JP2017111065A - 角質細胞の観察方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】3次元培養皮膚モデルを用いた化粧料や皮膚外用剤等の評価やスクリーニングを行う際、より有用な角質細胞の観察方法を提供すること。【解決手段】上皮再構築体の上面を除去し、上皮再構築体を顕微鏡で観察することを含む、角質細胞の観察方法である。好ましくは、前記上皮再構築体の上面の除去はテープストリッピングで行い、顕微鏡は共焦点レーザー顕微鏡を用いる。【選択図】図7

Description

本発明は、角質細胞の観察方法に関する。更に詳細には、上皮再構築体を用いた、角質細胞の観察方法、角質細胞への被験物質の評価又はスクリーニング方法、被験物質の皮膚反応性の評価方法に関する。
近年、各国における動物実験廃止の動き等もあり、動物を用いずに医薬品や化粧料の研究、評価等を行うための3次元培養皮膚モデルが開発されている(特許文献1)。この3次元培養皮膚モデルは、コラーゲンや繊維芽細胞を含む真皮同等物の層、表皮角化細胞の層等で構成されている。
既に、このような3次元培養皮膚モデルに種々の剤を適用することや乾燥等の刺激を与えることによる、当該皮膚モデルの変化等についての研究が行われている。
例えば、前記3次元培養皮膚モデルに対し、紫外線を照射した後、メラニン量を確認することが行われている(特許文献1)。
また、ヒト3次元培養表皮モデルに被験物質を接触させ、モデルの細胞中のガレクチン−7の減少量を指標として、皮膚バリア機能を改善又は経表皮水分蒸散量を抑制する剤をスクリーニングする方法が開発されている(特許文献2)。
あるいは、ヒト培養皮膚モデルを乾燥させ、3次元トポグラフィー装置と原子間力顕微鏡を使い、直接的にヒト培養皮膚モデルの表面の形状と粗さを測定して形態的変化等を観察し、乾燥の有無による各種パラメーターを比較する検討等が行われている(非特許文献1)。
特開2010−193822号公報 特開2015−42970号公報
C. Takeuchi et. al., "Characteristics of Surface Morphology and Skin Parameters on the Reconstructed human Epidermis Model in Dry Condition", 国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)2014年パリ大会、ポスター発表
しかしながら、前記、メラニン量等を確認する検討方法(特許文献1)では、皮膚組織を破壊してメラニン量を測定することや、皮膚組織を固定し染色した観察用組織切片を作製することが行なわれたのみで、皮膚組織そのままを観察することは行われていなかった。
また、前記皮膚バリア機能を改善又は経表皮水分蒸散量を抑制する剤をスクリーニングする方法(特許文献2)では、3次元培養皮膚モデルの細胞中、もしくは培地中に分泌されるガレクチン−7や電気抵抗値を評価の対象としており、皮膚モデルの形態そのものを解析するものではなかった。
更に、前記3次元トポグラフィー装置と原子間力顕微鏡を使ってヒト培養皮膚モデルを観察する研究(非特許文献1)では、乾燥処理した皮膚モデルを何ら表面処理等せずに顕微鏡で観察されたのみであった。
前記観察等の他に、前記3次元培養皮膚モデルは、従来、皮膚内を検討すること、例えば、細胞内分子に注目した評価等に、主に用いられていた。しかし、本発明者は、3次元培養皮膚モデルの表層を観察して評価すること案出した。そして、3次元培養皮膚モデルを用いて化粧料や皮膚外用剤等の評価やスクリーニングを行う際、より有用な角質細胞の観察方法を新たに見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、上皮再構築体の上面を除去し、上皮再構築体を顕微鏡で観察することを含む、角質細胞の観察方法を提供する。
また、本発明は、上皮再構築体に被験物質を適用した後、上皮再構築体の上面を除去して上皮再構築体を顕微鏡で観察することを含む、被験物質の評価又はスクリーニング方法を提供する。
