JP2017114945A - ダイボンディングフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】ピックアップ性及び充填性に優れ、かつ、硬化後の吸湿リフロー耐性に優れるダイボンディングフィルムを提供すること。【解決手段】コア部と、当該コア部に連結する4本の分子鎖とを有し、かつ、上記分子鎖が、架橋性官能基を有するモノマーに由来するポリマーブロックを有する、ブロック共重合体を含有する、ダイボンディングフィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ダイボンディングフィルムに関する。
半導体チップの小型化及び高性能化に伴い、使用される支持部材にも小型化及び細密化が要求されている。さらに、携帯機器等の小型化及び高密度化の要求に伴って、内部に複数の半導体チップを積層した半導体装置が開発及び量産されている。
従来、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材との接合には、主に、銀ペーストが使用されていた。しかし、銀ペーストによれば、はみ出し又は半導体チップの傾きに起因するワイヤボンディング時の不具合の発生、接着剤層の膜厚制御の困難性、及び接着剤層のボイド発生などにより、近年の要求に対処しきれなくなっている。そのため、近年、フィルム状のダイボンディング材(以下、「ダイボンディングフィルム」という)が使用されるようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
携帯機器に搭載されるメモリの容量が加速度的に増加していることから、半導体チップを複数積層した半導体パッケージのチップ積層段数が増大する傾向にある。携帯機器重量の増加を回避するために、半導体パッケージの容積及び重量を増加させることなく、半導体チップの積層枚数のみを増加する必要がある。その結果、半導体チップが薄肉化する傾向にあり、100μm厚以下の半導体チップが使用されるようになっている。
直径8インチの半導体ウェハは、一般に、700μm程度の厚みに切り出してから、裏面を研削することで所望の厚みまで薄く加工される。従来、半導体ウェハを薄く研削するバックグラインドの際に、ウェハ回路面を保護するバックグラインドテープを貼り付け、研削後にこのバックグラインドテープを剥離してから、半導体ウェハをダイボンディングフィルム及びダイシング基材へ貼り付けている。しかし、半導体ウェハが薄くなるにしたがって、搬送時にウェハが割れるリスクが高まっている。そのため、バックグラインドテープを剥離せずにダイボンディングフィルム及びダイシング基材をラミネートし、ラミネート後にバックグラインドテープを剥離する方法が一般的となっている。
しかし、バックグラインドテープの耐熱性の上限は、80℃程度であるため、ダイボンディングフィルムをウェハ裏面に貼付ける際は、80℃以下のラミネート温度で十分な密着性を確保する必要がある。
ダイボンディングフィルムは、一般に、下記のいずれかの方法により用いられる。
(1)任意のサイズに切り出したダイボンディングフィルムを、配線付き基板、又は半導体チップに貼り付け、貼り付けられたダイボンディングフィルムに半導体チップを熱圧着する。
(2)ダイボンディングフィルムを半導体ウェハ裏面全体に貼り付け、次いでダイボンディングフィルムの裏面にダイシング基材を貼り付けた後、半導体ウェハをダイボンディングフィルムと共に回転刃によって個片化する。得られた、ダイボンディングフィルム付き半導体チップを、ダイシング基材から剥離してピックアップし、ピックアップされた半導体チップを、ダイボンディングフィルムを介して配線付き基板又は半導体チップに熱圧着する。
特に、近年は半導体装置作製工程の簡略化を目的として、(2)の方法が主に用いられている。
ところで、現在携帯電話及び携帯音楽プレイヤー等に用いられている半導体パッケージにおいて、大容量化を目的とし、同一の半導体チップを多数積層するパッケージが主流となっている。従来は半導体チップ間にスペーサを挿入するスペーサ型が主流であったが、薄ウェハへのワイヤボンド性が低下することから、上段に積層する半導体チップ裏面のダイボンディングフィルムで下段の半導体チップのボンディングワイヤを充てんするワイヤ埋込型が開発されている。
上記ダイボンディングフィルムとして、例えば、星型アクリル共重合体を含有する接着層を有するダイボンディングフィルムが開発されている(例えば、特許文献2を参照)。
特開2001−244303号公報 特開2010−114433号公報
半導体ウェハの薄肉化に伴い、一般的なダイボンディングフィルムにおいては、個片化したダイボンディングフィルム付き半導体チップを割らずにピックアップすることが困難となることがある。
また、ダイボンディングフィルムには、半導体チップを積層する際のダイボンディングフィルムの充填性(ボンディングワイヤ充填性)を確保すること、及び、得られた半導体装置の吸湿リフロー耐性に優れることが求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ピックアップ性及び充填性に優れ、かつ、硬化後の吸湿リフロー耐性に優れるダイボンディングフィルムを提供することを目的とする。
本発明の一側面は、コア部と、当該コア部に連結する4本の分子鎖とを有し、かつ、分子鎖が、架橋性官能基を有するモノマーに由来するポリマーブロックを有する、ブロック共重合体を含有する、ダイボンディングフィルムに関する。
上記ダイボンディングフィルムにおいては、上記ブロック共重合体が、下記式(1)で表されるものであってもよい。
式(1)中、Xは炭素原子又は置換基を有していてもよい芳香環を示し、Lは、単結合又は二価の連結基を示し、R及びRは、それぞれ水素原子又はメチル基を示し、Rは、一価の芳香族炭化水素基、脂肪族エステル基又はニトリル基を示し、Rは、架橋性官能基を有する基を示し、Yは、一価の基を示し、nは、1〜10000の整数を示し、mは、1〜100の整数を示す。なお、式中、複数存在するL、R、R、R、R、Y、m及びnは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
上記ダイボンディングフィルムにおいては、上記Yが、下記式(2a)で表される基であってもよい。
式(2a)中、Rは、アリール基、ピロリル基、アルコキシ基、アルキル基又はアルキロイルオキシ基を示す。
上記ダイボンディングフィルムにおいては、上記Yが、下記式(i)で表される基であり、上記Lが、下記式(ii)で表される連結基であってもよい。
本発明はまた、下記式(3a)で表される連鎖移動剤と、重合性不飽和結合を有するモノマーと、の反応生成物を、重合性不飽和結合及び架橋性官能基を有するモノマーと反応させてなるブロック共重合体、を含有する、ダイボンディングフィルムに関する。
式(3a)中、Xは炭素原子又は置換基を有していてもよい芳香環を示し、Lは、単結合又は二価の連結基を示し、Rは、アリール基、ピロリル基、アルコキシ基、アルキル基、アルキロイルオキシ基又はシアノ基を示す。
本発明はまた、下記式(3b)で表される連鎖移動剤と、重合性不飽和結合及び架橋性官能基を有するモノマーと、の反応生成物を、重合性不飽和結合を有するモノマーと反応させてなるブロック共重合体を含有する、ダイボンディングフィルムに関する。
式(3b)中、Xは炭素原子又は置換基を有していてもよい芳香環を示す。
上記ダイボンディングフィルムは、エポキシ樹脂と、フェノール樹脂とを更に含んでいてもよい。
上記ダイボンディングフィルムは、無機フィラーを更に含んでいてもよい。
本発明によれば、ピックアップ性及び充填性に優れ、かつ、硬化後の吸湿リフロー耐性に優れるダイボンディングフィルムを提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」又はこれに対応する「メタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリレート」等の他の類似の記載についても同様である。
本実施形態のダイボンディングフィルムは、例えば、半導体素子と、配線付き基板又は他の半導体素子とを、接着固定するものである。本実施形態のダイボンディングフィルムは、コア部と、当該コア部に連結する4本の分子鎖とを有し、かつ、上記分子鎖が、架橋性官能基を有するモノマーに由来するポリマーブロックを有する、ブロック共重合体を含有する。当該ブロック共重合体は、コア部(中心部)を起点に4本の分子鎖(重合体鎖)が放射状に伸びる星型の構造(星型構造)をした分岐共重合体である。
このようなダイボンディングフィルムは、優れたピックアップ性及び充填性を有し、かつ、硬化後の吸湿リフロー耐性にも優れる。すなわち、本実施形態のダイボンディングフィルムによれば、例えば、ダイボンディングフィルム付き半導体チップをダイシング基材から容易にピックアップでき、ダイボンディング工程の加熱及び加圧(例えば、温度100〜150℃、圧力0.01〜1MPa、時間0.1〜3秒の加熱及び加圧)のみで下段の半導体チップのボンディングワイヤを完全に充填できると共に、良好な吸湿リフロー耐性を有する半導体装置を作製することができると考えられる。また、本実施形態のダイボンディングフィルムは、例えば、上段の半導体チップを積層する用途に使用した場合においても、ワイヤの変形が生じ難く、ワイヤ下でのダイボンディングフィルムの充填性を確保することができることから、得られる半導体パッケージの電気的特性を良好に保つことができる。
本実施形態のダイボンディングフィルムが、このような効果を奏する理由を、本発明者らは以下のように推測している。
直鎖状の重合体は重量平均分子量が大きくなると重合体鎖が長くなり、隣接する重合体鎖同士で絡み合いが生じると考えられる。したがって、例えば、半導体装置の吸湿リフロー耐性を向上させる観点から、ダイボンディングフィルムに高分子量の直鎖状ポリマー成分を含有させると、ダイボンディングフィルムの粘度が高くなり、流動性及びピックアップ性が低下すると考えられる。
一方で、本実施形態に係るブロック共重合体は、4本の重合体鎖が放射状に伸びる構造のため、直鎖状の重合体ほど重合体鎖部分が長くならず、絡み合いが生じ難いと考えられる。したがって、本実施形態に係るブロック共重合体は、同程度の重量平均分子量を有する直鎖状の重合体と比較して粘度が低く、流動性が高いと考えられることから、分子量を高く保ったまま、ピックアップ性、下段の半導体チップのボンディングワイヤ充填性及び吸湿リフロー耐性を向上させることができると考えられる。
