JP2017115038A - 潤滑油組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高出力、高回転のギヤ機構に対してギヤオイルとして適用できるAPIギヤ油タイプでGL−5レベルの優れた耐久性、耐焼き付き性及び安定性を維持しつつ、かつ省燃費性に加えてディファレンシャルギヤ部での耐焼き付き性をさらに改善できる潤滑油組成物の提供。【解決手段】フィッシャー・トロプシュ由来基油と、ポリアルファオレフィンと、エステル化合物を混合して含有する潤滑油組成物であって、SAE粘度グレードが75W−85であり、APIギヤ油タイプでGL−5を満たし、粘度指数が160以上である潤滑油組成物。組成物の全質量に対して上記フィッシャー・トロプシュ由来基油を30〜50質量%、上記ポリアルファオレフィンを20〜40質量%、上記エステル化合物を5〜20質量%含有する、潤滑油組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑油組成物に関し、特に自動車用ギヤ油、自動車用ハイポイドギヤ油として使用される潤滑油組成物に関する。
近年、自動車用のギヤ油に要求される耐荷重性能は、自動車の高出力化に伴いAPI(American Petroleum Institute)のギヤ油タイプのGL−4からGL−5のレベルが必要となってきている。
また、様々な道路状況に対応して運転される自動車用ギヤユニットは、油膜の形成されにくい低速条件での駆動を想定する必要がある上に、ユニットの小型化に伴うギヤ油充填量減少によって発熱によりギヤ油温度が上昇し、粘度低下に起因する油膜破断も発生しやすい傾向にもあるため、ギヤ油にはさらなる耐久性が求められている。
このような耐久性を求められるギヤ油はギヤ歯面上の油膜形成を保持するためSAE(Society of Automotive Engineers)の粘度番号90(13.5〜18.5mm/s(100℃))を採用するのが一般的であった。
しかし、一方では省燃費性も求められており、これを実現するためには、攪拌抵抗を低減させ、これに対処するために低粘度化が必要となる。
こうした、ギヤ歯面上の油膜形成作用の保持と低粘度化の双方の要求を満足するために、従来手法に基づいて低粘度基油に対して極圧添加剤の添加量を増量させるといった方法を採用すると、極圧添加剤として用いられているリン・硫黄系添加剤が、銅成分を含む部品に対する腐食性の悪影響を高め、装置寿命の短命化を招来する危険性が多い。そのため、このような銅や銅合金の腐食を低下させるギヤ油用の添加剤組成物も提案されている(特許文献1)。
また、基油に炭化水素系合成油とエステル系合成油を採用してGL−5レベルを維持し、一方で低粘度化を図り、耐久性と省燃費性の両立を達成している技術も提案されている(特許文献2)。しかしながら、このような技術によっても、自動車などのディファレンシャルギヤ部での耐焼き付き性を向上させることは困難であった。
特開2004−323850号公報 特開2008−179780号公報
本発明は、高出力の自動車その他の高出力、高回転のギヤ機構に対してギヤオイルとして適用できるAPI GL−5というレベルの優れた耐久性、耐焼き付き性及び安定性を維持しつつ、かつ省燃費性に加えてディファレンシャルギヤ部でのさらなる耐焼き付き性の向上を実現することができるような自動車用ギヤ油などに適用できる潤滑油組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく、本発明は、フィッシャー・トロプシュ由来基油(GTL基油)と、ポリアルファオレフィンと、エステル化合物とを混合して含有し、SAE粘度グレードが75W−85であり、APIギヤ油タイプでGL−5を満たし、粘度指数が160以上である潤滑油組成物に関する。
フィッシャー・トロプシュ由来基油は組成物の全質量に対して30〜50質量%含有され、ポリアルファオレフィンは組成物の全質量に対して20〜40質量%含有され、エステル化合物は組成物の全質量に対して5〜20質量%含有される。
フィッシャー・トロプシュ由来基油は100℃における動粘度が3〜6mm/sであり、ポリアルファオレフィンは100℃における動粘度が20〜100mm/sであり、エステル化合物は100℃における動粘度3〜6mm/sである。
本発明によれば、高出力の自動車その他の高出力、高回転のギヤ機構に対するギヤオイルとして適用することができるような、API GL−5という高いレベルの耐焼き付き性及び安定性を維持しつつ、省燃費性を実現し、更にはディファレンシャルギヤ部での耐焼き付き性を改善することができる潤滑油組成物を提供できる。さらに、当該潤滑油組成物は、自動車用ギヤ油、ハイポイドギヤ油などに効果的に使用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
ギヤ機構について省燃費を図るには、主として、(1)金属同士の接触によって生ずるギヤ歯面間のすべりを低減すること、(2)回転するギヤ歯車が潤滑油を攪拌することに要するエネルギーを低減すること、(3)潤滑油膜を介在したギヤ歯面間でおこる高圧力条件下でのすべり摩擦を低減すること、の3点を高度にバランスさせることによって行う必要がある。
こうしたバランスをとる為に、通常、上記(1)のためには添加する油性剤の効果的活用によって摩擦係数の低下を図り、上記(2)のためには低粘度基油の採用によって低粘度化を図り、上記(3)のためにはせん断力の小さな基油を選択することによってトラクション係数の低下を図るという手段を講じることが考えられる。
また、耐荷重性能を向上させるためには、(4)極圧剤の使用によってギヤ歯面に強固な金属皮膜を形成すること、(5)金属同士の接触を妨げるような油膜を形成すること、などが必要とされる。また、この油膜の保持は軸受の疲労寿命にも影響を及ぼすものである。
このような省燃費と耐荷重性能を両立させるためには、先ず、潤滑油組成物の主要な組成材料の選定が重要なポイントの一つである。すなわち、低温においては低粘度であって攪拌抵抗が低く、高温の発生する極圧状態においては、高粘度であるような組成材料が好ましい。
