JP2017197686A - 導電体を有する透明樹脂板の電気接続構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明樹脂板上に導電部が形成されるとともに、該導電部の給電部に給電端子が導電性接着剤硬化物によって接続され、該給電端子を介して電流が前記導電部に供給される透明樹脂板の電気接続構造であって、接着剤の硬化時に透明樹脂板の変形や銀等の金属との反応を生じず、高温耐湿性に優れた電気接続構造を提供すること。【解決手段】導電性硬化性組成物が、珪素原子に結合した加水分解性基を有しシロキサン結合を形成することにより架橋しうる架橋性珪素基を有する有機重合体を含有する導電性硬化性組成物(A)であり、導電性硬化性組成物(A)の硬化物が、珪素原子に結合した加水分解性基を有しシロキサン結合を形成することにより架橋しうる架橋性珪素基を有する重合体を含有し実質的に電気伝導性を有しない硬化性組成物(B)の硬化物によって被覆されていることを特徴とする電気接続構造。【選択図】図2
Description
本発明は、導電部を有する透明樹脂板の給電部に給電端子を接合するための電気接続構造に関する。特に、本発明は該電気接続構造において、珪素原子に結合した加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうる架橋性珪素基を有する有機重合体を使用することを特徴とする。以下、珪素原子に結合した加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋し得る珪素含有基を架橋性珪素基ともいう。
自動車用や建築用のガラス板等の透明物品には、視界確保のためにデフォッガとして通電加熱用の導電線が形成されることがある。また、自動車のリアウインドウやサイドウインドウには、アンテナが用いられることもある。通電加熱用の導電線やアンテナは、ガラス板の表面に導電線のパターンが、例えば、銀ペースト等の導電性ペーストを薄膜状に焼き付けて形成される。これらの導電線の給電部には、金属製の給電端子が接合される。透明材料がガラスの場合には給電部と給電端子の接合にはハンダがよく使用されてきた。
近年、車両軽量化等のために透明材料としてポリカーボネート樹脂やアクリル酸エステル樹脂などの透明樹脂が使用され始めている。導電パターンを有する透明樹脂板の場合にも導電部分への給電部と給電端子の接合が必要である。しかし、樹脂はガラスより耐熱性が劣り、ハンダを接合材料として使用すると樹脂が溶融するため、ハンダを接合材料として使用することができない。
ハンダに代替する接合材料として導電性接着剤が提案されている。導電部を有する透明材料の給電部と給電端子の接合に使用する導電性接着剤として特許文献1に記載されているように導電性エポキシ樹脂接着剤がよく知られている。しかしながら、エポキシ接着剤は熱硬化型樹脂であり、通常、硬化に100℃以上の高温を必要とする。従ってこの接着剤を樹脂板に使用した場合、樹脂板が変形する可能性がある。また、エポキシ接着剤は微量の塩素イオンを含有しており、この塩素イオンが導電パターンやその給電部に使用されている銀等の金属と反応し導電特性が低下する可能性があることも判明した。
特許文献2の段落[0070]には、セメダイン株式会社製の導電性接着剤(ECAー19)をガラス板における給電部と給電端子の接合に使用した例が示されている。この接着剤は架橋性珪素基を有する有機重合体に導電性充填剤を添加した接着剤であり、室温で空気中の湿気等の水分により硬化する接着剤である。特許文献2にはこの接着剤をガラス板に使用しているが、室温で硬化するため、樹脂板に適用すると接着剤の硬化に加熱が不要であり、樹脂板が変形することがないことが判明した。また、架橋性珪素基を有する有機重合体は塩素イオンを含有せず、銀等の金属と反応しないことが見出された。
導電パターンを有する透明樹脂板の給電部と給電端子の接合する導電性接着剤は室温で硬化することができるという特性のほか、実用的な硬化速度を有することや耐振動性、耐熱性、耐湿性等が必要とされる。しかし、透明樹脂板の給電部と給電端子の接合する導電性接着剤として架橋性珪素基を有する有機重合体に導電性充填剤を添加した接着剤を使用すると硬化物は十分な耐振動性、耐熱性、耐湿性を有するものの高温耐湿性に劣り、高温の湿気雰囲気下において透明樹脂板と該接着剤の硬化物が剥離することが判明した。
本発明が解決しようとする課題は、透明樹脂板上に導電部が形成されるとともに、該導電部の給電部に給電端子が導電性接着剤硬化物によって接続され、該給電端子を介して電流が前記導電部に供給される透明樹脂板の電気接続構造であって、接着剤の硬化時に透明樹脂板の変形や銀等の金属との反応を生じず、高温耐湿性に優れた電気接続構造を提供することである。
本発明者等は導電性接着剤の重合体成分として架橋性珪素基を有する有機重合体を使用し、導電性接着剤の硬化物表面を架橋性珪素基含有重合体の硬化物で被覆することによって上記課題が解決されることを見出した。すなわち本発明は次の電気接続構造である。
(1)透明樹脂板上に導電部が形成されるとともに、該導電部の給電部に給電端子が導電性硬化性組成物を用いて接続され、該給電端子を介して電流が前記導電部に供給される透明樹脂板の電気接続構造において、
前記導電性硬化性組成物が、珪素原子に結合した加水分解性基を有しシロキサン結合を形成することにより架橋しうる架橋性珪素基を有する有機重合体を含有する導電性硬化性組成物(A)であり、
前記導電性硬化性組成物(A)の硬化物が珪素原子に結合した加水分解性基を有しシロキサン結合を形成することにより架橋しうる架橋性珪素基を有する重合体を含有し、実質的に電気伝導性を有しない硬化性組成物(B)の硬化物によって被覆されていることを特徴とする電気接続構造。
前記導電性硬化性組成物が、珪素原子に結合した加水分解性基を有しシロキサン結合を形成することにより架橋しうる架橋性珪素基を有する有機重合体を含有する導電性硬化性組成物(A)であり、
前記導電性硬化性組成物(A)の硬化物が珪素原子に結合した加水分解性基を有しシロキサン結合を形成することにより架橋しうる架橋性珪素基を有する重合体を含有し、実質的に電気伝導性を有しない硬化性組成物(B)の硬化物によって被覆されていることを特徴とする電気接続構造。
本発明の電気接続構造は透明樹脂板の変形や銀等の金属との反応がなく、高温耐湿性に優れるという効果を有する。
本発明に使用する硬化性組成物(A)や(B)には架橋性珪素基を有する有機重合体を使用する。この重合体における架橋性珪素基は珪素原子に結合した加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋しうる基である。代表例としては、式(1):
(式中、R1は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基またはR2 3SiO−で示されるトリオルガノシロキシ基(R2は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基)を示し、R1が2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。Xは加水分解性基を示し、Xが2個以上存在するとき、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2または3を、bは0、1または2を、それぞれ示す。またn個の式(2):
