JP2017111241A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 機内温度を精度良く予測し、ユーザビリティーの低下を抑制する画像形成装置を提供する。【解決手段】 本発明の画像形成装置は、定着手段を含む画像形成手段と、環境の温度を検知する第1の検知手段と、温度変化特性を示すデータを記憶する記憶手段と、記録材の昇温量を検知する第2の検知手段と、前記画像形成手段によって記録材の両面に画像を形成する場合、前記記録材の昇温量に基づいて、前記データを調整する調整手段と、前記環境の温度と、調整された前記データに基づいて、前記画像形成装置の内部の温度を予測する予測手段と、予測された前記温度が所定の閾値に到達したと判断すると、単位時間当たりに前記画像形成手段によって画像が形成される記録材の枚数が少なくなるように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。【選択図】 図7
Description
本発明は、電子写真方式の画像形成装置において、機内の温度を予測する技術に関するものである。
複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置においては、連続して記録材に画像形成動作を実行すると、機内温度が昇温する。ここで画像形成装置の機内が過度に昇温すると、記録材に形成される画像の品質に影響を及ぼすことがある。
昇温によって画像の品質に影響を及ぼす部材の一例として、感光ドラムや中間転写ベルトなどの像担持体に残ったトナーをクリーニングするクリーニングブレードがある。ブレードは像担持体に当接することで、記録材に転写されずに像担持体に残ったトナーをクリーニングすることができるが、摩擦の影響によって昇温する。トナーは熱によって溶ける性質を持つため、ブレードの温度がトナーの融点付近に到達すると、ブレードの先端においてトナーの融着が発生し、クリーニング不良を引き起こす。つまり、溶けたトナーがブレードを通過し、次に形成される画像の品質に影響を及ぼすことがある。
特許文献1には、画像形成装置の機内温度を予測し、温度に応じて装置の動作モードを切り替える制御が記載されている。特許文献1では、画像形成装置の周囲の環境温度と予め設定された動作モード毎の昇温プロファイルに基づき、ブレードの温度を予測している。そして、ブレードの温度が前述したクリーニング不良を引き起こす可能性のある温度まで昇温する前に、装置の動作モードをブレードの昇温を抑制する昇温保護モードに切り替える。これによってブレードの過度な昇温を防いでいる。ここで、昇温保護モードとは、画像形成動作と休止動作を一定時間ごとに繰り返す間欠運転などが対応し、通常の動作モードに比べてスループットが低下する。
ここで、記録材に両面印刷を実行する場合、機内温度を予測する上では一度定着部を通過して温度が上昇した記録材から、画像形成装置のプロセス部材に伝わる熱量を考慮する必要がある。例えば、特許文献1に記載されたタンデム式のカラーレーザビームプリンタの場合、1面目にトナー像が定着され暖められた記録材が二次転写ニップ部を通過することにより、記録材がもつ熱量が中間転写ベルトに伝わる。中間転写ベルトが昇温すると、それに伴ってベルトクリーナも昇温する。従って、記録材に両面印刷を実行する場合は、記録材に片面印刷を実行する場合に比べて、画像形成装置の機内温度が昇温するスピードが速くなる。
ところで、実際に記録材からプロセス部材に伝わる熱量は、1面目にトナー像が定着された記録材がどの程度昇温したかによって変化する。記録材がどの程度昇温したかは、記録材の種類やサイズ、個体バラつきなど様々な要因によって変化するため、予測することは困難である。従って、複数ある条件の中から最も昇温するスピードが速い条件に対応した昇温プロファイルを設定することが一般的である。
このような昇温プロファイルを設定した場合、多くの使用環境において機内温度が画像品質に影響を及ぼす温度まで昇温していないにもかかわらず、装置の動作モードが昇温保護モードに切り替わる。つまり、マージンをもった早いタイミングで画像形成装置のスループットが低下することになり、ユーザビリティーが低下していた。
本発明の目的は、機内温度を精度良く予測し、ユーザビリティーの低下を抑制する画像形成装置を提供することである。
上記の目的を達成するための本発明の画像形成装置は、記録材を加熱して記録材に画像を定着する定着手段を含み、記録材に画像を形成する画像形成手段と、を有する画像形成装置において、前記画像形成装置が設置されている環境の温度を検知する第1の検知手段と、前記画像形成装置の内部の温度変化特性を示すデータを記憶する記憶手段と、前記定着手段によって加熱され画像が定着されたことによる記録材の昇温量を検知する第2の検知手段と、前記画像形成手段によって記録材の両面に画像を形成する場合、前記第2の検知手段によって検知された前記記録材の昇温量に基づいて、前記記憶手段に記憶された前記データを調整する調整手段と、前記第1の検知手段によって検知された前記環境の温度と、前記調整手段によって調整された前記データに基づいて、前記画像形成装置の内部の温度を予測する予測手段と、前記予測手段によって予測された前記温度が所定の閾値に到達したと判断すると、単位時間当たりに前記画像形成手段によって画像が形成される記録材の枚数が少なくなるように制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、機内温度を精度良く予測し、ユーザビリティーの低下を抑制する画像形成装置を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。なお、以下に示す実施例は一例であって、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
(画像形成装置の構成)
本実施例では、画像形成装置として電子写真方式のレーザビームプリンタ1(以下、プリンタ1と表記する)を示す。図1は、本実施例におけるプリンタ1の構成図である。
本実施例では、画像形成装置として電子写真方式のレーザビームプリンタ1(以下、プリンタ1と表記する)を示す。図1は、本実施例におけるプリンタ1の構成図である。
プリンタ1は、タンデム式のカラープリンタであり、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のトナー(現像剤)を重ね合わせることで、記録材Pにカラー画像を形成することができる。2は記録材Pを収納するカセットである。3はプリンタ1の動作を制御する制御部であり、CPU80とROM81を有している。制御部3の機能について詳しくは後述する。4はカセット2から記録材Pを供給する供給ローラである。5は供給ローラ4によって供給された記録材Pを搬送する搬送ローラであり、6は搬送ローラ5に対向する搬送対向ローラである。