こうした好ましい組成材料に近いものは、温度による粘度変化が小さい粘度指数(VI)が高いものであり、VI値にして140以上、望ましくは150以上、特に好ましくは160以上であることが必要とされる。
このVIを向上させるためには、ポリアルファオレフィン、特には高粘度のポリアルファオレフィンとエステル基油に加えて、フィッシャー・トロプシュ由来基油を混合して使用することができる。
また、組成材料についてその油膜厚さの測定とトラクション係数の測定を行ったところ、(6)パラフィン系の鉱油では、油膜厚さが50〜230nm(ナノメートル)程度で、トラクション係数が0.03〜0.044程度であり、(7)ナフテン系の鉱油では、油膜厚さが100〜380nm(ナノメートル)程度で、トラクション係数が0.019〜0.028程度であり、(8)パラフィン系合成油およびエステル合成油では、油膜厚さが70〜320nm(ナノメートル)程度で、トラクション係数が0.007〜0.014程度であった。こうしたことから低いトラクションを得るためには、上記(8)のパラフィン系合成油およびエステル化合物(エステル合成油)が好ましい。
こうした上記(8)のパラフィン系合成油およびエステル化合物としては、ポリアルファオレフィン、フィッシャー・トロプシュ由来基油及びエステル化合物の3つのグループに属するものから選択することが挙げられる。このグループの中で最も低いトラクション係数を示し、かつ油性の効果も併せて得ることができるものとしては、エステル化合物が挙げられる。
このような省燃費と耐荷重性能の向上に加えて、自動車などのディファレンシャルギヤ部での疲労寿命を改善させる方法について種々研究、試験を行った結果、ポリアルファオレフィンと、エステル化合物とに加えて、フィッシャー・トロプシュ由来基油を混合して使用することが有効な手段であることが分かった。
本発明のフィッシャー・トロプシュ由来基油(GTL基油)は、当分野において既知である。「フィッシャー・トロプシュ由来」という用語は、基油が、フィッシャー・トロプシュ法の合成生成物であるまたはこの合成生成物に由来することを意味する。フィッシャー・トロプシュ由来基油は、GTL(ガス液化)基油とも称することができる。潤滑組成物内で基油として好都合に使用できる適切なフィッシャー・トロプシュ由来基油は例えば、EP0776959、EP0668342、WO97/21788、WO00/15736、WO00/14188、WO00/14187、WO00/14183、WO00/14179、WO00/08115、WO99/41332、EP1029029、WO01/18156およびWO01/57166において開示されているものである。
フィッシャー・トロプシュ由来基油は、100℃における動粘度が3〜6mm/sである。フィッシャー・トロプシュ由来基油の100℃における動粘度が3mm/s未満であると、高温における蒸発量が大きく組成物の粘度が上昇してしまい、省燃費の効果が低減される。フィッシャー・トロプシュ由来基油の100℃における動粘度が6mm/sを超えると、低温(−40℃)での粘度が上昇することが懸念されるので望ましくない。
フィッシャー・トロプシュ由来基油の100℃における動粘度は、好ましくは3〜5mm/sである。
フィッシャー・トロプシュ由来基油の含有量は、潤滑油組成物の全質量に対して30〜50質量%である。フィッシャー・トロプシュ由来基油の含有量が30質量%未満であると、100℃の高温において7〜11mm/s程度の粘度を維持するために高粘度(20〜100mm/s)のポリアルファオレフィン(PAO)を多量に使用することとなり、合成油の比率が増えるため経済的でない。フィッシャー・トロプシュ由来基油の含有量が50質量%を超えると、組成物の粘度指数160以上を維持するために粘度指数向上剤の配合量を増やす必要があるので経済的でない。フィッシャー・トロプシュ由来基油の含有量は、好ましくは、潤滑油組成物の全質量に対して35〜45質量%である。
本発明のフィッシャー・トロプシュ由来基油としては、例えば、リセラX420としてロイヤルダッチシェル社から市場で入手可能なフィッシャー・トロプシュ由来基油が挙げられる。
本発明のポリアルファオレフィン(PAO)には、各種アルファオレフィンの重合物又はこれらの水素化物が含まれる。アルファオレフィンとしては任意のものが用いられるが、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、炭素数5乃至19のα−オレフィンなどが挙げられる。
ポリアルファオレフィンの製造にあたっては、上記アルファオレフィンの1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルファオレフィンは、エチレン及びプロピレンが好ましく、エチレン及びプロピレンを組み合せたものが、高い増粘効果を示すためより好ましい。
このポリアルファオレフィンは、使用するアルファオレフィンの種類、重合度などによって種々の粘度のものが得られるが、高粘度のポリアルファオレフィンが好ましくは使用される。
ポリアルファオレフィンは、100℃における動粘度が、20〜100mm/sである高粘度のポリアルファオレフィンを使用する。ポリアルファオレフィンの100℃における動粘度が20mm/s未満であると潤滑油組成物の粘度指数向上効果が低いため好ましくない。ポリアルファオレフィンの100℃における動粘度が100mm/sを超えると、潤滑油組成物の油膜厚さが薄くなるため好ましくない。
ポリアルファオレフィンは100℃における動粘度が25〜70mm/sが好ましく、30〜50mm/sがより好ましい。
ポリアルファオレフィンの含有量は、潤滑油組成物の全質量に対して20〜40質量%で配合される。ポリアルファオレフィンの含有量が20質量%未満であると、潤滑油組成物の粘度が低くなり油膜厚さが薄くなるため好ましくない。ポリアルファオレフィンの含有量が40質量%を超えると、潤滑油組成物の粘度が高くなり省燃費効果が低下するため好ましくない。ポリアルファオレフィンの含有量は、好ましくは30〜40質量%である。