該加水分解性基は1個の珪素原子に1〜3個の範囲で結合することができ、a+(bの和)は1〜5の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸基が架橋性珪素基中に2個以上結合する場合には、それらは同一であってもよく、異なっていてもよい。
架橋性珪素基を形成する珪素原子は1個でもよく、2個以上であってもよいが、シロキサン結合等により連結された珪素原子の場合には、20個程度あってもよい。
なお、式(3):
なお、式(3):
(式中、R1,X,aは前記と同じ)で表わされる架橋性珪素基が、入手が容易である点から好ましい。また、式(3)の架橋性珪素基においてaが2又は3である場合が好ましい。aが3の場合、aが2の場合よりも硬化速度が大きくなる。
上記R1の具体例としては、たとえばメチル基、エチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基や、R2 3SiO−(R2はメチル基、エチル基等の炭化水素基)で示されるトリオルガノシロキシ基等があげられる。これらの中ではメチル基が好ましい。
上記Xで示される加水分解性基としては、特に限定されず、従来公知の加水分解性基であればよい。具体的には、たとえば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等があげられる。これらの中では、水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基およびアルケニルオキシ基が好ましく、アルコキシ基、アミド基、アミノオキシ基がさらに好ましい。
加水分解性が穏やかで取扱やすいという観点からアルコキシ基が特に好ましい。アルコキシ基の中では炭素数の少ないものの方が反応性が高く、メトキシ基>エトキシ基>プロポキシ基の順のように炭素数が多くなるほどに反応性が低くなる。目的や用途に応じて選択できるが、通常メトキシ基やエトキシ基が使用される。式(3)で示される架橋性珪素基の場合、硬化性を考慮するとaは2以上が好ましい。
架橋性珪素基の具体的な例としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基、−Si(OR)3、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基等のジアルコキシシリル基、−SiR1(OR)2、があげられる。ここでR1は前記と同じであり、Rはメチル基やエチル基のようなアルキル基である。
また、架橋性珪素基は1種で使用しても良く、2種以上併用してもかまわない。架橋性珪素基は、主鎖または側鎖あるいはいずれにも存在しうる。硬化物の引張特性等の硬化物物性が優れる点で架橋性珪素基が分子鎖末端に存在するのが好ましい。
架橋性珪素基は重合体1分子中に平均して少なくとも1個、好ましくは1.1〜5個存在するのがよい。分子中に含まれる架橋性珪素基の数が1個未満になると、硬化性が不充分になり、また多すぎると網目構造があまりに密となるため良好な機械特性を示さなくなる。
架橋性珪素基を有する有機重合体の主鎖骨格は特に制限はなく、各種の主鎖骨格を持つものを使用することができる。具体的には、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシプロピレン−ポリオキシブチレン共重合体等のポリオキシアルキレン系重合体;エチレン−プロピレン系共重合体、ポリイソブチレン等の飽和炭化水素系重合体、イソブチレンとイソプレン等との共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリルおよび/またはスチレン等との共重合体、ポリブタジエン、イソプレンあるいはブタジエンとアクリロニトリル、および/またはスチレン等との共重合体、これらのポリオレフィン系重合体に水素添加して得られる水添ポリオレフィン系重合体等の炭化水素系重合体;アジピン酸、テレフタル酸、琥珀酸等の多塩基酸とビスフェノールA、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の多価アルコールとの縮合重合体やラクトン類の開環重合体等のポリエステル系重合体;ε−カプロラクタムの開環重合によるナイロン6、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の縮重合によるナイロン6・6、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の縮重合によるナイロン6・10、ε−アミノウンデカン酸の縮重合によるナイロン11、ε−アミノラウロラクタムの開環重合によるナイロン12、上記のナイロンのうち2成分以上の成分を有する共重合ナイロン等のポリアミド系重合体;エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のモノマーをイオン重合やラジカル重合して得られるポリアクリル酸エステル、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステルと、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メチルメタクリレート、スチレン等とのアクリル酸エステル共重合体等のアクリル酸エステル系重合体;前記有機重合体中でのビニルモノマーを重合して得られるグラフト重合体;ポリサルファイド系重合体;たとえばビスフェノールAと塩化カルボニルより縮重合して製造されるポリカーボネート系重合体、ジアリルフタレート系重合体等が例示される。
上記主鎖骨格をもつ重合体のうち、ポリエステル系重合体、アクリル酸エステル系重合体、ポリオキシアルキレン系重合体、飽和炭化水素系重合体、ポリカーボネート系重合体等が好ましい。特に、架橋性珪素基を分子鎖末端に導入させ易く、比較的低粘度で安価でもあり、ガラス転移温度が低く、得られる硬化物が耐寒性に優れるオキシアルキレン系重合体、耐熱性、耐候性や接着性に優れるアクリル酸アルキルエステル系重合体や電気特性に優れる飽和炭化水素系重合体が好ましい。
更には、ポリオキシアルキレン系重合体と(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体の混合物が硬化物の機械強度に優れ、且つ、耐熱性や基材との接着性にも優れる特性を有するため、本発明に特に適している。架橋性珪素基を有するオキシアルキレン系重合体と架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体の混合物を使用する場合、オキシアルキレン系重合体100重量部に対し、(メタ)アクリル酸エステル系重合体を5〜200重量部使用することが好ましく、5〜50重量部使用することがさらに好ましい。
