JP2017112773A - 比率差動継電器 - Google Patents
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Abstract
【課題】動作整定倍率の検討を省略しつつ、励磁突入電流を検出して、不要なトリップ指令の出力を回避できる比率差動継電器を提供する。【解決手段】変圧器2の保護に適用する比率差動継電器3であって、変圧器2の一次側に接続された遮断器1の開閉の状態を取り込む状態取込部33と、遮断器1の開閉の状態を記憶する記憶部34と、瞬時電流の異常があった場合に、記憶部34に記憶された遮断器1の開閉の状態が開状態であればトリップ指令を出力すると判定せず、閉状態であればトリップ指令を出力すると判定するトリップ判定部36と、トリップ判定部36がトリップ指令を出力すると判定した場合に、遮断器1にトリップ指令を出力する出力部37とを有する。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、変圧器の保護に適用する比率差動継電器に関する。
一般的に、電力系統に存在する変圧器の保護等のために、比率差動継電器が用いられている。比率差動継電器は、変圧器の一次側に流入する電流と二次側から流出する電流の差分や比率が、あらかじめ整定した値以上となった場合に、事故と判定する比率特性を持つ。そして、事故と判定した場合、比率差動継電器は、遮断器に対してトリップ指令を出力する。これにより遮断器が開状態となるので、事故が発生した箇所を健全な系統から解列し、さらなる事故の拡大を防ぐことができる。
変圧器の一次側に流入する電流と二次側から流出する電流は、それぞれに設置された変流器により測定する。この一次側の変流器から二次側の変流器までの区間を、保護区間と呼ぶ。
比率差動継電器は、保護区間内に生じた事故は、変圧器本体の故障も含めて、確実に動作しなければならない。このような事故を、内部事故と呼ぶ。一方、保護区間外において事故が発生した場合には、比率差動継電器は動作してはならない。このような事故を、外部事故と呼ぶ。
保護区間内の変圧器において、定常状態で流れる電流は小さい。このため、定常状態での電流によって、比率差動継電器が動作することはない。しかし、無負荷無励磁状態にある変圧器に対して、遮断器を開状態から閉状態に操作し、変圧器に電圧が印加されると、瞬間的に励磁突入電流が流れる。
これは、以下のような原理による。変圧器の一次側のコイルには、鉄心に磁束を発生させて二次側のコイルに電圧を誘起するために、電源を投入して励磁電流を流す必要がある。励磁突入電流は、電源の投入における磁束の過渡密度によって発生する。
例えば、電源の投入により、一次側のコイルに電圧が印加されると、鉄心内の磁束は投入前の残留磁束によって、直流励磁が重畳した状態となる。すると、鉄心中の磁束は、飽和磁束を超える値となる。鉄心が飽和すると励磁インダクタンスが減少するので、励磁電流を制限するように働くリアクタンスが減少し、過渡的に大きな電流が流れる。
このような励磁突入電流は、遮断器を開状態から閉状態として変圧器に電圧を印加する度に発生するものであり、設計段階でこれに耐え得る変圧器が選択されている。このため、励磁突入電流が流れた場合であっても問題はなく、遮断器は継続して閉状態を維持すべきである。
しかしながら、比率差動継電器は瞬時要素を持つ。瞬時要素は、短絡事故による瞬時の大電流により動作して、保護区間を保護する要素である。励磁突入電流は、電圧印加端子から流入するのみで流出がなく、定格電流をはるかに上回る大電流である。しかし、かかる励磁突入電流よりも、短絡事故による電流の方が大きい。従って、瞬時要素は、短絡事故では動作する必要があるが、励磁突入電流では動作をロックするようにあらかじめ整定が必要となる。
整定は、比率差動継電器が動作する基準となる設定値を、あらかじめ計算して定めることをいう。この整定は、主としてタップ値、比率タップ、動作整定倍率を含む。タップ値は、一次側と二次側の変流器の変流比、変圧器の一次側と二次側の結線の相違による位相差等を考慮して、電流値を比較対象として整合させるための値である。比率タップとは、一次側と二次側の電流値の比率がどの程度ずれたら動作するかという値である。さらに、動作整定倍率は、一時的にタップ値の何倍の電流が流れた場合に動作するかという値である。
タップ値及び比率タップの選定は、変圧器の定格と変流器の定格から比率差動継電器に流れる電流値を計算して行っている。動作整定倍率は、設計段階で励磁突入電流値を確認し、励磁突入電流値が流れた際に瞬時要素が動作しない値を設定している。
