JP2017114494A - エアゾール製品、その製造方法及びそのエアゾール噴射装置の使用方法 - Google Patents

エアゾール製品、その製造方法及びそのエアゾール噴射装置の使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 育毛剤を液化ガスで噴射するエアゾール噴射装置を備えたエアゾール製品において噴射中液化ガスが気化して一気に広がるのを防ぐと共に液ダレによる育毛剤の頭皮に対する血行促進の阻害を抑制する。【解決手段】エアゾール噴射装置の噴射ノズル3は気化制御部として噴射口5よりも奥側から噴射口5へかけて漸次内径を大きくする逆テーパー面7を内側面に備え、気化制御空間kは逆テーパー面7に囲まれた空間であり、液化ガスはジメチルエーテルを含み、収容物全体を100重量%として収容物中前記ジメチルエーテルが20重量%より多く含まれ、育毛剤はニンジンエキスとビタミンE類とセファランチンとを含むと共に収容物全体を100重量%として前記低級アルコールを10重量%以上含むものであり、ニンジンエキスとビタミンE類とセファランチンと低級アルコールとジメチルエーテルとの合計100重量%中、ジメチルエーテルを30重量%以上とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、エアゾール製品、その製造方法及びそのエアゾール噴射装置の使用方法に関する。
に関する
被噴射物と噴射剤とを収容物とするエアゾール噴射装置を備えたエアゾール製品として、例えば育毛剤を被噴射物とし噴射剤である液化ガスにて噴射するものがある。
この一方で、育毛剤の有効成分を物理的に浸透させる方法として気圧を利用した浸透方法(特許文献1)やイオン浸透による方法(特許文献2)が提案されている。
育毛効果を高めるには血流を良くさせることが知られており、血行促進剤を配合した育毛剤は数多く提案されている(特許文献3,4)。
とりわけエアゾールタイプの育毛剤は数多く提案されており、血行促進剤と炭酸ガスを組み合わせた方法(特許文献5)や、有効成分とジメチルエーテルの組成物で製剤安定性を向上させたものがある(特許文献6,7)。
特開2006−167215 特開2009−233109 特開2005−206536 特開2010−100661 特公昭63−47684 特許第5007800号 特許第5371235号
しかしながら特許文献1,2に示されたものは装置が大掛かりであり使用及び製品化が困難である。
また特許文献3,4に示されたものは血行促進成分を含む育毛剤組成物の提案に止まり、頭皮への塗布方法の提案はない。
更に特許文献5に示されたものは噴射剤が二酸化炭素即ち炭酸ガスのみで、細い棒状にしか吐出されず、また塗布しても上記炭酸ガスがすぐに抜けて液だけになってしまうので血行促進成分の浸透促進がなされず血行促進の効果が得られない。
特許文献6,7についても、上記の通り製剤安定性を向上させることを目的とするものであり、頭皮に育毛剤組成物を行き渡らせて血行促進を図るという観点はない。
冒頭述べた、育毛剤を被噴射物として噴射剤である液化ガスにて噴射するエアゾール製品の一般的なものとして、図2(A)へ示す通り、上記育毛剤と液化ガスを収容物として収容するエアゾール容器(図示しない。)と、前記エアゾール容器の上部に取り付けられて、エアゾール容器の弁の開閉操作を行うことができる噴射ボタンw2と、噴射ボタンw2へ設けられた噴射ノズルw3とを有するエアゾール噴射装置w1を備えたものを例示することができる。
上記一般的なエアゾール噴射装置w1の噴射ノズルw3に、吐出口即ち噴射口w5の口径を0.3mm〜1.6mmとするピンを採用すれば、製造時に当該ピンの交換で成型が可能なため、上記噴射ノズルw3として当該ピンが汎用されている。
一般的なエアゾールの噴射剤hには、低沸点でLPGに使用される、沸点42.1℃のプロパン、沸点−11.7℃のイソブタン、沸点−0.5℃のノルマルブタン、沸点−24℃のジメチルエーテルを掲げることができる。噴射剤hは、上記エアゾール容器内では圧力が掛っているため液状であるが、外気に出た直後に気化するため、噴射剤hを多く含有すると噴射剤hは図2(A)へ示す通り霧状に広がってしまう。このため被噴射物である育毛剤組成物も、噴射剤hと共に霧状に四散して頭髪に覆われた頭皮へ十分に届かないものとなっている。
この原因について、本発明の発明者は、次の点に着目した。
即ち図2(A)へ示す通り、上記噴射ノズルw3先端の噴射口w5と噴射ノズルw3基端の導入口w4との間において、噴射口w5側は導入口w4側よりも内径の小さな小径部w7となっている。更に噴射方向について、当該小径部w7である区間では噴射ノズルw3内径は一定であり、また小径部w7へ向け内径が絞られるまでの導入口w4側を大径部w6として当該大径部w6である区間でも噴射ノズルw3内径は一定である。このため、噴射剤は噴射ノズルw3内で体積を拡大することができず液状のまま噴射ノズルw3内を移動し、噴射口w5から開放され噴射ノズルw3の外部へ放出された途端一気に気化して霧状に広がるのである。
そこで第1に本発明は、エアゾール製品の噴射剤について放出後の一気に気化する現象を抑えて上記霧状に広がることを抑制できるエアゾール噴射装置を備えたものを提供して上記課題の解決を図る。
一方、上記エアゾール噴射装置を特に育毛剤の噴射に使用することに限ってみれば、噴射ノズルの工夫により単に噴射剤hの霧状の広がりを抑制して頭皮への到達を確実に行えるものとしても、噴射剤hであるジメチルエーテルの含有量を収容物の20重量%以下にすると、当該広がり抑制のために頭皮に到達した際に気化が不十分で液ダレを生じ、育毛剤の頭皮内部への浸透が十分になされない事態を招くことを、本発明の発明者は突き止めた(図1(B))。
また、この液ダレは、図2(A)へ示すエアゾール噴射装置w1についても、噴射剤hであるジメチルエーテルの含有量を収容物の20重量%以下にすると、図2(B)へ示す通り気化が十分に行えず発生する。
上記液ダレについて詳しく述べると、図2に示す一般的な育毛剤を噴射するエアゾール製品には、被噴射物である育毛剤について上記霧状に広がることを抑えて頭皮まで薬剤を届かせるために、例えばエアゾール容器の収容物自体について、上記の通り当該収容物全体100重量%中ジメチルエーテルを20重量%に抑えたものがある。
しかし、噴射後気化する量に比して液量が多くなるため、頭皮に付着しても液ダレが多く、育毛剤が目に入るなどの不具合が生じるのである。また、液ダレを解消するために収容物100重量%中、例えばジメチルエーテルを50重量%とする噴射剤量の多いものもあるが、上記図2(A)へ示す通り、霧状となり薬剤が毛髪に付着して頭皮まで届かない不具合がある。従って、育毛に供する血行促進成分が十分に頭皮に行き渡らないのである。
そこで第2に本発明は、上記噴射剤による育毛剤の霧状の広がりの抑制と育毛剤の上記液ダレ防止を両立したエアゾール製品を提供して上記課題の解決を図る。
本発明は、エアゾール噴射装置と噴射剤と被噴射物とを備え、前記エアゾール噴射装置が、前記噴射剤及び被噴射物を収容物とするエアゾール容器と、エアゾール容器内の前記収容物を噴射する噴射ノズルとを備えるエアゾール製品について、次の構成を採るものを提供する。
即ち、前記噴射剤は、液化ガスであり前記噴射ノズルは、内側面へ気化制御部を備え、前記気化制御部は、前記噴射ノズルにおける噴射口よりも奥側の内径と比べて、噴射ノズルの前記噴射口側の内径を大きいものである。
また、本発明では、前記気化制御部が、前記噴射ノズルの噴射口よりも奥側から前記噴射口へ向けて漸次内径を大きくする逆テーパー面であるエアゾール製品を提供できた。
更に、本発明では、前記被噴射物が液状の育毛剤を含み、前記噴射剤がジメチルエーテルを含むものとし、前記収容物100重量%中、前記ジメチルエーテルは20重量%を超えるものとし、前記噴射ノズルの軸方向について前記逆テーパー面の、前記噴射口側の端部を前記逆テーパー面の終端とし前記奥側の端部を前記逆テーパー面の始端として、前記始端における逆テーパー面の内径は、0.1mm以上0.7mm以下であり、前記終端における逆テーパー面の内径は、前記始端における逆テーパー面の内径の1.2倍以上10倍未満であり、前記始端と前記終端との間の間隔を3mm以上40mm未満とするエアゾール製品を提供できた。
また更に本発明では、前記被噴射物が、前記育毛剤としてニンジンエキスとビタミンE類とセファランチンとを含むと共に前記収容物100重量%中前記低級アルコールを10重量%以上含むものとし、前記ニンジンエキスとビタミンE類とセファランチンと低級アルコールと前記ジメチルエーテルとの合計100重量%の原液中、前記ジメチルエーテルを30重量%以上とするエアゾール製品を提供できた。
更にまた本発明は、エアゾール噴射装置と噴射剤と被噴射物とを備え、前記エアゾール噴射装置が、前記噴射剤及び被噴射物を収容物とするエアゾール容器と、エアゾール容器内の前記収容物を噴射する噴射ノズルとを備えるエアゾール製品の製造方法について、次の構成を採るものを提供できた。
即ち、このエアゾール製品の製造方法は、前記噴射剤として液化ガスを前記エアゾール容器へ充填し、前記噴射ノズルには、内側面へ気化制御部を備えたものを採用し、前記気化制御部は、前記噴射ノズルにおける噴射口よりも奥側の内径と比べて、噴射ノズルの前記噴射口側の内径を大きくしたことを特徴とするエアゾール製品の製造方法を提供できた。
また更に本発明は、噴射剤及び被噴射物を収容物とするエアゾール容器と、前記エアゾール容器内の内容物を噴射する噴射ノズルとを有するエアゾール噴射装置の使用方法について、次の構成を採るものを提供できた。
即ち、このエアゾール噴射装置の使用方法は、前記噴射ノズルには、内側面へ気化制御部を備えたものを採用し、前記気化制御部は、前記噴射ノズルにおける噴射口よりも奥側の内径と比べて、噴射ノズルの前記噴射口側の内径を大きくしたものであり、前記被噴射物として液状の育毛剤を含むものと、前記噴射剤をとしてジメチルエーテルを含むものとを収容物として、前記エアゾール容器に充填し、前記収容物100重量%中20重量%を超える前記ジメチルエーテルを充填する。