本発明のポリアルファオレフィンとしては、例えば、ルーカントHC40として三井化学社から市場で入手可能なポリアルファオレフィンが挙げられる。
本発明のエステル化合物としては、例えばジエステルやポリオールエステルが挙げられる。
ジエステルとしては、2塩基酸として、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などがあり、これらの2塩基酸と1価のアルコール、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール,ヘプタノール、オクタノール,ノナノール、デカノールなどの直鎖状または分岐状のアルコールとのエステルがある。例えば、DOS(ジオクチルセバケート)は入手し易いジエステルである。
ポリオールエステルは、2〜4価のポリオールおよびそのエチレンオキサイド付加物からなる群より選択される少なくとも1種と、炭素数が4〜12の脂肪酸とから得られる脂肪酸エステルからなる。以下、2〜4価のポリオールおよびそのエチレンオキサイド付加物について順次説明する。
ポリオールとしては先ずジオールとして、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、及び1,12−ドデカンジオール等がある。
水酸基を2個以上有するポリオールとしては、具体的には、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ジ−(トリメチロールプロパン)、トリ−(トリメチロールプロパン)、ペンタエリスリトール、ジ−(ペンタエリスリトール)、トリ−(ペンタエリスリトール)、グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜20量体)、1,3,5−ペンタントリオール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール及びマンニトール等の多価アルコール、並びにキシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュクロース、ラフィノース、ゲンチアノース及びメレジトース等の糖類、並びにこれらの部分エーテル化物、並びにメチルグルコシド(配糖体)等がある。
これらのうち、水酸基を3個有するポリオールが熱酸化安定性、添加剤溶解性および低温流動性のバランスが良好であるため好ましく、中でもトリメチロールプロパンが最も好ましい。
上記ポリオールエチレンオキサイド付加物は、上記のポリオールにエチレンオキサイドを1〜4モル、好ましくは1〜2モルの割合で付加して得られる。好ましくは、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトールのエチレンオキサイド付加物である。付加モル数が4モルを超えると、得られる脂肪酸エステルの耐熱性が悪くなることがある。
上記2〜4価のポリオールおよびそのエチレンオキサイド付加物は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明に用いられる脂肪酸は、上述のように、炭素数が4〜12、好ましくは6〜12、さらに好ましくは8〜10の脂肪酸である。炭素数が3以下の脂肪酸を使用した場合には、得られるエステルの耐摩耗効果が十分ではないことがある。一方、炭素数が12を超える脂肪酸を使用した場合には、得られるエステルの低温流動性に劣ることがある。
上記の脂肪酸は、特に制限されず、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、およびこれらの混合物などを用いることができ、さらにこれらの脂肪酸は、直鎖脂肪酸、分岐を有する脂肪酸、またはこれらの混合物であってもよい。飽和脂肪酸としては、例えば、直鎖飽和脂肪酸を50モル%以上含有する飽和脂肪酸、分岐鎖飽和脂肪酸を50モル%以上含有する飽和脂肪酸などが挙げられる。得られる脂肪酸エステルの高温における安定性を有する点、潤滑油として適切な粘度を有し、粘度指数が高いなどの点から、直鎖飽和脂肪酸が好ましいことが多い。
脂肪酸は、1種類を単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記直鎖飽和脂肪酸としては、例えば、酪酸、ペンタン酸、カプロン酸、ヘプチル酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、およびラウリン酸が挙げられる。
これらのうち、カプリル酸及びカプリン酸が最も適切な粘度を示すため好ましく、カプリル酸及びカプリン酸の混合物がより好ましい。
本発明のエステル化合物は、上記2〜4価のポリオールおよびそのエチレンオキサイド付加物からなる群より選択される少なくとも1種と、脂肪酸とを任意の割合で反応させることによって得られる。好ましくは、当該ポリオールおよびその付加物1モルに対して、脂肪酸が2〜6モル程度、より好ましくは2.1〜5モル程度の割合で反応させることにより得られる。
本発明のエステル化合物は、ポリオールエステルが好ましく、トリオールエステルがより好ましい。最も好ましいエステル化合物は、トリメチロールプロパンと直鎖のC8及びC10のカルボン酸とのエステル化合物である。
本発明のエステル化合物は、100℃における動粘度が3〜6mm/sであるエステル化合物である。エステル化合物は100℃における動粘度が3mm/s未満であると高温時の蒸発損失量が多いため好ましくない。100℃における動粘度が6mm/sを超えると、低温流動性が低下するため好ましくない。本発明のエステル化合物の100℃における動粘度は、好ましくは4〜5mm/sである。