架橋性珪素基を有する有機重合体は、直鎖状でもよくまたは分岐を有してもよく、数平均分子量で500〜50,000程度が好ましく、1,000〜30,000がさらに好ましい。分子量が大きくなると、硬度が小さくなる傾向にある。
上記重合体の中でポリオキシアルキレン系重合体は本質的に式(4)で示される繰り返し単位を有する重合体である。
式(4)におけるR3は、炭素数1〜14の、さらには2〜4の、直鎖状もしくは分岐状アルキレン基が好ましい。式(4)で示される繰り返し単位の具体例としては、例えば、
−CH2O−、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、
−CH2CH(C2H5)O−、−CH2C(CH3)2O−、
−CH2CH2CH2CH2O−
等があげられる。ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特にオキシプロピレンを主成分とする重合体から成るのが好ましい。
−CH2O−、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、
−CH2CH(C2H5)O−、−CH2C(CH3)2O−、
−CH2CH2CH2CH2O−
等があげられる。ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特にオキシプロピレンを主成分とする重合体から成るのが好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体を使用する場合、その分子量は硬化物の引張特性である引張モジュラスを小さくし破断時伸びを大きくするため大きいほうが好ましい。本発明においては、数平均分子量の下限としては5,000が好ましく、10,000がさらに好ましい。また、数平均分子量の上限は50,000が好ましく、30,000がさらに好ましい。なお、本発明でいう数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算分子量をいう。数平均分子量が5,000未満の場合、引張モジュラスや破断時伸びが十分でない場合があり、50,000を超えると組成物の粘度が大きくなり作業性が低下することがある。
ポリオキシアルキレン系重合体は直鎖状でもよくまたは分岐を有してもよいが、硬化物の引張モジュラスを小さくし破断時伸びを大きくできるため直鎖状の重合体が好ましい。また、架橋性珪素基を有するポリオキシアルキレン系重合体の分子量分布は2以下、特には1.6以下が好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体の合成法としては、たとえばKOHのようなアルカリ触媒による重合法、たとえば特開昭61−197631号、同61−215622号、同61−215623号、同61−215623号に示されるような有機アルミニウム化合物とポルフィリンとを反応させて得られる、有機アルミニウム−ポルフィリン錯体触媒による重合法、たとえば特公昭46−27250号および特公昭59−15336号などに示される複金属シアン化物錯体触媒による重合法等があげられるが、特に限定されるものではない。有機アルミニウム−ポルフィリン錯体触媒による重合法や複金属シアン化物錯体触媒による重合法によれば数平均分子量6,000以上、Mw/Mnが1.6以下の高分子量で分子量分布が狭いオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
上記ポリオキシアルキレン類の主鎖骨格中にはウレタン結合成分等の他の成分を含んでいてもよい。ウレタン結合成分としては、たとえばトルエン(トリレン)ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート;イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネートと水酸基を有するポリオキシアルキレン類との反応から得られるものをあげることができる。
ポリオキシアルキレン系重合体への架橋性珪素基の導入は、分子中に不飽和基、水酸基、エポキシ基やイソシアネート基等の官能基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、この官能基に対して反応性を示す官能基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させることにより行うことができる。この方法(以下、高分子反応法という)はポリエステル系重合体、ポリアミド系重合体、リビング重合により得られる不飽和単量体の重合体にも好適に使用される。これらの重合体は分子鎖末端に水酸基等の官能基を有しているので、末端に架橋性珪素基を導入しやすいためである。
高分子反応法の具体例として、不飽和基含有オキシアルキレン系重合体に架橋性珪素基を有するヒドロシランや架橋性珪素基を有するメルカプト化合物を作用させてヒドロシリル化やメルカプト化し、架橋性珪素基を有するオキシアルキレン系重合体を得る方法をあげることができる。不飽和基含有オキシアルキレン系重合体は水酸基等の官能基を有する有機重合体に、不飽和ハロゲン化合物のような、この官能基に対して反応性を示す活性基および不飽和基を有する有機化合物を反応させ、不飽和基を含有するオキシアルキレン系重合体を得ることができる。
また、高分子反応法の他の具体例として、末端に水酸基を有するオキシアルキレン系重合体とイソシアネート基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させる方法や末端にイソシアネート基を有するオキシアルキレン系重合体と水酸基やアミノ基等の活性水素基および架橋性珪素基を有する化合物を反応させる方法をあげることができる。イソシアネート化合物を使用すると、容易に架橋性珪素基を有するオキシアルキレン系重合体を得ることができる。高分子反応法はオキシアルキレン系重合体以外の他の重合体にも適用することが可能である。
架橋性珪素基を有するオキシアルキレン重合体の具体例としては、特公昭45−36319号、同46−12154号、特開昭50−156599号、同54−6096号、同55−13767号、同57−164123号、特公平3−2450号、特開2005−213446号、同2005−306891号、国際公開特許WO2007−040143号、米国特許3,632,557号、同4,345,053号、同4,960,844号等の各公報に提案されているものをあげることができる。
架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体は本質的に式(5)で示される繰り返し単位を有する重合体である。