本発明は、上皮再構築体に被験物質を適用した後、上皮再構築体の上面を除去して上皮再構築体を顕微鏡で観察することを含む、皮膚反応性の評価方法を提供する。
また、前記角質細胞の観察方法、前記被験物質の評価若しくはスクリーニング方法、又は前記皮膚反応性の評価方法に用いる試料を、上皮再構築体の上面を除去することによって作製することを含む、上皮再構築体試料の作製方法を提供する。
本発明によれば、皮膚の外観を重視した角質細胞の観察を行うことができ、被験物質の評価やスクリーニング等の際に、客観的で正確なデータを得ることができる。
なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
上皮再構築体の作製方法の概略を示す図である。 被験物質を上皮再構築体に適用して顕微鏡観察に供するまでの手順の概略を示す図である。 培養工程で細胞が積層化し角質層が形成される過程を示す、上皮再構築体の断面の図面代用写真である。 テープストリッピング前の上皮再構築体の共焦点レーザー顕微鏡像の図面代用写真である。 テープストリッピング後の上皮再構築体の共焦点レーザー顕微鏡像の図面代用写真である。 被験物質の代わりに水を適用し、テープストリッピングで上面を除去した上皮再構築体の共焦点レーザー顕微鏡像の図面代用写真である。 被験物質を適用し、テープストリッピングで上面を除去した上皮再構築体の共焦点レーザー顕微鏡像の図面代用写真である。
本発明の角質細胞の観察方法は、上皮再構築体の上面を除去し、上皮再構築体を顕微鏡で観察することを含む。
上皮再構築体とは、いわゆる3次元培養皮膚モデルを含む概念である。本発明では、重層上皮再構築体を用いることが好ましいが、これに限定されない。
<上皮再構築体の作製方法>
一例として、重層上皮再構築体(皮膚モデル)の作製方法を以下に示す。
(1) 上皮細胞、例えばケラチノサイト(表皮角化細胞)を初期増殖する。ここで、上皮細胞は哺乳動物由来が好ましく、ヒト由来が特に好ましい。
(2) 前記(1)で増殖された上皮細胞を酵素処理にて剥がし、3次元培養用容器に播種し、培養する。
3次元培養用容器は、例えば、細胞培養用インサートを用いることができる。インサートの膜は、例えばポリカーボネート製のものが挙げられる。また、細胞培養用インサートではなく、コラーゲンゲル上又は生体より摘出した真皮にガラス製リングを載せ、その中に上皮細胞を播種してもよい。
(3) 前記培養容器内で上皮細胞が隙間なく増殖したら、培地を分化用培地(高Caイオン含有、例えばCaイオン濃度約1.2 mM 〜約1.8 mM)に代え、例えば16〜20時間培養する。培養中、細胞は培地に浸漬している状態である。
なお、当該(3)の工程は、必須ではなく、前記工程(2)から後述する工程(4)に移ることも可能だが、工程(3)を経ることが好ましい。
(4) 前記工程(2)又は(3)の細胞培養インサート内の培地を取り除き、培養上皮細胞の上面を空気に曝露させる。このとき、細胞の底面のみが分化用培地に触れている状態となる。
空気曝露後、12〜14日後程度で、ヒトと同様の構造の重層上皮再構築体が得られる。
以上の重層上皮再構築体の作製方法の概略を図1に示す。
このような重層上皮再構築体は、よりヒトの生体の皮膚に近い状態のものであり、化粧料、皮膚外用剤等の評価やスクリーニング等に適する。
なお、前記作製方法は、特開2011−120577号明細書を参考にすることができる。
<上皮再構築体の観察前の処理>
重層上皮再構築体を顕微鏡で観察する前に、重層上皮再構築体の上面を除去する。重層上皮再構築体の最上層には、壊死した細胞や、空気曝露による急激な環境変化により不完全に角化したと思われる細胞の堆積物が見られる。これを、物理的に一部又は全部除去することにより、角質細胞を観察しやすくすることができる。
従来の重層上皮再構築体の目視観察又は顕微鏡観察では、重層上皮再構築体の上面は一見なだらかに見えていたため、そのまま上面を観察することしか行われておらず、重層上皮再構築体の上面を除去するという発想がなかった。
重層上皮再構築体の上面の除去方法は特に限定されないが、好ましくは、スライドグラスや粘着剤の付いたテープ等を重層上皮再構築体の上面に一定圧で軽く押し当てて、上面を除去する方法を用いる。一般的には、テープストリッピングが簡易で好ましく用いられる。
