JP2017112030A - シリコーン樹脂を基材とする導電構造 - Google Patents

シリコーン樹脂を基材とする導電構造 Download PDF

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Yusuke Okabe
祐輔 岡部
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良行 河野
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Abstract

【課題】シリコーン樹脂を基材とする導電構造であって、該樹脂の表面上に該樹脂との接着性に優れた導電ペーストの硬化物からなる導電部を有するシリコーン樹脂を基材とする導電構造を提供すること。【解決手段】シリコーン樹脂の表面上に架橋性珪素基を有する有機重合体と導電性粒子を含有する導電ペーストの硬化物からなる導電部を有するシリコーン樹脂を基材とする導電構造。【選択図】なし

Description

本発明はシリコーン樹脂を基材とする導電構造であって、シリコーン樹脂との密着性に優れた導電ペーストからなる導電部を有する導電構造に関する。
シリコーン樹脂は柔軟で生体適合性に優れる。このため、心臓ペースメーカーなど体内に装着する電子機器や脈拍センサーなど体外に装着する(ウエアラブル)電子機器の基材として使用されている。電子機器には電子回路などの導電部が必要である。シリコーン樹脂を基材とする電子機器ではシリコーン樹脂上にメッキにより導電部を形成することが知られている。メッキに代えて、シリコーン樹脂上に導電ペーストを印刷等すれば、簡便に導電部分を形成することができる。特許文献1にはシリコーンシート上に液状シリコーンをバインダーとする導電ペーストにより導電部を設けたゴム材料が開示されている。
しかし、シリコーン樹脂はその表面の接着性が小さく、シリコーン樹脂の表面に使用できる適切な接着剤やコーティング材は少ない。特に、導電性を向上するために銀粒子などの導電性フィラーを大量に添加した導電ペーストであって、シリコーン樹脂表面への接着性に優れた導電ペーストはあまり知られておらず、特許文献1に開示された導電ペーストもシリコーン樹脂への接着性は充分ではない。
特開2007−173226号公報 国際公開WO2012−86588号公報 特開2014−026968号公報
本発明の課題はシリコーン樹脂を基材とする導電構造であって、該樹脂の表面上に該樹脂との接着性に優れた導電ペーストの硬化物からなる導電部を有するシリコーン樹脂を基材とする導電構造を提供することである。
本発明者らは導電ペーストのバインダーとして特許文献2や特許文献3に記載された架橋性珪素基を有する有機重合体を使用すると導電ペーストの硬化物がシリコーン樹脂との接着性に優れることを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は次のシリコーン樹脂を基材とする導電構造に関する。
(1)シリコーン樹脂の表面上に架橋性珪素基を有する有機重合体と導電性粒子を含有する導電ペーストの硬化物からなる導電部を有するシリコーン樹脂を基材とする導電構造。
(2)(A)珪素原子に結合した加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうる基を有する有機重合体がポリオキシアルキレン系重合体、飽和炭化水素系重合体、及び(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる群から選択される1種以上である(1)に記載の導電構造。
(3)導電性フィラーが銀である(1)〜(2)のいずれかに記載の導電構造。
(4)シリコーン樹脂がシリコーンゴムである(1)〜(3)のいずれかに記載の導電構造。
本発明の導電構造は、基材となるシリコーン樹脂と導電ペーストの硬化物との接着性に優れるという効果を有する。
本発明のシリコーン樹脂を基材とする導電構造は、(A)珪素原子に結合した加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうる基(以下、架橋性珪素基ともいう)を有する有機重合体と(B)導電性フィラーを含有する導電ペーストの硬化物を導電部として基材上に有する。(A)成分の有機重合体はバインダーとして作用する。(A)成分の有機重合体における架橋性珪素基の代表例としては、式(1):
Figure 2017112030

(式中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基またはR SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基(Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基)を示し、Rが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1または2を、それぞれ示す。またn個の式(2):
Figure 2017112030

におけるbは同一である必要はない。nは0〜19の整数を示す。但し、a+(bの和)≧1を満足するものとする。)で表わされる基があげられる。
該加水分解性基は1個の珪素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、a+(bの和)は1〜5の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が架橋性珪素基中に2個以上結合する場合には、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