しかしながら、整定は設計者が行うため、設計者自身が経験したことのないケース、検討不足、見落としなどにより、整定に誤りが起こる可能性がある。もし、整定に誤りがあった場合、事故ではないにも関わらず、遮断器を開状態としてしまうことになる。特に、動作整定倍率に誤りがあった場合、励磁突入電流であっても、遮断器を開状態としてしまう可能性がある。
本発明の実施形態は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、動作整定倍率の検討を省略しつつ、励磁突入電流を検出して、不要なトリップ指令の出力を回避できる比率差動継電器を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の実施形態は、変圧器の保護に適用する比率差動継電器であって、前記変圧器の一次側に接続された遮断器の開閉の状態を取り込む状態取込部と、前記遮断器の開閉の状態を記憶する記憶部と、瞬時電流の異常があった場合に、前記記憶部に記憶された前記遮断器の開閉の状態が開状態であればトリップ指令を出力すると判定せず、閉状態であればトリップ指令を出力すると判定するトリップ判定部と、前記トリップ判定部がトリップ指令を出力すると判定した場合に、前記遮断器にトリップ指令を出力する出力部とを有する。
実施形態の比率差動継電器を、図面を参照して説明する。
[構成]
図1に示すように、遮断器1、変圧器2を有する系統に、比率差動継電器3が変流器4、5を介して接続されている。遮断器1は、トリップ指令を受けて開状態となることにより、事故の発生個所を健全な系統から解列する開閉器である。トリップ指令は、遮断器1を開状態とする指令である。
[構成]
図1に示すように、遮断器1、変圧器2を有する系統に、比率差動継電器3が変流器4、5を介して接続されている。遮断器1は、トリップ指令を受けて開状態となることにより、事故の発生個所を健全な系統から解列する開閉器である。トリップ指令は、遮断器1を開状態とする指令である。
変圧器2は、一次側のコイルに流れる励磁電流による誘導起電力の電圧を、磁気結合により二次側のコイルに生じる誘導起電力の電圧に変換する機器である。本実施形態では、遮断器1に接続された側を一次側とするが、一次側と二次側で具体的な変圧比等がどのような値であるかは問わない。
変流器4は、変圧器2の一次側の電流を測定用の電流に変換して、比率差動継電器3に供給する。変流器5は、変圧器2の二次側の電流を測定用の電流に変換して、比率差動継電器3用に供給する。
比率差動継電器3は、変圧器2の保護に適用される継電器である。つまり、変流器4、5から供給された電流に基づいて、異常を検出した場合に、遮断器1に対してトリップ指令を出力する装置である。この比率差動継電器3は、変圧器2の一次側に流入する電流と、二次側から流出する電流の差分及び比率に基づく演算値が、あらかじめ整定した値以上になった場合に、異常と判定する比率特性を持つ。
より具体的には、比率差動継電器3は、図2に示すように、一次電流取込部31、二次電流取込部32、状態取込部33、記憶部34、異常検出部35、トリップ判定部36、出力部37を有する。一次電流取込部31は、変流器4からの電流を取り込んで異常検出部35に入力する。二次電流取込部32は、変流器5からの電流を取り込んで異常検出部35に入力する。
状態取込部33は、遮断器1の開閉の状態を取り込む。つまり、状態取込部33は、遮断器1に接続され、遮断器1から出力される開閉の状態を示す信号を取り込む。遮断器1からの信号の入力は、遮断器1が開閉する毎に行われる。記憶部34は、状態取込部33が取り込んだ遮断器1の開閉状態を記憶する。記憶部34は、例えば、メモリ等の記憶媒体によって構成できる。また、開か閉かの状態を記憶できればよいので、スイッチ等により構成することもできる。
異常検出部35は、一次側及び二次側の電流に基づいて、異常を検出する。ここでいう異常は、事故、故障により起因して流れる電流、励磁突入電流を含む。異常検出部35は、差電流検出部35a、リレー演算部35b、瞬時要素35c、比率要素35dを有する。差電流検出部35aは、一次電流取込部31が取り込んだ一次側の電流と、二次電流取込部32が取り込んだ二次側の電流の差分及び比率を検出する。