したがって、本実施形態に係るブロック共重合体を含有するダイボンディングフィルムにおいては、高流動性と高信頼性とを両立することができ、かつ半導体装置の信頼性を向上させることができると考えられる。
また、本実施形態に係るブロック共重合体は、架橋性官能基を有するモノマーに由来するポリマーブロックを有するため、上記ブロック共重合体を含有するダイボンディングフィルムは、硬化後の耐熱性にも優れると考えられる。
以下、本実施形態のダイボンディングフィルムの構成成分について、更に詳細に説明する。
[ブロック共重合体(以下、場合により「4本鎖共重合体」又は「星型共重合体」という)]
上述のとおり、本実施形態に係るブロック共重合体は、コア部と、当該コア部に連結する4本の分子鎖とを有し、かつ、上記分子鎖が、架橋性官能基を有するモノマーに由来するポリマーブロックを有するものである。
ダイボンディングフィルムの硬化後の耐熱性が更に向上する観点及びダイボンディングフィルムの硬化後の弾性率が低下する観点から、架橋性官能基を有するモノマーに由来するポリマーブロックは、分子鎖の末端側(コア部から遠い側)に位置することが好ましい。
架橋性官能基を有するモノマーに由来するポリマーブロックが、分子鎖の末端側に位置すると、例えば、後述の熱硬化性成分と共に硬化させた場合に、架橋部分の構造が密になり耐熱性が更に向上すると共に、架橋構造間の距離が制御され低弾性化すると考えられる。
架橋性官能基としては、例えば、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基及びアミド基が挙げられる。中でも、エポキシ樹脂やフェノール樹脂と熱硬化して耐熱性に優れる硬化物を得られる点から、架橋性官能基は、エポキシ基であることが好ましい。
本実施形態に係るブロック共重合体は、多様な高次構造及び機能制御が容易である点から、例えば、アクリル共重合体であってもよく、アクリル酸エステルを主成分とするアクリルゴムであってもよい。
架橋性官能基を有するモノマーとしては、例えば、下記式(10)〜(16)で表されるモノマーが挙げられる。なお、下記式(10)〜(16)で表されるモノマーにおいては、当該モノマーが含有する水素原子のうちの少なくとも1個が、フッ素原子(F)に置換されていてもよい。
式(10)中、R10は、炭素数1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、R11は、水素原子又はメチル基を示す。R10としての二価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基及びペンチレン基が挙げられる。中でも、R10は、メチレン基であることが好ましい。
式(11)中、R12は、炭素数1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、R13は、水素原子又はメチル基を示す。R12としての二価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基及びペンチレン基が挙げられる。中でも、R12は、メチレン基であることが好ましい。
式(12)中、R14は、水素原子又はメチル基を示す。
式(13)中、R15は、水素原子又はメチル基を示し、R16及びR17は、メチル基(−CH)又はエチル基(−C)を示す。
式(14)中、R50は、水素原子又はメチル基を示す。
式(15)中、R51は、水素原子又はメチル基を示し、R52及びR53は、水素原子又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を示す。R52及びR53としての炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。当該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基及びブチル基が挙げられる。また、これらのアルキル基は、置換基で置換されていてもよい。当該置換基としては、例えば、アミノ基が挙げられる。中でも、R52及びR53は、水素原子又は炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
式(16)中、R20は、水素原子又はメチル基を示し、R21は、炭素数1〜4の二価の脂肪族炭化水素基を示し、R22及びR23は、水素原子、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を示す。
21としての炭素数1〜4の二価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキレン基が挙げられる。当該アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基及びブチレン基が挙げられる。中でも、R21は、炭素数1又は2の二価の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
22及びR23としての炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。当該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基及びブチル基が挙げられる。R22及びR23としての炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トルイル基及びベンジル基が挙げられる。中でも、R22及びR23は、炭素数1又は2の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
硬化物が高弾性化する観点から、架橋性官能基を有するモノマーは、式(10)で表されるモノマーであることが好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジルであることがより好ましい。
本実施形態に係るブロック共重合体の具体例は、下記式(1)で表されるブロック共重合体を含む。
式(1)中、Xは炭素原子又は置換基を有していてもよい芳香環を示し、Lは、単結合又は二価の連結基を示し、R及びRは、それぞれ水素原子又はメチル基を示し、Rは、一価の芳香族炭化水素基、脂肪族エステル基又はニトリル基を示し、Rは、架橋性官能基を有する基を示し、Yは、一価の基を示し、nは、1〜10000の整数を示し、mは、1〜100の整数を示す。なお、式中、複数存在するL、R、R、R、R、Y、m及びnは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Xとしての置換基を有していてもよい芳香環としては、例えば、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる。
としての一価の芳香族炭化水素基としては、例えば、芳香族エステル基、及び置換基を有していてもよいフェニル基が挙げられる。フェニル基が有する置換基としては、例えば、ハロゲン原子及び炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基が挙げられる。
としての脂肪族エステル基としては、例えば、−COOR40で表される脂肪族エステル基が挙げられる。ここで、R40は、直鎖状又は分岐状のアルキル基を示す。当該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基及びステアリル基が挙げられる。
高次構造及び機能性を容易に制御できる観点から、式(1)中に複数存在するRは、ブトキシカルボニル基(−COOC)及び/又はエトキシカルボニル基(−COOC)と、ニトリル基と、を含有することが好ましい。同様の観点から、上記ブロック共重合体は、ブチルアクリレート及び/又はエチルアクリレートに由来する構造単位とアクリロニトリルに由来する構造単位とを有することが好ましい。
としての架橋性官能基を有する基としては、例えば、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、イソシアネート基、アミノ基及びアミド基からなる群より選ばれる少なくとも一種の架橋性官能基を有する基が挙げられる。Rの具体例は、グリシジル基、ヒドロキシメチル基及びヒドロキシエチル基を含む。
としての二価の連結基としては、例えば、−OCOCH(CH)−で表される連結基、及び下記式(ii)で表される連結基が挙げられる。
Yとしての一価の基としては、例えば、下記式(2a)で表される基、−H、−SH、シアノプロピル基、アルキル基、及び下記式(i)で表される基が挙げられる。
式(2a)中、Rは、アリール基、ピロリル基、アルコキシ基、アルキル基又はアルキロイルオキシ基を示す。
すなわち、Yとしての一価の基は、例えば、式(2a)で表される基であってもよい。また、ブロック共重合体の製造のし易さ等の観点から、Lが単結合、又は、−OCOCH(CH)−で表される連結基である場合には、複数存在するYは、式(2a)で表される基、−H、−SH、シアノプロピル基、及びアルキル基からなる群より選ばれる少なくとも一種の基を含んでいてもよい。同様の観点から、Lが式(ii)で表される連結基である場合には、Yは式(i)で表される基であることが好ましい。
(m/(n+m))は、接着力が更に向上する観点及びゲル化が防止し易い観点から、0.01〜0.1であってもよく、0.01〜0.08であってもよく、0.02〜0.06であってもよい。
[ブロック共重合体の製造方法]
本実施形態に係るブロック共重合体の製造方法に特に制限はないが、上記ブロック共重合体は、例えば、下記式(3a)で表される連鎖移動剤と、重合性不飽和結合を有するモノマーと、の反応生成物を、重合性不飽和結合及び架橋性官能基を有するモノマーと反応させる方法、又は、下記式(3b)で表される連鎖移動剤と、重合性不飽和結合及び架橋性官能基を有するモノマーと、の反応生成物を、重合性不飽和結合を有するモノマーと反応させる方法によって製造できる。すなわち、本実施形態に係るブロック共重合体は、例えば、下記式(3a)で表される連鎖移動剤と、重合性不飽和結合を有するモノマーと、の反応生成物を、重合性不飽和結合及び架橋性官能基を有するモノマーと反応させてなるブロック共重合体であってもよく、下記式(3b)で表される連鎖移動剤と、重合性不飽和結合及び架橋性官能基を有するモノマーと、の反応生成物を、重合性不飽和結合を有するモノマーと反応させてなるブロック共重合体であってもよい。また、得られたブロック共重合体には、必要に応じ、更に末端処理等を施すこともできる。