スライドグラスやテープを重層上皮再構築体の上面に押し当てるときの圧力を調節することにより、除去する面積を増減できる。
ここで、重層上皮再構築体の上面を除去する厚さ(深さ)は、上面から1μm以上が好ましく、角質細胞の観察に適したものとなる。
また、より下層の角質細胞を観察したいときは、上面の除去を1回だけでなく、数回行うとよい。
特に、テープストリッピングにおいては、1回の操作でテープの粘着性により剥離される角質細胞が、通常1層となるので、テープストリッピングの回数により除去できる角質細胞の深さを決めることができる。すなわち、この操作を複数回繰り返すことにより、角質を上層から内部(深さ)方向にかけて段階的に角質細胞を除去することができる。
重層上皮再構築体の上面を除去した後、当該重層上皮再構築体は顕微鏡観察に供される。
今まで一般には、テープストリッピング等をした後は、テープの方を顕微鏡観察等に供し、テープに付着した角化細胞等を見ることが行われていた。
しかし、本発明では、テープではなく、重層上皮再構築体の方を顕微鏡観察に供することが特徴的である。
上皮再構築体の観察は、詳細は後述するが、共焦点レーザー顕微鏡を用いることが好ましく、特に反射式共焦点レーザー顕微鏡が好ましい。共焦点レーザー顕微鏡を用いることにより、上皮再構築体の個々の角質細胞の形等を詳細に観察することができる。
前記テープストリッピングは、共焦点レーザー顕微鏡で重層上皮再構築体の角質細胞を観察する場合、少なくとも1回、好ましくは2回、3回程度行えばよい。
本発明の観察方法を実際に適用するときは、上皮再構築体の観察前に、例えば、化粧料や皮膚外用剤の成分等の被験物質を上皮再構築体の上面に数分間〜数週間適用する。
具体的には、例えば、被験物質溶液を培養細胞インサート内に200μL程度入れることや、被験物質を直接塗布等して、一定時間静置する。被験物質溶液の場合は、静置後、溶液を取り除く。この操作を1日数回行う。
次に、被験物質適用後の上皮再構築体を細胞培養インサートから支持膜ごと切り出す。
上皮再構築体の上面をテープストリッピング等で除去し、上皮再構築体を顕微鏡観察に供する。被験物質適用時、静置中、適用後、観察に供するまでは、例えば相対湿度を10%以上90%以下、30%以上70%以下、40%以上50%以下に調節してもよい。
なお、前記被験物質を上皮再構築体に適用して顕微鏡観察に供するまでの概略を図2に示す。
あるいは、上皮再構築体の上面(表面)への適用以外による被験物質の投与の検討にも前記方法を用いることができる。
例えば、美肌効果が見込まれる被験物質を、経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、髄腔内投与等と同じような適用方法になるように投与を行ってから、上皮再構築体の上面を除去し、顕微鏡観察に供してもよい。すなわち、生体の皮膚の内側から被験物質が作用する様子を再現するモデルとして、上皮再構築体の下側から被験物質が取り込まれるように適用することもできる。
本発明は、被験物質の上皮再構築体への適用の前後に上皮再構築体の角質細胞を観察・比較することにより、該被験物質による皮膚への影響を確認したり、作用を研究したり、美肌効果の優劣等を評価することに用いることができる。
また、本発明は、種々の被験物質を上皮再構築体に適用して観察することにより、所望の影響を皮膚に与える物質をスクリーニングすることに用いることもできる。
更に、本発明の観察方法は、特定の被験物質を、様々な種類の上皮再構築体、例えば異なる複数の哺乳動物由来の上皮再構築体に適用し、上皮再構築体の皮膚反応性の評価をすることに用いることもできる。
<顕微鏡による角質細胞の観察>
上皮再構築体の角質細胞を肉眼で観察することは困難であるので、顕微鏡を用いることが好ましい。顕微鏡は特に限定されないが、前述のように、共焦点レーザー顕微鏡、特に反射式共焦点レーザーが好ましい。共焦点レーザー顕微鏡を用いることにより、上皮再構築体の角質細胞の詳細な形状を固定などの特別な処理をすることなく、大気圧中で、短時間に観察することができる。
角質細胞の観察要素は、例えば、角質細胞の形、配向及び面積、個々の角質細胞の面積のばらつき、並びに観察視野の単位面積当たりの細胞数等が挙げられる。