架橋性珪素基を形成する珪素原子は1個でもよく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合等により連結された珪素原子の場合には、20個程度あってもよい。なお、式(3):
Figure 2017112030

(式中、R,X,aは前記と同じ)で表わされる架橋性珪素基が、入手が容易である点から好ましい。また、式(3)の架橋性珪素基においてaが2又は3である場合が好ましい。aが3の場合、aが2の場合よりも硬化速度が大きくなる。
上記Rの具体例としては、たとえばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基や、R SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基等があげられる。これらの中ではメチル基が好ましい。
上記Xで示される加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、たとえば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等があげられる。これらの中では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基が好ましく、アルコキシ基、アミド基、アミノオキシ基がさらに好ましい。加水分解性が穏やかで取扱やすいという観点からアルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基の中では炭素数の少ないものの方が反応性が高く、メトキシ基>エトキシ基>プロポキシ基の順のように炭素数が多くなるほどに反応性が低くなる。目的や用途に応じて選択できるが、通常メトキシ基やエトキシ基が使用される。式(3)で示される架橋性珪素基の場合、硬化性を考慮するとaは2以上が好ましい。
架橋性珪素基の具体的な例としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基、−Si(OR)、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基等のジアルコキシシリル基、−SiR1(OR)、があげられる。ここでRは前記と同じであり、Rはメチル基やエチル基のようなアルキル基である。
また、架橋性珪素基は1種で使用しても良く、2種以上併用してもかまわない。架橋性珪素基は、主鎖または側鎖あるいはいずれにも存在しうる。硬化物の引張特性等の硬化物物性が優れる点で架橋性珪素基が分子鎖末端に存在するのが好ましい。
架橋性珪素基は重合体1分子中に平均して少なくとも1個、好ましくは1.1〜5個存在するのがよい。分子中に含まれる架橋性珪素基の数が1個未満になると、硬化性が不充分になり、また多すぎると網目構造があまりに密となるため良好な機械特性を示さなくなる。特に、フタル酸エステル系可塑剤のような分子量800以下、さらには分子量1000以下、の低分子量の可塑剤を含有しない、いわゆる無可塑配合の導電ペーストを製造する場合には架橋性珪素基は重合体1分子中に平均して1.1〜1.5個、さらに好ましくは1.1〜1.3個存在するのがよい。また、無可塑配合の導電ペーストの場合には直鎖状の重合体を使用するのが好ましい。
架橋性珪素基を有する有機重合体の主鎖骨格は特に制限はなく、各種の主鎖骨格を持つものを使用することができる。具体的には、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレン共重合体等のポリオキシアルキレン系重合体;エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン等の飽和炭化水素系重合体、イソブチレンとイソプレン等との共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリルおよび/またはスチレン等との共重合体、ポリブタジエン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリル、および/またはスチレン等との共重合体、これらのポリオレフィン系重合体に水素添加して得られる水添ポリオレフィン系重合体等の炭化水素系重合体;アジピン酸、テレフタル酸、琥珀酸等の多塩基酸とビスフェノールA、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の多価アルコールとの縮合重合体やラクトン類の開環重合体等のポリエステル系重合体;ε−カプロラクタムの開環重合によるナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の縮重合によるナイロン6・6、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の縮重合によるナイロン6・10、ε−アミノウンデカン酸の縮重合によるナイロン11、ε−アミノラウロラクタムの開環重合によるナイロン12、上記のナイロンのうち2成分以上の成分を有する共重合ナイロン等のポリアミド系重合体;エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のモノマーをイオン重合やラジカル重合して得られるポリアクリル酸エステル、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステルと、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、スチレン等とのアクリル酸エステル共重合体等のアクリル酸エステル系重合体;前記有機重合体中でのビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体;ポリサルファイド系重合体;たとえばビスフェノールAと塩化カルボニルより縮重合して製造されるポリカーボネート系重合体、ジアリルフタレート系重合体等が例示される。