式(3a)及び(3b)で表される連鎖移動剤(以下、場合により「多官能連鎖移動剤」という)は、例えば、RAFT化剤である。例えば、RAFT化剤を用い、RAFT(可逆的付加開列連鎖移動)重合を施すことにより、本実施形態に係るブロック共重合体を容易に製造することができる。また、RAFT(可逆的付加開列連鎖移動)重合によれば、RAFT化剤がポリマーに組み込まれることから、例えば、原子移動ラジカル重合(ATRP)で必要となるイオン種の除去精製工程を省略でき、かつ、イオン種の残存に起因するダイボンディングフィルムの性能の低下を防ぐことができる。したがって、このような方法で得られるブロック共重合体(RAFT共重合体)によれば、電気絶縁性に優れるダイボンディングフィルムを安価に製造できると考えられる。
式(3a)中、Lは、単結合又は二価の連結基を示し、Rは、アリール基、ピロリル基、アルコキシ基、アルキル基、アルキロイルオキシ基又はシアノ基を示す。Xは上記と同義である。Lとしての二価の連結基としては、例えば、−OCOCH(CH)−で表される連結基が挙げられる。
Xは上記と同義である。
式(3a)で表される連鎖移動剤の具体例は、例えば、下記式(I)、(II)及び(III)で表される多官能連鎖移動剤を含む。
重合性不飽和結合を有するモノマーとしては、例えば、下記式(30)〜(33)で表されるモノマーが挙げられる。なお、下記式(30)〜(33)で表されるモノマーにおいては、当該モノマーが含有する水素原子のうちの少なくとも1個が、フッ素原子(F)に置換されていてもよい。
式(30)中、R31は、水素原子又はメチル基を示し、R30は、炭素数1〜20の脂肪族基、又は炭素数6〜20の芳香族基を表す。
30としての脂肪族基としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシアルキル基及び炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基が挙げられる。なお、これらは直鎖状でも分岐状でもよい。上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基及びステアリル基が挙げられる。上記アルコキシアルキル基としては、例えば、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−プロポキシエチル基、2−ブトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、3−メトキシブチル基及び4−メトキシブチル基が挙げられる。上記ヒドロキシアルキル基としては、例えば、2−ヒドロキシエチル基及び2−ヒドロキシプロピル基が挙げられる。
中でも、R30としての脂肪族基は、炭素数1〜10の直鎖状のアルキル基であることが好ましく、炭素数2〜8の直鎖状のアルキル基であることがより好ましい。
30としての芳香族基としては、例えば、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられる。中でも、上記芳香族基は、炭素数6〜10のアリール基又は炭素数7〜11のアラルキル基であることが好ましい。また、上記芳香族基の具体例は、フェニル基、トルイル基及びベンジル基を含む。
式(31)中、R32は、水素原子又はメチル基を示す。
式(32)中、R33は、水素原子又はメチル基を示し、R34は、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基を示す。R34としての炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基が挙げられる。当該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基及びペンチル基が挙げられる。また、R34としてのハロゲン原子としては、例えば、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。中でも、R34は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1〜3の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1又は2の脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。
式(33)中、R35は、水素原子又はメチル基を示し、R36は、炭素数1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、R37、R38及びR39は、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜5のアルコキシ基を示す。
36としての炭素数1〜5の二価の脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキレン基が挙げられる。当該アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロパンジイル基、ブタンジイル基及びペンタンジイル基が挙げられる。中でも、R36は、炭素数2〜4の二価の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
37、R38及びR39としての、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基が挙げられる。当該アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基及びペンチル基が挙げられる。上記脂肪族炭化水素基の炭素数は1〜4であることが好ましく、2又は3であることがより好ましい。
37、R38及びR39としての、炭素数1〜5のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基などが挙げられる。
重合性不飽和結合を有するモノマーは、ガラス転移温度の制御、凝集力向上、機能性付与等の観点から、式(30)で表されるモノマー及び式(31)で表されるモノマーからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び(メタ)アクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有することがより好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有すると、柔軟性並びに支持部材及び半導体素子等との粘着性が増加する傾向にあると考えられ、(メタ)アクリロニトリルを含有すると、凝集力が高まる傾向並びに支持部材及び半導体素子等との接着力が増加する傾向にあると考えられる。これらの観点から、重合性不飽和結合を有するモノマーは、アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、及び(メタ)アクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも一種を含有することが更に好ましく、(メタ)アクリル酸エチル及び/又は(メタ)アクリル酸n−ブチルと(メタ)アクリロニトリルとを含有することが特に好ましい。
重合性不飽和結合及び架橋性官能基を有するモノマーとしては、例えば、上述の式(10)〜(16)で表されるモノマーが挙げられる。
エポキシ樹脂やフェノール樹脂と熱反応でき、耐熱性に優れる硬化物を与える観点から、重合性不飽和結合及び架橋性官能基を有するモノマーは、式(10)で表されるモノマーであることが好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジルであることがより好ましい。
上記重合反応における多官能連鎖移動剤の配合量は、重合性不飽和結合を有するモノマー並びに重合性不飽和結合及び架橋性官能基を有するモノマーの全モル量に対するモル比(モノマー/多官能連鎖移動剤)で、例えば、200/1〜20000/1であってもよい。
[ラジカル開始剤]
上記反応(重合反応)は、例えば、ラジカル開始剤を用いることにより開始させることができる。ラジカル開始剤としては、例えば、過酸化物開始剤及びアゾ開始剤が挙げられる。
上記過酸化物開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化ジt−ブチル、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド及びジクミルペルオキシドが挙げられる。
上記アゾ開始剤としては、例えば、AIBN(2、2’−アゾビスイソブチロニトリル)及びV−65(アゾビスジメチルバレロニトリル)が挙げられる。
中でも、ラジカル開始剤は、AIBN(2、2’−アゾビスイソブチロニトリル)であることが好ましい。
ラジカル開始剤の使用量は、多官能連鎖移動剤に対し、モル比(多官能連鎖移動剤/開始剤)で、例えば、0.5/1〜10/1であってもよい。
[溶媒]
上記重合反応は、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒としては、特に制限はないが、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド化合物;ベンゼン、トルエン等の炭化水素化合物;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル化合物;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物;及びジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等のアミド化合物が挙げられる。上記溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