式(5)におけるR5はアルキル基であり、炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。R5は直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。また、ハロゲン原子やフェニル基等を有する置換アルキル基でもよい。R5の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、トリデシル基、セチル基、ステアリル基、ベヘニル基、グリシジル基等のエポキシ基置換アルキル基、ジエチルアミノエチル基等のアミノ基置換アルキル基等をあげることができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体の分子鎖は本質的に式(5)の単量体単位からなるが、ここでいう本質的にとは該重合体中に存在する式(5)の単量体単位の合計が50重量%をこえることを意味する。式(5)の単量体単位の合計は好ましくは70重量%以上である。
式(5)以外の単量体単位の例としては、アクリル酸、メタクリル酸等の(メタ)アクリル酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアミド基、アミノエチルビニルエーテル等のアミノ基を含む単量体;その他アクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、アルキルビニルエーテル、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、エチレン等に起因する単量体単位があげられる。
架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体は上記したように、オキシアルキレン系重合体と混合して使用されることがある。この場合、架橋性珪素基を有するオキシアルキレン系重合体との相溶性が大きい点で、架橋性珪素基を有し分子鎖が、下記式(6):
前記式(6)のR6としては、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜5、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2のアルキル基があげられる。なお、R6は一種でもよく、2種以上混合していてもよい。
前記式(7)のR7としては、たとえば2−エチルヘキシル基、ラウリル基、トリデシル基、セチル基、ステアリル基、ベヘニル基等の炭素数6以上、通常は7〜30、好ましくは8〜20の長鎖のアルキル基があげられる。なお、R7は一種でもよく、2種以上混合したものであってもよい。また、式(6)の単量体単位と式(7)の単量体単位の存在比は、重量比で95:5〜40:60が好ましく、90:10〜60:40がさらに好ましい。
架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体は通常、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルをラジカル共重合して得ることができる。また、架橋性珪素基を有する開始剤や架橋性珪素基を有する連鎖移動剤を使用すると分子鎖末端に架橋性珪素基を導入することができる。
特開2001−040037号公報、特開2003−048923号公報および特開2003−048924号公報には架橋性珪素基を有するメルカプタンおよびメタロセン化合物を使用して得られる架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体が記載されている。また、特開2005−082681号公報合成例には高温連続重合による架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体が記載されている。
特開2000−086999号公報等にあるように、架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体であって架橋性珪素基が分子鎖末端に高い割合で導入された重合体も知られている。このような重合体はリビングラジカル重合によって製造されているため、高い割合で架橋性珪素基を分子鎖末端に導入することができる。本発明では以上に述べたような(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体を使用することができる。
架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体やこの重合体と架橋性珪素基を有するオキシアルキレン重合体の混合物の具体例は、特開昭59−122541号、同63−112642号、同特開平6−172631号等の各公報に記載されている。また、特開昭59−78223号、特開昭59−168014号、特開昭60−228516号、特開昭60−228517号等の各公報には、架橋性珪素基を有するオキシアルキレン重合体の存在下で(メタ)アクリル酸エステル系単量体の重合を行い、架橋性珪素基を有するオキシアルキレン系重合体と架橋性珪素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体の混合物を得る方法が記載されている。
有機重合体の中で飽和炭化水素系重合体は、芳香環以外の炭素−炭素不飽和結合を実質的に含有しない重合体であり、その骨格をなす重合体は、(1)エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレンなどのような炭素原子数2〜6のオレフィン系化合物を主モノマーとして重合させるか、(2)ブタジエン、イソプレンなどのようなジエン系化合物を単独重合させ、あるいは、オレフイン系化合物とを共重合させた後、水素添加するなどの万法により得ることができるが、イソブチレン系重合体や水添ポリブタジエン系重合体は、末端に官能基を導入しやすく、分子量を制御しやすく、また、末端官能基の数を多<することができるので好まし<、イソブチレン系重合体が特に好ましい。
主鎖骨格が飽和炭化水素系重合体であるものは、耐熱性、耐候性、耐久性、及び、湿気遮断性に優れる特徴を有する。イソブチレン系重合体は、単量体単位のすべてがイソブチレン単位から形成されていてもよいし、他単量体との共重合体でもよいが、ゴム特性の面からイソブチレンに由来する繰り返し単位を50質量%以上含有するものが好まし<、80質量%以上含有するものがより好まし<、90〜99質量%含有するものが特に好ましい。
飽和炭化水素系重合体の合成法としては、従来、各種重合方法が報告されているが、特に近年多<のいわゆるリビング重合が開発されている。飽和炭化水素系重合体、特にイソブチレン系重合体の場合、Kennedyらによつて見出されたイニファー重合(J. P. Kennedyら、 J. Polymer Sci., Polymer Chem.Ed.1997年、15巻、2843頁)を用いることにより容易に製造することが可能であり、分子量500〜100,000程度を、分子量分布1.5以下で重合でき、分子末端に各種官能基を導入できることが知られている。
架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体の製法としては、たとえぱ、持公平4ー69659号、特公平7−1O8928号、特開昭63−254149号、特開昭64−229O4号、特開平1−1975O9号、特許公報第2539445号、特許公報第2873395号、特開平7−53882号の各明細書などに記戰されているが、特にこれらに限定されるものではない。