11Y、11M、11C、11Kは、各色のトナーを担持する感光ドラムである。12Y、12M、12C、12Kは、感光ドラム11Y、11M、11C、11Kを一様に所定の電位に帯電する帯電ローラである。13Y、13M、13C、13Kは、帯電された感光ドラム11Y、11M、11C、11Kに各色の画像データに対応したレーザ光を照射し、静電潜像を形成する光学ユニットである。14Y、14M、14C、14Kは、感光ドラム11Y、11M、11C、11Kに形成された静電潜像を可視化し、トナー像を形成する現像ユニットである。15Y、15M、15C、15Kは、現像ユニット14Y、14M、14C、14K内のトナーを感光ドラム11Y、11M、11C、11Kへ送り出す現像剤搬送ローラである。16Y、16M、16C、16Kは、感光ドラム11Y、11M、11C、11Kに形成されたトナー像を中間転写ベルト17に一次転写する一次転写ローラである。10Y、10M、10C、10Kは、一次転写の後に感光ドラム11Y、11M、11C、11Kに残ったトナーを除去するためのドラムクリーナである。
18は中間転写ベルト17を駆動する駆動ローラであり、25は中間転写ベルト17にテンションをかけるテンションローラである。19は中間転写ベルト17に一次転写されたトナー像を、搬送されてきた記録材Pに二次転写する二次転写ローラ(転写部)であり、20は二次転写ローラ19に対向する二次転写対向ローラである。28は二次転写の後に中間転写ベルト17に残ったトナーを除去するためのベルトクリーナである。21は、記録材Pを搬送しつつ、記録材Pに二次転写されたトナー像を記録材Pに定着する定着ユニット(定着部)である。22は、定着ユニット21によって、トナー像が定着された記録材Pをプリンタ1の外部へ排出する排出ローラである。
91はフラッパ、92は反転ローラ、93と94は両面搬送ローラであり、記録材Pに対して両面印刷を実行する場合に用いられる。90は超音波センサであり、送信部31と受信部32を有する。超音波センサ90は記録材Pの特性として記録材Pの坪量を検知することができる。95は環境センサであり、プリンタ1が設置されている周囲の環境(温度、湿度)を検知することができる。プリンタ1の機内温度に影響されず周囲の環境を検知できるように、環境センサ95の近くにファン(不図示)を設けて、外気を積極的に取り込むようにしても良い。これらの部材の詳細な説明については後述する。
(画像形成装置の動作)
次に、プリンタ1の画像形成動作について説明する。まず、不図示のホストコンピュータ等から制御部3に、画像形成命令や画像データが入力される。すると、プリンタ1は画像形成動作を開始し、記録材Pは供給ローラ4によってカセット2から供給される。記録材Pは、中間転写ベルト17上に形成されるトナー像とタイミングが合うように、二次転写ローラ19及び二次転写対向ローラ20によって形成される二次転写ニップ部(不図示)へ向けて搬送ローラ5及び搬送対向ローラ6によって搬送される。
次に、プリンタ1の画像形成動作について説明する。まず、不図示のホストコンピュータ等から制御部3に、画像形成命令や画像データが入力される。すると、プリンタ1は画像形成動作を開始し、記録材Pは供給ローラ4によってカセット2から供給される。記録材Pは、中間転写ベルト17上に形成されるトナー像とタイミングが合うように、二次転写ローラ19及び二次転写対向ローラ20によって形成される二次転写ニップ部(不図示)へ向けて搬送ローラ5及び搬送対向ローラ6によって搬送される。
記録材Pがカセット2から供給される動作と共に、感光ドラム11Y、11M、11C、11Kは帯電ローラ12Y、12M、12C、12Kによって一定の電位に帯電される。そして、入力された画像データにあわせて光学ユニット13Y、13M、13C、13Kは、帯電された感光ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面をレーザビームによって露光して静電潜像を形成する。静電潜像を可視化するために、現像ユニット14Y、14M、14C、14K及び現像剤搬送ローラ15Y、15M、15C、15Kによって現像を行う。感光ドラム11Y、11M、11C、11Kの表面に形成された静電潜像は、現像ユニット14Y、14M、14C、14Kにより夫々の色で現像される。感光ドラム11Y、11M、11C、11Kは、夫々中間転写ベルト17と接触しており、中間転写ベルト17の回転と同期して回転する。現像された各色のトナー像は、一次転写ローラ16Y、16M、16C、16Kにより中間転写ベルト17に順番に一次転写される。中間転写ベルト17に一次転写されず感光ドラム11Y、11M、11C、11Kに残ったトナーはドラムクリーナ10Y、10M、10C、10Kによってクリーニングされる。
そして、二次転写ローラ19及び二次転写対向ローラ20により中間転写ベルト17に形成されたトナー像は記録材Pに二次転写される。記録材Pに二次転写されたトナー像は、定着ローラ等から構成される定着ユニット21によって加熱、加圧されることにより、記録材Pに定着される。記録材Pに二次転写されず中間転写ベルト17に残ったトナーはベルトクリーナ28によってクリーニングされる。
記録材Pの裏面に画像形成を行わない場合は、画像が定着された記録材Pをフラッパ91により排出ローラ22が設けられた搬送路へ導き、排出トレイ26に排出する。この搬送路は図1において実線で示される。一方、記録材Pの裏面にも画像形成を行う場合は、記録材Pをフラッパ91により反転ローラ92が設けられた搬送路へ導く。この搬送路は図1において点線で示される。反転ローラ92は記録材Pを外部に排出する方向に搬送し、記録材Pの後端(記録材Pの搬送方向の上流側の端部)がフラッパ91を通過してから所定時間が経過後に逆回転する。そして、反転ローラ92は記録材Pを両面搬送ローラ93へ搬送する。両面搬送ローラ93は記録材Pを両面搬送ローラ94へ搬送し、記録材Pは両面搬送ローラ94でニップされた状態で一旦停止する。その後、記録材Pは所定のタイミングで搬送ローラ5及び搬送対向ローラ6へ再搬送され、表面と同様に画像形成が行われる。以上の動作によって記録材Pに両面印刷を実行することができる。
(制御部の機能ブロック図)
次に、制御部3の機能について説明する。図2は本実施例における制御部3の機能ブロック図である。これらの機能は制御部3に搭載されたCPU80がROM81に記憶されているプログラムを実行することで実現される。
次に、制御部3の機能について説明する。図2は本実施例における制御部3の機能ブロック図である。これらの機能は制御部3に搭載されたCPU80がROM81に記憶されているプログラムを実行することで実現される。
図2に示す通り、制御部3は昇温保護制御部40と超音波センサ制御部30(以下、センサ制御部30と表記する)を有している。この内、昇温保護制御部40は、記録材Pに対する画像形成動作が実行された場合にプリンタ1の機内(内部)が過度に昇温することを防ぐ。昇温保護制御部40は、機内温度設定部41、機内温度予測部42、昇温保護判断部43を有している。詳しくは後述するが、機内温度設定部41は環境センサ95によって検知したプリンタ1の周囲の温度や湿度に基づいて、記録材Pに対する画像形成動作を開始する時点における機内温度を設定する。そして、機内温度予測部42は記録材Pに対する画像形成動作が開始されると、予め設定された動作モード毎の昇温プロファイルに基づいて機内温度がどの程度昇温するか予測する。
