げられる。
Figure 2017115103
(式中、Rは、上記式(II)と同じであり、Rは、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、tは、1〜6の整数である。)
Figure 2017115103
(式中、Rは、上記式(II)と同じであり、Rは、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、qは、1〜6の整数である。)
Figure 2017115103
(式中、Rは、上記式(II)と同じであり、Rは、水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、yは、1〜6の整数である。)
ポリマー(C)において、ポリマーを構成する単量体の使用割合は、上記Xが、エポキシ基、オキセタン基、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で置換された炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基もしくは炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基である場合における、上記(I)または(II)で表される単量体が10〜100質量%となるように用いるのが、接着性が向上するので好ましい。
<その他の成分>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、増感剤および/または増感助剤を用いることができる。増感剤は、(B)成分が示す極大吸収波長よりも長い波長に極大吸収を示し、(B)成分による重合開始反応を促進させる化合物である。また増感助剤は、増感剤の作用を一層促進させる化合物である。
本発明の硬化性組成物においては、増感剤および増感助剤としては、アントラセン系化合物、ナフタレン系化合物等を用いることができる。
アントラセン系化合物としては、例えば、下記式(7)で表されるものが挙げられる。
Figure 2017115103
(式中、RおよびR10は、各々独立に炭素原子数1〜6のアルキル基または炭素原子数2〜12のアルコキシアルキル基を表し、R11は水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。)
上記式(7)で表されるアントラセン系化合物の具体例としては、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジイソプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジペンチルオキシアントラセン、9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、9,10−ビス(2−メトキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−エトキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−ブトキシエトキシ)アントラセン、9,10−ビス(3−ブトキシプロポキシ)アントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジイソプロポキシアントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジペンチルオキシアントラセン、2−メチル−または2−エチル−9,10−ジヘキシルオキシアントラセン等が挙げられる。
ナフタレン系化合物としては、例えば、下記式(8)で表されるものが挙げられる。
Figure 2017115103
(式中、R12およびR13は、各々独立に水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。)
上記式(8)で表されるナフタレン系化合物の具体例としては、4−メトキシ−1−ナフトール、4−エトキシ−1−ナフトール、4−プロポキシ−1−ナフトール、4−ブトキシ−1−ナフトール、4−ヘキシルオキシ−1−ナフトール、1,4−ジメトキシナフタレン、1−エトキシ−4−メトキシナフタレン、1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ジプロポキシナフタレン、1,4−ジブトキシナフタレン等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物においては、(A)成分に対する増感剤および増感助剤の使用割合は特に限定されず、本発明の目的を阻害しない範囲内で概ね通常の使用割合で使用すればよい。例えば、(A)成分100重量部に対して、増感剤および増感助剤それぞれ0.1〜3質量部とするのが、硬化性の向上の観点から好ましい。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じてシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル官能性アルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン等のアルケニル官能性アルコキシシラン、3−メタクリロキシブロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシブロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシラン、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブトキシド等のチタンアルコキシド類、チタンジオクチロキシビス(オクチレングリコレート)、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)等のチタンキレート類、ジルコウニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート等のジルコニウムキレート類、ジルコニウムトリブトキシモノステアレート等のジルコニウムアシレート類、メチルトリイソシアネートシラン等のイソシアネートシラン類等を用いることができる。
上記シランカップリング剤の使用量は、特に限定されないが、通常、硬化性組成物中の固形物の全量100質量部に対して、1〜20質量部の範囲である。