本発明は、噴射ノズルの内側面に気化制御部を備えることにより、噴射ノズルから噴射された液化ガスの急激な気化を抑制できたものである。
特に本発明は、上記気化制御部について、噴射ノズルの内側形状を上記逆テーパー面とすることによって形成し、噴射ノズルの通路内にて液化ガスを徐々に気化させることができる。
特に気化制御部を逆テーパー面とし、逆テーパー面に囲まれた空間について、噴射ノズルの奥側即ち噴射ノズルの導入口側から噴射口側へ向けて径を漸次大きくすることにて、当該空間を気化制御空間として、噴射口を通過するまで噴射剤の急激な気化を抑えつつ気化させることを可能としたのである。
言い換えると上記気化制御空間を噴射の助走区間として、気化により噴射剤の広がる範囲を噴射口に向けて徐々に広がる気化制御空間により予め規制しておくことにより、噴射剤が噴射口から外部へ放出された後も噴射剤の急激な気化にて被噴射物が一気に広がるのを抑制することができる。
従って、本発明を育毛剤の頭皮への塗布に利用することで、頭皮まで噴射剤と薬剤を勢いよく届かせることが可能となった。
また、本発明は、上記の急激な気化を抑制する制御の上で、薬剤中に血行促進成分を含有するものとし、ジメチルエーテルの配合量をエアゾール容器の収容物100重量%中20重量%より多くし、育毛剤の、頭皮への付着に必要な気化を伴った棒状の噴射を可能とし、頭皮での液ダレを抑えることで、頭皮への浸透性を高めて血流量を増加させたことを確認できた。
上記の通り、本発明は、噴射にてエアゾール容器から出た前記育毛剤と液化ガスの急激な広がりを抑制しつつ、有効成分の頭皮への浸透性を向上させる育毛剤組成物を採用して、特に血行促進効果を向上させ育毛効果を高めることができたものである。
特に、従来のエアゾール製品として、ジメチルエーテル或いはLPGの混合噴射剤を20%配合したものや、更に噴射の勢いの弱さをカバーするために窒素や炭酸ガスなどの圧縮ガスで加圧するものがあるが、何れも液量が多いため、前述の通り頭皮に付着しても液ダレが多く、当該液が目に入るなどの不具合があった。また、上記液ダレを解消するためにジメチルエーテル或いはLPGの混合噴射剤を50%配合したものがあるが、上述の通り噴射剤量が多いため霧状となり薬剤が毛髪に付着して頭皮まで届かないという不具合があった。本発明は上記の相反する問題を一挙に解決することができた。
(A)は本発明に係るエアゾール製品において適切な噴射を行う状態を示すエアゾール噴射装置の要部断面図、(B)は(A)に示すエアゾール噴射装置を用いて育毛剤を噴射する場合においてジメチルエーテルを収容物100重量%中20重量%以下として噴射した状態を示すエアゾール噴射装置の要部断面図。 (A)は従来のエアゾール製品において噴射を行う状態を示すエアゾール噴射装置の要部断面図、(B)は(A)に示すエアゾール噴射装置を用いて育毛剤を噴射する場合においてジメチルエーテルを収容物100重量%中20重量%以下として噴射した状態を示すエアゾール噴射装置の要部断面図。 (A)は本発明のエアゾール噴射装置を用いて、上下に伸びる平らな面へ育毛剤を噴射した画像を示す説明図、(B)は従来のエアゾール噴射装置を用いて、上下に伸びる平らな面へ育毛剤を噴射した画像を示す説明図。 (A)は本発明のエアゾール噴射装置により実際に育毛剤を噴射する前の頭皮の拡大画像を示す説明図、(B)は本発明のエアゾール噴射装置により実際に育毛剤噴射中の頭皮の拡大画像を示す説明図、(C)は(B)の噴射が終了した頭皮の拡大画像を示す説明図。 (A)は従来のエアゾール噴射装置により実際に育毛剤を噴射する前の頭皮の拡大画像を示す説明図、(B)は従来のエアゾール噴射装置により実際に育毛剤噴射中の頭皮の拡大画像を示す説明図、(C)は(B)の噴射が終了した頭皮の拡大画像を示す説明図。
発明の実施の形態
図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
(基本構成)
図1(A)へ示す通り、本発明に係るエアゾール製品は、エアゾール噴射装置1と、収容物(図示しない。)とを備える。
エアゾール噴射装置1は、前記収容物を収容するエアゾール容器(図示しない。)と、前記エアゾール容器へ取り付けられる噴射ボタン2と、噴射ボタン2へ設けられた噴射ノズル3とを備える。
先ずエアゾール噴射装置1の各部の構成について順に説明する。
(エアゾール容器)
エアゾール容器は、開閉弁と作動部を備える、周知のスプレー缶である(図示しない)。前記作動部が前記開閉弁を作動させる。上記の開閉弁は、逆止弁であり、前記作動部を作動させない限り閉弁してエアゾール容器内を閉鎖している。図示は省略するが、この例では、前記作動部は、エアゾール容器の上部から上方へ突出する筒状のテスムである。当該ステムを前記エアゾール容器へ向けて押し込むことにより、前記開閉弁が開弁し、中空の前記ステム内を通じて収容物を前記エアゾール容器の外へ導くことができる。
但し前記ステムは、前記エアゾール容器に対する出没動作にて前記開閉弁の開閉を行うものに限定するものではなく、例えば、エアゾール容器に対するステムの向きを変えることによって上記開閉弁の開閉を行うものを、前記ステムに採用することができる。
この例では、上記の通り、前記ステムは上下動にてエアゾール容器から出没することにより前記開閉弁の開閉を行う。
(噴射ボタン2)
噴射ボタン2は、作動部である前記ステムの先端に取り付けられる。噴射ボタン2を指先にて下方へ押し込むことにより、ステムを上述の通り前記エアゾール容器へ向けて押し込むことができる。
噴射ボタン2は、内部に連絡通路6を備える。噴射ボタン2が前記ステムの先端と接続されることにより、連絡通路6の一端が筒状の当該ステムの内部と連絡し、連絡通路6の他の一端が上記噴射ノズル3の基端側の導入口4と連絡する。
噴射ボタン2の操作即ち噴射ボタン2を押し下げ上記ステムを下方へ作動させることにより上記開閉弁を開弁する。当該開弁にて上記収容物がステムを通じて連絡通路6へ導かれ、上記収容物が連絡通路6から噴射ノズル3内へ送られる。
(噴射ノズル3)
噴射ノズル3は、中空で、内部に通路を備える。当該通路の伸びる方向を、噴射ノズル3の軸方向とする。
噴射ノズル3は、内側面へ気化制御部7を備える。気化制御部7は、この例では噴射ノズル3の上記通路の内側面に形成された逆テーパー面(以下必要に応じて逆テーパー面7と呼ぶ。)である。
逆テーパー面7は、噴射口5よりも奥側から噴射口5へ向けて漸次噴射ノズル3の内径を大きくする面である。逆テーパー面7は、先細りとなる凸状の、言い換えると錐台状のテーパー面(仮想面)と合致する、凹状の面即ちすり鉢状の面である。
特にこの例では、上記軸方向について噴射ノズル3の上記内側面のほぼ全域が逆テーバー面7をなしている。即ち、噴射ノズル1の軸方向について、噴射ノズル3の導入口4が逆テーパー面7の始端であり、噴射口5が逆テーパー面7の終端である。
噴射ノズル3は、前記逆テーパー面7に囲まれた空間を気化制御空間kとするものである。上記逆テーパー面7の始端が気化制御空間kの始点であり、上記逆テーパー面7の終端が気化制御空間kの終点である。
この例では、逆テーバー面7は、図1(A)へ示す通り噴射ノズル3の軸方向に沿った断面において、輪郭を略直線とする。
逆テーパー面7は、気化制御空間kとして前記噴射剤の気化する空間を前記噴射口5へ向け徐々に広げることで、噴射により収容物がエアゾール容器外へ吐出されても前記噴射剤を一気に気化させずに徐々に気化させることを可能としたのである。
この例では、気化制御空間kの終点即ち逆テーパー面7の終端となる噴射口5の径は、気化制御空間kの始点即ち逆テーパー面7の始端となる導入口4の径の1.2倍以上10倍未満であり、噴射口5と導入口4の間の間隔を3mm以上40mm未満とする。
後の収容物の説明で詳しく述べる通り、液化ガスをジメチルエーテルとし、収容物全体100重量%中当該ジメチルエーテルが20重量%を超えるものとした場合において、逆テーパー面7の終端である噴射口5の径を、逆テーパー面7の始端である導入口4の径の1.2倍よりも小さいものとした場合と10倍以上とした場合のいずれの場合も気化制御空間kによる気化制御の効果即ち逆テーパーの効果(図1(A))は得られない。
また、噴射口5の径が導入口4の径の1.2倍以上10倍未満の範囲にあっても、噴射口5と導入口4の間の間隔即ち噴射ノズル3の軸方向におけるテーパー面7の始端と終端間の間隔を3mm未満とすると、噴射ノズル3内での収容物の移動方向について気化制御空間kの長さが短く逆テーパーの効果が得られない。逆に噴射口5の径が導入口4の径の1.2倍以上10倍未満の範囲にあっても、噴射口5と導入口4の間の間隔を40mm以上とすると、噴射ノズル3において気化制御空間kに規制される助走区間が長すぎ、噴射ノズル3内の上記通路を通っている間に大気との間の抵抗により勢いが落ちて逆テーパーの効果(図1(A))が得られない。
また気化制御空間kの始点の径即ち導入口4の口径は、0.1mm以上0.7mm以下とする。噴射口5と導入口4との上記寸法比率及び配置関係の範囲を満たし更に後述する液化ガスの含有比率が好ましい範囲にあっても、導入口4の口径が0.1mmよりも小さいと収容物を十分な量噴射することができず、導入口4の口径が0.7mmよりも大きいと噴射に必要な圧力を掛けて収容物を噴射することができない。
但し、噴射口5と導入口4との上記寸法及び配置関係が上記範囲を逸脱するものであっても、内容物の調整により噴射による適切な気化が行えるのであれば、上記範囲を逸脱したものを除外するものではない。
噴射口5と導入口4の間の間隔については、特に10mm以上20mm以下とするのが好ましい。また、噴射口5の径を特に導入口4の径の3倍以上5倍以下とするのが好ましい。導入口4の径については特に0.3mm以上0.7mm以下とするのが好ましい。その中でも上記導入口4に対する噴射口5の上記倍率に従うことを前提に、噴射口5の径が0.5mm以上3.0mm以下取り分け噴射口5の径が1mm以上2mm以下の範囲に収まるように導入口4の径を定めるのが好ましい。