接着力が更に向上する観点及びゲル化を防止し易い観点から、重合性不飽和結合及び架橋性官能基を有するモノマーの配合量は、重合性不飽和結合を有するモノマー並びに重合性不飽和結合及び架橋性官能基を有するモノマーの全質量を基準として、0.5〜10質量%であってもよく、1〜7質量%であってもよく、2〜4質量%であってもよい。
重合性不飽和結合を有するモノマー並びに重合性不飽和結合及び架橋性官能基を有するモノマーとして、アクリロニトリル及び/又はアミノ基含有モノマーを用いる場合、アクリロニトリル及びアミノ基含有モノマーの合計量は、使用するモノマー種の全モル量(重合性不飽和結合を有するモノマー並びに重合性不飽和結合及び架橋性官能基を有するモノマーの合計モル量)を基準として、例えば、10モル%以上であってもよく、20モル%以上であってもよく、30モル%以上であってもよく、40モル%以上であってもよい。また、アクリロニトリル及びアミノ基含有モノマーの合計量は、使用するモノマー種の全モル量を基準として、例えば、60モル%以下であってもよい。
本実施形態に係るブロック共重合体のガラス転移温度(Tg)は、ダイボンディングフィルムの硬化前(Bステージ状態)の溶融粘度を低くする観点及び加熱時の流動性を高める観点並びに硬化物の強靭性を向上させる観点から、60℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、45℃以下であることが更に好ましい。また、ダイボンディングフィルムのタック力が高まる観点から、上記ガラス転移温度の低いものであってもよく、タックが低下する観点から、上記ガラス転移温度は高いものであってもよい。
本明細書におけるガラス転移温度は、粘弾性アナライザー(レオメトリック社製、RSA−2)を用いて下記条件で測定した値をいう。
〔測定条件〕
・サンプルサイズ:長さ12mm、幅5mm、厚み150μm
・温度範囲:−50〜300℃
・昇温速度:5℃/分
・周波数:1Hz
・モード:引張モード
本実施形態に係るブロック共重合体の重量平均分子量は、硬化後のダイボンディングフィルムの接着強度が向上し、半導体パッケージの信頼性が高まる観点から、10000以上であることが好ましい。また、ブロック共重合体の重量平均分子量は、Bステージ状態のダイボンディングフィルムの流動性が高まり、圧着時に下段チップのボンディングワイヤを充填し易く、圧着後に未充填ボイドが残存し難く、半導体パッケージの信頼性が向上する観点から、1000000以下であることが好ましい。これらの観点から、ブロック共重合体の重量平均分子量は、10000〜1000000であることが好ましく、20000〜500000であることがより好ましく、30000〜200000であることが更に好ましい。
本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC)において下記条件で測定される標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値をいう。
〔GPC条件〕
・ポンプ:L−6000(株式会社日立製作所製、商品名)
・カラム:ゲルパック(Gelpack)GL−R440、ゲルパックGL−R450及びゲルパックGL−R400M(いずれも、日立化成株式会社製、商品名、10.7mm(直径)×300mm)をこの順に連結したもの
・溶離液:テトラヒドロフラン(以下、場合により「THF」という)
・サンプル:試料120mgを、THF 5mlに溶解させたもの
・流速:1.75mL/分
本実施形態に係るブロック共重合体の各重合体鎖の重量平均分子量は、硬化後のダイボンディングフィルムの接着強度及び耐熱性が向上し、半導体パッケージの信頼性が向上する観点、及びフィルムの成膜性が向上する観点から、10000以上であることが好ましい。各重合体鎖の重量平均分子量は、ダイボンディング時のピックアップ性が向上し、Bステージ状態のダイボンディングフィルムの流動性が高まり、圧着時に下段の半導体チップのボンディングワイヤの充填がし易く、圧着後に未充填ボイドが残存し難く、半導体パッケージの信頼性が向上する観点から、300000以下であることが好ましい。これらの観点から、各重合体鎖の重量平均分子量は、10000〜300000であることが好ましく、30000〜200000であることがより好ましく、50000〜150000であることが更に好ましい。
ここで、本明細書において、各重合体鎖の重量平均分子量は、分子全体の重量平均分子量を重合体鎖の数で除した数値をいう。
(その他成分)
本実施形態のダイボンディングフィルムは、上記共重合体以外の他の任意の成分を含有することもできる。このような成分としては、例えば、熱硬化性成分;フィラー;シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤;レベリング剤;酸化防止剤;及びイオントラップ剤が挙げられる。
[熱硬化性成分]
熱硬化性成分としては、例えば、熱により硬化して接着作用を発揮する熱硬化性樹脂を含んでいてもよい。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、多官能エポキシ樹脂、アミン型エポキシ樹脂(例えば、グリシジルアミン型エポキシ樹脂)、複素環含有エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。
上記エポキシ樹脂の具体例は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等の二官能エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)等のノボラック型エポキシ樹脂を含む。
上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン株式会社製エピコート807、815、825、827、828、834、1001、1004、1007及び1009、ダウケミカル社製DER−330、301及び361、並びに東都化成株式会社製YD8125(いずれも商品名)が挙げられる。
上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、東都化成株式会社製YDF−8170C及びYSLV−80XY(いずれも商品名)が挙げられる。
上記フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン株式会社製エピコート152及び154、日本化薬株式会社製EPPN−201、並びにダウケミカル社製DEN−438(いずれも商品名)が挙げられる。
上記o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、日本化薬株式会社製EOCN−102S、103S、104S、1012、1025及び1027、並びに東都化成株式会社製YDCN701、702、703、704及び700−10(いずれも商品名)が挙げられる。
上記多官能エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン株式会社製Epon 1031S、チバスペシャリティーケミカルズ社製アラルダイト0163、並びにナガセ化成株式会社製デナコールEX−611、614、614B、622、512、521、421、411及び321(いずれも商品名)が挙げられる。
上記アミン型エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン株式会社製エピコート604、東都化成株式会社製YH−434、三菱ガス化学株式会社製TETRAD−X及びTETRAD−C、並びに住友化学株式会社製ELM−120(いずれも商品名)が挙げられる。
上記複素環含有エポキシ樹脂の市販品としては、例えば、チバスペシャリティーケミカルズ社製アラルダイトPT810、並びにUCC社製ERL4234、4299、4221及び4206(いずれも商品名)が挙げられる。
上記エポキシ樹脂としては、特に制限は無く、上記以外の一般に知られているものを用いることもできる。また、上記エポキシ樹脂は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、当該エポキシ樹脂の重量平均分子量は、Bステージ状態でのダイボンディングフィルムの可撓性が高まる観点から、1000以下であってもよく、500以下であってもよい。
熱硬化性樹脂は、Bステージ状態でのダイボンディングフィルムの可撓性が高まる観点から、例えば、重量平均分子量500以下の、ビスフェノールA型又はビスフェノールF型エポキシ樹脂であってもよい。熱硬化性樹脂は、硬化物の耐熱性が向上する観点から、例えば、重量平均分子量が800〜3000の多官能エポキシ樹脂であってもよい。高い可撓性及び耐熱性を更に高度に達成する観点から、熱硬化性樹脂として、重量平均分子量500以下の、ビスフェノールA型又はビスフェノールF型エポキシ樹脂50〜90質量%と、重量平均分子量が800〜3000の多官能エポキシ樹脂10〜50質量%と、を併用することもできる。
ダイボンディングフィルムのタック力が高まる観点から、エポキシ樹脂は、例えば、液状エポキシ樹脂であってもよく、ダイボンディングフィルムのタック力が低下する観点から、エポキシ樹脂は、例えば、固形エポキシ樹脂であってもよい。
液状エポキシ樹脂としては、例えば、東都化成株式会社製YDF−8170C、YDCN701、702、703、704及び700−10、ジャパンエポキシレジン株式会社製エピコート807、815、825、827、828、834、1001、1004、1007及び1009、ダウケミカル社製DER−330、301及び361、ジャパンエポキシレジン株式会社製エピコート152及び154、日本化薬株式会社製EPPN−201、並びにダウケミカル社製DEN−438(いずれも商品名)が挙げられる。
固形エポキシ樹脂としては、例えば、東都化成株式会社製YSLV−80XY及びYDF2001、並びにDIC株式会社製EPICLON(いずれも商品名)が挙げられる。
熱硬化性樹脂は、ダイボンディングフィルムの80℃におけるフィルム未硬化物の溶融粘度が更に低下する観点から、エポキシ樹脂であってもよい。