バリア能が健全な皮膚では、角質細胞の形は六角形に近いので、重層上皮再構築体の角質細胞が六角形に近いほど好ましく、例えば肌の見た目の美しさにも関係する。
また、角質細胞の配向は、整然とした配列を成していることが好ましい。
角質細胞の面積は、大きいほど好ましく、より成熟度の高い角質細胞であるといえる。
個々の角質細胞の面積のばらつきは、少ないほど好ましく、肌表面形状の均一性に関係していることが考えられる。
観察視野の単位面積当たりの細胞数は、被験物質の適用の前後で減少していることが好ましい。
本発明の角質細胞の観察方法を適用すれば、上述の他にも、蛍光で標識された薬剤(被験物質)を上皮再構築体に塗布し、角質層内に浸透させ、薬剤の角質層での貯留状態と角質細胞形態変化とを併せて評価することが可能である。また、上皮再構築体に被験物質を適用後、各種タンパク質を蛍光免疫染色すれば、上皮再構築体内のタンパク質発現の変化と角質細胞形態変化とを併せて評価することも可能である。
<角質細胞観察装置>
本発明の適用の一態様として、角質細胞観察装置を提供することもできる。
角質細胞観察装置は、例えば、上皮再構築体の上面が除去された該上皮再構築体を入れる容器部と、該上皮再構築体の角層細胞を観察する顕微鏡部と、該顕微鏡部により取得された画像から、角質細胞の形、配向、面積、面積のばらつき及び観察視野の単位面積あたりの細胞数(細胞密度)からなる群から選択される観察要素を少なくとも1つ解析する画像解析部とを含む。
容器部は特に限定されないが、上皮再構築体の細胞がインタクトに保たれる観察用セルが好ましい。
顕微鏡部は、特に限定されないが、前述のように共焦点レーザー顕微鏡が特に好ましい。
画像解析部には、例えば、顕微鏡部により得られる像を撮像する画像取得部、画像記録部、画素の配列や画素数を分析する画素分析部、前記観察要素を画素数から数値化する計算部、観察視野の単位面積当たりの細胞を計数する細胞計数部等を含めることができる。
細胞の径や周は、例えば、画像中の距離(単位距離)や画素間隔に基づいて算出可能である。
細胞の形は、例えば、特定の画像領域を構成する画素の配列に基づいて特定することが可能である。また、画像領域上の各位置における微分係数を演算して細胞の形を算出することもでき、パターンマッチング処理などを行ってもよい。細胞が六角形に近いかどうかを判断するには、例えば、六角形状のテンプレート画像との画像相関処理を行うことにより可能である。
細胞の配向は、例えば、画像領域を細線化してワイヤモデルを作成し、このワイヤモデルに基づいて求めることができる。
細胞の面積は、例えば、単位面積に含まれる画素数をカウントして単位面積画素数を取得しておくとともに、細胞領域内の画素数をカウントし、この画素数を単位面積画素数で除算することにより算出でき、通常の積分演算を行って面積を求めることも可能である。
細胞の面積のばらつきは、例えば、複数の細胞の面積を統計処理して算出することが可能である。
細胞密度は、観察視野の単位面積を特定し、その面積中の細胞数から算出すればよい。
これらの算出に用いられるソフトウェアは既知であり、それを適用すればよい。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、本発明の代表的な実施例の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
<重層上皮再構築体の作製>
第一の培養工程:
ケラチノサイト(表皮角化細胞)を、細胞増殖用培地にて1×10cells/mLの細胞懸濁液を調製し、100mmシャーレに10mL添加する。その後、二酸化炭素濃度5%、37℃、湿潤下にて、細胞が培養シャーレに対してサブコンフルエント若しくはコンフルエントになるまで7日間増殖させた。なお、培地は2日もしくは3日に一回交換した。
第二の培養工程:
前記第一の培養工程で増殖した表皮角化細胞を酵素にてシャーレから剥がし、回収した。回収した細胞は細胞増殖用培地にて4×10cells/mLに調製し、3次元培養用のセルカルチャーインサート(フィルター直径:12mm、フィルター材質:ポリカーボネート)に500μL添加し、インサートの外側には細胞増殖用培地をインサート内の液面と同じ高さになるまで添加した。細胞を播種した後、インサート底面に対して細胞がコンフルエントになるまで細胞増殖培地にて1日間培養させた。