(収容物)
次に上記エアゾール容器へ収容される収容物について説明する。
収容物は、被噴射物と前記被噴射物を噴射する噴射剤とを有する。被噴射物は、噴射の目的とする有効成分を含有する。一方、噴射剤は、大気中に放出されることより膨張して被噴射物を吹き飛ばす周知のものである。具体的には、噴射剤には、エアゾール容器から解放されると一気に気化する液化ガスを採用することができる。
以下、上記被噴射剤の有効成分を育毛剤とする場合について、説明する。
このエアゾール製品は、上記液化ガスとしてはジエチルエーテルを主成分とし、前記収容物全体を100重量%として、前記収容物中上記ジメチルエーテルを20重量%より多く含む。
上記育毛剤は、血行促進剤を含むと共に低級アルコールを含む。
上記血行促進剤は、ニンジンエキスとビタミンE類とセファランチンを含むものが好ましい。
特に上記収容物は、当該収容物全体を100重量%として、上記低級アルコールを10重量%以上含むものとするのが好ましい。
また、上記血行促進剤と上記低級アルコールを含むエアゾール原液に対して上記ジメチルエーテルを30重量%以上とするのが好ましい。
より具体的には、次の(A)と(B)を含むエアゾール原液と次の(C)を含むエアゾール組成物について、上述の図1(A)へ示す噴射ノズル3内に逆テーパー面7を備えた噴射ボタン2を用いることで、当該(A)〜(C)を含むエアゾール組成物を頭皮への付着に必要な気化を伴った棒状に吐出できる。その結果当該(C)の成分の頭皮に対する密着が高められる。このようにして、当該(A)の成分を頭皮から浸透を高めて血行促進効果が得られる育毛剤を含むエアゾール組成物を採用することができる。
(A)血行促進剤として、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸dl-α-トコフェロール等のニコチン酸誘導体、dl-α-トコフェロール、d-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、酢酸d-α-トコフェロールなどのビタミンE類、センブリエキス、ニンジンエキス、アセチルコリン、イチョウエキス、γ-オリザノール、トウヒエキス、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、セファランチン、塩酸ジフェンヒドラミンが例示できる。これらは1種または2種以上併用することが可能である。これらのうち、ビタミンE類、ニンジンエキス、センブリエキス、セファランチンが特に好ましく、血行促進剤として少なくとも、ビタミンE類、ニンジンエキス、センブリエキス、セファランチンの全てが含まれるのが最も好ましい。血行促進剤の含有量は十分な育毛効果を得られる観点からエアゾール原液中の0.0001〜10重量%が好ましく、更に0.001〜5重量%が好ましい。
(B)低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノールを例示できる。即ち、炭素数1〜3の一価の低級アルコールが必須であり、特にエタノールが特に好ましい。低級アルコールの含有量は5重量%以上が好ましく、更に10重量%以上が好ましい。5%未満であると塗布後の乾燥性が悪く、また次の(C)のジメチルエーテルとエアゾール原液の相溶性が悪くなる(ジメチルエーテルを50重量%以上充填すると分離してしまう)。
(C)ジメチルエーテルは、エアゾール噴射剤で水にも低級アルコールにも溶解するため必須の噴射剤である。尚、LPGは水に溶解しないため必須ではない。ただし、LPG、HF0−1234ze、HCF−152aなどの液化ガス、窒素、圧縮空気、二酸化炭素などの圧縮ガスを本願発明の目的を逸脱しない範囲において併用しても良い。
前述の通り噴射ノズル3の内側面に逆テーパー面7を設けて、噴射ノズル3内の内部通路にて液化ガスを徐々に揮散させることで液化ガスの広がりが調整され、噴射口5を通過しても噴射剤である当該液化ガスの急激な気化を抑えつつ適度な気化を伴うものとし、頭皮まで噴射剤と薬剤を勢いよく届かせることが可能となった。
また、薬剤を育毛剤とする場合、薬剤中に血行促進成分を含有するものとした上でジメチルエーテルの配合量を多くすると皮膚への浸透性を高められ血流量の増加が確認できた。
実施例及び比較例について説明する。
精製水80重量%、エタノール20重量%の水性原液を調整し、表1へ試験1)、試験2)、試験3)として示す夫々の割合でエアゾール容器へジメチルエーテルと共に充填した。
そして、本発明の実施例では、上記図1(A)へ示す逆テーパー面7を備えた噴射ノズル3を用いた。実施例において使用した噴射ノズル3は、導入口4の口径φを0.3mm、吐出口である噴射口5の口径φを2.0mmとした。噴射ノズル3の軸方向について導入口4と噴射口5との間の全域を逆テーパー面7とした。
また、比較例として、図2へ示すノーマルノズル即ち従来の周知の噴射ノズルw3を用いたときの噴射状態を確認した。この比較例において、噴射口w5の口径即ち小径部w7の内径を0.4mmとした。
本発明の実施例即ち図1へ示す逆テーパー面7を備えた噴射ノズル3(必要に応じて逆テーパーノズルと呼ぶ。)を備えたエアゾール噴射装置1は、試験1)2)3)の全てにおいて収容物を棒状に噴射した。しかし、図2へ示す従来の噴射ノズルw3(以下必要に応じてノーマルノズルと呼ぶ。)を備えたエアゾール噴射装置w1は、試験2)3)へ示す通りジメチルエーテルを50重量%以上配合すると霧状の噴射状態となった。
また、表2、表4及び表6へ示す育毛剤処方例1〜3を作成し、当該育毛剤処方例1〜3の組成物に上記試験1)〜3)の水性原液を置き換えて育毛剤エアゾールを作成し、被験者の頭皮の血流量の測定を行った。
表3は育毛剤処方例1を使用した場合の測定結果を、表5は育毛剤処方例2を使用した場合の測定結果を、表7は育毛剤処方例3を使用した場合の測定結果を夫々示している。
表3、表5及び表7において、左欄の項目中に「テ」を付したものは上記逆テーパーノズルを用いた本発明の実施例を示し、「ノ」を付したものは上記ノーマルノズルを用いた比較例を示す。
当該測定方法は、前腕内側中央部に育毛剤エアゾールを10cm離して1秒間噴射し血流量の変化を確認するものであり、測定装置として、血流計「アドメテック レーザードップラー ALF21RD」(商品名/株式会社アドメテック/愛媛県松山市空港通1丁目8番16号)を使用した。
更にエアゾール噴射装置として上記ノーマルノズルを用い、原液99重量%と炭酸ガス1重量%をエアゾール容器に充填して同様の試験を行った比較例を表8へ示す。尚、このノーマルノズルを用い表8へ結果を示す比較例において、エアゾールは棒状に噴射されたことを確認した。
ノーマルタイプを使用したものは試験1)の条件では棒状で吐出されるがジメチルエーテルの量が少なく、また薬剤は垂れてしまうため殆ど塗布面に残らない。このため育毛剤処方例1を使用した場合において上記表3へ示す通り、比較例の何れにおいても塗布後12分を経過後の血流が1.6ml/min(ミリリットル毎分)を超えるものはなく、血行促進効果が得られていないのに対し、逆テーパーノズルを用いたものにおいては、ジメチルエーテルを20重量%とする1)−1テは1.8ml/minの血流であったものの、2)−1テ、3)−1テは夫々5.5ml/min、5.2ml/minと、5ml/minを優に超える結果を得ている。
また育毛剤処方例2を使用した場合において上記表5へ示す通り、比較例については塗布後12分経過で血流が1.6ml/min(ミリリットル毎分)以下であったのに対し、逆テーパーノズルを用いたものにおいては、ジメチルエーテルを20重量%とする1)−2テは1.7ml/minの血流であったものの、2)−2テ、3)−2テは夫々4.7ml/mim、4.2ml/minと、4ml/minを優に超える結果を得ている。
更に、育毛剤処方例3を使用した場合において上記表7へ示す通り、比較例については塗布後12分経過で血流が1.2ml/min(ミリリットル毎分)以下であったのに対し、逆テーパーノズルを用いたものにおいては、ジメチルエーテルを20重量%とする1)−3テは1.6ml/minの血流であったものの、2)−3テ、3)−3テは夫々5.0ml/min、4.2ml/minと、4ml/minを優に超える結果を得ている。
また、試験2)、試験3)の条件でジメチルエーテルの量を増やしたらノーマルノズルを用いると霧状で吐出されるため、ジメチルエーテルは塗布面に届くまでに多くが揮散され、血行促進効果が得られなかった。
逆テーパータイプを用いた場合上記の通り、試験1)の条件においては、ジメチルエーテルの量が少ないので上記ノーマルノズルを用いたものと大差ない結果である。一方試験2)及び試験3)の条件において逆テーパータイプを用いたものでは適切な気化を伴いつつ棒状に吐出されるため、ジメチルエーテルの頭皮に届く量が多く、また密着性が良く、棒状に噴射できて適切な気化を伴わないノーマルノズルで生じるような液ダレも少ないため、血行促進剤が肌に浸透し、血流量の増加が確認されたのである。
図3(A)は上記本発明の実施例における逆テーパーノズルの噴射の状態を示すスーパースロー動画の1コマであり、図3(B)は上記比較例におけるノーマルノズルの噴射の状態を示すスーパースロー動画の1コマである。図3(A)(B)において、図中右側から左側の平らな面へ向けてエアゾールが噴射されている。図3(A)と図3(B)の何れもエアゾールは棒状に噴射されていることが確認できる。しかし、図3(B)へ示すノーマルノズルにより噴射されたエアゾールは上記面に当たって跳ね返りその多くが飛散して当該面へ殆ど付着していないことが確認できるのに対して、図3(A)へ示す本発明の逆テーパーノズルにより噴射されたエアゾールは、その多くが跳ね返りなく上記面に付着して多重の波紋を呈していることが確認できる。