リレー演算部35bは、差電流検出部35aが検出した差分及び比率に基づいて、異常が発生したか否かを判定する演算を行う。この演算は、上記のように、あらかじめ整定されたタップ値、比率タップ、動作整定倍率に従う。瞬時要素35cは、瞬時電流が、動作整定倍率に基づく整定値を超えた場合に、動作する要素である。比率要素35dは、一次側と二次側の電流の比率が比率タップの整定値を超えた場合に、動作する要素である。
トリップ判定部36は、瞬時電流の異常があった場合に、記憶部34に記憶された遮断器1の開閉の状態に応じて、トリップ指令を出力するか否かを判定する。つまり、トリップ判定部36は、開状態であればトリップ指令を出力すると判定せず、閉状態であればトリップ指令を出力すると判定する。
出力部37は、トリップ判定部36がトリップ指令を出力すると判定した場合に、遮断器1にトリップ指令を出力する。そして、出力部37は、トリップ判定部36がトリップ指令を出力すると判定しない場合には、トリップ指令を出力しない。また、出力部37は、一次側と二次側の電流の比率に異常があった場合に、遮断器1にトリップ指令を出力する。つまり、比率要素35dが動作した場合には、出力部37がトリップ指令を出力する。
[作用]
以上のような本実施形態の作用を、図3〜6を参照して説明する。
[整定]
設計時に検討する整定の項目及び手順を、図3のフローチャートを参照して説明する。なお、整定は、設計者が人間系により行う作業である。まず、変圧器2の定格容量、定格一次電圧、定格二次電圧に基づいて、変圧器2の一次定格電流及び二次定格電流を算出する(ステップS01)。これらの算出値と、変流器4、5の定格に基づいて、比率差動継電器3に流れる一次側と二次側の入力電流を算出する(ステップS02)。
以上のような本実施形態の作用を、図3〜6を参照して説明する。
[整定]
設計時に検討する整定の項目及び手順を、図3のフローチャートを参照して説明する。なお、整定は、設計者が人間系により行う作業である。まず、変圧器2の定格容量、定格一次電圧、定格二次電圧に基づいて、変圧器2の一次定格電流及び二次定格電流を算出する(ステップS01)。これらの算出値と、変流器4、5の定格に基づいて、比率差動継電器3に流れる一次側と二次側の入力電流を算出する(ステップS02)。
変圧器2の一次側の変流器4と二次側の変流器5とは、必ずしも同定格とは限らない。このため、比率差動継電器3の一次側、二次側に流れる電流値から、入力電流比を確認して、両者を比較対象として整合させるタップ値を選定する(ステップS03)。また、両者の比率がずれた場合に動作するための比率タップを選定する(ステップS04)。
さらに、一般的な整定では、励磁突入電流に相当する入力電流を算出し(ステップS05)、動作整定倍率を選定する必要がある(ステップS06)。しかし、本実施形態においては、このような励磁突入電流の算出、動作整定倍率の選定を省略することができる。
[異常検出]
次に、比率差動継電器3の動作を、図4のフローチャートを参照して説明する。なお、図4は、入力電流に基づいて、トリップ指令が出力される場合又はされない場合の処理を抽出したものである。この処理は、比率差動継電器3が動作している間、継続的に繰り返されている。なお、状態取込部33は、遮断器1が開閉する毎に、その開閉の状態を取り込んで、これを記憶部34が記憶している。
次に、比率差動継電器3の動作を、図4のフローチャートを参照して説明する。なお、図4は、入力電流に基づいて、トリップ指令が出力される場合又はされない場合の処理を抽出したものである。この処理は、比率差動継電器3が動作している間、継続的に繰り返されている。なお、状態取込部33は、遮断器1が開閉する毎に、その開閉の状態を取り込んで、これを記憶部34が記憶している。
まず、一次電流取込部31、二次電流取込部32は、変流器4からの一次側の電流及び変流器5からの二次側の電流を取り込んで、異常検出部35に入力する(ステップS11)。
差電流検出部35aは、一次側の電流と、二次側の電流の差分及び比率を検出する(ステップS12)。リレー演算部35bは、差電流検出部35aが検出した差分及び比率に基づいて、異常が発生したか否かを判定する演算を行う(ステップS13)。
なお、比率差動継電器3は、内部事故に対しては動作するが、外部事故に対しては動作しない。外部事故が発生した場合の電流の向きを、図5に破線の矢印で示す。図5から分かる通り、外部事故の場合、電流の向きが一次側、二次側共に同方向である。このため、差電流検出部35aにより電流差は検出されないため、リレー演算部35bは動作しない。
一方、内部事故の場合、図6に示すように、電流の向きが一次側、二次側が逆方向となる。このため、差電流検出部35aにより電流差が検出され、リレー演算部35bが保護区間内の異常と判定する。