[硬化剤]
熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いた場合、熱硬化性成分はエポキシ樹脂硬化剤を更に含むことが好ましい。
エポキシ樹脂硬化剤としては、特に制限は無く、例えば、通常用いられている公知の硬化剤を使用することもできる。エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、アミン化合物、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール化合物、及びフェノール樹脂が挙げられる。
上記ビスフェノール化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びビスフェノールSが挙げられる。
上記フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、キシリレン変性フェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン樹脂、テルペン変性フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂が挙げられる。
エポキシ樹脂硬化剤は、ダイボンディングフィルムの80℃におけるフィルム未硬化物の溶融粘度が更に低下する観点から、例えば、低軟化点のものであってもよい。
エポキシ樹脂硬化剤の軟化温度は、ダイボンディングフィルム作製前におけるワニスの状態での相溶性が向上する観点から、150℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましく、130℃以下であることが更に好ましい。このようなエポキシ樹脂硬化剤の具体例は、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン樹脂、テルペン変性フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂を含む。中でも、エポキシ樹脂硬化剤は、フェノールノボラック樹脂又はフェノールアラルキル樹脂であることが好ましい。
エポキシ樹脂硬化剤の市販品としては、例えば、三井化学株式会社製ミレックスXLC−シリーズ、及びXLシリーズ、並びに、DIC株式会社製フェノライトLFシリーズ(いずれも商品名)が挙げられる。
熱硬化性成分として、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤とを併用する場合、エポキシ樹脂硬化剤の含有量は、全エポキシ樹脂のエポキシ基数に対する全エポキシ樹脂硬化剤の水酸基数の当量比(全エポキシ樹脂硬化剤の水酸基数/全エポキシ樹脂のエポキシ基数)で、例えば、0.5〜2であってもよい。
熱硬化性成分は、硬化促進剤を更に含んでいてもよい。
[フィラー]
本実施形態のダイボンディングフィルムは、Bステージ状態におけるダイボンディングフィルムのダイシング性の向上、ダイボンディングフィルムの取扱い性の向上、熱伝導性の向上、溶融粘度の調整、チクソトロピック性の付与等の観点から、フィラーを含有してもよい。
フィラーとしては、例えば、無機フィラーが挙げられる。
上記無機フィラーとしては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ及びアンチモン酸化物が挙げられる。
無機フィラーは、熱伝導性が向上する観点から、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ又は非晶性シリカであってもよく、溶融粘度を調整する観点及びチクソトロピック性を付与する観点から、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、結晶性シリカ又は非晶性シリカであってもよく、ダイシング性が向上する観点から、アルミナ又はシリカであってもよい。なお、無機フィラーの形状に特に制限はない。
中でも、本実施形態のダイボンディングフィルムは、エポキシ樹脂と、フェノール樹脂とを含むことが好ましい。また、本実施形態のダイボンディングフィルムは、無機フィラーを含むことが好ましい。
本実施形態のダイボンディングフィルムにおいて、上記ブロック共重合体の含有量は、ダイボンディングフィルムのフィルム硬化物の265℃における接着強度が更に高まる観点から、ブロック共重合体、エポキシ樹脂及び硬化剤の合計質量に対して、例えば、40質量%以下であってもよく、30質量%以下であってもよく、25質量%以下であってもよい。上記ブロック共重合体の含有量は、保存安定性の観点から、ブロック共重合体、エポキシ樹脂及び硬化剤の合計質量に対して、例えば、5質量%以上であってもよく、10質量%以上であってもよく、20質量%以上であってもよい。
本実施形態のダイボンディングフィルムにおける熱硬化性成分の含有量は、ブロック共重合体、エポキシ樹脂及び硬化剤の合計質量に対して、例えば、60〜95質量%であることが好ましく、70〜90質量%であることが好ましく、75〜80質量%であることが好ましい。
本実施形態のダイボンディングフィルムがフィラーを含有する場合、フィラーの含有量は、ダイボンディングフィルムのタック力が高まる観点から、ダイボンディングフィルム全質量に対して、例えば、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよく、35質量%以下であってもよい。フィラーの含有量は、ダイボンディングフィルムのタック力が低下する観点及びダイボンディングフィルムのフィルム硬化物の265℃における接着強度が更に高まる観点から、ダイボンディングフィルム全質量に対して、例えば、20質量%以上であってもよく、25質量%以上であってもよく、30質量%以上であってもよい。
ダイボンディングフィルムの厚みは特に制限はなく、接着シートの膜厚及び用途(例えば、ダイシングテープ一体型接着シート)によって、適宜、当業者の知識に基づいて決定できる。ダイボンディングフィルムの厚みは、成膜性及び取り扱い性が向上する観点から、例えば、40μm以上であってもよい。上記厚みは、経済性及び成形性の観点から、例えば、100μm以下であってもよく、90μm以下であってもよく、80μm以下であってもよい。これらの観点から、ダイボンディングフィルムの厚みは、40〜100μmであることが好ましく、40〜90μmであることがより好ましく、40〜80μmであることが更に好ましい。
<ダイボンディングフィルムの物性>
(タック力)
本実施形態のダイボンディングフィルムにおいては、40℃におけるフィルム未硬化物のタック力が、1500mN以下であることが好ましく、1200mN以下であることがより好ましく、1000mN以下であることが更に好ましい。ここで、フィルム未硬化物とはBステージ状態のフィルムを示す。
ダイボンディングフィルムの40℃におけるフィルム未硬化物のタック力が、1500mN以下であると、ピックアップ工程でチップ割れなくピックアップし易いうえ、隣接するチップのダイボンディングフィルム同士が付着して、複数チップが同時にピックアップされることを更に低減できる。
ダイボンディングフィルムの40℃におけるフィルム未硬化物のタック力は、株式会社レスカ製のタッキング試験器を用いて、下記条件で測定される。
(タック力測定条件)
フィルム厚:40μm、押し込み速度:2mm/秒、引き上げ速度:10mm/秒、停止加重:100gf/cm、停止時間:1秒に設定する。40℃のステージにダイボンディングフィルムのサンプルの測定面を上にして固定し、40℃のプローブ(直径5.1mm(φ)のSUS304)に対するタック強度を測定する。なお、ダイシングテープに貼り付ける側の面を測定面とする。
(溶融粘度)
本実施形態のダイボンディングフィルムにおいて、80℃におけるフィルム未硬化物(Bステージ状態)の溶融粘度は、フィルム流動性が高まる観点、及びダイボンディング工程における下段チップのボンディングワイヤの埋め込み性が更に向上する観点から、10000Pa・s以下であることが好ましい。上記溶融粘度が、このようなものであると、圧着工程のみで下段チップのボンディングワイヤを充填することがより一層容易であり、かつ、完成した半導体パッケージ内部のボイドを更に低減できる。したがって、ボイドに起因する吸湿リフロー時の剥離が生じ難く、信頼性を更に向上できる。上記溶融粘度の下限に特に制限はないが、上記溶融粘度が、100Pa・s以上であると、ダイボンディング工程又はフィルム硬化工程等の加熱時にフィルムが発泡し難いと考えられる。これらの観点から、80℃におけるフィルム未硬化物(Bステージ状態)の溶融粘度は、100〜10000Pa・sの範囲であることが好ましく、250〜8000Pa・sの範囲であることがより好ましく、500〜5000Pa・sの範囲であることが更に好ましい。
ダイボンディングフィルム未硬化物の80℃の溶融粘度は、Journal of Applied Physics (17) P458 (1946)に示される平行平板プラストメータ法により測定、算出できる。例えば、厚さ60μmの未硬化フィルム(ダイボンディングフィルム未硬化物)2枚を、40℃でラミネートし、厚さ約120μmのフィルムとする。得られたフィルムから、打ち抜き型を用いて直径6mmのサンプルを切り出す。サンプルの両面に厚さ150μmのスライドガラスを貼り付けて試験サンプルを作製する。この試験サンプルを、COBボンダ(日立化成株式会社製、AC−SC−400B)を用いて、圧着(80℃、1MPaで3秒)する。加圧前後のサンプルをスキャナで取り込み、画像解析ソフトで面積を計算し、圧着前後のフィルム厚みを算出する。
次いで、各数値を下記式に導入することによって、ダイボンディングフィルム未硬化物の溶融粘度(η)を求めることができる。
(m):荷重を加える前のダイボンディングフィルム接着フィルムの厚さ
Z(m):荷重を加えた後のダイボンディングフィルム接着フィルムの厚さ
V(m):ダイボンディングフィルム接着フィルムの体積
F(Pa):加えた荷重の大きさ
t(秒):荷重を加えた時間
(接着強度)
本実施形態のダイボンディングフィルムにおいて、フィルム硬化物(ダイボンディングフィルム硬化物)の265℃における接着強度は、吸湿リフロー耐性が更に向上する観点、及び吸湿後のリフロー工程で下段チップとの界面で剥離が低減される観点から、3.5MPa以上であることが好ましく、4.0MPa以上であることがより好ましく、4.5MPa以上であることが更に好ましい。