図4に本発明の上記逆テーパーノズルにて実際に育毛剤を噴射する被験者の頭皮を拡大して示し、図5へ上記ノーマルノズルにて実際に育毛剤を噴射する被験者の頭皮を拡大して示す。
詳しくは図4(A)及び図5(A)は何れも育毛剤の噴射前の被験者の頭皮を拡大した写真であり、棒状に見える複数の暗色の部分は被験者の頭髪である。図4(B)及び図5(B)は何れも、図4(A)及び図5(A)へ示す被験者の頭皮に対し育毛剤噴射中の状態を示す写真である。図4(C)及び図5(C)は何れも、図4(B)及び図5(B)の噴射が終了した状態の被験者の頭皮を示している。
図5(B)のノーマルノズルにて頭皮へ噴射されたエアゾールは細かな気泡が少なく流動的で液ダレが生じているのに対して、図4(B)の本発明の逆テーパーノズルにて頭皮へ噴射されてエアゾールは図5(B)の気泡よりも細かな気泡が多数頭皮に滞留していることが確認できる。
また、前述の図3(B)から頭皮へ噴射した場合ジメチルエーテルは殆ど頭皮に残らず、エアゾール噴射装置を用いずに育毛剤を頭皮に振った場合と変わらないことが確認できる一方で、図3(A)及び図4(B)からエアゾールは跳ね返らず、ジメチルエーテルはエアゾール特有の細かな泡状になって頭皮に残ることが確認できる。図3及び図4に見られる現象が、上記表3、表5及び表7の結果を裏付けていることが分かる。
(小活)
既に述べた通り、従来より、ジメチルエーテル(もしくはLPGの混合噴射剤)を20%(勢いが弱いため窒素や炭酸ガスなどの圧縮ガスが加圧する場合がある)配合したものがあるが、液量が多いため頭皮に付着しても液ダレが多く目に入るなどの不具合がある。また、液ダレを解消するためにジメチルエーテル(もしくはLPGの混合噴射剤)を50%配合したものがあるが、上記既述のように噴射剤量が多いため霧状となり薬剤が毛髪に付着して頭皮まで届かない不具合がある。
本発明は、上記不具合を特に次のa)〜d)の構成を備えることにて、解決できた。
a)血行促進剤として、ニンジンエキス、ビタミンE類、セファランチンを必須の組成とする。
b)低級アルコールを収容物100重量%中10重量%以上とする。
c)ジメチルエーテルを、上記a)b)のエアゾール原液及び当該c)を含む収容物100重量%中30重量%含む。
d)上記a)とb)とを含むエアゾール原液と上記c)を含むエアゾール組成物とを図1(A)へ示す噴射ノズル3に逆テーパー面7を備えた噴射ボタン2を用いることにてエアゾールを棒状に吐出する。
以上により、本発明は、c)の成分の頭皮への密着が高められ、a)の成分を頭皮から浸透を高めて血行促進効果が得られる育毛剤のエアゾール製品を提供できたものである。
(変更例)
図1へ示す実施の形態において、逆テーパー面7は噴射ノズル3の導入口4を気化制御空間kの始点とするものとし、逆テーパー面7は、噴射ノズル3内部通路の内側面のほぼ全域に渡って設けるものとした。この他、上記適切な気化の制御が行えるものであれば、噴射ノズル3の導入口4よりも噴射口5寄りに逆テーパー面7の始端即ち気化制御空間kの上記始点を置くものとしても実施できる。噴射口5寄りに逆テーパー面7の始端を置く場合導入口4から当該始端までの間は、噴射ノズル3の内径を一定にすることができるし、或いは導入口4から当該始端に向け内径を狭めるものとしてもよい。
また上記適切な気化の制御が行えるものであれば上記の、収容物の移動方向となる軸方向について、逆テーパー面7の終端即ち気化制御空間kの終点を噴射口3と一致させるものに限定するものではなく、当該終点は噴射口5よりも上記始点側に寄ったものとし、当該終点と噴射口5間において噴射ノズル3の内径は、一定とすることができる。また、上記適切な気化の制御が行えるものであれば、上記噴射ノズル3の軸方向即ち噴射ノズル3内での収容物の移動方向について、逆テーパー面7を噴射ノズル3内に複数設けるものとしても実施できる。逆テーパー面7を複数設ける場合、逆テーパー面7同士において夫々噴射ノズル3の軸方向に対しなす角度を異なるものとすればよい。但し、逆テーパー面7同士間に噴射ノズル3の内径を一定とする区間を介するものとすれば、上記適切な気化の制御が行える範囲において、逆テーパー面7同士は上記角度を同じものとしても或いは異なるものとしても実施することができる。
また、上記逆テーパー面7は、噴射ノズル3の軸方向に沿った断面において輪郭を略直線とし、気化規制空間を略円錐状とするものであった。この他、逆テーパー面7は、適切な気化の規制が行えるものであれば、噴射ノズル3の軸方向に沿った断面において輪郭を曲線的にするものとしても実施できる。具体的には、当該輪郭を放物線とし気化規制空間kを釣鐘状とするものとしてもよく、或いは当該輪郭を引弧線とし気化規制空間kをラッパ状にするものとしてもよい。
更に、気化制御部7は上記の逆テーパー面7に限定するものではない。例えば図示した例のように気化制御部7を、噴射口5へ向けて導入口4側から漸次即ち連続して噴射ノズル3の通路の径を小さくするものとするのではなく、上記適切な気化の制御ができる範囲において、噴射口5の口径を上記通路の導入口4側の径よりも不連続に即ち断続的に大きくするものとしてもよい。例えば噴射ノズル3の側面を透視した状態に見て、階段のように複数の段差を以て噴射口5側へ上記通路の導入口4側から段階的に径を大きくするものとして実施できる。また、気化制御部7を複数の段数を持った階段状とする他、上記適切な気化の制御ができる範囲において、気化制御部7を1つのみ段差を持つものとすることができる。例えば、上記適切な気化の制御ができればよく、図2(B)の大径部w6と小径部w7の配置を逆にして実施する、即ち導入口4側を噴射口5側よりも内径の小さな小径部w7とし小径部w7より噴射口w5側を大径部w6とすることにて、帰化制御部7を形成することができる。
また、軸方向について、気化制御部7全体として噴射口5側が導入口4側よりも通路の内径を増加する傾向を以て上記適切な気化制御をおこなえるものであれば、上記通路の局所において噴射口5側より導入口4側の径の大きな箇所があったとしても、このような形態を排除するものではない。
また更に、上記において、エアゾール製品は、被噴射物を育毛剤としたが、育毛剤以外の薬剤を被噴射物として収容し上記エアゾール噴射装置1にて噴射するものとしても実施するのを除外するものではない。
(育毛剤を被噴射物とする本発明に係るエアゾール製品の概括)
エアゾール噴射装置の噴射ノズル3は、内部に気化制御空間kを備え、噴射ノズル3は、噴射口5よりも奥側から噴射口5へかけて漸次内径を大きくする逆テーパー面7を内側面に備え、気化制御空間kは、逆テーパー面7に囲まれた空間であり、液化ガスはジメチルエーテルを含むものであり、収容物全体を100重量%として、収容物中前記ジメチルエーテルが20重量%より多く含まれるものであり、育毛剤は、ニンジンエキスとビタミンE類とセファランチンとを含むと共に収容物全体を100重量%として、前記低級アルコールを10重量%以上含むものであり、前記ニンジンエキスとビタミンE類とセファランチンと前記低級アルコールと前記ジメチルエーテルとの合計100重量%中、前記ジメチルエーテルを30重量%以上とする。
以上により、育毛剤及び液化ガスを収容物とするエアゾール容器と前記エアゾール容器内の育毛剤を前記液化ガスにて噴射するエアゾール噴射装置を備えた、エアゾール製品において、噴射により液化ガスが気化して一気に広がるのを防ぐと共に液ダレによる、育毛剤の頭皮における血行促進の低下を抑制できた。
即ち、図1(A)及び図3(A)へ示されたものと、図2(B)及び図3(B)とに示された棒状に噴射されたエアゾールは一見して同じに見えるものの、図1(A)及び図3(A)へ示す棒状に噴射されたエアゾールは、図2(B)及び図3(B)へ示す棒状に噴射されたエアゾールと異なる。図1(A)及び図3(A)へ示す棒状に噴射されたエアゾールは、図2(A)を示すように一気に気化していないものの、適切に気化されたものであり、図4(B)と図5(C)へ示す現象、及び表3、表5、表7へ示す血行促進の効果の差となって表れている。
1 エアゾール噴射装置
2 噴射ボタン
3 噴射ノズル
4 (噴射ノズル3の)導入口
5 (噴射ノズル3の)噴射口
6 (噴射ノズル3の)連絡通路
7 逆テーパー面(気化制御部)
h 噴射剤
k 気化制御空間
本発明は、エアゾール製品、その製造方法及びそのエアゾール噴射装置の使用方法に関する。
被噴射物と噴射剤とを収容物とするエアゾール噴射装置を備えたエアゾール製品として、例えば育毛剤を被噴射物とし噴射剤である液化ガスにて噴射するものがある。
この一方で、育毛剤の有効成分を物理的に浸透させる方法として気圧を利用した浸透方法(特許文献1)やイオン浸透による方法(特許文献2)が提案されている。
育毛効果を高めるには血流を良くさせることが知られており、血行促進剤を配合した育毛剤は数多く提案されている(特許文献3,4)。
とりわけエアゾールタイプの育毛剤は数多く提案されており、血行促進剤と炭酸ガスを組み合わせた方法(特許文献5)や、有効成分とジメチルエーテルの組成物で製剤安定性を向上させたものがある(特許文献6,7)。
特開2006−167215 特開2009−233109 特開2005−206536 特開2010−100661 特公昭63−47684 特許第5007800号 特許第5371235号
しかしながら特許文献1,2に示されたものは装置が大掛かりであり使用及び製品化が困難である。
また特許文献3,4に示されたものは血行促進成分を含む育毛剤組成物の提案に止まり、頭皮への塗布方法の提案はない。
更に特許文献5に示されたものは噴射剤が二酸化炭素即ち炭酸ガスのみで、細い棒状にしか吐出されず、また塗布しても上記炭酸ガスがすぐに抜けて液だけになってしまうので血行促進成分の浸透促進がなされず血行促進の効果が得られない。
特許文献6,7についても、上記の通り製剤安定性を向上させることを目的とするものであり、頭皮に育毛剤組成物を行き渡らせて血行促進を図るという観点はない。