上記主鎖骨格をもつ重合体のうち、ポリエステル系重合体、アクリル酸エステル系重合体、ポリオキシアルキレン系重合体、飽和炭化水素系重合体、ポリカーボネート系重合体等が好ましい。特に、架橋性珪素基を分子鎖末端に導入させ易く、比較的低粘度で安価でもあり、ガラス転移温度が低く、得られる硬化物が耐寒性に優れるオキシアルキレン系重合体、耐熱性、耐候性や接着性に優れるアクリル酸アルキルエステル系重合体や電気特性に優れる飽和炭化水素系重合体が好ましい。
更には、ポリオキシアルキレン系重合体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体の混合物が硬化物の機械強度に優れ、且つ、耐熱性や基材との接着性にも優れる特性を有するため、本発明に特に適している。架橋性珪素基を有するオキシアルキレン系重合体と架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体の混合物を使用する場合、オキシアルキレン系重合体100重量部に対し、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を5〜200重量部使用することが好ましく、5〜50重量部使用することがさらに好ましい。
架橋性珪素基を有する有機重合体は、直鎖状でもよくまたは分岐を有してもよく、数平均分子量で500〜50,000程度が好ましく、1,000〜30,000がさらに好ましい。分子量が大きくなると、硬度が小さくなる傾向にある。
上記重合体の中でポリオキシアルキレン系重合体は本質的に式(4)で示される繰り返し単位を有する重合体である。
−R3−O−・・・(4)
(式中、Rは2価の有機基)
前記一般式(4)におけるRは、炭素数1〜14の、さらには2〜4の、直鎖状もしくは分岐状アルキレン基が好ましい。
一般式(4)で示される繰り返し単位の具体例としては
−CHO−、−CHCHO−、−CHCH(CH)O−、−CHCH(C)O−、−CHC(CHO−、−CHCHCHCHO−
等があげられる。ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特にオキシプロピレンを主成分とする重合体から成るのが好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体を使用する場合、その分子量は硬化物の引張特性である引張モジュラスを小さくし破断時伸びを大きくするため大きいほうが好ましい。本発明においては、数平均分子量の下限としては5,000が好ましく、10,000がさらに好ましい。また、数平均分子量の上限は50,000が好ましく、30,000がさらに好ましい。なお、本発明でいう数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算分子量をいう。数平均分子量が5,000未満の場合、引張モジュラスや破断時伸びが十分でない場合があり、50,000を超えると導電ペーストの粘度が大きくなり作業性が低下することがある。
ポリオキシアルキレン系重合体は直鎖状でもよくまたは分岐を有してもよいが、硬化物の引張モジュラスを小さくし破断時伸びを大きくできるため直鎖状の重合体が好ましい。また、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の分子量分布は2以下、特には1.6以下が好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体の合成法としては、たとえばKOHのようなアルカリ触媒による重合法、たとえば特開昭61−197631号、同61−215622号、同61−215623号、同61−215623号に示されるような有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる、有機アルミニウム−ポルフィリン錯体触媒による重合法、たとえば特公昭46−27250号および特公昭59−15336号などに示される複金属シアン化物錯体触媒による重合法等があげられるが、特に限定されるものではない。有機アルミニウム−ポルフィリン錯体触媒による重合法や複金属シアン化物錯体触媒による重合法によれば数平均分子量6,000以上、Mw/Mnが1.6以下の高分子量で分子量分布が狭いオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
上記ポリオキシアルキレン類の主鎖骨格中にはウレタン結合成分等の他の成分を含んでいてもよい。ウレタン結合成分としては、たとえばトルエン(トリレン)ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートと水酸基を有するポリオキシアルキレン類との反応から得られるものをあげることができる。
ポリオキシアルキレン系重合体への架橋性珪素基の導入は、分子中に不飽和基、水酸基、エポキシ基やイソシアネート基等の官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を示す官能基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させることにより行うことができる。この方法(以下、高分子反応法という)はポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、リビング重合により得られる不飽和単量体の重合体にも好適に使用される。これらの重合体は分子鎖末端に水酸基等の官能基を有しているので、末端に架橋性珪素基を導入しやすいためである。