ダイボンディングフィルム硬化物の接着強度は以下の方法により測定できる。
厚み40μmのダイボンディングフィルムを厚み400μmの半導体ウェハに60℃で貼り付け、3.2mm角にダイシングする。ダイシングした半導体ウェハ(チップ)のダイボンディングフィルム貼付面をレジスト(太陽インキ製造株式会社製、商品名「AUS308」)を塗布した基板(日立化成株式会社製、商品名「E−697FG」)表面上に、100℃、0.1MPa、1秒の条件で熱圧着してサンプルを得る。その後、得られたサンプルを100℃で1時間、110℃で1時間、120℃で1時間の順のステップキュア後に、175℃で5時間硬化し、測定サンプルとする。測定サンプルを85℃、60RH%条件の下、168時間吸湿処理する。レジスト塗布基板表面が265℃になるように設定した熱板に測定サンプルを置き、30秒放置後のダイシェア強度を測定する。測定はDage Precision Industries社製のDage4000を用い、測定高さ:50μm、測定速度:50μm/sの条件で行う。
<ダイボンディングフィルムの作製>
本実施形態のダイボンディングフィルムは、例えば、ワニスを調製した後、調製したワニスを基材への塗工し、塗工されたワニスを加熱乾燥する方法により得ることができる。以下、各工程について、更に詳細に説明するが、ダイボンディングフィルムの製造方法は、以下の方法に限定されるものではない。
(1)ワニスの調製
ダイボンディングフィルムの構成成分(例えば、本実施形態に係るブロック共重合体;及び熱硬化性成分、フィラー等のその他成分)を有機溶媒中で混合、混練して、ワニスを調製する。
ワニスの調製に用いる有機溶媒は、各成分を均一に溶解、混練又は分散できるものであれば制限はなく、従来公知のものを使用することができる。このような有機溶媒(溶剤)としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N―メチルピロリドン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン化合物;トルエン及びキシレンが挙げられる。中でも、乾燥速度が速く、価格が安い点で、メチルエチルケトン、及びシクロヘキサノンが好ましい。
ワニスの調製に用いられる有機溶媒の量に特に制限はない。有機溶媒は、通常、加熱乾燥等によりダイボンディングフィルムから除去される。ダイボンディングフィルム作製後の有機溶媒量(残存揮発分)は、全質量基準で、0.01〜3質量%であることが好ましく、耐熱信頼性の観点からは、全質量基準で、0.01〜2質量%であることがより好ましく、0.01〜1.5質量%であることが更に好ましい。
ワニスの調製のための混合及び混練は、通常の撹拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を適宜、組み合わせて行うことができる。
(2)基材への塗工
(1)で得られたワニスを基材に塗工し、ワニスの層を形成する。基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリエーテルナフタレートフィルム、及びメチルペンテンフィルム、並びにこれらに離型剤のコーティング処理を施したフィルムが挙げられる。
ワニスの塗工は、例えば、アプリケータ自動塗工機を用いて行うことができる。塗工厚みは、最終的なダイボンディングフィルムの厚さを考慮して決定されるが、例えば、10〜250μmであってもよい。
(3)加熱乾燥
(2)で塗工されたワニスを加熱乾燥する。ワニスの加熱乾燥の条件は、ワニス中の有機溶媒が充分に揮散する条件であれば特に制限はないが、通常、60℃〜200℃、0.1〜90分間の加熱によりワニスが乾燥される。
加熱乾燥後、基材を除去してダイボンディングフィルム(Bステージ状態のフィルム)を得ることができる。
上述した本実施形態のダイボンディングフィルムは、半導体装置の製造に用いることができる。より具体的には、例えば、半導体装置を作製する際の、半導体素子と配線付き基板との接着、又は半導体素子同士の接着に用いることができる。
ダイボンディングフィルムは、本実施形態のダイボンディングフィルム1層のみの形態で用いてもよいが、必要に応じ他の形態で用いることもできる。より具体的には、例えば、本実施形態のダイボンディングフィルムと基材とからなる2層構造の形態で用いてもよく、本実施形態のダイボンディングフィルムの両面に基材が配された3層構造の形態で用いてもよく、本実施形態のダイボンディングフィルム2枚以上をラミネートした形態で用いてもよく、本実施形態のダイボンディングフィルムとそれ以外のダイボンディングフィルムとを複数ラミネートした形態で用いてもよい。
以下、本実施形態のダイボンディングフィルムを用いる半導体装置の製造工程の一例として、ダイボンディングフィルム(接着層)と基材とからなる積層体を用いる例について説明する。
まず、本実施形態のダイボンディングフィルムと半導体ウェハとを貼り合わせる。当該方法としては、例えば、積層体上のダイボンディングフィルム面を半導体ウェハに貼り合わせた後、ダイボンディングフィルムから基材を剥がし、更にダイボンディングフィルムとダイシングテープの粘着剤層と貼り合せる方法、又は、積層体上のダイボンディングフィルム面をダイシングテープの粘着剤層を貼り合わせた後、ダイボンディングフィルムから基材を剥がし、更にダイボンディングフィルムと半導体ウェハとを貼り合せる方法が挙げられる。
半導体ウェハは特に限定されないが、吸湿リフロー耐性に更に優れる半導体装置を作製する観点から、ウェハの厚さは100μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。
ダイシングテープとしては特に限定されず、例えば、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルムが挙げられる。また、ダイシングテープは、必要に応じて、プライマー塗布、UV処理、コロナ放電処理、研磨処理、エッチング処理等の表面処理が施されていてもよい。
次いで、ダイボンディングフィルムを貼り合わせた半導体ウェハを、切断装置(例えば、ダイサー)の回転刃で所望の大きさのチップに切断する。当該工程において、ダイボンディングフィルムは完全に切断されてもよいが、一部が切断されずに残っていてもよい。一般的に、ダイボンディングフィルムを完全に切断する工法をフルカット、ダイボンディングフィルムを完全に切断せず一部を残す工法をハーフカットという。
ハーフカット工法による切断の場合、切断されずに残ったダイボンディングフィルムは、次工程のピックアップダイボンダーにおけるピックアップ時にダイシングテープを拡張(以下、エキスパンドという)すること、及び、/又はピックアップ時に突き上げ針などの治具で押し上げることで、切り込んだ部分を起点として分割することもできる。
ダイボンディングフィルムを切断する際に使用するダイサー及び回転刃(ブレード)としては、例えば、一般に上市されているものを使用することができる。ダイサーとしては、例えば、株式会社ディスコ製のフルオートマチックダイシングソー6000シリーズ及びセミオートマチックダイシングソー3000シリーズが挙げられ、ブレードとしては、例えば、株式会社ディスコ製のダイシングブレードNBC−ZH05シリーズ及びNBC−ZHシリーズが挙げられる。
なお、半導体ウェハとダイボンディングフィルムとの積層物を切断する方法としては、回転刃を用いて切断するダイサーだけではなく、例えば、株式会社ディスコ製のフルオートマチックレーザソー7000シリーズ等のレーザを用いて切断する方法、すなわち、レーザーアブレーション加工又はステルスダイシング加工を適用してもよい。
上記切断工程により、個片化したダイボンディングフィルム付き半導体チップは、例えば、一般に上市されているピックアップダイボンダーを使用して、ピックアップすることができる。ピックアップダイボンダーとしては、例えば、ルネサス東日本セミコンダクタ社製のフレキシブルダイボンダーDB−730及びDB−700、並びに株式会社新川製のダイボンダーSPA−300及びSPA−400が挙げられる。
上述のように、ダイボンディングフィルム付き半導体チップをピックアップした後、半導体素子同士又は半導体素子と配線付き基板とを接着することにより、半導体素子と、配線付き基板又は他の半導体素子とが、接着した構造を有する半導体装置を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(4官能性連鎖移動剤の合成)
(合成例1)ベンジルジチオベンゾエート型四官能性連鎖移動剤(CTA1)の合成
窒素置換した500mLの二口ナスフラスコに臭化フェニルマグネシウムの1MのTHF溶液80mL(すなわち、臭化フェニルマグネシウム80mmol)を加え、40℃で攪拌しながら二硫化炭素5.6mL(94mmol)を15分以上かけてゆっくりと滴下した。更にTHF、70mLに溶解させた1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチル)ベンゼン3.0g(7mmol)を加え50℃で終夜攪拌した。その後、氷冷水1500mLの入ったマイヤーに反応混合物を加えて室温で攪拌させ、ジエチルエーテル、蒸留水、飽和食塩水で分液を行い、有機層を抽出した。その後、溶液をヘキサン/酢酸エチル=4/1溶液により再沈殿精製を行い、赤色の固体1.5g(2mmol)を収率29%で得た(式(A))。
(合成例2)ベンジル−1−ピロールカーボジチオエート型四官能性連鎖移動剤(CTA2)の合成
窒素置換した500mLのナスフラスコに水素化ナトリウム6.3g(264mmol)、ジメチルスルホキシド200mLを加え懸濁させた後、ピロール15.0g(224mmol)を加え室温で30分攪拌した。この時、溶液は白濁した状態から均一な薄茶色に変色した。ここに二硫化炭素13.8mL(229ミリモル)を加えて45分攪拌した。加えた直後から発熱し、溶液の色は黒色に変化した。更にジメチルスルホキシド100mLに溶解させた1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチル)ベンゼン4.5g(10mmol)を加え室温で15時間攪拌した。この溶液を水とジエチルエーテルにより洗浄した後、THFに溶解させた。これをヘキサン/酢酸エチル=7/3溶液により再沈殿精製を行い、緑色の固体3.8g(5.5mmol)を収率55%で得た(式(B))。