上記の架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体は、単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。
上記の架橋性珪素基を有する飽和炭化水素系重合体は、単独で使用してもよいし2種以上併用してもよい。
導電性硬化性組成物(A)において導電性を付与するには導電性フィラーを使用することができる。導電性フィラーとしては、導電性能を有する公知のフィラーを広く使用でき特に制限はない。導電フィラーの例としては、銀粉、銅粉、ニッケル粉、アルミ粉、及びこれらの銀メッキ粉等の金属粉や、銀コートガラス、銀コートシリカ、銀コートプラスチック等の金属コート粉、酸化亜鉛、酸化チタン、ITO、ATO等が挙げられる。これらの中では銀粉や銀コート粉が好ましい。
導電性フィラーの形状は特に制限はなく、フレーク状、粒状等の種々の形状が使用可能であるが、フレーク状と粒状の併用が好適である。フレーク状とは、扁平状、薄片状あるいは鱗片状と称するものも含まれ、球状や塊状等の立体形状のものを一方向に押し潰した形状のものである。また、粒状とは、フレーク化されていない全ての形状を意味するものであり、例えば、ブドウの房状に粉体が凝集した形状、球状、略球状、塊状、樹枝状、スパイク状、またこれらの形状を有する粉の混合物等が挙げられる。樹枝状とは、複数の桿状及び/又は鱗片状の小片が互いに結合している形状のものであり、樹枝状導電性フィラーとしては、例えば、特開2002−298654号公報や特開2013−100592記載のものが挙げられる。樹枝状導電性フィラーは三井金属(株)よりACAX−2、ACAX−3あるいはACBY−3として販売されている。
導電性フィラーの50%平均粒径は、0.5〜30μmが好適である。導電性接着剤における、導電性フィラーの配合割合は特に制限はないが、導電性接着剤の溶剤を含まない全含有量(固形分換算)の50質量%以上85質量%以下が好ましい。実質的に導電性を有しない硬化性組成物(B)においては導電性フィラーを添加する必要がないが、固形分換算で50質量%未満、好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下の導電性フィラーを含有してもよい。
本発明の導電性硬化性組成物(A)や導電性を有しない硬化性組成物(B)には、シラノール縮合触媒、充填剤、接着性付与剤、脱水剤、酸化防止剤、光安定剤、希釈剤、可塑剤、滑剤、顔料、発泡剤などを必要に応じて添加することができる。
シラノール縮合触媒は架橋性珪素基を有する有機重合体の架橋硬化を促進するための触媒である。シラノール縮合触媒の例としては、酸性触媒、塩基性触媒、錫化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物などが挙げられる。
前記錫化合物の例としては、ジメチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド等のジアルキル錫オキサイド、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物、オクチル酸錫及びナフテン酸錫等の錫化合物を挙げることができる。
前記チタン化合物の例としては、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、チタニウムジ−2−エチルヘキソキシビス(2−エチル−3−ヒドロキシヘキソキシド)、チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、等の有機チタン化合物を挙げることができる。
前記アルミニウム化合物の例としては、アルミニウムビス(エチルアセトアセテート)モノアセチルアセトネート、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
前記ジルコニウム化合物の例としては、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムトリブトキシモノステアレート等の有機ジルコニウム化合物を挙げることができる。
前記シラノール縮合触媒の配合割合は、特に限定されないが、硬化性組成物(A)や硬化性組成物(B)において、架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に対して、0.0001〜10質量部が好ましく、0.001〜5質量部がさらに好ましい。これらの硬化触媒は、単独で使用しても良く、2種以上併用しても良い。
前記充填剤の例としては、疎水性シリカ、親水性シリカおよびカーボンブラックの如き補強性充填剤;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、硬化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華およびシラスバルーン、などの如き充填剤;石綿、ガラス繊維およびフィラメントの如き繊維状充填剤等が使用できる。
導電性硬化性組成物(A)において、表面処理剤により疎水化処理された疎水性シリカや親水性シリカ等のシリカを使用することにより導電性の安定性に優れた接着剤組成物を得ることができる。シリカ微粉末が好ましく、平均粒径7〜16nmのシリカ微粉末がより好ましく、平均粒径7〜14nmのシリカ微粉末が最も好ましい。疎水性シリカや親水性シリカとしてはヒュームドシリカが好適である。導電性硬化性組成物(A)中のシリカの量は架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に対して、3〜20質量部、さらには、5〜10質量部が好ましい。上記シリカは、単独で使用しても良く、2種以上併用しても良い。
また、導電性を有しない硬化性組成物(B)において、炭酸カルシウムを使用することが好ましい。表面処理された粒径が0.5μm以下の炭酸カルシウムが好ましい。導電性を有しない硬化性組成物(B)中の炭酸カルシウムの量は架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に対して、1〜250質量部さらには、10〜200質量部が好ましい。上記シリカは、単独で使用しても良く、2種以上併用しても良い。
前記接着性付与剤は基材に対する接着性を向上させるためのものである。接着性付与剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミカップリング剤等が挙げられるが、好ましくはシランカップリング剤である。シランカップリング剤は架橋性珪素基と他の官能基を有する化合物である。