本発明のエステル化合物の含有量は、潤滑油組成物の全質量に対して5〜20質量%で配合される。エステル化合物の含有量が5質量%未満であると、添加剤の溶解性が低下するため好ましくない。エステル化合物含有量が20質量%を超えると、加水分解される可能性があること、極圧添加剤との金属表面への競争吸着の発生が見られることなどの点から好ましくない。本発明のエステル化合物の含有量は、好ましくは7〜15質量%で配合される。
本発明のエステル化合物としては、例えば、プライオルーブ3970としてクローダ社から市場で入手可能なエステル化合物が挙げられる。
上記した成分のほかに更に性能を向上させるため、必要に応じて種々の添加剤を適宜使用することができる。これらのものとしては、極圧剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、金属不活性剤、油性向上剤、消泡剤、流動点降下剤、清浄分散剤、防錆剤、抗乳化剤等や、その他の公知の潤滑油添加剤を挙げることができる。
上記極圧剤としては、硫黄系極圧剤やリン化合物若しくはこれらを組み合わせた物、またはホスフォロチオネートなどを用いることができる。
硫黄系極圧剤としては、下記の一般式(1)で表される炭化水素硫化物、硫化テルペン、油脂と硫黄との反応生成物である硫化油脂などが使用される。
Figure 2017115038
上記一般式(1)中、R、Rは一価の炭化水素基で、それぞれ同一でも異なっていてもよく、Rは二価の炭化水素基、yは1以上の整数で、好ましくは1〜8で、繰り返し単位中においてそれぞれのyが同一または異なる数であることもあり、nは0または1以上の整数である。
上記R 、R の一価の炭化水素基としては、炭素数2〜20の直鎖または分枝の飽和または不飽和脂肪族炭化水素基( 例えば、アルキル基、アルケニル基)、炭素数6〜26の芳香族炭化水素基が挙げられ、具体的には、エチル基、プロピル基、ブチル基、ノニル基、ドデシル基、プロペニル基、ブテニル基、ベンジル基、フェニル基、トリル基、ヘキシルフェニル基などが挙げられる。
上記Rの二価の炭化水素基としても、炭素数2〜20の直鎖または分枝の飽和または不飽和脂肪族炭化水素基、炭素数6〜26の芳香族炭化水素基が挙げられ、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、フェニレン基などが挙げられる。
上記一般式(1)で表される炭化水素硫化物の代表的なものは、硫黄オレフィンおよび一般式(2)で示されるポリサルファイド化合物である。
Figure 2017115038
上記一般式(2)中、R、Rは、上記一般式(1)と同じであり、yは2以上の整数である。
具体的には、例えば、ジイソブチルジサルファイド、ジオクチルポリサルファイド、ジターシャリーノニルポリサルファイド、ジターシャリーブチルポリサルファイド、ジターシャリーベンジルポリサルファイド、あるいはポリイソブチレンやテルペン類などのオレフィン類を硫黄などの硫化剤で硫化した硫化オレフィン類などが挙げられる。
上記ホスフォロチオネートとしては、具体的には、トリブチルホスフォロチオネート、トリペンチルホスフォロチオネート、トリヘキシルホスフォロチオネート、トリヘプチルホスフォロチオネート、トリオクチルホスフォロチオネート、トリノニルホスフォロチオネート、トリデシルホスフォロチオネート、トリウンデシルホスフォロチオネート、トリドデシルホスフォロチオネート、トリトリデシルホスフォロチオネート、トリテトラデシルホスフォロチオネート、トリペンタデシルホスフォロチオネート、トリヘキサデシルホスフォロチオネート、トリヘプタデシルホスフォロチオネート、トリオクタデシルホスフォロチオネート、トリオレイルホスフォロチオネート、トリフェニルホスフォロチオネート、トリクレジルホスフォロチオネート、トリキシレニルホスフォロチオネート、クレジルジフェニルホスフォロチオネート、キシレニルジフェニルホスフォロチオネート、トリス(n−プロピルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(n−ブチルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(イソブチルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(s−ブチルフェニル)ホスフォロチオネート、トリス(t−ブチルフェニル)ホスフォロチオネート等が挙げられる。
また、極圧性や耐摩耗性を付与するために、リン化合物を使用することもできる。本発明に適したリン化合物としては、例えば、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩、塩素化リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスフォロチオネート、ジチオリン酸亜鉛、ジチオリン酸とアルカノール又はポリエーテル型アルコールとのエステルあるいはその誘導体、リン含有カルボン酸、リン含有カルボン酸エステルが挙げられる。
上記リン酸エステルとしては、例えば、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリヘプチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリノニルホスフェート、トリデシルホスフェート、トリウンデシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、トリトリデシルホスフェート、トリテトラデシルホスフェート、トリペンタデシルホスフェート、トリヘキサデシルホスフェート、トリヘプタデシルホスフェート、トリオクタデシルホスフェート、トリオレイルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス(iso−プロピルフェニル)ホスフェート、トリアリルフォスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、及びキシレニルジフェニルホスフェートなどが挙げられる。