高分子反応法の具体例として、不飽和基含有オキシアルキレン系重合体に架橋性珪素基を有するヒドロシランや架橋性珪素基を有するメルカプト化合物を作用させてヒドロシリル化やメルカプト化し、架橋性珪素基を有するオキシアルキレン系重合体を得る方法をあげることができる。不飽和基含有オキシアルキレン系重合体は水酸基等の官能基を有する有機重合体に、不飽和ハロゲン化合物のような、この官能基に対して反応性を示す活性基および不飽和基を有する有機化合物を反応させ、不飽和基を含有するオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
また、高分子反応法の他の具体例として、末端に水酸基を有するオキシアルキレン系重合体とイソシアネート基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させる方法や末端にイソシアネート基を有するオキシアルキレン系重合体と水酸基やアミノ基等の活性水素基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させる方法をあげることができる。イソシアネート化合物を使用すると、容易に架橋性珪素基を有するオキシアルキレン系重合体を得ることができる。高分子反応法はオキシアルキレン系重合体以外の他の重合体にも適用することが可能である。
架橋性珪素基を有するオキシアルキレン重合体の具体例としては、特公昭45−36319号、同46−12154号、特開昭50−156599号、同54−6096号、同55−13767号、同57−164123号、特公平3−2450号、特開2005−213446号、同2005−306891号、国際公開特許WO2007−040143号、米国特許3,632,557号、同4,345,053号、同4,960,844号等の各公報に提案されているものをあげることができる。
架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体は本質的に式(5)で示される繰り返し単位を有する重合体である。
Figure 2017112030

(式中、Rは水素原子またはメチル基、Rはアルキル基を示す)
式(5)におけるRはアルキル基であり、炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。Rは直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。また、ハロゲン原子やフェニル基等を有する置換アルキル基でもよい。R5の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、トリデシル基、セチル基、ステアリル基、ベヘニル基、グリシジル基等のエポキシ基置換アルキル基、ジエチルアミノエチル基等のアミノ基置換アルキル基等をあげることができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体の分子鎖は本質的に式(5)の単量体単位からなるが、ここでいう本質的にとは該重合体中に存在する式(5)の単量体単位の合計が50重量%をこえることを意味する。式(5)の単量体単位の合計は好ましくは70重量%以上である。
式(5)以外の単量体単位の例としては、アクリル酸、メタクリル酸等の(メタ)アクリル酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含む単量体;その他アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位があげられる。
架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体は上記したように、オキシアルキレン系重合体と混合して使用されることがある。この場合、架橋性珪素基を有するオキシアルキレン系重合体との相溶性が大きい点で、架橋性珪素基を有し分子鎖が、下記式(6):
Figure 2017112030
(式中、Rは前記に同じ、Rは炭素数1〜5のアルキル基を示す)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体単位と、下記式(7):
Figure 2017112030

(式中、Rは前記に同じ、Rは炭素数6以上のアルキル基を示す)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体単位からなる共重合体が好ましい。
前記式(6)のRとしては、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜5、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2のアルキル基があげられる。なお、Rは一種でもよく、2種以上混合していてもよい。
前記式(7)のRとしては、たとえば2−エチルヘキシル基、ラウリル基、トリデシル基、セチル基、ステアリル基、ベヘニル基等の炭素数6以上、通常は7〜30、好ましくは8〜20の長鎖のアルキル基があげられる。なお、Rは一種でもよく、2種以上混合したものであってもよい。また、式(6)の単量体単位と式(7)の単量体単位の存在比は、重量比で95:5〜40:60が好ましく、90:10〜60:40がさらに好ましい。
架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体は通常、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルをラジカル共重合して得ることができる。また、架橋性珪素基を有する開始剤や架橋性珪素基を有する連鎖移動剤を使用すると分子鎖末端に架橋性珪素基を導入することができる。