リレー演算部35bによるリレー演算の結果、瞬時電流が動作整定倍率に基づく整定値を超えた場合、瞬時要素35cが動作する(ステップS14のYES)。
瞬時要素35cが動作する場合、トリップ判定部36は、記憶部34に記憶された遮断器1の開閉の状態からトリップ出力をするか否かを判定する(ステップS15)。ここで、遮断器1が開状態であった場合(ステップS16のYES)、トリップ判定部36はトリップ出力すると判定せず、出力部37はトリップ指令を出力しない。記憶部34に記憶された状態が開でありながら、瞬時要素35cが動作する瞬時電流は、遮断器1が開から閉に切り替わった時の励磁突入電流と考えられる。このため、トリップ指令をロックする。
なお、遮断器1が開閉される毎に、その開閉の状態は状態取込部33により取り込まれるが、その速度は、開状態から閉状態に切り替わった瞬間に流れる励磁突入電流よりも遅い。このため、本実施形態では、異常な瞬時電流を検出した時点で、記憶部34に記憶された状態が開であった場合に、開状態から閉状態に切り替わったことにより生じた励磁突入電流であるとして、トリップさせずに閉状態を維持させる。
一方、遮断器1の状態が閉であった場合(ステップS16のNO)、トリップ判定部36はトリップ出力をすると判定し、出力部37はトリップ指令を出力する(ステップS17)。記憶部34に記憶された状態が閉で、瞬時要素35cが動作する場合には、遮断器1が継続的に閉状態にある場合の異常な電流、つまり、事故電流であると考えられる。このため、トリップ指令が出力され、これを受けた遮断器1は開状態となり、事故電流を遮断する。
また、瞬時要素35cが動作しない場合であっても(ステップS14のNO)、比率要素35dが動作した場合には(ステップS18のYES)、出力部37がトリップ指令を出力する(ステップS17)。これにより、トリップ指令を受けた遮断器1は、開状態となり、事故電流を遮断する。さらに、瞬時要素35c及び比率要素35dが動作しない場合には(ステップS18のNO)、励磁突入電流でも事故電流でもないとして、出力部37はトリップ指令を出力しない。
[効果]
以上のような本実施形態は、変圧器2の保護に適用する比率差動継電器3であって、変圧器2の一次側に接続された遮断器1の開閉の状態を取り込む状態取込部33と、遮断器1の開閉の状態を記憶する記憶部34と、瞬時電流の異常があった場合に、記憶部34に記憶された遮断器1の開閉の状態が開状態であればトリップ指令を出力すると判定せず、閉状態であればトリップ指令を出力すると判定するトリップ判定部36と、トリップ判定部36がトリップ指令を出力すると判定した場合に、遮断器1にトリップ指令を出力する出力部37とを有する。
以上のような本実施形態は、変圧器2の保護に適用する比率差動継電器3であって、変圧器2の一次側に接続された遮断器1の開閉の状態を取り込む状態取込部33と、遮断器1の開閉の状態を記憶する記憶部34と、瞬時電流の異常があった場合に、記憶部34に記憶された遮断器1の開閉の状態が開状態であればトリップ指令を出力すると判定せず、閉状態であればトリップ指令を出力すると判定するトリップ判定部36と、トリップ判定部36がトリップ指令を出力すると判定した場合に、遮断器1にトリップ指令を出力する出力部37とを有する。
従来は、設計の段階で、励磁突入電流が流れる際に比率差動継電器3に流れる電流値を算出し、瞬時要素35cが動作しない動作整定倍率を選定していた。そして、遮断器1の状態を取り込むという発想は存在しなかった。
一方、本実施形態では、遮断器1の開閉の状態を比率差動継電器3に取り込むことで、励磁突入電流発生時における比率差動継電器3のトリップ出力を整定によってロックすることが不要となる。つまり、直前の遮断器1の開閉の状態に応じて、トリップ出力をロックさせることができるので、設計者による整定を省略することができ、検討不足や見落としなどによる誤りを防ぐことができる。さらに、設計者が計算する作業を省くことができるため、設計時間の短縮化に繋がる。
しかも、遮断器1における開状態から閉状態への変化を瞬時に検出する必要はなく、励磁突入電流の検出時に、記憶部34に記憶された状態が開であることを検出するだけでトリップ出力をロックできる。このため、構成及び処理を簡略化しつつ、トリップ出力の判定を正確に行うことができる。
[他の実施形態]
本実施形態は、上記の態様には限定されない。