上記酸性リン酸エステルの具体例としては、モノブチルアシッドホスフェート、モノペンチルアシッドホスフェート、モノヘキシルアシッドホスフェート、モノヘプチルアシッドホスフェート、モノオクチルアシッドホスフェート、モノノニルアシッドホスフェート、モノデシルアシッドホスフェート、モノウンデシルアシッドホスフェート、モノドデシルアシッドホスフェート、モノトリデシルアシッドホスフェート、モノテトラデシルアシッドホスフェート、モノペンタデシルアシッドホスフェート、モノヘキサデシルアシッドホスフェート、モノヘプタデシルアシッドホスフェート、モノオクタデシルアシッドホスフェート、モノオレイルアシッドホスフェート、ジブチルアシッドホスフェート、ジペンチルアシッドホスフェート、ジヘキシルアシッドホスフェート、ジヘプチルアシッドホスフェート、ジオクチルアシッドホスフェート、ジノニルアシッドホスフェート、ジデシルアシッドホスフェート、ジウンデシルアシッドホスフェート、ジドデシルアシッドホスフェート、ジトリデシルアシッドホスフェート、ジテトラデシルアシッドホスフェート、ジペンタデシルアシッドホスフェート、ジヘキサデシルアシッドホスフェート、ジヘプタデシルアシッドホスフェート、ジオクタデシルアシッドホスフェート、及びジオレイルアシッドホスフェートなどが挙げられる。
上記酸性リン酸エステルのアミン塩としては、前記酸性リン酸エステルのメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、及びトリオクチルアミンなどのアミンとの塩などが挙げられる。
上記亜リン酸エステルとしては、ジブチルホスファイト、ジペンチルホスファイト、ジヘキシルホスファイト、ジヘプチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジノニルホスファイト、ジデシルホスファイト、ジウンデシルホスファイト、ジドデシルホスファイト、ジオレイルホスファイト、ジフェニルホスファイト、ジクレジルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリペンチルホスファイト、トリヘキシルホスファイト、トリヘプチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリノニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリウンデシルホスファイト、トリドデシルホスファイト、トリオレイルホスファイト、トリフェニルホスファイト、及びトリクレジルホスファイトなどが挙げられる。
上記極圧剤は、単独で又は適宜混合して使用することができる。この極圧剤の添加量は、潤滑油組成物の組成物全量中に、約5〜15質量%程度となるように使用するとよい。また、添加剤を選択し、硫黄系化合物とリン系化合物の混合物である極圧添加剤パッケージは製品の品質管理上好適であり、例えば、ルブリゾール社のアングラモール99,98Aや6043、アフトン社のハイテック340、380各シリーズなどが挙げられる。
本発明の潤滑油組成物に対して、粘度特性や低温流動性を向上させるために、粘度指数向上剤や流動点降下剤を添加することができる。
粘度指数向上剤としては、例えばポリメタクリレート類やエチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ジエン共重合体、ポリイソブチレン、ポリスチレンなどのオレフィンポリマー類等の非分散型粘度指数向上剤や、これらに含窒素モノマーを共重合させた分散型粘度指数向上剤等が挙げられる。その添加量は組成物全量中に、0.5〜15質量%の範囲、好ましくは1〜10質量%の範囲で使用するとよい。
また、流動点降下剤としては、例えばポリメタクリレート系のポリマーが挙げられる。その添加量は、潤滑油組成物100質量%に対して、0.01〜5質量%の範囲で使用できる。
本発明において使用する酸化防止剤としては、潤滑油に使用されるものが実用的には好ましく、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤を挙げることができる。これらの酸化防止剤は、潤滑油組成物100質量%に対して、0.01〜5質量%の範囲で単独又は複数組み合わせて使用できる。
前記アミン系酸化防止剤としては、p,p’−ジオクチル−ジフェニルアミン(精工化学社製:ノンフレックスOD−3)、p,p’−ジ−α−メチルベンジル−ジフェニルアミン、N−p−ブチルフェニル−N−p’−オクチルフェニルアミンなどのジアルキル−ジフェニルアミン類、モノ−t−ブチルジフェニルアミン、モノオクチルジフェニルアミンなどのモノアルキルジフェニルアミン類、ジ(2,4−ジエチルフェニル)アミン、ジ(2−エチル−4−ノニルフェニル)アミンなどのビス(ジアルキルフェニル)アミン類、オクチルフェニル−1−ナフチルアミン、N−t−ドデシルフェニル−1−ナフチルアミンなどのアルキルフェニル−1−ナフチルアミン類、1−ナフチルアミン、フェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン、N−ヘキシルフェニル−2−ナフチルアミン、N−オクチルフェニル−2−ナフチルアミンなどのアリール−ナフチルアミン類、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミンなどのフェニレンジアミン類、フェノチアジン(保土谷化学社製:Phenothiazine)、3,7−ジオクチルフェノチアジンなどのフェノチアジン類などが挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、ジドデシルサルファイド、ジオクタデシルサルファイドなどのジアルキルサルファイド類、ジドデシルチオジプロピオネート、ジオクタデシルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ドデシルオクタデシルチオジプロピオネートなどのチオジプロピオン酸エステル類、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、2−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、3−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン(川口化学社製:アンテージDBH)、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノールなどの2,6−ジ−t−ブチル−4−アルキルフェノール類、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エトキシフェノールなどの2,6−ジ−t−ブチル−4−アルコキシフェノール類がある。