このようなシラン化合物としては、ビニルアルキル(炭素数1〜4)アルコキシ(炭素数1〜4)シラン(例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等)、(メタ)アクリロイロキシアルキル(炭素数1〜4)アルコキシ(炭素数1〜4)シラン(例えばγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等)、アルキル(炭素数1〜4)アルコキシ(炭素数1〜4)シラン(例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等)、アミノ(分子中に1〜4個)アルキル(炭素数2〜15)アルコキシ(炭素数1〜4)シラン(例えばγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルメチルジメトキシシラン等)、エポキシ(分子中に1〜4個)アルキル(炭素数1〜4)アルコキシ(炭素数1〜4)シラン(例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等)、メルカプト(分子中に1〜4個)アルキル(炭素数1〜4)アルコキシ(炭素数1〜4)シラン(例えばγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等)等が挙げられる。
これらの中ではアミノ基と架橋性珪素基を有するシランカップリング剤(以下、アミノシランともいう)が接着性改善効果が大きいので好ましい。また、アミノ基をケチミン化したケチミノシランのように、水と反応して、1分子中に少なくとも1個のアルコキシシリル基を有するアミン化合物を生成するアルコキシシラン化合物を使用することができる。水と反応して、1分子中に少なくとも1個のアルコキシシリル基を有するアミン化合物を生成するアルコキシシラン化合物はKBE−9103(信越化学工業株式会社製)、サイラエースS340(チッソ株式会社製)、Z−6860(東レ・ダウコーニング株式会社製)等として市販されている。
接着性付与剤の使用量は、架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に基づいて0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がさらに好ましい。これらの接着性付与剤は、2種以上併用して使用しても差し支えがない。
前記脱水剤は架橋性珪素基を有する有機重合体が保存中に架橋することを防止する。脱水剤としてシリケート挙げることができる。例えば、テトラアルコキシシランまたはその部分加水分解縮合物があげられ、より具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、エトキシトリメトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、メトキシトリエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン(テトラアルキルシリケート)、および、それらの部分加水分解縮合物が挙げられる。脱水剤として上記したシランカップリング剤を使用することができる。
脱水剤の配合割合は特に制限はないが、架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に対して、0.1〜50質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましい。脱水剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記酸化防止剤としては、p−フェニレンジアミン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤や、二次酸化防止剤としてリン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。酸化防止剤の添加量は、特に限定されないが、架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.5〜5質量部の範囲で使用できる。
前記光安定剤は各種のものが知られており、例えば大成社発行の「酸化防止剤ハンドブック」、シーエムシー化学発行の「高分子材料の劣化と安定化」(235〜242)等に記載された種々のものが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。光安定剤の中でも、紫外線吸収剤が好ましく、具体的には、チヌビンP、チヌビン234、チヌビン320、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン329、チヌビン213(以上いずれも日本チバガイギー社製)等のようなベンゾトリアゾール系化合物やチヌビン1577等のようなトリアジン系、CHIMASSORB81等のようなベンゾフェノン系、チヌビン120(日本チバガイギー社製)等のようなベンゾエート系化合物等が例示できる。
また、ヒンダードアミン系化合物も好ましく、そのような化合物は具体的には特開2006−274084号公報記載のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。更には紫外線吸収剤とヒンダードアミン系化合物の組み合わせはより効果を発揮することがあるため、特に限定はされないが併用しても良く、併用することが好ましいことがある。光安定剤は前述した酸化防止剤と併用してもよく、併用することによりその効果を更に発揮し、特に耐候性が向上することがあるため特に好ましい。予め光安定剤と酸化防止剤を混合してあるチヌビンC353、チヌビンB75(以上いずれも日本チバガイギー社製)などを使用しても良い。
光安定剤の使用量は、架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に対して0.1〜10質量部の範囲であることが好ましい。0.1質量部未満では耐候性を改善の効果が少なく、10質量部超では効果に大差がなく経済的に不利である。
前記希釈剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ガソリンから灯油留分にいたる石油系溶剤類、ジメチルアジペート(DMA)、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート(TXIB)、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエーテルエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素系溶剤等が挙げられる。希釈剤を使用する場合、架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に対し、通常0.5〜50質量部の範囲、好ましくは1〜30質量部の範囲で使用するのが良い。