冒頭述べた、育毛剤を被噴射物として噴射剤である液化ガスにて噴射するエアゾール製品の一般的なものとして、図2(A)へ示す通り、上記育毛剤と液化ガスを収容物として収容するエアゾール容器(図示しない。)と、前記エアゾール容器の上部に取り付けられて、エアゾール容器の弁の開閉操作を行うことができる噴射ボタンw2と、噴射ボタンw2へ設けられた噴射ノズルw3とを有するエアゾール噴射装置w1を備えたものを例示することができる。
上記一般的なエアゾール噴射装置w1の噴射ノズルw3に、吐出口即ち噴射口w5の口径を0.3mm〜1.6mmとするピンを採用すれば、製造時に当該ピンの交換で成型が可能なため、上記噴射ノズルw3として当該ピンが汎用されている。
一般的なエアゾールの噴射剤hには、低沸点でLPGに使用される、沸点42.1℃のプロパン、沸点−11.7℃のイソブタン、沸点−0.5℃のノルマルブタン、沸点−24℃のジメチルエーテルを掲げることができる。噴射剤hは、上記エアゾール容器内では圧力が掛っているため液状であるが、外気に出た直後に気化するため、噴射剤hを多く含有すると噴射剤hは図2(A)へ示す通り霧状に広がってしまう。このため被噴射物である育毛剤組成物も、噴射剤hと共に霧状に四散して頭髪に覆われた頭皮へ十分に届かないものとなっている。
この原因について、本発明の発明者は、次の点に着目した。
即ち図2(A)へ示す通り、上記噴射ノズルw3先端の噴射口w5と噴射ノズルw3基端の導入口w4との間において、噴射口w5側は導入口w4側よりも内径の小さな小径部w7となっている。更に噴射方向について、当該小径部w7である区間では噴射ノズルw3内径は一定であり、また小径部w7へ向け内径が絞られるまでの導入口w4側を大径部w6として当該大径部w6である区間でも噴射ノズルw3内径は一定である。このため、噴射剤は噴射ノズルw3内で体積を拡大することができず液状のまま噴射ノズルw3内を移動し、噴射口w5から開放され噴射ノズルw3の外部へ放出された途端一気に気化して霧状に広がるのである。
そこで第1に本発明は、エアゾール製品の噴射剤について放出後の一気に気化する現象を抑えて上記霧状に広がることを抑制できるエアゾール噴射装置を備えたものを提供して上記課題の解決を図る。
一方、上記エアゾール噴射装置を特に育毛剤の噴射に使用することに限ってみれば、噴射ノズルの工夫により単に噴射剤hの霧状の広がりを抑制して頭皮への到達を確実に行えるものとしても、噴射剤hであるジメチルエーテルの含有量を収容物の20重量%以下にすると、当該広がり抑制のために頭皮へ到達した際に気化が不十分で液ダレを生じ、育毛剤の頭皮内部への浸透が十分になされない事態を招くことを、本発明の発明者は突き止めた(図1(B))。
また、この液ダレは、図2(A)へ示すエアゾール噴射装置w1についても、噴射剤hであるジメチルエーテルの含有量を収容物の20重量%以下にすると、図2(B)へ示す通り気化が十分に行えず発生する。
上記液ダレについて詳しく述べると、図2に示す一般的な育毛剤を噴射するエアゾール製品には、被噴射物である育毛剤について上記霧状に広がることを抑え、頭皮まで育毛剤の薬剤を届かせるために、例えばエアゾール容器の収容物自体について、上記の通り当該収容物全体100重量%中ジメチルエーテルを20重量%に抑えたものがある。
しかし、噴射後気化する量に比して液量が多くなるため、頭皮に付着しても液ダレが多く、育毛剤が目に入るなどの不具合が生じるのである。また、液ダレを解消するために収容物100重量%中、例えばジメチルエーテルを50重量%とする噴射剤量の多いものもあるが、上記図2(A)へ示す通り、霧状となり薬剤が毛髪に付着して頭皮まで届かない不具合がある。従って、育毛に供する血行促進成分が十分に頭皮に行き渡らないのである。
そこで第2に本発明は、上記噴射剤による育毛剤の霧状の広がりの抑制と育毛剤の上記液ダレ防止を両立したエアゾール製品を提供して上記課題の解決を図る。
本発明は、エアゾール噴射装置と収容物とを備え、前記エアゾール噴射装置がエアゾール容器と、前記エアゾール容器内の前記収容物を噴射する噴射ノズルとを備えるエアゾール製品について次の構成を採るものを提供する。
即ち、前記収容物は、被噴射物と噴射剤とを含み、前記エアゾール容器内に収容されたものであり、前記被噴射物は、血行促進効果が得られる育毛剤を含有するものであり、前記噴射剤は、ジメチルエーテルを含む液化ガスであり、前記ジメチルエーテルは、前記収容物100重量%中の50重量%以上であり、前記噴射ノズルは、内側面へ気化制御部を備え、前記気化制御部は、前記噴射ノズルの噴射口よりも奥側から前記噴射口へ向けて漸次内径を大きくする逆テーパー面であり、前記噴射ノズルの軸方向について前記逆テーパー面の、前記噴射口側の端部を前記逆テーパー面の終端とし前記奥側の端部を前記逆テーパー面の始端として、前記始端における逆テーパー面の内径は、0.1mm以上0.7mm以下であり、前記終端における逆テーパー面の内径は、前記始端における逆テーパー面の内径の1.2〜10倍であり、前記始端と前記終端との間の間隔は、3mm以上40mm未満であり、前記被噴射物が棒状に噴射されるように構成されたものである。
また、本発明では、前記育毛剤は、ニコチン酸誘導体、ビタミンE類、センブリエキス、ニンジンエキス、アセチルコリン、イチョウエキス、γ-オリザノール、トウヒエキス、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、セファランチン、塩酸ジフェンヒドラミンとからなる群から選択された少なくとも1種を含むエアゾール製品を提供できた。
更に、本発明では、前記被噴射物は、前記育毛剤として、ニンジンエキスとビタミンE類とセファランチンの少なくとも何れか1つを含むと共に前記収容物100重量%中10重量%以上の低級アルコールを含むエアゾール製品を提供できた。
また更に本発明では、前記終端における逆テーパー面の内径は、前記始端における逆テーパー面の内径の3倍以上5倍以下であるエアゾール製品を提供できた。
更にまた本発明では、エアゾール噴射装置と収容物とを備え、前記エアゾール噴射装置がエアゾール容器と、前記エアゾール容器内の前記収容物を噴射する噴射ノズルとを備えるエアゾール製品の製造方法について、次の構成を採るものを提供できた。
即ち、前記収容物として被噴射物と噴射剤とを前記エアゾール容器内に収容する工程を含み、前記被噴射物は、血行促進剤を含む育毛剤を含有するものであり、前記噴射剤は、ジメチルエーテルを含む液化ガスであり、前記ジメチルエーテルは、前記収容物100重量%中の50重量%以上であり、前記噴射ノズルには、内側面へ気化制御部を備えたものを採用し、前記気化制御部は、前記噴射ノズルにおける噴射口よりも奥側から前記噴射口へ向けて漸次内径を大きくする逆テーパー面であり、前記噴射ノズルの軸方向について前記逆テーパー面の、前記噴射口側の端部を前記逆テーパー面の終端とし前記奥側の端部を前記逆テーパー面の始端として、前記始端における逆テーパー面の内径を、0.1mm以上0.7mm以下に設定し、前記終端における逆テーパー面の内径を、前記始端における逆テーパー面の内径の1.2〜10倍に設定し、前記始端と前記終端との間の間隔を、3mm以上40mm未満に設定し、前記被噴射物を棒状に噴射するエアゾール製品を得る。
また更に本発明では、噴射剤及び被噴射物を収容物とするエアゾール容器と、前記エアゾール容器内の前記収容物を噴射する噴射ノズルとを有するエアゾール噴射装置の使用方法について、次の構成を採るものを提供できた。
即ち、このエアゾール噴射装置の使用方法は、前記噴射ノズルには、内側面へ気化制御部を備えたものを採用し、前記気化制御部は、前記噴射ノズルにおける噴射口よりも奥側から前記噴射口へ向けて漸次内径を大きくする逆テーパー面であり、
前記噴射ノズルの軸方向について前記逆テーパー面の、前記噴射口側の端部を前記逆テーパー面の終端とし前記奥側の端部を前記逆テーパー面の始端として、
前記始端における逆テーパー面の内径を、0.1mm以上0.7mm以下に設定し、前記終端における逆テーパー面の内径を、前記始端における逆テーパー面の内径の1.2〜10倍に設定し、前記始端と前記終端との間の間隔を、3mm以上40mm未満に設定し、前記被噴射物として血行促進効果が得られる育毛剤を含むものと、前記噴射剤としてジメチルエーテルを含むものとを前記収容物として、前記エアゾール容器に充填し、前記収容物100重量%中50重量%以上の前記ジメチルエーテルを充填し、前記噴射ノズルから前記被噴射物を棒状に噴射する。
本発明は、噴射ノズルの内側面に気化制御部を備えることにより、噴射ノズルから噴射された液化ガスの急激な気化を抑制できたものである。
特に本発明は、上記気化制御部について、噴射ノズルの内側形状を上記逆テーパー面とすることによって形成し、噴射ノズルの通路内にて液化ガスを徐々に気化させることができる。
特に気化制御部を逆テーパー面とし、逆テーパー面に囲まれた空間について、噴射ノズルの奥側即ち噴射ノズルの導入口側から噴射口側へ向けて径を漸次大きくすることにて、当該空間を気化制御空間として、噴射口を通過するまで噴射剤の急激な気化を抑えつつ気化させることを可能としたのである。
言い換えると上記気化制御空間を噴射の助走区間として、気化により噴射剤の広がる範囲を噴射口に向けて徐々に広がる気化制御空間により予め規制しておくことにより、噴射剤が噴射口から外部へ放出された後も噴射剤の急激な気化にて被噴射物が一気に広がるのを抑制することができる。
従って、本発明を育毛剤の頭皮への塗布に利用することで、頭皮まで噴射剤と薬剤を勢いよく届かせることが可能となった。
また、本発明は、上記の急激な気化を抑制する制御の上で、薬剤中に血行促進成分を含有するものとし、ジメチルエーテルの配合量をエアゾール容器の収容物100重量%中50重量%以上とし、育毛剤の、頭皮への付着に必要な気化を伴った棒状の噴射を可能とし、頭皮での液ダレを抑えることで、頭皮への浸透性を高めて血流量を増加させたことを確認できた。