また、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプト−オクチルアセテート、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(吉富製薬社製:ヨシノックスSS)、n−ドデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2’−エチルヘキシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチル−エチル)−4−ヒドロキシ−C7〜C9側鎖アルキルエステル(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:IrganoxL135)などのアルキル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート類、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージW−400)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージW−500)などの2,2’−メチレンビス(4−アルキル−6−t−ブチルフェノール)類がある。
さらに、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージW−300)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)(シェル・ジャパン社製:Ionox220AH)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−(ジ−p−ヒドロキシフェニル)プロパン(シェル・ジャパン社製:ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−シクロヘキシリデンビス(2,6−t−ブチルフェノール)、ヘキサメチレングリコールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:IrganoxL109)、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート](吉富製薬社製:トミノックス917)、2,2’−チオ−[ジエチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:IrganoxL115)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(住友化学:スミライザーGA80)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)(川口化学社製:アンテージRC)、2,2’−チオビス(4,6−ジ−t−ブチル−レゾルシン)などのビスフェノール類がある。
そして、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製:IrganoxL101)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン(吉富製薬社製:ヨシノックス930)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(シェル・ジャパン社製:Ionox330)、ビス−[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル−4−(2”,4”−ジ−t−ブチル−3”−ヒドロキシフェニル)メチル−6−t−ブチルフェノール、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチル−ベンジル)−4−メチルフェノールなどのポリフェノール類、p−t−ブチルフェノールとホルムアルデヒドの縮合体、p−t−ブチルフェノールとアセトアルデヒドの縮合体などのフェノールアルデヒド縮合体などが挙げられる。
リン系酸化防止剤として、トリフェニルフォスファイト、トリクレジルフォスファイトなどのトリアリールフォスファイト類、トリオクタデシルフォスファイト、トリデシルフォスファイトなどのトリアルキルフォスファイト類、トリドデシルトリチオフォスファイトなどが挙げられる。
本発明の組成物と併用できる金属不活性剤としては、ベンゾトリアゾール、4−メチル−ベンゾトリアゾール、4−エチル−ベンゾトリアゾールなどの4−アルキル−ベンゾトリアゾール類、5−メチル−ベンゾトリアゾール、5−エチル−ベンゾトリアゾールなどの5−アルキル−ベンゾトリアゾール、1−ジオクチルアミノメチル−2,3−ベンゾトリアゾールなどの1−アルキル−ベンゾトリアゾール類、1−ジオクチルアミノメチル−2,3−トルトリアゾールなどの1−アルキル−トルトリアゾール類等のベンゾトリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール、2−(オクチルジチオ)−ベンゾイミダゾール、2−(デシルジチオ)−ベンゾイミダゾール、2−(ドデシルジチオ)−ベンゾイミダゾールなどの2−(アルキルジチオ)−ベンゾイミダゾール類、2−(オクチルジチオ)−トルイミダゾール、2−(デシルジチオ)−トルイミダゾール、2−(ドデシルジチオ)−トルイミダゾールなどの2−(アルキルジチオ)−トルイミダゾール類等のベンゾイミダゾール誘導体がある。