本実施例においては、プリンタ1の機内温度を精度良く予測するために、画像が形成された記録材Pが実際にどの程度昇温したかを検知している。センサ制御部30は記録材温度算出部36を有しており、超音波センサ90の動作を制御しつつ、超音波センサ90から得られた検知結果によって記録材Pの昇温量を検知している。前述した機内温度予測部42は、センサ制御部30から通知された記録材Pの昇温量に基づいて、機内温度がどの程度昇温するか予測する。昇温保護判断部43は機内温度予測部42によって予測された機内温度が所定の閾値に達しているか否かを判断し、達していると判断した場合にはプリンタ1の動作モードを昇温保護モードに切り替える。ここで、昇温保護モードとは、画像形成動作と休止動作を一定時間ごとに繰り返す間欠運転などが対応し、通常の動作モードに比べてスループットが低下する。
以下、超音波センサ90によって記録材Pの坪量と記録材Pの昇温量を検知する方法について説明する。
(超音波センサの構成)
超音波センサ90について説明する。超音波センサ90は記録材Pの坪量を検知することができる。ここでいう坪量とは、記録材Pの単位面積当たりの質量であり、単位は[g/m2]で表わされる。図1のプリンタ1において、記録材Pの坪量を検知する超音波センサ90は、二次転写ローラ19及び二次転写対向ローラ20よりも記録材Pの搬送方向において上流側に配置されている。
超音波センサ90について説明する。超音波センサ90は記録材Pの坪量を検知することができる。ここでいう坪量とは、記録材Pの単位面積当たりの質量であり、単位は[g/m2]で表わされる。図1のプリンタ1において、記録材Pの坪量を検知する超音波センサ90は、二次転写ローラ19及び二次転写対向ローラ20よりも記録材Pの搬送方向において上流側に配置されている。
超音波センサ90は超音波を送信する送信部31と超音波を受信する受信部32を有しており、記録材Pを搬送する搬送路を挟むように送信部31と受信部32が配置されている。また、送信部31は二次転写ローラ19と共に二次転写ユニット23により保持されている。二次転写ユニット23は、回転軸24を支点に開閉動作が可能であり、これにより、搬送中の記録材Pが二次転写ユニット23付近で滞留した場合でも、ユーザにより滞留した記録材Pを簡単に除去することができる。また、制御部3は前述した通り、超音波の送受信動作や記録材Pの坪量の検知動作を行うセンサ制御部30を備えている。制御部3は、センサ制御部30によって得られた坪量の検知結果に応じて、様々な画像形成条件の制御を行っている。ここでいう画像形成条件とは、例えば記録材Pの搬送速度、一次転写ローラ16や二次転写ローラ19に印加する電圧値、定着ユニット21で記録材Pに画像を定着する際の温度等である。さらに制御部3は、画像形成条件として画像を転写する際における一次転写ローラ16や二次転写ローラ19の回転速度を制御してもよい。さらに制御部3は、画像形成条件として画像を定着する際における定着ユニット21が有する定着ローラの回転速度を制御してもよい。
送信部31と受信部32は同様の構成であり、機械的変位と電気信号の相互変換素子である圧電素子(ピエゾ素子ともいう)及び電極端子から成る。送信部31では、電極端子に所定周波数のパルス電圧を入力すると圧電素子が発振して音波が発生する。途中に記録材Pが存在する場合、発生した音波は空気中を伝わり、記録材Pに到達する。音波が記録材Pまで到達すると、音波によって記録材Pが振動する。記録材Pが振動することにより音波が伝達され、さらに、音波は空気中を伝わって受信部32に到達する。このように、送信部31から送信された音波は、記録材Pを介して減衰し、受信部32に到達する。受信部32の圧電素子は、受信した音波の振幅に応じた電圧値を電極端子に出力する。これが圧電素子を用いて超音波を送受信する場合の動作原理である。
(超音波センサ制御部のブロック図)
次に、超音波センサ90を用いた記録材Pの坪量の検知方法について、図3(a)のブロック図を用いて説明する。本実施例では、送信部31および受信部32は、32kHzの周波数の超音波を送受信する。超音波の周波数は予め設定されるものであり、送信部31及び受信部32の構成、検知精度等に応じて適切な範囲の周波数を選択すればよい。センサ制御部30は、超音波を送信するための駆動信号を生成し、駆動信号を増幅する機能を持った送信制御部33、受信部32で受信した超音波を電圧値として検知し、信号を処理する機能を持った受信制御部34を有する。さらに、センサ制御部30は各部の制御及び記録材Pの坪量の検知を行う検知制御部60を有する。
次に、超音波センサ90を用いた記録材Pの坪量の検知方法について、図3(a)のブロック図を用いて説明する。本実施例では、送信部31および受信部32は、32kHzの周波数の超音波を送受信する。超音波の周波数は予め設定されるものであり、送信部31及び受信部32の構成、検知精度等に応じて適切な範囲の周波数を選択すればよい。センサ制御部30は、超音波を送信するための駆動信号を生成し、駆動信号を増幅する機能を持った送信制御部33、受信部32で受信した超音波を電圧値として検知し、信号を処理する機能を持った受信制御部34を有する。さらに、センサ制御部30は各部の制御及び記録材Pの坪量の検知を行う検知制御部60を有する。
検知制御部60より測定開始を示す信号が駆動信号制御部341に入力される。駆動信号制御部341は入力信号を受け取ると、所定周波数の超音波を送信するために、駆動信号生成部331に対して、駆動信号の生成を指示する。駆動信号生成部331では、予め設定された周波数を持つ信号を生成し、出力する。駆動信号生成部331により生成される駆動信号の波形を図4(a)に示す。本実施例では、1回の測定で、32[kHz]のパルス波を5パルス連続して出力する。そして、所定の時間、パルス波の出力を休止して、音波が十分に減衰してから再度パルス波を出力して次の測定を行う。これにより、記録材Pや周囲の部材による反射波等の外乱の影響を低減して、送信部31が照射した直接波のみを受信部32で受信できる。このような信号はバースト波と呼ばれている。増幅部332は、信号のレベル(電圧値)を増幅し、送信部31へ出力する。
受信部32は、送信部31から送信された超音波、または、記録材Pを介して減衰した超音波を受信して、受信制御部34の検知回路342に受信信号を出力する。図3(b)に示すように、検知回路342は増幅部351と半波整流部352を有している。本実施例において増幅部351は、送信部31と受信部32との間の検知位置200に記録材Pが存在しない状態と、記録材Pが存在する状態で受信信号の増幅率を可変できるようにしている。ここで、検知位置200とは、記録材Pが搬送される領域に存在する仮想的な位置であり、送信部31から送信された超音波が照射される位置である。記録材Pが検知位置200に搬送されると、送信部31から送信された超音波は記録材Pに到達する。そして、受信部32は記録材Pを介して減衰した超音波を受信することができる。例えば、図3(a)に示すように送信部31の中心と受信部32の中心を結ぶ仮想的な線100と記録材Pが搬送される領域が交わる位置を検知位置200とすることができる。記録材Pは搬送ローラ5及び搬送対向ローラ6によって検知位置200に搬送される。また、半波整流部352は、増幅部351において増幅された信号に対して半波整流を行っている。しかしながら、それぞれこれに限定されるものではない。