特開2001−040037号公報、特開2003−048923号公報および特開2003−048924号公報には架橋性珪素基を有するメルカプタンおよびメタロセン化合物を使用して得られる架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体が記載されている。また、特開2005−082681号公報合成例には高温連続重合による架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体が記載されている。
特開2000−086999号公報等にあるように、架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体であって架橋性珪素基が分子鎖末端に高い割合で導入された重合体も知られている。このような重合体はリビングラジカル重合によって製造されているため、高い割合で架橋性珪素基を分子鎖末端に導入することができる。本発明では以上に述べたような(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を使用することができる。
架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体やこの重合体と架橋性珪素基を有するオキシアルキレン重合体の混合物の具体例は、特開昭59−122541号、同63−112642号、同特開平6−172631号等の各公報に記載されている。また、特開昭59−78223号、特開昭59−168014号、特開昭60−228516号、特開昭60−228517号等の各公報には、架橋性珪素基を有するオキシアルキレン重合体の存在下で(メタ)アクリル酸エステル系単量体の重合を行い、架橋性珪素基を有するオキシアルキレン系重合体と架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体の混合物を得る方法が記載されている。
有機重合体の中で飽和炭化水素系重合体は、芳香環以外の炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体であり、その骨格をなす重合体は、(1)エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレンなどのような炭素原子数2〜6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させるか、(2)ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合させ、あるいは、オレフイン系化合物とを共重合させた後、水素添加するなどの万法により得ることができるが、イソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重合体は、末端に官能基を導入しやすく、分子量を制御しやす<、また、末端官能基の数を多<することができるので好まし<、イソブチレン系重合体が特に好ましい。
主鎖骨格が飽和炭化水素系重合体であるものは、耐熱性、耐候性、耐久性、及び、湿気遮断性に優れる特徴を有する。イソブチレン系重合体は、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよいし、他単量体との共重合体でもよいが、ゴム特性の面からイソブチレンに由来する繰り返し単位を50質量%以上含有するものが好まし<、80質量%以上含有するものがより好まし<、90〜99質量%含有するものが特に好ましい。
飽和炭化水素系重合体の合成法としては、従来、各種重合方法が報告されているが、特に近年多<のいわゆるリビング重合が開発されている。飽和炭化水素系重合体、特にイソブチレン系重合体の場合、Kennedyらによって見出されたイニファー重合(J. P. Kennedyら、 J. Polymer Sci., Polymer Chem. Ed.1997年、15巻、2843頁)を用いることにより容易に製造することが可能であり、分子量500〜100,000程度を、分子量分布1.5以下で重合でき、分子末端に各種官能基を導入できることが知られている。
架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体の製法としては、たとえぱ、持公平4ー69659号、特公平7−1O8928号、特開昭63−254149号、特開昭64−229O4号、特開平1−1975O9号、特許公報第2539445号、特許公報第2873395号、特開平7−53882号の各明細書などに記戰されているが、特にこれらに限定されるものではない。
上記の架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体は、単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。
前記(B)導電性フィラーとしては、導電性能を有する公知のフィラーを広く使用でき特に制限はない。導電フィラーの例としては、銀粉、銅粉、ニッケル粉、アルミ粉、及びこれらの銀メッキ粉等の金属粉や、銀コートガラス、銀コートシリカ、銀コートプラスチック等の金属コート粉、酸化亜鉛、酸化チタン、ITO、ATO等が挙げられる。これらの中では銀粉が好ましい。
前記(B)導電性フィラーの形状は特に制限はなく、フレーク状、粒状等の種々の形状が使用可能であるが、フレーク状と粒状の併用が好適である。本発明において、フレーク状とは、扁平状、薄片状あるいは鱗片状と称するものも含まれ、球状や塊状等の立体形状のものを一方向に押し潰した形状のものである。また、粒状とは、フレーク化されていない全ての形状を意味するものであり、例えば、ブドウの房状に粉体が凝集した形状、球状、略球状、塊状、樹枝状、スパイク状、またこれらの形状を有する粉の混合物等が挙げられる。樹枝状とは、複数の桿状及び/又は鱗片状の小片が互いに結合している形状のものであり、樹枝状導電性フィラーとしては、例えば、特開2002−298654号公報や特開2013−100592記載のものが挙げられる。樹枝状導電性フィラーは三井金属(株)よりACAX−2、ACAX−3あるいはACBY−3として販売されている。