また、インダゾール、4−アルキル−インダゾール、5−アルキル−インダゾールなどのトルインダゾール類等のインダゾール誘導体、ベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール誘導体(千代田化学社製:チオライトB−3100)、2−(ヘキシルジチオ)ベンゾチアゾール、2−(オクチルジチオ)ベンゾチアゾールなどの2−(アルキルジチオ)ベンゾチアゾール類、2−(ヘキシルジチオ)トルチアゾール、2−(オクチルジチオ)トルチアゾールなどの2−(アルキルジチオ)トルチアゾール類、2−(N,N−ジエチルジチオカルバミル)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジブチルジチオカルバミル)−ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジヘキシルジチオカルバミル)−ベンゾチアゾールなど2−(N,N−ジアルキルジチオカルバミル)ベンゾチアゾール類、2−(N,N−ジエチルジチオカルバミル)トルチアゾール、2−(N,N−ジブチルジチオカルバミル)トルチアゾール、2−(N,N−ジヘキシルジチオカルバミル)トルチアゾールなどの2−(N,N−ジアルキルジチオカルバミル)−トルゾチアゾール類等のベンゾチアゾール誘導体がある。
さらに、2−(オクチルジチオ)ベンゾオキサゾール、2−(デシルジチオ)ベンゾオキサゾール、2−(ドデシルジチオ)ベンゾオキサゾールなどの2−(アルキルジチオ)−ベンゾオキサゾール類、2−(オクチルジチオ)トルオキサゾール、2−(デシルジチオ)トルオキサゾール、2−(ドデシルジチオ)トルオキサゾールなどの2−(アルキルジチオ)トルオキサゾール類等のベンゾオキサゾール誘導体、2,5−ビス(ヘプチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(ノニルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(ドデシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(オクタデシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾールなどの2,5−ビス(アルキルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール類、2,5−ビス(N,N−ジエチルジチオカルバミル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(N,N−ジブチルジチオカルバミル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(N,N−ジオクチルジチオカルバミル)−1,3,4−チアジアゾールなどの2,5−ビス(N,N−ジアルキルジチオカルバミル)−1,3,4−チアジアゾール類、2−N,N−ジブチルジチオカルバミル−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−N,N−ジオクチルジチオカルバミル−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾールなどの2−N,N−ジアルキルジチオカルバミル−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール類等のチアジアゾール誘導体、1−ジ−オクチルアミノメチル−2,4−トリアゾールなどの1−アルキル−2,4−トリアゾール類等のトリアゾール誘導体などが挙げられる。これらの金属不活性剤は、潤滑油組成物100質量%に対して、0.01〜0.5質量%の範囲で単独又は複数組み合わせて使用できる。
本発明の潤滑油組成物に対して、消泡性を付与するために、消泡剤を添加してもよい。本発明に適した消泡剤として、例えばジメチルポリシロキサン、ジエチルシリケート、フルオロシリコーン等のオルガノシリケート類、ポリアルキルアクリレート等の非シリコーン系消泡剤が挙げられる。その添加量は、潤滑油組成物100質量%に対して、0.0001〜0.1質量%の範囲で単独又は複数組み合わせて使用できる。
本発明に適した抗乳化剤として、通常潤滑油添加剤として使用される公知のものが挙げられる。その添加量は、潤滑油組成物100質量%に対して、0.0005〜0.5質量%の範囲で使用できる。
本発明の潤滑油組成物は、フィッシャー・トロプシュ由来基油、ポリアルファオレフィン、エステル化合物、さらには任意の添加剤を、任意の順序で混合して調製することができる。
本発明の潤滑油組成物は、比較的低い粘度を有し、SAE(Society of Automotive Engineers)粘度グレードで75W−85である。さらに、省燃費性と潤滑性の両立を図るべく160以上の粘度指数を有している。
本発明の潤滑油組成物は、高い荷重に耐えられることができ、API分類でGL−5を満たす。
本発明の潤滑油組成物は、高出力の自動車その他の高出力、高回転のギヤ機構に対してギヤオイルとして適用できる。特に、API GL−5というレベルの優れた耐久性、耐焼き付き性及び安定性を維持しつつ、かつ省燃費性に加えてディファレンシャルギヤ部での損傷を防止すべくさらなる耐焼き付き性の向上を実現することができるような自動車用ギヤ油、ハイポイドギヤ油などに適用できる。
以下本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例及び比較例の調製にあたり、下記の組成材料を用意した。
1.鉱油:100℃における動粘度が4.21mm/sであるAPIグループIIIのパラフィン系鉱油