図4(b)に受信部32での受信信号の波形、図4(c)に半波整流後の信号の波形を示す。検知回路342で生成された信号はA−D変換部343でアナログ信号からデジタル信号へ変換される。ピーク検知部344では、変換されたデジタル信号に基づいて信号のピーク値(極大値)を検知する。タイマ345では、駆動信号制御部341が駆動信号の生成を指示したタイミングでカウントが開始され、ピーク検知部344がピーク値を検知するまでの時間を測定する。そして、ピーク検知部344が検知した値と、タイマ345によって測定された時間はそれぞれ記憶部346に保存される。
以上の動作を、送信部31と受信部32の間の検知位置200に記録材Pが存在しない状態と、記録材Pが存在する状態でそれぞれ所定の間隔で所定回数実施する。演算部347では、記録材Pが存在しない状態でのピーク値の所定回数の平均値Vaと、記録材Pが存在する状態でのピーク値の所定回数の平均値Vpの比から演算係数を算出する。本実施例では、演算係数をVp/Vaの計算式によって算出する。演算係数は坪量に相当する値であり、演算部347で算出された演算係数に基づいて、検知制御部60は記録材Pの坪量を検知する。制御部3は坪量の検知結果に基づきプリンタ1の画像形成条件を制御する。また、制御部3は検知制御部60によって記録材Pの坪量を検知することなく、演算係数の値から直接的にプリンタ1の画像形成条件を制御してもよい。
本実施例における記録材Pの受信信号の波形を図5に示す。使用した記録材Pは坪量60[g/m2]の記録紙である(以下、単に紙と記載する)。横軸は送信部31から超音波を送信してからの経過時間に相当するカウンタ、縦軸は超音波の振幅に相当する出力値である。本実施例では、タイマ345のカウンタ周波数は3[MHz](0.333[μsec]間隔)、ピーク検知部344の分解能はAD12ビットの3.3[V](0.806[mV]間隔)である。また、送信部31と受信部32との間の検知位置200に紙が存在する状態でも安定したデータを取得できるように、紙が存在する状態における検知回路342の増幅率を16倍に設定している。実線、破線の波形は夫々、紙なし時、紙あり時の波形を表わしている。以下、紙なしとは送信部31と受信部32との間の検知位置200に紙が存在しない状態を示し、紙ありとは送信部31と受信部32との間の検知位置200に紙が存在する状態を示す。
図5において周期的にピーク値があらわれるのはバースト波を入力しているためである。また、紙の有無によってピーク値が検知されるタイミングが異なっているのは、紙があることによって超音波が減衰し、超音波の速度が遅くなるためである。図5が示すように、最初の2つのピーク値(図のn=1、2)の値は小さく、紙の有無、種類により安定したピーク値が得られない場合がある。一方で、超音波を送信してから所定時間が経過すると反射波などの外乱の影響を受けるため、必要な振幅を得られる範囲で可能な限り早いピーク値を取得することが望ましい。従って、本実施例では図5のn=3のピーク値を用いて坪量検知を行う。
(記録材の温度と演算係数の関係)
実際に本実施例の構成で得られた記録材Pの温度と演算係数の関係を図6(a)に示す。使用した記録材Pは坪量75[g/m2]の紙と、坪量52[g/m2]の紙である。また、これらの紙の温度は15℃、23.5℃、30℃の3段階で測定している。
実際に本実施例の構成で得られた記録材Pの温度と演算係数の関係を図6(a)に示す。使用した記録材Pは坪量75[g/m2]の紙と、坪量52[g/m2]の紙である。また、これらの紙の温度は15℃、23.5℃、30℃の3段階で測定している。
図6(a)に示す通り、紙の温度と演算係数は線形性を保っていることが分かる。そのため、紙の温度差は同一の紙の演算係数の差分と対応付けることができる。また、紙の温度が高いと演算係数は小さくなり、紙の温度が低いと演算係数は大きくなっている。この理由は、紙が熱を持つことにより周囲の気温が上昇し、空気密度が低下するためである。
図6(b)は坪量75[g/m2]の紙の両面に画像を定着する際に、1面目に画像を定着する前と2面目に画像を定着する前それぞれについて演算係数を算出した結果を示すものである。以下、1面目に画像を定着する前に算出した演算係数を1面目の演算係数、1面目に画像を定着した後であって、2面目に画像を定着する前に算出した演算係数を2面目の演算係数と定義する。図6(b)において、2面目の演算係数は1面目に比べ小さくなっている。これは、定着ユニット21から得た熱によって紙の温度が上昇しているためである。従って、本実施例の構成で演算係数を算出することで、1面目と2面目の演算係数の差分に基づき紙の昇温量を求めることができる。
本実施例においては、便宜上1面目と2面目の演算係数の差分の絶対値を0.01で割ると紙の昇温量を求めることができる関係にある。例えば、図6(b)の場合、(0.99−0.83)÷0.01=16、従って昇温量は16℃となる。昇温量の大きさは記録材Pの1面目に画像を定着する際の定着温度や記録材Pの熱容量などによって異なるが、定着ユニット21を通過することによって記録材Pの温度は上昇する。尚、本実施例では演算係数の差分と昇温量の関係が温度値に関係なく1:100で一定である場合を例に説明している。しかし、状況によっては演算係数の差分と昇温量は本例とは異なった関係になることがある。そのような場合でも、演算係数から昇温量を求める方法を実情に合わせて設定することで、各種状況に対応できる。
(昇温保護制御)
次に、図2に記載した昇温保護制御部40について詳細に説明する。昇温保護制御部40は、記録材Pに両面印刷を実行する場合にプリンタ1の機内が過度に昇温することを防いでいる。プリンタ1の機内が過度に昇温すると、記録材Pに形成される画像の品質に影響を及ぼすことがあるためである。本実施例においては、プリンタ1の機内温度として、プロセス部材であるドラムクリーナ10Y、10M、10C、10Kやベルトクリーナ28の温度に着目する。
次に、図2に記載した昇温保護制御部40について詳細に説明する。昇温保護制御部40は、記録材Pに両面印刷を実行する場合にプリンタ1の機内が過度に昇温することを防いでいる。プリンタ1の機内が過度に昇温すると、記録材Pに形成される画像の品質に影響を及ぼすことがあるためである。本実施例においては、プリンタ1の機内温度として、プロセス部材であるドラムクリーナ10Y、10M、10C、10Kやベルトクリーナ28の温度に着目する。
図1に記載されたドラムクリーナ10Y、10M、10C、10K及びベルトクリーナ28は、クリーニングする対象の像担持体に対してブレードを当接させることで、転写されずに像担持体に残ったトナーをクリーニングしている。この時、ブレードは像担持体と摺擦するため、摩擦の影響によって昇温する。トナーは熱によって溶ける性質を持つため、ブレードの温度がトナーの融点付近に到達すると、ブレードの先端においてトナーの融着が発生し、クリーニング不良を引き起こす。つまり、溶けたトナーがブレードを通過し、次に形成される画像の品質に影響を及ぼすことがある。