前記(B)導電性フィラーの50%平均粒径は、0.5〜30μmが好適である。
導電性ペースト中における、前記(B)導電性フィラーの配合割合は特に制限はないが、導電性ペーストの溶剤を含まない全含有量(固形分換算)の50質量%以上85質量%以下が好ましい。
本発明の導電性ペーストには、さらに、シラノール縮合触媒、充填剤、接着性付与剤、脱水剤、酸化防止剤、光安定剤、希釈剤、可塑剤、滑剤、顔料、発泡剤などを必要に応じて添加することができる。
シラノール縮合触媒は(A)成分である架橋性珪素基を有する有機重合体の架橋硬化を促進するための触媒である。シラノール縮合触媒の例としては、酸性触媒、塩基性触媒、錫化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物などが挙げられる。
前記錫化合物の例としては、ジメチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド等のジアルキル錫オキサイド、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物、オクチル酸錫及びナフテン酸錫等の錫化合物を挙げることができる。
前記チタン化合物の例としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、チタニウムジ−2−エチルヘキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、等の有機チタン化合物を挙げることができる。
前記アルミニウム化合物の例としては、アルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
前記ジルコニウム化合物の例としては、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムトリブトキシモノステアレート等の有機ジルコニウム化合物を挙げることができる。
前記シラノール縮合触媒の配合割合は、特に限定されないが、(A)成分の有機重合体100質量部に対して、0.0001〜10質量部が好ましく、0.001〜5質量部がさらに好ましい。これらの硬化触媒は、単独で使用しても良く、2種以上併用しても良い。
前記充填剤の例としては、フュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸およびカーボンブラックの如き補強性充填剤;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、硬化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華およびシラスバルーン、などの如き充填剤;石綿、ガラス繊維およびフィラメントの如き繊維状充填剤等が使用できる。
前記接着性付与剤は基材に対する接着性を向上させるためのものである。接着性付与剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミカップリング剤等が挙げられるが、好ましくはシランカップリング剤である。シランカップリング剤は架橋性珪素基と他の官能基を有する化合物である。
このようなシラン化合物としては、ビニルアルキル(炭素数1〜4)アルコキシ(炭素数1〜4)シラン(例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等)、(メタ)アクリロイロキシアルキル(炭素数1〜4)アルコキシ(炭素数1〜4)シラン(例えばγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等)、アルキル(炭素数1〜4)アルコキシ(炭素数1〜4)シラン(例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等)、アミノ(分子中に1〜4個)アルキル(炭素数2〜15)アルコキシ(炭素数1〜4)シラン(例えばγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルメチルジメトキシシラン等)、エポキシ(分子中に1〜4個)アルキル(炭素数1〜4)アルコキシ(炭素数1〜4)シラン(例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等)、メルカプト(分子中に1〜4個)アルキル(炭素数1〜4)アルコキシ(炭素数1〜4)シラン(例えばγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等)等が挙げられる。
これらの中ではアミノ基と架橋性珪素基を有するシランカップリング剤(以下、アミノシランともいう)が接着性改善効果が大きいので好ましい。また、アミノ基をケチミン化したケチミノシランのように、水と反応して、1分子中に少なくとも1個のアルコキシシリル基を有するアミン化合物を生成するアルコキシシラン化合物を使用することができる。水と反応して、1分子中に少なくとも1個のアルコキシシリル基を有するアミン化合物を生成するアルコキシシラン化合物はKBE−9103(信越化学工業株式会社製)、サイラエースS340(チッソ株式会社製)、Z−6860(東レ・ダウコーニング株式会社製)等として市販されている。
接着性付与剤の使用量は、(A)成分の架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に基づいて0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がさらに好ましい。これらの接着性付与剤は、2種以上併用して使用しても差し支えがない。