上記の通り、本発明は、噴射にてエアゾール容器から出た前記育毛剤と液化ガスの急激な広がりを抑制しつつ、有効成分の頭皮への浸透性を向上させる育毛剤組成物を採用して、特に血行促進効果を向上させ育毛効果を高めることができたものである。
特に、従来のエアゾール製品として、ジメチルエーテル或いはLPGの混合噴射剤を20%配合したものや、更に噴射の勢いの弱さをカバーするために窒素や炭酸ガスなどの圧縮ガスで加圧するものがあるが、何れも液量が多いため、前述の通り頭皮に付着しても液ダレが多く、当該液が目に入るなどの不具合があった。また、上記液ダレを解消するためにジメチルエーテル或いはLPGの混合噴射剤を50%配合したものがあるが、上述の通り噴射剤量が多いため霧状となり薬剤が毛髪に付着して頭皮まで届かないという不具合があった。本発明は上記の相反する問題を一挙に解決することができた。
(A)は本発明に係るエアゾール製品において適切な噴射を行う状態を示すエアゾール噴射装置の要部断面図、(B)は(A)に示すエアゾール噴射装置を用いて育毛剤を噴射する場合においてジメチルエーテルを収容物100重量%中20重量%以下として噴射した状態を示すエアゾール噴射装置の要部断面図。 (A)は従来のエアゾール製品において噴射を行う状態を示すエアゾール噴射装置の要部断面図、(B)は(A)に示すエアゾール噴射装置を用いて育毛剤を噴射する場合においてジメチルエーテルを収容物100重量%中20重量%以下として噴射した状態を示すエアゾール噴射装置の要部断面図。 (A)は本発明のエアゾール噴射装置を用いて、上下に伸びる平らな面へ育毛剤を噴射した画像を示す説明図、(B)は従来のエアゾール噴射装置を用いて、上下に伸びる平らな面へ育毛剤を噴射した画像を示す説明図。 (A)は本発明のエアゾール噴射装置により実際に育毛剤を噴射する前の頭皮の拡大画像を示す説明図、(B)は本発明のエアゾール噴射装置により実際に育毛剤噴射中の頭皮の拡大画像を示す説明図、(C)は(B)の噴射が終了した頭皮の拡大画像を示す説明図。 (A)は従来のエアゾール噴射装置により実際に育毛剤を噴射する前の頭皮の拡大画像を示す説明図、(B)は従来のエアゾール噴射装置により実際に育毛剤噴射中の頭皮の拡大画像を示す説明図、(C)は(B)の噴射が終了した頭皮の拡大画像を示す説明図。
図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
(基本構成)
図1(A)へ示す通り、本発明に係るエアゾール製品は、エアゾール噴射装置1と、収容物(図示しない。)とを備える。
エアゾール噴射装置1は、前記収容物を収容するエアゾール容器(図示しない。)と、前記エアゾール容器へ取り付けられる噴射ボタン2と、噴射ボタン2へ設けられた噴射ノズル3とを備える。
先ずエアゾール噴射装置1の各部の構成について順に説明する。
(エアゾール容器)
エアゾール容器は、開閉弁と作動部を備える、周知のスプレー缶である(図示しない)。前記作動部が前記開閉弁を作動させる。上記の開閉弁は、逆止弁であり、前記作動部を作動させない限り閉弁してエアゾール容器内を閉鎖している。図示は省略するが、この例では、前記作動部は、エアゾール容器の上部から上方へ突出する筒状のテスムである。当該ステムを前記エアゾール容器へ向けて押し込むことにより、前記開閉弁が開弁し、中空の前記ステム内を通じて収容物を前記エアゾール容器の外へ導くことができる。
但し前記ステムは、前記エアゾール容器に対する出没動作にて前記開閉弁の開閉を行うものに限定するものではなく、例えば、エアゾール容器に対するステムの向きを変えることによって上記開閉弁の開閉を行うものを、前記ステムに採用することができる。
この例では、上記の通り、前記ステムは上下動にてエアゾール容器から出没することにより前記開閉弁の開閉を行う。
(噴射ボタン2)
噴射ボタン2は、作動部である前記ステムの先端に取り付けられる。噴射ボタン2を指先にて下方へ押し込むことにより、ステムを上述の通り前記エアゾール容器へ向けて押し込むことができる。
噴射ボタン2は、内部に連絡通路6を備える。噴射ボタン2が前記ステムの先端と接続されることにより、連絡通路6の一端が筒状の当該ステムの内部と連絡し、連絡通路6の他の一端が上記噴射ノズル3の基端側の導入口4と連絡する。
噴射ボタン2の操作即ち噴射ボタン2を押し下げ上記ステムを下方へ作動させることにより上記開閉弁を開弁する。当該開弁にて上記収容物がステムを通じて連絡通路6へ導かれ、上記収容物が連絡通路6から噴射ノズル3内へ送られる。
(噴射ノズル3)
噴射ノズル3は、中空で、内部に通路を備える。当該通路の伸びる方向を、噴射ノズル3の軸方向とする。
噴射ノズル3は、内側面へ気化制御部7を備える。気化制御部7は、この例では噴射ノズル3の上記通路の内側面に形成された逆テーパー面(以下必要に応じて逆テーパー面7と呼ぶ。)である。
逆テーパー面7は、噴射口5よりも奥側から噴射口5へ向けて漸次噴射ノズル3の内径を大きくする面である。逆テーパー面7は、先細りとなる凸状の、言い換えると錐台状のテーパー面(仮想面)と合致する、凹状の面即ちすり鉢状の面である。
特にこの例では、上記軸方向について噴射ノズル3の上記内側面のほぼ全域が逆テーバー面7をなしている。即ち、噴射ノズル1の軸方向について、噴射ノズル3の導入口4が逆テーパー面7の始端であり、噴射口5が逆テーパー面7の終端である。
噴射ノズル3は、前記逆テーパー面7に囲まれた空間を気化制御空間kとするものである。上記逆テーパー面7の始端が気化制御空間kの始点であり、上記逆テーパー面7の終端が気化制御空間kの終点である。
この例では、逆テーバー面7は、図1(A)へ示す通り噴射ノズル3の軸方向に沿った断面において、輪郭を略直線とする。
逆テーパー面7は、気化制御空間kとして前記噴射剤の気化する空間を前記噴射口5へ向け徐々に広げることで、噴射により収容物がエアゾール容器外へ吐出されても前記噴射剤を一気に気化させずに徐々に気化させることを可能としたのである。
この例では、気化制御空間kの終点即ち逆テーパー面7の終端となる噴射口5の径は、気化制御空間kの始点即ち逆テーパー面7の始端となる導入口4の径の1.2倍以上10倍未満であり、噴射口5と導入口4の間の間隔を3mm以上40mm未満とする。
後の収容物の説明で詳しく述べる通り、液化ガスをジメチルエーテルとし、収容物全体100重量%中当該ジメチルエーテルが20重量%を超えるものとした場合において、逆テーパー面7の終端である噴射口5の径を、逆テーパー面7の始端である導入口4の径の1.2倍よりも小さいものとした場合と10倍以上とした場合のいずれの場合も気化制御空間kによる気化制御の効果即ち逆テーパーの効果(図1(A))は得られない。
また、噴射口5の径が導入口4の径の1.2倍以上10倍未満の範囲にあっても、噴射口5と導入口4の間の間隔即ち噴射ノズル3の軸方向におけるテーパー面7の始端と終端間の間隔を3mm未満とすると、噴射ノズル3内での収容物の移動方向について気化制御空間kの長さが短く逆テーパーの効果が得られない。逆に噴射口5の径が導入口4の径の1.2倍以上10倍未満の範囲にあっても、噴射口5と導入口4の間の間隔を40mm以上とすると、噴射ノズル3において気化制御空間kに規制される助走区間が長すぎ、噴射ノズル3内の上記通路を通っている間に大気との間の抵抗により勢いが落ちて逆テーパーの効果(図1(A))が得られない。
また気化制御空間kの始点の径即ち導入口4の口径は、0.1mm以上0.7mm以下とする。噴射口5と導入口4との上記寸法比率及び配置関係の範囲を満たし更に後述する液化ガスの含有比率が好ましい範囲にあっても、導入口4の口径が0.1mmよりも小さいと収容物を十分な量噴射することができず、導入口4の口径が0.7mmよりも大きいと噴射に必要な圧力を掛けて収容物を噴射することができない。
但し、噴射口5と導入口4との上記寸法及び配置関係が上記範囲を逸脱するものであっても、内容物の調整により噴射による適切な気化が行えるのであれば、上記範囲を逸脱したものを除外するものではない。
噴射口5と導入口4の間の間隔については、特に10mm以上20mm以下とするのが好ましい。また、噴射口5の径を特に導入口4の径の3倍以上5倍以下とするのが好ましい。導入口4の径については特に0.3mm以上0.7mm以下とするのが好ましい。その中でも上記導入口4に対する噴射口5の上記倍率に従うことを前提に、噴射口5の径が0.5mm以上3.0mm以下とりわけ噴射口5の径が1mm以上2mm以下の範囲に収まるように導入口4の径を定めるのが好ましい。
(収容物)
次に上記エアゾール容器へ収容される収容物について説明する。
収容物は、被噴射物と前記被噴射物を噴射する噴射剤とを有する。被噴射物は、噴射の目的とする有効成分を含有する。一方、噴射剤は、大気中に放出されることより膨張して被噴射物を吹き飛ばす周知のものである。具体的には、噴射剤には、エアゾール容器から解放されると一気に気化する液化ガスを採用することができる。
以下、上記被噴射物の有効成分を育毛剤とする場合について、説明する。
このエアゾール製品は、噴射剤としての上記液化ガスとしてはジエチルエーテルを主成分とし、前記収容物全体を100重量%として、前記収容物中上記ジメチルエーテルを20重量%より多く含む。
上記育毛剤は、血行促進剤を含むと共に低級アルコールを含む。
上記血行促進剤は、ニンジンエキスとビタミンE類とセファランチンを含むものが好ましい。
特に上記収容物は、当該収容物全体を100重量%として、上記低級アルコールを10重量%以上含むものとするのが好ましい。
また、上記血行促進剤と上記低級アルコールを含むエアゾール原液(即ち、被噴射物、以下同じ)に対して、上記ジメチルエーテルを30重量%以上とするのが好ましい。