従って、昇温保護制御部40はブレードの温度がクリーニング不良を引き起こす可能性のある温度まで昇温する前に、プリンタ1の動作モードを昇温保護モードに切り替えるように制御する。ここで、昇温保護モードとは、ブレードの温度が昇温しないようにプリンタ1を動作させるモードであり、具体的には画像形成動作と休止動作を一定時間ごとに繰り返す間欠運転などが対応する。このように、プリンタ1の動作モードが昇温保護モードに切り替わると、スループットは低下する。
本実施例において昇温保護制御部40は、図2の機能ブロック図で説明した通り、環境センサ95によって検知されたプリンタ1の周囲の温度や湿度、予め設定された動作モード毎の昇温プロファイルに基づき、ブレードの温度を予測している。なお、直接ブレードの近くに温度検知センサを配置する方が精度良くブレードの温度を検知できると考えられるが、装置が大型化する。また、温度を検知したいブレードの数だけセンサを配置する必要があるため、コストアップとなる。従って、本実施例では上記の予測制御を行う。
また、記録材Pに両面印刷を実行する場合、プリンタ1の機内温度を予測する上では一度定着ユニット21を通過して温度が上昇した記録材Pから、プリンタ1のプロセス部材に伝わる熱量を考慮する必要がある。本実施例のプリンタ1の場合、1面目にトナー像が定着され暖められた記録材Pが二次転写ニップ部(不図示)を通過することにより、記録材Pがもつ熱量が中間転写ベルト17に伝わる。中間転写ベルト17が昇温すると、それに伴ってベルトクリーナ28のブレードも昇温する。また、中間転写ベルト17が昇温すると、感光ドラム11Y、11M、11C、11Kも昇温し、それに伴ってドラムクリーナ10Y、10M、10C、10Kのブレードも昇温する。従って、記録材Pに両面印刷を実行する場合は、記録材Pに片面印刷を実行する場合に比べて、プリンタ1の機内温度が昇温するスピードが速くなる。
ところで、実際に記録材Pからプロセス部材に伝わる熱量は、1面目にトナー像が定着された記録材Pがどの程度昇温したかによって変化する。本実施例において昇温保護制御部40は、図2の機能ブロック図で説明した通り、環境センサ95から得られた情報、動作モードに応じた昇温プロファイルに加え、記録材Pの昇温量の情報を用いて、プリンタ1の機内温度を予測する。これによって、従来よりも精度良くプリンタ1の機内温度を予測することができる。
(フローチャート)
本実施例における昇温保護制御の流れを図7のフローチャートを用いて説明する。図7のフローチャートに基づく制御は、制御部3に搭載されたCPU80がROM81に記憶されているプログラムに基づき実行する。
本実施例における昇温保護制御の流れを図7のフローチャートを用いて説明する。図7のフローチャートに基づく制御は、制御部3に搭載されたCPU80がROM81に記憶されているプログラムに基づき実行する。
図7のフローチャートにおいて、まずプリンタ1に対して画像形成の指示が通知されると、制御部3は環境センサ95によってプリンタ1の周囲の環境情報(温度、湿度)を検知する(S101)。次に、制御部3は所定時間毎に昇温カウンタの更新を行うため、環境情報の検知又は前回の昇温カウンタの更新から所定時間が経過したかを判断する(S102)。ここで、昇温カウンタとは、プリンタ1の機内温度、本実施例においてはドラムクリーナ10Y、10M、10C、10Kのブレードの温度に対応するパラメータである。S101において検知した環境温度に昇温カウンタの値を加えることで、ブレードの温度を求めることができる。
S102において所定時間が経過していた場合、制御部3は動作モードに応じた昇温プロファイルを設定する(S103)。ここで、動作モードとはプリンタ1の状態を示しており、通常モードと昇温保護モードに大別される。また、通常モードは片面印刷、両面印刷、スタンバイなどのモードを含んでいる。昇温プロファイルとは、画像形成動作を開始してから経過した時間に対して、ブレードの温度がどのように変化するか、すなわち温度変化特性を示すデータである。この昇温プロファイルは、予め実験などによって得られた情報を基に動作モード毎に作成され、ROM81に記憶されている。
動作モードが両面印刷である場合、制御部3は超音波センサ90によって得られた記録材Pの昇温量の情報を用いて、S103で設定した昇温プロファイルを調整する(S104)。これにより、記録材Pの昇温量の影響を反映することができ、より精度良く機内温度(ブレードの温度)を予測できる。その後、制御部3はS104によって調整された昇温プロファイルを用いて昇温カウンタを更新する(S105)。S104における昇温プロファイルの調整方法や、昇温カウンタの更新方法について詳しくは後述する。
次に、制御部3は予測された機内温度がROM81に記憶された保護閾値に達しているか否かを判断する(S106)。ここで、保護閾値とは、本実施例においてはクリーニング不良が発生する温度よりも低い温度に設定されている。機内温度が保護閾値に達していた場合、制御部3はプリンタ1の動作モードを昇温保護モードに切り替える(S107)。本実施例では、昇温保護モードとして画像形成動作と休止動作を一定時間ごとに繰り返す間欠運転を実施する。ここで休止動作中は、駆動の必要が無い全てのモータを停止させると共に、冷却ファンを全速で駆動し、機内の冷却を図る。
一方、機内温度が保護閾値に達していない場合、制御部3はプリンタ1の動作モードを切り替えることなく、そのままの通常モードで画像形成動作を継続させる(S108)。最後に、制御部3は画像形成動作を継続するか否かを判断し(S109)、継続する場合はS102の制御に戻り、継続しない場合は本フローチャートの制御を終了する。
(昇温カウンタ)
本実施例では、機内温度(ブレードの温度)を所定時間毎に更新する昇温カウンタで表現する。昇温カウンタはプリンタ1の電源がオンとなった時点で初期値がセットされ、その時点から所定時間毎に更新されていく。初期値は前回電源がオフとなった時点の昇温カウンタの値をもとに、電源がオンとなった時点までの経過時間に応じて決定する。機内温度が周辺環境と同じ温度になるまで十分に時間が経過していた場合、初期値は0となる。一般的に、機内温度は、時間経過と共に温度変化率が減衰していき、やがてある温度に向かって収束する傾向がある。このような特性を持たせるため、本実施例では式1に示すように、温度変動係数k、収束カウンタCx、現在の昇温カウンタC(n)を用いて所定時間における昇温カウンタ変化量ΔCを算出する。
ΔC=k(Cx−C(n)) ・・・式1
本実施例では、機内温度(ブレードの温度)を所定時間毎に更新する昇温カウンタで表現する。昇温カウンタはプリンタ1の電源がオンとなった時点で初期値がセットされ、その時点から所定時間毎に更新されていく。初期値は前回電源がオフとなった時点の昇温カウンタの値をもとに、電源がオンとなった時点までの経過時間に応じて決定する。機内温度が周辺環境と同じ温度になるまで十分に時間が経過していた場合、初期値は0となる。一般的に、機内温度は、時間経過と共に温度変化率が減衰していき、やがてある温度に向かって収束する傾向がある。このような特性を持たせるため、本実施例では式1に示すように、温度変動係数k、収束カウンタCx、現在の昇温カウンタC(n)を用いて所定時間における昇温カウンタ変化量ΔCを算出する。