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて熱可塑性有機重合体を用いることによって、硬化物の特性を改善することもできる。熱可塑性有機重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート−ポリメチル(メタ)アクリレート共重合体、ポリビニルブチラール、セルロースエステル、ポリアクリルアミド、飽和ポリエステル等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物には、上記(A)成分、(B)成分および(C)成分の各成分を溶解または分散させために、通常用いられる溶媒を用いることができる。溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、テキサノール等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ−またはn−プロパノール、イソ−またはn−ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート等のエーテルエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、ソルベッソ#100(エクソン化学(株))等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;プロピレンカーボネート、カルビトール系溶媒、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられ、これらの溶媒は1種または2種以上の混合溶媒として使用することができる。
本発明の硬化性組成物は、硬化性、接着性および液保存安定性を向上させるために、(A)成分と(C)成分の合計を100質量部としたとき、水分量を5質量部以下とすることが好ましく、3質量部以下がより好ましい。水分が多すぎると、白濁したり成分が析出したりするおそれがあるので好ましくない。
また、本発明の硬化性組成物においては、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて他のモノマー、他のエネルギー線感受性重合開始剤、無機フィラー、有機フィラー、顔料、染料等の着色剤、消泡剤、増粘剤、界面活性剤、レべリング剤、難燃剤、チクソ剤、希釈剤、可塑剤、安定剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、静電防止剤、流動調整剤、接着促進剤等の各種樹脂添加物等を添加することができる。
本発明の硬化性組成物は、ロールコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、支持基体上に塗布することができる。また、一旦フィルム等の支持基体上に塗布した後、他の支持基体上に転写することもでき、その使用方法に制限はない。
支持基体の材料としては、特に制限されず、既知のものを使用することができる。例えば、ガラス等の無機材料;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースエステル;ポリアミド;ポリイミド;ポリウレタン;エポキシ樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ポリスチレン;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等のビニル化合物;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸エステル等のアクリル系樹脂;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリエーテルイミド;ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂、シクロオレフィンポリマー(COP)等の高分子材料が挙げられる。なお、上記支持基体に、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を行ってもよい。
本発明の硬化性組成物およびその硬化物の具体的な用途としては、接着剤、メガネ、撮像用レンズに代表される光学材料、塗料、コーティング剤、ライニング剤、インキ、レジスト、液状レジスト、印刷版、絶縁ワニス、絶縁シート、積層板、プリント基盤、半導体装置用・LEDパッケージ用・液晶注入口用・有機EL用・光素子用・電気絶縁用・電子部品用・分離膜用等の封止剤、成形材料、パテ、ガラス繊維含浸剤、目止め剤、半導体用・太陽電池用等のパッシベーション膜、層間絶縁膜、保護膜、液晶表示装置のバックライトに使用されるプリズムレンズシート、プロジェクションテレビ等のスクリーンに使用されるフレネルレンズシート、レンチキュラーレンズシート等のレンズシートのレンズ部、またはこのようなシートを用いたバックライト等、マイクロレンズ等の光学レンズ、光学素子、光コネクター、光導波路、光学的造形用注型剤等を挙げることができる。
例えば、本発明の硬化性組成物を接着剤として適用する場合には、基材として、金属、木材、ゴム、プラスチック、ガラス、セラミック製品等を用い、基材に本発明の硬化性組成物を上述の手段で塗布し、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化させる。
本発明の硬化性組成物をエネルギー線の照射により硬化させる場合、エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波等を挙げることができ、紫外線が経済的に最も好ましい。紫外線の光源としては、紫外線レーザー、水銀ランプ、キセノンレーザ、メタルハライドランプ等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物を加熱により硬化させる場合の条件は、70〜250℃で1〜100分程度である。プレベイク(PAB;Pre applied bake)した後、加圧して、ポストベイク(PEB;Post exposure bake)してもよいし、異なる数段階の温度でベイクしてもよい。
加熱条件は各成分の種類および配合割合によって異なるが、例えば、70〜180℃で、オーブンなら5〜15分間、ホットプレートなら1〜5分間である。その後、塗膜を硬化させるために180〜250℃、好ましくは200〜250℃で、オーブンなら30〜90分間、ホットプレートなら5〜30分間加熱処理することによって硬化膜を得ることができる。
以下、本発明の硬化性組成物およびこの硬化性組成物を硬化して得られる硬化物に関し、実施例および比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例では部は質量部を意味する。