第三の培養工程:
前記第二の培養工程で上皮細胞がコンフルエントになった後、培地を細胞分化用培地(Caイオン濃度1.2mM)に変えた。上皮細胞の分化誘導を行うため、細胞分化用培地で16時間浸漬培養した。
第四の培養工程:
前記第三の培養工程の培地を取り除き、上皮細胞の表面を気相(空気)に曝露し、細胞底面は細胞分化用培地に触れている状態で更に培養した。気相に曝露することで細胞が積層化し、角質層が形成された。その過程を図3に示す。
12〜14日後にヒトの表皮と同様の構造を持つ重層上皮再構築体を得た。
<重層上皮再構築体のテープストリッピング>
相対湿度90%の条件下で、重層上皮再構築体を作製し、空気曝露12日後にインサート底面のフィルターを繰り抜いた。次に、重層上皮再構築体の上面にテープを載せ、軽くひとなでした後にテープを剥がした。この重層上皮再構築体を反射式共焦点レーザー顕微鏡で観察した。
なお、テープには、ニチバン社製のセロテープ(登録商標)品番CT405AP−18、幅18mmのものを用いた。
<結果>
前記被験物質を適用しなかった重層上皮再構築体のテープストリッピング前の反射式共焦点レーザー顕微鏡像を図4に、テープストリッピング後の像を図5に示す。
テープストリッピングをすることで、図5に見られるように、初めて角質細胞の六角形状の形を確認することができた。
<被験物質の評価>
被験物質として、保湿剤であるグリセリンを滅菌水で10質量%に調整したものを用いた。
相対湿度40%の条件下で、インサートで培養したままの状態で、重層上皮再構築体の表面約113mm(インサートのフィルターの底面積と同等)に被験物質の溶液を200μL載せ、60分静置後、被験物質の溶液を取り除いた。この操作を1日2回、計3日間実施した。
被験物質曝露後、重層上皮再構築体の付いたインサートの底面のフィルターを繰り抜いた。次に、重層上皮再構築体の上面にテープを載せ、軽くひとなでした後にテープを剥がした。この重層上皮再構築体を反射式共焦点レーザー顕微鏡で観察した。
前記被験物質の代わりに水を適用し、テープストリッピングをした重層上皮再構築体の共焦点レーザー顕微鏡像を図6に示す。前記被験物質を適用し、テープストリッピングをした重層上皮再構築体の像を図7に示す。
図6と図7を比較すると、水を適用した重層上皮再構築体では、角質細胞の六角形がほとんど確認できず、細胞の配向、配列等も乱れていたのに対し、前記被験物質を適用した重層上皮再構築体では、角質細胞のきれいな六角形と整然とした配向、配列等を確認できた。
以上のことから、重層上皮再構築体の上面を除去し、角質細胞の形、配向、配列等を観察することにより、被験物質の効果を評価できることが明らかとなった。
本発明によれば、ヒト等の動物の生体皮膚を用いずに、化粧料、皮膚外用剤、体内投与する薬剤等の皮膚に対する安全性試験、生理試験、スクリーニング等を視覚的に評価することができる。

Claims (6)

  1. 上皮再構築体の上面を除去し、上皮再構築体を顕微鏡で観察することを含む、角質細胞の観察方法。
  2. 前記上皮再構築体の上面の除去は、テープストリッピングで行う、請求項1に記載の角質細胞の観察方法。
  3. 前記顕微鏡は、共焦点レーザー顕微鏡である、請求項1又は2に記載の角質細胞の観察方法。
  4. 前記角質細胞の観察要素が、角質細胞の形、配向、面積、面積のばらつき及び観察視野の単位面積あたりの細胞数からなる群から少なくとも1つ選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の角質細胞の観察方法。
  5. 上皮再構築体に被験物質を適用した後、上皮再構築体の上面を除去して上皮再構築体を顕微鏡で観察することを含む、被験物質の評価又はスクリーニング方法。
  6. 上皮再構築体に被験物質を適用した後、上皮再構築体の上面を除去して上皮再構築体を顕微鏡で観察することを含む、被験物質の皮膚反応性の評価方法。
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