ΔC=k(Cx−C(n)) ・・・式1
次に、式2を用いて、現在の昇温カウンタC(n)に昇温カウンタ変化量ΔCを加えることで、昇温カウンタC(n+1)を更新する。本演算は、図7のS105に相当するものである。
C(n+1)=C(n)+ΔC ・・・式2
C(n+1)=C(n)+ΔC ・・・式2
本実施例では、図7のS103で説明した通り、動作モードに応じて昇温プロファイルを設定する。ここでの昇温プロファイルとは、昇温カウンタ更新に用いる温度変動係数kと収束カウンタCxである。特に、両面印刷時は、図7のS104においてトナー像の定着による記録材Pの昇温量に応じて昇温プロファイルを調整することで、記録材Pの昇温量が機内昇温に与える影響を反映する。
図8は環境温度25℃において、連続して両面印刷を行った時の機内温度の実測値と、昇温カウンタを用いた機内温度の予測値を重ねたものである。ここで、機内温度の実測値はカートリッジに取り付けられた温度検知センサによって検知された温度であり、間接的にドラムクリーナ10のブレードの温度を表している。また、カートリッジとは、感光ドラム11、帯電ローラ12、現像ユニット14、現像剤搬送ローラ15、ドラムクリーナ10をまとめて一体化したものであり、プリンタ1に対して着脱可能になっている。図8から分かるように、本実施例で利用する昇温カウンタは、機内の昇温現象を精度良く近似することが可能である。
(記録材の昇温量の反映)
本実施例では、図7のS104において、記録材Pの昇温量が機内昇温に与える影響を考慮し、昇温プロファイルを調整する。具体的には、前述の通り、超音波センサ90で測定した1面目と2面目の演算係数の差分から記録材Pの昇温量を算出する。次に、式3を用いて、基準の昇温量に対する両面昇温比率Rを求める。
R=ΔTt/ΔTb ・・・式3
本実施例では、図7のS104において、記録材Pの昇温量が機内昇温に与える影響を考慮し、昇温プロファイルを調整する。具体的には、前述の通り、超音波センサ90で測定した1面目と2面目の演算係数の差分から記録材Pの昇温量を算出する。次に、式3を用いて、基準の昇温量に対する両面昇温比率Rを求める。
R=ΔTt/ΔTb ・・・式3
尚、ΔTtは検知対象の記録材Pの昇温量、ΔTbは基準の昇温量である。基準の昇温量とは、記録材Pの種類やサイズ、個体バラつきなど様々な要因を考慮した上で、両面印刷を実行した場合に起こりうる最大の記録材Pの昇温量を示す。ΔTbは昇温プロファイル設計時に予め測定しておくものであり、この場合の昇温プロファイルを基準の昇温プロファイル(kb,Cxb)とする。
本実施例では、ΔTt<ΔTbの場合、記録材Pの昇温量が機内昇温に与える影響は基準に対して小さいと考えることができる。これを考慮して、式4のように両面昇温比率Rに応じて調整後の昇温プロファイル(k1,Cx1)を算出する。
(k1,Cx1)=R×(kb,Cxb) ・・・式4
(k1,Cx1)=R×(kb,Cxb) ・・・式4
以上のように調整した昇温プロファイルの設定例を表1に示す。両面印刷の動作モードにおいて、基準の昇温量に対する昇温プロファイルは(kb,Cxb)=(0.0032,290000)であり、両面昇温比率Rに応じて式4の調整を行っている。尚、両面昇温比率Rは1枚毎に求めても良いし、複数枚の平均を利用しても良い。
以上説明したように、本実施例においては、両面印刷時の機内温度を予測する際に、超音波センサ90で測定した1面目と2面目の演算係数の差分から記録材Pの昇温量を算出する。そして、その結果に応じて機内温度の予測に用いる昇温プロファイルを調整する。これにより、1面目にトナー像が定着され暖められた記録材Pが機内昇温に与える影響を考慮して、機内温度を精度良く予測することができる。その結果、不要な昇温保護モードの実行を減らし、ユーザビリティーの低下を抑制することができる。
さらに、想定以上の記録材Pの昇温量が発生した場合でも昇温プロファイルを調整することにより、異常昇温とそれに起因するトラブルを回避可能となる。また、記録材Pの坪量を検知する超音波センサ90によって、記録材Pの昇温量を検知することができるため、記録材Pの昇温量を検知するための専用のセンサを別途配置する必要がなく、コストを削減することができる。
実施例1においては、超音波センサ90によって記録材Pの昇温量を求め、両面昇温比率Rに基づいて昇温プロファイルを調整していた。しかしながら、両面昇温比率Rが同じ場合でも、プリント生産性や画像形成の対象となる記録材Pのサイズ(面積)が異なれば、機内温度へ与える影響が変化する。そのため本実施例においては、実施例1における昇温プロファイルを、プリント生産性や記録材Pのサイズに応じてさらに補正する。主な部分の説明は実施例1と同様であり、ここでは実施例1と異なる部分のみを説明する。
プリント生産性、すなわち画像形成速度や記録材Pの搬送速度が速い場合、単位時間当たりに二次転写ニップ部を通過する記録材Pの枚数は増加する。そのため、単位時間当たりに記録材Pからプロセス部材に伝わる熱量は増加する。従って、プリント生産性が高いほど、機内温度が昇温するスピードは速くなる。また、記録材Pのサイズが大きいほど、一度に多くの熱量がプロセス部材に伝わる。従って、記録材Pのサイズが大きいほど、機内温度が昇温するスピードは速くなる。
本実施例においては以下のように昇温プロファイルを補正する。両面昇温比率100%、生産性100%、LTRサイズを基準の昇温プロファイル(kb,Cxb)として、式5のように各要素の比率に応じて調整後の昇温プロファイル(k2,Cx2)を算出する。
(k2,Cx2)=R×α×β×(kb,Cxb) ・・・式5
(k2,Cx2)=R×α×β×(kb,Cxb) ・・・式5
ここで、αはプリント生産性、βはLTRサイズに対する面積比率である。以上のように調整した昇温プロファイルの設定例を表2に示す。簡単のため、表1における動作モードが両面印刷の場合のみを抜粋している。
プリント生産性は、プリンタ1に対して両面印刷の指示が通知された際に制御部3によって自動的に設定される。また、画像が形成された記録材Pをプリンタ1から受け取り、記録材Pに対して所定の後処理を実施する不図示の後処理装置がプリンタ1に搭載されているかどうかによっても生産性は変化する。さらには、その後処理装置で実施する後処理のモード(スタックモード、ステイプルモード)によっても生産性は変化する。
記録材Pのサイズは、通知された印刷情報の中に含まれている場合は制御部3がその情報を利用する。また、プリンタ1に設けられたオペレーションパネル(不図示)からユーザが記録材Pのサイズを入力できるような構成であってもよい。もしくは、プリンタ1の搬送路中に記録材Pを検知するセンサを配置して、そのセンサの検知結果に基づいて記録材Pのサイズを検知するような構成であってもよい。具体的には、センサによって記録材Pの先端(搬送方向において下流側の端部)を検知してから、記録材Pの後端(搬送方向において上流側の端部)を検知するまでの期間と、搬送速度に基づいて、記録材Pの搬送方向におけるサイズを検知することができる。