[実施例1〜10、比較例1〜4]
下記の表1、2に示す配合で各成分を十分に混合して、各々実施例1〜10、比較例1〜4の硬化性組成物を得た。(A)成分としては、下記の化合物(A1−1)〜(A1−2)、(A2−1)〜(A2−3)、(A3−1)および(A4−1)を用い、(B)成分としては、下記の化合物(B)を用い、(C)成分としては、グリシジルメタクリレートとメタクリル酸メチルの共重合体(エポキシ当量580、ポリスチレン換算重量平均分子量8,000)を用いた。
化合物A1−1:1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル
化合物A1−2:ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル
化合物A2−1:アデカレジンEP−4100L(ビスフェノールA型多官能エポキシ:ADEKA社製)
化合物A2−2:アデカレジンEP−5100R(ビスフェノールA型多官能エポキシ:ADEKA社製)
化合物A2−3:TECHMORE VG3101(芳香族3官能エポキシ:プリンテック社製)
化合物A3−1:セロキサイド2021P(脂環式エポキシ:ダイセル社製)
化合物A4−1:アロンオキセタンOXT−221(オキセタン:東亞合成社製)
化合物B:下記式(9)で表される化合物および下記式(10)で表される化合物の混合物のプロピレンカーボネート50%溶液
Figure 2017115103
Figure 2017115103
D−1:1,4−ジエトキシナフタレン
D−2:9,10−ジブトキシアントラセン
得られた実施例1〜10および比較例1〜4の硬化性組成物について、下記評価を行った。評価結果を表1、2に併記する。
(液状態)
均一に混合されているものを○、分離または溶解しないものを×として、目視により評価した。
(塗工性)
厚さ100μmのPETフィルム上に、得られた実施例1〜10および比較例1〜4の組成物のそれぞれを塗布し、ラミネーターを用いて別の厚さ50μmCOP(シクロオレフィンポリマー)フィルムと貼り合わせたときの状態を確認し、フィルム間に気泡が入らず、フィルムにシワや乱れがないものを○、フィルム間に気泡が入ったり、フィルムにシワや乱れがあるものを×として評価した。
カールフィッシャー水分計を用いて、温度25℃における水分率を測定した。
(硬化性)
得られた実施例1〜10および比較例1〜4の硬化性組成物のそれぞれをPETフィルム上にバーコーターで30μmの厚さに塗布し、メタルハライドランプを用いて500mJ/cmのエネルギーを照射した。3分後にフィルムから接着剤硬化物を取り出し、試験片を得た。照射直後に塗布面がタックフリーになっているものを〇、タックが残っているものを×として評価した。
(粘度)
得られた実施例1〜10および比較例1〜4の硬化性組成物のそれぞれを25℃においてE型粘度計で粘度を測定した。
(接着性)
得られた実施例1〜10および比較例1〜4の硬化性組成物のそれぞれを、一枚のコロナ放電処理を施したPETフィルムに塗布した後、このフィルムを、ラミネーターを用いてコロナ放電処理を施したもう一枚のCOPフィルムと貼り合わせ、メタルハライドランプを用いて500mJ/cmのエネルギーを照射して接着して試験片を得た。得られた試験片の90度ピール試験を行った。
Figure 2017115103
Figure 2017115103
表1、2より、本発明の硬化性組成物は、硬化性、接着性および塗工性に優れることがわかる。

Claims (7)

  1. カチオン硬化性成分(A)90〜98質量部と、カチオン重合開始剤(B)1〜10質量部と、下記式(I)、
    Figure 2017115103
    (式中、Xは、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数1〜7のアルコキシ基、炭素原子数6〜12のアリール基、炭素原子数6〜12のアリールオキシ基もしくは炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基、またはこれらの基中の水素原子が、エポキシ基、オキセタン基、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で置換されたものである)で表される単量体からなるポリマー、上記式(I)で表される単量体から選択される二種以上の単量体からなるポリマー、下記式(II)、
    Figure 2017115103
    (式中、Rは、水素原子、メチル基またはハロゲン原子を表し、X’は、炭素原子数1〜7のアルキル基、炭素原子数6〜12のアリール基もしくは炭素原子数6〜10の脂環式炭化水素基、またはこれらの基中の水素原子が、エポキシ基、オキセタン基、水酸基およびカルボキシル基からなる群より選択される1種以上の基で置換されたものである)で表される単量体からなるポリマー、上記式(II)で表される単量体から選択される二種以上の単量体からなるポリマー、および上記式(I)で表される単量体および上記式(II)で表される単量体からなるポリマーからなる群より選択されるポリマー(C)2〜10質量部と、を含有し、
    前記カチオン硬化性成分(A)が、主成分としての脂肪族エポキシ化合物(A1)と、多官能芳香族エポキシ化合物(A2)と、を含有し、前記カチオン硬化性成分(A)100質量部に対して、前記多官能芳香族エポキシ化合物(A2)が、5〜40質量部含有されてなることを特徴とする硬化性組成物。
  2. 前記多官能芳香族エポキシ化合物(A2)が、三官能以上の芳香族エポキシ化合物である請求項1記載の硬化性組成物。
  3. 前記ポリマー(C)の質量平均分子量が、ポリスチレン換算で5,000〜500,000である請求項1または2記載の硬化性組成物。
  4. 前記カチオン硬化性成分(A)と前記ポリマー(C)との合計量100質量部に対し、水分を3質量部以下の割合で含む請求項1〜3のうちいずれか一項記載の硬化性組成物。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか一項記載の硬化性組成物を、活性エネルギー線の照射または加熱により硬化させることを特徴とする硬化性組成物の硬化方法。
  6. 請求項1〜4のうちいずれか一項記載の硬化性組成物からなることを特徴とする硬化物。
  7. 請求項1〜4のうちいずれか一項記載の硬化性組成物からなることを特徴とする接着剤。
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