2.フィッシャー・トロプシュ由来基油(GTL基油):100℃における動粘度が3.8mm/sであるフィッシャー・トロプシュ由来基油
3.ポリアルファオレフィン(PAO)
(3−1)100℃における動粘度が3.91mm/sである低粘度のポリアルファオレフィン
(3−2)100℃における動粘度が38.6mm/sである高粘度のエチレン−プロピレン共重合体からなるポリアルファオレフィン
4.エステル基油(トリメチロールプロパンと直鎖C8、C10のカルボン酸とのエステル;TMP);100℃における動粘度が4.42mm/sであるエステル基油TMP
5.粘度指数向上剤:質量平均分子量が1万〜10万であるポリメタクリレート;100℃における動粘度が約260mm/sであるもの
6.硫黄−リン系極圧剤:極圧剤パッケージ(GL−5添加剤パッケージ)であって、硫化オレフィン、リン酸エステルアミン塩等を配合したもので、そのリン含有量は約1.4%、硫黄含有量は約22%であるもの。
(実施例1、比較例1及び2)
上記した組成材料を用いて、表1に示す組成により実施例1並びに比較例1及び2の潤滑油組成物を調製した。
実施例及び比較例の性能を見るために、下記の試験を行った。
(低温粘度測定)
ASTM D2983に準拠し、−40℃における粘度を測定した。
評価は、75Wの粘度の上限である150Pa・s未満を合格とした。
(実車台上試験−耐久性評価)
実施例1及び比較例1について試験を行った。
排気量3リットル〜4リットルクラスのFR式乗用車用のリヤディファレンシャルを所定の負荷を掛けた状態でモータで駆動することにより行った。試験条件は、平均回転数を毎分5000回転、平均負荷トルクを150Nmとし、高速パターンと加減速パターンを100サイクル繰り返した。
評価は、試験終了後のリヤディファレンシャルの状態を目視で点検することにより行った。
(実車台上試験−油温低減性能)
実施例1及び比較例1について試験を行った。
排気量3リットル〜4リットルクラスのFR式乗用車用のリヤディファレンシャルを所定の負荷を掛けた状態でモータで駆動することにより行った。試験条件は、回転数を毎分6000回転、平均負荷トルクを150Nmとし、100〜160℃の温度(10℃毎)のトルク損失を測定することにより評価した。
(差動部損傷試験)
実施例1及び比較例1について試験を行った。
排気量2.5リットル〜4リットルクラスのFR式商用車用のリヤディファレンシャルを所定の回転でモータ駆動することにより行った。試験条件は、回転数を毎分1000回転、油温を50℃とし、リングギヤ負荷トルクを50Nmから3750Nmまで50Nm毎(各10秒)に上昇させディファレンシャルギヤ部の損傷発生の有無を確認することにより評価した。
(試験結果)
各試験の結果を表1に示す。
(考察)
表1に示す結果から明らかなように、鉱油を用いたギヤ油(比較例2)では−40℃における絶対粘度が高く、撹拌抵抗が大きくなり、広範な温度領域にわたった省燃費性を達成することができない。
これに対し、GTL基油を用いた実施例1および合成油PAOを用いたギヤ油の比較例1はともに粘度−温度特性はほぼ同じであり、結果として耐久性・省燃費性については同様の性能を示していると考えられる。
しかしながら、GTL基油を用いた実施例1では更に差動部損傷試験についてPAOを使用した比較例1よりも優れており、損傷限界トルクが17%以上高い結果となっているので、ディファレンシャルギヤ部での耐焼き付き性が向上することが分かった。ディファレンシャルギヤ部で焼き付きが発生する要因は、高荷重の潤滑条件に加えて、近年のギヤユニット小型化に伴うギヤ油充填量減少によって発熱によりギヤ油温度が上昇し、これによるギヤ油粘度低下に起因する油膜破断と推定される。本結果から、実施例1の組成物を使用することによりディファレンシャルギヤ部により高い負荷がかかった場合でも損傷発生を防止することが可能となり、自動車の運転不能などのトラブルを回避することができると判断される。
これは、連続した炭素数の分布をもつGTL基油の方が高荷重条件下でも油膜を保持する能力がPAOよりも高いためであると推測される。
Figure 2017115038

Claims (7)

  1. (A−1)フィッシャー・トロプシュ由来基油と、(A−2)ポリアルファオレフィンと、(A−3)エステル化合物を混合して含有する潤滑油組成物であって、SAE粘度グレードが75W−85であり、APIギヤ油タイプでGL−5を満たし、粘度指数が160以上である潤滑油組成物。
  2. 上記フィッシャー・トロプシュ由来基油を組成物の全質量に対して30〜50質量%含有し、上記ポリアルファオレフィンを組成物の全質量に対して20〜40質量%含有し、上記エステル化合物を組成物の全質量に対して5〜20質量%含有する、請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. 上記フィッシャー・トロプシュ由来基油は、100℃における動粘度が3〜6mm/sである、請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
  4. 上記ポリアルファオレフィンは、100℃における動粘度が20〜100mm/sである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
  5. エステル化合物は、100℃における動粘度が3〜6mm/sである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
  6. エステル化合物は、トリメチロールプロパンと直鎖のC8及びC10のカルボン酸とのエステル化合物である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
  7. 上記潤滑油組成物が、自動車用ハイポイドギヤ油として用いられる請求項1乃至6のいずれか一項に記載の潤滑油組成物。
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