前記脱水剤は(A)成分の架橋性珪素基を有する有機重合体が保存中に架橋することを防止する。脱水剤としてシリケート挙げることができる。例えば、テトラアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合物があげられ、より具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、メトキシトリエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン(テトラアルキルシリケート)、および、それらの部分加水分解縮合物が挙げられる。脱水剤として上記したシランカップリング剤を使用することができる。
脱水剤の配合割合は特に制限はないが、(A)成分の架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に対して、0.1〜50質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましい。脱水剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤としては、p−フェニレンジアミン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤や、二次酸化防止剤としてリン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤の添加量は、特に限定されないが、(A)成分の架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.5〜5質量部の範囲で使用できる。
前記光安定剤は各種のものが知られており、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブック」、シーエムシー化学発行の「高分子材料の劣化と安定化」(235〜242)等に記載された種々のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。光安定剤の中でも、紫外線吸収剤が好ましく、具体的には、チヌビンP、チヌビン234、チヌビン320、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン329、チヌビン213(以上いずれも日本チバガイギー社製)等のようなベンゾトリアゾール系化合物やチヌビン1577等のようなトリアジン系、CHIMASSORB81等のようなベンゾフェノン系、チヌビン120(日本チバガイギー社製)等のようなベンゾエート系化合物等が例示できる。
また、ヒンダードアミン系化合物も好ましく、そのような化合物は具体的には特開2006−274084号公報記載のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。更には紫外線吸収剤とヒンダードアミン系化合物の組み合わせはより効果を発揮することがあるため、特に限定はされないが併用しても良く、併用することが好ましいことがある。光安定剤は前述した酸化防止剤と併用してもよく、併用することによりその効果を更に発揮し、特に耐候性が向上することがあるため特に好ましい。予め光安定剤と酸化防止剤を混合してあるチヌビンC353、チヌビンB75(以上いずれも日本チバガイギー社製)などを使用しても良い。
光安定剤の使用量は、(A)成分の架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲であることが好ましい。0.1質量部未満では耐候性を改善の効果が少なく、10質量部超では効果に大差がなく経済的に不利である。
前記希釈剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ガソリンから灯油留分にいたる石油系溶剤類、ジメチルアジペート(DMA)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート(TXIB)、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエーテルエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素系溶剤等が挙げられる。希釈剤を使用する場合、(A)成分の架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に対し、通常0.5〜50質量部の範囲、好ましくは1〜30質量部の範囲で使用するのが良い。
前記可塑剤の具体例としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシン酸ジブチル等の脂肪族二塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のグリコールエステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル等の脂肪族エステル類;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル等のリン酸エステル類;2塩基酸と2価アルコールとのポリエステル類等のポリエステル系可塑剤類;ポリプロピレングリコールやその誘導体等のポリエーテル類;パラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素、パラフィン−ナフテン系混合炭化水素等の炭化水素系可塑剤類;塩素化パラフィン類;低分子量のアクリル酸エステル重合体等が挙げられる。これらの可塑剤は単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。特にアクリル酸エステル重合体を使用すると硬化物の耐候性を改善することができる。