以上説明したように、本実施例ではプリント生産性や記録材Pのサイズに応じて昇温プロファイルを補正するので、実施例1よりもさらに精度良く機内温度を予測することができる。その結果、不要な昇温保護モードの実行を減らし、ユーザビリティーの低下を抑制することができる。
実施例1においては、超音波センサ90によって記録材Pの昇温量を求め、両面昇温比率Rに基づいて昇温プロファイルを調整していた。しかしながら、超音波センサ90によって記録材Pを検知して記録材Pの昇温量を求めてから、その記録材Pが再び二次転写ニップ部に到達するまでの間に、記録材Pの温度が変化する可能性がある。そのため本実施例においては、実施例1における昇温プロファイルを、記録材Pが超音波センサ90によって検知されてから、二次転写ニップ部に再度搬送されるまでの経過時間に基づいて補正する。主な部分の説明は実施例1と同様であり、ここでは実施例1と異なる部分のみを説明する。
記録材Pに両面印刷を行う場合、1面目にトナー像が定着されることによって記録材Pの温度は一旦上昇するが、時間が経過すると共に記録材Pの温度は1面目にトナー像が定着される前の温度(環境温度に近い温度)に向かって下がっていく傾向がある。従って、経過時間が長いほど記録材の温度は低くなり、機内温度が昇温するスピードは遅くなる。
本実施例においては以下のように昇温プロファイルを補正する。両面昇温比率100%、基準の経過時間で記録材Pが搬送された場合の基準の昇温プロファイル(kb,Cxb)として、式6のように各要素の比率に応じて調整後の昇温プロファイル(k3,Cx3)を算出する。
(k3,Cx3)=R/γ×(kb,Cxb) ・・・式6
(k3,Cx3)=R/γ×(kb,Cxb) ・・・式6
ここで、γは基準の経過時間に対する実際の経過時間の比率である。実際の経過時間とは、記録材Pが超音波センサ90によって検知されたタイミングから、記録材Pの先端が二次転写ニップ部に到達するタイミングまでの期間である。これらはいずれも、記録材Pの2面目に画像を形成する場合のタイミングである。なお、記録材Pの熱容量は記録材Pの坪量に比例するため、記録材Pの坪量によって経過時間と温度変化の関係が異なる。そのため、超音波センサ90によって検知された記録材Pの坪量に応じてγ値の調整を行っても良い。
また、記録材Pの昇温量をより忠実に近似する場合は、表3に示すように1面目のトナー像の定着を起点とした演算係数の変化量を予め測定しておき、経過時間から検知対象の記録材Pの昇温量ΔTtを直接補正してもよい。例えば、1面目のトナー像の定着から3.0秒後に超音波センサ90によって2回目の記録材Pの検知が行われ、3.5秒後に記録材Pの2面目にトナー像が二次転写される場合を考える。この場合、超音波センサ90による検知から二次転写までに0.46−0.41=0.05の演算係数の変化が生じる。すなわち、記録材Pの温度はこの期間で0.05÷0.01=5℃低下したと考えることができる。従って、2面目のトナー像を二次転写する際における記録材Pの昇温量をΔTt’=ΔTt−5として式3を計算することも可能である。
実際の経過時間は、搬送路上に配置された搬送ローラによって記録材Pを搬送する際に、スリップなどが発生すると変化する可能性がある。このような実際の経過時間を求めるために、二次転写ニップ部よりも搬送方向において上流側の位置に記録材Pを検知するセンサを設け、記録材Pの先端の到達タイミングを検知してもよい。また、このように別途センサを配置しなくとも、超音波センサ90によって記録材Pの先端の到達タイミングを検知してもよい。
以上説明したように、本実施例では記録材Pが二次転写ニップ部に到達するまでの経過時間に応じて昇温プロファイルを補正するので、実施例1よりもさらに精度良く機内温度を予測することができる。その結果、不要な昇温保護モードの実行を減らし、ユーザビリティーの低下を抑制することができる。
(変形例)
記録材Pの昇温量の算出は上記の実施例のように超音波センサ90を用いる構成に限られるものではない。例えば、記録材Pの温度が上昇すると、記録材Pの抵抗値も大きくなることが知られている。そのため、二次転写ローラ19に所定の電圧を印加し、記録材Pにトナー像を転写する際に記録材Pに流れる電流を検知する電流検知部を設ける。そして、記録材Pの1面目にトナー像を転写する際に流れる電流値と、記録材Pの2面目にトナー像を転写する際に流れる電流値をそれぞれ検知し、記録材Pの昇温量を求めてもよい。この構成によっても、記録材Pの昇温量を検知するための専用のセンサを別途配置する必要がなく、コストを削減することができる。しかしながら、本発明において、記録材Pの昇温量を直接検知するセンサを別途配置する構成を除外するものではない。
記録材Pの昇温量の算出は上記の実施例のように超音波センサ90を用いる構成に限られるものではない。例えば、記録材Pの温度が上昇すると、記録材Pの抵抗値も大きくなることが知られている。そのため、二次転写ローラ19に所定の電圧を印加し、記録材Pにトナー像を転写する際に記録材Pに流れる電流を検知する電流検知部を設ける。そして、記録材Pの1面目にトナー像を転写する際に流れる電流値と、記録材Pの2面目にトナー像を転写する際に流れる電流値をそれぞれ検知し、記録材Pの昇温量を求めてもよい。この構成によっても、記録材Pの昇温量を検知するための専用のセンサを別途配置する必要がなく、コストを削減することができる。しかしながら、本発明において、記録材Pの昇温量を直接検知するセンサを別途配置する構成を除外するものではない。
また、上記の実施例2及び3では、記録材Pの昇温量以外のパラメータに基づいて、プリンタ1の機内温度の昇温プロファイルを調整していた。しかし、実施例2及び3に記載されたパラメータに限定されるものではない。記録材Pの1面目にトナー像を定着する際の定着投入電力に基づいて、昇温プロファイルを調整してもよい。
また、上記の実施例においてはプリンタ1の機内温度として、特にドラムクリーナ10やベルトクリーナ28のブレードに着目していた。しかし、これに限定されない。過度に昇温すると画像品質に影響を与える他のプロセス部材としては、光学ユニット13がある。光学ユニット13であるレーザスキャナが昇温すると、スキャナのフレームの微妙な熱膨張や熱収縮によって、感光ドラム11に照射されるレーザ光の位置がずれる場合がある。これによって、記録材Pに形成される画像の位置がずれてしまうという問題が発生する。従って、プリンタ1の機内温度として、光学ユニット13の温度を予測し、必要に応じてプリンタ1の動作モードを切り替えるように制御してもよい。
また、上記の実施例においては、昇温保護モードとして間欠運転の例のみを示した。しかし、プリンタ1の機内温度を昇温させなければよく、これに限定されない。例えば、通常の動作モード時に比べて、プリント生産性を落とすように制御してもよい。具体的には、画像形成速度や記録材Pの搬送速度を遅くする、又は画像を形成する間隔を広げるように制御する。もしくは単位時間当たりのファン(不図示)の回転数を増加させて、冷却効果を高めるように制御してもよい。