(合成例3)ザンテート型四官能性連鎖移動剤(CTA3)の合成
窒素置換した500mLの二口フラスコにペンタエリスリトール13.6g(100mmol)を入れ、脱水クロロホルム150mLとピリジン25mLに溶解させた。この溶液を0℃にし、2−ブロモプロピオニルブロマイド108g(500mmol)をゆっくりと滴下した。反応溶液を室温に戻し2日間反応を行った後、塩酸水溶液(10%)をゆっくりと滴下した。反応溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液(5質量%)で洗浄し、有機層を抽出後、硫酸ナトリウムで乾燥を行った。ろ過により硫酸ナトリウムを除き、溶媒を減圧除去することで四官能性臭素化合物を64g(94.7mmol)得た。これをクロロホルム500mLに溶解させ、キサントゲン酸カリウム152g(947mmol)を加えた。室温で3日間反応を行った後、クロロホルム不溶部を濾過により取り除き、溶媒を減圧除去した。カラムクロマトグロフィー(ヘキサン/酢酸エチル=7/3)により1〜4官能のCTAを回収し溶媒を除去した後、クロロホルム300mLに溶解させ、キサントゲン酸カリウム80.2g(500mmol)を再度加え60℃で2日間反応を行った。クロロホルム不溶部を濾過により取り除き、溶媒を減圧除去した。カラムクロマトグロフィー(ヘキサン/酢酸エチル=7/3)により精製を行い、収率39.5%で目的物を得た(式(C))。
(合成例4)Zコア型4官能性連鎖移動剤(CTA4)の合成
窒素置換した2000mLの三口フラスコにペンタエリスリトール13.6g(100mmol)を入れジメチルスルホキシド300mLで溶解させた。少量の水に溶かした水酸化カリウム33.7g(600mmol)を加えた。反応溶液を0℃にし、二硫化炭素242mL(4000mmol)を30分かけてゆっくりと滴下した。反応溶液を室温に戻し2時間反応を行った後、メチル−2−ブロモプロピオネート100g(600mmol)を1時間かけてゆっくりと滴下した。15時間反応を行った後、ジエチルエーテル1500mLを加えジメチルスルホキドと水可溶部を除去した。有機層を水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥を行った。ろ過により硫酸マグネシウムを除き、溶媒を減圧除去した。カラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=8/2)により精製を行い、収率23%で目的物を得た(式(D))。
(4本鎖アクリルポリマー(星型アクリル共重合体)の合成)
(合成例5)
環流冷却器、温度計、撹拌器、窒素導入管を備えた500mLのセパラブルフラスコに開始剤としてアゾイソブチロニトリル(AIBN)(160mg、1mmol)、CTA3(420mg、0.5mmol)、モノマーとしてアクリロニトリル(AN)(25g、480mmol)、アクリル酸−n−ブチル(nBA)(32g、250mmol)、アクリル酸エチル(EA)(25g、250mmol)、を加え、更に、溶媒としてメチルエチルケトン43mLを加えた。窒素ガスを30分間バブリングして脱気した後、80℃で8時間反応させた。その後、メタクリル酸グリシジル(GMA)(2.84g、20mmol)を加えて更に4時間反応後、反応液を冷却して、室温に戻した後に、減圧下で乾燥させ薄黄色固体のポリマーを得た(式(E))。
(合成例6)
CTA3をCTA1に変更したこと以外は、合成例5と同様にしてポリマーを得た。
(合成例7)
CTA3をCTA2に変更したこと以外は、合成例5と同様にしてポリマーを得た。
(合成例8)
環流冷却器、温度計、撹拌器、窒素導入管を備えた500mLのセパラブルフラスコに開始剤としてアゾイソブチロニトリル(AIBN)(160mg、1mmol)、CTA4(420mg、0.5mmol)、メタクリル酸グリシジル(GMA)(2.84g、20mmol)を加え、更に、溶媒としてメチルエチルケトン43mLを加えた。窒素ガスを30分間バブリングして脱気した後、80℃で8時間反応させた。その後、アクリロニトリル(AN)(25g、480mmol)、アクリル酸−n−ブチル(nBA)(32g、250mmol)及びアクリル酸エチル(EA)(25g、250mmol)を加えて、更に4時間反応後、反応液を冷却して、室温に戻した後に、減圧下で乾燥させ薄黄色固体のポリマーを得た。
(比較合成例1)
環流冷却器、温度計、撹拌器、窒素導入管を備えた500mLのセパラブルフラスコに開始剤としてアゾイソブチロニトリル(AIBN)(160mg、1mmol)、CTA3(420mg、0.5mmol)、モノマーとしてアクリロニトリル(AN)(25g、480mmol)、アクリル酸−n−ブチル(nBA)(32g、250mmol)、アクリル酸エチル(EA)(25g、250mmol)、メタクリル酸グリシジル(GMA)(2.84g、20mmol)を加え、更に、溶媒としてメチルエチルケトン43mLを加えた。窒素ガスを30分間バブリングして脱気した後、封管し、減圧下80℃で12時間反応させた。その後、反応液を冷却して、室温に戻した後に、減圧下で乾燥させ薄黄色固体のポリマーを得た。
(実施例1〜4、比較例1)
(ワニスの調製)
以下に示すアクリル共重合体、エポキシ樹脂、硬化剤、フィラー、硬化促進剤、カップリング剤を、表1に示す配合(質量部)で混合して得られた組成物に、更にシクロヘキサノンを加えて、攪拌及び脱泡し、不揮発分40質量%のワニスを調製した。
[アクリル共重合体]
合成例5の星型アクリル共重合体:(ガラス転移温度44℃、重量平均分子量(Mw)26000)
合成例6の星型アクリル共重合体:(ガラス転移温度44℃、重量平均分子量(Mw)40000)
合成例7の星型アクリル共重合体:(ガラス転移温度44℃、重量平均分子量(Mw)47000)
合成例8の星型アクリル共重合体:(ガラス転移温度44℃、重量平均分子量(Mw)46000)
比較合成例1の星型アクリル共重合体:(ガラス転移温度44℃、重量平均分子量(Mw)66000)
HTR−860P−3(商品名):直鎖状のアクリルゴム(ナガセケムテックス株式会社製、ガラス転移温度25℃、重量平均分子量:800000)
[エポキシ樹脂]
YDF−8170C(商品名):東都化成株式会社製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量156
YDCN−700−10(商品名):東都化成株式会社製、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量210
[硬化剤]
XLC−LL:ミレックスXLC−LL(商品名)、三井化学株式会社製、フェノール樹脂、水酸基当量175
[フィラー]
SC2050−HLG(商品名):アドマテックス社製、シリカフィラー分散液、平均粒径0.5μm
[硬化促進剤]
2PZ−CN:キュアゾール2PZ−CN(商品名)、四国化成工業株式会社製、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール
[カップリング剤]
A−189:NUC A−189(商品名)、日本ユニカー株式会社製、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン
A−1160:NUC A−1160(商品名)、日本ユニカー株式会社製、γ―ウレイドプロピルトリエトキシシラン
(ダイボンディングフィルムの塗工)
上記ワニスを、それぞれポリエチレンテレフタレート(PET)基材(帝人デュポンフィルム株式会社製、商品名:マイラーA53)上に、ギャップを調整したアプリケータ自動塗工機(テスター産業株式会社製)を用いて、塗布(塗工)した。塗布されたワニスを、オーブン中での120℃、20分間の加熱により乾燥した。その後、PET基材を除去して、膜厚60μmのBステージ状態のダイボンディングフィルム未硬化物を得た。
(ダイボンディングフィルムの後硬化)
得られたダイボンディングフィルム未硬化物をオーブン中で、120℃で30分間、140℃で1時間、175℃で2時間の加熱により硬化して、Cステージ状態のダイボンディングフィルム硬化物を得た。
(ダイボンディングフィルムの評価)
得られた実施例1〜4、比較例1のダイボンディングフィルムの各々について、以下に示す評価を行った。
(1)タック力の測定
未硬化のダイボンディングフィルム(ダイボンディングフィルム未硬化物)の40℃におけるタック力を、株式会社レスカ製のタッキング試験器を用いて測定した。測定条件は、フィルム厚:40μm、押し込み速度:2mm/秒、引き上げ速度:10mm/秒、停止加重:100gf/cm、停止時間:1秒に設定した。40℃のステージにダイボンディングフィルムのサンプルの測定面を上にして固定し、40℃のプローブ(直径5.1mm(φ)のSUS304)に対するタック強度を測定した。なお、ダイシングテープに貼り付ける側の面を測定面とした。結果を表1に示す。
(2)溶融粘度の測定
ダイボンディングフィルム未硬化物の80℃の溶融粘度を、Journal of Applied Physics (17) P458 (1946)に示す平行平板プラストメータ法により測定及び算出した。
厚さ60μmの未硬化のダイボンディングフィルム2枚を、40℃でラミネートし、厚さ約120μmのフィルムとした。得られたフィルムから、打ち抜き型を用いて直径6mmのサンプルを切り出した。サンプルの両面に厚さ150μmのスライドガラスを貼り付けて試験サンプルを作製した。この試験サンプルをCOBボンダ(日立化成株式会社製、AC−SC−400B)を用いて、圧着(80℃、1MPaで3秒間)した。加圧前後のサンプルをスキャナで取り込み、画像解析ソフトで面積を計算し、圧着前後のフィルム厚みを算出した。
次いで、下記式に従って、ダイボンディングフィルム未硬化物の溶融粘度(η)を算出した。
(m):荷重を加える前のダイボンディングフィルム接着フィルムの厚さ
Z(m):荷重を加えた後のダイボンディングフィルム接着フィルムの厚さ
V(m):ダイボンディングフィルム接着フィルムの体積
F(Pa):加えた荷重の大きさ