可塑剤を使用する場合、(A)成分の架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に対し、通常300質量部以下の範囲、好ましくは250質量部以下の範囲で使用するのが良い。300質量部を越える場合は硬化物からの可塑剤の染み出しなどが生じる場合があるため好ましくない。
本発明に使用する導電ペーストを製造する方法は特に制限はなく、例えば、配合物質を所定量配合し、脱気攪拌することにより製造することができる。導電ペーストは、必要に応じて1液型とすることもできるし、2液型とすることもできるが、特に1液型として好適に用いることができる。本発明に使用する導電ペーストは大気中の湿気により常温で硬化することが可能であり、必要に応じて、適宜、加熱により硬化を促進させてもよい。
本発明において基材として使用するシリコーン樹脂は,ジメチルシロキシ基等のジアルキルシロキシ基を単位とする単独重合体や共重合体であり,耐熱性、絶縁性、柔軟性などに優れ,一般には耐熱絶縁材や防水加工用品として利用される。かかるシリコーン樹脂は,個々の分子の大きさと有機基の重合の度合いを変えることにより、ゴム状の物理的性質を有するシリコーンゴムとすることもできる。基材の形状としてはシート状が一般的であるがどのような形状であっても特に限定はない。
本発明の導電構造を製造するには、シリコーン樹脂の表面上に導電ペーストを所望の形状に塗布し、硬化させることにより導電部を形成することができる。塗布方法は特に限定されないがメッシュスクリーン版、ステンシル版、オフセット、グラビア、フレキソ、スプレー、ローラーコーター、ディッピング、インクジェットおよびジェットディスペンサー等の手法を用いることができる。これらの中ではインクジェットまたはジェットディスペンサーを使用した塗布方法が適している。
本発明のシリコーン樹脂を基材とする導電構造は柔軟にすることができ、生体に対する適合性に優れている上、導電のためのリード線を不要に、あるいは減少することができる。従って、心臓ペースメーカーなど体内に装着する電子機器や脈拍センサーや歪センサーなど体外に装着する(ウエアラブル)電子機器に好適に使用することができる。
(製造例1)導電ペーストの製造
表1に示す成分及び配合割合(質量基準)にて各成分を混合し架橋性珪素基を有する有機重合体をバインダーとする導電ペーストを調製した。
Figure 2017112030
表の配合における添加量は質量部である。
*1 (株)カネカ製、サイリルMA440
*2 福田金属箔粉工業(株)製、シルコートAgC−B
*3 福田金属箔粉工業(株)製、シルコートAgC−G
*4 JX日鉱日石エネルギー(株)製、N−11
*5 信越化学工業(株)製、KBM−1003
*6 信越化学工業(株)製、KBM−903
*7 信越化学工業(株)製、KBM−9659
*8 川研ファインケミカル(株)製、アルミキレートD
(実施例1)
基材として(株)クレハ製シリコーンゴム(商品名 ぺらぺら君 SC50NNS)を用いた。このシリコーンゴムにコロナ放電処理を施した後、製造例1で得られた導電ペーストを厚さ100ミクロンのメタルマスクを用いて50mm×50mmのサイズに塗布し、120℃30分で硬化させ、本発明の導電構造試料を得た。
接着性評価は得られた導電構造試料についてISO2409に準じてクロスカット試験によって行った。また、この導電構造試料を用いて+20%の伸縮を10回繰り返した後、次の基準により導電構造の伸縮時の特性を評価した。
○:硬化物の破断がなく導通を保持、×:硬化物が破断し、導通を失った。
接着性および伸縮時の特性を表2に示す。
(比較例1)
エポキシ樹脂をバインダーとし、銀を導電性フィラーとする導電ペーストを用い、実施例1と同様に導電構造試料を作成した。但し、硬化条件は150℃、30分とした。しかし導電ペースト硬化物は硬化段階で基材からはがれてしまい、試験体を作成することができなかった。なお、この導電ペーストの硬化物は製造例1の硬化物と同程度の導電性を有する。
(比較例2)
硬化型シリコーン樹脂をバインダーとし、銀を導電性フィラーとする導電ペーストを用い、実施例1と同様に導電構造試料を作成した。但し、硬化条件は180℃、30分とした。接着性および伸縮時の特性を表2に示す。なお、この導電ペーストの硬化物は製造例1の硬化物と同程度の導電性を有する。
Figure 2017112030
表の配合における添加量は質量部である。
*9 (株)アサヒ化学研究所製、LS−450−7H
*10 東レダウコーニング(株)製、DA6523

Claims (4)

  1. シリコーン樹脂を基材とする導電構造であって、(A)珪素原子に結合した加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうる基を有する有機重合体および(B)導電性フィラーを含有する導電ペーストの硬化物からなる導電部を該シリコーン樹脂の表面上に有するシリコーン樹脂を基材とする導電構造。
  2. (A)珪素原子に結合した加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうる基を有する有機重合体がポリオキシアルキレン系重合体、飽和炭化水素系重合体、及び(メタ)アクリル酸エステル系重合体からなる群から選択される1種以上である請求項1に記載の導電構造。
  3. 導電性フィラーが銀である請求項1〜2のいずれか一項に記載の導電構造。
  4. シリコーン樹脂がシリコーンゴムである請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電構造。

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