より具体的には、次の(A)と(B)を含むエアゾール原液と次の(C)を含む収容物について、上述の図1(A)へ示す噴射ノズル3内に逆テーパー面7を備えた噴射ボタン2を用いることで、当該(A)〜(C)を含む収容物を頭皮への付着に必要な気化を伴った棒状に吐出できる。その結果当該(C)の成分の頭皮に対する密着が高められる。このようにして、当該(A)の成分を頭皮から浸透を高めて血行促進効果が得られる育毛剤を含む収容物を採用することができる。
(A)血行促進剤として、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸dl-α-トコフェロール等のニコチン酸誘導体、dl-α-トコフェロール、d-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、酢酸d-α-トコフェロールなどのビタミンE類、センブリエキス、ニンジンエキス、アセチルコリン、イチョウエキス、γ-オリザノール、トウヒエキス、トウガラシチンキ、ショウキョウチンキ、セファランチン、塩酸ジフェンヒドラミンが例示できる。これらは1種または2種以上併用することが可能である。これらのうち、ビタミンE類、ニンジンエキス、センブリエキス、セファランチンが特に好ましく、血行促進剤として少なくとも、ビタミンE類、ニンジンエキス、センブリエキス、セファランチンの全てが含まれるのが最も好ましい。血行促進剤の含有量は十分な育毛効果を得られる観点からエアゾール原液中の0.0001〜10重量%が好ましく、更に0.001〜5重量%が好ましい。
(B)低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノールを例示できる。即ち、炭素数1〜3の一価の低級アルコールが必須であり、特にエタノールが特に好ましい。低級アルコールの含有量は5重量%以上が好ましく、更に10重量%以上が好ましい。5%未満であると塗布後の乾燥性が悪く、また次の(C)のジメチルエーテルとエアゾール原液の相溶性が悪くなる(ジメチルエーテルを50重量%以上充填すると分離してしまう)。
(C)ジメチルエーテルは、エアゾール噴射剤で水にも低級アルコールにも溶解するため必須の噴射剤である。尚、LPGは水に溶解しないため必須ではない。ただし、LPG、HF0−1234ze、HCF−152aなどの液化ガス、窒素、圧縮空気、二酸化炭素などの圧縮ガスを本願発明の目的を逸脱しない範囲において併用しても良い。
前述の通り噴射ノズル3の内側面に逆テーパー面7を設けて、噴射ノズル3内の内部通路にて液化ガスを徐々に揮散させることで液化ガスの広がりが調整され、噴射口5を通過しても噴射剤である当該液化ガスの急激な気化を抑えつつ適度な気化を伴うものとし、頭皮まで噴射剤と薬剤を勢いよく届かせることが可能となった。
また、薬剤を育毛剤とする場合、薬剤中に血行促進成分を含有するものとした上でジメチルエーテルの配合量を多くすると皮膚への浸透性を高められ血流量の増加が確認できた。
実施例及び比較例について説明する。
エアゾール原液として、精製水80重量%、エタノール20重量%の水性原液を調整し、表1へ試験1)、試験2)、試験3)として示す夫々の割合でエアゾール容器へジメチルエーテルと共に充填した。
そして、本発明の実施例では、上記図1(A)へ示す逆テーパー面7を備えた噴射ノズル3を用いた。実施例において使用した噴射ノズル3は、導入口4の口径φを0.3mm、吐出口である噴射口5の口径φを2.0mmとした。噴射ノズル3の軸方向について導入口4と噴射口5との間の全域を逆テーパー面7とした。
また、比較例として、図2へ示すノーマルノズル即ち従来の周知の噴射ノズルw3を用いたときの噴射状態を確認した。この比較例において、噴射口w5の口径即ち小径部w7の内径を0.4mmとした。
本発明の実施例即ち図1へ示す逆テーパー面7を備えた噴射ノズル3(必要に応じて逆テーパーノズルと呼ぶ。)を備えたエアゾール噴射装置1は、試験1)2)3)の全てにおいて収容物を棒状に噴射した。しかし、図2へ示す従来の噴射ノズルw3(以下必要に応じてノーマルノズルと呼ぶ。)を備えたエアゾール噴射装置w1は、試験2)3)へ示す通りジメチルエーテルを50重量%以上配合すると霧状の噴射状態となった。
また、表2、表4及び表6へ示す育毛剤処方例1〜3を作成し、当該育毛剤処方例1〜3の組成物に上記試験1)〜3)の水性原液を置き換えて育毛剤エアゾールを作成し、被験者の頭皮の血流量の測定を行った。
表3は育毛剤処方例1を使用した場合の測定結果を、表5は育毛剤処方例2を使用した場合の測定結果を、表7は育毛剤処方例3を使用した場合の測定結果を夫々示している。
表3、表5及び表7において、左欄の項目中に「テ」を付したものは上記逆テーパーノズルを用いた本発明の実施例を示し、「ノ」を付したものは上記ノーマルノズルを用いた比較例を示す。
当該測定方法は、前腕内側中央部に育毛剤エアゾールを10cm離して1秒間噴射し血流量の変化を確認するものであり、測定装置として、血流計「アドメテック レーザードップラー ALF21RD」(商品名/株式会社アドメテック/愛媛県松山市空港通1丁目8番16号)を使用した。
更にエアゾール噴射装置として上記ノーマルノズルを用い、原液99重量%と炭酸ガス1重量%をエアゾール容器に充填して同様の試験を行った比較例を表8へ示す。尚、このノーマルノズルを用い表8へ結果を示す比較例において、エアゾールは棒状に噴射されたことを確認した。
ノーマルタイプを使用したものは試験1)の条件では棒状で吐出されるがジメチルエーテルの量が少なく、また薬剤は垂れてしまうため殆ど塗布面に残らない。このため育毛剤処方例1を使用した場合において上記表3へ示す通り、比較例の何れにおいても塗布後12分を経過後の血流が1.6ml/min(ミリリットル毎分)を超えるものはなく、血行促進効果が得られていないのに対し、逆テーパーノズルを用いたものにおいては、ジメチルエーテルを20重量%とする1)−1テは1.8ml/minの血流であったものの、2)−1テ、3)−1テは夫々5.5ml/min、5.2ml/minと、5ml/minを優に超える結果を得ている。
また育毛剤処方例2を使用した場合において上記表5へ示す通り、比較例については塗布後12分経過で血流が1.6ml/min(ミリリットル毎分)以下であったのに対し、逆テーパーノズルを用いたものにおいては、ジメチルエーテルを20重量%とする1)−2テは1.7ml/minの血流であったものの、2)−2テ、3)−2テは夫々4.7ml/min、4.2ml/minと、4ml/minを優に超える結果を得ている。
更に、育毛剤処方例3を使用した場合において上記表7へ示す通り、比較例については塗布後12分経過で血流が1.2ml/min(ミリリットル毎分)以下であったのに対し、逆テーパーノズルを用いたものにおいては、ジメチルエーテルを20重量%とする1)−3テは1.6ml/minの血流であったものの、2)−3テ、3)−3テは夫々5.0ml/min、4.2ml/minと、4ml/minを優に超える結果を得ている。
また、試験2)、試験3)の条件でジメチルエーテルの量を増やしたらノーマルノズルを用いると霧状で吐出されるため、ジメチルエーテルは塗布面に届くまでに多くが揮散され、血行促進効果が得られなかった。
逆テーパータイプを用いた場合上記の通り、試験1)の条件においては、ジメチルエーテルの量が少ないので上記ノーマルノズルを用いたものと大差ない結果である。一方試験2)及び試験3)の条件において逆テーパータイプを用いたものでは適切な気化を伴いつつ棒状に吐出されるため、ジメチルエーテルの頭皮に届く量が多く、また密着性が良く、棒状に噴射できて適切な気化を伴わないノーマルノズルで生じるような液ダレも少ないため、血行促進剤が肌に浸透し、血流量の増加が確認されたのである。
図3(A)は上記本発明の実施例における逆テーパーノズルの噴射の状態を示すスーパースロー動画の1コマであり、図3(B)は上記比較例におけるノーマルノズルの噴射の状態を示すスーパースロー動画の1コマである。図3(A)(B)において、図中右側から左側の平らな面へ向けてエアゾールが噴射されている。図3(A)と図3(B)の何れもエアゾールは棒状に噴射されていることが確認できる。しかし、図3(B)へ示すノーマルノズルにより噴射されたエアゾールは上記面に当たって跳ね返りその多くが飛散して当該面へ殆ど付着していないことが確認できるのに対して、図3(A)へ示す本発明の逆テーパーノズルにより噴射されたエアゾールは、その多くが跳ね返りなく上記面に付着して多重の波紋を呈していることが確認できる。
図4に本発明の上記逆テーパーノズルにて実際に育毛剤を噴射する被験者の頭皮を拡大して示し、図5へ上記ノーマルノズルにて実際に育毛剤を噴射する被験者の頭皮を拡大して示す。
詳しくは図4(A)及び図5(A)は何れも育毛剤の噴射前の被験者の頭皮を拡大した写真であり、棒状に見える複数の暗色の部分は被験者の頭髪である。図4(B)及び図5(B)は何れも、図4(A)及び図5(A)へ示す被験者の頭皮に対し育毛剤噴射中の状態を示す写真である。図4(C)及び図5(C)は何れも、図4(B)及び図5(B)の噴射が終了した状態の被験者の頭皮を示している。
図5(B)のノーマルノズルにて頭皮へ噴射されたエアゾールは細かな気泡が少なく流動的で液ダレが生じているのに対して、図4(B)の本発明の逆テーパーノズルにて頭皮へ噴射されてエアゾールは図5(B)の気泡よりも細かな気泡が多数頭皮に滞留していることが確認できる。
また、前述の図3(B)から頭皮へ噴射した場合ジメチルエーテルは殆ど頭皮に残らず、エアゾール噴射装置を用いずに育毛剤を頭皮に振った場合と変わらないことが確認できる一方で、図3(A)及び図4(B)からエアゾールは跳ね返らず、ジメチルエーテルはエアゾール特有の細かな泡状になって頭皮に残ることが確認できる。図3及び図4に見られる現象が、上記表3、表5及び表7の結果を裏付けていることが分かる。
(小活)