t(秒):荷重を加えた時間
(3)接着強度の測定
ダイボンディングフィルム硬化物の接着強度を以下の方法により測定した。厚み40μmのダイボンディングフィルムを、厚み400μmの半導体ウェハに60℃で貼り付けた後、3.2mm角にダイシングした。ダイシングしたチップのダイボンディングフィルム貼付面をレジスト(太陽インキ製造株式会社製、商品名「AUS308」)を塗布した基板(日立化成株式会社製、商品名「E−697FG」)表面上に、100℃、0.1MPaで1秒間熱圧着してサンプルを得た。
得られたサンプルを100℃で1時間、110℃で1時間、120℃で1時間の順でステップキュアした後、175℃で5時間硬化し、測定サンプルとした。測定サンプルを85℃、60RH%の条件で、168時間吸湿処理した。
レジスト塗布基板表面が265℃になるように設定した熱板に測定サンプルをおき、30秒放置後のダイシェア強度を測定した。測定は、Dage Precision Industries社製のDage4000を用い、測定高さ:50μm及び測定速度:50μm/秒の条件で行った。結果を表1に示す。
(4)ピックアップ性の評価
Bステージ状態のダイボンディングフィルムから切り抜いた直径210mmのフィルムを、厚さ80μmのダイシングテープ(電気化学工業株式会社製、商品名T−80MW)に、ダイアタッチフィルムマウンター(株式会社ジェーシーエム製、商品名DM−300−H)を用いて室温(25℃)で貼り合わせた。塗工時の開放面(ポリエチレンテレフタレートフィルムの逆側)とダイシングテープとが貼り合わされた、ダイボンディングフィルム・ダイシングテープ積層品を得た。
ダイボンディングフィルム・ダイシングテープ積層品に対して、50μm厚の半導体ウェハを熱板上でラミネートし、半導体ウェハとダイボンディングフィルム・ダイシングテープ積層品とから構成されるダイシングサンプルを作製した。ラミネート時の熱板表面温度は40℃に設定した。
次いで、株式会社ディスコ製、商品名フルオートマチックダイシングソーDFD−6361を用いて、ダイシングサンプルを切断した。ダイシングサンプルの切断は、ブレード1枚で加工を完了するシングルカット方式で、ブレード回転数45,000min−1、切断速度50mm/秒の条件で行った。なお、ブレードとしては株式会社ディスコ製、商品名ダイシングブレードNBC−ZH104F−SE 27HDBBを用いた。切断時のブレードハイトは、ダイシングテープを20μm切り込む設定(60μm)とした。半導体ウェハのサイズが10×10mmとなるようにダイシングサンプルを切断して、ダイボンディングフィルム付き半導体チップを得た。
得られたダイボンディングフィルム付き半導体チップのピックアップ性を、株式会社ルネサス東日本セミコンダクタ製、商品名フレキシブルダイボンダーDB−730を使用して評価した。ピックアップ用コレットとして、マイクロメカニクス社製、商品名RUBBER TIP 13−087E−33(サイズ:10×10mm)を、突上げピンとしてマイクロメカニクス社製、商品名EJECTOR NEEDLE SEN2−83−05(直径:0.7mm、先端形状:直径350μmの半円)を用いた。
突上げピンは、ピン中心間隔4.2mmで9本配置した。ピンの突上げ速度:10mm/秒、突上げ高さ:500μmの条件で半導体チップをピックアップしたときのピックアップ性を評価した。連続して100チップをピックアップし、チップ割れ、ピックアップミス等が発生しない場合を「A」、1チップ以上のチップ割れ、ピックアップミス等が発生した場合を「C」として判定した。結果を表1に示す。
(5)下段チップのボンディングワイヤ充填性
(4)で得たダイボンディングフィルム・ダイシングテープ積層品に、100μm厚の半導体ウェハを熱板上でラミネートして、半導体ウェハとダイボンディングフィルム・ダイシングテープ積層品とから構成されるダイシングサンプルを作製した。ラミネート時の熱板表面温度は40℃に設定した。得られたダイシングサンプルを、株式会社ディスコ社製、商品名フルオートマチックダイシングソーDFD−6361を用いて切断した。ダイシングサンプルの切断は、ブレード1枚で加工を完了するシングルカット方式で、ブレード回転数45,000min−1、切断速度50mm/秒の条件で行った。なお、ブレードとしては、株式会社ディスコ社製、商品名ダイシングブレードNBC−ZH104F−SE 27HDBBを用いた。切断時のブレードハイトは、ダイシングテープを20μm切り込む設定(60μm)とした。半導体ウェハのサイズが7.5×7.5mmとなるようにダイシングサンプルを切断して、ダイボンディングフィルム付き半導体チップを得た。
得られたダイボンディングフィルム付き半導体チップを、ワイヤボンディングされた半導体チップ上に、株式会社ルネサス東日本セミコンダクタ製、商品名フレキシブルダイボンダーDB−730を使用して圧着した。下段チップのボンディングワイヤとしては、直径25μmの金ワイヤを用い、ワイヤピッチは200μmとした。上段チップの圧着条件は、熱板温度120℃、荷重0.1MPa、時間1秒とした。
ワイヤボンディングされた半導体チップと、ダイボンディングフィルム付き半導体チップとが圧着された積層体において、下段チップのボンディングワイヤ下の空隙の有無を、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製、VH−6300)を用いて観察することにより、下段チップのボンディングワイヤ充填性を評価した。12パッケージを観察し、ワイヤ下に空隙が存在しなかった場合を「A」、1パッケージ以上に空隙が存在した場合を「C」として判定した。結果を表1に示す。
(6)吸湿リフロー耐性の評価
(5)と同様の方法で、ワイヤボンディングされた半導体チップと、ダイボンディングフィルム付き半導体チップとが圧着された積層体を作製した。得られた積層体を、110℃で1時間及び120℃で1時間硬化させた後、当該積層体上に、封止材(日立化成株式会社製、商品名:CEL−9750ZHF)を成型し、175℃で5時間の硬化処理を施し、半導体パッケージを得た。
半導体パッケージ内部の剥離、ボイドの有無を、超音波探査映像装置(日立建機株式会社製、HYE−FOCUS Scanning Acoustic Tomograph)を用いて観察した後、半導体パッケージを125℃で12時間乾燥した。乾燥した半導体パッケージに対して、85℃、60%RH及び168時間の吸湿処理を施した後、リフロー処理を3回、最大温度265℃、30秒となる条件で施した。リフロー処理後の半導体パッケージ内部の剥離、ボイドの有無を、再度、超音波探査映像装置で観察した。リフロー処理後の半導体パッケージを12パッケージ観察することにより、吸湿リフロー耐性を評価した。半導体パッケージ内部の剥離、ボイドが存在しなかった場合を「A」、ボイドとまでは言えない程度のかすかな変化が観察された場合を「B」、1パッケージ以上に剥離、ボイドが存在した場合を「C」として判定した。結果を表1に示す。
表1より、実施例1〜4によれば、薄ウェハを割れなくピックアップでき、圧着工程で下段チップのボンディングワイヤを充填することが可能であると共に、得られた半導体パッケージが良好な吸湿リフロー耐性を有する。
比較例1、比較例2は、接着強度が2.8MPa、2.5MPaと低く、吸湿後のリフロー処理時に剥離が生じた。また、比較例2は溶融粘度が9200Pa・sと高く、下段チップのボンディングワイヤの充填性に劣り、吸湿後のリフロー処理時に未充填部位が起点となり剥離が生じた。また、比較例2は、40℃におけるタック力が2,400mNと高く、ピックアップ不良が発生した。

Claims (8)

  1. コア部と、当該コア部に連結する4本の分子鎖とを有し、かつ、前記分子鎖が、架橋性官能基を有するモノマーに由来するポリマーブロックを有する、ブロック共重合体を含有する、ダイボンディングフィルム。
  2. 前記ブロック共重合体が、下記式(1)で表される、請求項1に記載のダイボンディングフィルム。

    [式(1)中、Xは炭素原子又は置換基を有していてもよい芳香環を示し、Lは、単結合又は二価の連結基を示し、R及びRは、それぞれ水素原子又はメチル基を示し、Rは、一価の芳香族炭化水素基、脂肪族エステル基又はニトリル基を示し、Rは、架橋性官能基を有する基を示し、Yは、一価の基を示し、nは、1〜10000の整数を示し、mは、1〜100の整数を示す。なお、式中、複数存在するL、R、R、R、R、Y、m及びnは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
  3. 前記Yが、下記式(2a)で表される基である、請求項2に記載のダイボンディングフィルム。

    [式(2a)中、Rは、アリール基、ピロリル基、アルコキシ基、アルキル基又はアルキロイルオキシ基を示す。]
  4. 前記Yが、下記式(i)で表される基であり、前記Lが、下記式(ii)で表される連結基である、請求項2に記載のダイボンディングフィルム。
  5. 下記式(3a)で表される連鎖移動剤と、重合性不飽和結合を有するモノマーと、の反応生成物を、重合性不飽和結合及び架橋性官能基を有するモノマーと反応させてなるブロック共重合体、を含有する、ダイボンディングフィルム。

    [式(3a)中、Xは炭素原子又は置換基を有していてもよい芳香環を示し、Lは、単結合又は二価の連結基を示し、Rは、アリール基、ピロリル基、アルコキシ基、アルキル基、アルキロイルオキシ基又はシアノ基を示す。]
  6. 下記式(3b)で表される連鎖移動剤と、重合性不飽和結合及び架橋性官能基を有するモノマーと、の反応生成物を、重合性不飽和結合を有するモノマーと反応させてなるブロック共重合体を含有する、ダイボンディングフィルム。

    [式(3b)中、Xは炭素原子又は置換基を有していてもよい芳香環を示す。]
  7. エポキシ樹脂と、フェノール樹脂とを更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のダイボンディングフィルム。
  8. 無機フィラーを更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のダイボンディングフィルム。
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