前記可塑剤の具体例としては、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル、セバシン酸ジブチル等の脂肪族二塩基酸エステル類;ジエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル等のグリコールエステル類;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル等の脂肪族エステル類;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル等のリン酸エステル類;2塩基酸と2価アルコールとのポリエステル類等のポリエステル系可塑剤類;ポリプロピレングリコールやその誘導体等のポリエーテル類;パラフィン系炭化水素、ナフテン系炭化水素、パラフィン−ナフテン系混合炭化水素等の炭化水素系可塑剤類;塩素化パラフィン類;低分子量のアクリル酸エステル重合体等が挙げられる。これらの可塑剤は単独で使用してもよく、2種類以上併用してもよい。特にアクリル酸エステル重合体を使用すると硬化物の耐候性を改善することができる。
可塑剤を使用する場合、架橋性珪素基を有する有機重合体100質量部に対し、通常300質量部以下の範囲、好ましくは250質量部以下の範囲で使用するのが良い。300質量部を越える場合は硬化物からの可塑剤の染み出しなどが生じる場合があるため好ましくない。
本発明に使用する硬化性組成物(A)や硬化性組成物(B)を製造する方法は特に制限はなく、例えば、配合物質を所定量配合し、脱気攪拌することにより製造することができる。これらの硬化性組成物は、必要に応じて1液型とすることもできるし、多液型とすることもできるが、特に1液型として好適に用いることができる。本発明に使用する硬化性組成物は大気中の湿気により常温で硬化することが可能であり、必要に応じて、適宜、加熱により硬化を促進させてもよい。
図1に透明樹脂板上の給電部2と給電端子3の一例を示す斜視図を示す。図1には通電加熱用等の導電線は示していない。給電部2及び/又は給電端子3に架橋性珪素基を有する有機重合体を含有する導電性硬化性組成物(A)4が塗工され、硬化することによって給電端子が給電部に接着される。図2に示すように架橋性珪素基を有する有機重合体を含有する導電性硬化性組成物(A)の硬化物を被覆するように電気伝導性を有しない硬化性組成物(B)5が塗工され硬化される。
架橋性珪素基を有する有機重合体を含有する硬化性組成物は室温でも硬化するため、透明樹脂板を変形させることがない。もちろん透明樹脂板を変形させない範囲で加熱硬化してもよい。また、架橋性珪素基を有する有機重合体は塩素イオンの含量が小さいので銀と反応することがなく導電特性等の低下がない。
架橋性珪素基を有する有機重合体を含有する導電性硬化性組成物(A)の硬化物は高温耐湿性がないが、架橋性珪素基を有する有機重合体を含有する電気伝導性を有しない硬化性組成物(B)の硬化物で被覆することにより、高温耐湿性を付与できる。これは十分な導電性を有する硬化性組成物にするには多量の導電性フィラーの添加が必要であり、この場合硬化性組成物の高温耐湿性が低下するものと考えられる。実質的に電気伝導性を有しない硬化性組成物(B)は大量の導電性フィラーの添加が不要であり、同じ架橋性珪素基を有する有機重合体を使用しているにも関わらず、高温耐湿性を付与できるものと考えられる。
(合成例)
ポリオキシプロピレンジオールにナトリウムメトキシド(NaOMe)のメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、更に塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。未反応の塩化アリルを減圧脱揮により除去し、さらに生成した金属塩を水により抽出除去して、末端にアリル基を有するポリオキシプロピレンを得た。得られたアリル基末端ポリオキシプロピレンに対し、白金ビニルシロキサン錯体のイソプロパノール溶液を添加し、トリメトキシシランを反応させ、PPG(ポリプロピレングリコール)換算の質量平均分子量が約25000、1分子当たり1.5個の末端トリメトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン系重合体a1を得た。
ポリオキシプロピレンジオールにナトリウムメトキシド(NaOMe)のメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、更に塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。未反応の塩化アリルを減圧脱揮により除去し、さらに生成した金属塩を水により抽出除去して、末端にアリル基を有するポリオキシプロピレンを得た。得られたアリル基末端ポリオキシプロピレンに対し、白金ビニルシロキサン錯体のイソプロパノール溶液を添加し、トリメトキシシランを反応させ、PPG(ポリプロピレングリコール)換算の質量平均分子量が約25000、1分子当たり1.5個の末端トリメトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン系重合体a1を得た。
a1の合成で使用したポリオキシプロピレンジオールより分子量が小さいポリオキシプロピレンジオールにナトリウムメトキシド(NaOMe)のメタノール溶液を添加してメタノールを留去し、更に塩化アリルを添加して末端の水酸基をアリル基に変換した。未反応の塩化アリルを減圧脱揮により除去し、さらに生成した金属塩を水により抽出除去して、末端にアリル基を有するポリオキシプロピレンを得た。得られたアリル基末端ポリオキシプロピレンに対し、白金ビニルシロキサン錯体のイソプロパノール溶液を添加し、トリメトキシシランを反応させ、PPG換算の質量平均分子量が約15000、1分子当たり1.5個の末端トリメトキシシリル基を有するポリオキシプロピレン系重合体a2を得た。
フラスコに溶剤である酢酸エチル40質量部、メチルメタクリレート59質量部、2−エチルヘキシルメタクリレート25質量部、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン22質量部、及び金属触媒としてルテノセンジクロライド0.1質量部を仕込み窒素ガスを導入しながら80℃に加熱した。ついで、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン8質量部をフラスコ内に添加し80℃で6時間反応を行った。室温に冷却後、ベンゾキノン溶液(95%THF溶液)を20質量部添加して重合を停止した。溶剤および未反応物を留去し、ポリスチレン換算の質量平均分子量が約6000であり、Tgが61.2℃であるトリメトキシシリル基を有するアクリル酸エステル系重合体a3を得た。
オキシプロピレン系重合体a1を60質量部、オキシプロピレン系重合体a2を15質量部及びアクリル酸エステル系重合体a3を25質量部を混合し重合体混合物aを得た。
(導電性硬化性組成物(A1)の調製)
表1に示した架橋性珪素基を有する重合体100質量部に、酸化防止剤3質量部、老化防止剤3質量部、充填剤5質量部を攪拌混合機にて攪拌・脱泡した後、100℃にて1時間加熱脱水して50℃以下まで冷却した。続いて希釈剤30質量部、脱水剤2質量部、フレーク状銀粉300質量部、粒状銀粉200質量部、接着性付与剤6質量部、硬化触媒2質量部を加え、撹拌・脱泡して導電性硬化性組成物(A1)を得た。