また、上記の実施例においては、レーザビームプリンタの例を示したが、本発明を適用する画像形成装置はこれに限られるものではない。記録材を加熱することによって、記録材に形成された画像を定着する工程を含む装置であればよく、インクジェットプリンタ等、他の記録方式のプリンタ、又は複写機でもよい。
1 レーザビームプリンタ
3 制御部
21 定着ユニット
30 超音波センサ制御部
31 送信部
32 受信部
40 昇温保護制御部
90 超音波センサ
95 環境センサ
3 制御部
21 定着ユニット
30 超音波センサ制御部
31 送信部
32 受信部
40 昇温保護制御部
90 超音波センサ
95 環境センサ
Claims (10)
- 記録材を加熱して記録材に画像を定着する定着手段を含み、記録材に画像を形成する画像形成手段と、を有する画像形成装置において、
前記画像形成装置が設置されている環境の温度を検知する第1の検知手段と、
前記画像形成装置の内部の温度変化特性を示すデータを記憶する記憶手段と、
前記定着手段によって加熱され画像が定着されたことによる記録材の昇温量を検知する第2の検知手段と、
前記画像形成手段によって記録材の両面に画像を形成する場合、前記第2の検知手段によって検知された前記記録材の昇温量に基づいて、前記記憶手段に記憶された前記データを調整する調整手段と、
前記第1の検知手段によって検知された前記環境の温度と、前記調整手段によって調整された前記データに基づいて、前記画像形成装置の内部の温度を予測する予測手段と、
前記予測手段によって予測された前記温度が所定の閾値に到達したと判断すると、単位時間当たりに前記画像形成手段によって画像が形成される記録材の枚数が少なくなるように制御する制御手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。 - 前記第2の検知手段は、記録材に超音波を送信する送信手段と、前記送信手段から送信され、記録材を介した超音波を受信して、受信した超音波に応じた信号を出力する受信手段と、を含み、
前記定着手段が記録材の第1面に画像を定着する前に、前記受信手段が記録材を介した超音波を受信して出力した第1の信号と、前記定着手段が記録材の第1面に画像を定着した後、かつ前記定着手段が記録材の第2面に画像を定着する前に、前記受信手段が記録材を介した超音波を受信して出力した第2の信号に基づいて、前記第2の検知手段は前記記録材の昇温量を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記第2の検知手段は、記録材に画像を転写する転写手段と、前記転写手段によって記録材に画像を転写する際に流れる電流値を検知する電流検知手段と、を含み、
前記転写手段が記録材の第1面に画像を転写する際に、前記電流検知手段が検知した第1の電流値と、前記転写手段が記録材の第2面に画像を転写する際に、前記電流検知手段が検知した第2の電流値に基づいて、前記第2の検知手段は前記記録材の昇温量を検知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記調整手段は、前記第2の検知手段によって検知された前記記録材の昇温量が高い場合に、前記画像形成装置の内部の温度が上昇するスピードが速くなるように前記データを調整し、前記記録材の昇温量が低い場合に、前記画像形成装置の内部の温度が上昇するスピードが遅くなるように前記データを調整することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記調整手段は、単位時間当たりに前記画像形成手段によって画像が形成される記録材の枚数が多い場合に、前記画像形成装置の内部の温度が上昇するスピードが速くなるように前記データを調整し、前記記録材の枚数が少ない場合に、前記画像形成装置の内部の温度が上昇するスピードが遅くなるように前記データを調整することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記調整手段は、前記画像形成手段によって画像が形成される記録材のサイズが大きい場合に、前記画像形成装置の内部の温度が上昇するスピードが速くなるように前記データを調整し、前記記録材のサイズが小さい場合に、前記画像形成装置の内部の温度が上昇するスピードが遅くなるように前記データを調整することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記調整手段は、前記第2の検知手段によって前記記録材の昇温量を検知してから、前記記録材が前記画像形成装置の内部にある所定のプロセス部材に到達するまでの期間の長さが短い場合に、前記画像形成装置の内部の温度が上昇するスピードが速くなるように前記データを調整し、前記期間の長さが長い場合に、前記画像形成装置の内部の温度が上昇するスピードが遅くなるように前記データを調整することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記画像形成手段は、像担持体と、前記像担持体に形成されたトナー像が記録材に転写された後、前記像担持体に残っているトナーをクリーニングするブレードを含み、
前記予測手段は、前記ブレードの温度を予測することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記所定の閾値とは、トナーの融点よりも低く、前記ブレードにおいてクリーニング不良が発生する温度よりも低い温度であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
- 前記制御手段は、前記予測手段によって予測された前記温度が所定の閾値に到達したと判断すると、前記画像形成手段によって記録材に画像を形成する画像形成動作と前記画像形成手段によって記録材に画像を形成しない休止動作を一定時間ごとに繰り返すように制御することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015244385A JP2017111241A (ja) | 2015-12-15 | 2015-12-15 | 画像形成装置 |
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JP (1) | JP2017111241A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US11650529B2 (en) | 2021-07-20 | 2023-05-16 | Ricoh Company, Ltd. | Image forming apparatus |
-
2015
- 2015-12-15 JP JP2015244385A patent/JP2017111241A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US11650529B2 (en) | 2021-07-20 | 2023-05-16 | Ricoh Company, Ltd. | Image forming apparatus |
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