既に述べた通り、従来より、ジメチルエーテル(もしくはLPGの混合噴射剤)を20%(勢いが弱いため窒素や炭酸ガスなどの圧縮ガスが加圧する場合がある)配合したものがあるが、液量が多いため頭皮に付着しても液ダレが多く目に入るなどの不具合がある。また、液ダレを解消するためにジメチルエーテル(もしくはLPGの混合噴射剤)を50%配合したものがあるが、上述のように噴射剤量が多いため霧状となり薬剤が毛髪に付着して頭皮まで届かない不具合がある。
本発明は、上記不具合を特に次のa)〜d)の構成を備えることにて、解決できた。
a)血行促進剤として、ニンジンエキス、ビタミンE類、セファランチンを必須の組成とする。
b)低級アルコールを収容物100重量%中10重量%以上とする。
c)ジメチルエーテルを、上記a)b)のエアゾール原液及び当該c)を含む収容物100重量%中30重量%含む。
d)上記a)及びb)を含むエアゾール原液と上記c)とを含む収容物とを図1(A)へ示す噴射ノズル3に逆テーパー面7を備えた噴射ボタン2を用いることにてエアゾールを棒状に吐出する。
以上により、本発明は、c)の成分の頭皮への密着が高められ、a)の成分を頭皮から浸透を高めて血行促進効果が得られる育毛剤のエアゾール製品を提供できたものである。
(変更例)
図1へ示す実施の形態において、逆テーパー面7は噴射ノズル3の導入口4を気化制御空間kの始点とするものとし、逆テーパー面7は、噴射ノズル3内部通路の内側面のほぼ全域に渡って設けるものとした。この他、上記適切な気化の制御が行えるものであれば、噴射ノズル3の導入口4よりも噴射口5寄りに逆テーパー面7の始端即ち気化制御空間kの上記始点を置くものとしても実施できる。噴射口5寄りに逆テーパー面7の始端を置く場合導入口4から当該始端までの間は、噴射ノズル3の内径を一定にすることができるし、或いは導入口4から当該始端に向け内径を狭めるものとしてもよい。
また上記適切な気化の制御が行えるものであれば上記の、収容物の移動方向となる軸方向について、逆テーパー面7の終端即ち気化制御空間kの終点を噴射口3と一致させるものに限定するものではなく、当該終点は噴射口5よりも上記始点側に寄ったものとし、当該終点と噴射口5間において噴射ノズル3の内径は、一定とすることができる。また、上記適切な気化の制御が行えるものであれば、上記噴射ノズル3の軸方向即ち噴射ノズル3内での収容物の移動方向について、逆テーパー面7を噴射ノズル3内に複数設けるものとしても実施できる。逆テーパー面7を複数設ける場合、逆テーパー面7同士において夫々噴射ノズル3の軸方向に対しなす角度を異なるものとすればよい。但し、逆テーパー面7同士間に噴射ノズル3の内径を一定とする区間を介するものとすれば、上記適切な気化の制御が行える範囲において、逆テーパー面7同士は上記角度を同じものとしても或いは異なるものとしても実施することができる。
また、上記逆テーパー面7は、噴射ノズル3の軸方向に沿った断面において輪郭を略直線とし、気化規制空間を略円錐状とするものであった。この他、逆テーパー面7は、適切な気化の規制が行えるものであれば、噴射ノズル3の軸方向に沿った断面において輪郭を曲線的にするものとしても実施できる。具体的には、当該輪郭を放物線とし気化規制空間kを釣鐘状とするものとしてもよく、或いは当該輪郭を引弧線とし気化規制空間kをラッパ状にするものとしてもよい。
更に、気化制御部7は上記の逆テーパー面7に限定するものではない。例えば図示した例のように気化制御部7を、噴射口5へ向けて導入口4側から漸次即ち連続して噴射ノズル3の通路の径を小さくするものとするのではなく、上記適切な気化の制御ができる範囲において、噴射口5の口径を上記通路の導入口4側の径よりも不連続に即ち断続的に大きくするものとしてもよい。例えば噴射ノズル3の側面を透視した状態に見て、階段のように複数の段差を以て噴射口5側へ上記通路の導入口4側から段階的に径を大きくするものとして実施できる。また、気化制御部7を複数の段数を持った階段状とする他、上記適切な気化の制御ができる範囲において、気化制御部7を1つのみ段差を持つものとすることができる。例えば、上記適切な気化の制御ができればよく、図2(B)の大径部w6と小径部w7の配置を逆にして実施する、即ち導入口4側を噴射口5側よりも内径の小さな小径部w7とし小径部w7より噴射口w5側を大径部w6とすることにて、気化制御部7を形成することができる。
また、軸方向について、気化制御部7全体として噴射口5側が導入口4側よりも通路の内径を増加する傾向を以て上記適切な気化制御をおこなえるものであれば、上記通路の局所において噴射口5側より導入口4側の径の大きな箇所があったとしても、このような形態を排除するものではない。
また更に、上記において、エアゾール製品は、被噴射物を育毛剤としたが、育毛剤以外の薬剤を被噴射物として収容し上記エアゾール噴射装置1にて噴射するものとしても実施するのを除外するものではない。
(育毛剤を被噴射物とする本発明に係るエアゾール製品の概括)
エアゾール噴射装置の噴射ノズル3は、内部に気化制御空間kを備え、噴射ノズル3は、噴射口5よりも奥側から噴射口5へかけて漸次内径を大きくする逆テーパー面7を内側面に備え、気化制御空間kは、逆テーパー面7に囲まれた空間であり、液化ガスはジメチルエーテルを含むものであり、収容物全体を100重量%として、収容物中前記ジメチルエーテルが20重量%より多く含まれるものであり、育毛剤は、ニンジンエキスとビタミンE類とセファランチンとを含むと共に収容物全体を100重量%として、前記低級アルコールを10重量%以上含むものであり、前記ニンジンエキスとビタミンE類とセファランチンと前記低級アルコールと前記ジメチルエーテルとの合計100重量%中、前記ジメチルエーテルを30重量%以上とする。
以上により、育毛剤及び液化ガスを収容物とするエアゾール容器と前記エアゾール容器内の育毛剤を前記液化ガスにて噴射するエアゾール噴射装置を備えた、エアゾール製品において、噴射により液化ガスが気化して一気に広がるのを防ぐと共に液ダレによる、育毛剤の頭皮における血行促進の低下を抑制できた。
即ち、図1(A)及び図3(A)へ示されたものと、図2(B)及び図3(B)とに示された棒状に噴射されたエアゾールは一見して同じに見えるものの、図1(A)及び図3(A)へ示す棒状に噴射されたエアゾールは、図2(B)及び図3(B)へ示す棒状に噴射されたエアゾールと異なる。図1(A)及び図3(A)へ示す棒状に噴射されたエアゾールは、図2(A)を示すように一気に気化していないものの、適切に気化されたものであり、図4(B)と図5(C)へ示す現象、及び表3、表5、表7へ示す血行促進の効果の差となって表れている。
1 エアゾール噴射装置
2 噴射ボタン
3 噴射ノズル
4 (噴射ノズル3の)導入口
5 (噴射ノズル3の)噴射口
6 (噴射ノズル3の)連絡通路
7 逆テーパー面(気化制御部)
h 噴射剤
k 気化制御空間

Claims (6)

  1. エアゾール噴射装置と噴射剤と被噴射物とを備え、前記エアゾール噴射装置が、前記噴射剤及び被噴射物を収容物とするエアゾール容器と、エアゾール容器内の前記収容物を噴射する噴射ノズルとを備えるエアゾール製品において、
    前記噴射剤は、液化ガスであり、
    前記噴射ノズルは、内側面へ気化制御部を備え、
    前記気化制御部は、前記噴射ノズルにおける噴射口よりも奥側の内径と比べて、噴射ノズルの前記噴射口側の内径を大きくしたことを特徴とするエアゾール製品。
  2. 前記気化制御部は、前記噴射ノズルの噴射口よりも奥側から前記噴射口へ向けて漸次内径を大きくする逆テーパー面であることを特徴とする請求項1記載のエアゾール製品。
  3. 前記被噴射物は液状の育毛剤を含み、前記噴射剤はジメチルエーテルを含むものであり、
    前記収容物100重量%中、前記ジメチルエーテルは20重量%を超えるものとし、
    前記噴射ノズルの軸方向について前記逆テーパー面の、前記噴射口側の端部を前記逆テーパー面の終端とし前記奥側の端部を前記逆テーパー面の始端として、
    前記始端における逆テーパー面の内径は、0.1mm以上0.7mm以下であり、
    前記終端における逆テーパー面の内径は、前記始端における逆テーパー面の内径の1.2〜10倍であり、前記始端と前記終端との間の間隔を3mm以上40mm未満とする請求項2記載のエアゾール製品。
  4. 前記被噴射物は、前記育毛剤としてニンジンエキスとビタミンE類とセファランチンとを含むと共に前記収容物100重量%中低級アルコールを10重量%以上含むものであり、
    前記ニンジンエキスとビタミンE類とセファランチンと前記低級アルコールと前記ジメチルエーテルとの合計100重量%の原液中、前記ジメチルエーテルを30重量%以上とするものである請求項3記載のエアゾール製品。
  5. エアゾール噴射装置と噴射剤と被噴射物とを備え、前記エアゾール噴射装置が、前記噴射剤及び被噴射物を収容物とするエアゾール容器と、エアゾール容器内の前記収容物を噴射する噴射ノズルとを備えるエアゾール製品の製造方法において、
    前記噴射剤として液化ガスを前記エアゾール容器へ充填し、
    前記噴射ノズルには、内側面へ気化制御部を備えたものを採用し、
    前記気化制御部は、前記噴射ノズルにおける噴射口よりも奥側の内径と比べて、噴射ノズルの前記噴射口側の内径を大きくしたものであるエアゾール製品の製造方法。
  6. 噴射剤及び被噴射物を収容物とするエアゾール容器と、前記エアゾール容器内の内容物を噴射する噴射ノズルとを有するエアゾール噴射装置の使用方法において、
    前記噴射ノズルには、内側面へ気化制御部を備えたものを採用し、
    前記気化制御部は、前記噴射ノズルにおける噴射口よりも奥側の内径と比べて、噴射ノズルの前記噴射口側の内径を大きくしたものであり、
    前記被噴射物として液状の育毛剤を含むものと、前記噴射剤をとしてジメチルエーテルを含むものとを収容物として、前記エアゾール容器に充填し、
    前記収容物100重量%中20重量%を超える前記ジメチルエーテルを充填するエアゾール噴射装置の使用方法。
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