表1に示した架橋性珪素基を有する重合体100質量部に、酸化防止剤3質量部、老化防止剤3質量部、充填剤5質量部を攪拌混合機にて攪拌・脱泡した後、100℃にて1時間加熱脱水して50℃以下まで冷却した。続いて希釈剤30質量部、脱水剤2質量部、フレーク状銀粉300質量部、粒状銀粉200質量部、接着性付与剤6質量部、硬化触媒2質量部を加え、撹拌・脱泡して導電性硬化性組成物(A1)を得た。
(導電性でない硬化性組成物(B1)の調製)
銀粉に代えて表1に示した炭酸カルシウムを使用する以外は導電性硬化性組成物(A)の調製と同様に導電性でない硬化性組成物(B1)を得た。
銀粉に代えて表1に示した炭酸カルシウムを使用する以外は導電性硬化性組成物(A)の調製と同様に導電性でない硬化性組成物(B1)を得た。
(導電性でない硬化性組成物(B2)の調製)
表1に示した添加成分を使用する以外は導電性硬化性組成物(B1)の調製と同様に導電性でない硬化性組成物(B2)を得た。
表1に示した添加成分を使用する以外は導電性硬化性組成物(B1)の調製と同様に導電性でない硬化性組成物(B2)を得た。
*1 架橋性珪素基を有するオキシアルキレン重合体と架橋性珪素基を有するアクリル酸エステル重合体の混合物、MA440、(株)カネカ製
*2 シルコートAgC−B、福田金属箔粉工業(株)製
*3 シルコートAgC−G、福田金属箔粉工業(株)製
*4 レオロシールQS−20、(株)トクヤマ製
*5 ホワイトンSB、
*6 カルファイン500、
*7 KBM−903、信越化学工業(株)製
*8 KBM−603、信越化学工業(株)製
*9 ネオスタンU−830、日東化成(株)製
*10 ネオスタンS−1、日東化成(株)製
*11 エチルシリケート28、コルコート(株)製
*12 KBM−1003、信越化学工業(株)製
*13 カクタスノルマルパラフィンN−11、(株)ジャパンエナジー製
*14 イルガノックス245、BASF製
*15 チヌビン765、BASF製
*2 シルコートAgC−B、福田金属箔粉工業(株)製
*3 シルコートAgC−G、福田金属箔粉工業(株)製
*4 レオロシールQS−20、(株)トクヤマ製
*5 ホワイトンSB、
*6 カルファイン500、
*7 KBM−903、信越化学工業(株)製
*8 KBM−603、信越化学工業(株)製
*9 ネオスタンU−830、日東化成(株)製
*10 ネオスタンS−1、日東化成(株)製
*11 エチルシリケート28、コルコート(株)製
*12 KBM−1003、信越化学工業(株)製
*13 カクタスノルマルパラフィンN−11、(株)ジャパンエナジー製
*14 イルガノックス245、BASF製
*15 チヌビン765、BASF製
(実施例1)
図1に示した形状の金メッキ銅製の給電端子(基部の大きさ35mm☓15mm)を銀コートしたポリカーボネート板に導電性硬化性組成物(A1)を用いて接着した。室温で硬化後、導電性でない硬化性組成物(B1)を用いて図2のように導電性硬化性組成物(A1)の硬化物を被覆した。室温で硬化後、給電端子が接着されたポリカーボネート板を高温耐湿性の評価を、摂氏100度で5時間水中で煮沸して行った。煮沸前に比較し給電端子とポリカーボネート板の接着は強度は同程度であった。
図1に示した形状の金メッキ銅製の給電端子(基部の大きさ35mm☓15mm)を銀コートしたポリカーボネート板に導電性硬化性組成物(A1)を用いて接着した。室温で硬化後、導電性でない硬化性組成物(B1)を用いて図2のように導電性硬化性組成物(A1)の硬化物を被覆した。室温で硬化後、給電端子が接着されたポリカーボネート板を高温耐湿性の評価を、摂氏100度で5時間水中で煮沸して行った。煮沸前に比較し給電端子とポリカーボネート板の接着は強度は同程度であった。
(実施例2)
導電性でない硬化性組成物(B2)を用いることを除き、実施例1と同様に給電端子と銀コートしたポリカーボネート板を接着し、高温耐湿性を評価した。実施例1と同様の結果が得られた。
導電性でない硬化性組成物(B2)を用いることを除き、実施例1と同様に給電端子と銀コートしたポリカーボネート板を接着し、高温耐湿性を評価した。実施例1と同様の結果が得られた。
(比較例1)
実施例1において導電性硬化性組成物(A1)を用いて給電端子とポリカーボネート板を接着し硬化した。給電端子が接着された銀コートしたポリカーボネート板の高温耐湿性の評価を行った。給電端子と銀コートしたポリカーボネート板は接着界面で剥離していた。
実施例1において導電性硬化性組成物(A1)を用いて給電端子とポリカーボネート板を接着し硬化した。給電端子が接着された銀コートしたポリカーボネート板の高温耐湿性の評価を行った。給電端子と銀コートしたポリカーボネート板は接着界面で剥離していた。
1 透明樹脂板
2 給電部
3 給電端子
4 導電性硬化性組成物
5 電気伝導性を有しない硬化性組成物
2 給電部
3 給電端子
4 導電性硬化性組成物
5 電気伝導性を有しない硬化性組成物
Claims (1)
- 透明樹脂板上に導電部が形成されるとともに、該導電部の給電部に給電端子が導電性硬化性組成物を用いて接続され、該給電端子を介して電流が前記導電部に供給される透明樹脂板の電気接続構造において、
前記導電性硬化性組成物が、珪素原子に結合した加水分解性基を有しシロキサン結合を形成することにより架橋しうる架橋性珪素基を有する有機重合体を含有する導電性硬化性組成物(A)であり、
前記導電性硬化性組成物(A)の硬化物が珪素原子に結合した加水分解性基を有しシロキサン結合を形成することにより架橋しうる架橋性珪素基を有する重合体を含有し、実質的に電気伝導性を有しない硬化性組成物(B)の硬化物によって被覆されていることを特徴とする電気接続構造。
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JP2016091218A JP2017197686A (ja) | 2016-04-28 | 2016-04-28 | 導電体を有する透明樹脂板の電気接続構造 |
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JP2017197686A true JP2017197686A (ja) | 2017-11-02 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019112566A (ja) * | 2017-12-25 | 2019-07-11 | セメダイン株式会社 | 導電性接着剤 |
JP2021166268A (ja) * | 2020-04-08 | 2021-10-14 | 株式会社東芝 | 超電導コイル |
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2016
- 2016-04-28 JP JP2016091218A patent/JP2017197686A/ja active Pending
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JP7395412B2 (ja) | 2020-04-08 | 2023-12-11 | 株式会社東芝 | 超電導コイル |
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