(1)上記の態様では、状態取込部33は、遮断器1から開閉の状態を示す信号を取り込んでいた。これに対して、一次電流取込部31が取り込む一次側の電流から、遮断器1の開閉状態を検知してもよい。つまり、図7に示すように、状態取込部33を、一次電流取込部31及び状態判定部38により構成することができる。状態判定部38は、一次電流から遮断器1の開閉状態を判定する。つまり、状態判定部38は、遮断器1の開閉動作時の一次電流の挙動、パターン等から、開状態、閉状態を判定する。そして、状態判定部38が判定した遮断器1の開閉状態を、記憶部34が記憶する。これにより、遮断器1から直接状態を取り込む経路を省略することができる。
本実施形態は、上記の態様には限定されない。
(1)上記の態様では、状態取込部33は、遮断器1から開閉の状態を示す信号を取り込んでいた。これに対して、一次電流取込部31が取り込む一次側の電流から、遮断器1の開閉状態を検知してもよい。つまり、図7に示すように、状態取込部33を、一次電流取込部31及び状態判定部38により構成することができる。状態判定部38は、一次電流から遮断器1の開閉状態を判定する。つまり、状態判定部38は、遮断器1の開閉動作時の一次電流の挙動、パターン等から、開状態、閉状態を判定する。そして、状態判定部38が判定した遮断器1の開閉状態を、記憶部34が記憶する。これにより、遮断器1から直接状態を取り込む経路を省略することができる。
(2)比率差動継電器3における演算処理は、CPUを含むコンピュータを所定のプログラムで制御することによって実現できる。この場合のプログラムは、コンピュータのハードウェアを物理的に活用することで、上記のような処理を実現するものである。このため、上記の処理を実行する方法、プログラム及びプログラムを記録した記録媒体も、実施形態の一態様である。また、ハードウェアで処理する範囲、プログラムを含むソフトウェアで処理する範囲をどのように設定するかは、特定の態様には限定されない。たとえば、上記の各部のいずれかを、それぞれの処理を実現する回路として構成することも可能である。異常検出部35の構成も、瞬時電流の異常を検出できればよく、上記の態様には限定されない。
(3)実施形態において、整定した各種の値に対する大小判断、一致不一致の判断等において、以上、以下として値を含めるように判断するか、より大きい、上回る、超える、より小さい、下回るとして値を含めないように判断するかの設定は自由である。
(4)以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 遮断器
2 変圧器
3 比率差動継電器
4、5 変流器
31 一次電流取込部
32 二次電流取込部
33 状態取込部
34 記憶部
35 異常検出部
35a 差電流検出部
35b リレー演算部
35c 瞬時要素
35d 比率要素
36 トリップ判定部
37 出力部
2 変圧器
3 比率差動継電器
4、5 変流器
31 一次電流取込部
32 二次電流取込部
33 状態取込部
34 記憶部
35 異常検出部
35a 差電流検出部
35b リレー演算部
35c 瞬時要素
35d 比率要素
36 トリップ判定部
37 出力部
Claims (3)
- 変圧器の保護に適用する比率差動継電器であって、
前記変圧器の一次側に接続された遮断器の開閉の状態を取り込む状態取込部と、
前記遮断器の開閉の状態を記憶する記憶部と、
瞬時電流の異常があった場合に、前記記憶部に記憶された前記遮断器の開閉の状態が開状態であればトリップ指令を出力すると判定せず、閉状態であればトリップ指令を出力すると判定するトリップ判定部と、
前記トリップ判定部がトリップ指令を出力すると判定した場合に、前記遮断器にトリップ指令を出力する出力部と、
を有することを特徴とする比率差動継電器。 - 前記状態取込部は、前記遮断器からの開閉の状態を示す信号を取り込むことを特徴とする請求項1記載の比率差動継電器。
- 前記状態取込部は、
前記変圧器の一次側の電流を取り込む一次電流取込部と、
前記一次側の電流に基づいて、前記遮断器の開閉の状態を判定する状態判定部と、
を有することを特徴とする請求項1記載の比率差動継電器。
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JP2015246647A JP2017112773A (ja) | 2015-12-17 | 2015-12-17 | 比率差動継電器 |
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